JP2016166326A - 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、並びに2次元又は3次元の像の形成方法及び形成装置 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、並びに2次元又は3次元の像の形成方法及び形成装置 Download PDF

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智大 平出
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Abstract

【課題】吐出性、及び分散性が良好であり、硬化性、及び着色性に優れる活性エネルギー線硬化型組成物の提供。【解決手段】シアン顔料、及び重合性化合物を含有し、波長385nmにおける吸光度と、波長620nmにおける吸光度との比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.65以下である活性エネルギー線硬化型組成物である。前記比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.57以下である態様が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、並びに2次元又は3次元の像の形成方法及び形成装置に関する。
活性エネルギー線硬化型インクジェット記録方式は、無溶媒であるため環境に有害な揮発性有機化合物(以下、「VOC」とも称することがある)の発生が無く、速乾性であり、インクを吸収しない液体非吸収性の記録用メディアにも記録できるという利点がある。
活性エネルギー線硬化性組成物は、紫外線等を利用して硬化させることが可能であるが、光源としては、低エネルギーの光(長波長)を照射する紫外線発光ダイオード(以下、「UV−LED」とも称することがある)ランプが使用されるようになってきており、前記UV−LEDランプでも充分な硬化性を有することが求められている。
しかし、色材自体も紫外光領域の波長に吸収を有するため、重合開始剤の紫外光吸収阻害を避けるのは困難である。
そこで、インクの硬化性を向上させるために、黄色インクを構成する黄色顔料の溶解時における吸光度比[(波長365nmの吸光度)/(波長430nmの吸光度)]が0.50以下である活性エネルギー線硬化型インクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、吐出性、及び分散性が良好であり、硬化性、及び着色性に優れる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、シアン顔料、及び重合性化合物を含有し、波長385nmにおける吸光度と、波長620nmにおける吸光度との比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.65以下である。
本発明によると、吐出性、及び分散性が良好であり、硬化性、及び着色性に優れる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
本発明における像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明における別の像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である。 図4は、実施例8及び9、並びに比較例4の活性エネルギー線硬化型組成物の吸光度を示すグラフである。
(活性エネルギー線硬化型組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、シアン顔料、及び重合性化合物を含有し、
波長385nmにおける吸光度と、波長620nmにおける吸光度との比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.65以下であり、更に必要に応じて、分散剤ポリマー、重合開始剤、重合促進剤、その他の成分を含有してなる。
本発明は、従来の活性エネルギー線硬化型インクでは、吸光度は分散性に依存するため、良好な分散性が得られなければ吸光度が低くなり、これに伴い着色力が低下して、良好な着色濃度が得られないという問題があるという知見に基づくものである。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物において、波長385nmにおける吸光度と、波長620nmにおける吸光度との比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)としては、0.65以下であり、0.57以下が好ましく、0.40以下がより好ましい。前記比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.65以下であると、硬化性、及び着色性を向上できる。すなわち、385nmの紫外光域における吸光度が小さく、かつシアン色の濃度を左右する620nm付近の吸光度が大きいことが好ましい。385nmは、UV−LED光源のピーク波長であるため、この波長の吸光度が相対的に小さいことはシアン顔料自体による活性エネルギー線の吸収阻害を低減できるため、低強度の紫外光照射であっても硬化性に優れ、環境負荷低減に寄与することができ、620nm付近の吸光度が大きいことは着色力の向上につながる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物を用いて、基材上に、照度が1W/cmであり、かつ照射量が500mJ/cmの活性エネルギー線を照射して硬化させた、平均厚みが10μmの硬化物の着色濃度としては、2.00以上が好ましく、2.20以上がより好ましい。なお、前記平均厚みとしては、例えば、接触型(指針型)乃至渦電流式の膜厚計、例えば、電子マイクロメーター(アンリツ株式会社製)を用いて測定し、10点の膜厚の平均値より求めることができる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物中の前記シアン顔料濃度が0.0020質量%(20ppm)であるときの波長385nmにおける吸光度としては、0.75以下が好ましく、0.65以下がより好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型組成物中の前記シアン顔料濃度が0.0020質量%であるときの波長620nmにおける吸光度としては、1.05以上が好ましい。
これらの吸光度は、シアン顔料の単体特性で前記波長における吸光度の好ましい範囲を満足しても、前記吸光度は同一顔料を用いても分散状態によって大きく左右されるため、シアン顔料が分散された状態における吸光度であることが好ましい。具体的には、分散性が良好であれば、顔料表面積が増大するため、シアン色の濃度を左右する620nm付近の吸収が増大する。前記分散性が良好であるか否かは、前記活性エネルギー線硬化型組成物について、下記式(2)に基づいて得られる粘度変化率(ΔV)の算出、及び50%累積体積粒径(D50)を測定することで判断することができる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物の波長385nmにおける吸光度、及び波長620nmにおける吸光度としては、シアン顔料濃度が0.0020質量%であるときの測定値を用いることができる。
前記吸光度としては、示差熱熱重量同時測定装置(装置名:TG/DTA7200、セイコーインスルツメンツ社製)を用いて、活性エネルギー線硬化型組成物中のシアン顔料濃度を測定したものを、正確にシアン顔料濃度が0.0020質量%になるように希釈して、分光光度計(装置名:U−3900H、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定することにより求めることができる。
前記示差熱熱重量同時測定装置(装置名:TG/DTA7200、セイコーインスルツメンツ社製)を用いたシアン顔料の希釈濃度の測定方法としては、JIS K 0129に準拠して測定することができるが、例えば、以下の方法でも測定できる。
サンプルホルダーに基準物質(Al)と活性エネルギー線硬化型組成物をセットして、25℃から500℃まで窒素雰囲気中にて昇温速度10℃/分間で昇温した後、雰囲気を酸素に切り換えて、酸素雰囲気中にて昇温速度10℃/分間で700℃まで昇温する。
初めに、活性エネルギー線硬化型組成物中の水分、次いで300℃付近からは樹脂分の熱分解により熱重量測定(TG)において重量減少が確認できる。
500℃までに活性エネルギー線硬化型組成物中に含有される顔料分以外の成分(水分、界面活性剤、分散剤ポリマー、重合開始剤、重合禁止剤等)の熱重量測定(TG)において重量減少が確認できる。
500℃から600℃にかけては、顔料が分解し、示差熱測定(DTA)において、大きなピークが現れ、熱重量測定(TG)において重量減少が確認できる。
前記500℃から600℃における熱重量測定(TG)での重量減少量を用いて、活性エネルギー線硬化型組成物に含有されているシアン顔料分を定量することができる。
上記方法により求めた活性エネルギー線硬化型組成物中のシアン顔料濃度からシアン顔料濃度が0.0020質量%になるように希釈して測定に供することができる。
<粘度>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3〜40mPa・sが好ましく、5〜15mPa・sがより好ましく、6〜12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物の粘度変化率(ΔV)としては、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましい。前記粘度変化率(ΔV)が、15%以下であると、保存安定性に優れ、分散性を向上できる。また、前記粘度変化率(ΔV)は、初期25℃粘度をVとし、70℃において14日間静置後の25℃粘度をVとしたとき、下記式(2)に基づいて求めることができる。
粘度変化率(ΔV)(%)=|V−V|/V×100 ・・・ 式(2)
前記活性エネルギー線硬化型組成物の50%累積体積粒径(D50)としては、100nm以上160nm以下が好ましい。前記50%累積体積粒径(D50)が、100nm以上であると、十分な耐候性が得られ、また、顔料粒子が小さくなりすぎて凝集エネルギーが高くなることを防止できるため分散性を向上でき、また、吐出安定性を向上でき、160nm以下であると、シアン色の濃度を左右する620nm付近の吸収を増大でき、吐出性を向上できる。なお、前記50%累積体積粒径(D50)としては、例えば、活性エネルギー線硬化型組成物を各分散媒として用いる重合性モノマーで500倍程度に希釈して、粒度分布計(商品名:UPA150、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。また、前記活性エネルギー線硬化型組成物の50%累積体積粒径(D50)とは、活性エネルギー線硬化型組成物そのものを測定に供して得られた50%累積体積粒径(D50)を意味し、活性エネルギー線硬化型組成物中の粒子状の物体(具体的には、シアン顔料を含む顔料分散液)の50%累積体積粒径(D50)に相当する。
前記活性エネルギー線硬化型組成物の粒径分布の分布幅としては、60nm以下が好ましい。前記粒径分布の分布幅が、60nm以下であると、シアン色の濃度を左右する620nm付近の吸収を増大でき、吐出性を向上できる。なお、前記粒径分布の分布幅は、下記式(1)から求めることができる。
前記84%累積体積粒径(D84)、及び16%累積体積粒径(D16)としては、例えば、粒度分布計(装置名:UPA150、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
粒径分布の分布幅=(84%累積体積粒径−16%累積体積粒径)/2 ・・・ 式(1)
前記シアン顔料の分散性は、顔料、分散媒、分散剤ポリマー、分散条件により左右される。
<シアン顔料>
前記シアン顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記シアン顔料の個数平均一次粒径としては、30nm以上120nm以下が好ましい。前記個数平均一次粒径が、30nm以上120nm以下であると、分散性を向上できる。なお、前記個数平均一次粒径としては、走査型電子顕微鏡(装置名:SU3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、1万倍視野での一次粒子200個以上500個以下の一次粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔にある定方向径を測定して、その累積分布の平均値から求めることができる。
前記シアン顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタロシアニン顔料のC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4などが挙げられる。これらの中でも、色特性、分散性、及び耐候性の点から、C.I.ピグメントブルー15:4が好ましい。また、良好な分散性を得るために表面を酸性処理されていることが好ましい。前記酸性処理により塩基性の分散剤ポリマーが吸着されやすくなり、立体反発効果により分散性を向上できる。
前記表面処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料誘導体処理、樹脂修飾、酸化処理、プラズマ処理など公知の方法が挙げられる。
前記シアン顔料としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、LX−8091(C.I.ピグメントブルー15:4、東洋カラー株式会社製)、B4G(C.I.ピグメンブルー15:4、クラリアントジャパン株式会社製)、D7110F(C.I.ピグメントブルー15:4、BASF社製)などが挙げられる。
前記シアン顔料の含有量としては、活性エネルギー線硬化型組成物全量に対して、1質量%以上5質量%以下が好ましい。前記含有量が、1質量%以上であると、着色性を向上でき、5質量%以下であると、粘度の上昇を抑制して、吐出性を向上できる。
<<その他の色材>>
前記その他の色材としては、本発明における活性エネルギー線硬化型組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、シアン、マゼンタ、グリーン、オレンジ、金や銀などの光沢色などを付与する種々のその他の顔料や染料を用いることができ、その含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記その他の顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔
料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、塩基性染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<重合性化合物>
前記重合性化合物としては、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)により重合反応を行うことができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、反応速度、インク物性、及び硬化膜物性などを調整する点から、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性の重合性化合物などが挙げられる。
前記ラジカル重合性の重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、芳香族ビニル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、及びメタクリレートの少なくともいずれかを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの少なくともいずれかを意味する。
<<(メタ)アクリレート化合物>>
前記(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート、二官能の(メタ)アクリレート、三官能の(メタ)アクリレート、四官能の(メタ)アクリレート、五官能の(メタ)アクリレート、六官能の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アクリル酸−2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低粘度、低臭気、及び高硬化性の点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、アクリル酸−2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、重合開始剤及びその他モノマーとの相溶性の点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレートが特に好ましい。
前記二官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記三官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記四官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記五官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記六官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<(メタ)アクリルアミド化合物>>
前記(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましい。
<<芳香族ビニル化合物>>
前記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シアン顔料の分散に用いる分散媒としては、分散性、及び低粘度の点から、単官能の重合性化合物を用いることが好ましい。分散性の向上により粒径分布が均一になるため、過剰に小さい粒子や凝集した粒子が低減することにより、紫外光の吸収阻害を抑制でき、硬化性を向上でき、また、同時に吐出性を向上できる。
前記分散媒として用いる単官能の重合性化合物としては、例えば、フェノキシエチルアクリレート、アクリロイルモルホリン、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。
前記分散媒として用いる単官能の重合性化合物としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、分散安定性に優れる分散液が得られる点から、例えば、商品名:ビスコート#192(化合物名:フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製、構造式:下記式(M−1))、商品名:ACMO(化合物名:アクリロイルモルホリン、興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、構造式:下記式(M−2))、商品名:ビスコート#160(化合物名:ベンジルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製、構造式:下記式(M−3))などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性化合物の含有量としては、活性エネルギー線硬化性組成物全量に対して、50質量%以上95質量%以下が好ましく、60質量%以上92質量%以下がより好ましく、70質量%以上90質量%以下が特に好ましい。
<分散剤ポリマー>
前記分散剤ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記分散剤ポリマーとしては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルとの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩基性の極性官能基を有することが好ましい。前記分散剤ポリマーが塩基性の極性官能基を有することにより、シアン顔料表面への吸着することができ、分散安定性を向上できる。前記分散剤ポリマーを用いると、分散剤吸着に伴う立体障害効果を向上でき、高い分散安定性を得ることができる。なお、前記分散剤ポリマーとは、重量平均分子量が1,000以上のものを意味する。
前記塩基性の極性官能基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、含窒素複素環基などが挙げられる。これらの中でも、吸着能、重合性化合物中での分散性、及び粘度低下能の点から、アミノ基が好ましい。
前記分散剤ポリマーのアミン価としては、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下がより好ましい。前記アミン価が、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であると、長期間保存時や加温時においても、組成物成分である重合性化合物との重合反応の促進を抑制することができると考えられ、長期間保存時や加温時においても粘度変化が小さく、高い保存安定性を有するものと推測される。なお、前記アミン価は、前記分散剤ポリマー1gをメチルイソブチルケトン100mLに溶解し、0.01モル/Lの塩素酸メチルイソブチルケトン溶液で自動滴定装置(装置名:GT−200、株式会社三菱化学アナリティック製)を用いて電位差滴定を行い、電位差を測定し、得られた電位差に基づいて算出することができる。
前記分散剤ポリマーとしては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、商品名:ソルスパース24000(アミン価:41.6mgKOH/g)、商品名:ソルスパース32000(アミン価:31.2mgKOH/g)、商品名:ソルスパース39000(アミン価:25.7mgKOH/g)、商品名:ソルスパースJ100、商品名:ソルスパースJ200等の日本ルーブルリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ、商品名:DisperBYK−162(アミン価:13mgKOH/g)、商品名:DisperBYK−163(アミン価:10mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−168(アミン価:11mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−2050(アミン価:30.7mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−2200(30.7mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−2150(アミン価:56.7mgKOH/g)等のビックケミー・ジャパン株式会社製のDisperBYKシリーズ、商品名:BYKJET−9151(アミン価:17.2mgKOH/g)、商品名:BYKJET−9152(アミン価:27.3mgKOH/g)等のビックケミー・ジャパン株式会社製のBYKJETシリーズ、商品名:アジスパーPB821(アミン価:11.2mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB−822(アミン価:18.2mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB−881(アミン価:17.4mgKOH/g)等の味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズなどが挙げられる。
前記分散剤ポリマーの含有量としては、シアン顔料全量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましい。前記含有量が、10質量%以上であると、分散性を向上でき、50質量%以下であると、シアン顔料に吸着しない遊離した分散剤ポリマーの量が少なく粘度上昇に与える影響は少ないと推定される。
<重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5〜20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
<その他の成分>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
<<重合禁止剤>>
前記重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシ−1−ナフトール、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、メトキノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、p−ベンゾキノン、ジ−t−ブチルジフェニルアミン、9,10−ジ−n−ブトキシシアントラセン、4,4’−〔1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイルビス(オキシ)〕ビス〔2,2,6,6−テトラメチル〕−1−ピペリジニルオキシなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合禁止剤の含有量としては、重合開始剤全量に対して、0.005質量%以上3質量%以下が好ましい。前記含有量が、0.005質量%以上であると、保存安定性を向上、及び高温環境下で粘度の上昇を抑制でき、3質量%以下であると、硬化性を向上できる。
<<界面活性剤>>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
前記界面活性剤の含有量としては、活性エネルギー線硬化型組成物全量に対して、0.1質量%以上3質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、0.1質量%以上であると、ぬれ性を向上でき、3質量%以下であると、硬化性を向上できる。前記含有量が、より好ましい範囲内であると、ぬれ性、及びレベリング性を向上できる。
<有機溶媒>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
<分散方法>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の分散方法としては、ボールミル、サンドミルやビーズミルなどのメディアを用いた分散装置を用いてもよく、メディアレス分散装置を用いてもよい。
前記メディアを用いた分散装置における分散メディアとしては、分散性、及び分散効率の点から、ジルコニアビーズを用いることが好ましい。また、これらの分散方法を2種以上組み合わせて用いてもよい。例えば、ボールミル分散の場合、直径2mmのジルコニアビーズを用いて分散を行った後に、直径1mmのジルコニアビーズを用いて分散を行うなどの2段階分散を行うことにより、均一な粒度分布の分散液を得ることができる。
前記メディアレス分散装置は、シアン顔料に過剰なエネルギーを付与しないためシアン顔料粒子の破砕などが起こらず、シアン顔料表面に対する分散剤ポリマーの吸着が促進され、分散安定性を向上できる。また、過分散だけでなく、メディア由来のコンタミが発生しないことから、系内に微粉、粗粉の発生を抑制できる。このことは、活性エネルギー線による硬化阻害を低減できるだけでなく、粒度分布の均一性を向上できることから、高いインク吐出性を得ることができる。
前記メディアレス分散装置としては、例えば、衝突分散型、超音波分散型などによる高速せん断力を利用する分散装置又は高速撹拌を利用する分散装置などが挙げられる。
高速せん断力を利用する分散装置としては、例えば、装置名:ナノヴェイタシリーズラボ機NVC−ES008(吉田機械興業株式会社製)などが挙げられる。
分散時における分散液の温度としては、5℃以上60℃以下が好ましい。前記温度が、5℃以上60℃以下であると、モノマーの硬化反応を抑制することができる。また、硬化反応を抑制するために重合禁止剤をあらかじめ少量加えておくことも可能である。
<活性エネルギー線硬化型組成物の調製>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
<活性エネルギー線>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
前記活性エネルギー線の光源としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LEDランプなどが挙げられる。
前記水銀ランプとしては、石英ガラス製の発光管の中に高純度の水銀(Hg)と少量の希ガスが封入されたもので、365nmを主波長とし、254nm、303nm、313nmの紫外線を効率よく放射し、短波長紫外線の出力が高い。
前記メタルハライドランプとしては、発光管の中に水銀に加えて金属をハロゲン化物の形で封入したもので、200nmから450nmまで広範囲にわたり活性エネルギー線スペクトルを放射し、水銀ランプに比べ、300nm以上450nm以下の長波長紫外線の出力が高い。
前記UV−LEDランプとしては、長寿命、及び低消費電力のLED方式により、環境負荷を低減でき、オゾン発生がなく装置もコンパクトにでき、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化する際に用いるランプとして好ましい。
<用途>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
また、本発明における硬化物の延伸性は、180℃における延伸性として、(引張り試験後の長さ−引張り試験前の長さ)/(引張り試験前の長さ)の比で表したとき、50%以上が好ましく、100%以上がより好ましい。
(活性エネルギー線硬化型インク)
本発明の活性エネルギー線硬化型インク(以下、「インク」とも称することがある)は、本発明の前記活性エネルギー線硬化型組成物からなり、インクジェット用であることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型インクの25℃における静的表面張力は、20mN/m以上40mN/m以下が好ましく、28mN/m以上35mN/m以下がより好ましい。
前記静的表面張力は、静的表面張力計(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z型)を使用し、25℃で測定することができる。前記静的表面張力は、例えば、リコープリンティングシステムズ株式会社製GEN4など、市販のインクジェット吐出ヘッドの仕様を想定したものである。
<組成物収容容器>
本発明の組成物収容容器は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
<像の形成方法、形成装置>
本発明の像の形成方法は、少なくとも、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
(2次元又は3次元の像)
前記2次元又は3次元の像は、基材上に、本発明の前記活性エネルギー線硬化型組成物及び本発明の前記活性エネルギー線硬化型インクのいずれかを付与し、硬化させてなる。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクにより記録される2次元又は3次元の像としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する記録面に記録されたものや、金属やセラミックスなどの種々の材料からなる記録面に記録されたものも含む。
前記2次元の像としては、例えば、文字、記号、図形又はこれらの組合せ、ベタ画像などが挙げられる。
前記3次元の像としては、例えば、立体造形物などが挙げられる。
前記立体造形物の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上が好ましい。
前記2次元又は3次元の像は、本発明の前記活性エネルギー線硬化型組成物及び本発明の前記活性エネルギー線硬化型インクのいずれかを用いているので、非浸透性基材に形成した2次元又は3次元の像が、水に浸漬した後でも密着性が良好に維持できるという優れた耐水性を有するものである。
前記2次元又は3次元の像としては、発光ダイオード光を用いて硬化されることが好ましい。
(構造体)
前記構造体としては、基材と、前記基材上に前記2次元又は3次元の像と、を有する。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(成形加工品)
前記成形加工品としては、前記2次元又は3次元の像、及び前記構造体のいずれかを延伸加工してなる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
また、吸光度、粘度変化率(ΔV)、活性エネルギー線硬化型組成物中の50%累積体積粒径(D50)、粒径分布の分布幅、及び分散剤ポリマーのアミン価は、次のようにして求めた。
<吸光度>
前記吸光度としては、得られた活性エネルギー線硬化型組成物を各分散媒において使用した重合性化合物を用いてシアン顔料濃度が0.0020質量%になるように希釈して、分光光度計(装置名:U−3900H、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。
<粘度変化率(ΔV)>
得られた活性エネルギー線硬化型組成物について、コーンプレート型回転粘度計(装置名:VISCOMETER TVE−22L、東機産業株式会社製)を用いて、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、恒温循環水の温度が25℃、回転数が50rpm、及びせん断速度が191.4sec−1の条件で作製直後の初期25℃粘度Vを測定した。次に、前記活性エネルギー線硬化型組成物を70℃で14日間静置した。その後、初期粘度の測定と同様の条件で、保存後の25℃粘度Vを測定した。下記式(2)から粘度変化率(ΔV)を算出した。前記粘度変化率(ΔV)が低いほうが、保存安定性に優れ、分散性が良好である。
粘度変化率(ΔV)(%)=|V−V|/V×100 ・・・ 式(2)
<50%累積体積粒径(D50)、及び粒径分布の分布幅>
前記50%累積体積粒径(D50)は、得られた活性エネルギー線硬化型組成物を各分散媒に用いた重合性化合物を用いて500倍に希釈して、粒度分布計(装置名:UPA150、日機装株式会社製)を用いて測定した。
前記粒径分布の分布幅は、前記50%累積体積粒径(D50)と同様にして、84%累積体積粒径(D84)、及び16%累積体積粒径(D16)を測定し、下記式(1)により求めた。
粒径分布の分布幅=(84%累積体積粒径−16%累積体積粒径)/2 ・・・ 式(1)
<分散剤ポリマーのアミン価>
前記分散剤ポリマーのアミン価は、前記分散剤ポリマー1gをメチルイソブチルケトン100mLに溶解し、0.01モル/Lの塩素酸メチルイソブチルケトン溶液で電位差滴定を行い、電位差を測定し、得られた電位差に基づいて算出した。前記電位差滴定としては、自動滴定装置(装置名:GT−200、株式会社三菱化学アナリティック製)を用いて測定した。
(シアン顔料分散液の作製例1)
<シアン顔料分散液Aの作製>
分散剤ポリマー(商品名:アジスパーPB−822、味の素ファインテクノ株式会社製、アミン価:18.2mgKOH/g)5質量部をベンジルアクリレート(商品名:ビスコート#160、大阪有機化学工業株式会社製、構造式:下記式(M−3))75質量部に入れ、40℃にて4時間撹拌溶解して分散媒を作製した。
70mLのマヨネーズ瓶(商品名:UMサンプル瓶、アズワン株式会社製)に、直径2mmのジルコニアボール80質量部、C.I.ピグメントブルー15:4(商品名:LX−8091、東洋カラー株式会社製)4.5質量部、前記分散媒18質量部を加え、下記条件のボールミルで3日間分散を行い、[シアン顔料分散液A](顔料固形分濃度:20質量%)を作製した。
−ボールミルの条件−
メディア:YTZボール直径2mm(ジルコニアボール、株式会社ニッカトー製)
ミル:MIX−ROTAR VMR−5(アズワン株式会社製)
回転数:マヨネーズ瓶の回転数75rpm
(シアン顔料分散液の作製例2〜11)
<シアン顔料分散液B、D、E、G、H、J及びK〜Nの作製>
前記シアン顔料分散液の作製例1において、シアン顔料、分散剤ポリマー、及び重合性化合物を、下記表1に記載のものに変更した以外は、シアン顔料分散液の作製例1と同様にして、シアン顔料分散液B、D、E、G、H、J及びK〜Nを作製した。なお、顔料固形分濃度は、すべて20質量%であった。
(シアン顔料分散液の作製例12)
<シアン顔料分散液Cの作製>
分散剤ポリマー(商品名:BYKJET−9151、ビックケミー・ジャパン株式会社製、アミン価:17.2mgKOH/g)5質量部をフェノキシエチルアクリレート(商品名:ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製、構造式:下記式(M−1))75質量部に入れ、40℃にて4時間撹拌溶解して分散媒を作製した。
300mLの三角フラスコに、C.I.ピグメントブルー15:4(商品名:LX−8091、東洋カラー株式会社製)45質量部、前記分散媒180質量部を加え、下記条件のホモジナイザーにて10分間プレ分散を行った。その後、下記条件のビーズミルで60分間分散を行い、[シアン顔料分散液C](顔料固形分濃度:20質量%)を作製した。
−ホモジナイザーの条件−
ホモジナイザー:HG30、C20カッター(日立工機株式会社製)
回転数:10,000rpm
−ビーズミルの条件−
ミル:ダイノーミルMultiLab型
メディア:YTZボール直径0.3mm(ジルコニアボール、株式会社ニッカトー製)
周速:8m/s
(シアン顔料分散液の作製例13)
<シアン顔料分散液Fの作製>
分散剤ポリマー(商品名:BYKJET−9152、ビックケミー・ジャパン株式会社製、アミン価:27.3mgKOH/g)5質量部をフェノキシエチルアクリレート(商品名:ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製)75質量部に入れ、40℃にて4時間撹拌溶解して分散媒を作製した。
70mLのマヨネーズ瓶に、C.I.ピグメントブルー15:4(商品名:D7110F、BASF社製)45質量部、前記分散媒180質量部を加え、ボールミルにて8時間分散を行い、直径5mmのジルコニアボールを取り除いた後直径2mmのジルコニアボール80部を加え、さらにボールミルにて2日間分散を行い、[シアン顔料分散液F](顔料濃度:20質量%)を作製した。
メディア:YTZボール直径5mm(ニッカトー社製、ジルコニアボール)
YTZボール直径2mm(ニッカトー社製、ジルコニアボール)
ミル:MIX−ROTAR VMR−5(アズワン株式会社製)
回転数:瓶の回転数75rpm
(シアン顔料分散液の作製例14)
<シアン顔料分散液Iの作製>
分散剤ポリマー(商品名:BYKJET−9151、ビックケミー・ジャパン株式会社製、アミン価:17.2mgKOH/g)5質量部をフェノキシエチルアクリレート(商品名:ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製)75質量部に入れ、40℃にて4時間撹拌溶解して分散媒を作製した。
300mLの三角フラスコに、C.I.ピグメントブルー15:4(商品名:D7110F、BASF社製)45質量部、前記分散媒180質量部を加え、下記条件のホモジナイザーにて10分間プレ分散を行った。その後、メディアレス分散装置にて、処理圧力150MPaとして分散を行い、[シアン顔料分散液I](顔料固形分濃度:20質量%)を作製した。
−ホモジナイザーの条件−
ホモジナイザー:HG30、C20カッター(日立工機株式会社製)
回転数:8,000rpm
−メディアレス分散装置の条件−
メディアレス分散装置:NVC−ES008(吉田機械興業株式会社製)
ノズル:クロス(X型)
処理圧力:150MPa
パス回数:30回
得られたシアン顔料分散液A〜Nの組成、及び分散方法を下記表1に示す。
なお、前記表1において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・LX−8091:C.I.ピグメントブルー15:4、東洋カラー株式会社製
・D7110F:C.I.ピグメントブルー15:4、BASF社製
・D7079:C.I.ピグメントブルー15:3、BASF社製
・B4G:C.I.ピグメントブルー15:3、クラリアントジャパン株式会社製
・アジスパーPB−822:味の素ファインテクノ株式会社製、アミン価:18.2mgKOH/g
・BYKJET−9151:ビックケミー・ジャパン株式会社製、アミン価:17.2mgKOH/g
・DISPERBYK−2200:ビックケミー・ジャパン株式会社、アミン価:30.7mgKOH/g
・BYKJET−9152:ビックケミー・ジャパン株式会社製、アミン価:27.3mgKOH/g
・ソルスパース39000:日本ルーブルリゾール株式会社、アミン価:25.7mgKOH/g
・ベンジルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#160、構造式:下記式(M−3))
・アクリロイルモルホリン:興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、商品名:ACMO、構造式:下記式(M−2)
・フェノキシエチルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#192、構造式:下記式(M−1)
(実施例1)
シアン顔料分散液A 10.0質量部、アクリロイルモルホリン(商品名:ACMO、KJケミカルズ株式会社製、単官能モノマー)15.0質量部、ベンジルアクリレート(商品名:ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製、単官能モノマー)53.5質量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート(商品名:ビスコート#260、大阪有機化学工業株式会社製、二官能モノマー)1.0質量部、ウレタンアクリレート樹脂(商品名:UV−3010B、日本合成化学工業株式会社製、紫外線硬化樹脂)5.5質量部、界面活性剤A(商品名:BYK−3575、ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.3質量部、重合開始剤A(商品名:Irgacure819、BASF社製)6.0質量部、重合開始剤B(商品名:DAROCURE TPO、BASF社製)5.0質量部、重合開始剤C(商品名:SpeedcureDETX、Lambson社製)3.5質量部、及びp−メトキシフェノール(日本化薬株式会社製)0.2質量部を混合し、活性エネルギー線硬化型組成物1を得た。
(実施例2〜10、及び比較例1〜4)
実施例1において、下記表2、及び下記表3に記載の組成、及び含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型組成物2〜14を得た。下記表2、及び下記表3に実施例1〜10及び比較例1〜4の組成及び含有量、下記表4に特性を示す。また、図4に、実施例8、実施例9、及び比較例4の活性エネルギー線硬化型組成物の吸光度を示すグラフを示す。
なお、前記表2、及び前記表3において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・フェノキシエチルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#192、構造式:下記式(M−1)
・アクリロイルモルホリン:KJケミカルズ株式会社製、商品名:ACMO、単官能モノマー
・ベンジルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#192、単官能モノマー
・イソボルニルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製、商品名:IBXA、単官能モノマー
・1,9−ノナンジオールジアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製、商品名:ビスコート#260、二官能モノマー
・ウレタンアクリレート樹脂:日本合成化学工業株式会社製、商品名:UV−3010B
・界面活性剤A:ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名:BYK−3575
・界面活性剤B:ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名:BYK−3510
・重合開始剤A:BASF社製、商品名:Irgacure819
・重合開始剤B:BASF社製、商品名:DAROCURE TPO
・重合開始剤C:Lambson社製、商品名:SpeedcureDETX
・重合禁止剤:日本化薬株式会社製、化合物名:p−メトキシフェノール
得られた実施例1〜10、及び比較例1〜4の活性エネルギー線硬化型組成物1〜14について、以下のようにして、「吐出性」、「着色性」、「硬化性」、及び「密着性」を評価した。評価結果を下記表5に示す。
<初期及び保存後の吐出性>
インク供給系からヘッド部までのインクの温度調節が可能なピエゾ型インクジェットヘッド(商品名:GEN4、リコーインダストリー株式会社製)に、実施例1〜10、及び比較例1〜4の作製直後の活性エネルギー線硬化型組成物を充填し、組成物の粘度が10mPa・sとなる温度に温度調節し、3kHzにて吐出して、下記評価基準に基づいて、「初期吐出性」を評価した。次に、前記「初期吐出性」の評価において、作製直後の活性エネルギー線硬化型組成物を70℃において14日間保存後の活性エネルギー線硬化型組成物に変更した以外は、「初期の吐出性」の評価と同様にして、「保存後の吐出性」を評価した。なお、温度調節は、可能なコーンプレート型粘度計を用い、インク粘度が10.0mPa・s±0.5mPa・sとなる温度条件を調べて行った。
−評価基準−
○:吐出できた
×:吐出できなかった
<着色性>
得られた活性エネルギー線硬化型組成物を、記録媒体(商品名:コスモシャインA4300コートPETフィルム、東洋紡株式会社製、平均厚み:100μm、色:透明)に、プリンタ(装置名:SG7100、株式会社リコー製)を改造した評価用プリンタを用いて、10cm×10cmのベタ画像を得た。得られたベタ画像を、インクジェットプリンタ用UV−LED装置(装置名:UV−LEDモジュール(シングルパス水冷、ウシオ電機株式会社製)を用いて、照度が1W/cm、照射量が500mJ/cmになるように硬化処理を行い、平均厚みが10μmである10cm×10cmの像(硬化物)を得た。
なお、照射量の測定は、紫外線強度計(装置名:UM−10)、受光部(装置名:UM−400)(以上、コニカミノルタ株式会社製)を使用した。また、前記平均厚みの測定方法は、電子マイクロメーター(アンリツ株式会社製)を用いて厚みを測定し、10点の厚みの平均値より求めた。また、前記評価用プリンタは、装置名:SG7100の搬送、駆動部を用い、ヘッド部を加熱吐出でき高粘度インクに対応できるMH2620ヘッド(株式会社リコー製)に変更したものである。
得られた像(硬化物)に対して、反射分光濃度計(装置名:X−Rite939、X−Rite社製)を用いて、像(硬化物)の濃度を測定して、「着色性」を評価した。数値が高いほうが着色性に優れている。
<硬化性>
−表面硬化性の評価−
得られた活性エネルギー線硬化型組成物を用いて、前記着色性の評価と同様にして、平均厚みが10μmである10cm×10cmの像(硬化物)を得た。得られた像(硬化物)を、クロックメーター(装置名:NO416、株式会社安田精機製作所製)に取り付けた白綿布によって、50g/cmの荷重で10往復摩擦させた。その後、反射分光濃度計(装置名:X−Rite939、X−Rite社製)を用いて、前記往復摩擦前後の白綿布の濃度を測定して、前記往復摩擦後の濃度から前記往復摩擦前の濃度を差し引いた値を算出して、下記評価基準に基づいて、「硬化性」を評価した。
−評価基準−
◎:0.001以下
○:0.001超0.005以下
△:0.005超0.009以下
×:0.009超
<密着性>
−内部硬化性の評価−
得られた活性エネルギー線硬化型組成物を用いて、前記着色性の評価と同様にして、平均厚みが10μmである10cm×10cmの像(硬化物)を得た。得られた像(硬化物)のベタ部をJIS K5400に準じて1mm間隔で100マスの基盤目状にカッターナイフで切り込み、セロハン粘着テープ(商品名:スコッチメンディングテープ(18mm)、3M社製)で引き剥がし、ルーペ(商品名:PEAK No.1961(×10)、東海産業株式会社製)で見ながら剥がれなかったマスを数えて、下記評価基準に基づいて、「密着性」を評価した。
−評価基準−
◎:剥がれなかったマスが、100マス中100マス
○:剥がれなかったマスが、100マス中80マス以上99マス以下
△:剥がれなかったマスが、100マス中40マス以上79マス以下
×:剥がれなかったマスが、100マス中39マス以下
前記表4、及び前記表5の結果から、実施例1〜10は、粘度変化率が小さく、吐出性、及び分散性が良好であり、硬化性、及び着色性に優れていることが分かる。
一方、比較例1〜4は、粘度変化率が大きく、分散安定性が低いことが分かる。また、比較例1及び2は、実施例と同一の顔料を用いているにもかかわらず、分散処方の差異により、分散安定性、硬化性、密着性、及び着色性が低下していることが分かる。このように分散処方、及び分散条件の最適化により、本発明を満足することができる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> シアン顔料、及び重合性化合物を含有し、
波長385nmにおける吸光度と、波長620nmにおける吸光度との比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.65以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物である。
<2> 前記比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.57以下である前記<1>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<3> 50%累積体積粒径が、100nm以上160nm以下であり、
下記式(1)から求められる粒径分布の分布幅が、60nm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
粒径分布の分布幅=(84%累積体積粒径−16%累積体積粒径)/2 ・・・ 式(1)
<4> 前記活性エネルギー線硬化型組成物を用いて、基材上に、照度が1W/cmであり、かつ照射量が500mJ/cmの活性エネルギー線を照射して硬化させた、平均厚みが10μmの硬化物の着色濃度が、2.00以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<5> 前記シアン顔料が、C.I.ピグメントブルー15:4である前記<1>から<4>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<6> 保存前の25℃粘度をVとし、70℃において14日間保存後の25℃粘度をVとしたときの下記式(2)により求められる粘度変化率が、15%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
粘度変化率(%)=|V−V|/V×100 ・・・ 式(2)
<7> アミノ基を有する分散剤ポリマーを含有し、
前記アミノ基を有する分散剤ポリマーのアミン価が、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<8> 前記粘度変化率が、10%以下である前記<6>から<7>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<9> 前記粘度変化率が、5%以下である前記<6>から<8>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物からなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクである。
<11> インクジェット用である前記<10>に記載の活性エネルギー線硬化型インクである。
<12> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を容器中に収容してなることを特徴とする組成物収容容器である。
<13> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を収容してなる収容部と、
前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を備えることを特徴とする2次元又は3次元の像の形成装置である。
<14> 前記活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット記録方式により吐出させる吐出手段をさらに備える前記<11>に記載の2次元又は3次元の像の形成装置である。
<15> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程を含むことを特徴とする2次元又は3次元の像の形成方法である。
<16> 前記活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット記録方式により吐出させる吐出工程をさらに含む前記<15>に記載の2次元又は3次元の像の形成方法である。
<17> 前記活性エネルギー線が、発光ダイオード光である前記<15>から<16>のいずれかに記載の2次元又は3次元の像の形成方法である。
<18> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物に、活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする2次元又は3次元の像である。
<19> 基材と、前記基材上に前記<18>に記載の2次元又は3次元の像と、を有することを特徴とする構造体である。
<20> 前記<18>に記載の2次元又は3次元の像、及び前記<19>に記載の構造体のいずれかを延伸加工してなることを特徴とする成形加工品である。
前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<10>から<11>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インク、前記<12>に記載の組成物収容容器、前記<13>から<14>のいずれかに記載の2次元又は3次元の像の形成装置、前記<15>から<17>のいずれかに記載の2次元又は3次元の像の形成方法、前記<18>に記載の2次元又は3次元の像、前記<19>に記載の構造体、及び前記<20>に記載の成形加工品は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2009−57546号公報
39 像の形成装置

Claims (10)

  1. シアン顔料、及び重合性化合物を含有し、
    波長385nmにおける吸光度と、波長620nmにおける吸光度との比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.65以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
  2. 前記比率(波長385nmにおける吸光度/波長620nmにおける吸光度)が、0.57以下である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  3. 50%累積体積粒径が、100nm以上160nm以下であり、
    下記式(1)から求められる粒径分布の分布幅が、60nm以下である請求項1から2のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
    粒径分布の分布幅=(84%累積体積粒径−16%累積体積粒径)/2 ・・・ 式(1)
  4. 前記活性エネルギー線硬化型組成物を用いて、基材上に、照度が1W/cmであり、かつ照射量が500mJ/cmの活性エネルギー線を照射して硬化させた、平均厚みが10μmの硬化物の着色濃度が、2.00以上である請求項1から3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  5. 前記シアン顔料が、C.I.ピグメントブルー15:4である請求項1から4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  6. 保存前の25℃粘度をVとし、70℃において14日間保存後の25℃粘度をVとしたときの下記式(2)により求められる粘度変化率が、15%以下である請求項1から5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
    粘度変化率(%)=|V−V|/V×100 ・・・ 式(2)
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物からなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を容器中に収容してなることを特徴とする組成物収容容器。
  9. 請求項1から6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を収容してなる収容部と、
    前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を備えることを特徴とする2次元又は3次元の像の形成装置。
  10. 請求項1から6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程を含むことを特徴とする2次元又は3次元の像の形成方法。
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