JP2017027764A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】 この発明は、Irを主成分とするチップの接地電極からの耐剥離性に優れたスパークプラグを提供することを目的とする。
【解決手段】 中心電極に間隙を有して配置された先端部と、主体金具に接合された基端部とを有する接地電極と、前記接地電極における前記中心電極に対向する対向面に埋設された、Irを主成分とするチップとを有し、前記チップと前記接地電極とは、両者の溶融により形成された溶融部により接合されてなるスパークプラグであって、前記溶融部は、前記チップの前記基端部側の端面を通ると共に、前記接地電極の前記対向面に隣接する側面のうちの一方の側面から前記接地電極の幅方向に対向する他方の側面まで貫通する貫通溶融部を少なくとも有することを特徴とするスパークプラグ。
【選択図】 図3

Description

この発明は、接地電極にチップが設けられたスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関において、中心電極及び接地電極を形成する材料としては、Ni合金等が一般に使用される。Ni合金は、耐酸化性及び耐消耗性に関してPt及びIr等の貴金属を主成分とした貴金属合金に比べると多少劣る。しかし、貴金属に比べて安価であるため接地電極及び中心電極を形成する材料として好適に使用される。
昨今の排出ガス規制に対して、ガソリンエンジンのダウンサイジングが進められており、それにより犠牲となる出力については過給機の搭載で賄うことが行われている。また、産業用ガスエンジンについても効率向上を目的として高圧縮化が進行している。これらのエンジンに搭載されるスパークプラグに求められる性能としては、耐熱性及び着火性をはじめ、放電電圧上昇に伴う火花放電部の耐火花消耗性の向上が挙げられる。
ところで、Ni合金等で形成された、接地電極の先端部と中心電極の先端部との間で火花放電が生じると、接地電極及び中心電極との対向するそれぞれの先端部が火花消耗を生じ易くなることがある。そこで、接地電極と中心電極との対向するそれぞれの先端部に貴金属製のチップを設け、このチップで火花放電が生じるようにすることで接地電極及び中心電極の耐火花消耗性を向上させる方法が採用されることがある。また、耐火花消耗性をより向上させる方法の一つとして、従来よりも大きなチップを電極に設ける方法が挙げられ、特にチップが消耗され易い接地電極に従来よりも大きなチップを設けると効果的である。
従来からチップを電極に溶接する場合には、抵抗溶接が用いられている。しかしながら、大きなチップを溶接する場合には、接合強度が不足して運転中にチップが剥離して脱落するおそれがある。また、Ir合金製のチップは耐火花消耗性に優れる一方で、接地電極を形成するNi合金に比べて融点が高いため、抵抗溶接で接地電極に接合しようとすると接地電極が溶けてしまい、所望の形状を維持しつつIr合金からなるチップを接地電極に接合することができない。このような問題に対して、接地電極の側面からチップに対してレーザを照射することにより、抵抗溶接よりも強固に接合する技術が報告されている。
例えば、特許文献1には、「・・・前記貴金属部材(40a)は、この凹部(41a)に埋設され、前記溶融部(40b)は、前記接地電極(40)の外周面を起点として先端部が前記凹部(41a)内に位置する前記貴金属部材(40a)の内部に位置するようなくさび形状を有する」(特許文献1の請求項3)スパークプラグが記載されている。
特許文献2には、「・・・前記溶融部(45)は、前記接地電極(40)の外周側面(46)から前記Ir合金チップの側面端部(47)を通り前記Ir合金チップの内部まで連続して形成されている」(特許文献2の請求項6)スパークプラグが記載されている。
特許文献3には、「接地電極母材7の側周面の複数箇所にて、内方側に向かってレーザ溶接して、前記各箇所において接地電極母材7から接地電極2にわたって溶融部8を形成して、接地電極母材7と接地電極2とを接合」(特許文献3の0030欄)したガスエンジン用点火プラグが開示されている(特許文献3の図3及び図4)。
特開2005−183167号公報 特開2002−93547号公報 特開2005−100747号公報
ところで、特許文献1〜3に示されているように、発明者らがIr合金製のチップを接地電極に埋設し、接地電極の側面からチップの内部に向かってレーザ溶接をすることによりチップを接地電極に接合したスパークプラグを準備し、エンジン耐久試験を行ったところ、チップが脱落し、エンジンが失火する場合があった。よって、Ir合金製のチップをより強固に接地電極に接合させることが望まれる。
この発明は、Irを主成分とするチップの接地電極からの耐剥離性に優れたスパークプラグを提供することを目的とする。
Irを主成分とするチップを接地電極に接合した場合に、エンジン耐久試験においてチップが接地電極から脱落し、エンジンが失火してしまうという前述の問題を解決すべく発明者らが検討したところ、チップの剥離開始部位はチップにおける接地電極の先端側とは反対側の部位であることが分かった。発明者らは、この部位の接合強度を向上させることによりチップの剥離を抑制できると考えた。
前記課題を解決するための手段は、
(1) 中心電極に間隙を有して配置された先端部と、主体金具に接合された基端部とを有する接地電極と、
前記接地電極における前記中心電極に対向する対向面に埋設された、Irを主成分とするチップとを有し、
前記チップと前記接地電極とは、両者の溶融により形成された溶融部により接合されてなるスパークプラグであって、
前記溶融部は、前記チップの前記基端部側の端面を通ると共に、前記接地電極の前記対向面に隣接する側面のうちの一方の側面から前記接地電極の幅方向に対向する他方の側面まで貫通する貫通溶融部を少なくとも有することを特徴とするスパークプラグである。
前記(1)の好ましい態様として、次の態様を挙げることができる。
(2)前記接地電極は、前記チップの前記基端部側の端面が配置された位置において、前記幅方向に縮径する縮径部を有する。
(3)前記(1)又は(2)のスパークプラグにおいて、前記貫通溶融部は、Irの含有率が40質量%以下である。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のスパークプラグにおいて、前記チップは、前記中心電極に対向する放電面の面積が4.5mm以上である。
この発明によると、Irを主成分とするチップと接地電極とは溶融部により接合され、溶融部は、チップにおける接地電極の基端部側の端面を通ると共に、接地電極の前記対向面に隣接する側面のうちの一方の面から接地電極の幅方向に対向する他方の側面まで貫通する貫通溶融部を少なくとも有するので、チップが接地電極の基端部側の端面から剥離することが抑制される。したがって、この発明によると、Irを主成分とするチップの接地電極からの耐剥離性に優れたスパークプラグを提供することができる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの一部断面説明図である。 図2は、図1に示すスパークプラグの接地電極を拡大して示す概略斜視図である。 図3は、図2に示すチップと接地電極との接合構造を示す説明図である。図3(a)は、接地電極を中心電極側から見たときのチップと接地電極との接合構造を示す平面説明図である。図3(b)は、図3(a)に示すチップと接地電極とをB方向から見たときのチップと接地電極との接合構造を示す端面説明図である。図3(c)は、図3(b)のC−C断面を示す断面説明図である。 図4は、他の実施形態のチップと接地電極との接合構造を示す平面説明図である。 図5は、他の実施形態のチップと接地電極との接合構造を示す断面説明図である。 図6は、他の実施形態のチップと接地電極との接合構造を示す平面説明図である。 図7は、他の実施形態のチップと接地電極との接合構造を示す平面説明図である。 図8は、他の実施形態のチップと接地電極との接合構造を示す平面説明図である。 図9は、他の実施形態のチップと接地電極との接合構造を示す平面説明図である。 図10は、他の実施形態のチップと接地電極との接合構造を示す平面説明図である。 図11は、他の実施形態のチップと接地電極との接合構造を示す平面説明図である。
この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを図1に示す。図1はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグ1の一部断面全体説明図である。なお、図1では紙面下方すなわち後述する接地電極が配置されている側を軸線Oの先端方向、紙面上方を軸線Oの後端方向として説明する。
このスパークプラグ1は、図1に示すように、軸線O方向に延びる軸孔2を有する略円筒形状の絶縁体3と、前記軸孔2内の先端側に配置された略棒状の中心電極4と、前記軸孔2内の後端側に配置された端子金具5と、前記軸孔2内の前記中心電極4と前記端子金具5との間に配置された接続部6と、前記絶縁体3を保持する略円筒形状の主体金具7と、基端部16が前記主体金具7の先端に接合されると共に先端部15が前記中心電極4と間隙Gを介して対向するように配置された接地電極8と、前記接地電極8の先端部15に設けられたチップ9とを備える。
絶縁体3は、軸線O方向に延びる軸孔2を有し、略円筒形状を有している。絶縁体3は、後端側胴部11と、大径部12と、先端側胴部13、脚長部14とを備えている。後端側胴部11は、端子金具5を収容し、端子金具5と主体金具7とを絶縁する。大径部12は、該後端側胴部11よりも先端側に配置され、径方向外向きに突出している。先端側胴部13は、該大径部12の先端側に配置され、大径部12より小さい外径を有し、接続部6を収容する。脚長部14は、該先端側胴部13の先端側に配置され、先端側胴部13より小さい外径及び内径を有し、中心電極4を収容する。絶縁体3は、絶縁体3における先端方向の端部が主体金具7の先端面から突出した状態で、主体金具7に固定されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気的強度を有する材料で形成されることが望ましい。このような材料として、例えば、アルミナを主体とするセラミック焼結体が挙げられる。
接続部6は、軸孔2内の中心電極4と端子金具5との間に配置され、中心電極4及び端子金具5を軸孔2内に固定すると共にこれらを電気的に接続する。
主体金具7は、略円筒形状を有しており、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持するように形成されている。主体金具7における先端方向の外周面にはネジ部24が形成されている。このネジ部24を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具7は、ネジ部24の後端側にフランジ状のガスシール部25を有し、ガスシール部25の後端側にスパナやレンチ等の工具を係合させるための工具係合部26、工具係合部26の後端側に加締め部27を有する。ネジ部24の内周面における先端側は、脚長部14に対して空間を有するように配置されている。主体金具7は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
端子金具5は、中心電極4と接地電極8との間で火花放電を行うための電圧を外部から中心電極4に印加するための端子である。端子金具5は、絶縁体3の後端側からその一部が露出した状態で軸孔2内に挿入されて接続部6により固定されている。端子金具5は、低炭素鋼やクロムモリブデン鋼等の金属材料により形成されることができる。
中心電極4は、接続部6に接する後端部28と、前記後端部28から先端側に延びる棒状部29とを有する。中心電極4は、その先端が絶縁体3の先端から突出した状態で絶縁体3の軸孔2内に固定され、主体金具7に対して絶縁保持されている。中心電極4における後端部28と棒状部29とは、Ni合金等の中心電極4に使用される公知の材料で形成されることができる。中心電極4は、Ni合金等により形成される外層と、Ni合金よりも熱伝導率の高い材料により形成され、該外層の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる芯部とにより形成されてもよい。芯部を形成する材料としては、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、純Ni等を挙げることができる。
接地電極8は、Ni合金等の接地電極8に使用される公知の材料で形成されることができる。また、中心電極4と同様にNi合金等により形成される外層と、Ni合金よりも熱伝導率の高い材料により形成され、該外層の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる芯部とにより形成されてもよい。
図1に示すように、接地電極8は、中心電極4に間隙Gを有して配置された先端部15と、主体金具7に接合された基端部16とを有する。接地電極8は、例えば、略角柱形状に形成されてなり、基端部16から軸線Oに沿った方向に延びた後、軸線Oに交差する方向に略L字状に屈曲している。図2に示すように、接地電極8における先端部15は、中心電極4に対向する対向面31と、対向面31に隣接すると共に接地電極8の幅方向に対向する2つの側面32,33と、対向面31とは反対側に配置される裏面34と、対向面31、側面32,33、及び裏面34に隣接する先端面35とを有する。以下において、接地電極8の先端部15における長手方向をX、幅方向をY、軸線Oに平行な方向をZとして説明する。この実施形態の接地電極8の先端部15は、円柱状のチップ9の形状に沿う相似形状を有する。したがって、側面32,33と先端面35とは円柱状のチップ9の径よりも大きな径を有する円柱の曲面の一部を形成する。先端面35は、チップ9における接地電極8の先端部15側の端面44を通り、かつ接地電極8のX方向に直交する面で切断したときの切断面よりも先端部15側の面である。側面32,33は、先端面35よりも接地電極8の基端部16側に延びる面である。側面32,33は、チップ9における基端部16側の端面45が配置された位置において、接地電極8の幅方向Yに縮径する縮径部36を有する。縮径部36は、チップ9における基端部16側の端面45が配置されたX方向の位置付近において側面32,33間の距離が他の部位に比べて小さい部位である。この実施形態の縮径部36は、接地電極8の側面32,33に形成された角柱状の凹部であり、対向面31から裏面34まで切削等により切欠かれている。この実施形態では、縮径部36は、縮径部36のX方向の幅の中心がチップ9の端面45とX方向に略一致するように配置されている。
チップ9は、Irを主成分とする金属材料で形成される。具体的には、チップ9は、Irを50質量%以上含有し、Rh、Ru、Pd、Ni、W、Os、Al、及びY等から選択される少なくとも1種の元素を含有する金属材料により形成される。Irを主成分とする金属材料は融点が高いので、チップ9がIrを主成分とする金属材料により形成されていると、耐火花消耗性に優れる。一方で、Irを主成分とする金属材料からなるチップ9を抵抗溶接により接地電極8に接合しようとすると、接地電極8を形成するNi合金はチップ9を形成するIrを主成分とする金属材料に比べて融点が低いので、接地電極8が溶融してしまい、所望の形状を維持しつつチップ9を接地電極8に接合することができない。チップ9が、後述するように、レーザ溶接等により形成された溶融部50を介して接地電極8に接合されると、チップ9が接地電極8に強固に固定され、耐剥離性に優れる。
なお、この実施形態では、中心電極4にチップ9が設けられていない。中心電極4にチップが設けられている場合には、中心電極に設けられるチップは、チップとして用いられる公知の材料で形成され、公知の接合方法で中心電極に接合されればよい。この実施形態のスパークプラグ1における間隙Gは、中心地電極4の先端とチップ9の中心電極4に対向する放電面41との間の最短距離である。この間隙Gは、通常、0.3〜1.5mmに設定され、この間隙Gで火花放電が生じる。
チップ9は、この実施形態においては円柱状であり、接地電極8のみに設けられている。チップ9は、その形状は特に限定されず、例えば、楕円柱状、角柱状、円錐台形状、及び角錐台形状等であってもよい。チップ9の軸線Aは、軸線Oと一致している。チップ9は、放電面41と底面42と外周面43とを有する。放電面41は中心電極4に対向する面であり、底面42は放電面41とは反対側に配置され、接地電極8に接触している面である。放電面41と底面42とは軸線Aに直交する。外周面43はチップ9の径方向外周に配置され、軸線Aに平行な面であり、その少なくとも一部は接地電極8に接触している。
チップ9は、接地電極8の対向面31に埋設されている。接地電極8は、有底の凹部37を有し、この凹部37にチップ9が嵌め込まれている。凹部37は、接地電極8の対向面31から裏面34に向かって切削等により形成され、チップ9の形状と相補的な形状を有する。チップ9は、後述するように、側面32,33及び先端面35からチップ9の内部に至る溶融部50を形成可能な深さで埋設されていればよい。チップ9の埋設深さすなわち凹部37のZ方向の距離が大きくなるほど、チップ9の体積量が増大し、高価なIrを必要とするのでコストが高くなる傾向にある。したがって、溶融部50を形成可能な最小限の深さでチップ9が接地電極8に埋設されているのが好ましい。凹部37が形成された接地電極8にチップ9を嵌め込む態様とは別の態様として、電流を流しつつチップを接地電極に押し付けることにより、チップが接地電極に埋設されるようにしてもよい。また、この実施形態のチップ9は、対向面31から突出するように接地電極8に埋設されている。その他の態様として、チップが対向面から突出せずに、チップの放電面が接地電極の対向面と同一平面上又は対向面よりも低い位置になるように、接地電極に埋設されてもよい。
チップ9は、大きい方が好ましく、具体的には、チップ9の放電面41の面積が4.5mm以上であることが好ましい。チップ9の放電面41の面積が4.5mm以上であると、耐火花消耗性を向上させることができる。一方で、チップ9が大きいほど、チップ9が接地電極8から剥離し易くなる。特に、チップ9における接地電極8の基端部16側からチップ9が剥離し易い。しかしながら、後述するように、チップ9と接地電極8とが特定の接合構造で接合されているので、大きなチップ9であってもチップ9の接地電極8からの剥離を抑制することができる。
図3は、図2に示すチップと接地電との接合構造を示す説明図である。図3(a)は、接地電極を中心電極側から見たときのチップと接地電極との接合構造を示す説明図である。図3(b)は、図3(a)に示すチップと接地電極とをB方向から見たときのチップと接地電極との接合構造を示す説明図である。図3(c)は、図3(b)のC−C断面を示す断面説明図である。
図3(a)〜図3(c)に示すように、チップ9と接地電極8とは、両者の溶融により形成された溶融部50により接合される。チップ9と接地電極8とは、例えば、レーザ溶接により複数の溶融部50が形成されて接合される。この実施形態によると、レーザ溶接のみによりチップ9と接地電極8とが接合されているが、抵抗溶接とレーザ溶接とにより接合されてもよい。もっとも、この実施形態におけるチップ9の接地電極8への接合構造によると、レーザ溶接により形成される溶融部50のみでチップ9を接地電極8に強固に接合できる。
溶融部50は、チップ9を接地電極8に埋設した状態で、接地電極8の側面32,33又は先端面35からチップ9に向かってレーザ照射することにより形成される。溶融部50は、複数のくさび形溶融部52と貫通溶融部51とを有する。
くさび形溶融部52は、接地電極8の側面32,33又は先端面35からチップ8の内部に至るくさび形状を有する溶融部である。くさび形溶融部52は、チップ9に対して対向するように複数配置されている。くさび形溶融部52は、接地電極8の側面32,33又は先端面35からチップ8に向かってレーザ照射することにより形成される。くさび形溶融部52の一部は、接地電極8の表面を起点としてその先端がチップ9の外周面43に接触する位置に存在してもよいが、すべてのくさび形溶融部52の先端がチップ9の内部に存在するのが好ましい。くさび形溶融部52の先端がチップ9の内部に存在すると、くさび形溶融部52によりチップ9を接地電極8に固定することができるので、くさび形溶融部52の先端がチップ9の内部に存在する数が多いほどチップ9が接地電極8から剥離するのを抑制することができる。また、くさび形溶融部52の先端は対向して配置される別のくさび形溶融部52の先端と連続しないように形成されるのが好ましい。くさび形溶融部52は、接地電極8を形成するNi合金とチップ9を形成するIrを主成分とする金属材料とを含むので、チップ9に比べて耐酸化性及び耐消耗性に劣る。したがって、くさび形溶融部52の体積は小さい方が好ましく、また、接地電極8の表面に露出するくさび形溶融部52の面積が小さい方が好ましい。対向して配置されるくさび形溶融部52の先端同士が連続するようにレーザ溶接すると、くさび形溶融部52の体積が大きくなり易く、また、接地電極8の表面に露出するくさび形溶融部52の面積が大きくなり易い。したがって、くさび形溶融部52は、対向して配置されるくさび形溶融部52の先端同士が連続しない程度の大きさを有するのが好ましい。また、この実施形態の接地電極8の先端部15は、円柱状のチップ9の形状に沿う相似形状を有するので、接地電極8の先端面35及び側面32,33とチップ9の外周面43との間の距離が略等しい。したがって、レーザ溶接をする際に、その設定条件を変えずにチップ9の径方向に複数の同一形状のくさび形溶融部52を形成することができる。この実施形態では、軸線Aを含むX方向に直交する平面より接地電極8の先端部15側に設けられたくさび形溶融部52は、側面32,33又は先端面35から軸線Aに向かって延びる形状を有し、前記平面より接地電極8の基端部16側に設けられたくさび形溶融部52は、接地電極8の幅方向Yに延びる形状を有する。
貫通溶融部51は、チップ9における接地電極8の基端部16側の端面45を通ると共に接地電極8の側面32,33のうちの一方の側面32から接地電極8の幅方向に対向する他方の側面33まで貫通する。貫通溶融部51は、接地電極8の側面32,33それぞれからチップ9の端面45に向かってレーザ照射することにより形成される。チップ9は、少なくとも貫通溶融部51を有する溶融部50により接地電極8に接合されているので、最も剥離し易いチップ9における基端部16側の部位が強固に接合され、その結果、チップ9の接地電極8からの耐剥離性に優れる。貫通溶融部51は、側面32,33のうちの縮径部36に露出している。また、図3(a)及び図3(c)に示すように、貫通溶融部51は接地電極8のY方向に延びる形状を有し、貫通溶融部51の軸線DがY方向に平行に形成されている。この実施形態の接地電極8は縮径部36を有しているので、縮径部36を有していない場合に比べて、貫通溶融部51における側面32,33から端面45までの距離が小さくなる。したがって、レーザ溶接により貫通溶融部51を形成する場合に、縮径部36を有していない場合に比べてレーザ出力を小さくすることができる。レーザ出力が大きくなるほど、側面32,33に露出する貫通溶融部51の径が大きくなり、その結果、貫通溶融部51が対向面31及び裏面34の少なくとも一方に露出する場合がある。貫通溶融部51は、側面32,33のみに露出し、対向面31及び裏面34のいずれにも露出していないのが好ましい。貫通溶融部51はチップ8を形成するIrを主成分とする金属材料と接地電極8を形成するNi合金とを含むので、チップ9に比べて耐酸化性及び耐消耗性に劣る。貫通溶融部51が対向面31に露出していると火花放電が行われる近傍に耐消耗性に劣る貫通溶融部が配置され、火花放電が貫通溶融部で起こるおそれがあり、それによって耐久性が低下するおそれがある。貫通溶融部51が裏面34に露出していると、燃焼室内の最も内部に位置する裏面34が最も高温になり易いので、耐酸化性に劣る貫通溶融部がより酸化消耗し易くなり、耐久性が低下するおそれがある。一方、この実施形態の接地電極8は縮径部36を有するので、貫通溶融部51における縮径部36からチップ9の端面45までの距離を小さくしてレーザ出力を小さくすることができるので、貫通溶融部51を対向面31及び裏面34に露出させずに、レーザ溶接により貫通溶融部51を形成することができる。
貫通溶融部51は、チップ9を形成するIrを主成分とする金属材料と接地電極8を形成するNi合金等とが所定の割合で溶融することにより形成される。貫通溶融部51は、Irの含有率が40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。貫通溶融部51におけるIrの含有率が40質量%以下、特に20質量%以下であると、貫通溶融部51の酸化が抑制され、それによって、貫通溶融部51にクラックが発生するのを抑制することができる。その結果、チップ9の接地電極8からの耐剥離性がより一層向上する。
貫通溶融部51におけるIrの含有率は、走査型電子顕微鏡等に付属されているエネルギー分散型X線分析器(EDS)を用いて測定することができる。Irの含有率は、チップ9の軸線Aを通り、かつ接地電極8の長手方向Xに平行な面でチップ9が接合された接地電極8を切断して切断面を得て、この切断面における貫通溶融部51の中心付近においてEDS分析をし、EDS分析により検出された全元素の含有量に対するIrの含有量を算出することにより求める。
このスパークプラグ1は、接地電極8の中心電極4に対向する対向面31に、Irを主成分とするチップ9が設けられているので、耐火花消耗性に優れる。また、このスパークプラグ1は、チップ9と接地電極8とが溶融部50により接合され、溶融部50が、前述したように、チップ9における接地電極8の基端部16側の端面45を通る貫通溶融部51を有するので、最も剥離し易い部位が強固に接合され、その結果、チップ9の接地電極8からの耐剥離性に優れる。また、側面32,33は縮径部36を有するので、レーザ出力を上げずに貫通溶融部51を形成することができるため貫通溶融部51は対向面31及び裏面34に露出しない。よって、このスパークプラグは、耐火花消耗性及び耐酸化消耗性を有し、耐久性に優れる。
スパークプラグ1は、例えば次のようにして製造される。
チップ9は、Irを主成分とする断面円形状の丸棒材を準備し、これを所定の長さに切断して形成する。
中心電極4及び接地電極8は、例えば、真空溶解炉を用いて、所望の組成を有する合金の溶湯を調製し、線引き加工等して、所定の形状及び所定の寸法に適宜調整して作製する。図2に示すように、接地電極8の先端部15におけるチップ9と相似形状の曲面は、打ち抜き加工等により形成する。また、接地電極8の先端部15側における凹部37は、切削等により形成する。なお、抵抗溶接等によりチップ9を接地電極8に埋設する場合には、凹部37を形成しなくてもよい。中心電極4を、外層とこの外層の軸心部に埋め込まれるように設けられた芯部とにより形成する場合には、中心電極4はカップ状に形成したNi合金等からなる外材に、外材より熱伝導率の高いCu合金等からなる内材を挿入し、押し出し加工等の塑性加工にて、外層の内部に芯部を有する中心電極4を形成する。接地電極8もまた中心電極4と同様に外層と芯部とにより形成してもよく、この場合には中心電極4と同様にしてカップ状に形成した外材に内材を挿入し、押し出し加工等の塑性加工した後、略角柱状に塑性加工したものを、接地電極8にすることができる。
次いで、所定の形状に塑性加工等によって形成した主体金具7の端面に、接地電極8の基端部16を電気抵抗溶接及び/又はレーザ溶接等によって接合する。
次いで、チップ9を接地電極8の凹部37に嵌め込み、レーザ溶接等により溶融部50を形成してチップ9を接地電極8に固定する。具体的には、貫通溶融部51を形成する場合には、一方の縮径部36からチップ9の端面45に向かってY方向に平行にレーザ照射して縮径部36から端面45に至る溶融部50を形成する。同様にして、他方の縮径部36からチップ9の端面45に向かってY方向に平行にレーザ照射して、先に形成した溶融部50に達する溶融部50を形成することにより、一方の縮径部36から他方の縮径部36まで貫通する貫通溶融部51を形成する。チップ9の軸線Aを含むX方向に直交する平面より先端部15側にくさび形溶融部52を形成する場合には、先端面35又は側面32,33から軸線Aに向かってZ方向に直交する方向にレーザ照射して、くさび形溶融部52を形成する。前記平面より基端部16側にくさび形溶融部52を形成する場合には、側面32,33からY方向に平行にレーザ照射して、くさび形溶融部52を形成する。くさび形溶融部52は、先端面35又は側面32,33からチップ9の外周面43を通ってチップ9の内部に至り、かつチップ9に対して対向する位置に配置されるくさび形溶融部52と連続しないようにレーザ出力を調整するのが好ましい。また、溶融部50は、先端面35及び側面32,33のみに露出して、対向面31及び裏面34に露出しないようにレーザ出力を調整するのが好ましい。
一方、セラミック等を所定の形状に焼成することによって絶縁体3を作製し、この絶縁体3の軸孔2内に中心電極4を挿設し、接続部6を形成する組成物を前記軸孔2内に予備圧縮しつつ充填する。次いで前記軸孔2内の端部から端子金具5を圧入しつつ前記組成物を圧縮加熱する。こうして前記組成物が焼結して接続部6が形成される。次いで接地電極8が接合された主体金具7にこの中心電極4等が固定された絶縁体3を組み付ける。最後に接地電極8の先端部15を中心電極4側に折り曲げて、接地電極8に接合されたチップ9の放電面41が中心電極4の先端と対向するようにして、スパークプラグ1が製造される。
本発明に係るスパークプラグ1は、自動車用の内燃機関例えばガソリンエンジン等の点火栓として使用され、内燃機関の燃焼室を区画形成するヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に前記ネジ部24が螺合されて、所定の位置に固定される。この発明に係るスパークプラグ1は、如何なる内燃機関にも使用することができる。この発明に係るスパークプラグ1は、過給機が搭載されることによりスパークプラグが厳しい環境に曝されるような内燃機関に特に好適である。
この発明に係るスパークプラグ1は、前述した実施例に限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
図4に示す実施形態のチップと接地電極との接合構造は、貫通溶融部451がXY平面においてY方向に対して傾斜する方向に延びる形状を有していること以外は、図3に示すチップ9と接地電極8との接合構造と同様の接合構造を有する。図4に示す貫通溶融部451は、チップ409の端面445を通る部位を頂点として側面432,433の基端部416側に向かって斜めに延びるV字形状を有する。
図5に示す実施形態のチップと接地電極との接合構造は、貫通溶融部551がYZ平面においてY方向に対して傾斜する方向に延びる形状を有していること以外は、図3に示すチップ9と接地電極8との接合構造と同様の接合構造を有する。図5に示す貫通溶融部551は、チップ509の端面545を通る部位を頂点として側面532,533の裏面534側に向かって斜めに延びる逆V字形状を有する。また、図示はしていないが、貫通溶融部は、チップの端面を通る部位を頂点として側面の対向面側に向かって斜めに伸びるV字形状を有していてもよい。貫通溶融部551は、側面532,533のみに露出し、対向面531及び裏面534に露出していない。
図6に示す実施形態のチップと接地電極との接合構造は、図3に示すように縮径部36が角柱状ではなく、縮径部636がチップ609の端面645付近から基端部616側において対向する縮径部636間の距離が一定であること以外は、図3に示すチップ9と接地電極8との接合構造と同様の接合構造を有する。図6に示す実施形態のチップ609と接地電極608との接合構造では、接地電極608の側面632,633は、接地電極608の先端からX方向にチップ609の端面645の手前の位置までチップ609の外周面643と相似形状を有する。接地電極608の側面632,633は、チップ609の軸線Aの位置からX方向にチップ609の端面645の手前の位置まで曲面を形成しつつ側面632,633間の距離が小さくなり、チップ609の端面645の手前位置から基端部616側において側面632,633間の距離は一定であり、平面を形成する。貫通溶融部651は、チップ609の端面645が配置された位置にY方向に平行に形成されている。
図7に示す実施形態のチップと接地電極との接合構造は、図3に示すように縮径部36が角柱状ではなく、縮径部736が略三角柱状であること以外は、図3に示すチップ9と接地電極8との接合構造と同様の接合構造を有する。図7に示す実施形態のチップ709と接地電極708との接合構造では、接地電極708の側面732,733は、接地電極708の先端からX方向にチップ709の端面745の位置までチップ709の外周面743と相似形状を有する。接地電極708の側面732,733は、チップ709の軸線Aの位置からX方向にチップ709の端面745の位置まで曲面を形成しつつ側面632,633間の距離が小さくなり、チップ709の端面745の位置から基端部716に向かってテーパ状に拡径して側面732,733間の距離が大きくなり、所定の位置で側面732,733間の距離が一定となり、側面732,733は平面になる。貫通溶融部751は、側面732,733間の距離が最も小さい部位とチップ709の端面745を通り、かつY方向に平行に形成されている。
図8に示す実施形態のチップと接地電極との接合構造は、接地電極808の先端部815が角柱状に形成されていること以外は、図3に示すチップ9と接地電極8との接合構造と同様の接合構造を有する。図8に示す実施形態のチップ809と接地電極808との接合構造では、チップ809が埋設されている付近の接地電極の先端面835及び側面832,833が平面であり、先端面835と側面832,833とが互いに直交している。縮径部836は、角柱状の縮径部836のX方向の幅の中心がチップ809の端面845とX方向に略一致するように配置されている。貫通溶融部851は、チップ809の端面845が配置された位置にY方向に平行に形成されている。
図9に示す実施形態のチップと接地電極との接合構造は、縮径部936が三角柱状に形成されていること以外は、図8に示すチップ809と接地電極808との接合構造と同様の接合構造を有する。図9に示す実施形態のチップ909と接地電極908との接合構造では、チップ909が埋設されている付近の接地電極908の先端面935及び側面932,933が平面であり、この側面932,933の基端部916側の端部から基端部916側に向かってテーパ状に縮径し、チップ909の端面945の位置で最も側面932,933間の距離が小さくなり、ここから基端部916に向かってテーパ状に拡径し、所定の位置で側面932,933間の距離が一定となり、側面932,933は平面になる。貫通溶融部951は、側面932,933間の距離が最も小さい部位とチップ909の端面945とを通り、かつY方向に平行に形成されている。
図10に示す実施形態のチップと接地電極との接合構造は、図8に示すように縮径部836が角柱状ではなく、縮径部1036がチップ1009の端面1045より基端部1016側において対向する縮径部1036間の距離が一定であること以外は、図8に示すチップ809と接地電極808との接合構造と同様の接合構造を有する。図10に示す実施形態のチップ1009と接地電極1008との接合構造では、接地電極1008の側面1032,1033は、接地電極1008の先端からX方向にチップ1009の端面1045の位置まで平面であり、かつ側面1032,1033間の距離が一定であり、X方向におけるチップ1009の端面1045の位置で側面1032,1033間の距離が小さくなり、端面1045から基端部616側において平面であり、かつ側面1032,1033間の距離が一定である。貫通溶融部1051は、チップ1009の端面1045を通る位置を頂点として縮径部1036に向かって斜めに延びるV字形状を有する。
図11に示す実施形態のチップと接地電極との接合構造は、チップ1109が角柱状であり、くさび形溶融部1152がチップ1109の外周面1143に直交する方向に延びた形状を有すること以外は、図8に示すチップ809と接地電極808との接合構造と同様の接合構造を有する。図11に示す実施形態のチップ1109と接地電極1108との接合構造では、角柱状のチップ1109の外周面1143と接地電極1108の先端面1135及び側面1132,1133とが相似形状を有し、互いに平行に配置されている。くさび形溶融部1152はチップ1109の外周面1143及び接地電極1108の先端面1135及び側面1132,1133に直交する方向に延びた形状を有する。貫通溶融部1151は、チップ1109の端面1145が配置された位置にY方向に平行に形成されている。
1.チップの耐久性評価
図1〜図3に示すスパークプラグと同様の形状を有するスパークプラグ試験体を作製した。直径2.4mm、高さ0.9mmの円柱状のチップを準備し、厚み1.6mm、幅4.2mmの接地電極の先端部に、直径2.5mm、深さ0.75mmの円柱状の凹部を形成し、この凹部にチップを嵌め込み、レーザ溶接により溶融部を形成してチップと接地電極とを接合した。なお、チップはIrを50質量%以上含有し、Pt、Ru、Rh、Re、Y、W、Pd、Os、Al、及びNiから選択される少なくとも1種の元素を含有する金属材料により形成した。また、接地電極は、インコネル600により形成した。表1に示す「Ir含有率」は、チップの組成及びレーザ溶接条件等を変更することにより調整した。
「Ir含有率」は、次のようにして求めた。まず、チップの軸線を通り、かつ接地電極の長手方向に平行な面でチップが接合された接地電極を切断し、切断面を得た。切断面における貫通溶融部の中心付近をエネルギー分散型X線分析(EDS分析)し、EDS分析により検出された全元素の含有質量に対するIrの含有質量を「Ir含有率」として求めた。
スパークプラグ試験体を、試験用の6気筒コージェネレーションエンジンに取付け、定格出力で500時間の運転を行う耐久試験を行った。チップの耐久性は、耐久試験を行った後にチップは脱落しないが貫通溶融部内の一部又は全てに酸化亀裂が生じた場合を「△」、チップは脱落しないが貫通溶融部の一部が酸化していた場合を「○」、チップが脱落せず、貫通溶融部が酸化していない場合を「◎」として評価し、表1に示した。
Figure 2017027764
表1に示されるように、貫通溶融部におけるIrの含有率が40質量%以下の試験番号1〜5のスパークプラグ試験体は、耐久試験後にチップが脱落せず、チップの耐剥離性に優れていた。また、貫通溶融部におけるIrの含有率が20質量%以下の試験番号1〜3のスパークプラグ試験体は、耐久試験後にチップが脱落しないだけでなく、貫通溶融部に酸化も観察されず、試験番号4及び5のスパークプラグ試験体に比べてより厳しい条件においてもチップが脱落しないことが強く推定され、チップの耐剥離性により優れていた。一方、貫通溶融部におけるIrの含有率が40質量%よりも大きい試験番号6のスパークプラグ試験体は、耐久試験後のチップの接合強度が貫通溶融部内の酸化亀裂の発生によって、試験番号1〜5のスパークプラグ試験体に比べて耐剥離性に劣っていた。
以上から、貫通溶融部におけるIrの含有率が40質量%以下、特に20質量以下であると、チップの耐剥離性により一層優れることが分かる。
1 スパークプラグ
2 軸孔
3 絶縁体
4 中心電極
5 端子金具
6 接続部
7 主体金具
8,408,508,608,708,808,908,1008,1108 接地電極
9,409,509,609,709,809,909,1009,1109 チップ
11 後端側胴部
12 大径部
13 先端側胴部
14 脚長部
15,415,515,615,715,815,915,1015,1115 先端部
16,416,516,616,716,816,916,1016,1116 基端部
24 ネジ部
25 ガスシール部
26 工具係合部
27 加締め部
28 後端部
29 棒状部
31,531 対向面
32,33,432,433,532,533,632,633,732,733,832,833,932,933,1032,1033,1132,1133 側面
34,534 裏面
35,435,535,635,735,835,935,1035,1135 先端面
36,436,536,636,736,836,936,1036,1136 縮径部
37 凹部
41 放電面
42 底面
43,443,543,643,743,843,943,1043,1143 外周面
44,45,444,445,544,545,644,645,744,745,844,845,944,945,1044,1045,1144,1145 端面
50,450,550,650,750,850,950,1050,1150 溶融部
51,451,551,651,751,851,951,1051,1151 貫通溶融部
52,452,552,652,752,852,952,1052,1152 くさび形溶融部

Claims (4)

  1. 中心電極に間隙を有して配置された先端部と、主体金具に接合された基端部とを有する接地電極と、
    前記接地電極における前記中心電極に対向する対向面に埋設された、Irを主成分とするチップとを有し、
    前記チップと前記接地電極とは、両者の溶融により形成された溶融部により接合されてなるスパークプラグであって、
    前記溶融部は、前記チップの前記基端部側の端面を通ると共に、前記接地電極の前記対向面に隣接する側面のうちの一方の側面から前記接地電極の幅方向に対向する他方の側面まで貫通する貫通溶融部を少なくとも有することを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記接地電極は、前記チップの前記基端部側の端面が配置された位置において、前記幅方向に縮径する縮径部を有することを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記貫通溶融部は、Irの含有率が40質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記チップは、前記中心電極に対向する放電面の面積が4.5mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
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