JP2017003064A - 流量制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータの良好な作動性を確保しながらシール性の向上を図り得る流量制御弁を提供する。【解決手段】径方向から第1、第2排出口が連通すると共に軸方向から第3排出口E3が連通するように構成されたハウジング11の弁体収容部13内に、その回転位置に応じて第1〜第3排出口との重合状態が変化する第1〜第3開口部有する弁体3が回転可能に収容され、かつ前記各排出口と前記各開口部の間に、弁体3の外面と摺接することで前記排出口と開口部間をシールする第1〜第3シール部材介装された流量制御弁において、弁体3を、第3排出口E3に対する第3開口部の重合量が減少する方向への回転に伴って第3シール部材S3と圧接する方向へ軸方向移動させるように構成した。【選択図】図11

Description

本発明は、例えば自動車用冷却水の流量制御に供する流量制御弁に関する。
例えば自動車用冷却水の流量制御に適用される従来の流量制御弁としては、例えば以下の特許文献1に記載されたようなものが知られている。
この流量制御弁は、ほぼ筒状の弁体たるロータの回転位置(位相)に応じて流量制御を行ういわゆるロータリ式のバルブであって、ハウジングの開口部とロータの開口部との重合により開弁し、前記ハウジングの開口部に弾装された弾性部材の付勢力でもって円筒状のシール部材をロータの非開口部である外周壁に押圧することにより閉弁する構成となっている。
独国特許出願公開第2011083803号公報
しかしながら、前記従来の流量制御弁にあっては、前述のように、前記弾性部材の付勢力でもって前記シール部材をロータの外周壁に押圧することによりシール性を確保している。このため、シール性の向上を図るべく前記弾性部材の付勢力を高めようとすると、該付勢力に伴ってロータの摺動抵抗も上昇してしまう結果、ロータの作動性が悪化してしまうおそれがあった。
本発明はかかる技術的課題に鑑みて案出されたものであり、ロータの良好な作動性を確保しながらシール性の向上を図り得る流量制御弁を提供することを目的としている。
本発明は、中空状の弁体収容部に設けられ流体の導入に供する導入口と、前記弁体収容部と軸方向から連通して当該弁体収容部内の流体の排出に供する軸方向排出口とを有するハウジングと、前記ハウジング内に回転可能に支持され、その回転位置に応じて前記軸方向排出口との重合状態が変化する軸方向開口部を有する弁体と、前記ハウジングと前記弁体との軸方向間に配置され、前記弁体の外周面に摺接することにより前記ハウジングと前記弁体との軸方向間をシールする軸方向シール部材と、を備え、前記弁体は、前記軸方向排出口に対する前記軸方向開口部の重合量が減少する方向への回転に伴い、前記軸方向シール部材と圧接する方向へ軸方向移動することを特徴としている。
ここで、本発明の好ましい一の態様としては、前記弁体を駆動制御するアクチュエータと、前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝達することによって該弁体の駆動に供する駆動機構と、をさらに設けて、前記アクチュエータの駆動に伴い、前記駆動機構において発生したスラスト力が、前記軸方向シール部材を前記弁体に押圧する方向へ作用するように構成することが好ましい。
かかる構成とすることで、アクチュエータの駆動力伝達に供する駆動機構において発生したスラスト力でもって、閉弁方向の回転時に軸方向シール部材を弁体に押圧することで、該軸方向シール部材について、シールの不要な開弁時よりも相対的に高いシール性を確保することができる。
しかも、弁体の駆動に必要な駆動機構で発生するスラスト力を利用するため、別途他の構成を追加する必要もなく、比較的簡素な構造でもって前述した弁体の良好な作動性と軸方向シール部材の良好なシール性との両立を実現することができる。
この発明によれば、シールの必要な閉弁時には弁体を軸方向シール部材に圧接させてシールの不要な開弁時よりも相対的に高いシール性を確保できる結果、弁体の良好な作動性を確保しながら軸方向シール部材のシール性の向上を図ることができる。
本発明に係る流量制御弁の自動車用冷却水の循環系への適用説明に供する冷却水回路図である。 本発明に係る流量制御弁の分解斜視図である。 図2に示す流量制御弁の正面図である。 図3のA−A線断面図である。 図3のB−B線断面図である。 図3に示す流量制御弁の側面図である。 図6のC−C線断面図である。 図5に示すフェールセーフバルブの縦断面図であって、(a)は閉弁状態、(b)は開弁状態を示す図である。 図2に示す弁体の斜視図であって、(a)〜(d)はそれぞれ別の視点から見た状態を示す図である。 本発明に係る流量制御弁の作動説明に供する図であって、(a)は全ての排出口が非連通となる状態、(b)は第1排出口のみが連通した状態、(c)は第1、第2排出口が連通した状態、(d)は全ての排出口が連通した状態を示す弁体収容部の展開図である。 本発明に係る流量制御弁の作用説明に供する図であって、(a)は閉弁時の流量制御弁の部分断面図、(b)は同図(a)の要部拡大図である。 本発明に係る流量制御弁の作用説明に供する図であって、(a)は開弁時の流量制御弁の部分断面図、(b)は同図(a)の要部拡大図である。
以下、本発明に係る流量制御弁の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、下記の実施形態では、本発明に係る流量制御弁を従来と同様の自動車用冷却水(以下、単に「冷却水」と略称する。)の循環系に適用したものを例に説明する。
まず、この流量制御弁CVが適用される冷却水の循環回路について説明すると、図1に示すように、当該流量制御弁CVは、エンジンEG(具体的には、図示外のシリンダヘッド)の側部に配置され、該エンジンEGと暖房熱交換器HT(EGRクーラEC)、オイルクーラOC及びラジエータRDとの間に配置されている。そして、ウォータポンプWPによって加圧され導入通路L0を通じて当該流量制御弁CVに導かれた冷却水が、第1〜第3配管L1〜L3を介して暖房熱交換器HT、オイルクーラOC及びラジエータRD側へとそれぞれ分配されると共に、その各流量が制御されるようになっている。なお、この際、前記暖房熱交換器HTへと導かれた冷却水については、EGRクーラECへと導かれた後、エンジンEG側へと還流されるようになっている。
また、前記流量制御弁CVには、前記導入通路L0をバイパスして冷却水をスロットルチャンバーTCへと直接導くバイパス通路BLが設けられ、該バイパス通路BLをもって、エンジンEG側から導かれた冷却水を第4配管L4を介して常時スロットルチャンバーTCへと供給可能となっている。そして、該スロットルチャンバーTCに供給された冷却水は、前記暖房熱交換器HTと同様、EGRクーラECへと導かれて、該EGRクーラECを通じてエンジンEG側へと還流される。図1中における符号WTは水温センサを示している。
続いて、前記流量制御弁CVの具体的な構成について説明すると、この流量制御弁CVは、図2〜図7に示すように、後述する弁体3及び電動モータ4を収容する第1ハウジング11と後述する減速機構5を収容する第2ハウジング12とからなるハウジング1と、第1ハウジング11と第2ハウジング12とを隔成する第1ハウジング11の一端壁11bに挿通配置され、該一端壁11bに保持される軸受B1によって回転可能に支持された回転軸2と、該回転軸2の一端部に固定され、第1ハウジング11内にて回転可能に収容されたほぼ円筒状の弁体3と、第1ハウジング11内にて弁体3と並列に配置され、弁体3の駆動制御に供する電動モータ4と、該電動モータ4のモータ出力軸4cと回転軸2との間に介装され、電動モータ4の回転速度を減速して伝達する減速機構5と、から主として構成されている。
前記第1ハウジング11は、アルミニウム合金材料によって鋳造されてなるもので、幅方向一端側に偏倚して弁体3を収容するほぼ筒状の弁体収容部13が軸方向一端側に向けて開口形成されると共に、該弁体収容部13に隣接するかたちで、幅方向他端側に偏倚して電動モータ4を収容するほぼ筒状のモータ収容部14が軸方向他端側に向けて開口形成され、前記弁体収容部13の一端側周域に開口形成される後述の導入口10の外周域に延設された第1フランジ部11aを介して図示外のエンジンの側部に図示外のボルトによって取付固定されている。
前記弁体収容部13は、前記一端側周域に、図示外のエンジンの内部と連通して該エンジンの内部からの冷却水の導入に供する導入口10が開口形成され、該導入口10を通じて弁体3の内周側及び外周側にそれぞれ形成される内周側通路17及び外周側通路18に前記冷却水をそれぞれ導くようになっている。さらに、前記弁体収容部13の周壁に、前記第1、第2配管L1,L2(図1参照)と接続することで冷却水の排出に供するほぼ円筒状の第1、第2排出口E1,E2が、それぞれ軸方向に相互にオフセットするかたちで径方向に貫通形成されると共に、前記弁体収容部13の他端壁11cに、前記第3配管L3(図1参照)と接続することで冷却水の排出に供するほぼ扇形状の第3排出口E3が、軸方向に貫通形成されている。
ここで、前記第1〜第3排出口E1〜E3は、それぞれ後述する第1〜第3排出管P1〜P3を介して前記第1〜第3配管L1〜L3(図1参照)に接続されるようになっている。すなわち、前記弁体収容部13の外周部には、それぞれ後述する第1、第2排出管P1,P2を構成する第1、第2アウトレットO1,O2が、また、前記弁体収容部13の他端部には、後述する第3排出管P3を構成する第3アウトレットO3が、それぞれ複数のボルトBT1により取付固定されている。
前記第1、第2アウトレットO1,O2は、第1、第2排出口E1,E2の外端側開口縁への取付固定に供するフランジO1a,O2aと、該各フランジO1a,O2aの外側部に突出形成され、第1、第2排出口E1,E2から排出された冷却水を第1、第2配管L1,L2へと導く第1、第2排出管P1,P2と、が一体成形されることによって構成されている。
前記第3アウトレットO3は、弁体収容部13の他端側において第3排出口E3の外端側開口縁への取付固定に供するフランジO3aと、該フランジO3aの外側部に突出形成され、第3排出口E3及び後述する連通口26から流出した冷却水を第3配管L3へと導く第3排出管P3と、が一体成形されることによって構成されている。
また、前記第1、第2排出口E1,E2の内周側には、該第1、第2排出口E1,E2を閉じる際に該各排出口E1,E2と弁体3との間を液密にシールするシール手段が設けられている。このシール手段は、各排出口E1,E2の内端側において進退移動可能に収容され、弁体3の外周面に摺接することで各排出口E1,E2と弁体3との間をシールするほぼ円筒状の第1、第2シール部材S1,S2と、各排出口E1,E2の外端側において各排出管P1,P2の開口縁に着座させるかたちで該各排出管P1,P2の開口縁と前記各シール部材S1,S2の内側端面との間に所定の予圧をもって弾装され、該各シール部材S1,S2を弁体3側へと付勢する第1、第2コイルスプリングSP1,SP2と、から主として構成されている。
前記第1、第2シール部材S1,S2は、弁体3側となる一端側の内周縁に、後述する第1、第2シール摺接部D1,D2と摺接するほぼ円錐テーパ状に形成された第1、第2弁体摺接部S1a,S2aが設けられている一方、他端側には、前記第1、第2コイルスプリングSP1,SP2の一端側が着座する平坦状の第1、第2着座面S1b,S2bが形成されている。かかる構成から、前記各弁体摺接部S1a,S2aについては、前記各シール摺接面D1,D2に対して、厚さ幅方向(径方向)の中間部のみが摺接する、いわゆる線接触をもって摺接するようになっている。
ここで、前記シール手段としては、前記各シール部材S1,S2による物理的なシール手段に限定されるものではなく、例えば前記各排出口E1,E2と弁体3との間を所定の微小隙間を介在させることによりシールする、いわゆるクリアランスシールを採用することも可能である。かかるクリアランスシール構造とした場合には、流量制御弁CVの構造を簡素化することができ、生産性の向上や製造コストの低廉化に供されるメリットがある。
また、前記第3排出口E3の内周側にも、該第3排出口E3を閉じる際に該第3排出口E3と弁体3との間を液密にシールするためのシール手段が設けられている。このシール手段は、周知のOリングである第3シール部材S3のみによって構成され、前記第1、第2シール部材S1,S2によるシール手段のようなコイルスプリングSP1,SP2による付勢手段を具備せず、弁体3に対して常時付勢される構成とはなっていない。これによって、弁体3に対する不要な圧接が抑制されている。
また、前記弁体収容部13の他端側外周部には、内端側が外周側通路18へと臨み、かつ外端側に第4排出管P4が接続されることで冷却水をスロットルチャンバーTCへと導く第4排出口E4が貫通形成されていて、これによって前記バイパス通路BL(図1参照)が構成されている。すなわち、かかる構成によって、外周側通路18に導かれた冷却水を、後述する弁体3の回動位相にかかわらず常に第4排出管P4から排出させ、前記第4配管L4(図1参照)を介してスロットルチャンバーTCへ分配することが可能となっている。
さらに、前記第3排出口E3の側部には、図2、図5、図8に示すように、例えば電気系が失陥した時など弁体3が駆動不能となった非常時に弁体収容部13(外周側通路18)と第3排出口E3とを連通可能にするフェールセーフバルブ20が設けられていて、弁体3の不動状態であっても、ラジエータRDに対する冷却水の供給を確保することにより、エンジンEGのオーバーヒートを防ぐことが可能となっている。
前記フェールセーフバルブ20は、弁体収容部13に臨むように該弁体収容部13の他端壁11cより穿設されたバルブ収容孔11dに嵌挿され、内周側に外周側通路18と第3排出管P3とを連通する流路としての連通口26を構成するほぼ筒状の流路構成部材であるバルブボディ21と、該バルブボディ21の内端側に収容され、冷却水温が所定温度を超えると内部に充填された図示外のワックスが膨張することによってロッド22aが開弁方向へ進出するように構成されたサーモエレメント22と、該サーモエレメント22のロッド22aに固定され、前記連通口26の開閉に供する弁部材23と、該弁部材23と対向するかたちでバルブボディ21の外端部(後述するアーム部21bの支持片部21c)に支持されるほぼ円板状のリテーナ部材24と、該リテーナ部材24と弁部材23の間に所定の予圧をもって弾装され、弁部材23を閉弁方向へと付勢するコイルスプリング25と、から主として構成されている。
前記バルブボディ21は、ほぼ段差径状を呈し、前記サーモエレメント22の収容保持に供する小径状のボディ本体21aと、該ボディ本体21aの外端側における周方向所定位置に突設され、前記リテーナ部材24の支持に供する複数のアーム部21bと、を備える。そして、前記各アーム部21bの先端部には、ほぼ爪状に構成された支持片部21cが径方向内側へと曲折形成されていて、該各支持片部21cに前記リテーナ部材24が支持される構成となっている。
前記弁部材23は、前記サーモエレメント22のロッド22aとの固定に供する芯金23aと、該芯金23aの外周縁部を覆うように設けられ、閉弁時におけるバルブボディ21との密着性の向上に供するゴム製の被覆23bと、を備える。そして、この弁部材23の被覆23bがボディ本体21aの外端開口縁に離着座することで、前記連通口26が開閉されるようになっている。
このようにして、通常状態(冷却水温が所定温度未満)では、コイルスプリング25の付勢力でもって弁部材23の被覆23bが連通口26の外側孔縁に圧接することによって、閉弁状態が維持される。一方、高温状態(冷却水温が所定温度以上)になると、前記サーモエレメント22内のワックスが膨張して前記コイルスプリング25の付勢力に抗してロッド22aと共に弁部材23が外端側へと後退移動することにより開弁され、これによって外周側通路18に導かれた冷却水が前記連通口26を介して第3排出管P3より排出され、前記第3配管L3(図1参照)を通じてラジエータRDへと供給されることとなる。
なお、かかる冷却水温の上昇のほか、冷却水圧が所定圧力を超えた場合にも、弁部材23がコイルスプリング25の付勢力に抗して押し退けられることで開弁し、これによって流量制御弁CVの内部圧力が減少する結果、該流量制御弁CVの故障を回避することが可能となっている。
前記第2ハウジング12は、図2に示すように、第1ハウジング11と対向する一端側が弁体収容部13とモータ収容部14とに跨って該両収容部13,14を覆うように開口する凹状に形成され、該一端側開口の外周域に延設される第2フランジ部12aを介して第1ハウジング11の一端側に複数のボルトBT2によって固定されることで、該第1ハウジング11の一端側との間に、減速機構5を収容する減速機構収容部15が形成されている。なお、前記第1、第2ハウジング11,12の接合に際しては、該接合面間に環状のシール部材SL3が介装されることによって、減速機構収容部15内が液密に保持されている。
前記回転軸2は、図2、図4、図5に示すように、弁体収容部13の一端壁11bに貫通形成された軸挿通孔11e内に収容配置される軸受B1によって回転可能に支持され、軸方向の一端部には弁体3が、他端部には後述する第2斜歯歯車HG2が、それぞれ一体回転可能に固定される。なお、この回転軸2の外周面と軸挿通孔11eの内端側開口縁との間には環状のシール部材SL4が介装されていて、該シール部材SL4によって、前記軸挿通孔11eと回転軸2との径方向隙間を通じた弁体収容部13側から減速機構収容部15側への冷却水の流入が抑止されている。
前記弁体3は、図2、図4、図5、図9に示すように、所定の合成樹脂材料によりほぼ円筒状に一体成形され、前記一端壁11bと対向する軸方向一端側の中央部には、前記回転軸2への取付固定に供するほぼ筒状の軸固定部3aが弁体3の回転軸方向に沿って延設されている。この軸固定部3aの内周側には、金属製のインサート部材(図示外)が一体に成形され、該インサート部材を介して回転軸2に圧入固定されている。
また、前記軸固定部3aの外周域には、前記導入口10を通じて導入された冷却水を内周側通路17に対して軸方向から流入させる主流入口である軸方向流入口3bが、周方向のほぼ全周に亘って開口形成されている。さらに、前記弁体3の軸方向一端部の周壁には、前記導入口10を通じて導入された冷却水を内周側通路17に対して径方向から流入させる補助流入口である径方向流入口3cが、弁体3の所定の周方向領域(具体的には、弁体3の位相に関係なく導入口10と連通可能な周方向領域)に亘って開口形成されている。
一方、前記弁体3の軸方向他端側には、各シール部材S1〜S3と摺接することによって閉弁時のシール作用に供するほぼ球面状のシール摺接部が設けられている。すなわち、前記弁体3の軸方向他端側においては、軸方向中間部の外周壁に第1シール部材S1と摺接する第1シール摺接部D1が、軸方向他端部の外周壁に第2シール部材S2と摺接する第2シール摺接部D2が、そして他端壁3dの外側面に第3シール部材S3と摺接する第3シール摺接部D3が、それぞれ設けられている。
前記第1シール摺接部D1は、図4に示すように、弁体3の軸方向中間部の外周壁に周方向に沿って設けられ、当該第1シール摺接部D1の所定の周方向範囲には、第1排出口E1とほぼ過不足なく重合可能な軸方向幅に設定された長孔状の第1開口部M1が、弁体3の周方向に沿って設けられている。そして、この第1開口部M1を介して第1排出口E1と内周側通路17とが連通することにより、前記オイルクーラOCへの冷却水の供給が可能となっている。
同様に、前記第2シール摺接部D2は、弁体3の軸方向他端部の外周壁に周方向に沿って設けられ、当該第2シール摺接部D2の所定の周方向範囲には、第2排出口E2とほぼ過不足なく重合可能な軸方向幅に設定された長孔状の第2開口部M2が、弁体3の周方向に沿って設けられている。そして、この第2開口部M2を介して第2排出口E2と内周側通路17とが連通することにより、前記ヒータHTへの冷却水の供給が可能となっている。
前記第3シール摺接部D3には、図5に示すように、第3排出口E3と重合可能な径方向幅に設定されたほぼ円弧状の第3開口部M3が、弁体3の周方向に沿って設けられている。この第3開口部M3については、周方向において径方向幅が変化する異形に形成されていて、周方向においてほぼ一定の径方向幅となるように開口形成された扇形状の前記第3排出口E3との重合にあたり、単なる連通・非連通ではなく、第3排出口E3との重合面積(連通量)を変化させることが可能となっている。
また、前記弁体3の他端壁3dの外側中央部には、図4、図5に示すように、該弁体3の他端側の回転支持に供する支持突起3eが、該弁体3の回転軸方向に沿って突出形成されている。この支持突起3eは、弁体収容部13の他端壁11cの内側面に穿設された凹状の軸受穴11fに摺動可能に係合することにより、弁体3の他端側の回転支持に供されている。また、この支持突起3eは、先端側が円錐テーパ状に形成されると共に、先端部がほぼ球面状に形成されることにより、弁体3の他端側の回転軸線のセンタリングが可能となっている。
以上のようにして構成された前記弁体3は、前記回転軸2及び支持突起3eを介して回転可能に支持され、前記各シール部材S1〜S3と摺接しつつ所定の角度範囲内で回動することによって、前記各排出口E1〜E3の開閉が行われるようになっている。なお、かかる排出口E1〜E3の開閉にあたり、前記各開口部M1〜M3は、図10に示す後述の第1〜第4状態の順に前記各排出口E1〜E3との連通状態が切り替わるように設定されている。
前記電動モータ4は、図2に示すように、モータ本体4aが第1ハウジング11のモータ収容部14内に収容された状態でモータ本体4aの基端部に設けられたフランジ部4bを介してモータ収容部14の開口縁部に図示外の複数のボルトによって取付固定され、モータ出力軸4cがモータ収容部14の一端側開口を通じて第2ハウジング12の減速機構収容部15内に臨んでいる。なお、この電動モータ4は、車載の電子コントローラ(図示外)により駆動制御され、車両運転状態に応じて弁体3を回動制御することにより、前記ラジエータRD等に対する冷却水の適切な分配が実現される。
前記減速機構5は、2つのウォームギヤにより構成された駆動機構であって、モータ出力軸4cと連係し、電動モータ4の回転を減速する第1ウォームギヤG1と、該第1ウォームギヤG1に接続され、この第1ウォームギヤG1を介して伝達される電動モータ4の回転をさらに減速して回転軸2に伝達する第2ウォームギヤG2と、から構成され、前記第2ウォームギヤG2は、前記第1ウォームギヤG1に対しほぼ直交するかたちで配置されている。
前記第1ウォームギヤG1は、モータ出力軸4cの外周に一体的に設けられ、該モータ出力軸4cと一体回転する第1ねじ歯車WG1と、モータ回転軸4cとほぼ平行に前記第1ねじ歯車WG1と直交するかたちで設けられる回転軸19の一端側外周に一体的に設けられ、前記第1ねじ歯車WG1と噛合することにより該第1ねじ歯車WG1の回転を減速して出力する第1斜歯歯車HG1と、で構成されている。
前記第2ウォームギヤG2は、前記回転軸19の他端側外周に一体的に設けられ、前記第1斜歯歯車HG1と一体回転する第2ねじ歯車WG2と、該第2ねじ歯車WG2と直交するかたちで配置される回転軸2の他端側外周に一体回転可能に固定され、前記第2ねじ歯車WG2と噛合することで該第2ねじ歯車WG2の回転を減速して出力する第2斜歯歯車HG2と、で構成されている。
ここで、前記第2ウォームギヤG2については、第3排出口E3の閉弁時に弁体3を前記他端壁11cに接近させる方向へスラスト力Fgを発生させると共に(図11参照)、第3排出口E3の開弁時に弁体3を弁体収容部13の他端壁11c側から離間させる方向へスラスト力Fgを発生させるように構成されている(図12参照)。
以下、前記流量制御弁CVの具体的な作動状態について、図10に基づいて説明する。なお、当該説明にあたって、図10では、弁体3の第1〜第3開口部M1〜M3については破線で示す一方、第1ハウジング11の第1〜第3排出口E1〜E3についてはハッチングを施して表示し、これら両者E1〜E3,M1〜M3が重合し連通した状態を塗り潰して表示することによって、便宜上、前記各排出口E1〜E3と前記各開口部M1〜M3の相対的な識別を図るものとする。
すなわち、前記流量制御弁CVは、車両の運転状態に基づいて演算及び出力される前記図示外の電子コントローラからの制御電流によって電動モータ4が駆動制御されることにより、前記車両の運転状態に応じて前記各排出口E1〜E3と前記各開口部M1〜M3との相対関係が以下の状態となるように、弁体3の回転位置(位相)が制御されることとなる。
図10(a)に示す第1状態では、第1〜第3開口部M1〜M3のいずれもが前記各排出口E1〜E3に対して非連通状態となる。これにより、当該第1状態では、暖房熱交換器HT、オイルクーラOC及びラジエータRDのいずれに対しても冷却水が供給されないこととなる。
前記第1状態の後、図10(b)に示す第2状態では、第1開口部M1のみが連通状態となり、第2、第3開口部M2,M3については非連通状態となる。これにより、当該第2状態では、かかる連通状態に基づいて、第1排出口E1から第1配管L1を通じて暖房熱交換器HTに対してのみ冷却水が供給され、第1排出口E1と第1開口部M1との重合量に基づいてその供給量が変化することとなる。
前記第2状態の後、図10(c)に示す第3状態では、第3開口部M3のみが非連通状態となり、第1、第2開口部M1,M2については連通状態となる。これにより、当該第3状態では、かかる連通状態に基づいて、第1、第2排出口E1,E2から第1、第2配管L1,L2を通じてそれぞれ暖房熱交換器HT及びオイルクーラOCに対して冷却水が供給され、第1、第2排出口E1〜E2と第1、第2開口部M1〜M2との重合量に基づいてその供給量が変化することとなる。
前記第3状態の後、図10(d)に示す第4状態では、第1〜第3開口部M1〜M3のいずれもが前記各排出口E1〜E3に対して連通状態となる。これにより、かかる第4状態では、暖房熱交換器HT、オイルクーラOC及びラジエータRDのいずれに対しても冷却水が供給され、第1〜第3排出口E1〜E3と第1〜第3開口部M1〜M3との重合量に基づいてその供給量が変化することとなる。
以下、本実施形態に係る前記流量制御弁CVの特徴的な作用効果について、図11、図12に基づいて説明する。
すなわち、前記従来の流量制御弁では、前記流量制御弁CVにおける第1、第2開口部M1,M2に対して行っているように、全てのシール部材につき、弾性部材(スプリング)の付勢力でもってロータの外周壁へと押し付けることによりシール性を確保していた。このため、各排出口におけるシール性の向上を図るべく前記弾性部材の付勢力を高めようとすると、該付勢力に伴いロータの摺動抵抗も上昇してしまう結果、該ロータの作動性が悪化してしまうおそれがあった。
これに対し、前記流量制御弁CVでは、前記第2ウォームギヤG2の構成に基づき、第3排出口E3に対する第3開口部M3の重合量が減少する第3排出口E3の閉弁時には、図11(a)にて太線矢印で示すように、弁体3が弁体収容部13の他端壁11cに接近する方向へスラスト力Fgが作用することで、図11(b)に示すように、第3シール部材S3が弁体3(第3シール摺接部D3)に圧接することとなり、当該閉弁時における第3排出口E3と第3開口部M3との間のシール性を向上させることができる。
その後、前記閉弁状態が継続する場合には、内周側通路17を通流する冷却水の水圧Fwが弁体3の他端壁3dの内側面に作用することにより、この水圧Fwによって弁体3が他端側に付勢され、前記他端壁3d(第3シール摺接面D3)が第3シール部材S3に圧接した状態が維持されることとなる。これにより、弁体3が静止して前記減速機構5によるスラスト力Fgが生じない閉弁状態が継続している間も、第3排出口E3と第3開口部M3の間において高いシール性が維持される。
一方、第3排出口E3に対する第3開口部M3の重合量が増大する第3排出口E3の開弁時には、図12(a)中に太線矢印で示すように、弁体3が弁体収容部13の他端壁11cから離間する方向へスラスト力Fgが作用することで、図12(b)に示すように、第3シール部材S3の弁体3(第3シール摺接部D3)への不要な密着が抑制され、当該開弁時における弁体3の回動トルクを低減することができる。
以上のように、本実施形態に係る流量制御弁CVによれば、シールが必要となる閉弁時には、前記スラスト力Fgにより、弁体3を第3シール部材S3に圧接させてシールの不要な開弁時よりも相対的に高いシール性を確保することが可能となって、弁体3の良好な作動性を確保しながら第3シール部材S3のシール性の向上を図ることができる。
一方、シールを要しない開弁時には、前記スラスト力Fgにより、弁体3を第3シール部材S3から離間させることでシールの必要な閉弁時よりも弁体3の摺動抵抗を低減できるため、弁体3の作動性をさらに良好なものとすることができる。その結果、上述した弁体3の良好な作動性の確保と第3シール部材S3のシール性の向上とを、より効果的に両立することができる。
しかも、前記スラスト力Fgは、電動モータ4の駆動力の伝達に必要な駆動機構を構成する第2ウォームギヤG2において自動的に発生するものである。このため、前記スラスト力Fgを発生させるにあたり別途他の構成を追加する必要もなく、比較的簡素な構造でもって前述した弁体3の良好な作動性の確保と第3シール部材S3のシール性の向上との両立を実現することができる。
また、換言すれば、前記スラスト力Fgの利用によって、従来使用していた第3シール部材S3の付勢に供する付勢手段を廃止し、該第3シール部材S3のみで構成することができる。これにより、流量制御弁CVの部品点数を削減することが可能となり、流量制御弁CVの生産性の向上及び製造コストの低廉化に寄与することができる。
さらに、前記流量制御弁CVでは、前記第3シール部材S3を弁体3との軸方向間に配置したことで、他の排出口E1,E2及びシール部材S1,S2と異なり、第3排出口E3及び第3シール部材S3をほぼ円形状に設定する必要がなく、設計自由度が向上する。特に、本実施形態では、前記第3排出口E3及びシール部材S3をほぼ扇形状に設定することで、前述したような第3排出口E3における第3開口部M3との重合量を漸次変化させることが可能となり、車両運転状態等に応じた冷却水の排出量制御に供される。
加えて、前記流量制御弁CVでは、第1、第2排出口E1,E2を弁体収容部13の径方向から連通するように設けると共に、該第1、第2排出口E1,E2と弁体3との径方向間に第1、第2シール部材S1,S2を配置したことから、全てを軸方向配置する場合と比べて、流量制御弁CVの軸方向の小型化を図ることができる。
また、前記弁体3の他端側のほぼ中心部に支持突起3eを突設すると共に、弁体収容部13の他端壁11cの内側面に前記支持突起3eに対応する軸受穴11fを凹設したことにより、回転軸2に接続されない弁体3の他端側の安定した回転支持に供され、該弁体3の良好な作動性を確保することができる。
さらに、本実施形態では、前記減速機構5を2つのウォームギヤである第1、第2ウォームギヤG1,G2によって構成したことで、当該減速機構5の投影面積の増大を抑制しつつ、減速比を増大させることが可能となって、該減速比増大に伴う流量制御弁CVの大型化を抑制することができる。
しかも、前記減速機構5を、上述のような複数のウォームギヤG1,G2でもって構成することにより、減速比算出式((第1斜歯歯車HG1の歯数/第1ねじ歯車WG1の歯数)×(第2斜歯歯車HG2の歯数/第2ねじ歯車WG2の歯数))において分母となる第1、第2ねじ歯車WG1,WG2の歯数を「1」に設定することが可能となって、より大きな減速比が得られるメリットがある。
本発明は前記実施形態に係る構成に限定されるものではなく、例えば弁体3の外形や、第1〜第3排出口E1〜E3の大きさ及び配置、第1〜第3開口部M1〜M3の形状、数量及び配置など本発明の技術的特徴とは直接関係しない具体的構成は勿論、前記スラスト力Fgの発生原因などの本発明の技術的特徴についても、前記本発明の作用効果を奏し得る形態であれば、流量制御弁CVの仕様等に応じて自由に変更することができる。
特に、前記スラスト力Fgの発生原因としては、前記実施形態で例示の減速機構5に限られるものではなく、前記スラスト力Fgを発生し得るような態様であれば、いかなる態様であってもよい。
さらに、前記実施形態では、本発明に係る駆動機構の一態様である減速機構5を例示して説明したが、当該駆動機構の他の態様である増速機構を採用することも可能である。
加えて、前記減速機構5の具体的構成についても、本実施形態ではウォームギヤを採用したが、該ウォームギヤには限定されず、例えばヘリカルギヤなど前記スラスト力Fgを発生し得る構成であれば、いかなる構成であってもよい。
また、前記各実施形態では、前記流量制御弁CVの適用の一例として、冷却水の循環系への適用を例示したが、当該流量制御弁CVは、冷却水のみならず、例えば潤滑油など様々な流体について適用可能であることは言うまでもない。
3…弁体
10…導入口
11,12…第1、第2ハウジング(ハウジング)
13…弁体収容部
E3…第3排出口(軸方向排出口)
M3…第3開口部(軸方向開口部)
S3…第3シール部材(軸方向シール部材)

Claims (7)

  1. 中空状の弁体収容部に設けられ流体の導入に供する導入口と、前記弁体収容部と軸方向から連通して当該弁体収容部内の流体の排出に供する軸方向排出口とを有するハウジングと、
    前記ハウジング内に回転可能に支持され、その回転位置に応じて前記軸方向排出口との重合状態が変化する軸方向開口部を有する弁体と、
    前記ハウジングと前記弁体との軸方向間に配置され、前記弁体の外周面に摺接することにより前記ハウジングと前記弁体との軸方向間をシールする軸方向シール部材と、
    を備え、
    前記弁体は、前記軸方向排出口に対する前記軸方向開口部の重合量が減少する方向への回転に伴い、前記軸方向シール部材と圧接する方向へ軸方向移動することを特徴とする流量制御弁。
  2. 前記弁体は、前記軸方向排出口に対する前記軸方向開口部の重合量が増大する方向への回転に伴い、前記軸方向シール部材から離間する方向へ軸方向移動ことを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
  3. 前記ハウジングは、前記弁体収容部と径方向から連通して当該弁体収容部内の流体の排出に供する径方向排出口を有し、
    前記弁体は、その回転位置に応じて前記径方向排出口との重合状態が変化する径方向開口部を有し、
    前記ハウジングと前記弁体との径方向間には、前記弁体の外周面に摺接することにより前記ハウジングと前記弁体との径方向間をシールする径方向シール部材が配置されることを特徴とする請求項2に記載の流量制御弁。
  4. 前記ハウジングと前記弁体との軸方向間は、前記軸方向シール部材の有する弾性力のみでもって前記軸方向シール部材を前記弁体に押し付けることによりシールされる一方、
    前記ハウジングと前記弁体との径方向間は、前記径方向シール部材を付勢する付勢部材の付勢力でもって前記径方向シール部材を前記弁体に押し付けることによりシールされることを特徴とする請求項3に記載の流量制御弁。
  5. 前記弁体の前記軸方向開口部が貫通形成された壁部の中心部に、前記弁体の回転支持に供する凸部が突設されると共に
    前記軸方向排出口が形成された壁部の中心部に、前記凸部が嵌合する凹部が穿設されていることを特徴とする請求項2に記載の流量制御弁。
  6. 中空状の弁体収容部に設けられ流体の導入に供する導入口と、前記弁体収容部と軸方向から連通して当該弁体収容部内の流体の排出に供する軸方向排出口とを有するハウジングと、
    前記ハウジング内に回転可能に支持され、その回転位置に応じて前記軸方向排出口との重合状態が変化する軸方向開口部を有する弁体と、
    前記ハウジングと前記弁体との軸方向間に配置され、前記弁体の外周面に摺接することにより前記ハウジングと前記弁体との軸方向間をシールする軸方向シール部材と、
    前記弁体を駆動制御するアクチュエータと、
    前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝達することによって該弁体の駆動に供する駆動機構と、
    備え、
    前記アクチュエータの駆動に伴い、前記駆動機構において発生したスラスト力が、前記軸方向シール部材を前記弁体に押圧する方向へ作用することを特徴とする流量制御弁。
  7. 前記駆動機構は、少なくとも2つ以上のウォームギヤを有することを特徴とする請求項6に記載の流量制御弁。
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