JP2017033647A - 硫化物固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性に優れた硫化物固体電池を提供する。【解決手段】正極層と、負極層と、当該正極層及び当該負極層の間に配置される硫化物固体電解質層とを備える硫化物固体電池において、前記正極層は正極活物質及び硫化物固体電解質を含み、前記負極層は負極活物質及び硫化物固体電解質を含み、正極層及び負極層のうち少なくともいずれか一方は、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを15質量%以上30質量%以下有することを特徴とする、硫化物固体電池。【選択図】図2

Description

本発明は、安全性に優れた硫化物固体電池に関する。
非水電解質二次電池における異常発熱を防ぐため、様々な電池部材が試みられている。特許文献1には、多孔質の樹脂製セパレータと、当該樹脂製セパレータ上に形成された、2種類の絶縁性無機フィラーを含む耐熱性多孔質層とを含む非水電解質二次電池用のセパレータが開示されている。
特開2013−149434号公報
特許文献1には、絶縁性無機フィラーとして、熱伝導率の高い窒化ホウ素(BN)を用いた実施例が開示されている。当該文献には、高熱伝導率の絶縁性無機フィラーを用いることによって、固体電池が異常発熱した場合、発熱箇所から固体電池の面方向に沿って熱が拡散される結果、局所的な異常発熱による温度上昇が抑制されると記載されている。
これに対し、本発明者らによる検討の結果は以下の通りである。固体電池においては、電極材料が局所的に発熱した場合、生じた熱が固体の電池材料を伝う結果、固体電池全体に伝播する。その結果、熱によって固体電池全体の特性が変質するおそれがある。したがって、固体電池においては、熱を拡散させることよりも、むしろ、局所的に生じた熱の伝播を抑えることが重要である。
本発明は、固体電池の発熱に関する上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、安全性に優れた硫化物固体電池を提供することを目的とする。
本発明の硫化物固体電池は、正極層と、負極層と、当該正極層及び当該負極層の間に配置される硫化物固体電解質層とを備える硫化物固体電池において、前記正極層は正極活物質及び硫化物固体電解質を含み、前記負極層は負極活物質及び硫化物固体電解質を含み、正極層及び負極層のうち少なくともいずれか一方は、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを15質量%以上30質量%以下有することを特徴とする。
本発明によれば、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを、正極層及び/又は負極層中に特定の量含むことによって、硫化物固体電池内における熱の伝播を抑制でき、その結果、当該電池の安全性を向上させることができる。
本発明の硫化物固体電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを含む電極層の断面模式図である。 シアヌル酸メラミンの室温条件下におけるSEM写真である。 シアヌル酸メラミンの400℃の温度条件下におけるSEM写真である。
本発明の硫化物固体電池は、正極層と、負極層と、当該正極層及び当該負極層の間に配置される硫化物固体電解質層とを備える硫化物固体電池において、前記正極層は正極活物質及び硫化物固体電解質を含み、前記負極層は負極活物質及び硫化物固体電解質を含み、正極層及び負極層のうち少なくともいずれか一方は、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを15質量%以上30質量%以下有することを特徴とする。
図1は、本発明の硫化物固体電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。硫化物固体電池100は、正極層1と、負極層2と、正極層1及び負極層2の間に配置される硫化物固体電解質層3を備える。
なお、本発明の硫化物固体電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。例えば、硫化物固体電池100の外側でありかつ正極層1と接する部分に正極集電体が設けられていてもよい。また、硫化物固体電池100の外側でありかつ負極層2と接する部分に負極集電体が設けられていてもよい。
本発明に使用される正極層は、(1)正極活物質、(2)硫化物固体電解質、及び(3)シアヌル酸メラミン(CAS番号:37640−57−6)又はポリリン酸メラミン(CAS番号:56386−64−2)を含む。
負極層が(3)を含む場合、正極層は(3)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。また、正極層は、(4)バインダや、(5)導電性材料を含んでいてもよい。
正極層は、上記材料(1)、(2)、及び(3)(並びに、必要な場合はさらに(4)及び/又は(5))を含む正極合材を用いて形成されることが好ましい。
硫化物全固体電池は、満充電状態、又は高充電状態(4.5〜4.6V高電圧下)において、150℃以上の高温にさらされた場合、電池全体の温度が600〜800℃上昇するおそれがあることが知られている。これは主に材料発熱によるものである。
また、硫化物全固体電池の誤用時、外部短絡時、又は釘刺し試験時においては、局所的に電池が発熱する。従来の電池構成においては、局所的な発熱が電池全体に伝播するおそれがあった。
図2は、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを含む電極層の断面模式図である。ここで電極層とは、正極層及び負極層の両方を意味する。
図2において、電極層11は、その端が熱源12に曝されている。図2においては、熱源12を矢印にて示す。熱源12は、電極層11の外部に位置し、外から電極層11へ熱を与えるものであってもよい。また、熱源12は、電極層11の内部(図2においては電極層11の端部)に位置し、電極層11自身を発熱させるものであってもよい。
電極層11のうち、熱源12から最も遠い部分11Aには、熱が伝わりにくい。しかし、電極層11のうち、熱源12近傍の部分11Bには熱がよく伝わる。したがって、熱源12から当該部分11Bに熱が伝播する結果、電極層11中に局所的な発熱が生じる。
本発明に使用されるシアヌル酸メラミン及びポリリン酸メラミンは、100〜400℃にかけて熱分解し、断熱層をもつ化合物に変化する性質を有する。したがって、電極層11中のシアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンが、熱源12から伝わる熱によって断熱層11C(図2中に楕円で示す部分)を形成する結果、熱の伝播を最小限の範囲に留めることができる。
正極層におけるシアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンの含有割合は、正極層全体の質量を100質量%としたとき、15質量%以上30質量%以下である。当該含有割合が15質量%未満の場合には、後述する比較例2及び比較例3において示すように、正極層における発熱抑制の効果が得られにくい。また、当該含有割合が30質量%を超える場合には、相対的にその他の正極材料(正極活物質、硫化物固体電解質等)の含有割合が減る結果、硫化物固体電池全体の放電特性が低下する。
正極層におけるシアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンの含有割合は、正極層全体の質量を100質量%としたとき、18質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上30質量%以下であるのがより好ましい。
正極活物質としては、例えば、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を使用することができる。正極活物質は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)による表面処理が施されていてもよい。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiS・Pを使用することができる。
バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を使用することができる。
本発明に使用される負極層は、(6)負極活物質、(2)硫化物固体電解質、及び(3)シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを含む。
正極層が(3)を含む場合、負極層は(3)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。また、負極層は、(4)バインダを含んでいてもよい。
負極層は、上記材料(6)、(2)、及び(3)(並びに、必要な場合はさらに(4))を含む負極合材を用いて形成されることが好ましい。
負極層におけるシアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンの含有割合は、負極層全体の質量を100質量%としたとき、15質量%以上30質量%以下である。当該含有割合が15質量%未満の場合には、後述する比較例8及び比較例9において示すように、負極層における発熱抑制の効果が得られにくい。また、当該含有割合が30質量%を超える場合には、相対的にその他の負極材料(負極活物質、硫化物固体電解質等)の含有割合が減る結果、硫化物固体電池全体の放電特性が低下する。
負極層におけるシアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンの含有割合は、負極層全体の質量を100質量%としたとき、15質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上20質量%以下であるのがより好ましい。
負極活物質としては、例えば、グラファイト等のカーボンを使用することができる。
負極層に使用できる硫化物固体電解質及びバインダは、正極層に使用できる硫化物固体電解質及びバインダと同様である。
本発明に使用される硫化物固体電解質層は、正極層及び当該負極層の間に配置される。硫化物固体電解質層は、上述した硫化物固体電解質を含む層である。
本発明の硫化物固体電池の製造例は、以下の通りである。
まず、所定の型に硫化物固体電解質を加え、所定の面圧でプレスすることにより、硫化物固体電解質層を作製する。硫化物固体電解質層の一方の面に接する側に、上述した正極合材を加え、所定の面圧でプレスすることにより、硫化物固体電解質層の一方の面に正極層を作製する。硫化物固体電解質層の他方の面に接する側に負極合材を加え、所定の面圧でプレスすることにより、硫化物固体電解質層の他方の面に負極層を作製する。
正極層側に正極集電体を、負極層側に負極集電体をそれぞれ配置することにより、硫化物固体電池が得られる。正極集電体の例としてはアルミ箔が、負極集電体の例としては銅箔が、それぞれ挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.硫化物固体電池の製造
[実施例1]
(1)硫化物固体電解質の合成
硫化物固体電解質の原料として、LiS(日本化学工業社製)とP(アルドリッチ社製)を準備した。
LiSを0.7656g、Pを1.2344g秤量し、これらの材料をメノウ乳鉢により5分間混合した後、さらにヘプタンを4g混合した。得られた混合物を、遊星型ボールミルを用い40時間メカニカルミリングすることにより、硫化物固体電解質(LiS・P)を得た。
(2)正極合材の調製
正極活物質として、ニオブ酸リチウム(LiNbO)により表面処理を施されたニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を準備した。また、硫化物固体電解質として上記方法により合成したLiS・Pを、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、導電性材料としてVGCF(昭和電工製)を、それぞれ準備した。
正極合材に使用する添加剤Aとして、シアヌル酸メラミン(堺化学社製、MC−2010N)を準備した。
以上の材料をそれぞれ下記の通り秤量し、混合したものを正極合材とした。
・正極活物質:15.0mg
・硫化物固体電解質:4.8mg
・シアヌル酸メラミン:3.6mg
・バインダ:0.3mg
・導電性材料:0.2mg
なお、正極合材中のシアヌル酸メラミンの含有割合は15質量%であった。
(3)負極合材の調製
負極活物質としてグラファイトを、硫化物固体電解質として上記方法により合成したLiS・Pを、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、それぞれ準備した。
以上の材料をそれぞれ下記の通り秤量し、混合したものを負極合材とした。
・負極活物質:15.0mg
・硫化物固体電解質:10.0mg
・バインダ:0.3mg
なお、負極にはシアヌル酸メラミン及びポリリン酸メラミンのいずれも使用しなかった。
(4)硫化物固体電池の製造
面積1cmのセラミックス製の型を準備した。型に上記硫化物固体電解質(LiS・P)を18mg加え、面圧1ton/cmでプレスすることにより、硫化物固体電解質層を作製した。硫化物固体電解質層の一方の面に接する側に正極合材17.57mgを加え、面圧1ton/cmでプレスすることにより、硫化物固体電解質層の一方の面に正極層を作製した。硫化物固体電解質層の他方の面に接する側に負極合材17.3mgを加え、面圧4ton/cmでプレスすることにより、硫化物固体電解質層の他方の面に負極層を作製した。
正極層側にアルミ箔(正極集電体)を配置した。負極層側に銅箔(負極集電体)を配置した。
上記の通り実施例1の硫化物固体電池を製造した。
[実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例6]
「(2)正極合材の調製」において、シアヌル酸メラミン3.6mgの替わりに、下記表1に記載の添加剤Aを特定の添加量にて使用したこと以外は、実施例1と同様の工程を実施し、実施例2〜実施例4、及び比較例2〜比較例6の硫化物固体電池を製造した。
比較例1においては、シアヌル酸メラミンを使用せずに実施例1と同様の工程を実施し、硫化物固体電池を製造した。
[実施例5]
(1)正極合材の調製
正極活物質、硫化物固体電解質、バインダ、及び導電性材料については、実施例1と同様の材料を使用した。
以上の材料をそれぞれ下記の通り秤量し、混合したものを正極合材とした。
・正極活物質:15.0mg
・硫化物固体電解質:4.8mg
・バインダ:0.3mg
・導電性材料:0.2mg
なお、正極にはシアヌル酸メラミン及びポリリン酸メラミンのいずれも使用しなかった。
(2)負極合材の調製
負極活物質、硫化物固体電解質、及びバインダについては、実施例1と同様の材料を使用した。
負極合材に使用する添加剤Bとして、実施例1と同様のシアヌル酸メラミンを準備した。
以上の材料をそれぞれ下記の通り秤量し、混合したものを負極合材とした。
・負極活物質:10.0mg
・硫化物固体電解質:6.7mg
・シアヌル酸メラミン:3.0mg
・バインダ:0.2mg
なお、負極合材中のシアヌル酸メラミンの含有割合は15質量%であった。
(3)硫化物固体電池の製造
実施例1と同様の工程で、硫化物固体電解質層、正極層、及び負極層を作製した。また、実施例1と同様に正極集電体及び負極集電体を配置した。
上記の通り実施例5の硫化物固体電池を製造した。
[実施例6〜実施例8、比較例7〜比較例12]
「(2)負極合材の調製」において、シアヌル酸メラミン3.0mgの替わりに、下記表2に記載の添加剤Bを特定の添加量にて使用したこと以外は、実施例5と同様の工程を実施し、実施例6〜実施例8、及び比較例8〜比較例12の硫化物固体電池を製造した。
比較例7においては、シアヌル酸メラミンを使用せずに実施例1と同様の工程を実施し、硫化物固体電池を製造した。すなわち、比較例7と上述した比較例1とは、正極及び負極のいずれにも添加剤を含まない点で類似する硫化物固体電池である。
2.硫化物固体電池の発熱挙動の評価
(1)充電電極の作製
まず、実施例1〜実施例8、及び比較例1〜比較例12の各硫化物固体電池(以下、電池という場合がある。)を拘束治具にセットし、当該拘束治具を容器に入れて密閉した。当該容器は、当該容器の端子を電池と接続したものである。
次に、電池と接続された当該密閉容器を、温度25℃の恒温槽内に移した。電池の温度が25℃になったのを確認した後、以下の条件下で充放電を開始した。
・定電流:1/20C
・終止電流:1/100C
・充電電圧:4.5V
・放電電圧:3.0V
充放電が完了した後、再度、充電のみを実施した。充電により電池電圧が4.5Vとなったことを確認した後、短絡に注意しながら、電池を解体した。
実施例1〜実施例4、及び比較例1〜比較例6の電池については、解体した電池の中から、正極層(正極集電体は含まない。)を剥がし取り、DSC測定のためのサンプルとした。また、実施例5〜実施例8、及び比較例7〜比較例12の電池については、解体した電池の中から、負極層(負極集電体は含まない。)を剥がし取り、DSC測定のためのサンプルとした。
(2)DSC(示差走査熱量測定)測定
充電した状態の電極を昇温させ、当該電極が発熱し始める温度を測定する実験を行った。詳細は以下の通りである。
まず、上記サンプル5mgを量りとり、SUS製容器に加え、当該容器を密閉した。サンプルを入れたSUS製容器をDSC装置(日立ハイテクサイエンス製)にセットした。DSC測定条件は以下の通りである。
・リファレンス:Al 5mg
・昇温速度:5℃/min.
・終了温度:500℃
得られたDSC曲線の第1発熱ピークに対応する温度を、そのサンプルの発熱開始温度(℃)とした。ここで、第1発熱ピークとは、DSC曲線に現れる発熱ピークのうち、最も低い温度で現れるピークを意味する。
下記表1及び表2に、各サンプルの発熱開始温度を示す。
下記表1は、実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例6の硫化物固体電池について、使用した添加剤Aの種類及び含有割合、並びに、発熱挙動の実験結果をまとめた表である。なお、下記表1中、比較例4に使用された「メチロールメラミン」とは、メラミンのアミノ基の1つがヒドロキシメチルアミノ基に置換された化合物(4,6−Diamino−2−(hydroxymethylamino)hexahydro−1,3,5−triazine)を指す。下記表1中、比較例5に使用された「シリコーン樹脂」とは、信越シリコーン社製のKR2038(製品名)を指す。下記表1中、比較例6に使用された「ノンハロゲン系添加剤」とは、ADEKA社製のFP−2100JC(製品名)を指す。
また、下記表1に示す「評価」は、比較例1の発熱開始温度と比較した場合の、以下の基準によるものである。
A:対象サンプルの発熱開始温度が、比較例1の発熱開始温度よりも10℃以上高い。
B:対象サンプルの発熱開始温度が、比較例1の発熱開始温度と等しいか、又は比較例1の発熱開始温度よりも1〜9℃高い。
C:対象サンプルの発熱開始温度が、比較例1の発熱開始温度未満である。
Figure 2017033647
下記表2は、実施例5〜実施例8及び比較例7〜比較例12の硫化物固体電池について、使用した添加剤Bの種類及び含有割合、並びに、発熱挙動の実験結果をまとめた表である。なお、下記表2中、比較例10に使用された「メチロールメラミン」、比較例11に使用された「シリコーン樹脂」、及び比較例12に使用された「ノンハロゲン系添加剤」は、いずれも表1に記載の各材料と同様である。
また、下記表2に示す「評価」は、比較例7の発熱開始温度と比較した場合の、以下の基準によるものである。
A:対象サンプルの発熱開始温度が、比較例7の発熱開始温度よりも10℃以上高い。
B:対象サンプルの発熱開始温度が、比較例7の発熱開始温度と等しいか、又は比較例1の発熱開始温度よりも1〜9℃高い。
C:対象サンプルの発熱開始温度が、比較例7の発熱開始温度未満である。
Figure 2017033647
(3)SEM観察
高温度条件下におけるシアヌル酸メラミンの挙動を調べるため、実施例1に係る試料断面の走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)観察を行った。試料断面作製は、クライオイオンミリング装置を用いて、大気非開放、真空下、かつ−160℃の温度条件下において行った。断面の観察は、FE−SEM(S−5500)(製品名、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
図3は、シアヌル酸メラミンの室温(15〜30℃)条件下におけるSEM写真である。図の白い部分がシアヌル酸メラミンを示す。
図4は、シアヌル酸メラミンの400℃の温度条件下におけるSEM写真である。図3と図4を比較すると明らかな通り、400℃の温度条件下においては、黒い部分の面積が増え、白い部分(すなわち、シアヌル酸メラミン)はほとんど見られない。これらSEM写真から、400℃の温度条件下において、シアヌル酸メラミンが昇華したことが分かる。
3.考察
まず、正極層中の添加剤Aの効果について、上記表1を参照しつつ考察する。
比較例4は、添加剤Aとしてメチロールメラミンを用いた実験例である。比較例5は、添加剤Aとしてシリコーン樹脂を用いた実験例である。比較例6は、添加剤Aとしてノンハロゲン系添加剤を用いた実験例である。これらの発熱挙動の評価はCである。すなわち、添加剤を加えなかった比較例1よりも、発熱開始温度が3〜15℃低下する。
したがって、上記3種類の添加剤を用いた場合には、正極層がより発熱しやすくなることが分かる。
比較例2は、添加剤Aとしてシアヌル酸メラミンを5質量%用いた実験例である。比較例3は、添加剤Aとしてポリリン酸メラミンを5質量%用いた実験例である。これらの発熱挙動の評価はBである。すなわち、添加剤を加えなかった比較例1よりも、発熱開始温度がわずかに高い。
したがって、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを用いた場合であっても、その添加量が15質量%未満である場合には、正極層の発熱は抑制しにくいことが分かる。
これに対し、実施例1及び実施例2は、添加剤Aとしてシアヌル酸メラミンを15質量%又は30質量%用いた実験例である。実施例3及び実施例4は、添加剤Aとしてポリリン酸メラミンを15質量%又は30質量%用いた実験例である。これらの発熱挙動の評価はAである。すなわち、添加剤を加えなかった比較例1と比較して、発熱開始温度が41℃以上高い。
したがって、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを、正極層中に15質量%以上30質量%以下用いた場合には、正極層の発熱がより高い温度で始まるため、正極層の安全性が向上することが分かる。
次に、負極層中の添加剤Bの効果について、上記表2を参照しつつ考察する。
比較例10は、添加剤Bとしてメチロールメラミンを用いた実験例である。比較例11は、添加剤Bとしてシリコーン樹脂を用いた実験例である。比較例12は、添加剤Bとしてノンハロゲン系添加剤を用いた実験例である。これらの発熱挙動の評価はCである。すなわち、添加剤を加えなかった比較例7よりも、発熱開始温度が19〜57℃低下する。
したがって、上記3種類の添加剤を用いた場合には、負極層がより発熱しやすくなることが分かる。
なお、負極層における発熱開始温度の下がり幅(比較例10〜比較例12)は、正極層における発熱開始温度の下がり幅よりも大きい(比較例4〜比較例6参照)。
比較例8は、添加剤Bとしてシアヌル酸メラミンを5質量%用いた実験例である。比較例9は、添加剤Bとしてポリリン酸メラミンを5質量%用いた実験例である。これらの発熱挙動の評価はBである。すなわち、添加剤を加えなかった比較例7と比較して、発熱開始温度が変わらない。
したがって、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを用いた場合であっても、その添加量が15質量%未満である場合には、負極層の発熱抑制には効果が無いことが分かる。
これに対し、実施例5及び実施例6は、添加剤Bとしてシアヌル酸メラミンを15質量%又は30質量%用いた実験例である。実施例7及び実施例8は、添加剤Bとしてポリリン酸メラミンを15質量%又は30質量%用いた実験例である。これらの発熱挙動の評価はAである。すなわち、添加剤を加えなかった比較例7と比較して、発熱開始温度が10℃以上高い。
したがって、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを、負極層中に15質量%以上30質量%以下用いた場合には、負極層の発熱がより高い温度で始まるため、負極層の安全性が向上することが分かる。
以上より、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを15質量%以上30質量%以下含む、実施例1〜実施例4の正極層及び実施例5〜実施例8の負極層は、発熱開始温度を従来よりも引き上げることができる。その結果、これらの正極層及び負極層は、硫化物固体電池内における熱の伝播を抑制できるため、当該電池の安全性を向上させることができる。
このように、シアヌル酸メラミンを用いることによる効果は、シアヌル酸メラミンの熱分解性によるものと考えられる。シアヌル酸メラミンは100〜400℃にかけて熱分解し、断熱層をもつ化合物に変化する性質を有する。したがって、シアヌル酸メラミンを発熱が始まる部位(例えば電極等)に配合しておくことにより、当該部位周辺で熱の伝播を食い止めることができると考えられる。
また、シアヌル酸メラミンを用いることによる効果は、上記SEM観察結果からも示唆される。上記図4から分かる通り、シアヌル酸メラミンは400℃以上で昇華する。昇華は吸熱(昇華熱)を伴うため、たとえ電池内部の温度が一時的に400℃を超えた場合であっても、シアヌル酸メラミンの昇華により電池内部の温度は400℃未満に引き下げられる。上記効果は、あくまでシアヌル酸メラミンの2次的な効果にすぎないが、少なくとも電池内部の温度を400℃未満に維持する点では重要な効果である。
以上の性質(熱分解性及び昇華)は、ポリリン酸メラミンにも当てはまる性質である。
1 正極層
2 負極層
3 硫化物固体電解質層
11 電極層
11A 電極層のうち熱が伝わっていない部分
11B 電極層のうち熱源12に近い部分
11C 断熱層
12 熱源を示す矢印
100 硫化物固体電池

Claims (1)

  1. 正極層と、負極層と、当該正極層及び当該負極層の間に配置される硫化物固体電解質層とを備える硫化物固体電池において、
    前記正極層は正極活物質及び硫化物固体電解質を含み、
    前記負極層は負極活物質及び硫化物固体電解質を含み、
    正極層及び負極層のうち少なくともいずれか一方は、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを15質量%以上30質量%以下有することを特徴とする、硫化物固体電池。
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