JP2017003806A - エレクトロクロミック表示素子、表示装置、情報機器、エレクトロクロミック表示素子の製造方法、エレクトロクロミック調光レンズ - Google Patents

エレクトロクロミック表示素子、表示装置、情報機器、エレクトロクロミック表示素子の製造方法、エレクトロクロミック調光レンズ Download PDF

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Abstract

【課題】透明性に優れ、発色が鮮やかなエレクトロクロミック表示素子を提供する。【解決手段】表示基板21と、表示電極(22,25,28)と、前記表示電極に接するように設けられたエレクトロクロミック層(23,26,29)と、前記表示基板に対向して設けられた対向基板35と、対向電極33と、前記対向電極に接するように設けられた電荷保持層32と、前記表示基板と前記対向基板との間に設けられた電解質層30と、を有し、前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック表示素子、表示装置、情報機器、エレクトロクロミック表示素子の製造方法、エレクトロクロミック調光レンズに関する。
近年、紙に替わる情報媒体として、いわゆる電子ペーパーの開発が盛んに行われている。電子ペーパーに用いられる表示素子としては、反射型液晶を用いた表示素子、電気泳動を用いた表示素子、トナー泳動を用いた表示素子、エレクトロクロミック化合物を用いた表示素子(エレクトロクロミック表示素子)、等が挙げられる。
エレクトロクロミック表示素子は、メモリ効果があること、低電圧で駆動できること、等の理由から、次世代の表示素子の有力候補であり、現在、材料開発からデバイス設計に至るまで、エレクトロクロミック表示素子に対する幅広い研究開発が行われている。
エレクトロクロミズム(electrochromism)現象とは、エレクトロクロミック化合物に電圧を印加することにより、該化合物が酸化還元反応を生じ、発色あるいは消色する可逆的な現象である。エレクトロクロミック表示素子は、該化合物の構造を変化させ、エレクトロクロミズム現象を利用することで、様々な種類の色を発色できる。
このため、エレクトロクロミック表示素子は、多色表示が可能な表示素子としても期待されており、例えば、以下の特許文献1〜4が開示されている。
特許文献1は、複数の高分子微粒子層が積層された有機エレクトロクロミック層を有するエレクトロクロミック素子を開示している。
特許文献2は、異なる色を発色する複数のエレクトロクロミック組成物を積層又は混合して形成した表示層を有する多色表示素子を開示している。
特許文献3は、複数の表示電極に対応して複数のエレクトロクロミック層が設けられたエレクトロクロミック表示装置を開示している。
特許文献4は、エレクトロクロミック表示素子を用いた実用的な電子ペーパー実現のために、駆動素子としてTFT(thin film transistor)を用い、TFTが複数分離形成された画素電極(対向電極)上に、電荷保持層(高抵抗層)を連続層(ベタ膜)として形成することが開示されている。これにより、発色にじみ、画像ボケなどがない良好な表示品質で、かつ耐久性に優れたエレクトロクロミック表示装置を開示している。
また、エレクトロクロミック表示素子は上述の電子ペーパーの他に調光レンズ、調光窓、防眩ミラー等の調光素子への応用も検討されている。例えば特許文献5では、一枚のレンズ上に薄膜調光機能を積層形成した、薄型軽量化が可能で、低コストで生産性に優れたエレクトロクロミック調光レンズが提案されている。
ところで、調光レンズ等の透過型の調光素子においては、素子としての高い透明性が、高い表示品質を得るために不可欠で重要な要素となる。また、電子ペーパー等の反射型の表示素子においても、反射層を除く構成要素が高い透明性を有することが、素子として高い表示品質を得る上で重要となる。そしてこのエレクトロクロミック表示素子の透明性を左右する構成要素として、エレクトロクロミック化合物の担持粒子が挙げられる。
従来より、エレクトロクロミック表示素子において、エレクトロクロミック化合物の担持粒子としては酸化チタンが好適に用いられている。その理由としては、エレクトロクロミック化合物を吸着して担持しやすい化学構造、すなわち、水酸基(OH基)を有する構造であること、そして素子の電極とエレクトロクロミック化合物の間に介在しながら、エレクトロクロミック化合物の発消色に必要な電荷の授受を可能とする十分な導電性を有することが挙げられる。
しかしながら、エレクトロクロミック化合物の担持粒子として好適に用いられる酸化チタンであるが、担持粒子膜として十分な透明性を確保しにくいという問題を有している。光散乱を抑制して透明性を確保するために通常、小粒径(100nm以下)の粒子を用いて膜を形成するが、それでも酸化チタンの場合に良好な透明性を得にくいのは、屈折率が比較的大きいためである。
以上のことから、透明性に優れ、表示品質のよいエレクトロクロミック表示素子が望まれていた。
そこで、本発明は上記課題を鑑み、透明性に優れ、鮮やかな発色が得られるエレクトロクロミック表示素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のエレクトロクロミック表示素子は、表示基板と、表示電極と、前記表示電極に接するように設けられたエレクトロクロミック層と、前記表示基板に対向して設けられた対向基板と、対向電極と、前記対向電極に接するように設けられた電荷保持層と、前記表示基板と前記対向基板との間に設けられた電解質層と、を有し、前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、透明性に優れ、鮮やかな発色が得られるエレクトロクロミック表示素子を提供することができる。
本発明に係るエレクトロクロミック表示素子の構造の一例を示す模式図である。 図1におけるエレクトロクロミック層の構造を説明するための模式図である。 本発明に係るエレクトロクロミック表示素子の構造の他の例を示す模式図である。 本発明に係るエレクトロクロミック表示素子の製造方法の一例を説明する図である。 本発明に係る情報機器の一例の概略構成を示す図である。 本発明に係るエレクトロクロミック調光レンズの一例を示す模式図である。 本発明に係るエレクトロクロミック調光レンズを用いた眼鏡の構造の一例を示す模式図である。
以下、本発明に係るエレクトロクロミック表示素子、表示装置、情報機器、エレクトロクロミック表示素子の製造方法、エレクトロクロミック調光レンズについて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明のエレクトロクロミック表示素子は、表示基板と、表示電極と、前記表示電極に接するように設けられたエレクトロクロミック層と、前記表示基板に対向して設けられた対向基板と、対向電極と、前記対向電極に接するように設けられた電荷保持層と、前記表示基板と前記対向基板との間に設けられた電解質層と、を有し、前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とする。
本実施形態によれば、透明性に優れ、鮮やかな発色が得られるエレクトロクロミック表示素子を提供することができる。また、本実施形態では、透過型表示及び反射型表示とすることができ、透過型表示においては透明性に優れた表示特性が得られ、反射型表示においては明るくクリアな表示特性が得られるエレクトロクロミック表示素子を提供することができる。
[第1の実施形態]
本実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子について説明する。本実施形態では、以下、図1、図2を例に挙げて説明する。図1では複数の表示電極、エレクトロクロミック層を有数エレクトロクロミック表示素子が図示されているが、後述するように、これに限られるものではなく、表示電極、エレクトロクロミック層が1つであってもよい。また、図1では白色反射層が図示されているが、白色反射層を有していなくても本発明に含まれるものである。
(エレクトロクロミック表示素子の構造)
図1に、本実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子20の構造の一例を示す。
エレクトロクロミック表示素子20は、表示基板21、第1の表示電極22、第1のエレクトロクロミック層23、第1の絶縁層24、第2の表示電極25、第2のエレクトロクロミック層26、第2の絶縁層27、第3の表示電極28、第3のエレクトロクロミック層29、電解質層30、白色反射層31、電荷保持層32、対向電極33、駆動素子層34、対向基板35、壁部材36を含む。
図1に示すように、エレクトロクロミック表示素子20は、対向する2枚の基板の間に、白色反射層、複数のエレクトロクロミック層を有しており、基板間を、電解質層30で充填している。また、エレクトロクロミック層には酸化スズが含まれている。
表示基板21側の詳細な構造として、表示基板21に接して第1の表示電極22が設けられている。更に、第1の表示電極22に接して第1のエレクトロクロミック層23が設けられている。更に、第1のエレクトロクロミック層23と第2の表示電極25との間には、第1の絶縁層24が設けられている。更に、第2の表示電極25に接して第2のエレクトロクロミック層26が設けられている。更に、第2のエレクトロクロミック層26と第3の表示電極28との間には、第2の絶縁層27が設けられている。更に、第3の表示電極28に接して第3のエレクトロクロミック層29が設けられている。
一方、対向基板35側の詳細な構造として、対向基板35に接して駆動素子層34が設けられている。更に、駆動素子層34に接して対向電極33が設けられている。対向電極33は、駆動素子層34に含まれる各駆動素子に対応してそれぞれ設けられている。更に、対向電極33に接して電荷保持層32が設けられている。
なお、白色反射層31は、第3のエレクトロクロミック層29に接して形成されても良いし、電荷保持層32に接して形成されても良い。透過型表示素子とする場合には白色反射層を設けなければよい。本発明では白色反射層を有する場合を反射型表示素子と称し、有する場合を透過型表示素子と称する場合がある。
以下、各層について詳細を説明する。
<表示基板>
表示基板21は、第1の表示電極22、第1のエレクトロクロミック層23、第1の絶縁層24、第2の表示電極25、第2のエレクトロクロミック層26、第2の絶縁層27、第3の表示電極28、第3のエレクトロクロミック層29等の積層構造を支持するための基板である。
表示基板21の材料としては、透光性を有する材料であることが好ましい。例えば、ガラス、プラスチックフィルム等が挙げられる。
<表示電極>
第1の表示電極22は、該電極と対向電極33との間に生じる電圧により、第1のエレクトロクロミック層23を発色あるいは消色させる。第2の表示電極25は、該電極と対向電極33との間に生じる電圧により、第2のエレクトロクロミック層26を発色あるいは消色させる。第3の表示電極28は、該電極と対向電極33との間に生じる電圧により、第3のエレクトロクロミック層29を発色あるいは消色させる。各エレクトロクロミック層での発色は、対向電極33と各表示電極との間に生じるこれらの電圧の大きさによって定まるため、該電圧により、各エレクトロクロミック層の色の諧調は変化する。
第1の表示電極22、第2の表示電極25、及び第3の表示電極の材料としては、透光性を有する導電性材料であることが好ましい。例えば、スズがドープされた酸化インジウム(以下ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(以下FTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(以下ATO)等の無機材料が挙げられる。また、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnO等を用いることが特に好ましい。
<エレクトロクロミック層>
次に、図2にエレクトロクロミック層を説明するための模式図を示し、以下説明する。
第1のエレクトロクロミック層23は、少なくとも酸化スズ23bを含んでおり、図2ではエレクトロクロミック化合物23aが酸化スズ23bに担持されている。エレクトロクロミック化合物23aは、第1の表示電極22と対向電極33との間に生じる電圧により、酸化還元反応を生じ、発色あるいは消色する(可逆反応)。エレクトロクロミック化合物23aの単分子の長さは、5nm以下であることが好ましい。
酸化スズ粒子23bの平均一次粒子径(以下、「粒径」とした場合には「平均一次粒子径」を示す)は、1nm〜100nmであることが好ましく、特に3〜8nmであることが好ましい。粒径を1nm〜100nmとすることにより、第1のエレクトロクロミック層23を透明な層とすることができる。すなわち、反射型表示素子においては、発色していないときに高い白反射率を得ることができる。また、透過型表示素子においては発色時には鮮やかな色が得られ、消色時には無色透明の状態が得られる。更に、3〜8nmの粒径にすることで、高い比表面積を得ることが可能となる。
透明性は酸化スズ粒子23bの屈折率及び粒径に大きく依存する。屈折率は1に近いほど透明性の点では有利であり、酸化チタン:2.52(アナターゼ)、2.71(ルチル)に対し、酸化スズは2である。
本発明において、エレクトロクロミック層に含まれる酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたものである。ゾル溶液とは、液体を分散媒とするコロイドのことである。コロイドとはろ紙を通るが半透膜を通らないものである。
エレクトロクロミック層に含まれる酸化スズが、酸化スズゾル溶液から形成されたものではない場合、例えばペーストを用いて形成されたものである場合、ヘイズ率の低下や反射率の低下が生じてしまう。
また、エレクトロクロミック層に含まれる酸化スズが、少なくとも前記酸化スズゾル溶液と下記一般式(1)に示すスズ錯体化合物から形成されたものであることが好ましい。
(式中、A、B、C及びDはアルキル基、アルコキシ基、エステル基、1,3−ジカルボニル化合物又はハロゲン原子を表し、同一であっても異なっていてもよい。また、A及びB、又は、C及びDは互いに結合していてもよい。)
前記一般式(1)におけるハロゲン原子としては、中でもClが好ましい。
また、前記一般式(1)で表されるスズ錯体化合物としては、例えば、Tin(II)acetate、Tin(IV)acetate、Tin(II)2-ethylhexanoate、Tin(II)oxalate、Tin(II)trifluoromethanesulfonate、Tin(IV)isopropoxide、Tin(IV)tetra(t-butoxide)、Bis(2,4-pentadionato)tin(IV)dichloride、Tin(II)acethylacetonate、Tin(II)chloride、Tin(IV)chloride等が挙げられる。スズ錯体化合物を用いることにより、これらのスズ化合物が酸化スズへ分解することにより、酸化スズ粒子のネッキングを改良することができる。
なお、A〜Dは互いに結合している場合、2価の基となる。
図2において、担持粒子、すなわち酸化スズ粒子23bは、1種類のエレクトロクロミック化合物23aを担持した構造を有しているが、複数種類のエレクトロクロミック化合物を担持することも可能である。
また、第2のエレクトロクロミック層26及び第3のエレクトロクロミック層29も、第1のエレクトロクロミック層23と同様に、酸化スズ23bを有している。なお、図2では、理想的な状態として担持粒子にエレクトロクロミック化合物23aの単分子を吸着させた構造を示しているが、該構造に限定されない。エレクトロクロミック化合物23aが移動しないよう高密度に固定される構造であればよい。また、エレクトロクロミック化合物23aの酸化還元反応に伴う電子の授受が妨げられないように、第1のエレクトロクロミック層23と第1の表示電極22との電気的な接続が確保される構造であればよい。
また、エレクトロクロミック化合物23aと酸化スズ粒子23bとは混合されて単一層となっていてもよい。第2のエレクトロクロミック層26及び第3のエレクトロクロミック層29の場合も同様である。
エレクトロクロミック化合物の材料としては、無機エレクトロクロミック化合物、有機エレクトロクロミック化合物のいずれを用いても構わない。また、色素系、ポリマー系、金属錯体系、金属酸化物系等の公知のエレクトロクロミック化合物材料を用いることができる。
例えば、色素系及びポリマー系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、また、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が挙げられる。
更に、これらの材料は、ビオロゲン系化合物(例えば、特許3955641号公報、特開2007−171781号公報参照)又はジピリジン系化合物(例えば、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報参照)を含むことが好ましい。ビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物を含ませることで、表示電極及び対向電極に印加する電圧が低くても、発色時及び消色時に、エレクトロクロミック化合物が良好な色値を示すことができる。例えば、下記一般式(2)で表されるジピリジン系化合物を含むことが好ましい。
なお、上記一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1から8のアルキル基又はアリール基を表し、R1又はR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)、Si(OC2k+1から選ばれる置換基を有する。Xは1価のアニオンを表す。n、m、lは0、1、又は2を表す。A、B、Cは各々独立に置換基を有してもよい炭素数1から20のアルキル基、アリール基、複素環基を表す。
また、例えば、金属酸化物系のエレクトロクロミック化合物として、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化インジウム、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化バナジウム、プルシアンブルー等が挙げられる。
なお、エレクトロクロミック表示素子20内の、各エレクトロクロミック層におけるエレクトロクロミック化合物に用いられる材料は、全て酸化発色材料であるか、あるいは、全て還元発色材料である、というように統一されることが好ましい。
<絶縁層>
第1の絶縁層24は、第1のエレクトロクロミック層23が設けられた第1の表示電極22と、第2のエレクトロクロミック層26が設けられた第2の表示電極25とが、電気的に絶縁されるように、これらを隔離する。
第2の絶縁層27は、第2のエレクトロクロミック層26が設けられた第2の表示電極25と、第3のエレクトロクロミック層29が設けられた第3の表示電極28とが、電気的に絶縁されるように、これらを隔離する。
なお、第1の表示電極22と第2の表示電極25との間の電極間抵抗を大きくすることができるのであれば、第1の絶縁層24は設けなくても良い。例えば、第1のエレクトロクロミック層23の膜厚を大きくすることで、第1の表示電極22と第2の表示電極25との間の電極間抵抗を大きくすることは可能である。同様に、第2の表示電極25と第3の表示電極28との間の電極間抵抗を大きくすることができるのであれば、第2の絶縁層27は設けなくても良い。
これらの絶縁層を設けることで、各エレクトロクロミック層での発色は及び消色を個別に制御することができるため、高精細なフルカラー表示が可能になる。
絶縁層の材料としては、多孔質の絶縁体であればよく、特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く、成膜性に優れた材料であることが好ましい。少なくともZnSを含む材料であることが好ましい。ZnSは、スパッタリングによる高速成膜が可能であり、また、成膜時にエレクトロクロミック層に与えるダメージを低減することができるためである。例えば、ZnS−SiO、ZnS−SiC、ZnS−Si、ZnS−Ge等を用いることが好ましい。
エレクトロクロミック層の膜厚としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能であるが、例えば500nm〜3μmであることが好ましい。
<対向基板>
対向基板35は、駆動素子層34、対向電極33、電荷保持層32等の積層構造を支持するための基板である。
対向基板35の材料としては、透光性を有する材料であることが好ましい。例えば、ガラス、プラスチックフィルム等が挙げられる。
<対向電極>
対向電極33は、各表示電極との間に生じる電圧に基づいて、第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、及び第3のエレクトロクロミック層29を発色あるいは消色させる。
対向電極33の材料としては、導電性を有する材料であれば、特に限定されない。例えば、透光性を有する導電性材料として、ITO、FTO、酸化亜鉛等が挙げられる。また、導電性金属材料として、亜鉛、白金等が挙げられる。また、カーボン等を用いても良い。
<駆動素子>
本実施形態では、必要に応じて駆動素子層34を設けることができる。駆動素子層34は、複数の駆動素子を含み、選択された画素に応じて、駆動素子を駆動する。なお、画素密度と、駆動素子の数は、比例する。
<電荷保持層>
電荷保持層32は、各表示電極と対向電極33との間に印加される電圧によって生じる電荷の授受を緩和する。電荷保持層32を設けることで、各エレクトロクロミック層における発色及び消色の繰り返し耐久性を改善することができる。繰り返し耐久性を高めることで、エレクトロクロミック表示素子を用いた表示装置において高精細な表示が可能になる。
電荷保持層32の材料としては、導電体微粒子材料あるいは半導体微粒子材料(微粒子材料)と、ポリマー材料との混合材料を用いることができる。
ポリマー材料として、特別な制約はないが、例えば、アクリル系、アルキド系、フッ素系、イソシアネート系、ウレタン系、アミノ系、エポキシ系、フェノール系等が挙げられる。
導電体微粒子として、例えば、ITO、FTO、ATO等が挙げられる。
半導体微粒子として、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、銀、亜鉛、ストロンチウム、鉄、ニッケル等の酸化物が挙げられる。
なお、各エレクトロクロミック層におけるエレクトロクロミック化合物に用いられる材料が、いずれも酸化発色材料である場合、ポリマー材料と混合する微粒子材料として、ATOを用いることが特に好ましい。また、各エレクトロクロミック層におけるエレクトロクロミック化合物に用いられる材料が、いずれも還元発色材料である場合、ポリマー材料と混合する微粒子材料として、酸化タングステンを用いることが特に好ましい。酸化発色材料である場合にATOを、還元発色材料である場合に酸化タングステンを用いることで、エレクトロクロミック表示素子の駆動電圧を低下させ、繰り返し耐久性を向上させることができる。
<壁部材>
壁部材36は、各表示電極、各エレクトロクロミック層及び白色反射層31を取り囲む。壁部材36の材料としては、アクリレート系(ラジカル重合型)、エポキシ系(カチオン重合型)などの紫外線硬化樹脂材料、エポキシ系、フェノール系、メラミン系などの熱硬化樹脂材料を用いることができる。
<白色反射層>
白色反射層31は、エレクトロクロミック表示素子20において、白色の反射率を向上させるためのものである。白色反射層31は、酸化チタン粒子、及び酸化チタン粒子の内部及び表面に分散された金属水酸化物を含むことが好ましい。
酸化チタン粒子の粒径は、200nm〜3μmであることが好ましく、250nm〜2μmであることがより好ましい。
<電解質層>
電解質層30は、対向基板35と、周りが壁部材36で囲まれた表示基板21との間に生じるスペースを充填する。電解質層30は、各エレクトロクロミック層が電解質層30中に含まれるように、該スペースを充填する。電解質層30は、第1の表示電極22、第2の表示電極25、又は第3の表示電極28と、対向電極33との間で電荷を移動させ、第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、及び第3のエレクトロクロミック層29の、発色あるいは消色を促す。
電解質層30の材料としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩等を用いることができる。
例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等が挙げられる。
また、電解質層30の材料としては、イオン性液体を用いることもできる。有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有しているため、これを用いることが好ましい。
例えば、カチオン成分として、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩、等のイミダゾール誘導体が挙げられる。また、N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩、等のピリジニウム誘導体が挙げられる。また、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩、等の脂肪族4級アンモニウム系が挙げられる。
また、例えば、アニオン成分として、大気中での安定性を考慮して、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましい。例えば、BF 、CFSO 、PF4、(CFSO、等が挙げられる。
すなわち、電解質層30の材料としては、カチオン成分とアニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体を用いることが好ましい。該イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させても良い。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒(例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類など)に溶解させ、該溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いれば良い。
<保護層>
更に、必要に応じて、保護層を第1のエレクトロクロミック層23及び第2のエレクトロクロミック層26の各々の表示基板21と反対側の面に接するように設けてもよい。保護層を設けることで、第1のエレクトロクロミック層23や第2のエレクトロクロミック層26に隣接する層(例えば、第1の絶縁層24、第2の絶縁層27等)との密着性、溶剤に対する耐溶解性、等を向上させ、エレクトロクロミック表示素子20の耐久性を向上させることができる。
保護層の材料としては、有機高分子材料を用いることが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレンなど一般的な樹脂が挙げられる。
また、無機保護層を、第3のエレクトロクロミック層29と電解質層30との間に設けても良い。無機保護層を設けることで、第3のエレクトロクロミック層29の電解質層30に対する耐溶解性、耐食性、等を向上させ、エレクトロクロミック表示素子20の耐久性を向上させることができる。
(エレクトロクロミック表示素子の多色表示)
次に、エレクトロクロミック表示素子の多色表示について説明する。
図1に示すエレクトロクロミック表示素子20は、上述の構造を有することにより、容易に多色表示が可能である。
エレクトロクロミック表示素子20において、例えば、第1のエレクトロクロミック層23は、シアン色を発色し、第2のエレクトロクロミック層26は、マゼンタ色を発色し、第3のエレクトロクロミック層29は、イエロー色を発色する。
第1の表示電極22と第2の表示電極25とが、第1の絶縁層24を介して隔離して設けられているため、エレクトロクロミック表示素子20は、対向電極33と第1の表示電極22との間に生じる電圧と、対向電極33と第2の表示電極25との間に生じる電圧とを独立して制御することができる。
また、第2の表示電極25と第3の表示電極28とが、第2の絶縁層27を介して隔離して設けられているため、エレクトロクロミック表示素子20は、対向電極33と第2の表示電極25との間に生じる電圧と、対向電極33と第3の表示電極28との間に生じる電圧とを独立して制御することができる。
つまり、エレクトロクロミック表示素子20は、第1の表示電極22に接して設けられた第1のエレクトロクロミック層23と、第2の表示電極25に接して設けられた第2のエレクトロクロミック層26と、第3の表示電極28に接して設けられた第3のエレクトロクロミック層29とを、それぞれ独立して発色あるいは消色させることができる。
その結果、エレクトロクロミック表示素子20は、対向電極及び各表示電極に印加される電圧に基づき、各エレクトロクロミック層を、任意に発色あるいは消色させることができる。例えば、第1のエレクトロクロミック層23のみの発色、第2のエレクトロクロミック層26のみの発色、第1のエレクトロクロミック層23及び第3のエレクトロクロミック層29のみの発色等、多段階の発色パターンで任意に発色させることができる。また、各エレクトロクロミック層が発色する色、色濃度、明るさ等を対向電極及び各表示電極に印加される電圧に基づき、適宜調整し、所望の多色表示を行うことができる。
なお、エレクトロクロミック表示素子20において、第1のエレクトロクロミック層23が発色する色はシアン色に限定されず、第2のエレクトロクロミック層26が発色する色はマゼンタ色に限定されず、第3のエレクトロクロミック層29が発色する色はイエロー色に限定されない。
(エレクトロクロミック表示素子の製造方法)
次に、本発明のエレクトロクロミック表示素子の製造方法について説明する。
本発明のエレクトロクロミック表示素子の製造方法は、表示基板上に表示電極を形成する工程と、前記表示電極上にエレクトロクロミック層を形成する工程と、対向基板上に対向電極を形成する工程と、前記対向電極上に電荷保持層を形成する工程と、前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有するものである。
また、本発明のエレクトロクロミック表示素子の製造方法は、表示基板上に表示電極を形成する工程と、前記表示電極上にエレクトロクロミック層を形成する工程と、前記エレクトロクロミック層上に白色反射層を形成する工程と、対向基板上に、駆動素子層を形成する工程と、前記駆動素子層上に、対向電極を形成する工程と、前記対向電極上に電荷保持層を形成する工程と、前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有するものである。
そして、上記の実施形態で述べたように、エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されるものである。
本発明のエレクトロクロミック表示素子の製造方法は、エレクトロクロミック層が1つの場合に限られず、エレクトロクロミック層が複数の場合にも適用可能である。
本実施形態では、エレクトロクロミック層が複数の場合について、図4を用いてエレクトロクロミック表示素子20の製造方法の一例について説明する。
エレクトロクロミック表示素子20の製造方法は、図4のステップS11からステップS23に示されている。ステップS11からステップS23の概要は以下である。
・ステップS11:表示電基板21上に第1の表示電極22を形成する第1の表示電極形成工程
・ステップS12:その上に第1のエレクトロクロミック層23を形成する第1のエレクトロクロミック層形成工程
・ステップS13:その上に第1の絶縁層24を形成する第1の絶縁層形成工程
・ステップS14:その上に第2の表示電極25を形成する第2の表示電極形成工程
・ステップS15:その上に第2のエレクトロクロミック層26を形成する第2のエレクトロクロミック層形成工程
・ステップS16:その上に第2の絶縁層27を形成する第2の絶縁層形成工程
・ステップS17:その上に第3の表示電極28を形成する第3の表示電極形成工程
・ステップS18:その上に第3のエレクトロクロミック層29を形成する第3のエレクトロクロミック層形成工程
・ステップS19:その上に白色反射層31を形成する白色反射層形成工程
・ステップS20:対向基板35上に駆動素子層34を形成する駆動素子層形成工程
・ステップS21:その上に対向電極33を形成する対向電極形成工程
・ステップS22:その上に電荷保持層32を形成する電荷保持層形成工程
・ステップS23:表示基板21と対向基板35とを貼合せる貼合せ工程
次に、図4に示されるエレクトロクロミック表示素子の製造方法について、以下に一例を説明する。なお、以下に記載される数値は具体例であり、これに限定されるものではない。
<第1の表示電極形成工程>
まず、図4のステップS11に示される第1の表示電極形成工程を行う。
表示基板21(例えば、縦40mm×横40mmのガラス基板)上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約100nm、表面抵抗が約200Ω/□のITO膜を成膜し、第1の表示電極22を形成する。
成膜法としては、スパッタ法に限定されず、イオンプレーティング法等、その他の真空成膜法を適用することができる。
<第1のエレクトロクロミック層形成工程>
次に、図4のステップS12に示される第1のエレクトロクロミック層形成工程を行う。
まず、担持粒子すなわち酸化スズ粒子(以下、本発明では単に「担持粒子」と呼ぶことがある)のゾル溶液を、第1の表示電極22上に、スピンコート法などにより塗布する。その後、第1の表示電極22と担持粒子、及び担持粒子同士が部分的に接合するように、120℃で15分間のアニール処理を行う。これにより担持粒子膜を形成する。
その後、担持粒子膜上に、エレクトロクロミック化合物4,4'-(isooxazole-3,5-diyl)bis(1-(2-phosphonoethyl)pyridinium)bromideを1wt%含む2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール(以下「TFP」と記載)溶液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間のアニール処理を行う。これにより、酸化スズ粒子膜とエレクトロクロミック化合物からなる第1のエレクトロクロミック層23を形成する。
その後、第1のエレクトロクロミック層23上に、ポリ−N−ビニルアミドを0.1wt%含むエタノール溶液、ポリビニルアルコールを0.5wt%含む水溶液を、スピンコート法により塗布することによって、保護層を形成する。
<第1の絶縁層形成工程>
次に、図4のステップS13に示される第1の絶縁層形成工程を行う。
保護層上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約140nmのZnS−SiO膜を成膜し、第1の絶縁層24を形成する。ZnSとSiOの組成比は、8:2である。
成膜法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の真空成膜法を適用することができる。
<第2の表示電極形成工程>
次に、図4のステップS14に示される第2の表示電極形成工程を行う。
第1の絶縁層24上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約100nm、表面抵抗が約200Ω/□のITO膜を成膜し、第2の表示電極25を形成する。
<第2のエレクトロクロミック層形成工程>
次に、図4のステップS15に示される第2のエレクトロクロミック層形成工程を行う。
まず、担持粒子のゾル溶液を、第2の表示電極25上に、スピンコート法などにより塗布する。その後、第2の表示電極25と担持粒子、及び担持粒子同士が部分的に接合するように、120℃で15分間のアニール処理を行う。これにより担持粒子膜を形成する。
その後、担持粒子膜上に、エレクトロクロミック化合物4,4'-(1-phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-phosphonomethyl)benzyl)pyridinium)bromideを1wt%含むTFP溶液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間のアニール処理を行う。これより、担持粒子膜とエレクトロクロミック化合物からなる第2のエレクトロクロミック層26を形成する。
その後、第2のエレクトロクロミック層26上に、ポリ−N−ビニルアミドを0.1wt%含むエタノール溶液、ポリビニルアルコールを0.5wt%含む水溶液を、スピンコート法により塗布することによって、保護層を形成する。
<第2の絶縁層形成工程>
次に、図4のステップS16に示される第2の絶縁層形成工程を行う。
保護層上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約140nmのZnS−SiO膜を成膜し、第2の絶縁層27を形成する。ZnSとSiOの組成比は、8:2である。
成膜法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の真空成膜法を適用することができる。
<第3の表示電極形成工程>
次に、図4のステップS17に示される第3の表示電極形成工程を行う。
第2の絶縁層27上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約100nm、表面抵抗が約200Ω/□のITO膜を成膜し、第3の表示電極28を形成する。
<第3のエレクトロクロミック層形成工程>
次に、図4のステップS18に示される第3のエレクトロクロミック層形成工程を行う。
まず、担持粒子のゾル溶液を、第3の表示電極28上に、スピンコート法などにより塗布する。その後、第3の表示電極28と担持粒子、及び担持粒子同士が部分的に接合するように、120℃で15分間のアニール処理を行う。これにより担持粒子膜を形成する。
その後、担持粒子膜上に、エレクトロクロミック化合物4,4'-(4,4'-(1,3,4-oxadiazole-2,5-diyl)bis(4,1-phenylene))bis(1-(8-phosphonooctyl)pyridinium)bromideを1wt%含むTFP溶液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間のアニール処理を行う。これより、担持粒子膜とエレクトロクロミック化合物からなる第3のエレクトロクロミック層29を形成する。
<白色反射層形成工程>
次に、図4のステップS19に示される白色反射層形成工程を行う。
まず、酸化チタン粒子及び水性ポリウレタン樹脂のTFP分散液を、第3のエレクトロクロミック層29上に、スピンコート法により塗布する。その後、120℃で10分間のアニール処理を行う。これにより内部及び表面に金属水酸化物が分散された酸化チタン粒子による白色反射層31を形成する。
その後、第1の表示電極22、第2の表示電極25、第3の表示電極28、第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、第3のエレクトロクロミック層29、白色反射層31を、壁部材36(図1参照)で取り囲む。
<駆動素子層形成工程>
次に、図4のステップS20に示される駆動素子層形成工程を行う。
対向基板35(例えば、縦40mm×横40mmのガラス基板)上に、画素密度が140ppi(Pixels per Inch)となるように、複数の駆動素子を有する駆動素子層34を、公知の工程により形成する。
<対向電極形成工程>
次に、図4のステップS21に示される対向電極形成工程を行う。
対向基板35上に、スパッタ法を用いて、膜厚が約100nmのITO膜を成膜する。その後、フォトリソグラフィにより、駆動素子層34が有する複数の駆動素子に対応させて、複数の対向電極33を形成する。
<電荷保持層形成工程>
次に、図4のステップS22に示される電荷保持層形成工程を行う。
電荷保持層32は、ポリマー材料と微粒子材料とを混合して分散媒に分散させ、スピンコーティング法により、該混合材料を、駆動素子層34及び対向電極33上に塗布することで形成される。
具体的には、駆動素子層34及び対向電極33上に、水性ポリウレタン樹脂及びATO粒子のTFP分散液をスピンコート法により塗布する。その後、120℃で15分間のアニール処理を行うことにより、膜厚が約640nm、表面抵抗が約1.0E+06Ω/□の電荷保持層32を形成する。
水性ポリウレタン樹脂とATOの重量比は、例えば55%:45%とすることができる。
塗布法としては、スピンコーティング法、ブレードコーティング法等、その他の印刷手法を適用することができる。
なお、水性ポリウレタン樹脂及びATO粒子のTFP溶液は、対向電極33上のみに選択的に塗布する必要はなく、駆動素子層34に含まれる複数の駆動素子に対応して形成される対向電極33と対向電極33との間に、塗布しても良い。該溶液を、選択的に塗布する必要がないため、電荷保持層32を形成しない場合と比較して、電荷保持層32を形成する場合の方が、製造工程を簡易化し、製造コストを抑えることができる。
<貼合せ工程>
次に、図4のステップS23に示される貼合せ工程を行う。
電荷保持層32までを形成した対向基板35と、白色反射層31までを形成した表示基板21とを、対向電極と表示電極とが対面するように電解質を挟んで貼合せる。
具体的には、壁部材36に囲まれた表示基板21において、電解質の前駆体材料を、白色反射層31の上から、注入する。注入口を封止することによって、表示基板21と対向基板35とを貼合せる。その後、高圧水銀ランプにより、紫外光を、対向電極33側から、2分間照射する。紫外光照射により、該前駆体材料を光重合相分離させることができるため、両基板の間に電解質層30を形成することができる。なお、紫外光は、中心波長が365nm、強度が50mW/cmのものを用いることができる。
電解質層30の前駆体材料は、エレクトロクロミック表示素子20の製造前に調整される。ステップS23における貼合せ工程では、事前に調整された電解質層30の前駆体材料を使用する。
電解質層30の前駆体材料の調整方法の一例としては、まず、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetra Butyl Ammonium Perchlorate:TBAP)の炭酸プロピレン(propylene carbonate)溶液を、TBAPのモル濃度が、約20mol/lとなるように調整する。その後、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)用の液晶組成物、モノマー組成物、及び重合開始剤の混合物を、該溶液に混合する。その後、炭酸プロピレン溶液におけるTBAPのモル濃度が、約0.04mol/lになるように再び調整する。その後、製造される電解質層30の膜厚を規定するために、粒径10μmの真球状樹脂ビーズを0.2wt%濃度で、該炭酸プロピレン溶液に分散させる。このようにして、電解質層30の前駆体材料とすることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明に係るエレクトロクロミック表示素子におけるその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。
本実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子を図3に示す。
上述した図1に示すエレクトロクロミック表示素子20は、第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、第3のエレクトロクロミック層29の3つのエレクトロクロミック層を有しているが、本発明では特に限定されるものではない。フルカラー画像表示ではなく、モノクロ画像表示を目的とする場合には、例えば、図3に示すエレクトロクロミック表示素子20Aのように、1つのエレクトロクロミック層のみを有していてもよい。
[第3の実施形態]
(エレクトロクロミック表示素子を適用した情報機器)
本実施形態では、第1の実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子20を電子書籍リーダに適用した場合について説明する。本実施形態は、電子書籍リーダに限定されず、例えば、電子広告、モバイルパソコン、携帯端末等、表示装置を備えたあらゆる情報機器に適用することができる。
図5は、電子書籍リーダ100の概略構造の一例を示すものである。
電子書籍リーダ100は、表示装置101、メインコントローラ102、ROM103、RAM104、フラッシュメモリ105、キャラクタジェネレータ106、インターフェース107を含む。また、表示装置101は、タッチパネル付きの表示パネル111、タッチパネルドライバ112、表示コントローラ113、VRAM114を含む。
なお、図5に示す構造では、表示装置101の外部にキャラクタジェネレータ106が備えられているが、表示装置101の内部にキャラクタジェネレータ106が備えられていてもよい。また、表示パネル111は、タッチパネルを備えていなくてもよい。他の入力手段がある場合は、他の入力手段を、表示パネル111に備えればよい。表示パネル111がタッチパネルを備えていない場合は、タッチパネルドライバ112は不要である。
なお、図5に示す矢印は、代表的な信号や情報の流れを表しており、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
タッチパネル付きの表示パネル111は、第1の実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子20、及び第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、第3のエレクトロクロミック層29を個別に駆動する駆動回路を含む。駆動回路は、駆動素子層34を含んでおり、駆動素子層34は、各々の対向電極33に対応した複数の駆動素子を有する。表示パネル111は、表示コントローラ113から出力される画素選択信号に基づいて、選択された画素に対応する駆動素子を駆動させ、選択された画素に、所定の電圧を印加する。
なお、画素選択信号は、選択される画素の縦方向の位置と横方向の位置とを指定する信号である。また、表示パネル111は、表示コントローラ113から出力される色指定信号に基づいて、その指定色に応じて、対応する表示電極に所定の電圧を印加する。画素選択信号、色指定信号等の信号に基づいて、表示パネル111は、動画像又は静止画像等を表示する。
また、表示パネル111は、ユーザがタッチパネルをタッチした際、タッチ位置に基づく信号をタッチパネルドライバ112に出力する。
なお、表示パネル111として、上記の第1の実施形態に係るエレクトロクロミック表示素子20を備えているため、高い白反射率及び高コントラスト比を維持しつつ、高精細なフルカラー表示(多色表示)を実現することができる。実際、フルカラー画像の表示と消去とを交互に1000回繰り返した後であっても、画像の表示状態には特別な変化は見られなかった。
また、表示パネル111は、発色あるいは消色の切り替えを高速に行うことができる。実際、駆動開始から画像取得までに要する時間、及び取得した画像を消去するまでに要する時間を測定すると、500ms程度であった。
VRAM114は、表示パネル111に動画像又は静止画像を表示するための表示データを格納する。該表示データは、表示パネル111に含まれる複数の画素に個別に対応している。従って、該表示データは、各々の画素に対応する表示色情報を含む。
表示コントローラ113は、所定のタイミングごとに、VRAM114に格納されている表示データを読み出し、該表示データに応じて、表示パネル111に含まれる複数の画素の表示色を個別に制御する。表示コントローラ113は、発色させる画素を特定するための画素選択信号と、色を特定するための色指定信号とを表示パネル111に出力する。
タッチパネルドライバ112は、表示パネル111上においてユーザがタッチした位置に対応する位置情報をメインコントローラ102に出力する。
メインコントローラ102は、ROM103に格納されているプログラムに従って、RAM104、フラッシュメモリ105、キャラクタジェネレータ106、インターフェース107、VRAM114等の各部を統括的に制御する。
例えば、ユーザによって電源がオンされると、メインコントローラ102は、初期メニュー画面データを、ROM103から読み出し、キャラクタジェネレータ106を参照して、該初期メニュー画面データをドットデータに変換し、該ドットデータを、VRAM114に転送する。これより、初期メニュー画面が、表示パネル111に表示される。この際、フラッシュメモリ105に格納されているコンテンツの一覧が、表示パネル111に表示される。表示パネル111上のメニューの1つが、ユーザによって選択され、その表示部分がタッチされると、メインコントローラ102は、タッチパネルドライバ112からの位置情報に基づいて、ユーザの選択内容を取得する。
ユーザがコンテンツを指定し、該コンテンツの閲覧を要求した場合には、メインコントローラ102は、該コンテンツの電子データをフラッシュメモリ105から読み出し、キャラクタジェネレータ106を参照して、該電子データをドットデータに変換し、該ドットデータを、VRAM114に転送する。
また、電子書籍リーダ100は公衆回線に接続されていてもよく、ユーザがインターネットを介したコンテンツの購入を要求した場合には、メインコントローラ102は、インターフェース107を介して所定の購入サイトに接続し、通常のブラウザとして機能する。該購入サイトからの情報が表示パネル111に表示され、ユーザがコンテンツを購入すると、該コンテンツの電子データがダウンロードされる。メインコントローラ102は、該コンテンツの電子データをフラッシュメモリ105に格納する。
また、ROM103は、メインコントローラ102にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及びプログラムの実行に必要な各種データを格納する。
RAM104は、作業用のメモリである。
フラッシュメモリ105は、コンテンツである書籍の電子データ等を格納する。
キャラクタジェネレータ106は、各種キャラクタデータに対応するドットデータを格納する。
インターフェース107は、外部機器との接続を制御する。インターフェース107は、メモリカード、パソコン、公衆回線を接続することが可能である。なお、パソコン及び公衆回線への接続は、有線、無線いずれも可能である。
本実施形態に係る電子書籍リーダ100によれば、第1の実施形態に示すエレクトロクロミック表示素子を適用しているため、透明性に優れ、鮮やかな発色が得られるとともに、反射型表示、及び透過型表示どちらの場合であってもクリアな表示特性が得られる。
[第4の実施形態]
(エレクトロクロミック調光レンズの構造)
本実施形態に係るエレクトロクロミック調光レンズは、レンズと、前記レンズ上に積層された薄膜調光機能部と、を有するものである。前記薄膜調光機能部は、前記レンズ上に積層された第1の電極層と、前記第1の電極層上に積層された第1の電気活性層と、前記第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層と、前記絶縁性多孔質層上に積層された多孔質である第2の電極層と、前記第2の電極層と接して前記第2の電極層の上側と下側のいずれか一方又は双方に形成された第2の電気活性層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填され、かつ、前記第1の電気活性層及び前記第2の電気活性層と接するように設けられた電解質層と、を有する。前記第1の電気活性層と前記第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層であり、他方が劣化防止層である。そして、前記エレクトロクロミック層は、前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成される。
本実施形態によれば透明性に優れた表示特性を有するエレクトロクロミック調光レンズを提供することができる。
図6は、本実施形態に係るエレクトロクロミック調光レンズを例示する断面図である。図6を参照するに、エレクトロクロミック調光レンズ110は、レンズ120と、レンズ120上に積層された薄膜調光機能部130とを有する。エレクトロクロミック調光レンズ110の平面形状は、例えば、丸型とすることができる。
薄膜調光機能部130は、第1の電極層131、エレクトロクロミック層132、絶縁性多孔質層133、第2の電極層134、劣化防止層135、及び保護層136が順次積層された構造を有し、エレクトロクロミック層132の発消色(調光)を行う部分である。なお、保護層136は、劣化防止層135の上面(レンズ120とは反対側の面)に形成されていればよく、必ずしも、第1の電極層131、エレクトロクロミック層132、絶縁性多孔質層133、第2の電極層134、及び劣化防止層135の夫々の側面に形成しなくてもよい。
エレクトロクロミック調光レンズ110において、レンズ120上には第1の電極層131が設けられ、第1の電極層131に接してエレクトロクロミック層132が設けられている。また、エレクトロクロミック層132上には、絶縁性多孔質層133を介して、第1の電極層131に対向するように第2の電極層134が設けられている。
絶縁性多孔質層133は、第1の電極層131と第2の電極層134とを絶縁するために設けられており、絶縁性多孔質層133は、絶縁性金属酸化物微粒子を含んでいる。第1の電極層131と第2の電極層134に挟まれた絶縁性多孔質層133には、電解質(図示せず)が充填されている。
第2の電極層134は、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が形成された多孔質の電極層である。第2の電極層134の外側には劣化防止層135が設けられている。劣化防止層135も厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が形成された多孔質であり、電解質(図示せず)が充填されている。
エレクトロクロミック調光レンズ110において、第1の電極層131と第2の電極層134との間に電圧を印加することにより、エレクトロクロミック層132が電荷の授受により酸化還元反応して発消色する。
エレクトロクロミック調光レンズ110の製造工程は、レンズ120上に第1の電極層131及びエレクトロクロミック層132を順次積層する工程と、エレクトロクロミック層132上に絶縁性多孔質層133を介して第1の電極層131に対向するように貫通孔が形成された多孔質の電極層である第2の電極層134を積層する工程と、第2の電極層134上に貫通孔が形成された多孔質の劣化防止層135を積層する工程と、第1の電極層131と第2の電極層134に挟まれた絶縁性多孔質層133に、劣化防止層135及び第2の電極層134を介して、劣化防止層135及び第2の電極層134に形成された貫通孔から電解質を充填する工程と、劣化防止層135上に保護層136を形成する工程とを有する。
ここで、劣化防止層135及び第2の電極層134に形成された夫々の貫通孔は、エレクトロクロミック調光レンズ110の製造工程において、絶縁性多孔質層133等に電解質を充填する際の注入孔である。
このように、本実施形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ110では、第1の電極層131と第2の電極層134に挟まれた絶縁性多孔質層133等に、劣化防止層135及び第2の電極層134に形成された貫通孔から電解質を充填することが可能である。そのため、電解質を充填する前に、低抵抗な第2の電極層134を形成することが可能となり、エレクトロクロミック調光レンズ110の性能を向上できる。
また、第2の電極層134上に劣化防止層135を設けているため、繰り返し安定して動作するエレクトロクロミック調光レンズを実現できる。
なお、本実施形態では、第2の電極層134に貫通孔が形成されているため、第2の電極層134の外側(対向する2つの電極層の外側)に第2の電極層134に接して劣化防止層135を形成できる。これは、第2の電極層134に形成された貫通孔を通してイオンが第2の電極層の表裏を移動できるためである。その結果、第2の電極層134の下層に劣化防止層135を形成する必要がないため、第2の電極層134を形成する際のスパッタ等によって、劣化防止層135がダメージを受けることを回避できる。
また、劣化防止層135を形成する場合、浸透性の絶縁性多孔質層133上と、第2の電極層134上に形成する場合とで、いずれか均質な劣化防止層135を形成できるプロセスを適宜選ぶことができる。あるいは、必要に応じて、劣化防止層135を第2の電極層134の上と下の両方に形成してもよい。
図6では、第1の電極層131に接してエレクトロクロミック層132を、第2の電極層134に接して劣化防止層135を形成しているが、これらは一方が酸化反応をする際に他方が還元反応をし、一方が還元反応をする際には他方が酸化反応をするという関係にある。そのため、形成される位置としては、逆であってもよい。つまり、第1の電極層131に接して劣化防止層135、第2の電極層134に接してエレクトロクロミック層132を形成してもよい。
また、第1の電極層131に接してエレクトロクロミック層132を形成し、第2の電極層134に接して第2の電極層134の上側と下側の双方に劣化防止層を形成してもよい。また、第1の電極層131に接して劣化防止層135を形成し、第2の電極層134に接して第2の電極層134の上側と下側の双方にエレクトロクロミック層132を形成してもよい。
なお、本発明では、劣化防止層及びエレクトロクロミック層を電気活性層と称する場合がある。すなわち、本実施形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ110において、薄膜調光機能部130は、レンズ120上に積層された第1の電極層131と、第1の電極層131上に積層された第1の電気活性層と、第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層133と、絶縁性多孔質層133上に積層された多孔質である第2の電極層134と、第2の電極層134と接して第2の電極層134の上側と下側のいずれか一方又は双方に形成された多孔質である第2の電気活性層と、を含み、第1の電気活性層と第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層132であり、他方が劣化防止層135である。
本実施形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ110では、電解質注入後に塗布工程で保護層136を形成するため、2枚のレンズを貼り合わせる構成に対して厚みを薄くすることができ、また、重量も軽量化することが可能となり、コストも安くできる。
なお、薄膜調光機能部130の厚みは、2μm〜200μmとすることが好ましい。薄膜調光機能部130の厚みを200μmより厚くすると、丸型レンズの加工時に亀裂、剥離が生じる場合や、レンズの光学特性等に影響が出る場合があり、好ましくない。また、薄膜調光機能部130の厚みを2μmより薄くすると、充分な調光機能が得られない場合があるため、好ましくない。
図7は、本実施形態に係るエレクトロクロミック調光眼鏡を例示する斜視図である。図7を参照するに、エレクトロクロミック調光眼鏡150は、エレクトロクロミック調光レンズ151と、眼鏡フレーム152と、スイッチ153と、電源154とを有する。エレクトロクロミック調光レンズ151は、エレクトロクロミック調光レンズ110を所望の形状に加工したものである。
2つのエレクトロクロミック調光レンズ151は、眼鏡フレーム152に組み込まれている。眼鏡フレーム152には、スイッチ153及び電源154が設けられている。電源154は、スイッチ153を介して、図示しない配線により、第1の電極層131及び第2の電極層134と電気的に接続されている。スイッチ153を切り替えることにより、例えば、第1の電極層131と第2の電極層134との間にプラス電圧を印加する状態、マイナス電圧を印加する状態、電圧を印加しない状態の中から1つの状態を選択可能である。
スイッチ153としては、例えば、スライドスイッチやプッシュスイッチ等の任意のスイッチを用いることができる。ただし、少なくとも前述の3つの状態を切り替え可能なスイッチにする。電源154としては、例えば、ボタン電池や太陽電池等の任意の直流電源を用いることができる。電源154は、第1の電極層131と第2の電極層134との間にプラスマイナス数V程度の電圧を印加可能である。
例えば、第1の電極層131と第2の電極層134との間にプラス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光レンズ151が所定の色に発色する。また、第1の電極層131と第2の電極層134との間にマイナス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光レンズ151が消色し透明となる。
ただし、エレクトロクロミック層132に使用する材料の特性により、第1の電極層131と第2の電極層134との間にマイナス電圧を印加することにより発色し、プラス電圧を印加することにより消色し透明となる場合もある。なお、一度発色した後は、第1の電極層131と第2の電極層134との間に電圧を印加しなくても発色は継続する。
以下、本実施形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ110を構成する各構成要素の材料や成膜方法等について詳説する。
<レンズ>
レンズ120の材料としては、眼鏡用レンズとして機能するものであれば特に限定されるものではないが、透明性が高く、厚みが薄くて軽量なものが好ましい。また、熱履歴による膨張がなるべく小さい方が好ましく、ガラス転移点Tgが高い材料、線膨張係数が小さい材料が好ましい。
具体的には、ガラスの他に、特許庁の高屈折率メガネレンズに関する技術概要資料に記載されているようなものはいずれも使用でき、エピスルフィド系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂等やそれらの混合物等が使用できる。また、必要に応じて、ハードコートや密着性を改善するためのプライマーを形成していてもよい。
なお、本発明において、レンズとは、度数(屈折率)の調整がされていないもの(単なるガラス板等)も含むものとする。
<第1の電極層、第2の電極層>
第1の電極層131及び第2の電極層134の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、調光ガラスとして利用する場合は光の透過性を確保する必要があるため、透明かつ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、ガラスの透明性を得られると共に着色のコントラストをより高めることができる。
透明導電性材料としては、ITO、FTO、ATO等の無機材料を用いることができる。特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、In酸化物とする)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物とする)又は亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物とする)のいずれか1つを含む無機材料を用いることが好ましい。
In酸化物、Sn酸化物、及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。更には、透明性を有する銀、金、カーボンナノチューブ、金属酸化物等のネットワーク電極やこれらの複合層も有用である。なお、ネットワーク電極とは、カーボンナノチューブや他の高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して透過率を持たせた電極である。
第1の電極層131及び第2の電極層134の各々の膜厚は、エレクトロクロミック層132の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。第1の電極層131及び第2の電極層134の材料としてITOを用いた場合、第1の電極層131及び第2の電極層134の各々の膜厚は、例えば50〜500nmとすることができる。
第1の電極層131及び第2の電極層134の各々の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。また、第1の電極層131及び第2の電極層134の各々の材料が塗布形成できるものであれば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
本実施形態では、第2の電極層134には、厚さ方向に貫通する多数の微細な貫通孔が形成されている。例えば、以下に示す方法により、第2の電極層134に微細な貫通孔を設けることができる。すなわち、第2の電極層134を形成する前に予め下地層として凹凸を持つ層を形成し、そのまま凹凸を有する第2の電極層134とする方法を用いることができる。
また、第2の電極層134を形成する前にマイクロピラー等の凸形状構造体を形成し、第2の電極層134を形成後に凸形状構造体を取り除く方法を用いてもよい。また、第2の電極層134を形成する前に発泡性の高分子重合体等を散布し、第2の電極層134を形成後に加熱や脱気する等の処理を施して発泡させる方法を用いてもよい。また、第2の電極層134に直接各種放射線を輻射して細孔を形成させる方法を用いてもよい。
更に、第2の電極層134に微細な貫通孔を形成する方法としては、コロイダルリソグラフィー法を用いてもよい。コロイダルリソグラフィー法は、以下のような方法である。すなわち、第2の電極層134が積層される下層に微粒子を散布し、散布された微粒子をマスクとして微粒子が散布された面に真空成膜法等により第2の電極層134となる導電膜を形成する。その後、微粒子ごと導電膜を一部除去することでパターニングを行う方法である。
第2の電極層134に微細な貫通孔を形成する方法として、コロイダルリソグラフィー法の他に、フォトレジストやドライフィルム等を用いた一般的なリフトオフ法を用いてもよい。具体的には、まず所望のフォトレジストパターンを形成し、次いで第2の電極層134を形成し、その後フォトレジストパターンを除去することによってフォトレジストパターン上の不要な部分を除去して、第2の電極層134に微細な貫通孔を形成する方法である。
一般的なリフトオフ法により第2の電極層134に微細な貫通孔を形成する場合、光照射による下層へのダメージを回避するため、対象物への光照射面積が小さくて済むように、使用するフォトレジストはネガ型のものを使用することが好ましい。
ネガ型のフォトレジストとしては、例えば、ポリビニルシンナメート、スチリルピリジニウムホルマール化ポリビニルアルコール、グリコールメタクリレート/ポリビニルアルコール/開始剤、ポリグリシジルメタクリレート、ハロメチル化ポリスチレン、ジアゾレジン、ビスアジド/ジエン系ゴム、ポリヒドロキシスチレン/メラミン/光酸発生剤、メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂等を挙げることができる。
更に、レーザ光を用いた加工装置により、第2の電極層134に微細な貫通孔を形成することも可能である。
第2の電極層134に設けられる微細な貫通孔の径は、10nm以上100μm以下であると好適である。貫通孔の径が10nm(0.01μm)よりも小さい場合、電解質イオンの透過が悪くなる不具合が生じる。また、微細貫通孔の径が100μmよりも大きい場合、目視できるレベル(通常のディスプレイでは1画素電極(1対向電極)レベルの大きさ)であり、微細な貫通孔直上の表示性能に不具合が生じることになる。
第2の電極層134に設けられる微細な貫通孔の第2の電極層134の表面積に対する孔面積の比(穴密度)は、適宜設定することができるが、例えば0.01〜40%とすることができる。穴密度が高すぎると、第2の電極層134の表面抵抗が大きくなるため、第2の電極層134がない領域面積が広くなることによるクロミック欠陥が出る不具合が生じる。また、穴密度が低すぎると電解質イオンの浸透性が悪くなるために、同様に駆動に問題が生じる不具合が生じる。
<エレクトロクロミック層>
エレクトロクロミック層132は、上記第1の実施形態で説明されるエレクトロクロミック層と同じ態様とすることができる。
<絶縁性多孔質層>
絶縁性多孔質層133は、第1の電極層131と第2の電極層134とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。絶縁性多孔質層133の材料としては、多孔質であればよく、特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
絶縁性多孔質層133の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)を用いることができる。絶縁性多孔質層133の形成方法として、例えば、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)等を用いてもよい。
また、絶縁性多孔質層133の形成方法として、高分子重合体等を加熱や脱気する等して発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の形成方法を用いてもよい。具体例としては、金属酸化物微粒子(SiO粒子やAl粒子等)とポリマー結着剤を含むポリマー混合粒子膜、多孔性有機膜(ポリウレタン樹脂やポリエチレン樹脂等)、多孔質膜状に形成した無機絶縁材料膜等が挙げられる。
絶縁性多孔質層133の凹凸は、第2の電極層134の膜厚にも依存するが、例えば第2の電極層134の膜厚を100nmとすると、絶縁性多孔質層133の表面粗さは平均粗さ(Ra)で100nm未満の要件を満たす必要がある。平均粗さが100nmを超える場合には第2の電極層134の表面抵抗が大きく失われ、表示不良の原因となる。絶縁性多孔質層133の膜厚は、例えば、0.5〜2μmとすることができる。
また、絶縁性多孔質層133は、無機膜と組み合わせて用いることが好ましい。これは絶縁性多孔質層133の表面に形成される第2の電極層134をスパッタ法により形成する際に、下層である絶縁性多孔質層133やエレクトロクロミック層132の有機物質へのダメージを低減させるためである。
上記無機膜としては、SiOに加え、ZnSを含む材料を用いることが好ましい。ZnSは、スパッタ法によって、エレクトロクロミック層132等にダメージを与えることなく高速に成膜できるという特徴を有する。更に、ZnSを主な成分として含む材料として、ZnS−SiO、ZnS−SiC、ZnS−Si、ZnS−Ge等を用いてもよい。
ここで、ZnSの含有率は、絶縁層を形成した際の結晶性を良好に保つために、約50〜90mol%とすることが好ましい。従って、特に好ましい材料は、ZnS−SiO(8/2)、ZnS−SiO(7/3)、ZnS、ZnS−ZnO−In−Ga(60/23/10/7)である。絶縁性多孔質層133として上記のような材料を用いることにより、薄膜で良好な絶縁効果が得られ、膜強度低下や膜剥離を防止することができる。
<劣化防止層>
劣化防止層135の役割は、エレクトロクロミック層132と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第1の電極層131や第2の電極層134が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することである。その結果として、エレクトロクロミック調光レンズ110の繰り返し安定性を向上することである。なお、逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
劣化防止層135の材料は、第1の電極層131及び第2の電極層134の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に限定されるものではない。劣化防止層135の材料として、例えば、酸化アンチモンスズや酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。更に、劣化防止層の着色が問題にならない場合は、前述のエレクトロクロミック材料と同じものを用いることができる。
劣化防止層135は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができる。例えば酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えばアクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより第2の電極層134に固定化することで、電解質の浸透性と、劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
あるいは、劣化防止層135の材料として、電荷の授受に伴って透明状態を保持する材料を用いてもよい。例えば、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、又はそれらの誘導体等の導電性高分子や、金属錯体と有機リガンドのハイブリッドポリマー、ラジカルポリマーなどが挙げられる。これらを用いる際は、電解質の注入を阻害しないように膜密度を調整するか、あるいはレーザ加工等により貫通孔を形成する必要がある。あるいは、エレクトロクロミック層132として、これらの材料を用い、劣化防止層135として、既述の導電性あるいは半導体性微粒子に担持した有機エレクトロクロミック化合物を用いてもよい。
劣化防止層135として、透明性の高いn型半導体性酸化物微粒子(n型半導体性金属酸化物)を用いることが好ましい。具体例としては、100nm以下の1次粒子径粒子からなる、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、又はそれらを複数含む化合物粒子、混合物を用いることができる。
更に、これらの劣化防止層135を用いる場合は、エレクトロクロミック層132が酸化反応により着色から透明に変化する材料であることが好ましい。エレクトロクロミック層132が酸化反応すると同時にn型半導体性金属酸化物が還元(電子注入)されやすく、駆動電圧が低減できるからである。
このような形態において、特に好ましいエレクトロクロミック材料は、有機高分子材料である。塗布形成プロセス等により容易に成膜できると共に、分子構造により色の調整や制御が可能となる。これらの有機高分子材料例としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)系材料、ビス(ターピリジン)類と鉄イオンの錯形成ポリマー等である。
劣化防止層135の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンレーティング法等を用いることができる。また、劣化防止層135の材料が塗布形成できるものであれば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
<電解質>
本実施形態では、電解質(図示せず)は、電解液として、劣化防止層135を介して、第2の電極層134に形成された微細な貫通孔から第1の電極層131と第2の電極層134との間に配置された絶縁性多孔質層133に充填される。つまり、電解質(図示せず)は、第1の電極層131と第2の電極層134との間に充填されてエレクトロクロミック層132と接し、かつ、第2の電極層134に形成された貫通孔を介して劣化防止層135と接するように設けられている。電解液としては、イオン液体等の液体電解質又は、固体電解質を溶媒に溶解した溶液を用いることができる。
電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
また、イオン性液体も用いることができる。イオン性液体としては、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。特に有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
分子構造の例としては、カチオン成分としてN,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体、N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体など芳香族系の塩、又は、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウムなど脂肪族4級アンモニウム系が挙げられる。
アニオン成分としては大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物がよく、BF 、CFSO 、PF 、(CFSO等が挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン性液体を用いることができる。
また、溶媒の例としては、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類やそれらの混合溶媒等を用いることができる。
また、電解液は低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型等の様々な形態をとることが可能である。電解液はゲル状、固体状に形成することが、素子強度向上、信頼性向上、発色拡散の防止から好ましい。固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持する方法が好ましい。高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。更に、ポリマー樹脂は光硬化可能な樹脂を用いることが好ましい。熱重合や、溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。
<保護層>
保護層136の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等である。同時に、レンズとしての機能を損なわないための透明性、表面の平滑性、屈折率、耐熱性、耐光性が求められる。厚みとしては1μm〜200μmの範囲が好ましい。材料としては、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂等を用いることが好ましい。保護層136の形成プロセスとしては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、キャスト法等の各種成膜法を用いることができる。
また、エレクトロクロミック調光レンズ110は、保護層136に加え、キズがつかないためのハードコート層や、反射を抑制するための反射防止層を必要に応じて備えていることが好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
上述の第1の実施形態における(エレクトロクロミック表示素子の製造方法)の記載に従って、下記のように図1に示すエレクトロクロミック表示素子を作製した。このとき、作製過程でITOガラス基板に形成した担持粒子膜の透明性を測定し、完成した透過型素子としての透明性を測定した。また、反射型素子の場合は発色時の反射率を測定した。
(1)電解質の前駆体材料の調製
過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)の炭酸プロピレン溶液を調製した。ここでのTBAP濃度は、2mol/lとした。これに、DIC社製のPNLC用の液晶組成物、モノマー組成物、及び重合開始剤の混合物(製品名:PNM−170)を混合した。この溶液におけるTBAP濃度が約0.04mol/lになるように調整し、電解質層の前駆体材料とした。そして、作製される電解質層の層厚を規定するために、粒径10μmの真球状樹脂ビーズを0.2wt%濃度で上記電解質の前駆体材料に分散させた。
(2)各表示電極、各エレクトロクロミック層及び白色反射層の作製
表示基板21としてのガラス基板(40mm×40mm)の表面全面にスパッタ法により約100nmのITO膜を形成し、第1の表示電極22を作製した。この第1の表示電極22の表面抵抗は約200Ωであった。
この上に、酸化スズを有する塗布膜を形成した。塗布液は以下のように作製した。また、使用した酸化スズゾル溶液は透明な液であり、静置しても全く沈殿を生じないものである。
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分処理後、エバポレーターで揮発成分を除去して目的のペーストを得た。このペーストをスクリーン印刷機で膜厚1μmに塗布し、温風乾燥(120℃・5分)後、UV/オゾン処理(150℃・30分)を経て担持粒子膜を形成した。この状態で、すなわち担持粒子を形成したITOガラス基板をヘイズメーター(日本電色工業:NDH 7000)で測定したところ、ヘイズ(ヘイズ(1))は0.78%であった。
この上に、エレクトロクロミック化合物である、「4,4’-(isooxazole-3,5-diyl)bis(1-(2-phosphonoethyl)pyridinium)bromide」を1wt%含むTFP溶液をスピンコートし、120℃・10分のアニール処理により、第1のエレクトロクロミック層23を形成した。この時点でヘイズを測定したところ、ヘイズ(ヘイズ(2))は0.84%であった。
この上に、ポリ−N−ビニルアミドの0.1wt%エタノール溶液、ポリビニルアルコールの0.5wt%水溶液をスピンコート法により塗布することによって保護層を形成した。
この上に、8:2の組成比を有するZnS−SiOを、スパッタ法により140nmの膜厚になるように成膜し、第1の絶縁層24を形成した。
この上に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって、第2の表示電極25を形成した。この第2の表示電極25の表面抵抗は約200Ωであった。
この上に、前出の酸化スズを有する塗布膜を同様に形成した。
この上に、エレクトロクロミック化合物である、「4,4’-(1-Phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-phosphonomethyl)benzyl)pyridinium」broimideを1wt%含むTFP溶液をスピンコート法により塗布し、120℃・10分のアニール処理を行うことによって、第2のエレクトロクロミック層26を形成した。
この上に、ポリ−N−ビニルアミドの0.1wt%エタノール溶液、ポリビニルアルコールの0.5wt%水溶液をスピンコート法により塗布することによって保護層を形成した。
この上に、8:2の組成比を有するZnS−SiOを、スパッタ法により140nmの膜厚になるように成膜することによって第2の絶縁層27を形成した。
この上に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって、第3の表示電極28を形成した。この第3の表示電極28の表面抵抗は約200Ωであった。
その上に、前出の酸化スズを有する塗布膜を同様に形成した。
その上に、エレクトロクロミック化合物である[4,4’-(4,4’-(1,3,4-oxadiazole-2,5-diyl)bis(4,1-phenylene))bis(1-(8-phosphonooctyl)pyridinium)bromideを1wt%含むTFP溶液をスピンコート法により塗布し、120℃・10分のアニール処理を行うことによって、第3のエレクトロクロミック層29を形成した。
その上に、酸化チタン粒子(平均粒径:300nm)及び水性ポリウレタン樹脂のTFP分散液をスピンコートし、120℃・10分のアニール処理により白色反射層31を形成した。
そして、各表示電極、各エレクトロクロミック層及び白色反射層31を壁部材36で取り囲んだ。
なお、ここで作成された各表示電極、各エレクトロクロミック層、白色反射層31及び壁部材からなる構成体を、便宜上、「第1構成体」という。
(3)複数の対向電極及び電荷保持層の作製
対向基板35としてのガラス基板(40mm×40mm)上に、140ppiの密度で複数の駆動素子を有するTFT層34(駆動素子層)を形成した。
TFT層34の全面にスパッタ法により約100nmのITO膜を形成した後、フォトリソグラフィにより、複数の駆動素子に対応する複数の対向電極33を作製した。
その上に、水性ポリウレタン樹脂及びATOナノ粒子(三菱マテリアル社製)のTFP分散液(ATOとポリマーの混合比は重量比で45:55)をスピンコートし、120℃・15分のアニール処理により、電荷保持層32を形成した。ここでは、電荷保持層32の厚さは0.64μmであり、その表面抵抗は1.0E+06(Ω/□)であった。
なお、ここで作成された複数の対向電極33及び電荷保持層32からなる構成体を、便宜上、「第2構成体」という。
(4)エレクトロクロミック表示素子の作製
上記(2)で作製された第1構成体における白色反射層31の上から、上記(1)で調製された電解質の前駆体材料を塗布(注入)した。
その上に、工程(3)で作製された第2構成体における電荷保持層32を重ね合わせた。
高圧水銀ランプにより、中心波長が365nmの紫外線を、50mW/cmの照射光強度で、複数の画素電極側から2分間照射し、前駆体材料を光重合相分離させ、電解質層30を形成した。
次に、このようにして作製されたエレクトロクロミック表示素子の駆動素子を所定の方法で駆動させたところ、第1のエレクトロクロミック層23、第2のエレクトロクロミック層26、及び第3のエレクトロクロミック層29のそれぞれが対応する画像を表示し、鮮明なカラー画像を得ることができた。このとき、駆動開始から画像が得られるまでの時間は、約500ミリ秒であった。また、画像の消去に要した時間も約500ミリ秒であった。また、画像の消去後に色が完全に消えず残ってしまう現象(以下「色残り」と記載)が皆無であった。
このエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入するように駆動させて発色させたところ、鮮やかなシアン色を表示し、650nmにおける反射率を測定したところ2.0%であった。
(比較例1)
実施例1と同様にエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、担持粒子としては平均粒径21nmの酸化チタン粒子(日本アエロジル社製、P−25)からなるペーストを用いて、膜厚約1μmの担持粒子膜を形成した。このペーストの作製方法は以下の通りである。他の2つの担持粒子膜も同様に形成した。
酸化チタン:2.7g、Bis(2,4-pentanedionate)titanium(IV)Oxide:0.5g、メタノール:20gの処方でジルコニアビーズとペイントシェーカーを用いて2時間分散処理し1次分散液を得た。この1次分散液:22.2g、エチルセルロース(10wt%、エタノール溶液):1.0g、テルピネオール:10gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分処理後、エバポレーターで揮発成分を除去して目的のペーストを得た。このペーストをスクリーン印刷機で膜厚1μmに塗布し、温風乾燥(120℃・5分)後、UV/オゾン処理(150℃・30分)を経て酸化チタンの塗布膜を形成した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では5.91%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では6.14%であった。また、実施例1と同様にして駆動させたところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒と実施例1と同等であったが、画像の消去に要した時間は約3000ミリ秒と、実施例1に比較して非常に遅い結果であった。また、実施例1とは異なり、色残りが生じており、完全には消去できなかった。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ8.9%となり、実施例1に比べて反射率が劣る結果であった。
(比較例2)
比較例1と同様に酸化チタン粒子を用いてエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、白色反射層31を形成せずに表示素子を作製した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では6.01%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では6.22%であった。
そして、完成した透過型表示素子のヘイズを測定したところ、ヘイズ(ヘイズ(3))は10.7%となり、実施例1に比べて高いヘイズであった。
(比較例3)
実施例1と同様にエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、担持粒子としては平均粒径30nmの酸化スズ粒子(シーアイ化成社製、ナノテック)からなるペーストを用いて、スピンコートにて膜厚約1μmの担持粒子膜を形成した。このペーストの作製方法を以下の通りである。また、他の2つの担持粒子膜も同様に形成した。
酸化スズ(シーアイ化成社製、ナノテック):2.7g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.5g、メタノール:20gの処方でジルコニアビーズとペイントシェーカーを用いて2時間分散処理し1次分散液を得た。この1次分散液は不透明な液であり、2時間静置すると沈殿を生じるものであった。この1次分散液:22.2g、エチルセルロース(10wt%、エタノール溶液):1.0g、テルピネオール:10gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分処理後、エバポレーターで揮発成分を除去して目的のペーストを得た。このペーストをスクリーン印刷機で膜厚1μmに塗布し、温風乾燥(120℃・5分)後、UV/オゾン処理(150℃・30分)を経て酸化スズの塗布膜を形成した。これ以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では2.47%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では2.77%であった。また、実施例1と同様にして駆動したところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒、画像の消去に要した時間は約500ミリ秒となり、実施例1に同等であった。また、実施例1と同様に色残りも生じなかった。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ6.2%となり、実施例1に記載して反射率が劣る結果であった。
上記から明らかなように、ゾル溶液から作製した酸化スズの担持粒子膜に比べて、酸化スズ粉末を分散、塗布して作製した担持粒子膜は、応答性は同等の性能であるものの、ヘイズ率や反射率が劣ることが分かる。
(実施例2)
実施例1と同様にエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、白色反射層31を形成せずに表示素子を作製した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.88%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では0.91%であった。
そして、完成した透過型表示素子のヘイズを測定したところ、2.1%であった。
比較例2との比較から、ゾル溶液から形成された酸化スズを用いたことにより、素子としての透明性が向上したことが確認された。
(実施例3)
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.25g、Tetrakis(2,4-pentadionato)titanium(IV) (ca.63% in 2-Propanol):0.397g、テルピネオール:9.05gに変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.79%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では0.86%であった。また、実施例1と同様にして駆動させたところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒、画像の消去に要した時間は約500ミリ秒となり、実施例1と同等の結果であった。また、実施例1と同様に色残りは生じず、完全に消去された。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ1.8%となり、良好な性能が得られた。
(実施例4)
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) acetate:0.25g、Tetrakis(2,4-pentadionato)titanium(IV) (ca.63% in 2-Propanol):0.397g、テルピネオール:9.05gに変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.75%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では0.83%であった。また、実施例1と同様にして駆動させたところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒、画像の消去に要した時間は約500ミリ秒となり、実施例1と同等の結果であった。また、実施例1と同様に色残りは生じず、完全に消去された。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ1.9%となり、良好な性能が得られた。
(実施例5)
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Bis(2,4-pentadionato)tin(IV) dichloride:0.25g、Tetrakis(2,4-pentadionato)titanium(IV) (ca.63% in 2-Propanol):0.397g、テルピネオール:9.05gに変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.77%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では0.84%であった。また、実施例1と同様にして駆動させたところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒、画像の消去に要した時間は約500ミリ秒となり、実施例1と同等の結果であった。また、実施例1と同様に色残りは生じず、完全に消去された。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ1.8%となり、良好な性能が得られた。
(実施例6)
酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Bis(2,4-pentadionato)tin(IV) dichloride:0.25g、Titanium(IV)tetraisopropoxide:0.25g、テルピネオール:9.05gに変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製し、評価した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.77%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では0.83%であった。また、実施例1と同様にして駆動させたところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒、画像の消去に要した時間は約500ミリ秒となり、実施例1と同等の結果であった。また、実施例1と同様に色残りは生じず、完全に消去された。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、シアン色にわずかながら薄白い濁りを感じた。650nmにおける反射率を測定したところ2.0%となり、良好な性能が得られた。
(実施例7)
酸化スズゾルより形成したペーストを塗布、乾燥後に処理したUV/オゾン(150℃・30分)を、マイクロ波(電子レンジ:東芝社製ER−BS10、1000W・2分)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.82%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では0.90%であった。また、実施例1と同様にして駆動させたところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒、画像の消去に要した時間は約500ミリ秒となり、実施例1と同等の結果であった。また、実施例1と同様に色残りは生じず、完全に消去された。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、鮮やかなシアン色を表示した。650nmにおける反射率を測定したところ1.9%となり、良好な性能が得られた。
(実施例8)
酸化スズゾルより形成したペーストを塗布、乾燥後に処理したUV/オゾン(150℃・30分)を、マイクロ波(電子レンジ:東芝社製ER−BS10、700W・10分)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.79%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では0.88%であった。また、実施例1と同様にして駆動したところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒、画像の消去に要した時間は約500ミリ秒となり、実施例1と同等の結果であった。また、実施例1と同様に色残りは生じず、完全に消去された。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、鮮やかなシアン色を表示した。650nmにおける反射率を測定したところ1.8%となり、良好な性能が得られた。
(実施例9)
酸化スズゾルより形成したペーストを塗布、乾燥後に処理したUV/オゾン(150℃・30分)を、ホットプレート上での加熱処理(250℃・10分)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、評価した。
実施例1と同様のタイミングでヘイズを測定したところ、担持粒子膜を1層のみ形成した時点では0.84%、エレクトロクロミック化合物溶液を塗布して第1のエレクトロクロミック層23を形成した時点では1.02%であった。また、実施例1と同様にして駆動させたところ、画像を得るまでに要した時間は約500ミリ秒、画像の消去に要した時間は約500ミリ秒となり、実施例1と同等の結果であった。また、実施例1と同様に色残りは生じず、完全に消去された。
そして、完成したエレクトロクロミック表示素子の第1のエレクトロクロミック層23のみに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、鮮やかなシアン色を表示した。650nmにおける反射率を測定したところ2.1%となり、良好な性能が得られた。
以上の結果から、本発明のエレクトロクロミック表示素子は、実施例1と比較例3との比較より、同じ酸化スズであっても、ゾル溶液から形成されたものでなければ性能が低下することが分かる。また、実施例1〜9と比較例1、2から、酸化スズの代わりに酸化チタンを用いるとより性能が低下することが分かる。
(実施例10)
実施例10では、図6に示すエレクトロクロミック調光レンズ110を作製する例を示す。
<第1の電極層、エレクトロクロミック層の形成>
まず、直径65nmのレンズを準備し、25mm×45mmの領域及び引き出し部分にメタルマスクを介してITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さに成膜して、第1の電極層131を形成した。
このITO膜上に、実施例1と同様にして酸化スズの塗布膜を約1μmの厚みで形成した。
次に、実施例1で作製したペーストを、ITOガラス基板上にスクリーン印刷機で膜厚1μmに塗布し、温風乾燥(120℃・5分)後、UV/オゾン処理(150℃・30分)を経て担持粒子膜を形成した。この状態で、すなわちITOガラス基板上に形成した担持粒子膜(酸化スズ)をヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH 7000)で測定したところ、ヘイズは0.76%であった。
続いて、エレクトロクロミック化合物として、下記構造式(1)で表される化合物を1.5wt%含むTFP溶液をスピンコート法により塗布した。その後、120℃・10分間アニール処理を行うことにより、酸化スズ塗布膜に担持(吸着)させて、エレクトロクロミック層132を形成した。
<絶縁性多孔質層、微細な貫通孔が形成された第2の電極層の形成>
続いて、エレクトロクロミック層132上に平均一次粒径20nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度24.8重量%、ポリビニルアルコール1.2重量%、水74重量%)をスピンコートし、絶縁性多孔質層133を形成した。形成した絶縁性多孔質層133の膜厚は約2μmであった。更に、平均一次粒450nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度1重量%、2−プロパノール99重量%)をスピンコートし、微細貫通孔形成用マスク(コロイダルマスク)を形成した。
続いて、微細貫通孔形成用マスク上にZnS−SiO(8/2)の無機絶縁層をスパッタ法により40nmの膜厚で形成した。更に、無機絶縁層上にスパッタ法により約100nmのITO膜を、第1の電極層131で形成したITO膜と重なる25mm×45mmの領域、及び、第1の電極層131とは異なる領域にメタルマスクを介して形成し、第2の電極層134を作製した。なお、第1の電極層131とは異なる領域に形成したITO膜は第2の電極層134の引き出し部分である。
この後、2−プロパノール中で超音波照射を2分間行い、コロイダルマスクである450nmのSiO微粒子の除去処理を行った。走査型電子顕微鏡(SEM)観察により250nm程度の微細な貫通孔が形成された第2の電極層134が形成されていることを確認した。第2の電極層134のシート抵抗は約100Ω/□であった。
<劣化防止層の形成>
続いて、第2の電極層134上に、劣化防止層135として、ATO粒子分散液をスピンコート法により塗布した。そして、120℃・15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmのATO粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
<電解質の充填>
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム、溶媒としてジメチルスルホキシド及びポリエチレングリコール(分子量:200)を12/54/60の比で混合した溶液を電解液とした。そして、劣化防止層135まで形成した素子を1分間浸漬し、その後120℃のホットプレート上で1分間乾燥させることで電解質を充填させた。
<保護層の形成>
更に、紫外線硬化接着剤(商品名:SD−17、DIC社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層136を約3μmの厚さに形成した。これにより、図6に示すエレクトロクロミック調光レンズ110を得た。
このようにして完成したエレクトロクロミック調光レンズのヘイズを測定したところ、1.04%であった。次にこのエレクトロクロミック調光レンズに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、550nmにおける透過率が9.8%となり、良好な性能が得られ、鮮やかなマゼンタ色を観測した。
(実施例11)
実施例1における酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.50g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、テルピネオール:9.05gを、酸化スズゾル溶液(日産化学工業社製、セルナックスCX−S510M):5.00g、エチルセルロース(10cp、10wt%、エタノール溶液):1.00g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.50g、シクロヘキサノン:2.05gに変更し、スピンコートでITOガラス基板上にスピンコート(3000rpm・30秒)で膜厚1μmに塗布し、温風乾燥(120℃・5分)後、UV/オゾン処理(150℃・30分)を経て担持粒子膜を形成した以外は、実施例10と同様にして表示素子を作製し、評価した。
その結果、完成したエレクトロクロミック調光レンズのヘイズを測定したところ、0.67%であった。次に、このエレクトロクロミック調光レンズに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、550nmにおける透過率が9.5%となり、良好な性能が得られ、鮮やかなマゼンタ色を観測した。
(比較例4)
実施例10と同様にエレクトロクロミック表示素子を作製した。ただし、担持粒子としては平均粒径30nmの酸化スズ粒子(シーアイ化成社製、ナノテック)からなるペーストを用いて、スピンコートにて膜厚約1μmの担持粒子膜を形成した。このペーストの作製方法を以下の通りである。また、他の2つの担持粒子膜も同様に形成した。
酸化スズ(シーアイ化成社製、ナノテック):2.7g、Tin(IV) tetra(t-butoxide):0.5g、メタノール:20gの処方でジルコニアビーズとペイントシェーカーを用いて2時間分散処理し1次分散液を得た。この1次分散液は不透明な液であり、2時間静置すると沈殿を生じるものであった。この1次分散液:22.2g、エチルセルロース(10wt%、エタノール溶液):1.0g、テルピネオール:10gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分処理後、エバポレーターで揮発成分を除去して目的のペーストを得た。このペーストをスクリーン印刷機で膜厚1μmに塗布し、温風乾燥(120℃・5分)後、UV/オゾン処理(150℃・30分)を経て酸化スズの塗布膜を形成した。これ以外は、実施例10と同様にして表示素子を作製し、評価した。
その結果、完成したエレクトロクロミック調光レンズのヘイズを測定したところ、2.49%であった。次に、このエレクトロクロミック調光レンズに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、550nmにおける透過率が21.2%となり、実施例10、11と比較して低い性能であった。マゼンタ色の発色も薄白い濁りを感じた。
上記から明らかなように、ゾル溶液から作製した酸化スズの担持粒子膜に比較して、酸化スズ粉末を分散、塗布して作製した担持粒子膜は、ヘイズ率及び発色性能が劣ることが分かった。
(比較例5)
実施例3と同様にしてエレクトロクロミック調光レンズを作製した。ただし、担持粒子としては平均粒径30nmの酸化チタン粒子(石原産業社製、TTO−51N)を用いて、膜厚約1μmの担持粒子膜を形成し、この状態で、すなわちITO形成ガラス基板上に形成した担持粒子膜のヘイズを測定したところ、5.92%であった。このエレクトロクロミック調光レンズに1.0mC/cmの電荷を投入して発色させたところ、550nmにおける透過率が28.9%となり、実施例10、11と比較して低い性能であった。マゼンタ色の発色も薄白い濁りを感じた。
以上のことから、本発明のエレクトロクロミック調光レンズは、実施例10、11に示されるように酸化スズゾル溶液を用いて酸化スズの多孔質膜を形成することで高い性能を示すことが分かる。また、比較例4に示されるように同じ酸化スズであっても、ゾル溶液から形成されたものでなければ、性能が低下することが分かる。また、比較例5に示されるように酸化スズの代わりに酸化チタンを用いるとより性能が低下することが分かる。
20 エレクトロクロミック表示素子
21 表示基板
22、25、28 表示電極
23、26、29 エレクトロクロミック層
23a エレクトロクロミック化合物
23b 酸化スズ
30 電解質層
31 白色反射層
32 電荷保持層
33 対向電極
34 駆動素子層
35 対向基板
36 壁部材
100 情報機器(電子書籍リーダ)
101 表示装置
102 制御装置(メインコントローラ)
110、151 エレクトロクロミック調光レンズ
113 表示コントローラ
114 VRAM
120 レンズ
130 薄膜調光機能部
131 第1の電極層
132 エレクトロクロミック層
133 絶縁性多孔質層
134 第2の電極層
135 劣化防止層
136 保護層
150 エレクトロクロミック調光眼鏡
152 眼鏡フレーム
153 スイッチ
154 電源
特開2003−121883号公報 特開2006−106669号公報 特開2010−33016号公報 特開2012−137736号公報 特開2015−14743号公報

Claims (8)

  1. 表示基板と、
    表示電極と、
    前記表示電極に接するように設けられたエレクトロクロミック層と、
    前記表示基板に対向して設けられた対向基板と、
    対向電極と、
    前記対向電極に接するように設けられた電荷保持層と、
    前記表示基板と前記対向基板との間に設けられた電解質層と、を有し、
    前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、
    前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
  2. 前記エレクトロクロミック層に含まれる酸化スズが、少なくとも前記酸化スズゾル溶液と下記一般式(1)に示すスズ錯体化合物から形成されたことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示素子。
    (式中、A、B、C及びDはアルキル基、アルコキシ基、エステル基、1,3−ジカルボニル化合物又はハロゲン原子を表し、同一であっても異なっていてもよい。また、A及びB、又は、C及びDは互いに結合していてもよい。)
  3. 前記エレクトロクロミック層と前記電荷保持層との間に、白色反射層を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子と、
    表示データを格納するVRAMと、
    前記表示データに基づいて前記エレクトロクロミック表示素子を制御する表示コントローラと、を備えることを特徴とする表示装置。
  5. 請求項4に記載の表示装置と、
    前記表示装置に表示する情報を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする情報機器。
  6. 表示基板上に表示電極を形成する工程と、
    前記表示電極上にエレクトロクロミック層を形成する工程と、
    対向基板上に対向電極を形成する工程と、
    前記対向電極上に電荷保持層を形成する工程と、
    前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有し、
    前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、
    前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
  7. 表示基板上に表示電極を形成する工程と、
    前記表示電極上にエレクトロクロミック層を形成する工程と、
    前記エレクトロクロミック層上に白色反射層を形成する工程と、
    対向基板上に、駆動素子層を形成する工程と、
    前記駆動素子層上に、対向電極を形成する工程と、
    前記対向電極上に電荷保持層を形成する工程と、
    前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有し、
    前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、
    前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
  8. レンズと、前記レンズ上に積層された薄膜調光機能部と、を有し、
    前記薄膜調光機能部は、前記レンズ上に積層された第1の電極層と、
    前記第1の電極層上に積層された第1の電気活性層と、
    前記第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層と、
    前記絶縁性多孔質層上に積層された多孔質である第2の電極層と、
    前記第2の電極層と接して前記第2の電極層の上側と下側のいずれか一方又は双方に形成された第2の電気活性層と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填され、かつ、前記第1の電気活性層及び前記第2の電気活性層と接するように設けられた電解質層と、を有し、
    前記第1の電気活性層と前記第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層であり、他方が劣化防止層であり、
    前記エレクトロクロミック層は、少なくとも酸化スズを含み、
    前記酸化スズは、酸化スズゾル溶液から形成されたことを特徴とするエレクトロクロミック調光レンズ。
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