JP2017014398A - ポリアミド系樹脂発泡体 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、ポリアミドに架橋剤を添加して、得られた混合物を押出発泡させて発泡体とする方法を記載している。
また、特許文献2には、ポリアミドに、1分子中に3個以上のカルボン酸無水物基を持った化合物、又はα、β−不飽和カルボン酸無水物と、スチレン及び/又はオレフィンとの(共)重合体を添加して、押し出して発泡させる方法を記載している。この場合、架橋剤を中心としてポリアミドが三次元的に結合することで、溶融粘度は飛躍的に向上する。
そこで、本発明は、耐熱性、押出加工性、押出発泡性に優れたポリアミド系樹脂発泡体を提供することを目的とする。
〔1〕融点+30℃の温度で測定した、周波数0.1rad/sでの溶融粘度(A)と、周波数10rad/sでの溶融粘度(B)との比(A/B)が3〜7であるポリアミド系樹脂を含むポリアミド系樹脂組成物からなることを特徴とする、ポリアミド系樹脂発泡体。
〔2〕上記ポリアミド系樹脂組成物が、上記ポリアミド系樹脂100質量部に対して架橋剤を0.05〜7質量部含有する、〔1〕に記載のポリアミド系樹脂発泡体。
〔3〕上記架橋剤がイソシアヌレート系化合物である、〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド系樹脂発泡体。
本発明のポリアミド系樹脂発泡体は、特に、高温条件下で使用される自動車部材に好適に用いることができる。
上記ポリアミド系樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド系樹脂の製造方法は、特に限定されず、バッチ式でも連続式でもよい。重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、及びニーダー等の押出機型反応器等が挙げられる。
本実施形態の架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
押出性と発泡性を両立させるためには、周波数0.1rad/sでの溶融粘度(A)と周波数10rad/sでの溶融粘度(B)のバランスが重要であり、(A)と(B)の比が適切な範囲内にあることが望ましい。
(A)と(B)の比が3より低いと、押出発泡時に破泡しやすく、シート形状の維持が困難であり、所望の発泡体を得ることが難しい場合やトルクオーバーにより押出が困難になる場合がある。また、発泡シートの引き取り速度が速くなると裂けやすくなる。
また、(A)と(B)の比が7より高いと、押出発泡時に気泡の成長が阻害され、高い発泡倍率の発泡体が得にくく、発泡シートが引き取り時に裂ける要因にもなる。
なお、予備発泡粒子とは、最終段階の発泡を行っていない発泡性を有する粒子をいう。
また、本実施形態のポリアミド系樹脂発泡体の独立気泡率としては、75%以上であることが好ましい。独立気泡率が75%以上であることにより、発泡体の強度を高く維持すること、ならびに高い断熱性能を発揮することができる。
[原材料]
<<(a)ポリアミド系樹脂>>
(a−1)PA6(Tm2:220℃、ΔH:59J/g、96%硫酸粘度ηr:3.9)
(a−2)PA66(Tm2:260℃、ΔH:56J/g、96%硫酸粘度ηr:2.5)
<<(b)架橋剤>>
(b−1)トリメタリルイソシアヌレート
(b−2)トリアリルイソシアヌレート
<<その他の成分>>
気泡調整剤:タルク(平均粒子径 6μm)
有機過酸化物:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
(1)融点Tm2(℃)、融解熱量ΔH(J/g)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製DSC7を用いて、後述の実施例及び比較例で用いたポリアミド系樹脂の融点Tm2(℃)及び融解熱量ΔH(J/g)を測定した。具体的には、以下のとおり測定を行った。まず、窒素雰囲気下、サンプル約10mgを、室温からサンプルの融点に応じて300〜350℃まで、昇温速度20℃/minで昇温した。このときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とした。次に、昇温の最高温度で温度を2分間保った。この最高温度ではポリアミド系樹脂は溶融状態であった。その後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した。その後、30℃からサンプルの融点に応じて300〜350℃まで、昇温速度20℃/minで昇温した。このときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最高ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とした。
融点Tm2を、ポリアミド系樹脂の融点(℃)とした。
JIS−K6810に準じて、後述の実施例及び比較例で用いたポリアミド系樹脂の25℃の硫酸相対粘度ηrの測定を実施した。具体的には、96%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(96%硫酸100mL)の割合)を作製し、得られた溶解液を用いて25℃の温度条件下で硫酸相対粘度ηrを測定した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド系樹脂組成物を、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて成形することにより、長さ60mm×巾60mm×厚さ1.0mmの成形片を作製した。そこから1mmφの円柱形状サンプルをプレスにより作製し、溶融粘度測定装置[ARES−G2:TA INSTRUMENTS社製]を用いて、溶融粘度を測定した。測定条件は、周波数を100〜0.01rad/s、プレート径25φmm、ギャップ間隔0.05mm、測定温度をポリアミド系樹脂の融点(Tm2)+30℃とした。
そして、「(周波数0.1rad/sの溶融粘度)/(周波数10rad/sの溶融粘度)」を算出した。
後述の実施例及び比較例で得られたポリアミド系樹脂発泡体について、質量W(g)を測定した後、水没法により、発泡体の見かけの容積Va(cm3)を測定した。そして、その質量Wを見かけの容積Vaで除した値W/Va(g/cm3)を、発泡体の密度とした。
前述の(4)において見かけの容積Vaを測定した発泡体について、その真の容積(Vx)を空気比較式比重計(ベックマン(株)社製)を用いて測定した。そして、下記の式1に従って、独立気泡率S(%)を算出した。
S(%)={(Vx−W/ρ)/(Va−W/ρ)}×100 ・・・式1
(式中、Vxは、発泡体の真の容積(cm3)であり、Vaは、発泡体の見かけの容積(cm3)であり、Wは、発泡体の質量(g)であり、ρは、発泡体の基材樹脂の密度(g/cm3)である。)
後述の実施例及び比較例で得られたポリアミド系樹脂発泡体の押出方向(MD方向)と直交する面を走査型電子顕微鏡を用いて撮影し、その写真において少なくとも100個の隣接するセルの円相当径をセル径とし、それらの100個の平均値を求め、これを任意の三箇所において行い、三箇所で得られた3つの平均値を平均した値を平均セル径とした。
実施例及び比較例で記載したポリアミド系樹脂組成物のペレットを、スクリュー径30mmの二軸押出機(商品名「TEX30α」、日本製鋼所製)により押出加工した。該押出加工の際、シリンダーの温度を、ポリアミド系樹脂の融点(Tm2)+30℃に設定し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hに設定した。押出開始から30分後〜3時間後の時間帯に5本のストランドを引いたときに、安定的にストランドが引き取れた本数を目視により、以下のような基準に従って評価した。該安定的に引き取れたストランドの本数が多いほど、押出加工性に優れると判断した。
○:5本のストランドのうち、5本とも引取可能
△:5本のストランドのうち、3〜4本が引取可能
×:5本のストランドのうち、0〜2本が引取可能
実施例及び比較例で得られた押出発泡シートを観察し、押出発泡性を以下のような基準に従って評価した。
○:自重によるシートの垂れ下がりやダイ詰まりなどが発生せず、押出発泡シートの製造開始から2時間継続して、安定して、シートが得られた。
△:押出発泡シートの製造開始から2時間以内に、自重によるシートの垂れ下がりや断続的なダイ詰まりの発生などが起こり、シートに裂けが生じる等シートの成形が不安定であった。発生したダイ詰まりは、樹脂を押し出す圧力で解消し、再びシートの成形が可能となり、2時間継続してシートが得られた。
×:押出発泡シートの製造開始から2時間以内に、自重によるシートが垂れ下がりや継続的なダイ詰まりの発生などが起こり、シートの成形が困難であった。
フィッシュテールダイから出てきた押出発泡シートを引取装置で引き取った際に、シートが裂ける等して引取不可になる引取速度を測定して、伸縮性を評価した。
その引取速度が速いほど、コルゲートの抑制が容易になるなど押出加工性が優れると判断した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド系樹脂発泡体のシート表面のコルゲートの有無を、目視で確認した。コルゲートが見られた場合を「有」、見られなかった場合を「無」とした。
ポリアミド系樹脂(a−1)100質量部、架橋剤(b−1)0.2質量部と気泡調整剤0.1質量部を30mmφ二軸押出機により溶融混練し、ペレット状のポリアミド系樹脂組成物を作製した。該押出加工の際、シリンダーの温度をポリアミド系樹脂(a−1)の融点(Tm2)+30℃に設定し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hに設定した。
得られたポリアミド系樹脂組成物を40mmφ単軸押出機のホッパーに供給して溶融させたのち、押出機バレルの途中から発泡剤としてノルマルブタンを圧入した。ブタン圧入後、樹脂温度を均一にするためのスクリュークーラーを通過させ、フィッシュテールダイ(スリット形状:幅300mm×厚み1mm)からポリアミド系樹脂発泡体の押出発泡シートを得た。各設備の設定温度は、単軸押出機をTm2+30℃、スクリュークーラーをTm2、フィッシュテールダイをTm2+5℃に設定した。
ポリアミド系樹脂、架橋剤、有機過酸化物が表1に記載の種類、添加量であること以外は、実施例1と同様に製造を行った。
評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- 融点+30℃の温度で測定した、周波数0.1rad/sでの溶融粘度(A)と、周波数10rad/sでの溶融粘度(B)との比(A/B)が3〜7であるポリアミド系樹脂を含むポリアミド系樹脂組成物からなることを特徴とする、ポリアミド系樹脂発泡体。
- 前記ポリアミド系樹脂組成物が、前記ポリアミド系樹脂100質量部に対して架橋剤を0.05〜7質量部含有する、請求項1に記載のポリアミド系樹脂発泡体。
- 前記架橋剤がイソシアヌレート系化合物である、請求項1又は2に記載のポリアミド系樹脂発泡体。
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