(第1実施例)
図1に、実施例の電気自動車2の電気系統のブロック図を示す。本実施例の電気自動車2は、エンジン(図示せず)の動力を利用して走行することもできるし、メインバッテリ4の電力を利用して走行することもできる、ハイブリッド車である。エンジンの動力を利用して走行する場合には、エンジンが発生させた動力の一部を駆動輪(図示せず)に伝達する一方、エンジンの動力の残りを用いて第1モータ6で発電し、第1モータ6で発電した電力で第2モータ8を駆動することで、駆動輪を回転させる。なお、エンジンを始動させる際には、電源システム1のメインバッテリ4からの電力を第1モータ6に供給し、第1モータ6をセルモータとして機能させる。メインバッテリ4の電力を利用して走行する場合には、メインバッテリ4からの電力で第2モータ8を駆動することで、駆動輪を回転させる。
電源システム1は、メインバッテリ4と、サブバッテリ22と、電力制御ユニット(PCU)12と、第1回路28と、第2回路30と、第3回路32と、トランス36と、メイン電源配線10と、サブ電源配線24と、電子制御ユニット(ECU)60を備える。メインバッテリ4は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池である。本実施例では、メインバッテリ4の電圧は300V程度である。メインバッテリ4の電圧は、電圧センサ50で計測されている。電気自動車2は、エンジンの動力を用いて第1モータ6で発電し、第1モータ6で発電した電力をメインバッテリ4に充電することができる。また、走行中の電気自動車2が減速する際に、第2モータ8で回生発電し、第2モータ8で発電した電力をメインバッテリ4に充電することもできる。
メインバッテリ4は、メイン電源配線10を介して、PCU12に接続されている。メイン電源配線10は、メインバッテリ4の正極端子に接続された正極線10aと、メインバッテリ4の負極端子に接続された負極線10bを備えている。
PCU12は、メインバッテリ4と第1モータ6および第2モータ8の間に設けられている。PCU12は、平滑コンデンサ14と、コンバータ16と、インバータ18を備えている。平滑コンデンサ14は、メイン電源配線10の電圧を平滑化する。平滑コンデンサ14の電圧は、電圧センサ53で計測されている。コンバータ16は、メインバッテリ4から供給される電力の電圧を、必要に応じて第1モータ6や第2モータ8の駆動に適した電圧まで昇圧する。また、コンバータ16は、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力の電圧を、メインバッテリ4への充電に適した電圧まで降圧することもできる。本実施例では、第1モータ6や第2モータ8の駆動に用いる電圧は600V程度である。インバータ18は、メインバッテリ4から供給される直流電力を、第1モータ6や第2モータ8の駆動のための三相交流電力に変換する。また、インバータ18は、第1モータ6や第2モータ8が発電した三相交流電力を、メインバッテリ4へ充電するための直流電力に変換することもできる。
メインバッテリ4とPCU12の間には、システムメインリレー(SMR)20が設けられている。SMR20は、メイン電源配線10の正極線10aの導通と非導通を切り換えるスイッチ20aと、メイン電源配線10の負極線10bの導通と非導通を切り換えるスイッチ20bを備えている。すなわち、SMR20は、メイン電源配線10の導通と非導通を切り換える。
電気自動車2は、メインバッテリ4よりも低電圧のサブバッテリ22を備えている。サブバッテリ22は、鉛電池等の二次電池である。本実施例では、サブバッテリ22の電圧は13V〜14.5V程度である。サブバッテリ22の電圧は、電圧センサ54で計測されている。サブバッテリ22は、サブ電源配線24を介して、パワーステアリングやエアコン等の補機26に接続されている。サブ電源配線24の電流値は、電流センサ52で計測されている。
SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10とトランス36の第1コイル36cとの間に第1回路28が接続されている。後に詳述するが、トランス36は、第1コイル36cの他に、第2コイル36aと第3コイル36bを備える。SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10と第2コイル36aとの間に第2回路30が接続されている。また、サブ電源配線24と第3コイル36bとの間に第3回路32が接続されている。SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10は、第1回路28とトランス36と第3回路32を介して、サブ電源配線24に接続されている。第1回路28とトランス36と第3回路32の組合せは、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作を行うこともできるし、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作を行うこともできる。第1回路28とトランス36と第3回路32の組合せは、いわゆる双方向DC−DCコンバータであり、昇降圧DC−DCコンバータということができる。なお、第1回路28とトランス36と第3回路32の組合せは、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作を行わなくてもよい。
SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10とサブ電源配線24は、第2回路30とトランス36と第3回路32を介して接続されている。第2回路30とトランス36と第3回路32の組合せは、SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作を行うこともできるし、サブ電源配線24からSMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作を行うこともできる。即ち、第2回路30とトランス36と第3回路32の組合せは、いわゆる双方向DC−DCコンバータであり、昇降圧DC−DCコンバータということができる。
さらに、SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10とSMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10は、第1回路28とトランス36と第2回路30を介して接続されている。第1回路28とトランス36と第2回路30の組合せは、SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10からSMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10へ電力を供給する供給動作を行うこともできるし、SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10からSMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10へ電力を供給する供給動作を行うこともできる。なお、第1回路28とトランス36と第2回路30の組合せは、SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10からSMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10へ電力を供給する供給動作を行わなくてもよい。
電源システム1では、第1回路28、第2回路30及び第3回路32が動作することによって、SMR20の導通/非導通に関わらず、メイン電源配線10とサブ電源配線24との間で電力を融通し合うことができる。具体的には、第2回路30とトランス36と第3回路32の組合せが降圧動作を行うことで、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力をサブバッテリ22に充電することができる。また、第2回路30とトランス36と第3回路32の組合せが昇圧動作を行うことで、サブバッテリ22の電力を利用して第1モータ6や第2モータ8を駆動することができる。また、第1回路28とトランス36と第3回路32の組合せが降圧動作を行うことで、メインバッテリ4からの電力をサブバッテリ22に充電することができる。また、第1回路28とトランス36と第3回路32の組合せが昇圧動作を行うことで、サブバッテリ22からの電力をメインバッテリ4に充電することができる。さらに、SMR20が非導通であっても、第1回路28とトランス36と第2回路30の組合せが供給動作を行うことで、メインバッテリ4からの電力を、サブ電源配線24を介さずにPCU12に供給することもできるし、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力をメインバッテリ4に充電することもできる。
図2に、第1〜第3回路28、30、32とトランス36の概略の構成を示す。第1〜第3回路28、30、32とトランス36は、1個の筐体58に収容されている。第1回路28は、接続配線78を介して、メイン電源配線10に接続されている。
第1回路28は、フィルタ44と、スイッチング回路46と、逆流防止スイッチ45を備える。フィルタ33は、コンデンサ44aを備える。フィルタ44は、メイン電源配線10側でのノイズの発生を抑制する。逆流防止スイッチ45は、スイッチング素子のオンとオフを切り替えることによって、第1回路28からメインバッテリ4側のメイン電源配線10に電力が供給可能な状態(即ちスイッチング素子がオンの状態)と不可能な状態(即ちスイッチング素子がオフの状態)を切り換える。
スイッチング回路46は、スイッチング素子46a、46b、46c、46dと、それぞれのスイッチング素子46a、46b、46c、46dに並列に接続された還流ダイオード46e、46f、46g、46hを備えている。スイッチング素子46aとスイッチング素子46bは直列に接続されており、スイッチング素子46cとスイッチング素子46dは直列に接続されている。
スイッチング回路46は、トランス36に接続されている。トランス36は、3個のコイル36a、36b、36cを備える。第1コイル36cは、接続配線76を介して、スイッチング回路46に接続されている。即ち、第1回路28は、SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10と第1コイル36cを接続する。第2コイル36aは、接続配線72を介して第2回路30のスイッチング回路34に接続されている。第3コイル36bは、接続配線74を介して第3回路32のスイッチング回路38に接続されている。トランス36では、第2コイル36aから第3コイル36bへ降圧して電力を供給することもできるし、第3コイル36bから第2コイル36aへ昇圧して電力を供給することもできる。さらに、トランス36では、第1コイル36cから第3コイル36bへ降圧して電力を供給することもできるし、第3コイル36bから第1コイル36cへ昇圧して電力を供給することもできる。また、第1コイル36cから第2コイル36aへ電圧を変化させずに電力を供給することもできるし、第2コイル36aから第1コイル36cへ電圧を変化させずに電力を供給することもできる。
第1コイル36cの一端は、接続配線76を介してスイッチング素子46aとスイッチング素子46bの間に接続されており、第1コイル36cの他端は、接続配線76を介してスイッチング素子46cとスイッチング素子46dの間に接続されている。
スイッチング回路46では、スイッチング素子46a、46b、46c、46dのそれぞれのオンオフが所定のタイミングで切り替えられることによって、メイン電源配線10からスイッチング回路46に供給される直流電力を交流電力へと変換する。即ち、スイッチング回路46は、DC−ACコンバータとして機能する。また、スイッチング回路46では、ダイオード46e、46f、46g、46hによって、トランス36から供給される交流電力を直流電力に変換する。即ち、スイッチング回路46は、AC−DCコンバータ(即ち整流器)としても機能する。
第1回路28は、制御回路43によって制御されている。具体的には、制御回路43は、スイッチング回路46のスイッチング素子46a、46b、46c、46d及び逆流防止スイッチ45の動作を制御する。
第2コイル36aに接続されている第2回路30は、接続配線70を介して、メイン電源配線10に接続されている。即ち、第2回路30は、SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10と第2コイル36aを接続する。第2回路30は、フィルタ33と、スイッチング回路34と、逆流防止スイッチ31と、を備える。フィルタ33は、コンデンサ33aを備える。フィルタ33は、メイン電源配線10側でのノイズの発生を抑制する。逆流防止スイッチ31は、スイッチング素子のオンとオフを切り替えることによって、第2回路30からPCU12側のメイン電源配線10に電力が供給可能な状態(即ちスイッチング素子がオンの状態)と不可能な状態(即ちスイッチング素子がオフの状態)を切り換える。
スイッチング回路34は、スイッチング素子34a、34b、34c、34dと、それぞれのスイッチング素子34a、34b、34c、34dに並列に接続された還流ダイオード34e、34f、34g、34hを備えている。スイッチング素子34aとスイッチング素子34bは直列に接続されており、スイッチング素子34cとスイッチング素子34dは直列に接続されている。第2コイル36aの一端は、接続配線72を介してスイッチング素子34aとスイッチング素子34bの間に接続されており、第2コイル36aの他端は、接続配線72を介してスイッチング素子34cとスイッチング素子34dの間に接続されている。
スイッチング回路34では、スイッチング素子34a、34b、34c、34dのそれぞれのオンオフが所定のタイミングで切り替えられることによって、メイン電源配線10からスイッチング回路34に供給される直流電力を交流電力へと変換する。即ち、スイッチング回路34は、DC−ACコンバータとして機能する。また、スイッチング回路34では、ダイオード34e、34f、34g、34hによって、トランス36から供給される交流電力を直流電力に変換する。即ち、スイッチング回路34は、AC−DCコンバータ(即ち整流器)としても機能する。
第3コイル36bに接続されている第3回路32は、サブ電源配線24に接続されている。即ち、第2回路32は、サブ電源配線24と第3コイル36bを接続する。第3回路32は、フィルタ40と、スイッチング回路38と、逆流防止スイッチ41と、を備える。フィルタ40は、インダクタ40aとコンデンサ40bを備えている。フィルタ40は、サブ電源配線24側でのノイズの発生を抑制する。逆流防止スイッチ41は、スイッチング素子のオンとオフを切り替えることによって、第3回路32からサブ電源配線24に電力が供給可能な状態(即ちスイッチング素子がオンの状態)と不可能な状態(即ちスイッチング素子がオフの状態)を切り換える。
スイッチング回路38は、スイッチング素子38a、38b、38c、38dと、それぞれのスイッチング素子38a、38b、38c、38dに並列に接続された還流ダイオード38e、38f、38g、38hと、インダクタ38iと、コンデンサ38jを備えている。スイッチング素子38aとスイッチング素子38bは直列に接続されており、スイッチング素子38cとスイッチング素子38dは直列に接続されている。第3コイル36bの一端は、接続配線74を介してスイッチング素子38aとスイッチング素子38bの間に接続されており、第3コイル36bの他端は、接続配線74を介してスイッチング素子38cとスイッチング素子38dの間に接続されている。
スイッチング回路38では、スイッチング素子38a、38b、38c、38dのそれぞれのオンオフが所定のタイミングで切り替えられることによって、サブ電源配線24からスイッチング回路38に供給される直流電力を交流電力へと変換する。即ち、スイッチング回路38は、DC−ACコンバータとして機能する。また、スイッチング回路38では、ダイオード38e、38f、38g、38hによって、トランス36から供給される交流電力を直流電力に変換する。即ち、スイッチング回路38は、AC−DCコンバータ(即ち整流器)としても機能する。
第2回路30と第3回路32は、制御回路42によって制御される。具体的には、制御回路42は、第2回路30のスイッチング回路34のスイッチング素子34a、34b、34c、34d及び逆流防止スイッチ31と、第3回路32のスイッチング回路38のスイッチング素子38a、38b、38c、38d及び逆流防止スイッチ41の動作を制御する。
次いで、第1〜第3回路28、30、32の動作について説明する。最初に、第2回路30と第3回路32とが動作することによって、第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せが降圧動作を実行する場合を説明する。第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せが降圧動作を実行する際には、第2回路30のスイッチング回路34においてスイッチング素子34a、34b、34c、34dが動作してDC−ACコンバータとして機能することによって、メイン電源配線10から供給される直流電力を交流電力へと変換する。そして、変換された交流電圧をトランス36において降圧して、第3回路32のスイッチング回路38がAC−DCコンバータとして機能することによって交流電力から直流電力へと変換する。この場合には、スイッチング回路38では、還流ダイオード38e、38f、38g、38hによる整流と、インダクタ38iおよびコンデンサ38jによる平滑化がなされる。これによって、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給することができる。なお、スイッチング回路38がAC−DCコンバータとして機能する際に、スイッチング素子38a、38b、38c、38dのそれぞれは、並列に接続されている還流ダイオード38e、38f、38g、38hに電流が流れる間オンされる。これにより、還流ダイオード38e、38f、38g、38hに流れる電流を低減させることができる。
次いで、第2回路30と第3回路32とが動作することによって、第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せが昇圧動作を実行する場合を説明する。第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せが昇圧動作を実行する際には、第3回路32のスイッチング回路38においてスイッチング素子38a、38b、38c、38dが動作してDC−ACコンバータとして機能することによって、サブ電源配線24から供給される直流電力から交流電力へと変換する。そして、変換された交流電圧をトランス36において昇圧して、第2回路30のスイッチング回路34がAC−DCコンバータとして機能することによって交流電力から直流電力へと変換する。この場合には、スイッチング回路34では、還流ダイオード34e、34f、34g、34hによる整流がなされ、フィルタ33において平滑化がなされる。これによって、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給することができる。なお、スイッチング回路34がAC−DCコンバータとして機能する際に、スイッチング素子34a、34b、34c、34dのそれぞれは、並列に接続されている還流ダイオード34e、34f、34g、34hに電流が流れる間オンされる。これにより、還流ダイオード34e、34f、34g、34hに流れる電流を低減させることができる。
第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せの昇降圧動作中では、第1回路28の逆流防止スイッチ45を第1回路28からメインバッテリ4側のメイン電源配線10に供給不可能な状態に維持することによって、メインバッテリ4側のメイン電源配線10に意図せずに電力が供給されることを防止することができる。
次いで、第1回路28と第3回路32とが動作することによって、第1回路28とトランス36と第3回路32との組合せが降圧動作を実行する場合を説明する。第1回路28とトランス36と第3回路32との組合せが降圧動作を実行する際には、第1回路28のスイッチング回路46においてスイッチング素子46a、46b、46c、46dが動作してDC−ACコンバータとして機能することによって、メイン電源配線10から供給される直流電力から交流電力へと変換する。そして、変換された交流電圧をトランス36において降圧して、第3回路32のスイッチング回路38がAC−DCコンバータとして機能することによって交流電力から直流電力へと変換する。この場合には、スイッチング回路38は、第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せが降圧動作を実行する場合と同様に動作する。これによって、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給することができる。
次いで、第1回路28と第3回路32とが動作することによって、第1回路28とトランス36と第3回路32との組合せが昇圧動作を実行する場合を説明する。第1回路28とトランス36と第3回路32との組合せが昇圧動作を実行する際には、第3回路32のスイッチング回路38は、第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せの昇圧動作の場合と同様に、DC−ACコンバータとして機能することによって、サブ電源配線24から供給される直流電力から交流電力へと変換する。そして、変換された交流電圧をトランス36において昇圧して、第1回路28のスイッチング回路46がAC−DCコンバータとして機能することによって交流電力から直流電力へと変換する。この場合には、スイッチング回路46では、還流ダイオード46e、46f、46g、46hによる整流がなされ、フィルタ44において平滑化がなされる。これによって、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給することができる。なお、スイッチング回路46がAC−DCコンバータとして機能する際に、スイッチング素子46a、46b、46c、46dのそれぞれは、並列に接続されている還流ダイオード46e、46f、46g、46hに電流が流れる間オンされる。これにより、還流ダイオード46e、46f、46g、46hに流れる電流を低減させることができる。
第1回路28とトランス36と第3回路32との組合せの昇降圧動作中では、第2回路30の逆流防止スイッチ31を第2回路30からPCU12側のメイン電源配線10に供給不可能な状態に維持することによって、PCU12側のメイン電源配線10に意図せずに電力が供給されることを防止することができる。
次いで、第1回路28と第2回路30とが動作することによって、第1回路28とトランス36と第2回路30との組合せが供給動作を実行する場合を説明する。第1回路28とトランス36と第2回路30との組合せが供給動作を実行する際には、第1回路28のスイッチング回路46は、第1回路28とトランス36と第3回路32との組合せが降圧動作を実行する場合と同様に、DC−ACコンバータとして機能することによって、メイン電源配線10から供給される直流電力から交流電力へと変換する。そして、変換された交流電圧をトランス36において電圧を変えずに、第2回路30のスイッチング回路34において交流電力から直流電力へと変換する。この場合には、スイッチング回路34は、第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せが昇圧動作を実行する場合と同様に、AC−DCコンバータとして機能することによって交流電力から直流電力へと変換する。これによって、SMR20がメイン電源配線10を非導通に維持した状態で、SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10からSMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10へ電圧を変えずに電力を供給することができる。
また、第1回路28とトランス36と第2回路30との組合せが供給動作を実行する際に、第2回路30のスイッチング回路34が、第2回路30とトランス36と第3回路32との組合せが降圧動作を実行する場合と同様に、DC−ACコンバータとして機能することによって、メイン電源配線10から供給される直流電力から交流電力へと変換する。そして、変換された交流電圧をトランス36において電圧を変えずに、第1回路28のスイッチング回路46において交流電力から直流電力へと変換する。この場合には、スイッチング回路46は、第1回路28とトランス36と第3回路32との組合せが昇圧動作を実行する場合と同様に、AC−DCコンバータとして機能することによって交流電力から直流電力へと変換する。これによって、SMR20がメイン電源配線10を非導通に維持した状態で、SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10からSMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10へ電圧を変えずに電力を供給することができる。
この供給動作中では、第3回路32の逆流防止スイッチ41を第3回路32からサブ電源配線24に供給不可能な状態に維持することによって、サブ電源配線24に意図せずに電力が供給されることを防止することができる。
上記した第1〜第3回路28、30、32の動作によって、メインバッテリ4側のメイン電源配線10とPCU12側のメイン電源配線10とサブ電源配線24の間で、電力を融通し合うことができる。この結果、車両に蓄電される電力を有効に利用することができる。
図2に示した第1〜第3回路28、30、32の具体的な回路構成はあくまでも一例であり、第2回路30と第3回路32では、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作と、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作が可能であれば、どのような構成のものを用いてもよい。また、第1回路28も同様に、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作と、SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10からSMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10へ供給動作が可能であれば、どのような構成のものを用いてもよい。
制御回路42、43は、ECU60によって制御される。ECU60は、CPUとメモリを含む。ECU60は、電源システム1の各部12、20、42、43に接続され、メモリに格納されたプログラムに従って、各部12、20、42、43を制御する。
図1に示す電気自動車2において、SMR20を非導通から導通へ切り換える際に、メインバッテリ4の電圧と、PCU12の平滑コンデンサ14の電圧が相違していると、SMR20が導通に切り換わった直後にメイン電源配線10に大きな突入電流が流れる。そこで、電気自動車2においては、SMR20を非導通から導通へ切り換える前に、メインバッテリ4の電圧と平滑コンデンサ14の電圧を一致させるために、平滑コンデンサ14のプリチャージを行う。
図3を参照して、プリチャージの際にECU60が実行する処理を説明する。S12では、ECU60は、第1回路28とトランス36と第2回路30の組合せが供給動作を実行するとともに第2回路30とトランス36と第3回路32の組合せが昇圧動作を実行するように、制御回路42、43に、第1〜第3回路28、30、32を作動させるための指示を送信する。この結果、第1回路28とトランス36と第2回路30の組合せが供給動作を開始することによって、SMR20がメイン電源配線10を非導通に維持した状態で、メインバッテリ4からPCU12への電力供給が開始される。この供給動作では、第1回路28のスイッチング回路46がDC−ACコンバータとして機能し、第2回路30のスイッチング回路34がAC−DCコンバータとして機能する。
さらに、第2回路30とトランス36と第3回路32の組合せが昇圧動作を開始することによって、SMR20がメイン電源配線10を非導通に維持した状態で、サブバッテリ22からPCU12への電力供給が開始される。この昇圧動作では、第3回路32のスイッチング回路38がDC−ACコンバータとして機能し、第2回路30のスイッチング回路34がAC−DCコンバータとして機能する。なお、プリチャージの際には、逆流防止スイッチ41,45はオフにされており、逆流防止スイッチ31はオンにされている。
S12で供給動作が開始されたタイミングでは、第1回路28及び第3回路32のデューティ比は、例えば10%など、デフォルト値(初期値)に設定されている。第1回路28及び第3回路32のデューティ比は、プリチャージの初期では低く抑えられている。プリチャージ初期では、平滑コンデンサ14の電圧は略0Vであり、平滑コンデンサ14に急激に高い電圧が印加されると、平滑コンデンサ14が損傷する可能性があるからである。第2回路30では、第1回路28及び第3回路32のデューティ比に応じて、スイッチング回路34のスイッチング素子34a、34b、34c、34dが動作する。なお、第1回路28及び第3回路32のデューティ比に応じたスイッチング素子34a、34b、34c、34dの動作を制御するためのプログラムは、予めECU60に格納されている。ECU60は、第1回路28及び第3回路32のデューティ比に応じたスイッチング素子34a、34b、34c、34dの動作タイミングを、制御回路42に供給する。
次いで、S14では、ECU60は、第1回路28のデューティ比が予め決められた上限値(例えば50%)であるか否かを判断する。第1回路28のデューティ比が予め決められた上限値である場合(S14でYES)、S20に進む。一方、第1回路28のデューティ比が上限値よりも小さい場合(S14でNO)、S16において、ECU60は、電圧センサ50の計測結果を用いて、メインバッテリ4の電圧VBが予め設定された下限電圧Vx未満であるか(下限電圧Vxを下回るか)否かを判断する。予め設定された下限電圧Vxは、例えば、SOC20%に設定される。SOC20%は、例えば、メインバッテリ4の性能低下が早まり得る充電率の基準である。これは、メインバッテリ4の電圧VBが過度に低下することにより生じ得る性能低下を抑制するために設定される所定の負荷条件における最低出力電圧の一例である。
この下限電圧Vxは、例えば、メインバッテリ4の電気的な仕様及び使用環境(温度、湿度や負荷の諸条件)などに基づいて、実験やコンピュータシミュレーションにより最適な値が選択されて設定される。なお、SOC(State Of Charge)は、充電率といわれる場合もあり、満充電を100%とした場合におけるメインバッテリ4の充電割合(単位%)のことである。
メインバッテリ4の電圧VBが予め設定された下限電圧Vx未満である場合には(S16でYES)、第1回路28のデューティ比を変化させずに、S20に進む。一方、メインバッテリ4の電圧VBが予め設定された下限電圧Vx以上である場合(S16でNO)、S18において、ECU60は、第1回路28のデューティ比を上昇させるための指示を制御回路43に送信する。例えば、ECU60は、現在のデューティ比を5%上昇させる。また、これに合わせて、ECU60は、第2回路30のデューティ比を調整する指示を制御回路42に送信する。この結果、メインバッテリ4側のメイン電源配線10からPCU12側のメイン電源配線10へ供給される電力が上昇する。S18の処理が終了すると、S14に戻る。この構成によれば、メインバッテリ4の電圧VBが予め設定された下限電圧Vx未満である場合には、第1回路28のデューティ比を変化させないことによって、メインバッテリ4から供給される電力を増加させない。これにより、メインバッテリ4の電圧が過度に低下することによって、メインバッテリ4の性能が低下することを防止することができる。
S20では、ECU60は、第3回路32のデューティ比が予め決められた上限値(例えば50%)であるか否かを判断する。第3回路32のデューティ比が予め決められた上限値である場合(S20でYES)、S28に進む。一方、第3回路32のデューティ比が上限値よりも小さい場合(S20でNO)、S22において、ECU60はサブバッテリ22の電圧VSが予め設定された下限電圧Vy未満であるか(下限電圧Vyを下回るか)否かを判断する。予め設定された下限電圧Vyは、例えば、車両ごとで予め設定される最低出力電圧である。サブバッテリ22は、車両の補機(例えばパワーステアリング、エアコン)に電力を供給する。車両の補機に電力を供給するための出力電圧の最低値は、車両ごとに決まる。このため、下限電圧Vyは、車両の構造に応じて予め設定されている。
サブバッテリ22の電圧VSが予め設定された下限電圧Vy未満である場合には(S22でYES)、第3回路32のデューティ比を変化させずに、S28に進む。一方、サブバッテリ22の電圧VSが予め設定された下限電圧Vy以上である場合(S22でNO)、S24において、ECU60は、サブ電源配線24が放電する電流ISが予め設定された上限電流Iz未満であるか(上限電流Izを下回るか)否かを判断する。サブバッテリ22には、サブバッテリ22の性能に応じた放電電流の最大値が設定されている。上限電流Izは、サブバッテリ22の性能に応じた放電電流の最大値と等しくてもよいし、放電電流の最大値よりも若干小さくしてもよい。サブ電源配線24の電流ISが予め設定された上限電流Iz以上である場合には(S24でNO)、第3回路32のデューティ比を変化させずに、S28に進む。
一方、サブ電源配線24の電流ISが予め設定された上限電流Iz未満である場合には(S24でYES)、S26において、ECU60は、第3回路32のデューティ比を上昇させるための指示を制御回路42に送信する。例えば、ECU60は、現在のデューティ比を5%上昇させる。また、これに合わせて、ECU60は、第2回路30のデューティ比を調整する指示を制御回路42に送信する。この結果、サブ電源配線24(サブバッテリ22)からPCU12側のメイン電源配線10へ供給される電力が上昇する。S26の処理が終了すると、S20に戻る。この構成によれば、サブバッテリ22の電圧VSが予め設定された下限電圧Vy未満である場合には、第3回路32のデューティ比を変化させないことによって、サブバッテリ22から供給される電力を増加させない。これにより、サブバッテリ22の電圧が低下することを防止することができる。
S28では、ECU60は、電圧センサ50で計測されるメインバッテリ4の電圧VBと、電圧センサ56で計測される平滑コンデンサ14の電圧VLとの差(VB−VL)が、所定の電位差Vz以下であるか否かを判断する。所定の電位差Vzは、SMR20を非導通から導通に切り換えた直後にメインバッテリ4から平滑コンデンサ14へ流れる突入電流などによって、SMR20のスイッチ20a、20bの各接点が溶着したり、スイッチ20a、20bが機能不能になったりしない程度の電圧差である。
メインバッテリ4の電圧VBと平滑コンデンサ14の電圧VLとの差(VB−VL)が、所定の電位差Vz以下でない場合には(S28でNO)、電圧VBと平滑コンデンサ14の電圧VLとの差(VB−VL)が、所定の電位差Vz以下となるまで、S28の処理を繰り返し実行する。これにより、SMR20を非導通から導通に切り換えた直後にメインバッテリ4から平滑コンデンサ14へ流れる突入電流などによって、SMR20のスイッチ20a、20bに不具合が生じるのを防ぐ。一方、所定の電位差Vz以下である場合には(S28でYES)、S30において、ECU60は、第1〜第3回路28、30、32の動作を停止させるための信号を、制御回路42、43に送信して、プリチャージを終了する。
プリチャージが終了すると、ECU60は、SMR20を非導通から導通に切り換える。平滑コンデンサ14へのプリチャージが既になされているため、SMR20を非導通から導通に切り換えたときに、メインバッテリ4から平滑コンデンサ14に大きな突入電流が流れない。
上記の構成では、メインバッテリ4の電力を用いて平滑コンデンサ14へのプリチャージを行うことができる。この構成によれば、サブバッテリ22のみを用いて平滑コンデンサ14へのプリチャージを行う構成と比較して、プリチャージ時間を短縮することができる。さらに、上記の構成では、平滑コンデンサ14へのプリチャージにサブバッテリ22の電力も利用する。この構成によれば、さらにプリチャージ時間を短縮することができる。
また、メインバッテリ4の電力を用いて平滑コンデンサ14へのプリチャージを行う構成として、メインバッテリ4側のメイン電源配線10とサブ電源配線24をDCDCコンバータを介して接続するとともに、PCU12側のメイン電源配線10とサブ電源配線24を別のDCDCコンバータを介して接続する構成が考えられる。この構成では、メインバッテリ4の電力を降圧してサブ電源配線24に供給するとともに、サブ電源配線24の電力を昇圧して平滑コンデンサ14に供給する。本実施例の構成では、2個のDCDCコンバータを配置する構成と比較して、サブ電源配線24側のスイッチ回路の個数とトランスの個数とを減らすことができる。この結果、サブ電源配線24側のスイッチ回路を動作せずに済む。また、メインバッテリ4の電力を一旦サブ電源配線24に供給するために降圧せずに済む。このため、変圧による電力のロスを低減することができる。
また、SMR20がオープン故障を発生した場合に、第1回路28及び第2回路30を介して、メインバッテリ4からPCU12に電力を供給することができる。この結果、仮にエンジンの停止中にSMR20がオープン故障を発生したとしても、メインバッテリ4からPCU12に電力を供給することによって、エンジンをクランキングしてエンジンを始動させることができる。
(第2実施例)
図4を参照して、第2実施例の電源システム1について、第1実施例の電源システム1と異なる点を説明する。第2実施例の電源システム1は、第1実施例の電源システム1と比較して、プリチャージ時の処理が異なる。具体的には、第1実施例の電源システム1では、プリチャージ時にサブバッテリ22の電力をPCU12側のメイン電源配線10に供給している一方、第2実施例の電源システムでは、プリチャージ時にメインバッテリ4の電力をサブ電源配線24に供給することによって、サブバッテリ22を充電する。その他の構成は第1実施例の電源システム1と同様であるため、説明を省略する。
図4は、プリチャージ時にECU60が実行する処理のフローチャートを示す。S112では、ECU60は、第1回路28とトランス36と第2回路30の組合せが供給動作を実行するとともに、第1回路28とトランス36と第3回路32の組合せが降圧動作を実行するように、制御回路42、43に、第1〜第3回路28、30、32を作動させるための指示を送信する。この結果、第1回路28とトランス36と第2回路30の組合せが供給動作を開始することによって、SMR20がメイン電源配線10を非導通に維持した状態で、メインバッテリ4からPCU12への電力供給が開始される。この供給動作では、第1回路28のスイッチング回路46がDC−ACコンバータとして機能し、第2回路30のスイッチング回路34がAC−DCコンバータとして機能する。
さらに、第1回路28とトランス36と第3回路32の組合せが降圧動作を開始することによって、SMR20がメイン電源配線10を非導通に維持した状態で、メインバッテリ4からサブバッテリ22への電力供給が開始される。この降圧動作では、第1回路28のスイッチング回路46がDC−ACコンバータとして機能し、第3回路32のスイッチング回路38がAC−DCコンバータとして機能する。S112で供給動作が開始されたタイミングでの第1回路28のデューティ比は、図2のS12と同様のデフォルト値(初期値)に設定されている。第2回路30では、第1回路28のデューティ比に応じて、スイッチング回路34のスイッチング素子34a、34b、34c、34dが動作する。なお、逆流防止スイッチ31、41、45は、非供給状態から供給状態に切り替えられる。
第3回路32では、スイッチング素子38a、38b、38c、38dの動作によって、サブ電源配線24に供給される電力を制御する。S112で供給動作が開始されたタイミングでは、サブ電源配線24に供給される電力が低く抑えられている。サブバッテリ22に印加される電圧が、サブバッテリ22の性能で決まる最大電圧Vmを越える事態を回避するためである。
次いで、ECU60は、図2のS14〜S18の処理と同様のS114〜S118の処理を実行する。次いで、S120では、ECU60は、サブバッテリ22の電圧VSが予め設定された最大電圧Vm未満であるか(最大電圧Vmを下回るか)否かを判断する。サブバッテリ22の電圧VSが最大電圧Vm未満でない場合には(S120でNO)、S124に進む。サブバッテリ22の電圧VSが最大電圧Vm未満である場合には(S120でYES)、S128に進む。
S124では、第3回路32のスイッチングを停止するとともに、逆流防止スイッチ41を供給状態から非供給状態に切り替える。これにより、サブバッテリ22に意図しない電力が供給されることを防止することができる。この構成によれば、サブバッテリ22に過剰に電力が供給されることによって、サブバッテリ22が劣化することを回避することができる。S124の処理が終了すると、S128に進む。なお、S124では、第3回路32のスイッチングを停止せず、逆流防止スイッチ41を供給状態に維持した状態で、第1回路28のデューティ比を低下させてもよい。これにより、サブ電源配線24に供給される電力を小さくしてもよい。
S128の処理は、図2のS28の処理と同様である。S128でNOの場合、S120に戻る。一方、S128でYESの場合、図2のS30と同様のS130の処理を実行して、プリチャージ時の処理を終了する。
本実施例の構成によると、平滑コンデンサ14へのプリチャージとサブバッテリ22への充電を並行して実行することができる。
第1〜第3回路28、30、32の構成は、上記の実施例の構成に限定されない。例えば、第2回路30とトランス36と第1回路28の組合せによって、PCU12側のメイン電源配線10の電力を、メインバッテリ4側のメイン電源配線10に供給するように、第2回路30と第1回路28とを制御してもよい。
また、サブ電源配線24から電力を供給しない場合、図5に示すように、第3回路32は、スイッチング素子38aとダイオード38eに換えて、ダイオード238eと有していてもよい。同様に、第3回路32は、スイッチング素子38bとダイオード38fをダイオード238fに、スイッチング素子38cとダイオード38gをダイオード238gに、スイッチング素子38dとダイオード38hをダイオード238hに、それぞれ置換してもよい。即ち、第3回路32は、AC−DCコンバータとして機能する一方、DC−ACコンバータとして機能しなくてもよい。
さらに、PCU12側のメイン電源配線10から電力を供給しない場合、図6に示すように、第2回路30は、スイッチング素子34aとダイオード34eに換えて、ダイオード334eと有していてもよい。同様に、第2回路30は、スイッチング素子34bとダイオード34fをダイオード434fに、スイッチング素子34cとダイオード34gをダイオード334gに、スイッチング素子34dとダイオード34hをダイオード334hに、それぞれ置換してもよい。即ち、第2回路30は、AC−DCコンバータとして機能する一方、DC−ACコンバータとして機能しなくてもよい。
また、メインバッテリ4側のメイン電源配線10に電力を供給しない場合、第1回路28は、DC−ACコンバータとして機能する一方、AC−DCコンバータとして機能しなくてもよい。
第1実施例では、プリチャージ中にサブバッテリ22の電力をPCU12に供給している。第2実施例では、プリチャージ中にメインバッテリ4の電力をサブバッテリ22に供給している。しかしながら、プリチャージ中には、第3回路32を動作させないで、サブバッテリ22とメイン電源配線10との間で電力を供給しなくてもよい。この場合、例えば、図3のフローチャートにおいて、ECU60は、S20〜S26の処理を実行しなくてもよい。
また、上記の各実施例では、プリチャージでもエンジンクランキングでもメインバッテリ4から第1回路28、トランス36及び第2回路30を介して、PCU12に電力を供給している。しかしながら、プリチャージとエンジンクランキングのどちらか一方では、メインバッテリ4から第1回路28、トランス36及び第2回路30を介して、PCU12に電力を供給せずに、サブバッテリ22から第3回路30、トランス36及び第2回路30を介して、PCU12に電力を供給してもよい。
ECU60は、プリチャージ中の処理において、図3又は図4の処理を開始する前に、サブバッテリ22の充電量を用いて、プリチャージ中にサブバッテリ22からPCU12に電力を供給すべきか(即ち図3の処理を実行すべきか)、あるいは、メインバッテリ4からサブバッテリ22に電力を供給すべきか(即ち図4の処理を実行すべきか)、を判断してもよい。例えば、ECU60は、サブバッテリ22の放電性能(即ち放電時の電流ISと電圧VSとの関係)に基づいてサブバッテリ22の充電量を推測し、推測された充電量が予め決められた充電量よりも多い場合に、プリチャージ中にサブバッテリ22からPCU12に電力を供給すべきである(即ち図3の処理を実行すべきである)と判断し、推測された充電量が予め決められた充電量よりも少ない場合に、プリチャージ中にメインバッテリ4からサブバッテリ22に電力を供給すべきである(即ち図4の処理を実行すべきである)と判断してもよい。
また、逆流防止スイッチ31、41、45の少なくとも1つは、対応するコイルと対応する電源配線との間で電力が供給されないように遮断する遮断スイッチであってもよい。例えば、逆流防止スイッチ31を遮断スイッチに置換する場合、遮断スイッチがオンである場合、第2コイル36aとPCU12側のメイン電源配線10の間で電力の供給が可能となる一方、遮断スイッチがオフである場合、第2コイル36aとPCU12側のメイン電源配線10の間で電力の供給が不可能となってもよい。
また、スイッチング回路34、38、46がAC−DCコンバータとして機能する場合、スイッチング回路34、38、46に含まれるスイッチング素子34a、34b、34c、34d、38a、38b、38c、38d、46a、46b、46c、46dは、動作せずにオフ(即ち非導通)で維持されていてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
幾つかの実施形態では、第1回路と第2回路と第3回路の各々が、DC−ACコンバータとAC−DCコンバータを含んでいてもよい。この構成によると、メインバッテリとサブバッテリと電力制御ユニットとの間で、必要な箇所に電力を融通することができる。
幾つかの実施形態では、第1回路と第2回路と第3回路の各々が、対応するコイルから対応する電源配線に電力が供給されないように遮断する遮断スイッチを有していてもよい。この構成によると、意図せずにメイン電源配線及びサブ電源配線に電力が供給されることを回避することができる。例えば、トランスを介して第1回路から第2回路に電力を供給させる場合に、第3回路の遮断スイッチが第3コイルからサブ電源配線に向かって電力が供給不可能な状態に維持することによって、サブ電源配線に電力が供給されることを回避することができる。
幾つかの実施形態では、車両用電源システムは、スイッチと第1回路と第2回路を制御する制御装置を備えていてもよい。制御装置が、スイッチによってメイン電源配線を非導通とする状態で、第1回路のDC−ACコンバータを動作させて第2回路のAC−DCコンバータを介して平滑コンデンサを充電するプリチャージ制御を実行してもよい。この構成によると、サブバッテリのみから電力を供給して平滑コンデンサをプリチャージする場合に比べて、プリチャージに要する時間を短縮することができる。
幾つかの実施形態では、制御装置が、プリチャージ制御中に、メインバッテリの電圧が予め決められた基準値未満とならないように、第1回路のDC−ACコンバータのデューティ比を制御してもよい。この構成によると、メインバッテリの電圧が過度に低下することによって、メインバッテリの性能が低下することを防止することができる。
あるいは、幾つかの実施形態では、第3回路がAC−DCコンバータの機能を有していてもよい。制御装置が、プリチャージ制御中に、第1回路のDC−ACコンバータを動作させて第3回路のAC−DCコンバータを介してサブ電源配線に電力を供給する充電制御を実行してもよい。この構成によると、平滑コンデンサをプリチャージするとともに、サブバッテリを充電することができる。
幾つかの実施形態では、制御装置が、充電制御中に、サブバッテリの電圧が予め決められた上限値を越えないように、第3回路を制御してもよい。この構成によると、サブバッテリの性能を越える電圧がサブバッテリに印加されることを防止することができる。
幾つかの実施形態では、制御装置は、さらに第3回路を制御してもよい。第3回路がDC−ACコンバータの機能を有していてもよい。制御装置が、プリチャージ制御中に、第1回路のDC−ACコンバータと第3回路のDC−ACコンバータを動作させて第2回路のAC−DCコンバータを介して平滑コンデンサを充電するサブ電源活用制御を実行してもよい。この構成によると、メインバッテリとサブバッテリの両者の電力を供給して平滑コンデンサをプリチャージすることができる。これにより、プリチャージに要する時間を短縮することができる。
幾つかの実施形態では、制御装置が、サブ電源活用制御中に、サブバッテリの電圧が予め決められた下限値未満にならないように、第3回路のDC−ACコンバータのデューティ比を制御してもよい。この構成によると、プリチャージによってサブバッテリの電圧が低下し、例えばパワーステアリングやエアコン等の車両の補機に供給される電圧が低下することを防止することができる。
幾つかの実施形態では、制御装置が、サブ電源活用制御中に、サブ電源配線の電流が予め決められた上限値を越えないように、第3回路のAC−DCコンバータのデューティ比を制御してもよい。この構成によると、サブ電源活用制御中にサブバッテリからの電流がサブバッテリの性能を越えならないように制御することができる。