JP2017003806A - エレクトロクロミック表示素子、表示装置、情報機器、エレクトロクロミック表示素子の製造方法、エレクトロクロミック調光レンズ - Google Patents
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Description
特許文献1は、複数の高分子微粒子層が積層された有機エレクトロクロミック層を有するエレクトロクロミック素子を開示している。
特許文献2は、異なる色を発色する複数のエレクトロクロミック組成物を積層又は混合して形成した表示層を有する多色表示素子を開示している。
特許文献3は、複数の表示電極に対応して複数のエレクトロクロミック層が設けられたエレクトロクロミック表示装置を開示している。
特許文献4は、エレクトロクロミック表示素子を用いた実用的な電子ペーパー実現のために、駆動素子としてTFT(thin film transistor)を用い、TFTが複数分離形成された画素電極(対向電極)上に、電荷保持層(高抵抗層)を連続層(ベタ膜)として形成することが開示されている。これにより、発色にじみ、画像ボケなどがない良好な表示品質で、かつ耐久性に優れたエレクトロクロミック表示装置を開示している。
以上のことから、透明性に優れ、表示品質のよいエレクトロクロミック表示素子が望まれていた。
本実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子について説明する。本実施形態では、以下、図1、図2を例に挙げて説明する。図1では複数の表示電極、エレクトロクロミック層を有数エレクトロクロミック表示素子が図示されているが、後述するように、これに限られるものではなく、表示電極、エレクトロクロミック層が1つであってもよい。また、図1では白色反射層が図示されているが、白色反射層を有していなくても本発明に含まれるものである。
図1に、本実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子20の構造の一例を示す。
エレクトロクロミック表示素子20は、表示基板21、第1の表示電極22、第1のエレクトロクロミック層23、第1の絶縁層24、第2の表示電極25、第2のエレクトロクロミック層26、第2の絶縁層27、第3の表示電極28、第3のエレクトロクロミック層29、電解質層30、白色反射層31、電荷保持層32、対向電極33、駆動素子層34、対向基板35、壁部材36を含む。
以下、各層について詳細を説明する。
表示基板21は、第1の表示電極22、第1のエレクトロクロミック層23、第1の絶縁層24、第2の表示電極25、第2のエレクトロクロミック層26、第2の絶縁層27、第3の表示電極28、第3のエレクトロクロミック層29等の積層構造を支持するための基板である。
第1の表示電極22は、該電極と対向電極33との間に生じる電圧により、第1のエレクトロクロミック層23を発色あるいは消色させる。第2の表示電極25は、該電極と対向電極33との間に生じる電圧により、第2のエレクトロクロミック層26を発色あるいは消色させる。第3の表示電極28は、該電極と対向電極33との間に生じる電圧により、第3のエレクトロクロミック層29を発色あるいは消色させる。各エレクトロクロミック層での発色は、対向電極33と各表示電極との間に生じるこれらの電圧の大きさによって定まるため、該電圧により、各エレクトロクロミック層の色の諧調は変化する。
次に、図2にエレクトロクロミック層を説明するための模式図を示し、以下説明する。
第1のエレクトロクロミック層23は、少なくとも酸化スズ23bを含んでおり、図2ではエレクトロクロミック化合物23aが酸化スズ23bに担持されている。エレクトロクロミック化合物23aは、第1の表示電極22と対向電極33との間に生じる電圧により、酸化還元反応を生じ、発色あるいは消色する(可逆反応)。エレクトロクロミック化合物23aの単分子の長さは、5nm以下であることが好ましい。
透明性は酸化スズ粒子23bの屈折率及び粒径に大きく依存する。屈折率は1に近いほど透明性の点では有利であり、酸化チタン:2.52(アナターゼ)、2.71(ルチル)に対し、酸化スズは2である。
エレクトロクロミック層に含まれる酸化スズが、酸化スズゾル溶液から形成されたものではない場合、例えばペーストを用いて形成されたものである場合、ヘイズ率の低下や反射率の低下が生じてしまう。
また、前記一般式(1)で表されるスズ錯体化合物としては、例えば、Tin(II)acetate、Tin(IV)acetate、Tin(II)2-ethylhexanoate、Tin(II)oxalate、Tin(II)trifluoromethanesulfonate、Tin(IV)isopropoxide、Tin(IV)tetra(t-butoxide)、Bis(2,4-pentadionato)tin(IV)dichloride、Tin(II)acethylacetonate、Tin(II)chloride、Tin(IV)chloride等が挙げられる。スズ錯体化合物を用いることにより、これらのスズ化合物が酸化スズへ分解することにより、酸化スズ粒子のネッキングを改良することができる。
なお、A〜Dは互いに結合している場合、2価の基となる。
また、エレクトロクロミック化合物23aと酸化スズ粒子23bとは混合されて単一層となっていてもよい。第2のエレクトロクロミック層26及び第3のエレクトロクロミック層29の場合も同様である。
なお、エレクトロクロミック表示素子20内の、各エレクトロクロミック層におけるエレクトロクロミック化合物に用いられる材料は、全て酸化発色材料であるか、あるいは、全て還元発色材料である、というように統一されることが好ましい。
第1の絶縁層24は、第1のエレクトロクロミック層23が設けられた第1の表示電極22と、第2のエレクトロクロミック層26が設けられた第2の表示電極25とが、電気的に絶縁されるように、これらを隔離する。
第2の絶縁層27は、第2のエレクトロクロミック層26が設けられた第2の表示電極25と、第3のエレクトロクロミック層29が設けられた第3の表示電極28とが、電気的に絶縁されるように、これらを隔離する。
絶縁層の材料としては、多孔質の絶縁体であればよく、特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く、成膜性に優れた材料であることが好ましい。少なくともZnSを含む材料であることが好ましい。ZnSは、スパッタリングによる高速成膜が可能であり、また、成膜時にエレクトロクロミック層に与えるダメージを低減することができるためである。例えば、ZnS−SiO2、ZnS−SiC、ZnS−Si、ZnS−Ge等を用いることが好ましい。
対向基板35は、駆動素子層34、対向電極33、電荷保持層32等の積層構造を支持するための基板である。
対向基板35の材料としては、透光性を有する材料であることが好ましい。例えば、ガラス、プラスチックフィルム等が挙げられる。
対向電極33は、各表示電極との間に生じる電圧に基づいて、第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、及び第3のエレクトロクロミック層29を発色あるいは消色させる。
対向電極33の材料としては、導電性を有する材料であれば、特に限定されない。例えば、透光性を有する導電性材料として、ITO、FTO、酸化亜鉛等が挙げられる。また、導電性金属材料として、亜鉛、白金等が挙げられる。また、カーボン等を用いても良い。
本実施形態では、必要に応じて駆動素子層34を設けることができる。駆動素子層34は、複数の駆動素子を含み、選択された画素に応じて、駆動素子を駆動する。なお、画素密度と、駆動素子の数は、比例する。
電荷保持層32は、各表示電極と対向電極33との間に印加される電圧によって生じる電荷の授受を緩和する。電荷保持層32を設けることで、各エレクトロクロミック層における発色及び消色の繰り返し耐久性を改善することができる。繰り返し耐久性を高めることで、エレクトロクロミック表示素子を用いた表示装置において高精細な表示が可能になる。
ポリマー材料として、特別な制約はないが、例えば、アクリル系、アルキド系、フッ素系、イソシアネート系、ウレタン系、アミノ系、エポキシ系、フェノール系等が挙げられる。
導電体微粒子として、例えば、ITO、FTO、ATO等が挙げられる。
半導体微粒子として、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、銀、亜鉛、ストロンチウム、鉄、ニッケル等の酸化物が挙げられる。
壁部材36は、各表示電極、各エレクトロクロミック層及び白色反射層31を取り囲む。壁部材36の材料としては、アクリレート系(ラジカル重合型)、エポキシ系(カチオン重合型)などの紫外線硬化樹脂材料、エポキシ系、フェノール系、メラミン系などの熱硬化樹脂材料を用いることができる。
白色反射層31は、エレクトロクロミック表示素子20において、白色の反射率を向上させるためのものである。白色反射層31は、酸化チタン粒子、及び酸化チタン粒子の内部及び表面に分散された金属水酸化物を含むことが好ましい。
酸化チタン粒子の粒径は、200nm〜3μmであることが好ましく、250nm〜2μmであることがより好ましい。
電解質層30は、対向基板35と、周りが壁部材36で囲まれた表示基板21との間に生じるスペースを充填する。電解質層30は、各エレクトロクロミック層が電解質層30中に含まれるように、該スペースを充填する。電解質層30は、第1の表示電極22、第2の表示電極25、又は第3の表示電極28と、対向電極33との間で電荷を移動させ、第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、及び第3のエレクトロクロミック層29の、発色あるいは消色を促す。
例えば、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2等が挙げられる。
更に、必要に応じて、保護層を第1のエレクトロクロミック層23及び第2のエレクトロクロミック層26の各々の表示基板21と反対側の面に接するように設けてもよい。保護層を設けることで、第1のエレクトロクロミック層23や第2のエレクトロクロミック層26に隣接する層(例えば、第1の絶縁層24、第2の絶縁層27等)との密着性、溶剤に対する耐溶解性、等を向上させ、エレクトロクロミック表示素子20の耐久性を向上させることができる。
また、無機保護層を、第3のエレクトロクロミック層29と電解質層30との間に設けても良い。無機保護層を設けることで、第3のエレクトロクロミック層29の電解質層30に対する耐溶解性、耐食性、等を向上させ、エレクトロクロミック表示素子20の耐久性を向上させることができる。
次に、エレクトロクロミック表示素子の多色表示について説明する。
図1に示すエレクトロクロミック表示素子20は、上述の構造を有することにより、容易に多色表示が可能である。
エレクトロクロミック表示素子20において、例えば、第1のエレクトロクロミック層23は、シアン色を発色し、第2のエレクトロクロミック層26は、マゼンタ色を発色し、第3のエレクトロクロミック層29は、イエロー色を発色する。
また、第2の表示電極25と第3の表示電極28とが、第2の絶縁層27を介して隔離して設けられているため、エレクトロクロミック表示素子20は、対向電極33と第2の表示電極25との間に生じる電圧と、対向電極33と第3の表示電極28との間に生じる電圧とを独立して制御することができる。
次に、本発明のエレクトロクロミック表示素子の製造方法について説明する。
本発明のエレクトロクロミック表示素子の製造方法は、表示基板上に表示電極を形成する工程と、前記表示電極上にエレクトロクロミック層を形成する工程と、対向基板上に対向電極を形成する工程と、前記対向電極上に電荷保持層を形成する工程と、前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有するものである。
そして、上記の実施形態で述べたように、エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されるものである。
本実施形態では、エレクトロクロミック層が複数の場合について、図4を用いてエレクトロクロミック表示素子20の製造方法の一例について説明する。
・ステップS11:表示電基板21上に第1の表示電極22を形成する第1の表示電極形成工程
・ステップS12:その上に第1のエレクトロクロミック層23を形成する第1のエレクトロクロミック層形成工程
・ステップS13:その上に第1の絶縁層24を形成する第1の絶縁層形成工程
・ステップS14:その上に第2の表示電極25を形成する第2の表示電極形成工程
・ステップS15:その上に第2のエレクトロクロミック層26を形成する第2のエレクトロクロミック層形成工程
・ステップS16:その上に第2の絶縁層27を形成する第2の絶縁層形成工程
・ステップS17:その上に第3の表示電極28を形成する第3の表示電極形成工程
・ステップS18:その上に第3のエレクトロクロミック層29を形成する第3のエレクトロクロミック層形成工程
・ステップS19:その上に白色反射層31を形成する白色反射層形成工程
・ステップS20:対向基板35上に駆動素子層34を形成する駆動素子層形成工程
・ステップS21:その上に対向電極33を形成する対向電極形成工程
・ステップS22:その上に電荷保持層32を形成する電荷保持層形成工程
・ステップS23:表示基板21と対向基板35とを貼合せる貼合せ工程
まず、図4のステップS11に示される第1の表示電極形成工程を行う。
表示基板21(例えば、縦40mm×横40mmのガラス基板)上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約100nm、表面抵抗が約200Ω/□のITO膜を成膜し、第1の表示電極22を形成する。
成膜法としては、スパッタ法に限定されず、イオンプレーティング法等、その他の真空成膜法を適用することができる。
次に、図4のステップS12に示される第1のエレクトロクロミック層形成工程を行う。
まず、担持粒子すなわち酸化スズ粒子(以下、本発明では単に「担持粒子」と呼ぶことがある)のゾル溶液を、第1の表示電極22上に、スピンコート法などにより塗布する。その後、第1の表示電極22と担持粒子、及び担持粒子同士が部分的に接合するように、120℃で15分間のアニール処理を行う。これにより担持粒子膜を形成する。
次に、図4のステップS13に示される第1の絶縁層形成工程を行う。
保護層上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約140nmのZnS−SiO2膜を成膜し、第1の絶縁層24を形成する。ZnSとSiO2の組成比は、8:2である。
成膜法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の真空成膜法を適用することができる。
次に、図4のステップS14に示される第2の表示電極形成工程を行う。
第1の絶縁層24上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約100nm、表面抵抗が約200Ω/□のITO膜を成膜し、第2の表示電極25を形成する。
次に、図4のステップS15に示される第2のエレクトロクロミック層形成工程を行う。
まず、担持粒子のゾル溶液を、第2の表示電極25上に、スピンコート法などにより塗布する。その後、第2の表示電極25と担持粒子、及び担持粒子同士が部分的に接合するように、120℃で15分間のアニール処理を行う。これにより担持粒子膜を形成する。
その後、担持粒子膜上に、エレクトロクロミック化合物4,4'-(1-phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-phosphonomethyl)benzyl)pyridinium)bromideを1wt%含むTFP溶液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間のアニール処理を行う。これより、担持粒子膜とエレクトロクロミック化合物からなる第2のエレクトロクロミック層26を形成する。
次に、図4のステップS16に示される第2の絶縁層形成工程を行う。
保護層上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約140nmのZnS−SiO2膜を成膜し、第2の絶縁層27を形成する。ZnSとSiO2の組成比は、8:2である。
成膜法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の真空成膜法を適用することができる。
次に、図4のステップS17に示される第3の表示電極形成工程を行う。
第2の絶縁層27上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約100nm、表面抵抗が約200Ω/□のITO膜を成膜し、第3の表示電極28を形成する。
次に、図4のステップS18に示される第3のエレクトロクロミック層形成工程を行う。
まず、担持粒子のゾル溶液を、第3の表示電極28上に、スピンコート法などにより塗布する。その後、第3の表示電極28と担持粒子、及び担持粒子同士が部分的に接合するように、120℃で15分間のアニール処理を行う。これにより担持粒子膜を形成する。
次に、図4のステップS19に示される白色反射層形成工程を行う。
まず、酸化チタン粒子及び水性ポリウレタン樹脂のTFP分散液を、第3のエレクトロクロミック層29上に、スピンコート法により塗布する。その後、120℃で10分間のアニール処理を行う。これにより内部及び表面に金属水酸化物が分散された酸化チタン粒子による白色反射層31を形成する。
次に、図4のステップS20に示される駆動素子層形成工程を行う。
対向基板35(例えば、縦40mm×横40mmのガラス基板)上に、画素密度が140ppi(Pixels per Inch)となるように、複数の駆動素子を有する駆動素子層34を、公知の工程により形成する。
次に、図4のステップS21に示される対向電極形成工程を行う。
対向基板35上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約100nmのITO膜を成膜する。その後、フォトリソグラフィにより、駆動素子層34が有する複数の駆動素子に対応させて、複数の対向電極33を形成する。
次に、図4のステップS22に示される電荷保持層形成工程を行う。
電荷保持層32は、ポリマー材料と微粒子材料とを混合して分散媒に分散させ、スピンコーティング法により、該混合材料を、駆動素子層34及び対向電極33上に塗布することで形成される。
塗布法としては、スピンコーティング法、ブレードコーティング法等、その他の印刷手法を適用することができる。
次に、図4のステップS23に示される貼合せ工程を行う。
電荷保持層32までを形成した対向基板35と、白色反射層31までを形成した表示基板21とを、対向電極と表示電極とが対面するように電解質を挟んで貼合せる。
具体的には、壁部材36に囲まれた表示基板21において、電解質の前駆体材料を、白色反射層31の上から、注入する。注入口を封止することによって、表示基板21と対向基板35とを貼合せる。その後、高圧水銀ランプにより、紫外光を、対向電極33側から、2分間照射する。紫外光照射により、該前駆体材料を光重合相分離させることができるため、両基板の間に電解質層30を形成することができる。なお、紫外光は、中心波長が365nm、強度が50mW/cm2のものを用いることができる。
次に、本発明に係るエレクトロクロミック表示素子におけるその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。
本実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子を図3に示す。
上述した図1に示すエレクトロクロミック表示素子20は、第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、第3のエレクトロクロミック層29の3つのエレクトロクロミック層を有しているが、本発明では特に限定されるものではない。フルカラー画像表示ではなく、モノクロ画像表示を目的とする場合には、例えば、図3に示すエレクトロクロミック表示素子20Aのように、1つのエレクトロクロミック層のみを有していてもよい。
(エレクトロクロミック表示素子を適用した情報機器)
本実施形態では、第1の実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子20を電子書籍リーダに適用した場合について説明する。本実施形態は、電子書籍リーダに限定されず、例えば、電子広告、モバイルパソコン、携帯端末等、表示装置を備えたあらゆる情報機器に適用することができる。
電子書籍リーダ100は、表示装置101、メインコントローラ102、ROM103、RAM104、フラッシュメモリ105、キャラクタジェネレータ106、インターフェース107を含む。また、表示装置101は、タッチパネル付きの表示パネル111、タッチパネルドライバ112、表示コントローラ113、VRAM114を含む。
なお、図5に示す矢印は、代表的な信号や情報の流れを表しており、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
なお、表示パネル111として、上記の第1の実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子20を備えているため、高い白反射率及び高コントラスト比を維持しつつ、高精細なフルカラー表示(多色表示)を実現することができる。実際、フルカラー画像の表示と消去とを交互に1000回繰り返した後であっても、画像の表示状態には特別な変化は見られなかった。
また、表示パネル111は、発色あるいは消色の切り替えを高速に行うことができる。実際、駆動開始から画像取得までに要する時間、及び取得した画像を消去するまでに要する時間を測定すると、500ms程度であった。
タッチパネルドライバ112は、表示パネル111上においてユーザがタッチした位置に対応する位置情報をメインコントローラ102に出力する。
例えば、ユーザによって電源がオンされると、メインコントローラ102は、初期メニュー画面データを、ROM103から読み出し、キャラクタジェネレータ106を参照して、該初期メニュー画面データをドットデータに変換し、該ドットデータを、VRAM114に転送する。これより、初期メニュー画面が、表示パネル111に表示される。この際、フラッシュメモリ105に格納されているコンテンツの一覧が、表示パネル111に表示される。表示パネル111上のメニューの1つが、ユーザによって選択され、その表示部分がタッチされると、メインコントローラ102は、タッチパネルドライバ112からの位置情報に基づいて、ユーザの選択内容を取得する。
RAM104は、作業用のメモリである。
フラッシュメモリ105は、コンテンツである書籍の電子データ等を格納する。
キャラクタジェネレータ106は、各種キャラクタデータに対応するドットデータを格納する。
インターフェース107は、外部機器との接続を制御する。インターフェース107は、メモリカード、パソコン、公衆回線を接続することが可能である。なお、パソコン及び公衆回線への接続は、有線、無線いずれも可能である。
(エレクトロクロミック調光レンズの構造)
本実施形態に係るエレクトロクロミック調光レンズは、レンズと、前記レンズ上に積層された薄膜調光機能部と、を有するものである。前記薄膜調光機能部は、前記レンズ上に積層された第1の電極層と、前記第1の電極層上に積層された第1の電気活性層と、前記第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層と、前記絶縁性多孔質層上に積層された多孔質である第2の電極層と、前記第2の電極層と接して前記第2の電極層の上側と下側のいずれか一方又は双方に形成された第2の電気活性層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填され、かつ、前記第1の電気活性層及び前記第2の電気活性層と接するように設けられた電解質層と、を有する。前記第1の電気活性層と前記第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層であり、他方が劣化防止層である。そして、前記エレクトロクロミック層は、前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成される。
本実施形態によれば透明性に優れた表示特性を有するエレクトロクロミック調光レンズを提供することができる。
絶縁性多孔質層133は、第1の電極層131と第2の電極層134とを絶縁するために設けられており、絶縁性多孔質層133は、絶縁性金属酸化物微粒子を含んでいる。第1の電極層131と第2の電極層134に挟まれた絶縁性多孔質層133には、電解質(図示せず)が充填されている。
なお、本実施形態では、第2の電極層134に貫通孔が形成されているため、第2の電極層134の外側(対向する2つの電極層の外側)に第2の電極層134に接して劣化防止層135を形成できる。これは、第2の電極層134に形成された貫通孔を通してイオンが第2の電極層の表裏を移動できるためである。その結果、第2の電極層134の下層に劣化防止層135を形成する必要がないため、第2の電極層134を形成する際のスパッタ等によって、劣化防止層135がダメージを受けることを回避できる。
なお、薄膜調光機能部130の厚みは、2μm〜200μmとすることが好ましい。薄膜調光機能部130の厚みを200μmより厚くすると、丸型レンズの加工時に亀裂、剥離が生じる場合や、レンズの光学特性等に影響が出る場合があり、好ましくない。また、薄膜調光機能部130の厚みを2μmより薄くすると、充分な調光機能が得られない場合があるため、好ましくない。
例えば、第1の電極層131と第2の電極層134との間にプラス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光レンズ151が所定の色に発色する。また、第1の電極層131と第2の電極層134との間にマイナス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光レンズ151が消色し透明となる。
<レンズ>
レンズ120の材料としては、眼鏡用レンズとして機能するものであれば特に限定されるものではないが、透明性が高く、厚みが薄くて軽量なものが好ましい。また、熱履歴による膨張がなるべく小さい方が好ましく、ガラス転移点Tgが高い材料、線膨張係数が小さい材料が好ましい。
なお、本発明において、レンズとは、度数(屈折率)の調整がされていないもの(単なるガラス板等)も含むものとする。
第1の電極層131及び第2の電極層134の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、調光ガラスとして利用する場合は光の透過性を確保する必要があるため、透明かつ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、ガラスの透明性を得られると共に着色のコントラストをより高めることができる。
透明導電性材料としては、ITO、FTO、ATO等の無機材料を用いることができる。特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、In酸化物とする)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物とする)又は亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物とする)のいずれか1つを含む無機材料を用いることが好ましい。
エレクトロクロミック層132は、上記第1の実施形態で説明されるエレクトロクロミック層と同じ態様とすることができる。
絶縁性多孔質層133は、第1の電極層131と第2の電極層134とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。絶縁性多孔質層133の材料としては、多孔質であればよく、特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
劣化防止層135の役割は、エレクトロクロミック層132と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第1の電極層131や第2の電極層134が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することである。その結果として、エレクトロクロミック調光レンズ110の繰り返し安定性を向上することである。なお、逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
本実施形態では、電解質(図示せず)は、電解液として、劣化防止層135を介して、第2の電極層134に形成された微細な貫通孔から第1の電極層131と第2の電極層134との間に配置された絶縁性多孔質層133に充填される。つまり、電解質(図示せず)は、第1の電極層131と第2の電極層134との間に充填されてエレクトロクロミック層132と接し、かつ、第2の電極層134に形成された貫通孔を介して劣化防止層135と接するように設けられている。電解液としては、イオン液体等の液体電解質又は、固体電解質を溶媒に溶解した溶液を用いることができる。
アニオン成分としては大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物がよく、BF4 −、CF3SO3 −、PF4 −、(CF3SO2)2N−等が挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン性液体を用いることができる。
保護層136の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等である。同時に、レンズとしての機能を損なわないための透明性、表面の平滑性、屈折率、耐熱性、耐光性が求められる。厚みとしては1μm〜200μmの範囲が好ましい。材料としては、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂等を用いることが好ましい。保護層136の形成プロセスとしては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、キャスト法等の各種成膜法を用いることができる。
また、エレクトロクロミック調光レンズ110は、保護層136に加え、キズがつかないためのハードコート層や、反射を抑制するための反射防止層を必要に応じて備えていることが好ましい。
上述の第1の実施形態における(エレクトロクロミック表示素子の製造方法)の記載に従って、下記のように図1に示すエレクトロクロミック表示素子を作製した。このとき、作製過程でITOガラス基板に形成した担持粒子膜の透明性を測定し、完成した透過型素子としての透明性を測定した。また、反射型素子の場合は発色時の反射率を測定した。
過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)の炭酸プロピレン溶液を調製した。ここでのTBAP濃度は、2mol/lとした。これに、DIC社製のPNLC用の液晶組成物、モノマー組成物、及び重合開始剤の混合物(製品名:PNM−170)を混合した。この溶液におけるTBAP濃度が約0.04mol/lになるように調整し、電解質層の前駆体材料とした。そして、作製される電解質層の層厚を規定するために、粒径10μmの真球状樹脂ビーズを0.2wt%濃度で上記電解質の前駆体材料に分散させた。
表示基板21としてのガラス基板(40mm×40mm)の表面全面にスパッタ法により約100nmのITO膜を形成し、第1の表示電極22を作製した。この第1の表示電極22の表面抵抗は約200Ωであった。
この上に、酸化スズを有する塗布膜を形成した。塗布液は以下のように作製した。また、使用した酸化スズゾル溶液は透明な液であり、静置しても全く沈殿を生じないものである。
この上に、8:2の組成比を有するZnS−SiO2を、スパッタ法により140nmの膜厚になるように成膜し、第1の絶縁層24を形成した。
この上に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって、第2の表示電極25を形成した。この第2の表示電極25の表面抵抗は約200Ωであった。
この上に、前出の酸化スズを有する塗布膜を同様に形成した。
この上に、エレクトロクロミック化合物である、「4,4’-(1-Phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-phosphonomethyl)benzyl)pyridinium」broimideを1wt%含むTFP溶液をスピンコート法により塗布し、120℃・10分のアニール処理を行うことによって、第2のエレクトロクロミック層26を形成した。
この上に、ポリ−N−ビニルアミドの0.1wt%エタノール溶液、ポリビニルアルコールの0.5wt%水溶液をスピンコート法により塗布することによって保護層を形成した。
この上に、8:2の組成比を有するZnS−SiO2を、スパッタ法により140nmの膜厚になるように成膜することによって第2の絶縁層27を形成した。
この上に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって、第3の表示電極28を形成した。この第3の表示電極28の表面抵抗は約200Ωであった。
その上に、エレクトロクロミック化合物である[4,4’-(4,4’-(1,3,4-oxadiazole-2,5-diyl)bis(4,1-phenylene))bis(1-(8-phosphonooctyl)pyridinium)bromideを1wt%含むTFP溶液をスピンコート法により塗布し、120℃・10分のアニール処理を行うことによって、第3のエレクトロクロミック層29を形成した。
その上に、酸化チタン粒子(平均粒径:300nm)及び水性ポリウレタン樹脂のTFP分散液をスピンコートし、120℃・10分のアニール処理により白色反射層31を形成した。
そして、各表示電極、各エレクトロクロミック層及び白色反射層31を壁部材36で取り囲んだ。
なお、ここで作成された各表示電極、各エレクトロクロミック層、白色反射層31及び壁部材からなる構成体を、便宜上、「第1構成体」という。
対向基板35としてのガラス基板(40mm×40mm)上に、140ppiの密度で複数の駆動素子を有するTFT層34(駆動素子層)を形成した。
TFT層34の全面にスパッタ法により約100nmのITO膜を形成した後、フォトリソグラフィにより、複数の駆動素子に対応する複数の対向電極33を作製した。
その上に、水性ポリウレタン樹脂及びATOナノ粒子(三菱マテリアル社製)のTFP分散液(ATOとポリマーの混合比は重量比で45:55)をスピンコートし、120℃・15分のアニール処理により、電荷保持層32を形成した。ここでは、電荷保持層32の厚さは0.64μmであり、その表面抵抗は1.0E+06(Ω/□)であった。
なお、ここで作成された複数の対向電極33及び電荷保持層32からなる構成体を、便宜上、「第2構成体」という。
上記(2)で作製された第1構成体における白色反射層31の上から、上記(1)で調製された電解質の前駆体材料を塗布(注入)した。
その上に、工程(3)で作製された第2構成体における電荷保持層32を重ね合わせた。
高圧水銀ランプにより、中心波長が365nmの紫外線を、50mW/cm2の照射光強度で、複数の画素電極側から2分間照射し、前駆体材料を光重合相分離させ、電解質層30を形成した。
実施例1と同様にエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、担持粒子としては平均粒径21nmの酸化チタン粒子(日本アエロジル社製、P−25)からなるペーストを用いて、膜厚約1μmの担持粒子膜を形成した。このペーストの作製方法は以下の通りである。他の2つの担持粒子膜も同様に形成した。
比較例1と同様に酸化チタン粒子を用いてエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、白色反射層31を形成せずに表示素子を作製した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では6.01%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では6.22%であった。
そして、完成した透過型表示素子のヘイズを測定したところ、ヘイズ(ヘイズ(3))は10.7%となり、実施例1に比べて高いヘイズであった。
実施例1と同様にエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、担持粒子としては平均粒径30nmの酸化スズ粒子(シーアイ化成社製、ナノテック)からなるペーストを用いて、スピンコートにて膜厚約1μmの担持粒子膜を形成した。このペーストの作製方法を以下の通りである。また、他の2つの担持粒子膜も同様に形成した。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ6.2%となり、実施例1に記載して反射率が劣る結果であった。
実施例1と同様にエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、白色反射層31を形成せずに表示素子を作製した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.88%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では0.91%であった。
そして、完成した透過型表示素子のヘイズを測定したところ、2.1%であった。
比較例2との比較から、ゾル溶液から形成された酸化スズを用いたことにより、素子としての透明性が向上したことが確認された。
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.25g、Tetrakis(2,4-pentadionato)titanium(IV) (ca.63% in 2-Propanol):0.397g、テルピネオール:9.05gに変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ1.8%となり、良好な性能が得られた。
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) acetate:0.25g、Tetrakis(2,4-pentadionato)titanium(IV) (ca.63% in 2-Propanol):0.397g、テルピネオール:9.05gに変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ1.9%となり、良好な性能が得られた。
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Bis(2,4-pentadionato)tin(IV) dichloride:0.25g、Tetrakis(2,4-pentadionato)titanium(IV) (ca.63% in 2-Propanol):0.397g、テルピネオール:9.05gに変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ1.8%となり、良好な性能が得られた。
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Bis(2,4-pentadionato)tin(IV) dichloride:0.25g、Titanium(IV)tetraisopropoxide:0.25g、テルピネオール:9.05gに変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ2.0%となり、良好な性能が得られた。
酸化スズゾルより形成したペーストを塗布、乾燥後に処理したUV/オゾン(150℃・30分)を、マイクロ波(電子レンジ:東芝社製ER−BS10、1000W・2分)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、鮮やかなシアン色を表示した。650nmにおける反射率を測定したところ1.9%となり、良好な性能が得られた。
酸化スズゾルより形成したペーストを塗布、乾燥後に処理したUV/オゾン(150℃・30分)を、マイクロ波(電子レンジ:東芝社製ER−BS10、700W・10分)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、鮮やかなシアン色を表示した。650nmにおける反射率を測定したところ1.8%となり、良好な性能が得られた。
酸化スズゾルより形成したペーストを塗布、乾燥後に処理したUV/オゾン(150℃・30分)を、ホットプレート上での加熱処理(250℃・10分)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、鮮やかなシアン色を表示した。650nmにおける反射率を測定したところ2.1%となり、良好な性能が得られた。
実施例10では、図6に示すエレクトロクロミック調光レンズ110を作製する例を示す。
<第1の電極層、エレクトロクロミック層の形成>
まず、直径65nmのレンズを準備し、25mm×45mmの領域及び引き出し部分にメタルマスクを介してITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さに成膜して、第1の電極層131を形成した。
このITO膜上に、実施例1と同様にして酸化スズの塗布膜を約1μmの厚みで形成した。
次に、実施例1で作製したペーストを、ITOガラス基板上にスクリーン印刷機で膜厚1μmに塗布し、温風乾燥(120℃・5分)後、UV/オゾン処理(150℃・30分)を経て担持粒子膜を形成した。この状態で、すなわちITOガラス基板上に形成した担持粒子膜(酸化スズ)をヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH 7000)で測定したところ、ヘイズは0.76%であった。
続いて、エレクトロクロミック層132上に平均一次粒径20nmのSiO2微粒子分散液(シリカ固形分濃度24.8重量%、ポリビニルアルコール1.2重量%、水74重量%)をスピンコートし、絶縁性多孔質層133を形成した。形成した絶縁性多孔質層133の膜厚は約2μmであった。更に、平均一次粒450nmのSiO2微粒子分散液(シリカ固形分濃度1重量%、2−プロパノール99重量%)をスピンコートし、微細貫通孔形成用マスク(コロイダルマスク)を形成した。
続いて、第2の電極層134上に、劣化防止層135として、ATO粒子分散液をスピンコート法により塗布した。そして、120℃・15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmのATO粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
<電解質の充填>
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム、溶媒としてジメチルスルホキシド及びポリエチレングリコール(分子量:200)を12/54/60の比で混合した溶液を電解液とした。そして、劣化防止層135まで形成した素子を1分間浸漬し、その後120℃のホットプレート上で1分間乾燥させることで電解質を充填させた。
<保護層の形成>
更に、紫外線硬化接着剤(商品名:SD−17、DIC社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層136を約3μmの厚さに形成した。これにより、図6に示すエレクトロクロミック調光レンズ110を得た。
実施例1における酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.00g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、シクロヘキサノン:2.05gに変更し、スピンコートでITOガラス基板上にスピンコート(3000rpm・30秒)で膜厚1μmに塗布し、温風乾燥(120℃・5分)後、UV/オゾン処理(150℃・30分)を経て担持粒子膜を形成した以外は、実施例10と同様にして表示素子を作製し、評価した。
実施例10と同様にエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、担持粒子としては平均粒径30nmの酸化スズ粒子(シーアイ化成社製、ナノテック)からなるペーストを用いて、スピンコートにて膜厚約1μmの担持粒子膜を形成した。このペーストの作製方法を以下の通りである。また、他の2つの担持粒子膜も同様に形成した。
実施例3と同様にしてエレクトロクロミック調光レンズを作製した。ただし、担持粒子としては平均粒径30nmの酸化チタン粒子(石原産業社製、TTO−51N)を用いて、膜厚約1μmの担持粒子膜を形成し、この状態で、すなわちITO形成ガラス基板上に形成した担持粒子膜のヘイズを測定したところ、5.92%であった。このエレクトロクロミック調光レンズに1.0mC/cm2の電荷を投入して発色させたところ、550nmにおける透過率が28.9%となり、実施例10、11と比較して低い性能であった。マゼンタ色の発色も薄白い濁りを感じた。
21 表示基板
22、25、28 表示電極
23、26、29 エレクトロクロミック層
23a エレクトロクロミック化合物
23b 酸化スズ
30 電解質層
31 白色反射層
32 電荷保持層
33 対向電極
34 駆動素子層
35 対向基板
36 壁部材
100 情報機器(電子書籍リーダ)
101 表示装置
102 制御装置(メインコントローラ)
110、151 エレクトロクロミック調光レンズ
113 表示コントローラ
114 VRAM
120 レンズ
130 薄膜調光機能部
131 第1の電極層
132 エレクトロクロミック層
133 絶縁性多孔質層
134 第2の電極層
135 劣化防止層
136 保護層
150 エレクトロクロミック調光眼鏡
152 眼鏡フレーム
153 スイッチ
154 電源
Claims (8)
- 表示基板と、
表示電極と、
前記表示電極に接するように設けられたエレクトロクロミック層と、
前記表示基板に対向して設けられた対向基板と、
対向電極と、
前記対向電極に接するように設けられた電荷保持層と、
前記表示基板と前記対向基板との間に設けられた電解質層と、を有し、
前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、
前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。 - 前記エレクトロクロミック層に含まれる酸化スズが、少なくとも前記酸化スズゾル溶液と下記一般式(1)に示すスズ錯体化合物から形成されたことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示素子。
- 前記エレクトロクロミック層と前記電荷保持層との間に、白色反射層を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示素子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子と、
表示データを格納するVRAMと、
前記表示データに基づいて前記エレクトロクロミック表示素子を制御する表示コントローラと、を備えることを特徴とする表示装置。 - 請求項4に記載の表示装置と、
前記表示装置に表示する情報を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする情報機器。 - 表示基板上に表示電極を形成する工程と、
前記表示電極上にエレクトロクロミック層を形成する工程と、
対向基板上に対向電極を形成する工程と、
前記対向電極上に電荷保持層を形成する工程と、
前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有し、
前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、
前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子の製造方法。 - 表示基板上に表示電極を形成する工程と、
前記表示電極上にエレクトロクロミック層を形成する工程と、
前記エレクトロクロミック層上に白色反射層を形成する工程と、
対向基板上に、駆動素子層を形成する工程と、
前記駆動素子層上に、対向電極を形成する工程と、
前記対向電極上に電荷保持層を形成する工程と、
前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有し、
前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、
前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子の製造方法。 - レンズと、前記レンズ上に積層された薄膜調光機能部と、を有し、
前記薄膜調光機能部は、前記レンズ上に積層された第1の電極層と、
前記第1の電極層上に積層された第1の電気活性層と、
前記第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層と、
前記絶縁性多孔質層上に積層された多孔質である第2の電極層と、
前記第2の電極層と接して前記第2の電極層の上側と下側のいずれか一方又は双方に形成された第2の電気活性層と、
前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填され、かつ、前記第1の電気活性層及び前記第2の電気活性層と接するように設けられた電解質層と、を有し、
前記第1の電気活性層と前記第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層であり、他方が劣化防止層であり、
前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、
前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とするエレクトロクロミック調光レンズ。
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