JP2017014356A - 樹脂微粒子、樹脂微粒子を含む分散液および樹脂粒子 - Google Patents

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慎之助 孝治
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俊文 森
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Takeshi Ikeda
武志 池田
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Abstract

【課題】低コストであり、粒度分布がシャープな樹脂粒子を得るための樹脂微粒子、当該樹脂微粒子を用いた分散液および樹脂粒子を提供する。
【解決手段】フッ素原子を含むユニットを含有する樹脂微粒子であって、下記式1および2を満たす。
式1:3.0≦A≦12.0
式2:1.1≦B/A≦1.55
(式1および2中、
Aは、前記樹脂微粒子を水中に分散させ、その後に乾燥処理して得られる樹脂微粒子の表面をX線光電子分光分析(ESCA)によって測定して得られるフッ素原子の量をA(atomic%)を示す。
Bは、前記樹脂微粒子を炭化水素またはCO中に分散させ、その後に乾燥処理して得られる樹脂微粒子の表面をESCAによって測定して得られるフッ素原子の量(atomic%)を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂微粒子、樹脂微粒子を含む分散液および樹脂粒子に関する。
樹脂粒子は、高い機能を有する粉体として幅広い分野で利用され、その機能を制御するために粒度分布が狭い、単分散な樹脂粒子を要求されることが多くなっている。
樹脂粒子の粒度分布のシャープ化を容易に達成することができる製造方法として、「溶解懸濁法」が知られている。溶解懸濁法とは、あらかじめ有機溶媒に樹脂を溶解させた樹脂溶液を分散媒体中に分散させ、前記樹脂溶液の液滴を形成した後、前記有機溶媒を除去して樹脂粒子を得る方法である。
溶解懸濁法においては、分散媒体として水系媒体を使用することが一般的であるが、水系媒体を用いた場合、粒子形成後の洗浄工程、乾燥工程に多大なエネルギーと時間を必要とする。そのため、近年、分散媒体として二酸化炭素を用いる樹脂粒子の製造方法が提案されている。
この方法では、液状または超臨界状態の二酸化炭素中にて樹脂溶液による液滴の分散体を形成する液滴形成工程の後、さらに二酸化炭素を導入し、液滴中の有機溶媒を抽出して除去する脱溶剤工程を行い、樹脂粒子を得ることができる。この方法によれば、脱溶剤工程後に脱圧することで、得られた樹脂粒子を分散媒体である二酸化炭素から容易に分離することが可能であり、洗浄工程、乾燥工程を必要とせず、省エネルギーかつ低コストでの製造が可能である。
二酸化炭素を分散媒体に用いる溶解懸濁法による樹脂粒子の製造において、粒度分布のシャープ化を達成するためには、前記液滴形成工程において分散剤を用いる必要がある。前記分散剤は、前記樹脂溶液の液滴表面を覆うことで、液滴同士の凝集や沈降を抑制して安定に分散させ、脱溶剤工程を経るまで分散状態を維持させる役割を担う。したがって、分散剤の選定は、極めて重要である。
特許文献1および2には、液状または超臨界状態の二酸化炭素を分散媒体として利用し、樹脂微粒子を分散剤に用いた樹脂粒子の製造方法が開示されている。特許文献1では、ベヘニルアクリレートとメタクリル変性シリコーンからなる樹脂微粒子が使用されている。また、特許文献2には、ポリエステルやベヘニルアクリレート共重合体等の結晶性樹脂微粒子が使用されている。
特開2009−052005号公報 特開2010−132851号公報
しかしながら、特許文献1の手法に基づいて本発明者らが樹脂粒子の製作を検討したところ、必ずしも良好な粒度分布の樹脂粒子が得られないことが分かった。特許文献2に基づいて本発明者らが樹脂粒子の製作を検討したところ、必ずしも良好な粒度分布の樹脂粒子が得られないことが分かった。これらの原因について検討したところ、これらの手法で使用した樹脂微粒子は、分散媒体である二酸化炭素に対する親和性が弱く、分散安定性が維持できずに良好な粒度分布が得られなかったのではないかと推察された。
このように、二酸化炭素を分散媒体として用いる溶解懸濁法による樹脂粒子の製造において、分散剤として樹脂微粒子を用いる場合、シャープな粒度分布を有する樹脂粒子を得るにはいまだ課題を有していた。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、低コストであり、粒度分布がシャープな樹脂粒子を得るための樹脂微粒子を提供することである。更に、前記樹脂微粒子を用いた樹脂粒子を提供することである。
上記に基づき、発明者等が鋭意検討した結果、下記に示す特徴を有する樹脂微粒子が、特に、二酸化炭素やその他炭化水素を媒体として用いた分散液において高い分散安定性を示すことを見出した。
すなわち、フッ素原子を含むユニットを含有する樹脂微粒子であって、
前記樹脂微粒子が下記式1および2を満たすことを特徴とする樹脂微粒子である。
式1:3.0≦A≦12.0
式2:1.1≦B/A≦1.55
(式1および2中、
Aは、前記樹脂微粒子を水中に分散させ、その後に乾燥処理して得られる樹脂微粒子の表面をX線光電子分光分析(ESCA)によって測定して得られるフッ素原子の量(atomic%)を示す。
Bは、前記樹脂微粒子を炭化水素またはCO中に分散させ、その後に乾燥処理して得られる樹脂微粒子の表面をESCAによって測定して得られるフッ素原子の量(atomic%)を示す。)
本発明によれば、低コストであり、粒度分布のシャープな樹脂粒子を得るための樹脂微粒子を提供することができる。更に、前記樹脂微粒子を用いた樹脂粒子を提供することができる。
前述の通り、溶解懸濁法とは、あらかじめ有機溶媒に樹脂を溶解させた樹脂溶液を分散媒体中に分散させ、前記樹脂溶液の液滴を形成した後、前記液滴から前記有機溶媒を除去して樹脂粒子を得る方法である。一般的に、溶解懸濁法においては分散媒体として水系媒体を使用することが多い。水系媒体を用いる場合においては、樹脂溶液の液滴から有機溶媒を除去する方法として、水と有機溶剤との蒸気圧差を利用して、加熱や減圧により除去することができる。
一方、溶解懸濁法における分散媒体として液体状態の二酸化炭素や炭化水素などを使用する場合、樹脂溶液の液滴から有機溶媒を除去する方法として、液滴と分散媒体との間の有機溶剤の分配を利用する。具体的には、分散媒体である二酸化炭素や炭化水素を懸濁液に連続的に加えることで、樹脂溶液の液滴から有機溶媒を抽出し、樹脂粒子を得る方法が有効である。
このような系では、有機溶媒を抽出する過程において、液滴(分散相)の組成と分散媒体(連続相)の組成とが連続的に変化している。本発明者らは、この点に着目し、分散相および連続相の組成の変化について、詳細に検討を行った。その結果、とりわけ連続相の溶解度パラメータ(SP値)が大きく変動することが明らかになった。そして、この知見に基づいて、二酸化炭素や炭化水素を分散媒体に用いた溶解懸濁法による樹脂粒子の製造における課題について改めて考察を行った。その結果、単に従来の水系媒体による溶解懸濁法に使用していた樹脂微粒子の樹脂組成を適宜調整して、二酸化炭素や炭化水素を分散媒体とする溶解懸濁法に適用しただけでは、必ずしもシャープな粒度分布を有する樹脂粒子を得ることはできないという結論に至った。
例えば、樹脂溶液の液滴を形成する工程において樹脂微粒子が分散相と連続相の界面に配置されるように、樹脂微粒子を構成する樹脂の組成(SP値)を設計したとする。にもかかわらず、有機溶剤を抽出する工程においては、連続相のSP値変動に伴って前記樹脂微粒子が分散相側に埋没したり、連続相側に遊離したりする可能性がある。そのような場合、液滴の分散安定性が損なわれて液滴同士の凝集を招き、得られる樹脂粒子の粒度分布が低下すると考えられる。
したがって、二酸化炭素や炭化水素を分散媒体とする溶解懸濁法に使用する樹脂微粒子には、連続相のSP値変動に対しても液滴の分散安定性を持続できるような高度な設計が必要となる。
そこで、本発明者らは、樹脂微粒子を構成する樹脂に連続相に対して親和性を有する部位を導入し、さらに、この部位に分子運動性を保持させることを考えた。そうすることで、連続相のSP値変動に追従して樹脂微粒子の表面組成が変化する機能を付与することができれば、前述した課題の解決が可能になると考えた。
本発明の樹脂微粒子においては、連続相に対して親和性を有する部位として、フッ素原子を含むユニット(繰り返し構造単位)を含有する樹脂微粒子を使用する。前記樹脂微粒子の表面組成の分析は、X線光電子分光分析(ESCA)を用いて前記樹脂微粒子に含まれるフッ素原子の量を定量することによって行うことができる。
例えば、二酸化炭素や炭化水素を含有する分散媒体からなる連続相に対して親和性を有する部位としては、好ましくは、フルオロアルキル構造を有する部位を挙げることができる。フルオロアルキル構造とは、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された構造である。樹脂微粒子を構成するユニットにフルオロアルキル構造を導入した場合、前記樹脂微粒子の表面に存在するフルオロアルキル基が連続相側に配向する。これにより、前記樹脂微粒子間に短距離斥力が働き、分散相である樹脂溶液の液滴同士の衝突による凝集を阻害する、いわゆる「排除体積効果」を発現させることができる。
本発明者らは、フルオロアルキル構造を導入した樹脂微粒子を作製した。そして、その樹脂微粒子に対して液体状態の二酸化炭素もしくは炭化水素への暴露処理を施し、暴露処理前の前記樹脂微粒子の表面組成と暴露処理後の前記樹脂微粒子の表面組成との変化について検討を行った。
ここで、暴露処理前の樹脂微粒子の表面組成とは、樹脂微粒子を水中に分散させ、その後に乾燥させることで水分を除去して得られる樹脂微粒子の表面組成である。乾燥させるための方法は、凍結乾燥や自然乾燥など、樹脂微粒子を変性させない方法であれば、一般的な乾燥方法を用いることができる。
また、暴露処理後の樹脂微粒子の表面組成とは、例えば以下の暴露処理を行って得られた樹脂微粒子の表面組成である。具体的には、液体状態の二酸化炭素(CO)を使用する場合、前記樹脂微粒子を有機溶媒に分散させた分散体を耐圧容器に入れ、耐圧容器を密閉後、二酸化炭素を導入する。そして、25℃の温度下、内部圧力6.5MPaを維持させた状態で二酸化炭素を流通させて、前記分散体から前記有機溶媒を除去し、脱圧して樹脂微粒子を得る処理である。すなわち、樹脂微粒子を炭化水素またはCO中に分散させる処理である。
また、液体状態の炭化水素を使用する場合、前記樹脂微粒子を有機溶媒に分散させた分散体に多量の炭化水素を加え、得られた溶液を遠心分離により固体(樹脂微粒子)と液体とを分離する。分離された固体にさらに炭化水素を加えて遠心分離を行う一連の操作を合計3回繰り返すことにより、前記分散体から前記有機溶媒を除去した樹脂微粒子を得る処理である。
ここで、本発明で用いられる有機溶媒としては、樹脂を溶解することができる有機溶剤が用いられ、例えば以下のものが挙げられる。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンの如きケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテートの如きエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブの如きエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素系溶剤。
また、本発明で用いられる炭化水素としては、溶解懸濁法における分散媒体として使用できる炭化水素であり、例えば以下のものが挙げられる。ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ヘキサデカンなどの直鎖アルカン、2−メチルヘキサンなどの分岐アルカンやシクロヘキサンなどの環状アルカンなど、常圧で液体状態であるものを好適に使用できる。
前記ESCAでは、試料の表面(深さ約10nmまでの領域)に存在する元素が検出される。本発明では、樹脂微粒子の表面の組成に着目しているため、ESCA測定にはAl Kα X線(hν=1486.6eV,FWHM=0.85eV)を用いることが好ましい。また、ESCAにおいては、元素の結合状態も分離することが可能であり、前記フルオロアルキル構造に由来するC−F結合の場合、683eV以上690eV以下にピークが出現する。
なお、樹脂微粒子表面に存在するフッ素原子の量をX線光電子分光分析(ESCA)による表面組成分析で算出するときのESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:アルバック−ファイ社製 Quantum 2000
分析方法:ナロー分析
測定条件:
X線源:Al−Kα
X線条件:100μ25W15kV
光電子取り込み角度:45°
測定範囲:φ100μm
683eV以上690eV以下にピークトップが検出されるフルオロアルキル構造に由来するC−F結合のピーク面積から、構成元素の総量に対するフッ素原子の量(atomic%)を算出する。
検討の結果、前記フルオロアルキル構造の導入形態や分子鎖長の調整によって、前記暴露処理前後の前記樹脂微粒子の表面組成の変化度を制御することができることを見出した。
さらに、前記表面組成の変化度を特定の範囲とすることで、連続相のSP値変動に対する追従性を付与することができ、それによって、得られる樹脂粒子の粒度分布シャープ化を達成することが可能になることを見出し、本発明に至った。
以下に、前記樹脂微粒子が、連続相のSP値変動に対する追従性を発揮するために必要な表面組成の変化度と、これを達成するための要件について詳細を説明する。
前記樹脂微粒子を水中に分散させ、乾燥処理させることで水分を除去して得られる樹脂微粒子の表面のESCAにより測定されるフッ素原子の量をA(atomic%)としたとき、Aは下記式1を満たす。
式1:3.0≦A≦12.0
Aの値が3.0atomic%より小さいと、樹脂微粒子の表面において分散媒体である二酸化炭素や炭化水素に対する親和基として機能するフッ素原子を含有する部位が不足する。そして、分散剤としての機能が低下するため、液滴の分散安定性が低下する。また、Aの値が12.0atomic%より大きいと、樹脂微粒子の表面に存在するフッ素原子を含有する部位が多すぎ、樹脂溶液の液滴に対する親和性が低下するため、液滴の分散安定性が低下する。
Aの値は、好ましくは、3.5atomic%以上11.0atomic%以下である。
また、前記樹脂微粒子に前述した液体状態の二酸化炭素や炭化水素への暴露処理を行い、その後に乾燥処理して得られる樹脂微粒子の表面をESCAにより測定されるフッ素原子の量をB(atomic%)とする。そのとき、前記暴露処理による表面組成の変化度は、前記Aと前記Bとの比B/Aで表され、下記式2を満たす。
式2:1.10≦B/A≦1.55
B/Aの値が1.10よりも小さいと、連続相のSP値変動に対する追従性が低く、液滴の分散安定性を持続させることが困難である。また、B/Aの値が1.55よりも大きいと、連続相のSP値変動に対する追従性の点では本来有利であるが、新たな問題として樹脂としての耐溶剤性が低下してしまう。その結果、特に高温度下で液滴形成を行う場合には、液滴の分散安定性が低下する。
好ましくは、1.15以上1.45以下である。
前記樹脂微粒子の粒径は、体積平均粒径で50nm以上500nm以下であることが好ましい。より好ましくは、80nm以上250nm以下である。樹脂微粒子の粒径が50nm以上である場合、液滴の安定性が向上する。樹脂微粒子の粒径が500nm以下である場合は、液滴の粒径を所望の大きさに制御することができる。
本発明の樹脂微粒子は、樹脂微粒子の膨潤度(アセトン中体積/水中体積)が1.3以上3.0以下であることが好ましい。ここで膨潤度とは、アセトン中で樹脂微粒子が占める体積を水中で樹脂微粒子が占める体積で割った値である。実際には、各体積は各媒体中における樹脂微粒子の体積平均粒径(例えば、動的光散乱法(DLS)などにより測定可能)から算出する。
樹脂微粒子の膨潤度が1.3以上であると、アセトン中において樹脂微粒子を構成する樹脂の運動性が高い。樹脂の運動性が高いことは、連続相のSP値変動に対する追従性の点から好ましく、液滴の分散安定性を高めることができる。一方、樹脂微粒子の膨潤度が3.0以下であると、樹脂としての十分な耐溶剤性を有する。その結果、特に高温度下で液滴形成を行う場合に、液滴が十分な分散安定性を有する。
したがって、樹脂微粒子の膨潤度は、1.3以上3.0以下であることが好ましく、1.5以上2.0以下であることがより好ましい。
本発明の樹脂微粒子は、フルオロアルキル構造を側鎖に有するユニットを含有することが好ましい。前記フルオロアルキル構造を有する部位は、連続相の組成変化に追従して配向状態を変えて、排除体積効果を維持する必要がある。フルオロアルキル構造を有する部位の柔軟性は、両末端が結合した構造に比べて片末端が結合した構造の方が高くなる。したがって、片末端で結合する側鎖構造を有する分子構造をとることが好ましい。
フルオロアルキル構造を側鎖に有するユニット(繰り返し構造単位)の例を以下に示す。
Figure 2017014356
本発明のフルオロアルキル構造を有する部位に由来するモノマーの重量平均分子量(Mw)は、400以上2000以下であることが好ましい。ここで、前記フルオロアルキル構造を有する部位に由来するモノマーのMwとは、前記側鎖の長さを表している。前記Mwの値が上記範囲に有ることで、液滴の分散安定性が向上し、樹脂粒子の粒度分布シャープ化が可能となる。Mwの値が400以上なら、フルオロアルキル構造を有する側鎖が連続相側に配向したときに十分に広がり、十分な排除体積効果が得られる。さらに連続相のSP値変動に対する十分な追従性も得られるため、液滴の分散安定性が低下する可能性は低い。また、Mwの値が2000以下なら、フルオロアルキル構造を有する側鎖が長くなりすぎず、樹脂としての耐溶剤性の低下を招くこともなく、液滴の安定性が低下する可能性は低い。
また、前記フルオロアルキル構造は、パーフルオロアルキル構造であることが好ましい。パーフルオロアルキル構造をとることでより連続相への親和性が高くなり、液滴の安定性を高めることができる。
本発明の樹脂微粒子にフルオロアルキル構造の導入に使用するモノマーとしては、フルオロアルキル構造を有する一般的なモノマーを用いることが可能である。以下に使用可能なフルオロアルキル構造を有するモノマーを例示するが、これらに限定されるものではない。
アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル、アクリル酸1H,1H−パーフルオロ−n−デシル、アクリル酸(パーフルオロシクロヘキシル)メチル、アクリル酸3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル、メタクリル酸1H,1H−パーフルオロ−n−デシル、メタクリル酸(パーフルオロシクロヘキシル)メチル、メタクリル酸3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピル。
本発明の樹脂微粒子は、さらに、重合性不飽和基を2個以上含有する単量体(以下、多官能単量体とも記載する。)に由来するユニットを有することが好ましい。多官能単量体に由来するユニットを導入することで、前述した前記樹脂微粒子に対して二酸化炭素や炭化水素による暴露処理を行ったときの表面フッ素組成の変化度であるB/Aの値を容易に前記式2の範囲とすることが可能になる。
多官能単量体に由来するユニットを導入せず、前記フルオロアルキル構造を有する側鎖を長くした場合、特に高温度下において耐溶剤性が低下しやすくなり、その結果、液滴の分散安定性が低下する可能性がある。但し、過度に多官能単量体に由来するユニットを導入してしまうと側鎖の分子運動性が損なわれ、B/Aの値を適正な範囲にすることが困難となる。したがって、前記樹脂微粒子は、適度な範囲の多官能単量体に由来するユニットを有している必要がある。
多官能単量体は、重量平均分子量(Mw)が200以上2000以下であることが好ましい。前記多官能単量体の分子量は、前記樹脂微粒子を構成するポリマー鎖間の架橋点間の距離を表している。上記範囲のMwを有する多官能単量体を使用することで、前述したB/Aの値をさらに容易に前記式2の範囲とすることが可能になる。
多官能単量体のMwが200以上なら架橋点間の距離が短くなり過ぎず、樹脂微粒子の表面に存在する有機ポリシロキサン構造を有する側鎖の分子運動性が損なわれず、排除体積効果を維持することができ、液滴の分散安定性を維持することができる。多官能単量体のMwが2000以下なら架橋点間の距離が長くなり過ぎず、樹脂微粒子における側鎖の分子運動性が増し過ぎない。また、耐溶剤性が維持され、液滴の分散安定性が維持される。
前記多官能単量体の量は、樹脂微粒子の全単量体に対して、1.0質量%以上5.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以上4.0質量%以下がより好ましい。
前記多官能単量体の量が1.0質量%以上なら架橋点の数が少な過ぎないため、前記樹脂微粒子の耐溶剤性が低下したりせず、液滴の分散安定性が低下しやすくなったりしない。また、前記多官能単量体の量が5.0質量%以下なら架橋が過度になったりしないため、前記樹脂微粒子における側鎖の分子運動性が損なわれたりしない。その結果、排除体積効果が維持され、液滴の分散安定性が維持される。
本発明の重合性不飽和基を2個以上含有する単量体は、2個以上のビニル基を有する一般的な単量体を用いることが可能である。以下に使用可能な具体例を例示するが、これらに限定されるものではない。
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレンジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル、両末端アクリル変性シリコーン、両末端メタクリル変性シリコーンが挙げられる。
本発明の樹脂微粒子は、さらに、フルオロアルキル構造のSP値よりも2.0以上大きいSP値を有する吸着ユニットを含有することが好ましい。吸着ユニットは分散相への親和性ユニットとして機能する。吸着ユニットのSP値はフルオロアルキル構造のSP値よりも2.0以上大きいことが好ましく、さらに好ましくは5.0以上大きいSP値である。2.0以上であることで、吸着ユニットの分散媒への親和性よりも分散質への親和性が大きくなることから、より吸着ユニットとしての機能が発揮される。
本発明の樹脂微粒子は、吸着ユニットとしてポリスチレンユニット、ポリメタクリル酸メチルなどのポリマーに由来するユニットなどを含有することができるが、ポリエステルユニットを含有することが好ましい。吸着ユニットとしてポリエステルユニットを含有する樹脂微粒子は、特に、ポリエステルを含む樹脂溶液の液滴を分散安定化する際に有効である。また、樹脂微粒子にポリエステルユニットを含有させる方法として、重合性不飽和基を有するポリエステルを加えて重合することで得ることができる。また、一分子中に含まれる重合性不飽和基の数の平均が、1.0を超える場合には、前述した架橋構造を形成する役割も担うことができる。
本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来するユニットを意味する。ポリエステルユニットを含有する樹脂微粒子とは、例えば、ポリエステル樹脂微粒子や、ポリエステルユニットとその他の樹脂ユニットとが結合したハイブリッド樹脂微粒子を意味する。
本発明の樹脂微粒子は、他の単量体を重合させることも可能である。他の単量体としては、通常の樹脂材料の重合に用いる単量体が使用可能である。以下に例示するが、これらに限定されるものではない。
脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエンおよび1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル炭化水素:モノ−もしくはジ−シクロアルケンおよびアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン。
芳香族ビニル炭化水素:スチレンおよびそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン;およびビニルナフタレン。
カルボキシル基含有ビニル系モノマーおよびその金属塩:炭素数3以上30以下の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびそのモノアルキル(炭素数1以上27以下)エステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1以上11以下のアルキル基(直鎖もしくは分岐)を有するアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジアルキルフマレート(フマル酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(マレイン酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリアリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン)、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー(ポリエチレングリコール(分子量300)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(分子量300)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノメタクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物メタクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物アクリレートラウリルアルコールEO30モル付加物メタクリレート)、ポリアクリレート類およびポリメタクリレート類(多価アルコール類のポリアクリレートおよびポリメタクリレート:エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート。ポリエチレングリコールジメタクリレート。
<分散液>
次に、本発明の分散液について説明する。
本発明の分散液は、本発明の樹脂微粒子(分散剤)と、分散媒および分散質を含むことを特徴とする。本発明の樹脂微粒子が、上述のように分散剤として機能し、分散媒(連続相)中に分散質(分散相)を安定化させることで分散液を形成することができる。
また、分散媒、分散質に含まれる液体成分のうち、有機溶剤と非水性溶媒が80質量%以上含むことが好ましい。このような分散液は、非水系の分散液であり、本発明の分散剤がより好適に分散安定性を発現できる。有機溶剤としては、公知の一般的な有機溶剤を使用することができ、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、2−フェニルエタノール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、ヘキサデカンなどが挙げられる。また、非水性溶剤とは、水と有機溶剤に含まれない溶剤を示し、例えば、液体COや超臨界COなどが挙げられる。
また、分散媒、分散質ともに、アセトン、ヘキサン、COより選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の分散液を構成する分散媒・分散質の具体的な例としては、ヘキサン−アセトン−水の混合液から形成される分散液や、CO−アセトン−水の混合液から形成される分散液、ヘキサン−2−フェニルエタノールから形成される分散液、CO−2−フェニルエタノールから形成される分散液などが例示される。特に、ヘキサン−アセトン−水系やCO−アセトン−水系においては、分散媒、分散質に二相分離するものの、それぞれの液体成分が各相に分配するため、分散媒と分散質の組成が非常に近い分散系である。
上記樹脂微粒子は、樹脂粒子の製造に利用可能であり、ケミカルトナーやインクジェットインクに含まれる機能性バインダーの製造に利用することが可能である。製造される樹脂粒子としては、上記樹脂微粒子を最表面に含む樹脂粒子が好ましい。
<数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)の測定方法>
各種樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量(Mn、Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をTHFに溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー(株)製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー(株)製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー(株)製)を用いて作製した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂微粒子(分散剤)の粒子径の測定方法>
本発明において、各樹脂微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装(株)製)を用い、0.001μm〜10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒子径(μm又はnm)として測定する。尚、希釈溶媒としては水もしくはアセトンを選択する。
以下、本発明を製造例、実施例及び比較例により具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<樹脂微粒子分散液1の調製>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料とトルエン800.0質量部を混合し、70℃に加熱して完全に溶解して単量体組成物1を調製した。
・フッ素含有モノマー(x1) 25.0質量部
・スチレン 75.0質量部
・重合性不飽和基を2個以上含有する単量体(y1) 2.0質量部
上記単量体組成物1を250rpmで撹拌しながら25℃まで降温し、30分間窒素バブリングした後、重合開始剤としてアゾビスメトキシジメチルバレロニトリルを0.6質量部混合した。その後、75℃で加熱し、6時間反応させ、さらに80℃に加熱し、1時間反応を行った。その後、空冷し、粗粒子状の樹脂の分散体を得た。
得られた粗粒子状の樹脂の分散体を、温度調節可能な撹拌タンクに投入し、ポンプを用いてクレアSS5(エム・テクニック(株)製)に35g/分の流量で移送して処理することにより、微粒子状の樹脂の分散体を得た。クレアSS5による前記分散体の処理条件は、クレアSS5の回転するリング状ディスクの最外周部の周速を15.7m/秒とし、回転するリング状ディスクと固定されたリング状ディスクの間隙を1.6μmとした。また、撹拌タンクの温度は、クレアSS5で処理後の液温が40℃以下となるように調節した。
前記分散体中の樹脂微粒子とトルエンを遠心分離機により分離した。以下に遠心分離の条件を示した。
・遠心分離機:H−9R((株)コクサン製)
・ローター:BN1ロ―タ((株)コクサン製)
・装置内設定温度:4℃
・回転数:16500rpm
・時間:2.5時間
その後、上澄みを除去することで、濃縮された微粒子状の樹脂の分散体を得た。
撹拌装置のついたビーカーに、前記濃縮された微粒子状の樹脂の分散体とアセトンを投入し、高出力ホモジナイザー(VCX−750)を用いて、前記微粒子状の樹脂をアセトンに分散させた後、さらにアセトンを添加して、固形分濃度が10%の樹脂微粒子分散液1を調製した。また、同時に樹脂微粒子分散液1のアセトンを水に変えた分散液を同様の手順で調整した。
樹脂微粒子分散液1の水分散体を凍結乾燥法を用いて乾燥させ、X線光電子分光分析(ESCA)を用いて水分散体から取出した樹脂微粒子の表面に含まれるフッ素原子の量(A(at.%))を定量した。
また、樹脂微粒子分散液1(アセトン分散体)を耐圧容器に入れ、耐圧容器を密閉後、二酸化炭素を導入し、25℃の温度下、内部圧力6.5MPaを維持させた状態で二酸化炭素を流通させて、樹脂微粒子分散液1からアセトンを除去し、脱圧し、X線光電子分光分析(ESCA)を用いてアセトン分散体から取出した樹脂微粒子の表面に含まれるフッ素原子の量(B(at.%))を定量した。
<樹脂微粒子分散液2〜15の調製>
樹脂微粒子分散液1の調製において、フッ素含有モノマー、スチレン、重合性不飽和基を2個以上含有する単量体およびその他の単量体の添加量を表1に示すものに変更し、樹脂微粒子分散液2〜15を得た。用いたフッ素含有モノマーの種類については表2、多官能単量体の種類については表3に示す。
なお、表1に記載のPES系モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸から構成される数平均分子量(Mn)15000のポリエステル樹脂に一分子あたり1.6個の重合性不飽和基を導入した樹脂を用いた。
荷電モノマーとしては、メタクリル酸を用いた。
Figure 2017014356
Figure 2017014356
Figure 2017014356
<樹脂Rの合成>
まず、以下の原料を用いてポリエステル1を合成した。
・セバシン酸:125g
・1,6−ヘキサンジオール:75g
・ジブチルスズオキシド:0.1g
セバシン酸と1,6ヘキサンジオールとジブチルスズオキシドを混合した混合物に対し、減圧と窒素パージを3回繰り返した。次に、この混合物を180℃に保持した状態で6時間攪拌し、減圧操作を行った上で230℃に昇温してさらに2時間保持することによって反応物を得た。この反応物をクロロホルムに溶解した溶解液を大量のメタノールと混合することによって析出物を得た後、この析出物を濾過によって回収し、減圧乾燥することによってポリエステル1を合成した。ポリエステル1の重量平均分子量をGPCによって評価したところ、ポリスチレン換算で13200であった。また、ポリエステル1を示唆走査熱量測定(以下、DSC)によって評価したところ、69.0℃に融解温度を有し、融解温度を示す吸熱ピークの半値幅は10℃以内であり、結晶融解熱量ΔHmが121J/gであった。
次に、樹脂Rを合成した。加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・キシリレンジイソシアネート:28g
・シクロヘキサンジメタノール:17g
・テトラヒドロフラン(THF):40g
これを50.0℃まで加熱し、10時間かけてウレタン化反応を施した。その後、前記ポリエステル1を105gをTHF110gに溶解させた溶液を徐々に添加し、更に50.0℃にて5時間攪拌を行った。その後、室温まで冷却し、有機溶媒であるTHFを留去することで、樹脂R(ブロックポリマー)を合成した。得られた樹脂Rの重量平均分子量は35500、融点は56.0℃であった。
<実施例1>
樹脂微粒子分散液1を用いて乳化試験を行った。主に分散相を構成する有機溶剤であるアセトンにアセトンの質量に対して5%の樹脂微粒子分散液を加え、超音波ホモジナイザーにより分散させた。その後、アセトンの質量に対して3%の水を添加した。その後、主に連続相を構成する有機溶剤であるヘキサンを加えることで2相分離液を作製した。この2相分離液をホモジナイザーを用いて15000rpmで撹拌することで白濁した分散液を形成した。乳化試験結果については、表4に記載のように、撹拌停止後から分散液が白濁した状態を維持できる時間を4種類に分類して記載した。
Figure 2017014356
<実施例2〜10、比較例1〜9>
樹脂微粒子分散液と乳化系の種類を表5に記載のように変え、実施例2〜10および比較例1〜9を行った。乳化系として二酸化炭素を用いた場合は、撹拌機構を備えた耐圧容器内に上記と同様に樹脂微粒子分散液とアセトンおよび水の混合液を導入して容器を密閉後、COボンベから昇圧ポンプを用いて耐圧容器内を加圧することで2相分離液を作製した。この2相分離液を撹拌モーターを用いて耐圧容器内部の撹拌羽根を1000rpmで撹拌することで白濁した分散液を形成した。また、その他の乳化系としてアセトンに樹脂Rを溶解させた樹脂溶解液を用いた。
各実施例および比較例において、乳化試験の結果(乳化評価)に加え、ESCAの測定結果および樹脂微粒子の水中粒径およびアセトン中粒径について表6、7にまとめて記載した。
Figure 2017014356
Figure 2017014356
Figure 2017014356
本発明の樹脂微粒子は、主に有機溶剤や非水性溶媒からなる分散液を分散安定化することができため、例えば、樹脂粒子の製造に利用可能であり、ケミカルトナーやインクジェットインクに含まれる機能性バインダーの製造に利用することができる。

Claims (15)

  1. フッ素原子を含むユニットを含有する樹脂微粒子であって、
    前記樹脂微粒子が、下記式1および2を満たすことを特徴とする樹脂微粒子。
    式1:3.0≦A≦12.0
    式2:1.1≦B/A≦1.55
    (式1および2中、
    Aは、前記樹脂微粒子を水中に分散させ、その後に乾燥処理して得られる樹脂微粒子の表面をX線光電子分光分析(ESCA)によって測定して得られるフッ素原子の量(atomic%)を示す。
    Bは、前記樹脂微粒子を炭化水素またはCO中に分散させ、その後に乾燥処理して得られる樹脂微粒子の表面をESCAによって測定して得られるフッ素原子の量(atomic%)を示す。)
  2. 前記樹脂微粒子の体積平均粒径が50nm以上500nm以下である請求項1に記載の樹脂微粒子。
  3. 前記樹脂微粒子の膨潤度(アセトン中体積/水中体積)が1.3以上3.0以下である請求項1または2に記載の樹脂微粒子。
  4. 前記フッ素原子を含むユニットがフルオロアルキル構造を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂微粒子。
  5. 前記フッ素原子を含むユニットがフルオロアルキル構造を側鎖に有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂微粒子。
  6. 前記フルオロアルキル構造が、パーフルオロアルキル構造である請求項4または5に記載の樹脂微粒子。
  7. 前記樹脂微粒子が、さらに、重合性不飽和基を2個以上含有する単量体に由来するユニットを有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂微粒子。
  8. 前記重合性不飽和基を2個以上含有する単量体の重量平均分子量が、200以上2000以下である請求項7に記載の樹脂微粒子。
  9. 前記樹脂微粒子が、さらに、前記フルオロアルキル構造のSP値よりも2.0以上大きいSP値を有する吸着ユニットを含有する請求項4〜8のいずれか一項に記載の樹脂微粒子。
  10. 前記吸着ユニットが、ポリエステルユニットである請求項9に記載の樹脂微粒子。
  11. 分散媒、分散質、樹脂微粒子からなる分散液であって、前記樹脂微粒子は請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂微粒子であることを特徴とする分散液。
  12. 前記分散媒、前記分散質に含まれる液体成分のうち、有機溶剤と非水性溶剤が80質量%以上を占める請求項11に記載の分散液。
  13. 前記樹脂微粒子の膨潤度(アセトン中体積/水中体積)が1.3以上3.0以下である請求項11または12に記載の分散液。
  14. 前記分散媒、前記分散質ともに、アセトン、ヘキサン、およびCOからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項11〜13のいずれか1項に記載の分散液。
  15. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂微粒子を最表面に含むことを特徴とする樹脂粒子。
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