以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置を例として説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式による画像形成装置であり、電子写真のエンジンに入力された画像の解像度とエンジンが最終的に画像を出力する際の解像度とが異なる場合の変倍処理に特徴を有する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。尚、HDDに替えてSSD(Solid State Drive)が用いられても良い。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、画面上に構成されるタッチパネルや、各種のハードキー等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM12に格納されたプログラムや、HDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体からRAM11に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。従って、ディスプレイパネル24は、図1のLCD16及び操作部17によって構成される。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、上述したようにCPU10の演算によって構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づいてプリントエンジン26を制御し、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD14等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD14等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102により分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106Y、106M、106C、106K(以降、総じて画像形成部106とする)が配列されている。
また、給紙トレイ101から給紙された用紙104は、レジストローラ103によって一度止められ、画像形成部106における画像形成のタイミングに応じて搬送ベルト105からの画像の転写位置に送り出される。
複数の画像形成部106Y、106M、106C、106Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106Kはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Kは画像形成部106Yと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Kの各構成要素については、画像形成部106Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、Kによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106Yがイエローのトナー画像を転写する。画像形成部106Yは、感光体としての感光体ドラム109Y、この感光体ドラム109Yの周囲に配置された帯電器110Y、光書き込み装置111、現像器112Y、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113Y等から構成されている。光書き込み装置111は、夫々の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にて帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのイエロー画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109Y上にイエローのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム109Yと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115Yの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113Yにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106Yにより搬送ベルト105上に転写されたイエローのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト105上に転写されたイエロー、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
また、用紙に転写されずに搬送ベルト105上に残留したトナーを除去するため、ベルトクリーナ118が設けられている。ベルトクリーナ118は、図3に示すように、駆動ローラ107の下流側であって、感光体ドラム109よりも上流側において搬送ベルト105に押し当てられたクリーニングブレードであり、搬送ベルト105の表面に付着したトナーをかきとる顕色剤除去部である。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置111と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。図4に示すように、各色の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K夫々に照射される照射光は、LEDA(Light‐emitting diode Array)プリントヘッド130Y、130M、130C、130K(以降、総じてLEDAプリントヘッド130とする)から照射される。このLEDAプリントヘッド130が光源装置として用いられる。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、図15を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る光書き込み装置111においてLEDAプリントヘッド130を制御する光書き込み制御部201の機能構成と、LEDAプリントヘッド130及びコントローラ20との接続関係を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係る光書き込み制御部201は、光書き込み装置111全体の動作を制御するCPU202、主記憶装置としてのRAM203、ラインメモリ204、205及びLED書き込み制御回路210を含む。また、LED書き込み制御回路210は、周波数変換部211、画像処理部212、スキュー補正部213及びLEDA制御部214を含む。
このように、本実施形態に係る光書き込み制御部201は、図1において説明したハードウェア構成と同様に、記憶媒体に記憶されている制御プログラムがRAM203にロードされ、CPU202がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって構成される。
LEDA書き込み制御回路210は、コントローラ20から入力される描画情報に基づいてLEDAプリントヘッド130の発光を制御する制御回路であり、集積回路等のハードウェアによって構成され、CPU202の制御に従って動作する。周波数変換部211は、コントローラ20から入力される描画情報をLEDA書き込み制御回路210の動作周波数に対応させて出力する。そのため、周波数変換部211は、コントローラ20から入力される描画情報を、周波数変換用に設けられたラインメモリ204に一次的に格納し、LEDA書き込み制御回路210の動作周波数に従って出力する。即ち、周波数変換部211は、印刷対象の画像の情報をコントローラ20から取得する画像情報取得部としても機能する。
画像処理部212は、周波数変換されて出力された画像データに対して、諸々の画像処理を行う。画像処理部212が行う画像処理としては、画像サイズの変更やトリミング処理並びに内部パターンの付加等がある。画像処理部212の機能のうち、画像の解像度を変更する処理が本実施形態の要旨に係る処理である。画像処理部212の詳しい機能については後述する。
スキュー補正部213は、LEDAプリントヘッド130と感光体ドラム109との配置による誤差等、様々な要因によって生じる画像のスキューを補正する。スキュー補正に関するパラメータ値は光書き込み制御部201に含まれる記憶装置に記憶されており、CPU202の制御によってスキュー補正部213に設定される。スキュー補正部213は、画像処理部212から入力された画像データをラインメモリ205に主走査ライン毎に格納し、設定されたパラメータ値に従ってラインメモリ205から画像データを読み出すことによりスキュー補正を実行する。
スキュー補正部213は、ラインメモリ205に複数の主走査ライン分の画素データが格納された状態において、補正するべき画像の傾きに応じて、主走査ライン上の所定の位置において画素データを読み出すラインをシフトする。例えば、1ライン目から画素データを読み出していた場合において、主走査ライン上の所定の位置(以降、「シフト位置」とする)において、画素データを読み出す主走査ラインを2ライン目に切り替える。このような処理により、画像の傾きを補正することが可能となる。
LEDA制御部214は、スキュー補正部213から出力される画素情報に基づき、動作周波数に従ってLEDAプリントヘッド130の発光を制御する。即ち、LEDA制御部214が光源駆動部として機能する。
次に、本実施形態に係る画像処理部212の機能について図6を参照して説明する。図6に示すように、画像処理部212に入力された画像データは画像調整部221に入力される。画像調整部221は、上述した諸々の画像処理を行う部分である。画像調整部221によって処理された画像データは小数倍密変換部223に入力される。
変倍処理指定部222は、CPU202によるレジスタ設定に基づき、画像処理部212によって行われる変倍処理において必要なパラメータ設定を行う。変倍処理指定部222によって指定されたパラメータは、小数倍密変換部223、面積階調変換部225及びデコード部226によって参照される。
小数倍密変換部223は本実施形態の要旨に係る構成であり、画像の解像度変倍のうち、整数倍ではない変倍処理を行う小数変倍部である。本実施形態においては、400dpiの画像を600dpiにするような、1.5倍の解像度変換を行う場合を例とする。小数倍密変換部223は変換テーブル記憶部224に記憶されている変換テーブルに基づき、小数倍の解像度変換を行う。小数倍密変換部223の機能については後述する。
小数倍密変換部223から出力された画像データは面積階調変換部225に入力される。面積階調変換部225は、1画素が4bitや8bit等の多階調で表現された画像データを各画素1bitや2bit等の少値画像に変換する。即ち、面積階調変換部225はハーフトーニング処理を行う。また、面積階調変換部225は上述した少値画像への変換と共に、指定された倍率で解像度の変換を行う。
小数倍密変換部223と面積階調変換部225とは、排他的に、即ちいずれか一方のみが動作する。即ち、本実施形態に係る画像処理部212においては、多階調から少値への変換を伴う変倍処理は面積階調変換部225によって実行され、元から少値の画像を小数変倍する処理は小数倍密変換部223によって実行される。この処理の切り替えは、変倍処理指定部222によって指定されたパラメータにより実行される。
小数倍密変換部223によって小数変倍された画像は、各画素の値が特定のコード値によって指定されている。デコード部226は、そのように小数倍密変換部223により小数変倍されて生成された各画素のコード値をデコードする。デコード部226は、デコード情報記憶部227に記憶されているデコード情報に基づいてデコード処理を行う。デコード部226がデコードの際に参照するデコード情報は、変倍処理指定部222によって指定される。
また、デコード部226は、小数倍密変換部223や面積階調変換部225によって解像度変換されて生成された所定の解像度の画像データを、LEDAプリントヘッド130を駆動するための最終的な解像度である駆動解像度に変換する。即ち、デコード部226は、駆動変倍部としても機能する。また、この駆動解像度に対して、小数倍密変換部223によって出力される画像の解像度は、中間解像度である。
図7は、1.5倍の解像度変換の態様を示す図である。1.5倍の解像度変換を行う場合、縦横2画素の4画素分の画像は、縦横3画素の9画素分の画像に変換される。変換テーブル記憶部224は、図7に示す変倍後のA´、B´、C´、D´及び、変倍に応じて追加される画素であるa、b、c、d、e夫々の画素の値を変倍前のA〜Dの画素の値に基づいて求めるための変換テーブル情報を記憶している。
ここで、本実施形態に係る小数倍密変換部223は、変倍処理指定部222による指定に応じて、異なる複数の変換テーブルのいずれかに基づいて小数変倍を行う。図8は、複数の変換テーブルの1つを示す図である。図8に示すように変換テーブルにおいては、A´、B´、C´、D´、a、b、c、d、e夫々の画素の状態を示す変換後のコードが、変換前のA〜Dの画素の0/1、即ち有色であるか無色であるかに基づいて指定されている。
図9は、図8の場合における変換後のコードが表す意味を示す図であり、このような趣旨の情報がデコード情報としてデコード情報記憶部227に記憶されている。本実施形態に係る変換後のコード情報は4bitで16通りを示す情報であり、0x0、即ち“0000”は白、0xf、即ち“1111”は黒を示す。そして、その間のコードは、1つの画素において有色となる部分の範囲を示す“濃度”と、有色となる部分を示す“位相”が指定された情報となる。
例えば、“濃度”が「1/2」であり、“位相”が「右」であれば、図8に示すように画素の右半分が有色であることが指定された状態となる。他方、“濃度”が「1/2」であり、“位相”が「中」であれば、図8に示すように画素の中央が有色であることが指定された状態となる。
図10は、複数の変換テーブルのうち、図8とは異なる態様の変換テーブルを示す図である。図10においても、A´、B´、C´、D´、a、b、c、d、e夫々について、A〜Dの画素の0/1、即ち有色であるか無色であるかに基づいて変換後のコードが指定されていることは同様である。しかしながら、その指定態様が図8に示す変換テーブルとは異なる。
図11は、図10の場合における変換後のコードが表す意味を示す図である。このような趣旨の情報がデコード情報としてデコード情報記憶部227に記憶されることも同様である。
図9において、“位相”は「右」、「左」、「中」の指定であったが、図11の場合、“位相”は、「右上」、「左下」等、1つの画素を2×2に区切った状態で有色となる部分が指定される。このような違いは、デコード部226が行う最終的な変倍処理に応じて決定される。即ち、変倍処理指定部222は、デコード部226が行う最終的な変倍処理に基づき、図8、図10の変換テーブルのいずれかを指定すると共に、図9、図11のデコード情報のいずれかを指定する。
図12〜図16は、図8の変換テーブルに基づいて変倍処理が実行され、図10のデコード情報に基づいてデコードが行われた場合の例を示す図である。例えば、図12の場合、左側に示されるように、2×2の4画素のうち、左上の画素のみが有色である。この4画素を図8の変換テーブルに基づいて1.5倍に変倍すると、図12の中央に示す状態となる。
図12の中央に示す3×3の9画素分の画像は、厳密には左側に示す画像が単純に1.5倍に変倍された状態とは異なるが、全体的な濃度としては近しい画像となっている。ここで、1.5倍の小数変倍によって得られた画像が600dpiである場合において、最終的な出力解像度が1200dpiである場合、デコード部226は、デコード処理と共に1画素を2×2の4画素に分割する変倍処理を行う。
本実施形態に係るデコード部226は、600dpiの画像を入力とし、画像形成装置1の動作モードに応じて600dpiのまま画像データを出力するか、各画素を2×2の4画素に変換して1200dpiで出力するかを切り替える。従って、1200dpiで出力する場合、図12の中央の画像は、図12の右側の状態となる。図12の右側においては、デコード部226によって2×2の4画素に変換される画素を破線で区切って示している。
図12の右側の画像においては、最終的な出力解像度が1200dpiであるために、小数変倍前の画像に更に近づけられるにも関わらず、図12中央の画像を構成する各画素を単に分割しただけの状態となっている。そのため、結果として装置の制御が非効率な状態となっている。
図13〜図16についても、図12と同様に、小数変倍前の4画素の画像が図の左側に、小数変倍後の画像が図の中央に、小数変倍後の画像を縦横2画素の4分割した画像が図の右側に夫々示されている。図12〜図16を見ると、最終的に生成された画像と小数変倍前の元画像との間に差異がないのは図14の場合のみであり、その他の場合は元画像と最終的に生成された画像との間に差異が生じている。
これに対して、図17〜図21は、図9の変換テーブルに基づいて変倍処理が実行され、図12のデコード情報に基づいてデコードが行われた場合の例を示す図である。図17〜図21に示すように、図9の変換テーブルに基づいて小数変倍処理を行った場合には、元画像と最終的に生成された画像との間に差異が生じていないことが分かる。
このように、本実施形態に係る光書き込み装置111の画像処理部212は、小数変倍に際し、倍率に応じた特定の変換テーブルを用いるのではなく、LEDA制御部214に入力される最終的な画像の解像度に応じて、異なる変換テーブルを参照する。これにより、図17〜図21に示すように、LEDA制御部214に入力される最終的な画像と、小数変倍前の元画像との差異を解消することが出来る。
換言すると、駆動解像度が1200dpiである場合の変換テーブルにおいては、小数倍密変換部223によって変倍された画像の解像度を駆動解像度に変換する際に各画素を分割する範囲毎に、有色/無色が指定されている。これにより、上述した効果が得られる。
尚、本実施形態に係るLEDAプリントヘッド130は、各画素に対応する夫々のLED素子について、点灯/消灯の二値制御のみが可能である。従って。LEDA制御部214は、600dpiの場合、1200dpiの場合いずれにおいても、各画素が1bitで表現された画像データを取得し、LEDAプリントヘッド130を駆動制御する。
そのため、本実施形態に係るデコード部226は、デコード処理により各画素が有色/無色の1bitで表現された画像データを生成する。400dpiから600dpiへの小数変倍を行った上で、更に1200dpiに変倍する場合は、図17〜図21の右側に示す画像が用いられる。この場合、破線で区切られた各画素が有色/無色のいずれかである。即ち、各画素が夫々1bitで表現されており、デコード部226が図11に対応するデコード情報に基づいてデコードを行えば良い。
このように、本実施形態に係る画像処理部212においては、小数倍密変換部223による小数変倍によって生成される中間画像の解像度が、出力に用いられる最大の解像度ではなく、最大の解像度を整数で割った解像度である。従って、デコード部226に入力されるまでの画像データを記憶するための記憶媒体として、最大の解像度に対応した容量を設ける必要がなく、ハードウェア構成を簡略化することが出来る。
他方、400dpiから600dpiに小数変倍された画像データが600dpiのまま出力される場合、図12〜図16の中央に示す画像が用いられる。この場合、図の通り、画素の全体が有色/無色のいずれかに確定せず、一画素の中に有色の部分と無色の部分とが含まれる場合がある。
従って、このままでは600dpiの画像を構成する各画素が有色/無色の1bitによって表現された画像にはならない。そのため、デコード部226は、小数倍密変換部223によって図8に示す変換テーブルにより変換された各画素の色味を示すコードに基づき、各画素を有色/無色のいずれかに変換する。
図22は、そのような場合にデコード部226が参照するデコード情報の例を示す図である。図22に示すように、小数変倍によって各画素を示すために設定された“コード”に対して、夫々のコードに対応する“二値”が設定されている。
図22の例においては、“濃度”が「1/2」以上であれば“二値”は「1」、そうでなければ「0」である場合を例としている。尚、図22においては、図9との対応を明確に示すために“濃度”、“位相”を示しているが、少なくとも“コード”と“二値”とが関連付けられていれば良い。
これにより、画像処理部212は、600dpiの場合であっても、1200dpiの場合であっても、小数倍密変換部223による小数変倍の結果に基づき、各画素が1bitで表現された画像を出力することが出来る。
図23は、本実施形態に係る光書き込み制御部201において、CPU202がLEDA書き込み制御回路210を制御する際の動作を示すフローチャートである。図23に示すように、CPU202は、まず画像処理部212に入力される入力画像の解像度を取得する(S2301)。
S2301においてCPU202は、コントローラ20から入力される情報に基づいて入力画像の解像度を取得する。次に、CPU202は、小数倍密変換部223または面積階調変換部225によって変倍され、デコード部226に入力される中間画像の解像度を取得する(S2302)。中間画像の解像度は、デコード部226の仕様や画像処理部212の設計に応じて予め定まっており、CPU202は、予め定められた値を取得する。
入力画像及び中間画像の解像度を取得したCPU202は、両者に基づいて変倍率を算出する(S2303)。算出した変倍率が1.5倍等の少数であった場合(S2304/YES)、CPU202は、次に、LEDA制御部214がLEDAプリントヘッド130を発光駆動する際の解像度である出力解像度を取得する(S2305)。
S2305において取得される出力解像度は、画像形成装置1の動作モードによって異なる。例えば、通常画質モードの場合には600dpi、高画質モードの場合には1200dpiである。従って、CPU202は、S2305において、画像形成装置1の動作モードに応じて出力解像度を取得する。これは、例えばコントローラ20から入力される情報である。
出力解像度を取得したCPU202は、S2303において算出した変倍率と、S2305において取得した出力解像度とに基づき、小数倍密変換部223が変換テーブル記憶部224から読み出して参照する変換テーブルを決定する(S2306)。
変換テーブルを決定すると、CPU202は画像処理部212に対してレジスタ設定を行い(S2307)、処理を終了する。S2307におけるレジスタ設定は、変倍処理指定部222が上述した各種のパラメータ設定を行うために必要な情報の指定である。即ち、S2306において決定した変換テーブルの指定、面積階調変換部225に対するスルー処理の指定、デコード部226に対するデコード情報の指定が含まれる。
尚、図8等に示す通り、小数倍密変換部223は、入力画像を構成する各画素が1bitの情報である場合を前提としている。これに対して、S2303において算出された倍率が小数であっても、入力画像を構成する各画素が多階調である場合もある。
そのような場合、例えば画像調整部221において画像の二値化を行うことが好ましい。これにより、小数倍密変換部223が1bitの情報に基づいて動作する前提を守ることが出来る。また、このような画像調整部221への動作設定も、S2307におけるレジスタ設定により行われる。
他方、S2303において算出された倍率が小数であっても、入力画像が多階調の画像であり、面積階調変換部225によるハーフトーニング処理が、その階調及び変倍率に対応していれば、面積階調変換部225により処理可能である。従って、CPU202は、入力画像の階調が図8に示す変換テーブルが対応する1bit等の少階調であり、且つ倍率が小数倍である場合に、小数倍密変換部223を動作させるようにレジスタ設定を行っても良い。
他方、S2303において算出した変倍率が整数倍であった場合(S2304/NO)、CPU202は、小数倍密変換部223に処理をスルーさせ、面積階調変換部225に変倍処理を実行させるための制御を行う(S2308)。S2308の処理も、S2307と同様にレジスタ設定であるが、設定の内容が面積階調変換部225に変倍処理を実行させることを指定する点が異なる。このような処理により、CPU202による画像処理部212の動作制御が完了する。
以上、説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1における光書き込み装置111を用いることにより、小数変倍を伴う画像の変倍処理において、元の画像の内容が好適に反映された変倍結果を得ることが可能となる。
尚、上記実施形態においては、主走査方向と副走査方向との解像度が同一である場合を例として説明した。しかしながら、画像形成装置1や光書き込み装置111の仕様によっては、主走査方向の解像度と副走査方向の解像度とが異なる場合がある。例えば、主走査方向1200dpi、副走査方向2400dpi等である。
そのような場合も、デコード情報記憶部227に記憶されたデコード情報によって対応することが可能である。即ち、デコード部226は、LEDA制御部214がLEDAプリントヘッド130を発光駆動する際の画像の主走査方向及び副走査方向の解像度に応じたデコード情報を参照してデコードを行う。
尚、上記実施形態においては、LEDAプリントヘッド130を構成するLED素子の駆動態様が、点灯/消灯の2通りしかない場合を例として説明した。他方、LED素子の駆動態様として、例えば消灯、微点灯、通常点灯、強点灯のように、2bitの4階調に対応したLEDAプリントヘッド130も存在する。
そのような階調表現が可能なLEDAプリントヘッド130が用いられる場合には、デコード部226によるデコードは図22において説明した二値への変換に限らず、2bitへの変換を行う。これにより、画像形成装置1に搭載されたハードウェアが有効に活用された制御が可能となる。
また、上記実施形態においては小数倍密変換部223による小数変倍の処理として、1.5倍の処理を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、画像調整部221に入力される画像の解像度をデコード部226に入力する際に定められた解像度に変倍する際の倍率としてあり得る倍率として、様々な小数の倍率を適用可能である。
どのような倍率であっても、図7に示すような変倍前の画素と変倍後の画素との対応関係に基づき、図8、図10に示すような変換情報である変換テーブルと、図9、図11及び図22に示すようなデコード情報を用意することが可能である。そして、そのような態様により、上記と同様の効果を得ることが出来る。
また、上記実施形態においては、感光体ドラム109を露光する光源装置として、線状光源であるLEDAプリントヘッド130を用いる場合を例として説明した。この他、感光体ドラム109を露光する光源装置としては、LD(Laser Diode)から照射されたレーザー光をポリゴンミラーにより反射させて走査するLD光源が用いられる場合がある。
LD光源の場合も、LEDAプリントヘッド130の場合と同様に、最終的な画像の解像度に対応した画素毎に、LDの点灯/消灯が制御される。但し、LD光源の場合、同一の光源から照射されるレーザー光がポリゴンミラーによって走査されることにより主走査方向に対する露光が行われる。従って、一画素に対応する点灯/消灯の制御に際して、PWM(Pulse Width Modulation)変調により露光期間を変調することにより、主走査方向に対する露光幅を調整することが可能である。
このような主走査方向に対する露光幅の調整を行うことにより、図9に示すような“濃度”及び“位相”を一画素中に反映することが可能である。従って、LD光源が用いられる場合、デコード部226は、図22に示すような二値化を行うためのデコード情報とは異なるデコード情報によりデコードを行う。
具体的にデコード部226は、各画素のコードの情報を、各画素の点灯/消灯を制御するためにLD光源を駆動するための情報として、図9に示す“濃度”及び“位相”を指定する情報に変換する。そして、LEDA制御部214に替わり、LD光源を制御する制御部が、そのような情報に基づいてLD光源の発光をPWM変調して制御する。このような態様により、LD光源が用いられる場合においては、図9に示すような小数変倍の結果をより高精度に反映することが可能である。