以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下説明は、図中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。なお、図1に示すテーブルこんろ1(以下、単に、こんろ1と称する。)は、テーブルこんろであるが、ビルトインこんろ等であってもよい。
図1および図2を参照して、こんろ1の構造について説明する。図1および図2に示すように、こんろ1は、器具本体を構成する筐体2と、トッププレート3を備える。筐体2は、金属製であって、上面に開口部(図示せず)を備えた略直方体状に形成されている。筐体2の内部には、左右一対のガスバーナ5,5が配置されている。トッププレート3は、板金をプレス加工することで形成される。トッププレート3の少なくとも上面には、煮こぼれした液体等による汚れの固着を防止するため、ホーローによるコーティングが施されている。トッププレート3は、筐体2上面の開口部を閉塞して、筐体2の上部に固定されている。トッププレート3には、左右一対の略円形のバーナ開口4,4が形成されており、トッププレート3が筐体2の上部に設置されることで、ガスバーナ5が筐体2側から上方に突出して、各バーナ開口4の中央に臨む。ガスバーナ5,5の各周囲には、五徳50,50がそれぞれ配置されている。五徳50,50の各上部には、鍋、フライパン等を含む調理器具等の被加熱物(図示せず)が載置される。
ガスバーナ5は、筐体2の内部に配置されたバーナ本体(図示せず)と、バーナ本体の上部に設置され、外周部に多数の炎口5Aが形成されたバーナヘッド5Bを備える。バーナヘッド5Bの中央には、被加熱物の温度を検知するための鍋センサ5Cが設けられている。鍋センサ5Cの筒体の内部には、図示しないサーミスタが格納されているので、鍋センサ5Cは、鍋底温度等、被加熱物の温度を検知できる。図2に示すように、バーナヘッド5Bの後方の炎口5A近傍には、放電による点火を行うための点火電極5Dと、火炎の有無を検知するための熱電対5Eとが設けられている。点火電極5Dと熱電対5Eとがバーナヘッド5Bの後方側に配置されることで、筐体2正面側からこんろ1を使用する使用者から、点火電極5Dと熱電対5Eが視認されにくくなる。このため、こんろ1の外観がすっきりとするので、こんろ1の美観が向上する。
また、図1に示すように、筐体2の正面中央には、グリル扉24が設けられている。グリル扉24の前面にはガラス窓部25が設けられている。こんろ1の使用者は、ガラス窓部25によって、筐体2の内部に設置されるグリル庫(図示せず)内部の被調理物の焼け具合等を視認できる。ガラス窓部25の下方には、取っ手26が前方に突出して設けられている。グリル扉24は、筐体2の前方に引き出し可能であり、こんろ1の使用者は、取っ手26を把持してグリル扉24を引き出すことで、グリル庫を開閉できる。トッププレート3の後方には、複数の排気孔を備える排気口カバー8が設置されている。排気口カバー8は、後述するグリル排気口7(図3参照)を上側から覆うカバー部材である。
グリル扉24の右側の領域には、点火スイッチ11,12、火力調節つまみ16,17等がそれぞれ設けられている。点火スイッチ11は、グリル扉24の右側に隣接して設けられ、右側のガスバーナ5の点火/消火の操作を行う。点火スイッチ11が押下操作されると、バーナ本体へ一次空気と燃料ガスが供給され、混合気となってバーナヘッド5Bの炎口5Aから流出する。同時に、筐体2の内部に設けられた図示しないコントローラが点火電極5Dを放電させて混合気に点火し、バーナヘッド5Bの外周部に火炎が形成される。また、ガスバーナ5が点火されている状態で点火スイッチ11が操作されると、ガスバーナ5は消火される。点火スイッチ12は、点火スイッチ11の右隣に設けられ、グリル庫内部に設けられた上バーナおよび下バーナ(図示せず)の点火/消火の操作を行う。
さらに、火力調節つまみ16は、点火スイッチ11の上方に設けられ、略左右方向におけるスライド操作によって、右側のガスバーナ5の火力調節ができる。火力調節つまみ17は、点火スイッチ12の上方に設けられ、上火用調整つまみ17Aと下火用調整つまみ17Bとを上下に備える。上火用調整つまみ17Aは、略左右方向におけるスライド操作によって、グリル庫の上バーナの火力調節ができる。下火用調整つまみ17Bは、略左右方向におけるスライド操作によって、グリル庫の下バーナの火力調節ができる。
一方、グリル扉24の左側の領域には、点火スイッチ13、火力調節つまみ18、電池ケース14等がそれぞれ設けられている。点火スイッチ13は、グリル扉24の左側に隣接して設けられ、左側のガスバーナ5の点火/消火の操作を行う。火力調節つまみ18は、点火スイッチ13の上方に設けられ、略左右方向におけるスライド操作によって、左側のガスバーナ5の火力調節ができる。電池ケース14は、点火スイッチ13の左隣に設けられ、こんろ1の電源として、例えば二つの乾電池(図示せず)を格納する。
図3から図5を参照して、トッププレート3およびトッププレート3におけるバーナ開口4,4の周辺部の構造について説明する。図3に示すように、トッププレート3は、筐体2の上面開口部に対応する大きさの矩形状に形成されている。トッププレート3の上面31における後方には、左右に延びる略長方形状の孔部であるグリル排気口7が設けられている。グリル排気口7は、前述のグリル庫と連通して、グリル庫内部の排気を行う。また、グリル排気口7の左右の両側には、排気口カバー8を位置決めするための複数の孔部7Bが設けられている。
トッププレート3の外縁には、上面31から延設された板金が筐体2上部の外周に沿うように下方に折り返された外周部39が設けられている。トッププレート3は、筐体2の上部に配置された後、外周部39の複数の所定位置においてねじ止めされて筐体2に固定される。
トッププレート3の上面31における略中央には、バーナ開口4,4を含み、上面31よりも一段下方に窪んだ部分である中央凹部32が設けられている。中央凹部32は、上面31よりも下方に設けられているので、例えばこんろ1の使用において生じた煮こぼれを受け止めることができる。これにより、こんろ1は、煮こぼれが上面31に向けて流出したり、上面31および外周部39を介して筐体2に向けて流出したりすることを防止できる。また、こんろ1は、筐体2に対するトッププレート3の固定のためのねじ止め部分を、トッププレート3の上面31および中央凹部32に設けていないので、上側から見たトッププレート3の美観が保たれる。また、こんろ1は、煮こぼれを直接に受けにくい外周部39にねじ止め部分を設けることで、ねじ孔の隙間を介して浸入した煮こぼれ等の液体が、トッププレート3の下面および筐体2の内部に汚れや錆等を引き起こす可能性を低減できる。
図3に示すように、中央凹部32において、バーナ開口4,4およびその周辺部は、それぞれ同じ構成を備える。バーナ開口4は、略円孔である。バーナ開口4の周縁部には、五徳装着部33が設けられている。五徳装着部33は、トッププレート3に五徳50を配置するために設けられる部位である。また、五徳装着部33は、バーナ開口4の周囲を上方から覆うことで、煮こぼれがバーナ開口4とガスバーナ5との間の隙間から筐体2内へ浸入することを防止している。本実施形態では、五徳装着部33は、プレス加工によってトッププレート3に一体に成型されている。
五徳装着部33は、円環部332、接続部333、電極挿通部334、熱電対挿通部335、凹部336,337,338を備える。円環部332は、中央凹部32に対して上方に隆起してバーナ開口4の周縁部を取り囲む円環状の部分である。接続部333は、中央凹部32と円環部332とを接続する部分である。接続部333の外周部に、後述する五徳リング51(図6参照)が装着される。
電極挿通部334は、円環部332の後側において、点火電極5Dを円環部332の下面側から上面側へ挿通させるための部位である。電極挿通部334は、円環部332において、点火電極5Dの設置位置に対応する位置に配置されている。熱電対挿通部335は、円環部332における電極挿通部334の右側において、熱電対5Eを円環部332の下面側から上面側へ挿通させるための部位である。熱電対挿通部335は、円環部332において、熱電対5Eの設置位置に対応する位置に配置されている。本実施形態では、電極挿通部334および熱電対挿通部335は、ともにバーナ開口4に連続した凹みとして設けられている。詳細には、電極挿通部334および熱電対挿通部335は、バーナ開口4の後側の点火電極5Dおよび熱電対5Eに対応する部分が、円環部332の後側および右斜め後側のそれぞれに向けて広げられた形状で設けられている。
凹部336,337,338は、接続部333の外側に嵌め合わされる五徳リング51に設けられている後述の三つの突起部6(図7参照)のそれぞれを受け入れて、五徳装着部33に対して五徳50を位置決めするための部位である。図4に示すように、凹部336は、五徳装着部33の正面において、接続部333から円環部332の径方向内側へ向けて窪んだ平面視略U字形状に形成されている。凹部336の内側には、上下方向において円環部332と中央凹部32との間の位置に配置される段部336Aが設けられている。段部336Aの中央凹部32に対する高さは、後述する五徳50の突起部6の形状に対応した高さである(図7参照)。凹部337は、五徳装着部33において、凹部336からバーナ開口4の中心Pを中心として反時計回りに略120度回転した位置に設けられている。凹部337は、凹部336と同様に、接続部333から円環部332の径方向内側へ向けて窪んだ平面視略U字形状で形成されている。凹部338は、五徳装着部33において、凹部336から中心Pを中心として時計回りに略120度回転した位置に設けられている。凹部338は、凹部336,337と同様に、接続部333から円環部332の径方向内側へ向けて窪んだ平面視略U字形状で形成されている。凹部337,338の内側には、段部336Aと同様の段部337A,338Aがそれぞれ設けられている。
こんろ1において、凹部337,338、電極挿通部334および熱電対挿通部335を含む五徳装着部33は、板金をプレス加工することで形成される。このため、仮に、電極挿通部334および熱電対挿通部335に近接して凹部337,338が設けられると、その部分において五徳装着部33の板金強度が低下しやすくなったり、プレス加工時において歪み等が生じやすくなったりする可能性がある。そこで、本実施形態では、凹部337,338のそれぞれが、円環部332に配置された電極挿通部334および熱電対挿通部335を互いに挟む位置に配置されている。こんろ1は、凹部337,338、電極挿通部334および熱電対挿通部335をこのようの配置することで、凹部337,338、電極挿通部334および熱電対挿通部335のそれぞれを離間させることができる。これにより、凹部337,338、電極挿通部334および熱電対挿通部335とのそれぞれが円環部332に形成されるためのスペースが十分に確保される。従って、凹部337,338、電極挿通部334および熱電対挿通部335を含んで成型される五徳装着部33の強度が低下しにくい。また、五徳装着部33の成型歪みの発生が低減される。特に、本実施形態では、五徳装着部33がトッププレート3とともに一体にプレス加工される。仮に五徳装着部33に成型歪みが発生したトッププレート3は、こんろ1に使用できない。こんろ1は、上記のようにして五徳装着部33の成型歪みの発生を低減できるので、トッププレート3の歩留りを向上させることができる。また、このような凹部337,338、電極挿通部334および熱電対挿通部335の配置の工夫により、五徳装着部33を大きくすることなく、凹部337,338、電極挿通部334および熱電対挿通部335のそれぞれを離間させることができる。このため、五徳装着部33を小型化できるので、こんろ1の美観が向上する。
図5に示すように、バーナ開口4の縁部41の上側は、バーナ開口4の内側へ向けて上方にやや傾斜した形状に形成されている。また、バーナ開口4の縁部の板金端部は下方に折り曲げられている。円環部332は、バーナ開口4の周縁部に設けられ、バーナ開口4の縁部41の下端部からバーナ開口4の径方向外側へ向けて広がる平面部である。接続部333は、中央凹部32から立ち上がるとともに、上部において円環部332の外周縁部に接続する。接続部333のうち中央凹部32から立ち上がる部分333Bは、所定の曲率半径で円弧状に形成され、中央凹部32と接続部333とを滑らかに接続している。接続部333のうち円環部332に接続する部分333Aは、部分333Bの曲率半径よりも大きな所定の曲率半径で円弧状に形成され、上方に湾曲している。このため、接続部333のいずれの部分も、円環部332よりも下方に位置する。
このように、円環部332は、バーナ開口4の縁部41から、接続部333の部分333Aに接続する位置までの領域である。ここで、バーナ開口4の中心Pから、円環部332と接続部333との境界である円環部332の外周縁部までの距離をL1とする。
図6から図8を参照して、五徳50の構造について説明する。図6に示すように、五徳50は、五徳リング51、三つの五徳爪52、三つの五徳爪53を主に備える。五徳リング51は、耐熱性を有する金属線材による円環形状であり、五徳50の基部をなす。五徳リング51は、五徳50をトッププレート3上に載置するときに、接続部333の外周部を囲むようにして五徳装着部33に装着される部分である。
三つの五徳爪52および三つの五徳爪53は、五徳リング51において周方向に所定間隔を置いて等間隔に配置される、耐熱性を有する金属製である。三つの五徳爪52および三つの五徳爪53は、五徳リング51に立設されて、五徳50に載置される被加熱物を下側において支持する。五徳爪52と五徳爪53とは、五徳リング51に対して周方向に交互に配置されている。一つの五徳爪52と他の五徳爪52との間隔は、五徳リング51の周方向に互いに120度間隔である。また、一つの五徳爪53と他の五徳爪53との間隔は、五徳リング51の周方向に互いに120度間隔である。このため、一つの五徳爪52と隣り合う他の五徳爪53との間隔は、五徳リング51の周方向に互いに60度間隔である。これらの三つの五徳爪52および三つの五徳爪53のそれぞれは、平面視において五徳リング51の中心Q側から径方向外側に向けて突出した放射状に配置されている。五徳爪52と五徳爪53とは、五徳爪52および五徳爪53が五徳リング51に対して取り付けられる部位の形状が互いに異なるが、その他の部分は同一の形状を有している。
五徳爪52および五徳爪53の形状について詳細に説明する。図7に示すように、五徳爪52および五徳爪53は、ともに、正面視において五徳リング51の内側に向けて開口する略U字形状である。五徳爪52は、下アーム部523、上アーム部521および屈曲部522を備える。下アーム部523は、五徳爪52の下部において、五徳リング51の外周部から五徳リング51の径方向外側に向けて延びる部分である。屈曲部522は、五徳リング51の径方向外側に向けて屈曲した形状を有し、五徳リング51の径方向外側の位置において下アーム部523に接続して上方に延びる部分である。上アーム部521は、屈曲部522の上部に接続して五徳リング51の径方向外側から五徳リング51の中心Qに向けて延び、五徳50に載置される被加熱物を下側から支持する部分である。
五徳爪53は、五徳爪52と同様に、下アーム部533、屈曲部532および上アーム部531を備える。五徳爪52の上アーム部521および屈曲部522は、五徳爪53の上アーム部531および屈曲部532のそれぞれと同一形状である。五徳爪52の下アーム部523と、五徳爪53の下アーム部533とは、五徳リング51の径方向内側の端部の形状が互いに異なる。
図7のW1領域内に示すように、五徳爪52の下アーム部523における五徳リング51の径方向内側の端部には、突起部6が形成されている。突起部6は、下アーム部523が五徳リング51に取り付けられる位置に対応する五徳リング51の内縁部511から五徳リング51の径方向内側に向けて突出する部位である。本実施形態では、下アーム部523における五徳リング51の径方向内側の端部が、五徳リング51の内縁部511から五徳リング51の径方向内側に向けて延設されることで、突起部6が形成される。突起部6は、五徳リング51が五徳装着部33に装着されたときに、前述の五徳装着部33に設けられている凹部336,337,338に受け入れられる。これにより、五徳装着部33に装着された五徳50は、五徳装着部33に対して回転しないように固定される。
回り止めされる。
突起部6は、上突出部61と下突出部62とを備える。上突出部61は、突起部6のうち最も五徳リング51の径方向内側に向けて突出する部位であり、突起部6の上部に設けられている。五徳50が五徳装着部33に対して装着された場合の中央凹部32から上突出部61の下端部611までの高さは、中央凹部32に対する凹部336,337,338の段部336A,337A,338Aの高さに対応している。このため、凹部336,337,338に受け入れられた突起部6は、段部336A,337A,338Aのそれぞれの上側に、上突出部61の下端部611を配置させる。上突出部61の五徳リング51の径方向内側の端部は、所定の曲率半径の円弧状に形成されている。このため、上突出部61は、凹部336,337,338の内部を傷めにくい。
下突出部62は、突起部6のうち上突出部61に次いで五徳リング51の径方向内側に向けて突出する部位であり、突起部6の下部に設けられている。下突出部62は、上突出部61の下側において、五徳リング51の内縁部511から五徳リング51の径方向内側に向けて突出している。突起部6が凹部336,337,338に受け入れられたときに、下突出部62における五徳リング51の径方向内側の端部である内端部621は、凹部336,337,338の段部336A,337A,338Aよりも外側の位置に配置される。内端部621は、下突出部62において最も五徳リング51の径方向内側に向けて突出する部位である。下突出部62の下側の端部である下端部622は、五徳リング51の下縁部の僅かに下方に配置される。本実施形態では、五徳リング51において三つの下端部622が配置されるので、五徳リング51が五徳装着部33に装着された場合、五徳50は三つの下端部622を支点として中央凹部32において安定して載置される。内端部621と下端部622とのなす角部は、上突出部61の端部と同様に所定の曲率半径の円弧状に形成されているので、凹部336,337,338の内部および凹部336,337,338に対応する位置の中央凹部32の上面を傷めにくい。図8に示すように、五徳リング51の中心Qから下突出部62の内端部621までの距離をL2とする。
一方、図7のW2領域内に示すように、五徳爪53の下アーム部533おける五徳リング51の径方向内側の端部には、突起部6に相当する五徳リング51の内周縁から五徳リング51の径方向内側に向けて突出する部位は設けられていない。即ち、三つの五徳爪52および三つの五徳爪53のうち、三つの五徳爪52に突起部6が設けられている。
図6に示すように、五徳リング51の中心Qを通過する仮想直線Sを左右方向に延ばして配置した場合、三つの五徳爪52のうち一つの五徳爪52は、五徳リング51において仮想直線Sよりも前側の部分に配置される。また、三つの五徳爪52のうち他の二つの五徳爪52は、五徳リング51において仮想直線Sよりも後側の部分に配置される。即ち、五徳リング51の内周縁に設けられる三つの突起部6のうち一つの突起部6は五徳リング51において仮想直線Sよりも前側の部分に、他の二つの突起部6は五徳リング51において仮想直線Sよりも後側の部分に、それぞれ配置される。このように、三つの五徳爪52が五徳リング51において仮想直線Sを挟んだ両側の部分に分散して配置される。このため、例えば突起部を有する五徳爪52が五徳リング51対して二つしか設けられない場合に比べて、五徳50が五徳装着部33に対して安定して位置決めされる。
図9を参照して、五徳装着部33に対する五徳50の装着について説明する。図9に示すように、五徳リング51が接続部333の外周部に装着されることで、五徳50がトッププレート3の中央凹部32における五徳装着部33に装着される。五徳50が五徳装着部33に装着される際には、三つの五徳爪52のうち一つの五徳爪52が五徳装着部33の正面に配置される凹部336に対応する位置に配置される。また、三つの五徳爪52のうち他の二つの五徳爪52は、五徳装着部33の後面側に配置される凹部337,338に対応する位置に配置される。これにより、三つの五徳爪52それぞれの下アーム部523における五徳リング51の径方向内側の端部に形成された突起部6が、凹部336,337,338のそれぞれに受け入れられる。ここで、凹部336が五徳装着部33の正面側に配置されているので、凹部336に受け入れられる突起部6に対応する五徳爪52は、筐体2に対して正面側を向くように配置される。このため、こんろ1は、五徳50に載置される被加熱物を、筐体2の正面側に、より傾きにくくできる。
本実施形態では、五徳50の三つの突起部6および凹部336,337,338が、五徳リング51および五徳装着部33のそれぞれにおいて周方向に120度間隔で配置されている。仮に、五徳リング51に対して突起部6を有する五徳爪52が二つ設けられる場合、突起部6の個数に対応して五徳装着部33に二つの凹部が設けられる。また、二つの突起部6および二つの凹部は、五徳リング51および五徳装着部33のそれぞれにおいて周方向に180度離間し、互いに対向する位置に設けられることがある。このような場合、五徳リング51を五徳リング51の周方向に180度回転させる毎に、二つの突起部6と二つの凹部とが対応する位置に配置されて、五徳装着部33に対して五徳リング51が装着される。これに対し、本実施形態では、五徳リング51は120度回転される毎に、五徳装着部33に対して五徳50に装着される。従って、五徳50が五徳装着部33に対して正しく装着されやすい。また、こんろ1の使い勝手が向上する。
図10および図11を参照して、五徳50が五徳装着部33に対して正しく装着されていない場合について説明する。図10に示すように、五徳50の五徳爪52の突起部6が五徳装着部33の正面に配置される凹部336に対して正しく位置決めされていない状態で、五徳装着部33に五徳50を装着しようとした場合、突起部6は、五徳装着部33の円環部332の上側に乗り上げ、五徳50が斜めに傾いた状態となる。このような、五徳50が五徳装着部33に対して正しく装着されていない状態を、以下、誤装着状態と称する。
前述のように、本実施形態では、五徳リング51において突起部6が三つ配置されるので、三つの突起部6それぞれの下端部622を支点として、五徳50を平面の上に載置することができる。ここで、バーナ開口4の中心Pから円環部332の外周縁部までの距離であるL1(図5参照)は、五徳リング51の中心Qから下突出部62の内端部621までの距離であるL2(図8参照)よりも短くされている。このため、五徳リング51を円環部332の上側に載置しようとする場合、五徳リング51の三つの下端部622のうち少なくとも一つの下端部622は円環部332の径方向外側に配置される。円環部332の径方向外側には、円環部332よりも下方に位置する接続部333が設けられている。このため、円環部332の径方向外側に配置された下端部622は、円環部332の径方向内側に配置された下端部622よりも下方に配置される。このため、五徳リング51は、円環部332の径方向外側に配置された下端部622を下側に向けて傾斜する。また、円環部332の径方向外側に配置された下端部622は、接続部333の上側に配置された後、接続部333の上面に沿って中央凹部32に向けて、さらに下方に移動しやすい。即ち、五徳50および五徳装着部33は、五徳装着部33の円環部332の上側に、五徳リング51の三つの下端部622の全てを同時に載置できないように構成されている。
例えば、突起部6が五徳装着部33の正面に配置される凹部336に正しく嵌め込まれず、凹部336近傍の円環部332に突起部6が乗り上げた誤装着状態の場合、図10および図11に示すように、五徳50は五徳装着部33に対して後方に傾斜した姿勢をとる。このような誤装着状態における五徳50の姿勢は、五徳50が五徳装着部33に対して正しく装着されている状態の姿勢(図9参照)とは異なる。なお、図10および図11は、誤装着状態の五徳50が五徳装着部33に対して後方に向けて傾斜する様子が示されているが、誤装着状態の五徳50は、この他、前方、左方、右方など、五徳装着部33に対して様々な方向に傾き得る。誤装着状態における五徳50が五徳装着部33に対していずれの方向に傾斜していても、こんろ1の使用者は、五徳50が誤装着状態にあることを一見して把握できる。こんろ1は、誤装着状態の五徳50が五徳装着部33に対して傾斜した姿勢をとるようにすることで、少なくとも五徳50の上に被加熱物を載置してこんろ1を使用する前までに、五徳50が誤装着状態にあることを、使用者にわかりやすく示すことができる。ひいては、五徳50が誤装着状態にあるまま、こんろ1が使用されることが防止される。
以上説明したように、本実施形態のこんろ1では、バーナ開口4の中心Pから円環部332の外周縁部までの距離であるL1が、五徳リング51の中心Qから突起部6のうち下突出部62の内端部621までの距離であるL2よりも短くされている。このため、五徳リング51の三つの突起部6が、五徳装着部33の凹部336,337,338のそれぞれに受け入れられず、五徳50が誤装着状態にある場合、五徳リング51の三つの下端部622の全てが円環部332の上側に載置されることがない。五徳リング51の三つの突起部6における下端部622のうち少なくとも一つの下端部622は、接続部333の上側に配置された後、接続部333の上面に沿って中央凹部32に向けて下方に移動する。この場合、五徳50は五徳装着部33に対していずれかの方向に傾斜した姿勢をとることになる。従って、こんろ1は、五徳50が誤装着状態にあることを、こんろ1の使用者に一見で把握させることができ、ひいては、五徳50が誤装着状態のまま、五徳50に調理容器等の被加熱物が載置されてこんろ1が使用されることを防止できる。
こんろ1において、五徳リング51の内縁部511に三つの突起部6が設けられている。三つの突起部6ののうち一つの突起部6は、に対して、五徳リング51の中心Qを通過して左右方向に延びる仮想直線Sよりも、五徳リング51において前側の部分に配置される。また、三つの五徳爪52のうち他の二つの五徳爪52は、五徳リング51において仮想直線Sよりも後側の部分に配置される。三つの突起部6が、五徳リング51において仮想直線Sを挟んだ両側の部分に分散して配置されるので、例えば突起部を有する五徳爪52が五徳リング51に対して二つしか設けられない場合に比べて、五徳50が五徳装着部33に対して安定して位置決めされる。なお、このように五徳リング51に三つの突起部6が設けられることで、五徳リング51に対して突起部が二つしか設けられない従来例よりも、五徳50は三つの下端部622を支点として中央凹部32等の平面上に安定して載置される。この点、前述の距離L1が、同じく前述の距離L2よりも短くされているので、三つの下端部622うち少なくとも一つの下端部622は円環部332の上側に載置されることがなく、誤装着状態の五徳50は五徳装着部33に対して傾斜する。従って、こんろ1は、安定性の向上した五徳50を使用した場合にも、五徳50が誤装着状態にあることを使用者に一見で把握させることができる。
こんろ1は、五徳リング51において、五徳リング51の周方向に60度間隔で交互に配置される三つの五徳爪52および三つの五徳爪53を備える。突起部6は、三つの五徳爪52のそれぞれの下アーム部523における五徳リング51の径方向内側の端部が、五徳リング51の内縁部511から五徳リング51の径方向内側に向けて延設されることで設けられる。即ち、三つの突起部6は、五徳リング51において五徳リング51の周方向に120度間隔で配置される三つの五徳爪52の五徳リング51に対する取付位置に対応して設けられる。このため、五徳リング51を120度回転させる毎に、五徳装着部33に対して五徳50を正しく装着できる。五徳装着部33に対して五徳50が正しく装着されやすいので、五徳50が誤装着状態になることが防止される。また、こんろ1の使い勝手が向上する。
凹部336は、五徳装着部33の正面側に配置される。このため、凹部336に受け入れられる突起部6に対応する五徳爪52は、筐体2に対して正面側を向くように配置される。従って、五徳50に載置される被加熱物が、筐体2の正面側に転倒することが防止される。また、点火電極5Dおよび熱電対5Eは、バーナヘッド5Bの後方の炎口5A近傍に配置される。このため、筐体2正面側からこんろ1を使用する使用者から点火電極5Dと熱電対5Eが視認されにくく、こんろ1の美観が向上する。点火電極5Dおよび熱電対5Eを円環部332の下面側から上面側へ挿通させる電極挿通部334および熱電対挿通部335は、円環部332において、点火電極5Dおよび熱電対5Eの設置位置に対応する位置に配置されている。凹部336,337,338は円環部332の周方向に120度間隔で配置されるが、このうち、凹部337,338は、円環部332において、電極挿通部334および熱電対挿通部335を互いに挟む位置に配置されている。このため、凹部337,338と電極挿通部334および熱電対挿通部335との間に所定の間隔が設けられる。これにより、凹部337,338と電極挿通部334および熱電対挿通部335が設けられる箇所における、板金のプレス代(しろ)が不足することが防止され、五徳装着部33の成型歪みの発生が低減される。五徳装着部33がトッププレート3とともに一体に成型される場合等には、トッププレート3の歩留りの向上に特に資する。また、このように凹部337,338、電極挿通部334および熱電対挿通部335の配置を工夫することで、五徳装着部33を大きくすることなく、五徳装着部33の成型歪みの発生を低減できる。従って、五徳装着部33は小型化され、こんろ1の美観が向上する。
本実施形態において、こんろ1が、本発明の「こんろ」に相当する。ガスバーナ5が、本発明の「バーナ」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。バーナ開口4が、本発明の「バーナ開口」に相当する。トッププレート3が、本発明の「天板」に相当する。五徳装着部33が、本発明の「五徳装着部」に相当する。五徳50が、本発明の「五徳」に相当する。五徳リング51が、本発明の「五徳リング」に相当する。三つの五徳爪52および三つの五徳爪53が、本発明の「複数の五徳爪」に相当する。突起部6が、本発明の「突起部」に相当する。円環部332が、本発明の「円環部」に相当する。接続部333が、本発明の「接続部」に相当する。凹部336,337,338が、本発明の「凹部」に相当する。点火電極5Dが、本発明の「点火手段」に相当する。熱電対5Eが、本発明の「検知手段」に相当する。電極挿通部334および熱電対挿通部335が、本発明の「挿通部」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、五徳装着部33に設けられる凹部336,337,338の形状は、上記実施形態のものに限られず、種々に変更できる。以下、本発明の変形例について説明する。
図12を参照して、本発明の変形例について説明する。変形例として、上記実施形態の五徳装着部33において、凹部346,347,348が設けられた例について説明する。円環部332、接続部333、電極挿通部334、熱電対挿通部335については、上記実施形態と同様であるので、説明を省略する。図12に示すように、変形例における凹部346は、五徳装着部33の正面において、接続部333から円環部332の径方向内側へ向けて窪んだ形状で設けられている。凹部347,348のそれぞれは、凹部346からバーナ開口4の中心Pを中心として反時計回りおよび時計回りに略120度回転した位置において、接続部333から円環部332の径方向内側へ向けて窪んだ形状で、設けられている。凹部346,347,348はそれぞれ同様の形状を有しているので、凹部346に着目して説明する。
凹部346は、平面視で、円環部332の内側から接続部333の外側に向けて開口する穴部である。凹部346の円環部332の内側の端部から接続部333の外側の開口部に向けて、凹部346の形成する穴部は徐々に拡幅している。この場合、凹部346,347,348は、上記実施形態の凹部336,337,338よりも突起部6を受け入れやすくなるので、五徳50を五徳装着部33に対して容易に装着でき、こんろ1の使い勝手が向上する。また、凹部346,347,348の内部の清掃性が向上するので、こんろ1の使用者は、こんろ1を衛生的に使用できる。変形例において、凹部346,347,348が本発明の「凹部」に相当する。
なお、本発明は、上記の実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、五徳装着部33は、トッププレート3と一体に成型されているが、これに限られず、五徳装着部33がトッププレート3とは別体に構成されていてもよい。
接続部333は、円環部332よりも下方に位置する部分であればよく、例えば、接続部333は、上下方向において円環部332と中央凹部32との間の位置において、円環部332から一段下がった段落ち部であってもよい。また、接続部333は、円環部332の外周縁部と中央凹部32とを接続する斜面部であってもよい。
電極挿通部334および熱電対挿通部335は、ともにバーナ開口4に連続した凹みとして設けられていなくてもよく、例えば、バーナ開口4とは独立した孔部として円環部332における点火電極5Dおよび熱電対5Eの設置位置に対応する位置に配置されてもよい。
凹部336,337,338は、五徳装着部33において、必ずしも接続部333の外側から円環部332の内側へ向けて窪んだ形状で設けられていなくてもよい。例えば、凹部336,337,338の窪んだ形状が、接続部333のみに留まるものであってもよい。五徳50の突起部6の形状は、五徳50を五徳装着部33に対して位置決めするのに適した種々の形状を採用可能であるとともに、突起部6を受け入れる凹部336,337,338の形状も突起部6の形状に応じた種々の形状を採用可能である。
上記実施形態では、五徳爪52は突起部6を有し、五徳爪52は、五徳リング51に対して三つ設けられているが、五徳リング51は、五徳爪52を二つ備えてもよいし、四つ以上の五徳爪52を備えてもよい。この場合、五徳爪52の配置および個数に応じて、五徳装着部33に設ける凹部336,337,338の配置および個数を変更してもよい。
突起部6は、必ずしも五徳爪52の下アーム部523における五徳リング51の径方向内側の端部に設けられなくてもよい。例えば、突起部6と同様の用途をなす突起等が、五徳爪52の五徳リング51に対する取付位置とは異なる位置において、五徳リング51の内縁部511から五徳リング51の径方向内側に向けて突出して設けられてもよい。また、このような突起等は、五徳リング51に二つ以上設けられていればよい。この場合、五徳リング51における突起等の配置および個数に応じて、五徳装着部33に設ける凹部336,337,338の配置および個数を変更してもよい。
ガスバーナ5に点火するための手段は、上記実施形態の点火電極5Dに限られず、燃料ガスを含む混合気に点火可能なヒータ等であってもよい。また、上記実施形態のこんろ1は、ガスバーナ5を備えるガスこんろであるが、例えば石油等の液体燃料を含むその他の燃料を用いる種々のこんろであってもよい。