JP2017032549A - 近距離無線通信装置を含む時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな電磁摂動(電磁擾乱)を生成することがなく、信頼性の高い近距離無線通信装置を含む時計を提供する。【解決手段】信号を送受信可能な近距離無線通信装置4を含む文字盤1及びまたはベゼルの少なくとも一方を備える時計であって、近距離無線通信装置4は、チップ6及びアンテナ5を含み、かつ時計の文字盤1またはベゼルの領域に配置され、近距離無線通信装置4と関連付けて特にフェライト製の遮磁壁8を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、NFCまたはRFID型近距離無線通信装置を含む、自動式、機械式、またはクオーツムーブメント等の電気式ムーブメントが設けられる時計に関し、通信装置は、アンテナに接続される電子チップを有する。
従来技術から、その寿命にわたりトラッキングを向上させるために、または対象となる可能性のある侵害行為に対抗するために、近距離無線通信装置を有する時計を装備する方法は知られている。作動中の通信装置は、関連付けられた周辺装置と近距離にあることを検知すると、当該周辺装置に接続し、自身に関する情報についての無線信号を送信することができる。
一般的に、従来技術において、このような通信装置は、ケーシング、ケースバンド、リストバンド、またはガラスといった、時計部品の内部に配設されている。
しかしながら、このように時計内に配置された通信装置の主たる欠点は、しばしば信頼性の欠如に悩まされるということにある。実際に、本質的に金属製である時計部品の中に当該通信装置を特定して配置することは、大きな電磁摂動(電磁擾乱)を生成する。このような摂動は、通信装置が周辺装置に近接するときに、通信装置から送出される信号の反射または吸収の少なくとも一方により生じる。当該摂動により、周辺装置との接続を確立する際に、またはその接続を維持する際に、誤動作が生じやすい。
この欠点を軽減するため、従来技術において、寸法の大きいアンテナを有する通信装置を使用することが通常である。
しかしながら、このようなアンテナを時計の中に、特に時計部品の中に統合することは、複雑且つ冗長な作業となる。更には、このようなアンテナの統合は、その後に時計の維持または修理の少なくとも一方のために、時計の内部に介入することを困難にする。
本発明は、従来技術の時計に関する当該欠点を軽減することを目的とする。
本発明に係る時計は、信号を送受信可能な近距離無線通信装置を含む文字盤またはベゼルの少なくとも一方が設けられる時計であって、前記通信装置は、チップ及びアンテナを含み、前記時計の前記文字盤または前記ベゼルの領域に配置され、前記通信装置と関連付けて特にフェライト製の遮磁壁を備える、時計である。
他の実施形態においては以下の通りである。
前記通信装置が文字盤の領域に配置される場合、前記文字盤は前記通信装置が配置される下表面を有する。
前記通信装置が文字盤の領域に配置される場合、前記文字盤は、その中に前記通信装置が配置されるポケットが設けられる下表面を有する。
前記通信装置が文字盤の領域に配置される場合、前記文字盤は前記通信装置が配置される上表面を有する。
前記通信装置が文字盤の領域に配置される場合、前記文字盤は、上及び下表面を有し、前記通信装置は両表面間に配置される。
前記通信装置がベゼルの領域に配置される場合、前記ベゼルは、前記通信装置が配置されるポケットを有する下表面を含む一体型ピースである。
前記通信装置が前記文字盤の領域に配置される場合、前記遮磁壁は、文字盤の下表面上のポケットにより形成される開口を封止するように、前記下表面に位置する、または前記通信装置が前記ベゼルの領域に配置される場合、前記遮磁壁は、ベゼルの下表面上のポケットにより形成される開口を封止するように、前記下表面に位置する。
前記ベゼルは第1及び第2の部品を含み、前記第2の部品は前記通信装置を収容可能なポケットが設けられる第2の内表面を含む。
前記遮磁壁は、前記ポケットの底壁または側壁の少なくとも一方に位置する。
前記文字盤またはベゼルの少なくとも一方は、それぞれ導電性能を有さない素材で製造される。
前記遮磁壁は、特にフェライトの、1つの層、1つの板、1つの膜及び1つの金属堆積物の少なくとも1つから成る。
前記通信装置は、電子チップ及びアンテナが接着される、プラスチックまたは積層複合材製の基板を含む。
前記通信装置は、NFCまたはRFIDの技術によるものである。
本発明の他の利点や特徴は、本発明の制限を目的としない、図面を参照しながら、2つの好ましい実施形態に関する以下の説明により明らかにされる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る通信装置を含む、時計の文字盤の第1変形例の模式図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係る文字盤の第1変形例の断面模式図である。 図3は、本発明の第1実施形態に係る文字盤の第1変形例の、上面図である。 図4は、図3に示す文字盤の第1変形例のA−A断面図である。 図5は、本発明の第1実施形態に係る文字盤の第2変形例の断面模式図である。 図6は、本発明の第1実施形態に係る通信装置を含む、時計の文字盤の第2変形例の、模式図である。 図7は、本発明の第1実施形態に係る文字盤の第3変形例の模式図である。 図8は、本発明の第1実施形態に係る文字盤の第4変形例の模式図である。 図9は、本発明の第2実施例に係るベゼルの第1変形例を含む、時計のケースの断面図である。 図10は、本発明の第2実施形態に係るベゼルの第2変形例を含む、時計のケースの断面図である。 図11Aは、遮磁壁を含まない時計の模式図である。 図11Bは、本発明の第1及び第2実施形態に係る遮磁壁を含む時計の模式図である。
発明の詳細な説明
本発明において、時計35は、図9に示すように、ケースバンド22及び裏蓋24を含むケース20を備えている。時計35のケース20は、自動式、機械式、またはクオーツムーブメントといった電気式ムーブメントを収容可能である。ムーブメントは、文字盤1と一式の針を上部に有し、その上にはガラス21が設置される。時計35はまた、固定または回転可能であり、好ましくはケースバンド22の端部の領域に配置されるベゼル2を含む。
図1から図10は、信号を送受信可能な近距離無線通知装置4と、遮磁壁8を含む、時計35の実施形態を示す。
更に詳しくは、図1から図8において、時計35の第1実施形態は、文字盤の領域に配置された通信装置4を含む。図9、図10に示す時計35の第2実施形態において、通信装置4は時計35のベゼル2の領域に設置される。
この通信装置4は、例えば、NFC型(Near Field Communication)またはRFID型(Radio Frequency Identification)の短距離で高周波の無線通信技術を実装する。通信装置4は、好ましくは高周波HFで、例えば13.56MHzで動作する。しかしながら、他の変形例において、通信装置4は以下の周波帯で動作可能である。
・低周波LF、例えば125kHzから134.2Hzの間。
・極超短波UHF、例えば860MHzから960MHzの間。
・超高周波SHF、例えば2.45GHz。
こうした技術は、時計35が他の関連付けられた周辺装置と短距離での情報交換を可能とする。この距離は0から20cm程度の間、好ましくは0から2cmの間であってよい。通信装置4は、各関連付けられた周辺装置が放射する無線周波数によりエネルギーが供給される受動型であってもよい。換言すれば、受動型で機能する通信装置4は、チップの中に電力供給のための電気誘導機構を用いる。更に、ブルートゥース技術とは異なり、通信装置は非常に限定されたデータ量を非常に近距離で転送することを可能とする。その転送は規制されたもので、高いセキュリティを有する。
時計35と各関連付けられた周辺装置が近距離であることにより、周辺装置との接続を確立する不本意な起動を回避することや、同様に侵害行為に起因する可能性のある無許可接続の試み全てを制限することができる。
更に詳しくは、近距離無線通知装置4は、電子チップ6と、少なくとも1つのアンテナ5から構成される。当該少なくとも1つのアンテナ5に接続されたチップ6は、ハードウェア要素及びソフトウェア要素を含む。ここで、装置4のチップ6のハードウェア及びまたはソフトウェア要素は、更に詳しくは、メモリ要素13bと協働する少なくとも1つのマイクロプロセッサ13aを含む。チップ6は、コンピュータプログラムを実施させるプログラム命令コードを実行可能であってもよい。チップ6のメモリ要素13bは、時計35に関するまたは時計の装着者に関する情報についてのデータを保存することができる。代替案の1つとして、通信装置4は、チップ6とアンテナ5が接着されるプラスチック製または積層複合材製の基板16を含んでもよい。
時計35において、磁気シールド要素としても知られる遮磁壁8は、通信装置4が発生する磁場の周波数帯に適合させた透磁率を有する。例えば、通信装置4が高周波HF帯域で作動する場合、遮磁壁8はμ’>100の高い初透磁率μ’と、μ”<7の低い磁気損失μ”を有し、好ましくは透磁率μ’として150と、磁気損失μ”として5を有する。
こうした遮磁壁8は、好ましくは1000KΩ/mより大きな電気抵抗値と、50から200μmの間の、好ましくは180μmの厚さを有する。
遮磁壁8は、例えばフェライトといった、金属素材から製造されてもよい。
遮磁壁8は、通信装置により送受される磁場の変更を回避することができるが、こうした改良は、時計35のケース20やムーブメントといった、通信装置4の近距離周辺に位置する各種金属部品33の存在によるものである。実際に、遮磁壁8は、こうした金属部品33が通信装置4の性能に与えかねないマイナスの影響を減少させることができる。マイナスの影響とは、通信装置4が発生または受信する磁場の減衰を含む。
更に詳しくは、図11Aは、ベゼル1または文字盤2の少なくとも一方の領域に配置された通信装置4と、ケース20またはムーブメントといった金属部品33を含む、時計31の模式図を示す。時計31は、遮磁壁8を欠く点で、本発明の時計と異なる。当該構成において、通信装置4が磁束線により特徴づけられる磁場を発生した場合、磁束線は通信装置4の近距離周辺に存在する金属部品33の区域を通過する。金属部品33を通過する磁場の変化は、当該区域において、「フーコー電流」として知られる電流の外観を形成する傾向にある。当該区域における電流の形成は、磁場の強さを減衰させる効果がある。
図11Bにおいて、時計35は、通信装置4と金属部品33に加え、本発明の本実施形態の場合と同様に、遮磁壁8を含む。遮磁壁8は、通信装置4と装置4の近距離周辺に存在する金属部品33との間に、以下に説明する異なる構成で、配置される。こうした条件の下、通信装置4が磁場を生成すると、磁場は通信装置4の近距離周辺に存在する金属部品33の区域を通過しない。実際、遮磁壁8は、磁場から得られる磁束線を変更することで、磁束線が金属部品33を通過しないよう、磁場を導くことができる。こうして、機械部品33は、通信装置4が生成する磁場から磁気的に隔離される。換言すれば、遮磁壁8は時計35を、通信装置4が生成する磁場を含む第1の区域と、遮磁壁8の作用により磁場に曝されない第2の区域の2つの区域に分離することができる。
遮磁壁8は、アンテナ5をその近距離周辺に含まれる金属部品33から隔離することにより、通信装置4のアンテナ5による無線信号の受信/送信の効率と感度を向上させることを可能にする。
当該遮磁壁8は柔軟性があっても剛性があってもよく、少なくとも1つの層、1つの板、1つの膜または1つの金属堆積物を含んでもよく、これらは好ましくはフェライトからなり、またはフェライトの金属粒子で安定させた高分子樹脂からなってもよい。こうした遮磁壁8は、省スペースである。
時計35において、遮磁壁8は、時計35の中に通信装置4に対応して配置されることにより、または通信装置4と通信装置4の近距離周辺に含まれる時計35の少なくとも1つの金属部品33に対して配置されることにより、通信装置4と関連付けられる。以下に説明する2つの実施形態の異なる変形例において、遮磁壁8と通信装置4との間に約0から2500μmに規定される空隙が存在することによるか、または、通信装置4と通信装置4の近距離周辺に含まれる少なくとも1つの金属部品33との間に遮磁壁8が配置されることによるかの少なくとも一方により、遮磁壁8は通信装置4と関連付けられる。
遮磁壁8と通信装置4との間の空隙が基本的に0の場合、通信装置4に含まれるまたは搭載される支持体に対して、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、接着、または蒸着の技術によって、遮磁壁を形成することにより、遮磁壁8は通信装置4と関連付けることができる。このように、優れた電気絶縁性能を有する支持体を選択することができる。支持体は、素材の層、膜、帯等であってもよい。本構成では、支持体は、通信装置4のアンテナ5の領域のみに設置されてもよいし、アンテナ5とチップ6の領域に設置されてもよい。
例として、遮磁壁8は、時計35において通信装置4の下に配置されることで、即ち時計35の金属部品33を構成するムーブメントと通信装置4との間に配置されることで、通信装置4と関連付けられる。この構成では、遮磁壁8は、通信装置4のアンテナ5と直接に接触するのではなく、むしろチップ6と接触可能とすることで、通信装置4と関連付けられる。
上述の通り、時計35の第1実施形態において、通信装置4は文字盤1の領域に配置される。第1実施形態は、通信装置4が配置される文字盤1の4つの変形例を含む。文字盤1のこのうちの1つは、一体型デザインのものである。文字盤1は、良好な強度と、ディスプレイの適切な外観を提供するため、好ましくは硬質材料で製造される。更に、当該材料は導電性能を有さず、例えば合成サファイア、セラミック、または例えばポリアミド−ナイロンPA12、ポリカーボネートPCまたはポリフェニルスルホンPPSuといった射出成型または流し込みのポリマーから製造されてよい。
好ましくは円形の文字盤1は、時計35のムーブメントの向かい側に位置する下表面11bと反対側の、可視ディスプレイ表面を形成する上表面11aを含む。
文字盤1は同様に下及び上表面11b、11aを互いに結合する周囲壁25を含む。上及び下表面11a、11bは、互いに平行であってよく、周囲壁25と表面11a、11bのそれぞれとの交点は、周囲縁27a、27bを規定する。
文字盤1は、足部34を含んでもよく、この足部34は、文字盤の製造工程において幾何学的標準として用いられ、かつ文字盤1をケース20またはムーブメントの少なくとも一方へ固定するために用いられる。ケース20またはムーブメントの少なくとも一方は、文字盤1がケース20またはムーブメントの少なくとも一方に取り付けられたときに足部34が係合するオリフィスを含む。オリフィスの横方向のネジ穴に係合するねじ等の固定要素により、文字盤1とケース20またはムーブメントの少なくとも一方との間の機械的結合が保証される。足部34は、(図1、2、4で見られるように)文字盤の下表面11bの領域、または(図5及び6で見られるように)周辺壁25の領域の少なくとも一方に、配置することができる。足部34は、例えばつまみ部に対応してもよい。
上表面11aは、その周辺区域において、時及び分の印7といった、時刻表示印7を有してもよい。印7は、目盛であってもよく、数字(ローマまたはアラビア)であってもよく、小さな貴石や半貴石といった装飾要素であってもよく、またはこれらのうち2から3の組み合わせであってもよい。文字盤1も同様に、時計35の針を上表面11a上で支持可能な、ムーブメントの連鎖に連結される軸の自由端が通過する、軸線通過オリフィス10を有する。文字盤1はまた、日付に関する情報を表示可能な開口9を含む。
図1から4に示す文字盤1の第1変形例において、通信装置4は文字盤1の下表面11bに配置される。更に詳しくは、この変形例において、下表面11bは、通信装置4を搭載可能なポケット3を含む。ポケット3は、文字盤1の軸線通過オリフィス10周りの下表面11bに規定される。ポケット3は、以下に底壁15aと称するポケット3の底部を形成する壁15aと、側壁15bを含み、側壁15bは好ましくは底壁15aに直角をなす。底壁15a及び側壁15bはそれぞれ、ほぼ平面状の表面を有する。底壁15aの表面は、ポケット3を形成しない下表面11bの一部分12と平行な、または上表面11aと平行な、平面に形成される。
ポケット3の側壁15bは、下表面11bの一部分12と共に、ポケット3の開口を規定する縁26を形成する。
図3を参照して、ポケット3は、一般的な円形状を有してもよい。実際に、ポケット3は、日付に関する情報を表示するための文字盤1に設けられた開口9の周りに凹部を形成する区域を有していてもよい。
この変形例において、ポケット3は、下表面11bの約40から90%に規定され、好ましくは下表面11bの80%に規定される。更に、ポケット3は、300から500μm程度の、好ましくは400μmの深さP1を有してもよい。
少なくとも1つのアンテナ5に接続されるチップ6を含む通信装置4は、文字盤1に形成されたポケット3に配設される。更に詳しくは、チップ6及びアンテナ5は、ポケット3の底壁15aに、接着することにより、または底壁15aに存在する固定要素に嵌合することにより、固定することができる。代替的に、アンテナ5は、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、または蒸着の技術によって、底壁15aに配設することもできる。
文字盤1の当該変形例において、チップ6とアンテナ5が接着されるプラスチックまたは積層複合材製の基板16を含む通信装置4の代替品を、同様に、ポケット3に、特に接着により、配置することができる。
文字盤1の当該変形例において、通信装置4が遮磁壁8と関連付けられる場合、文字盤1の開口は、遮磁壁8により全部または一部封止される。遮磁壁8は、ポケット3の開口の縁26、即ち、ポケット3を構成しない下表面11bの一部分12に、接着、嵌合または溶接により機械的に接続される固定区域を含む。代替的に、遮磁壁8は、嵌合により配置され、ポケット3の開口の全部または一部をカバーできるよう、開口の形状と基本的に補完する形状を有してもよい。この場合、遮磁壁8は好ましくは剛体であり、開口の縁26は、遮磁壁8の輪郭と協力可能な、嵌合区域を含む。
ポケット3内へ通信装置4を配置することで、ムーブメントの機能を妨げないように、時計35のケース20内の当該装置4のスペースを制限することができる。
図5、6に図示される文字盤1の第2変形例において、少なくとも1つのアンテナ5に接続されたチップ6を含む通信装置4は、文字盤1の下表面11bの領域に配置される。更に詳しくは、チップ6とアンテナ5は、接着または下表面11bに存在する固定要素への嵌合により、下表面11bに固定されてもよい。代替的に、アンテナ5は、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、または蒸着の技術によって、下表面11bに配設することもできる。
文字盤1の当該変形例において、チップ6とアンテナ5が接着されるプラスチックまたは積層複合材製の基板16を含む通信装置4の代替品を、同様に、下表面11bに、特に接着により、配置することができる。
この変形例において、通信装置4が遮磁壁8と関連付けられる場合、遮磁壁8は通信装置4をカバーするよう、下表面11bに配置される。更に詳しくは、遮磁壁8は、下表面11bとムーブメントの間に位置することにより、アンテナ5またはアンテナ5とチップ6の下に配置可能である。この構成において、遮磁壁8は、下表面11bに配置された通信装置4をカバー可能な、少なくとも1つの層、1つの膜、または1つの金属堆積物から成る。このため、通信装置4のアンテナ5またはアンテナ5とチップ6は、遮磁壁8と下表面11bとの間に含まれる。遮磁壁8は、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、接着または蒸着の技術によって、通信装置4をカバーするよう、下表面11bに塗布されてもよい。
当該第2変形例は、文字盤1の周辺壁25に足部を有する文字盤1に特に適合する。実際に、当該構成においては、文字盤1の足部34が下表面11bに存在しないことから、通信装置4と特にアンテナを下表面11bのより大きな部分に配置することができる。
図7に図示される文字盤1の第3変形例において、通信装置4は文字盤1の上表面11a上に配置される。更に詳しくは、当該変形例において、通信装置4のアンテナ5は、例えばメタリックワイヤ、層、膜、または金属堆積物に対応する少なくとも1つの金属要素により形成することができる。当該要素は、以下に説明する、限定的ではない、異なる代替案により上表面11aに配設することができる。
実際、図7に図示する第1代替案において、アンテナ5は、金属要素の部品14により互いに接続可能な、上表面11aに存在する印7を有する金属要素であってもよい。この文脈において、印7と部品14は、例えば銅やアルミニウムといった、金属素材製である。
第2代替案において、アンテナ5は、印7が存在する文字盤1の上表面11aに規定された周辺区域の領域に配置される金属要素であってもよい。この場合、金属要素は、当該周辺区域に延伸し、文字盤1を少なくとも一周し、印7に沿って進む。
第3代替案において、金属要素は、上表面11aに規定された周囲縁27aの領域において、上表面11aに配置されてもよく、任意で印7と周囲縁27aの間に配置されてもよい。
上記代替案において、金属要素は好ましくは、目に見えないように、文字盤1の厚みにオーバーモールドすることにより、または射出成形することにより、上表面11aに配置される。金属要素は同様に、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、エッチング、接着または蒸着の技術によって、上表面11aに塗布可能であり、この場合には例えば審美的形状を有するモチーフを構成するよう、文字盤1の上表面11aに見えるように配置される。
印7が部品14と共同してアンテナ5を形成する場合、印7は金属塗料の印刷、シルクスクリーン、接着または蒸着といった上述の技術により製造可能である。
この変形例において、アンテナ5は、その後通信装置4のチップ6に接続される。チップ6は、外側から見えないように、オーバーモールドまたは射出成形技術により、文字盤1の上表面11a上に配置される。チップ6は同様に、接着技術により文字盤1の上表面11aに塗布可能であり、その場合には例えば審美的形状を有するモチーフを構成するよう、文字盤1の上表面11aで見えるように配置される。
文字盤1の当該変形例において、通信装置4が遮磁壁8と関連付けられる場合、遮磁壁8は文字盤1の下表面11bに配置される。遮磁壁8は同様に、上表面11a上で、アンテナ5またはアンテナ5とチップ6の下に配置されてもよい。当該構成の場合、遮磁壁8は、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、接着または蒸着の技術によって文字盤1の2つの表面11a、11bのいずれかに塗布可能な少なくとも1つの層、1つの膜、または1つの金属堆積物を含む。代替的に、遮磁壁8は、オーバーモールドまたは射出成形技術により、文字盤1でアンテナ5またはアンテナ5とチップ6の下に配置されてもよい。
図8に図示する文字盤1の第4変形例において通信装置4は、上及び下表面11a、11bの間で、文字盤1に配置される。当該構成において、通信装置4は、チップ6及びアンテナ5が接着されるプラスチックまたは積層複合材製の基板16を有してもよい。通信装置4はその後、オーバーモールドまたは射出成形技術により文字盤1に搭載される。
文字盤1の当該変形例において、通信装置4が遮磁壁8と関連付けられる場合、遮磁壁8は文字盤1の下表面11bに配置される。当該構成の場合、遮磁壁8は、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、接着、または蒸着の技術によって文字盤1の下表面11bに塗布可能な少なくとも1つの層、1つの膜、または1つの金属堆積物から成る。代替的に、遮磁壁8は、オーバーモールドまたは射出成形技術により、文字盤1で通信装置4の下に配置されてもよい。
上述の通り、時計35の第2実施形態において、通信装置4はベゼル2の領域に配置される。第2実施形態は、ベゼル2の異なる変形例を規定する。2つの変形例において、ベゼル2は好ましくは、良好な強度を有し、好ましくは導電性能を有さない、硬質材料で製造される。当該素材は、例えば、合成サファイア、セラミック、または例えばポリアミド−ナイロンPA12、ポリカーボネートPCまたはポリフェニルスルホンPPSuといった射出成型または流し込みのポリマーから製造されてよい。ベゼル2は円形で、下表面23bと上表面23aを含んでもよい。上表面23aは、時刻表示印を含む、可視ディスプレイ表面を構成してもよい。
図9に示すベゼル2の第1変形例において、通信装置4はベゼル2に配置される。更に詳しくは、当該変形例において、ベゼル2は、下表面23bが通信装置4をその中に位置可能なポケット18を含む、一体型ピースである。ポケット18は、ベゼル2の下表面23bに延伸するスロートまたは環状溝を形成する。ポケット18は、U字形であってもよい横断面を有する。当該ポケット18は、底壁19aと側壁19bを有し、側壁19bは好ましくは底壁19aに垂直である。底壁19a及び側壁19bはそれぞれ、本質的に平面状表面を有する。
ポケット18の側壁19bは、当該ポケット18を構成しない下表面23bの一部分29と、ポケット18の開口を規定する縁28を形成する。
当該変形例において、ポケット18の開口は、下表面23bの約30から70%、好ましくは表面23bの50%に規定される。ポケット18は、約200から2500μm、好ましくは1000μmの深さP2を有する。
少なくとも1つのアンテナ5に接続されるチップ6を含む通信装置4は、ベゼル2に形成されたポケット18に配設されてもよい。更に詳しくは、チップ6とアンテナ5は、接着またはポケット18の底壁19a及びまたは側壁19bに存在する固定要素への嵌合により、底壁19a及びまたは側壁19bに固定することができる。代替的に、アンテナ5は、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、または蒸着によって、側壁19a及びまたは側壁19bに配設されてもよい。
ベゼル2の当該変形例において、チップ6及びアンテナ5が接着される、プラスチックまたは積層複合材製の基板16を有する通信装置4の代替案は同様に、特に接着または嵌合により、または寸法調整を介した機械的抵抗を利用して打ち込むことにより、ポケット18に配置されてもよい。
ベゼル2の当該変形例において、通信装置4が遮磁壁8と関連付けられる場合、通信装置4の性能を最適化するため、ポケット18の開口は完全にまたは部分的に遮磁壁8によりカバーされる。遮磁壁8は、ポケットの開口の縁28に、すなわち、下表面23bの一部分29に、接着、嵌合または溶接により機械的に接続される、固定用区域を有する。代替的に、遮磁壁8は、遮磁壁8が嵌合または接着により開口に配置可能であり、ポケット18の開口の全部または一部をカバーするように開口の形状と本質的に補完する形状を有してもよい。この場合、遮磁壁8は好ましくは剛体であり、開口の縁28は、遮磁壁8の輪郭と協働可能な嵌合区域を有する。
図10に示すベゼル2の第2変形例において、通信装置4はベゼル2内に配置される。更に詳しくは、当該変形例において、ベゼル2は、第1部品17aと第2部品17bを有する。第1部品17aは、ベゼル2の上表面23aと第1内表面30aを含み、第2部品17bはベゼル2の下表面23bと第2内表面30bを含む。ベゼル2の当該変形例を形成するために第1部品17aを第2部品17bと組みつける場合、第1及び第2内表面30a、30bは互いに対向して配置され、その表面の全部または一部と接触する。第1及び第2内表面30a、30bは接続要素を有する。第1及び第2内表面30a、30bのそれぞれの接続要素は、2つの部品17a、17bが互いに組付けられたときに、両部品間に機械的接続を保証するよう、補完形状を有してもよい。
当該変形例において、第2部品17bの第2内表面30bは、内部に通信装置4を配置可能なポケット18を有する。当該ポケット18は、ベゼル2の第2部品17bの第2内表面30b内に延伸するスロートまたは環状溝を形成する。ポケット18は、U字形であってもよい横断面を有する。当該ポケット18は、底壁19aと側壁19bを有し、それぞれの壁はほぼ平面状の表面を有し、側壁19bは好ましくは底壁19aに垂直である。
ポケット18の側壁19bは、当該ポケット18を構成しない第2内表面30bの一部分29と、ポケット18の開口を規定する縁28を形成する。
当該変形例において、ポケット18の開口は、第2内表面30bの約30から70%、好ましくは当該表面の50%に規定される。ポケット18は、約200から2500μm、好ましくは1000μmの深さP3を有する。
当該変形例において、通信装置4が遮磁壁8と結合される場合、遮磁壁8はポケット18内に配置される。遮磁壁8は、ポケット18の底壁19a及びまたは側壁19bに塗布された層、膜、または金属堆積物に対応することができる。ポケット18への遮磁壁8の塗布は、金属塗料の印刷、シルクスクリーン、または蒸着の技術によって行うことができる。
通信装置4はその後、遮磁壁8上で、ポケット18内に配設される。更に詳しくは、チップ6及びアンテナ5は、通信装置4のアンテナ5が遮磁壁8と接触しないよう、底壁19a及びまたは側壁19bに含まれる少なくとも1つの支持要素に、接着または嵌合により固定されてもよい。支持要素は、少なくとも1つの固定アームまたは素材の層に対応してもよい。素材の層は、ポケット18内に配置された遮磁壁8の全部または一部をカバーしてもよく、電気絶縁性能を有してもよい。代替的に、通信装置4は、第1の部品17aの内表面30aに規定された接続区域に固定されてもよい。当該接続区域は、第1及び第2の部品17a、17bが相互に組みつけられたときに、ポケット18と反対に位置する。
ベゼル2の当該変形例において、チップ及びアンテナ5が接着される、プラスチックまたは積層複合材製の基板16を有する通信装置4の代替品は、特に第2変形例について上述したのと同一の原理で、ポケット18に配置されてもよい。
第2変形例において、ポケット18の開口は、その後、ベゼル2を形成するために第1の部品17aが第2の部品17bと組みつけられるときに封止される。
本発明の上記2つの実施形態において、通信装置4及び遮磁壁8は、例えばポリマーの同一ピースにオーバーモールドされることにより、モジュールに含まれてもよい。当該モジュールは、その後、上述の異なる変形例に基づき、文字盤1及びベゼル2に配置されてもよい。異なる変形例における当該モジュールの配置は、好ましくは、時計35がデータ交換可能である関連する周辺装置の方向に、アンテナ5が最適に照射するよう、決定される。
当該時計35において、ケース20は、ベゼル2または文字盤1の領域に配置された通信装置4の性能を最適化/最大化するよう適合される。実際、ケース20は、全体または部分を、例えば合成サファイア、セラミック、または例えばポリアミド−ナイロンPA12、ポリカーボネートPCまたはポリフェニルスルホンPPSuといった射出成型または流し込みのポリマーなどの導電性能を有さない素材で製造されてよい。ケース20は、当該素材で全体を製造されてよい。代替的に、ケース20は、例えば文字盤1及びベゼル2の高さより上に位置するケースバンドの一部分など、文字盤1の上に位置する部品といった、当該素材で設計される部品をいくつかしか有さないことで、その一部のみが当該素材で製造されてもよい。
このため、上述の通り、文字盤1、ベゼル2、またはケース20の全部または一部を、導電性能を有さない素材で製造してもよい。当該素材の電気の非伝導性は、電流の流れに抵抗する能力を特徴づける、抵抗率により数値化される。当該素材の抵抗率は、1012Ω/cmより大きく、好ましくは1013Ω/cmより大きい。
文字盤1やベゼル2など時計の上部に通信装置を配置することで、当該時計35の装着者のリストバンドに起因する可能性のある摂動効果を制限することができる。
本発明は、これまで明確に説明してきた実施形態に限定されるものではなく、以下の請求項の領域に含まれる異なる変形例や一般化例を含むものである。
1 文字盤
2 ベゼル
4 通信装置
5 アンテナ
6 チップ
7 印
8 遮磁壁
16 基板
20 ケース
33 金属部品
35 時計

Claims (13)

  1. 信号を送受信可能な近距離無線通信装置(4)を含む文字盤(1)またはベゼル(2)の少なくとも一方を備える時計(35)であって、
    前記通信装置(4)は、チップ(6)及びアンテナ(5)を含み、かつ当該時計(35)の前記文字盤(1)または前記ベゼル(2)の領域に配置され、
    前記通信装置(4)と関連付けて特にフェライト製の遮磁壁(8)を備える、
    時計(35)。
  2. 前記通信装置(4)が文字盤(1)の領域に配置される場合、前記文字盤(1)は前記通信装置(4)が配置される下表面(11b)を有することを特徴とする請求項1に記載の時計(35)。
  3. 前記通信装置(4)が文字盤(1)の領域に配置される場合、前記文字盤(1)は前記通信装置(4)が配置されるポケット(3)を設けた下表面(11b)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の時計(35)。
  4. 前記通信装置(4)が文字盤(1)の領域に配置される場合、前記文字盤(1)は前記通信装置(4)が配置される上表面(11a)を有することを特徴とする請求項1に記載の時計(35)。
  5. 前記通信装置(4)が文字盤(1)の領域に配置される場合、前記文字盤(1)は、上及び下表面(11a、11b)を有し、前記通信装置(4)は両表面間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の時計(35)。
  6. 前記通信装置(4)がベゼル(2)の領域に配置される場合、前記ベゼル(2)は、前記通信装置(4)が配置されるポケット(18)を有する下表面(23b)を含む一体型ピースであることを特徴とする請求項1に記載の時計(35)。
  7. 前記通信装置(4)が前記文字盤(1)の領域に配置される場合、前記遮磁壁(8)は、文字盤(1)の下表面(11b)上のポケット(3)により形成される開口を封止するように、前記下表面(11b)に位置する、または
    前記通信装置(4)が前記ベゼル(2)の領域に配置される場合、前記遮磁壁(8)は、ベゼル(2)の下表面(23b)上のポケット(18)により形成される開口を封止するように、前記下表面(23b)に位置することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の時計(35)。
  8. 前記ベゼル(2)は第1及び第2の部品(17a、17b)を含み、前記第2の部品(17b)は前記通信装置(4)を収容可能なポケット(18)を設けた第2の内表面(30b)を含むことを特徴とする請求項1に記載の時計(35)。
  9. 前記遮磁壁(8)は、前記ポケット(18)の底壁(19a)または側壁(19b)の少なくとも一方に位置することを特徴とする請求項8に記載の時計(35)。
  10. 前記文字盤(1)またはベゼル(2)の少なくとも一方は、それぞれ導電性能を有さない素材で製造されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の時計(35)。
  11. 前記遮磁壁(8)は、特にフェライトの、1つの層、1つの板、1つの膜及び1つの金属堆積物の少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の時計(35)。
  12. 前記通信装置(4)は、電子チップ(6)及びアンテナ(5)が接着される、プラスチックまたは積層複合材製の基板(16)を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の時計(35)。
  13. 前記通信装置(4)は、NFCまたはRFIDの技術によるものであることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の時計(35)。

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