JP2017010664A - 固体酸化物形燃料電池用電極、固体酸化物形燃料電池用単セル及び固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用電極、固体酸化物形燃料電池用単セル及び固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解質材料と電極材料との界面に効率良く十分な量の燃料ガスを供給できる燃料ガス供給パスを有し、その結果、固体酸化物形燃料電池の発電性能を向上させることが可能な、固体酸化物形燃料電池用電極を提供する【解決手段】本発明の固体酸化物形燃料電池用電極において、前記電極は、多孔体であって、かつ、固体酸化物形燃料電池に組み込まれた際に電解質層側となる表面の反対側の表面Aに、該表面Aにおける開口面積が5.0×10-6mm2以上である開口を複数有している。さらに、前記電極の前記表面Aにおける任意の400μm×600μmの矩形領域を4等分に分割して200μm×300μmの分割矩形領域とした場合、各前記分割矩形領域における前記開口の総面積が0.001〜0.03mm2であるとともに、各前記分割矩形領域における前記開口の数が5個以上である【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用電極、固体酸化物形燃料電池用単セル及び固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法に関する。
近年、燃料電池は、クリーンエネルギー源として注目されている。燃料電池のうち、電解質に固体のセラミックを使用している固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」と記載する。)は、作動温度が高いため排熱を利用でき、さらに高効率で電力を得ることができる等の長所を有しており、家庭用電源から大規模発電まで幅広い分野での活用が期待されている。
SOFCは、基本構造として、空気極と燃料極との間にセラミックからなる電解質層が配置された構造を有する。例えば平型のSOFCは、空気極、電解質層及び燃料極を重ね合わせたものを単セルとし、この単セルがインターコネクタを挟んで複数積み重ねられることによって高出力を得る。
SOFCの空気極では、供給された空気中の酸素(O2)が、導線を伝わってきた電子(e-)を受け取って酸素イオン(O2-)となり、この酸素イオンが電解質層を通過して燃料極に移動する。燃料極では、供給された水素と電解質層を移動してきた酸素イオンとが反応して、水(H2O)が生成されて電子が放出される。放出された電子は、導線を通って空気極へ移動する。SOFCにおけるこれらの反応は、電解質材料/電極材料/燃料ガス(水素又は空気)の三相界面を反応場として起こる。したがって、この三相界面を増加させることにより、発電性能を向上させることが可能となる。
三相界面の増加を目的として、従来、電極の形成に用いられる材料の粒径や分散状態を調整する等の様々な方法が提案されている。また、特許文献1は、材料の粒径調整等の方法では三相界面の増加の実現性が不確実であるとして、より確実に効果を得る目的で、電子伝導材からなる電子伝導パスとイオン伝導材からなるイオン伝導パスとをパターン形成することによってSOFC用電極を得ることが提案されている。また、特許文献2では、SOFCの多孔質電極層において、多孔質体における細孔とは別に、電解質層側及び/又はガス流路側(電解質層側と反対側)の表面にマクロなキャビティとして開口を設けることが提案されている。このような開口により、電極におけるガスの流通状態を向上させ、その結果、優れた発電特性を有するSOFCの提供を可能としている。
特開2008−71537号公報 特開2008−4423号公報
しかし、従来のSOFC用電極には、電解質材料と電極材料との界面に効率良く十分な量の燃料ガスを供給できる燃料ガス供給パスを形成するという点において、未だ改善の余地があった。そこで、本発明は、電解質材料と電極材料との界面に効率良く十分な量の燃料ガスを供給できる燃料ガス供給パス又は効率良く十分な量の酸化性ガスを供給できる酸化性ガス供給パスを有し、その結果SOFCの発電性能を向上させることが可能なSOFC用電極と、それを備えたSOFC用単セルとを提供することを目的とする。
本発明は、SOFC用の電極であって、
前記電極は、多孔体であって、かつ、SOFCに組み込まれた際に電解質層側となる表面の反対側の表面Aに、表面Aにおける開口面積が5.0×10-6mm2以上である開口を複数有しており、
前記電極の前記表面Aにおける任意の400μm×600μmの矩形領域を4等分に分割して200μm×300μmの分割矩形領域とした場合、各前記分割矩形領域における前記開口の総面積が0.001〜0.03mm2であるとともに、各前記分割矩形領域における前記開口の数が5個以上である、
SOFC用電極を提供する。
また、本発明は、
空気極と、
燃料極と、
前記空気極と前記燃料極との間に配置された電解質層と、
を備えた固体酸化物形燃料電池用単セルであって、
前記空気極及び前記燃料極の少なくともいずれか1つが、上記本発明のSOFC用電極である、
SOFC用単セルを提供する。
また、本発明は、SOFC用の電極を製造する方法であって、
(I)電極材料を含み、かつ40000〜60000Pa・sの粘度を有する、前記電極を形成するための電極用ペーストを作製する工程と、
(II)メッシュ数150〜250のスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷によって、所定の形状を有する前記電極用ペーストからなる塗膜を形成する工程と、
(III)前記塗膜を、0.9〜6kPaの荷重をかけながら、900℃〜1200℃の範囲で焼成する工程と、
を含む、SOFC用電極の製造方法も提供する。
本発明のSOFC用電極は、電極が燃料極の場合には電解質材料と電極材料との界面に効率良く十分な量の燃料ガスを供給できる燃料ガス供給パス、電極が空気極の場合には効率良く十分な量の酸化性ガスを供給できる酸化性ガス供給パスを有しており、その結果、SOFCに組み込まれた際にSOFCの発電性能を向上させることができる。また、本発明のSOFC用電極の製造方法よれば、そのような効果を有するSOFC用電極の製造が可能となる。また、本発明のSOFC用単セルは、本発明のSOFC用電極を備えているので、優れた発電性能を有する。
本発明の一実施形態に係るSOFC用電極を含むSOFC用単セルの一構成例を示す断面図 本発明の一実施形態に係るSOFC用電極を含むSOFC用単セルの別の構成例を示す断面図 実施例1のSOFCの空気極における、400μm×600μmの矩形領域の顕微鏡像 比較例2のSOFCの空気極における、400μm×600μmの矩形領域の顕微鏡像
本発明のSOFC用電極の一実施形態について説明する。
本実施形態のSOFC用電極は、多孔体であって、かつ、SOFCに組み込まれた際に電解質層側となる表面の反対側の表面Aに、表面Aにおける開口面積が5.0×10-6mm2以上である開口を複数有している。さらに、表面Aにおけるこれらの開口は、SOFC用電極の表面Aにおける任意の400μm×600μmの矩形領域を4等分に分割して200μm×300μmの分割矩形領域とした場合、分割矩形領域における開口の総面積が0.001〜0.03mm2であるとともに、各分割矩形領域における開口の数が5個以上である、という条件を満たしている。なお、本実施形態のSOFC用電極は、SOFC用の電解質層の一方の主面側に配置される空気極層及び/又はSOFC用の電解質層の他方の主面側に配置される燃料極層であり、SOFCの種類(電解質支持型セル(ESC)、燃料極支持型セル(ASC))に関わらず利用可能であるが、ここでは、本実施形態のSOFC用電極をESCの空気極に用いた例について、図1を参照しながら説明する。
図1に示すSOFC用単セル1は、電解質層11と、電解質層11の一方の主面側に配置された空気極層12と、電解質層11の他方の主面側に配置された燃料極層13と、を備えている。換言すると、SOFC用単セル1は、空気極層12と、燃料極層13と、空気極層12と燃料極層13との間に配置された電解質層11とを備えている。
空気極層12は、多孔体によって形成されている。空気極層12の電解質層11側の表面とは反対側の表面12a(表面A)には、開口面積が5.0×10-6mm2以上である開口(図示せず)を複数有している。なお、ここでいう開口面積とは、表面12aにおける開口の外縁によって決定される面積である。また、表面12aにおいて開口として認定される開口面積の上限は、特には限定されない。しかし、本発明の目的の1つである、電解質材料と電極材料との界面に効率良く十分な量の燃料ガスを供給することを考慮して、この目的の達成に効果的に寄与する開口を特定するために、開口面積5.0×10-3mm2以下の開口を、本実施形態で特定される開口としてもよい。表面12aに存在している開口は、開口面積が1.0×10-5mm2〜1.0×10-3mm2の範囲内に収まることが好ましい。
表面12aにおいて上記の通り特定される開口は、表面12aにおける任意の400μm×600μmの矩形領域を4等分に分割して200μm×300μmの分割矩形領域とした場合、分割矩形領域における開口の総面積が0.001〜0.03mm2であるとともに、各分割矩形領域における開口の数が5個以上である、という条件(表面12aでの開口条件)を満たしている。表面12aにおける開口がこのような条件を満たしていることにより、空気極層12は、電解質材料と電極材料との界面に効率良く十分な量の酸化性ガスを供給できる酸化性ガス供給パスを有することができるので、その結果、SOFCの発電性能を向上させることができる。特に、開口の総面積が大きすぎる場合(分割矩形領域における開口の総面積が0.03mm2を超える場合)は、イオン伝導パス及び電子伝導パスを十分に確保することができず、電極としての性能が減少しセル性能の低下へとつながる。
酸化性ガスとしては、酸素−窒素混合ガス等のような不活性ガスと酸素ガスとの混合ガス、空気等のごとく酸素分子を含むガスが好ましく、特に空気が好ましい。
分割矩形領域における開口の総面積は、0.005mm2以上が好ましく、0.01mm2以上がより好ましい。一方、分割矩形領域における開口の総面積は、0.025mm2以下が好ましく、0.02mm2以下がより好ましい。また、各分割矩形領域における開口の数は、8個以上が好ましく、10個以上がより好ましい。一方、各分割矩形領域における開口の数は、50個以下が好ましく、40個以下がより好ましく、30個以下が特に好ましい。
各分割矩形領域における開口の面積の標準偏差は、0.00001〜0.01mm2であることが好ましい。さらに、この標準偏差は、0.005mm2以下であることがより好ましく、0.001mm2以下であることが特に好ましい。各分割矩形領域における開口の面積の標準偏差がこのような範囲を満たすことにより、空気極層12の表面12aに存在する開口は、面積、すなわち大きさが揃った均一なものとなる。そのため、電解質材料と電極材料との界面により効率良く十分な量の燃料ガスを供給することが可能となる。
各分割矩形領域における開口の総面積について、1つの矩形領域から形成された4つの分割矩形領域間における標準偏差は、0.0001〜0.01mm2であることが好ましい。さらに、この標準偏差は、0.005mm2以下であることがより好ましく、0.003mm2以下であることが特に好ましい。各分割矩形領域における開口の総面積について、1つの矩形領域から形成された4つの分割矩形領域間における標準偏差がこのような範囲を満たすことにより、空気極層12の表面12aに開口がより均一に存在することなる。そのため、電解質材料と電極材料との界面により効率良く十分な量の酸化性ガスを供給することが可能となる。
各分割矩形領域における開口の数について、1つの矩形領域から形成された4つの分割矩形領域間における標準偏差は、0.1〜10個であることが好ましい。さらに、この標準偏差は、8個以下であることがより好ましく、6個以下であることが特に好ましい。各分割矩形領域における開口の数について、1つの矩形領域から形成された4つの分割矩形領域間における標準偏差がこのような範囲を満たすことにより、空気極層12の表面12aに開口がより均一に存在することなる。そのため、電解質材料と電極材料との界面により効率良く十分な量の酸化性ガスを供給することが可能となる。
空気極層12の材料は、特には限定されず、SOFC用の空気極として公知の材料を適宜用いることができる。例えば、電子伝導性に優れ、酸化雰囲気下でも安定な、ペロブスカイト形酸化物が好適に用いられる。具体的には、La0.8Sr0.2MnO3、La0.6Sr0.4CoO3、La0.6Sr0.4FeO3及びLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83等のランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンマンガナイト、ランタンフェライト及びランタンコバルタイト等が好適に用いられる。また、空気極層12にイオン伝導性を付与するために、Sc、Y及びCe等の希土類金属の酸化物やアルカリ土類金属酸化物を安定化剤として2.5〜15モル%で含む安定化ジルコニアや、希土類元素酸化物等をドープしたセリアを適宜混合することも可能である。
空気極層12の厚さは、特に限定されないが、例えば5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。また、空気極層12の厚さは、80μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましい。空気極層12の厚さが上記範囲内であれば、電極反応が効率的に行われ、発電性能がより良好となる。
次に、上記のような表面12aでの開口条件を満たす空気極層12を製造する方法の一例について説明する。空気極層12を製造する方法の一例は、
(I)電極材料(ここでは空気極層12の材料)を含み、かつ40000〜60000Pa・sの粘度を有する、電極(空気極層12)を形成するための電極用ペーストを作製する工程と、
(II)メッシュ数150〜250のスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷によって、所定の形状を有する電極用ペーストからなる塗膜を形成する工程と、
(III)塗膜を、0.9〜6kPaの荷重をかけながら、900℃〜1200℃の範囲で焼成する工程と、
を含む。すなわち、電極の製造に用いられる電極用ペーストの粘度、そのペーストをスクリーン印刷する際に用いられるスクリーンメッシュのメッシュ数、及び、塗膜の焼成時条件(荷重及び焼成温度)を上記範囲内で適切に組み合わせることにより、上記のような、表面12aでの開口条件を満たす空気極層12を製造することが可能となる。
工程(I)で作製する電極用ペーストは、40000〜60000Pa・sの粘度を有する。粘度が40000Pa・s未満であると、表面12aにおける開口の総面積が小さくなりすぎてしまう。粘度が60000Pa・sを超えると、表面12aにおける開口の総面積が大きくなりすぎてしまう。電極用ペーストの粘度は、42500Pa・s以上が好ましく、45000Pa・s以上がより好ましい。一方、電極用ペーストの粘度は、57500Pa・s以下が好ましく、55000Pa・s以下がより好ましい。なお、工程(I)で作製される電極用ペーストは、電極材料以外に、バインダーや溶剤等の必要な成分を適宜含んでいる。
工程(II)において、電極用ペーストをスクリーン印刷する際に用いられるスクリーンメッシュのメッシュ数は、150〜250である。メッシュ数が150未満であると、表面12aにおける開口の総面積が小さくなりすぎてしまう。メッシュ数が250を超えると、表面12aにおける開口の総面積が大きくなりすぎてしまう。スクリーンメッシュのメッシュ数は、160以上が好ましく、170以上がより好ましい。一方、スクリーンメッシュのメッシュ数は、240以下が好ましく、230以下がより好ましい。
工程(III)における塗膜の焼成時には、塗膜に荷重がかけられる。このときかけられる荷重は、0.9〜6kPaである。荷重が0.9kPa未満であると、表面12aにおける開口の総面積が小さくなりすぎてしまう。荷重が6kPaを超えると、空気極12が潰れてしまって空気極層12の所望の面積が得られなくなったり、空気極層12以外の構成、すなわち電解質層11や燃料極層13に割れや欠けが生じてしまったりする。荷重は、1.5kPa以上が好ましく、2kPa以上がより好ましい。一方、荷重は、5.5kPa以下が好ましく、5kPa以下がより好ましい。
工程(III)における塗膜の焼成温度は、900℃〜1200℃の範囲である。焼成温度が900℃未満であると、焼結が進行せず好適な開口数及び開口面積が得られない。焼成温度が1200℃を超えると、焼結が進行し過ぎてしまい開口数及び開口面積が多くなりすぎてしまう。焼成温度は、925℃以上が好ましく、950℃以上がより好ましい。一方、焼成温度は、1175℃以下が好ましく、1150℃以下がより好ましい。
次に、燃料極層13について説明する。燃料極層13には、公知のSOFCの燃料極層を適用することができるため、材料や、さらにその製造方法等は限定されない。一般的には、燃料極層13は、導電性を与えるための導電成分と、骨格成分となるセラミック質とを主たる構成材料として含んでいる。導電成分としては、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、白金、パラジウム、ルテニウム等の金属;酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄のように燃料電池稼動時の還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物;あるいはこれらの酸化物を2種以上含有するニッケルフェライトやコバルトフェライトのような複合金属酸化物、が挙げられる。骨格成分としては、例えば、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、チタニア、窒化アルミニウム、ムライト等の単独もしくは複合物が挙げられる。燃料極層12の厚さは、特には限定されないが、例えば5〜25μmの範囲内とでき、7〜20μmの範囲内が好ましい。
なお、燃料極層13の電解質層11側となる表面の反対側の表面13aに、空気極層12の表面12aと同様の開口を有していてもよい。その場合、空気極層12の表面12aと同様に、表面13aは開口面積が5.0×10-6mm2以上である開口を複数有しており、表面13aにおける任意の400μm×600μmの矩形領域を4等分に分割して200μm×300μmの分割矩形領域とした場合、各分割矩形領域における開口の総面積が0.001〜0.03mm2であるとともに、各分割矩形領域における開口の数が5個以上となることが好ましい。なお、燃料極層13の表面13aが上記の条件を満たす開口を有している場合の、各分割矩形領域における開口の総面積及び開口の数の好ましい範囲等は、空気極層13の場合と同様である。さらに、各分割矩形領域における開口の面積の標準偏差、各分割矩形領域における開口の総面積について、1つの矩形領域から形成された4つの分割矩形領域間における標準偏差、及び、各分割矩形領域における開口の数について、1つの矩形領域から形成された4つの分割矩形領域間における標準偏差の好ましい範囲も、空気極層12の場合と同様である。さらに、そのような開口を有する燃料極層13を製造するために、電極の製造に用いられる電極用ペーストの粘度、そのペーストをスクリーン印刷する際に用いられるスクリーンメッシュのメッシュ数、及び、塗膜の焼成時条件(荷重及び焼成温度)を上記範囲内で適切に組み合わせることについても、空気極層12の場合と同様である。
電解質層11には、一般的なSOFCの電解質層が適用できるので、その材料は特に限定されない。詳しくは、電解質層11は、セラミック質を主成分として含む。セラミック質としては、通常、SOFCの電解質層の材料として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム等で安定化されたジルコニア;イットリア、サマリア、ガドリニア等がドープされたセリア;ランタンガレート、及びランタンガレートのランタン又はガリウムの一部がストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅等で置換されたランタンガレート型ペロブスカイト構造酸化物等を使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム等で安定化されたジルコニアが好適である。
電解質層11は単層であってもよいが2層以上が積層した積層体であってもよい。たとえば酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム等で安定化されたジルコニアをセラミック質として含む第1の電解質層と、サマリア、ガドリニア等がドープされたセリアをセラミック質として含む第2の電解質層との積層体が好ましい。この場合、第2の電解質層が空気極層12側に配置され、第1の電解質層が燃料極層13側に配置されると、第2の電解質層が空気極材料と第1の電解質層に含まれる材料(ジルコニア)との反応による高抵抗層の形成を抑制する反応防止層(単に反応防止層ともいう)として作用するため、好ましい。すなわち、燃料極層13、第1の電解質層、第2の電解質層(反応防止層)、空気極層12がこの順に積層された構造のESCもSOFC用単セル1の好ましい一態様である。
電解質層11の厚さは、一般的なESCの電解質層と同様であり、例えば50〜300μmの範囲内とでき、100〜200μmの範囲内が好ましい。電解質層11の厚さが上記範囲内であれば、ESCの場合に、十分な強度と高い発電性能とを実現できる。
次に、SOFC用単セル1の製造方法について説明する。
例えばSOFC用単セル1のようなESCでは、まず電解質層11が準備される。この場合、電解質層11は、セラミック原料粉末に、バインダー及び溶剤を添加し、さらに必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤及び消泡剤等を添加してスラリーを調製し、このスラリーをシート状に成形した後に乾燥させてグリーンシートを作製し、これを焼成することによって得ることができる。
電解質層11用のグリーンシートの作製に用いられるバインダーの種類には制限がなく、従来のSOFCの電解質層の製造方法で公知となっている有機バインダーの中から適宜選択できる。また、電解質層11用のグリーンシートの作製に用いられる溶剤の種類には制限がなく、従来のSOFCの電解質層の製造方法で公知となっている溶剤の中から適宜選択できる。必要に応じて用いられる分散剤、可塑剤、潤滑剤及び消泡剤についても、従来のSOFCの電解質層の製造方法で公知となっている分散剤、可塑剤、潤滑剤及び消泡剤を、それぞれ用いることができる。電解質層11用のグリーンシートの焼成方法についても、従来のSOFCの電解質層の製造方法で公知となっている焼成方法を用いることができる。
次に、準備された電解質層11の一方の主面上に空気極層12が形成され、他方の主面上に燃料極13が形成される。
空気極層11は、上述したとおり、上記(I)〜(III)の工程を含む方法によって製造する。すなわち、まず、40000〜60000Pa・sの粘度を有する空気極層用ペーストを作製する(工程(I))。この空気極層用ペーストは、空気極層11用の電極材料に、バインダー及び溶媒等を適宜加えて混合することによって作製できる。空気極層用ペーストの粘度は、例えば、加える溶剤、分散剤及び可塑剤の量を適宜変更することによって上記範囲に調整されることができる。なお、ペーストの作製に用いられるバインダー及び溶媒等の種類には制限がなく、公知のSOFCの空気極層の製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。次に、空気極層用ペーストを用い、メッシュ数150〜250のスクリーンメッシュを用いスクリーン印刷によって、電解質層12の一方の主面上に空気極層用ペーストからなる塗膜を、所定の厚さ及び所定の形状で形成する(工程(II))。この塗膜を乾燥させることによって空気極層12用のグリーン層が形成され、これを0.9〜6kPaの荷重をかけながら900〜1200℃の範囲で焼成することによって、空気極層12が作製される(工程(III))。
燃料極層13については、電解質層11の他方の主面上に、燃料極層用ペーストを所定の厚さ及び所定の形状で塗布し、その塗膜を乾燥させることによって燃料極層13用のグリーン層が形成され、それを焼成することによって燃料極層13が得られる。焼成温度等の焼成条件は、燃料極層13に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。また、燃料極層13の材料は、上記で説明したとおりであり、特には限定されない。また、燃料極層13用のスラリーの作製に用いられるバインダー及び溶媒等の種類には制限がなく、従来のSOFCの燃料極層の製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。
なお、上記において、本発明のSOFC用電極をESCの空気極に適用した例について詳しく説明した。しかし、本発明のSOFC用電極は、例えばASCの空気極に適用されてSOFC用単セル2(図2参照)を構成することも可能である。その場合は、図2に示すように、燃料極支持体21上に、電解質層22及び空気極層23がこの順に設けられる。燃料極支持体21は、例えば、燃料極支持基板211と、燃料極支持基板211上に配置された燃料極層212とによって形成される。なお、燃料極支持基板211自体が燃料極として十分に作用し得る場合には、燃料極層212が設けられない場合もある。燃料極支持基板211及び燃料極層212には、ASCの燃料極に使用可能な公知の材料を用いることができる。基本的には、本実施の形態で説明したESCの燃料極層13と同様の材料が使用可能である。また、電解質層22は、本実施形態で説明したESCの電解質層11とは好適な厚さは異なるが、使用可能な材料は同じである。なお、空気極層23は、図1に示されたSOFC用単セル1の空気極層12と同じであり、さらに表面23aは、空気極層12の表面12aに相当する。
また、電解質層22は単層であってもよいが2層以上が積層した積層体であってもよく、ESCの場合と同様、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム等で安定化されたジルコニアをセラミック質として含む第1の電解質層を燃料極支持体21側に、サマリア、ガドリニア等がドープされたセリアをセラミック質として含む第2の電解質層(反応防止層ともいう)を空気極層23側になるよう積層した形態も好ましい。すなわち、燃料極支持体21、第1の電解質層、第2の電解質層(反応防止層ともいう)、空気極層23がこの順に積層された構造のASCもSOFC用単セル2の好ましい一態様である。
このようなSOFC用単セル2は、まず燃料極支持基板211が準備され、その上に燃料極層212、電解質層22及び空気極層23がこの順に形成されることによって製造される。
燃料極支持基板211は、燃料極支持基板211を構成する材料の粉末に、バインダー及び溶剤を添加し、さらに必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤及び消泡剤等を添加してスラリーを調製し、このスラリーをシート状に成形した後に乾燥させてグリーンシートを作製し、これを焼成することによって得ることができる。焼成温度等の焼成条件は、燃料極支持基板211に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。また、燃料極支持基板211用のスラリーの作製に用いられるバインダー及び溶媒等の種類には制限がなく、従来のSOFCの燃料極の製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。
燃料極支持基板211の一方の主面上に、燃料極層212用のスラリーを所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させることによって燃料極層212用のグリーン層が形成される。そのグリーン層を焼成することによって、燃料極層212が得られる。焼成温度等の焼成条件は、燃料極層212に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。また、燃料極層212の材料には、SOFC用単セル1の燃料極層13の材料として上記に説明した材料を使用できる。また、燃料極層212用のスラリーの作製に用いられるバインダー及び溶媒等の種類には制限がなく、従来のSOFCの燃料極の製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。
燃料極層212上に、電解質層22用のスラリーを所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させることによって電解質層22用のグリーン層が形成される。そのグリーン層を焼成することによって、電解質層22が得られる。焼成温度等の焼成条件は、電解質層22に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。また、電解質層22の材料には、SOFC用単セル1の電解質層11の材料として上記に説明した材料を使用できる。また、電解質層23用のスラリーの作製に用いられるバインダー及び溶媒等の種類には制限がなく、従来のSOFCの電解質層の製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。なお、電解質層22用のグリーン層を、燃料極層212用のグリーン層を焼成する前に当該グリーン層上に形成して、燃料極層212のグリーン層と電解質層22のグリーン層とを同時に焼成することも可能である。
また、次の方法にように、燃料極支持基板211のグリーンシート、燃料極層212のグリーン層、及び電解質層22のグリーン層を同時に焼成する方法もよく用いられる。すなわち、燃料極支持基板211のグリーンシート上に燃料極層212用のスラリーを所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させることによって燃料極層212用のグリーン層を形成する。その後、燃料極層212のグリーン層上に、さらに電解質層22用のスラリーを所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させる。こうして、燃料極支持基板211のグリーンシート、燃料極層212のグリーン層、及び電解質層22のグリーン層からなる三層のグリーン層が形成される。これらを同時に焼成する。焼成温度等の焼成条件は、燃料極支持基板211のグリーンシート、燃料極層212のグリーン層及び電解質層22のグリーン層に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。
次に、電解質層22上に、空気極層23を形成する。空気極層23は、SOFC用単セル1の空気極層12と同じ方法によって製造できる。
次に、本発明について、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(1)燃料極支持基板グリーンシートの作製
酸化ニッケル粉末(正同化学社製、平均粒子径:1.2μm)60質量部、ジルコニア粉末(東ソー株式会社製、TZ−3Y20A)40質量部、空孔形成剤としての市販のカーボンブラック3質量部、市販の(メタ)アクリル樹脂からなるバインダー(数平均分子量2万)15質量部、分散剤として市販のαオレフィン・無水マレイン酸共重合物2質量部、可塑剤として市販のカルボキシル基含有ポリマー変性物2質量部、及び分散媒としてトルエン30質量部及び酢酸エチル24質量部を、ボールミルにより混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、80℃で2時間乾燥させて、燃料極支持基板グリーンシートを作製した。なお、作製したグリーンシートの厚みについては、焼成後の厚みが300μmになるように調整した。
(2)燃料極層用ペーストの作製
酸化ニッケル粉末(正同化学社製、平均粒子径:1.2μm)60質量部、ジルコニア粉末(第一稀元素社製、HSY−8.0、平均粒子径:0.5μm)40質量部、バインダーとして市販のメタクリル系樹脂12質量部、可塑剤として市販のジブチルフタレート5質量部及び分散剤として市販のソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤8質量部を、予備混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、燃料極層用ペーストを作製した。
(3)電解質層用ペーストの作製
セラミックス質として8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素社製、HSY−8.0、平均粒子径:0.5μm)100質量部、バインダーとして市販のエチルセルロース7.5質量部、溶剤として市販のα−テルピネオール67.5質量部、可塑剤として市販のジブチルフタレートを6質量部及び分散剤として市販のソルビタン酸エステル系界面活性剤10質量部を、予備混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、電解質層用ペーストを作製した。
(4)反応防止層用ペーストの作製
セラミックス質として20モル%ガドリニアが固溶されたセリア粉末(AGCセイミケミカル社製)100質量部、バインダーとして市販のエチルセルロース7.5質量部、溶剤として市販のα−テルピネオール67.5質量部、可塑剤として市販のジブチルフタレート8質量部及び分散剤として市販のソルビタン酸エステル系界面活性剤20質量部を、予備混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、反応防止層用ペーストを作製した。
(5)燃料極層用グリーン層の形成
燃料極層用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得た燃料極支持基板グリーンシート上に、焼成後の厚さが15μmとなるように印刷し、80℃で30分間乾燥させ、燃料極層用グリーン層を形成した。
(6)電解質層用グリーン層の形成
上記電解質層用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得た燃料極層上に、焼成後の厚さが10μmとなるように印刷し、80℃で30分間乾燥させ、電解質層用グリーン層を形成した。
(7)反応防止層用グリーン層の形成
上記反応防止層用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得た電解質層上に、焼成後の厚さが2μm以下となるように印刷し、80℃で30分間乾燥させ、反応防止層用グリーン層を形成した。
(8)焼成
上記で得た、燃料極層用グリーン層、電解質層用グリーン層及び反応防止層用グリーン層が順に塗布されて積層された燃料極支持基板グリーンシート(積層体)を、焼成後の1辺が6cmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、1350℃、空気雰囲気下で3時間焼成して、燃料極支持型ハーフセルを得た。
(9)空気極層用ペーストの作製
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83(AGCセイミケミカル社製、平均粒子径:0.6μm)80質量部と20モル%ガドリニアドープセリア(AGCセイミケミカル社製、平均粒子径:0.5μm)20質量部とを混合し、さらにこれにバインダーとしてエチルセルロース2質量部と、溶媒としてα−テルピネオール30質量部とを加えて、3本ロールミルを用いて混練し、空気極層用ペーストを作製した。この空気層用ペーストの粘度を、Brook Field社製の、「VISCOMETER HBDV−II+」を用いて測定したところ、56000Pa・sであった。
(10)空気極層の形成
上記で得られた燃料極支持型ハーフセルの反応防止層上に、スクリーン印刷により、焼成後の厚さが20μmとなるように、上記空気極層用ペーストを1cm×1cmの正方形に塗布し、100℃で30分乾燥させ、空気極層用グリーン層を形成した。この空気極層用グリーン層に、2.3KPaの荷重をかけながら1000℃で2時間焼成し、実施例1のSOFCを得た。なお、空気極層の形成時のスクリーン印刷では、メッシュ数150のスクリーンメッシュを用いた。
(実施例2)
実施例1において、空気極層の形成工程における焼成温度を1050℃に、スクリーン印刷に用いたスクリーンメッシュをメッシュ数200のメッシュに変更する以外は、実施例1と同様にして実施例2のSOFCを得た。
(比較例1)
上記(1)〜(8)については実施例と同じ方法を実施して、燃料極支持型ハーフセルを得た。次に、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83、80質量部と20モル%ガドリニアドープセリア20質量部とを混合し、3本ロールミルを用いて混練して作製した空気極層用ペーストを作製した。この空気層用ペーストの粘度を、Brook Field社製の、「VISCOMETER HBDV−II+」を用いて測定したところ、21000Pa・sであった。この空気層用ペーストを、燃料極支持型ハーフセルの反応防止層上に、スクリーン印刷法により塗布し、100℃で30分乾燥させ、空気極層用グリーン層を形成した。この空気極層用グリーン層を、荷重をかけずに1000℃で2時間焼成し、比較例のSOFCを得た。なお、空気極層の形成時のスクリーン印刷では、メッシュ数80のスクリーンメッシュを用いた。
[空気極層の表面における開口の評価]
実施例1、2及び比較例1で得られたSOFCの空気極層を、レーザー顕微鏡(KEYENCE社製、VK−9510)を用いて倍率400倍で観察し、400μm×600μmの矩形領域の顕微鏡像を得た。なお、図3は実施例1の顕微鏡像であり、図4は比較例1の顕微鏡像である。得られた顕微鏡像を、画像解析ソフトウェア(Image Pro Plus、Media Cybemetics社製)を用いて4等分に分割した。すなわち、400μm×600μmの矩形領域を、4つの200μm×300μmの分割矩形領域に分割した。それぞれの分割矩形領域に存在する、開口(5.0×10-6mm2以上の開口面積を有する開口)の総面積を算出し、同時に開口の数も特定した。得られた各分割矩形領域における開口の総面積を利用して、各分割矩形領域の開口の面積の標準偏差と、4つの分割矩形領域間の開口の総面積の標準偏差と、4つの分割矩形領域間の開口の数の標準偏差とを算出した。なお、この際、画像端にかかっている開口も、5.0×10-6mm2以上の開口面積を有するものは1つの開口として数えた。さらに、開口の周辺長の総和も算出した。なお、開口は顕微鏡像の明暗で判別され、「暗部」を開口と認定した。ただし、開口ではなくヒビと判別できる黒線部分は、開口に含めなかった。実施例1、2及び比較例1の空気極層について上記評価を行った。結果を表1〜4に示す。
<電池性能評価試験>
実施例1、2及び比較例1のSOFCについて、以下の方法で電池性能を評価した。SOFCの燃料極に100mL/分の窒素を、空気極に100mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、燃料極、空気極の出口側のガスについて、流量計で、流量を測定し、漏れが無いことを確認した。次いで、水素を6mL/分、窒素を194mL/分の加湿した混合ガスを燃料極へ、200mL/分の空気を空気極へ供給した。1時間以上経過後に起電力が発生し、漏れが無いことを再度確認した後、燃料極側のガスについて、加湿器を流通後のガスが、水素と水蒸気が合計で200mL/分の流量になるように調整して供給し、起電力が安定してから10分以上経過後に、起電力が理論起電力の95%〜100%の範囲にあることを確認してから、電流−電圧特性による電池性能評価試験を実施した。得られた電流−電圧特性から、1、2及び比較例1の出力密度を求めた。SOFCの0.4A/cm2における単位面積当たりの出力密度は、実施例1で337mW/cm2、実施例2で332mW/cm2、比較例1で316mW/cm2であった。このように、実施例1のSOFCは、比較例1のSOFCと比較して、出力密度が7%上昇していることが確認された。
以上の結果から、電解質層側となる表面の反対側の表面における開口が本発明で特定された条件(分割矩形領域における開口の総面積及び開口の数)を満たす電極によれば、SOFCの発電性能を向上させることができることが確認された。
本発明のSOFC用電極によれば、SOFCに組み込まれた際にSOFCの発電性能を向上させることができる。したがって、本発明は、SOFCの高性能化に寄与できるものである。
1,2 固体酸化物形燃料電池用単セル
11,22 電解質層
12,23 空気極層
12a,23a 表面A
13 燃料極層
13a 表面A
21 燃料極支持体
211 燃料極支持基板
212 燃料極

Claims (7)

  1. 固体酸化物形燃料電池用の電極であって、
    前記電極は、多孔体であって、かつ、固体酸化物形燃料電池に組み込まれた際に電解質層側となる表面の反対側の表面Aに、該表面Aにおける開口面積が5.0×10-6mm2以上である開口を複数有しており、
    前記電極の前記表面Aにおける任意の400μm×600μmの矩形領域を4等分に分割して200μm×300μmの分割矩形領域とした場合、各前記分割矩形領域における前記開口の総面積が0.001〜0.03mm2であるとともに、各前記分割矩形領域における前記開口の数が5個以上である、
    固体酸化物形燃料電池用電極。
  2. 各前記分割矩形領域における前記開口の面積の標準偏差が、0.00001〜0.01mm2である、
    請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
  3. 各前記分割矩形領域における前記開口の総面積について、1つの前記矩形領域から形成された4つの前記分割矩形領域間における標準偏差が、0.0001〜0.01mm2である、
    請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
  4. 各前記分割矩形領域における前記開口の数について、1つの前記矩形領域から形成された4つの前記分割矩形領域間における標準偏差が、0.1〜10個である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
  5. 各前記分割矩形領域における前記開口の数が50個以下である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
  6. 空気極と、
    燃料極と、
    前記空気極と前記燃料極との間に配置された電解質層と、
    を備えた固体酸化物形燃料電池用単セルであって、
    前記空気極及び前記燃料極の少なくともいずれか1つが、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極である、
    固体酸化物形燃料電池用単セル。
  7. 固体酸化物形燃料電池用の電極を製造する方法であって、
    (I)電極材料を含み、かつ40000〜60000Pa・sの粘度を有する、前記電極を形成するための電極用ペーストを作製する工程と、
    (II)メッシュ数150〜250のスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷によって、所定の形状を有する前記電極用ペーストからなる塗膜を形成する工程と、
    (III)前記塗膜を、0.9〜6kPaの荷重をかけながら、900℃〜1200℃の範囲で焼成する工程と、
    を含む、固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法。
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