本発明の実施の形態について、図面を用いて以下、詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの説明に限定されず、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書で説明する各図において、膜、層、基板、領域などの各要素の大きさや厚さ等は、個々に説明の明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしも各構成要素はその大きさに限定されず、また各構成要素間での相対的な大きさに限定されない。
なお、本明細書等において、第1、第2などとして付される序数詞は、便宜上用いるものであって工程の順番や積層の順番などを示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
なお、本明細書等で説明する本発明の構成において、同一部分又は同様の機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を有する部分を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書等において、蓄電装置用の正極及び負極の双方を併せて電極とよぶことがあるが、この場合、電極は正極及び負極のうち少なくともいずれか一方を示すものとする。
ここで蓄電装置の充電および放電におけるレートについて説明する。例えば、容量X[Ah]の二次電池を定電流充電する際に、充電レート1Cとは、ちょうど1時間で充電終了となる電流値I[A]のことであり、充電レート0.2Cとは、I/5[A](すなわち、ちょうど5時間で充電終了となる電流値)のことである。同様に、放電レート1Cとは、ちょうど1時間で放電終了となる電流値I[A]のことであり、放電レート0.2Cとは、I/5[A](すなわち、ちょうど5時間で放電終了となる電流値)のことである。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のグラフェン化合物と、本発明の一態様のグラフェン化合物を有する導電体について説明する。
グラフェンは、炭素原子が1原子層配列したものであり、炭素原子間にπ結合を有する。グラフェンが2層以上100層以下重なったものを、マルチグラフェンと呼ぶ場合がある。グラフェンおよびマルチグラフェンは、例えば、長手方向、あるいは面における長軸の長さが50nm以上100μm以下または800nm以上50μm以下である。
本明細書等において、グラフェンまたはマルチグラフェンを基本骨格として有する化合物を「グラフェン化合物(「グラフェンコンパウンド:Graphene Compound」ともいう)」と呼ぶ。グラフェン化合物には、グラフェンとマルチグラフェンを含む。
以下に、グラフェン化合物について詳細を説明する。
グラフェン化合物は例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンが、炭素以外の原子、または炭素以外の原子を有する原子団に修飾された化合物である。また、グラフェンまたはマルチグラフェンが、アルキル基、アルキレン基等の炭素を主とした原子団に修飾された化合物であってもよい。なお、グラフェンまたはマルチグラフェンを修飾する原子団を、置換基、官能基、または特性基等と呼ぶ場合がある。ここで、本明細書等において修飾とは、置換反応、付加反応またはその他の反応により、グラフェン、マルチグラフェン、グラフェン化合物、または酸化グラフェン(後述)に、炭素以外の原子、または炭素以外の原子を有する原子団を導入することをいう。
なお、グラフェンの表面と裏面は、それぞれ異なる原子や原子団により修飾されていてもよい。また、マルチグラフェンにおいては、それぞれの層が異なる原子や原子団に修飾されていてもよい。
上述の原子または原子団により修飾されたグラフェンの一例として、酸素または酸素を含む官能基に修飾されたグラフェンまたはマルチグラフェンが挙げられる。ここで酸素を含む官能基として例えば、エポキシ基、カルボキシ基などのカルボニル基、水酸基、またはラクトール基等が挙げられる。酸素または酸素を有する官能基により修飾されたグラフェン化合物を、酸化グラフェンと呼ぶ場合がある。また、本明細書では、酸化グラフェンは多層の酸化グラフェンも含むものとする。
次に、酸化グラフェンの作製方法の一例を説明する。酸化グラフェンは、上記グラフェンまたはマルチグラフェンを酸化して得ることができる。または、酸化グラフェンは、酸化グラファイトの層間を分離して得ることができる。酸化グラファイトは、グラファイトを酸化して得ることができる。ここで、酸化グラフェンに、さらに上述の原子または原子団を修飾してもよい。
酸化グラフェンを作製する方法として、例えばHummers法、Modified Hummers法、又は黒鉛類の酸化等、種々の合成法があげられる。
例えば、Hummers法およびModified Hummers法は、鱗片状グラファイト等のグラファイトを酸化して、酸化グラファイトを形成する手法である。形成された酸化グラファイトは、グラファイトがところどころ酸化されることでカルボニル基、カルボキシ基、ヒドロキシル基、ラクトール基等の官能基が結合したものであり、グラファイトの結晶性が損なわれ、層間の距離が大きくなっている。このため超音波処理等により、容易に層間を分離して、酸化グラフェンを得ることができる。
ここでModified Hummers法を用いた酸化グラフェンの製法の一例を説明する。グラファイト粉末に過マンガン酸カリウムの硫酸溶液等を加えて酸化反応させて酸化グラファイトを含む混合液を形成する。酸化グラファイトは、グラファイトの炭素の酸化により、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシ基、ヒドロキシル基等の官能基を有する。このため、酸化グラフェンの層間距離がグラファイトと比較して長い。次に、酸化グラファイトを含む混合液に超音波振動を加えることで、層間距離の長い酸化グラファイトを劈開し、酸化グラフェンを分離することができると共に、酸化グラフェンを含む分散液を形成することができる。
上記Modified Hummers法を用いて酸化グラフェンを作製することにより、例えば、得られる酸化グラフェンが、硫黄、窒素、等の元素を有する場合がある。
本発明の一態様のグラフェン化合物が有する硫黄の濃度は例えば、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
本発明の一態様のグラフェン化合物は例えば、10ppm以上5%以下、あるいは100ppm以上3%以下、あるいは0.1%以上3%以下の硫黄を有する場合がある。
ここでグラフェン化合物が有する硫黄の濃度は例えば、XPS等の元素分析を用いて評価することができる。
また、本発明の一態様のグラフェン化合物は例えば、0.1%以上3%以下の窒素を有する場合がある。
酸化グラフェンを還元して得られる化合物を、「RGO(Reduced Graphene Oxide)」と呼ぶ場合がある。ここで、RGOは非特許文献1に示すように「rGO」と表記する場合もある。なお、RGOには、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素または酸素を含む原子団が結合した状態で残存する場合がある。例えばRGOは、エポキシ基、カルボキシル基などのカルボニル基、または水酸基等の官能基を有する場合がある。
グラフェン化合物は、複数のグラフェン化合物が部分的に重なりながら1枚のシート状となっていてもよい。このようなグラフェン化合物を、グラフェン化合物シートと呼ぶ場合がある。グラフェン化合物シートは例えば、厚さが0.33nm以上10mm以下、より好ましくは0.34nmより大きく10μm以下の領域を有する。グラフェン化合物シートは、炭素以外の原子、炭素以外の原子を有する原子団、またはアルキル基等の炭素を主とした原子団等により修飾されていてもよい。また、グラフェン化合物シートが有する複数の層のそれぞれにおいて、異なる原子または原子団により修飾されていてもよい。
グラフェン化合物は、炭素で構成される六員環の他に、炭素で構成される五員環や、炭素で構成される七員環以上の多員環を有してもよい。ここで、七以上の多員環の近傍では、イオンが通過可能な領域が生じる場合がある。ここでイオンの一例として、リチウムイオンがあげられる。または、リチウム以外のアルカリ金属のイオンや、電解質に用いられるアニオン、およびカチオン、電解液が有するアニオン、およびカチオン等が挙げられる。
また例えば、複数のグラフェン化合物が集まって、シート状の形状となっていてもよい。グラフェン化合物は平面的な形状を有するため、面接触を可能とする。
グラフェン化合物は薄くても導電性が高い場合があり、また面接触によりグラフェン化合物同士、あるいはグラフェン化合物と活物質との間の接触面積を増加させることができる。よって、体積あたりの量が少なくても効率よく導電パスを形成することができる。
また、グラフェン化合物を絶縁体として用いることもできる。例えばグラフェン化合物シートをシート状の絶縁体として用いることができる。ここで例えば、酸化グラフェンは酸化されていないグラフェン化合物と比較して絶縁性が高い場合がある。また、原子団に修飾されたグラフェン化合物は、修飾される原子団の種類により、絶縁性を高めることができる場合がある。
図3(A)は、単層のグラフェンを説明する模式図である。図3(B)は、グラフェンにエポキシ基、カルボキシ基、および水酸基等の官能基が付加した場合の例を示す。なお、図3(B)は一例であり、官能基が付加したグラフェンはこれに限定されない。
<導電体>
図2は、本発明の一態様の導電体201の外観図を示す。導電体201は、シート状の形状を有することが好ましい。
導電体201はグラフェン化合物を有することが好ましい。
ここで導電体201の厚さは例えば、0.33nm以上100μm以下、あるいは50nm以上100μm以下、あるいは800nm以上20μm以下である。
また、導電体201の面積は例えば1mm2以上100m2以下、25mm2以上10m2以下、100mm2以上3m2以下であればよい。
以下に導電体201について、より詳しく述べる。図2に破線で示す領域202は、導電体201の断面の一部を示す。図1(A)は、領域202の拡大図である。また、図1(B)は、図1(A)に示す領域202aの拡大図である。領域202aは、複数のグラフェン化合物211を有することが好ましく、複数のグラフェン化合物211は部分的に重なることが好ましい。複数のグラフェン化合物が部分的に重なりながら1枚のシート状となったものを、グラフェン化合物シートと呼ぶ場合がある。導電体201としてグラフェン化合物シートを用いることが好ましい。
ここで、グラフェン化合物の一辺の長さ(フレークサイズともいう。)は一辺の長さが50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下である。
複数のグラフェン化合物が重なったグラフェン化合物シートは、例えば隣り合うグラフェン化合物の間において、イオンが通過可能な領域が生じる場合がある。よって、グラフェン化合物シートは、イオン伝導性に優れる場合がある。または、グラフェン化合物シートは、イオンを吸着しやすい場合がある。
また、複数のグラフェン化合物が重なったグラフェン化合物シートは、平面的に重なったグラフェン化合物同士が滑ることにより外力が印加される場合に変形することができ、亀裂等が入りにくい場合があると考えられる。
ここで、導電体201の一部を示す上面図の一例を、図61に示す。複数のグラフェン化合物211が重なり合う様子の一例を示す。よって、導電体201の表面は、グラフェン化合物の厚さに相当する段差を有する場合がある。また、導電体201の表面は、段差に概略囲まれる、段差よりも平坦な領域を有する場合があり、該領域の面積は、グラフェン化合物の面積に相当する場合がある。
また、図1(B)とは異なる領域202aの一例を図4(A)および図4(B)に示す。
導電体201がグラフェン化合物を有することにより、導電体201を、柔軟で変形しやすい構成とすることができる。また、導電体201がグラフェン化合物を有することにより、導電体201の機械的強度を高めることができる場合がある。
また、導電体201が、グラフェン化合物としてグラフェンまたはマルチグラフェンを有することにより、導電体201の導電性を高めることができる。
本発明の一態様の導電体201の電気伝導度は好ましくは0.1S/cm以上107S/cm以下、より好ましくは1S/cm以上106S/cm以下、さらに好ましくは10S/cm以上106S/cm以下である。ここで導電体201の電気伝導度は例えば、導電体201がシート状である場合には、シート面に端子を当てて、4端子法を用いて測定することができる。
導電体201が有するグラフェン化合物211の層間距離の一例を示す。グラフェン化合物211の層間距離は例えば、0.335nm以上0.7nm以下、あるいは0.34nmより大きく0.6nm以下、あるいは0.34nmより大きく0.5nm以下、あるいは0.34nmより大きく0.44nmより小さければよい。ここでグラフェン化合物211の層間距離を算出する方法として、XRD、TEM等が挙げられる。
ここでTEM観察においては、微小範囲の観察、例えば数nm乃至数μm角の範囲の観察を行う。それと比較して、XRD評価においては、より広い範囲の平均的な情報を評価できる場合がある。
次に、導電体201が有する酸素の割合は、例えばXPS(X線光電子分光法)、EDX等を用いて評価することができる。導電体201が有する酸素の割合はXPSで測定した場合に導電体201の全体の2atomic%以上20atomic%以下、好ましくは2atomic%以上11atomic%以下、より好ましくは3atomic%以上10atomic%以下である。また、導電体201をXPSで測定した場合に、炭素のC1sに相当する束縛エネルギーのスペクトルを波形分離して解析することにより、C1sの全体のスペクトルに対して、sp2を示唆するピークが占める割合を面積比として見積もることができる。ここで、導電体201において、sp2の割合は、C1sの全体のスペクトルに対して50%以上90%以下であることが好ましい。
また、導電体201が有する炭素の割合は、導電体201の全体に対して、80%より大きいことが好ましい。炭素の割合は例えば、XPS、EDXなどを用いて評価することができる。
導電体201が有するグラフェン化合物211の酸素の割合はXPSで測定した場合に導電体201の全体の2atomic%以上20atomic%以下、好ましくは2atomic%以上11atomic%以下、より好ましくは3atomic%以上10atomic%以下である。また、グラフェン化合物211の炭素の結合について、炭素の二重結合の割合は例えば50%以上90%以下であることが好ましい。炭素の二重結合の割合は例えばXPSで測定した場合に、炭素のC1sに相当する束縛エネルギーのスペクトルを波形分離して解析することにより、C1sの全体のスペクトルに対して、sp2を示唆するピークが占める割合を面積比として見積もることができる場合がある。または、NMRで13Cのスペクトルを評価する場合に例えば、化学シフトが130ppm乃至140ppmの間、あるいはその近傍に炭素の二重結合を示唆するピークを観測することができる。また例えば50ppm乃至60ppmの間、あるいはその近傍にC−O−C結合を、70ppm乃至80ppmの間、あるいはその近傍に炭素と水酸基との結合を、それぞれ示唆するピークを観測できる。sp2を示唆するピークは例えばNMRで観測される炭素の結合を示す全てのピークの面積に対する炭素の二重結合を示唆するピークの面積の割合として求めてもよい。例えば、−50ppm乃至250ppmの範囲における全ピークの面積に対して、炭素の二重結合を示唆するピークの面積の割合として求めてもよい。
また、導電体201が有するグラフェン化合物211の炭素の割合は、導電体201の全体に対して例えば80%より大きいことが好ましい。炭素の割合は例えば、XPS、EDXなどを用いて評価することができる。
<層間化合物>
あるいは、導電体201が有するグラフェン化合物として層間に分子やイオンを有する層間化合物を用いてもよい。グラフェン化合物が層間化合物である場合には、層間に有する分子やイオンの種類により電気伝導度が変化することがある。例えば、グラフェン化合物の電気伝導度を高くできる場合がある。また、層間に有する分子やイオンの大きさ、および含有量に応じて、層間距離が増大する場合がある。
<導電体の作製方法>
一例として、グラフェン化合物211を有する導電体201の作製方法を以下に説明する。
まず、グラフェン化合物シート222を作製する。グラフェン化合物シート222は、グラフェン化合物を原料として、スプレードライ法、塗布法などの手法を用いて作製することができる。ここでは一例として、原料に酸化グラフェン分散液を用い、スプレードライ法により、酸化グラフェンを有するグラフェン化合物シート222を作製する。ここで、酸化グラフェン分散液が有する酸化グラフェンの少なくとも一部は、多層の酸化グラフェンであってもよい。
原料として酸化グラフェン分散液を用い、スプレードライ法を用いて板上に複数の酸化グラフェンを成膜し、酸化グラフェンを有するグラフェン化合物シート222を得る。なお、スプレードライ法は、例えば成膜時間や分散液の濃度等を調整することにより、得られるグラフェン化合物シートの膜厚を制御できる場合があり、本発明の一態様のグラフェン化合物シートの作製に適している。得られたグラフェン化合物シートは、板から剥離すればよい。酸化グラフェンの分散液に用いる溶媒としては極性溶媒であることが好ましく、例えば水や、NMP等を用いることができる。
スプレードライ装置280の模式図を図5(A)に示す。スプレードライ装置280はチャンバー281と、ノズル282を有する。ノズル282には、チューブ283を介して分散液284が供給される。分散液284はノズル282からチャンバー281内へ噴霧状に供給され、チャンバー281内で乾燥される。ノズル282は、ヒーター285により加熱されてもよい。ここで、ヒーター285により、チャンバー281のうちノズル282に近い領域、例えば図5(A)に示す二点鎖線で囲む領域も加熱される。ここで分散液284として酸化グラフェン分散液を用いた場合、酸化グラフェン分散液より供給される酸化グラフェンの一部は粉末としてチャンバー281を介して回収容器286へ回収され、一部はグラフェン化合物シート222としてチャンバー281の壁面に成膜される。ここで矢印288に示す経路により、チャンバー281内の雰囲気がアスピレーター等により吸引されてもよい。
または、チャンバー281内に基板を設置し、該基板の上にグラフェン化合物シートを成膜してもよい。基板は平板状でもよく、曲面でもよい。また、基板はノズル282に対して平行に設置してもよいし、ある角度を持って設置してもよい。例えばノズル282に垂直に設置してもよい。図5(B)にはノズル282に垂直に基板287を設置し、基板上にグラフェン化合物シート222を成膜する例を示す。ここで例えばノズル282を左右に動かしながら成膜することにより、面内の膜厚均一性を向上させることができる場合がある。あるいは、基板287を左右に動かしてもよい。あるいはノズル282と基板287の両方を動かしてもよい。
作製されるグラフェン化合物シート222は例えば、XRD評価を行った場合に、7°以上10°以下の範囲において、ピークを有することが好ましい。ここでピークとは例えば最大値である。あるいは、ピークとは例えば極大値である。
ここで、グラフェン化合物シート222の層間距離は例えば、0.8nmより大きく2nm以下、あるいは0.85nm以上1.3nm以下である。
ここでTEM観察においては、微小範囲の観察、例えば数nm乃至数μm角の範囲の観察を行う。それと比較して、XRD評価においては、例えばより広い範囲の平均的な情報を評価できる。
XRD評価から算出される層間距離と比較して、TEMにより観測される層間距離が小さい場合がある。例えば、グラフェン化合物シート222において、TEMにより観測される層間距離が0.5nmより小さい場合がある。
次に、グラフェン化合物シート222に還元処理を施し、導電体201を得る。ここで導電体201もグラフェン化合物シートと呼ぶことができる。グラフェン化合物シート222に還元を施すことにより、グラフェン化合物シート222が有する酸化グラフェンが還元され、導電性を高めることができる。よって、導電体201は、グラフェン化合物シート222よりも導電性が高い。以上の工程により、シート状の導電体201を得る。例えばシート状の導電体201を切断等により加工し、帯状の導電体201としてもよい。
還元処理の手法として、還元剤との反応を利用して還元を行う化学還元や、熱処理を施す熱還元などを用いることができる。
化学還元について説明する。還元剤としては、アスコルビン酸、ヒドラジン、ジメチルヒドラジン、ヒドロキノン、水素化硼素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンあるいはそれらの誘導体を用いることができる。例えば、アスコルビン酸およびヒドロキノンは、ヒドラジンや水素化硼素ナトリウムに比べ還元力が弱いため安全性が高く、工業的に利用しやすい点において好ましい。
溶媒には、極性溶媒を用いることができる。還元剤を溶解することができるものであれば、材料に限定されない。例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンのいずれか一種又は二種以上の混合液を用いることができる。
還元剤および溶媒を含む還元液としては、エタノールおよびアスコルビン酸の混合液、または水、アスコルビン酸および水酸化リチウムの混合液を用いることができる。
酸化グラフェンは、アスコルビン酸によりプロトンが付加される。その後、H2Oが脱離することにより、酸化グラフェンが還元される。
化学還元の還元温度は例えば室温以上100℃以下、より好ましくは40℃以上70℃以下である。また処理時間は、3分以上10時間以下とすることができる。
還元処理後、洗浄を行ってもよい。洗浄は、例えば、還元液に含まれる溶媒として挙げた溶液を用いて行うとよい。なお、還元液に含まれる溶媒と同一の溶液としてもよいし、異なる溶液を用いてもよい。洗浄後、乾燥を行ってもよい。
次に、熱還元について説明する。熱還元工程は例えば、50℃以上500℃未満、より好ましくは120℃以上400℃以下の温度で、1時間以上48時間以下で行うとよい。減圧(真空)下又は還元雰囲気下にて行ってもよいし、大気圧でおこなってもよい。また、ガスとして、空気を用いてもよいし、窒素やその他の不活性ガスを用いてもよい。
ここで、還元後に得られる導電体201は例えば、XRD評価を行った場合に、21°以上27°以下の範囲において、ピークを有することが好ましい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の導電体201を電極に適用する例を示す。導電体201はグラフェン化合物211を有する。
本発明の一態様の導電体201は、電極の活物質として機能することが、好ましい。すなわち導電体201は充電反応や放電反応に寄与することが好ましい。例えば、本発明の一態様の導電体201を蓄電装置の電極として用いることにより、導電体201が酸化還元反応に寄与する場合がある。ここで酸化還元反応とは例えば、電子の授受を指す。より具体的な一例として例えば、酸化還元反応とは、イオン、例えばアニオンやカチオンとの反応による電子の授受を指す。
あるいは、本発明の一態様の導電体201は、その表面に電気二重層を形成することにより、キャパシタの電極として用いることができる場合がある。本発明の一態様の導電体は、例えばグラファイト等と比較して表面積が大きい場合がある。表面積が大きい電極を用いることにより、蓄電装置の容量を高めることができる。
また、導電体201を電極の集電体として用いてもよい。例えば、本発明の一態様の電極が、導電体201と、導電体201以外の活物質と、を有してもよい。導電体201を集電体として用いることにより、集電体の薄膜化が可能となり、電極を軽量化することができる場合がある。また、電極が変形しやすい場合がある。
以下に、電極の一例について説明する。
<電極の例1>
発明者らは、本発明の一態様の導電体201を蓄電装置の電極として用いる場合に、高い容量が得られることを見出した。後の実施例において詳細を述べるが、導電体201を電極として用いる場合に、100mAh/g程度の放電容量が得られる場合があることがわかった。ここで導電体201の放電容量は例えば、好ましくは10mAh/g以上、より好ましくは40mAh/g以上である。
本発明の一態様の導電体201を蓄電装置の電極に用いる例を示す。導電体201はグラフェン化合物211を有する。グラフェン化合物211については、先の実施の形態を参照することができる。
図6(A)に示す蓄電装置100は、導電体201と、セパレータ107と、電極151と、を有する。セパレータ107は、導電体201と、電極151に挟まれる。また蓄電装置100は、導電体201と電極151の間に電解液(図示せず)を有することが好ましい。また、図6(B)に示すように、蓄電装置100は、セパレータ107を挟んで向かい合う電極151と導電体201の組を、複数有してもよい。電極151は例えば、集電体と、集電体上の第1の層と、を有する。ここで第1の層は、活物質を有することが好ましい。電極151の構成要素の詳細については後述する。
図7(A)に示す蓄電装置100は、導電体201と、電解質158と、電極151と、を有する。電解質158は、導電体201と、電極151に挟まれる。電解質158として例えば固体電解質を用いることが好ましい。電解質158は、導電体201と電極151の双方に接する。また、図7(B)に示すように、蓄電装置100は、電解質158を挟んで向かい合う電極151と導電体201の組を、複数有してもよい。
ここで、導電体201としてグラフェン化合物シートを用いることにより、集電体と活物質とを兼ねることができる。よって、金属箔等の集電体上に活物質を設ける場合に比べて、蓄電装置の容量を高めることができる。
<導電体の作製方法>
ここで例えば、セパレータ107としてシート状、または帯状のセパレータを用い、導電体201をセパレータ107の少なくともいずれか一方の面に形成してもよい。導電体201の形成方法として例えば、スプレードライ法、塗布法などを用いることができる。塗布法については後述する。
電解液およびセパレータについては、後の実施の形態に詳述する電解液およびセパレータを用いればよい。
<電極の例2>
次に、本発明の一態様の導電体201と、導電体201とは異なる活物質とを有する電極の一例を示す。図8に示す電極101は、導電体201と、層102と、を有する。層102は活物質103を有する。層102は、導電体201の少なくとも一方の面に設けられることが好ましい。図8(A)において、層102は導電体201の片面に設けられる。図8(B)において、層102は導電体201の両方の面に設けられる。
図9(A)に示す蓄電装置100は、電極101と、電極151と、セパレータ107を有する。また図9(B)に示すように、蓄電装置100は、セパレータ107を挟んで向かい合う電極101と電極151の組を、複数有してもよい。図9に示す蓄電装置100は、電極101と電極151の間に電解液(図示せず)を有することが好ましい。また、蓄電装置100は電極101と電極151との間に電解質158を有してもよい。
層102は、導電助剤や、結着剤等を有してもよい。
電極101が正極である場合には、層102は活物質103として正極活物質を有することが好ましい。また電極101が負極である場合には、層102は活物質103として負極活物質を有することが好ましい。
また、電極101が正極である場合には、電極151は活物質として負極活物質を、電極101が負極である場合には、電極151は活物質として正極活物質を、有することが好ましい。
電極151は例えば、集電体と、集電体上の第1の層と、を有する。ここで第1の層は、活物質を有することが好ましい。また、第1の層は、導電助剤や、結着剤等を有してもよい。
電極151が有する集電体として、ステンレス、金、白金、アルミニウム、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性が高い材料をもちいることができる。また集電体を正極に用いる場合には、正極の電位で溶出しないことが好ましい。また集電体を負極に用いる場合には、リチウム等のキャリアイオンと合金化しないことが好ましい。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。集電体は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。また、電極151が有する集電体として、導電体201を用いてもよい。
正極活物質として例えば、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等を用いることができる。
正極活物質として、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、Cr2O5、MnO2等の化合物を用いることができる。特に、LiCoO2は、容量が大きいこと、LiNiO2に比べて大気中で安定であること、LiNiO2に比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。また、LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有材料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2やLiNi1−xMxO2(M=Co、Al等))を混合すると、これを用いた二次電池の特性を向上させることができ好ましい。
正極活物質は例えば、一次粒子の平均粒子径が、5nm以上50μm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。また比表面積が5m2/g以上15m2/g以下であることが好ましい。また、二次粒子の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。なお平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)またはTEMによる観察、またはレーザ回折・散乱法を用いた粒度分布計等によって測定することができる。また比表面積は、ガス吸着法により測定することができる。
また、正極活物質として、組成式LiaMnbMcOdで表すことができるリチウムマンガン複合酸化物を用いることができる。ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外から選ばれた金属元素、またはシリコン、リンを用いることが好ましく、ニッケルであることがさらに好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体を測定する場合、放電時に0<a/(b+c)<2、かつc>0、かつ0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。なお、高容量を発現させるために、表層部と中心部で、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物とすることが好ましい。このようなリチウムマンガン複合酸化物とするためには例えば、1.6≦a≦1.848、0.19≦c/b≦0.935、2.5≦d≦3とすることが好ましい。さらに、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物を用いることが特に好ましい。本明細書等において、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物とは、原料材料の量の割合(モル比)を、Li2CO3:MnCO3:NiO=0.84:0.8062:0.318とすることにより形成したリチウムマンガン複合酸化物をいう。そのため該リチウムマンガン複合酸化物は、組成式Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表されるが、この組成からずれることもある。
なお、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の金属、シリコン、リン等の組成は、例えばICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて測定することができる。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の組成は、例えばEDX(エネルギー分散型X線分析法)を用いて測定することが可能である。また、ICP−MS分析と併用して、融解ガス分析、XAFS(X線吸収微細構造)分析の価数評価を用いることで求めることができる。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくともリチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、およびリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。
結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物の粒子の断面図の例を図10に示す。
図10(A)に示すように、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物は、領域331と、領域332と、領域333を有することが好ましい。領域332は、領域331の外側の少なくとも一部に接する。ここで、外側とは、粒子の表面により近いことを示す。また、領域333は、リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子の、表面と一致する領域を有することが好ましい。
また、図10(B)に示すように、領域331は、領域332に覆われない領域を有してもよい。また、領域332は、領域333に覆われない領域を有してもよい。また、例えば領域331に領域333が接する領域を有してもよい。また、領域331は、領域332および領域333のいずれにも覆われない領域を有してもよい。
領域332は、領域331と異なる組成を有することが好ましい。
例えば、領域331と領域332の組成を分けて測定し、領域331がリチウム、マンガン、元素Mおよび酸素を有し、領域332がリチウム、マンガン、元素Mおよび酸素を有し、領域331のリチウム、マンガン、元素M、および酸素の原子数比はa1:b1:c1:d1で表され、領域332のリチウム、マンガン、元素M、および酸素の原子数比はa2:b2:c2:d2で表される場合について説明する。なお、領域331と領域332のそれぞれの組成は、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)を用いたEDX(エネルギー分散型X線分析法)で測定することができる。EDXを用いた測定では、リチウムの組成の測定が困難な場合がある。そのため、以下では、領域331と領域332の組成の違いは、リチウム以外の元素について述べる。ここで、d1/(b1+c1)は2.2以上が好ましく、2.3以上であることがより好ましく、2.35以上3以下であることがさらに好ましい。また、d2/(b2+c2)は2.2未満であることが好ましく、2.1未満であることがより好ましく、1.1以上1.9以下であることがさらに好ましい。またこの場合でも、領域331と領域332を含むリチウムマンガン複合酸化物粒子全体の組成は、前述の0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。
また、領域332が有するマンガンは、領域331が有するマンガンと異なる価数を有してもよい。また、領域332が有する元素Mは、領域331が有する元素Mと異なる価数を有してもよい。
より具体的には、領域331は、層状岩塩型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物であることが好ましい。また領域332は、スピネル型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物であることが好ましい。
ここで、各領域の組成や、元素の価数に空間的な分布がある場合には、例えば複数の箇所についてその組成や価数を評価し、その平均値を算出し、該領域の組成や価数としてもよい。
また、領域332と領域331との間に、遷移層を有してもよい。ここで遷移層とは、例えば組成が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは、結晶構造が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは、結晶の格子定数が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、第2の領域と第1の領域との間に、混合層を有してもよい。ここで混合層とは、例えば異なる結晶方位を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。あるいは、混合層とは、例えば異なる結晶構造を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。あるいは、混合層とは、例えば異なる組成を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。
領域333には、炭素または金属化合物を用いることができる。ここで、金属としては例えばコバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マンガン、チタン、亜鉛、リチウム等が挙げられる。金属化合物の一例として、領域333はこれらの金属の酸化物や、フッ化物などを有していてもよい。
領域333は、上記の中でも、炭素を有することが特に好ましい。炭素は導電性が高いため、炭素で被覆された粒子を蓄電装置の電極に用いることにより、例えば電極の抵抗を低くすることができる。また、領域333はグラフェン化合物を有することが好ましい。領域333にグラフェン化合物を用いることにより、リチウムマンガン複合酸化物の粒子を効率よく被覆することができる。グラフェン化合物については後述する。また、領域333はより具体的には例えば、グラフェンを有してもよく、酸化グラフェンを有してもよい。また、グラフェンとして、酸化グラフェンを還元して得られるグラフェンを用いることが好ましい。グラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性および高い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する。領域333に酸化グラフェンを用い、還元を行うことで、領域333と接する領域332が酸化される場合がある。
領域333が、グラフェン化合物を有することで、リチウムマンガン複合酸化物を正極材料に用いた二次電池の、サイクル特性を向上させることができる。
領域333の膜厚は、0.4nm以上40nm以下とすることが好ましい。
また、リチウムマンガン複合酸化物は、例えば、一次粒子の平均粒子径が、5nm以上50μm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。また比表面積が5m2/g以上15m2/g以下であることが好ましい。また、二次粒子の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。
負極活物質として例えば、例えば炭素系材料や合金系材料等を用いることができる。
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等を用いればよい。
黒鉛としては、人造黒鉛や、天然黒鉛等が挙げられる。人造黒鉛としては例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等が挙げられる。ここで人造黒鉛として、球状の形状を有する球状黒鉛を用いることができる。例えば、MCMBは球状の形状を有する場合があり、好ましい。また、MCMBはその表面積を小さくすることが比較的容易であり、好ましい場合がある。天然黒鉛としては例えば、鱗片状黒鉛、球状化天然黒鉛等が挙げられる。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に低い電位を示す(0.1以上0.3V以下 vs.Li/Li+)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が比較的小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な元素を用いることができる。例えば、シリコン、スズ、ガリウム、アルミニウム、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。また、これらの元素を有する化合物を用いてもよい。例えば、SiO、Mg2Si、Mg2Ge、SnO、SnO2、Mg2Sn、SnS2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb3、InSb、SbSn等がある。ここで、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な元素、および該元素を有する化合物等を合金系材料と呼ぶ場合がある。
また本明細書等において、SiOは例えば一酸化シリコンを指す。あるいはSiOは、SiOxと表すこともできる。ここでxは1近傍の値を有することが好ましい。例えばxは、0.2以上1.5以下が好ましく、0.3以上1.2以下が好ましい。
また、負極活物質として、二酸化チタン(TiO2)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム−黒鉛層間化合物(LixC6)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2)等の酸化物を用いることができる。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつLi3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)を示し好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムとの合金を作らない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3等のフッ化物でも起こる。
負極活物質は、反応電位が低いほど、蓄電装置の電圧を高めることができるため好ましい。一方、電位が低い場合には、電解液を還元する力も強まるため、例えば電解液に用いる有機溶媒等は還元分解される恐れがある。電解液が電気分解されない電位の幅を電位窓(potential window)という。本来、負極は、その電極電位が電解液の電位窓内にある必要があるが、例えばリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタの負極に用いる活物質の多くは、その電位はほぼ全ての電解液の電位窓を越えている。特に黒鉛や、シリコンなどの反応電位が低い材料では、蓄電装置の電圧を高くできる利点がある一方で、電解液の還元分解がよりしやすい問題がある。
また、負極活物質には、あらかじめリチウム等のキャリアイオン等を吸蔵させておいてもよい。
また、電極101および電極151は導電助剤を有してもよい。導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤により、正極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
また、導電助剤としてグラフェン化合物を用いてもよい。
グラフェン化合物は、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性および高い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する場合がある。また、グラフェン化合物は平面的な形状を有する。グラフェン化合物は、接触抵抗の低い面接触を可能とする。また、薄くても導電性が非常に高い場合があり、少ない量で効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。そのため、グラフェン化合物を導電助剤として用いることにより、活物質と導電助剤との接触面積を増大させることができるため好ましい。また、電気的な抵抗を減少できる場合があるため好ましい。ここでグラフェン化合物として例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンまたはRGOを用いることが特に好ましい。
平均粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には、少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェン化合物を用いることが、特に好ましい。
以下では一例として、層102に、導電助剤としてグラフェン化合物を用いる場合の断面構成例を説明する。
図11(A)に、層102の縦断面図を示す。層102は、粒状の活物質103と、導電助剤としてのグラフェン化合物321と、結着剤104と、を含む。ここで、グラフェン化合物321として例えばグラフェンまたはマルチグラフェンを用いればよい。ここで、グラフェン化合物321はシート状の形状を有することが好ましい。また、グラフェン化合物321は、複数のマルチグラフェン、または/および複数のグラフェンが部分的に重なりシート状となっていてもよい。図11(B)には、図11(A)に一点鎖線で囲んだ領域の拡大図を示す。
層102の縦断面においては、図11(A)に示すように、層102の内部において概略均一にシート状のグラフェン化合物321が分散する。図11(A)においてはグラフェン化合物321を模式的に太線で表しているが、実際には炭素分子の単層又は多層の厚みを有する薄膜である。複数のグラフェン化合物321は、複数の粒状の活物質103を包むように、覆うように、あるいは複数の粒状の活物質103の表面上に張り付くように形成されているため、互いに面接触している。
ここで、複数のグラフェン化合物同士が結合することにより、網目状のグラフェン化合物シート(以下グラフェン化合物ネットまたはグラフェンネットと呼ぶ)を形成することができる。活物質をグラフェンネットが被覆する場合に、グラフェンネットは活物質同士を結合するバインダーとしても機能することができる。よって、バインダーの量を少なくすることができる、又は使用しないことができるため、電極体積や電極重量に占める活物質の比率を向上させることができる。すなわち、蓄電装置の容量を増加させることができる。
ここで、グラフェン化合物321として酸化グラフェンを用い、活物質と混合して層102となる層を形成後、還元することが好ましい。グラフェン化合物321の形成に、極性溶媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを用いることにより、グラフェン化合物321を層102の内部において概略均一に分散させることができる。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散媒から溶媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元するため、層102に残留するグラフェン化合物321は部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に分散していることで三次元的な導電パスを形成することができる。なお、酸化グラフェンの還元は、例えば熱処理により行ってもよいし、還元剤を用いて行ってもよい。
従って、活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフェン化合物321は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、通常の導電助剤よりも少量で粒状の活物質103とグラフェン化合物321との電気伝導性を向上させるができる。よって、活物質103の層102における比率を増加させることができる。これにより、蓄電装置の放電容量を増加させることができる。
また、電極101および電極151は結着剤を有してもよい。結着剤として例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などのゴム材料を用いることが好ましい。また結着剤として、フッ素ゴムを用いることができる。
また、結着剤としては、例えば水溶性の高分子を用いることが好ましい。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用いることができる。また、これらの水溶性の高分子を、前述のゴム材料と併用して用いると、さらに好ましい。
または、結着剤としては、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース等の材料を用いることが好ましい。
結着剤は上記のうち複数を組み合わせて使用してもよい。
例えば粘度調整効果の特に優れた材料と、他の材料とを組み合わせて使用してもよい。例えばゴム材料等は接着力や弾性力に優れる反面、溶媒に混合した場合に粘度調整が難しい場合がある。このような場合には例えば、粘度調整効果の特に優れた材料と混合することが好ましい。粘度調整効果の特に優れた材料としては、例えば水溶性高分子を用いるとよい。また、粘度調整効果に特に優れた水溶性高分子としては、前述の多糖類、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉を用いることができる。
なお、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、例えばカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩などの塩とすることにより溶解度が上がり、粘度調整剤としての効果を発揮しやすくなる。溶解度が高くなることにより電極のスラリーを作製する際に活物質や他の構成要素との分散性を高めることもできる。本明細書においては、電極のバインダーとして使用するセルロースおよびセルロース誘導体としては、それらの塩も含むものとする。
水溶性高分子は水に溶解することにより粘度を安定化させ、また活物質や、結着剤として組み合わせる他の材料、例えばスチレンブタジエンゴムなどを、水溶液中に安定して分散させることができる。また、官能基を有するために活物質表面に安定に吸着しやすいことが期待される。また、例えばカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、例えば水酸基やカルボキシ基などの官能基を有する材料が多く、官能基を有するために高分子同士が相互作用し、活物質表面を広く覆って存在することが期待される。
活物質表面を覆う、または表面に接するバインダーが膜を形成する場合には、不動態膜としての役割を果たして電解液の分解を抑える効果も期待される。ここで、不動態膜とは、電子の伝導性のない膜、または電気伝導性の極めて低い膜であり、例えば活物質の表面に不動態膜が形成された場合には、電池反応電位において、電解液の分解を抑制することができる。また、不動態膜は、電気の伝導性を抑えるとともに、リチウムイオンは伝導できるとさらに望ましい。
<電極の作製方法>
電極の作製方法の一例を示す。まず導電体201を準備する。ここでは例としてシート状の導電体201を用いる。導電体201の作製方法については先の実施の形態を参照する。
次に、活物質103と、溶媒とを混合し、第1の混合物を作製する。ここで、導電助剤や、結着剤を加えて混合してもよい。溶媒としては、極性溶媒を用いることができる。例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれか一種又は二種以上の混合液を用いることができる。第1の材料としてゴム材料と、第2の材料として水溶性高分子を用いる場合には、溶媒には水を用いることが好ましい。
次に、作製した第1の混合物を、導電体201上に塗布する。その後、加熱処理等により第1の混合物中の溶媒を揮発させて、層102を作製する。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置について説明する。
本発明の一態様の蓄電装置の一例として、リチウムイオン電池等の電気化学反応を用いる二次電池、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ等の電気化学キャパシタ、空気電池、燃料電池等が挙げられる。
<捲回型の蓄電池>
蓄電装置の一例として捲回型の蓄電池について説明する。図12は、捲回型の蓄電池の一例を示す。
図12に示す蓄電装置980は、捲回体993と、外装体983と、を有する。捲回体993は、電極101と、電極151と、セパレータ996と、を有する。また、外装体983内には電解液が注入されている。また、蓄電装置980は、導電体201に接続するリード電極997と、電極151に接続するリード電極998と、を有することが好ましい。電極101および電極151については先の実施の形態を参照することができる。
ここで電極101として、帯状の導電体201上に、層102を作製した電極を用いる例について説明する。また、ここでは層102が活物質としてリチウムマンガン複合酸化物を有する例を示す。
ここで、導電体201の面積は例えば1mm2以上100m2以下、25mm2以上10m2以下、100mm2以上3m2以下であればよい。
なお、ここでは電極101として、帯状の導電体201上に層102を作製した電極を用いる例について説明したが、層102を有さない場合についても図12に示す蓄電装置980を適用することができる。
まず、電極101および電極151を準備する。ここで帯状の電極151は、帯状の集電体の少なくともいずれか一方の面に活物質層を形成し、作製すればよい。ここでは一例として、集電体に銅を用い、活物質層が有する活物質として、黒鉛を用いる。次に、図13(A)に示すように、電極101が有する導電体201にリード電極997を、電極151が有する集電体にリード電極998を、接合する。リード電極の接合には例えば超音波溶接などを用いればよい。
次に、図13(B)に示すように、下から電極101、セパレータ996、電極151、セパレータ996の順に積層する。その後、図14(A)に示すように、積層した電極101、電極151、およびセパレータ996を捲回し、捲回体993を作製する。この際に、芯を用いて捲回してもよい。
次に、図14(B)に示すように、捲回体993を外装体983aおよび外装体983bにより包む。その後、外装体983aと外装体983bとを接合する。ここで、接合された外装体を外装体983と呼ぶ。外装体983には、電解液を注入するために、外装体983aと外装体983bが接合されない部分を残しておくとよい。接合されない部分を注入口と呼ぶ場合がある。注入口より電解液を注入する。その後、注入口を接合し、蓄電装置980を作製する。
ここで、例えば帯状のセパレータ996の片面に導電体201を形成し、その後、導電体201上に層102を形成してもよい。すなわち、セパレータ996上に導電体201および層102を積層し、セパレータ996、導電体201および層102を固定した後に、電極151およびセパレータ996と積層してもよい。
電解液に用いる溶媒として非プロトン性有機溶媒を用いる場合には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、二次電池の薄型化および軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等がある。
また、電解液の溶媒として、難燃性および難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ又は複数用いることで、蓄電装置の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電装置の破裂や発火などを防ぐことができる。イオン液体は、カチオンとアニオンからなり、有機カチオンとアニオンとを含む。電解液に用いる有機カチオンとして、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、および四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオンや、イミダゾリウムカチオンおよびピリジニウムカチオン等の芳香族カチオンが挙げられる。また、電解液に用いるアニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、パーフルオロアルキルボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、またはパーフルオロアルキルホスフェートアニオン等が挙げられる。
電解液に用いる塩として、キャリアにリチウムイオンを用いる場合、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiAlCl4、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)、LiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
また、蓄電装置に用いる電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的には、電解液に対する不純物を1weight%以下、好ましくは0.1weight%以下、より好ましくは0.01weight%以下とすることが好ましい。
また、電解液にビニレンカーボネート、プロパンスルトン(PS)、tert−ブチルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、LiBOBなどの添加剤を添加してもよい。添加剤の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1weight%以上5weight%以下とすればよい。
また、ポリマーを電解液で膨潤させたポリマーゲル電解質を用いてもよい。
ポリマーとしては、例えばポリエチレンオキシド(PEO)などのポリアルキレンオキシド構造を有するポリマーや、PVDF、およびポリアクリロニトリル等、およびそれらを含む共重合体等を用いることができる。例えばPVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるPVDF−HFPを用いることができる。また、形成されるポリマーは、多孔質形状を有してもよい。
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、電池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
セパレータ996としては、例えば、紙、不織布、ガラス繊維、セラミックス、或いはナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンを用いた合成繊維等で形成されたものを用いることができる。
図15(A)に示す蓄電池990は、図12とは形状の異なる外装体991および外装体992を有する。図15(B)に、蓄電池990の構成要素を示す。外装体991の内部に上述した捲回体993が収納されている。
外装体983、外装体991、外装体992は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。外装体の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときに外装体を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。外装体として例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることができる。
ここで例えば、電極101を正極として用いる場合には電極151を負極とすればよく、電極101を負極として用いる場合には電極151を正極とすればよい。
具体的には例えば、正極として電極101を用い、電極101が有する活物質103として実施の形態2に示す正極活物質を用いる。例えば、活物質103としてLiaMnbMcOdで表されるリチウムマンガン複合酸化物を用いる。また、負極として電極151を用いる。電極151は、実施の形態2に示す負極活物質を有する。
以下に、蓄電池の様々な形態の例を示す。以下に示す蓄電池において、図13等に示す電極101、電極151の記載を参照することが可能である。例えば、図17に示す正極503として図13の電極101に関する記載を、負極506として図13の電極151に関する記載を参照することができる。
捲回型の蓄電池のさらなる一例として、図16に円筒型の蓄電池を示す。円筒型の蓄電池600は、図16(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
図16(B)は、円筒型の蓄電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極およびセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型の蓄電池と同様のものを用いることができる。
円筒型の蓄電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603および負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)系半導体セラミックス等を用いることができる。
図16に示すような円筒型の蓄電池のように電極を捲回する際には、捲回時に電極に大きな応力が作用する。また、電極の捲回体を筐体に収納した場合に、電極には常に捲回軸の外側に向かう応力が作用する。このように電極に大きな応力が作用したとしても、活物質が劈開してしまうことを防止することができる。
<薄型の蓄電池>
蓄電装置の一例として、図17に薄型の蓄電池を示す。薄型の蓄電池は、可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装すれば、電子機器の変形に合わせて蓄電池も曲げることもできる。
図17は薄型の蓄電池500の外観図を示す。また、図18(A)および図18(B)は、図17に一点鎖線で示すA1−A2断面およびB1−B2断面を示す。薄型の蓄電池500は、正極集電体501および正極活物質層502を有する正極503と、負極集電体504および負極活物質層505を有する負極506と、セパレータ507と、電解液508と、外装体509と、を有する。外装体509内に設けられた正極503と負極506との間にセパレータ507が設置されている。また、外装体509内は、電解液508で満たされている。
セパレータ507は袋状に加工し、正極503または負極506のいずれか一方を包むように配置することが好ましい。例えば、図19(A)に示すように、正極503を挟むようにセパレータ507を2つ折りにし、正極503と重なる領域よりも外側で封止部514により封止することで、正極503をセパレータ507内に確実に担持することができる。そして、図19(B)に示すように、セパレータ507に包まれた正極503と負極506とを交互に積層し、これらを外装体509内に配置することで薄型の蓄電池500を形成するとよい。
また、図17では正極リード電極510と負極リード電極511は同じ辺に配置されているが、図20に示すように、正極リード電極510と負極リード電極511を異なる辺に配置してもよい。このように、本発明の一態様の蓄電池は、リード電極を自由に配置することができるため、設計自由度が高い。よって、本発明の一態様の蓄電池を用いた製品の設計自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電池を用いた製品の生産性を高めることができる。
外装体509の材料や構造は、外装体983等を参照することができる。
また図18では、一例として、向かい合う正極活物質層と負極活物質層の組の数を5組としているが、勿論、電極活物質層の組は5組に限定されず、多くてもよいし、少なくてもよい。電極活物質層数が多い場合には、より多くの容量を有する蓄電池とすることができる。また、電極活物質層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた蓄電池とすることができる。
ここで例えば、図17に示す正極503が導電体201と、導電体201上の層102を有し、層102は正極活物質を有する場合を考える。図18では、蓄電池500において正極503は複数積層される。ここで、正極503が有する導電体201の面積は例えば1mm2以上1m2以下、25mm2以上1m2以下、100mm2以上0.1m2以下であればよい。
次に、正極、負極およびセパレータの積層の様々な例を示す。
図21(A)には、正極111及び負極115を6層ずつ積層する例について示す。正極111が有する正極集電体121の片面に正極活物質層122が設けられている。また、負極115が有する負極集電体125の片面に負極活物質層126が設けられている。
また、図21(A)に示す構成では、正極111の正極活物質層122を有さない面同士が接し、負極115の負極活物質層126を有さない面同士が接するように、正極111及び負極115が積層される。このような積層順とすることで、正極111の正極活物質層122を有さない面同士、負極115の負極活物質層126を有さない面同士という、金属同士の接触面をつくることができる。金属同士の接触面は、活物質とセパレータとの接触面と比較して摩擦係数を小さくすることができる。
そのため、二次電池10を湾曲したとき、正極111の正極活物質層122を有さない面同士、負極115の負極活物質層126を有さない面同士が滑ることで、湾曲の内径と外径の差により生じる応力を逃がすことができる。ここで湾曲の内径とは例えば、薄型の蓄電池500を湾曲させる場合に、薄型の蓄電池500の外装体509において、湾曲部の内側に位置する面が有する曲率半径を指す。そのため、薄型の蓄電池500の劣化を抑制することができる。また、信頼性の高い薄型の蓄電池500とすることができる。
また、図21(B)に、図21(A)と異なる正極111と負極115の積層の例を示す。図21(B)に示す構成では、正極集電体121の両面に正極活物質層122を設けている点において、図21(A)に示す構成と異なる。図21(B)のように正極集電体121の両面に正極活物質層122を設けることで、薄型の蓄電池500の単位体積あたりの容量を大きくすることができる。
また、図21(C)に、図21(B)と異なる正極111と負極115の積層の例を示す。図13(C)に示す構成では、負極集電体125の両面に負極活物質層126を設けている点において、図13(B)に示す構成と異なる。図13(C)のように負極集電体125の両面に負極活物質層126を設けることで、薄型の蓄電池500の単位体積あたりの容量をさらに大きくすることができる。
また、図21および図21に示す構成では、セパレータ123が正極111を袋状に包む構成であったが、本発明はこれに限られるものではない。ここで、図22(A)に、図21(A)と異なる構成のセパレータ123を有する例を示す。図22(A)に示す構成では、正極活物質層122と負極活物質層126との間にシート状のセパレータ123を1枚ずつ設けている点において、図21(A)に示す構成と異なる。図22(A)に示す構成では、正極111及び負極115を6層ずつ積層しており、セパレータ123を6層設けている。
また、図22(B)に図22(A)とは異なるセパレータ123を設けた例を示す。図22(B)に示す構成では、1枚のセパレータ123が正極活物質層122と負極活物質層126の間に挟まれるように複数回折り返されている点において、図22(A)に示す構成と異なる。また、図22(B)の構成は、図22(A)に示す構成の各層のセパレータ123を延長して層間をつなぎあわせた構成ということもできる。図22(B)に示す構成では、正極111及び負極115を6層ずつ積層しており、セパレータ123を少なくとも5回以上折り返している。また、セパレータ123は、正極活物質層122と負極活物質層126の間に挟まれるように設けるだけでなく、延長して複数の正極111と負極115を一まとめに結束するようにしてもよい。
また図23に示すように正極、負極およびセパレータを積層してもよい。図23(A)は第1の電極組立体130、図23(B)は第2の電極組立体131の断面図である。図23(C)は、図1(A)の一点破線A1−A2における断面図である。なお、図23(C)では図を明瞭にするため、第1の電極組立体130、電極組立体131およびセパレータ123を抜粋して示す。
図23(C)に示すように、薄型の蓄電池500は、複数の第1の電極組立体130および複数の電極組立体131を有する。
図23(A)に示すように、第1の電極組立体130では、正極集電体121の両面に正極活物質層122を有する正極111a、セパレータ123、負極集電体125の両面に負極活物質層126を有する負極115a、セパレータ123、正極集電体121の両面に正極活物質層122を有する正極111aがこの順に積層されている。また図23(B)に示すように、第2の電極組立体131では、負極集電体125の両面に負極活物質層126を有する負極115a、セパレータ123、正極集電体121の両面に正極活物質層122を有する正極111a、セパレータ123、負極集電体125の両面に負極活物質層126を有する負極115aがこの順に積層されている。
さらに図23(C)に示すように、複数の第1の電極組立体130および複数の電極組立体131は、捲回したセパレータ123によって覆われている。
<コイン型蓄電池>
コイン型の蓄電池の一例について、図24を参照して説明する。図24(A)はコイン型(単層偏平型)の蓄電池の外観図であり、図24(B)は、その断面図である。コイン型の蓄電池では外装体として、正極缶、負極缶を用いる。
コイン型の蓄電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306により形成される。
また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質層309により形成される。
なお、コイン型の蓄電池300に用いる正極304および負極307は、それぞれ活物質層は片面のみに形成すればよい。
正極缶301、負極缶302には、電解液に対して耐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えばステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307とそれぞれ電気的に接続する。
これら負極307、正極304およびセパレータ310を電解質に含浸させ、図24(B)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン形の蓄電池300を製造する。
<外装体の曲率>
蓄電装置の外装体は最小の曲率半径が例えば、3mm以上30mm以下、より好ましくは3mm以上10mm以下となるように変形することができる。蓄電装置の外装体であるフィルムは、1枚または2枚で構成されており、湾曲させた電池の断面構造は、外装体であるフィルムの2つの曲線で挟まれた構造となる。
面の曲率半径について、図25を用いて説明する。図25(A)において、曲面1700を切断した平面1701において、曲面1700に含まれる曲線1702の一部を円の弧に近似して、その円の半径を曲率半径1703とし、円の中心を曲率中心1704とする。図25(B)に曲面1700の上面図を示す。図25(C)に、平面1701で曲面1700を切断した断面図を示す。曲面を平面で切断するとき、曲面に対する平面の角度や切断位置に応じて、断面に現れる曲線の曲率半径は異なるものとなるが、本明細書等では、最も小さい曲率半径を面の曲率半径とする。
2枚のフィルムを外装体として電極・電解液など1805を挟む蓄電装置を湾曲させた場合には、蓄電装置の曲率中心1800に近い側のフィルム1801の曲率半径1802は、曲率中心1800から遠い側のフィルム1803の曲率半径1804よりも小さい(図26(A))。蓄電装置を湾曲させて断面を円弧状とすると曲率中心1800に近いフィルムの表面には圧縮応力がかかり、曲率中心1800から遠いフィルムの表面には引っ張り応力がかかる(図26(B))。外装体の表面に凹部または凸部で形成される模様を形成すると、このように圧縮応力や引っ張り応力がかかったとしても、ひずみによる影響を許容範囲内に抑えることができる。そのため、蓄電装置は、曲率中心に近い側の外装体の最小の曲率半径が例えば、3mm以上30mm以下、より好ましくは3mm以上10mm以下となるように変形することができる。
なお、蓄電装置の断面形状は、単純な円弧状に限定されず、一部が円弧を有する形状にすることができ、例えば図26(C)に示す形状や、波状(図26(D))、S字形状などとすることもできる。蓄電装置へ外力を加えることにより曲率半径が変化する場合には、曲率半径の範囲は例えば、3mm以上30mm以下であればよい。また例えば、蓄電装置が最も湾曲した状態、すなわち曲率半径が最も小さい状態において、曲率半径は好ましくは3mm以上10mm以下、より好ましくは3mm以上6mm以下である。ここで蓄電装置の曲率半径は、蓄電装置の曲面が複数の曲率中心を有する形状となる場合は、複数の曲率中心それぞれにおける曲率半径の中で、最も曲率半径が小さい曲面において、2枚の外装体の曲率中心に近い方の外装体の最小の曲率半径とすればよい。
<導電体の曲率>
また、本発明の一態様の導電体は、シート状の形状を有し、最小の曲率半径が例えば、3mm以上30mm以下、より好ましくは3mm以上10mm以下となるように変形することができる。よって、本発明の一態様の導電体は、捲回や折り曲げにより亀裂等が生じにくい。よって捲回型の蓄電装置に適している。また、本発明の一態様の導電体は、蓄電装置が外力により変形するのに伴い、変形することができる。よって、本発明の一態様の導電体を可撓性を有する蓄電装置に用いることにより、蓄電装置の信頼性を向上することができる。
<蓄電システムの構造例>
また、蓄電システムの構造例について、図27乃至図29を用いて説明する。ここで蓄電システムとは、例えば、蓄電装置を搭載した機器を指す。
図27(A)および図27(B)は、蓄電システムの外観図を示す図である。蓄電システムは、回路基板900と、蓄電池913と、を有する。蓄電池913には、ラベル910が貼られている。さらに、図27(B)に示すように、蓄電システムは、端子951と、端子952と、アンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、アンテナ915、および回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914およびアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は、アンテナ914若しくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914若しくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
蓄電システムは、アンテナ914およびアンテナ915と、蓄電池913との間に層916を有する。層916は、例えば蓄電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
なお、蓄電システムの構造は、図27に示す構造に限定されない。
例えば、図28(A−1)および図28(A−2)に示すように、図27(A)および図27(B)に示す蓄電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図28(A−1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図28(A−2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図27(A)および図27(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図27(A)および図27(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
図28(A−1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図28(A−2)に示すように、蓄電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば蓄電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。
上記構造にすることにより、アンテナ914およびアンテナ915の両方のサイズを大きくすることができる。
または、図28(B−1)および図28(B−2)に示すように、図27(A)および図27(B)に示す蓄電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを設けてもよい。図28(B−1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図28(B−2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図27(A)および図27(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図27(A)および図27(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
図28(B−1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914およびアンテナ915が設けられ、図28(B−2)に示すように、蓄電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914およびアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した蓄電システムと他の機器との通信方式としては、NFCなど、蓄電システムと他の機器の間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
又は、図29(A)に示すように、図27(A)および図27(B)に示す蓄電池913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。なお、図27(A)および図27(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図27(A)および図27(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
又は、図29(B)に示すように、図27(A)および図27(B)に示す蓄電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。なお、図27(A)および図27(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図27(A)および図27(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
センサ921としては、例えば、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。センサ921を設けることにより、例えば、蓄電システムが置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
本実施の形態で示す蓄電池や蓄電システムには、本発明の一態様に係る電極が用いられている。そのため、蓄電池や蓄電システムの容量の大きくすることができる。また、エネルギー密度を高めることができる。また、信頼性を高めることができる。また、寿命を長くすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、可撓性を有する蓄電装置を電子機器に実装する例について説明する。
実施の形態2に示す可撓性を有する蓄電装置を電子機器に実装する例を図30に示す。フレキシブルな形状を備える蓄電装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、フレキシブルな形状を備える蓄電装置を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図30(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電装置7407を有している。
図30(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装置7407も湾曲される。また、その時、曲げられた蓄電装置7407の状態を図30(C)に示す。蓄電装置7407は薄型の蓄電池である。蓄電装置7407は曲げられた状態で固定されている。なお、蓄電装置7407は集電体7409と電気的に接続されたリード電極7408を有している。例えば、集電体7409は銅箔であり、一部ガリウムと合金化させて、集電体7409と接する活物質層との密着性を向上し、蓄電装置7407が曲げられた状態での信頼性が高い構成となっている。
図30(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える。また、図30(E)に曲げられた蓄電装置7104の状態を示す。蓄電装置7104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して蓄電装置7104の一部または全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径であり、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または蓄電装置7104の主表面の一部または全部が変化する。蓄電装置7104の主表面における曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。
図30(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の電極部材を備える蓄電装置を有している。例えば、図30(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、またはバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
携帯情報端末7200はセンサを有することが好ましい。センサとして例えば、指紋センサ、脈拍センサ、体温センサ等の人体センサや、タッチセンサ、加圧センサ、加速度センサ、等が搭載されることが好ましい。
図30(G)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7304を有し、本発明の一態様の蓄電装置を有している。また、表示装置7300は、表示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させることもできる。
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状況を変更することができる。
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、蓄電装置を搭載することのできる電子機器の一例を示す。
図31(A)および図31(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図31(A)および図31(B)に示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続する可動部9640、表示部9631aと表示部9631bを有する表示部9631、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。図31(A)は、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図31(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
また、タブレット型端末9600は、筐体9630aおよび筐体9630bの内部に蓄電体9635を有する。蓄電体9635は、可動部9640を通り、筐体9630aと筐体9630bに渡って設けられている。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図31(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図31(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634有する。また、蓄電体9635として、本発明の一態様に係る蓄電体を用いる。
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630aおよび筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電体を用いた蓄電体9635は可撓性を有し、曲げ伸ばしを繰り返しても充放電容量が低下しにくい。よって、信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図31(A)および図31(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構成とすることができる。なお蓄電体9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図31(B)に示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図31(C)にブロック図を示し説明する。図31(C)には、太陽電池9633、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図31(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにして蓄電体9635の充電を行う構成とすればよい。
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
図32に、他の電子機器の例を示す。図32において、表示装置8000は、本発明の一態様に係る蓄電装置8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、蓄電装置8004等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置8004は、筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能となる。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図32において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、蓄電装置8103等を有する。図32では、蓄電装置8103が、筐体8101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を無停電電源として用いることで、照明装置8100の利用が可能となる。
なお、図32では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図32において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、蓄電装置8203等を有する。図32では、蓄電装置8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、蓄電装置8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に蓄電装置8203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
なお、図32では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
図32において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、蓄電装置8304等を有する。図32では、蓄電装置8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
なお、上述した電子機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電子機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置8304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われる昼間において、蓄電装置8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、車両に蓄電装置を搭載する例を示す。
また、蓄電装置を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図33において、本発明の一態様を用いた車両を例示する。図33(A)に示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は蓄電装置を有する。蓄電装置は電気モーター8406を駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、蓄電装置は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置は、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図33(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する蓄電装置にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図33(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された蓄電装置8024に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された蓄電装置8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
本発明の一態様によれば、蓄電装置のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様によれば、蓄電装置の特性を向上することができ、よって、蓄電装置自体を小型軽量化することができる。蓄電装置自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した蓄電装置を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
上記実施の形態で説明した材料を含む電池セルと組み合わせて用いることができる電池制御ユニット(Battery Management Unit:BMU)、及び該電池制御ユニットを構成する回路に適したトランジスタについて、図34乃至図40を参照して説明する。本実施の形態では、特に直列に接続された電池セルを有する蓄電装置の電池制御ユニットについて説明する。
直列に接続された複数の電池セルに対して充放電を繰り返していくと、電池セル間の特性のばらつきに応じて、容量(出力電圧)が異なってくる。直列に接続された電池セルでは、全体の放電時の容量が、容量の小さい電池セルに依存する。容量にばらつきがあると放電時の容量が小さくなる。また、容量が小さい電池セルを基準にして充電を行うと、充電不足となる虞がある。また、容量の大きい電池セルを基準にして充電を行うと、過充電となる虞がある。
そのため、直列に接続された電池セルを有する蓄電装置の電池制御ユニットは、充電不足や、過充電の原因となる、電池セル間の容量のばらつきを揃える機能を有する。電池セル間の容量のばらつきを揃える回路構成には、抵抗方式、キャパシタ方式、あるいはインダクタ方式等あるが、ここではオフ電流の小さいトランジスタを利用して容量のばらつきを揃えることのできる回路構成を一例として挙げて説明する。
オフ電流の小さいトランジスタとしては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(OSトランジスタ)が好ましい。オフ電流の小さいOSトランジスタを蓄電装置の電池制御ユニットの回路構成に用いることで、電池から漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。
チャネル形成領域に用いる酸化物半導体は、In−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、またはNd)を用いる。酸化物半導体膜を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。
ここで、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
なお、OSトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(Siトランジスタ)に比べてバンドギャップが大きいため、高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。直列に電池セルを接続する場合、数100Vの電圧が生じることになるが、このような電池セルに適用される蓄電装置の電池制御ユニットの回路構成には、前述のOSトランジスタで構成することが適している。
図34には、蓄電装置のブロック図の一例を示す。図34に示す蓄電装置BT00は、端子対BT01と、端子対BT02と、切り替え制御回路BT03と、切り替え回路BT04と、切り替え回路BT05と、変圧制御回路BT06と、変圧回路BT07と、直列に接続された複数の電池セルBT09を含む電池部BT08と、を有する。
また、図34の蓄電装置BT00において、端子対BT01と、端子対BT02と、切り替え制御回路BT03と、切り替え回路BT04と、切り替え回路BT05と、変圧制御回路BT06と、変圧回路BT07とにより構成される部分を、電池制御ユニットと呼ぶことができる。
切り替え制御回路BT03は、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の動作を制御する。具体的には、切り替え制御回路BT03は、電池セルBT09毎に測定された電圧に基づいて、放電する電池セル(放電電池セル群)、及び充電する電池セル(充電電池セル群)を決定する。
さらに、切り替え制御回路BT03は、当該決定された放電電池セル群及び充電電池セル群に基づいて、制御信号S1及び制御信号S2を出力する。制御信号S1は、切り替え回路BT04へ出力される。この制御信号S1は、端子対BT01と放電電池セル群とを接続させるように切り替え回路BT04を制御する信号である。また、制御信号S2は、切り替え回路BT05へ出力される。この制御信号S2は、端子対BT02と充電電池セル群とを接続させるように切り替え回路BT05を制御する信号である。
また、切り替え制御回路BT03は、切り替え回路BT04、切り替え回路BT05、及び変圧回路BT07の構成を踏まえ、端子対BT01と放電電池セル群との間、または端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性の端子同士が接続されるように、制御信号S1及び制御信号S2を生成する。
切り替え制御回路BT03の動作の詳細について述べる。
まず、切り替え制御回路BT03は、複数の電池セルBT09毎の電圧を測定する。そして、切り替え制御回路BT03は、例えば、所定の閾値以上の電圧の電池セルBT09を高電圧の電池セル(高電圧セル)、所定の閾値未満の電圧の電池セルBT09を低電圧の電池セル(低電圧セル)と判断する。
なお、高電圧セル及び低電圧セルを判断する方法については、様々な方法を用いることができる。例えば、切り替え制御回路BT03は、複数の電池セルBT09の中で、最も電圧の高い、又は最も電圧の低い電池セルBT09の電圧を基準として、各電池セルBT09が高電圧セルか低電圧セルかを判断してもよい。この場合、切り替え制御回路BT03は、各電池セルBT09の電圧が基準となる電圧に対して所定の割合以上か否かを判定する等して、各電池セルBT09が高電圧セルか低電圧セルかを判断することができる。そして、切り替え制御回路BT03は、この判断結果に基づいて、放電電池セル群と充電電池セル群とを決定する。
なお、複数の電池セルBT09の中には、高電圧セルと低電圧セルが様々な状態で混在し得る。例えば、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルと低電圧セルが混在する中で、高電圧セルが最も多く連続して直列に接続された部分を放電電池セル群とする。また、切り替え制御回路BT03は、低電圧セルが最も多く連続して直列に接続された部分を充電電池セル群とする。また、切り替え制御回路BT03は、過充電又は過放電に近い電池セルBT09を、放電電池セル群又は充電電池セル群として優先的に選択するようにしてもよい。
ここで、本実施形態における切り替え制御回路BT03の動作例を、図35を用いて説明する。図35は、切り替え制御回路BT03の動作例を説明するための図である。なお、説明の便宜上、図35では4個の電池セルBT09が直列に接続されている場合を例に説明する。
まず、図35(A)の例では、電池セルa乃至dの電圧を電圧Va乃至電圧Vdとすると、Va=Vb=Vc>Vdの関係にある場合を示している。つまり、連続する3つの高電圧セルa乃至cと、1つの低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路BT03は、連続する3つの高電圧セルa乃至cを放電電池セル群として決定する。また、切り替え制御回路BT03は、低電圧セルdを充電電池セル群として決定する。
次に、図35(B)の例では、Vc>Va=Vb>>Vdの関係にある場合を示している。つまり、連続する2つの低電圧セルa、bと、1つの高電圧セルcと、1つの過放電間近の低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルcを放電電池セル群として決定する。また、切り替え制御回路BT03は、低電圧セルdが過放電間近であるため、連続する2つの低電圧セルa及びbではなく、低電圧セルdを充電電池セル群として優先的に決定する。
最後に、図35(C)の例では、Va>Vb=Vc=Vdの関係にある場合を示している。つまり、1つの高電圧セルaと、連続する3つの低電圧セルb乃至dとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルaを放電電池セル群と決定する。また、切り替え制御回路BT03は、連続する3つの低電圧セルb乃至dを充電電池セル群として決定する。
切り替え制御回路BT03は、上記図35(A)乃至(C)の例のように決定された結果に基づいて、切り替え回路BT04の接続先である放電電池セル群を示す情報が設定された制御信号S1と、切り替え回路BT05の接続先である充電電池セル群を示す情報が設定された制御信号S2を、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05に対してそれぞれ出力する。
以上が、切り替え制御回路BT03の動作の詳細に関する説明である。
切り替え回路BT04は、切り替え制御回路BT03から出力される制御信号S1に応じて、端子対BT01の接続先を、切り替え制御回路BT03により決定された放電電池セル群に設定する。
端子対BT01は、対を成す端子A1及びA2により構成される。切り替え回路BT04は、この端子A1及びA2のうち、いずれか一方を放電電池セル群の中で最も上流(高電位側)に位置する電池セルBT09の正極端子と接続し、他方を放電電池セル群の中で最も下流(低電位側)に位置する電池セルBT09の負極端子と接続することにより、端子対BT01の接続先を設定する。なお、切り替え回路BT04は、制御信号S1に設定された情報を用いて放電電池セル群の位置を認識することができる。
切り替え回路BT05は、切り替え制御回路BT03から出力される制御信号S2に応じて、端子対BT02の接続先を、切り替え制御回路BT03により決定された充電電池セル群に設定する。
端子対BT02は、対を成す端子B1及びB2により構成される。切り替え回路BT05は、この端子B1及びB2のうち、いずれか一方を充電電池セル群の中で最も上流(高電位側)に位置する電池セルBT09の正極端子と接続し、他方を充電電池セル群の中で最も下流(低電位側)に位置する電池セルBT09の負極端子と接続することにより、端子対BT02の接続先を設定する。なお、切り替え回路BT05は、制御信号S2に設定された情報を用いて充電電池セル群の位置を認識することができる。
切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の構成例を示す回路図を図36及び図37に示す。
図36では、切り替え回路BT04は、複数のトランジスタBT10と、バスBT11及びBT12とを有する。バスBT11は、端子A1と接続されている。また、バスBT12は、端子A2と接続されている。複数のトランジスタBT10のソース又はドレインの一方は、それぞれ1つおきに交互に、バスBT11及びBT12と接続されている。また、複数のトランジスタBT10のソース又はドレインの他方は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。
なお、複数のトランジスタBT10のうち、最上流に位置するトランジスタBT10のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタBT10のうち、最下流に位置するトランジスタBT10のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている。
切り替え回路BT04は、複数のトランジスタBT10のゲートに与える制御信号S1に応じて、バスBT11に接続される複数のトランジスタBT10のうちの1つと、バスBT12に接続される複数のトランジスタBT10のうちの1つとをそれぞれ導通状態にすることにより、放電電池セル群と端子対BT01とを接続する。これにより、放電電池セル群の中で最も上流に位置する電池セルBT09の正極端子は、端子対の端子A1又はA2のいずれか一方と接続される。また、放電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子は、端子対の端子A1又はA2のいずれか他方、すなわち正極端子と接続されていない方の端子に接続される。
トランジスタBT10には、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタはオフ電流が小さいため、放電電池セル群に属しない電池セルから漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。またOSトランジスタは高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。そのため、放電電池セル群の出力電圧が大きくても、非導通状態とするトランジスタBT10が接続された電池セルBT09と端子対BT01とを絶縁状態とすることができる。
また、図36では、切り替え回路BT05は、複数のトランジスタBT13と、電流制御スイッチBT14と、バスBT15と、バスBT16とを有する。バスBT15及びBT16は、複数のトランジスタBT13と、電流制御スイッチBT14との間に配置される。複数のトランジスタBT13のソース又はドレインの一方は、それぞれ1つおきに交互に、バスBT15及びBT16と接続されている。また、複数のトランジスタBT13のソース又はドレインの他方は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。
なお、複数のトランジスタBT13のうち、最上流に位置するトランジスタBT13のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタBT13のうち、最下流に位置するトランジスタBT13のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている。
トランジスタBT13には、トランジスタBT10と同様に、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタはオフ電流が小さいため、充電電池セル群に属しない電池セルから漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。またOSトランジスタは高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。そのため、充電電池セル群を充電するための電圧が大きくても、非導通状態とするトランジスタBT13が接続された電池セルBT09と端子対BT02とを絶縁状態とすることができる。
電流制御スイッチBT14は、スイッチ対BT17とスイッチ対BT18とを有する。スイッチ対BT17の一端は、端子B1に接続されている。また、スイッチ対BT17の他端は2つのスイッチで分岐しており、一方のスイッチはバスBT15に接続され、他方のスイッチはバスBT16に接続されている。スイッチ対BT18の一端は、端子B2に接続されている。また、スイッチ対BT18の他端は2つのスイッチで分岐しており、一方のスイッチはバスBT15に接続され、他方のスイッチはバスBT16に接続されている。
スイッチ対BT17及びスイッチ対BT18が有するスイッチは、トランジスタBT10及びトランジスタBT13と同様に、OSトランジスタを用いることが好ましい。
切り替え回路BT05は、制御信号S2に応じて、トランジスタBT13、及び電流制御スイッチBT14のオン/オフ状態の組み合わせを制御することにより、充電電池セル群と端子対BT02とを接続する。
切り替え回路BT05は、一例として、以下のようにして充電電池セル群と端子対BT02とを接続する。
切り替え回路BT05は、複数のトランジスタBT13のゲートに与える制御信号S2に応じて、充電電池セル群の中で最も上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されているトランジスタBT13を導通状態にする。また、切り替え回路BT05は、複数のトランジスタBT13のゲートに与える制御信号S2に応じて、充電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子に接続されているトランジスタBT13を導通状態にする。
端子対BT02に印加される電圧の極性は、端子対BT01と接続される放電電池セル群、及び変圧回路BT07の構成によって変わり得る。また、充電電池セル群を充電する方向に電流を流すためには、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性の端子同士を接続する必要がある。そこで、電流制御スイッチBT14は、制御信号S2により、端子対BT02に印加される電圧の極性に応じてスイッチ対BT17及びスイッチ対BT18の接続先をそれぞれ切り替えるように制御される。
一例として、端子B1が正極、端子B2が負極となるような電圧が端子対BT02に印加されている状態を挙げて説明する。この時、電池部BT08の最下流の電池セルBT09が充電電池セル群である場合、スイッチ対BT17は、制御信号S2により、当該電池セルBT09の正極端子と接続されるように制御される。すなわち、スイッチ対BT17のバスBT16に接続されるスイッチがオン状態となり、スイッチ対BT17のバスBT15に接続されるスイッチがオフ状態となる。一方、スイッチ対BT18は、制御信号S2により、当該電池セルBT09の負極端子と接続されるように制御される。すなわち、スイッチ対BT18のバスBT15に接続されるスイッチがオン状態となり、スイッチ対BT18のバスBT16に接続されるスイッチがオフ状態となる。このようにして、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性をもつ端子同士が接続される。そして、端子対BT02から流れる電流の方向が、充電電池セル群を充電する方向となるように制御される。
また、電流制御スイッチBT14は、切り替え回路BT05ではなく、切り替え回路BT04に含まれていてもよい。この場合、電流制御スイッチBT14、制御信号S1に応じて、端子対BT01に印加される電圧の極性を制御することにより、端子対BT02に印加される電圧の極性を制御する。そして、電流制御スイッチBT14は、端子対BT02から充電電池セル群に流れる電流の向きを制御する。
図37は、図36とは異なる、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の構成例を示す回路図である。
図37では、切り替え回路BT04は、複数のトランジスタ対BT21と、バスBT24及びバスBT25とを有する。バスBT24は、端子A1と接続されている。また、バスBT25は、端子A2と接続されている。複数のトランジスタ対BT21の一端は、それぞれトランジスタBT22とトランジスタBT23とにより分岐している。トランジスタBT22のソース又はドレインの一方は、バスBT24と接続されている。また、トランジスタBT23のソース又はドレインの一方は、バスBT25と接続されている。また、複数のトランジスタ対の他端は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。なお、複数のトランジスタ対BT21のうち、最上流に位置するトランジスタ対BT21の他端は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタ対BT21のうち、最下流に位置するトランジスタ対BT21の他端は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている。
切り替え回路BT04は、制御信号S1に応じてトランジスタBT22及びトランジスタBT23の導通/非導通状態を切り換えることにより、当該トランジスタ対BT21の接続先を、端子A1又は端子A2のいずれか一方に切り替える。詳細には、トランジスタBT22が導通状態であれば、トランジスタBT23は非導通状態となり、その接続先は端子A1になる。一方、トランジスタBT23が導通状態であれば、トランジスタBT22は非導通状態となり、その接続先は端子A2になる。トランジスタBT22及びトランジスタBT23のどちらが導通状態になるかは、制御信号S1によって決定される。
端子対BT01と放電電池セル群とを接続するには、2つのトランジスタ対BT21が用いられる。詳細には、制御信号S1に基づいて、2つのトランジスタ対BT21の接続先がそれぞれ決定されることにより、放電電池セル群と端子対BT01とが接続される。2つのトランジスタ対BT21のそれぞれの接続先は、一方が端子A1となり、他方が端子A2となるように、制御信号S1によって制御される。
切り替え回路BT05は、複数のトランジスタ対BT31と、バスBT34及びバスBT35とを有する。バスBT34は、端子B1と接続されている。また、バスBT35は、端子B2と接続されている。複数のトランジスタ対BT31の一端は、それぞれトランジスタBT32とトランジスタBT33とにより分岐している。トランジスタBT32により分岐する一端は、バスBT34と接続されている。また、トランジスタBT33により分岐する一端は、バスBT35と接続されている。また、複数のトランジスタ対BT31の他端は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。なお、複数のトランジスタ対BT31のうち、最上流に位置するトランジスタ対BT31の他端は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタ対BT31のうち、最下流に位置するトランジスタ対BT31の他端は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている。
切り替え回路BT05は、制御信号S2に応じてトランジスタBT32及びトランジスタBT33の導通/非導通状態を切り換えることにより、当該トランジスタ対BT31の接続先を、端子B1又は端子B2のいずれか一方に切り替える。詳細には、トランジスタBT32が導通状態であれば、トランジスタBT33は非導通状態となり、その接続先は端子B1になる。逆に、トランジスタBT33が導通状態であれば、トランジスタBT32は非導通状態となり、その接続先は端子B2になる。トランジスタBT32及びトランジスタBT33のどちらが導通状態となるかは、制御信号S2によって決定される。
端子対BT02と充電電池セル群とを接続するには、2つのトランジスタ対BT31が用いられる。詳細には、制御信号S2に基づいて、2つのトランジスタ対BT31の接続先がそれぞれ決定されることにより、充電電池セル群と端子対BT02とが接続される。2つのトランジスタ対BT31のそれぞれの接続先は、一方が端子B1となり、他方が端子B2となるように、制御信号S2によって制御される。
また、2つのトランジスタ対BT31のそれぞれの接続先は、端子対BT02に印加される電圧の極性によって決定される。具体的には、端子B1が正極、端子B2が負極となるような電圧が端子対BT02に印加されている場合、上流側のトランジスタ対BT31は、トランジスタBT32が導通状態となり、トランジスタBT33が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。一方、下流側のトランジスタ対BT31は、トランジスタBT33が導通状態、トランジスタBT32が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。また、端子B1が負極、端子B2が正極となるような電圧が端子対BT02に印加されている場合は、上流側のトランジスタ対BT31は、トランジスタBT33が導通状態となり、トランジスタBT32が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。一方、下流側のトランジスタ対BT31は、トランジスタBT32が導通状態、トランジスタBT33が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。このようにして、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性をもつ端子同士が接続される。そして、端子対BT02から流れる電流の方向が、充電電池セル群を充電する方向となるように制御される。
変圧制御回路BT06は、変圧回路BT07の動作を制御する。変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数とに基づいて、変圧回路BT07の動作を制御する変圧信号S3を生成し、変圧回路BT07へ出力する。
なお、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数よりも多い場合は、充電電池セル群に対して過剰に大きな充電電圧が印加されることを防止する必要がある。そのため、変圧制御回路BT06は、充電電池セル群を充電できる範囲で放電電圧(Vdis)を降圧させるように変圧回路BT07を制御する変圧信号S3を出力する。
また、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数以下である場合は、充電電池セル群を充電するために必要な充電電圧を確保する必要がある。そのため、変圧制御回路BT06は、充電電池セル群に過剰な充電電圧が印加されない範囲で放電電圧(Vdis)を昇圧させるように変圧回路BT07を制御する変圧信号S3を出力する。
なお、過剰な充電電圧とする電圧値は、電池部BT08で使用される電池セルBT09の製品仕様等に鑑みて決定することができる。また、変圧回路BT07により昇圧及び降圧された電圧は、充電電圧(Vcha)として端子対BT02に印加される。
ここで、本実施形態における変圧制御回路BT06の動作例を、図38(A)乃至(C)を用いて説明する。図38(A)乃至(C)は、図35(A)乃至(C)で説明した放電電池セル群及び充電電池セル群に対応させた、変圧制御回路BT06の動作例を説明するための概念図である。なお図38(A)乃至(C)は、電池制御ユニットBT41を図示している。電池制御ユニットBT41は、上述したように、端子対BT01と、端子対BT02と、切り替え制御回路BT03と、切り替え回路BT04と、切り替え回路BT05と、変圧制御回路BT06と、変圧回路BT07とにより構成される。
図38(A)に示される例では、図35(A)で説明したように、連続する3つの高電圧セルa乃至cと、1つの低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、図35(A)を用いて説明したように、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルa乃至cを放電電池セル群として決定し、低電圧セルdを充電電池セル群として決定する。そして、変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比に基づいて、放電電圧(Vdis)から充電電圧(Vcha)への変換比Nを算出する。
なお放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数よりも多い場合に、放電電圧を変圧せずに端子対BT02にそのまま印加すると、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09に、端子対BT02を介して過剰な電圧が印加される可能性がある。そのため、図38(A)に示されるような場合では、端子対BT02に印加される充電電圧(Vcha)を、放電電圧よりも降圧させる必要がある。さらに、充電電池セル群を充電するためには、充電電圧は、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の合計電圧より大きい必要がある。そのため、変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比よりも、変換比Nを大きく設定する。
変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比に対して、変換比Nを1乃至10%程度大きくするのが好ましい。この時、充電電圧は充電電池セル群の電圧よりも大きくなるが、実際には充電電圧は充電電池セル群の電圧と等しくなる。ただし、変圧制御回路BT06は変換比Nに従い充電電池セル群の電圧を充電電圧と等しくするために、充電電池セル群を充電する電流を流すこととなる。この電流は変圧制御回路BT06に設定された値となる。
図38(A)に示される例では、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が3個で、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の数が1個であるため、変圧制御回路BT06は、1/3より少し大きい値を変換比Nとして算出する。そして、変圧制御回路BT06は、放電電圧を当該変換比Nに応じて降圧し、充電電圧に変換する変圧信号S3を変圧回路BT07に出力する。そして、変圧回路BT07は、変圧信号S3に応じて変圧された充電電圧を、端子対BT02に印加する。そして、端子対BT02に印加される充電電圧によって、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09が充電される。
また、図38(B)や図38(C)に示される例でも、図38(A)と同様に、変換比Nが算出される。図38(B)や図38(C)に示される例では、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数以下であるため、変換比Nは1以上となる。よって、この場合は、変圧制御回路BT06は、放電電圧を昇圧して充電電圧に変換する変圧信号S3を出力する。
変圧回路BT07は、変圧信号S3に基づいて、端子対BT01に印加される放電電圧を充電電圧に変換する。そして、変圧回路BT07は、変換された充電電圧を端子対BT02に印加する。ここで、変圧回路BT07は、端子対BT01と端子対BT02との間を電気的に絶縁している。これにより、変圧回路BT07は、放電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子の絶対電圧と、充電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子の絶対電圧との差異による短絡を防止する。さらに、変圧回路BT07は、上述したように、変圧信号S3に基づいて放電電池セル群の合計電圧である放電電圧を充電電圧に変換する。
また、変圧回路BT07は、例えば絶縁型DC(Direct Current)−DCコンバータ等を用いることができる。この場合、変圧制御回路BT06は、絶縁型DC−DCコンバータのオン/オフ比(デューティー比)を制御する信号を変圧信号S3として出力することにより、変圧回路BT07で変換される充電電圧を制御する。
なお、絶縁型DC−DCコンバータには、フライバック方式、フォワード方式、RCC(Ringing Choke Converter)方式、プッシュプル方式、ハーフブリッジ方式、及びフルブリッジ方式等が存在するが、目的とする出力電圧の大きさに応じて適切な方式が選択される。
絶縁型DC−DCコンバータを用いた変圧回路BT07の構成を図39に示す。絶縁型DC−DCコンバータBT51は、スイッチ部BT52とトランス部BT53とを有する。スイッチ部BT52は、絶縁型DC−DCコンバータの動作のオン/オフを切り替えるスイッチであり、例えば、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)やバイポーラ型トランジスタ等を用いて実現される。また、スイッチ部BT52は、変圧制御回路BT06から出力される、オン/オフ比を制御する変圧信号S3に基づいて、絶縁型DC−DCコンバータBT51のオン状態とオフ状態を周期的に切り替える。なお、スイッチ部BT52は、使用される絶縁型DC−DCコンバータの方式によって様々な構成を取り得る。トランス部BT53は、端子対BT01から印加される放電電圧を充電電圧に変換する。詳細には、トランス部BT53は、スイッチ部BT52のオン/オフ状態と連動して動作し、そのオン/オフ比に応じて放電電圧を充電電圧に変換する。この充電電圧は、スイッチ部BT52のスイッチング周期において、オン状態となる時間が長いほど大きくなる。一方、充電電圧は、スイッチ部BT52のスイッチング周期において、オン状態となる時間が短いほど小さくなる。なお、絶縁型DC−DCコンバータを用いる場合、トランス部BT53の内部で、端子対BT01と端子対BT02は互いに絶縁することができる。
本実施形態における蓄電装置BT00の処理の流れを、図40を用いて説明する。図40は、蓄電装置BT00の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、蓄電装置BT00は、複数の電池セルBT09毎に測定された電圧を取得する(ステップS101)。そして、蓄電装置BT00は、複数の電池セルBT09の電圧を揃える動作の開始条件を満たすか否かを判定する(ステップS102)。この開始条件は、例えば、複数の電池セルBT09毎に測定された電圧の最大値と最小値との差分が、所定の閾値以上か否か等とすることができる。この開始条件を満たさない場合は(ステップS102:NO)、各電池セルBT09の電圧のバランスが取れている状態であるため、蓄電装置BT00は、以降の処理を実行しない。一方、開始条件を満たす場合は(ステップS102:YES)、蓄電装置BT00は、各電池セルBT09の電圧を揃える処理を実行する。この処理において、蓄電装置BT00は、測定されたセル毎の電圧に基づいて、各電池セルBT09が高電圧セルか低電圧セルかを判定する(ステップS103)。そして、蓄電装置BT00は、判定結果に基づいて、放電電池セル群及び充電電池セル群を決定する(ステップS104)。さらに、蓄電装置BT00は、決定された放電電池セル群を端子対BT01の接続先に設定する制御信号S1、及び決定された充電電池セル群を端子対BT02の接続先に設定する制御信号S2を生成する(ステップS105)。蓄電装置BT00は、生成された制御信号S1及び制御信号S2を、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05へそれぞれ出力する。そして、切り替え回路BT04により、端子対BT01と放電電池セル群とが接続され、切り替え回路BT05により、端子対BT02と放電電池セル群とが接続される(ステップS106)。また、蓄電装置BT00は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数とに基づいて、変圧信号S3を生成する(ステップS107)。そして、蓄電装置BT00は、変圧信号S3に基づいて、端子対BT01に印加される放電電圧を充電電圧に変換し、端子対BT02に印加する(ステップS108)。これにより、放電電池セル群の電荷が充電電池セル群へ移動される。
また、図40のフローチャートでは、複数のステップが順番に記載されているが、各ステップの実行順序は、その記載の順番に制限されない。
以上、本実施形態によれば、放電電池セル群から充電電池セル群へ電荷を移動させる際、キャパシタ方式のように、放電電池セル群からの電荷を一旦蓄積し、その後充電電池セル群へ放出させるような構成を必要としない。これにより、単位時間あたりの電荷移動効率を向上させることができる。また、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05により、放電電池セル群及び充電電池セル群のうち、変圧回路と接続する電池セルを、個別に切り替えられる。
さらに、変圧回路BT07により、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と充電電池セル群に含まれる電池セルBT09群の個数とに基づいて、端子対BT01に印加される放電電圧が充電電圧に変換され、端子対BT02に印加される。これにより、放電側及び充電側の電池セルBT09がどのように選択されても、問題なく電荷の移動を実現できる。
さらに、トランジスタBT10及びトランジスタBT13にOSトランジスタを用いることにより、充電電池セル群及び放電電池セル群に属しない電池セルBT09から漏洩する電荷量を減らすことができる。これにより、充電及び放電に寄与しない電池セルBT09の容量の低下を抑制することができる。また、OSトランジスタは、Siトランジスタに比べて熱に対する特性の変動が小さい。これにより、電池セルBT09の温度が上昇しても、制御信号S1、S2に応じた導通状態と非導通状態の切り替えといった、正常な動作をさせることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、実施の形態1に示す導電体の作製方法の一例と、得られた導電体の物性および特性について説明する。
<導電体の作製>
本発明の一態様の導電体201の作製方法について述べる。
まず、酸化グラフェンを準備する。酸化グラフェンとして、鱗状黒鉛を原料とし、Modified Hummers法を用い、酸化工程において過マンガン酸カリウムと、硫酸と、を用いて作製されたものを用いた。シリコンウエハ上に窒化シリコンを成膜した後、酸化グラフェンを水に分散した溶液を塗布し、酸化グラフェンを光学顕微鏡を用いて観察したところ、酸化グラフェンのフレークサイズは、例えば15μm乃至50μm程度のものが多く観察された。図53(A)乃至(C)に酸化グラフェンの光学顕微鏡写真の一例を示す。
次に、酸化グラフェンを溶媒に分散させ、酸化グラフェン分散液を作製する。3weight%の酸化グラフェンを水に分散させた分散液200mlに対して、水を600ml加え、600rpmで攪拌機により攪拌を12時間行い、分散液Aを作製した。
次に、原料として酸化グラフェン分散液を用い、スプレードライ法によりにグラフェン化合物シート(GOー1とする)を成膜する。ここではスプレードライ装置のチャンバーの壁面にGOー1を成膜する。以下に詳細を説明する。
スプレードライ装置として、BUCHI製ミニスプレードライヤーB−290を用いた。入り口温度を160℃に設定した。ノズル近傍は100℃以上の温度に加熱されていると考えられる。分散液Aを約65ml/分の速度でスプレードライ装置のノズルに供給した。分散液Aは、ノズルより、流量60L/min.の窒素ガスとともに、チャンバー内に噴霧として供給された。
噴霧としてチャンバー内に供給された分散液Aは、一部が酸化グラフェンの粉末として回収容器に回収され、一部が筒状のチャンバーの壁281aの内壁にGOー1として成膜された。図41に、内壁に成膜されたGO−1の写真を示す。
次に、チャンバーの内壁からGOー1を剥がす。GOー1は、互いに重なる複数の酸化グラフェンを有する。GOー1の厚さの平均値は8.6μmであった。約10cm角の領域内において、10点の測定を行い、平均を算出した。得られたGOー1のXRD評価および電気伝導度測定を行った。結果は後述する。GO−1の写真の一例を図42に示す。また、GO−1の光学顕微鏡写真を図54(A)に、SEM像を図54(B)に示す。
次に、GOー1に還元処理を施し、導電体を得た。ここで還元処理として、3条件の条件振りを行った。得られた導電体のうち、250℃の熱還元のみを行ったものをRGO−1A、300℃の熱還元のみを行ったものをRGO−1B、化学還元を行った後に250℃の熱還元を行ったものをRGO−1Cとする。RGO−1Cの写真の一例を図43に示す。また、図55(A)および(B)にRGO−1AおよびRGO−1Cの光学顕微鏡写真を示す。また、図56(A)および(B)にRGO−1AおよびRGO−1CのSEM像を示す。
還元処理により、GO−1が有する酸化グラフェンが還元され、酸素含有量が減少する。RGO−1A乃至RGO−1Cは、グラフェン化合物を有する。また、RGO−1A乃至RGO−1Cは、グラフェン化合物シートである。
化学還元の条件について説明する。還元剤として、アスコルビン酸を用い、溶媒として濃度80%のエタノール水溶液を用いた。エタノール水溶液100mlに対して、アスコルビン酸0.3375gと、水酸化リチウム0.078gを入れて、還元液を作製した。
得られたGO−1を還元液に入れ、60℃で3時間処理して還元した。その後、エタノールを用いて洗浄を行った。
熱還元の条件について説明する。熱処理条件は、1kPaの減圧雰囲気下で250℃10時間行った。以上の工程により、シート状の導電体であるRGO−1A乃至RGO−1Cを得た。
<導電体等の評価>
次に、GO−1、RGO−1A乃至RGO−1Cの物性および特性の評価結果について説明する。
得られた試料の電気伝導度を測定した。電気伝導度の測定には、三菱化学アナリテック製のロレスタ−GP(型番:MCP−T610)を用いた。プローブにはMCP−TP06Pを用い、室温で測定した。
GO−1、RGO−1A乃至RGO−1Cの電気伝導度はそれぞれ、0.0021,4.2,6.3および25[S/cm]であった。
次に、XRD評価を行った。GO−1、RGO−1AおよびRGO−1BのXRD評価結果を図44(A),(B),(C)にそれぞれ示す。ここでRGO−1AおよびRGO−1Bについてはn数=2として異なるロットでサンプルを作製しており、図44(B)および(C)において実線および破線で示す。
図44(A),(B),(C)においてそれぞれ、9°、22°および23°近傍にピークが観測され、それぞれ層間距離の平均値が約0.98nm、約0.40nmおよび約0.39nmと示唆される。ここで近傍とは例えば、XRD評価により得られる「2θ」の角度において、±0.7°、あるいは±0.5°の範囲とすればよい。つまり、9°近傍とは例えば、8.3°以上9.7°以下の範囲、あるいは8.5°以上9.5°以下の範囲である。
次に、XPS評価を行った。まずGO−1の結果を示す。
GO−1の元素の定量値を評価したところ、炭素、酸素、硫黄、および窒素についてそれぞれ63.7,33.5,2.3および0.6(単位はatomic%)であった。
炭素のC1sスペクトルを図45(A)に、酸素のO1sスペクトルを図45(B)に、硫黄のS2pスペクトルを図46(A)に、窒素のN1sスペクトルを図46(B)に、それぞれ示す。
次に、RGO−1AおよびRGO−1CのXPS評価結果を示す。
RGO−1Aの元素の定量値を評価したところ、炭素、酸素、硫黄、および窒素についてそれぞれ80.7,15.8,1.4および2.1(単位はatomic%)であった。
RGO−1Cの元素の定量値を評価したところ、炭素、酸素、硫黄、および窒素についてそれぞれ89.5,9.2,0.2および1.2(単位はatomic%)であった。
RGO−1AおよびRGO−1Cについて、炭素のc1sスペクトルを図47(A)に、酸素のO1sスペクトルを図47(B)に、硫黄のS2pスペクトルを図48(A)に、窒素のN1sスペクトルを図48(B)に、それぞれ示す。
本実施例では、本発明の一態様の導電体の作製方法と、その物性および特性について説明する。
<溶媒を用いた処理>
実施例1で得られたグラフェン化合物シート:GO−1に対して、溶媒を塗布した。具体的には、GO−1上にNMPを滴下した後、ギャップ100μmのブレードを用いて塗布した。その後、溶媒を揮発させた(溶媒処理により得られたグラフェン化合物シートをGO−2とする)。溶媒としてNMPを用いた。
<還元>
次に、GO−2に対し、還元処理を行った。還元処理は2条件の条件振りを行った。1つ目の条件として250℃10時間の熱処理を行ったものをRGO−2A、2つ目の条件として300℃10時間の熱処理を行ったものをRGO−2Bとする。
<導電体等の評価>
次にGO−2、RGO−2AおよびRGO−2Bの物性および特性の評価結果について説明する。
RGO−2AおよびRGO−2Bの電気伝導度は86および101[S/cm]であった。また、GO−2の電気伝導度は測定下限以下となった。
GO−2およびRGO−2AのXRD評価結果を図49(A)および(B)に示す。
図49(A)において8°近傍にピークが観測され、その他に16°近傍にもよりブロードなピークが観測される。ピークでの層間距離が約1.1nmおよび約0.50nmであることが示唆される。
また図49(B)において25°近傍にピークが観測され、層間距離の平均が約0.36nmと示唆される。
ここで、実施例1で作製したGO−1と、本実施例で作製したGO−2について、FT−IR評価の結果を図50(A)に示す。破線がGO−1、実線がGO−2の結果を示す。
FT−IRの手法、および測定条件は、測定方法はAttenuated Total Reflection(全反射測定法)を用い、検出器は、テルル化カドミウム水銀検出器とした。
図50(A)に示すように、GO−1ではC−O結合、C=C結合およびC=O結合をそれぞれ示唆すると考えられる波数1250乃至1000cm−1、1620乃至1680cm−1および1750乃至1650cm−1の範囲にピークが観測された。対して、GO−2ではピークの強度比および位置に変化がみられ、また1640cm−1付近にやや強いピークが観測されるようになった。また、GO−1では1045cm−1近傍にピークが観測された。このピークの帰属として、例えば硫黄化合物が関与している可能性があると考えている。
NMPを塗布後、乾燥を行ったGO−2はFT−IR評価の結果より、例えばC−O結合の減少等、官能基の種類や濃度が変化していることが示唆される。このことにより、層間の距離が広がっている可能性がある。また、層間に窒素等の元素が位置し、層間化合物を成す可能性がある。図50(B)には、GO−2について3000cm−1近傍を拡大した図を示す。2880cm−1近傍と2950cm−1近傍にピークがみられ、C−H結合を示唆すると考えられる。例えば、NMPに由来するH等が関与する可能性あると考えている。
本実施例では、実施例1で作製したRGOー1AおよびRGO−1Bを電極として用い、蓄電池を作製した。
<蓄電池の作製および評価>
RGO−1AまたはRGO−1Bを電極、リチウム金属を対極として、蓄電池を作製した。特性の評価にはCR2032タイプ(直径20mm高さ3.2mm)のコイン型の蓄電池を用いた。セパレータにはポリプロピレンを用いた。また電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で1:1の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いた。正極缶及び負極缶として、ステンレス(SUS)で形成されているものを用いた。
次に、作製した蓄電池の充電および放電を行った。測定温度は25℃とした。充電は、重量あたりの電流密度を30mA/gとして4.8Vを上限として定電流充電を行った。また放電は、重量あたりの電流密度を30mA/gとして2Vを下限として定電流放電を行った。
RGOー1AおよびRGO−1Bの充放電特性を図51(A)および(B)に示す。実線は、図44(B)および(C)において実線で示した試料に、破線は、図44(B)および(C)において破線で示した試料に、それぞれ対応する。ここで縦軸は電圧、横軸はRGO−1AまたはRGO−1Bの重量あたりの容量を示す。
図51(A)および(B)に示すように、良好な充放電特性が得られた。
ここで、充放電において、RGOー1AおよびRGO−1B等の導電体が酸化還元反応に寄与すると考えられる。高い容量の起源として、蓄電装置の充電および放電に伴い、導電体201へのアニオンやカチオンの挿入および脱離が生じている可能性がある。アニオンやカチオンの挿入脱離により、酸化還元反応が生じる可能性がある。該アニオンおよび該カチオンとしては、リチウムイオンや、電解液が有するリチウムイオン以外のイオンが挙げられる。あるいは例えば、シート状の該導電体の表面に、電解液の分解物、例えばLi2CO3やLi2Oが析出し、過酸化物イオンによる電気化学反応が生じている可能性があると考えている。
本実施例では、実施例1において作製したGO−1を集電体として用い、実施の形態2に一例を示す電極を作製した。
<リチウムマンガン複合酸化物の合成>
実施の形態2に示す活物質を原料としてLi2CO3と、MnCO3、NiOとを用い、Li2CO3:MnCO3:NiO=0.84:0.8062:0.318となる割合で混合した。その後、1000℃で焼成を行い、ニッケルを有するリチウムマンガン複合酸化物である試料Aを作製した。
<被覆>
次に、酸化グラフェンの分散液を作製した。溶媒は水とした。酸化グラフェンの濃度が2weight%となるようにした。
酸化グラフェンの分散液において、酸化グラフェンの含有量が6gとなる分量に、得られた試料Aを300g加えて混合し、溶液Aを得た。その後、溶液Aに対して減圧下で50℃の熱処理を行い、混合物Bを得た。
次に、熱処理した混合物Bを、還元液に加え、60℃3時間の熱処理を行い、溶液Cを得た。還元液として、還元剤としてアスコルビン酸を用い、溶媒として濃度80体積%のエタノール水溶液を用い、試料Aに対して3.90weight%の濃度の水酸化リチウムを加え、アスコルビン酸の濃度を試料Aに対して16.87weight%tとした。
次に、溶液Cを遠心分離機を用いて回収し、混合物Dを得た。その後、混合物Dを乳鉢で解砕し、解砕した混合物Dに対して減圧下で170℃10時間の熱処理を行い、試料Eを得た。試料Eは、リチウムマンガン複合酸化物を有し、該リチウムマンガン複合酸化物はニッケルを有し、、該リチウムマンガン複合酸化物の表面にはグラフェン化合物が被覆されている。
<電極の作製>
次に、試料Eと、ABと、PVDFとをNMPと混合し、混合物Fを作製した。混合物Fの配合は試料E:AB:PVDF=90:5:5(weight%)とした。次に、層102となる混合物FをGO−1上に塗布した。その後、80℃30分の熱処理を行いNMPを揮発させた。その後、ロールプレス機を用いて電極のプレスを行った。その後、さらに250℃10時間の熱処理を行い、熱処理されたGO−1上に層102を有する、電極Gを得た。ここで、熱処理されたGO−1について、実施の形態1に一例を示す導電体201の記載を参照することができる。熱処理されたGO−1を以降、導電体201と記載する。
また、アルミニウム箔上に混合物Fを塗布し、その後、NMPの揮発、プレスおよびその後の熱処理は電極Gと同様の条件を行い、電極Hを作製した。
<TEM観察>
電極Gの断面のTEM写真を図57に示す。また、より高い倍率で観察した写真を図58に示す。
<電極の評価>
得られた電極Gおよび電極Hを用いて蓄電池を作製した。対極は、リチウム金属とした。特性の評価にはCR2032タイプ(直径20mm高さ3.2mm)のコイン型の蓄電池を用いた。セパレータにはポリプロピレンを用いた。また電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で1:1の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いた。正極缶及び負極缶として、ステンレス(SUS)で形成されているものを用いた。ここで面積あたりにおいて、電極Gに占める試料Eと導電体201の重量比はおよそ、試料E:導電体201=1:0.54であった。
次に、作製した蓄電池の充電および放電を行った。測定温度は25℃とした。充電は、試料Eの重量あたりの電流密度を30mA/gとし、4.8Vを上限として定電流充電を行った。また放電は、30mA/gで2Vを下限として定電流放電を行った。
電極Gおよび電極Hを用いた蓄電池の充放電特性を図52に示す。ここで電極Gを実線で、電極Hを点線でそれぞれ示す。図52(A)は、1サイクル目の充電および放電のカーブを、図52(B)は10サイクル目の充電および放電のカーブを、それぞれ示す。ここで縦軸は電圧、横軸は試料Eの重量で規格化した容量を示す。
図52(B)において電極Gおよび電極Hの放電容量はそれぞれ322mAh/gおよび259mAh/gであった。導電体201(RGO−1Aに相当)は最大で48mAh/gであった。よって、導電体201の寄与分は最大で48×0.54=30[mAh/g]と見積もることができる。よって、電極Hと比較して電極Gでは30mAh/g容量が高くなると見積もられる。しかしながら図52(B)では、電極Gは電極Hと比較して63mAh/g分、容量が大きい結果となった。よって例えば、充放電サイクルに伴い、導電体201の容量が増加した可能性がある。あるいは、導電体201と、試料E、AB、またはPVDFとが充放電に伴い反応した、あるいは電極G作製時に用いたNMPとの反応が何らかの寄与をしてしている、等の可能性が考えられる。
次に、層102導電体201との反応を調査するため、アルミ集電体上にアンダーコートを施したシート1103上に、混合物Fを塗布し、層1102を作製した。その後、層1102上にGO−1を載せ、250℃の熱処理を行った。熱処理を行ったGO−1を、導電体1201とする。
その後、導電体1201を剥がした。剥がした後の層1102および導電体1201の写真を図59に示す。層1102上に導電体1201が重なっていた領域をarea1、重なっていなかった領域をarea2とする。
図60に、area1およびarea2のXPS測定結果を示す。図60(A)は硫黄のS2Pの、図60(B)はマンガンのMn2pの、スペクトルをそれぞれ示す。
導電体1201と重なっていた領域では、硫黄化合物の存在を示唆するピークが検出された。XPSで検出された硫黄の濃度はarea1が5.7atomic%、area2が0atomic%であった。
また、導電体1201と重なっていた領域では、マンガンの存在を示唆するピークがほぼ検出されなかった。よって、area1では層1102上に硫黄を有する層が形成された可能性がある。XPSで検出されたマンガンの濃度はarea1が0atomic%、area2が6.0atomic%であった。GO−1が有する硫黄が、層1102との界面に析出した可能性も考えられ、導電体1201と層1102との間に反応が生じた可能性を示唆している。