JP2017003589A - 腎臓病の病態バイオマーカー - Google Patents

腎臓病の病態バイオマーカー Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、早期又は軽度の腎障害の診断を可能にする分析方法の開発を課題とする。【解決手段】糞便又は腸内容物からD体及び/又はL体のアミノ酸量に基づき腎障害の病態指標値を算出することに基づく。この病態指標値を、腎不全患者群及び健常者群の病態指標値から決定された閾値と比較することにより、軽度の腎障害患者群の診断が可能になる。【選択図】図13

Description

本発明は、糞便又は腸内容物からD体及びL体のアミノ酸量に基づき腎障害の病態指標値を算出する工程を含む分析方法、腎障害の検査方法、並びに腎障害についての病態情報を出力する試料分析システムに関する。
腎臓は、血液からの老廃物や余分な水分を濾過し、尿として排出することで、体液の恒常性を維持することを主な役割とする臓器である。腎臓は、免疫系の異常や薬に対するアレルギー、高血圧、糖尿病、出血や急激な血圧低下、感染症、熱傷に伴う脱水などの要因により障害を受け、腎機能が低下する。腎障害により腎機能が約60%以下に低下した場合に腎不全と呼び、腎機能低下の進行速度の違いにより、急性腎不全(AKI)と慢性腎不全(CKD)に大別される。
急性腎不全(AKI)は、発症までの期間として数時間から数週間である腎不全をいう。急性腎不全は、虚血、薬剤、エンドトキシンショックなどの原因によって腎機能が急激に低下した状態であり、体内代謝産物である尿素窒素やクレアチニンの血中濃度上昇、電解質代謝の異常及びアシド-シスなどの症状が認められ、一般に血清クレアチニン値の急上昇により急性腎不全と診断される。急性腎不全は、治療により回復が期待されるため、より早期の急性腎不全を判別できる診断マーカーの開発が望まれている。しかしながら、一般に用いられている血清中クレアチニン濃度は、年齢、性別、筋肉量及び服用する医薬等の条件により変動するので、特異的な診断マーカーとはいえず(非特許文献1)、また好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、インターロイキン−18(IL−18)、腎障害分子(KIM−1)、肝脂肪酸結合タンパク質(FABPs)、シスタチンC等のタンパク質と、ホモバニリン酸硫酸、トリメチルアミン−N−オキシド等の代謝低分子化合物などが報告されているが、より早くより正確に病態を検出できる診断マーカーの開発が期待されている。
慢性腎不全(CKD)は、各種腎障害により、糸球体濾過量で表される腎機能の低下があるか、もしくは腎臓の障害を示唆する所見が慢性的(3カ月以上)に持続する腎不全をいう。慢性腎不全は、日本国の成人人口の約13%に相当する1,330万人が罹患する疾患で、末期腎不全(ESKD)に至るリスクが高く、国民の健康を脅かしている。慢性腎不全に有効な治療法はなく、慢性腎不全が進行して腎機能低下が進むと尿毒症の危険があり、人工透析や腎移植が必要となり、医療経済上大きな負担となる(非特許文献2)。慢性腎不全は、自覚症状がないまま病状が進行するため、慢性腎不全の早期発見及び進行抑制のためには、腎不全の早期診断マーカーによる診断が必要である。しかし、糸球体濾過量で表される腎機能の変化が起こるより早い時期から腎障害の進行を正確に反映する診断マーカーとして満足できるものは、現在の所いまだ存在しない。
急性腎不全のみならず慢性腎不全の場合であっても、早期の診断マーカーが得られていない理由として、腎臓が障害を受けた場合であっても、腎機能がある程度、例えば30%程度損なわれるまでは、障害を受けていない糸球体が通常以上に働くことで、十分な腎機能(すなわち、血液からの老廃物や余分な水分を濾過機能)を発揮できることが考えられる。例えば尿へと排出される老廃物であるクレアチニンや尿素窒素(BUN)は、腎不全マーカーの一つであるが、腎機能がある程度失われるまでは、正常に尿に排出されることで、血中のクレアチニン値やBUN値は増加することはない。近年開発されたNGALやKIM−1などは、炎症細胞により発現されるタンパク質であるため、診断マーカーとして期待されているが、上述の通り満足できるマーカーは未だ存在していない。
従来、哺乳類の生体には存在しないと考えられていたD-アミノ酸が、様々な組織において存在することが明らかにされてきており、何らかの生理機能を担うことが予測されていた。また、血清中のD−アミノ酸のうち、D−セリン、D−アラニン、D−プロリン、D−セリン、D−グルタミン酸、D−アスパラギン酸の濃度が、腎不全の診断マーカーとして機能しうることが示されてきている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6)。さらに、D−セリン、D−スレオニン、D−アラニン、D−アスパラギン、D−アロ-スレオニン、D−グルタミン、D−プロリン及びD−フェニルアラニンからなるグループから選択される1種類又は2種類以上のアミノ酸が、腎臓病の病態指標値とすることができることが開示されており(特許文献1)、この文献では、試料に用いられる生物学的材料として、血液、血漿、尿などの体液と、糞便、汗、鼻汁等の排泄物、体毛、爪、皮膚組織、内臓組織などの体組織を挙げているが、実際に糞便中のD体のアミノ酸を診断マーカーとして用いたことについては、何ら示されていない。
国際公開第2013/140785号
Slocum, J. L.ら、Transl Res. 159:277 (2012) KDIGO 2012 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease, Kidney International Supplements 1 (2013) Fukushima,T.ら、Biol. Pharm. Bull. 18: 1130(1995) Nagata.Y Viva Origino Vol.18(No.2) (1990)第15回学術講演会講演要旨集 Ishidaら、北里医学 23:51〜62 (1993) Yong Huangら、Biol. Pharm. Bull. 21:(2)156-162(1998)
糸球体濾過量及び血清中クレアチニン濃度などの既存の腎不全の診断マーカーより早期から変動する腎不全の診断マーカーを同定し分析する技術、並びにそれにより、初期の腎不全を正確に判定、検査又は診断する技術の開発が望まれている。
本発明者らは、初期の腎不全を再現することができる早期腎障害の実験動物モデルを用いて、腎不全の早期診断マーカーを探索した。具体的には、腎動脈・静脈クリッピングを行い、虚血性腎障害をマウスに誘導した。この虚血性腎障害誘導マウスの腎臓組織において炎症が生じていることを確認できる一方で(図1及び2)、慣用される腎障害の診断マーカーの一つである血清クレアチニン濃度、KIM−1やNGALが変化しない軽度腎障害動物モデルを作成した。このような軽度の腎障害動物モデルにおいて、糞便中のD−アミノ酸が変化していることを見出した(図3及び4)。このようにして見出された糞便中のD−アミノ酸の変化が、腎障害と関与していることを確認し、本発明に至った。
さらに、本発明者らは、慢性腎不全患者群及び健常者群において、糞便中のアミノ酸についてD体及びL体を分けて計測したところ、健常者群に比較して慢性腎不全患者群では幾つかのキラルアミノ酸が有意に変動することを見いだし、本発明に至った。
したがって、本発明は糞便又は腸内容物の分析方法であって、
少なくとも1のアミノ酸のD体及び/又はL体の量を測定する工程、
前記少なくとも1種類のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量に基づき腎障害の病態指標値を算出する工程、
を含む、分析方法に関する。
本発明の別の態様では、糞便又は腸内容物を試料とする腎障害の検査方法であって、
少なくとも1のアミノ酸のD体及び/又はL体の量を測定する工程、
前記少なくとも1種類のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量に基づき腎障害の病態指標値を算出する工程、
腎障害の病態指標値と、腎障害の病態とを関連づける工程
をさらに含む、前記検査方法に関する。かかる検査方法は、予め決められた病態指標値の閾値に基づいて腎障害の病態を決定することができる。
さらに別の態様では、本発明の分析方法を実施することができる試料分析システムに関する。このような試料分析システムは、記憶部と、入力部と、分析測定部と、データ処理部と、病態情報出力部とを含んでおり、糞便又は腸内容物の試料を分析し、病態情報を出力することができる。
さらに別の態様では、本発明の試料分析システムにインストールされうるプログラム及び当該プログラムを格納する記憶媒体にも関する。
糞便又は腸内容物を試料とし、試料中のD−アミノ酸量、L体の量、又はD−アミノ酸量及びL−アミノ酸量に基づき算出された病態指標値は、血中クレアチニン等の既知の腎不全マーカーとは異なる作用機構により腎不全を検出できる。それにより、血中クレアチニンなどの既知マーカーよりも早期の腎不全を検出できる診断マーカーとして用いることができる可能性がある。また、試料として用いられる糞便又は腸内容物は、非侵襲的に、容易に取得できる。このように早期の腎不全を検出できる診断マーカーであること、及び容易に取得可能な試料であることから、診断において本発明の分析方法を採用することで、腎不全及び/又は腎障害の早期発見が可能になる。
図1Aは、腎障害誘導群のマウスの腎臓に対しPAM染色をすることにより、壊死細胞を染色して示す写真である。図1Bは、図1Aの図において壊死細胞の割合を測定し、対照群と比較したグラフである。 図2Aは、腎障害誘導群のマウスの腎臓に対しF4/80染色をすることにより、炎症細胞(マクロファージ及び単球)を染色して示す写真である。図2Bは、図2Aの図において炎症細胞の割合を測定し、対照群と比較したグラフである。 図3Aは、対照群(Sham)のマウスと、腎障害誘導後2日目及び10日目のマウスから採取された糞便中のDアミノ酸+Lアミノ酸の変動を示すグラフである。図3Bは、対照群のマウスと、腎障害誘導後2日目及び10日目のマウスから採取された糞便中のDアミノ酸の変動を示すグラフである。 図3Cは、対照群(Sham)のマウスと、腎障害誘導後2日目及び10日目のマウスから採取された糞便中のLアミノ酸の変動を示すグラフである。図3Dは、対照群のマウスと、腎障害誘導後2日目及び10日目のマウスから採取された糞便中のDアミノ酸/Lアミノ酸の比の変動を示すグラフである。 図3Eは、対照群(Sham)のマウスと、腎障害誘導後2日目及び10日目のマウスから採取された糞便中のDアミノ酸/(Dアミノ酸+Lアミノ酸)の比の変動を示すグラフである。 図3Fは、図3A〜3Eに示したデータ間の統計的有意差の評価結果である。表中「<LOQ」は定量限界以下であることを表す。 図4は、対照群(Sham)のマウスと、腎障害誘導後2日目及び10日目のマウスから採取された糞便中の、セリン、アルギニン、及びアラニンについての(A)Dアミノ酸、(B)Dアミノ酸/Lアミノ酸比、及び(C)Dアミノ酸/(Dアミノ酸+Lアミノ酸)の比の変動を示すグラフである。また血清中のDセリン、Dアルギニン、及びDアラニンの変動を示した(D)。 図5Aは、腎障害誘導マウスにおいて、野生群、無菌群、及び植菌群のマウスの腎臓に対しPAM染色をすることにより、壊死細胞を比較して示す写真である。図5Bは、図5Aの図において壊死細胞の割合を測定し、比較したグラフである。 図6Aは、腎障害誘導マウスにおいて、野生群、無菌群、及び植菌群のマウスの腎臓に対しF4/80染色をすることにより、炎症細胞(マクロファージ及び単球)を比較して示す写真である。図6Bは、図6Aの図において炎症細胞の割合を測定し、比較したグラフである。 図7Aは、腎障害誘導群のマウスの2日目及び10日目における腸内細菌叢のDNAを断片化後電気泳動した図である。図7Bは、腎障害誘導群のマウスの術後2日目及び10日目における腸内細菌の種類及び数を比較した図である。 図8は、本発明の試料分析システムの構成図である。 図9A−Bは、病態指標値を決定するための動作の例を示すフローチャートである。 図9C−Dは、病態指標値及び又は病態情報を決定するための動作の例を示すフローチャートである。 図10Aは、健常者と、慢性腎障害患者から採取された糞便中のDアミノ酸+Lアミノ酸(総アミノ酸)の量を示すグラフである。図10Bは、健常者と、慢性腎障害患者から採取された糞便中のLアミノ酸の量を示すグラフである。 図10Cは、健常者と、慢性腎障害患者から採取された糞便中のDアミノ酸の量を示すグラフである。図10Dは、健常者と、慢性腎障害患者から採取された糞便中のDアミノ酸/Lアミノ酸の比を示すグラフである。 図11は、慢性腎障害患者における推定糸球体濾過量(eGFR)と、糞便中の各アミノ酸との量との相関関係を調べた表である。相関係数が、0.7超の場合高い相関ということができ、0.4〜0.7の場合に相関があるということができ、0.2〜0.4の場合に低い相関があるということができる 図12は、L−Lys量についての、慢性腎障害患者と健常者における量を示すグラフ(A)、慢性腎障害患者と健常者におけるROC曲線を示すグラフ(B)、慢性腎障害患者における推定糸球体濾過量(eGFR)とL−Lys量との散布図(C)、及び慢性腎障害患者における血清クレアチニンとL−Lys量との散布図(D)を示す。 図13は、D−Lys量についての、慢性腎障害患者と健常者における量を示すグラフ(A)、慢性腎障害患者と健常者におけるROC曲線を示すグラフ(B)、慢性腎障害患者における推定糸球体濾過量(eGFR)とD−Lys量との散布図(C)、及び慢性腎障害患者における血清クレアチニンとD−Lys量との散布図(D)を示す。 図14は、D−Lys/L−Lys比についての、慢性腎障害患者と健常者における量を示すグラフ(A)、慢性腎障害患者と健常者におけるROC曲線を示すグラフ(B)、慢性腎障害患者における推定糸球体濾過量(eGFR)とD−Lys/L−Lys比との散布図(C)、及び慢性腎障害患者における血清クレアチニンとD−Lys/L−Lys比との散布図(D)を示す。
本発明に係る糞便又は腸内容物の分析方法は、以下の:
少なくとも1のアミノ酸のD体及び/又はL体の量を測定する工程、
前記少なくとも1種類のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量に基づき腎障害の病態指標値を算出する工程、
を含む。当該分析方法は、医師が診断を行うためのデータの提供を行うことができ、診断の予備的方法ということもできる。この分析方法は、腎障害の病態指標値と、腎障害の病態とを関連づける工程をさらに含んでいてもよい。このような分析方法は、分析会社や分析技術者により行われて、腎障害の病態と関連づけられた結果が提供されてもよい。
本発明において分析される試料は、糞便又は腸内容物である。したがって、排出された糞便であってもよいし、腸内に滞留している宿便であってもよい。腸内容物は、腸カテーテルにより採取することができ、糞便の他、腸内細菌叢を直接採取したものであってもよい。採取の簡便性や検査の容易性の観点から、検便により採取された糞便を試料として用いることが好ましい。採取された試料は、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ホウ酸ナトリウム水溶液、トリフルオロ酢酸などの溶媒中に溶解又は混合後、すぐに分析に供されてもよいし、常温下又は冷蔵下で貯蔵後に分析に供されてもよい。試料は、溶媒に溶解後、1回又は複数回濾過及び/又は沈殿を行うことで、不溶物を取り除いた後に、分析に供されてもよい。試料に供した糞便又は腸内容物の質量を計測しておくことで、単位試料質量あたりのアミノ酸量を計測することが可能になる。また、試料に供した糞便又は腸内容物の質量が計測できない場合には、試料を溶媒中に溶解後に、吸光度などを基準として、試料の量を一定にするようにさらに溶媒を加えて希釈することができる。試料の量を一定にして計測を行う場合、本発明におけるアミノ酸の量は、質量やモルで表されてもよいし、濃度で表されてもよい。
本発明において、腎不全マーカーとして用いられるアミノ酸は、立体異性体を有するアミノ酸である。より好ましくは、α−アミノ酸であり、さらにより好ましくはタンパク質構成アミノ酸である。かかるアミノ酸としては、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンが挙げられる。ここで、不斉炭素を二つ有するイソロイシン、スレオニンについては、アロ体が存在することから、L−イソロイシンの立体異性体としては、D-イソロイシン、D−アロ-イソロイシン、及びL−アロ-イソロイシンが挙げられ、L−スレオニンの立体異性体としては、D−スレオニン、D−アロ-スレオニン、及びL−アロ-スレオニンが挙げられる。本明細書において、イソロイシン及びスレオニンについては、「D体」は、D体のアミノ酸の他、Dアロ体のアミノ酸、及びLアロ体のアミノ酸から選択される1以上を用いるものとする。これらのアミノ酸のうちの少なくとも1のアミノ酸について、D体アミノ酸の量、L体アミノ酸の量、又はD体及びL体アミノ酸の量を測定し、測定値に基づき腎障害の病態指標値を算出することができる。アミノ酸は1つであってもよいし、複数、例えば2〜19のアミノ酸の組合せであってもよい。感度の高い病態指標値を得る観点から、アミノ酸は、セリン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、及びプロリンからなる群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸を用いることが好ましく、セリン、アルギニン、及びアラニンからなる群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸を用いることが好ましい。上述のアミノ酸は、早期腎障害の実験動物モデルを用いて選択されたアミノ酸であり、ヒトにおいても早期の腎障害のマーカーとなりうる。さらに別の態様では、ヒトの腎障害、特に慢性腎障害において感度の高い病態指標値を得る観点から、ヒスチジン、アスパラギン、アルギニン、アスパラギン酸、アロスレオニン、アラニン、プロリン、メチオニン、バリン、アロイソロイシン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、リジン、及びチロシンからなる群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸を用いることが好ましい。ヒトの腎障害、特に慢性腎障害において感度の高い病態指標値を得る観点から、ヒスチジン、アスパラギン、アルギニン、アスパラギン酸、アロスレオニン、アラニン、プロリン、バリン、アロイソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、及びリジンがより好ましく、最も好ましくはヒスチジン、アロスレオニン、及びリジンが使用される。腎障害急性期又は虚血を原因とする腎障害の病態指標値を得る観点から、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、リジン及びプロリンが使用される。
本発明の一の態様では、推定糸球体濾過量(eGFR)との相関性の観点から、D+L−ヒスチジン、D+L−アロ−スレオニン、D+L−アスパラギン、D+L−アルギニン、D+L−アロイソロイシン、D+L−フェニルアラニン、D+L−アスパラギン酸、D+L−メチオニン、D+L−バリン、D+L−イソロイシン、D+L−ロイシン、D+L−リジン、D+L−チロシン、L−ヒスチジン、L−アスパラギン、L−アルギニン、L−フェニルアラニン、L−リジン、L−アスパラギン酸、L−アラニン、L−メチオニン、L−バリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−チロシン、D−ヒスチジン、D−アロスレオニン、D−リジン、D−アロイソロイシン、D−ロイシン、D−フェニルアラニン、D/L−ヒスチジン、D/L−リジン、D/L−アスパラギン酸、D/L−アラニン、D/L−プロリン、D/L−バリン、及びD/L−フェニルアラニンからなる群から選ばれる少なくとも1を、病態指標値として用いることができる(|r|>0.2)。eGFRとの相関性がより高い(|r|>0.4)という観点から、D+L−ヒスチジン、D+L−アロ−スレオニン、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、D−アロスレオニン、D−リジン、D/L−ヒスチジン、及びD/L−リジン、D+L−アスパラギン、D+L−アルギニン、D+L−アロイソロイシン、及びD+L−フェニルアラニン、L−アスパラギン、L−アルギニン、L−フェニルアラニン、L−リジン、D−アロイソロイシン、D−ロイシン、D−フェニルアラニン、D/L−アスパラギン酸、D/L−アラニン、D/L−プロリン、D/L−バリン、及びD/L−フェニルアラニンからなる群から選ばれる少なくとも1を、病態指標値として用いることがより好ましい。eGFRとの相関性がより高い(|r|>0.7)という観点から、D+L−ヒスチジン、D+L−アロ−スレオニン、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、D−アロスレオニン、D−リジン、D/L−ヒスチジン、及びD/L−リジンからなる群から選ばれる少なくとも1を、病態指標値として用いることがさらにより好ましい。なお、本発明において、D+L−アミノ酸は、アミノ酸のD体とL体の合計を意味し、D/L−アミノ酸は、D体とL体の比を意味する。
本発明における試料中のD−アミノ酸量の測定は、当業者に周知ないかなる方法を用いて実施しても構わない。例えば、予めo−フタルアルデヒド(OPA)、N−tert−ブチルオキシカルボニル−L−システイン(Boc−L−Cys)その他の修飾試薬で立体異性特異的にD−及びL−アミノ酸を誘導体化し、その後、ODS−80TsQAのような分析カラムを用いて100mMの酢酸塩緩衝液(pH6.0)とアセトニトリルの混液をグラジエント溶離して分離する方法が、アミノ酸のD−体及びL−体の同時測定に用いることができる。また、予め4−フルオロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾキサジアゾール(NBD−F)のような蛍光試薬でD−及びL−アミノ酸を誘導体化し、その後、ODS−80TsQA、Mightysil RP−18GP等のような分析カラムを用いて立体異性非特異的に各アミノ酸を分離した後、Pirkle型キラル固定相カラム(例えばSumichiral OA−2500S又はR)を用いて光学分割する方法が、タンパク質を構成するアミノ酸の微量測定に用いることができる(浜瀬健司及び財津潔、分析化学、53巻、677−690(2004))。本明細書における光学分割カラム系は、少なくとも光学分割カラムを用いる分離分析系をいい、光学分割カラム以外の分析カラムによる分離分析を含む場合がある。より具体的に、光学異性体を有する成分を含む試料を、移動相としての第一の液体と共に、固定相としての第一のカラム充填剤に通じて、前記試料の前記成分を分離するステップ、前記試料の前記成分の各々をマルチループユニットにおいて個別に保持するステップ、前記マルチループユニットにおいて個別に保持された前記試料の前記成分の各々を、移動相としての第二の液体と共に、固定相としての光学活性中心を有する第二のカラム充填剤に流路を通じて供給し、前記試料の成分の各々に含まれる前記光学異性体を分割するステップ、及び前記試料の成分の各々に含まれる前記光学異性体を検出するステップを含むことを特徴とする光学異性体の分析方法を用いることにより、試料中のD-/L-アミノ酸濃度を測定することができる(特許第4291628号)。代替的には、アミノ酸の光学異性体を識別するモノクローナル抗体、例えばD−ロイシン、D−アスパラギン酸等に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いる免疫学的手法によってD−アミノ酸を定量することができる(特願2008−27650明細書)。
本発明において、腎障害とは、腎臓に生じる障害の全てを指し、腎不全のみならず、腎不全には至っていない変化を含む。腎不全とは、腎機能が正常時より低下した状態であり、通常の意味で用いられる腎臓の障害の全てを含むものとする。限定されるものではないが、一般的に腎不全とは、腎機能が正常時の30%を下回った状態をいい、急性腎不全と慢性腎不全に大別される。腎機能が低下する原因としては、免疫系の異常や薬に対するアレルギー、高血圧、糖尿病や、出血や急激な血圧低下、感染症、熱傷に伴う脱水など複数の因子があげられる。急性腎不全(AKI)は、RIFLE分類、AKIN分類、KDIGO分類といった病期の分類が提唱されており、急性腎不全を、Risk(ステージ1)、Injury(ステージ2)、Failure(ステージ3)、さらには持続期間に応じてLossとEnd stage kidney diseaseに分類した。これらの分類は、どれも血清クレアチニンの量と尿量とを指標としており、例えばRisk(ステージ1)では、血清クレアチニンがベースラインから1.5〜2.0倍に上昇すること又は0.5ml/kg/時未満の尿量が6時間以上であること、Injury(ステージ2)では、血清クレアチニンがベースラインから2.0〜3.0倍に上昇すること又は0.5ml/kg/時未満の尿量が12時間以上であること、Failure(ステージ3)では、血清クレアチニンがベースラインから3.0倍以上に上昇すること又は0.3ml/kg/時未満の尿量が24時間以上であることを判断基準としている。一方で、これらの分類は、他の指標、例えばGFRの変化量を併用することでより正確に急性腎不全の分類を可能にする。慢性腎不全(CKD)は、日本腎臓学会のガイドライン(2009)で病期ステージ1(腎障害を有するが腎機能は正常、eGFR≧90)〜ステージ5(腎不全、eGFR<15)の診断基準が示されている。ここで指標となっている推算糸球体濾過量(eGFR)は血清クレアチニン値と年齢、性別より算出されるもので腎臓が老廃物を尿に排出する能力を示している。本発明の分析・検査方法では、これまでの腎機能マーカーよりも高感度で腎機能の低下を検出することが可能になる。したがって、従前のマーカーでは腎不全に分類されなかったようなより早期の腎障害のリスク群に分類することも可能になり、例えば、上述の原因のようなAKI、CKDの危険因子を有するが、血清クレアチニンやGFRにおいて明確な変動の見られないリスク群においても腎機能の低下を検出することが可能になる。特に、早期腎障害の実験動物モデルを用いて選択されたアミノ酸については、ヒトにおいて、より早期の腎障害のマーカーとなりうる。
本発明において腎障害の病態指標値の算出は、アミノ酸のD体の量及び/又はL体の量に基づいて行われる。また別の態様では、アミノ酸のD体及びL体の量に基づいて病態指標値が算出されることができる。
本明細書において、病態指標値とは、個々のバイオマーカー分子の量であってもよいし、複数のバイオマーカーの量に基づいて計算可能な数値をいう。本明細書において用いられる病態指標値は、あるアミノ酸のD体の量であってもよいし、L体の量であってもよいし、あるアミノ酸とその立体異性体との量の比、例えば、あるアミノ酸のL体の量に対するD体の量の比と、あるアミノ酸のD体の量に対するL体の量の比と、D体及びL体の量の和に対するD体の量の比であってもよい。病態指標値として、あるアミノ酸の立体異性体との量比を用いた場合、試料の量や体積による補正が不要になるという利点がある。病態指標値の算出には、腎障害の診断マーカーとして用いられる限りにおいて、任意の定数や年齢、体重、性別、BMI、eGFRなど、キラルアミノ酸量に影響しうる任意の変数を加算、減算、積算、及び/又は除算してもよい。
本発明の分析方法及び検査方法では、予め健常者群及び腎障害の患者群において測定された病態指標値に基づいて決定された病態指標基準値に基づき、被検体の病態指標値と、腎障害の病態と関連づけることができる。当該病態指標基準値は、閾値であってもよい。当業者であれば、健常者群や腎不全患者群の病態指標値から、閾値を適宜設定することができる。閾値としては、例えば健常者群又は腎不全患者群の平均値、中央値、Xパーセンタイル値を使用することができるがこれらに限定されるものではない。ここでXは任意の数値を選択することができ、3、5、10、15、20、30、40、60、70、80、85、90、95、97を適宜使用することができる。閾値は1つであってもよいし、腎不全の種類(急性、慢性)や原因(例えば、薬剤性腎症、糖尿病性腎症、IgA腎症、膜性腎症、腎硬化症など)、状態(早期、中期、後期)、並びに使用するアミノ酸若しくはその組合せに応じて複数設定することもでき、重篤度に応じて病態を分類することもできる。予め設定された閾値と、被験者の病態指標値とを比較することにより、被験者の腎不全の病態を判定、決定又は診断することが可能になる。さらに別の態様では、健常者群と各ステージの腎障害の患者群との間でROC解析を行うことで、閾値(カットオフ値)を決定することもできる。
本発明の別の態様では、本発明は、糞便又は腸内容物を試料とする腎障害の検査方法に関する。この検査方法は、以下の工程を含む:
タンパク質構成アミノ酸のうちの少なくとも1のアミノ酸のD体及び/又はL体の量を測定する工程、
前記少なくとも1種類のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量に基づき腎障害の病態指標値を算出する工程、
腎障害の病態指標値と、腎障害の病態とを関連づける工程をさらに含む。本発明の検査方法は、分析会社や分析技術者により行われて、腎障害の病態と関連づけられた結果が提供されてもよい。検査方法において用いられる試料、関連づけられる腎障害の病態、行われる各工程は、分析方法において定義されたものと同じであってよい。
図8は、本発明の試料分析システムの構成図である。図8に示す本発明の試料分析システム10は、本発明の分析方法及び検査方法を実施することができるように構成される。このような試料分析システム10は、記憶部11と、入力部12、分析測定部13と、データ処理部14と、出力部15とを含んでおり、糞便又は腸内容物の試料を分析し、病態情報を出力することができる。より具体的に、本発明の試料分析システム10において、
記憶部11は、入力部12から入力された腎障害を判別するための病態指標値の閾値を記憶し、
分析測定部13は、前記被検体の糞便又は腸内容物中のタンパク質構成アミノ酸のうちの少なくとも1のアミノ酸のアミノ酸立体異性体を分離定量し、
データ処理部14は、前記少なくとも1のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量に基づき腎障害の病態指標値を算出し、
データ処理部14は、記憶部11に記憶された閾値と比較することにより、腎障害の病態情報を判別し、
出力部15が被検体の腎障害についての病態情報を出力することができる。
記憶部11は、RAM、ROM、フラッシュメモリ等のメモリ装置、ハードディスクドライブ等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置などを有する。記憶部は、分析測定部で測定したデータ、入力部から入力されたデータ及び指示、データ処理部で行った演算処理結果等の他、情報処理装置の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベースなどを記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体や、インターネットを介してインストールされてもよい。コンピュータプログラムは、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部にインストールされる。
入力部12は、インターフェイス等であり、キーボード、マウス等の操作部も含む。これにより、入力部は、分析測定部13で測定したデータ、データ処理部14で行う演算処理の指示等を入力することができる。また、入力部12は、例えば分析測定部13が外部にある場合は、操作部とは別に、測定したデータ等をネットワークや記憶媒体を介して入力することができるインターフェイス部を含んでもよい。
分析測定部13は、溶媒に懸濁された糞便又は腸内容物の試料におけるアミノ酸のD体及びL体の量の測定工程を行う。したがって、分析測定部13は、アミノ酸のD体及びL体の分離及び測定を可能にする構成を有する。アミノ酸は、1つずつ分析されてもよいが、一部又は全ての種類のアミノ酸についてまとめて分析することができる。分析測定部13は、以下のものに限定されることを意図するものではないが、例えば試料導入部、光学分割カラム、検出部を備えた高速液体クロマトグラフィーシステムであってもよい。分析測定部13は、試料分析システムとは別に構成されていてもよく、測定したデータ等をネットワークや記憶媒体を用いて入力部12を介して入力してもよい。
データ処理部14は、測定された各アミノ酸のD体、又はD体及びL体の量から、腎障害の病態指標値を算出し、そして記憶部11に記憶された閾値と比較することにより、腎障害を判別するように構成される。データ処理部14は、記憶部に記憶しているプログラムに従って、分析測定部13で測定され記憶部11に記憶されたデータに対して、各種の演算処理を実行する。演算処理は、データ処理部に含まれるCPUによりおこなわれる。このCPUは、分析測定部13、入力部12、記憶部11、及び出力部15を制御する機能モジュールを含み、各種の制御を行うことができる。これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェアなどで構成されてもよい。
出力部15は、データ処理部で演算処理を行った結果である病態指標値及び/又は病態情報を出力するように構成さる。出力部15は、演算処理の結果を直接表示する液晶ディスプレイ等の表示装置、プリンタ等の出力手段であってもよいし、外部記憶装置への出力又はネットワークを介して出力するためのインターフェイス部であってもよい。
図9A−Bは、本発明のプログラムによる病態指標値を決定するための動作の例を示すフローチャートであり、図9C−Dは、本発明のプログラムによる病態指標値及び又は病態情報を決定するための動作の例を示すフローチャートである。
具体的に、本発明のプログラムは、入力部、出力部、データ処理部、記憶部とを含む情報処理装置に病態指標値及び/又は病態情報を決定させるプログラムである。本発明のプログラムは、以下の:
入力部から入力された少なくとも1のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量の値を記憶部に記憶させ、
記憶部に記憶された値に基づきデータ処理部に病態指標値を算出させ、
算出された病態指標値を記憶部に記憶させ、そして
記憶された病態指標値を出力部に出力させる
ことを前記情報処理装置に実行させるための指令を含む。本発明のプログラムは、記憶媒体に格納されてもよいし、インターネット又はLAN等の電気通信回線を介して提供されてもよい。
情報処理装置が、分析測定部を備える場合、入力部から少なくとも1のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量の値を入力させる代わりに、分析測定部が、糞便試料から当該値を測定し記憶部に記憶させることを情報処理装置に実行させるための指令を含んでもよい。
病態情報の決定には、さらに、
記憶された病態指標値と、予め記憶部に記憶された閾値とをデータ処理部に比較させることで、腎障害の病態を判別させ、
判別された病態情報を記憶部に記憶させ、そして
記憶された病態情報を出力部に出力させる
ことを情報処理装置に実行させるための指令を含んでもよい。
本発明において、被験者は、ヒトに限定されず、実験動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、サルなどを包含しうる。したがって、被験者は、被検体として表されてもよい。
本発明の分析方法は、慢性及び/又は急性腎不全の診断方法のための予備的なデータを収集するために使用することができる。このような予備的データを用いて医師が慢性及び/又は急性腎不全診断することができるが、かかる分析方法は、医師ではない医療補助者などにより行われてもよいし、分析機関などが行うこともできる。したがって、本発明の分析方法は、診断の予備的方法と言うこともできる。
本発明の分析方法及び検査方法の結果を参照し、さらに治療方針を決定することができる。以下のものに限定されるものではないが、例えば慢性腎不全と判定された場合には、生活習慣の改善、食事指導、血圧管理、血糖値管理、脂質管理などの治療をさらに行うことが必要となる。生活習慣の改善としては、例えば禁煙やBMI値の低下のための運動が推奨される。食事指導として、高血圧の改善を目的として塩分摂取の低下が推奨される。血圧管理としては、高血圧の改善を目的として、ACE阻害剤やARBの投与が推奨される。血糖値管理としては、HbA1cの低下を目的として、インスリン投与が推奨される。脂質管理としては、LDLコレステロールの低下を目的として、高脂血症薬の投与が推奨される。これらの治療方針は、キラルアミノ酸量に基づいて、医師との問診を受けた上で決定される。したがって、本発明の別の態様では、本発明の分析方法及び検査方法を実施し、さらに腎障害の治療行うことを含む、腎障害の治療方法に関する。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
材料及び方法
研究倫理
全ての実験は施設のガイドラインに従って実施され、該施設の動物実験委員会の承認を得て行われた。
材料
アミノ酸のエナンチオマー及びHPLC級のアセトニトリルはナカライテスク(京都)から購入された。HPLC級のメタノール、トリフルオロ酢酸、ホウ酸等は和光純薬(大阪)から購入された。水はMill−QグラジエントA10システムを用いて精製された。
腎動脈・静脈クリッピングによる軽度急性腎障害動物モデルの作成
6週齢のC57BL/6JJic雄マウス(日本クレア)に、麻酔下で皮膚及び腹膜を切開した。腎動脈及び静脈クリッピングを40分間行い、その間37℃のヒートプレート上で保温した。クリッピングを外し、腹膜及び皮膚を縫合した。腎動脈及び静脈クリッピングにより、虚血性腎障害が誘導された。虚血性腎障害の誘導に供した腎障害誘導群と、偽手術のみを行った対照群を実験に用いた。
虚血性腎障害についての組織切片の評価
虚血性腎障害の誘導後2日目に、マウスを屠殺し、腎臓組織を回収した。回収した腎臓組織に対し、固定処理を行った。固定された腎臓組織から切片を取得し、PAS染色を行った。さらに別の切片に対しF4/80染色を行った。PAS染色結果を図1(A)に示す。図1Aの染色結果に基づいて壊死細胞の割合を評価した。その結果を図1(B)のグラフに示す。F4/80染色結果を図2(A)に示す。図2(A)の染色結果に基づいて壊死細胞の割合を評価した。その結果を図2(B)のグラフに示す。
虚血性腎障害のマーカーによる評価
虚血性腎障害の誘導後2日目に、マウスから採血及び採尿を行った。採血された血液試料をベクトン・ディッキンソン(BD)マイクロテーナー中で1500×g、10分間遠心により血清を分離した。血清クレアチニンは、FujiDRI−CHEM4000システム(富士フィルム、東京)を用いて測定された。次に、尿中のKIM−1及びNGALを、R&Dシステムズ社製のマウスELISAキットを用いて定量した。
これらの結果により、本実施例で行った腎動脈・静脈クリッピングは、従来の腎不全マーカーでは感知できない程度の腎障害を誘導していることが示された。
軽度急性腎障害動物モデルにおける、糞便試料のアミノ酸分析
虚血性腎障害の誘導後2日目、及び10日目の対照群(Sham)及び腎障害誘導群のマウスの大腸から採取された糞便をメタノールに溶解し、財津らが開発したD、L−アミノ酸一斉高感度分析システム(特許第4291628号)によるアミノ酸立体異性体分析系に供した。各アミノ酸の分析条件の詳細は、MiyoshiY.、ら、J.Chromatogr.B, 879:3184(2011)及びSasabe,J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、109:627(2012)に説明される。簡潔には、糞便中のアミノ酸は、NBD−F(4−フルオロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール、東京化成工業株式会社)で誘導体化され、HPLCシステム(NANOSPACE SI−2、株式会社資生堂、の補足情報を参照せよ。)に供された。簡潔には、逆相分離用分析カラムは、自社製のモノリシックODSカラム(内径0.53mm×500mm)が用いられた。蛍光検出は、励起波長470nm、検出波長530nmで実行された。逆相分離の後、光学分割カラムに移された。エナンチオマー分離には、キラルセレクターとして(S)−ナフチルグリシンを用いるスミキラルOA−2500Sカラム(1.5mm×250mm、自家充填、材料は株式会社住化分析センター製)が使用された。各アミノ酸についての、総アミノ酸量、D−アミノ酸量、L−アミノ酸量、D/Lアミノ酸比、D/(D+L)アミノ酸比を、それぞれ図3A〜Eに示す。
統計処理
本明細書及び図面に記載の全ての数値は、平均±標本平均の標準誤差(SEM)で表示される。実験の統計学的解析には、ステューデントのt両側検定、一元配置分散分析(one way ANOVA)、テューキーの多重比較検定(Tukey’s multiple comparison test)等の統計学的手法が利用された。また、これらの検定におけるP値が0.05未満のとき、有意性があると評価された。全ての解析はPrism5(GraphPad Software、カリフォルニア州、ラホヤ)が用いられた。
結果
D−アミノ酸量の変化
糞便におけるD−アミノ酸量の変化についての分析結果を図3Bに示す。対照群(Sham)に比較して、腎障害誘導群でD−アミノ酸含量の有意な変化が見られたのは、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン及びプロリンであった。このうち、セリンとプロリンでは、対照群(Sham)と比較して、術後2日目及び10日目の両方で高く、2日目より10日目の方が高かった。アスパラギン酸とアラニンでは、対照群(Sham)と比較して、術後2日目で低下するものの、10日目では対照群よりも高かった。グルタミン酸では、2日目では変化が見られないものの、10日目で増加した。変化のパターンは一定ではないものの、セリン、アスパラギン酸、アラニン、プロリンについては、腎障害極期の2日目で差が出ており、軽度の腎障害の検出マーカーとして機能しうる。より詳細に解析すると、セリン及びプロリンでは、2日目でD体が増加していることから、糞便又は腸内容物においてこれらのD−アミノ酸が、閾値よりも高い場合に、軽度の腎障害と判定することが可能になる。また、アスパラギン酸及びアラニンでは、腎障害極期の2日目で減少していることから、糞便又は腸内容物においてこれらのD−アミノ酸が、閾値よりも低い場合に、軽度の腎障害と判定することが可能になる。しかしながら、母数を増やすことで、有意差の有無が変化する可能性があり、その場合、本発明において軽度の腎障害の検出に用いることができるため、必ずしも上で列挙したアミノ酸に限定されることを意図するものではない。
D−アミノ酸/L−アミノ酸比の変化
糞便におけるD−アミノ酸/L−アミノ酸比の変化についての分析結果を図3Dに示す。対照群(Sham)に比較して、腎障害誘導群でD−アミノ酸/L−アミノ酸比の有意な変化が見られたのは、セリン、アルギニン、及びアスパラギン酸であった。このうち、セリンとアルギニンでは、対照群と比較して、術後2日目及び10日目の両方で高く、2日目より10日目の方が高かった。一方、アスパラギン酸では、対照群(Sham)と比較して、術後2日目及び10日目の両方で低く、2日目と10日目にはほとんど差がなかった。より詳細に解析すると、セリン及びアルギニンでは、2日目でD体/L体比が増加していることから、糞便又は腸内容物においてこれらのアミノ酸のD体/L体比が、閾値よりも高い場合に、軽度の腎障害と判定することが可能になる。また、アスパラギン酸では、腎障害極期の2日目で減少していることから、糞便又は腸内容物においてこれらのD−アミノ酸が、閾値よりも低い場合に、軽度の腎障害と判定することが可能になる。しかしながら、母数を増やすことで、有意差の有無が変化する可能性があり、その場合、本発明において軽度の腎障害の検出に用いることができるため、必ずしも上で列挙したアミノ酸に限定されることを意図するものではない。特にD体/L体比では、有意差はでていないものの、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、バリン、ロイシンにおいて、腎障害極期の2日目で対照とは異なる動きをしていることから、軽度腎障害の診断に有用でありうる。
D−アミノ酸/(D−アミノ酸+L−アミノ酸)比の変化
糞便におけるD−アミノ酸/(D−アミノ酸+L−アミノ酸)比の変化についての分析結果を図3Eに示す。また、図3A〜3Eに示したデータ間の統計的有意差を評価した。その結果を図3Fの表に示す。
マーカーとして特に有用と考えられたセリン、アルギニン、及びアラニンについて、糞便中のD−アミノ酸量、D/Lアミノ酸比、及びD/(D+L)アミノ酸比の変化についての分析結果を図4(A)〜(C)に示す。図4(D)には、参考として、これらのアミノ酸について、血中でのD体の変動を示した。
腸内細菌と炎症との関係
上述の軽度急性腎障害動物モデルにおいて、虚血再還流に供するマウスを、通常の条件下で飼育された野生群、無菌下での飼育された無菌群、及び無菌下で飼育された後に、植菌された植菌群に分けた。通常の条件下で飼育し、偽手術を行ったマウスを対照群とした。虚血性腎障害の誘導後2日目に、マウスを屠殺し、腎臓組織を回収した。回収した腎臓組織に対し、固定処理を行った。固定された腎臓組織から切片を取得し、PAS染色を行った。さらに別の切片に対しF4/80染色を行った。PAS染色結果を図5(A)に示す。図5Aの染色結果に基づいて壊死細胞の割合を評価した。その結果を図5(B)に示す。F4/80染色結果を図6(A)のグラフに示す。図6(A)の染色結果に基づいて壊死細胞の割合を評価した。その結果を図6(B)のグラフに示す。
軽度腎障害による腸内細菌の変化
対照群(Sham)及び腎障害誘導群において、術後2日目及び10日目に腸内細菌叢を取得し、RAPD−PCRを行った。PCR後のバンドについて電気泳動を行った結果を図7Aに示す。また、術後2日目及び10日目で取得した腸内細菌叢を、培養することにより、含まれる細菌の種類及び数を決定した(図7B)。
結果
図5及び6の結果により、無菌群では、軽度腎障害に対して、炎症を誘導しやすくなる一方で、腸内に植菌することで炎症性を低下させることができた。したがって、腸内細菌と、腎障害における炎症とが関係性を有することが示された。
図7では、虚血再還流を行った野生群と、偽手術を行った対照群とでは、RAPD−PCRのバンドパターンが変化しており(図7A)、含まれる細菌数及び/又は種類に変化が生じたことが示された。また、図7Bの結果から、術後2日目において、一部の細菌について、有意に数が変化しており、10日目では、有意差はないものの、その細菌の数の違いが現れることが示された。
これにより、軽度の腎障害であっても、腸内細菌の種類や数を変化させることが示された。理論により制限されることを意図するものではないが、糞便中のDアミノ酸は、腸内細菌により産生されるものと考えられることから、腎障害が、腸内細菌の数や種類を変化させ、その結果としてD−アミノ酸の量が変化すると考えられる。これにより糞便中のD−アミノ酸の変化を調べることで、腎障害を鋭敏に感知できると考えられる。
実施例2
材料及び方法
研究倫理
本発明者らは、金沢大学附属病院において、8名の慢性腎不全患者及び3名健常者の糞便試料及び血液試料を取得した。これらの被験者に対し、インフォームドコンセントを取得し、金沢大学医学倫理審査委員会により承認された試験に従って実験を行った。
材料
アミノ酸のエナンチオマー及びHPLC級のアセトニトリルはナカライテスク(京都)から購入された。HPLC級のメタノール、トリフルオロ酢酸、ホウ酸等は和光純薬(大阪)から購入された。水はMill−QグラジエントA10システムを用いて精製された。
8名の慢性腎不全患者及び3名健常者のから採取された糞便をメタノールに溶解し、財津らが開発したD、L−アミノ酸一斉高感度分析システム(特許第4291628号)によるアミノ酸立体異性体分析系に供した。各アミノ酸の分析条件の詳細は、MiyoshiY.、ら、J.Chromatogr.B, 879:3184(2011)及びSasabe,J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、109:627(2012)に説明される。簡潔には、糞便中のアミノ酸は、NBD−F(4−フルオロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール、東京化成工業株式会社)で誘導体化され、HPLCシステム(NANOSPACE SI−2、株式会社資生堂、の補足情報を参照せよ。)に供された。簡潔には、逆相分離用分析カラムは、自社製のモノリシックODSカラム(内径0.53mm×500mm)が用いられた。蛍光検出は、励起波長470nm、検出波長530nmで実行された。逆相分離の後、光学分割カラムに移された。エナンチオマー分離には、キラルセレクターとして(S)−ナフチルグリシンを用いるスミキラルOA−2500Sカラム(1.5mm×250mm、自家充填、材料は株式会社住化分析センター製)が使用された。各アミノ酸についての、総アミノ酸量、L−アミノ酸量、D−アミノ酸量、及びD/Lアミノ酸比を、それぞれ図10A〜Dに示す。
8名の慢性腎不全患者及び3名健常者のから採取された血液試料中の血清クレアチニンを酵素方法により計測した。計測された血清クレアチニン値と年齢に基づいて推定糸球体濾過量(eGFR)を決定した。eGFRの決定式は以下の通りである:
{式中、年齢の単位は年であり、SCrの単位はmg/dLであり、そして糸球体濾過量(GFR)の単位は、mL/min/1.73m2体表面である}。
女性患者には、数式の計算値に補正係数0.739をかけた。
被験者のeGFR値と、20種類の各アミノ酸についてD-アミノ酸及びL-アミノ酸の合計量、L−アミノ酸量、D−アミノ酸量、及びDアミノ酸/Lアミノ酸比との間の相関係数を測定した。その結果を図11に示す。
D−アミノ酸及びL−アミノ酸の合計量については、ヒスチジン、アロ−スレオニンにおいて高い相関が見られ(|r|>0.7)、アスパラギン、アルギニン、アロイソロイシン、及びフェニルアラニンにおいて相関が見られ(|r|>0.4)、そしてアスパラギン酸、メチオニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、及びチロシンにおいて低い相関がみられた(|r|>0.2)。
L−アミノ酸の量については、ヒスチジンにおいて高い相関が見られ(|r|>0.7)、アスパラギン、アルギニン、フェニルアラニン、及びリジンにおいて相関が見られ(|r|>0.4)、そしてアスパラギン酸、アラニン、メチオニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、及びチロシンにおいて低い相関がみられた(|r|>0.2)。
D−アミノ酸の量については、ヒスチジン、アロスレオニン、及びリジンにおいて高い相関が見られ(|r|>0.7)、アロイソロイシン、ロイシン、及びフェニルアラニンにおいて相関が見られた(|r|>0.4)。
Dアミノ酸/Lアミノ酸比については、ヒスチジン、及びリジンにおいて高い相関が見られ(|r|>0.7)、アスパラギン酸、アラニン、プロリン、バリン、及びフェニルアラニンにおいて相関が見られた(|r|>0.4)。
eGFRと正の相関又は負の相関が見られたアミノ酸については、腎不全の診断マーカーとして使用できる。相関が高いほど、腎不全の診断に有用であると考えられる。
L−リジン量(L−Lys)、D−リジン量(D−Lys)、及びD−リジン/L−リジン(D/L−Lys)比について、それぞれ健常者及び慢性腎不全患者を分けてプロットした(図12A〜図14A)。また健常者及び慢性腎不全患者におけるL−リジン量、D−リジン量、及びD−リジン/L−リジン比に基づき、ROC解析を行い、ROC曲線を得た(図12B〜図14B)。慢性腎不全患者におけるの合計量、L−リジン量、D−リジン量、及びD−リジン/L−リジン比と、推定糸球体濾過量(eGFR)をプロットして散布図を作成し相関係数を調べた(図12C〜図14C)。慢性腎不全患者におけるD−リジン及びL−リジンの合計量、L−リジン量、D−リジン量、及びD−リジン/L−リジン比と、血清クレアチニン値をプロットして散布図を作成し相関係数を調べた(図12D〜図14D)。
L−Lysと、eGFRや血清クレアチニンとの相関性は低かった(図12C及びD)。また、L−Lysについての慢性腎不全患者の診断能に関するROC解析の結果、AUC=0.375であり、診断能も低かった。そのカットオフ値は781.4nmol/gであった(図12B)。
D−Lysと、eGFRや血清クレアチニンとの相関性は高かった(図13C及びD)。また、D−Lysについての慢性腎不全患者の診断能に関するROC解析の結果、AUC=0.938であり、診断能が極めて高く、そのカットオフ値は24.2nmol/gであった(図13B)。
D/L−Lysと、eGFRや血清クレアチニンとの相関性は高かった(図14C及びD)。また、D/L−Lysについての慢性腎不全患者の診断能に関するROC解析の結果、AUC=0.938であり、診断能が極めて高く、そのカットオフ値は24.2であった(図14B)。
ROC曲線に基づき、カットオフ値を算出することができ、L−Lysの場合、781.4nmol/g、D−Lysの場合24.2nmol/g、D/L−Lysの場合24.2をカットオフ値とすることで、高い感度で慢性腎不全患者を判別することができる(図12B〜図14B)。

Claims (23)

  1. 糞便又は腸内容物の分析方法であって、アミノ酸のうちの少なくとも1のアミノ酸のD体及び/又はL体の量を測定する工程、
    前記少なくとも1種類のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量に基づき腎障害の病態指標値を算出する工程、
    を含む、分析方法。
  2. 前記腎障害の病態指標値が、前記少なくとも1のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の合計量である、請求項1に記載の分析方法。
  3. 前記腎障害の病態指標値が、前記少なくとも1のアミノ酸のD体及びL体の量の和に対するD体の量の比、D体の量に対するL体の量の比、又はL体の量に対するD体の量の比である、請求項1に記載の分析方法。
  4. 前記少なくとも1のアミノ酸が、セリン、グルタミン酸、ヒスチジン、アスパラギン、アルギニン、アスパラギン酸、アロスレオニン、アラニン、プロリン、メチオニン、バリン、アロイソロイシン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、リジン、及びチロシンからなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分析方法。
  5. 前記分析方法が、腎障害の病態指標値と、腎障害の病態とを関連づける工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分析方法。
  6. 前記少なくとも1のアミノ酸が、ヒスチジン、アスパラギン、アルギニン、アスパラギン酸、アロスレオニン、アラニン、プロリン、メチオニン、バリン、アロイソロイシン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、リジン、及びチロシンからなる群から選ばれる場合、腎障害が慢性腎障害である、請求項5に記載の分析方法。
  7. 前記少なくとも1のアミノ酸が、ヒスチジン、アロスレオニン、及びリジンからなる群から選ばれる、請求項6に記載の分析方法。
  8. 前記少なくとも1のアミノ酸が、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、リジン、アルギニン及びプロリンからなる群から選ばれる場合、腎障害が腎障害急性期又は虚血を原因とする腎障害である、請求項5に記載の分析方法。
  9. 腎障害の病態指標値と、腎障害の病態とを関連づける工程が、健常者群の病態指標値及び腎障害の患者群の病態指標値とから決定される病態指標基準値に基づき決定される、請求項5〜8のいずれか一項に記載の分析方法。
  10. 腎障害の病態指標値と、腎障害の病態とを関連づける工程が、対象の病態指標値を、カットオフ値と比較することにより決定される、請求項5〜8のいずれか一項に記載の分析方法。
  11. 前記カットオフ値が、ROC曲線分析により予め決定される、請求項10に記載の分析方法。
  12. 糞便又は腸内容物を試料とする腎障害の検査方法であって、
    アミノ酸のうちの少なくとも1のアミノ酸のD体及び/又はL体の量を測定する工程、
    前記少なくとも1種類のアミノ酸のD体の量、L体の量、D体及びL体の量に基づき腎障害の病態指標値を算出する工程、
    腎障害の病態指標値と、腎障害の病態とを関連づける工程をさらに含む、前記検査方法。
  13. 前記腎障害の病態指標値が、前記少なくとも1のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の合計量である、請求項10に記載の検査方法。
  14. 前記腎障害の病態指標値が、前記少なくとも1のアミノ酸のD体及びL体の量の和に対するD体の量の比、D体の量に対するL体の量の比、又はL体の量に対するD体の量の比である、請求項10に記載の検査方法。
  15. 記憶部と、入力部と、分析測定部と、データ処理部と、病態情報出力部とを含む、被検体の糞便又は腸内容物の試料分析システムであって、
    前記記憶部は、入力部から入力された腎障害と判別する病態指標値の閾値を記憶し、
    前記分析測定部は、前記被検体の糞便又は腸内容物中のアミノ酸のうちの少なくとも1のアミノ酸のアミノ酸立体異性体を分離し定量し、
    前記データ処理部は、前記少なくとも1のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の量に基づき腎障害の病態指標値を算出し、
    前記データ処理部は、記憶部に記憶された閾値と比較することにより、腎障害を判別し、
    前記病態情報出力部が被検体の腎障害についての病態情報を出力する、前記試料分析システム。
  16. 前記腎障害の病態指標値が、前記少なくとも1のアミノ酸のD体の量、L体の量、又はD体及びL体の合計量である、請求項15に記載の試料分析システム。
  17. 前記腎障害の病態指標値が、前記少なくとも1のアミノ酸のD体及びL体の量の和に対するD体の量の比、D体の量に対するL体の量の比、又はL体の量に対するD体の量の比である、請求項15に記載の試料分析システム。
  18. 前記少なくとも1のアミノ酸が、セリン、グルタミン酸、ヒスチジン、アスパラギン、アルギニン、アスパラギン酸、アロスレオニン、アラニン、プロリン、メチオニン、バリン、アロイソロイシン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、リジン、及びチロシンからなる群から選ばれる、請求項13〜15のいずれか一項に記載の試料分析システム。
  19. 前記少なくとも1のアミノ酸が、ヒスチジン、アスパラギン、アルギニン、アスパラギン酸、アロスレオニン、アラニン、プロリン、メチオニン、バリン、アロイソロイシン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、リジン、及びチロシンからなる群から選ばれる場合、腎障害が慢性腎障害である、請求項18に記載の試料分析システム。
  20. 前記少なくとも1のアミノ酸が、ヒスチジン、アロスレオニン、及びリジンからなる群から選ばれる、請求項19に記載の試料分析システム。
  21. 前記少なくとも1のアミノ酸が、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、リジン及びプロリンからなる群から選ばれる場合、腎障害が腎障害急性期又は虚血を原因とする腎障害である、請求項18に記載の試料分析システム。
  22. 前記少なくとも1のアミノ酸が、ヒスチジン、アロスレオニン、及びリジンからなる群から選ばれる、請求項14に記載の試料分析システム。
  23. 病態指標値の閾値が、ROC曲線分析により予め決定される、請求項13〜15の何れか一項に記載の分析方法。
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