まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。尚、フローチャートの各ステップの説明にて、例えば「ステップS1」と記載する箇所を「S1」と略記する場合がある。図1は、本実施例のパチンコ遊技機1の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。遊技領域には、遊技球が打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
遊技盤2の所定位置(遊技領域の右側方)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(特図)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示)される。例えば、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を変動表示する。尚、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDで点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。以下では、第1特別図柄表示器4Aにて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはともに、例えば方形状に形成されている。尚、第1特図の種類と第2特図の種類は同じ(例えば、ともに「0」〜「9」を示す数字、及び、「−」を示す記号)であってもよいし、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、例えば「00」〜「99」を示す数字(或いは2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよいし、これら「00」〜「99」を示す各セグメントが、「00」〜「99」を視認不能にランダムに配置された表示器により変動表示するように構成されていてもよい。
遊技盤2の遊技領域の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、第1特図の変動表示や第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
一例として、演出表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rが配置されている。そして、第1特図の変動と第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて演出図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、演出表示装置5の「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、確定演出図柄(最終停止図柄)が停止表示される。このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、確定演出図柄を導出表示(導出)する。尚、演出図柄の変動表示中に変動表示が仮停止するようにしても良い。
「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて変動表示される演出図柄には、例えば8種類の図柄(英数字「1」〜「8」或いは漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字或いは記号とキャラクタ画像との組合せ等であればよく、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字等の記号、或いは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)で構成される。演出図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」〜「8」の図柄番号が付されている。尚、演出図柄は8種類に限定されず、「大当り」となる組合せや「はずれ」となる組合せ等適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい。
演出図柄の変動表示が開始された後、確定演出図柄が導出表示されるまでには、「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5R、または、演出図柄表示エリア5L,5C,5Rのうち少なくともいずれか1つ(例えば「左」の演出図柄表示エリア5L等)にて、例えば図柄番号が小さいものから大きいものへと順次に上方から下方へと流れるようなスクロール表示が行われ、図柄番号が最大(例えば「8」)である演出図柄が表示されると、続いて図柄番号が最小(例えば「1」)である演出図柄が表示される。
演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。即ち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(実行条件)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていること等により、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。
図1に示す例では、保留記憶表示エリアとともに、第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの上部と下部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数とを加算した変動表示の保留記憶数は、特に、合計保留記憶数ともいう。
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、第2始動入賞口を形成する。
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しがたい通常開放状態となる。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすい拡大開放状態となる。尚、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態であるときでも、第2始動入賞口には遊技球が進入可能であるものの、拡大開放状態であるときよりも遊技球が進入する可能性が低くなるように構成してもよい。或いは、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態にて、例えば第2始動入賞口を閉鎖すること等により、第2始動入賞口には遊技球が進入しないように構成してもよい。このように、第2始動入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすい拡大開放状態と、遊技球が通過しにくいまたは通過できない通常開放状態とに変化する。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)未満であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)未満であれば、第2始動条件が成立する。尚、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示す大入賞口扉用となるソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する所定領域としての大入賞口を形成する。
一例として、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。その一方で、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過し易くする。このように、大入賞口は、遊技球が通過し易く遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。尚、遊技球が大入賞口を通過できない閉鎖状態に代えて、或いは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過しにくい一部開放状態を設けてもよい。
大入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示すカウントスイッチ23によって検出される。カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、開放状態となった特別可変入賞球装置7の大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、他の入賞口(例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口)を遊技球が通過したときよりも多くの賞球が払い出される。従って、特別可変入賞球装置7の大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7の大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の左側方)には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bと同様に7セグメントのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(普図或いは普通図)を変動可能に表示(変動表示)する。このような普通図柄の変動表示は、普図ゲーム(普通図ゲーム)と称される。
普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、更に遊技領域周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。また、遊技機用枠3の右下部位置には、遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15等も搭載されている。その他にも、遊技盤2等の背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板、電源基板等といった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1での遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの出力信号を入力可能とする機能、演出制御基板12等からなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、外部に各種情報を出力する機能等を備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)等の点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御等を行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。
主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送するスイッチ回路110、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号をソレノイド81,82に伝送するソレノイド回路111等が搭載されている。
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び遊技効果ランプ9といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。即ち、演出制御基板12は、演出表示装置5の表示動作や、スピーカ8L,8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9等の点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。
図2に示すように、主基板11には、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。尚、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23は、例えばセンサと称されるもの等のように、遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25C等の表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。
図3は、本実施例で用いられる演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。例えば、コマンドB300Hは、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)であるときに、遊技球が第1始動入賞口を通過(進入)した場合、所謂無効始動入賞が発生した場合に、この無効始動入賞の発生を通知する無効始動入賞指定コマンドである。
尚、本実施例では、第1特図保留記憶数が上限値であるときに、遊技球が第1始動入賞口を通過した場合に無効始動入賞指定コマンドが送信されるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2特図保留記憶数が上限値であるときに、遊技球が第2始動入賞口を通過した場合に無効始動入賞指定コマンドが送信されるものであっても良い。また、遊技球が第1始動入賞口を通過した場合の第1無効始動入賞指定コマンドと、遊技球が第2始動入賞口を通過した場合の第2無効始動入賞指定コマンドとの2種類の無効始動入賞指定コマンドが送信されるものであっても良い。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O105とを備えて構成される。主基板11では、特図表示結果判定用の乱数値MR1、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3、普図表示結果判定用の乱数値MR4等の各種乱数値の数値データが、カウント可能に制御される。
また、図4に示すような複数の変動パターンが予め用意されている。本実施例では、変動表示結果が「はずれ」となる場合のうち、演出図柄の変動表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、変動表示結果が「大当り」となる場合等に対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。
変動表示結果が「大当り」である場合の変動パターンである大当り変動パターンや、演出図柄の変動表示態様が「リーチ」である場合のリーチ変動パターンには、ノーマルリーチのリーチ演出が実行されるノーマルリーチ変動パターンと、スーパーリーチα、スーパーリーチβといったスーパーリーチのリーチ演出が実行されるスーパーリーチ変動パターンとがある。
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるROM101には、ゲーム制御用のプログラムの他にも、遊技の進行を制御するために用いられる各種の選択用データ、テーブルデータ等が格納されている。例えば、ROM101には、CPU103が各種の判定や決定、設定を行うために予め用意された複数の判定テーブルや設定テーブル等を構成するデータが記憶されている。また、ROM101には、CPU103が主基板11から各種の制御コマンドとなる制御信号を送信するために用いられる複数のコマンドテーブルを構成するテーブルデータや、図4に示すような変動パターンを複数種類格納する変動パターンテーブルを構成するテーブルデータ等が、記憶されている。
図5に示すように、ROM101に記憶される表示結果判定テーブルは、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bの特図ゲームにおいて確定特別図柄が導出表示される前に、その変動表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かを、乱数値MR1に基づいて決定するために参照されるテーブルである。本実施例の表示結果判定テーブルでは、遊技状態が通常状態または時短状態(低確状態)であるか、確変状態(高確状態)であるかに応じて、乱数値MR1と比較される数値(判定値)が、「大当り」や「はずれ」の特図表示結果に割り当てられている。
表示結果判定テーブルでは、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定結果に対して判定用データが割り当てられている。具体的に、本実施例では、遊技状態が確変状態(高確状態)であるときに、通常状態または時短状態(低確状態)であるときよりも多くの判定値が、「大当り」の特図表示結果に割り当てられている。これにより、確変制御が行われる確変状態(高確状態)では、通常状態または時短状態(低確状態)であるときに特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御すると決定される確率(約1/300)に比べて、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御すると決定される確率が高くなる(約1/30)。即ち、表示結果判定テーブルでは、遊技状態が確変状態(高確状態)であるときに、通常状態や時短状態であるときに比べて大当り遊技状態に制御すると決定される確率が高くなるように、判定用データが大当り遊技状態に制御するか否かの決定結果に割り当てられている。
尚、ROM101には、大当り遊技状態に制御すると決定されたときに、乱数値MR2に基づき、大当り種別を複数種類のいずれかに決定するために参照される大当り種別判定テーブルや、乱数値MR3に基づいて変動パターンを、前述した図4に示す変動パターンのいずれかに決定するための変動パターン判定テーブルも記憶されている。
図6(A)に示す設定例では、変動特図が第1特図であるか第2特図であるかに応じて、「確変大当りA」と「確変大当りB」の大当り種別に対する判定値の割当てが異なっている。つまり、変動特図が第2特図である場合には、ラウンド数の少ない「確変大当りB」の大当り種別に割り当てがなく、第2特図の変動表示では「確変大当りB」が発生しないようにすることで、時短制御に伴う高開放制御により、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に遊技球が進入しやすい遊技状態中に、得られる賞球が少ない「確変大当りB」が頻発して遊技興趣が低下してしまうことを防止できるようになっている。尚、図6(A)に示す以外の大当り種別を設けるようにしても良いし、それぞれの大当りの決定割合や決定の有無等は適宜に設定すれば良い。
また、ROM101に記憶されている変動パターン判定テーブルとしては、「大当り」とすることが事前決定されたときに使用される大当り用変動パターン判定テーブルと、「はずれ」にすることが事前決定されたときに使用されるはずれ用変動パターン判定テーブルとが予め用意されている。尚、はずれのときよりも大当りとなるときの方がリーチの変動パターンが決定されやすくなり、リーチが発生した場合の方が大当りなる可能性(信頼度や期待度)が高くなるとともに、同じリーチの変動パターンであっても、ノーマルリーチよりもスーパーリーチの方が大当りなる可能性(信頼度や期待度)が高く、同じスーパーリーチであってもスーパーリーチβの変動パターンの方が、確変大当りなる可能性(信頼度や期待度)が高くなるように、大当り用変動パターン判定テーブルとはずれ用変動パターン判定テーブルにおいて、各変動パターンに対応する判定値が設定されている。
尚、はずれ用変動パターン判定テーブルは、合計保留記憶数や時短状態に対応した複数のテーブルを含んでおり、保留記憶数や時短状態に応じて、合計保留記憶数が2〜4個に対応する短縮の非リーチはずれの変動パターン(PA1−2)や、合計保留記憶数が5〜8個に対応する短縮の非リーチはずれの変動パターン(PA1−3)や、短縮の非リーチはずれの変動パターン(PA1−4)を、合計保留記憶数や遊技状態(時短状態)に応じて決定することで、合計保留記憶数が多くなる程、短い変動パターンが実行され易い、つまり、単位時間当りの変動回数が高まることで、無駄な始動入賞の発生を防ぐことが可能であるとともに、時短制御中(時短状態中)では、時短制御が実行されていないときよりも、短縮の非リーチはずれの変動パターン(PA1−4)が多く決定されて単位時間当りの変動回数が高まることで、次の大当りまでの期間を短縮でき、遊技者の連荘感を向上できるようになっている。
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるRAM102は、その一部または全部が所定の電源基板からのバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであればよい。RAM102には、遊技の進行等を制御するために用いられる各種のデータを保持する領域として、図示しない遊技制御用データ保持エリアが設けられている。遊技制御用データ保持エリアは、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を遊技球が通過して始動入賞(第1始動入賞)が発生したものの未だ開始されていない第1特図を用いた特図ゲームの保留データとして、乱数値MR1、乱数値MR2、乱数値MR3を示す数値データ等を記憶する第1特図保留記憶部と、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を遊技球が通過して始動入賞(第2始動入賞)が発生したものの未だ開始されていない第2特図を用いた特図ゲームの保留データとして、乱数値MR1、乱数値MR2、乱数値MR3を示す数値データ等を記憶する第2特図保留記憶部と、普図保留記憶部と、特図プロセスフラグ等の遊技の進行状況等に応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている遊技制御フラグ設定部と、遊技の進行を制御するために用いられる各種のタイマが設けられている遊技制御タイマ設定部と、遊技の進行を制御するために用いられるカウント値を計数するための複数種類のカウンタが設けられている遊技制御カウンタ設定部と、遊技の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている遊技制御バッファ設定部と、を備えている。
図2に示すように、演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5での表示動作の制御内容を決定するための処理等を実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。
一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種処理が実行される。例えば、これら演出動作を制御するための処理として、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部から各種信号の入力を受け付ける受信処理、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部へと各種信号を出力する送信処理等も行われる。
尚、演出制御基板12の側でも、主基板11と同様に、例えば、各種演出の実行、非実行や、演出の種別等を決定するための各種の乱数値(演出用乱数)が設定されている。また、ROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のテーブルデータ、例えば、各種演出の実行、非実行や、演出の種別等を決定するための複数の判定テーブルを構成するテーブルデータ、各変動パターンに対応する演出制御パターンを構成するパターンデータ等が記憶されている。演出制御パターンのうち、特図変動時演出制御パターンは、各変動パターンに対応して、特別図柄の変動が開始されてから確定特別図柄が導出表示されるまでの期間における、演出図柄の変動表示動作やリーチ演出等の様々な演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。
また、RAM122には、演出動作を制御するために用いられる各種データを保持する領域として、例えば図示しない演出制御用データ保持エリアが設けられている。演出制御用データ保持エリアは、演出動作状態や主基板11から送信された演出制御コマンド等に応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている演出制御フラグ設定部と、各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のタイマやカウンタが設けられている演出制御タイマ設定部や演出制御カウンタ設定部と、各種演出動作の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている演出制御バッファ設定部とを備えている。
尚、本実施例では、演出制御バッファ設定部の所定領域に、第1特図保留記憶の合計保留記憶数の最大値(例えば「4」)に対応した格納領域(バッファ番号「1−1」〜「1−4」に対応した領域)と、第2特図保留記憶の合計保留記憶数の最大値(例えば「4」)に対応した格納領域(バッファ番号「2−1」〜「2−4」に対応した領域)が設けられ、その時点の保留記憶の状況を特定可能な保留記憶バッファを構成するデータが記憶されており、該保留記憶バッファのデータに基づいて、第1保留記憶表示エリア5Dと第2保留記憶表示エリア5Uの保留表示が表示される。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM102がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。尚、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時の状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、図7のフローチャートに示す遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。図7に示す遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、CPU103は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、スイッチ回路110を介してゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23といった各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する(S11)。続いて、所定のメイン側エラー処理を実行することにより、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする(S12)。この後、所定の情報出力処理を実行する(S13)。
次に、乱数値MR1〜MR4といった遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための遊技用乱数更新処理を実行する(S14)。この後、図8に示す特別図柄プロセス処理を実行する(S15)。
特別図柄プロセス処理に続いて、普通図柄表示器20での表示動作(例えばセグメントLEDの点灯、消灯等)を制御して、普通図柄の変動表示や普通可変入賞球装置6Bの可動翼片の傾動動作設定等を行う普通図柄プロセス処理が実行される(S16)。その後、コマンド制御処理を実行することにより、主基板11から演出制御基板12等のサブ側の制御基板に対して制御コマンドを送信(出力)する(S17)。
図8は、特別図柄プロセス処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理では、まず、始動入賞判定処理を実行する(S21)。その後、遊技制御フラグ設定部に設けられた特図プロセスフラグの値に応じて、S22〜S29の処理のいずれかを選択して実行する。
S21の始動入賞処理では、第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22Bによる第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、乱数値MR1、MR2、MR3を抽出して、第1始動入賞である場合には、第1特図保留記憶部の空きエントリの最上位に格納し、第2始動入賞である場合には、第2特図保留記憶部の空きエントリの最上位に格納する。
S22の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。特別図柄通常処理では、保留データの有無等に基づいて特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、乱数値MR1を示す数値データに基づき、変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する。更に、変動表示結果に対応して確定特別図柄(大当り図柄やはずれ図柄のいずれか)が設定される。そして、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
S23の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。変動パターン設定処理には、変動表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果等に基づき、乱数値MR3を示す数値データを用いて変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理等が含まれている。そして、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
S24の特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理等が含まれている。尚、特別図柄の変動経過時間が特図変動時間に達したときには、特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
S25の特別図柄停止処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにて特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う処理が含まれている。そして、大当りフラグがオンとなっているか否かの判定等が行われ、大当りフラグがオンである場合には特図プロセスフラグの値が“4”に更新される。その一方で、大当りフラグがオフである場合には、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
S26の大当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。大当り開放前処理には、変動表示結果が「大当り」となったこと等に基づき、大当り遊技状態にてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理等が含まれている。具体的には、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「29秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を、「非確変大当り」または「確変大当りA」である場合には、「16回」に設定する。一方、大当り種別が「確変大当りB」である場合には、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を「5回」に設定する。このときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。
S27の大当り開放中処理は、特図プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この大当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間やカウントスイッチ23によって検出された遊技球の個数等に基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理等が含まれている。そして、大入賞口を閉鎖状態に戻すときには、大入賞口扉用のソレノイド82に対するソレノイド駆動信号の供給を停止させる処理等を実行した後、特図プロセスフラグの値が“6”に更新される。
S28の大当り開放後処理は、特図プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この大当り開放後処理には、大入賞口を開放状態とするラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達したか否かを判定する処理や、大入賞口開放回数最大値に達した場合に大当り終了指定コマンドを送信するための設定を行う処理等が含まれている。そして、ラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達していないときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される一方、大入賞口開放回数最大値に達したときには、特図プロセスフラグの値が“7”に更新される。
S29の大当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“7”のときに実行される。この大当り終了処理には、大当り遊技状態の終了を報知するエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理等が含まれている。こうした設定が行われたときには、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
尚、大当り終了処理では、遊技制御バッファ設定部に記憶されている大当り種別バッファ値を読み出して、大当り種別が「非確変大当り」、「確変大当りA」、「確変大当りB」のいずれであったかを特定する。そして、特定した大当り種別が「非確変大当り」ではないと判定された場合には、確変制御を開始するための設定(確変フラグのセット)を行う。
また、特定した大当り種別が「非確変大当り」である場合には、時短制御を開始するための設定(時短フラグのセットと時短制御中に実行可能な特図ゲームの上限値に対応して予め定められたカウント初期値(例えば100)を時短回数カウンタにセット)を行う。
次に、演出制御基板12の動作を説明する。先ず、演出制御用CPU120は、電源が投入されると、図10に示すメイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(S51)。その後、演出制御用CPU120は、タイマ割込フラグの監視(S52)を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU120は、タイマ割込処理によりタイマ割込フラグをセットする。メイン処理で、タイマ割込フラグがセット(オン)されていたら、演出制御用CPU120は、そのフラグをクリアし(S53)、以下の処理を実行する。
演出制御用CPU120は、まず、コマンド解析処理を行う(S54)。コマンド解析処理では、受信コマンドバッファに格納されている主基板11から送信されてきたコマンドが、どのコマンド(図3参照)であるのか解析する。尚、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンドは、演出制御INT信号にもとづく割込処理で受信され、RAM122に形成されているバッファ領域に保存されている。そして、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う。例えば、前述した無効始動入賞指定コマンドを受信した場合には、無効始動入賞指定コマンド受信済フラグをセットする。
次いで、演出制御用CPU120は、演出制御プロセス処理を行う(S55)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置5の表示制御を実行する。
次いで、大当り図柄判定用乱数等の演出用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する演出用乱数更新処理を実行し(S56)、その後、S52に移行する。
図11は、演出制御メイン処理の演出制御プロセス処理(S55)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御用CPU120は、演出表示装置5の第1保留記憶表示エリア5D及び第2保留記憶表示エリア5Uでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する(S72)。
その後、演出制御用CPU120は、演出制御プロセスフラグの値に応じてS73〜S79のうちのいずれかの処理を行う。各処理においては、以下のような処理を実行する。
変動パターン指定コマンド受信待ち処理(S73):遊技制御用マイクロコンピュータ100から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理で変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する。変動パターン指定コマンドを受信していれば、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動開始処理(S74)に対応した値に変更する。
演出図柄変動開始処理(S74):演出図柄の変動が開始されるように制御する。更に演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動中処理(S75)に対応した値に更新する。
演出図柄変動中処理(S75):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等を制御するとともに、変動時間の終了を監視する。そして、変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(S76)に対応した値に更新する。
演出図柄変動停止処理(S76):全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定コマンド)を受信したことにもとづいて、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(S77)または変動パターン指定コマンド受信待ち処理(S73)に対応した値に更新する。
大当り表示処理(S77):変動時間の終了後、演出表示装置5に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り遊技中処理(S78)に対応した値に更新する。
大当り遊技中処理(S78):大当り遊技中の制御を行う。例えば、大入賞口開放中指定コマンドや大入賞口開放後指定コマンドを受信したら、演出表示装置5におけるラウンド数の表示制御等を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了演出処理(S79)に対応した値に更新する。
大当り終了演出処理(S79):演出表示装置5において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターン指定コマンド受信待ち処理(S73)に対応した値に更新する。
図11は、演出制御プロセス処理における演出図柄変動中処理(S75)を示すフローチャートである。演出図柄変動中処理において、演出制御用CPU120は、プロセスタイマ、変動時間タイマ、変動制御タイマのそれぞれの値を−1する(S301,S302,S303)。そして、演出制御用CPU120は、後述する示唆演出処理(図12参照)を実行し(S305)、S306に進む。
尚、本実施例では、第1特図保留記憶数が上限値(例えば「4」)であるときに、遊技球が第1始動入賞口を通過(進入)した場合、所謂無効始動入賞が発生した場合に、その時点において変動中の当該変動表示の変動表示結果(演出図柄の最終停止図柄)を示唆する示唆演出が実行される。この示唆演出は、後述するように、演出表示装置5の所定箇所(例えば、右下の部分)に、複数の異なる図柄A〜Eが順次登場してルーレット形式で表示されるルーレット演出となっている(図15(F)参照)。
S306において演出制御用CPU120は、プロセスタイマがタイマアウトしたか否か確認する。プロセスタイマがタイマアウトしていたら、プロセスデータの切り替えを行う(S307)。即ち、プロセステーブルにおける次に設定されているプロセスタイマ設定値をプロセスタイマに設定することによってプロセスタイマをあらためてスタートさせる(S308)。また、その次に設定されている表示制御実行データ、ランプ制御実行データ、音制御実行データ、操作部制御データ等にもとづいて演出装置(演出用部品)に対する制御状態を変更する(S309)。
次に、変動制御タイマがタイマアウトしているか否かを確認する(S310)。変動制御タイマがタイマアウトしている場合には(S310;Y)、演出制御用CPU120は、左中右の演出図柄の次表示画面(前回の演出図柄の表示切り替え時点から30ms経過後に表示されるべき画面)の画像データを作成し、VRAMの所定領域に書き込む(S311)。そのようにして、演出表示装置5において、演出図柄の変動制御が実現される。表示制御部123は、設定されている背景画像等の所定領域の画像データと、プロセステーブルに設定されている表示制御実行データにもとづく画像データとを重畳したデータに基づく信号を演出表示装置5に出力する。そのようにして、演出表示装置5において、演出図柄の変動における背景画像、キャラクタ画像及び演出図柄が表示される。また、変動制御タイマに所定値を再セットする(S312)。
また、プロセスタイマがタイマアウトしていない場合(S306;N)、変動制御タイマがタイマアウトしていない場合(S310;N)、S312の実行後、演出制御用CPU120は、変動時間タイマがタイマアウトしているか否か確認する(S313)。変動時間タイマがタイマアウトしていれば、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(S76)に応じた値に更新する(S315)。変動時間タイマがタイマアウトしていなくても、図柄確定指定コマンドを受信したことを示す確定コマンド受信フラグがセットされていたら(S314;Y)、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(S76)に応じた値に更新する(S315)。変動時間タイマがタイマアウトしていなくても図柄確定指定コマンドを受信したら変動を停止させる制御に移行するので、例えば、基板間でのノイズ等に起因して長い変動時間を示す変動パターン指定コマンドを受信したような場合でも、正規の変動時間経過時(特別図柄の変動終了時)に、演出図柄の変動を終了させることができる。
尚、演出図柄の変動制御に用いられているプロセステーブルには、演出図柄の変動表示中のプロセスデータが設定されている。つまり、プロセステーブルにおけるプロセスデータ1〜nのプロセスタイマ設定値の和は演出図柄の変動時間に相当する。よって、S306の処理において最後のプロセスデータnのプロセスタイマがタイマアウトしたときには、切り替えるべきプロセスデータ(表示制御実行データやランプ制御実行データ等)はなく、プロセステーブルにもとづく演出図柄の演出制御は終了する。
また、演出図柄の変動制御に用いられているプロセステーブルには、無効始動入賞が発生した場合に示唆演出の実行を開始する示唆演出開始可能期間(有効期間)であるか、それとも無効始動入賞が発生しても示唆演出の実行を開始しない示唆演出開始不能期間(無効期間)であるかを示すデータが演出制御プロセスデータとして記述されている。
例えば、スーパーリーチαでは、変動が開始されてから、リーチ状態となる前のリーチ前演出が実行される(図15(A))。図15に示す例では、第1特図保留記憶数が上限値(例えば「4」)に達している。そして、「左」及び「右」の演出図柄表示エリア5L,5Rでは、予め定められた大当り組合せを構成する演出図柄(例えば「3」の英数字を示す演出図柄)が停止表示されているときに未だ停止表示していない残りの演出図柄表示エリア(例えば「中」の演出図柄表示エリア5C等)では演出図柄が変動している表示状態、所謂リーチ状態となる(図15(B))。
次いで、スーパーリーチに発展するか否かを示唆する発展演出が実行され(図15(C))、リーチ前半演出が実行される(図15(D))。このリーチ前半演出(低可能性演出;弱演出)では、複数のキャラクタが登場して互いにバトルを行うバトル演出1が実行される。尚、スーパーリーチαのリーチ変動パターンでは、変動が開始されてからリーチ前半演出が終了するまでの期間が示唆演出開始不能期間(無効期間)となっており、この期間中に無効始動入賞が発生しても示唆演出が実行されない。
そして、バトル演出1よりも大当りなる可能性(信頼度や期待度)が高くなっているリーチ後半演出(バトル演出2)の実行が開始される(図15(E))。このリーチ後半演出(高可能性演出;強演出)の開始とともに示唆演出開始可能期間(有効期間)が開始される。この示唆演出開始可能期間中に無効始動入賞が発生すると、示唆演出(ルーレット演出)が実行される(図15(F))。この示唆演出は、演出表示装置5の所定箇所(例えば、右下の部分)に、複数の異なる図柄A〜Eが順次登場してルーレット形式で表示されるルーレット演出となっている。その後、ルーレットが所定の図柄で停止する(図15(G))。このルーレットの停止図柄によって、当該変動表示の変動表示結果(演出図柄の最終停止図柄)を示唆することができる。
また、バトル演出2の終了時には、当該変動表示の変動表示結果が大当りになるか否かを示す分岐演出が実行される。尚、変動表示結果が大当りとなる場合には、所定のキャラクタが勝利する勝利演出が実行され、変動表示結果がはずれとなる場合には、所定のキャラクタが敗北する敗北演出が実行される。また、示唆演出の図柄は、バトル演出2の終了時の勝利演出(分岐演出)のときまで表示され(図15(H))、当該変動表示の変動表示結果が導出されると、示唆演出の図柄も消去される(図15(I))。
図14(A)に示すように、スーパーリーチα用の演出図柄の変動制御に用いられているプロセステーブルでは、変動が開始されてから、リーチ前演出、発展演出、リーチ前半演出までの期間が示唆演出開始不能期間(無効期間)として設定されている。また、リーチ後半演出の開始とともに示唆演出開始可能期間(有効期間)が開始され、リーチ後半演出の残り期間が示唆演出に対応する期間(示唆演出の実行に要する期間)になった時点、つまり分岐演出が実行される前の時点で示唆演出開始可能期間が終了するように設定されている。
図14(B)に示すように、スーパーリーチβ用の演出図柄の変動制御に用いられているプロセステーブルでは、変動が開始されてから、リーチ前演出、発展演出までの期間が示唆演出開始不能期間(無効期間)として設定されている。また、リーチ演出(高可能性演出;強演出)の開始とともに示唆演出開始可能期間(有効期間)が開始され、リーチ演出の残り期間が示唆演出に対応する期間(示唆演出の実行に要する期間)になった時点、つまり分岐演出が実行される前の時点で示唆演出開始可能期間が終了するように設定されている。
図14に示すように、スーパーリーチαとスーパーリーチβとでは、示唆演出開始可能期間(有効期間)が開始される時点、つまり、大当りなる可能性(信頼度や期待度)が高い演出(リーチ後半演出またはリーチ演出)の開始時点が異なっている。本実施例では、スーパーリーチαよりもスーパーリーチβの方が大当りなる可能性が高い演出が早く開始される。そのため、スーパーリーチαよりもスーパーリーチβの方が示唆演出を実行するための無効始動入賞の有効期間が長くなっている。
図12は、示唆演出処理の一例を示すフローチャートである。示唆演出処理において、演出制御用CPU120は、示唆演出実行中フラグがセットされているか否か、つまり、示唆演出が開始されている場合であるか否かを判定する(S321)。ここで、示唆演出実行中フラグがセットされている場合には(S321;Y)、S329に移行する。一方、示唆演出実行中フラグがセットされていない場合には(S321;N)、S322に移行する。
S322において、演出制御用CPU120は、プロセステーブルに基づいて示唆演出開始可能期間であるか否かを判定する。ここで、示唆演出開始可能期間でない場合には(S322;N)、処理を終了する。一方、示唆演出開始可能期間である場合には(S322;Y)、S323に移行する。
S323では、演出制御用CPU120は、無効始動入賞指定コマンドを受信したか否かを判定する。つまり、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)であり、かつ遊技球が第1始動入賞口を通過したか否かを判定する。具体的には、前述したコマンド解析処理において無効始動入賞指定コマンド受信済フラグがセットされた場合には、無効始動入賞指定コマンドを受信したと判定するとともに当該無効始動入賞指定コマンド受信済フラグをクリアする処理を行う。また、無効始動入賞指定コマンド受信済フラグがセットされていない場合には、無効始動入賞指定コマンドを受信していないと判定する。ここで、無効始動入賞指定コマンドを受信していない場合には(S323;N)、処理を終了する。一方、無効始動入賞指定コマンドを受信した場合には(S323;Y)、S324に移行する。
S324では、演出制御用CPU120は、図13に示す停止図柄決定用テーブルに基づいて示唆演出の停止図柄を決定し、決定した停止図柄に対応する示唆演出プロセステーブルを読み出してセットし、S325に移行する。
本実施例の停止図柄決定用テーブルは、図13に示すように、停止図柄が各図柄A〜Eに対応する停止図柄決定用テーブルから構成されている。尚、本実施例では、示唆演出として、複数の異なる図柄A〜Eが順次登場してルーレット形式で表示されるルーレット演出が実行可能とされている。尚、図柄A〜Eは、それぞれを遊技者が識別可能な互いに異なる表示態様であって、所定の絵柄や文字や数字や記号等で構成されていても良いし、各図柄を構成する色彩が異なっていることで、それぞれを遊技者が識別可能に構成されていても良い。例えば、「図柄A」では「ベル」の絵柄、「図柄B」では「スイカ」の絵柄、「図柄C」では「チェリー」の絵柄、「図柄D」では青色の漢数字「七」、「図柄E」では赤色の漢数字「七」となっている。
停止図柄決定用テーブルにおいては、「図柄A」〜「図柄E」のそれぞれに対応して、変動表示結果が「はずれ」となる場合、「非確変大当り」となる場合、「確変大当り」となる場合、のそれぞれに異なる判定値が、図13に示す判定値数となるように、割り当てられている。このように判定値が割り当てられていることにより、変動表示結果が「はずれ」となる場合には、「図柄A」の示唆演出が最も実行され易く、「図柄C」の示唆演出が最も実行され難く、「図柄D」及び「図柄E」の示唆演出が全く実行されないようになっている。
また、変動表示結果が「非確変大当り」となる場合には、「図柄C」及び「図柄D」の示唆演出が実行され易く、「図柄A」の示唆演出が最も実行され難く、「図柄E」の示唆演出が全く実行されないようになっている。尚、「図柄D」の示唆演出は、「非確変大当り」となる場合にのみ実行される演出であるので、この「図柄D」の示唆演出は、「非確変大当り」となることを確定的に報知する大当り確定報知演出となっている。
また、変動表示結果が「確変大当り」となる場合には、「図柄E」の示唆演出が最も実行され易く、「図柄A」の示唆演出が最も実行され難く、「図柄D」の示唆演出が全く実行されないようになっている。尚、「図柄E」の示唆演出は、「確変大当り」となる場合にのみ実行される演出であるので、この「図柄E」の示唆演出は、「確変大当り」となることを確定的に報知する大当り確定報知演出となっている。
図12に戻り、S325では、演出制御用CPU120は、示唆演出の実行中であることを示す示唆演出実行中フラグをセットする。また、示唆演出に該当する示唆演出期間に相当する値を示唆演出期間タイマにセットする(S326)。
次いで、演出制御用CPU120は、選択した示唆プロセステーブルのプロセスデータ1における示唆演出プロセスタイマをスタートさせる(S327)。尚、本実施例では、各図柄A〜Eに対応する各示唆演出の全ての組合せに対応する示唆演出プロセステーブルが、予めROM121に記憶されている。
そして演出制御用CPU120は、セットした示唆演出プロセステーブルの最初のプロセスデータ1の内容(表示制御実行データ1等)に従って演出装置(演出用部品としての演出表示装置5等)の制御を開始する(S328)。
また、前述したS321において示唆演出実行中フラグがセットされている場合には、S329に進んで、演出制御用CPU120は、示唆演出のプロセスを変更するための示唆演出プロセスタイマの値を−1する。そして、示唆演出期間の終了を計時するための示唆演出期間タイマの値を−1する(S330)。示唆演出期間タイマがタイマアウト(値が0になる)した場合には(S331;Y)、示唆演出実行中フラグをクリアし(S336)、示唆演出処理を終了する。
示唆演出期間タイマがタイマアウトしていない場合(S331;N)に演出制御用CPU120は、示唆演出プロセスタイマがタイマアウトしたか否か確認する(S332)。示唆演出プロセスタイマがタイマアウトしていたら、示唆演出の示唆演出プロセスデータの切り替えを行う(S333)。即ち、示唆演出プロセステーブルにおける次に設定されている示唆演出プロセスタイマ設定値をプロセスタイマに設定することによってプロセスタイマをあらためてスタートさせる(S334)。また、その次に設定されている示唆演出プロセスデータに含まれる表示制御実行データ等にもとづいて演出装置(演出表示装置5等)に対する制御状態を変更し(S335)、当該示唆演出処理を終了する。
このように、示唆演出プロセステーブルと示唆演出プロセスタイマとに基づいて示唆演出の制御が実行されることにより、示唆演出が開始されて、順次、示唆演出プロセステーブルに記述されている示唆演出の制御内容が実行されていくことで示唆演出が、示唆演出の期間が終了するまで実行される。
本実施例では、示唆演出開始可能期間であるときに、無効始動入賞が発生した場合に示唆演出を実行し、当該示唆演出が終了した後、示唆演出開始可能期間が継続している場合に、更に無効始動入賞が発生した場合にも示唆演出が実行される。尚、先の示唆演出の実行中に無効始動入賞が発生した場合には、先の示唆演出が終了した後に、次の示唆演出が実行される。つまり、本実施例では、示唆演出開始可能期間であるときに複数回の示唆演出の実行が可能になっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1の変動表示中において1度示唆演出が実行されたら、示唆演出実行済フラグをセットし、その後に当該変動表示中に無効始動入賞が発生しても示唆演出を実行しないようにしても良い。尚、示唆演出実行済フラグは当該変動の終了時にクリアする。
また、本実施例では、示唆演出開始可能期間であるときに、ほぼ同時に連続して2個の遊技球が第1始動入賞口を通過した場合には、主基板11から無効始動入賞指定コマンドが2回送信されるが、前述したコマンド解析処理でセットされる無効始動入賞指定コマンド受信済フラグは1つのみとなっているので、実行される示唆演出は1回のみとなっている。つまり、示唆演出の実行前に複数回の無効始動入賞が発生しても、実行される示唆演出は1回のみとなっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、示唆演出の実行前に複数回の無効始動入賞があった場合には、その無効始動入賞の発生回数に応じて異なる演出態様の示唆演出を実行するようにしても良い。
例えば、変形例における示唆演出では、無効始動入賞の発生回数に応じて異なる各停止図柄決定用テーブルが予め設定されている。そして、示唆演出開始可能期間であるときに、1回目の無効始動入賞が発生した場合に、即座に示唆演出を実行せず、示唆演出実行待ち期間(例えば3秒)に移行する。また、この示唆演出実行待ち期間中に更に無効始動入賞が発生した場合に、無効始動入賞の発生回数の合計を集計する。次いで、無効始動入賞の発生回数に応じた停止図柄決定用テーブルを用いて示唆演出の演出態様を決定し、決定された演出態様の示唆演出を実行する。例えば、無効始動入賞の発生回数が1回である場合には、前述したルーレット演出が実行され、無効始動入賞の発生回数が2回である場合には、図柄A〜Eのいずれかのプラカードを持った所定のキャラクタが登場するキャラクタ演出が実行され、無効始動入賞の発生回数が3回以上である場合には、キャラクタ演出が実行されるとともに遊技効果ランプ9が点滅したりスピーカ8L,8Rから効果音が出力したりする演出が実行される。
また、示唆演出開始可能期間を示唆演出実行待ち期間とし、示唆演出開始可能期間が終了した時点で無効始動入賞の発生回数が1回以上ある場合には、示唆演出を開始するようにしても良い。つまり、示唆演出が開始されるタイミングを固定し、この示唆演出が開始される時点より前に、無効始動入賞がいくつ発生したかに応じて異なる示唆演出を実行しても良い。
以上、本実施例のパチンコ遊技機1によれば、示唆演出が実行可能であるので、変動表示の変動表示結果を知るために保留記憶数が上限値に達していても、遊技者が遊技球を発射して無効始動入賞を発生させようとする。特に、示唆演出を実行するための無効始動入賞の有効期間は、大当りなる可能性(信頼度や期待度)が高い演出(リーチ演出またはリーチ後半演出)の開始された時点から始まるようにし、それ以前の期間は、無効始動入賞が発生しても示唆演出が実行されない無効期間として、示唆演出の実行を制限する期間を設けているので、遊技者が示唆演出の実行に成功したときには、特別な演出を実行できたという特別感を遊技者に対して与えることができ、遊技興趣を向上できる。また、通常の演出とは異なる隠し演出のような特別感を付与することができるので、保留記憶数が上限値に達していても、遊技者が積極的に遊技球を発射するように促進することができる。
尚、本実施例において示唆演出の実行を制限することには、示唆演出処理において示唆演出の実行を決定しないようにすることのみならず、示唆演出の実行を決定しても、演出表示装置5に示唆演出の表示を行わないようにすることを含む。また、示唆演出の実行を決定して示唆演出実行決定フラグがセットされても、示唆演出の実行を禁止する示唆演出実行禁止フラグがセットされている場合には、示唆演出の実行がされないものも含む。
また、本実施例によれば、スーパーリーチαよりもスーパーリーチβの方が示唆演出を実行するための無効始動入賞の有効期間が長くなっていることで、リーチ後半演出やリーチ演出の演出期間に対応して示唆演出を実行できる。
また、本実施例によれば、プロセステーブルにおいて分岐演出が実行される前の時点で示唆演出開始可能期間が終了するように設定されていることで、分岐演出の興趣が示唆演出によって阻害されてしまうことを防ぐことができる。
また、本実施例によれば、リーチ前半演出とリーチ後半演出とを実行可能であり、リーチ後半演出の実行中に示唆演出を実行可能なことで、示唆演出の実行時期をより狭めて、特別感を一層強調できる。
また、本実施例によれば、停止図柄決定用テーブルにおいて「非確変大当り」となる場合と「確変大当り」となる場合のそれぞれに異なる判定値が割り当てられていることで、示唆演出の演出態様に遊技者を注目させることができるので、遊技興趣を向上できる。
また、変形例によれば、無効始動入賞の発生回数に応じて異なる各停止図柄決定用テーブルが予め設定され、無効始動入賞の発生回数に応じた停止図柄決定用テーブルを用いて示唆演出の演出態様を決定することで、保留記憶が上限記憶数に達していても、遊技球を始動入賞口に通過させることを遊技者に促すことができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、示唆演出として複数の異なる図柄A〜Eが順次登場してルーレット形式で表示されるルーレット演出が例示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定キャラクタが登場するキャラクタ演出を示唆演出としても良く、キャラクタの種類や人数等の態様の違いによって、変動表示結果が大当りとなることを示唆しても良いし、遊技効果ランプ9の点灯態様やスピーカ8L,8Rから効果音等により変動表示結果が大当りとなることを示唆しても良い。
また、前記実施例では、「はずれ」、「非確変大当り」、「確変大当り」のいずれの変動表示結果となるかを示唆演出により示唆するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の態様を示唆演出により示唆するものであっても良い。例えば、大当り後のラウンド数の多少や、ST回数の多少や、時短回数の多少等を示唆演出により示唆するようにしても良い。
また、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。尚、これら封入式遊技機においては遊技球ではなく得点やポイントが遊技者に付与されるので、これら付与される得点やポイントが遊技価値に該当する。また、打球発射装置をパチンコ遊技機1における遊技領域の上方位置に設けることによって、遊技球を遊技領域の上方位置から打ち出すようにしても良い。
また、遊技者にとって有利な有利状態とは、遊技者が多くの遊技媒体を獲得できる遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り等)や、獲得できる遊技媒体の期待値が異なる複数種類の特定遊技状態(ラウンド数が異なる大当り等)や、通常遊技状態よりも賞球払出の条件が成立しやすくなる高ベース状態(時短状態)や、特定遊技状態となる確率が高い高確率遊技状態(高確率状態)や高確低ベース状態(潜伏確変状態)、特別リーチ状態(例えば、スーパーリーチ等)、当該変動パターンが大当り変動パターンに基づく変動パターンである状態等が含まれる。