JP2017026068A - 深溝玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内輪軌道6(外輪軌道7)を、幅方向中間部に設けられた断面形状が凹円弧状である凹曲面部10a(10b)と、凹曲面部10a(10b)の幅方向両側に隣接して設けられ、断面形状が凹曲面部10a(10b)の幅方向両端縁から接線方向に伸長する直線状である、1対の傾斜面部11a(11b)とから成るものとする。又、傾斜面部11a(11b)の断面長さを、接触楕円の一部が傾斜面部11a(11b)に対して、これら接触楕円の長軸方向端縁と傾斜面部11a(11b)の幅方向外端縁とが一致する位置まで乗り上がった場合でも、接触楕円のうち、傾斜面部11a(11b)に乗り上がった部分のピーク面圧が、傾斜面部11a(11b)に乗り上がっていない部分のピーク面圧以上の大きさにならない長さに規制する。
【選択図】図1
Description
特に、本発明の深溝玉軸受は、前記内輪軌道と前記外輪軌道とのうちの少なくとも一方の軌道である対象軌道は、幅方向(軸方向)中間部に設けられた断面形状が凹円弧状である凹曲面部と、この凹曲面部の幅方向両側に隣接して設けられ、断面形状がこの凹曲面部の幅方向両端縁から、この凹曲面部の断面の幅方向両端縁に於ける接線方向に伸長する直線状である、1対の傾斜面部とから成る。尚、本明細書及び特許請求の範囲の全体で、前記外輪及び前記内輪の各部分に関する断面形状は、特に断らない限り、これら外輪及び内輪の中心軸を含む仮想平面で切断した場合の断面形状を言う。
そして、前記傾斜面部の、前記凹曲面部の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さは、前記内輪と前記外輪との相対回転時にこれら内輪と外輪との間にアキシアル荷重が負荷される事により、前記玉の転動面と前記対象軌道との転がり接触部に存在する接触楕円の一部が前記傾斜面部に対して、これら接触楕円の長軸方向端縁と傾斜面部の幅方向外端縁とが一致する位置まで乗り上がった場合でも、この接触楕円のうち、前記傾斜面部に乗り上がった部分のうちで最も面圧が大きくなった部分の面圧(ピーク面圧)が、この傾斜面部に乗り上がっていない部分(前記凹曲面部上に存在する部分)のうちで最も面圧が大きくなった部分の面圧以上の大きさにならない長さに規制されている。
言い換えれば、前記長さは、前記深溝玉軸受の運転時にこの深溝玉軸受に許容アキシアル荷重が加わった場合でも、前記玉の転動面と前記傾斜面部との転がり接触部のうちで最も面圧が大きくなる部分の面圧が、同じく前記凹曲面部との転がり接触部のうちで最も面圧が大きくなる部分の面圧よりも小さくなる様に規制されている。
即ち、本発明の深溝玉軸受の場合、アキシアル荷重が負荷されると、前記接触楕円の中心が、前記対象軌道の幅方向(軸方向)中央位置から幅方向に移動する。この結果、前記接触楕円の一部が前記対象軌道の幅方向端部に存在する傾斜面部に乗り上がると、乗り上がった部分で、この接触楕円が、長軸方向長さが(乗り上がる前に比べて)短くなる方向に変形する。従って、その分、この接触楕円が前記対象軌道と幅方向に隣接する部分に設けられた肩部に乗り上がりにくくなる。又、本発明の深溝玉軸受の場合には、前記接触楕円がこの肩部に乗り上がりにくくする為に、軸受サイズを大きくしたり、この肩部の高さを大きくしたりするのではなく、前記対象軌道の幅方向両端部に傾斜面部を設ける構成を採用している。この為、小型・軽量化を図り易く、組立性を良好に保つ事ができる。
即ち、前記接触楕円の一部が前記傾斜面部に乗り上がると、乗り上がった部分の面圧が上昇する。この際の乗り上がった部分の面圧上昇量は、前記傾斜面部に対する前記接触楕円の長軸方向の乗り上がり長さ(乗り上がった部分の面積)に応じて大きくなる。そして、この接触楕円のうち、前記傾斜面部に乗り上がった部分のピーク面圧が、この傾斜面部に乗り上がっていない部分(凹曲面部上に存在する部分)のピーク面圧以上の大きさになると、玉の回転運動が不安定になる可能性がある。従って、前記傾斜面部の、前記凹曲面部の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さを大きくし過ぎると、前記接触楕円が前記肩部に乗り上がる前に(負荷されるアキシアル荷重が許容アキシアル荷重に達する前に)、前記玉の回転運動が不安定になる可能性がある。これに対して、本発明の場合には、前記傾斜面部の、前記凹曲面部の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さが、前記接触楕円の一部がこの傾斜面部に対して、これら接触楕円の長軸方向端縁と傾斜面部の幅方向外端縁とが一致する位置まで乗り上がった(許容アキシアル荷重が負荷された)場合でも、この接触楕円のうち、前記傾斜面部に乗り上がった部分のピーク面圧が、この傾斜面部に乗り上がっていない部分のピーク面圧以上の大きさにならない長さに規制されている。この為、前記接触楕円が前記肩部に乗り上がる前に、前記玉の回転運動が不安定になる事を確実に防止できる。従って、本発明の場合には、深溝玉軸受の回転安定性を良好に保ちつつ、前記接触楕円が前記対象軌道の肩部に乗り上がりにくくする事ができる。
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜2により説明する。
本例の深溝玉軸受は、内輪1と、外輪2と、複数個の玉3と、保持器4と、1対のシールリング5、5とを備える。
前記外輪2は、SUJ2製であり、内周面の幅方向(軸方向、図1の左右方向)中間部に深溝型の外輪軌道7を有する。
前記各玉3は、SUJ2製であり、前記保持器4により保持された状態で、前記内輪軌道6と前記外輪軌道7との間に転動自在に設けられている。
前記両シールリング5、5は、前記内輪1の外周面と前記外輪2の内周面との間に存在する、前記各玉3が設置された空間の軸方向両端開口部に組み付けられて、これら軸方向両端開口部を塞いでいる。この為に、前記両シールリング5、5の外周部分を、前記外輪2の内周面の幅方向両端寄り部分に設けられた係止溝8、8に係止すると共に、前記両シールリング5、5を構成するシールリップの先端縁(内周縁)を、前記内輪1の外周面の幅方向両端寄り部分に設けられた壁面9、9に全周に亙り摺接させている。
又、前記各玉3が設置された空間内には、潤滑用のグリースが封入されている。
前記深溝玉軸受の運転時、この深溝玉軸受にアキシアル荷重が加わっていない場合には、前記接触楕円Eの中心は、図2の下部の左側に示す様に、前記内輪軌道6(前記外輪軌道7){の凹曲面部10a(10b)}の幅方向中央位置に存在し、前記接触楕円Eの全体が前記凹曲面部10a(10b)に位置している。この状態での、この接触楕円Eの面圧は、この接触楕円Eの中央部(中心部)で最も大きくなり(ピーク値となり)、この接触楕円Eの中央部から外周縁に向かう程小さくなる。言い換えれば、この状態での接触楕円Eの面圧は、この接触楕円Eの長軸上でも、短軸上でも、中央部でピーク値となり、この中央部から両端縁に向かう程小さくなる(長軸上での面圧分布に関しては、後述する図3のグラフ中の破線α参照)。
一方、前記深溝玉軸受の運転時、この深溝玉軸受にアキシアル荷重が加わると、前記接触楕円Eは、図2に矢印Xで示す様に、前記内輪軌道6(前記外輪軌道7)の幅方向中央位置から幅方向に移動する。この結果、例えば図2の下部の右側に示す様に、前記接触楕円Eの一部(長軸方向端部)が前記傾斜面部11a(11b)に乗り上がると、乗り上がった部分e11で、前記接触楕円Eが、長軸方向長さが(乗り上がる前に比べて)短くなる方向に変形すると共に、この乗り上がった部分e11の面圧が上昇する(後述する図3のグラフ中の実線βの右端部参照)。この際の乗り上がった部分e11の面圧上昇量は、前記傾斜面部11a(11b)に対する前記接触楕円Eの長軸方向の乗り上がり長さ(乗り上がった部分e11の面積)に応じて大きくなる。
尚、本例の場合、製造工程で、前記内輪軌道6(前記外輪軌道7)と、前記各肩部12a、12aの外周面(前記各肩部12b、12bの内周面)とに、総型砥石を使用して研削加工を施すのであれば、前記R面取り部13a(13b)は、この際の総型砥石による研削加工によって形成する事ができる。尚、自動車のトランスミッション用軸受を対象とする場合には、総型砥石で形成可能な、前記R面取り部13a(13b)の断面形状の曲率半径の最小値は、凡そ0.3mmである。一方、前記傾斜面部11a(11b)の幅方向外端縁の、前記凹曲面部10a(10b)の底部(幅方向中央部)に対する径方向高さが決まっている場合に、前記R面取り部13a(13b)の断面形状の曲率半径を大きく設定すると、その分、前記肩部12a(12b)の径方向高さH12a(H12b)を大きくする必要があり、重量化してしまう。この為、この様な重量化を抑える観点から、前記総型砥石による研削加工によって前記R面取り部13a(13b)を形成する場合には、このR面取り部13a(13b)の断面形状の曲率半径を、凡そ0.3mmに設定するのが好ましい。又、上述の様に総型砥石によって肩部12a(12b)の外周面に研削加工を施す場合には、この外周面を前記シールリング5を構成するシールリップの摺接面とする事もできる。
又、本発明を実施する場合、製造工程で、前記内輪軌道6(前記外輪軌道7)を構成する凹曲面部10a(10b)及び傾斜面部11a(11b)に対してのみ、同時に研削加工を施すのであれば、前記各連続部にR面取り部13a(13b)を設けず、これら各連続部を角部とする事もできる。
即ち、本例の深溝玉軸受の場合、アキシアル荷重が負荷されると、前記内輪軌道6(前記外輪軌道7)と前記各玉3の転動面との転がり接触部に存在する接触楕円Eの中心が、この内輪軌道6(この外輪軌道7)の幅方向中心位置から幅方向に移動する。この結果、前記接触楕円Eの一部(長軸方向端部)がこの傾斜面部11a(11b)に乗り上がると、乗り上がった部分で、この接触楕円Eが、長軸方向長さが(乗り上がる前に比べて)短くなる方向に変形する。従って、その分、この接触楕円Eが前記肩部12a(12b)に乗り上がりにくくなる。この結果、前記深溝玉軸受の許容アキシアル荷重を増やす事ができる。又、本例の深溝玉軸受の場合には、この許容アキシアル荷重を増やす為に、軸受サイズを大きくしたり、前記肩部12a(12b)の径方向高さH12a(H12b)を大きくしたりするのではなく、この内輪軌道6(この外輪軌道7)の幅方向両端部に傾斜面部11a(11b)を設ける構成を採用している。この為、小型・軽量化を図り易く、組立性を良好に保つことができる。
即ち、前記接触楕円Eの一部が前記傾斜面部11a(11b)に乗り上がると、乗り上がった部分の面圧が上昇する。この際の乗り上がった部分の面圧上昇量は、前記傾斜面部11a(11b)に対する前記接触楕円Eの長軸方向の乗り上がり長さ(乗り上がった部分e11の面積)に応じて大きくなる。そして、この接触楕円Eのうち、前記傾斜面部11a(11b)に乗り上がった部分e11のピーク面圧が、この傾斜面部11a(11b)に乗り上がっていない部分{前記凹曲面部10a(10b)に存在する部分}e10のピーク面圧以上の大きさになると、前記各玉3の回転運動が不安定になる可能性がある。従って、前記傾斜面部11a(11b)の、前記凹曲面部10a(10b)の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さL11を大きくし過ぎると、前記接触楕円Eが前記肩部12a(12b)に乗り上がる前に(負荷されるアキシアル荷重が許容アキシアル荷重に達する前に)、前記各玉3の回転運動が不安定になる可能性がある。これに対して、本例の場合には、前記長さL11が、前記接触楕円Eの一部がこの傾斜面部11a(11b)に対して、これら接触楕円Eの長軸方向端縁と傾斜面部11a(11b)の幅方向外端縁とが一致する位置まで乗り上がった(許容アキシアル荷重が負荷された)場合でも、この接触楕円Eのうち、前記傾斜面部11a(11b)に乗り上がった部分e11のピーク面圧が、この傾斜面部11a(11b)に乗り上がっていない部分{前記凹曲面部10a(10b)上に位置する部分}e10のピーク面圧以上の大きさにならない長さに規制されている。この為、前記接触楕円Eが前記内輪軌道6(前記外輪軌道7)の肩部12a(12b)に乗り上がる前に、前記各玉3の回転運動が不安定になる事を確実に防止できる。従って、本例の場合には、深溝玉軸受の回転安定性を良好に保ちつつ、許容アキシアル荷重を増やす事ができる。
本発明の実施の形態の第2例に就いて、上述した実施の形態の第1例を示す図1〜2を参照しつつ説明する。
本例の場合には、深溝玉軸受を構成する各部材のうち、内輪1及び外輪2をSUJ2製とすると共に、各玉3をSiC製としている。
又、本例の場合には、図2に示す様に、前記各玉3の転動面と内輪軌道6(外輪軌道7)との転がり接触部に存在する接触楕円Eの長軸方向端部が、前記深溝玉軸受の運転時にこの深溝玉軸受にアキシアル荷重が負荷される等により、前記内輪軌道6(外輪軌道7)を構成する傾斜面部11a(11b)に対して、これら接触楕円Eの長軸方向端縁と傾斜面部11a(11b)の幅方向外端縁とが一致する位置まで乗り上がった場合(深溝玉軸受に許容アキシアル荷重が負荷された場合)でも、この接触楕円Eのうち、前記傾斜面部11a(11b)に乗り上がった部分e11のピーク面圧が、この傾斜面部11a(11b)に乗り上がっていない部分{凹曲面部10a(10b)に位置する部分}e10のピーク面圧以上の大きさにならない様にする為に、前記傾斜面部11a(11b)の、前記凹曲面部10a(10b)の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さL11を、前記各玉3の直径Dの2%以下に規制している。尚、本例の場合も、この長さL11の下限値は、有限である(零でない)限り、特に限定されるものではない。但し、この長さL11が大きくなる程、前記接触楕円Eが、前記内輪軌道6(前記外輪軌道7)を幅方向両側から挟む位置に存在する肩部12a(12b)に乗り上がりにくくなる。この為、前記長さL11は、前記各玉3の直径Dの2%以下の範囲で、できるだけ大きくする事が好ましい(前記直径Dの0.5%以上とする事が好ましく、この直径Dの1%以上とする事がより好ましく、この直径Dの1.5%以上とする事が更に好ましい)。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第3例に就いて、前述した実施の形態の第1例を示す図1〜2を参照しつつ説明する。
本例の場合には、深溝玉軸受を構成する各部材のうち、内輪1、外輪2、各玉3を、何れもSiC製としている。
又、本例の場合には、図2に示す様に、前記各玉3の転動面と内輪軌道6(外輪軌道7)との転がり接触部に存在する接触楕円Eの長軸方向端部が、前記深溝玉軸受の運転時にこの深溝玉軸受にアキシアル荷重が負荷される等により、前記内輪軌道6(外輪軌道7)を構成する傾斜面部11a(11b)に対して、これら接触楕円Eの長軸方向端縁と傾斜面部11a(11b)の幅方向外端縁とが一致する位置まで乗り上がった場合(深溝玉軸受に許容アキシアル荷重が負荷された場合)でも、この接触楕円Eのうち、前記傾斜面部11a(11b)に乗り上がった部分e11のピーク面圧が、この傾斜面部11a(11b)に乗り上がっていない部分{凹曲面部10a(10b)に位置する部分}e10のピーク面圧以上の大きさにならない様にする為に、前記傾斜面部11a(11b)の、前記凹曲面部10a(10b)の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さL11を、前記各玉3の直径Dの1%以下に規制している。尚、本例の場合も、この長さL11の下限値は、有限である(零でない)限り、特に限定されるものではない。但し、この長さL11が大きくなる程、前記接触楕円Eが、前記内輪軌道6(前記外輪軌道7)を幅方向両側から挟む位置に存在する肩部12a(12b)に乗り上がりにくくなる。この為、前記長さL11は、前記各玉3の直径Dの1%以下の範囲で、できるだけ大きくする事が好ましい(前記直径Dの0.5%以上とする事が好ましく、この直径Dの0.75%以上とする事がより好ましい)。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本シミュレーションでは、深溝玉軸受を構成する各部材の材料、並びに、凹曲面部の断面の幅方向両端縁に於ける接線方向に関する傾斜面部の長さLが異なる3種類の試験軸受に、許容アキシアル荷重を負荷した場合の、接触楕円の長軸上の面圧分布を算出した。
各試験軸受の、前記各部材の材料及び前記傾斜面部の長さLは、それぞれ以下の通りである。
[試験軸受1]
内輪及び外輪の材料:SUJ2
玉の材料:SUJ2
傾斜面部の長さL:玉の直径の3%
[試験軸受2]
内輪及び外輪の材料:SUJ2
玉の材料:SiC
傾斜面部の長さL:玉の直径の2%
[試験軸受3]
内輪及び外輪の材料:SiC
玉の材料:SiC
傾斜面部の長さL:玉の直径の1%
その他のシミュレーションの条件は、以下の通りである。
軸受名番:6208(JIS標準品)
軸受内径(内輪の内径):40mm
軸受外径(外輪の外径):80mm
軸受軸方向幅寸法(内輪及び外輪の軸方向幅寸法):18mm
玉の直径:11.9mm
凹曲面部の曲率半径:前記玉の直径(11.9)の52%
これら図3〜5に示した解析結果のうち、破線αは、軌道の断面形状が単一の凹円弧により構成されていると仮定した場合に、許容アキシアル荷重が負荷された状態での接触楕円の長軸上の面圧分布を示している。これに対し、実線βは、軌道が、凹曲面部と1対の傾斜面部とから構成された場合に、許容アキシアル荷重が負荷された状態での接触楕円の長軸上の面圧分布を示している。図3〜5中のP部は、接触楕円が傾斜面部に乗り上がった部分を示している。
又、本発明の深溝玉軸受は、外輪を静止輪とし、内輪を回転輪とする用途に限らず、内輪を静止輪とし、外輪を回転輪とする用途で使用する事もできる。
又、本発明の深溝玉軸受を実施する場合で、内輪軌道の断面形状の曲率半径と、外輪軌道の断面形状の曲率半径とが互いに等しく、且つ、前記内輪の肩部の径方向高さと、前記外輪の肩部の径方向高さとが互いに等しい場合には、アキシアル荷重が負荷された際に、接触楕円は、前記外輪の肩部よりも、前記内輪の肩部に乗り上がり易い。この理由は、転動体である玉が、回転(公転)に伴い発生する遠心力により径方向外方に向け変位する傾向となる為である。従って、かかる場合に、これら内輪軌道と外輪軌道とのうちの何れか一方の軌道のみを対象軌道とするのであれば、この内輪軌道を対象軌道とするのが好ましい。
2 外輪
3 玉
4 保持器
5 シールリング
6 内輪軌道
7 外輪軌道
8 係止溝
9 壁面
10a、10b 凹曲面部
11a、11b 傾斜面部
12a、12b 肩部
13a、13b R面取り部
Claims (4)
- 外周面に深溝型の内輪軌道を有する内輪と、内周面に深溝型の外輪軌道を有する外輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉とを備えた深溝玉軸受であって、
前記内輪軌道と前記外輪軌道とのうちの少なくとも一方の軌道である対象軌道は、幅方向中間部に設けられた断面形状が凹円弧状である凹曲面部と、この凹曲面部の幅方向両側に隣接して設けられ、断面形状がこの凹曲面部の幅方向両端縁から、この凹曲面部の断面の幅方向両端縁に於ける接線方向に伸長する直線状である、1対の傾斜面部とから成り、
この傾斜面部の、前記凹曲面部の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さは、前記内輪と前記外輪との相対回転時にこれら内輪と外輪との間にアキシアル荷重が負荷される事により、前記玉の転動面と前記対象軌道との転がり接触部に存在する接触楕円の一部が前記傾斜面部に対して、これら接触楕円の長軸方向端縁と傾斜面部の幅方向外端縁とが一致する位置まで乗り上がった場合でも、この接触楕円のうち、前記傾斜面部に乗り上がった部分のうちで最も面圧が大きくなった部分の面圧が、この傾斜面部に乗り上がっていない部分のうちで最も面圧が大きくなった部分の面圧以上の大きさにならない長さに規制されている事を特徴とする、
深溝玉軸受。 - 前記対象軌道を有する軌道輪と、前記各玉とが、それぞれSUJ2製であり、
前記傾斜面部の、前記凹曲面部の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さが、前記玉の直径の3%以下に規制されている、
請求項1に記載した深溝玉軸受。 - 前記対象軌道を有する軌道輪がSUJ2製であり、
前記各玉がSiC製であり、
前記傾斜面部の、前記凹曲面部の断面の幅方向端縁に於ける接線方向に関する長さが、前記玉の直径の2%以下に規制されている、
請求項1に記載した深溝玉軸受。 - 前記対象軌道を有する軌道輪と、前記玉とが、それぞれSiC製であり、
前記傾斜面部の断面形状である直線の長さが、前記玉の直径の1%以下に規制されている、
請求項1に記載した深溝玉軸受。
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