JP2017034760A - モータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高調波座標系における干渉電圧による影響を簡易な処理によって抑制する。
【解決手段】モータ電流を調整することで、SRモータ20を制御する制御装置30であって、d軸電流及びq軸電流が指令値となるように、基本波電圧の指令値を設定する基本波指令電圧生成部42aと、dh軸電流及びqh軸電流が、指令値となるように、高調波電圧の指令値である指令電圧を設定する高調波指令電圧生成部42bと、モータ電流を入力とし、モータ電圧を出力とするSRモータ20の逆モデル、及び、高調波成分の実際値に基づいて、高調波成分同士に生じる干渉電圧を含まない高調波電圧の推定電圧を算出するとともに、その推定電圧と指令電圧との偏差に基づいて、干渉電圧を推定する推定部と、干渉電圧に基づいて、指令電圧を補正する補正部と、補正された指令電圧を基本波の座標系に変換し、基本波電圧の指令値に加算する加算部49と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、モータに流れるモータ電流を調整することでモータを制御するモータの制御装置に関する。
主として磁束の歪みに起因して、モータ電流において、基本波成分のn倍(nは2以上の自然数)の周波数を有する高調波成分が生じる。この高調波に起因して、トルクリプルなどの悪影響が生じる。そこで、基本波成分であるd軸電流及びq軸電流と、高調波成分であるdh軸電流及びqh軸電流と、をそれぞれ独立して制御するようにしたモータの制御装置が知られている。
ここで、高調波成分であるdh軸電流とdq軸電流とが互いに干渉し合うことで、干渉電圧が生じ、その干渉電圧によって高調波成分の応答性が悪化する。この干渉電圧による応答性の悪化を抑制するために、dh軸電流及びdq軸電流の指令値と、モータの各種パラメータとを用いて、フィードフォワード的に干渉電圧を推定し、その推定値を用いて、dh軸とdq軸とを非干渉化する方法が提案されている(特許文献1)。なお、モータの各種パラメータとは、モータの抵抗値や、インダクタンス値や、誘起電圧などである。
特許3928575号公報
ここで、高調波座標上で干渉電圧を推定するためには複雑な演算を行うことが必要とされ、実用性が低い。また、モータの抵抗値や、インダクタンス値や、誘起電圧に誤差が生じると、干渉電圧の推定値にも誤差が含まれることとなり、制御の応答性が悪化する。
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、高調波座標系における干渉電圧による影響を簡易な処理によって抑制することを主たる目的とする。
第1の構成は、モータ(20)に流れるモータ電流を調整することで、前記モータを制御するモータの制御装置(30)であって、前記モータ電流の基本波成分であるd軸電流及びq軸電流が所定の指令値となるように、前記モータに印加される基本波電圧の指令値を設定する基本波制御部(42a)と、前記モータ電流の基本波成分のn倍(nは2以上の自然数)の周波数を有する前記モータ電流の高調波成分であるdh軸電流及びqh軸電流が、所定の指令値となるように、前記モータに印加される高調波電圧の指令値である指令電圧を設定する高調波制御部(42b)と、前記モータ電流を入力とし、前記モータに印加されているモータ電圧を出力とする前記モータの逆モデル(53)、及び、前記モータ電流の高調波成分の実際値に基づいて、前記高調波成分同士に生じる干渉電圧を含まない前記高調波電圧の推定電圧を算出するとともに、その推定電圧と前記指令電圧との偏差に基づいて、前記干渉電圧を推定する推定部(60)と、前記推定部により推定された前記干渉電圧に基づいて、前記指令電圧を補正する補正部(56)と、前記補正部により補正された前記指令電圧を基本波の座標系に変換し、前記基本波電圧の指令値に加算する加算部(49)と、を備えることを特徴とする。
上記構成では、モータ電流の高調波成分の実際値及びモータの逆モデルに基づいて、干渉電圧より簡易に算出することが可能な推定電圧を算出する。そして、その推定電圧と指令電圧との偏差に基づいて、干渉電圧を推定する構成とした。このように間接的に干渉電圧を推定する構成とすることで、簡易な処理によって、干渉電圧による影響を抑制することができる。
SRモータの構成を表す断面図。 SRモータを駆動するインバータの電気的構成を表す回路図。 SRモータを制御する制御装置を表す機能ブロック図。 基本波指令電圧生成部を表す機能ブロック図。 高調波指令電圧生成部を表す機能ブロック図。 本実施形態の効果を表すタイミングチャート。
以下、SR(Switched Reluctance)モータの制御装置を具現化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、SRモータは、ハイブリッド車両に搭載された主機モータを想定している。
まず、本実施形態に係るSRモータ20の構成について、図1を参照して説明する。SRモータ20は、径方向に突出する4個の突極21aを有する回転子21と、突極21aと対向する6個の突極22aを有する筒状の固定子22と、固定子22の突極22aに巻回された巻線23〜25と、を有する3相モータとして構成されている。回転子21と固定子22とは、同軸上に配置されている。巻線23,24,25は、それぞれU相、V相、W相を構成している。
次に、SRモータ20の制御に用いられるインバータ10(電力変換回路)について、図2を参照して説明する。インバータ10は、電圧Vdcの直流電源15から入力された入力電力を3相電力に変換して、SRモータ20へ供給する回路である。インバータ10は、U相の電力変換回路、V相の電力変換回路、及びW相の電力変換回路が互いに並列に接続されて構成されている。各相の電力変換回路は同様の構成をしているため、以下、U相の電力変換回路について代表して説明する。
U相の電力変換回路は、スイッチング素子S1u,S2u、及びダイオードD1u〜D4uを含む。スイッチング素子S1u,S2uとしては、IGBTやMOSFET等を採用できる。スイッチング素子S1uは、ダイオードD2uのカソードに直列に接続されている。また、スイッチング素子S2uは、ダイオードD3uのアノードに直列に接続されている。スイッチング素子S1u,S2uには、それぞれダイオードD1u,D4uが並列に接続されている。そして、スイッチング素子S1u及びダイオードD2uの接続点と、スイッチング素子S2u及びダイオードD3uの接続点との間に、巻線23が接続されている。すなわち、U相の電力変換回路は、いわゆるHブリッジ回路、詳しくは非対称Hブリッジ回路となっている。
V相の電力変換回路及びW相の電力変換回路も、同様に非対称Hブリッジ回路となっている。V相の電力変換回路のスイッチング素子S1v,S2vは、スイッチング素子S1u,S2uに対応し、ダイオードD1v〜D4vは、ダイオードD1u〜D4uに対応する。また、W相の電力変換回路のスイッチング素子S1w,S2wは、スイッチング素子S1u,S2uに対応し、ダイオードD1w〜D4wは、ダイオードD1u〜D4uに対応する。
よって、インバータ10は、3個のHブリッジ回路、詳しくは3個の非対称Hブリッジ回路が互いに並列に接続された回路となっている。インバータ10の入力端子間には平滑用コンデンサ16が接続されており、平滑用コンデンサ16に並列に直流電源15が接続される。直流電源15は、例えば、リチウム二次電池等の高圧バッテリであり、直流電源15の電圧Vdcがインバータ10の入力電圧となる。上記のように、インバータ10は各相のHブリッジ回路が並列に接続されて構成されているため、インバータ10を用いてSRモータ20の各相の電圧、電流を独立に制御することができる。
スイッチング素子S1u〜S1w,S2u〜S2wは、制御装置30から送信された操作信号によりオン又はオフされる。スイッチング素子S1u及びS2uをオンにすると、正電圧印加モードとなる。詳しくは、直流電源15の正極側からスイッチング素子S1u、巻線23、スイッチング素子S2uを通る経路で電流が流れ、巻線23に正の電圧Vdcが印加される。また、スイッチング素子S1uをオン及びスイッチング素子S2uをオフにすると、ゼロ電圧印加モードになる。詳しくは、スイッチング素子S1u、巻線23、ダイオードD3uの経路を電流が循環して、巻線23に印加される電圧がゼロになる。同様に、スイッチング素子S1uをオフ及びスイッチング素子S2uをオンにすると、ゼロ電圧印加モードになる。また、スイッチング素子S1u及びS2uをオフにすると、負電圧印加モードになる。詳しくは、直流電源15の負極側からダイオードD2u、巻線23、ダイオードD3uの経路で電流が流れ、巻線23に負の電圧−Vdcが印加される。V相、W相も同様である。
次に、制御装置30について、図3を参照して説明する。制御装置は、SRモータ20に流れるモータ電流を調整することで、モータを制御する。制御装置30は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を備えたマイクロコンピュータである。制御装置30は、CPUがROMに記憶されている各種プログラムを実行することにより、インバータ10の各スイッチング素子に対して操作信号を送信する。また、制御装置30には、電流センサ91(電流検出手段)により検出された検出値、及びレゾルバ92(位置検出手段)により検出された検出値が取り込まれる。電流センサ91は、SRモータ20の巻線23〜25に流れる実電流iu,iv,iwのうち、少なくとも二相の相電流を検出するセンサである。二相の相電流を検出すれば、残りの相電流は算出できる。レゾルバ92は、SRモータ20の回転子21の回転角度θを検出するセンサである。
図3に示すように、制御装置30は、指令電流生成部41、指令電圧生成部42、及びPWM処理部47の機能を備え、SRモータ20を流れる実電流id,iq,i0のフィードバック制御を実施する。
指令電流生成部41の基本波指令電流生成部41aは、指令トルクTr*に基づいて、SRモータ20に流れる電流を指令する回転座標系の指令電流id*,iq*,i0*を生成する。詳しくは、基本波指令電流生成部41aは、指令トルクTr*と指令電流id*,iq*,i0*との対応関係を示すマップを用いて、指令電流id*,iq*,i0*を生成する。
指令電圧生成部42の基本波指令電圧生成部42a(基本波制御部)は、指令電流id*,iq*,i0*と、実電流id,iq,i0との電流偏差Δid,Δiq,Δi0に基づいて、SRモータ20に対する指令電圧vd*,vq*,v0*を算出する。そして、基本波指令電圧生成部42aは、回転角度θを用いて、指令電圧vd*,vq*,v0*を、固定座標系の3相の指令電圧vu*,vv*,vw*(Vr*)に変換する。基本波指令電圧生成部42aによる詳細な制御は後述する。
なお、実電流id,iq,i0は、座標変換部43により算出される。座標変換部43は、回転角度θを用いて、固定座標系の実電流iu,iv,iwを、回転座標系の実電流id,iq,i0に変換する。
PWM処理部47は、算出された指令電圧vu*,vv*,vw*に基づき、PWM制御を行うことで、インバータ10のスイッチング素子をオンオフする操作信号を生成する。
次に、基本波指令電圧生成部42aによる制御について、図4を参照して説明する。SRモータ20のd軸、q軸及び直流成分である零相の電圧方程式は、式(1)で表される。Rは巻線23〜25の巻線抵抗を表す。自己インダクタンスL’dd,L’qq,L’00は、それぞれ鎖交磁束λd,λq,λ0の実電流id,iq,i0による偏微分で定義される。相互インダクタンスLqd,Ldqは、それぞれ鎖交磁束λq,λdの実電流id,iqによる偏微分で定義される。相互インダクタンスL’0q,L’q0は、それぞれ鎖交磁束λ0,λqの実電流iq,i0による偏微分で定義される。相互インダクタンスL’d0,L’0dは、それぞれ鎖交磁束λd,λ0の実電流i0,idによる偏微分で定義される。また、ωは回転角度θの微分により算出される回転角周波数、sはラプラス演算子(微分演算子)を表す。また、ドットは、回転角度θによる偏微分を表す。
Figure 2017034760
式(1)で示すように、d軸とq軸間、d軸及びq軸のそれぞれと零相間に干渉がある。そこで基本波指令電圧生成部42aは、図4に示すような非干渉制御を実施する。非干渉制御は、d軸とq軸との間の互いの干渉、並びに、d軸及びq軸のそれぞれと零相との間の磁気結合による干渉を打消し、d軸側、q軸側、及び零相側で、互いに独立した制御を行うことを可能とするものである。
図4に示すブロック図は、式(1)に基づくものである。SRモータ20内では、ブロック27に示すように、d軸に発生する電圧は、d軸の指令電圧vd*に対して、q軸の実電流iqに比例した干渉電圧−sL’dq・iq、零相の実電流i0に比例した干渉電圧−sL’d0・i0、及び回転角周波数ωに比例した干渉電圧−ω(−λq+λ’d)が重畳した電圧となる。d軸の実電流idは、指令電圧vd*に干渉電圧が重畳した電圧を、d軸のインピーダンスR+sL’ddで除算したものとなる。
同様に、ブロック28に示すように、q軸に発生する電圧は、指令電圧vq*に対して、干渉電圧−sL’dq・id,−sL’d0・i0,−ω(λd+λ’q)が重畳した電圧となる。また、ブロック29に示すように、零相に発生する電圧は、指令電圧v0*に対して、干渉電圧−sL’d0・id,−sL’q0・iq,−ωλ0が重畳した電圧となる。
これに対して、基本波指令電圧生成部42aは、SRモータ20内で発生する干渉電圧を打ち消すような指令電圧vd*,vq*,v0*を生成する。図4において、基本波指令電圧生成部42a内のブロック44はd軸の指令電圧vd*、ブロック45はq軸の指令電圧vq*、ブロック46は零相の指令電圧v0*を、それぞれ算出する制御を示している。
ブロック44に示すように、基本波指令電圧生成部42aは、指令電流id*と実電流idとの電流偏差Δidに基づいてPI演算を行い、電流idp*を算出する。そして、指令電圧生成部42は、干渉電圧を打ち消すように、電流idp*とインピーダンスR+sLddとを乗算して算出した電圧に、電圧sL’dq・iqp*,sL’d0・i0p*,ω(−λq+λ’d)を加算して、指令電圧vd*を算出する。電流iqp*は、電流偏差Δiqに基づいてPI演算を実施して算出される値、電流i0p*は、電流偏差Δi0に基づいてPI演算して算出される値である。また、鎖交磁束λd,λq,λ0は、実電流id,iq,i0及び回転角度θに基づいて、算出される。ブロック45及びブロック46も同様にして、指令電圧vq*及び指令電圧v0*を算出する。
このように、制御装置30は、指令トルクTr*に基づいて、指令電流id*,iq*,i0*を算出し、SRモータ20に流れる実電流id,iq,i0を、指令電流id*,iq*,i0*にフィードバック制御している。さらに、制御装置30は、非干渉制御を行っている。
本実施形態では、上述した基本波電流id,iq,i0のフィードバック制御に加えて、基本波電流のn倍の周波数を有する高調波電流idh,iqh,i0h(高調波成分)の制御を実施する。
主として磁束の歪みに起因して、モータ電流において、基本波成分のn倍(nは2以上の自然数)の周波数を有する高調波成分が生じる。より具体的には、SRモータ20の自己インダクタンス、又は、相互インダクタンスが回転角度θに対するm次インダクタンスを有する場合、2(m+1)次、及び、2(m−1)次の高調波電流が流れる。特に、3相モータでは、この高調波電流のうち6k次(kは1以上の自然数)の成分に起因して、トルクリプルなどの悪影響が生じる。そこで、基本波成分であるd軸電流id及びq軸電流iqと、高調波成分であるdh軸電流及びqh軸電流と、をそれぞれ独立して制御する。さらに、本実施形態のSRモータ20はSRモータであるため、零相電流i0に対応する高調波電流である零相電流i0hの制御を実施する。
つまり、制御装置30は、図3に示すように、上述した基本波電流制御に加えて、高調波電流制御を実施する。指令電流生成部41は、基本波指令電流生成部41aに加えて、高調波指令電流生成部41bを備える。高調波指令電流生成部41bは、指令トルクTr*に基づいて、予め用意されているマップを用いて、高調波の指令電流idh*,iqh*,i0h*を算出する。
指令電圧生成部42は、基本波指令電圧生成部42aに加えて、高調波指令電圧生成部42b(高調波制御部)を備える。高調波指令電圧生成部42bは、SRモータ20を流れる電流に重畳するn次のトルクリップルを打ち消すように、トルクリプルと逆相のn次の高調波成分である指令電圧vdh*,vqh*,v0h*を算出する。
そして、指令電圧生成部42は、加算部49によって、基本波の指令電圧vd*,vq*,v0*に、高調波成分の指令電圧vdh*,vqh*,v0h*を加算して算出した指令電圧を、固定座標系の三相の指令電圧vu*,vv*,vw*に変換する。このように、高調波電流制御を実施することにより、トルクリプルを減少させて、SRモータ20の効率を向上させることができる。
ここで、SRモータ20のn次高調波における電圧方程式は、式(1)に対して、式(2)で表される行列を用いて座標変換を行うことで、式(3)として表すことができる。
Figure 2017034760
Figure 2017034760
高調波電流において、式(3)に示すように、dh軸とqh軸との間、dh軸及びqh軸のそれぞれと、零相との間の干渉電圧(非対角成分)が生じる。なお、Lave=(Ldd+Lqq)/2であり、θ’h=2θh+δ(δは所定の位相)である。また、零相電流i0h及び零相電圧V0hは直流成分であるため、座標変換による影響を受けない。このため、零相電流i0とi0hとは等しく、零相電圧v0とv0hとは等しい。
dh軸、qh軸、及び、零相における非干渉化を行う場合に、抵抗成分R、高調波成分における自己インダクタンスLdd,Lqq,L00、高調波成分における相互インダクタンスLd0,Lq0、及び、誘起電圧に誤差が存在すると、その非干渉化が困難となる。さらに、式(3)で示すように、dh軸及びqh軸と零相との干渉項は、脈動成分を含むため、dh軸、qh軸、零相の実電流idh,iqh,i0hに基づいて、干渉項を直接的に算出することが困難である。そこで、本実施形態では、図5に示す高調波指令電圧生成部42bにおいて、以下のような非干渉制御を実施する。
図5に示すように、d軸の実電流id、q軸の実電流iq、及び、零相の実電流i0のそれぞれに対し、ハイパスフィルタ50を適用する。ここで、ハイパスフィルタ50の時定数は、n次高調波であるdh軸電流の実電流idh、qh軸の実電流iqh、及び、零相高調波の実電流i0hが取得可能な値に設定されている。座標変換部51は、ハイパスフィルタ50から出力されるdh軸電流の実電流idh、qh軸の実電流iqh、及び、零相高調波の実電流i0hを、dq0座標系から高調波座標系に変換する。
自動電流制御器52は、高調波実電流idh,iqh,i0hと、高調波指令電流idh*,Iqh*,i0h*と、に基づいて、高調波指令電圧基本値vdh^,vqh^,v0h^を設定する。より具体的には、高調波実電流idh,iqh,i0hと、高調波指令電流idh*,iqh*,i0h*との偏差に基づいて、その偏差が減少するようにPI演算を実施することで、高調波指令電圧基本値vdh^,vqh^,v0h^を算出する。補正部56は、この高調波指令電圧基本値vdh^,vqh^,v0h^に対し、推定部60によって算出された干渉電圧d2^を加算することで、高調波電流の制御を非干渉化する。
推定部60は、モータ逆モデル53、偏差算出部54、及び、ローパスフィルタ55を備えている。モータ逆モデル53は、SRモータ20に流れるモータ電流(実電流)を入力とし、SRモータ20に印加されるモータ電圧を出力とする。高調波制御において、モータ逆モデル53には、高調波実電流idh,iqh,i0hが入力される。そして、モータ逆モデル53から、干渉項を含まない推定電圧vdh,vqh,v0hが算出される。具体的には、高調波実電流idh,iqh,i0hにそれぞれ、対角項であるR+sLdd,R+sLqq,R+sL00を作用させることで、干渉項を含まない推定電圧vdh,vqh,v0hを算出する。
モータ逆モデル53は、SRモータ20の抵抗成分R及びSRモータ20の自己インダクタンスLdd,Lqq,L00(Ldq0)に基づいて設定されている。ここで、モータ電流の基本波成分及びモータの回転角度θによって、高調波成分における自己インダクタンスLdd,Lqq,L00は変化する。そこで、モータ電流の基本波成分であるd軸実電流id、q軸実電流iq、及び、零相実電流i0、並びに、SRモータ20の回転角度θに基づいて、マップを用いて、自己インダクタンスLdd,Lqq,L00を設定する構成としている。
偏差算出部54は、干渉電圧d2^が加算された高調波指令電圧基本値vdh^,vqh^,v0h^(指令電圧)と、干渉項を含まない高調波電圧の推定電圧vdh,vqh,v0hとの偏差を算出する。そして、偏差算出部54により算出された偏差に対し、ローパスフィルタ55(1/(1+sτ))を適用することで、干渉電圧d2^を算出する。そして、補正部56が、高調波指令電圧基本値vdh^,vqh^,v0h^に対し、干渉電圧d2^を加算する。
ここで、ローパスフィルタ55の交差角周波数(時定数τの逆数)は、SRモータ20の回転角周波数ωに基づいて設定される。より具体的には、m次インダクタンスが存在する場合、2(m+1)次、及び、2(m−1)次の高調波電流が流れるため、ローパスフィルタの交差角周波数は、回転角周波数ωの2(m+1)倍又は2(m−1)倍であって、回転角周波数の6k倍(kは1以上の自然数)となるものに設定される。
非干渉項算出部57(フィードフォワード制御部)は、フィードフォワード制御により、高調波実電流idh,iqh,i0hに基づいて、高調波電圧の非干渉電圧d1^を算出する。具体的には、高調波実電流idh,iqh,i0hにそれぞれ、対角項であるR+sLave,R+sLave,R+sL00を作用させることで、高調波電圧の非干渉電圧d1^を算出する。
そして、加算部58は、非干渉項算出部57により算出された高調波電圧の非干渉電圧d1^と、干渉電圧d2^が加算された高調波指令電圧基本値vdh^,vqh^,v0h^とを加算することで、高調波指令電圧vdh*,vqh*,v0h*を算出する。さらに、座標変換部59は、高調波指令電圧vdh*,vqh*,v0h*を高調波座標系から基本波座標系に変換する。
図6に本実施形態による作用効果を表すタイミングチャートを示す。本実施形態における非干渉制御によって、q軸電流iq、d軸電流id、及び、零相電流i0において、指令電流iq*,id*,i0*に対する実電流に追従性が向上している。また、相電流iu,iv,iwの波形の歪みが解消されている。
以下、本実施形態の効果を述べる。
モータ電流の高調波成分の実際値(実電流)及びSRモータ20の逆モデルに基づいて、干渉電圧と比べて簡易に算出することが可能な推定電圧を算出し、その推定電圧と指令電圧との偏差に基づいて、干渉電圧d2^を算出する構成とした。このように間接的に干渉電圧d2^を算出する構成とすることで、干渉電圧d2^による影響を簡易な処理によって抑制することができる。
具体的には、高調波成分の実電流idh,iqh,i0h、及び、SRモータ20のモータ逆モデル53に基づいて干渉電圧を含まない推定電圧を算出し、その推定電圧と指令電圧との偏差を算出する。その偏差に対してローパスフィルタ55を適用することで、干渉電圧d2^を算出する構成とした。ここで、ローパスフィルタ55を適用することで、制御の安定性を向上させることができる。
干渉電圧d2^の脈動周波数θ’hは、モータの回転角周波数ωに応じて変化する。そこで、干渉電圧d2^の脈動成分による影響を抑制するために、ローパスフィルタ55の時定数をSRモータ20の回転角周波数ωに応じて設定する構成とした。より具体的には、SRモータ20の自己インダクタンス、又は、相互インダクタンスが回転角度θに対するm次インダクタンス(mは2以上の自然数)を有する場合、2(m+1)次、及び、2(m−1)次の高調波電流が流れる。3相モータでは、この高調波電流のうち6k次(kは1以上の自然数)の成分に起因して、トルクリプルなどの悪影響が生じる。そこで、ローパスフィルタ55の交差角周波数を回転角周波数ωの2(m+1)倍又は2(m−1)倍であって、回転角周波数の6k倍(kは1以上の自然数)となるものに設定する構成とした。
また、本実施形態のSRモータ20のモータ逆モデル53は、SRモータ20の抵抗成分RとSRモータ20のdh軸、qh軸、零相(高調波成分)の自己インダクタンスLdd,Lqq,L00のみによって表される簡易な構成である。このため、処理を簡素化することが可能になる。
高調波成分における自己インダクタンスLdd,Lqq,L00は、モータ電流によって磁気飽和することで、その値が変化する。また、高調波成分における自己インダクタンスLdd,Lqq,L00は、回転子21と固定子22との相対位置、つまり、SRモータ20の回転角度θによって、その値が変化する。そこで、モータ電流の基本波成分、及び、回転角度θに基づいて、高調波成分の自己インダクタンスLdd,Lqq,L00を設定する構成とした。
また、上記の構成では、高調波電流制御において、フィードフォワード制御を補助的に行うことで、制御の安定性をさらに向上させることが可能となる。
(他の実施形態)
・上記実施形態では、1の高調波電圧生成部のみを備える構成としたが、これを変更し、複数の高調波電圧生成部を備える構成としてもよい。この場合、基本波電圧生成部による基本波電圧指令値と複数の高調波電圧生成部による高調波電圧指令値との和が最終的な指令電圧となる。
・ローパスフィルタ55を省略する構成としてもよい。
・非干渉項算出部87を省略する構成としてもよい。
・上記実施形態における制御装置は、SRモータを対象としているが、これを変更してもよい。つまり、零相電流が流れない界磁巻線形同期モータなどに適用される制御装置であってもよい。この場合、制御装置は、基本波電流としてd軸電流及びq軸電流、高調波電流としてdh軸電流及びqh軸電流を制御し、dh軸とqh軸との干渉電圧を非干渉化する。
20…SRモータ、30…制御装置、42a…基本波指令電圧生成部、42b…高調波指令電圧生成部、49…加算部、53…モータ逆モデル、56…補正部、60…推定部。

Claims (7)

  1. モータ(20)に流れるモータ電流を調整することで、前記モータを制御するモータの制御装置(30)であって、
    前記モータ電流の基本波成分であるd軸電流及びq軸電流が所定の指令値となるように、前記モータに印加される基本波電圧の指令値を設定する基本波制御部(42a)と、
    前記モータ電流の基本波成分のn倍(nは2以上の自然数)の周波数を有する前記モータ電流の高調波成分であるdh軸電流及びqh軸電流が、所定の指令値となるように、前記モータに印加される高調波電圧の指令値である指令電圧を設定する高調波制御部(42b)と、
    前記モータ電流を入力とし、前記モータに印加されているモータ電圧を出力とする前記モータの逆モデル(53)、及び、前記モータ電流の高調波成分の実際値に基づいて、前記高調波成分同士に生じる干渉電圧を含まない前記高調波電圧の推定電圧を算出するとともに、その推定電圧と前記指令電圧との偏差に基づいて、前記干渉電圧を推定する推定部(60)と、
    前記推定部により推定された前記干渉電圧に基づいて、前記指令電圧を補正する補正部(56)と、
    前記補正部により補正された前記指令電圧を基本波の座標系に変換し、前記基本波電圧の指令値に加算する加算部(49)と、
    を備えることを特徴とする制御装置。
  2. 前記推定部は、前記推定電圧と前記指令電圧との偏差に対してフィルタ(55)を適用することで、前記干渉電圧を推定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記フィルタは、ローパスフィルタであって、そのローパスフィルタの交差角周波数は、前記モータの回転角周波数に応じて設定されることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記モータは3相モータであって、
    前記交差角周波数は、前記モータの自己インダクタンス、又は、相互インダクタンスが前記モータの回転角度に対するm次インダクタンス(mは2以上の自然数)を有する場合に、前記回転角周波数の2(m+1)倍、又は、2(m−1)倍であって、前記回転角周波数の6k倍(kは1以上の自然数)となるものに設定されることを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
  5. 前記逆モデルは、前記モータの抵抗成分、及び、前記モータの自己インダクタンスに基づいて設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
  6. 前記推定部は、前記モータ電流の基本波成分であるd軸電流、q軸電流、及び、直流成分である零相電流、並びに、前記モータの回転角度に基づいて、前記モータの自己インダクタンスを設定することを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
  7. 前記モータ電流の高調波成分であるdh軸電流、qh軸電流、及び、直流成分である零相電流に基づいて、前記干渉電圧を含まない電圧である非干渉電圧を算出し、その非干渉電圧を前記補正部によって補正された指令電圧に加算することで、前記指令電圧を補正するフィードフォワード制御部を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制御装置。
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