JP4721548B2 - 樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性、耐油性、ガスバリア性、成形加工性に優れる樹脂組成物に関する。更に詳しくは熱可塑性重合体と結晶性樹脂よりなる耐熱性および耐油性、ガスバリア性、成形加工性に優れる樹脂組成物、及び成形体、及び容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
2種類以上の樹脂を混ぜて樹脂材料の機能を高機能化、多様化する方法は、雑貨、包材、家電OA材料、自動車材料等の産業分野で幅広く用いられている。特に、ポリアミド系樹脂は耐熱性、耐油性、ガスバリア性に優れる樹脂であり、これを他樹脂とブレンドすることが盛んに行われている。例えば『ポリマーアロイ活用ノート、井上隆編著(工業調査会発行)』にはポリプロピレン/ポリアミドアロイ、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイ、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)/ポリアミドアロイ等が紹介されており、自動車材料として実用化されていることが報告されている。これらは、ポリアミド系樹脂と相手樹脂の特徴を生かし、また、例えばポリアミド系樹脂の吸水性といった欠点を改良した材料となっている。
【0003】
また、近年は食品容器に耐熱性、耐油性が求められてきている。非晶性熱可塑性樹脂の代表である、ポリスチレン系樹脂は、成形性や剛性が優れている為に各種の食品容器として利用されている。しかしながら、一般に使用されているポリスチレン系樹脂は耐熱性あるいは耐油性が劣り、総菜等を食品容器ごと電子レンジで加熱した場合、容器が変形するあるいは油分の多い材料を入れた個所に穴があく等の問題点がある。
ポリスチレン系樹脂の耐熱性、耐油性を改良する方法として、特開昭62−94539号公報等にスチレン単量体とメタクリル酸単量体との共重合体を利用する方法が開示されている。この材料は、一部電子レンジ対応容器として利用されているが、耐熱性及び耐油性が必ずしも十分でなく使用できる範囲が限られている。
【0004】
更にポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性シート及び発泡シートが特開2000−63536号公報、特開2000−39079号公報等に開示されている。これら公報の実施例は、PS(ポリスチレン系樹脂)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン系樹脂)等のポリスチレン系樹脂とPP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン系樹脂よりなる樹脂シート及び発泡シートを主体としているが、 PS、HIPS等のポリスチレン系樹脂とPA6(ナイロン6)等のポリアミド系樹脂よりなる熱可塑性シート及び発泡シートも記載されている。
【0005】
しかしながら、前者のポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂よりなる熱可塑性シート及び発泡シートは、ポリスチレン系樹脂単独の熱可塑性シート及び発泡シートに比較して耐油性に優れるが必ずしも満足のゆくレベルにない。この理由は、ポリオレフィン系樹脂と油との親和性がまだ高い為である。
後者のポリスチレン系樹脂とポリアミド系樹脂よりなる熱可塑性シート及び発泡シートは、ポリアミド系樹脂は油との親和性が小さい為に耐油性に優れる。しかしながら、高い耐熱性を付与する為には融点の高い結晶性ポリアミド系樹脂を使用することが好ましいが、この融点の高い結晶化ポリアミド系樹脂とポリスチレン系樹脂との組成物を原料としてシート成形あるいは発泡成形する際、目的とする高いレベルの耐熱性、耐油性シートあるいは発泡シートとすることができない。
【0006】
この理由は、シート成形時に高速、大変形の延伸をかける時、あるいは発泡成形時に高速、大変形の延伸を伴う発泡をさせる時、ポリスチレン系樹脂をメイン成分としているが故にポリスチレン系樹脂の固化温度付近の低い温度に設定する(例えば、ポリスチレン系樹脂の発泡温度は120℃付近が一般的である)が、この温度で成形する時、ポリアミド系樹脂は既に結晶化しており、シート成形時、発泡成形時に組成物が延伸されるとポリアミド系樹脂成分は追随して変形することができず成形が困難となる。
【0007】
また、結晶化の起きないような高温でのシート成形、発泡成形は溶融張力が低すぎるために、ダイから出たときに溶融組成物が垂れたり、発泡セルが形成されないために、これも成形が困難となる。結晶化温度が、ポリスチレン系樹脂の固化温度なみに低いポリアミド系樹脂を用いれば、成形の問題が解決される可能性があるが、結晶化温度の低い、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂は結晶化温度の低下と同時に結晶融点も低下してしまうために、目的とする耐熱性の付与は不可能となり、また、ポリスチレン系樹脂の固化温度並みの結晶化温度を持つポリアミド系樹脂は、非常に特殊なものであり、あったとしても非常に高価であり経済性に劣るか、工業的に入手することが難しいものである。
【0008】
以上のように、耐熱性、耐油性を材料に付与するためにポリアミド系樹脂を他樹脂に添加することは提案された技術があるが、これらはポリアミドの高い結晶化温度に起因する成形性が悪いという問題が解決されておらず、現状では、例えば十分な耐熱性、耐油性の電子レンジ対応の容器に適したシートあるいは発泡シートを成形することが可能な組成物が無い。耐熱性、耐油性、ガスバリア性に優れるポリアミド系樹脂を他樹脂とアロイ化し、ポリアミド系樹脂の長所を付与した材料において、発泡成形やシート成形を可能にする材料は材料選択の幅を広げる画期的な技術であり、その技術の出現が待望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ガスバリア性、耐熱性、耐油性、成形加工性に優れる樹脂組成物を提供する事にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を進めた結果、驚くべきことに熱可塑性重合体と結晶性樹脂の樹脂組成物において、結晶性樹脂の結晶化が大幅に遅延され、しかしながら組成物中の結晶性樹脂成分の融点は低下しないことを発見した。そして、この現象が成形加工性にきわめて優れる効果をもたらすことを発見し、いままで成形加工が困難であったために実現不可能であった、結晶性樹脂の持つ耐熱性、耐油性、ガスバリア性等の特徴が最大限に発現された組成物を発明した。
【0011】
すなわち本発明は、
A)官能基(f)を有するビニル芳香族化合物単量体成分と不飽和カルボン酸単量体成分よりなる熱可塑性重合体60重量部以上99重量部以下と
(B)末端に官能基(f)と反応する成分を有する高分子鎖を含む結晶化開始温度が150℃を超えるポリアミド 1重量部以上40重量部未満よりなり、(A)成分が連続相であり、
150℃を超える温度における(B)の結晶性樹脂成分の結晶化エンタルピー(ΔHc1)と(B)の結晶性樹脂成分の融解エンタルピー(ΔHm1)が以下の式を満たし、
X=ΔHc1/ΔHm1
0≦X≦0.5
(B)の結晶性樹脂成分の融点が150℃を超える樹脂組成物であり、
樹脂組成物のメルトフローレート(MI1)と(A)熱可塑性共重合体のメルトフローレート(MI2)の関係が以下の式を満たす樹脂組成物である。
0.01<(MI1/MI2)<5
但し、メルトフローレートはJISK7210に準拠し、結晶性樹脂の融点+30℃かつ2.16Kg荷重で測定した。
【0012】
以下、本発明に関して詳しく述べる。
本発明における(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体の官能基(f)としては、アミノ基(−NH2)、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、不飽和ジカルボン酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、オキサゾリン基等があげられ、これら官能基は熱可塑性重合体の高分子鎖にグラフト結合、あるいはこれら官能基を含む重合性単量体を用い熱可塑性重合体の高分子鎖中に共重合、あるいは熱可塑性重合体の高分子鎖末端に結合させる方法で導入される。
【0013】
(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体の製造方法には何ら制限はない。官能基(f)を有するラジカル反応性の不飽和単量体としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、2−ノルボネン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エチルマレイン酸、無水メチルイタコン酸、無水クロルマレイン酸、2−ノルボネン−5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物単量体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有不飽和単量体をあげることができる。なかでも不飽和カルボン酸単量体、不飽和ジカルボン酸無水物単量体が好ましい。
熱可塑性重合体への官能基の導入方法は、上記ラジカル反応性の不飽和単量体と熱可塑性重合体を構成する他の単量体とを、一般の重合法で共重合する方法、熱可塑性重合体と上記ラジカル反応性の不飽和単量体とを、ラジカル開始剤の存在下に溶融混練する方法等がある。
【0014】
(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体中の官能基を有する単量体の含有割合は、好ましくは0.001重量%〜30重量%、さらに好ましくは0.01重量%〜14重量%であり、とりわけ好ましくは0.02重量%〜10重量%である。0.001重量%未満であると(B)成分との反応が行われず、界面の接着が不充分であり、界面相が延伸、発泡時に破壊され、成形品外観を悪化させたり、得られる成形体の強度が低下するために好ましくない。30重量%を超えると熱可塑性重合体のゲル化等の副反応制御が困難になり、熱可塑性重合体の熱可塑性が低下するため成形加工性が悪化し、また得られる組成物成形体の外観等が悪化し好ましくない。官能基(f)の量はIR法、滴定法などにより定量することができる。
【0015】
官能基(f)を有する熱可塑性重合体であれば、熱可塑性重合体の種類に特に制約はないが、(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体を構成する単量体としては、スチレンのほかo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレンなどのビニル芳香族化合物単量体、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のアルキルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル系単量体、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン(炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。)、ブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物単量体、等があげられる。
【0016】
(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体の熱可塑性重合体としては、これら単量体を単独、あるいは2種類以上を溶液、塊状、縣濁、乳化、アニオン、配位アニオン、縮合重合等の通常の重合法で重合し、さらに官能基(f)を導入した熱可塑性重合体、官能基(f)を有するポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂等があげられ、構造はリニアー型、分岐型、ブロック、ランダム等どのような構造でも構わない。
【0017】
具体例としては、スチレンブタジエンブロック共重合体、スチレンブタジエンランダム共重合体、スチレンイソプレンブロック共重合体、スチレンイソプレンランダム共重合体、水素添加スチレンブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレンブタジエンランダム共重合体、水素添加スチレンイソプレンブロック共重合体、水素添加スチレンイソプレンランダム共重合体、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブチレン共重合体、エチレンスチレン共重合体等の無水マレイン酸変性物、スチレンメタクリル酸共重合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、等をあげることができる。また(A)熱可塑性重合体は2種以上を併用しても構わない。
【0018】
本発明における(B)末端に官能基(f)と反応する成分を有する高分子鎖を含む結晶性樹脂としては、アミノ基(−NH2)、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、不飽和ジカルボン酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、オキサゾリン基等を有する高分子鎖を含む結晶性樹脂があげられ、代表的なものはポリアミド系樹脂である。
【0019】
ポリアミド系樹脂とは、アミノ酸、ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミド系樹脂である。構成成分の具体例を挙げると、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカ酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン、ビス−p−アミノシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸がある。
【0020】
これらの構成成分は、単独あるいは二種以上の混合物の形で重合に供され、そうして得られるポリアミドホモポリマー、コポリマーいずれも本発明で用いることが出来る。例えば、ジアミンとジカルボン酸との重縮合で得られるポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド1212、ポリアミドMXD6等があり、また、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド6、ポリアミド12等が挙げられる。
【0021】
またポリアミド共重合物として、ポリアミド66/6、ポリアミド66/610、ポリアミド66/612、ポリアミド66/6T(Tはテレフタル酸成分)、ポリアミド66/6I(Iはイソフタル酸成分)、ポリアミド6T/6I等が挙げられる。またこれらのポリアミド樹脂のブレンド物も挙げられる。これらのポリアミド樹脂の製造方法は、一般に公知に行われている方法で良い。ポリアミドの場合は、溶融重合方法が一般に実施されているが、バッチ式重合でもまた連続式重合でもよい。これらポリアミド系樹脂は末端にアミノ基およびまたはカルボキシル基を有し、これが官能基(f)と反応する成分である。また(B)結晶性樹脂は2種以上を併用しても構わない。
【0022】
また、本発明の樹脂組成物においては、150℃を超える温度における(B)の結晶性樹脂成分の結晶化エンタルピー(ΔHc1)と(B)の結晶性樹脂成分の融解エンタルピー(ΔHm1)が以下の式を満たさなければならない。
X=ΔHc1/ΔHm1
0≦X≦0.7
Xの値が0.7を超えると、成形加工性が悪化する。好ましい範囲は0以上0.5以下であり、さらに好ましい範囲は0以上0.3以下であり、とりわけ好ましい範囲は0以上0.2以下である。
【0023】
本発明においては(A)成分が連続相でなければならない。(B)成分が連続相をとると、使用した(B)結晶性樹脂成分が150℃を超える温度で結晶化するため成形加工が困難になる。(B)成分が分散相であっても、その粒径が9.5μm以上の分散粒子は、その粒子内において(B)結晶性樹脂成分が150℃を超える温度で結晶化しやすいと推測され、成形加工性を悪化させる可能性がある。(B)成分の全体積中、9.5μm以上の分散粒子の合計体積の割合は70%以下であることが望ましく、すべての分散粒子が9.5μm未満であることがさらに望ましい。これらの形態は電子顕微鏡写真により観察することができる。
【0024】
本発明の樹脂組成物は混練の強い押し出し機を用い、溶融混合することで得ることが出来る。せん断混練、伸長混練どちらでも混練が強ければ構わないが、同方向回転二軸押し出し機が望ましく、混練効果の低い、異方向回転二軸押し出し機や単軸押し出し機は望ましくない。混練効果が低い場合、(B)結晶性樹脂成分が連続相になったり、Xの値が小さくならない。溶融混合する温度は、材料として用いる(B)結晶性樹脂の結晶融解終了温度以上であることが好ましく、(結晶融解終了温度+20℃)以上である方がより好ましい。この温度未満であると、Xの値が小さくならず、また結晶成分が残る可能性があり、成形加工性を悪化させる可能性がある。混練の強い押し出し機を用い、温度を適当にすることにより本発明の樹脂組成物を得ることができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物を利用することにより、例えば発泡、延伸時に、それらが行われる低い温度でも、結晶性樹脂を結晶化させないことができ、今まで成形できなかった成形体を得ることが可能になった。本発明の樹脂組成物を成形する際は、成形機の樹脂溶融部分で完全に(B)の結晶性樹脂の結晶を融解することが好ましく、高い方がより好ましい。
この温度以下であると、結晶成分が残るために、成形加工性を悪化させる。しかし高すぎると溶融後、連続的に発泡や延伸を行う場合に冷却するのが困難になり望ましくなく、冷却能力の低い設備では溶融粘度が低いため、発泡や延伸が難しい場合がある。望ましい(B)結晶性樹脂成分の結晶融解終了温度は150℃を超え280℃未満であり、より望ましい範囲は150℃を超え270℃未満であり、とりわけ望ましい範囲は150℃を超え265℃未満であり、シート成形、発泡成形時はこの範囲の結晶融解終了温度以上でいったん溶融することが望ましい。
【0026】
融解後はどのような冷却速度でも、使用した(B)の結晶性樹脂の結晶化温度未満で結晶化する。また、融解後は使用した(B)の結晶性樹脂の結晶化温度未満、低温化された結晶化温度を超える温度領域では、成形機、混練機内で滞留しても結晶化しない。例えば、シート成形機のTダイ内等で滞留時間が長くなり、結晶性樹脂が結晶化してしまうと、シート成形品等の外観を著しく悪化させたり、その後の洗浄を著しく困難にする。
また、発泡押し出し機等の冷却ゾーンは冷却効率を上げるために複雑な構造をしており、滞留が起こりやすい構造になっている。冷却ゾーンで滞留を起こし結晶化をすると、冷却効率を著しく低下させる。以上のように、本発明の樹脂組成物には、通常の成形加工温度の熱滞留時に結晶化しないという特徴も有しており、極めて成形加工性に優れるものである。
【0027】
また、組成物の150℃以下での結晶化開始温度が140℃未満であることが成形加工性の点で好ましい。この温度が低ければ発泡や延伸成形の可能な温度範囲が広がり好ましい。(A)成分の熱可塑性重合体が非晶性樹脂である場合は、温度を低下させた(B)成分の結晶化温度がより低い方が発泡や延伸成形の可能な温度範囲が広がり好ましく、この場合は、組成物の150℃以下での結晶化開始温度が(A)成分の固化温度(TgA)+30℃以下であることが好ましく、組成物の150℃以下での結晶化開始温度が(A)成分の固化温度(TgA)+10℃以下であることがさらに好ましく、組成物の150℃以下での結晶化開始温度が(A)成分の固化温度(TgA)以下であることがとりわけ好ましい。
【0028】
(A)成分の熱可塑性重合体が結晶性樹脂である場合は、温度を低下させた(B)成分の結晶化温度がより低い方が発泡や延伸成形の可能な温度範囲が広がり好ましく、この場合は、組成物の150℃以下での結晶化開始温度が(A)成分の結晶化開始温度+30℃以下であることが好ましく、組成物の150℃以下での結晶化開始温度が(A)成分の結晶化開始温度+10℃以下であることがさらに好ましく、組成物の150℃以下での結晶化開始温度が(A)成分の結晶化開始温度以下であることがとりわけ好ましい。
【0029】
本発明の樹脂組成物を、融解終了温度以上の温度での溶融を経て、150℃以下の温度における結晶化開始温度を超える温度で、連続的に延伸、発泡成形をする方法が、耐熱性、耐油性、ガスバリア性の良好な延伸フィルム成形体および発泡シート成形体を得る方法として好ましい。また、本明細書中で使われる『延伸』は、手段は問わず、ロール法及びまたはテンター法やインフレーション法等のどのような方法でも実現することができる。
【0030】
また、発泡や延伸、またはそれらのシートを用いた2次成形は連続相である(A)熱可塑性重合体の溶融粘度挙動と組成物の溶融粘度挙動が重要となる。我々は、本発明の樹脂組成物の溶融粘度が、(A)成分に比較して低下しすぎる場合があり、成形加工性(1次成形性、2次成形性)が悪化することを見出し、成形加工性において、組成物の最適な粘度範囲があることを発見した。
つまり、本発明の樹脂組成物のメルトフローレート(MI1)と使用する(A)熱可塑性重合体のメルトフローレート(MI2)の関係が以下の式を満たすことが好ましい。
【0031】
ただし、メルトフローレートはJISK7210に準拠し、樹脂組成物中の(B)結晶性樹脂の融点+30℃かつ2.16Kg荷重で測定した。
0.01<(MI1/MI2)<5
(MI1/MI2)の値が0.01以下であると、組成物の粘度が(A)の熱可塑性重合体よりも高くなりすぎ、溶融時の流動性が低下しすぎてしまうため成形加工性の点で好ましくなく、5以上であると粘度が低くなりすぎ、安定した発泡セルの形成が困難になったり、延伸がかからなくなったり、2次成形においてはシートが垂れてしまうという問題が発生し、成形加工性の点で好ましくない。更に好ましい範囲は 0.01<(MI1/MI2)<4、とりわけ好ましい範囲は 0.02<(MI1/MI2)<3.0である。
また、本発明の樹脂組成物においては、(B)の結晶性樹脂成分の融点が150℃を超えなければならない。150℃以下であると耐熱性が悪化する。好ましくは200℃以上であり、さらに好ましくは210℃以上である。
【0032】
本発明の樹脂組成物は
(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体 1重量部以上99重量部以下
(B)末端に官能基(f)と反応する成分を有する高分子鎖を含む結晶化開始温度が150℃を超える結晶性樹脂 1重量部以上99重量部以下よりなる。
(B)の結晶性樹脂の量が1重量部未満であると、用いる結晶性樹脂の特徴が損なわれ(例えばポリアミド系樹脂の場合は耐熱性、耐油性、ガスバリア性が悪化する)、99重量部を超えると、結晶化温度が高いために、結晶化温度以上で成形しなければならず、溶融粘度が低くなりすぎるために、発泡や延伸ができないため成形加工性の点で好ましくない。
【0033】
好ましい範囲は
(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体 51重量部以上99重量部以下
(B)末端に官能基(f)と反応する成分を有する高分子鎖を含む結晶化開始温度が150℃を超える結晶性樹脂 1重量部以上49重量部以下である。
さらに好ましい範囲は
(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体 60重量部を超え99重量部以下
(B)末端に官能基(f)と反応する成分を有する高分子鎖を含む結晶化開始温度が150℃を超える結晶性樹脂 1重量部以上40重量部未満である。
【0034】
とりわけ好ましい範囲は
(A)官能基(f)を有する熱可塑性重合体 70重量部以上99重量部以下
(B)末端に官能基(f)と反応する成分を有する高分子鎖を含む結晶化開始温度が150℃を超える結晶性樹脂 1重量部以上30重量部以下である。
本発明の樹脂組成物は、100重量部に対して他の熱可塑性重合体を1〜500重量部まで添加する事が出来る。添加することが出来る熱可塑性重合体としては、スチレン系樹脂(例えばスチレン単独重合体、ハイインパクトポリスチレン、スチレンメタクリル酸共重合体、耐候性樹脂であるAES樹脂、ASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体)等)、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂等があげられ、各種相容化剤も使用できる。これらは本発明の目的を損なわない範囲でゴム補強されていてもよい。
【0035】
また、本発明のスチレン系樹脂組成物は、100重量部に対してゴム成分を1〜500重量部まで添加する事が出来る。添加することが出来るゴム成分としては、スチレンブタジエンランダム共重合体、スチレンイソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEPS)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEBS)等の水素添加ブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のエチレン−αオレフィン共重合体(メタロセン触媒によるものが好ましい)などがあげられ、反応性官能基で変性されたものも含まれる。
【0036】
また本発明における樹脂組成物には、それ自体公知の 各種配合剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウ ム、アパタイト、クレー、層状珪酸塩、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、 雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、カーボン繊維等の充填剤、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、群青、紺青、アゾ顔料、ニトロソ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料、フェノール系、サルファイト系、フォスファイト系、アミン系等の耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、帯電防止剤、金属石ケン、ワックス等の滑剤、などを配合することもできる。
【0037】
特に、本発明の樹脂組成物の(B)結晶性樹脂相に上記フィラー、特に層状粘度鉱物、層状珪酸塩、シリカ微粒子、アパタイト等をナノオーダーで分散させると、樹脂組成物の耐熱性、耐油性、ガスバリア性を向上することができる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形体、押し出し成形体、ブロー成形体、フィルム成形体、発泡シート成形体、圧縮成形体等の通常の成形法による成形体で使用することができ、他の樹脂と多層成形しても用いることができる。
【0038】
本発明の樹脂組成物を用いたシート、フィルム、発泡成形体は、圧空成形法、真空成形法、プラグアシスト成形法、熱板接触圧空成形法などの公知の方法により、二次成形することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、耐熱耐油性に優れる食品容器、ガスバリア性に優れる食品包装材、建材等に使用される発泡シート等に特に有用に用いることができ、窓枠、サッシ枠、敷居、外壁材、床材、内装材、外装材、装飾材、デッキ材、フェンス材、テラス材等の建材;パイプ、雨樋、各種構造材、家具、事務用機器、機械部品、各種装置のハウジング等、自動車材料、道路標識、等にも有用に用いられる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらにより限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法、原材料は以下の通りである。
1.試験法
(1)結晶化温度、個化温度、融点、融解終了温度の測定
示差走査熱量測定装置(DSC:パーキンエルマー社製Pyris1 )を用いてJIS K7121に準じ、昇温速度、降温速度50K/分で測定した。
樹脂組成物、(A)成分、(B)成分をアルミパンにいれる。その後、装置に設置し、結晶成分の融解終了温度(PA6を用いた系は250℃、PA66を用いた系は280℃、PAMDX6を用いた系は265℃)以上に一旦昇温したあと、降温、昇温を行い測定を行った。
図1に示したように結晶化開始温度、個化温度、融点、融解終了温度、各エンタルピーを求めた。
【0040】
(2)耐熱性
樹脂シート及び発泡シートの原料である樹脂組成物ペレットを射出成形(成形温度: PA6を用いた系は250℃、PA66を用いた系は270℃、PAMDX6を用いた系は265℃。金型温度:80℃)し、厚み3mmの成形品を作成し、JIS K7206に準じて荷重1kg、昇温速度2℃/分条件下でビカット軟化点を測定し、以下の基準で耐熱性を評価した。
〇 130℃以上
△ 110〜130℃
× 110℃以下
【0041】
(3)耐油性
発泡シート(厚み0.6mm)を二次成形により内径80mm、深さ40mmの円筒状のカップとした。100gの市販サラダ油を入れ、50℃のオーブン中で7日放置した。その後容器の変形度合いを目視で観察し、次の基準で評価した。
〇 異常なし
△ 油の滲みが若干見られた。クラックはなかった。
× 油の滲み出しがあり、クラックが発生した。
【0042】
(4)ガスバリア性
ASTM−D−3985に準拠して、酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製OX−TRAN200H)を用いて樹脂シートの酸素透過度を測定した。P1を用いた系は、PPの酸素透過度を100として結果を表3に示した。また、E1を用いた系は、PEの酸素透過度を100として結果を表3に示した。
(5)形態の測定
リンタングステン酸を用いて樹脂ペレット中のポリアミド系樹脂成分の染色を行い、電子顕微鏡写真を測定した。
【0043】
2.原材料
【0044】
【製造例1】
熱可塑性重合体(V1)の製造
攪拌機付き10L完全混合型反応機に、スチレン5Kg、エチルベンゼン0.4Kg、1,1ビス(t−ブチルパ−オキシ)シクロヘキサン1.2gからなる原料溶液を1.8L/Hの速度で供給する。反応機温度を125℃に設定し、重合を行う。得られた重合溶液を押出機に連続的に供給し、押出機で未反応単量体、溶媒を回収し、スチレン(St)単量体の単独重合体(PS)を得た。JISK7210に準拠した250℃、2.16Kg荷重のMFRは8.4g/10分であった。個化温度は100℃であった。
【0045】
【製造例2、3】
熱可塑性重合体(V2、V3)の製造
スチレンのかわりにスチレンとメタクリル酸の単量体混合物を用い、原料溶液の反応器への供給速度、反応器温度を調整する以外はV1と同様に操作し、メタクリル酸単量体(MAA)とスチレン単量体のランダム共重合体(V2、V3)を得た。V2のスチレン含量は92重量%、メタクリル酸含量は8重量%、JISK7210に準拠した250℃、2.16Kg荷重のメルトフローレート値は2.2g/10分、287℃、2.16Kg荷重のメルトフローレート値は12.1g/10分であった。個化温度は118℃であった。V3のスチレン含量は88重量%、メタクリル酸含量は12重量%、JISK7210に準拠した250℃、2.16Kg荷重のメルトフローレート値は2.2g/10分であった。個化温度は123℃であった。
【0046】
【製造例4、5】
熱可塑性重合体(V4、V5)の製造
スチレンのかわりにスチレンと無水マレイン酸の単量体混合物を用い、原料溶液の反応器への供給速度、反応器温度を調整する以外はV1と同様に操作し、無水マレイン酸単量体(MA)とスチレン単量体のランダム共重合体(V4、V5)を得た。V4のスチレン含量は91重量%、無水マレイン酸含量は9重量%、JISK7210に準拠した250℃、2.16Kg荷重のメルトフローレート値は6.0g/10分であった。 個化温度は117℃であった。V5のスチレン含量は88重量%、無水マレイン酸含量は12重量%、JISK7210に準拠した250℃、2.16Kg荷重のメルトフローレート値は7.1g/10分であった。個化温度は125℃であった。
【0047】
【製造例6】
熱可塑性重合体(P1)の製造
ホモポリプロピレン(PP:プロピレン単独重合体:モンテルSDKサンライズ(株)社製PS201A、結晶化開始温度は119℃、結晶の融解終了温度は170℃である。)5000g、無水マレイン酸15g、ラジカル開始剤(日本油脂(株)社製パーヘキサ25B)を6g、エチルベンゼン12gをヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸押し出し機を用いて210℃、200rpmのもと溶融混練し、反応後、未反応無水マレイン酸を取り除いた。
最終的に得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン(P1)は、無水マレイン酸含量は0.1重量%、JISK7210に準拠した250℃、2.16Kg荷重のメルトフローレート値は1.8g/10分であった。結晶化開始温度は119℃、結晶の融解終了温度は170℃であった。
【0048】
【製造例7】
熱可塑性重合体(E1)の製造
比重0.944であるポリエチレン(PE:昭和電工株式会社製ショウレックス5003、結晶化開始温度は113℃、結晶の融解終了温度は139℃である。)5000g、無水マレイン酸15g、ラジカル開始剤(日本油脂(株)社製パーヘキサ25B)を6g、エチルベンゼン12gをヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸押し出し機を用いて210℃、200rpmのもと溶融混練し、反応後、未反応無水マレイン酸を取り除いた。
最終的に得られた無水マレイン酸変性ポリエチレン(E1)は、無水マレイン酸含量は0.1重量%、JISK7210に準拠した250℃、2.16Kg荷重のメルトフローレート値は0.54g/10分、269℃、2.16Kg荷重のメルトフローレート値は1.0g/10分であった。結晶化開始温度は113℃、結晶の融解終了温度は139℃であった。
【0049】
[結晶性樹脂]
ポリアミド6(PA6):三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製ノバミッド1007Jを用いた。結晶化開始温度は185℃、結晶の融解終了温度は233℃である。
ポリアミド66(PA66):旭化成株式会社製レオナ1300SXを用いた。結晶化開始温度は240℃、結晶の融解終了温度は269℃である。
ポリアミドMXD6(PAMXD6):三菱瓦斯化学株式会社製レニー6002を用いた。結晶化開始温度は212℃、結晶の融解終了温度は250℃である。
【0050】
【実施例1、比較例1〜4、6、7】
表1の組成の配合物を、270℃に設定された同方向回転二軸押出機(40mmφ、L/D=47)により溶融混練した後、ストランド状に押出しペレタイズした。得られた樹脂ペレットを射出成形(成形温度250℃、金型温度65℃)し、耐熱性試験用の試料を得た。また、得られた樹脂ペレットを単軸押出機(30mmφ、L/D=20)に供給し、250℃で溶融混練した後、ミキシングゾーンでブタンを注入したのち冷却ゾーンを通してTダイで押出した。Tダイでの押出温度は(熱可塑性重合体の個化温度+20℃)で行った。結果を表1に示した。
【0051】
【実施例2〜6】
表1の組成の配合物を、実施例1と同様の条件で試験した。結果を表1に示した。
【0052】
【実施例7】
表1の組成の配合物を、250℃に設定された同方向回転二軸押出機(40mmφ、L/D=47)により溶融混練しストランド状に押出しペレタイズした以外は実施例1と同様の条件で試験した。結果を表1に示した。
【0053】
【実施例8】
表1の組成の配合物を、285℃に設定された同方向回転二軸押出機(40mmφ、L/D=47)により溶融混練した後、ストランド状に押出しペレタイズした。得られた樹脂ペレットを射出成形(成形温度280℃、金型温度65℃)し、耐熱性試験用の試料を得た。また、得られた樹脂ペレットを単軸押出機(30mmφ、L/D=20)に供給し、280℃で溶融混練した後、ミキシングゾーンでブタンを注入したのち冷却ゾーンを通してTダイで押出しする以外は実施例1と同様の条件で試験した。結果を表1に示した。
【0054】
【比較例1〜4、6、7】
表2の組成の配合物を、実施例1と同様の条件で試験した。結果を表2に示した。
【0055】
【比較例5】
表2の組成の配合物を、270℃に設定された単軸押出機(40mmφ、L/D=47)により溶融混練した後、ストランド状に押出しペレタイズした。得られた樹脂ペレットを射出成形(成形温度270℃、金型温度65℃)し、耐熱性試験用の試料を得た。また、得られた樹脂ペレットを単軸押出機(30mmφ、L/D=20)に供給し、270℃で溶融混練した後、ミキシングゾーンでブタンを注入したのち冷却ゾーンを通してTダイで押出しする以外は実施例8と同様の条件で試験した。結果を表2に示した。
【0056】
【実施例9〜12、比較例8〜12】
表3の組成の配合物を、270℃に設定された同方向回転二軸押出機(40mmφ、L/D=47)により溶融混練した後、ストランド状に押出しペレタイズした。得られた樹脂ペレットを、PA6を用いた系は250℃、PAMDX6を用いた系は265℃に設定された単軸押出機(50mmφ、L/D=24)に供給し、溶融混練した後、Tダイから溶融押出し、連続してロールの速度比により流れ方向(MD方向)に延伸した後、テンターで流れと垂直方向(TD方向)に延伸し厚み0.2mmのニ軸延伸シートを得た。延伸温度は(熱可塑性重合体の個化温度+15℃)で行った。得られたシートの特性を表3に示す。なお延伸倍率も併記する。
【0057】
【表1】
Figure 0004721548
【0058】
【表2】
Figure 0004721548
【0059】
【表3】
Figure 0004721548
【0060】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、今まで提供することの出来なかった耐熱性、耐油性、ガスバリア性、成形加工性に高度に優れる材料を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例4のDSC測定結果である。150℃以下の結晶化開始温度として示された成分は、(B)の結晶化成分のうち、低温化された成分である。
【図2】 実施例1樹脂ペレットの電子顕微鏡写真である。黒く染色された部分が(B)成分である。
【図3】 比較例1樹脂ペレットの電子顕微鏡写真である。黒く染色された部分が(B)成分である。

Claims (6)

  1. (A)官能基(f)を有するビニル芳香族化合物単量体成分と不飽和カルボン酸単量体成分よりなる熱可塑性重合体60重量部以上99重量部以下と
    (B)末端に官能基(f)と反応する成分を有する高分子鎖を含む結晶化開始温度が150℃を超えるポリアミド 1重量部以上40重量部未満よりなり、(A)成分が連続相であり、
    150℃を超える温度における(B)の結晶性樹脂成分の結晶化エンタルピー(ΔHc1)と(B)の結晶性樹脂成分の融解エンタルピー(ΔHm1)が以下の式を満たし、
    X=ΔHc1/ΔHm1
    0≦X≦0.5
    (B)の結晶性樹脂成分の融点が150℃を超える樹脂組成物であり、
    樹脂組成物のメルトフローレート(MI1)と(A)熱可塑性共重合体のメルトフローレート(MI2)の関係が以下の式を満たす樹脂組成物。
    0.01<(MI1/MI2)<5
    但し、メルトフローレートはJISK7210に準拠し、結晶性樹脂の融点+30℃かつ2.16Kg荷重で測定した。
  2. 樹脂組成物の150℃以下の温度における結晶化開始温度が140℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (A)成分の熱可塑性重合体が非晶性樹脂であり、樹脂組成物の150℃以下での結晶化開始温度が、(A)成分の固化温度(TgA)+30℃以下であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の樹脂組成物。
  4. (B)結晶性樹脂がポリアミド6であることを特徴とする請求請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1に記載の樹脂組成物を、融解終了温度以上の温度での溶融を経て、150℃以下の温度における結晶化開始温度を超える温度で、連続的に延伸、または発泡成形した事を特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の延伸フィルム成形体または発泡シート成形体。
  6. 請求項に記載の成形体を用いて2次成形された容器。
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