以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
(第1実施形態)
以下、この発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。図1〜図9に示す横型ブラインドは、中空のヘッドボックス1から複数本のラダーコード2を介して複数段のスラット3が吊下支持され、同ラダーコード2の下端にはボトムレール4が吊下支持されている。ラダーコード2は、「スラット支持コード」の一形態である。「スラット支持コード」は、スラット3を支持及び回動可能なものであればその構成は限定されず、例えば、互いに分離された2本の縦糸を備え、一方の縦糸がスラットの一方の縁に取着され、他方の縦糸がスラットの他方の縁に取着されるような構成であってもよい。
ヘッドボックス1内には支持部材5が複数個配設され、その支持部材5にはチルトドラム6が回転可能に支持される。ラダーコード2の上端部は、チルトドラム6に取着され、そのチルトドラム6の中心部には角度調節軸7が全てのチルトドラム6に嵌挿されている。従って、角度調節軸7が回転されると、全てのチルトドラム6が回転され、そのチルトドラム6の回転にともなって、ラダーコード2の縦糸の一方が引き上げられることにより、各スラット3及びボトムレール4が同位相で角度調節される。
ヘッドボックス1の一端部には筒体からなる操作棒8が吊下支持されており、操作棒8の下端には支持ケース11が設けられている。支持ケース11を把持して操作棒8を回転操作すると、ヘッドボックス1内に配設されるギヤ機構を介して角度調節軸7が回転される。従って、操作棒8の回転操作により、各スラット3を角度調節可能となっている。支持ケース11は、後述する回転抵抗体15を支持するケースとして機能すると共に、操作棒8を回転操作しやすくするためのグリップとして機能する。
ヘッドボックス1からは複数本(本実施形態では3本)の昇降コード9l,9c,9r(区別が不要な場合は単に「昇降コード9」と称する。)が吊下されており、各昇降コード9の一端はボトムレール4に取着される。各支持部材5には転向滑車21が前後方向の軸心23で軸支され、ヘッドボックス1に導入された昇降コード9がヘッドボックスの左右方向に転向案内可能となっている。また、各支持部材5は他の昇降コードを左右方向に通過可能な空間を有している。従って、図2に示すように、右端の昇降コード9rの他端は支持部材5で転向案内され、非操作側の昇降コード(図2では、左端及び中央の昇降コード9l,9c)は各支持部材5を経て、ヘッドボックス1内を操作棒8方向に案内される。そして、ヘッドボックス1内に設けられるストッパ部16を経て、筒状の操作棒8内に挿通される。図4(a)に示すように、昇降コード9の他端は、接続部13において、ボールチェーン12の一端に接続されており、ボールチェーン12の他端が支持ケース11内の通路11dを通ってコードイコライザ10に取着される。昇降コード9とボールチェーン12の接続方法は特に限定されず、昇降コード9とベースコード12aの接続であっても、昇降コード9とボール12bとの接続であってもよい。昇降コード9とボールチェーン12の接続方法としては溶着、接着、縫製、かしめ、結び留め、結び玉と孔との係合などが挙げられる。ボールチェーン12は、ベースコード12aに沿って多数のボール12bが略等間隔に配置されて構成される。本実施形態では、図3に示すように、昇降コード9とボールチェーン12が接続されたコードが引張コード19であり、ヘッドボックス1から導出されてボトムレール4に取着されている側が引張コード19の支持側19sであり、ヘッドボックス1から導出されてコードイコライザ10に取着されている側が引張コード19の操作側19oである。図3に示すように、支持側19sと操作側19oは、ヘッドボックス1の別々の位置から導出されている。この例では、操作側19oを昇降コード9の導出位置とは異なる位置から導出させているが、いずれかの昇降コード9の導出位置と同じ位置から操作側19oを導出させても良い。ボトムレール4の上昇に伴って、引張コード19の支持側19sの導出長が短くなり、引張コード19の操作側19oの導出長が長くなる。なお、引張コード19の支持側19sと操作側19oは、ボトムレール4の高さ位置により変動する機能概念であり、引張コード19のどの範囲が支持側19sでどの範囲が操作側19oであるか線引きできるものでなく、引張コードの同じ部位が支持側19sにも操作側19oにもなり得る。
ここで、支持ケース11及びその内部の部材の構成について、図4〜図9を用いて詳細に説明する。
支持ケース11は、支持ベース11aと、支持ベース11aに固定されるカバー11b(図1に図示)で構成される。支持ベース11aのプーリー軸受部11eに回転伝達プーリー14の円筒部14fが挿入されて、回転伝達プーリー14が支持ベース11aに対して回転可能に支持される。また、回転伝達プーリー14の嵌合孔14eには、回転抵抗体15の断面非円形の中心軸38が嵌合されて、中心軸38が回転伝達プーリー14と一体回転するようになっている。回転伝達プーリー14の収容部14dには回転抵抗体15のケース37が収容されるようになっている。
回転伝達プーリー14には、環状の本体部14gから径方向に突出する複数の(本実施形態では6個の)係合突起14aが周方向に等間隔に配置されており、隣接する2つの係合突起14aの間の凹部14cの内面は、ボール12bが係合される形状になっている。本体部14g及び係合突起14aは、支持ベース11aのプーリー収容部11g内に配置される。この状態で、ボールチェーン12が通路11dを通過するように移動すると、ボール12bが凹部14cに係合されて回転伝達プーリー14が回転するようになっている。また、支持ケース11の側壁11a1で、ボール12bの径方向への逃げが抑えられている。また、各係合突起14aには、昇降コード9やボールチェーン12のベースコード12aが挿通可能なコード挿通溝14bが設けられている。図5(b)に示すように、コード挿通溝14bの幅Wは、ベースコード12aの直径よりも大きくなっていて、支持ケース11の側壁11a1と回転伝達プーリー14の間にも隙間があり、ベースコード12aがコード挿通溝14bに係合されないようになっている。コード挿通溝14bに昇降コード9を係合させない場合には、コード挿通溝14bの幅Wは、複数本の昇降コード9の直径の和より大きいことが好ましい。但し、図5(c)に示すように、コード挿通溝14bの幅Wが複数本(本実施形態では3本)の昇降コード9の直径の和よりも小さい場合でも、コード挿通溝14bの内面と昇降コード9の間の摩擦によって発生するトルクが回転伝達プーリー14の回転に必要な最小トルクよりも小さくなるようにすることによって、昇降コード9をコード挿通溝14bに対して滑らせることができる。
回転抵抗体15は、ケース37と、ケース37から軸方向に突出する中心軸38と、ケース37から径方向に突出する回転規制突起37tを備える。回転抵抗体15は、回転規制突起37tがカバー11bに係合されることによって、カバー11bに対して回転不能に固定される。なお、ケース37とカバー11bが別体でなく一体としてもよい。また、回転規制突起37tとカバー11bの嵌合凹部を省略してもよい。回転抵抗体15は、中心軸38がケース37に対して相対回転することによって回転抵抗を発生させるように構成されているので、回転伝達プーリー14の回転に伴って中心軸38が回転すると回転抵抗が発生する。また、回転抵抗体15は、ボトムレール4の下降に伴って回転抵抗体15が発生させる回転抵抗が低減されるように構成されている。中心軸に対する回転入力がブラインドの上昇方向の場合、回転抵抗を減少させる又は生じさせないワンウェイ機能を備えることが好ましい。ワンウェイ機能は、回転抵抗体15の外部、例えば、中心軸38とプーリーの間にワンウェイクラッチを設けて構成してもよく、回転規制突起37tとカバー11bの嵌合が上昇回転時に嵌合しない構成(共回り)としてもよい。
ここで、回転抵抗体15について詳細に説明する。図8〜図9に示すように、回転抵抗体15は、ケース37と、ケース37内に挿入された中心軸38と、ケース37内に収容された移動部材39とを備える。ケース37の内面37aと移動部材39の間には隙間41が設けられている。ケース37内の収容空間40内には粘性流体(例:オイル)が充填されている。移動部材39は、中心軸38に螺合されており、且つケース37に対して相対直線移動が可能に相対回転不能に係合されている。具体的には、図9(a)に示すように、内面37aの軸直交断面内周が円で、移動部材39の軸直交面断面の外周が内面37aより隙間41を隔てた円とした例では、移動部材39に設けられた凸部39v又は凹部が、ケース37の内面に、中心軸38の長手方向に沿って設けられた溝37c又は凸条に係合されている。この例では、移動部材39とケース37とが軸方向への相対移動可能且つ相対回転不能とすればよく、図9(b)〜(c)に示すように、移動部材39とケース37が角形・楕円であれば凸部又は凹部は不要であり、要するに中心点からの距離が異なる接点があればよい。このような構成によって、中心軸38の回転に伴ってネジ送り機構によって移動部材39が中心軸38に沿って直線移動する。具体的には、図8(a)のように中心軸38の矢印B方向の回転によって移動部材39が矢印X方向に移動する。移動部材39が移動する際に、収容空間40内の粘性流体が、移動部材39の前方(進行方向)側から隙間41を通って後方側に移動する。この際に粘性流体が受ける抵抗が粘性流体の流通抵抗であり、隙間41が狭いほど、粘性流体の粘性が高いほど、粘性流体の流通抵抗が大きくなる。そして、粘性流体の流通抵抗が大きいほど、移動部材39が粘性流体から受ける抵抗が大きくなり、従って、中心軸38に加わる抵抗が大きくなる。また、隙間41の大きさや粘性流体の粘性を適宜変化させることによって、回転抵抗体15が中心軸38に与える抵抗を容易に調整することができる。
ところで、ボトムレール4が上限位置にある状態では、スラット3及びボトムレール4のほぼ全重量が昇降コード9によって支持されているので、昇降コード9に加わる荷重が大きい。スラット3は、ラダーコード2によっても支持されているので、ボトムレール4が下降するにつれてボトムレール4によって支持されているスラット3の枚数が減少することによって昇降コード9に加わる荷重が減少する。
昇降コード9に加わる荷重が大きい位置ほどボトムレール4が高速で下降しようとするので、回転抵抗体15は、ボトムレール4が高い位置にあるときほど抵抗が大きくなるように構成される。別の表現では、回転抵抗体15は、ボトムレール4の下降に伴って抵抗が小さくなるように構成される。
このような特性を実現すべく回転抵抗体15のケース37の内面37aは、図8(a)〜(b)に示すようにテーパ状になっていて、移動部材39が矢印X方向に移動するにつれて隙間41が徐々に大きくなることによって粘性流体の流通抵抗が徐々に小さくなるようになっている。このような構成により、ボトムレール4の下降完了直前には、回転抵抗体15による抵抗を非常に小さくすることができるので、ボトムレール4が下限位置にまで下がらないという問題の発生を防ぎ、ボトムレール4の下降完了直前で停止することなく下限位置までボトムレール4を下降させることができる。
ここで、本実施形態の横型ブラインドの動作について説明する。
図1に示すように、ボトムレール4が下限位置にある状態では、図1〜図3(a)及び図4(a)に示すようにコードイコライザ10が支持ケース11の下面に当接されており、ボールチェーン12のボール12bが回転伝達プーリー14の凹部14cに係合されている。この状態で、引張コード19の操作側19oを引き下げると回転伝達プーリー14が図4(a)の反時計回りに回転すると共に、ヘッドボックス1からの昇降コード9の導出長(つまり、引張コード19の支持側19sの導出長)が短くなって、図3(b)に示すように、ボトムレール4が上昇する。回転伝達プーリー14の回転に伴って回転抵抗体15の中心軸38が回転するので、回転抵抗が発生する。このとき前述のワンウェイ機能を設ければ上昇時の回転抵抗を減じるか又は作用させないため、ワンウェイ機能を設けないときより上昇操作力を軽減させることができる。
引張コード19の操作側19oを引き続き引き下げ、接続部13が回転伝達プーリー14を通過した後は、昇降コード9が回転伝達プーリー14のコード挿通溝14bを通過する。本実施形態では、昇降コード9は、コード挿通溝14bに係合されないので、昇降コード9の移動に伴って回転伝達プーリー14は回転されない。
引張コード19の操作側19oが引き下げられてボトムレール4が上限位置付近にまで到達した後の状態を図3(b)及び図4(b)に示す。この状態で引張コード19から手を離すとストッパ部16が作動してボトムレール4が自重下降しないようにストッパ部16が昇降コード9を保持する。
この状態で、引張コード19の操作側19oを少し引き下げるとストッパ部16での昇降コード9のロック状態が解除されて、ボトムレール4が自重下降しようとするが、ボールチェーン12が回転伝達プーリー14に係合するまでは急落下を防止するため手を添えて下降させる。
ボトムレール4の下降に伴ってボールチェーン12がヘッドボックス1に向かう方向に移動し、ボールチェーン12が回転伝達プーリー14に到達すると回転伝達プーリー14が回転し始める。ここからは手を離して自重下降動作させることができる。そして、手を離すと自重下降し、回転伝達プーリー14の回転に伴って回転抵抗体15の中心軸38が回転すると回転抵抗が発生するので、ボールチェーン12の移動に抵抗が加えられ、ボトムレール4の自重下降の速度が低減される。ボールチェーン12が回転伝達プーリー14に到達した時点では移動部材39は図8(a)に示す位置にあって隙間41が狭いので粘性流体の流通抵抗が大きい。このため、回転抵抗体15による抵抗が大きく、ボトムレール4の下降速度が過度に大きくなることがない。
ボトムレール4が下降するにつれて、移動部材39が図8(a)中の矢印X方向に移動することによって隙間41が徐々に大きくなり、その結果、粘性流体の流通抵抗及び回転抵抗体15による抵抗が徐々に小さくなる。そして、ボトムレール4の下降完了時には、回転抵抗体15は、図8(b)に示す状態となる。この状態では、回転抵抗体15による抵抗が非常に小さいので、ボトムレール4が下限位置にまで自重下降しないという問題の発生が抑制される。以上のように、本実施形態では、ボトムレール4の下降に伴って引張コード19の支持側19sの導出長が大きくなり、図8(c)に示すように、ボトムレール4が第1高さ位置(ボールチェーン12が回転伝達プーリー14に到達した時点のボトムレール4の高さ位置)Saに到達した時点から回転抵抗体15が抵抗を発生し始めて、引張コード19に抵抗が加えられる。この時点では、移動部材39は、図8(a)に示す位置にあるので引張コード19に加わる抵抗が比較的大きい。この時点からボトムレール4が下限位置Soに近づくにつれて、移動部材39が図8(a)に示す位置Saから図8(b)に示す位置Soに向かって移動するので、回転抵抗体15が発生させる抵抗が徐々に低減される。このため、図8(c)に示すように、引張コード19の支持側19sの導出長の増大に伴って引張コード19への抵抗が低減される。
図8(b)に示す状態から、再度、操作側19oを引くことによって、ボトムレール4を上昇させると共に、中心軸38を図8(b)の矢印A方向に回転させることによって移動部材39を図8(b)の矢印Y方向に移動させることができる。
ところで、ストッパ部16が昇降コード9を通過させるがボールチェーン12を通過させないように構成されている場合、ボトムレール4の下降に伴ってボールチェーン12がヘッドボックス1内に引きこまれてストッパ部16に到達すると、ボールチェーン12がストッパ部16と干渉し、ボトムレール4の下降が停止してしまう。そこで、本実施形態では、ボトムレール4が下限位置に到達するまでにボールチェーン12がストッパ部16に到達しないように、好ましくはボールチェーン12がヘッドボックス1に到達しないようにボールチェーン12を配置している。このため、回転抵抗体15を回転させることができる領域は、ボールチェーン12の最初のボール12bs(図4(a)に図示)が回転伝達プーリー14に到達してからストッパ部16又はヘッドボックス1に到達するまでのボールチェーン12の移動距離に依存する。そして、この移動距離を長くするには、回転抵抗体15をヘッドボックス1からできるだけ離れた位置に配置すればよく、このため、本実施形態では、回転抵抗体15は、操作棒8の先端部に取着された支持ケース11に設けている。
既に設置されている横型ブラインドに対して、本実施形態の構成を適用する場合には、その横型ブラインドの操作棒、グリップ、昇降コードを本実施形態の操作棒8、支持ケース11(ダンパ・プーリ・アッセンブリー)及び引張コード19(昇降コード9とボールチェーン12が接続されたコード)に交換すればよく、ヘッドボックス1内に新たな部品を配置する必要がない。従って、本実施形態の構成は、既に設置されている横型ブラインドに対して容易に適用することができる。また、ヘッドボックス1内には新たな部品を配置しないので、ヘッドボックス1が大型化されない。
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
本発明は、遮蔽材がスラット以外である遮蔽装置にも適用可能である。この場合は、チルトドラムやシャフト、チルト回転伝達機構を省略すればよい。この場合、操作棒(本実施例ではチルト操作)ではなくなり、支持棒となる。
・上記実施形態では、操作棒の中へ昇降コード及びチェーンを挿通したが、挿通しなくても良い。例えばヘッドボックスから回転抵抗体を支持するための非筒状の支持部材を吊下支持させ、この支持部材に回転抵抗体を支持させるように構成してもよい。
・また、遮蔽装置に隣接した壁面等の躯体・躯体に固定的に設置される物体(窓枠等)に回転抵抗体を支持させるように構成してもよい。具体的には、図10に示す形態では、2本の昇降コード9l,9rの一端がボトムレール4に取着され、その他端がヘッドボックス1内を通って操作棒8の吊下位置に隣接した位置に設けられたコード出口26から導出されている。昇降コード9l,9rの他端にはボールチェーン12が接続されており、ボールチェーン12の先端にはつまみ27が取着されている。遮蔽装置である横型ブラインド30に隣接した壁面に固定的に設置された窓枠25には、支持ベース11aがビス29などで固定される。支持ベース11aには回転伝達プーリー14及び回転抵抗体15が装着されてダンパ・プーリ・アッセンブリーが構成され、カバーが支持ベース11aに取り付けられる。このような形態においても、上記実施形態と同様にボールチェーン12を回転伝達プーリー14に係合させることによってボトムレール4の自重下降に伴って回転抵抗体15に入力回転を加えて回転抵抗を発生させることができる。
・上記実施形態では、操作棒8の先端に取着された支持ケース11(つまり、支持棒の先端部)に回転抵抗体15を設けているが、回転抵抗体15は、支持棒の別の位置に設けてもよい。
・本発明は、ボトムレールを有さない遮蔽装置(たくし上げカーテン、ロールアップブラインドなど)にも適用可能である。このような遮蔽装置でも、引張コードの支持側の導出長を変化させることによって遮蔽材を昇降させることができるからである。全ての実施形態において、「ボトムレールの自重下降」という記載は、「遮蔽材の自重下降」に読み替え可能である。
・ボールチェーン12を設けずに昇降コード9を回転伝達プーリー14に係合させて回転伝達プーリー14を回転させるように構成してもよい。
・上記実施形態では、回転抵抗体15のケース37を固定し、中心軸38を回転させているが、中心軸38を固定してケース37を回転させることによって回転抵抗を生じさせるように構成してもよい。また、この場合、回転伝達プーリー14を用いる代わりに、ボールチェーン12をケース37の外周に係合させてケース37を回転させることによって回転抵抗を発生させるようにしてもよい。
・上記実施形態ではボールチェーン12の部分でのみ回転抵抗体15に回転抵抗を発生させたが昇降コード9の回転抵抗体15を通過する部分でも回転抵抗を発生させるようにしてボトムレール4の下降範囲の全長に回転抵抗を発生させても良い。例えば、コード挿通溝14bの幅を狭くしたり、コード挿通溝14bをV字状にしたりすることによって、昇降コード9がコード挿通溝14bに係合して昇降コード9の移動に伴って回転伝達プーリー14が回転するように構成することができる。
(第2実施形態)
図11を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、ワンウェイ機能(速度制御しない側への回転にはダンパトルクを発生させないか又は著しく減少させること)を備える点が異なる。具体的な部材としては、移動部材39が内部流通路43と弁部材44を備える点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
図11に示すように、移動部材39には、移動部材39を貫通する内部流通路43と、内部流通路43を開閉可能な弁部材44が設けられている。ボトムレール4の自重下降時には移動部材39が矢印X方向に移動し、その際に弁部材44が粘性流体によって押されて図11(a)に示すように内部流通路43を閉じる位置に移動する。この状態では、粘性流体は、隙間41を通じてのみ、移動部材39の前方から後方に移動可能であり、粘性流体の流通抵抗が大きく、従って回転抵抗体15の抵抗が大きく、引張コード19に加わる抵抗も大きい。
一方、ボトムレール4の上昇操作時には移動部材39が矢印Y方向に移動し、その際に弁部材44が粘性流体によって押されて図11(b)に示すように内部流通路43を開く位置に移動する。この状態では、粘性流体は、隙間41と内部流通路43の両方を通じて、移動部材39の前方から後方に移動可能であり、粘性流体の流通抵抗が小さく、従って回転抵抗体15の抵抗が小さく、引張コード19に加わる抵抗も小さい。このため、図11(c)に示すように、ボトムレール4の上昇操作時に引張コード19に加わる抵抗が、ボトムレール4に下降時に引張コード19に加わる抵抗よりも小さくなっている。
このように、本実施形態では、弁部材44を用いて、移動部材39の移動方向によって粘性流体が移動部材39を通過可能な流通路の断面積を実質的に変化させることによって、回転抵抗体15の抵抗を変化させることが可能になっている。また、このような構成により、簡易な構成でボトムレール4の自重下降時には適切に抵抗を働かせることによってボトムレール4の下降速度が過度に大きくなることを抑制し、且つ速度制御しない側(ボトムレール4の上昇操作時)には抵抗を低減することによって、ボトムレール4を上昇させる際の操作力の増大を抑制している。
(第3実施形態)
図12〜図13を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
第1〜第2実施形態では、回転抵抗体15は、ボトムレール4の下降に伴って、移動部材39が粘性流体内を移動する際の流通抵抗が低減されるように構成されているが、本実施形態では、回転抵抗体15としては、回転抵抗体15への入力回転によって回転抵抗を発生させることができる任意の構成のものが利用可能である。例えば、図12(c)に示すように、粘性流体を収容するケース37と、ケース37に対して相対回転可能な中心軸38と、中心軸38の回転に伴って回転する回転翼(移動部材)39aを有する構成のものが例示される。図12(c)ではケース37と中心軸38の間は粘性流体が漏れないようにOリングなどでシールされている。このような回転抵抗体15が発生させる抵抗は、遮蔽材の高さ位置には依存せずに、一般的には速度依存型である。
本実施形態では、ボトムレール4の下降に伴って引張コード19の長手方向の移動距離に対する回転抵抗体15への入力回転の回転角度が小さくなるように構成することによって、ボトムレール4が下限位置近傍にあるときに引張コード19に加えられる抵抗を低減している。より具体的には、本実施形態では、図13(c)に示すように、ボトムレール4の自重下降の際にボトムレール4が第1高さ位置(ボールチェーン12が回転伝達プーリー14に到達した時点のボトムレール4の高さ位置)Saに到達した時点から回転抵抗体15が抵抗を発生し始め、ボトムレール4がさらに下降して第2高さ位置(ボールチェーン12のボール12beが回転伝達プーリー14を通過した時点のボトムレール4の高さ位置)Sbに到達した時点からボトムレール4が下限位置Soに到達するまでの領域Rでは引張コード19が長手方向に移動しても回転抵抗体15に入力回転が入力されない(回転抵抗体15への入力回転の回転角度が0になる)ようになっている。図13(c)のグラフは速度依存型の回転抵抗体15を用いた場合を想定しており、SaとSbとで引張コード19への抵抗の大きさが異なっているのは、ボトムレール4の下降に伴ってボトムレール4の下降速度が低減されるために回転抵抗体15が発生させる抵抗が低減されるためである。
以下、具体的な構成を説明する。図12(a)〜(b)は、ボトムレール4が下限位置近傍にまで下降したときの、コードイコライザ10と支持ケース(ダンパ・プーリ・アッセンブリー)11の位置関係を示す。この状態では、コードイコライザ10は、支持ケース11の下面11fの近くに配置されているが、下面11fには当接していない。
自重下降式の遮蔽装置では、通常、ボトムレール4の下降に伴って遮蔽材の荷重をラダーコード2やヘッドボックス1が支持する割合が増大し昇降コード9に加わる荷重が減る。遮蔽装置には各部品の抵抗が必ずあり、プリーツスクリーンやハニカムスクリーンのように遮蔽材の屈曲状態を伸ばす方向に下降させる場合には遮蔽材自体の抵抗もあるため、その総抵抗に打ち勝つだけの荷重がボトムレール4に作用しないとボトムレール4が下限位置にまで降り切らないおそれがある。
このような現象を生じさせないために、本実施形態では、図12(a)に示すように、ボールチェーン12の一番下のボール12beが回転伝達プーリー14を通過する時点では、図13(a)に示すようにボトムレール4が下限位置に到達していないようにボール12beを配置し、ボール12beとコードイコライザ10の間にボールを配置しない領域Rを設けている。このような構成によれば、第1実施形態と同様にボールチェーン12の多数のボール12bが回転伝達プーリー14を通過中に、ボトムレール4の下降速度が適切な速度にまで減速され、ボール12beが回転伝達プーリー14を通過し、図12(b)に示すように、ボールを配置しない領域Rが回転伝達プーリー14を通過している間は回転伝達プーリー14が回転しないので回転抵抗が発生せず(つまり、回転抵抗体15によって引張コード19に抵抗が加えられず)、図13(b)に示すように、ボトムレール4が下限位置にまで到達しやすくなる。
本実施形態では、回転抵抗体15としては、中心軸38がケース37に対して相対回転することによって回転抵抗を発生させるものであれば、その構成は特に限定されず、ケース37内に粘性流体(例:オイル)が収容されていて中心軸38の回転に伴って粘性流体内を移動部材(例:ピストン、羽、スクリュー)が移動(例:回転移動、直線移動;直線移動は中心軸の回転をネジ送りなどによりケース内部で直線移動に変換する機構を介する)することによって回転抵抗が発生するように構成されているものや、中心軸38の回転に伴って、中心軸38と共に回転するように構成された摩擦部材(例:ゴム・ガバナメタル)が遠心力によってケース37の内面又はケース内に固定された面に押し付けられて摩擦抵抗が発生することによって回転抵抗が発生するように構成されているもの、相対移動又は回転する磁性体と金属、回転羽による空気抵抗ダンパが挙げられる。中心軸に対する回転入力がブラインドの上昇方向の場合、回転抵抗を減少させる又は生じさせないワンウェイ機能を備えることが好ましい。ワンウェイ機能は、回転抵抗体15の外部、例えば、中心軸38とプーリーの間にワンウェイクラッチを設けて構成してもよく、回転規制突起15cとカバー11bの嵌合が上昇回転時に嵌合しない構成(共回り)としてもよい。また、回転抵抗体15が、中心軸に対する回転入力の回転位置(又は所定の状態からの回転回数)に依存して抵抗値が変化する形式のもの(例えば、回転抵抗体15の内部にある抵抗体が回転入力に伴って移動することによって抵抗値が変化するもの)である場合、遮蔽材の下降方向に回転するときに、回転回数の増大に伴って抵抗値が小さくなるよう変化するよう設定することが好ましい。
粘性流体内で移動部材が移動する際に生じる抵抗力を利用する構成のものは、構成がシンプルであるので、小型化が容易であるという利点がある。一方、遠心力を利用する構成のものは、中心軸38の回転速度が小さいときには回転抵抗が非常に小さくなるので、ボトムレール4が下限位置に近づいて下降速度が低下したときのブレーキ力が非常に小さくなる。このため、ボトムレール4が下限位置まで降りないという問題の発生を抑制することができる。
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・本実施形態では、回転抵抗体15に対して入力回転を加えるための抵抗コードとして、ボールチェーンが用いられているが、抵抗コードとしては、回転抵抗体に対して入力回転を加えることが可能な任意のコードが利用可能であり、その材質や断面形状は限定されず、例えば、チェーン状、柱状、ベルト状、テープ状のものが利用可能である。
(第4実施形態)
図14を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は第3実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
第3実施形態の構成では、ボール12beが回転伝達プーリー14を通過した後は回転抵抗が全く発生しないので、遮蔽装置の構成によってはボトムレール4の下降速度が大きくなりすぎる場合がある。
そこで、本実施形態では、図14(a)に示すように、ボールチェーン12の特定のボール12bfが回転伝達プーリー14を通過する時点ではボトムレール4が下限位置に到達していないようにボール12bfを配置し、ボール12bfとコードイコライザ10の間はボール12bを設けるピッチを大きく(例えば2倍の間隔と)し、その間は回転伝達プーリー14と係合しないコード(例えばベースコード12a)としている。このような構成によれば、ボール12bfが回転伝達プーリー14を通過した後は回転伝達プーリー14の回転速度が低減されるので、回転抵抗体15が発生する回転抵抗が低減される。また、第3実施形態ではボール12beが回転伝達プーリー14を通過した後に回転抵抗が突然無くなったが、本実施形態では、ボール12bfが回転伝達プーリー14を通過した後もある程度の回転抵抗が残るので、ボトムレール4の下降速度が大きくなりすぎることがない。従って、本実施形態によれば、ボトムレール4の下降速度が大きくなりすぎることなく、ボトムレール4が下限位置にまで到達させることができる。このように、本実施形態では、図14(b)に示すように、ボトムレール4の自重下降の際にボトムレール4が第1高さ位置(ボールチェーン12が回転伝達プーリー14に到達した時点のボトムレール4の高さ位置)Saに到達した時点から回転抵抗体15が抵抗を発生し始め、ボトムレール4がさらに下降して第2高さ位置(ボールチェーン12のボール12bfが回転伝達プーリー14を通過した時点のボトムレール4の高さ位置)Sbに到達した時点からボトムレール4が下限位置Soに到達するまでの領域では、引張コード19の長手方向の移動距離に対する回転抵抗体15への入力回転の回転角度が小さくなるようになっている。図14(b)のグラフは速度依存型の回転抵抗体15を用いた場合を想定しており、Sa,Sb,Soとで引張コード19への抵抗の大きさが異なっているのは、ボトムレール4の下降に伴ってボトムレール4の下降速度が低減されるために回転抵抗体15が発生させる抵抗が低減されるためである。
本実施形態では、ボール12bfよりも下側でのボール12bを設けるピッチPLは、ボール12bfよりも上側でのピッチPUの2倍以上が好ましい。1倍よりも大きく2倍未満であると、隣接する2つのボール12bのうち1つのボール12bが回転伝達プーリー14の凹部14cに係合されると、もう一つのボール12bが凹部14cには係合されずに係合突起14aに衝突しやすいからである。ピッチPLは、ピッチPUの整数倍(2倍、3倍など)であることが好ましい。
(第5実施形態)
図15を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図15(a)に示すように、ボールチェーン12の代わりに、柱状である柱状コード18が接続部13において、複数の昇降コード9に接続されている。また、回転伝達プーリー14としては、図15(b)に示すように、柱状コード18と係合可能な構成のものが用いられる。柱状コード18は、昇降コード9よりも外径が大きいことが好ましい。この場合、柱状コード18と回転伝達プーリー14との接触面積が大きくなって、柱状コード18が回転伝達プーリー14に対して滑りにくくなるからである。
柱状コード18は、一例では、ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂などで形成された中芯をポリエステル樹脂で編み込まれた外皮コードで被覆して構成される。この構成とすると、中芯により柱状コード18の直線性が確保されるとともに、伸び方向の耐久性が確保でき、さらに縮径方向のつぶれ防止になる。
回転伝達プーリー14は、図15(b)に示すように、径方向外側に突出する第1及び第2爪部117,118を備えており、爪部117,118の間に凹部17が設けられる。爪部117,118は、それぞれ、周方向に等間隔に多数設けられている。爪部117,118は、それぞれ、基部117a,118aから凹部17に向かって突出する突起117b,118bを備えており、突起117b,118bが柱状コード18に食い込むことによって、柱状コード18が回転伝達プーリー14に係合される。また、爪部117,118は、周方向に交互に並んでいるために、柱状コード18が蛇行しながら回転伝達プーリー14に係合し、これによって、柱状コード18と回転伝達プーリー14の係合の保持力が高められている。
本実施形態では、ボトムレール4の自重下降に伴って柱状コード18がヘッドボックス1に向かって移動する際に、回転伝達プーリー14が回転され、その回転によって回転抵抗体15が回転されて回転抵抗が発生され、ボトムレール4の下降速度が低減される。本実施形態では、回転抵抗体15として、第1実施形態と同様に、ボトムレール4の下降に伴って、移動部材39が粘性流体内を移動する際の流通抵抗が低減されるように構成されているものを用いることによって、ボトムレール4が下限位置近傍に到達したときに引張コード19に加えられる抵抗を低減させることができる。
(第6実施形態)
図16〜図17を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態は、ボールチェーン12の移動に伴って回転伝達プーリー14が回転し、その回転が回転抵抗体15に伝達されることによって回転抵抗が発生してボトムレール4の下降速度が低減される点は第1実施形態と共通している。一方、本実施形態では、回転伝達プーリー14及び回転抵抗体15は、ヘッドボックス1内に配置されている。回転伝達プーリー14は、ヘッドボックス1に対して回転可能に支持されており、回転抵抗体15のケース37はヘッドボックス1に対して回転不能に支持されている。このため、回転伝達プーリー14の回転に伴って回転抵抗体15の中心軸38が回転すると、回転抵抗が発生する。本実施形態では、グリップ51内は空洞であり、グリップ51は、操作棒8を回転操作しやすくするために設けられている。
また、ストッパ部16は、昇降コード9を保持するのに適した構成を有しているため、ボトムレール4の可動範囲においてボールチェーン12がストッパ部16に到達すると、ストッパ部16は、ボールチェーン12を適切に保持できず、ボトムレール4が自重下降してしまう。そこで、本実施形態では、引張コード19は、ボトムレール4の可動範囲(上限位置と下限位置の間)においてボールチェーン12がストッパ部16に到達しないようにヘッドボックス1内で引き回されている。ここで、図16(a)を用いて、具体的な構成例を説明する。図16(a)に示すように、ストッパ部16がヘッドボックス1の略左端に配置されており、ヘッドボックス1の左端側には転向プーリー20が配置され、回転伝達プーリー14及び回転抵抗体15がヘッドボックス1の右端側に配置されている。転向プーリー20は、回転伝達プーリー14と同様の構成を有する。引張コード19は、転向プーリー20及び回転伝達プーリー14に掛装され、その操作側19oが回転伝達プーリー14側から垂下され、その支持側19sがストッパ部16を経由して垂下されている。
このような構成によれば、ストッパ部16と回転伝達プーリー14の間での引張コード19の長さが長くなるので、図16(a)に示すようにボトムレール4が下限位置にある状態ではストッパ部16に昇降コード9が挿通され、且つ図16(b)に示すようにボトムレール4が上限付近にまで上昇させたときにボールチェーン12が回転伝達プーリー14に掛装されている状態にすることができる。このため、ボトムレール4を下降させないときはストッパ部16でボトムレール4の自重下降を確実に防止しつつ、ボトムレール4を自重下降させる時はボトムレール4の下降速度を抑制することができる。
本実施形態では、回転抵抗体15として、第1実施形態と同様に、ボトムレール4の下降に伴って、移動部材39が粘性流体内を移動する際の流通抵抗が低減されるように構成されているものを用いることによって、ボトムレール4が下限位置近傍に到達したときに引張コード19に加えられる抵抗を低減させることができる。本実施形態では、図17に示すように、ボトムレール4が上限位置St又はその近傍にある時点から回転抵抗体15が抵抗を発生し始め、ボトムレール4が下限位置Soに到達するまでの間、ボトムレール4が下降している間に回転抵抗体15が発生させる抵抗が低減される。
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、操作側19oが操作棒8内に挿通されているが、操作側19oは、操作棒8内に挿通させる必要がなく、操作棒8の吊下位置とは別の場所から垂下させてもよい。
・ボールチェーン12を柱状コード18に置き換え、回転伝達プーリー14を図15(b)に示すものに置き換えてもよい。
(第8実施形態)
図18〜図19を用いて、本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
第1実施形態では、回転抵抗体15が支持ケース11内に収容されているのに対し、本実施形態では、直動抵抗体52がグリップ51内に収容されている点が異なっている。また、第1実施形態では、昇降コード9にボールチェーン12が接続されていて、ボールチェーン12がコードイコライザ10に取着されているが、本実施形態では、昇降コード9がそのままコードイコライザ10に取着されている。
以下、図18(a)〜(d)を用いて、直動抵抗体52の具体的構成を説明する。
直動抵抗体52は、ケース53がグリップ51内に収容され、同グリップ51の下端に嵌合されるキャップ54でグリップ51内に保持されている。図19(a)に示すように、ケース53の下部開口部及び上部開口部には中空状のピストンロッド55が上下方向に移動可能に挿通され、そのピストンロッド55の上端部は、図18(c)(d)に示すように、ケース53から操作棒8内へ進入可能となっている。図19(a)に示すように、ケース53の上部開口部側及び下部開口部側には、それぞれ、低抵抗領域L及び高抵抗領域Hが設けられており、低抵抗領域Lでのケース53の内径53bは、ケース53の下部開口部側の高抵抗領域Hでのケース53の内径53aよりも大きくなっている。
ピストンロッド55にはケース53の内径53aにほぼ等しい径のフランジ状のピストンバルブ56が一体に形成され、そのピストンバルブ56がピストンロッド55とともにケース53内を直線移動するようになっている。ピストンバルブ56を有するピストンロッド55が特許請求の範囲の「ピストン部材」に相当する。
ケース53とピストンロッド55との間の収容空間64にはオイル57が充填され、ピストンバルブ56にはオイル57をピストンバルブ56の上方から下方、あるいは下方から上方へ流通可能としたポート58が複数設けられている。
このような構成により、ピストンロッド55のピストンバルブ56がケース53内を上方へ移動するとき、ピストンバルブ56の上方のオイル57がポート58を経てピストンバルブ56の下方へ移動する。また、ピストンバルブ56がケース53内を下方へ移動するとき、ピストンバルブ56の下方のオイル57がポート58を経てピストンバルブ56の上方へ移動する。
従って、ポート58で流量が制限されるオイル57が抵抗となって、ピストンロッド55の移動速度が所定速度以下に規制されるようになっている。
ケース53の下部開口部及び上部開口部にはピストンロッド55の外周面に摺接するOリング59a,59bが設けられ、ケース53からのオイル57の漏れが防止されている。
ピストンロッド55の下端部はグリップ51から下方へ延設され、その下端に合成ゴム等でリング状に形成された衝撃保護材60が取着されている。また、図18(a)に示すように、ピストンバルブ56がケース53内で下限に位置するとき、ケース53内に没入可能となるピストンロッド55の長さは、ケース53内でピストンバルブ56が上下動可能なストロークよりわずかに短くなるように設定されている。
昇降コード9は、操作棒8からピストンロッド55内を経て下方へ垂下され、その下端にコードイコライザ10が取着されている。そして、図18(d)に示すように、コードイコライザ10がピストンロッド55の下端に当接し、ピストンバルブ56がケース53内の上端部近傍に位置するとき、ボトムレール4が下限に達するように、昇降コード9の長さが設定されている。
なお、コードイコライザ10に昇降コード9を取着するには、図18に示すように、コードイコライザ10の上部に設けられた挿通孔61に昇降コード9を挿通し、その昇降コード9の下端に結び目62を形成して挿通孔61からの抜け止めとし、さらにコードイコライザ10の下端部にキャップ63を嵌着する。
上記のように構成された横型ブラインドの操作装置では、コードイコライザ10を下方へ引いて昇降コード9をヘッドボックス1から引き出すと、ボトムレール4が引き上げられて、そのボトムレール4とともにスラット3が引き上げられる。
このとき、コードイコライザ10がグリップ51から下方へ離間すると、図18(a)に示すように、ピストンロッド55はその自重によりピストンバルブ56がケース53内における昇降ストロークの下限位置に達するまで緩やかに下降する。
ボトムレール4及びスラット3を所望高さまで引き上げた後、コードイコライザ10を手放すと、ストッパ装置が作動して、ボトムレール4の自重下降が阻止される。
ボトムレール4及びスラット3を下降させるときには、コードイコライザ10をわずかに下方へ引いてストッパ装置の作動を解除した状態でコードイコライザ10を手放す。
すると、ボトムレール4及びスラット3の重量により、操作棒8内を経て垂下される昇降コード9がヘッドボックス1内に引き込まれ、ボトムレール4が自重下降するとともに、コードイコライザ10が引き上げられる。
そして、ボトムレール4が下限近傍まで下降すると、図18(b)に示すように、コードイコライザ10がピストンロッド55の下端に当接する。すると、直動抵抗体52の動作により、ピストンロッド55がコードイコライザ10の上昇速度を減衰させながら緩やかに上昇する。この結果、ボトムレール4が緩やかに下降する。
ピストンバルブ56が高抵抗領域H内を移動している間は、オイル57はポート58を通じてのみピストンバルブ56の上側から下側に移動可能であるので、オイル57の流通抵抗が大きく、ピストンバルブ56に加わる抵抗が大きい。一方、図18(c)に示すように、ピストンバルブ56が低抵抗領域Lを到達すると、オイル57は、ポート58を通じてピストンバルブ56の上側から下側に移動可能であることに加えて、ピストンバルブ56の外周面とケース53の内周面の間の隙間67を通じてピストンバルブ56の上側から下側に移動可能になるので、オイル57の流通抵抗が低減され、ピストンバルブ56に加わる抵抗が低減される。ピストンバルブ56に加わる抵抗が低減されることによって昇降コード9に加わる抵抗が低減され、ボトムレール4が下限位置にまで到達しやすくなる。このように、本実施形態では、図19(b)に示すように、ボトムレール4の自重下降の際にボトムレール4が第1高さ位置(コードイコライザ10がピストンロッド55の下端に当接する時点のボトムレール4の高さ位置)Saに到達した時点から第2高さ位置Sbに到達するまでの高抵抗領域Hにおいて直動抵抗体52が抵抗を発生し始め、ボトムレール4がさらに下降してボトムレール4が第2高さ位置Sbに到達した時点からボトムレール4が下限位置Soに到達するまでの低抵抗領域Lでは直動抵抗体52が発生させる抵抗が低減される。図19(b)のグラフにおいて、Sa,Sb,Soとで引張コード19への抵抗の大きさが異なっているのは、ボトムレール4の下降に伴ってボトムレール4の下降速度が低減されるために直動抵抗体52が発生させる抵抗が低減されるためである。
そして、ピストンロッド55が図18(d)に示す状態まで上昇すると、ボトムレール4が下限まで下降し、ラダーコード2で吊下支持される状態となる。このとき、ピストンロッド55の上端部はグリップ51より上方の操作棒8内に達する。
このように、本実施形態では、ボトムレール4の下限位置近傍において、ボトムレール4の下降に伴って昇降コード9に加わる抵抗が低減されるように構成されているので、ボトムレール4が下限位置にまで到達しやすい。
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、ケース53が不動で、ボトムレール4の自重下降に伴ってピストンバルブ56がケース53に対して直線移動するように構成されているが、逆に、ピストンバルブ56が不動で、ボトムレール4の自重下降に伴ってケース53がピストンバルブ56に対して直線移動するように構成してもよい。
(第9実施形態)
図20を用いて、本発明の第9実施形態について説明する。本実施形態は第8実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
第8実施形態では、低抵抗領域Lでのケース53の内径53bを、高抵抗領域Hでのケース53の内径53aよりも大きくすることによって、低抵抗領域Lでのオイル57の流通抵抗を低減させているが、オイル57の流通抵抗を低減させるには、ピストンバルブ56が移動する際にオイル57がピストンバルブ56の一方側から他方側に移動するための流通路の断面積を大きくすればよい。本実施形態では、図20(a)〜(b)に示すように、ケース53の内面にケース53の長手方向に延びる流通溝66を設け、ケース53の下側から上側に向かって流通溝66の幅が広がっている。流通溝66は、収容空間64に連通されており、流通溝66を通じてオイル57が流通可能になっている。本実施形態では、図20(c)に示すように、ボトムレール4の自重下降の際にボトムレール4が第1高さ位置(コードイコライザ10がピストンロッド55の下端に当接する時点のボトムレール4の高さ位置)Saに到達した時点から直動抵抗体52が抵抗を発生し始め、ボトムレール4が下限位置Soに向かってさらに下降してピストンバルブ56がケース53内を移動している間に直動抵抗体52が発生させる抵抗が低減される。
このような構成によれば、ボトムレール4の下降に伴ってピストンバルブ56がケース53内で上方向に移動すると、その移動に伴って流通溝66の断面積が大きくなり、オイル57の流通抵抗が低減され、昇降コード9に加わる抵抗が低減される。
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、ケース53の下側から上側に向かって流通溝66の幅を広げることによって流通溝66の断面積が大きくなるように構成したが、流通溝66の幅を広げる代わりに又は流通溝66の幅を広げると共に、ケース53の下側から上側に向かって流通溝66の深さを増大させるように構成してもよい。この場合でも、ケース53の下側から上側に向かってオイル57の流通路の断面積が増大して流通抵抗が低減される。
・ケース53の下側から上側に向かってケース53の内径が広がるようにケース53の内面をテーパ形状にしてもよい。この場合でも、ケース53の下側から上側に向かってオイル57の流通路の断面積が増大して流通抵抗が低減される。
(第10実施形態)
図21〜図22を用いて、本発明の第10実施形態について説明する。本実施形態は第8実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態は、グリップ51内に直動抵抗体52が設けられる点は第8実施形態と共通しているが、第8実施形態とは抵抗の発生方式が異なっている。本実施形態の直動抵抗体52は、摺動ロッド70と抵抗部材68との間の摩擦によって抵抗が発生するように構成されており、遮蔽材の下降に伴って摺動ロッド70と抵抗部材68の間の摩擦が低減されることによって、直動抵抗体52が発生させる抵抗が低減されるように構成されている。
具体的には、操作棒8には支持部材69が取着されており、支持部材69に抵抗部材68が支持されている。抵抗部材68は、摺動ロッド70との間で摩擦力を発生させる任意の部材で構成することができ、ゴムなどの弾性部材で構成することが好ましい。抵抗部材68は、周方向に等間隔に4箇所に設けられている。摺動ロッド70には、長手方向に沿って延びる摺動溝70aが設けられている。摺動溝70aは、下方に向かって徐々に幅が広がっている。摺動溝70aは、周方向に等間隔に4箇所に設けられている。図21(a)に示すように摺動ロッド70が下限位置にある状態では、抵抗部材68が摺動溝70aの底面及び側面に押し付けられている状態であり、この状態では、抵抗部材68と摺動ロッド70の間の摩擦が大きい。
ボトムレール4が自重下降する際に摺動ロッド70がコードイコライザ10によって押し上げられると、摺動ロッド70は、抵抗部材68と摺動ロッド70の間の摩擦力に逆らいながら上昇する。この摩擦力が抵抗となってボトムレール4の自重下降速度が抑制される。
摺動溝70aが下方に向かって広がっているので、摺動ロッド70の上昇に伴って、摺動ロッド70と抵抗部材68の接触部分での摺動溝70aの幅が増大する。その結果、抵抗部材68と摺動ロッド70の間の摩擦が低減されて、直動抵抗体52が発生させる抵抗が低減される。図示の便宜上、図21(d)では、摺動ロッド70が上限位置にある状態において、抵抗部材68が摺動溝70aの底面のみで摺動溝70aと当接するように描いているが、抵抗部材68が摺動溝70aの底面及び側面に当接している状態であっても、抵抗部材68が摺動溝70aに押し付けられる力が弱まれば抵抗部材68と摺動ロッド70の間の摩擦が低減されるので、摺動ロッド70が上限位置にある状態でも抵抗部材68が摺動溝70aの底面及び側面に当接していてもよい。本実施形態では、ボトムレール4の自重下降の際にボトムレール4が第1高さ位置(コードイコライザ10が摺動ロッド70の下端に当接する時点のボトムレール4の高さ位置)に到達した時点から直動抵抗体52が抵抗を発生し始め、ボトムレール4がさらに下降している間に抵抗部材68と摺動ロッド70の間の摩擦が低減されて直動抵抗体52が発生させる抵抗が低減される。
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・摺動ロッドと抵抗部材の凹凸関係を反転させてもよい。具体的には、摺動ロッドに摺動凸条を設け、抵抗部材に凹部を設け、摺動ロッドの摺動凸条を抵抗部材の凹部に係合させ、摺動凸条の幅が下方に向かって小さくなるように構成してもよい。
・抵抗部材側に摺動ロッドの移動方向に延びる摺動溝又は摺動凸条を設け、摺動ロッドに設けた凸部又は凹部が抵抗部材に設けた摺動溝又は摺動凸条に沿って移動するように構成してもよい。この場合、抵抗部材の摺動溝は、上側に向かって幅広になるように形成し、抵抗部材の摺動凸条は、上限に向かって幅狭になるように形成することが好ましい。
・摺動溝の深さ又は摺動凸条の高さを変えることによって摩擦力を変化させてもよく、表面粗さなどの摩擦力に関係する物性を変化させることによって抵抗部材68と摺動ロッド70の間の摩擦力を変化させてもよい。
(第11実施形態)
図23〜図24を用いて、本発明の第11実施形態について説明する。本実施形態は、直動抵抗体52が設けられるという点では、第9〜第10実施形態と共通しているが、これらの実施形態とは、抵抗の発生方式が異なっている。
図24に示すように、本実施形態の直動抵抗体52は、引張コード19に取着された抵抗部材68と、操作棒8に設けられたスリット71の内面71aと間の摩擦によって抵抗が発生するように構成されている。
図23に示すように、本実施形態の横型ブラインドの基本構成は、第1実施形態に類似しているが、操作棒8の下端には支持ケース11の代わりに中空のグリップ51が設けられている。グリップ51内にはプーリーや回転抵抗体は収容されておらず、抵抗部材68をスリット71に案内するガイド部が設けられている。
図24に示すように、本実施形態では、抵抗部材68は、接続部13に隣接した位置においてボールチェーン12のベースコード12aに取着されている。図23(b)に示すように、抵抗部材68がグリップ51から引き出された状態でボトムレール4を下降させると、引張コード19の上昇に伴って抵抗部材68が上昇し、抵抗部材68がグリップ51内を通ってスリット71に案内される。そして、抵抗部材68がスリット71の内面71aに擦れながら上昇することによって引張コード19に抵抗が加えられる。そして、スリット71の幅Wがヘッドボックス1に近づくにつれて広くなっているので、抵抗部材68の上昇に伴って抵抗部材68とスリット71の内面71aと間の摩擦が低減され、引張コード19に加えられる抵抗が低減される。
抵抗部材68は、操作棒8との間で摩擦力を発生させる任意の部材で構成することができ、ゴムなどの弾性部材で構成することが好ましい。
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、抵抗部材68をボールチェーン12に取着しているが、例えば第5実施形態で示した柱状コード18を昇降コード9に接続して柱状コード18に抵抗部材68を取着してもよい。また、複数本の昇降コード9の何れかに抵抗部材68を取着してもよく、複数本の昇降コード9を抵抗部材68で束ねるように抵抗部材68を取着してもよい。