JP2017002948A - 摺動部材およびポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動性と耐荷重性に優れた摺動部材を提供する。
【解決手段】軸・軸受構造(1A)に用いられ、軸受部材(11)に対して相対的に摺動する軸部材(10)は、基体(10a)と、軸受部材(11)に摺接する、ダイヤモンドライクカーボンを含む被覆層(10c)と、基体(10a)と被覆層(10c)との間に設けられ、ダイヤモンド粒子(10d)および母材(10e)を含む中間層(10b)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばポンプ等に用いられる摺動部材に関し、より詳しくは、軸および軸受を有する軸・軸受構造に用いられる、被摺動部材に対して相対的に摺動する摺動部材に関する。上記摺動部材を適用するポンプ等の一種としては、予め無水状態で全速運転(先行待機運転)を行う事や、気水混合状態での排水を行うことが可能な先行待機運転ポンプがある。
ポンプ等に適用することができる軸・軸受構造が、例えば、特許文献1および2に開示されている。
特許文献1には、摺動部材である軸スリーブと、被摺動部材である軸受部材とを有する軸・軸受構造が開示されている。当該軸スリーブは、ステンレス鋼の基体と、基体を被覆する硬質層との複層構造を有し、硬質層を、コバルト基合金からなる母粉末に超硬粒子を含有させた超硬金属で構成することで、耐摩耗性を高めると共に、摺動抵抗を軽減している。
また、特許文献2には、摺動部材であるスリーブの基材としてステンレス鋼を用い、基材の表面にWC(タングステンカーバイド)系またはCr系超硬合金の溶射膜を形成し、溶射膜の上にTiN,TiC,TiCN,SiC,Si,ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素の硬質皮膜、あるいは、SiC微粒子入りNi−Pメッキの硬質皮膜を被覆した軸・軸受構造が開示されている。
特開2001−254726号公報(2001年9月21日公開) 特開平5−52222号公報(1993年3月2日公開)
しかしながら、特許文献1に記載の軸スリーブは、摩擦係数が高く、ポンプ運転時に振動が発生したり、温度が上昇したりするという問題がある。
また、特許文献2に記載のスリーブは、溶射膜が荷重により変形してしまうことで、硬質皮膜の割れや剥離が発生するという問題がある。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、摺動性と耐荷重性に優れた摺動部材を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る摺動部材は、軸および軸受を有する軸・軸受構造に用いられ、被摺動部材に対して相対的に摺動する摺動部材であって、基体と、前記被摺動部材に摺接する、ダイヤモンドライクカーボンを含む被覆層と、前記基体と前記被覆層との間に設けられ、ダイヤモンド粒子および母材を含む中間層とを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、剛性のある中間層を設けることにより、被覆層における応力負荷を低減し、耐荷重性を向上することができる。また、ダイヤモンド粒子は、硬く、弾性率も高いため、中間層の硬度の向上に寄与する。さらに、被覆層として、摺動性のよいダイヤモンドライクカーボンを使用することで、摺動性も向上する。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記中間層の膜厚が、30μm〜120μmであってもよい。
上記の構成によれば、中間層の膜厚を30μm以上とすることで、中間層の剛性を高めることができ、それにより、被覆層の剥離を防ぐことができる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記ダイヤモンド粒子の一部は、前記被覆層と接触している接触粒子であってもよい。
上記の構成によれば、ダイヤモンド粒子とダイヤモンドライクカーボンとは、組成が近いため、接触粒子が被覆層と接触していることにより、中間層と被覆層との間の接着強度が向上する。これにより、中間層と被覆層との境界での剥離の発生を防止することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記中間層は、前記中間層と前記被覆層との界面において凸部を有し、前記凸部は、前記接触粒子で構成されていてもよい。
上記の構成によれば、中間層と被覆層との密着性をさらに向上させることができる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記中間層と前記被覆層との界面は、前記軸・軸受構造の軸を中心とする同一円周上に位置し、前記接触粒子は、前記界面において前記被覆層と接触していてもよい。
上記の構成によれば、中間層と被覆層との界面が、軸・軸受構造の軸を中心とする同一円周上に位置することにより、長期間の使用により、被覆層であるダイヤモンドライクカーボンが剥離あるいは摩耗し、摺動面が中間層まで達したとしても、被摺動部材に対する攻撃性は低く、軸・軸受構造を高寿命化することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記中間層における前記ダイヤモンド粒子の体積率が30%〜70%であってもよい。
上記の構成によれば、被覆層が剥離しにくく、耐久性にすぐれた摺動部材を提供することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記母材は、ニッケル合金、コバルト合金、銅合金、あるいは鉄合金であってもよい。
上記の構成によれば、ニッケル合金やコバルト合金は、融点が低く、施工性が良い。さらに、ニッケル合金やコバルト合金は、ダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボンとの密着性もよい。また、融点が低く、耐食性に優れた銅合金や、比較的安価な鉄合金を用いることもできる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記中間層は、少なくとも、前記被摺動部材における前記軸・軸受構造の軸方向に平行な前記摺動部材との対向面の端部に対応する位置に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、中間層が、少なくとも摩耗の激しい被摺動部材の端部(11a)に対応する位置に設けられていれば、摺動部材の摩耗を低減することができるとともに、ダイヤモンド粒子の使用量を抑えることができる。そのため、安価に摺動性および耐摩耗性にすぐれた摺動部材を提供することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記被摺動部材における前記軸・軸受構造の軸方向に平行な前記摺動部材との対向面の端部に対応する位置の、前記中間層における前記ダイヤモンド粒子の体積率は、それ以外の位置における前記体積率よりも高くなっていてもよい。
上記の構成によれば、応力負荷が大きく摩耗の激しい、被摺動部材の端部に対応する位置には、ダイヤモンド粒子を多く配置することで、耐荷重性を向上し、摩耗の少ない位置には、ダイヤモンド粒子の量を減らして配置することにより、ダイヤモンド粒子の使用量を抑え、かつ、耐摩耗性にすぐれた摺動部材を安価に提供することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材を、ポンプに用いてもよい。
上記の構成によれば、摺動性と耐荷重性にすぐれた摺動部材を備えるポンプを提供することができる。
本発明の一態様によれば、摺動性と耐荷重性に優れた摺動部材およびポンプを提供することができる。
本発明の実施形態1に係る軸・軸受構造の、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。 本発明の実施形態2に係る軸・軸受構造の、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。 図2に示した軸・軸受構造が、使用により摩耗した状態を示す図である。 (a)および(b)は、本発明の実施形態3に係る軸・軸受構造の、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。 本発明の実施形態4に係る軸・軸受構造の、軸方向に平行な断面を示す断面概略図である。 本発明の実施形態4に係る軸・軸受構造の、軸方向に平行な断面を示す断面概略図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照し詳細に説明する。
<摺動部材の構成>
図1は、本実施形態に係る軸・軸受構造1Aの、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。
図1に示すように、軸・軸受構造1Aは、例えばポンプ等に用いられる摺動部材としての軸部材10と、被摺動部材としての軸受部材11とを備える。軸部材10は、円筒形状の軸スリーブであり、軸受部材11に対して相対的に摺動する。なお、軸部材10は、軸スリーブに限定されるものでは無く、軸であってもよい。一方、軸受部材11は、内部に軸部材10が収容される円筒形状を有しており、軸部材10を軸支する。
軸受部材11は、例えば、硬質のセラミックスや、超硬合金等からなり、セラミックスやサーメットであることが好ましい。軸受部材11としてセラミックスやサーメットを用いることにより、軸受部材11の耐久性が向上する。軸受部材11の内側表面は、表面の凹凸が少ないことが好ましく、具体的には、表面粗さRaが1.0μm以下であればよい。なお、軸受部材11の表面に、摩擦係数を低くしたり、耐摩耗性を向上したりするための焼結体や膜を形成するような加工がされていてもよい。
軸部材10は、図1に示すように、少なくとも、円筒形状の基体10aと、基体10aの外表面に形成された中間層10bと、中間層10bの外表面に形成された被覆層10cとを備える。
基体10aは、一般的に用いられる材質によって形成されており、例えば、SUS304、SUS403といったステンレス鋼や、コバルト(Co)合金、ニッケル(Ni)合金といった硬質合金等からなる。また、基体10aの表面粗さRaは、1.0μm以下であることが好ましい。
中間層10bは、硬質粒子としてのダイヤモンド粒子10dおよび母材10eを含む複合材料であり、母材10e中にダイヤモンド粒子10dが分散して保持されている。ダイヤモンド粒子10dは、ダイヤモンドの単結晶粒子、ダイヤモンド焼結体を粉砕した粒子等のダイヤモンド粒子である。母材10eとしては、ニッケル合金、コバルト合金、銅合金、鉄合金等が好ましい。これは、ニッケル合金やコバルト合金は、融点が低く、施工性が良いからである。加えて、ニッケル合金やコバルト合金は、ダイヤモンドや、後述する被覆層10cに用いられるダイヤモンドライクカーボン(Diamond-like Carbon)(以下、DLCと称する)との密着性もよい。また、融点が低く、耐食性に優れた銅合金や、比較的安価な鉄合金を用いてもよい。
なお、母材10eとしては、ヤング率(弾性率)が50GPa〜300GPaのものが好ましい。母材10eとしてヤング率がこの範囲内にあるものを用いる事で、製造時に、軸部材10に対して加えられた応力を吸収したり、軸部材10の使用時の衝撃を緩和したりすることができる。
また、ダイヤモンド粒子10dとの反応性の観点からは、母材10eの融点が1100℃以下の物が好ましい。
中間層10bの膜厚は、30μm〜120μmであることが好ましく、より好ましくは、50μm〜100μmである。中間層10bの膜厚は、剛性を高めるために厚い方が好ましく、30μm未満であると、荷重により変形してしまう。逆に中間層10bの膜厚が120μmを超えると、それ以上の効果を得られず、また、コストも嵩んでしまう。
また、ダイヤモンド粒子10dの平均粒子径は、20μm〜120μmであることが好ましい。ダイヤモンド粒子10dの平均粒子径が20μm未満であると、中間層10bの変形抵抗やせん断強さが低下してしまい、中間層10bに十分な剛性を得ることができなくなってしまう。また、ダイヤモンド粒子10dの平均粒子径が120μmを超えると、中間層10bの膜厚を越えることとなり、中間層10bの成膜後にダイヤモンド粒子10dを加工する必要があり、無駄なコストが必要となる。なお、平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−2100)により計測される値である。
さらに、中間層10bにおけるダイヤモンド粒子10dの体積率は、30%〜70%であることが好ましく、より好ましくは、40%〜70%であり、より一層好ましくは、50%〜70%である。中間層10bにおけるダイヤモンド粒子10dの体積率が30%未満であると、中間層10bの剛性を確保することができない。また、ダイヤモンド粒子10dの体積率が70%を超えると、中間層10bにおける母材10eの量が少なくなることで、衝撃等により発生する応力を十分に緩和することができなくなり、後述する被覆層10cが割れてしまうことがある。
なお、図中には示していないが、ダイヤモンド粒子10dのうちの一部は、中間層10bと被覆層10cとの界面を形成し、被覆層10cと接触している。このとき、中間層10bを、軸部材10の半径方向外側(中間層10cと被覆層10cとの界面に垂直な方向)から見たときに、ダイヤモンド粒子10dが占める面積率は、10%〜40%であることが好ましく、より好ましくは、20%〜30%である。
また、中間層10bの剛性をさらに向上させるために、(中間層10bの膜厚−ダイヤモンド粒子10dの平均粒子径)の値Dを、0μm〜30μmとすることが好ましく、0μm〜15μmとすることがより好ましい。
被覆層10cは、DLCからなり、中間層10bを被覆し、外表面が軸受部材11と摺接する摺動面13である。なお、被覆層10cの厚さは、3μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは、6μm〜25μmである。被覆層10cの厚さが3μm未満であると、中間層10bの剛性が高くとも、被覆層10cに割れが生じてしまうことがある。また、被覆層10cの厚さが30μmを超えると、その厚みにより、中間層10bと被覆層10cとの接着強度に対して、外力の方が大きくなり、被覆層10cが剥離してしまうことが有る。
また、{(中間層10bの膜厚−ダイヤモンド粒子10dの平均粒子径)/被覆層10cの膜厚}の値Dは、1.5〜8であることが好ましい。Dが1.5未満である場合には、外力による衝撃を十分に吸収することができず、また、Dが8を超えても、これ以上の効果を得ることはできない。Dの値を1.5〜8とすることで、外力による衝撃を十分に吸収することができると考えられる。
このように、本実施形態に係る軸部材10は、摺動面13を摺動性のよいDLCで形成するとともに、基体10aと被覆層10cとの間に、剛性のある中間層10b設けている。これにより、被覆層10cの応力負荷を軽減することができ、被覆層10cの耐荷重性を向上させることが可能となる。そのため、軸部材10は、摺動性および耐荷重性に優れた軸部材であるといえる。
<中間層および被覆層の形成方法>
次に、基体10a上への中間層10bの形成方法について説明する。
中間層10bの形成方法としては、例えば、電解メッキを用いることができる。電解メッキにて中間層10bを形成する場合には、まず、使用するメッキ液中にダイヤモンド粒子10dを添加する。次に、メッキ液に軸部材10を浸漬し、通電することにより基体10a表面にメッキを施す。これにより、母材10e中にダイヤモンド粒子10dが分散された中間層10bを形成することができる。なお、メッキ液は、母材10eの材料に応じて選択される。例えば、母材10eとしてニッケル合金を用いる場合には、ニッケルメッキ液を、母材10eとしてコバルト合金を用いる場合には、コバルトメッキ液を使用する。
そして、このようにして形成した中間層10bの表面に、被覆層10cを形成する。DLCからなる被覆層10cの形成方法としては、公知のDLCの成膜方法を用いることができ、例えば、スパッタリングを用いた物理気相蒸着法(PVD;Physical Vapor Deposition)、プラズマを用いた化学気相蒸着法(CVD;Chemical Vapor Deposition)等を用いることができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図2および図3に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る軸・軸受構造1Bの、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。図2に示すように、本実施形態に係る軸・軸受構造1Bが備える軸部材10は、一部の中間層10bのダイヤモンド粒子10dが、被覆層10cと接触している接触粒子となっている。すなわち、実施形態1に係る軸部材10の中間層10bは、母材10e中にダイヤモンド粒子10dが分散して保持されていたのに対して、本実施形態に係る軸部材10の中間層10bは、被覆層10cとの界面に凸部を有し、該凸部が、被覆層10cと接触するダイヤモンド粒子である接触粒子で構成されている。
ここで、ダイヤモンドとDLCとは組成が近い。そのため、ダイヤモンド粒子10dと、DLCからなる被覆層10cとが接触していることにより、中間層10bと被覆層10cとの間の接着強度が向上し、中間層10bと被覆層10cとの界面での剥離が起こりにくくなる。これにより、耐荷重性にすぐれた軸部材10を提供することができる。
なお、中間層10bの形成方法としては、上述した実施形態1と同じ方法を用いる事ができる。すなわち、メッキ液中に添加するダイヤモンド粒子10dの粒子径、および、メッキを施す際の条件を適宜設定することで、母材10eから一部のダイヤモンド粒子10dが突出した本実施形態に係る中間層10bを形成することができる。
そしてこのようにして形成した中間層10bの外表面に、実施形態1と同様の方法を用いてDLCからなる被覆層10cを形成し、ダイヤモンド粒子10dをDLCからなる被覆層10cで覆うことで、本実施形態に係る軸・軸受構造1Bが備える軸部材10を作製することができる。
図3は、本実施形態に係る軸・軸受構造1Bを軸受等に使用し、軸部材10の被覆層10cが摩耗した状態を示す図であり、軸・軸受構造1Bの軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。図3に示すように、本実施形態に係る軸・軸受構造1Bが備える軸部材10は、被覆層10cが摩耗することにより、一部の中間層10bのダイヤモンド粒子10dは、被覆層10cと接触しているのに加えて、被覆層10cから露出する露出部14を有している。そして、露出部14と摺動面13とは、軸・軸受構造1Bの軸を中心とする同一円周上に位置している。なお、軸部材10を、使用前から図3に示したような状態となるように加工してもよいが、材料や加工のコストの点では、好ましくは無い。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図4の(a)および(b)に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図4の(a)は、本実施形態に係る軸・軸受構造1Cの、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。図4の(a)に示すように、本実施形態に係る軸・軸受構造1Cが備える軸部材10は、中間層10bと被覆層10cとの界面15が、軸・軸受構造1Cの軸を中心とする同一円周上に位置している。そして、被覆層10cと接触しているダイヤモンド粒子10dである接触粒子は、被覆層10cとの接触面が、界面15内に位置している。
このように、本実施形態に係る軸・軸受構造1Cが備える軸部材10は、実施形態2に係る軸部材10と同様に、中間層10bのダイヤモンド粒子10dと被覆層10cとが接触しており、これにより、中間層10bと被覆層10cとが高い強度で接着している。さらに、被覆層10cと接触しているダイヤモンド粒子(接触粒子)10dの接触面が、中間層10bと被覆層10cとの界面15内に位置している。
これにより、長期間使用することで、軸部材10と軸受部材11との摺動により、被覆層10cが摩耗あるいは剥離したとしても、軸部材10における、軸受部材11との摺動面である摺動面13が中間層10bに達したとしても、軸・軸受構造1Cの軸を中心とする同一円周上に設けられた界面15で軸部材10と軸受部材11が摺動する。そのため、被覆層10cが摩耗あるいは剥離したとしても、軸部材10による軸受部材11への攻撃性が低く、軸・軸受構造1Cを高寿命化することができる。このとき、ダイヤモンド粒子10dの接触面が、界面15よりわずかに突出していてもよく、ダイヤモンド粒子10dの接触面が界面15からわずかに突出していたとしても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
中間層10bの形成方法としては、まず、実施形態2に係る軸部材10と同様に、ダイヤモンド粒子10dを添加したメッキ液に軸部材10を浸漬し、メッキを施す。このようにして母材10eから一部のダイヤモンド粒子10dが突出した中間層10bを形成する。次に、母材10eから突出したダイヤモンド粒子10dを加工することで、界面15を軸・軸受構造1Cの軸を中心とする同一円周上とする。ダイヤモンド粒子10dの加工方法としては、高硬度の材料を研削する方法であればよく、例えば、ダイヤモンドや炭化ケイ素等の砥石で削るといった方法や、放電加工するといった方法を用いる事ができる。
そしてこのようにして形成した中間層10bの外表面に、実施形態1と同様の方法を用いてDLCからなる被覆層10cを形成することで、本実施形態に係る軸・軸受構造1Cが備える軸部材10を作製することができる。
図4の(b)は、本実施形態に係る軸・軸受構造1Cの他の一例を示す図であり、軸・軸受構造1Cの、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。軸・軸受構造1Cが備える軸部材10は、図4の(b)に示すように、ダイヤモンド粒子10dが、接触面(界面15)側が略球状となるように加工されていてもよく、この場合、ダイヤモンド粒子10dの略球状の頂部が、軸・軸受構造1Cの軸を中心とする同一円周上の界面15上に位置する。なお、ダイヤモンド粒子10dの頂部を略球状とするための加工方法は、上述したダイヤモンド粒子10dの加工方法と同様の方法を用いることができる。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図5および図6に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図5は、本実施形態に係る軸・軸受構造1Eの、軸方向に平行な断面を示す断面概略図である。
図5に示すように、軸受部材11は、軸方向の両端に端部11aを有している。すなわち、軸受部材11において、軸部材10と対向する、軸方向に平行である面(対向面)の端に端部11aが形成されている。ここで、軸部材10が、軸を中心として回転した場合を考えると、軸部材10は、軸受部材11に対して摺動する。このとき、振動等の原因により、軸部材10の回転軸が傾く(ぶれる)ことがある。そのため、軸部材10において、軸受部材11の端部11aに対応する位置は、他の位置に比べて摩耗が激しくなる。本実施形態に係る軸受部材11は、軸受部材11の端部11aに対応する位置、すなわち、図5に矢印で示した位置における中間層10bは、ダイヤモンド粒子10dの体積率が高く、それ以外の位置の中間層10bは、ダイヤモンド粒子10dの体積率が低くなっている。具体的には、軸受部材11の端部11aに対応する位置における中間層10bのダイヤモンド粒子10dの体積率は、30%〜70%であることが好ましく、40%〜70%であることがより好ましい。それ以外の位置の中間層10bにおけるダイヤモンド粒子の体積率は、0%〜20%であることが好ましい。
このように、中間層10bにおいて、摩耗の激しい位置には、ダイヤモンド粒子10dを多く配置し、ダイヤモンド粒子10dの体積率を高めることで、耐摩耗性を高める。加えて、摩耗がそれほど激しくないそれ以外の位置では、中間層10bにおけるダイヤモンド粒子10dの体積率を低くし、ダイヤモンド粒子10dの使用量を抑える。このようにして、耐摩耗性に優れた軸部材10を、安価に提供することができる。
このような中間層の形成方法としては、メッキを2回に分けて行う方法が考えられる。すなわち、ダイヤモンド粒子10dの体積率が異なる位置をそれぞれメッキする。例えば、軸部材10を軸受部材11の端部11aに対応する位置をマスキングした状態で、ダイヤモンド粒子10dの添加量の少ないメッキ液の中に浸漬しメッキを行う。そして、次に、軸部材10を軸受部材11の端部11aに対応する位置以外の位置をマスキングし、ダイヤモンド粒子10dの添加量の多いメッキ液の中に浸漬しメッキを行う。これにより、軸受部材11の端部11aに対応する位置のダイヤモンド粒子10dの体積率が、それ以外の位置におけるダイヤモンド粒子10dの体積率よりも高い軸部材10を製作することができる。
なお、本実施形態では、軸受部材11の端部11aに対応する位置の中間層10bのダイヤモンド粒子10dの体積率を、それ以外の位置に比べて高くする構成としたが、例えば、軸受部材11の端部11aに対応する位置にのみダイヤモンド粒子10dが配置され、それ以外の位置には、ダイヤモンド粒子10dの入っていない中間層10bが形成されている構成であってもよい。また、軸受部材11の端部11aに対応する位置にのみ、ダイヤモンド粒子10dが配置された中間層10bを設け、それ以外の位置には、中間層10bが形成されていない構成であってもよい。
図6は、本実施形態に係る軸・軸受構造1Fの、軸方向に平行な断面を示す断面概略図である。
図6に示したように、基体10aにおいて、軸受部材11の端部11aに対応する位置に凹部10fを設け、凹部10fにのみ中間層10bが形成されている構成であってもよい。図6に示したように、凹部10fにのみ中間層10bを設けることで、ダイヤモンド粒子10dの使用量をさらに低減することができると共に、軸部材10の外周面の凹凸を無くすことができ、軸・軸受構造1Fを長寿命化することが可能となる。
なお、本実施形態では、端部11aは、軸部材10と軸受部材11とが対向している面に対して垂直に形成されている例を示したが、端部11aは、どの様な角度で形成されていてもよく、また、曲面であってもよい。
〔変形例〕
上述した実施形態においては、中間層10bをメッキにより形成する場合について述べたが、スパークプラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)(以下、SPSと称する)を用いて中間層10b形成してもよい。具体的には、まず、基体10a上に、ダイヤモンド粒子10dを載置し、その上に、母材10eとなる硬質金属粉末(例えば、コバルト合金粉末)を載せる。そして、SPS装置を用いて、加圧成形することで、硬質金属粉末が圧密化し、中間層10bを形成する。
また、上述した実施形態においては、被摺動部材としての軸受部材11が円筒形状である例を示したが、軸受部材11の形状はこれに限られるものでは無く、例えば、軸部材10に対して平面で摺動する、平面状の軸受部材であってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1〕
縦12mm、横16.65mm、厚さ6mmのステンレス製の基体表面に、平均粒子径40μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、膜厚70μmの中間層を形成した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は70%であった。そして、中間層の上にDLCの被覆層をPVD法を用いて14μmの膜厚で形成し、試験片を作製した。
次に、外径139mm、内径105mm、厚さ6mmの窒化ケイ素からなるリングを相手材とし、ピン・オン・ディスク方式で、面厚0.3MPa、回転速度3m/secの条件で、1時間摩擦試験を行い、試験前後の重量変化から摩耗量を測定した。その結果、試験片の摩耗量は、1.9×10−4gであった。
〔実施例2〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が45μmの物を用い、中間層の膜厚を75μmとし、被覆層の膜厚を20μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、67%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、2.4×10−4gであった。
〔実施例3〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が100μmの物を用い、中間層の膜厚を110μmとし、被覆層の膜厚を8μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、33%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、4.5×10−4gであった。
〔実施例4〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が30μmの物を用い、中間層の膜厚を55μmとし、被覆層の膜厚を6μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、58%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、2.0×10−4gであった。
〔実施例5〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が55μmの物を用い、中間層の膜厚を70μmとし、被覆層の膜厚を10μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、55%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、1.9×10−4gであった。
〔実施例6〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が35μmの物を用い、中間層の膜厚を50μmとし、被覆層の膜厚を10μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、53%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、3.2×10−4gであった。
〔実施例7〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が40μmの物を用い、中間層の膜厚を45μmとし、被覆層の膜厚を15μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、35%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、4.5×10−4gであった。
〔実施例8〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が20μmの物を用い、中間層の膜厚を30μmとし、被覆層の膜厚を15μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、33%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、8.8×10−4gであった。
〔実施例9〕
メッキ液としてコバルトメッキ液を使用し、ダイヤモンド粒子として平均粒子径が50μmの物を用い、中間層の膜厚を75μmとし、被覆層の膜厚を1μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、45%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、4.3×10−4gであった。
〔実施例10〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が25μmの物を用い、中間層の膜厚を60μmとし、被覆層の膜厚を3μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、41%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、4.2×10−4gであった。
〔実施例11〕
メッキ液としてコバルトメッキ液を使用し、ダイヤモンド粒子として平均粒子径が35μmの物を用い、中間層の膜厚を40μmとし、被覆層の膜厚を28μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、31%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、5.2×10−4gであった。
〔実施例12〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が15μmの物を用い、中間層の膜厚を50μmとし、被覆層の膜厚を35μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、19%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、3.5×10−3gであった。
〔実施例13〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が100μmの物を用い、中間層の膜厚を90μmとし、被覆層の膜厚を23μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、23%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、3.2×10−3gであった。
〔実施例14〕
ダイヤモンド粒子として平均粒子径が30μmの物を用い、中間層の膜厚を70μmとし、被覆層の膜厚を4μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、75%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、3.9×10−3gであった。
〔比較例1〕
ダイヤモンド粒子の代わりに、平均粒子径が50μm炭化ケイ素粒子を用い、中間層の膜厚を135μmとし、被覆層の膜厚を10μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層における炭化珪素粒子の体積率は、20%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、4.2×10−3gであった。
〔比較例2〕
メッキ液中にダイヤモンド粒子を添加せず、3μmの膜厚で中間層を形成し、被覆層の膜厚を2μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、7.9×10−3gであった。
〔比較例3〕
ダイヤモンド粒子の代わりに、平均粒子径が65μm窒化ケイ素粒子を用い、中間層の膜厚を70μmとし、被覆層の膜厚を23μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作製した。このとき、中間層における窒化珪素粒子の体積率は、28%であった。そして、実施例1と同様の条件にて摩擦試験を行った。その結果、試験片の摩耗量は、3.7×10−3gであった。
表1は、実施例1〜14および比較例1〜3において作製され、摩擦試験を行った試験片における、各種条件および試験結果を示す表である。
Figure 2017002948
表1に示すように、中間層にダイヤモンド粒子を含んでいない比較例1〜3は、中間層にダイヤモンド粒子を含んでいる実施例1〜13に比べて摩耗量が多く、被覆層の剥離が見られた。
また、中間層の膜厚が30μm〜120μmである実施例1〜14は、摩耗量が少なく、摺動性および耐摩耗性に優れた軸受部材が得られることが確認された。
さらに、中間層の膜厚が、50μm〜100μmである、実施例1、2、4〜6、9、10、および14は、試験片の摩耗量がさらに少なく、より耐摩耗性に優れた軸受部材が得られることが確認された。
また、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率が、30%〜70%である実施例1〜11は、ダイヤモンド粒子の体積率が19%である実施例12や、ダイヤモンド粒子の体積率が23%である実施例13と比べて試験片の摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れた軸受部材が得られることが確認された。
さらに、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率が40%〜70%である実施例1、2、4〜6、9および10は、ダイヤモンド粒子の体積率が30%以上40%未満である実施例3、7、8および11に比べて、試験片の摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れた軸受部材が得られることが確認された。
また、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率が50%〜70%である実施例1、2、4〜6は、ダイヤモンド粒子の体積率が50%未満である実施例9および10に比べて、試験片の摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れた軸受部材が得られることが確認された。
また、被覆層の膜厚は、3μ〜30μmが好ましく、より好ましくは、6μm〜25μmであることが確認された。
〔実施例15〕
次に、軸・軸受モデルを作製し、摩擦試験を行った。軸受として、内径85.5mm、外径103mm、長さ60mmの軸受を用い、軸部材との摺動部分には、長さ30mmの窒化ケイ素からなる軸受部材を用いた。
また、軸部材の基材としては、SUSからなる、外径85mm、内径72mm、長さ100mmのものを用いた。そして、軸受部材の軸方向の両端に設けられた端部に対応する位置に、平均粒子径20μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、膜厚50μmの中間層を形成した。そして、端部に対応する位置以外の位置には、平均粒子径20μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、膜厚50μmの中間層を形成した。このとき、端部に対応する位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、42%であり、それ以外の位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、20%であった。
次に、中間層の外表面に、実施例1と同様の方法で、DLCからなる被覆層を25μmの厚さで形成し、軸部材を作製した。
そして、これらを組み合わせ、回転速度6m/sec、アンバランス量Gが0以下の状態で1時間摺動試験を行い、試験後の被覆層表面の観察を行った。
〔実施例16〕
端部に対応する位置には、平均粒子径30μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、55μmの厚さで中間層を形成し、それ以外の位置には、平均粒子径30μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、膜厚55μmの厚さで中間層を形成し、被覆層の厚さを6μmとしたこと以外は、実施例14と同様の方法で軸部材を作製した。このとき、端部に対応する位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、58%であり、それ以外の位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、5%であった。
そして、実施例15と同様の条件で試験を行い、試験後の被覆層表面の観察を行った。
〔実施例17〕
端部に対応する位置には、平均粒子径50μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、80μmの厚さで中間層を形成し、それ以外の位置には、ダイヤモンド粒子を添加していないニッケルメッキ液を用いて、膜厚80μmの厚さで中間層を形成し、被覆層の厚さを22μmとしたこと以外は、実施例15と同様の方法で軸部材を作製した。このとき、端部に対応する位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、67%であり、それ以外の位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、ダイヤモンド粒子を含まないため0%であった。
そして、実施例15と同様の条件で試験を行い、試験後の被覆層表面の観察を行った。
〔実施例18〕
端部に対応する位置には、平均粒子径100μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、120μmの厚さで中間層を形成し、それ以外の位置には、平均粒子径80μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、膜厚120μmの厚さで中間層を形成し、被覆層の厚さを8μmとしたこと以外は、実施例15と同様の方法で軸部材を作製した。このとき、端部に対応する位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、64%であり、それ以外の位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、10%であった。
そして、実施例15と同様の条件で試験を行い、試験後の被覆層表面の観察を行った。
〔実施例19〕
端部に対応する位置には、平均粒子径30μmのダイヤモンド粒子を添加したニッケルメッキ液を用いて、70μmの厚さで中間層を形成し、それ以外の位置には、ダイヤモンド粒子を添加していないニッケルメッキ液を用いて、膜厚70μmの厚さで中間層を形成し、被覆層の厚さを4μmとしたこと以外は、実施例15と同様の方法で軸部材を作製した。このとき、端部に対応する位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、75%であり、それ以外の位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率は、ダイヤモンド粒子を含まないため0%であった。
そして、実施例15と同様の条件で試験を行い、試験後の被覆層表面の観察を行った。
〔比較例4〕
端部に対応する位置には、中間層を形成せず、それ以外の位置には、ダイヤモンド粒子を添加しないニッケルメッキを用いて厚さ90μm中間層を形成し、被覆層の膜厚を14μmとしたこと以外は、実施例15と同様の方法で軸部材を作製した。そして、実施例15と同様の条件で試験を行い、試験後の被覆層表面の観察を行った。
〔比較例5〕
端部に対応する位置にも、それ以外の位置にも中間層を設けず、被覆層の膜厚を10μmとしたこと以外は、比較例4と同様の方法で軸部材を作製した。そして、実施例15と同様の条件で試験を行い、試験後の被覆層表面の観察を行った。
〔比較例6〕
被覆層の膜厚を5μmとしたこと以外は、比較例5と同様の方法で軸部材を作製した。そして、実施例15と同様の条件で試験を行い、試験後の被覆層表面の観察を行った。
表2は、実施例15〜19および比較例4〜6において作製され、摺動試験を行った軸部材における、各種条件および試験結果を示す表である。
Figure 2017002948
表2において、丸印(○)は、試験後の被覆層の摩耗が影響のない程度であったことを示し、三角印(△)は、被覆層に軽微な剥離が見られたことを示し、バツ印(×)は、被覆層が剥離していたことを示している。
表2に示すように、少なくとも軸受部材の端部に対応する位置にダイヤモンド粒子を配置した実施例15〜18は、耐摩耗性に優れていることが確認できた。また、軸受部材の端部に対応する位置以外の位置に、ダイヤモンド粒子を含まない中間層を設けた比較例4と、中間層を設けなかった比較例5および6との比較により、軸受部材の端部に対応する位置以外の位置には、ダイヤモンド粒子が含まれていなくても中間層を設けた方がよいことが確認できた。
また、軸受部材の端部に対応する位置の中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率が75%であった実施例19は、試験後の被覆層の摩耗は、影響がない程度であったが、表面を観察すると、微小なクラックが見られた。これは、軸受部材の端部に対応する位置の中間層における母材の量が少なく、軸受部材の端部の接触等による衝撃で被覆層が割れてしまったためだと考えられ、中間層におけるダイヤモンド粒子の体積率が70%以下であることが好ましいことが確認された。
本発明は、例えばポンプ等に用いられる摺動部材に利用することができる。
1A、1B、1C、1E、1F 軸・軸受構造
10 軸部材
10a 基材
10b 中間層
10c 被覆層
10d ダイヤモンド粒子
10e 母材
11 軸受部材
11a 端部
15 界面

Claims (10)

  1. 軸および軸受を有する軸・軸受構造に用いられ、被摺動部材に対して相対的に摺動する摺動部材であって、
    基体と、
    前記被摺動部材に摺接する、ダイヤモンドライクカーボンを含む被覆層と、
    前記基体と前記被覆層との間に設けられ、ダイヤモンド粒子および母材を含む中間層とを備えることを特徴とする摺動部材。
  2. 前記中間層の膜厚が、30μm〜120μmであることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記ダイヤモンド粒子の一部は、前記被覆層と接触している接触粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の摺動部材。
  4. 前記中間層は、前記中間層と前記被覆層との界面において凸部を有し、
    前記凸部は、前記接触粒子で構成されることを特徴とする請求項3に記載の摺動部材。
  5. 前記中間層と前記被覆層との界面は、前記軸・軸受構造の軸を中心とする同一円周上に位置し、
    前記接触粒子は、前記界面において前記被覆層と接触していることを特徴とする請求項3に記載の摺動部材。
  6. 前記中間層における前記ダイヤモンド粒子の体積率が30%〜70%であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の摺動部材。
  7. 前記母材は、ニッケル合金、コバルト合金、銅合金、あるいは鉄合金であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の摺動部材。
  8. 前記中間層は、少なくとも、前記被摺動部材における前記軸・軸受構造の軸方向に平行な前記摺動部材との対向面の端部に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の摺動部材。
  9. 前記被摺動部材における前記軸・軸受構造の軸方向に平行な前記摺動部材との対向面の端部に対応する位置の、前記中間層における前記ダイヤモンド粒子の体積率は、それ以外の位置における前記体積率よりも高くなっていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の摺動部材。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載の摺動部材を用いたポンプ。
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