以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図20は、本発明に係るシート切断装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置をインクジェット式記録装置に適用した例を示している。
図1および図2に示すように、画像形成装置としてのインクジェット式記録装置1は、インクジェットヘッドをシートの幅方向に走査させながら画像を形成し、1回あるいは複数回の走査が終了した後にシートを搬送し、次の記録ラインを形成する、いわゆるシリアル型インクジェット式記録装置である。
インクジェット式記録装置1は、画像形成部2と、シート搬送部3と、ロール紙収容部4と、シート切断装置5と、制御部100(図16参照)とを含んで構成され、これら各部は装置本体1aの内部に配置されている。
画像形成部2は、図示しない両側板にガイドロッド13およびガイドレール14が掛け渡され、これらのガイドロッド13およびガイドレール14にキャリッジ15が矢印A方向に摺動可能に保持されている。
ここで、摺動とは、キャリッジ15がガイドロッド13およびガイドレール14に接触しつつ、これらガイドロッド13およびガイドレール14上を矢印A方向に移動することをいう。
キャリッジ15には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド15a(図2参照)が搭載されている。各記録ヘッド15aには、図示を省略しているが、各記録ヘッド15aにインクを供給するサブタンクが一体的に設けられている。
キャリッジ15は、主走査機構10によって主走査方向、すなわちシート幅方向(図1中、矢印Aで示す方向)に移動走査されるようになっている。具体的には、画像記録可能なロール紙30の最大シート幅の領域外には、シート幅方向に互いに離隔してキャリッジホーム位置(図17中、実線で示す位置)と空吐出位置(図17中、破線で示す位置)と、が設けられている。キャリッジ15は、図17に示すように、キャリッジホーム位置と空吐出位置との間で、シート幅方向に移動可能に構成されている。
以下、キャリッジ15のシート幅方向の移動領域をキャリッジ移動領域という。したがって、上記空吐出位置およびキャリッジホーム位置は、キャリッジ移動領域の両端であって後述するカッタユニット40(図17参照)との接触を回避可能な位置にそれぞれ設けられている。また、上記空吐出位置およびキャリッジホーム位置は、それぞれ後述するカッタ移動領域外に退避した位置に配置されている。本実施の形態におけるキャリッジホーム位置は、本発明における第1の待機位置に相当し、空吐出位置は、本発明における第2の待機位置に相当する。
主走査機構10は、シート幅方向の装置正面左側(装置正面から見て左側)に配置されるキャリッジ駆動モータ21を備えている。また、主走査機構10は、キャリッジ駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ22と、シート幅方向の装置正面右側(装置正面から見て右側)に配置された従動プーリ23と、これらプーリ間に掛け回されたベルト部材24とを備えている。
従動プーリ23は、図示しないテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ22に対して離間する方向にテンションがかけられている。ベルト部材24は、キャリッジ15の背面側に設けたベルト固定部に一部分が固定保持されていることで、シート幅方向にキャリッジ15を牽引する。
また、図2に示すように、キャリッジ15の主走査位置を検知するため、エンコーダシート16がキャリッジ15のシート幅方向に沿って配置されている。キャリッジ15の主走査位置は、キャリッジ15に設けられたエンコーダセンサ103によってエンコーダシート16が読取られることにより検知される。
このキャリッジ15における主走査領域のうち、記録領域では、シートとしてのロール紙30がシート搬送部3によってシート幅方向と直交する方向、すなわちシート搬送方向(図1、図2中、矢印Bで示す方向)に間欠的に搬送される。
また、シート幅方向のキャリッジ移動領域外、または主走査領域のうち装置正面左側の端部側領域には、記録ヘッド15aのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ18が装置本体1aに対して着脱自在に装着されている。
また、図2に示すように、キャリッジ移動領域の空吐出位置側(図2中、左側)には、増粘したインクを排出するために画像記録(以下、印字ともいう)に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出動作を行うときのインク滴を受ける空吐出受け17が設けられている。各記録ヘッド15aは、所定の条件成立時、吐出性能の維持、回復のために上記空吐出位置において空吐出を行うようになっている。
さらに、キャリッジ移動領域のキャリッジホーム位置側(図2中、右側)には、記録ヘッド15aの維持回復を行う維持回復機構19が配置されたキャッピング位置が設けられている。
維持回復機構19は、各記録ヘッド15aの各ノズル面15b(図4参照)をキャッピングするための各キャップ部材19aと、各ノズル面15bをワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード19bとを備えている。また、維持回復機構19は、キャップ昇降手段19c(図16参照)と、吸引手段19d(図16参照)とを含んで構成されている。
キャップ昇降手段19cは、各キャップ部材19aおよびワイパーブレード19bを昇降させるようになっている。吸引手段19dは、各ノズル面15bをキャッピングしたキャッピング状態で吸引を行うよう各キャップ部材19aに接続されている。
各ノズル面15bは、例えば印字動作終了後や後述するカッタユニットの異常時などにキャップ昇降手段19cが駆動されることにより、各キャップ部材19aによりキャッピングされるようになっている。
また、各ノズル面15bをキャッピングした状態で吸引手段19dを駆動させた場合には、各キャップ部材19a内の空間が負圧とされ、各ノズルから各キャップ部材19a内にインクを排出させることができる。
排出された廃インクは、図示しない廃液タンクに排出されるようになっている。なお、装置の仕様によっては、例えば空吐出受けをキャリッジホーム位置側に設けて、キャップ部材19aやワイパーブレード19bと同様に維持回復機構19に含めた構成としてもよい。また、キャリッジホーム位置側および空吐出位置側の両方にそれぞれ空吐出受けを設ける構成であってもよい。
ロール紙収容部4は、給紙手段であり、画像記録用のシートとしてロール紙30がセットされるようになっている。このロール紙収容部4には、シート幅方向のサイズが異なるロール紙がセット可能である。
ロール紙30は、その紙軸に両側からフランジ31を装着し、このフランジ31をフランジ受け32に載置することによりロール紙収容部4に収容される。フランジ受け32の内部には、図示しない支持コロが設けられ、該支持コロがフランジ31の外周と当たり接することでフランジ31が回転し、ロール紙30がシート搬送経路に送り出される。
図3に示すように、シート搬送部3は、給紙ローラ対33と、レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35と、プラテン36とを備えている。また、シート搬送部3は、給紙ローラ対33、レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35を駆動する図示しない駆動モータなどからなる駆動部38(図16参照)を備えている。給紙ローラ対33は、ロール紙収容部4からロール紙30をシート搬送経路に給紙するようになっている。
レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35は、画像形成部2のシート搬送方向上流側に設けられ、給紙されたロール紙30を画像形成部2の下方を通してシート切断装置5に搬送するようになっている。
プラテン36は、シート搬送経路を挟んで画像形成部2の下方に配置され、吸引動作を行う。プラテン36にはロール紙30を吸引するための吸引孔37が設けられており、キャリッジ15に対向してロール紙30を吸い付け保持するようになっている(図5参照)。ここでは、プラテン36のうちキャリッジ15により印字が行われる側の領域を印字領域側36a、印字領域側36aの下流側で印字が行われない領域を印字領域下流側36bとする。キャリッジ15による印字が行われる印字領域は図3中の両矢印で示す通りである。
プラテン36の下方には印字領域側ファンF1および下流側ファンF2が設けられている。印字領域側ファンF1は本発明における第1の吸引手段を構成し、下流側ファンF2は第2の吸引手段を構成している。本実施の形態では第1の吸引手段の数よりも第2の吸引手段の数が多い構成としているが必ずしもこれに限られるものではない。
印字領域側ファンF1は、プラテン36に設けられた吸引孔37を通じて印字領域側36aにあるロール紙30に吸引力を付与するようになっている。下流側ファンF2は、プラテン36に設けられた吸引孔37を通じて印字領域下流側36bにあるロール紙30に吸引力を付与するようになっている。これにより、画像形成部2の下方に搬送されたロール紙30は、プラテン36に倣って平面度が維持される。
吸引孔37はプラテン36に複数設けられ、印字領域側ファンF1および下流側ファンF2による吸引力をプラテン36上のロール紙30に伝達し付与するようになっている。吸引孔37は例えば、印字領域側36aよりも印字領域下流側36bにより多くの数を設ける構成としてもよい。
ロール紙収容部4から送り出されたロール紙30は、装置本体1aの後方(図3中、右側)から前方(図3中、左側)に向けて、シート搬送部3により画像形成部2の下方に位置する所定の記録領域へと搬送される。
上記記録領域にロール紙30が搬送されると、キャリッジ15がシート幅方向に往復移動し、画像情報に応じて記録ヘッドによりインク滴が吐出される。さらに、ロール紙30を間欠的に搬送しながら、キャリッジ15の往復移動と記録ヘッド15a(図2参照)によるインク滴の吐出とを繰り返し行うことにより、ロール紙上に連続して画像が形成される。最終的には、画像情報に応じた所望の画像がロール紙30上に形成される。
画像形成後のロール紙30は、シート切断装置5によって所定の長さに切断され、図示しない排紙ローラを介して装置本体1aの前方側に配置された排紙トレイ(図示省略)に排出される。
次に、図4〜図8を参照して、本実施の形態に係るシート切断装置5について、説明する。なお、図4は、装置本体1a(図1参照)の背面側からシート切断装置5を見た図である。
図5(a)は、シート切断装置の一部断面を示す側面図である。図5(a)において、実線で記載されたカッタハウジング51は、カッタユニット40が切断を行う状態(往路移動時)の位置を示し、また破線で記載されたカッタハウジング51は、カッタユニット40が退避した状態(復路移動時)の位置を示す。
図4および図5(a)、(b)に示すように、シート切断装置5は、画像形成部2のシート搬送方向下流側に配置され(図3参照)、カッタ50と、カッタユニット40と、ガイド部材41と、ワイヤ42とを含んで構成されている。
カッタユニット40は、カッタ50を収容するカッタハウジング51と、移動部材52と、接続部材としての回転軸53とを備えている。
カッタ50は、ロール紙30を介して互いに対向配置された刃部からなる円形刃物50a、50bからなり、カッタハウジング51に回転可能に保持され、収容されている。円形刃物50a、50bは、カッタハウジング51のシート幅方向(図4中、矢印Aで示す方向)の移動に応じて駆動力を得て回転するようになっている。カッタ50は、シート搬送経路を搬送されるロール紙30を所定の長さに切断するようになっている。
すなわち、カッタ50は、円形刃物50a、50bが回転しながらロール紙30を切断するため、比較的厚さのあるロール紙などの切断にも対応できる。また、カッタ50は、円形刃物で構成されているため、固定刃のように所定箇所のみが集中して摩耗するといった不具合を防止することができる。
カッタハウジング51は、図17に示すシート幅方向の移動領域(以下、カッタ移動領域という)内をシート幅方向に往復移動可能に構成されている。図17に示すカッタ移動領域の両端には、第1の退避位置(図17中、左側)および第2の退避位置(図17中、右側)がそれぞれ設けられている。
ここで、第2の退避位置は、カッタ移動領域の両端のうち、第1の退避位置と反対側の端部に位置する。第1および第2の退避位置においては、カッタハウジング51がシート搬送経路からシート厚さ方向、すなわち鉛直方向の下方に退避した状態とされる。
このため、カッタハウジング51は、第1および第2の退避位置にあるときにはキャリッジ15と干渉しないようになっている。本実施の形態では、第1の退避位置をカッタハウジング51のホームポジション(カッタホームポジション)としている。
カッタハウジング51は、回転軸53を介して移動部材52に接続されている。また、カッタハウジング51は、移動部材52に対して後述する回転軸53を中心にシート厚さ方向に回動可能、すなわち所定角度範囲で正逆方向に円運動可能なように構成されている。
カッタハウジング51は、装置本体1a(図1参照)の装置正面右側から装置正面左側へ移動する往路ではカッタ50によりロール紙30を切断するようになっている。すなわち、カッタハウジング51は、ロール紙30の切断時はカッタホームポジション(第1の退避位置)から第2の退避位置に移動する。
一方、カッタハウジング51は、装置本体1a(図1参照)の装置正面左側から装置正面右側へ移動する復路では、移動部材52に対して下方に回動することにより第2の退避位置に移動した状態でカッタホームポジションに移動するようになっている。
すなわち、カッタハウジング51は、ロール紙30の切断後、シート搬送経路に対してシート厚さ方向下方に退避した状態でシート幅方向に移動可能に構成されている。このため、復路では、カッタハウジング51がシート搬送経路から離隔し、シート搬送経路を塞ぐことがない。さらに、カッタハウジング51は、復路(第1の退避位置)から往路に復帰する際には移動部材52に対して上方に回動するようになっている。
カッタ移動領域の両端には、例えば透過型のセンサやマイクロスイッチなどで構成された第1検出部101、第2検出部102がそれぞれ設置されている。第1検出部101および第2検出部102は、それぞれカッタハウジング51が第1、第2の退避位置に位置することを検出する。
カッタハウジング51は、第1検出部101、第2検出部102により位置を検出され、制御手段としての制御部100により移動が制御される。
また、カッタハウジング51は、シート切断時の移動方向(以下、単にカット方向という)の上流側(図4中、左側)に従動コロ51aが設けられている。
従動コロ51aは、後述する駆動コロ55とシート幅方向に離間した位置に回転自在に設けられている。従動コロ51aは、カッタハウジング51の往路では後述する上ガイドレール61上を移動し、復路では後述する下ガイドレール62上を移動するようになっている。
すなわち、従動コロ51aは、カッタハウジング51の移動に際し、上ガイドレール61および下ガイドレール62に対してカッタハウジング51を位置決めする部材として機能する。なお、カッタハウジング51の位置決め用の部材としては、従動コロ51aに限らず、例えば円弧状の突起であってもよいが、カッタハウジング51の移動時の位置決め用の部材と両ガイドレールとの摩擦の影響を抑えるためにはコロで形成することが好ましい。
移動部材52は、図5(a)および図5(b)に示すように、カッタハウジング51に対してシート搬送方向に離隔して設けられ、本体54と、駆動コロ55とを含んで構成されている。また、移動部材52は、装置本体1a(図1参照)のシート幅方向に延在する移動領域内でシート幅方向に移動可能とされる。
図4、図5(a)および図5(b)に示すように、駆動コロ55は、ゴムローラからなり、回転軸53に一体回転可能に固定されている。したがって、駆動コロ55は、回転軸53を介して本体54に回転可能に保持されている。
移動部材52は、装置本体1aのシート幅方向両側に設けられた一対のプーリ58に掛け渡されたワイヤ42に接続されている。一対のプーリ58のうち、装置本体1a(図1参照)の装置正面左側に設けられたプーリ58には、カッタユニット駆動モータ59が接続されている。
したがって、ワイヤ42は、カッタユニット駆動モータ59により回転するプーリ58を介してシート幅方向に回転移動するようになっている。すなわち、ワイヤ42は、移動部材52に牽引力を伝達するようになっている。
これにより、ワイヤ42は、移動部材52をシート幅方向に牽引するようになっている。したがって、駆動コロ55は、ワイヤ42の回転移動に応じて後述する上ガイドレール61上を回転駆動するようになっている。なお、移動部材52の詳細な構成については後述する。
また、カッタハウジング51は、往路と復路との切換時、駆動コロ55の回転軸53を支点に鉛直方向に回動するようになっている。これにより、カッタハウジング51は、往路でロール紙30を切断する姿勢と、復路でシート搬送経路から退避した姿勢とが切り換わるようになっている。
ここで、図5(a)に示すように、駆動コロ55と従動コロ51aとは、互いにシート搬送方向(図中、矢印Bで示す方向)にずらして配置されている。具体的には、従動コロ51aが駆動コロ55よりシート搬送方向の上流側に配置される。
このため、駆動コロ55を上ガイドレール61上に維持した状態で、従動コロ51aを上ガイドレール61と下ガイドレール62との間で移動させることができ、上述したカッタハウジング51の回動を実現することができる。なお、図5(a)において矢印B方向に延在する破線は、シート搬送経路である。
また、本実施の形態では、図5(a)に示すように、カッタハウジング51がキャリッジ15のシート搬送方向の幅内に配置される構成としたが、これに限らず、例えばキャリッジ15に対してカッタハウジング51がシート搬送方向上流側あるいは下流側に離間した位置に配置される構成であってもよい。
シート搬送方向上流側に配置される場合は、キャリッジ15による画像形成を終了した後に切断してもよいが、この場合、切断されたシートの後端近傍に画像を形成することができないため、ロール紙30を切断した後にキャリッジ15を動かして画像形成を行う構成としてもよい。
さらに、図4に示すように、カッタハウジング51は、シート搬送経路に対して鉛直方向に所定の角度で傾斜した傾斜面部51cを有している。この傾斜面部51cの傾斜角度は、カッタハウジング51が復路を移動する際にシート搬送経路と平行となる角度に設定されている。
図5(a)および図5(b)に示すように、回転軸53は、カッタハウジング51と移動部材52とを接続する機能を有する。また、回転軸53は、移動部材52に対してカッタハウジング51を回転軸53の中心軸を中心にシート厚さ方向に回動させる。
回転軸53のシート搬送方向の下流側端部には、上述した駆動コロ55が一体回転可能に固定されている。さらに、回転軸53のシート搬送方向の上流側端部は、後述するカッタハウジング51の軸受部51b(図12参照)に回転自在に保持されている。
図4に示すように、ガイド部材41は、移動部材52がシート幅方向に移動するのをガイドする部材である。ガイド部材41は、シート幅方向に延在し、少なくともシート搬送幅よりも長く設定された上ガイドレール61と、上ガイドレール61に対してシート搬送経路より鉛直方向の下方に離隔した下ガイドレール62とを備えている。上ガイドレール61は、移動部材52の下方に配置される。
また、図5(a)に示すように、ガイド部材41は、上ガイドレール61の上方に上ガイド板63を備えている。上ガイド板63は、移動部材52の上方に配置されている。ガイド部材41は、上ガイドレール61上にカッタハウジング51の往路を形成し、下ガイドレール62上にカッタハウジング51の復路を形成している。
したがって、カッタハウジング51の従動コロ51aは、シート切断時の往路においては上ガイドレール61上を移動し、シート切断後の復路においては下ガイドレール62上を移動するようになっている。
上ガイドレール61は、図5(a)、図5(b)に示すように、シート搬送方向に並列に、駆動コロ案内領域61aと、従動コロ案内領域61bとを有している。駆動コロ案内領域61aは、駆動コロ55をシート幅方向に案内する領域である。従動コロ案内領域61bは、カッタハウジング51が往路を移動するよう従動コロ51aを案内する領域である。
従動コロ案内領域61bのシート幅方向の装置正面左側には、カッタハウジング51の経路を往路から復路に切り換えるための第1連通路61cが形成されている。第1連通路61cは、図7に示すように、上ガイドレール61上の往路と下ガイドレール62上の復路とを連通するよう上ガイドレール61に形成されている。
具体的には、上ガイドレール61がシート幅方向の装置正面左側の所定箇所で切り欠かれるとともに、切り欠かれた端部が下方に向けて所定の角度で傾斜するよう折り曲げられることにより第1連通路61cが形成される。
これにより、従動コロ51aは、ロール紙切断後、上ガイドレール61から下ガイドレール62に移動可能となる。また、第1連通路61cに隣接する上ガイドレール61の下方側端部61dは、復路を移動する従動コロ51aとの接触を避けるため、上方に折り曲げられている。
一方で、図6に示すように、従動コロ案内領域61bのシート幅方向の装置正面右側には、移動機構70が設けられている。移動機構70は、カッタハウジング51が図11の実線で示すホームポジションからシート幅方向の装置正面左側に移動したとき、従動コロ51aを下ガイドレール62から上ガイドレール61に移動させるようになっている。すなわち、移動機構70は、カッタハウジング51をロール紙切断動作領域に復帰させるための機構である。
移動機構70は、下ガイドレール62上の復路と上ガイドレール61上の往路とを連通させる第2連通路61eと、第2連通路61eに隣接して上ガイドレール61に設けられた切換爪71とを有している。
第2連通路61eは、上ガイドレール61の装置正面右側の所定箇所が切り欠かれることにより形成されている(図5(b)参照)。
切換爪71は、復路と上記第2連通路61eとの間で回動自在、すなわち所定角度範囲で正逆方向に円運動可能に設けられている。切換爪71は、先端部が下ガイドレール62に接触するよう、図示しないコイルバネなどの弾性部材の弾性力により常時、下方側に押し当てる力がかかっている。
したがって、図10に示すように、切換爪71は、カッタハウジング51が復路をシート幅方向の装置正面右側に移動する際に、従動コロ51aが接触することにより図中破線で示す通り、弾性部材の弾性力に抗して上方に回動するようになっている。
そして、この状態から従動コロ51aがさらにシート幅方向の装置正面右側に移動すると、切換爪71は、従動コロ51aとの接触が解除され、弾性部材の弾性力により元の位置すなわち図中実線で示す位置に復帰するようになっている。
さらに、切換爪71は、図10中、実線で示す位置においては所定の角度で傾斜している。これにより、図11に示すように、カッタハウジング51が復路から往路に復帰する際に、切換爪71を介して従動コロ51aを下ガイドレール62から上ガイドレール61に移動させることができる。なお、切換爪71は、板バネで構成されていてもよい。この場合には、上記弾性部材が不要となる。
下ガイドレール62は、カッタハウジング51が復路を移動する際に従動コロ51aを案内するようになっている。
図5(a)に示すように、上ガイド板63は、後述する移動部材52の一対の側面52a、52bに対して、対向配置された第1案内面部63aおよび第2案内面部63bを有している。
第1案内面部63aは、上ガイド板63に対して下方側にL字状に折り曲げられ、上ガイドレール61に一体的に接続されている。本実施の形態では、上ガイド板63と上ガイドレール61とを第1案内面部63aを介して一体的に構成したが、これに限らず、上ガイド板63と上ガイドレール61とを別部材で構成してもよい。
また、第2案内面部63bは、第1案内面部63aと同様、上ガイド板63に対して下方側にL字状に折り曲げられるとともに、所定長さだけ下方に延在している。ここで、第2案内面部63bの延在する所定長さは、後述する移動部材52の各接触部54dが接触可能な領域を確保できる程度の長さである。
次に、図6〜図11を参照して、シート切断装置5の動作について説明する。
まず、図11に示すように、ロール紙30の切断前においては、カッタハウジング51は、シート幅方向の装置正面右側のカッタホームポジション(図11中、実線で示す位置)に位置している。このとき、第1検出部101がONすることにより、カッタハウジング51がカッタホームポジションに位置することが検出されている。
次いで、制御部100がシート切断の指示を受けると、カッタハウジング51は、ワイヤ42(図4参照)を介して駆動コロ55が回転駆動する。これにより、カッタハウジング51は、カッタホームポジションからロール紙切断動作領域(図11中、破線で示す位置)まで回動する切断準備動作を実行し、第1検出部101がOFFされる。その後、カッタハウジング51は、往路をシート幅方向の装置正面左側に移動する。このとき、カッタハウジング51の移動に応じてカッタ50により、ロール紙30が切断される。
次いで、図7に示すように、カッタハウジング51がシート搬送経路を横断して往路をシート幅方向の装置正面左側まで移動すると、第2検出部102がONする。第2検出部102がカッタハウジング51を検出することにより、カッタハウジング51が第2の退避位置にあることが検知され、ロール紙30の切断が終了する。
そして、シート幅方向の装置正面左側に移動したカッタハウジング51は、その移動経路を往路から復路へと切り換えるべく、駆動コロ55の回転軸53(図5(a)参照)を支点に鉛直方向の下方に自重により回動する。
具体的には、上ガイドレール61上を移動していた従動コロ51aが第1連通路61cに達し、従動コロ51aが第1連通路61cを介して上ガイドレール61から下ガイドレール62に移動する。
このとき、図8に示すように、駆動コロ55は上ガイドレール61上に維持されたまま、従動コロ51aのみがカッタハウジング51の自重により下ガイドレール62に移動する。
これにより、図中、破線で示すシート搬送経路と重なっていたカッタハウジング51が回動し、復路を移動可能な姿勢、すなわちシート搬送経路から退避した姿勢(図7中、破線で示す姿勢)となる。
その後、ワイヤ42(図4参照)の駆動が逆転され、駆動コロ55の回転駆動が往路のときと逆の回転駆動とされる。これにより、図9に示すように、カッタハウジング51は、シート搬送経路から退避した姿勢で復路をシート幅方向の装置正面右側に向けて移動する。
このとき、カッタハウジング51が移動を開始すると、第2検出部102がOFFされる。また、復路では、傾斜面部51cがシート搬送経路と平行であり、往路のときと異なりカッタハウジング51がシート搬送経路から下方に退避している。
このため、カッタハウジング51が復路を移動中であっても、シート搬送経路を介してロール紙30を搬送可能であるため、次の画像形成を開始することができ、生産性を向上させることができる。また、カッタ50と切断済みのロール紙30との接触を回避でき、カットジャムなどの不具合を防止することができる。
次いで、図10に示すように、カッタハウジング51がシート幅方向の装置正面右側に移動し、移動機構70の近傍まで来ると、従動コロ51aが切換爪71に接触する。そして、従動コロ51aは、カッタハウジング51の移動に応じて図中、破線で示すように切換爪71を押し上げ、復路側(図10中、切換爪71の右側)からシート幅方向の装置正面右側すなわち第2連通路61e側(図10中、切換爪71の左側)に移動する。
従動コロ51aが第2連通路61e側に移動すると、切換爪71は従動コロ51aとの接触が解除され、弾性部材の弾性力により元の位置すなわち図10中実線で示す位置に復帰する。このとき、第1検出部101がONすることにより、カッタハウジング51がカッタホームポジションに位置することが検出される。
これにより、カッタハウジング51のシート幅方向の一連の往復動作が終了する。また、後続するロール紙30がある場合には、上述した一連の往復動作を繰り返し実行する。
次に、図12〜図15を参照して、本実施の形態に係るカッタハウジング51および移動部材52の詳細について説明する。
図12(a)、図12(b)および図13に示すように、カッタハウジング51は、回転軸53を軸支する軸受部51bを有している。軸受部51bは、カッタ50(図14参照)の収容位置Cに対して、カッタハウジング51の移動方向であるカット方向(図12(a)中、往路を示す方向)の下流側、かつ上記収容位置Cよりも下方に設けられている。また、カッタハウジング51は、軸受部51bを介して回転軸53に回動可能に連結されている。
また、カッタハウジング51は、カッタ50(図14参照)に回転駆動力を伝達可能な伝達部材80を有している。伝達部材80は、プーリ81と、無端ベルト82と、プーリ83とを含んで構成されている。
プーリ81は、回転軸53と一体に回転可能に取り付けられている。また、プーリ83は、カッタハウジング51の軸51eに回転自在に取り付けられている。ここで、プーリ83のシート搬送方向上流側には、カッタハウジング51の内部に設けられた図示しないギヤと噛み合うギヤ部83aが形成されている。
ギヤ部83aは、図示しないギヤと噛み合うことにより、カッタ50(図14参照)に回転駆動力を伝達可能としている。さらに、無端ベルト82は、これらプーリ81およびプーリ83間に掛け回されている。
したがって、図14に示すように、移動部材52のシート幅方向への移動に応じて、駆動コロ55が回転し、回転軸53、プーリ81、無端ベルト82およびプーリ83を介して回転駆動力がカッタ50に伝達される。これにより、円形刃物50a、50bが回転するようになっている。
図12(a)、図12(b)および図15に示すように、移動部材52は、上述の本体54および駆動コロ55に加えて、補助ローラ56と、押付ローラ57と、弾性部材57aとを含んで構成されている。
本体54は、回転軸53を回転自在に支持することにより駆動コロ55を回転可能に保持している。回転軸53は、カッタハウジング51の軸受部51bに回転自在に取り付けられている。また、本体54は、上ガイドレール61と上ガイド板63との間にシート幅方向に移動可能に配置されている(図5参照)。
図15に示すように、本体54のカット方向の上流側端部および下流側端部(シート幅方向の両端)には、本体54と一方の側面を共有し、カット方向の上流側および下流側のそれぞれに突出した突出部54aが形成されている。各突出部54aには、ワイヤ42が引っ掛けられるフック部54bがそれぞれ設けられている。
なお、本実施の形態においては、フック部54bが突出部54aに設けられる構成としたが、これに限らず、例えばフック部54bを本体54に直接設けてもよい。また、ワイヤ42を直接本体54に取り付けるようにしてもよい。
また、本体54は、第1案内面部63aおよび第2案内面部63bに対向する各側面52a、52bの上部4箇所に、本体外方に突出した突起状の接触部54dが設けられている。
各接触部54dは、第1案内面部63aおよび第2案内面部63bに当たって接するようになっている。駆動コロ55は、本体54のカット方向上流側、すなわち補助ローラ56に近い側に配置されており、上ガイドレール61の上面に当たって接して回転するようになっている。
図15に示すように、補助ローラ56は、本体54のカット方向の上流側上部にシート搬送方向に対向するよう設けられた一対のスナップフィット部54fに、回転自在に取り付けられている。
押付ローラ57は、ローラ軸57bを有し、本体54のカット方向の下流側上部に設けられた軸受部54gにローラ軸57bを介して回転自在に取り付けられている。ローラ軸57bは、軸受部54g内で上下方向に移動可能に保持されるとともに、本体54のシート搬送方向の両側面52a、52bの内側に形成されたストッパ部54hにより所定量以上の上方への移動が規制されるようになっている。
弾性部材57aは、いわゆるダブルトーション型のコイルバネで構成されており、一端が本体54に固定されるとともに、他端(自由端)が押付ローラ57のローラ軸57bに下方から当たり接するようになっている。
したがって、弾性部材57aは、弾性力によりローラ軸57bを上方に向けて押し当てることにより、押付ローラ57を上ガイド板63の下面に押し付けるようになっている。また、本実施の形態では、補助ローラ56をカット方向上流側に配置し、押付ローラ57をカット方向下流側に配置したが、これらの配置を逆にしてもよい。
また、補助ローラ56および押付ローラ57は、上ガイド板63の下面に当たり接して回転するようになっている。ここで、補助ローラ56と押付ローラ57とは、駆動コロ55を挟んでシート幅方向(図中、左右方向)に互いに離隔して設けられている。
次に、図16を参照して、制御部100の構成について説明する。
図16に示すように、制御部100には、上述した第1検出部101、第2検出部102、エンコーダセンサ103、記録ヘッド15a、キャップ昇降手段19c、吸引手段19d、駆動部38、カッタユニット駆動モータ59、操作表示部105、外部装置150、キャリッジ駆動モータ21、印字領域側ファンF1および下流側ファンF2がそれぞれ接続されている。
制御部100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェースなどを備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、カッタユニット40およびキャリッジ15の移動を制御するようになっている。
第1検出部101は、図17に示すカッタ移動領域の第1の退避位置側(図17中、左側端部)に配置され、カッタハウジング51が第1の退避位置に位置することを検出するようになっている。
第2検出部102は、カッタ移動領域の第2の退避位置側(図17中、右側端部)に配置され、カッタハウジング51が第2の退避位置に位置することを検出するようになっている。
エンコーダセンサ103は、上述した通り、キャリッジ15に設けられ、エンコーダシート16を読取ることによりキャリッジ15の主走査位置を検知するようになっている。これら各検出手段からの検出結果を示す信号は、制御部100に入力されるようになっている。
操作表示部105は、装置本体1a(図1参照)の所定箇所に配置され、ユーザからの動作要求の指示やカッタユニット異常時の印字動作継続の有無を受け付けたり、ユーザへのメッセージ(エラーメッセージを含む)等の表示を行うようになっている。
制御部100は、外部に接続された外部装置150などから転送される画像情報等に基づいてロール紙30に画像を記録するためのデータを生成し、このデータを記録ヘッド15aに出力し、記録ヘッド15aを駆動制御するようになっている。また、制御部100は、記録ヘッド15aの駆動制御と併せて、キャリッジ駆動モータ21および駆動部38を制御するようになっている。このように、制御部100は、記録ヘッド15a、キャリッジ駆動モータ21および駆動部38を制御することにより、所定のタイミングでインク滴を吐出させ、ロール紙30の記録領域に画像を記録する。
制御部100は、エンコーダセンサ103からの入力信号に基づき、キャリッジ15がキャリッジホーム位置または空吐出位置のいずれに位置するか判断するようになっている。
また、制御部100は、カッタユニット駆動モータ59の駆動を制御することによって、往路を介してカッタハウジング51(図4参照)をシート幅方向の装置正面左側に移動させるシート切断動作を実行するようになっている。このシート切断動作により、ロール紙30(図3参照)が切断される。
また、制御部100は、上記シート切断動作の実行後、カッタハウジング51が第2検出部102により検出されると、カッタユニット駆動モータ59を逆転駆動するようになっている。これにより、制御部100は、カッタハウジング51をシート搬送経路から退避した状態で復路上をシート幅方向の装置正面右側に移動させることができる。
このとき、制御部100は、カッタハウジング51の復路移動と同時にロール紙30をシート搬送方向下流に向けて搬送可能なように駆動部38を制御する。したがって、カッタハウジング51が復路を移動している間に、例えば画像記録のためにロール紙30を搬送することが可能となる。
さらに、制御部100は、カッタ50の移動経路にあたるカッタ位置にロール紙30(図3参照)のシートカット位置が達したとき、所定条件の成立を条件にキャリッジ15の移動とカッタユニット40の移動とを重複して実行可能に構成されている。上記カッタ位置は、本発明におけるシート切断位置に相当し、上記シートカット位置は、本発明におけるカット位置に相当する。
ここで、上記所定条件は、少なくともキャリッジ15の移動方向がカッタユニット40のシート切断時の移動方向(カット方向)と同一であるという条件を含む。例えば、キャリッジ15が図17中、最大シート幅の右側で印字終了後、空吐出位置に移動するときや、シートカット位置がカッタ位置に一致するときにキャリッジ15が図17中、最大シート幅の左側から右側に向けて印字のために移動するときなどが、上記所定条件に含まれる。詳しくは、後述する。
また、制御部100は、印字領域側ファンF1と下流側ファンF2の出力をPWM信号のDUTY(0〜100%)を変化させることで制御するようになっている。
次に、図18、図19を参照して、制御部100において実行される画像記録制御およびカッタユニットの移動制御について説明する。
図18においては、説明の便宜上、簡略する目的で1枚目と2枚目の間に余白領域等を設けていないが、実際には所定の余白領域等が設けられる。また、本実施の形態においては、図18に示すように、キャリッジ15の一度の移動走査により印字幅L0分だけの画像を印字可能な印字モードを例に説明する。
図19は、本実施の形態に係る制御部100において実行される画像記録制御およびカッタユニットの移動制御である。
図19に示すように、制御部100は、印字のためのキャリッジ15の走査が完了すると(ステップS1)、印字のための次の搬送位置(ここでは、次搬送時のシートカット位置)とカッタ位置との差が所定範囲内(例えば、±0.3mm以内)か否かを判断する(ステップS2)。なお、ステップS2では、所定範囲内か否かを判断したが、これに限らず、例えば印字のための次の搬送位置(シートカット位置)がカッタ位置と一致するか否かを判断してもよい。
制御部100は、印字のための次の搬送位置(シートカット位置)とカッタ位置との差が所定範囲内でないと判断した場合には、次搬送でシートカット位置がカッタ位置を越えるか否かを判断する(ステップS3)。
制御部100は、次搬送でシートカット位置がカッタ位置を越えないと判断した場合には、次の印字位置にロール紙30を搬送する(ステップS4)。その後、制御部100は、次の記録ラインに対して印字のためのキャリッジ15の走査を開始し(ステップS5)、ステップS1に処理を戻す。
一方、制御部100は、次搬送でシートカット位置がカッタ位置を越えると判断した場合には、シートカット位置とカッタ位置とが一致するようロール紙30を搬送し(ステップS6)、ステップS7に処理を移行する。
次に、ステップS6において、制御部100は、シートカット位置とカッタ位置とが一致すると判断した場合には、印字終了後のキャリッジ15の位置がロール紙30の右か左かを判断する(ステップS7)。
ここで、上述の「ロール紙30の右」とは、装置正面から見てロール紙30の右側を指し、図17におけるキャリッジホーム位置側(図17中、ロール紙30の左側)を意味する。また、上述の「ロール紙30の左」とは、装置正面から見てロール紙30の左側を指し、図17における空吐出位置側(図17中、ロール紙30の右側)を意味する。
制御部100は、印字終了後のキャリッジ15の位置がロール紙30の右であると判断した場合には、キャリッジ15をキャリッジホーム位置に移動させる(ステップS8)。その後、制御部100は、キャリッジ15のキャリッジホーム位置への移動完了後、カッタ50を駆動し、シート切断動作を開始する(ステップS9)。
すなわち、キャリッジ15がロール紙30の右にあるときは、キャリッジ15をキャリッジホーム位置に移動させると同時にカッタユニット40をカッタホームポジションからロール紙切断動作領域(図11中、破線で示す位置)に移動させてシート切断動作を実行しようとすると、キャリッジ15とカッタユニット40とが接触するおそれがある。そこで、このような場合には、キャリッジ15のキャリッジホーム位置への移動完了後にシート切断動作を実行するようにした。これにより、キャリッジ15とカッタユニット40との接触が回避される。
一方、制御部100は、印字終了後のキャリッジ15の位置がロール紙30の左であると判断した場合には、キャリッジ15の空吐出位置への移動を開始する(ステップS10)。次いで、制御部100は、ステップS10におけるキャリッジ15の移動開始後、所定時間(例えば、0.1秒)経過後にシート切断動作を開始する(ステップS11)。
すなわち、キャリッジ15が左にあるときは、カッタホームポジションに位置するカッタユニット40とキャリッジ15とが離隔している。このため、キャリッジ15を空吐出位置に移動させると同時、あるいはキャリッジ15の移動開始後、所定時間(例えば、0.1秒)経過後にシート切断動作を実行してもキャリッジ15とカッタユニット40とが接触することがない。このとき、キャリッジ15とカッタユニット40の移動方向は、ともにカット方向(図17中、右方向)である。
制御部100は、ステップS9あるいはステップS11の処理を行った後、シート切断動作が終了したら次の印字位置へとロール紙30を搬送する(ステップS20)。
他方、ステップS2において、制御部100は、印字のための次の搬送位置(シートカット位置)とカッタ位置との差が所定範囲内であると判断した場合には、次の印字位置にロール紙30を搬送する(ステップS12)。
次いで、制御部100は、ステップS1における印字終了後のキャリッジ15の位置がロール紙30の右か左かを判断する(ステップS13)。
制御部100は、キャリッジ15の位置がロール紙30の左であると判断した場合には、キャリッジ15を右側(図17中、左側)に走査して印字を開始する(ステップS14)。
次いで、制御部100は、キャリッジ15をキャリッジホーム位置に移動させる(ステップS15)。その後、制御部100は、キャリッジ15のキャリッジホーム位置への移動完了後、カッタ50を駆動し、シート切断動作を開始する(ステップS16)。
すなわち、ステップS14の印字動作によりキャリッジ15がロール紙30の右に移動したときは、キャリッジ15をキャリッジホーム位置に移動させると同時にカッタユニット40をカッタホームポジションからロール紙切断動作領域(図11中、破線で示す位置)に移動させてシート切断動作を実行しようとすると、キャリッジ15とカッタユニット40とが接触するおそれがある。そこで、このような場合には、キャリッジ15のキャリッジホーム位置への移動完了後にシート切断動作を実行するようにした。これにより、キャリッジ15とカッタユニット40との接触が回避される。
一方、制御部100は、キャリッジ15の位置がロール紙30の右であると判断した場合には、下流側ファンF2のみ動作PWM信号Dutyを30%から50%に上げる(ステップS17)。なお、印字領域側ファンF1と下流側ファンF2は、印字時にはPWM信号のDUTY30%で駆動している。
ここで、下流側ファンF2のみ動作PWM信号Dutyを30%から50%に上げるのは、シート切断時の影響が印字領域に出ることを防ぎつつ、印字領域側に対する吸引力を上げることによるロール紙30の変形を抑制するためである。
次いで、キャリッジ15を左側(図17中、右側)に走査して印字を開始する(ステップS18)。
次いで、制御部100は、ステップS37におけるキャリッジ15の移動開始後、所定時間(例えば、0.1秒)経過後にシート切断動作を開始する(ステップS19)。
すなわち、キャリッジ15が右にあり、かつ印字動作によって左側に移動させるときは、キャリッジ15の移動方向はシート切断動作時のカッタユニット40の移動方向(カット方向)と同一である。また、このときのキャリッジ15は、カッタユニット40に対してカット方向下流側(図17中、空吐出位置側)に位置している。このため、キャリッジ15の印字動作による移動と同時、あるいはキャリッジ15の移動開始後、所定時間(例えば、0.1秒)経過後にシート切断動作を実行してもキャリッジ15とカッタユニット40とが接触することがない。
本実施の形態においても、上記所定時間は0.1秒に限定されるものではなく、任意の時間を設定可能であり、特にキャリッジ15の移動速度とカッタユニット40の移動速度とそれぞれの移動開始位置の差から十分余裕のある時間であれば可能な限り少ない方が望ましい。
次いで、印字が終了するとキャリッジ15を空吐出位置へと移動させる(ステップS20)。
次いで、制御部100は、ステップS36あるいはステップS40の処理を行った後、シート切断動作が終了したら次の印字位置へとロール紙30を搬送する(ステップS21)。
なお、本実施の形態では、キャリッジ15とカッタユニット40との接触を確実に回避するために、キャリッジ15の移動開始後、所定時間経過後にシート切断動作を実行するようにしたが、これらキャリッジ15の移動とシート切断動作とを同時に実行してもよい。
また、本実施の形態では、キャリッジ15の移動速度は、カッタユニット40の移動速度よりも高速に設定されている。したがって、上述したキャリッジ15が左にあるときのように、キャリッジ15とカッタユニット40とを重複して移動させても互いに接触することがない。
さらに、キャリッジ15とカッタユニット40の移動速度や移動開始位置からカッタユニット40がキャリッジ15に追いつかないのであれば、カッタユニット40を先に移動開始させるようにしてもよい。
また、本実施例ではPWM制御にて下流側ファンF2の出力を変化させたが、ファンの駆動電圧または駆動電流を制御してもよい。また、ファン自体の性能(最大静圧または最大流量)が高いものを下流側ファンF2に採用してもよい。また、下流側ファンF2の数を多くし、直列につなぐことで最大静圧を上げることが可能になり、並列につなぐことで最大流量を上げてもよい。
以上のように、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、カッタ位置にロール紙30のシートカット位置が達したとき、キャリッジ15の移動方向とカッタユニット40の移動方向とが同一であることを条件にキャリッジ15の移動とカッタユニット40の移動とを重複して実行可能に構成されている。例えば、カッタ位置にシートカット位置が達したときにキャリッジ15がロール紙30の左にあるときは、空吐出位置に移動するキャリッジ15とシート切断動作で移動するカッタユニット40との移動方向がともにカット方向である。このような場合には、キャリッジ15の移動開始後、所定時間(例えば、0.1秒)経過後にカッタユニット40をカット方向に移動させてシート切断動作を行う。つまり、キャリッジ15の移動とカッタユニット40の移動とを重複して行うことができる。
このため、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1では、シート切断動作中に必ずしもキャリッジ15の移動を制限することがない。したがって、例えばキャリッジ15の空吐出位置への退避に要する時間中もシート切断動作を実行でき、従来と比較して生産性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、上述のようにキャリッジ15の移動開始後、所定時間経過後にカッタユニット40を移動させるよう構成されている。このため、カッタユニット40とキャリッジ15とを重複して移動させても、キャリッジ15がカッタユニット40よりも先に移動開始しているので、カッタユニット40がキャリッジ15に追いつくことがない。したがって、カッタユニット40とキャリッジ15との接触を確実に回避することができる。
また、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、印字動作によるキャリッジ15の移動とシート切断動作によるカッタユニット40の移動とを重複して実行可能に構成されている。このため、印字動作とシート切断動作とを重複して行うことができ、従来と比較して生産性を向上させることができる。
また、ロール紙30が切断位置に搬送された後に印字のためのキャリッジ15の移動とカッタ50によるロール紙30の切断を同時に実施する際に、印字領域側ファンF1により付与される吸引力よりも下流側ファンF2によりロール紙30に付与される吸引力の方が大きくなるよう構成されている。このため、ロール紙30の切断動作によるロール紙30の位置変動等を抑制し印字に対する影響を抑えつつ、ロール紙30が変形することを抑制できる。
また、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、上述のように印字動作によるキャリッジ15の移動開始後、所定時間経過後にカッタユニット40を移動させるよう構成されている。このため、印字動作とシート切断動作とを重複して行っても、キャリッジ15がカッタユニット40よりも先に移動開始しているので、カッタユニット40がキャリッジ15に追いつくことがない。したがって、カッタユニット40とキャリッジ15との接触を確実に回避することができる。
また、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、キャリッジ15とカッタユニット40とを重複して移動させている際に、シート搬送経路上のロール紙30に画像を記録、つまり印字可能であるため、さらなる生産性の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態においては、制御部100がカッタユニット40のシート切断動作時の移動速度を変更可能な構成であってもよい。詳細には、制御部100は、印字モードに応じてカッタユニット40のシート切断動作時の移動速度を変更するようになっている。
ここで、印字モードとしては、例えば、予め定めたキャリッジ速度で予め定めた画質の画像を形成する通常モードと、通常モードよりも画質は劣るが印字速度が速い高速(速度優先)モードと、通常モードよりも印字速度は遅いが画質が優る高画質モード等がある。
例えば、制御部100は、印字モードとして印字速度が遅い高画質モードが設定されている場合には、キャリッジ15の移動速度に対応してカッタユニット40のシート切断動作時の移動速度を通常時(例えば、印字モードとして通常モードが設定されている場合)と比べて低速に変更する。これにより、シート切断動作時のカッタユニット40の移動速度を遅くすることで、印字モードとして高画質モードが設定されている場合であってもキャリッジ15とカッタユニット40とが重複して移動する際に互いに接触することがない。
また、カッタユニット40のシート切断時の移動速度の変更方法としては、例えば制御部100に接続されたカッタユニット駆動モータ59(図16参照)の駆動を制御部100が制御する方法が挙げられる。
具体的には、制御部100は、駆動モータとしてのカッタユニット駆動モータ59に印加される駆動電圧、あるいはカッタユニット駆動モータ59に供給される駆動電流を制御することによりカッタユニット40のシート切断時の移動速度を変更可能である。上述の制御部100およびカッタユニット駆動モータ59は、本発明に係る速度可変手段を構成する。
また、上述の実施の形態において、制御部100がキャリッジ15の移動に係る異常を検知する構成であってもよい。キャリッジ15の移動に係る異常としては、例えば印字動作中にキャリッジ15が停止してしまう場合や、印字終了後に左右の退避位置(キャリッジホーム位置あるいは空吐出位置)に移動できなくなってしまう場合等が挙げられる。
具体的には、制御部100は、エンコーダセンサ103からの検出結果(速度や主走査位置)に基づき、キャリッジ15の異常停止を検知する。このように、制御部100は、本発明に係る異常検知手段を構成する。
また、制御部100は、キャリッジ15とカッタユニット40とを重複して移動させている際に、キャリッジ15の異常停止が検知されたことを条件に、キャリッジ15およびカッタユニット40の移動を停止するようになっている。
これにより、キャリッジ15とカッタユニット40とを重複して移動させている際にキャリッジ15が異常停止したような場合には、キャリッジ15とカッタユニット40との接触を回避することができる。なお、キャリッジ15とカッタユニット40とを重複して移動させている際にカッタユニット40が異常停止したような場合にも、キャリッジ15およびカッタユニット40の移動を停止するのが好ましい。カッタユニット40の移動停止は、例えば第1検出部101および第2検出部102の検出結果を用いて制御部100によって検知される。
また、上述の実施の形態では、カッタ50が円形刃物50a、50bの2枚から構成されているが、これに限らず、カッタ50は1枚あるいは3枚以上の円形刃物で構成されていてもよい。ただし、円形刃物を1枚で構成した場合には、カッタ50の移動方向に延びて存在する直線状の固定刃を別途設けるのが好ましい。
また、上述の実施の形態では、上ガイドレール61と下ガイドレール62とは、同一部材で構成したが、これに限らず、それぞれ別部材で構成してもよい。
また、上述の各実施の形態では、駆動コロ案内領域61aと従動コロ案内領域61bとは、上ガイドレール61の同一レールで構成したが、これに限らず、それぞれ別のレールで構成してもよい。
また、上述の実施の形態では、補助ローラ56を2つのローラから構成したが、これに限らず、例えばシート搬送方向に幅広な一のローラで構成してもよい。
また、上述の実施の形態では、接触部54dを突起状としたが、これに限らず、例えばローラで構成してもよい。
また、上述の実施の形態においては、移動部材52を牽引する部材としてワイヤ42を用いたが、これに限らず、有端のタイミングベルトを用いてもよい。
また、上述の実施の形態においては、図5に示すように、駆動コロ55をカッタハウジング51の片側、すなわちシート搬送方向下流側にのみ設けた構成としたが、これに限らず、例えば図20に示すように、駆動コロ55に加えて駆動コロ55cをさらに設けてもよい。
駆動コロ55と駆動コロ55cとは、カッタハウジング51を挟んで対向配置される。この場合、駆動コロ55、55cに対応して、シート搬送方向下流側の上ガイドレール61に加えてシート搬送方向上流側に案内レール65を並列に設ける。
また、上述の実施の形態においては、カッタハウジング51が鉛直方向の下方に退避する構成としたが、例えばシート切断装置5が装置本体1aに対して水平に設置されていない場合には、シート切断装置5の傾きに応じてロール紙30の厚さ方向に退避する構成としてもよい。
さらに、カッタハウジングを鉛直方向の上方に退避する構成としてもよい。この場合、ガイド部材をシート搬送経路の上方に配置し、カッタハウジングの往路を下ガイドレール上に設け、復路を上ガイドレール上に設ける。
したがって、カッタハウジングは、シート切断動作時に往路上を移動した後、本実施の形態における移動機構70に相当する図示しない移動機構を介して従動コロが上ガイドレール上に移動する。
これにより、カッタハウジングは、シート搬送経路から退避した姿勢となり、復路上を移動可能となる。復路上を移動したカッタハウジングは、上述の各実施の形態における第1連通路61cに相当する図示しない連通路を介して従動コロが下ガイドレール上に移動することにより、シート切断可能な姿勢となる。上記構成においても上述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述の実施の形態においては、1つの制御部100により各種モータなどを制御する構成としたが、これに限らず、制御部100をそれぞれ制御対象の異なる2以上の制御部から構成してもよい。
例えば、制御部100が、キャリッジ駆動モータ21および駆動部38などを制御する第1制御部と、カッタユニット駆動モータ59を制御する第2制御部とから構成されていてもよい。さらに、上記第1制御部がキャリッジ駆動モータ21を制御する画像形成用制御部と、駆動部38を制御する搬送用制御部とから構成されるものであってもよい。