本願で開示する加熱調理器は、加熱室と、前記加熱室内に配置され、被調理物が載置される加熱プレートと、前記加熱プレートを加熱する加熱手段と、前記加熱プレートの温度を検出する温度センサと、前記温度センサが検出した前記加熱プレートの温度データに基づいて、前記加熱手段への投入電力量を制御する制御部とを備え、前記加熱室の下方に熱遮蔽板を介して回路配置部が形成され、前記制御部を構成する電気回路部品が搭載された制御回路基板が、前記回路配置部内に配置されている。
本開示にかかる加熱調理器は、上記の構成を備えることで、加熱室と、制御回路基板が収容される回路配置部とを、間に熱遮蔽板を介して上下方向に分離して配置することができる。このため、制御部を構成する電気回路部品に加熱室の熱が伝わって高温となることを効果的に回避しつつ、加熱室を所望の温度に維持することができる。この結果、本願で開示する加熱調理器は、早く、かつ、ムラ無く、被調理物を加熱調理することができるとともに、高い耐久性と信頼性とを備えた加熱調理器を得ることができる。
本開示にかかる加熱調理器において、ヒートシンクに熱的に接続された、発熱源となる電気回路部品が前記制御回路基板に搭載され、前記ヒートシンクの放熱フィンが前記回路配置部の外側に位置していることが好ましい。このようにすることで、制御回路基板に搭載される電気回路部品に発熱源となる電気回路部品が含まれていても、回路配置部内の不所望な温度上昇を回避することができる。
また、前記加熱室の下方の前記回路配置部以外の領域に、外部と連通する空気孔を備えた側壁部を有する空洞部分が形成されていて、前記空洞部分に外部の空気を吸入して送風する冷却ファンを備えたことが好ましい。このようにすることで、熱遮蔽板を介して加熱室から隔てられた機器の下側部分全体を低い温度に維持することができる。
また、前記加熱室の下方の前記回路配置部以外の領域に、外部と連通する空気孔を備えた側壁部を有する空洞部分が形成されていて、前記空洞部分に外部の空気を吸入して送風する冷却ファンを備え、前記冷却ファンからの風を前記空洞部分へと導く送風経路内に、前記ヒートシンクの前記放熱フィンが配置されていることが好ましい。このようにすることで、回路配置部内の発熱源となる電気回路部品の温度を、より効果的に下げることができる。
さらに、前記制御回路基板に、前記発熱源となる電気回路部品が複数個搭載されていて、より高温となる前記発熱源となる電気回路部品が、前記ヒートシンクにおける前記冷却ファンからの風の風上側に配置されていることが好ましい。このようにすることで、発熱源となる電気回路部品が複数合った場合でも、その温度を効果的に下げることができる。
また、前記制御回路基板が、電気回路部品の搭載面を下方に向けて前記回路配置部の上面側に配置されていることが好ましい。このようにすることで、制御回路基板上に異物が付着して動作不良となることを回避することができる。
以下、本願で開示する加熱調理器について、図面を参照して説明する。
(実施の形態)
以下では、本願で開示する加熱調理器の実施の形態として、被調理物としてピザを焼くことができる業務用の電気式ピザ窯を例示して説明する。なお、以下で例示する業務用の電気式ピザ窯は、ピザを一枚ずつ焼く構成のものである。
図1は、本実施形態にかかる加熱調理器の外観を示す斜視図である。図1では、被調理物を載置した加熱プレートを出し入れするための扉を閉じた状態を示している。
図2は、本実施形態にかかる加熱調理器の外観を示す斜視図であり、被調理物を載置した加熱プレートを出し入れするための扉を開いた状態を示している。
図1に示すように、本実施形態にかかる加熱調理器である電気式ピザ窯は、図中では左手前となる正面側から(矢印Aの方向から)見た形状が、上方に向かって凸となる略半円形状(ただし、上端部分は平面状となっている)である上側部分10と、上側部分10の下方に位置する正面形状が横長長方形の基体部分20とから構成されている。本実施形態にかかる電気式ピザ窯では、奥行き方向には同じ断面形状が維持されていて、全体としては、いわゆるかまぼこ状となっている。
本実施形態にかかる電気式ピザ窯では、全体形状をこのようなかまぼこ状とすることで、上側部分10の内部に形成される加熱室の上方部分の体積を小さくすることができる。この結果、本実施形態の電気式ピザ窯では、加熱室内上部に良好な熱溜まりを形成することができ、加熱室内の温度分布の差を小さくすることができると共に、加熱調理に必要となる熱量の低減を実現することができる。
上側部分10の正面側には、図1では図示しないヒンジ機構によって正面手前下側に向かって開閉可能とされている扉11が配置されている。なお、扉11が固着されているヒンジ機構の支持部49(図4参照)は、基体部分20の前端部上面に形成されている。扉11には、上部に、ユーザが扉11の開閉の際に把持する取っ手12が形成されている。
扉11は、主としてアルミニウム合金などの金属部材で構成されているが、扉11前面の中央部分には、耐熱ガラスなどの熱に強い透明部材13が嵌め込まれていて、ユーザは、扉11を閉めた状態でも加熱室18(図2参照)内の調理途中のピザの状態を見ることができるようになっている。なお、本実施形態の電気式ピザ窯では、扉11は一例として20mm〜50mm程度の厚みを有し、透明部材13が配置された窓部以外の周辺部分では、外殻を構成する金属製部材の間にガラスウールなどの断熱材が充填されている。このように、扉11の内部に断熱材を配置することで、加熱室18内部の熱が扉11部分を介して外部に逃げてしまうことを効果的に防ぐことができる。
図2に示すように、扉11が完全に解放された状態では、扉11の内面14が、加熱室18の底面部分における加熱プレート組み立て体30の載置面15の高さよりもわずかに低い高さとなる。このためユーザは、扉11が解放された状態で、加熱プレート組み立て体30を加熱室18の底面部分に容易に出し入れすることができる。
なお、本実施形態の電気式ピザ窯では、扉11の内面14側では、透明部材17の周囲が不透明の金属プレート16で覆われていて、扉11外側から加熱室18内部の状態を確認できる範囲は、扉11内側の透明部材17の範囲のみとなっている。
図1に戻って、上側部分10の上面である天井部分には、加熱室18内部の余剰の蒸気成分などを外部へ放出する煙突14が形成されている。なお、煙突14における空気の流路が大きすぎる場合には、煙突14から排出される空気によって加熱室18内の温度が不所望に下がってしまうため、煙突14に形成されている空気流路の大きさ(流路断面積)はこのような温度低下が生じない範囲で適宜定めることが好ましい。
図1に示すように、本実施形態の電気式ピザ窯における基体部分20の正面側には、ユーザが電気式ピザ窯の操作を行い、かつ、動作状態を確認することができる操作部21が配置されている。
操作部21には、ユーザが、電気式ピザ窯の電源のON/OFFや調理の開始を指示したり、調理時間をセットしたりするための操作ボタンや操作ダイヤル22、電気式ピザ窯の動作状態を表示する表示ランプ23などが配置されている。なお、図1では、操作部21の構成例として、2つの操作ダイヤル22と1つの表示ランプ23のみを図示しているが、操作部21の構成はこれに限られないことはいうまでもない。操作部21の構成において、操作ダイヤル22や表示ランプ23の個数を任意に設定することができることはもちろん、他にもスライドスイッチやプッシュスイッチなどのスイッチ類、ボタン類、加熱室内の温度やタイマ調理の残り時間などの数字情報を表示するディスプレイパネルなど、電気機器の操作部として用いられる各種の操作部材、表示部材を配置することができる。
本実施形態にかかる電気式ピザ窯では、操作部21に配置された操作ダイヤル22や表示ランプ23などの各種電気回路部品が搭載された操作回路基板81(図5参照)が、操作部21の内側に配置されている。また、この操作回路基板81とともに、操作部21の内側後方部分には、電気式ピザ窯全体の電源制御や動作制御を行う制御部やヒータへの電源供給のON/OFF切り替えを行うスイッチング回路などが搭載された制御回路基板82(図5参照)が配置されている。
基体部分20の側面には、基体部分20の内部と外部空間とを連通するための空気孔24が形成されている。また、基体部分20の底面側には、電気式ピザ窯全体を支える4つの脚部25が配置されている。
次に、本実施形態の電気式ピザ窯の内部の構成と本実施形態の電気式ピザ窯を構成する各部材について説明する。
図3は、本実施形態にかかる電気式ピザ窯の分解斜視図である。なお、図3では、加熱プレート(組み立て体)は省略して記載している。
図3に示すように、本実施形態にかかる電気式ピザ窯は、正面側の上部に扉11が開閉可能に固着された下部ユニット40、下部ユニット40の上面に固着されて加熱室18の側壁部分を構成する炉壁プレート50、炉壁プレート50の上部天井部分に固着されるヒータユニット60、炉壁プレート50との間にヒータユニット60を挟持するとともに下部ユニット40側面と電気式ピザ窯の背面部分を含めた全体を覆うカバープレート70、を備えている。
下部ユニット40は、偏平直方体形状の枠体として構成され、本実施形態の電気式ピザ窯の基体部分20を構成する。下部ユニット40の正面側の上端部分には、上述した扉11がヒンジ機構49(図4)により回動可能に固着されている。また、下部ユニット40の正面側部分には操作部21が配置されていて、操作部21の内側には、操作回路基板81(図5参照)や制御回路基板82(図5参照)が収容された回路配置部87(図5参照)が配置されている。
下部ユニット40の上面部分には、第2の加熱手段である下部加熱ヒータ41がその上面に配置されたヒータ支持板42が配置されている。
本実施形態の電気式ピザ窯では、下部加熱ヒータ41は略同心円状に配置された内側環状ヒータ41aと外側環状ヒータ41bとの2本の環状ヒータで構成されている。
ヒータ支持板42は、上方に配置される炉壁プレート50と共に加熱室18の外殻を形成し、加熱室18の底部を構成する部材である。ヒータ支持板42は、下部加熱ヒータ41が載置された底面42aと、底面42aの周囲に形成され下部加熱ヒータ41の側方部分の全周を囲む側壁部42bとで構成されている。また、ヒータ支持板42の底面42a上には、下部加熱ヒータ41が配置されている部分の周囲を囲むヒータ周囲壁部43と、第1の温度センサ44、および、第2の温度センサ45とが配置されている。なお、下部ユニット40の上面に配置された下部加熱ヒータ41とヒータ支持板42については、後に詳述する。
本実施形態で説明する電気式ピザ窯では、下部ユニット40がステンレスや鋼板等の金属材料からなる枠状の構造体として構成されていて、下部ユニット40における、加熱室18の底面に相当する部分であるヒータ支持板42のさらに下方部分には、間に熱遮蔽板92(図5参照)を介して、部材の配置が少ない空間である空洞部分46が形成されている。なお、下部ユニット40の両側方と後方(奥側)とに位置する3つの側面は、いずれもカバープレート70の裾部分が外側から覆う構成となっていて、空洞部分46の側壁を構成している。
空洞部分46の側壁に相当するカバープレート70の裾部分には、図1を用いて説明した空気孔24が形成されている。なお、図3では現れていないが、カバープレート70の後方側の裾部分にも側方の空気孔24と同様に後方側の空気孔が形成されている。さらに、下部ユニット40の底面部材47にも多数の空気孔48が形成されている。
また、カバープレート70の一方の裾部分には外気を強制的に空洞部分46内に送り込む空冷ファン71が形成されている。空冷ファン71によって温度の低い外気を強制的に取り込むとともに、空洞部分46内に空気の流れを生成することにより、下部加熱ユニット41の熱による空洞部分46内の温度上昇を低減することができる。この結果、空洞部分46は、空洞部分46に面して形成される操作部21の内側後方の回路配置部87(図5参照)や、空洞部分46内に配置される下部加熱ヒータ41の端子部分やその周囲の図示しない電気配線、さらには、下部ユニット40の後方側から外部へと延出する図示しない電源コードなどの電源回路部品を、不所望な高温に曝される事態から保護することができる。
炉壁プレート50は、ステンレス板等の金属製のプレートであり、上方へ凸の湾曲面を形成する側方プレート部51とこの湾曲面形状を塞ぐように形成された背面プレート部52とから構成されている。側方プレート部51の下端部分には外側に延出した側方固着プレート51aが、背面プレート部52の下端部分には後方側へと延出した背面固着プレート52aが形成されていて、この側方固着プレート51aと背面固着プレート52aの下面が下部ユニット40の上面の周辺部分に対向した状態で固着される。このように、炉壁プレート50が下部ユニット40の上面に固着されることで、炉壁プレート50の内側面が加熱室18の炉壁を形成することになる。
炉壁プレート50の正面側には、上方へ延出した前面プレート部53が形成されている。カバープレート70が、炉壁プレート50の外側を覆うようにして下部ユニット40に固着される際には、カバープレート70の前方側(正面手前側)の縁部は、炉壁プレート50の前面プレート53の外側端部に当接する。また、炉壁プレート50の側方固着プレート51aと背面固着プレート52aが下部ユニット40の上面に固着されることによって、炉壁プレート50の外側面とカバープレート70の内側面との間には、前面プレート53や側方固着プレート51a、背面固着プレート52aの幅に相当する所定の間隙が形成されることとなる。
本実施形態の電気式ピザ窯では、この炉壁プレート50とカバープレート70との間隙部分に、ガラスウールなどの断熱部材(図示省略)が充填されている。このように、加熱室18の壁部分に相当する炉壁プレート50と電気式ピザ窯の外側面を構成するカバープレート70との間に断熱部材を充填することによって、加熱室18内部の熱が電気式ピザ窯の外部空間に逃げにくくなる。この結果、本実施形態の電気式ピザ窯では、加熱室18内の温度の安定化が図れると共に、予熱時間を短縮し、かつ、調理時における加熱手段から与えることが必要な熱量を低減することができ、よりおいしいピザを焼き上げることができると共に、電気式ピザ窯の低消費電力化も実現することができる。
なお、炉壁プレート50とカバープレート70との間隙の大きさは、一例として20mmから50mm程度とすることができる。また、間隙に充填される断熱材としては、ガラスウールの他に、耐熱性の高い樹脂製のウール材や発泡材などを、さらには、マイカ板等を用いることができる。
炉壁プレート50の天井部分に相当する上方部分には、左右方向に配置された外側へ湾曲する側方プレート部51同士を繋ぐように形成された平面状の開口54が形成されている。そして、炉壁プレート50の上面に形成された開口54の周辺部分には枠状の平坦部分55が形成され、この平坦部分55にはヒータユニット60が載置されている。
ヒータユニット60は、加熱室18内に配置される上部加熱ヒータとしての2本の輻射式ヒータ61と、2本の輻射式ヒータ61を平行な状態で保持できるように輻射式ヒータ61の両端部分を互いに接続する、一対の接続部材62とにより、全体として矩形枠状に構成されている。
輻射式ヒータ61としては、カーボンランプヒータやハロゲンランプヒータ、石英ガラスヒータ、コルチェヒータ等の、高温の熱を輻射可能な各種ヒータを採用することができる。また、輻射式ヒータの出力は、一例として、一本当たり400Wから550Wのものを用いることができる。
ヒータユニット60における2本の輻射式ヒータ61の配置間隔は、炉壁プレート50上方の開口54の開口幅よりも狭く、ヒータユニット60を炉壁プレート50の平坦部に載置した状態で、輻射式ヒータ61が、加熱室18内に露出するようになっている。また、ヒータユニット60を炉壁プレート50の上方開口部54周辺の平坦部55上に載置することで、加熱室18の奥行き方向において、輻射式ヒータ61と加熱室18の底面部分に配置される加熱プレートの上面とが平行となる。この結果、本実施形態の電気式ピザ窯では、加熱室18内に配置された加熱プレートおよび加熱プレート上に載置された被調理物であるピザ生地と、上部加熱ヒータである輻射式ヒータ61とが、互いに平行な状態を保ったまま対向することとなる。このようにすることで、加熱プレート上の被調理物に、より均一に上部加熱ヒータからの輻射熱を輻射供給することができる。
なお図3での図示は省略するが、ヒータユニット60の輻射熱ヒータ61の上方には熱反射プレートが配置されていて、輻射熱ヒータ61から上方へと放出される輻射熱を加熱プレートが載置される加熱室18の底部方向へと反射させる。このようにすることで、輻射熱ヒータ61からの輻射熱を、効率よく加熱プレート上の被調理物に供給することができる。また、熱反射プレートのさらに上方には、加熱室18の天井の最も高い部分を構成することとなるカバー部材93(図5参照)が配置されている。カバー部材93には、煙突14へと繋がる流路が形成されている。
カバープレート70は、ステンレス板やメッキ鋼板等の金属板で形成されていて、電気式ピザ窯の外郭部分を構成する部材である。
本実施形態の電気式ピザ窯では、カバープレート70の開放端部(下側端部)に内側に向かって延出する固着部72が形成されていて、この固着部72を下部ユニット40の底面側に回り込ませてネジで螺結等して固定することで、電気式ピザ窯の上側部分10と基体部分20とを含む外殻全体を構成することができる。なお、上記本実施形態では、カバープレート70として、電気式ピザ窯の側面のみならず背面側をも覆う一体的なものを例示したが、カバープレート70としては、側面部分を覆う略逆U字状の部分と、背面を覆うかまぼこ形状の板部材とを別体のものとして形成し、別々に取り付ける構成とすることができる。また、カバープレート70が覆う範囲を、炉壁プレート50の外側までの上側部分10の範囲内に留め、下方ユニット40の側面は別のカバー部材で覆うように分割することもできる。このように、側面部分と背面部分、または、上側部分と基体部分とを、それぞれ別体のカバー部材で覆うような構成とした場合には、カバープレート70の取り付けにおける作業性が向上するが、加熱室18の熱が逃げないように、カバー部材同士の隙間をしっかりと塞ぐことが必要となる。
なお、本実施形態の電気式ピザ窯のカバープレート70には、前述のように下部ユニット40の側面(背面)となる位置に、下部ユニット40内部の空洞部分46の温度上昇を緩和するための空気孔24や、冷却ファン71が形成配置されている。
次に、本実施形態にかかる電気式ピザ窯における、加熱室の底面部分を構成する下部ユニット上面の形状について、下部ユニット上に載置される加熱プレートとの位置関係を含めて説明する。
図4は、加熱プレートと下部ユニットとの位置関係を示す分解斜視図であり、加熱プレートが下部ユニット上の所定の位置に載置された状態の位置関係を分解して示している。
図4に示すように、本実施形態の電気式ピザ窯では、下部ユニット40の上面に配置されたヒータ支持板42上の所定の位置に加熱プレート組み立て体30が載置され、加熱プレートであるプレート本体31上の被調理物であるピザの調理時には、図3で示した上部加熱ヒータ61とヒータ支持板42上に配置された下部加熱ヒータ41(41a、41b)とによって、プレート本体31の上下両面から熱が加えられて加熱調理が行われる。
下部加熱ヒータ41は、同心円状に配置された環状の電熱式ヒータであり、本実施形態の電気式ピザ窯では、内側に配置された径小の第1の環状ヒータ41aと、外側に配置された径大の第2の環状ヒータ41bとの2本の環状ヒータを備えている。なお、それぞれの環状ヒータ41a、41bは、インコロイヒータ、IHヒータ、シーズヒータなどで構成することができ、出力は200W〜250Wとすることができる。また、一例として、内側環状ヒータ41aの直径を9cm、外側環状ヒータ41bの直径を16cmとすることができる。
ヒータ支持板42は、下部加熱ヒータ41が配置される底面42aと、底面42aの周囲を下部加熱ヒータ41の配置部分を囲むようにして形成された側壁部42bとで構成されている。また、側壁部41bの上端部には連続して外側に広がるように形成された載置面15となる平面部42cを備えている。
ヒータ支持板42の側壁部42bの高さは、平面部42c上に加熱プレート組み立て体30が載置された際に、加熱プレート組み立て体30において被調理物が載置されるプレート本体31の裏面が、下部加熱ヒータ41と接触せずに所定の間隙を有することができるような高さとなっている。また、第1の環状ヒータ41aと第2の環状ヒータ41bとは、いずれも支持脚に支持されることで、ヒータ支持板42の底面42aとの間にも所定の間隙を保つことができるようになっている。
ヒータ支持板42の底面42aにおいて、第1の環状ヒータ41aと第2の環状ヒータ41bとが配置されている配置領域を取り囲むようにして、すなわち、外側に位置する径大の第2の環状ヒータ41bの周囲を取り囲むようにして、底面42aからヒータ周囲壁部43が立設している。ヒータ周囲壁部43は平面視環状に形成されていて、2つの環状ヒータ41a、41bと略同心円状に配置されることが好ましい。なお、ヒータ周囲壁部43の高さは、その上端が、ヒータ支持板42上に載置された際のプレート本体31の裏面と接触しない高さとなっている。
下部加熱ヒータ41(41a、41b)が配置される同心円の中心部分には、プレート本体31の温度を検出する第1の温度センサ44が配置されている。第1の温度センサ44の配置位置は、被調理物が載置されるプレート本体31の中心位置である。すなわち、略正方形のプレート本体31の、対角線の交点位置である。
また、ヒータ支持板42の底面42aにおいて、ヒータ周囲壁部43の外側の領域には、第2の温度センサ45が配置されている。このように、第1の温度センサ44を2本の環状ヒータ41a、41bが形成する同心円の中心に、また、第2の温度センサ45を、2本の環状ヒータ41a、41bの配置領域を囲んで形成されたヒータ周囲壁部43の外側の位置に配置することで、本実施形態の電気式ピザ窯では、被調理物が載置されるプレート本体31の中央部分の温度を第1の温度センサ44で、プレート本体31の周辺部分の温度を第2の温度センサ45で同時に検出することができる。
本実施形態の電気式ピザ窯では、第1の温度センサ44と第2の温度センサ45とを、いずれも上方に向けて付勢された状態でヒータ支持板42の底面42a上に配置している。このため、ヒータ支持板42上に加熱プレート組み立て体30が載置された際に、温度センサ44、45の温度検出部分が一定の力でプレート本体31の裏面に押しつけられて、プレート本体31の所定部分の温度をより正確に検出することができる。なお、第1の温度センサ44と第2の温度センサ45としては、いずれも測温抵抗体を用いたもの、熱電対を用いたものなど、従来用いられている各種の温度検出素子を使用することができる。また、上記例示したような接触式の温度センサに限られず、放射温度計の原理を用いて非接触で対象物の温度を検出できる温度センサを採用することもできる。さらに、接触式の温度センサの場合でも、上記例示したような上方に向かって付勢されたものには限られず、線状部材で構成されて加熱プレートとの間に一定以上の接触を確保できるものを用いることができる。
図4に示すように、本実施形態の電気式ピザ窯に用いられる加熱プレート組み立て体30は、非金属製の板状体であるプレート本体31と、このプレート本体31を保持するステンレス製の枠体32とで構成されている。
プレート本体31は、加熱手段である上部加熱ヒータ61や下部加熱ヒータ41からの熱を十分に蓄積することで、よりおいしく、かつ短時間にピザを焼くことができるように、熱伝導率が高く蓄熱性が高い非金属材料で形成されている。本実施形態の電気式ピザ窯では、プレート本体31としてカーボンプレートを用いている。より具体的には、プレート本体31は、純度99.9%以上のカーボンブラック等の原料を5万トンの高水圧下で固めた後に3000℃で90日間焼成して得たカーボンプレートである。なお、このようにして得られたカーボンプレートの特性諸元は、密度が約2.01g/cm3、比熱が、室温において約0.713J/g・K、300℃で約1.337J/g・K、熱伝導率が、室温で約188.1W/m・K、300℃で約137.7W/m・K、熱拡散率が、室温において約131.2×10-6m2/s、300℃で約51.2×10-6m2/sである。
なお、本願にかかる加熱調理器のプレート本体31の材料としては、上記例示した特性諸元を有するカーボンプレートの他に、上記とは異なる特性を備えたカーボンプレートを用いることができる。また、いわゆる土鍋の素材として加熱調理器に用いられるセラミックス素材や、セラミックス粉末とガラス粉末、またはカーボン粉末などの各種粉末材料の混合体を焼成して形成された板状体を用いることができる。さらに、加熱プレートとして十分な、一例としてアルミニウム程度以上の熱伝導性の高い蓄熱可能な材料であれば、金属粉末を材料として含んだものや金属材料自体をプレート本体31として用いることもできる。なお、プレート本体31としては、特に、熱伝導性が、130W/m・k程度以上であることが、短時間でのピザの調理を可能とする観点から好ましい。
また、本実施形態の電気式ピザ窯では、直径が約35cmであるLサイズまでのピザ1枚を焼くことを想定していて、プレート本体31は、一辺が38cmの平面視矩形状であり、厚さは7.5mmとしている。
枠体32の手前側には、横長形状の湾曲凹部33が形成されていて、加熱室18内に加熱プレート組み立て体30を出し入れする際にユーザが湾曲凹部33を保持できるようになっている。
図5は、本実施形態にかかる電気式ピザ窯の内部の状態を示す断面図である。
図5は、扉が閉じた状態で、かつ、内部に加熱プレートが配置された状態での、左右方向における中心線で切断された状態の電気式ピザ窯を、右側方から見た場合の側断面図である。
なお、図5において、図1〜図4を用いて説明した本願にかかる電気式ピザ窯における構成部材について、各部材の形状やその位置関係がより分かりやすいように、改めて同じ符号を付して示している。
本実施形態の電気式ピザ窯では、下部ユニット40の上面に配置されたヒータ支持板42が加熱室18の底面を構成している。
また、ヒータ支持板42の下方には、電気式ピザ窯の内部を加熱室18とその下方の空間とに熱的に区分けする熱遮蔽板92が配置されている。熱遮蔽板92は、例えば厚さ0.3mm〜0.5mm程度のステンレス板や鋼板などで形成することができる。なお、図5に示すように、本実施形態の電気式ピザ窯の熱遮蔽板92は、ヒータ支持プレート42と同様な凹んだ底面の周囲を側壁部で囲むパレット状となっているが、熱遮蔽板92は、少なくとも電気式ピザ窯の内部の空間を分割する部材であれば、平板状のものなど、その形状に制約はない。また、熱を遮蔽するという機能面から、熱遮蔽板92は一枚の板状体で形成することが好ましいが、複数のパーツの組合せとして全体が板状体となるものでもかまわない。
熱遮蔽板92の下側には、前方部分に、操作回路基板81や制御回路基板82が配置された回路配置部87が形成され、後方部分は、側面に空気孔24が形成された前述した空洞部分46が位置し、空洞部分46に外部の空気を吸引して送風する冷却ファン71(図5ではプロペラ部分73が見えている)と冷却ファン71からの風を空洞部分46に送る送風経路88が配置されている。また、空洞部分46には、ヒータ支持板42と熱遮蔽板92とを貫通して、下部加熱ヒータ41を構成する第1の環状ヒータ41aの端子部91aと第2の環状ヒータ41bの端子部91bとが延在している。なお、第1の環状ヒータ41aの端子部91aと第2の環状ヒータ41bの端子部91bには、図示しない電源回路が接続されていて、電源回路が搭載された電源ユニットからは図示しない電源コードが電気式ピザ窯の外部に延びでいる。
以下、加熱室の下方に位置する下部ユニット内部の構成について、図6〜図10の各図を用いて具体的に説明する。
図6は、下部ユニット内部の底面側の構成を示す第1の水平断面図である。また、図7は、下部ユニット内部の上面側、すなわち、加熱室側の構成を示す第2の水平断面図である。図6は、電気式ピザ窯の正面図である図8におけるB−B矢視線における断面図、図7は、同じく図8におけるC−C矢視線における断面図である。
図6、図7において、操作回路基板81は、電気式ピザ窯の基体部分20の正面に配置された操作部21後方に配置されていて、操作部21が備えるスイッチ類やダイヤル22、表示ランプ23等の各種電気回路部品が搭載される回路基板である。操作回路基板81は、基板上に搭載されたダイヤル22や表示ランプ23の操作部分や表示部分が、基体部分20である下部ユニット40の前面側パネルの表面側に突き抜けるように、下部ユニット4020の前面側パネルの裏側すぐの部分に、前面側パネルに略平行に配置されている。
本実施形態の電気式ピザ窯では、操作部21から与えられたユーザからの指示に従って所定の調理プログラムに沿った調理ができるように、制御部が、加熱プレート31の中央部分と周辺部分に配置された温度センサ44、45が検出した温度データに基づいて上部加熱ヒータ61と下部加熱ヒータ41への投入電力量を制御する。一例として制御部は、温度センサ44、45からの電気信号を受け取って温度情報へと変換する温度検出部、加熱ヒータ61、41に所定の電力量を供給するための加熱電力制御部、制御動作の基準となるクロック回路部、調理プログラムや各種データを記録可能なメモリ部などから構成されている。制御部は、例えばマイコン等のICチップや、論理回路やメモリ素子などの電気回路部品の集合体として実現することができる。
制御部としてのマイコンが搭載されたICチップは、制御部を構成する他の電気回路部品と共に制御回路基板82上に搭載されて、操作回路基板81と共に、回路配置部87に収納されている。
図9は、回路配置部の構成を説明する分解斜視図である。
図9に示すように、本実施形態の電気式ピザ窯における回路配置部87は、操作ダイヤル22や表示ランプ23が配置された操作部21の内側後方に位置していて、操作回路基板81と制御回路基板82、制御回路基板82に搭載された電気回路部品の放熱を助けるヒートシンク84が収納されている。回路配置部87は、その上面と前面側以外の3つの側方部分を覆うカバー85と、底面を形成する底面板86とが組み合わされて形成されている。
回路配置部87の外殻の3つの側面と上面とを構成するカバー85は、金属板や樹脂材料により構成することができる。図9では隠れているが、カバー85の後方側部分には、ヒートシンク84が貫通する貫通孔が形成されている。カバー85のヒートシンクを貫通させる貫通孔以外の部分には、空気孔などの開口は形成されていない。
回路配置部87の前面壁は、操作部21が配置された基体部分20の前面プレートが構成する。また、回路配置部87の外殻の底面を形成する底面板86には、外部と連通する空気孔が形成されている。このため、内部に操作回路基板81と制御回路基板82とヒートシンク84が収容されて外殻が組み立てられた回路配置部87は、底面にのみ空気孔が形成され他の5面には開口が形成されていない略直方体の箱状部材となる。
図10は、回路配置部と回路配置部に隣接して配置される送風経路との構成を示す斜視図である。なお、図10は、電気式ピザ窯の正面右下側方向から加熱室側である正面左側上方に向かって見た状態を示している。また、図10では、回路配置部の底面を構成する底面板と、前面を構成する基体部分の前面パネルを取り外した状態を示している。
図10に示すように、回路配置部87の上面を覆うカバー85に、制御回路基板82が取り付けられている。制御回路基板82は、電気回路部品が搭載される面を下側に向けた状態で配置されている。
このように、制御回路基板82を電気回路部品の搭載面を下側にして上下逆さま方向にカバー85に取り付けることで、制御回路基板82の取り付け位置を回路配置部87内における相対的に高い位置、すなわち、電気式ピザ窯の底面から離した位置とすることができる。この結果、回路配置部87内に不所望に入り込んだ、小麦粉などの被調理部材や、塵埃、水分などの不純物が、さらには回路配置部87に小さな虫等が入り込んだ場合でも、これらの異物が、制御回路基板82に付着することを防止しやすくなる。さらに、電気回路部品の搭載面を下側に向けて配置することで、回路配置部87内に入り込んだ不純物が、制御回路基板82の電気回路部品の搭載面に堆積することを防止することができ、これら不純物による不所望な短絡や接続不良などが生じることを効果的に防止することができる。
本実施形態にかかる電気式ピザ窯の制御回路基板82には、制御部を構成する図示しないマイコンなどの電気回路部品と共に、制御部からの制御信号にしたがって実際に加熱ヒータ61、41に供給される電力のオン/オフを切り替えるスイッチング素子としての4つのトライアック83(83a、83b、83c、83d)が搭載されている。トライアック(triac)は、双方向への電流を制御できる三端子サイリスタであって、半導体素子であるためにメカニカルにオン/オフを切り替えるリレーなどの他のスイッチング素子と比較して耐久性が高い。このため、業務用の加熱調理器として、電気式ピザ窯が高頻度で長時間の動作をする間に、極めて多数回に上る加熱ヒータのオン/オフ動作が繰り返された場合でも、例えば5年以上という所定の耐用年数にわたって安定した切り替え動作を実現することができる。
一方で、トライアック83は動作時に発熱する発熱源となる電気回路部品であるために、マイコンなどの高い環境温度となることを嫌う他の電気回路部品回路とともに回路配置部87内に収容する上では、トライアック83からの熱を回路配置部87の外部に導出することが重要となる。このため、本実施形態にかかる電気式ピザ窯では、ヒートシンク84を用いてトライアック83の熱を回路配置部87の外部へと逃がしている。
具体的には、トライアック83の放熱板をヒートシンク84のプレート部分84aに導熱性のペーストを介して熱的に接触させるとともに、ヒートシンク84の放熱フィン84cを回路配置部87の外部に配置する。このようにすることで、トライアック83の動作時に発生する熱が回路配置部87内に籠もらずに、制御回路基板82に搭載されるマイコンなどの他の電気回路部品や回路配置部87内に同様に配置される操作回路基板81上の電気回路部品に悪影響を与えることを回避することができる。
図5、図6、図7に示すように、本実施形態の電気式ピザ窯では、熱遮蔽板92の下側に形成された空洞部分46の内部に、機器の外部の空気を吸引して送風するプロペラ73を備えた冷却ファン71が配置されている。冷却ファン71を配置して、外部の空気を積極的に取り入れることにより、空気孔を介する自発的な空気循環の場合に比べて、空洞部分46内部の冷却効果を向上させることができる。
また、外部から吸引された温度の低い状態の空気が通過する送風経路88を、空洞部分46の最も前方側、すなわち、回路配置部87のすぐ後側に配置することで、仮に空洞部分46の温度が上昇した場合でも回路配置部87の温度上昇を回避することができる。
さらに、本実施形態の電気式ピザ窯では、冷却ファン71を空洞部分46の前方側の端部の側方に配置して、冷却ファン71のプロペラ部分から空洞部分46の前方側中央部分に後方に向かって形成された開口部88aに向かう冷却風の流れを形成する、送風経路88(ダクト)が配置されている。このため、冷却ファン71のプロペラ73により生じた冷却風を空洞部分46の前方側中央部分に導入して後方へと向かって吹き出すことができ、開口部88aから、空洞部分46の左右両方の側壁や背面壁に形成された空気孔から外部へと出て行く冷却風の流れを形成して、空冷硬化を高めることができる。
さらに、本実施形態にかかる電気式ピザ窯では、空洞部分46に冷却風を導入する送風経路88中に、トライアック83に接続されたヒートシンク84の放熱フィン84b部分を配置している。このようにすることで、低い温度の外気で直接放熱フィン84bを冷却することができ、トライアック83からの熱の放熱効果を向上させることができる。
なお、本実施形態の電子器ピザ窯の場合には、2つの上部加熱ヒータ61と2つの下部加熱ヒータ41との4つのヒータを備えていることから、それぞれのヒータに対応した4つのトライアック83a、83b、83c、83dが制御回路基板82上に搭載されている。ここで、それぞれのトライアック83がヒートシンクのプレート部分84aに接触することができるように、4つのトライアック83a、83b、83c、83dが制御回路基板82上に、冷却風の経路に沿って配置されることとなるが、この場合には、より発熱量の大きなトライアック83を冷却風の風上側に配置することが好ましい。冷却風の送風経路87における風上側は、冷却ファン71に最も近い位置であるために、取り入れられた外気の温度上昇が少ない。より発熱量の大きなトライアック83aが熱的に接続された部分のヒートシンク84は、発熱量の比較的小さなトライアック83dが熱的に接続された部分のヒートシンク84よりも高い温度となるが、ヒートシンク84のより温度の高い部分が、低い温度の冷却風で冷却されることが効率的であるからである。なお、4つのトライアック83a、83b、83c、83dの配置順は厳密なものではなく、より高い温度となりうるトライアック83をより風上側に配置するように意図することで、一定の効果が得られる。
図10において、送風経路88内の冷却フィン84bの配置部分が見えるように切り取って示しているが、本実施形態の電気式ピザ窯では、放熱フィン84bの面が冷却ファン71からの冷却風の通過方向に対して平行になるように配置している。しかし、冷却フィン84bを冷却風の通過方向に対して少し傾けて配置すると、冷却風と対向する放熱フィン84bの実効的な表面積をより大きくすることができるため、冷却風による放熱フィン84bの冷却効果を一層向上させることができる。また、放熱フィン84bの形状と配置方向を調整することで、送風経路88内での冷却風の流路方向を適宜調整することも可能となる。
以上説明したように、本実施形態にかかる電気式ピザ窯では、熱遮蔽板92を介して、上方側に高温となる加熱室18を、下方側に環境温度が高くなることを嫌う電気回路部品などを、区分けして配置した。この結果、加熱室18の温度を、例えばおいしいピザを焼く上で好適とされる温度である300℃に維持した状態でも、電気回路部品等への悪影響を低減することができる。また、上方側の加熱室18は、その周囲を囲む側壁部内に断熱材を挟んで高い断熱効果を得るように構成すると共に、下方側では、空洞部分46として、側壁や底面に外部と連通する空気孔24、48を設けると共に、強制的に外気を吸引して空洞部分46内に送り込む冷却ファン71を設けた。このように、加熱調理器内部を、高温を維持するべき部分と、低温に維持するべき部分とに分割して、それぞれにおいて、効率的に所望の温度状態が保てる構成を採用することで、被調理物を短時間でおいしく、しかも、効率よく加熱調理することができると共に、高頻度かつ長時間の加熱調理を連日行ったとしても、所定の動作期間を実現できる、高い耐久性と信頼性を備えた加熱調理器を実現することができた。
本実施形態の電気式ピザ窯は、2つの温度センサにより検知された、プレート本体31の中央部分と周辺部分との温度データに基づいて、制御部がプレート本体31の温度分布を把握しながら、上部加熱ヒータ61と下部加熱ヒータ41としての、径小の第1の環状ヒータ41aと経大の第2の環状ヒータ41bとにそれぞれ投入される電力量を個別に調整して、プレート本体31の温度分布を適切に制御することができる。
例えば、予熱時開始時には、上部加熱ヒータ61をOFF、第1の環状ヒータ41aを80%電力、第2の環状ヒータ41bを100%電力とし、ピザの調理時には、上部加熱ヒータ61を100%電力とする中で、調理開始直後は第1の環状ヒータ41aと第2の環状ヒータ41bとをともに50%電力、調理が進むにつれて第1の環状ヒータ41aへの投入電力量を下げていき、予熱を維持する状態では、上部加熱ヒータ61をOFF、第1の環状ヒータ41aをOFF、第2の環状ヒータ41bを60%電力とするなどが考えられる。このように、上部加熱ヒータ61と、2つの環状ヒータ41aと41bとの投入電力量を制御して、プレート本体31の温度を、ピザを焼く上で好適とされる温度300℃が維持できるように調整することができる。
特に、本実施形態の電気式ピザ窯では、プレート本体31として高い蓄熱性を有するカーボンプレートを用いているため、最初の電源投入時に約15分の予熱を行ってプレート本体31の温度を約300℃としておけば、1枚のピザを2分半ほどの短時間で、おいしく調理することができる。
以上説明したように、本実施形態の電気式ピザ窯では、上側部分10に加熱室18を配置するとともに、加熱室18の底面を構成するヒータ支持板42の下側に熱遮蔽板92を配置し、熱遮蔽板92よりも下側の基体部分20の内部に、制御回路を構成する制御回路部品が搭載された制御回路基板82を収容した回路配置部87を配置している。このため、高温状態を維持したい加熱室18と、高温状体を避けたい電気回路部品が収容された回路配置部87とを熱遮蔽板92によって熱的に分離することができ、電気回路部品への悪影響を懸念することなく加熱室18内を加熱調理に最適な温度状態とすることができる。さらに、制御回路基板82をボックス状の回路配置部87内に収容することで、外部からの異物の侵入を防止して、制御回路基板82に搭載された制御回路の長期間に渡る安定動作と実現できる。
なお、上記の実施形態では、空洞部分内に外部の空気を冷却風として吸入送風する空冷ファンを設けた例を示したが、側壁に形成された空気孔等を介する自然な空気循環により空洞部分内の温度上昇が抑制できるのであれば、冷却ファンを設けることは必須ではない。
また、冷却ファンを配置する際に通風経路を構成すること、さらに、通風経路内に熱源となる電気回路部品からの熱を放熱するヒートシンクの放熱フィンを配置することも、本開示にかかる加熱調理器において必須の要件ではなく、各部分の温度上昇の程度や空冷効果との兼ね合いに応じて適宜選択採用すべきことである。
また、回路配置部内の電気回路部品が発熱源となる場合でも、その発熱量が小さい場合には、電気部品の発熱を放出するヒートシンクを設けなくてもよい場合もある。さらに、発熱源となる電気部品としては、上記に例示したトライアックに限られず、トランジスタなどの他の半導体電気素子や、電源変換回路におけるトランスなど、各種のものが考えられ、これら回路部品の発熱量に応じてヒートシンクを用いるか否かを検討すればよい。
また、上記説明において、加熱室の側面が湾曲して上方に行くほど幅が狭くなる形状のものを例示したが、加熱室は、上下方向において幅方向の大きさが略同一な、直方体または立方体形状とすることもできる。また、加熱室の背面側の炉壁を、上方に行くほど手前側に倒れる形状の図を示したが(図5)、加熱室の背面の炉壁は、底面に対して垂直に形成されていてもよく、また、側壁と同様に外側に向かって湾曲する曲面形状とすることもできる。
また、上記実施形態では、上部加熱ヒータとして、加熱室の手前側から奥側に向かって平行に同じ出力数の2本のヒータが配置された構成を示したが、上部加熱ヒータの本数は、1本、または3本以上とすることができ、さらに、複数本のヒータを用いる場合にそれぞれの出力数が異なるヒータを用いることもできる。さらに、ヒータの配置位置、特に、加熱室内の配置高さについて、複数本のヒータを異なる高さに配置することもできる。また、上部加熱ヒータの配置方向も、扉に対して平行に、すなわち、扉側から見て左右方向に配置することもできる。
また、上記の説明では、下部加熱ヒータとして2本の環状ヒータを略同心円状に配置した例を示したが、ヒータは環状のものに限られず例えば略矩形状のヒータや、複数箇所の折り返し部分を経ることで、1本のヒータで面上の領域を加熱できるような構成とすることができる。また、下部加熱ヒータは、1本、または、3本以上の構成とすることができる。
なお、環状ヒータを用いる場合でもヒータ部分が正確な円形である必要はなく、一部に凹凸がある形状や端部分に欠けを有している形状であっても、全体として円形領域に対して熱を放射可能なヒータであればよい。
さらに、加熱プレート(本体)の温度を検出する温度センサとしても、上述した中央部分の温度を検出する第1の温度センサと、周辺部分の温度を検出する第2の温度センサに加えて、第3またはそれ以上の個数の温度センサを配置して、加熱プレートの各領域の温度をより詳細に検出して、ヒータに入力する電力の制御に活用することができる。但し、複数の温度センサそれぞれが温度を検出する加熱プレートの領域としては、加熱プレートに近接して配置される下部加熱ヒータとの関係において、下部加熱ヒータから供給される熱量が多い領域と、下部加熱ヒータから供給される熱量が少ない領域とを選んで温度センサを配置することが、下部加熱ヒータに投入される電力量を制御することで加熱プレートの温度分布をより均一化する上で好ましい。
また、上記実施形態では、非金属性の加熱プレートであるプレート本体を、金属製の枠体32で挟持した構成を例示した。このようにすることで、外部からの衝撃を受けた際に割れや欠けなどが生じやすいプレート本体を保護することができる。また、非金属製のプレート本体は形状加工性に欠けるため、金属製のカバー部材で覆うことで、組み立て体としての加熱プレートを保持するための湾曲部等を容易に形成することができる。しかし、加熱プレート(本体)として、金属部材のものを採用する場合を含め、加熱プレートの強度面や加工性に問題がないのであれば、加熱プレートとして組み立て体を構成する必要はない。
なお、ピザ窯としての美観を強調するために、外殻を構成するカバー部材の外側表面に煉瓦模様等の装飾を施したり、カバープレートのさらに外側に、煉瓦で構成されたピザ窯の形状をなぞった装飾外観部材を重ねて配置したりすることもできる。
上記実施形態では、本願に係る加熱調理器として、被調理物としてピザを焼くピザ窯を例示して説明してきた。しかし、本願発明の加熱調理器は、ピザ調理専用の電気式ピザ窯には限られず、パンやクッキー、スポンジケーキ、その他野菜や肉類などの各種被調理物を調理する加熱調理器として実用化することができる。また、上記例示した業務用の加熱調理器には限られず、よりコンパクトな構成として家庭用の加熱調理器を実現することもできる。