以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図9は、本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態を示す図であり、画像形成装置をインクジェット式記録装置に適用した例を示している。
図1および図2に示すように、画像形成装置としてのインクジェット式記録装置1は、いわゆるシリアル型インクジェット式記録装置である。シリアル型インクジェット式記録装置は、インクジェットヘッドをシートの幅方向に走査させながら画像を形成し、1回あるいは複数回の走査が終了した後にシートを搬送し、次の記録ラインを形成するようになっている。
図3に示すように、インクジェット式記録装置1は、画像形成部2と、シート搬送部3と、ロール紙収容部4と、シート切断装置5と、制御部100(図6参照)とを含んで構成され、これら各部は装置本体1aの内部に配置されている。シート搬送部3は、本発明に係るシート搬送手段を構成する。
図1に示すように、画像形成部2は、図示しない両側板にガイドロッド13およびガイドレール14が掛け渡され、これらのガイドロッド13およびガイドレール14にキャリッジユニット15が矢印A方向に摺動可能に保持されている。
ここで、摺動とは、キャリッジユニット15がガイドロッド13およびガイドレール14に接触しつつ、これらガイドロッド13およびガイドレール14上を矢印A方向に移動することをいう。
キャリッジユニット15には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド15a(図2参照)が搭載されている。各記録ヘッド15aには、図示を省略しているが、各記録ヘッド15aにインクを供給するサブタンクが一体的に設けられている。
キャリッジユニット15は、主走査機構10によって主走査方向、すなわちシート幅方向(図1中、矢印Aで示す方向)に往復して移動走査されるようになっている。具体的には、画像記録可能なロール紙30の最大シート幅の領域外には、シート幅方向に互いに離隔してキャリッジホーム位置(図4中、実線で示す位置)と空吐出位置(図4中、破線で示す位置)とが設けられている。キャリッジユニット15は、図4に示すように、キャリッジホーム位置と空吐出位置との間で、シート幅方向に移動可能に構成されている。
以下、キャリッジユニット15のシート幅方向の移動領域をキャリッジ移動領域という。したがって、上記空吐出位置およびキャリッジホーム位置は、キャリッジ移動領域の両端であって後述するカッタユニット40(図4参照)との接触を回避可能な位置にそれぞれ設けられている。また、上記空吐出位置およびキャリッジホーム位置は、それぞれ後述するカッタ移動領域外に退避した位置に配置されている。本実施の形態におけるキャリッジホーム位置および空吐出位置は、本発明における待機位置に相当する。待機位置は、キャリッジ移動領域の片端だけに設けるようにしてもよい。
主走査機構10は、図1に示すように、シート幅方向の装置正面左側(装置正面から見て左側)に配置されるキャリッジ駆動モータ21を備えている。また、主走査機構10は、キャリッジ駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ22と、シート幅方向の装置正面右側(装置正面から見て右側)に配置された従動プーリ23と、これらプーリ間に掛け回されたベルト部材24とを備えている。
従動プーリ23は、図示しないテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ22に対して離間する方向にテンションがかけられている。ベルト部材24は、キャリッジユニット15の背面側に設けたベルト固定部に一部分が固定保持されていることで、シート幅方向にキャリッジユニット15を牽引する。
また、図2に示すように、キャリッジユニット15の主走査位置を検知するため、エンコーダシート16がキャリッジユニット15のシート幅方向に沿って配置されている。キャリッジユニット15の主走査位置は、キャリッジユニット15に設けられたエンコーダセンサ103によってエンコーダシート16が読取られることにより検知される。
このキャリッジユニット15における主走査領域のうち、記録領域では、シートとしてのロール紙30がシート搬送部3によってシート幅方向と直交する方向、すなわちシート搬送方向(図1、図2中、矢印Bで示す方向)に間欠的に搬送される。
また、シート幅方向のキャリッジ移動領域外、または主走査領域のうち装置正面左側の端部側領域には、記録ヘッド15aのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ18が装置本体1aに対して着脱自在に装着されている(図1参照)。
また、図2に示すように、キャリッジ移動領域の空吐出位置側(図2中、左側)には、増粘したインクを排出するために画像記録に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出動作を行うときのインク滴を受ける空吐出受け17が設けられている。各記録ヘッド15aは、所定の条件成立時、吐出性能の維持、回復のために上記空吐出位置において空吐出を行うようになっている。
さらに、キャリッジ移動領域のキャリッジホーム位置側(図2中、右側)には、記録ヘッド15aの維持回復を行う維持回復機構19が配置されたキャッピング位置が設けられている。
維持回復機構19は、各記録ヘッド15aの各ノズル面15b(図4参照)をキャッピングするための各キャップ部材19aと、各ノズル面15bをワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード19bとを備えている。また、維持回復機構19は、キャップ昇降手段19c(図6参照)と、吸引手段19d(図6参照)とを含んで構成されている。
キャップ昇降手段19cは、各キャップ部材19aおよびワイパーブレード19bを昇降させるようになっている。吸引手段19dは、各ノズル面15bをキャッピングしたキャッピング状態で吸引を行うよう各キャップ部材19aに接続されている。
各ノズル面15bは、例えば印字動作終了後や後述するカッタユニットの異常時などにキャップ昇降手段19cが駆動されることにより、各キャップ部材19aによりキャッピングされるようになっている。
また、各ノズル面15bをキャッピングした状態で吸引手段19dを駆動させた場合には、各キャップ部材19a内の空間が負圧とされ、各ノズルから各キャップ部材19a内にインクを排出させることができる。
排出された廃インクは、図示しない廃液タンクに排出されるようになっている。なお、装置の仕様によっては、例えば空吐出受けをキャリッジホーム位置側に設けて、キャップ部材19aやワイパーブレード19bと同様に維持回復機構19に含めた構成としてもよい。また、キャリッジホーム位置側および空吐出位置側の両方にそれぞれ空吐出受けを設ける構成であってもよい。
ロール紙収容部4は、給紙手段であり、画像記録用のシートとしてロール紙30がセットされるようになっている。このロール紙収容部4には、シート幅方向のサイズが異なるロール紙がセット可能である。
ロール紙30は、その紙軸に両側からフランジ31を装着し、このフランジ31をフランジ受け32に載置することによりロール紙収容部4に収容される。フランジ受け32の内部には、図示しない支持コロが設けられ、該支持コロがフランジ31の外周と当たり接することでフランジ31が回転し、ロール紙30がシート搬送経路に送り出される。
図3に示すように、シート搬送部3は、給紙ローラ対33と、レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35と、用紙吸引搬送機構36とを備えている。また、シート搬送部3は、給紙ローラ対33、レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35を駆動する図示しない駆動モータなどからなる駆動部38(図6参照)を備えている。給紙ローラ対33は、ロール紙収容部4からロール紙30をシート搬送経路に給紙するようになっている。
レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35は、画像形成部2のシート搬送方向上流側に設けられ、給紙されたロール紙30を画像形成部2の下方を通してシート切断装置5に搬送するようになっている。
また、用紙吸引搬送機構36は、シート搬送経路を挟んで画像形成部2の下方に配置され、吸引動作を行うことにより、用紙吸引搬送機構36の上面に配置された図示しないプラテン板上にロール紙30を吸い付けるようになっている。これにより、画像形成部2の下方に搬送されたロール紙30は、プラテン板に倣って平面度が維持される。
ロール紙収容部4から送り出されたロール紙30は、装置本体1aの後方(図3中、右側)から前方(図3中、左側)に向けて、シート搬送部3により画像形成部2の下方に位置する所定の記録領域へと搬送される。
上記記録領域にロール紙30が搬送されると、キャリッジユニット15がシート幅方向に往復移動し、画像情報に応じて記録ヘッドによりインク滴が吐出される。さらに、ロール紙30を間欠搬送しながら、キャリッジユニット15の往復移動と記録ヘッド15a(図2参照)によるインク滴の吐出とを繰り返し行うことにより、ロール紙上に連続して画像が形成される。最終的には、画像情報に応じた所望の画像がロール紙30上に形成される。
画像形成後のロール紙30は、シート切断装置5によって所定の長さに切断され、図示しない排紙ローラを介して装置本体1aの前方側に配置された排紙トレイ(図示省略)に排出される。
次に、図4〜図5を参照して、本実施の形態に係るシート切断装置5について説明する。なお、図4は、装置本体1a(図1参照)の背面側からシート切断装置5を見た図である。
図5(a)は、シート切断装置の一部断面を示す側面図である。図5(a)において、実線で記載されたカッタハウジング51は、カッタユニット40が切断を行う状態(往路移動時)の位置を示し、また破線で記載されたカッタハウジング51は、カッタユニット40が退避した状態(復路移動時)の位置を示す。
図4および図5(a)、(b)に示すように、シート切断装置5は、画像形成部2のシート搬送方向下流側に配置され(図3参照)、カッタ50と、カッタユニット40と、ガイド部材41と、ワイヤ42とを含んで構成されている。
カッタユニット40は、カッタ50を収容するカッタハウジング51と、移動部材52と、接続部材としての回転軸53とを備えている。
カッタ50は、ロール紙30を介して互いに対向配置された刃部からなる円形刃物50a、50bからなり、カッタハウジング51に回転可能に保持され、収容されている。円形刃物50a、50bは、カッタハウジング51のシート幅方向(図4中、矢印Aで示す方向)の移動に応じて駆動力を得て回転するようになっている。カッタ50は、シート搬送経路を搬送されるロール紙30を所定の長さに切断するようになっている。
すなわち、カッタ50は、円形刃物50a、50bが回転しながらロール紙30を切断するため、比較的厚さのあるロール紙などの切断にも対応できる。また、カッタ50は、円形刃物で構成されているため、固定刃のように所定箇所のみが集中して摩耗するといった不具合を防止することができる。
カッタハウジング51は、図4に示すシート幅方向の移動領域(以下、カッタ移動領域という)内をシート幅方向に往復移動可能に構成されている。図4に示すカッタ移動領域の両端には、第1の退避位置(図4中、左側)および第2の退避位置(図4中、右側)がそれぞれ設けられている。
ここで、第2の退避位置は、カッタ移動領域の両端のうち、第1の退避位置と反対側の端部に位置する。第1および第2の退避位置においては、カッタハウジング51がシート搬送経路からシート厚さ方向、すなわち鉛直方向の下方に退避した状態とされる。
このため、カッタハウジング51は、第1および第2の退避位置にあるときにはキャリッジユニット15と干渉しないようになっている。本実施の形態では、第1の退避位置をカッタハウジング51のホームポジション(カッタホームポジション)としている。
カッタハウジング51は、回転軸53を介して移動部材52に接続されている。また、カッタハウジング51は、移動部材52に対して回転軸53を中心にシート厚さ方向に回動可能、すなわち所定角度範囲で正逆方向に円運動可能なように構成されている。
カッタハウジング51は、装置本体1a(図1参照)の装置正面右側から装置正面左側へ移動する往路ではカッタ50によりロール紙30を切断するようになっている。すなわち、カッタハウジング51は、ロール紙30の切断時はカッタホームポジション(第1の退避位置)から第2の退避位置に移動する。
一方、カッタハウジング51は、装置本体1a(図1参照)の装置正面左側から装置正面右側へ移動する復路では、移動部材52に対して下方に回動することにより第2の退避位置に移動した状態でカッタホームポジションに移動するようになっている。
すなわち、カッタハウジング51は、ロール紙30の切断後、シート搬送経路に対してシート厚さ方向下方に退避した状態でシート幅方向に移動可能に構成されている。このため、復路では、カッタハウジング51がシート搬送経路から離隔し、シート搬送経路を塞ぐことがない。さらに、カッタハウジング51は、復路(第1の退避位置)から往路に復帰する際には移動部材52に対して上方に回動するようになっている。
カッタ移動領域の両端には、例えば透過型のセンサやマイクロスイッチなどで構成された第1検出部101、第2検出部102がそれぞれ設置されている。第1検出部101および第2検出部102は、それぞれカッタハウジング51が第1、第2の退避位置に位置することを検出する。
カッタハウジング51は、第1検出部101、第2検出部102により位置を検出され、制御手段としての制御部100により移動が制御される。
また、カッタハウジング51は、シート切断時の移動方向(以下、単にカット方向という)の上流側(図4中、左側)に従動コロ51aが設けられている。
従動コロ51aは、後述する駆動コロ55とシート幅方向に離間した位置に回転自在に設けられている。従動コロ51aは、カッタハウジング51の往路では上ガイドレール61上を移動し、復路では下ガイドレール62上を移動するようになっている。
すなわち、従動コロ51aは、カッタハウジング51の移動に際し、上ガイドレール61および下ガイドレール62に対してカッタハウジング51を位置決めする部材として機能する。なお、カッタハウジング51の位置決め用の部材としては、従動コロ51aに限らず、例えば円弧状の突起であってもよいが、カッタハウジング51の移動時の位置決め用の部材と両ガイドレールとの摩擦の影響を抑えるためにはコロで形成することが好ましい。
移動部材52は、図5(a)および図5(b)に示すように、カッタハウジング51に対してシート搬送方向に離隔して設けられ、本体54と、駆動コロ55とを含んで構成されている。また、移動部材52は、装置本体1a(図1参照)のシート幅方向に延在する移動領域内でシート幅方向に移動可能とされる。
図4、図5(a)および図5(b)に示すように、駆動コロ55は、ゴムローラからなり、回転軸53に一体回転可能に固定されている。したがって、駆動コロ55は、回転軸53を介して本体54に回転可能に保持されている。
移動部材52は、装置本体1aのシート幅方向両側に設けられた一対のプーリ58に掛け渡されたワイヤ42に接続されている。一対のプーリ58のうち、装置本体1a(図1参照)の装置正面左側に設けられたプーリ58には、カッタユニット駆動モータ59が接続されている。
したがって、ワイヤ42は、カッタユニット駆動モータ59により回転するプーリ58を介してシート幅方向に回転移動するようになっている。すなわち、ワイヤ42は、移動部材52に牽引力を伝達するようになっている。
これにより、ワイヤ42は、移動部材52をシート幅方向に牽引するようになっている。したがって、駆動コロ55は、ワイヤ42の回転移動に応じて上ガイドレール61上を回転駆動するようになっている。
また、カッタハウジング51は、往路と復路との切換時、駆動コロ55の回転軸53を支点に鉛直方向に回動するようになっている。これにより、カッタハウジング51は、往路でロール紙30を切断する姿勢と、復路でシート搬送経路から退避した姿勢とが切り換わるようになっている。
ここで、図5(a)に示すように、駆動コロ55と従動コロ51aとは、互いにシート搬送方向(図中、矢印Bで示す方向)にずらして配置されている。具体的には、従動コロ51aが駆動コロ55よりシート搬送方向の上流側に配置される。
このため、駆動コロ55を上ガイドレール61上に維持した状態で、従動コロ51aを上ガイドレール61と下ガイドレール62との間で移動させることができ、上述したカッタハウジング51の回動を実現することができる。なお、図5(a)において矢印B方向に延在する破線は、シート搬送経路である。
また、本実施の形態では、図5(a)に示すように、カッタハウジング51がキャリッジユニット15のシート搬送方向の幅内に配置される構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、キャリッジユニット15に対してカッタハウジング51がシート搬送方向上流側あるいは下流側に離間した位置に配置される構成であってもよい。
シート搬送方向上流側に配置される場合は、キャリッジユニット15による画像形成を終了した後に切断してもよい。この場合、切断されたシートの後端近傍に画像を形成することができないため、ロール紙30を切断した後にキャリッジユニット15を動かして画像形成を行う構成としてもよい。
さらに、図4に示すように、カッタハウジング51は、シート搬送経路に対して鉛直方向に所定の角度で傾斜した傾斜面部51cを有している。この傾斜面部51cの傾斜角度は、カッタハウジング51が復路を移動する際にシート搬送経路と平行となる角度に設定されている。
図5(a)および図5(b)に示すように、回転軸53は、カッタハウジング51と移動部材52とを接続する機能を有する。また、回転軸53は、移動部材52に対してカッタハウジング51を回転軸53の中心軸を中心にシート厚さ方向に回動させる。
回転軸53のシート搬送方向の下流側端部には、上述した駆動コロ55が一体回転可能に固定されている。さらに、回転軸53のシート搬送方向の上流側端部は、カッタハウジング51の軸受部(図示せず)に回転自在に保持されている。
図4に示すように、ガイド部材41は、移動部材52がシート幅方向に移動するのをガイドする部材である。ガイド部材41は、シート幅方向に延在し、少なくとも最大シート幅よりも長く設定された上ガイドレール61と、上ガイドレール61に対してシート搬送経路より鉛直方向の下方に離隔した下ガイドレール62とを備えている。上ガイドレール61は、移動部材52の下方に配置される。
また、図5(a)に示すように、ガイド部材41は、上ガイドレール61の上方に上ガイド板63を備えている。上ガイド板63は、移動部材52の上方に配置されている。ガイド部材41は、上ガイドレール61上にカッタハウジング51の往路を形成し、下ガイドレール62上にカッタハウジング51の復路を形成している。
したがって、カッタハウジング51の従動コロ51aは、シート切断時の往路においては上ガイドレール61上を移動し、シート切断後の復路においては下ガイドレール62上を移動するようになっている。
上ガイドレール61は、図5(a)、図5(b)に示すように、シート搬送方向に並列に、駆動コロ案内領域61aと、従動コロ案内領域61bとを有している。駆動コロ案内領域61aは、駆動コロ55をシート幅方向に案内する領域である。従動コロ案内領域61bは、カッタハウジング51が往路を移動するよう従動コロ51aを案内する領域である。
従動コロ案内領域61bのシート幅方向の装置正面左側には、カッタハウジング51の経路を往路から復路に切り換えるための第1連通路61cが形成されている。第1連通路61cは、図5(b)に示すように、上ガイドレール61上の往路と下ガイドレール62上の復路とを連通するよう上ガイドレール61に形成されている。
具体的には、上ガイドレール61がシート幅方向の装置正面左側の所定箇所で切り欠かれるとともに、切り欠かれた端部が下方に向けて所定の角度で傾斜するよう折り曲げられることにより第1連通路61cが形成される。
これにより、従動コロ51aは、ロール紙切断後、上ガイドレール61から下ガイドレール62に移動可能となる。また、第1連通路61cに隣接する上ガイドレール61の下方側端部(図示せず)は、復路を移動する従動コロ51aとの接触を避けるため、上方に折り曲げられている。
一方で、図5(b)に示すように、従動コロ案内領域61bのシート幅方向の装置正面右側には、移動機構70が設けられている。移動機構70は、カッタハウジング51がホームポジションからシート幅方向の装置正面左側に移動したとき、従動コロ51aを下ガイドレール62から上ガイドレール61に移動させるようになっている。すなわち、移動機構70は、カッタハウジング51をロール紙切断動作領域に復帰させるための機構である。
移動機構70は、下ガイドレール62上の復路と上ガイドレール61上の往路とを連通させる第2連通路61eと、第2連通路61eに隣接して上ガイドレール61に設けられた切換爪71とを有している(図5(b)参照)。
第2連通路61eは、上ガイドレール61の装置正面右側の所定箇所が切り欠かれることにより形成されている(図5(b)参照)。
切換爪71は、復路と上記第2連通路61eとの間で回動自在、すなわち所定角度範囲で正逆方向に円運動可能に設けられている。切換爪71は、先端部が下ガイドレール62に接触するよう、図示しないコイルバネなどの弾性部材の弾性力により常時、下方側に押し当てる力がかかっている。なお、切換爪71は、板バネで構成されていてもよい。この場合には、上記弾性部材が不要となる。
したがって、切換爪71は、カッタハウジング51が復路をシート幅方向の装置正面右側に移動する際に、従動コロ51aが接触することにより、弾性部材の弾性力に抗して上方に回動するようになっている。
そして、この状態から従動コロ51aがさらにシート幅方向の装置正面右側に移動すると、切換爪71は、従動コロ51aとの接触が解除され、弾性部材の弾性力により元の位置に復帰するようになっている。
さらに、切換爪71は、所定の角度で傾斜している。これにより、カッタハウジング51が復路から往路に復帰する際に、切換爪71を介して従動コロ51aを下ガイドレール62から上ガイドレール61に移動させることができる。
下ガイドレール62は、カッタハウジング51が復路を移動する際に従動コロ51aを案内するようになっている。
図5(a)に示すように、上ガイド板63は、移動部材52の一対の側面52a、52bに対して、対向配置された第1案内面部63aおよび第2案内面部63bを有している。
第1案内面部63aは、上ガイド板63に対して下方側にL字状に折り曲げられ、上ガイドレール61に一体的に接続されている。本実施の形態では、上ガイド板63と上ガイドレール61とを第1案内面部63aを介して一体的に構成したが、これに限らず、上ガイド板63と上ガイドレール61とを別部材で構成してもよい。
また、第2案内面部63bは、第1案内面部63aと同様、上ガイド板63に対して下方側にL字状に折り曲げられるとともに、所定長さだけ下方に延在している。ここで、第2案内面部63bの延在する所定長さは、移動部材52の各接触部54dが接触可能な領域を確保できる程度の長さである。
次に、図6を参照して、制御部100の構成について説明する。
図6に示すように、制御部100には、上述した記録ヘッド15a、キャップ昇降手段19c、吸引手段19d、駆動部38、カッタユニット駆動モータ59、操作表示部105、外部装置150およびキャリッジ駆動モータ21がそれぞれ接続されている。また、制御部100には、上述した第1検出部101、第2検出部102、エンコーダセンサ103がそれぞれ接続されている。
制御部100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェースなどを備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、カッタユニット40およびキャリッジユニット15の移動、ならびにシート搬送部3を制御するようになっている。
第1検出部101は、図4に示すカッタ移動領域の第1の退避位置側(図4中、左側端部)に配置され、カッタハウジング51が第1の退避位置に位置することを検出するようになっている。
第2検出部102は、カッタ移動領域の第2の退避位置側(図4中、右側端部)に配置され、カッタハウジング51が第2の退避位置に位置することを検出するようになっている。
エンコーダセンサ103は、上述した通り、キャリッジユニット15に設けられ、エンコーダシート16を読取ることによりキャリッジユニット15の主走査位置を検知するようになっている。これら各検出手段からの検出結果を示す信号は、制御部100に入力されるようになっている。
操作表示部105は、装置本体1a(図1参照)の所定箇所に配置され、ユーザからの動作要求の指示やカッタユニット異常時の印字動作継続の有無を受け付け、ユーザへのメッセージ(エラーメッセージを含む)等の表示を行うようになっている。
制御部100は、外部に接続された外部装置150などから転送される画像情報等に基づいてロール紙30に画像を記録するためのデータを生成し、このデータを記録ヘッド15aに出力し、記録ヘッド15aを駆動制御するようになっている。また、制御部100は、記録ヘッド15aの駆動制御と併せて、キャリッジ駆動モータ21および駆動部38を制御するようになっている。このように、制御部100は、記録ヘッド15a、キャリッジ駆動モータ21および駆動部38を制御することにより、所定のタイミングでインク滴を吐出させ、ロール紙30の記録領域に画像を記録する。
制御部100は、エンコーダセンサ103からの入力信号に基づき、キャリッジユニット15がキャリッジホーム位置または空吐出位置のいずれに位置するか判断するようになっている。
また、制御部100は、カッタユニット駆動モータ59の駆動を制御することによって、往路を介してカッタハウジング51(図4参照)をシート幅方向の装置正面左側に移動させるシート切断動作を実行するようになっている。このシート切断動作により、ロール紙30(図3参照)が切断される。
また、制御部100は、上記シート切断動作の実行後、カッタハウジング51が第2検出部102により検出されると、カッタユニット駆動モータ59を逆転駆動するようになっている。これにより、制御部100は、カッタハウジング51をシート搬送経路から退避した状態で復路上をシート幅方向の装置正面右側に移動させることができる。
このとき、制御部100は、カッタハウジング51の復路移動と同時にロール紙30をシート搬送方向下流に向けて搬送可能なように駆動部38を制御する。したがって、カッタハウジング51が復路を移動している間に、例えば画像記録のためにロール紙30を搬送することが可能となる。
さらに、制御部100は、カッタ50の移動経路にあたるカッタ位置にロール紙30(図3参照)のシートカット位置が達したとき、キャリッジユニット15の移動とカッタユニット40を重複して移動させる制御を実行可能に構成されている。
ここで、制御部100がキャリッジユニット15とカッタユニット40を重複して移動させるときは、キャリッジユニット15の移動方向はカッタユニット40のシート切断時の移動方向(カット方向)と同一である。例えば、キャリッジユニット15が図4中、最大シート幅の右側で印字終了後、空吐出位置に移動するときには、キャリッジユニット15とカッタユニット40を重複して移動させることがある。また、シートカット位置がカッタ位置に一致するとき、キャリッジユニット15が図4中、最大シート幅の左側から右側に向けて印字のために移動するときにも、キャリッジユニット15とカッタユニット40を重複して移動させることがある。
また、制御部100は、ロール紙30に複数ページにわたり連続的に画像を記録する画像記録条件において、カッタ位置にてキャリッジユニット15の移動方向とカッタユニット40の移動方向とが一致するよう構成されている。
次に、キャリッジユニット15とカッタユニット40のシート搬送方向位置が理想的な位置関係となっている場合と、理想的な位置関係からずれた場合について説明する。
図7(a)は、キャリッジユニット15の記録ヘッド15a(印字開始位置)からカッタユニット40のカッタ50までのシート搬送方向距離が本来の設定距離(L)である場合に、印字動作とカット動作を同時に行う様子を示す説明図である。制御部100は例えば次のような制御を実行する。
まず、一枚目の印字が終了すると(1)、シート搬送部3により記録ヘッド15aの印字幅(W)と同じ大きさの距離だけシートをシート搬送方向Bに搬送する(2)。その状態で、キャリッジユニット15をキャリッジホームポジション側に移動させつつ、Wの印字幅で印字を行わせる(3)。次に、シート搬送部3により、シートをシート搬送方向BにL−Wの距離だけ搬送する(4)。その状態で、キャリッジユニット15をキャリッジ空吐出側に移動させつつ、L−Wの印字幅で印字を行わせると同時に、カッタユニット40を移動させて切断動作を実行する(5)。以上の動作によって、印字済みの1枚目のシートが切り離される(6)。
すなわち、キャリッジユニット15とカッタユニット40とのシート搬送方向距離が本来の設定距離(L)である場合は、印字とシート切断を同時に実行させても、切断されたシートの搬送方向長さは狙い通りの長さとなる。
図7(b)は、キャリッジユニット15の記録ヘッド15a(印字開始位置)からカッタユニット40のカッタ50までのシート搬送方向距離が本来の設定距離(L)からずれている場合に、印字動作とカット動作を同時に行う様子を示す説明図である。この場合には、キャリッジユニット15による印字と同時にカッタユニット40を駆動させてシートを切断すると(5)、キャリッジユニット15とカッタユニット40との搬送方向距離のずれ分だけシートの搬送方向長さが変わってしまう。ここではシート搬送方向長さが短くなる例を示したが、キャリッジユニット15とカッタユニット40とのシート搬送方向距離が短くなる方向にずれた場合には、逆にシートの搬送方向長さはずれ分だけ長くなってしまう。
キャリッジユニット15とカッタユニット40とのシート搬送方向距離のずれは、キャリッジユニット15とカッタユニット40との間に介在する部品の寸法ばらつきが原因であり、部品加工上、大なり小なり必然的に発生するものである。
なお、印字動作とカット動作を同時に行わない従来の制御方法を採用した場合であっても、シートの搬送量や印字幅をキャリッジユニット15とカッタユニット40とのシート搬送方向距離に基づいて決定する場合には、上記と同様の問題が生じ得る。
次に、本発明の実施形態に係る調整機構300について図8〜図9を参照して説明する。
この調整機構300は、シート搬送方向Bにおいてキャリッジユニット15に対するカッタユニット40の位置を調整するものである。この調整機構300は、図8に示すように、第1基準部としての基準穴部202、203と、第2基準部としての基準凸部201と、スライド手段としての長穴205、206とを含む。
基準穴部202、203は、シート搬送方向Bにおいてカッタユニット40を所定の位置に位置決めするためのものであり、幅方向(主走査方向A)へのカッタユニット40の移動を案内するガイド部材41に設けられている。
具体的には、基準穴部202、203は、ガイド部材41の上面におけるシート搬送方向Bの所定位置で、かつ、ガイド部材41の端部近傍に設けられた取付け部215の近くに上面視円形に形成されている。しかしながら、基準穴部202、203の形状は、これに限定されるものではなく、位置決め治具210に設けられた係合凸部210bに係合可能な形状ならば任意の形状としてよい(図9参照)。
また、基準穴部202、203は、穴部の代わりに、任意の形状のボス、ピン等の凸部としてもよい。この場合には、位置決め治具210の係合凸部210bは、凸形状に代えて、係合する凹形状にすればよい。また、基準穴部202、203は、ガイド部材41ではなく、カッタユニット40に設けることもできる。
図8では、2個の基準穴部202、203がガイド部材41に設けられているが、個数は任意であり、ガイド部材41の配置が決まるのであれば1個でもよく、また、3個以上でもよい。ただし、一般にはガイド部材41の配置は2箇所で調整すれば決まるので、2個の基準穴部202、203を十分な間隔をあけてガイド部材41に設けるのが好ましい。
基準凸部201は、上記位置決めにおいてキャリッジユニット15のシート搬送方向位置の基準となるものであり、キャリッジユニット15に設けられている。
具体的には、基準凸部201は、キャリッジユニット15の側面の所定位置に設けられた円柱状の基準凸部201である。しかしながら、基準凸部201の形状は、これに限定されるものではなく、位置決め治具210に設けられた係合凹部210aに係合可能な形状ならば任意の形状としてよい(図9参照)。
また、基準凸部201は、凸部の代わりに、任意の形状の穴部としてもよい。この場合には、位置決め治具210の係合凹部210aは、凹形状に代えて、係合する凸形状にすればよい。
長穴205、206は、カッタユニット40をシートの搬送方向前後(カッタユニット位置調整方向C)にスライドさせるよう構成されている。
具体的には、長穴205、206は、ガイド部材41の取付け部215に設けられた、シート搬送方向Bに長い長穴205、206である。この長穴205、206には、装置本体1aに設けられた位置決め用の本体ボス207が挿通されるようになっている。このため、ガイド部材41およびそれにガイドされるカッタユニット40は、シートの搬送方向前後にのみ移動可能となっている。
この長穴205、206の形状は、図8に示すような楕円形状に限定されるものではなく、シートの搬送方向前後にガイド部材41をスライド可能であれば他の形状でもよい。
また、長穴205、206の代わりに、例えば、ガイド部材41の取付け部215をレールや溝等の上に配置し、シートの搬送方向前後にスライド可能となるようにしてもよい。
基準凸部201に対する基準穴部202、203のシート搬送方向位置が、長穴205、206により調整可能となっている。
図9は、調整方法の一例を示しており、図8の構成において位置決め治具210が用いられる様子を示した概略側面図である。
位置決め治具210の一側面には、キャリッジユニット15に設けられた円柱状の基準凸部201を挿入できる係合凹部210aが設けられている。位置決め治具210の下面には、ガイド部材41に設けられた基準穴部202、203の1つに挿入できる円柱状の係合凸部210bが設けられている。ガイド部材41は、その取付け部215に設けられた長穴205、206によりシートの搬送方向前後にスライド自在となっている。
図9に示すように、キャリッジユニット15の基準凸部201を位置決め治具210の係合凹部210aに挿入し、ガイド部材41の基準穴部202、203の1つに、位置決め治具210の係合凸部210bを挿入する。この状態で、ガイド部材41を装置本体1aに固定する。これにより、キャリッジユニット15とカッタユニット40のシート搬送方向位置が理想的な位置関係にて固定される。このようにして、キャリッジユニット15とカッタユニット40の同時駆動時に生じる、搬送方向におけるシートのカット位置のずれを確実に防止することができる。
ガイド部材41に複数の基準穴部202、203が設けられている場合には、キャリッジユニット15をガイドロッド13に沿って移動させることにより、それぞれの基準穴部202、203について上記の位置決めを行うようにしてもよい。
ガイド部材41は、その取付け部215に設けられた長穴205、206に挿通された本体ボス207によって主走査方向(図1中、A方向)への移動が阻止されるので、ガイド部材41の主走査方向の位置は変化しない。
以上のように、本実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、シート搬送方向Bにおいてキャリッジユニット15に対するカッタユニット40の位置を調整する調整機構300を備えている。この調整機構300は、カッタユニット40のガイド部材41に設けられた基準穴部202、203と、キャリッジユニット15に設けられた基準凸部201と、カッタユニット40をシート搬送方向前後にスライドさせるための長穴205、206とを含んでいる。
このため、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、キャリッジユニット15の基準凸部201に対するカッタユニット40の基準穴部202、203のシート搬送方向位置が、長穴205、206により調整可能となっている。これにより、切断されたシートの搬送方向長さが本来の設定シート長からずれないように調整することができる。よって、切断シートの搬送方向長さのずれが生じることなく、キャリッジユニット15とカッタユニット40とを同時に駆動させて画像再生の生産性を高めることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図10を参照して説明する。第2の実施形態は、調整機構に関してのみ第1の実施形態とは異なるので、調整機構以外の構成については説明を省略する。
本実施形態に係る調整機構400は、シート搬送方向Bにおいてキャリッジユニット15に対するカッタユニット40の位置を調整するものである。この調整機構400は、図10に示すように、スライド手段としての長穴205、206(図8参照)と、カッタユニット40の微調整機構225を含む。長穴205、206については、第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
微調整機構225は、カッタユニット40をシート搬送方向Bに移動させてカッタユニット40のシート搬送方向Bにおける位置を微調整するようになっている。具体的には、微調整機構225は、装置本体側に設けられた当て面部材221と、当て面部材221に当接するようにガイド部材41の端部に回転自在に設けられた楕円形状の調整カム220と、を含む。調整カム220は、ガイド部材41の端部に回転自在に取り付けられた軸部223に固着されている。軸部223を軸にして調整カム220を回転させることで、軸部223と装置本体1a側の当て面部材221との距離を調整するようになっている。このようにして、ガイド部材41およびそれによりガイドされるカッタユニット40のシート搬送方向Bにおける位置を微調整することができる。
カッタユニット40の微調整機構225は、調整カム220と当て面部材221を用いる代わりに、送りねじ等の別の微調整機構を用いてカッタユニット40を移動させる構成としてもよい。
ガイド部材41は、長穴205、206により本体ボス207にガイドされてスライド自在であるので、カッタユニット位置調整方向Cにのみ移動する構成となっている。
図10に示す構成の調整方法としては、例えば、実際にシートの印字・カット動作を実施し、切断されたシートのシート搬送方向長さを基に、本来の設定シート長からのずれ分を無くすように調整カム220にてカッタユニット40を移動させて位置調整する。
別法として、装置本体1aの組立て時にガイドロッド13等からのカッタユニット40の位置を実際に測定し、本来の設定シート長となるように調整カム220によりガイド部材41およびそれにガイドされるカッタユニット40の位置を調整するようにしてもよい。
本実施形態では、第1の実施形態で例示したような位置決め治具210を介在させていないので、より高精度な位置決めを実現できる。
本実施形態に係るカッタユニット40の微調整機構225は、第1の実施形態に係る調整機構300において用いることもできる。この場合には、上記調整方法に加えて、位置決め治具210を用いた調整方法も可能となる。
以上のように、本実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、調整機構400が、カッタユニット40をシート搬送方向Bに移動させる微調整機構225をさらに含んでいる。この微調整機構225は、装置本体1a側に設けられた当て面部材221と、当て面部材221に当接するようにガイド部材41に設けられた調整カム220と、を含んでいる。そして、調整カム220を所要角度だけ回転させて当て面部材221に当接させることにより、カッタユニット40のシート搬送方向位置を調整可能になっている。
このため、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、装置が組み立てられた状態にて、シート搬送方向Bにおけるキャリッジユニット15に対するカッタユニット40の位置を調整することができる。また、微調整機構225により微調整ができるので、キャリッジユニット15とカッタユニット40との同時駆動に伴う、切断シートの搬送方向長さのずれを確実に防止することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図11を参照して説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態と調整機構のみ異なるので、調整機構以外の構成については説明を省略する。
本実施形態に係る調整機構500は、第1の実施形態の調整機構300から第2基準部としての基準凸部201を除いた構成である。この調整機構500は、図11に示すように、第1基準部としての複数の基準穴部202、203と、スライド手段としての長穴205、206(図8参照)とを含む。
図11は、調整方法の一例を示しており、上記構成において位置決め治具230が用いられる様子を示した概略側面図である。
位置決め治具230の一側面には、キャリッジユニット15の主走査方向Aの移動をガイドする円柱状のガイドロッド13の上半分が嵌り合うように係合凹部230aが貫設されている。位置決め治具230の下面には、ガイド部材41に設けられた上面視円形の基準穴部202、203の1つに挿入できる円柱状の係合凸部230bが設けられている。ガイド部材41は、長穴205、206によりカッタユニット位置調整方向Cにスライド自在となっている。
図11に示すように、ガイドロッド13に位置決め治具230の係合凹部230aを被せ、ガイド部材41に設けられた複数の基準穴部202、203の1つに、位置決め治具230の係合凸部230bを挿入する。この状態で、ガイド部材41を装置本体1aにボルト・ナット、ネジ等の固定部品(図示せず)によって固定する。これにより、キャリッジユニット15とカッタユニット40のシート搬送方向位置が理想的な位置関係にて固定される。よって、キャリッジユニット15とカッタユニット40の同時駆動時に生じる、切断シートの搬送方向長さのずれを確実に防止することができる。
ガイドロッド13とキャリッジユニット15は高精度に位置決めされているので、カッタユニット40の位置決めにおいてキャリッジユニット15のシート搬送方向Bの位置の基準として、ガイドロッド13自体を用いている。これにより、キャリッジユニット15に第2基準部としての基準凸部201(図8)を設ける必要がなくなる。ただし、より高精度に位置決めしたい場合は、第1および第2の実施形態の構成(図9、図10参照)の方が、間に部品(ガイドロッド13や位置決め治具230等)が介在していないので、より高精度の位置決めができる。
以上のように、本実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、シート搬送方向Bにおいてキャリッジユニット15に対するカッタユニット40の位置を調整する調整機構500を備えている。調整機構500は、シート搬送方向においてカッタユニット40を所定位置に位置決めするためにガイド部材41に設けられた複数の基準穴部202、203と、カッタユニット40をシート搬送方向前後にスライドさせるための長穴205、206とを含んでいる。
このため、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、キャリッジユニット15に対する基準穴部202、203のシート搬送方向位置が、シート幅方向の複数個所にて長穴205、206により調整可能となっている。これにより、キャリッジユニット15とカッタユニット40との同時駆動に伴う、切断シートの搬送方向長さのずれを、より簡易な構成で、確実に防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、印字とシート切断を同時実行しない従来の制御法を採用した場合であっても、シートの搬送量や印字幅をキャリッジユニット15とカッタユニット40とのシート搬送方向距離に基づいて決定する場合には上記各実施形態に係る調整機構を有効に適用できる。
以上説明したように、本発明に係る画像形成装置は、印字とシート切断を同時に実行することができるとともに、切断されたシートの搬送方向長さが本来の設定シート長からずれないように調整できるという効果を有し、シート切断装置を備えたプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置全般に有用である。