JP2017008295A - 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、及び積層硬化物 - Google Patents
活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、及び積層硬化物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、塩素化オレフィン構造を有する重合体とを含む活性エネルギー線硬化型組成物である。
【選択図】なし
Description
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、塩素化オレフィン構造を有する重合体とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
また、多官能(メタ)アクリレートは、一般的に揮発性がより少なく、良好な接着性の実現に多大の貢献をする一方、分子が大きく粘度が非常に高く、かつ、極性基の占める割合が高く、無極性の塩素化オレフィン構造を有する重合体の良好な溶剤になり難いという問題があるが、本発明によれば、これらの点を克服できる活性エネルギー線硬化型組成物を提供できる。
ここで、皮膚感さ性が陰性であるモノマーとは、次の(1)〜(3)の少なくとも一つに該当する化合物を言う。
(1)LLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感さ性試験において、感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満である化合物
(2)MSDS(化学物質安全性データシート)において、「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価された化合物
(3)文献〔例えば、Contact Dermatitis 8 223−235(1982)〕において「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価された化合物(1)については、例えば「機能材料」2005年9月号、Vol.25、No.9、P55にも示されるように、前記SI値が3未満の場合に皮膚感さ性が陰性であると判断される。
前記SI値が低いほど皮膚感さ性が低いことになるから、本発明では前記SI値がなるべく低いモノマーを用いることが好ましく、前記SI値は3未満が好ましく、2以下がより好ましく、1.6以下が更に好ましい。
前記単官能(メタ)アクリレートとは、分子内にメタクリロイル基又はアクリロイル基を1個有する化合物をいう。
本発明においては、皮膚感さ性が陰性の単官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
前記皮膚感さ性が陰性の単官能(メタ)アクリレートとしては、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、及びn−ヘキシルメタクリレートから選択される少なくとも1種が挙げられる。
前記単官能(メタ)アクリレートのSI値は3未満であることが好ましい。
前記単官能(メタ)アクリレートの含有量は、モノマー成分の合計100質量部に対して、50質量部以上85質量部以下が好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレートとは、分子内にメタクリロイル基又はアクリロイル基を2個以上(好ましくは2個〜4個)有する化合物をいう。
本発明においては、皮膚感さ性が陰性の多官能(メタ)アクリレートが用いられる。
ここで、多官能(メタ)アクリレートの皮膚感さ性が陰性であるとは、多官能(メタ)アクリレートのSI値が3未満であることを意味する。
前記皮膚感さ性が陰性の多官能(メタ)アクリレートとしては、グリセロールジメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリロールヘキサアクリレート、及びトリクロデカンジメタノールジメタクリレートから選択される少なくとも1種を配合することができる。
前記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、モノマー成分の合計100質量部に対して、15質量部以上50質量部以下が好ましい。
前記塩素化オレフィン構造を有する重合体を含有することにより、インクとして良好な硬化性と表面処理を行っていないポリプロピレン基材に対する良好な密着性が得られる。
前記塩素化オレフィン構造を有する重合体は、ポリオレフィン樹脂を塩素化することで得ることができる。
前記ポリオレフィン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物などが挙げられる。
前記塩素化オレフィン構造を有する重合体の塩素化率は、10質量%以上50質量%以下が好ましい。
塩素化率=ポリマー中の塩素原子量の合計/ポリマー分子量、であり、既存の元素分析法などで求めることができる。
前記塩素化オレフィン構造を有する重合体の含有量は、モノマー成分の合計100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましい。
なお、前記塩素化オレフィン構造を有する重合体は、インクをメタノールなどの溶媒に滴下した際に析出するため、これをろ過するなどして単離することができ、これを燃焼させたガスをイオンクロマトグラム法などで元素分析すると塩素原子としてその存在を確認することができる。その他の成分についても質量分析ガスクロマトグラム法などで該成分と同一かどうかを確認することができる。
また、前記(D)の含有量は0.05質量部以上10質量部以下が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5〜20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に更に重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3〜40mPa・sが好ましく、5〜15mPa・sがより好ましく、6〜12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料、壁や床等をはじめとする建材などが挙げられる。
更に、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
本発明の組成物収容容器は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、又は容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
本発明の像の形成方法は、少なくとも、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。更に、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
本発明の硬化物は、本発明の前記組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させてなる。
表面処理していないポリプロピレン基材に1kPa以上の力で密着していることが好ましい。
前記表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、などが挙げられる。
本発明の積層硬化物は、本発明の前記組成物で形成された第1の層と、前記第1の層上にジエチレングリコールジメタクリレートを少なくとも含む組成物で形成された第2の層とを有する。
前記第1の層の平均厚みは3μm以上であり、前記第2の層の平均厚みは10μm以上であり、かつ前記第1の層の平均厚みが合計平均厚みに対して15%以上であることが好ましく、前記第1の層の平均厚みは5μm以上であり、前記第2の層の平均厚みは10μm以上であり、かつ前記第1の層の平均厚みが合計平均厚みに対して28%以上であることがより好ましい。
前記第1の層は、表面処理していないポリプロピレン基材に対して形成することが好ましい。
前記表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、などが挙げられる。
前記積層硬化物は、ポリプロピレン基材に対して10kPa以上の接着力と、未塗工ポリプロピレン基材よりも高い表面強度を有することが好ましい。
前記SI値はLLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感さ性試験に従い、以下のようにして測定した。
<<陽性対照物質>>
前記陽性対照物質としては、α−ヘキシルシンナムアルデヒド(HCA、和光純薬工業株式会社製)を使用した。
前記媒体としては、アセトン(和光純薬工業株式会社製)とオリーブ油(フヂミ製薬所製)を、体積比(アセトン:オリーブ油)=4:1で混合した混合液を使用した。
被験物質、陽性対照、媒体対照のそれぞれについて、マウスの雌に対し6日間の検疫を含む8日間の馴化を行った。検疫、馴化期間中、全ての動物に異常は認められなかった。
感さ開始2日前に測定した体重を用いて、体重層別無作為抽出法で、個体の体重が全体の平均体重±20%以内となるように2群(4匹/群)に群分けした。感さ開始時の動物の週齢は8〜9週齢であった。群分けにより外れた動物は試験から除外した。
使用した動物は、試験期間を通して尾部への油性インク塗布により識別し、併せてケージはラベルをつけて識別した。
使用動物は、検疫、馴化期間中を含む全飼育期間を通して、温度21℃〜25℃、相対湿度40%〜70%、換気回数10〜15回/時間、明暗サイクル12時間間隔(7時点灯〜19時消灯)に設定したバリアーシステムの飼育室で飼育した。
飼育ケージはポリカーボネート製ケージを使用した。使用動物は4匹/ケージで飼育した。
飼料は、実験動物用固形飼料MF(オリエンタル酵母工業株式会社製)を使用し、使用動物に自由摂取させた。飲料水は、塩素濃度が略5ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス、オーヤラックス社製)を添加した水道水を、給水びんにより、使用動物に自由摂取させた。床敷はサンフレーク(モミ材、電気かんな削りくず、日本チャールス・リバー社製)を使用した。飼料及び飼育用器材は、オートクレープ滅菌(121℃、30分間)したものをそれぞれ使用した。
ケージ及び床敷は、群分け時及び耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出時)に交換し、給水びん及びラックは、群分け時に交換した。
<<群構成>>
SI値の測定試験で使用した群構成を、表1に示す。
<<被験物質>>
表2に被験物質の秤量条件を示す。被験物質をメスフラスコに秤量し、媒体を加えながら1mLに定容した。調製液は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
0.25gのHCAを正確に秤量し、媒体を加えながら1mLとして25.0w/v%液を調製した。調製物は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BrdU、ナカライテスク株式会社製)200mgをメスフラスコに正確に秤量し、生理食塩液(大塚製薬工業株式会社製)を加えて超音波照射し、溶解させた。その後、20mLに定容して10mg/mL液(BrdU調製液)を調製した。調製液は、滅菌濾過フィルターを用いて濾過滅菌し、滅菌容器に入れた。
陽性対照物質調製液は感さ開始前日に調製し、使用時以外は冷所で保管した。媒体及び被験物質調製液は各感さ日に調製した。BrdU液は、投与の2日前に調製し、投与日まで冷所に保管した。
<<感さ>>
各被験物質及び陽性対照物質の調製液及び媒体を動物の両耳介にそれぞれ25μLずつ塗布した。塗布には、マイクロピペッターを用いた。この操作を1日1回、3日間連続して行った。
最終感さの略48時間後に1回、BrdU調製液を動物1匹あたり0.5mL、腹腔内投与した。
<<一般状態>>
試験に使用した全動物について、感さ開始日から耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)まで、1日1回以上観察した。なお、観察日の起算法は、感さ開始日をDay1とした。
感さ開始日及び耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)に体重を測定した。また、群ごとの体重の平均値及び標準誤差を算出した。
BrdU投与の24時間後に動物を安楽死させ、耳介リンパ節を採取した。周囲組織を取り除き、両側耳介リンパ節を一括して重量測定した。また、群ごとの耳介リンパ節重量の平均値及び標準誤差を算出した。重量測定後、個体毎に−20℃に設定されたバイオメディカルフリーザーで凍結保存した。
耳介リンパ節を室温に戻した後、生理食塩液を加えながらすり潰し、懸濁させた。この懸濁液を濾過した後、個体ごとに3wellずつ、96wellマイクロプレートに分注し、ELISA法によりBrdU取り込み量の測定を行った。試薬は、市販のキット(Cell Proliferation ELISA、BrdU colorimetric、Cat.No.1647229、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を使用し、マルチプレートリーダー(FLUOstar OPTIMA、BMG LABTECH社製)より得られた各個体の吸光度(OD370nm−OD492nm、BrdU取り込み量)について、3wellの平均値を各個体のBrdU測定値とした。
<<Stimulation Index(SI)の算出>>
下記式で示すように、各個体のBrdU測定値を、媒体対照群のBrdU測定値の平均値で除して、各個体のSI値を算出した。各試験群のSI値は、各個体のSIの平均値とした。なお、SI値は、小数点以下第2位を四捨五入して小数点第1位まで表示した。
下記(A)〜(D)の材料を、表3の各実施例及び比較例の各欄に示す配合割合(数値は質量部)で用い、インクジェット用インク調製の常法にしたがって、それぞれのインクを調製した。
(A)単官能(メタ)アクリレート
(B)多官能(メタ)アクリレート
(C)皮膚感さ性が陰性である光ラジカル重合開始剤
(D)塩素化オレフィン構造を有する重合体、及びその他の重合体
作成したベタ状の印刷塗膜に対して、UVA領域に相当する波長域において0.2(W/cm2)で、3,000(mJ/cm2)の光量条件で硬化させ、これを密着性評価に供した。
調製した各インクの25℃における粘度を、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を25℃に設定して測定した。なお、循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いた。結果を表3に示した。
<密着性>
硬化塗膜の基材との密着性は、包装材料や産業資材として幅広く使用されている汎用的なフィルム材料として、市販のポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、P2161、厚み60μm)を使用し、前記フィルムのコロナ処理面と未処理面にインクをインクジェット吐出して、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6(Dバルブ)により光照射して硬化させたベタ塗膜に対して、JIS−K−5600−5−6に示されるクロスカット法による密着性を、下記基準で評価した。
また、引っ張り試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフ」AG−10NXplusSC)で一定面積の塗膜を基材から剥離させるために必要な応力(密着力)を測定した。
[評価基準]
○:剥がれが見られなかったり、カットの交差点における小さな剥がれのみの場合であり、密着力が1kPa以上であった。
△:明確には剥がれが見られなかったが、密着力が1kPa未満であった。
×:明確に剥がれが見られた場合
*3:高粘度のためインクジェット吐出できなかった
なお、末尾の( )内の数値は前記(1)のLLNA試験におけるSI値であり、「陰性」又は「なし」は前記(2)の文献、もしくは前記(3)のMSDS(化学物質安全性データシート)において「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価されたものである。また「陽性」は欧州指令におけるリスクフレーズ表記ルールにおいて皮膚感さ性に問題があることを示す「R43」の警句が、あるいはCLP規則において皮膚感さ性に問題があることを示す「H317」の警句が付記されるものである。なお、ポリマー成分は高分子量であるため皮膚を通過することが困難で、通常は皮膚感さ性を有さない。
・A1:t−ブチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製「t−ブチルアクリレート」(陽性)
・A2:t−ブチルメタクリレート、三菱レイヨン株式会社製「アクリエステルTB」(陰性)文献での評価(試験方法:マキシマイゼーション法)
・A3:n−ペンチルメタクリレート、Zhangjiagang Render Chemical社製「n−AmylMethacrylate」(陰性)文献での評価(試験方法:マキシマイゼーション法)
・A4:n−ヘキシルメタクリレート、東京化成工業株式会社製「n−HexylMethacrylate」(陰性)文献での評価(試験方法:マキシマイゼーション法)
・B1:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学工業株式会社製「A−TMPT−3EO」(陽性)
・B2:グリセロールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「701」(1.2)
・B3:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「DCP」(1.3)
・B4:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「TMPT−3EO」(1.0)
・B5:カプロラクトン変性ジペンタエリスリロールヘキサアクリレート、日本化薬株式会社製(陰性)MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406)
・C1:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製「Irgacure184」(なし)MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406)
・C2:2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、BASF社製「Irgacure379」(なし)MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406)
・D1:塩素化オレフィン構造を有する重合体、重量平均分子量100,000、塩素化率30%、東洋紡株式会社製「ハードレンDX530P」
・D2:塩素化オレフィン構造を有する重合体、重量平均分子量40,000、塩素化率27%、東洋紡株式会社製「ハードレン14−WL−P」
・D3:スチレン−(メタ)アクリル酸−αメチルスチレン共重合体、酸価53mgKOH/g、重量平均分子量8,100、BASF社製「JONCRYL611」
三菱化学株式会社製カーボンブラック#10に対して日本ルーブリゾール社製高分子分散剤Solsperse39000を3:1の質量比で含む状態として配合量を示した。
比較例1と実施例1から、D群のポリマー成分として塩素化オレフィン構造を有する重合体を含有する場合に、表面処理を行っていないポリプロピレン基材に対する密着性が得られることがわかった。
また、比較例2から分かるように、多官能(メタ)アクリレートを含まない場合には硬化性が不十分であった。
また、比較例3から分かるように、単官能(メタ)アクリレートを含まない場合には、高粘度のためインクジェット印刷できなかった。
実施例1、2から、A群の単官能(メタ)アクリレートに皮膚感さ性に問題のないものを使用した場合にも、同様に表面処理を行っていないポリプロピレンに対する密着性が得られることがわかったため、インク取り扱いにおける安全性を考慮すると、皮膚感さ性に問題のないものを使用することが望ましい。
実施例2〜4から、塩素化オレフィン構造を有する重合体を単独で配合しても、他のポリマー成分と併用して少量配合しても、いずれも表面処理を行っていないポリプロピレンに対する密着性が得られることがわかった。その中でも他のポリマー成分と併用して塩素化オレフィン構造を有する重合体を少量配合とした場合のほうがインクジェット吐出時に液滴が伸長しやすくミスト発生がやや多かったことから、ポリマー成分としては分子量が大きいものを少量配合とするほうがより好ましいことがわかった。
実施例3、4から、異なる種類の塩素化オレフィン構造を有する重合体であっても同様に表面処理を行っていないポリプロピレン基材に対する密着性が得られることがわかったため、必要に応じて最適なものを選定すればよい。
実施例5、6、7から、A群の単官能(メタ)アクリレートに、皮膚感さ性に問題のないものとして異なるものを用いた場合にも、いずれも表面処理を行っていないポリプロピレン基材に対する密着性が得られることがわかった。
実施例8から分かるように、色材を含有する場合にも、表面処理を行っていないポリプロピレン基材に対する密着性が得られることがわかった。
実施例9、10、11、12から、B群の多官能(メタ)アクリレートに異なる種類のものを用いた場合にも、いずれも表面処理を行っていないポリプロピレン基材に対する密着性が得られることがわかったため、インク取り扱いにおける安全性を考慮すると、皮膚感さ性に問題のないものを使用することが望ましい。
実施例14から、各群の材料をそれぞれ複数併用しても、いずれも表面処理を行っていないポリプロピレンに対する密着性が得られることがわかったため、必要に応じて最適なものを選定すればよい。
前記したすべての実施例において、光照射後の塗膜は指触確認においてべたつきなどなく良好に硬化していた。
<積層硬化物の作製>
表4−1から表4−4に示すように、第1の層(下層)を形成するためのインクとして、次の(A)〜(C)の塩素化ポリオレフィンを含むインクを実施例に、(D)の塩素化ポリオレフィンを含まないインクを比較例に供した。また、第2の層(上層)を形成するためのインクとして(E)のインクを実施例と比較例に供した。
−インク(A)−
・t−ブチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製「t−ブチルアクリレート」(皮膚感さ性があることを示すH317のGHS表示):60質量部
・グリセロールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「701」(1.2):30質量部
・スチレン−アクリル共重合樹脂、BASF社製「JONCRYL611」(酸価53mgKOH/g、重量平均分子量8,100):10質量部
・塩素化ポリオレフィン、東洋紡株式会社製「ハードレンDX−530P」(重量平均分子量100,000):1質量部
・2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、BASF社製「Irgacure379」(なし)MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406):10質量部
前記インク(A)について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は、9mPa・sであった。
・t−ブチルメタクリレート、三菱レイヨン株式会社製「アクリエステルTB」(陰性)文献での評価(試験方法:マキシマイゼーション法):65質量部
・トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「DCP」(1.3):30質量部
・スチレン−アクリル共重合樹脂、BASF社製「JONCRYL611」(酸価53mgKOH/g、重量平均分子量8,100):10質量部
・塩素化ポリオレフィン、東洋紡株式会社製「ハードレンDX−530P」(重量平均分子量100,000):1質量部
・2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、BASF社製「Irgacure379」(なし)MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406):10質量部
前記インク(B)について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は、10mPa・sであった。
・n−ペンチルメタクリレート、Zhangjiagang Render Chemical社製「n−AmylMethacrylate」(陰性)文献での評価(試験方法:マキシマイゼーション法):60質量部
・ジエチレングリコールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「2G」(1.1):15質量部
・エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「TMPT−3EO」(1.0):15質量部
・スチレン−アクリル共重合樹脂、BASF社製「JONCRYL611」(酸価53mgKOH/g、重量平均分子量8,100):10質量部
・塩素化ポリオレフィン、東洋紡株式会社製「ハードレン14−WL−P」(重量平均分子量40,000):1質量部
・2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、BASF社製「Irgacure379」(なし)MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406):10質量部
前記インク(C)について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は、9mPa・sであった。
・t−ブチルメタクリレート、三菱レイヨン株式会社製「アクリエステルTB」(陰性)文献での評価(試験方法:マキシマイゼーション法):65質量部
・トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「DCP」(1.3):30質量部
・スチレン−アクリル共重合樹脂、BASF社製「JONCRYL611」(酸価53mgKOH/g、重量平均分子量8,100):10質量部
・2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、BASF社製「Irgacure379」(なし)MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406):10質量部
前記インク(D)について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は、10mPa・sであった。
−インク(E)−
・ジエチレングリコールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製「2G」(1.1):70質量部
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬株式会社製「DPCA60」(陰性)MSDSでの評価:30質量部
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製「Irgacure184」(なし)MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406):15質量部
・ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製「BYKUV3510」(シロキサン化合物は「日本化粧品工業連合会表示名称作成ガイドライン」において化粧品成分として収載される成分であることから、光重合性組成物に一般的に使用される種々の原材料と比較して十分に皮膚感さ性の程度が低いものである):0.3質量部
前記インク(E)について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は、28mPa・sであった。
硬化塗膜の基材との密着性は、包装材料や産業資材として幅広く使用されている汎用的なフィルム材料として、市販のポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、P2161、厚み60μm)を使用し、該フィルムの表面処理を行っていない面にインクをインクジェット吐出して、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により、各層ごとにUVA領域において3J/cm2で光照射して硬化させた積層塗膜に対して、JIS−K−5600−5−7に示されるプルオフ法に準じて(ただし、冶具接着部周縁への切り込み加工は行わなかった)、引っ張り試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフ」AG−10NXplusSC)にて接着力を測定し、以下の基準で評価した。なお、△以上が実使用可能なレベルである。
[評価基準]
◎:接着力が100kPa以上
○:接着力が50kPa以上100kPa未満
△:接着力が10kPa以上50kPa未満
×:接着力が10kPa未満
なお、接着力が10kPa未満の場合は、JIS−K−5600−5−6に示されるクロスカット法による付着性ですべて剥離してしまう程度に相当する。
得られた活性エネルギー線硬化型組成物(活性エネルギー線硬化型インク)をGEN4ヘッド(株式会社リコー製)搭載のインクジェット吐出装置により、平均厚みが10μmになるようにポリカーボネートフィルム(商品名:ユーピロン100FE2000、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、平均厚み:100μm)上に吐出した。吐出の直後、UV照射機(商品名:LH6、フュージョンシステムズジャパン株式会社製)により照射量が1,500mJ/cm2で紫外線を照射させ、硬化物を得た。得られた硬化物を用いて、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じて鉛筆硬度を測定し、下記の評価基準に基づき、「硬度」を評価した。なお、△以上が実使用可能である。
ただし、前記鉛筆硬度は、40℃で80%RHの高温高湿度環境下と、10℃で15%RHの低温低湿度環境下において鉛筆硬度評価を実施して、より軟らかい鉛筆硬度値を鉛筆硬度とした。例えば、40℃で80%RHの高温高湿度環境下での鉛筆硬度がBであり、10℃で15%RHの低温低湿度環境下での鉛筆硬度はHの場合、鉛筆硬度はBとした。なお、装置及び器具は、下記の通りである。また、前記平均厚みの測定方法としては、電子マイクロメーター(アンリツ株式会社製)を用いて測定し、10点の膜厚の平均値より求めた。
−装置及び器具−
・装置:COTEC株式会社製のひっかき鉛筆硬度 TQC WWテスター(荷重750g専用)
・鉛筆:次の硬度の木製製図用鉛筆セット(三菱鉛筆株式会社製)
6B、5B、4B、3B,2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H
・鉛筆けずり器:鉛筆の円筒状の芯をそのままに残して木部だけをけずり取る、特殊なけずりの器とする。
・研磨紙:3M−P1000(スリーエムジャパン株式会社製)
[評価基準]
○:鉛筆硬度H以上
△:鉛筆硬度F、及びHB
×:鉛筆硬度B以下
また、第1の層(下層)の平均厚みを5μm以上、第2の層(上層)の平均厚みを10μm以上とし、前記第1の層の平均厚みが合計平均厚みに対して28%以上である場合に、更に高い密着性が得られることが分かった。
また、比較例4〜8のように、第1の層(下層)のインク中に塩素化ポリオレフィンを含まない場合には、高い密着性が得られないことが分かった。
なお、すべての実施例と比較例において、形成した積層硬化物は指触確認においてべたつきなどなく良好に硬化していた。
また、表には示さなかったが同基材の反対面である易接着加工処理面においては、全ての実施例において、より高い接着力を示した。
<1> 単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、塩素化オレフィン構造を有する重合体とを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物である。
<2> 前記塩素化オレフィン構造を有する重合体の重量平均分子量が、100,000以下である前記<1>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<3> 前記塩素化オレフィン構造を有する重合体の含有量が、モノマー成分の合計100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<4> 前記単官能(メタ)アクリレート及び前記多官能(メタ)アクリレートが、皮膚感さ性が陰性である前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<5> 前記単官能(メタ)アクリレートの皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が、3未満である前記<4>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<6> 前記多官能(メタ)アクリレートの皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が、3未満である前記<4>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<7> 前記単官能(メタ)アクリレートの含有量が、モノマー成分の合計100質量部に対して、50質量部以上85質量部以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<8> 前記多官能(メタ)アクリレートの含有量が、モノマー成分の合計100質量部に対して、15質量部以上50質量部以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク組成物である。
<10> 25℃における粘度が、5mPa・s以上18mPa・s以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の組成物である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の組成物が容器中に収容されたことを特徴とする組成物収容容器である。
<12> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の組成物が収容された収容部と、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を備えることを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置である。
<13> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程を含むことを特徴とする2次元又は3次元の像形成方法である。
<14> 表面処理していないポリプロピレン基材に対して形成した前記<13>に記載の2次元又は3次元の像形成方法である。
<15> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする硬化物である。
<16> 表面処理していないポリプロピレン基材に1kPa以上の力で密着している前記<15>に記載の硬化物である。
<17> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の組成物で形成された第1の層と、前記第1の層上にジエチレングリコールジメタクリレートを少なくとも含む組成物で形成された第2の層とを有することを特徴とする積層硬化物である。
<18> 第1の層の平均厚みが3μm以上であり、第2の層の平均厚みが10μm以上であり、かつ前記第1の層の平均厚みが合計平均厚みに対して15%以上である前記<17>に記載の積層硬化物である。
<19> 表面処理していないポリプロピレン基材に対して形成された前記<17>から<18>のいずれかに記載の積層硬化物である。
<20> ポリプロピレン基材に対して10kPa以上の接着力と、未塗工ポリプロピレン基材よりも高い表面強度を有する前記<17>から<19>のいずれかに記載の積層硬化物である。
<21> ポリプロピレン基材上に、前記<15>から<20>のいずれかに記載の硬化物からなる表面加飾が施されてなることを特徴とする加飾体である。
6 活性エネルギー線硬化型組成物
22 被記録媒体(基材)
39 像形成装置
Claims (20)
- 単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、塩素化オレフィン構造を有する重合体とを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記塩素化オレフィン構造を有する重合体の重量平均分子量が、100,000以下である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記塩素化オレフィン構造を有する重合体の含有量が、モノマー成分の合計100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下である請求項1から2のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記単官能(メタ)アクリレート及び前記多官能(メタ)アクリレートが、皮膚感さ性が陰性である請求項1から3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記単官能(メタ)アクリレートの皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が、3未満である請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記多官能(メタ)アクリレートの皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が、3未満である請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記単官能(メタ)アクリレートの含有量が、モノマー成分の合計100質量部に対して、50質量部以上85質量部以下である請求項1から6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記多官能(メタ)アクリレートの含有量が、モノマー成分の合計100質量部に対して、15質量部以上50質量部以下である請求項1から7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 請求項1から8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 25℃における粘度が、5mPa・s以上18mPa・s以下である請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1から10のいずれかに記載の組成物が容器中に収容されたことを特徴とする組成物収容容器。
- 請求項1から10のいずれかに記載の組成物が収容された収容部と、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を備えることを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置。
- 請求項1から10のいずれかに記載の組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程を含むことを特徴とする2次元又は3次元の像形成方法。
- 表面処理していないポリプロピレン基材に対して形成した請求項13に記載の2次元又は3次元の像形成方法。
- 請求項1から10のいずれかに記載の組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする硬化物。
- 表面処理していないポリプロピレン基材に1kPa以上の力で密着している請求項15に記載の硬化物。
- 請求項1から10のいずれかに記載の組成物で形成された第1の層と、前記第1の層上にジエチレングリコールジメタクリレートを少なくとも含む組成物で形成された第2の層とを有することを特徴とする積層硬化物。
- 第1の層の平均厚みが3μm以上であり、第2の層の平均厚みが10μm以上であり、かつ前記第1の層の平均厚みが合計平均厚みに対して15%以上である請求項17に記載の積層硬化物。
- 表面処理していないポリプロピレン基材に対して形成された請求項17から18のいずれかに記載の積層硬化物。
- ポリプロピレン基材に対して10kPa以上の接着力と、未塗工ポリプロピレン基材よりも高い表面強度を有する請求項17から19のいずれかに記載の積層硬化物。
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