<実施形態1>
実施形態1について、図1〜図35を参照して説明する。なお、以下の説明においては、相手側ハウジングとの嵌合方向を前方、嵌合離脱方向を後方、また、図1の上方を上方、下方を下方、左斜め上方を左、右斜め下方を右として説明する。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
本実施形態の電源装置10は、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両において電源103から負荷104へ電力供給する電源回路100を含むものであって、図2に示すように、サービスプラグ50(プラグの一例)と、検知電線80(検知回路の一部)と、を備えている。電源回路100は、図33ないし図35に示すように、電源103から負荷104に至る給電回路101(強電回路の一例)と、この給電回路101から分岐されたインターロック回路102(検知回路の一例)とを備えており、サービスプラグ50は給電回路101に対して挿抜され、検知電線80はインターロック回路102に対して着脱される。
サービスプラグ50は、具体的には、給電回路101の途中に設けられた回路側コネクタ11に対して挿抜される。給電回路101はシールドケース84内に収容されており、図2中の85Aは、シールドケース84の一部を構成する金属板からなる取付パネル85Aである。この取付パネル85Aは、例えば図4に示すように、シールドケース84の表面から一段窪んだ凹部85の底部を構成するものである。
なお凹部85の深さ寸法は、後述するように、サービスプラグ50が給電回路101の回路側コネクタ11に嵌合した状態において、少なくともサービスプラグ50の接続端子65の後端が凹部85内に収まる寸法に設定されている(図5および図9参照)。
取付パネル85Aの中央部には、図2に示すように、横長の開口部86が設けられており、サービスプラグ50は、この開口部86を通して取付パネル85Aの背面側(シールドケース84内)に配された回路側コネクタ11に対して挿抜される。この開口部86の開口寸法は、サービスプラグ50のうち回路側コネクタ11との嵌合部分の外径とほぼ同等の寸法とされている。
取付パネル85Aのうち開口部86を挟んだ上下2箇所には、後述する固定ボルト48に設けられたねじ山と螺合可能なねじ溝を有する一対の固定孔87が設けられている。
また、取付パネル85Aの前面(図2の左下側の面)には、インターロック回路102を構成する一対の電線75がシールドケース84内から引き出されており、これらの電線75の端部には、それぞれインターロック回路側第1コネクタ76およびインターロック回路側第2コネクタ77が接続されている。
(回路側コネクタ11)
回路側コネクタ11は、図11に示すように、一対の雌端子30が絶縁性のハウジング12に収容されてなる。
雌端子30は金属板からなり、前後方向に開口した角筒状の第1端子31内に、相手側端子(後述する接続端子65)に対して上下方向から弾性接触する複数のコンタクト33を有する第2端子32が保持されてなる(図6参照)。第2端子32のうち上壁の後端縁には、連結部34を介して丸端子35が一体的に延出形成されている。これらの丸端子35は、連結部34が上方に向けて屈曲されることによりその板面が前後方向に向けて配されており、給電回路101に接続された一対のバスバー36とボルト37およびナット38の締結により電気的に接続されるとともに、互いに固定されている。
一方、ハウジング12は、上述した雌端子30を内部に収容する一対の端子収容部14を有する箱形のハウジング本体13と、ハウジング本体13に対して後方側から組み付けられるリヤカバー40と、を備えている。
ハウジング本体13(端子収容部14)の前後方向の長さ寸法は、雌端子30の長さ寸法より大きい寸法に設定されている。また、ハウジング本体13の上壁13Aは、その後端面が下壁13Cの後端面よりやや前方側に配されるように、長さ寸法がやや小さく設定されている。一対の端子収容部14の間には、端子収容部14に沿って前後方向に延びて、後述するサービスプラグ50の一対の姿勢保持片60を受け入れる姿勢保持孔15が形成されている(図9参照)。
ハウジング本体13の上壁13Aには、ハウジング本体13の幅方向(左右方向)の全体において上方に向けて垂直に延びる立壁16が設けられている。この立壁16の背面には、前方に向けて僅かに窪んで上述した丸端子35の位置決めを行う一対の丸端子収容部17が、左右方向に並んで設けられている。これらの丸端子収容部17は、その内側に丸端子35が収容された状態において、丸端子35の背面と立壁16の背面とが同一面に配される深さ寸法に設定されている(図6参照)。
また、これらの各丸端子収容部17の中央には、前方に向けて窪んで上述したナット38を収容するナット収容部18が設けられている。さらに各ナット収容部18の中央には、前方に向けて窪んでナット38に締結されたボルト37の先端部を逃がす逃がし凹部19が設けられている。
立壁16の前面うち、一対のナット収容部18の間と、左右の縁部には、立壁16の前面とハウジング本体13の上面を架け渡して立壁16を補強する三角形の板状の補強壁20が設けられている。また、立壁16の背面のうち一対の丸端子収容部17の間には、上下方向において後方に向けて延びる隔壁21が設けられており、立壁16の背面に配される一対のバスバー36間を隔てている。
なお、一対のバスバー36は給電回路101の一部を構成するものであって、それらの板面が立壁16の板面と平行となるように配されている(図7参照)。
この立壁16は、端子収容部14の所定位置に雌端子30が収容された状態において、雌端子30の丸端子35が立壁16の丸端子収容部17内に嵌め入れられる位置に設定されている(図6参照)。
ハウジング本体13の上壁13Aのうち立壁16より後方側には、雌端子30の連結部34を通すための一対のスリット22が、上壁13Aの後端から立壁16まで延びて形成されている(図7参照)。このスリット22の幅寸法は、連結部34の幅寸法と同等あるいは同等より僅かに大きい幅寸法に設定されている。
また、一対の各端子収容部14の下壁のうち幅方向の各中央部には、前後方向に延びるとともに下方側に窪む溝部23が形成されており、この溝部23の底壁が後方に向けて延出されるとともに内側に向けて折り返されることにより、端子収容部14の内部に収容された雌端子30を抜け止めするためのランス24が撓み変形可能に形成されている(図6参照)。
ハウジング本体13の一対の側壁13Bの後端付近には、外側に向けて突出する第1係止突部25が設けられている。また、ハウジング本体13の下壁13Cのうち、幅方向の中央部よりやや右寄りかつ後端付近には、下方に向けて突出する第2係止突部26が設けられている(図5および図8参照)。これら第1係止突部25および第2係止突部26は、後述するリヤカバー40を係止するためのものである。
さらに、ハウジング本体13の一対の側壁13Bの下端には、左右方向に延びる固定片27が形成されており、これらの固定片27に、回路側コネクタ11を図示しない台座部に固定するための固定孔28が設けられている。
リヤカバー40は、ハウジング本体13の端子収容部14を後方側から塞ぐものであって、長方形の板状をなすカバー本体41の左右の両端部に、前方に向けてU字形状に延びる第1係止片42が設けられている。また、カバー本体41の下端縁うち、幅方向の中央部よりやや右寄りには、前方に向けてU字形状に延びる第2係止片43が設けられている(図5および図8参照)。
リヤカバー40は、これら一対の第1係止片42および第2係止片43をそれぞれハウジング本体13の第1係止突部25および第2係止突部26に係止することにより、ハウジング本体13に対して固定される。
カバー本体41の前面には、端子収容部14内に挿入されて雌端子30(第2端子32)の後端面に当接し、雌端子30の抜け止めを行う2対(合計4つ)の抜止壁44が、前方に向けて延びるように設けられている(図9参照)。これらの抜止壁44の下端には、各一対の抜止壁44の間を架け渡して抜止壁44の変形を抑制する補助壁45が設けられている。また、カバー本体41の上端縁からは、前方に向けて延びてスリット22を塞ぐ保護壁46が設けられている。
(サービスプラグ50)
サービスプラグ50は、図12ないし図16に示すように、合成樹脂製のハウジング本体51(絶縁部の一例)と、ハウジング本体51の内部に一部が収容されたU字形状の金属板からなる接続端子65と、合成樹脂製のリヤカバー70(絶縁部の一例)とを備えて構成されている。
接続端子65は金属板材をU字形状に打ち抜き加工することにより形成されており、その一対の両端部が相手側端子(雌端子30)と接続される接続部66とされ、これら一対の接続部66の間が連結部67とされている。一対の接続部66は、その先端側の領域が、幅方向(左右方向)および厚み方向(上下方向)においてともに先細となるように形成されている。以下、接続部66のうち連結部67側の真っ直ぐ延びた部分をストレート部66A、先端側の先細とされている部分を先細部66Bとする。
ハウジング本体51は、接続端子65の連結部67を内部に収容可能な収容部52を有する扁平な箱形をなしており、後方側に向けて開口している。また、前壁51Aには、一対の接続部66を貫通可能なスリット状の端子貫通孔53が左右方向に並んで一対設けられている。接続端子65の一対の接続部66は、これらの端子貫通孔53を貫通してハウジング本体51から前方に向けて突出している(図9参照)。
ハウジング本体51(収容部52)の上壁および下壁のうち、幅方向(左右方向)における両端部付近には、後述するリヤカバー70の被係止部73を内部に嵌め入れる受け溝54が、上方および下方に向けて窪んで、かつ、前後方向に延びて設けられている(合計4本)。各受け溝54の底壁には、それらの後端縁から前方に向けて延びるスリット55がそれぞれ一対設けられており、これら一対のスリット55により、底壁の後端部付近は上下方向に弾性変形可能な弾性係止片56とされている。各弾性係止片56の後端部には、収容部52の内側に向けて突出する係止突部56Aが設けられている。
また、図15に示すように、ハウジング本体51の上壁および下壁の後端縁うち並んで配された一対の受け溝54の間の領域は、前方に向けてコ字形状にわずかに切り欠かれており、この切り欠かれた領域の縁部に、上方および下方に向けて延びる一対の板状の把持部57が立設されている。把持部57の前面うち左右の縁部には、ハウジング本体51の上面と架け渡して把持部57を補強する三角形の板状の補強壁58が設けられている。また、把持部57の背面のうち左右の縁部には、後方に向けて突出する補強リブ59が設けられている。
ハウジング本体51の上面および下面における幅方向の中央部かつ前端部からは、前方に向けて延びる一対の板状の姿勢保持片60が延出されている(図5参照)。これらの姿勢保持片60は、上述した回路側コネクタ11の姿勢保持孔15内に進入して、サービスプラグ50の回路側コネクタ11に対する嵌合姿勢を保持するためのものである。
また、ハウジング本体51の上壁および下壁のうち、一対の補強壁58の間には、それぞれ、把持部57の前面から前方に向けて延びる一対の突当リブ61が設けられている(合計4本)。これらの突当リブ61は、姿勢保持片60の左右の縁部に沿う位置に設けられており、上壁および下壁の前端面よりやや前方まで突出している。これらの突当リブ61の上壁および下壁からの突出寸法は、サービスプラグ50が回路側コネクタ11と正規の嵌合状態とされた際に、回路側コネクタ11の前面に当接する寸法に設定されている(図5参照)。
図12に示すように、リヤカバー70はハウジング本体51の収容部52を後方側から塞ぐものであって、横長の矩形をなすカバー本体71の両端部に、一対の係止部72が設けられている。カバー本体71の両端部付近は前方に向けてやや湾曲されており、接続端子65の連結部67の背面にぴったり沿う形状とされている。
一対の係止部72は、被係止部73と係止片74とから構成されている。被係止部73は、カバー本体71の両端部から上下方向に向けて突出する板状をなしている。これらの被係止部73は、ハウジング本体51の受け溝54内に嵌め入れられるとともに係止突部56Aに係止される突出寸法、および、幅寸法に設定されている。
また、被係止部73の外側には、前方に向けて延びるそれぞれ一対の係止片74(合計4つ)が設けられている。係止片74は、接続端子65の連結部67の背面にぴったり沿う略三角形状の板状部材であり、それらの板面を上下方向に向けて互いに対向するように配されている。
リヤカバー70は、一対の被係止部73がハウジング本体51の受け溝54内に挿入され、係止突部56Aに係止されるとともに、係止片74が収容部52の上壁および下壁に摺接することにより、ハウジング本体51に対して固定される。
このような構成のサービスプラグ50が上述した回路側コネクタ11に嵌合されると、接続端子65と雌端子30とが接続され、給電回路101が閉じられる。また、サービスプラグ50が回路側コネクタ11から離脱されると、両端子65,30が非接続状態となって、給電回路101が開かれる。
従って、電気系統のメンテナンスを実施するような場合には、サービスプラグ50を回路側コネクタ11から離脱させることによって給電回路101を開いた状態として、作業を行う。
ところで、給電回路101に電力が供給された通電状態でサービスプラグ50を回路側コネクタ11から取り外すと、雌端子30と接続端子65との間でアーク放電が発生する虞がある。このため、本実施形態においては、給電回路101を開く前に給電回路101を非通電状態とする手段として、インターロック回路102が設けられている。
インターロック回路102(検知回路の一例)は、図33ないし図35に示すように、給電回路101から分岐されて設けられており、給電回路101の経路上に設けられたインターロックスイッチ105とともにリレー回路107を構成するリレーコイル106と、リレーコイル106と直列に設けられる検知電線80(検知回路の一部)とを備えてなる。
本実施形態においてインターロック回路102は、検知電線80により、通電可能な状態に閉じられたり、非通電状態に開かれたりするようになっている。以下に詳細に説明する。リレー回路107において、検知電線80がインターロック回路側第1コネクタ76およびインターロック回路側第2コネクタ77に接続されている状態においては、インターロック回路102には電流が流れている。すなわち、リレーコイル106には電流が流れていることになる。この結果、インターロックスイッチ105はオン状態とされ、給電回路101が閉じられる(図33参照)。
一方、リレー回路107において、検知電線80がインターロック回路側第1コネクタ76およびインターロック回路側第2コネクタ77に接続されていない状態においては、インターリック回路102に電流が流れていない。すなわち、リレーコイル106には電流が流れていない。この結果、インターロックスイッチ105はオフ状態とされ、給電回路101が開かれるようになっている(図34参照)。
(検知電線80)
検知電線80は、両端部に検知電線側第1コネクタ81および検知電線側第2コネクタ82が連結されており、これら検知電線側第1コネクタ81および検知電線側第2コネクタ82がインターロック回路側第1コネクタ76およびインターロック回路側第2コネクタ77に着脱されることにより、インターロック回路102がオン・オフされるようになっている。また、その長さ方向における中央部を合成樹脂製の保持部材90により保持された状態で保持部材90を取付パネル85Aに取り付けることにより、サービスプラグ50の背面に沿うように配されている。換言すると、検知電線80はサービスプラグ50の後方側(サービスプラグ50を回路側コネクタ11(給電回路101)から抜く方向側)においてサービスプラグ50にオーバーラップするように配されている。
(保持部材90)
保持部材90は合成樹脂材からなり、例えば図1ないし図3に示すように、サービスプラグ50が回路側コネクタ11と嵌合した状態において、サービスプラグ50のうちシールドケース84の外側に露出している部分全体(ハウジング本体51およびリヤカバー70)を後方側から覆う箱形の被覆部91と、被覆部91の上下の縁部から上下方向に延出されて取付パネル85Aの前面に重ね合わされる一対の固定壁92とを備えている。被覆部91の左右の側壁は固定壁92の縁部に沿って三角形状に延出されており、固定壁92を補強する補強壁93が形成されている。
被覆部91のうち幅方向(左右方向)の中央部には、上下方向に延びるとともに前方側(図1の右斜め上)に向けて窪む溝部94が設けられている。溝部94の底部94Aの前面(取付パネル85A側の面)は、保持部材90が取付パネル85Aに取り付けられた状態において、回路側コネクタ11に嵌合されたサービスプラグ50の背面に重ねられる位置に設定されており、これにより、サービスプラグ50は抜け止め状態にロックされている(図5参照)。
溝部94の底部94Aのうち高さ方向の中央部には、溝部94内に配された検知電線80を挟持する一対の挟持部95が設けられている。また、一対の挟持部95の上方および下方には、同じく検知電線80を引っ掛けて保持する引掛部96が設けられている。検知電線80は、これら挟持部95および引掛部96により、溝部94内に保持されるようになっている。
固定壁92の中央部には、保持部材90を取付パネル85Aに固定するための固定ボルト48を貫通させる固定孔97が形成されている。これらの固定孔97の周囲は、固定孔97を形成する周壁97A(固定部の一例)および周壁97Aの外側に等間隔(120度毎)かつ放射状に設けられた3つの連結部98を残して一定領域が打ち抜かれている。すなわち、周壁97Aの周囲は、その他の周辺領域よりも機械的強度が弱くなっている(脆弱部の一例)。
また、一対の各固定壁92の上下方向に延びる側縁部のうち一方側の側縁部から対向する側縁部に向けて、バールを挿入可能な引掛凹部99が形成されている。これら引掛凹部99は、固定壁92の前面から後方側に向けて凹状に窪むように形成されており、補強壁93の前端縁をコ字形状に切り欠くことにより、保持部材90が取付パネル85Aに取り付けられた状態において、横方向に向けて開口する構成とされている。換言すると、補強壁93の側方から内側に向けてバールを挿入可能とされている。また、開口側から固定壁92の中央側に向けて徐々に空間が狭まるように、底部が傾斜状とされている。一対の引掛凹部99は、保持部材90の対角に位置するように、すなわち、上側の固定壁92の左側と、下側の固定壁92の右側に設けられている。
上述した検知電線80は、図1に示すように、その長さ方向の中央付近が保持部材90の溝部94内に保持されており、これにより、溝部94の底部94Aを介してサービスプラグ50の一対の把持部57の背面に沿うように、すなわち、サービスプラグ50のうち当該サービスプラグ50を回路側コネクタ11(給電回路101)から抜く方向側にオーバーラップするように配されている。また、その両端部に設けられた検知電線側第1コネクタ81および検知電線側第2コネクタ82は、インターロック回路側第1コネクタ76およびインターロック回路側第2コネクタ77に接続されている。これにより、インターロック回路102が閉じられ(図33参照)、給電回路101が通電可能な状態とされている。
このような組み付け状態において、検知電線80は、サービスプラグ50の挿抜方向から見て取付パネル85Aの開口部86をほぼ二等分割するように配されている。換言すると、検知電線80は、サービスプラグ50の挿抜方向についてのハウジング本体51の投影面積を分割するように配されている。
また検知電線80は、サービスプラグ50を回路側コネクタ11から取り外す際に通過が必要な要通過経路Mと垂直に交差するように配されている。なお交差するとは、十文字やすじかいに交わることを言う。
要通過経路Mは、サービスプラグ50を、回路側コネクタ11と嵌合した状態から回路側コネクタ11から完全に離脱した状態に移動させる際に必ず通過する経路のことであって、具体的には、サービスプラグ50の背面を、接続端子65の雌端子30との嵌合深さ寸法だけ後方に向けて移動させた際の三次元の移動空間を指している。
より詳細には、図15および図16に示すように、接続端子65の接続部66うちハウジング本体51の前面(図15における上側、図16における右側の面)から突出しているストレート部66Aの長さ寸法をL1、先細部66Bの長さ寸法をL2とすると、サービスプラグ50は、回路側コネクタ11から少なくともストレート部66Aが離脱するまで(距離L1)は、図17および図19に示すように正規の姿勢で引き抜かれ、その後、先細部66Bが離脱するまで(距離L2)の間は、図17ないし図20に示すように、上下および左右方向について接続部66の軸に対する先細部66Bの傾斜角度の分だけ正規の姿勢から斜め方向に傾斜可能な範囲(遊び)を有して引き抜かれる。
従って本実施形態における要通過経路Mは、サービスプラグ50の背面が後方に向けて距離L1だけ接続部66の軸方向に沿って移動する際に通過する空間m1と、その後、同じく後方に向けて距離L2だけ軸方向に沿って移動する際に通過する空間から斜め方向に傾斜した際に通らない空間を除外した残りの空間m2と、の和(m1+m2)を指している。
(作用および効果)
本実施形態の電源装置10は以上のような構成であって、次に作用および効果を説明する。
図1に示すように電源装置10が組み付けられた通常の状態において、検知電線80は、保持部材90の溝部94の底部94Aを介してサービスプラグ50の一対の把持部57の背面に沿うように配されている。すなわち、検知電線80は、サービスプラグ50の後方側(サービスプラグ50を回路側コネクタ11(給電回路101)から抜く方向側)においてサービスプラグ50のハウジング本体51およびリヤカバー70にオーバーラップするように配されている(図5および図9参照)。なおかつ検知電線80は、サービスプラグ50の挿抜方向から見て、取付パネル85Aの開口部86をほぼ二等分割する位置に配されている。よって、シールドケース84内において給電回路101から発生する電磁波のうち、開口部86から外部に漏洩する電磁波の一部を、検知電線80により遮ることができる。
ここで、図21は開口部86の検知電線80によるシールド領域を示す概念図、図22は検知電線80が同領域に配されていない場合の比較図である。同じく、図23および図25は、検知電線80が配された本実施形態の電源装置10のシールド効果の概念を示す右側面図および平面図であり、図24および図26は、検知電線80が同領域に配されていない場合の比較図である。図中波形の矢印は電磁波を示しており、検知電線80が配された本実施形態の電源装置10(図21、図23、図25)においてシールドケース84の開口部86から外部に漏洩する電磁波の量は、検知電線80が配されていない図22、図24、図26に示す電源装置のそれと比較して、少なくなっている。
なお、検知電線80が配された本実施形態の電源装置10において、開口部86のうち検知電線80が配されていない領域からは電磁波が漏洩しているが、上述したように、漏洩する電磁波の一部が検知電線80により遮られ、その結果シールドケース84の外部において検出される電磁波の値が国際非電離放射線防護委員会の基準をはじめとする各国法規の基準の範囲内となれば、さらに開口部86を塞ぐシールド用のケースカバーを設ける等の対策は必要がない。すなわち、簡易な構成の電源装置10とすることができる。
また本実施形態においては、従来サービスプラグに一体に設けていたインターロック回路を、サービスプラグ50の背面側にオーバーラップさせる構成とすることにより、サービスプラグ50自体を簡素化および小型化することができる。従って、サービスプラグ50の挿抜作業を行うための開口部86の大きさそのものを従来と比較して小さく設定することが可能となり、このことによっても、開口部86から漏洩する電磁波の量を抑えることができる。
これらの構成により、開口部86からの電磁波の漏洩量が低減され、その結果、電磁波の値を基準の範囲内におさめ易くなり、基準の範囲内におさまった場合には、シールド用のケースカバー等が不要となる。
しかも、検知電線80は保持部材90により所定位置に確実に保持されているから、検知電線80が開口部86からずれて、開口部86の検知電線80によるシールド効果が損なわれることが抑制される。
この通常の状態から電気系統のメンテナンスを実施する場合には、まず、検知電線80の検知電線側第1コネクタ81および検知電線側第2コネクタ82と、インターロック回路側第1コネクタ76およびインターロック回路側第2コネクタ77との嵌合を解除し、検知電線80をインターロック回路102に対して非接続状態とする。すると、図34に示すように、リレーコイル106の電流がオフ状態となり、これに伴って、インターロックスイッチ105がオフとなる。すなわち、給電回路101がオフ状態となり、電源回路100が完全に非通電状態とされる。
次に、保持部材90の固定ボルト48を外し、保持部材90を取付パネル85Aから取り外す。この時、検知電線80を先に保持部材90から取り外し(図27参照)、その後、保持部材90を取付パネル85Aから取り外してもよい(図28参照)し、検知電線80を保持部材90に保持したままの状態で両者を一括して取付パネル85Aから取り外してもよい。そして、露出されたサービスプラグ50の一対の把持部57を手で掴んでサービスプラグ50を引っ張り、図29に示すように、回路側コネクタ11から取り外す(離脱させる)。
この時、仮に給電回路101が未だ閉じた状態(通電状態)とされている場合には、雌端子30と接続端子65との間でアーク放電が発生する虞がある。しかし本実施形態によれば、検知電線80はサービスプラグ50の取り外し操作の邪魔になるようにサービスプラグ50の要通過経路Mと交差しており、サービスプラグ50を回路側コネクタ11から離脱させる以前に、検知電線80を取り外さざるを得ないようになっている。
すなわち、サービスプラグ50を取り外す前に誤って検知電線80を外し忘れることがなく、給電回路101はインターロック回路102により確実に非通電状態とされる。よって、サービスプラグ50を回路側コネクタ11から離脱させる際に、アーク放電が発生することがなく、安全性が確保される。
しかも、上述したように、検知電線80はサービスプラグ50の要通過経路Mと交差するように配するだけでよいから、例えば従来のようにサービスプラグ50にインターロック回路102を一体化させる等、複雑な構成が不要となり、サービスプラグ50ひいては電源装置10の全体の構成を小型化、簡素化することができる。
また、検知電線80はコネクタの嵌合によりインターロック回路102に着脱される構成とされているから、着脱作業が容易であるとともに、繰り返し使用することができる。
さらに、検知電線80を保持部材90によりサービスプラグ50の要通過経路M上に保持する構成であるから、検知電線80は要通過経路M上からずれ難く、より高い安全性が確保される。
一方、レスキュー作業を行う場合には、上述したように順に取り外すのではなく、保持部材90の引掛凹部99にバール等を挿入し、てこの原理を利用して、保持部材90を取付パネル85Aから離れる方向に傾ける。すると、保持部材90の連結部98が比較的簡単に破壊され、他の周辺領域から切り離されるため、保持部材90が取付パネル85Aから離脱する。またこれに伴い、保持部材90に保持されている検知電線80が強い力で引っ張られ、破断する。
あるいは、図30に示すように、先に検知電線80を強く引っ張ることにより破断させたり、ニッパ等で切断して取り外し、その後、保持部材90を上記と同様に破壊して取り外してもよい(図31参照)。
このように検知電線80が破断あるいは切断することにより、検知電線80とインターロック回路102とが非接続状態とされる。これにより、リレーコイル106の電流がオフ状態となり、これに伴って、インターロックスイッチ105がオフとなる。すなわち、給電回路101がオフ状態となり、電源回路100が完全に非通電状態とされる(図35参照)。
次に、露出したサービスプラグ50を一対の把持部57を掴んで引っ張り、回路側コネクタ11から取り外す(図32参照)。この時、給電回路101はインターロック回路102により確実に非通電状態とされているから、アーク放電は発生することがなく、安全性が確保されている。
このように、レスキュー作業の際には、連結部98を破壊することにより保持部材90を容易に取り外すことができるから、作業を迅速に行うことができる。
以上のように、本実施形態によれば、シールド性を有するとともに、簡易な構成の電源装置10を得ることができる。また、メンテナンス時およびレスキュー作業時のいずれの場合においても、サービスプラグ50を確実に安全な状態で回路側コネクタ11から取り外すことができる。
<実施形態2>
実施形態2について、図36〜図57を参照して説明する。以下の説明においては、相手側ハウジングとの嵌合方向を前方、嵌合離脱方向を後方、また、図36の上方を上方、下方を下方、左斜め上方を左、右斜め下方を右として説明する。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。さらに、実施形態1と重複する部分については説明を省略し、同符号を用いることとする。
実施形態2の電源装置110は、サービスプラグ130(プラグの一例)と検知電線150(検知回路の一部)と、を備えて構成されており、サービスプラグ130は車両側ハウジング112に対して挿抜される。
車両側ハウジング112は図示しないシールドケースの一部を構成する金属製であって、図36に示すように、略矩形状の枠体113と、枠体113の前面を覆う板状のフロントパネル115とを備えている。枠体113の上端縁および下端縁からは、後方側に向けて板状の上壁113Aおよび下壁113Bが延出されており、上壁113Aの上面および下壁113Bの下面に、後述する丸端子151、171を固定するための端子台114が設けられている。端子台114には、ボルト123と螺合可能なねじ孔114Aが設けられている(図50参照)。
フロントパネル115は、その四隅において、丸ねじ116およびナット117により枠体113に対して固定されている。また、枠体113およびフロントパネル115の高さ方向の中央部は、幅方向の全域に亘って後方側に窪んだ窪み部113C,115Aとされている。
フロントパネル115の中央部には、サービスプラグ130を通過可能な縦長の開口部118が設けられている。開口部118はサービスプラグ130の外径とほぼ同等の開口寸法とされている。開口部118は、フロントパネル115の窪み部115Aからその上方および下方にまたがって設けられている。
また、フロントパネル115の窪み部115Aには、開口部118を挟んで、一対の矩形のクリップ用固定孔119が左右方向に並んで設けられており、後述する固定部材157の軸部157Aを貫通可能としている(図50参照)。
フロントパネル115の後方側には、図38ないし図43に示すように、給電回路101(強電回路の一例)を構成する一対の長方形状のバスバー120、121が配されている。これらの一対のバスバー120、121は、上下方向に一列に並んで、かつ、それらの板面がフロントパネル115の板面に対して垂直となるように配されている。これらのバスバー120、121のうち一方側(本実施形態では上側)は、電源回路100の電源103側に接続された電源側バスバー120であり、他方側(同じく下側)は、負荷104側に接続された負荷側バスバー121である。
電源側バスバー120および負荷側バスバー121のうち互いに隣り合う端部付近には、図39に示すように、中継端子用固定孔120A、121Aが設けられており、これらの中継端子用固定孔120A,121Aのそれぞれに、中継端子122がボルト123およびナット124により締結されている。
中継端子122は、例えば図41に示すように、一対の長方形状の金属板122Aを重ね合わせてなるとともに、一端側にバスバー用固定孔122Bを備えており、これら一対の金属板122Aの間に電源側バスバー120または負荷側バスバー121を挟持するとともに、各固定孔(中継端子用固定孔120Aまたは121A,および、バスバー用固定孔122B)を重ね合わせてボルト123およびナット124を締結することにより、電源側バスバー120または負荷側バスバー121に電気的に接続されつつ固定されている。中継端子122(一対の金属板122A)の他端側は、バスバー用固定孔122Bから前方側に向けて延びており、その先端縁は、フロントパネル115の開口部118付近まで延びている。
また中継端子122の前後方向における中央部にも、ボルト123を貫通させるための貫通孔122Cが設けられており、これらの貫通孔122Cにおいてボルト123およびナット124が締結されている。一方、中継端子122の先端側はボルト締結されておらず、一対の金属板122Aの間に後述する接続端子141を挟持可能としている。
一方、サービスプラグ130は、図55に示すように、合成樹脂製のハウジング本体131(絶縁部の一例)と、ハウジング本体131の内部に収容された長方形の金属板材からなる接続端子141と、合成樹脂製のリヤカバー142(絶縁部の一例)とを備えている。
ハウジング本体131は、接続端子141を内部に収容可能な端子収容部132(図39参照)を有する扁平な箱形をなしており、その背面133(図55における左斜め下方側)に、接続端子141を端子収容部132内に挿入可能なスリット状の第1開口部134が設けられている。また、図39に示すように、前壁138には端子収容部132内に中継端子122を挿入可能な第2開口部139が、上下方向に並んで一対設けられている。これらの第2開口部139の縁部は、図38および図55に示すように、ハウジング本体131の左右の側壁137を後方側に向けて円弧状に切り欠いた形状(切欠部140とする)とされている。
さらにハウジング本体131の背面133の上下方向における中央部からは、図55に示すように、第1開口部134をはさんで一対の把持部135が後方に向けて突出して設けられている。把持部135は、ハウジング本体131の左右の側壁137に沿って延出された台形状の縦壁135Aと、縦壁135Aの縁部から外側(左右方向)に向けて立設された立壁135Bとを備えている。立壁135Bのうち、上下方向に延びる一対の壁の外側の縁部には、後述するクリップ152の係止片153Aを係止可能な矩形の切欠部135B1が1つずつ形成されている。
第1開口部134の上下方向に延びる一対の縁部のうち、把持部135を挟んで上側および下側には、後方に向けて延出されるとともに先端部を内側に向けて屈曲させた係止片136が設けられており、これら係止片136により後述するリヤカバー142を係止するようになっている。
図55に示すように、リヤカバー142はハウジング本体131の第1開口部134を後方側から塞ぐものであって、正面視は縦長のI字形状をなしている。その上下方向の中央部には、前方(図55の右上方向)に向けて窪む凹部143が設けられている。凹部143の前面には、ハウジング本体131の端子収容部132内に収容された接続端子141の縁部を嵌め入れるための溝部144が設けられている。また、リヤカバー142がハウジング本体131に取り付けられた状態(第1開口部134を塞いだ状態)において、ハウジング本体131の係止片136に対応する領域は後面の角部が切り欠かれており、係止片136を係止可能な係止部145とされている。
給電回路101は、バッテリ等の電源103に接続された電源側バスバー120と、負荷に接続された負荷側バスバー121とが、中継端子122を介して接続端子141と接続される(図39参照)ことによって、通電可能な状態に閉じられる。また、サービスプラグ130を車両側ハウジング112から離脱させると、接続端子141と、電源側バスバー120および負荷側バスバー121とが非接続状態となり、給電回路101が開いた状態となって、電源103からの電力供給が遮断されるようになっている。
従って、電気系統のメンテナンスを実施するような場合には、サービスプラグ130を車両側ハウジング112から離脱させることによって給電回路101を開いた状態として、メンテナンスを実施する。
本実施形態においても、上記実施形態1と同様に、給電回路101を開く前に給電回路101を非通電状態とする手段として、インターロック回路102が設けられている。
インターロック回路102を構成する検知電線150は、図36に示すように、接続状態において、サービスプラグ130の背面133付近(車両側ハウジング112の前面側)に配されている。検知電線150の両端部には丸端子151が圧着接続されている(図50参照)。
検知電線150は、その長さ方向における中央部を合成樹脂製のクリップ152(保持部材の一例)により保持された状態で、クリップ152を車両側ハウジング112のフロントパネル115に取り付けることにより、サービスプラグ130の背面133付近に保持されるようになっている。
クリップ152は、合成樹脂材からなり、図50に示すように、サービスプラグ130が車両側ハウジング112に嵌合され、給電回路101が閉じられた状態において、サービスプラグ130のうちフロントパネル115の外側(前面側)に露出している部分(把持部135)を後方および側方から覆う略コ字形状の被覆部153と、被覆部153の両側縁から左右方向に延出されて車両側ハウジング112のフロントパネル115の前面に重ね合わされる一対の固定部155とを備えている。
被覆部153のうち幅方向(左右方向)の中央部には、上下方向に延びるとともにサービスプラグ130における前方側(図50の右斜め上)に向けて窪む溝部154が設けられている。この溝部154の内部には、検知電線150が収容可能とされている。また溝部154の開口縁部には、内側に向けて延出されて検知電線150の抜け止めを図るための一対の抜け止め片154Aが設けられている。またこの溝部154は、サービスプラグ130の一対の把持部135の間に収容可能な外形寸法に設定されている(図36および図40参照)。
さらに、被覆部153のうち、フロントパネル115と対向する面の上下方向の中央部には、図42に示すように、溝部154を挟んで一対の係止片153Aがフロントパネル115に向けて延出形成されている。これら係止片153Aは、一対の把持部135の切欠部135B1の縁部と係止可能とされている。係止片153Aが切欠部135B1の縁部に係止することにより、クリップ152のサービスプラグ130に対する上下方向の位置決めがなされるようになっている。
また、一対の固定部155のうち、フロントパネル115のクリップ用固定孔119に対応する位置には、矩形の孔部156が設けられている。これらの孔部156の寸法は、図42および図43に示すように、断面がT字形状とされた固定部材157のうち、角柱状の軸部157Aと左右方向の幅寸法がほぼ同等とされるとともに、上下方向の長さ寸法はやや大きくなるように設定されている。また、上述したフロントパネル115のクリップ用固定孔119は、軸部157Aの外形寸法より一回り大きい孔寸法とされている。
固定部材157は、軸部157Aがクリップ152の孔部156に圧入されるとともに、車両側ハウジング112のフロントパネル115のクリップ用固定孔119に遊動可能な状態で貫通される。これにより、クリップ152は車両側ハウジング112のフロントパネル115に対して、上下左右に若干移動可能な状態で、概ね位置決めされるようになっている。すなわち、若干の組み付け誤差を吸収可能な状態とされている。
検知電線150は、図36に示すように、その長さ方向の中央付近がクリップ152の溝部154内に収容された状態で、サービスプラグ130の一対の把持部135の間かつリヤカバー142の後方側に配されている。すなわち、サービスプラグ130のうち、当該サービスプラグ130を車両側ハウジング112(給電回路101)から抜く方向側にオーバーラップするように配されている。また、その両端部に圧着された丸端子151が、車両側ハウジング112の上壁113Aの上面および下壁113Bの下面に設けられた端子台114に対して、車両側から導出されたインターロック回路102用の電線75の丸端子78とともにボルト123により締結される。これにより、インターロック回路102が通電可能な状態に閉じられ(図33参照)、給電回路101が通電可能な状態とされている。
このような組み付け状態において、検知電線150は、サービスプラグ130の挿抜方向から見てフロントパネル115の開口部118をほぼ二等分割するように配されている。換言すると、検知電線150は、サービスプラグ130の挿抜方向についてのハウジング本体131の投影面積を分割するように配されている。
また検知電線150は、サービスプラグ130を車両側ハウジング112から取り外す際に通過が必要な要通過経路Nと垂直に交差するように配されている。
本実施形態の電源装置110は以上のような構成であって、次に作用および効果を説明する。
電源装置110が組み付けられた通常の状態において、検知電線150は、サービスプラグ130の一対の把持部135の間において、クリップ152を介してリヤカバー142の背面に沿うように配されている。すなわち、サービスプラグ130の後方側(サービスプラグ130を車両側ハウジング112(給電回路101)から抜く方向側)においてサービスプラグ130のリヤカバー70にオーバーラップするように配されている(図39および図42参照)。なおかつ検知電線150は、サービスプラグ130の挿抜方向から見て、フロントパネル115の開口部118をほぼ二等分割する位置に配されている。よって、図示しないシールドケース内において給電回路101から発生する電磁波のうち、開口部118から外部に漏洩する電磁波の一部を、検知電線150により遮ることができる。
図44は開口部118の検知電線150によるシールド領域を示す概念図、図45は検知電線150が同領域に配されていない場合の比較図である。同じく、図46および図48は、検知電線150が配された本実施形態の電源装置110のシールド効果の概念を示す右側面図および平面図であり、図47および図49は、検知電線150が同領域に配されていない場合の比較図である。図中波形の矢印は電磁波を示しており、検知電線150が配された本実施形態の電源装置110(図44、図46、図48)において車両側ハウジング112の開口部118から外部に漏洩する電磁波の量は、検知電線150が配されていない図45、図47、図49に示す電源装置のそれと比較して、少なくなっている。
なお、検知電線150が配された本実施形態の電源装置110において、開口部118のうち検知電線80が配されていない領域からは電磁波が漏洩しているが、上述したように、漏洩する電磁波の一部が検知電線150により遮られ、その結果車両側ハウジング112の外部において検出される電磁波の値が国際非電離放射線防護委員会の基準をはじめとする各国法規の基準の範囲内となれば、さらに開口部118を塞ぐシールド用のケースカバーを設ける等の対策は必要がない。すなわち、簡易な構成の電源装置110とすることができる。
また本実施形態においても、従来サービスプラグに一体に設けていたインターロック回路を、サービスプラグ130の背面側にオーバーラップさせる構成とすることにより、サービスプラグ130自体を簡素化および小型化することができる。従って、サービスプラグ130の挿抜作業を行うための開口部118の大きさそのものを従来と比較して小さく設定することが可能となり、このことによっても、開口部118から漏洩する電磁波の量を抑えることができる。
これらの構成により、開口部118からの電磁波の漏洩量が低減され、その結果、電磁波の値を基準の範囲内におさめ易くなり、基準の範囲内におさまった場合には、シールド用のケースカバー等が不要となる。
しかも、検知電線150はクリップ152により所定位置に確実に保持されているから、検知電線150が開口部118からずれて、開口部118の検知電線150によるシールド効果が損なわれることが抑制される。
電気系統のメンテナンスを実施する場合には、まず、端子台114に締結されているボルト123を取り外し、検知電線150を電源回路100(インターロック回路102)に対して非接続状態とする。すると、図34に示すように、リレーコイル106の電流がオフ状態となり、これに伴って、インターロックスイッチ105がオフとなる。すなわち、給電回路101がオフ状態となり、電源回路100が完全に非通電状態とされる。
次に、クリップ152ごと検知電線150を車両側ハウジング112から離脱させ(図50ないし図52参照)、丸ねじ116を取り外して、枠体113の前面のフロントパネル115を取り外す(図53参照)。そして、中継端子122の貫通孔122Cに締結されている一対のボルト123およびナット124を工具で緩め、サービスプラグ130の一対の把持部135を掴んでサービスプラグ130を引っ張って、図54に示すように、車両側ハウジング112から取り外す(離脱させる)。これにより、接続端子141が中継端子122と離脱した状態とされる。
この時、仮に給電回路101が未だ閉じた状態(通電状態)とされている場合には、接続端子141と中継端子122との間でアーク放電が発生する虞がある。しかし本実施形態によれば、検知電線150はサービスプラグ130の取り外し操作の邪魔になるようにサービスプラグ130の要通過経路Nと交差しており、サービスプラグ130を車両側ハウジング112から離脱させる以前に、検知電線150を取り外さざるを得ないようになっている。
すなわち、サービスプラグ130を取り外す前に誤って検知電線150を外し忘れることがなく、給電回路101はインターロック回路102により確実に非通電状態とされる。よって、サービスプラグ130を車両側ハウジング112から離脱させる際に、アーク放電が発生することがなく、安全性が確保される。
しかも、上述したように、検知電線150はサービスプラグ130の要通過経路Nと交差するように配するだけでよいから、例えばサービスプラグ130にインターロック回路102を一体化させる等、複雑な構成が不要となり、サービスプラグ130ひいては電源装置110の全体の構成を小型化、簡素化することができる。
また、検知電線150をクリップ152によりサービスプラグ130の要通過経路N上に保持する構成であるから、検知電線150が要通過経路N上からずれ難く、より高い安全性が確保される。
一方、レスキュー作業を行う場合には、上述したように順に分解するのではなく、図56に示すように、クリップ152ごと検知電線150を強い力で引っ張って検知電線150を丸端子151から離脱させる(圧着部から引き抜く)か、丸端子151ごと破断させて、検知電線150と電源回路100(インターロック回路102)とを非接続状態とする。これにより、リレーコイル106の電流がオフ状態となり、これに伴って、インターロックスイッチ105がオフとなる。すなわち、給電回路101がオフ状態となり、電源回路100が完全に非通電状態とされる(図34参照)。
次に、フロントパネル115を装着したまま、サービスプラグ130を一対の把持部135を掴んで強い力で引っ張り、車両側ハウジング112から取り外す(図57参照)。これにより、接続端子141が中継端子122と離脱状態とされる。
この時、給電回路101はインターロック回路102により確実に非通電状態とされているから、アーク放電は発生することがなく、安全性が確保されている。
このように、検知電線150の端部を丸端子151に接続する構成としたことにより、電源装置110を簡易な構成とすることができるとともに、レスキュー作業の際に接続部を容易に破断することが可能となる。
<実施形態3>
次に、実施形態3について図58ないし図60を参照して説明する。本実施形態の電源装置160は、実施形態2のクリップ152を省略した部分が上記実施形態2と相違する。以下において、実施形態2と重複する部分については説明を省略し、同符号を用いることとする。
本実施形態の電源装置160においては、検知電線150は、サービスプラグ130の一対の把持部135の間に直接配される。また、検知電線150を取り外す場合には、単に、丸端子151のボルト123を外して、サービスプラグ130の要通過経路N上から取り除くだけでよい。
このような構成によれば、メンテナンス時の取り扱いがより容易となる。また、部品点数が少なく、構成をより簡略化できるため、製造コストをより抑えることができる。
<実施形態4>
次に、実施形態4の電源装置170について図61ないし図64を参照して説明する。以下において、実施形態2および3と重複する部分については説明を省略し、同符号を用いることとする。
本実施形態の電源回路200における電源203は、図63に示すように、複数の単電池203Aを接続してなる電池モジュールからなり、電源装置170は、電池モジュール(電源203)のうち一の単電池203A1と、この一の単電池203A1と隣り合う単電池203A2との間に設けられるものである。
本実施形態における電源装置170の基本的構成は、上記実施形態3と同様であるが、車両側ハウジング112Aが合成樹脂製とされるとともに全体がシールドケース190内に収容された形態をなしており、シールドケース190に設けられた開口191を通してサービスプラグ130が挿抜されるようになっている点が相違している。シールドケース190は、車体Cに対して電気的に接続されている(図63参照)。
また、図62に示すように、車両側ハウジング112Aに端子台114が設けられておらず、一の単電池203A1から導出されたインターロック回路用の電線175の端部はインターロック回路側コネクタ176に接続されてこのインターロック回路側コネクタ176がシールドケース190に固定されるとともに、インターロック回路202の負荷側につながる電線が設けられていない点が、上記実施形態3とは異なる。
より詳細に説明すると、シールドケース190には、図61に示すように、サービスプラグ130を通過可能な寸法の長方形状の開口191が設けられている。この開口191の開口寸法は、幅方向(左右方向)においては、合成樹脂製のフロントパネル115の開口部118の寸法よりやや大きい寸法とされており、縦方向(上下方向)においては、フロントパネル115の開口部118の寸法とほぼ同等の寸法とされている。
またシールドケース190のうち、開口191の上方には、上述したインターロック回路側コネクタ176がその嵌合部をシールドケース190の外側に向けて固定されているとともに、下方には、ボルト123を締結可能な固定孔192が設けられている(図62参照)。
一方、検知電線180はその一方側の端部に、インターロック回路側コネクタ176と嵌合可能な検知電線側コネクタ181を有するとともに、他方側の端部に丸端子182が圧着接続されている。
サービスプラグ130は、シールドケース190の開口191を通してシールドケース190内に配された車両側ハウジング112Aの開口部118内に嵌合される。サービスプラグ130は、車両側ハウジング112Aに嵌合された状態において、全体がシールドケース190内に収容されている(図62参照)。
そして検知電線180は、一端側に設けられた検知電線側コネクタ181がシールドケース190に固定されたインターロック回路側コネクタ176と嵌合されるとともに、他端側に設けられた丸端子182がシールドケース190の固定孔192と重ねられてボルト123およびナット124によりシールドケース190に電気的に接続されている。
このように検知電線180がシールドケース190に対して固定された状態においては、検知電線180はシールドケース190の開口191を二等分割するように配されて、その一部を塞いでいる(図61参照)。換言すると、開口191はその一部が検知電線180によりシールドされた状態とされている。すなわち、シールドケース190内で発生し、開口191から漏洩する電磁波の一部は、検知電線180により遮られ、もって、開口191からの電磁波の漏洩量を低減させることができる。
なおこの状態において、開口191のうち検知電線180が配されていない領域からは電磁波が漏洩しているが、電磁波の値が基準の範囲内であれば、例えばさらにシールド用のケースカバーを設ける等の対策は必要がない。しかも、本実施形態のサービスプラグ130はレバー等を備えておらず、簡易な構成であるため、開口191の大きさそのものが従来と比較して小さく設定されている。よって、開口191からの電磁波の漏洩量が低減され、その結果電磁波の値が基準の範囲内におさまった場合には、シールド用のケースカバー等は不要となる。
また、本実施形態においても、上記実施形態と同様に、検知電線180はサービスプラグ130の要通過経路を遮るように配されている。すなわち、サービスプラグ130は車両側ハウジング112Aから離脱される際には開口191を通過せざるを得ないが、開口191には検知電線180が横切るように配されているから、サービスプラグ130を車両側ハウジング112Aから離脱させる以前に、検知電線180を取り外さざるを得ない構成とされている。従って、サービスプラグ130を取り外す前に誤って検知電線180を外し忘れることがなく、作業の安全性を確保することができる。
また、検知電線180はサービスプラグ130の要通過経路と交差するように配するだけでよいから、例えばサービスプラグ130にインターロック回路202を一体化させる等、複雑な構成が不要となり、サービスプラグ130および電源装置170の全体の構成を小型化、簡素化することができる。
さらに、検知電線180の他端はシールドケース190に接続する構成としたから、インターロック回路202を構成する電線175の一部を省略することができ、より簡易な構成とすることができる。
<実施形態5>
次に、実施形態5の電源装置210について図65および図66を参照して説明する。
上記実施形態1ないし4の電源装置10、110、160、170は、いずれも給電回路101、201(強電回路)から発生する電磁波の大部分をシールド用のケース(シールドケース84、車両側ハウジング112、シールドケース190)により一括に遮蔽する構成であったのに対し、本実施形態の電源装置210は、給電回路101(強電回路)の電源103や回路側のコネクタ211、給電回路101を構成する電線212等を個別にシールドカバー213で被覆することにより、それぞれの構成部材から発生する電磁波を個々に遮蔽する構成としたものである(図65参照)。なお、サービスプラグ214にはシールドカバーは設けられてない。
また本実施形態では、給電回路101のうちサービスプラグ214が挿抜されるコネクタ211を含む領域を、シールド性を有さない合成樹脂製のケース217内に収容することにより保護し、ケース217に設けられた開口218を通して給電回路101に対してサービスプラグ214を挿抜する構成とされている。また、インターロック回路202を構成する検知電線216は、サービスプラグ214の絶縁部215の抜く方向側にオーバーラップするように、開口218を横切って架け渡されている。
このような本実施形態の電源装置210によれば、サービスプラグ214から発生する電磁波のうち、絶縁部215の抜く方向側に向けて発生する電磁波の一部を、ケース217の開口218を横切るように架け渡された検知電線216(検知回路)により遮蔽することができる。
図65は、検知電線216が配された本実施形態の電源装置210のシールド効果の概念を示す平面図であり、図66は、検知電線216が同領域に配されていない場合の比較図である。検知電線216が配された本実施形態の電源装置210においてサービスプラグ214から絶縁部215の抜く方向側に発生する電磁波の量は、検知電線216が配されていない図66に示す電源装置のそれと比較して、少なくなっている。
そして、このように電磁波の一部が検知電線216により遮蔽され、サービスプラグ214から発生する電磁波の強さが所定の地点において基準の範囲内に収められた場合には、サービスプラグ214をシールドカバーで被覆する必要がなくなるから、電源装置210全体の構成を簡素化することができる。
また、本実施形態においても、上記実施形態と同様に、検知電線216はサービスプラグ214の要通過経路、すなわち、開口218を横切るように配されているから、サービスプラグ214を回路側のコネクタ211から離脱させる以前に誤って検知電線216を外し忘れることがなく、作業の安全性を確保することができる。
<他の実施形態>
本明細書に開示した技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も含まれる。
(1)上記実施形態では、検知回路としてインターロック回路102、202を例示したが、検知回路はインターロック回路に限らず、プラグの強電回路に対する挿抜状態を検出して、その信号を視覚や音で示したり強電回路のオンオフを行う制御装置に送信するもの等であってもよい。
(2)上記実施形態では、検知回路(インターロック回路102、202)を構成する部材として検知電線80、150、180、216を使用する例を示したが、例えば、フレキシブル基板、フレキシブルプリント基板、フラット電線等の扁平な導電部材220を使用してもよい。このような構成とすると、サービスプラグ50、130、214がその取り外し方向側に向けて発生する電磁波へのシールド効果をより高めることができる。
例えば、図67および図68は、上記実施形態4の電源装置170において、検知電線180の替りに扁平な導電部材220を使用した形態を示している。このような構成とすると、導電部材220によりシールドケース190の開口191を塞ぐ面積を大きくすることができるので、シールド効果をより高めることができる。
(3)上記実施形態1では、検知電線80を、取付パネル85Aの開口部86の短辺方向に沿って配する構成とし、上記実施形態2ないし4では、検知電線150、180を、フロントパネル115の開口部118の長辺方向に沿って配する構成としたが、例えば、対角線上に斜めに配したり、図69に示すように、開口部を複数回横切るように屈曲させつつ配してもよく、要は、サービスプラグの絶縁部の抜く方向側にオーバーラップするように配されていればどのような形態でもよい。
(4)上記実施形態では、いずれも、検知電線80,150,180がサービスプラグ50、130の背面に対してほぼ平行に配される構成を示したが、必ずしも平行に配されてなくてもよく、サービスプラグの挿抜方向から見てサービスプラグの投影面積を分割するように配されていればよい。またその場合も、要通過経路M,Nと垂直または斜めに交差する構成とし、サービスプラグ50、130を取り外す以前に検知電線80,150,180を取り外さざるを得ないようにしておくことが好ましい。
(5)上記実施形態では、検知電線とサービスプラグの絶縁部とが若干の間隔を空けて配される構成を例示したが、検知電線がサービスプラグの絶縁部と直接的に重なる構成としてもよい。
(6)例えば上記実施形態4では、検知電線180の一端側を丸端子182としてシールドケース190に電気的に接続する構成を例示したが、これに限らず、車体Cに直接接続する構成としてもよい。車体Cに直接接続する構成とすると、事故等で車体Cに大きな衝撃が加わった場合に、その衝撃がインターロック回路202(検知電線180)に直に伝えられ、検知電線180が外れて自動的に電源回路200が閉じ易くなる(図70参照)。
(7)上記実施形態では、サービスプラグとして給電回路から物理的に完全に離脱させる構成のものを例示したが、例えば従来のレバー式のサービスプラグのように、電気的な接続のみを遮断し物理的に一部が連結された状態とされるものに本明細書に開示される技術を適用してもよい。その場合でも、サービスプラグを抜く方向側に検知回路をオーバーラップさせておくことにより、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。