JP2017031354A - インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及び記録物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ケーキングの発生を防止でき、隠蔽性、光沢性、及び耐擦過性に優れる画像が得られるインクを提供することを目的とする。
本発明のインクは、3つ以上の球状シリカからなる鎖状シリカ、白色着色剤、及びウレタン樹脂粒子を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
前記鎖状シリカは、3つ以上の球状シリカの一次粒子が鎖状(数珠つなぎ)に連なった形状をしている二次粒子シリカであり、数珠状シリカとも称される。球状シリカの一次粒子が連なり長鎖となったものはパールネックレス状シリカとも称されることがある。
前記個数平均一次粒径としては、走査型電子顕微鏡(商品名「JSM−6700」、日本電子株式会社製)により写真を撮り、小型汎用画像解析装置(装置名:LUZEX III、株式会社ニレコ製)により、5nm以上の100個以上の一次粒子の長径を測定し、前記長径の平均値から求めることができる。
前記個数平均二次粒径としては、透過型電子顕微鏡(装置名:JEM−2100F、日本電子株式会社製)を用いて測定することができる。
前記白色着色剤としては、白色を呈すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白色顔料、中空樹脂粒子などが挙げられる。
前記白色顔料としては、例えば、白色無機顔料、白色有機顔料などが挙げられる。これらの中でも、白色無機顔料が好ましい。なお、白色度の基準としては、ISO−2469(JIS P 8148)に準拠して測定することができ、前記測定により求められる基準値が70以上の場合、白色着色剤として好適に用いることができる。
前記白色無機顔料としては、例えば、金属酸化物、その金属塩、その他の無機物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、金属酸化物が好ましい。具体的には、酸化チタン、表面処理された酸化チタン、その他の酸化亜鉛、鉛白、硫酸鉛、リポトン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化鉛と酸化亜鉛の合金(鉛亜鉛華)、塩基性硫酸塩、珪酸鉛、酸化ジルコン、メタホウ酸バリウム、パッチンソン白、マンガン白、酸化錫、タングステン白、鉛酸カルシウム、或いはその混合物などが挙げられる。これらの中でも、隠蔽性の点から、酸化チタン、表面処理された酸化チタンが好ましい。
前記酸化チタンとしては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、石原産業株式会社製、堺化学工業株式会社製、テイカ株式会社製、チタン工業株式会社製、富士チタン工業株式会社製、古河ケミカルズ株式会社製、デュポン株式会社製、トロノックス社製、クロノス株式会社製、ミレニアム・インオーガニック・ケミカルズ社製のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記中空樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−アクリル樹脂、架橋型スチレン−アクリル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記中空樹脂粒子としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、スチレン−アクリル樹脂として、商品名:MH5055(日本ゼオン株式会社製)、商品名:ローペイクOP−62(個数平均一次粒径:240nm)、商品名:ローペイクOP−84J、商品名:ローペイクOP−91、商品名:ローペイクHP−1055、商品名:ローペイクHP−91、商品名:ローペイクULTRA(以上、ロームアンドハース社製)、架橋型スチレン−アクリル樹脂として、商品名:SX−863(A)、商品名:SX−864(B)、商品名:SX−866(A)、商品名:SX−866(B)、商品名:SX−868(以上、JSR株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記球状シリカの個数平均一次粒径(a)と、前記白色着色剤の個数平均一次粒径(b)との粒径比(a/b)としては、0.030以上0.15以下であり、0.045以上0.15以下が好ましい。前記粒径比(a/b)が、0.030以上であると、白色着色剤の個数平均一次粒径が、球状シリカの個数平均一次粒径に対して大きくなりすぎず、鎖状シリカと白色着色剤との沈降時の沈降速度を揃えることができ、鎖状シリカによるケーキングの発生を防止でき、0.15以下であると、鎖状シリカが、インク中の沈殿物において白色着色剤の間に好適に配され、ケーキングの発生を防止できる。なお、鎖状シリカにおいて、市販品を使用した場合に、前記鎖状シリカの個数平均一次粒径が一定の範囲を有するときは、その中央値を用いて求めることができる。
鎖状シリカの含有量(質量%)と、白色着色剤の含有量(質量%)との質量比(鎖状シリカ/白色着色剤)としては、0.001以上0.6以下が好ましく、0.01以上0.25以下がより好ましい。前記質量比(鎖状シリカ/白色着色剤)が、0.001以上0.6以下であると、白色着色剤が沈降する際に、白色着色剤が鎖状シリカを巻き込みながら沈降して、沈降物の含溶剤率を高くでき、ケーキングの発生を防止できる。
前記ウレタン樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インクを製造する際に、連続相としての水中にウレタン樹脂を分散することでウレタン樹脂粒子とすることができる。
前記アニオン性基としては、水分散安定性の点から、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。
前記アニオン性基をウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば、アニオン性基を持ったモノマーと、ウレタン樹脂とを反応させることなどが挙げられる。
なお、前記体積平均粒径としては、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得ることができる。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、画像堅牢性の点から、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた耐擦過性を付与できるインク用バインダーを得る点から、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のジオールとホスゲンと、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネートとの反応から得られる生成物などの公知のものが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物;トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらのジイソシアネートの変性物(カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有変成物等)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、長期耐候性の点から、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物が好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤、界面活性剤、有機溶剤などが挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐防黴剤としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、商品名:プロキセルLV(アビシア株式会社製)などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記pH調整剤としては、インクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、第4級アンモニウム水酸化物、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化アンモニウム、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤は、記録媒体への濡れ性の確保の点から含有することが好ましい。
前記アニオン性界面活性剤としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、商品名:パイオニンA−51−B(竹本油脂株式会社製)などが挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、市販品を使用してもよく、前記市販品としては、例えば、エアープロダクツ株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、82、465、485、TG)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記両性界面活性剤としては、市販品を使用してもよく、前記市販品として、例えば、日光ケミカルズ株式会社製、日本エマルジョン株式会社製、株式会社日本触媒製、東邦化学工業株式会社製、花王株式会社製、株式会社ADEKA製、ライオン株式会社製、青木油脂工業株式会社製、三洋化成工業株式会社製のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインクの粘度としては、25℃での吐出時が2mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましい。前記粘度が、2mPa・s以上であると、インクの吐出時の残留振動が起こりにくくなり、駆動波形による吐出後の振動を抑制しやすく、短時間で次の吐出ができ、高速印字に好適に利用することができる。また、20mPa・s以下であると、吐出性を向上することができる。なお、使用環境温度に応じて粘度は変化するため、使用環境温度において前記粘度が上記範囲を満たすことが好ましい。前記粘度としては、例えば、粘度計(装置名:RE−550L、東機産業株式会社製)を用いて測定することができる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、イソプロピリデングリセロール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン;プロピレンカーボネート;炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインクの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクの構成成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて撹拌混合するなどが挙げられる。
前記撹拌混合としては、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などが挙げられる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般的な印刷用紙、普通紙、プラスチックフィルムなどが挙げられる。
本発明のインクは、非浸透性基材に適用したときに、良好な光沢性、及び画像堅牢性を備えた画像を得ることができる。これらの中でも、プラスチックフィルムが好ましい。
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、PETフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられる。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性及び吸着性の少なくともいずれかが低い表面を有する基材を意味しており、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材を意味する。
また、その他の非浸透性基材、普通紙、無機物コート浸透性媒体などの従来用いられてきた浸透性媒体に対しても使用できる。
本発明のインクカートリッジは、インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、加熱工程、その他の工程を含む。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有し、更に必要に応じて、加熱手段、その他の手段を有する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は、前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記加熱工程は、加熱手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、本発明のインクに、刺激(エネルギー)を印加し、インク吐出用の各種のノズルからインクを飛翔させて、記録媒体に画像を記録する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明のインクに、刺激(エネルギー)を印加し、インク吐出用の各種のノズルからインクを飛翔させて、記録媒体にインクを飛翔する手段である。
前記加熱工程は、画像を記録した前記記録媒体を加熱する工程である。
前記加熱手段は、画像を記録した前記記録媒体を加熱する手段である。
前記インクジェット記録方法及び前記インクジェット記録装置としては、前記非浸透性基材に高画像品質な記録ができるが、より一層高画質で耐擦性、及び密着性の高い画像の形成、並びに高速の記録条件にも対応できるようにするために、記録後に前記非浸透性基材を加熱することが好ましい。記録後に加熱工程を有すると、インク中に含有される樹脂の造膜が促進されるため、記録物の画像硬度を向上させることができる。
前記加熱温度としては、インク中に含まれる有機溶媒の種類や量、及び添加する樹脂エマルジョンの最低造膜温度に応じて変更することができ、さらに印刷する基材の種類に応じても変更することができる。
前記加熱温度としては、乾燥性、及び造膜温度の点から、高いことが好ましく、40℃以上120℃以下がより好ましく、40℃以上100℃以下がさらに好ましく、50℃以上90℃以下が特に好ましい。前記加熱温度が、40℃以上120℃以下であると、印刷する非浸透性基材の熱によるダメージを防止し、インクヘッドが温まることによる不吐出が生じることを抑制することができる。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134の複数のインク吐出口を、主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135)を搭載している。サブタンク135には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部104に装填された本発明のインクカートリッジ201から、前記インクが供給されて補充される。
前記給紙部から給紙された基材142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、基材142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる基材142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる基材142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられ、また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
前記インクジェット記録装置においては、給紙部から基材142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された基材142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、基材142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。
そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している基材142にインク滴を吐出して1行分を記録し、基材142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は基材142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、基材142を、排紙トレイ103に排紙する。
本発明の記録物は、記録媒体上に、前記インクにより記録された画像を有する。
前記記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、本発明のインクは、非透過性基材に適用されるときにも良好な発色を備えた画像を提供することができる。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性及び/又は吸着性が低い表面を有する基材をいい、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、PETフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムが好適であるが、その他の非浸透性基材及び普通紙や無機物コート浸透性媒体などの従来用いられてきた浸透性媒体に対しても十分な性能を示す。
<白色顔料分散体Aの作製>
酸化チタン(個数平均一次粒径:90nm以上140nm以下、中央値:115nm)100gを、2.5N(規定)の次亜塩素酸ナトリウム溶液3,000mLに添加し、温度が60℃、速度が300rpmで撹拌して、10時間反応させて酸化処理を行い、酸化チタンの表面にカルボン酸基を付与させた白色顔料の反応液を得た。得られた反応液を濾過し、濾別した白色顔料を水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。次いで、イオン交換水を用いて透析膜による限外濾過を行い、さらに、超音波分散機を用いて、超音波分散を行って、顔料固形分濃度が20質量%である酸化チタン分散体A(自己分散型)を得た。
<酸化チタン分散体Bの作製>
前記白色着色剤分散体の作製例1において、酸化チタン(個数平均一次粒径:90nm以上140nm以下、中央値:115nm)を、酸化チタン(個数平均一次粒径:100nm以上200nm以下、中央値:150nm)に変更した以外は、白色着色剤分散体の作製例1と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である酸化チタン分散体B(自己分散型)を得た。
<酸化チタン分散体Cの作製>
前記白色着色剤分散体の作製例1において、酸化チタン(個数平均一次粒径:90nm以上140nm以下、中央値:115nm)を、酸化チタン(個数平均一次粒径:110nm以上270nm以下、中央値:190nm)に変更した以外は、白色着色剤分散体の作製例1と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である酸化チタン分散体C(自己分散型)を得た。
<酸化チタン分散体Dの作製>
前記白色着色剤分散体の作製例1において、酸化チタン(個数平均一次粒径:90nm以上140nm以下、中央値:115nm)を、酸化チタン(個数平均一次粒径:130nm以上350nm以下、中央値:240nm)に変更した以外は、白色着色剤分散体の作製例1と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である酸化チタン分散体D(自己分散型)を得た。
<酸化チタン分散体Eの作製>
前記白色着色剤分散体の作製例1において、酸化チタン(個数平均一次粒径:90nm以上140nm以下、中央値:115nm)を、酸化チタン(個数平均一次粒径:180nm以上620nm以下、中央値:400nm)に変更した以外は、白色着色剤分散体の作製例1と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である酸化チタン分散体E(自己分散型)を得た。
<酸化チタン分散体Fの作製>
前記白色着色剤分散体の作製例1において、酸化チタン(個数平均一次粒径:90nm以上140nm以下、中央値:115nm)を、酸化チタン(個数平均一次粒径:190nm以上670nm以下、中央値:430nm)に変更した以外は、白色着色剤分散体の作製例1と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である酸化チタン分散体F(自己分散型)を得た。
<酸化チタン分散体Gの作製>
前記白色着色剤分散体の作製例1において、酸化チタン(個数平均一次粒径:90nm以上140nm以下、中央値:115nm)を、酸化チタン(個数平均一次粒径:200nm以上720nm以下、中央値:460nm)に変更した以外は、白色着色剤分散体の作製例1と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である酸化チタン分散体G(自己分散型)を得た。
<酸化亜鉛分散体の作製>
前記白色着色剤分散体の作製例1において、酸化チタン(個数平均一次粒径:90nm以上140nm以下、中央値:115nm)を、酸化亜鉛(個数平均一次粒径:130nm以上350nm以下、中央値:240nm)に変更した以外は、白色着色剤分散体の作製例1と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である酸化亜鉛分散体(自己分散型)を得た。
鎖状シリカA(商品名:スノーテックス(登録商標)ST−UP(球状シリカの個数平均一次粒径:10nm以上15nm以下、球状シリカの個数平均一次粒径の中央値:12.5nm、個数平均二次粒径:40nm以上100nm以下、固形分濃度:15質量%、分岐なし)0.6質量%(固形分濃度)、酸化チタン分散体B 6質量%(固形分濃度)、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子(商品名:ユーコートUX−485、三洋化成工業株式会社製)6質量%(固形分濃度)、1,3−プロパンジオール18質量%、1,3−ブタンジオール6質量%、トリエチレングリコールジメチルエーテル3質量%、3−メトキシ−3−メチルブタノール3.5質量%、2−ピロリドン5質量%、アニオン性界面活性剤(商品名:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)1質量%、防腐防黴剤(商品名:プロキセルLV、アビシア株式会社製)0.1質量%、及び水残量を混合撹拌した後、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルターで濾過し、インク1を作製した。
前記実施例1において、実施例1の組成及び含有量を表1〜表8に記載の組成及び含有量に変更した以外は、実施例1の作製と同様にして、実施例2〜20及び比較例1〜19のインク2〜39を作製した。
実施例1〜20、及び比較例1〜19のインク1〜39をインクカートリッジ(商品名:CG31KH、株式会社リコー製)に充填した後、35℃の環境下でカートリッジを平置きにした状態で静置して保管した。保管後のインクカートリッジを取出し、振動装置を用いて、200Hzで5分間の振動を加えた後、カートリッジからインクを抜き取り、カートリッジ内のインク袋を切り開いてケーキ状の沈殿物の有無を目視で確認し、下記評価基準に基づいて、「ケーキングの発生の防止」を評価した。
−評価基準−
◎:長期間の静置によっても全くケーキ状の沈殿物は見られない
○:長期間の静置によってもほとんどケーキ状の沈殿物は見られない
△:長期間の静置によってわずかにケーキ状の沈殿物が見られるが、振動を加えることによりケーキ状の沈殿物を分散でき、実使用上問題ない
×:短期間でケーキ状の沈殿物ができ、実使用上問題がある
実施例1〜20、及び比較例1〜19のインク1〜39を改造したインクジェットプリンタ(商品名:IPSiO GXe5500、株式会社リコー製)に充填し、非浸透性基材である透明PETシート(商品名:LLPET1223、桜井株式会社製)に吐出しベタ画像を形成した。なお、インクジェットプリンタの設定は、標準モードとした。また、ベタ画像形成の際には、加熱ヒーター式ガイド部材を透明PETシートが55℃になるように温度調整し、さらに、ファンヒータにより80℃に設定した温風を吹き付けてインクを乾燥させた。このとき、前記加熱ヒーター式ガイド部材を記録媒体が55℃になるように温度調整を行いながら印刷を行い、さらに、ファンヒータにより80℃に設定した温風を吹き付けてインクを乾燥させた。さらに、記録後のベタ画像を常温で4日間静置した。
4日間静置後の前記ベタ画像を用いて、前記ベタ画像を形成した側とは反対側にブラックペーパー(商品名:エキストラブラック、株式会社竹尾製、濃度:1.65)を置き、反射分光濃度計(装置名:X−Rite939、X−Rite社製)を用いて、黒色に対するベタ画像の濃度を測定し、下記式(1)に基づいて隠蔽率を算出した。前記隠蔽率は、黒色に対するベタ画像の濃度を4回測定して、その平均値を求め、下記評価基準に基づいて、「隠蔽性」を評価した。隠蔽率が高いほど隠蔽性が良好である。
隠蔽率(%)=[1−(ベタ画像の濃度/ブラックペーパーの濃度(1.65))]×100 … 式(1)
−評価基準−
◎:隠蔽率が95%以上
○:隠蔽率が90%以上95%未満
△:隠蔽率が85%以上90%未満
×:隠蔽率が85%未満
前記隠蔽性の評価と同様にして、ベタ画像を形成した。4日間静置後の前記ベタ画像の60°光沢度を光沢度計(商品名:4501、BYK Gardener社製)により4回測定し、その平均値を求め、下記評価基準に基づいて、「光沢性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
−評価基準−
AA:光沢値が100以上であった
A:光沢値が90以上100未満であった
B:光沢値が80以上90未満であった
C:光沢値が80未満であった
前記隠蔽性の評価と同様にして、ベタ画像を形成した。4日間静置後の前記ベタ画像を乾いた木綿(カナキン3号)で400gの荷重をかけて擦過し、画像の状態を目視で観察し、下記評価基準に基づき、「耐擦過性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
−評価基準−
AA:51回以上擦っても画像が変化しなかった
A:41回以上50回以下擦っても画像が変化しなかった
B:31回以上40回以下擦っても画像が変化しなかった
C:30回以下擦っても画像が変化しなかった
・鎖状シリカB:日産化学工業株式会社製、スノーテックス(登録商標)PS−M、球状シリカの個数平均一次粒径:18nm以上25nm以下、球状シリカの個数平均一次粒径の中央値:21.5nm、個数平均二次粒径:80nm以上120nm以下、固形分濃度:20質量%、分岐あり
・球状シリカ:日産化学工業株式会社製、スノーテックス(登録商標)50、個数平均一次粒径:20nm以上25nm以下、個数平均一次粒径の中央値:22.5nm
<1> 3つ以上の球状シリカからなる鎖状シリカ、白色着色剤、及びウレタン樹脂粒子を含有し、
前記球状シリカの個数平均一次粒径(a)と、前記白色着色剤の個数平均一次粒径(b)との粒径比(a/b)が、0.030以上0.15以下であることを特徴とするインクである。
<2> 白色着色剤の個数平均一次粒径が、150nm以上400nm以下である前記<1>に記載のインクである。
<3> 鎖状シリカの含有量(質量%)と、白色着色剤の含有量(質量%)との質量比(鎖状シリカ/白色着色剤)が、0.001以上0.6以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 鎖状シリカが、分岐を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 白色着色剤が、金属酸化物である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 金属酸化物が、酸化チタンである前記<5>に記載のインクである。
<7> 粒径比(a/b)が、0.045以上0.15以下であり、
質量比(鎖状シリカ/白色着色剤)が、0.01以上0.25以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> ポリウレタン樹脂粒子が、ポリカーボネートポリウレタン樹脂粒子である前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 鎖状シリカにおける球状シリカの個数平均一次粒径が、10nm以上25nm以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクである。
<10> 鎖状シリカの個数平均二次粒径が、40nm以上120nm以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクである。
<11> 鎖状シリカの含有量が、0.001質量%以上10質量%以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクである。
<12> 鎖状シリカの含有量が、0.005質量%以上5質量%以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクである。
<13> 酸化チタンの個数平均一次粒径が、150nm以上400nm以下である前記<6>から<12>のいずれかに記載のインクである。
<14> 白色着色剤の含有量が、1質量%以上10質量%以下である前記<1>から<13>のいずれかに記載のインクである。
<15> ウレタン樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上1,000nm以下である前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクである。
<16> ウレタン樹脂粒子の含有量が、1質量%以上10質量%以下である前記<1>から<15>のいずれかに記載のインクである。
<17> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<18> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクに、刺激を印加し、記録媒体に飛翔するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<19> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクに、刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<20> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクにより記録された画像を有してなることを特徴とする記録物である。
前記<17>に記載のインクカートリッジは、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記インクカートリッジは、ケーキングの発生を防止でき、隠蔽性、光沢性、及び耐擦過性に優れる画像が得られるインクを収容してなるインクカートリッジを提供することを目的とする。
前記<20>に記載の記録物は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記記録物は、ケーキングの発生を防止でき、隠蔽性、光沢性、及び耐擦過性に優れる画像が得られるインクにより記録された画像を有してなる記録物を提供することを目的とする。
Claims (11)
- 3つ以上の球状シリカからなる鎖状シリカ、白色着色剤、及びウレタン樹脂粒子を含有し、
前記球状シリカの個数平均一次粒径(a)と、前記白色着色剤の個数平均一次粒径(b)との粒径比(a/b)が、0.030以上0.15以下であることを特徴とするインク。 - 白色着色剤の個数平均一次粒径が、150nm以上400nm以下である請求項1に記載のインク。
- 鎖状シリカの含有量(質量%)と、白色着色剤の含有量(質量%)との質量比(鎖状シリカ/白色着色剤)が、0.001以上0.6以下である請求項1から2のいずれかに記載のインク。
- 鎖状シリカが、分岐を有する請求項1から3のいずれかに記載のインク。
- 白色着色剤が、金属酸化物である請求項1から4のいずれかに記載のインク。
- 金属酸化物が、酸化チタンである請求項5に記載のインク。
- ウレタン樹脂粒子が、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子である請求項1から6のいずれかに記載のインク。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクに、刺激を印加し、記録媒体に飛翔するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクに、刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクにより記録された画像を有してなることを特徴とする記録物。
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