JP6686455B2 - 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元又は3次元の像の形成方法及び形成装置、硬化物、構造体並びに成形加工品 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元又は3次元の像の形成方法及び形成装置、硬化物、構造体並びに成形加工品 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元又は3次元の像の形成方法及び形成装置、硬化物、構造体並びに成形加工品に関する。
従来より、活性エネルギー線硬化型組成物は、オフセット、シルクスクリーン、トップコート剤などに供給、使用されており、乾燥工程の簡略化によるコストダウンや、環境対応として溶剤の揮発量低減などのメリットから近年使用量が増加している。また、活性エネルギー線硬化型組成物としては水系と溶剤系が多く使用されており各々の特徴に応じて用途が使い分けられているが、工業用としては受容基材(インクが塗布される部材)に制限があること、耐水性が比較的悪い点、インクの乾燥エネルギーが大きいこと、また、乾燥によるヘッドへのインク成分付着などの問題点を有し、比較的揮発性の低い活性エネルギー線硬化型組成物への置き換えを期待されている。
活性エネルギー線硬化型組成物またはインクに(メタ)アクリル酸エステルを使用する技術は広く知られており(特許文献1など)、また活性エネルギー線硬化型組成物またはインクにポリマー成分を配合することにより、塗膜に様々な機能を付与できることについても公知である(特許文献2など)。
ポリマー成分を配合することの利点の一つに、プラスチック材料などの基材に対しても十分な塗膜の密着性を確保できる点がある。一般的に上記のような基材は、液が浸透しにくく比較的平滑で塗膜の密着性を確保しにくい。しかし、活性エネルギー線硬化型組成物にポリマー成分を配合する場合には、ポリマー成分配合に伴う粘度増加が著しいため、ベースとなる組成物の成分、すなわちモノマー成分として十分に低粘度なものを使用し、組成物を吐出可能な範囲に低粘度化する必要がある。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの難接着性基材においてはコロナ処理などの表面処理が行われることが一般的だが、装置や作業現場の制約条件等からこのような処理が難しい場合もあり、表面処理を行っていないPETなどの難接着性基材への密着性を確保することも望まれる。
本発明の目的は、十分に低粘度であり吐出性に優れ、難接着性基材に対する密着性、耐水性に優れ、硬化物に高い硬度を付与し得る、活性エネルギー線硬化型組成物を提供することにある。
上記課題は、モノマー成分および樹脂を含有し、かつ下記式で定義されるOH基量の合計が0.0067〜0.0284であり、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレートおよびn−ヘキシルメタクリレートからなる群から選択された少なくとも1種をさらに含み、前記樹脂が、OH基を含むポリエステル系樹脂を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物によって解決される。
OH基量の合計=(A×(a/100))+(B×(b/100))
(式中、Aは、前記モノマー成分に含まれるOH基の量(mol/100g)、Bは前記樹脂に含まれるOH基の量(mol/100g)、aは前記活性エネルギー線硬化型組
本発明によれば、十分に低粘度であり吐出性に優れ、難接着性基材に対する密着性、耐水性に優れ、硬化物に高い硬度を付与し得る、活性エネルギー線硬化型組成物が提供される。
本発明における像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明における別の像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上記のように、モノマー成分および樹脂を含有し、かつOH基量の合計が0.0067〜0.0284であることを特徴とし、好ましくは、前記モノマー成分がOH基を含む(メタ)アクリレートであり、前記樹脂がOH基を含む樹脂である。なお本発明で言う(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
本発明で使用されるOH基を含む(メタ)アクリレートは、組成物を低粘度化し、難接着性基材に対する密着性を発現する成分である。
OH基を含む(メタ)アクリレートとしては、とくに制限されないが、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどの2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の3価のアルコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の4価以上のアルコールの多官能(メタ)アクリレートでOH基を含むものなどが挙げられる。
本発明で使用されるOH基を含む(メタ)アクリレートは、2官能以上、すなわち分子内に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するものであれば、硬化物の硬度をさらに上げることができる。
本発明で使用されるOH基を含む樹脂は、難接着性基材に対する密着性および硬化物の硬度を高める成分である。
OH基を含む樹脂としてはとくに制限されないが、例えばポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等の中からOH基を含む公知の樹脂が挙げられる。なお、OH基を含む樹脂は市販されているものを利用でき、例えば東洋紡(株)製のバイロンシリーズ、ユニチカ(株)製のエリーテルシリーズ等が挙げられる。
なお本発明で使用されるOH基を含む樹脂は、前記のOH基を含む(メタ)アクリレートや後述するその他のモノマー成分に対して良好な溶解性を有しているのが好ましい。
例えば、ポリエステル系樹脂としては、主鎖にポリエステル部位を有する(メタ)アクリル変性ポリエステル樹脂、側鎖にポリエステル部位を有する変性ポリエステル樹脂、主鎖にポリエステル部位を有するスチレン変性ポリエステル樹脂、側鎖にポリエステル部位を有するスチレン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルモノマーとマレイン酸エステル、フマール酸エステルなどの不飽和ジカルボン酸との共重合体、ビスフェノールAの両端ジオールの水素原子が(メタ)アクリロイル基で置換された(メタ)アクリルモノマーと不飽和ジカルボン酸との共重合体、側鎖にオキソカルボン酸の縮合部位からなるポリエステル部位を有する変性(メタ)アクリルモノマーを配合して重合された変性ポリエステル樹脂(又はポリエステル変性アクリル樹脂)等が挙げられる。
本発明で使用されるOH基を含む樹脂が前記モノマー成分に対して良好な溶解性を有するには、樹脂の分子量、コンホメーション、コンフィギュレーション等に起因するが、一般的には、樹脂中でのポリエステル部位の質量割合が50%以下が好ましく、30%以下がさらに好ましい。また、本発明で使用されるOH基を含む樹脂は、前記溶解性の観点から、鎖状であることが望ましいが、一方で架橋構造を持つもの、剛直であるもの、高い結晶性を有するものは好ましくない。なお、該樹脂が鎖状であっても分子量が過度に大きいものは、インクに溶解させることにおいて作業性を著しく損なうため好ましくなく、本発明ではOH基を含む樹脂の重量平均分子量は10,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜50,000であることがさらに好ましい。
本発明で言う重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定された値を意味する。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%の重合体を1mL注入し、上記の条件で測定した樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して樹脂の重量平均分子量Mwを算出する。
また本発明で使用されるOH基を含む樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。該樹脂がこのようなTgを有することにより、硬化物の硬度をさらに高めることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、OH基量の合計が0.0067〜0.0284である。
モノマー成分、例えばOH基を含む(メタ)アクリレートに含まれるOH基の量は、分子構造から算出することができる。
一方、樹脂、例えばOH基を含む樹脂は、構造を把握しても一般的に分子量分布を有するため、正確なOH基の量の算出が困難である。したがって、本発明では該樹脂の水酸基価を測定することにより、樹脂に含まれるOH基の量を算出することができる。すなわち、該樹脂の水酸基価(mgKOH/g)を測定し、水酸基価の数値をKOHの分子量で除することにより1gあたりの該樹脂に含まれるOH基の量(mmol/g)が算出され、この値を基にOH基を含む樹脂に含まれるOH基の量(mol/100g)を算出することができる。なお水酸基価は、JIS K1557−1、第1部、水酸基価の求め方にしたがって測定される。
OH基量の合計とは、モノマー成分に含まれるOH基の量および樹脂に含まれるOH基の量を、活性エネルギー線硬化型組成物におけるそれぞれの配合割合に基づいて合計した値である。例えば、モノマー成分に含まれるOH基の量がA(mol/100g)であって組成物における配合割合がa質量%であり、樹脂に含まれるOH基の量がB(mol/100g)であって組成物における配合割合がb質量%である場合、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物におけるOH基量の合計は、(A×(a/100))+(B×(b/100))となる。
上記のように、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物におけるOH基量の合計は0.0067〜0.0284であり、この範囲を満たすことにより、十分に低粘度であり吐出性に優れ、難接着性基材に対する密着性、耐水性に優れ、硬化物に高い硬度を付与し得るという本発明の効果が奏されることになる。
なお本発明の活性エネルギー線硬化型組成物には、上記以外のその他のモノマー成分も利用することができる。
このようなモノマー成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、プロピレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物には、OH基を含む樹脂以外のその他の樹脂も利用することができる。
なお、一般的に活性エネルギー線硬化型組成物では、樹脂を配合してもなお室温で吐出できる程度に十分に低粘度であることが望まれている。低粘度化は希釈溶剤を配合することで容易に達成できるが、溶剤が揮発して大気に放出させることは環境影響を考慮すると望ましくない。また、水溶性モノマーを使用するなどした上で水を配合して低粘度化する方法もあるが、プラスチック材料などの基材においては浸透乾燥の効果を望めないため、印刷プロセスの高速化を図る場合には乾燥のために水を揮発させる必要があり、通常は熱源などの設置が必要になり、このことは省エネルギーの観点で好ましくない。
一方、従来の活性エネルギー線硬化型組成物やインクにおいて使用されているモノマーの多くは毒性を有し、特に安価で容易に調達可能な(メタ)アクリル酸エステルにおいて十分に低粘度であるものは、皮膚に触れるとアレルギーを引き起こす等、皮膚感さ性に問題がある。現状ではそのようなインクであっても保護具を着用するなどして運用している場合も見られるが、インクは、皮膚感さ性が陰性であることが望まれている。しかし、これは困難な問題であり、従来技術ではこの問題の解決手段は示されていない。
皮膚感さ性が陰性であるモノマーとは、次の(1)〜(3)の少なくとも一つに該当する化合物を言う。以下の例のように皮膚感さ性に問題がないことは、いずれもSI値が3未満であることと同一である。
(1)LLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感さ性試験において、感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満である化合物
(2)MSDS(化学物質安全性データシート)において、「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価された化合物
(3)文献〔例えば、Contact Dermatitis 8 223−235(1982)〕において「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価された化合物
(1)については、例えば「機能材料」2005年9月号、Vol.25、No.9、P55にも示されるように、SI値が3未満の場合に皮膚感さ性が陰性であると判断される。SI値が低いほど皮膚感さ性が低いことになるから、本発明ではSI値がなるべく低いモノマーを用いることが好ましく、3未満、好ましくは2以下、更に好ましくは1.6以下のものを用いる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物では、皮膚感さ性が陰性であり、かつ組成物を十分に低粘度化できるその他のモノマー成分として、単官能(メタ)アクリレートを使用するのが好ましく、中でもt−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートの少なくとも1種以上を使用するのが好ましい。t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートは、単体での粘度が25℃で1〜2mPa・s程度と低く、組成物を皮膚感さ性に問題なく低粘度化でき、良好なインクジェット吐出性を付与することができる。
<活性エネルギー線>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
<重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5〜20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
<色材>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。 分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機溶媒>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
<活性エネルギー線硬化型組成物の調整>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調整手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調整することができる。
<粘度>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3〜40mPa・sが好ましく、5〜15mPa・sがより好ましく、6〜12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34'×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
<用途>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
なお、上質紙などの吸収性の基材においては浸透乾燥の効果が望めるため、速乾性のない水性インクや油性インクの使用も実用的であるのに対して、マットコート紙、グロスコート紙、プラスチックフィルム、プラスチック成型物、セラミック、ガラス、金属など非浸透性の基材においては速乾性を得られるインクを使用することがより実用的であり、光照射により直ちに硬化することから、本発明における活性エネルギー線硬化型組成物またはインクを使用することが望ましい。本発明は前述のような非浸透性の基材に対して特に好適なものであって、中でもPETやポリプロピレンに適する。PETやポリプロピレン基材においては表面を活性化して密着性を向上させる目的などでコロナ処理が行われるケースもあるが、そのような電気火花が発生する処理が困難な場所では、本発明における活性エネルギー線硬化型組成物またはインクを使用することにより、そのような処理なくとも十分な密着性を得ることができる。
<組成物収容容器>
本発明の組成物収容容器は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
<像の形成方法、形成装置>
本発明の像の形成方法は、少なくとも、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
下記の材料を、表3〜5に示す配合割合(数値は質量部)で混合して活性エネルギー線硬化型組成物を得た。
(A)OH基を含む(メタ)アクリレート
(A1)ジエチレングリコールジメタクリレート(OH基の量=0mol/100g)
(A2)トリメチロールプロパントリメタクリレート(OH基の量=0mol/100g)
(A3)グリセロールジメタクリレート(OH基の量=0.4386mol/100g)
(A4)グリセロールモノアクリレートモノメタクリレート(OH基の量=0.4673mol/100g)
(B)OH基を含む樹脂
(B1)ポリエステル系樹脂(東洋紡(株)製バイロンGK810、水酸基価19mgKOH/g)(OH基の量=0.0339mol/100g)
(B2)ポリエステル系樹脂(東洋紡(株)製バイロン802、水酸基価37mgKOH/g)(OH基の量=0.0660mol/100g)
(B3)ポリエステル系樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3320、水酸基価60mgKOH/g)(OH基の量=0.1070mol/100g)
(C)重合開始剤
(C1)BASF製イルガキュア907
(C2)BASF製イルガキュア379
(D)その他のモノマー成分
(D1)t−ブチルメタクリレート
(D2)n−ペンチルメタクリレート
(D3)n−ヘキシルメタクリレート
(E)色材
(E1)カーボンブラック(三菱化学製「10B」とルーブリゾール社製「Solsperse32000」を3:1の質量比でモノマー成分に分散させて配合した。)
基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)基材を用い、該基材上に得られた各活性エネルギー線硬化型組成物を塗布し、UV硬化を行い、硬化物を形成し、試験片を作成した。
UV硬化はフュージョン社製UV照射機LightHammmer6(Dバルブ)にて0.2W/cm、3J/cmの条件にて実施した。得られた硬化物は、全ての実施例および比較例において、指触でべたつき無く硬化していた。
なお、上記(A)および(D)成分のSI値は、以下の方法により評価されたものである。
<SI値の評価方法>
上記SI値はLLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感さ性試験に従い、以下のようにして測定した。
[試験材料]
《陽性対照物質》
陽性対照物質としては、α−ヘキシルシンナムアルデヒド(HCA;和光純薬工業社製)を使用した。
《媒体》
媒体としては、アセトン(和光純薬工業社製)とオリーブ油(フヂミ製薬所製)を、体積比4:1で混合した混合液を使用した。
《使用動物》
被検物質、陽性対照、媒体対照のそれぞれについて、マウスの雌に対し6日間の検疫を含む8日間の馴化を行った。検疫、馴化期間中、全ての動物に異常は認められなかった。感さ開始2日前に測定した体重を用いて、体重層別無作為抽出法で、個体の体重が全体の平均体重±20%以内となるように2群(4匹/群)に群分けした。感さ開始時の動物の週齢は8〜9週齢であった。群分けにより外れた動物は試験から除外した。
使用した動物は、試験期間を通して尾部への油性インク塗布により識別し、併せてケージはラベルをつけて識別した。
《飼育環境》
使用動物は、検疫、馴化期間中を含む全飼育期間を通して、温度21〜25℃、相対湿度40〜70%、換気回数10〜15回/時間、明暗サイクル12時間感覚(7時点灯〜19時消灯)に設定したバリアーシステムの飼育室で飼育した。
飼育ケージはポリカーボネイト製ケージを使用した。使用動物は4匹/ケージで飼育した。
飼料は、実験動物用固形飼料MF(オリエンタル酵母工業社製)を使用し、使用動物に自由摂取させた。飲料水は、塩素濃度が略5ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス、オーヤラックス社製)を添加した水道水を、給水びんにより、使用動物に自由摂取させた。床敷はサンフレーク(モミ材、電気かんな削りくず、日本チャールス・リバー社製)を使用した。飼料及び飼育用器材は、オートクレープ滅菌(121℃、30分間)したものをそれぞれ使用した。
ケージ及び床敷は、群分け時及び耳介リンパ節摂取日(飼育室からの搬出時)に交換し、給水びん及びラックは、群分け時に交換した。
[試験方法]
《群構成》
SI値の測定試験で使用した群構成を、表1に示す。
[調製]
《被験物質》
表2に被験物質の秤量条件を示す。被験物質をメスフラスコに秤量し、媒体を加えながら1mLに定容した。調製液は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
《陽性対照物質》
略0.25gのHCAを正確に秤量し、媒体を加えながら1mLとして25.0w/v%液を調製した。調製物は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
《BrdU》
5−ブロモ−2′−デオキシウリジン(BrdU、ナカライテスク社製)200mgをメスフラスコに正確に秤量し、生理食塩液(大塚製薬工業社製)を加えて超音波照射し、溶解させた。その後、20mLに定容して10mg/mL液(BrdU調製液)を調製した。調製液は、滅菌濾過フィルターを用いて濾過滅菌し、滅菌容器に入れた。
《調製時期及び保管期間》
陽性対照物質調製液は感さ開始前日に調製し、使用時以外は冷所で保管した。媒体及び被験物質調製液は各感さ日に調製した。BrdU液は、投与の2日前に調製し、投与日まで冷所に保管した。
[感さ及びBrdU投与]
《感さ》
各被験物質及び陽性対照物質の調製液及び媒体を動物の両耳介にそれぞれ25μLずつ塗布した。塗布には、マイクロピペッターを用いた。この操作を1日1回、3日連続して行った。
《BrdUの投与》
最終感さの略48時間後に1回、BrdU調製液を動物1匹あたり0.5mL、腹腔内投与した。
[観察及び検査]
《一般状態》
試験に使用した全動物について、感さ開始日から耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)まで、1日1回以上観察した。なお、観察日の起算法は、感さ開始日をDay1とした。
《体重測定》
感さ開始日及び耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)に体重を測定した。また、群ごとの体重の平均値及び標準誤差を算出した。
《耳介リンパ節の採取及び重量測定》
BrdU投与の略24時間後に動物を安楽死させ、耳介リンパ節を採取した。周囲組織を取り除き、両側耳介リンパ節を一括して重量測定した。また、群ごとの耳介リンパ節重量の平均値及び標準誤差を算出した。重量測定後、個体毎に−20℃に設定されたバイオメディカルフリーザーで凍結保存した。
《BrdU取り込み量の測定》
耳介リンパ節を室温に戻した後、生理食塩液を加えながらすり潰し、懸濁させた。この懸濁液を濾過した後、個体ごとに3wellずつ、96wellマイクロプレートに分注し、ELISA法によりBrdU取り込み量の測定を行った。試薬は、市販のキット(Cell Proliferation ELISA、BrdU colorimetric、Cat.No.1647229、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を使用し、マルチプレートリーダー(FLUOstar OPTIMA、BMG LABTECH社製)より得られた各個体の吸光度(OD370nm‐OD492nm、BrdU取り込み量)について、3wellの平均値を各個体のBrdU測定値とした。
[結果の評価]
《Stimulation Index(SI)の算出》
下記式で示すように、各個体のBrdU測定値を、媒体対照群のBrdU測定値の平均値で徐して、各個体のSI値を算出した。各試験群のSI値は、各個体のSIの平均値とした。なお、SI値は、小数点以下第2位を四捨五入して小数点第1位まで表示した。
また上記(B)成分のガラス転移温度(Tg)は、以下の方法により測定されたものである。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
(A)成分のモノマーのガラス転移温度(Tg)はモノマーのホモポリマーの硬化物のガラス転移温度を指し、ここで、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)法によって、以下のようにして測定した。
硬化物の作製:安田精機製作所製No.6のバーコーターを用いて、基材上に塗工した。
硬化物の図柄:全面にベタ印字、厚みは約10μmであった。
基材:ポリカーボネートフィルム(PC)(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ユーピロン100FE2000マスキング、厚み100μm)
硬化:フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により、前記基材上に前記試験機によりインクジェット吐出して作製したベタ状の硬化物に対して、UV−A領域(波長350nm〜400nm)に相当する波長域において、段階的に照射する積算光量を変え、指触による官能評価にて手指に付着物のない状態となったことで硬化と判断し、硬化した状態で、ガラス転移温度の測定を行った。各ポリマーの硬化に必要な積算光量は、700mJ/cm〜6,000mJ/cm程度であった。
DSC装置としては、Seiko Instruments DSC120Uを用い、測定温度は30℃〜300℃、昇温速度は1分間に2.5℃とした。
また、上記で得られた試験片について、下記試験を行った。
<初期密着性試験>
〔密着性の評価基準〕
基材との密着性であり、JIS K5400 碁盤目試験(旧規格)に準じて測定した。密着性が100/100とは、以下の密着性試験において、100個の碁盤目部分のうち、剥がれが一箇所もない状態、密着性が70/100とは剥がれていない部分が70箇所の状態である。
<<装置>>
・切込み工具:エヌティー株式会社製カッターナイフA−300
・ガイド及び等間隔スペーサー:コーテック株式会社製、碁盤目試験ガイド、CCJ−1(切込み間隔1mm)
・軟らかいはけ
・透明感圧付着テープ(以下、「テープ」と呼ぶ。):ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18
・ルーペ:東海産業株式会社製、Peakポケットマイクロスコープ25倍
<<手順>>
平らな表面上に試験板を置き、前記切込み工具と等間隔スペーサーを用いて1mm間隔でカットした。各方向での切込み数は11個とする。すべての切込みは、基材の表面まで貫通していなければならない。
格子パターンが形成できるように、2回目の切込みは、90°で最初の切込みに重ね、11個の平行な切込みを行い、碁盤目部分が100個形成されるようにした。
試験板を軟らかいはけで格子パターンの双方の対角線に沿って、前後に数回ブラッシングした。
一定の速度でテープを取り出して、約75mmの長さの小片にカットした。テープの中心を、各カットの一組に平行な方向で格子の上に置き、格子の部分にかかった箇所と最低50mmを超える長さで、指でテープを平らになるようにした。塗膜に正しく接触させるために、指先でしっかりとテープをこすった。テープを通して見られる塗膜の色は、接触全体がきちんとしているかどうかを示す有効な目安である。テープを付着させてから1〜2分間後に、テープを引き剥がした。塗膜面に直角になるようテープの端をつかみ、瞬間的に引き剥がした。
<<結果の表し方>>
ルーペを用いて、試験板と剥がしたテープとを観察し、剥がれが生じていない部分の数を数えた。
<耐水性(耐水密着性)>
活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物を用い、各硬化物の耐水性を評価した。具体的には、各硬化物の塗膜(画像)を支持する基材と一緒に40℃の水に浸し、24時間放置した後、水が接していた領域に上記<密着性試験>を行った。
結果を表3〜5に併せて示す。
実施例の結果から、OH基を含む(メタ)アクリレートおよびOH基を含む樹脂を含有してなり、かつOH基量の合計が0.0067〜0.0284である活性エネルギー線硬化型組成物は、難接着性基材に対する密着性、耐水性に優れることが分かる。また、活性エネルギー線硬化型組成物は、十分に低粘度であり吐出性に優れ、硬化物に高い硬度を付与し得るものである。
これに対し、OH基量の合計が前記範囲外である各比較例では耐水密着性に劣ることが判明した。
なお、基材としてアルミニウムのような金属基材、またガラスのような無機基材を使用した場合でも、上記実施例と同様の結果を得た。
1 貯留プール(収容部)
3 可動ステージ
4 活性エネルギー線
5 活性エネルギー線硬化型組成物
6 硬化層
21 供給ロール
22 被記録媒体
23a、23b、23c、23d 各色印刷ユニット
24a、24b、24c、24d 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
30 造形物用吐出ヘッドユニット
31、32 支持体用吐出ヘッドユニット
33、34 紫外線照射手段
35 立体造形物
36 支持体積層部
37 造形物支持基板
38 ステージ
39 像形成装置
特表2004−56820号公報 特公平7−10894号公報

Claims (14)

  1. モノマー成分および樹脂を含有し、かつ下記式で定義されるOH基量の合計が0.0067〜0.0284であり、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレートおよびn−ヘキシルメタクリレートからなる群から選択された少なくとも1種をさらに含み、
    前記樹脂が、OH基を含むポリエステル系樹脂を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
    OH基量の合計=(A×(a/100))+(B×(b/100))
    (式中、Aは、前記モノマー成分に含まれるOH基の量(mol/100g)、Bは前記樹脂に含まれるOH基の量(mol/100g)、aは前記活性エネルギー線硬化型組成物における前記モノマー成分の配合割合(質量%)、bは前記活性エネルギー線硬化型組成物における前記樹脂の配合割合(質量%)である)
  2. 前記モノマー成分が、OH基を含む(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  3. 前記OH基を含む(メタ)アクリレートが2官能以上の(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  4. 前記OH基を含むポリエステル系樹脂の重量平均分子量が10,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  5. 前記OH基を含むポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が30℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物からなる活性エネルギー線硬化型インク。
  7. 立体造形用であることを特徴とする請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インク。
  8. インクジェット用であることを特徴とする請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インク。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を容器中に収容してなる組成物収容容器。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を収容してなる収容部と、
    前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を少なくとも備える2次元又は3次元の像の形成装置。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程を含む2次元又は3次元の像の形成方法。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させてなる硬化物。
  13. 基材と、該基材上の請求項12に記載の硬化物と、を有する構造体。
  14. 請求項13に記載の構造体を加工してなる成形加工品。
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