JP2017044308A - 摺動部材およびポンプ - Google Patents

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実 日根野
隆弘 蒲
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隆弘 蒲
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伸之 坂本
淳 菅井
Atsushi Sugai
淳 菅井
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正明 植村
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Abstract

【課題】摺動性と耐荷重性に優れた摺動部材を提供する。
【解決手段】軸・軸受構造(1A)に用いられ、軸受部材(11)に対して相対的に摺動する軸部材(10)は、WC粒子(10f)および母材(10e)を含む複合層(10b)と、複合層(10b)の表面に設けられ、軸受部材(11)に摺接する、ダイヤモンドライクカーボンを含む被覆層(10c)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばポンプ等に用いられる摺動部材に関し、より詳しくは、軸および軸受を有する軸・軸受構造に用いられる、被摺動部材に対して相対的に摺動する摺動部材に関する。上記摺動部材を適用するポンプ等の一種としては、予め無水状態で全速運転(先行待機運転)を行うことや、気水混合状態での排水を行うことが可能な先行待機運転ポンプがある。
ポンプ等に適用することができる軸・軸受構造が、例えば、特許文献1および2に開示されている。
特許文献1には、摺動部材である軸スリーブと、被摺動部材である軸受部材とを有する軸・軸受構造が開示されている。当該軸スリーブは、ステンレス材の基体と、基体を被覆する硬質層との複層構造を有し、硬質層を、コバルト基合金からなる母粉末に超硬粒子を含有させた超硬金属で構成することで、耐摩耗性を高めると共に、摺動抵抗を軽減している。
また、特許文献2には、摺動部材であるスリーブの基材としてステンレス材を用い、基材の表面にWC(タングステンカーバイド)系またはCr系超硬合金の溶射膜を形成し、溶射膜の上にTiN,TiC,TiCN,SiC,Si,ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素の硬質皮膜、あるいは、SiC微粒子入りNi−Pメッキの硬質皮膜を被覆した軸・軸受構造が開示されている。
特開2001−254726号公報(2001年9月21日公開) 特開平5−52222号公報(1993年3月2日公開)
しかしながら、特許文献1に記載の軸スリーブは、摩擦係数が高く、ポンプ運転時に振動が発生したり、温度が上昇したりするという問題がある。
また、特許文献2に記載のスリーブは、溶射膜が荷重により変形してしまうことで、硬質皮膜の割れや剥離が発生するという問題がある。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、摺動性と耐荷重性に優れた摺動部材を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る摺動部材は、軸および軸受を有する軸・軸受構造に用いられ、被摺動部材に対して相対的に摺動する摺動部材であって、WC粒子および母材を含む複合層と、前記複合層の表面に設けられ、前記被摺動部材に摺接する、ダイヤモンドライクカーボンを含む被覆層とを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、複合層中のWC粒子が、ダイヤモンドライクカーボンを含む被覆層と接触することにより、ダイヤモンドライクカーボンの炭素と、WC粒子とが接触する。これにより、複合層と被覆層との接合が強固なものとなり、摺動性に優れた被覆層が剥離してしまうのを防止することができる。これにより、摺動性と耐荷重性に優れた摺動部材を提供することが可能となる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記複合層は、前記WC粒子を20〜45vol%含んでいてもよい。
上記の構成によれば、強度に優れ、また、被覆層との密着性に優れた複合層を備える摺動部材を提供することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記複合層は、15vol%以下のWC粒子を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、平均粒子径の小さいWC粒子は、母材の粒界近傍に分散する。そのため、複合層の耐摩耗性が向上する。これにより、耐摩耗性に優れた摺動部材を提供することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材において、前記複合層の層厚が、400μm以上であってもよい。
上記の構成によれば、複合層の層厚を大きくすることで、外力に対する複合層の変形量を少なく抑えることができる。そのため、外力が作用することで、被覆層が複合層から剥離してしまうことを防止することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材は、前記被覆層の層厚が、5〜15μmであってもよい。
上記の構成によれば、被覆層の層厚をこのような範囲とすることで、複合層と被覆層との密着性が優れ、かつ、耐摩耗性にも優れた摺動部材を提供することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材は、前記複合層に対して、前記被覆層とは反対側に設けられたステンレス材からなる基体を備え、前記母材は、熱膨張係数が10〜14ppm/℃であってもよい。
上記の構成によれば、母材の熱膨張係数をこのような範囲内とすることで、ステンレス材からなる基体と熱膨張係数が近い値となる。そのため、母材と基体との間の密着性が向上し、耐摩耗性に優れた摺動部材を提供することができる。
さらに、本発明に係る摺動部材を、ポンプに用いてもよい。
上記の構成によれば、摺動性と耐荷重性にすぐれた摺動部材を備えるポンプを提供することができる。
本発明の一態様によれば、摺動性と耐荷重性に優れた摺動部材およびポンプを提供することができる。
本発明の実施形態1に係る軸・軸受構造の、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照し詳細に説明する。なお、本実施の形態では、摺動部材としての軸部材について説明するが、本発明の摺動部材は必ずしもこれに限らない。例えば、軸部材に対して相対的に摺動する軸・軸受構造における軸受け部材にも適用することができる。
図1は、本実施形態に係る軸・軸受構造1Aの、軸方向に垂直な断面を示す断面概略図である。
図1に示すように、軸・軸受構造1Aは、例えばポンプ等に用いられる摺動部材としての軸部材10と、被摺動部材としての軸受部材11とを備える。軸部材10は、円筒形状の軸スリーブであり、軸受部材11に対して相対的に摺動する。なお、軸部材10は、軸スリーブに限定されるものでは無く、軸であってもよい。一方、軸受部材11は、内部に軸部材10が収容される円筒形状を有しており、軸部材10を軸支する。
軸受部材11は、例えば、硬質のセラミックスや、超硬合金等からなり、セラミックスやサーメットであることが好ましい。軸受部材11としてセラミックスやサーメットを用いることにより、軸受部材11の耐久性が向上する。軸受部材11の内側表面は、表面の凹凸が少ないことが好ましく、具体的には、表面粗さRaが1.0μm以下であればよい。なお、軸受部材11の軸部材10側の表面に、摩擦係数を低くしたり、耐摩耗性を向上したりするための焼結体や膜を形成するような加工がされていてもよい。
軸部材10は、図1に示すように、少なくとも、円筒形状の基体10aと、基体10aの外表面に形成された複合層10bと、複合層10bの外表面に形成された被覆層10cとを備える。換言すれば、軸部材10は、複合層10bと、複合層10bに対して軸部材10とは反対側に設けられた被覆層10cとを備える。
基体10aは、一般的に用いられる材質によって形成されており、例えば、SUS304、SUS403といったステンレス材等からなる。また、基体10aの複合層10b側の表面粗さRaは、1.0μm以下であることが好ましい。
被覆層10cは、ダイヤモンドライクカーボン(Diamond-like Carbon)(以下、DLCと称する)からなり、複合層10bを被覆し、外表面が軸受部材11と摺接する摺動面13である。
DLCからなる被覆層10cの形成方法としては、公知のDLCの成膜方法を用いることができ、例えば、スパッタリングを用いた物理気相蒸着法(PVD;Physical Vapor Deposition)、プラズマを用いた化学気相蒸着法(CVD;Chemical Vapor Deposition)等を用いることができる。このようにして、複合層10bの外表面に被覆層10cを形成する。
複合層10bは、硬質粒子10dと母材10eを含む複合材料であり、母材10e中に硬質粒子10dが分散して保持されている。
母材10eは、コバルト基合金、ニッケル基合金、SUS304であることが好ましい。それぞれの合金の組成は、以下の通りである。
[コバルト基合金]
C:0.8wt%以下、Si:0.2〜3.5wt%、B:0.7〜0.9wt%、Cr:8〜27wt%、Mo:15〜30wt%、Fe:1.5wt%以下、Ni:16wt%以下、Co:残部。
[ニッケル基合金]
C:0.3〜0.7wt%、Si:3.5〜4.5wt%、B:2〜3wt%、Cr:10〜15wt%、Mo:0.5〜0.7wt%、Fe:2〜4wt%、Ni:残部。
[SUS304]
C:0.03〜0.08wt%、Si:1.0wt%以下、Mn:2.0wt%以下、Ni:8.00〜10.5wt%、Cr:18.0〜20.0wt%、P:0.045wt%以下、S:0.03wt%以下。
硬質粒子10dは、WC粒子10fを含む。WC粒子10fの粒子径は、45〜200μmであることが好ましく、50〜80μmであることがより好ましい。これは、母材10e中にWC粒子10fを分散させるためには、WC粒子10fの粒子径は、大きい方が好ましいからである。また、WC粒子10fの粒子径が50〜80μmであれば、より確実に母材10e中にWC粒子10fを分散させることができる。
また、硬質粒子10dは、WC粒子10gを含んでいることが好ましい。硬質粒子10dがWC粒子10gを含むことで、軸部材10の耐摩耗性が向上する。WC粒子10gの平均粒子径は、10μm以下であることが好ましい。これは、母材10eの耐摩耗性を向上するためには、母材10eの粒子同士の間(粒界)に、WC粒子10gを介在させることが好ましい。そのため、母材10eよりも粒子径の小さなWC粒子10gを用いることが好ましい。
このように母材10e中に粒子径の異なるWC粒子10fおよびWC粒子10gという2種類の硬質粒子10dを分散させることにより、強度および靱性を確保しつつ、WC粒子10fやWC粒子10gといった硬質粒子10dの添加量を抑えることができる。
複合層10bの形成方法としては、熱間静水圧加圧形成法(HIP法)が好ましい。具体的には、以下の通りである。まず、母材10eとなる合金粉末と、WC粒子10fおよびWC粒子10gからなる硬質粒子10dとをボールミル等で均一に混合し、原料粉末を調整する。そして、原料粉末を基体10a上に積層し、処理温度1100℃、加圧力約111.5MPa(1100気圧)で2時間、アルゴン雰囲気下で保持し、複合層10bを形成する。複合層10bを熱間静水圧加圧法により形成することで、例えば溶射を用いて形成した場合と比較して、複合層10bの層厚を大きくすることができる。
具体的には、複合層10bの層厚は、400μm以上であることが好ましく、700μm以上であることがより好ましく、1000μm以上であることがより一層好ましい。複合層10bの層厚を大きくすることで、外力に対して複合層10b変形しにくくなり、複合層10bの外表面に設けられる被覆層10cが、複合層10bから剥離してしまうのを防止することができる。そのため、複合層10bの層厚を大きくすることで、耐摩耗性に優れた軸部材10を提供することが可能となる。
また、複合層10bにおける、WC粒子10fの体積率は、20〜45vol%であることが好ましく、25〜40vol%であることがより好ましい。これは、複合層10bにおけるWC粒子10fの体積率が、45vol%を超えると、複合層10bの強度が低下してしまうとともに、複合層10bの見かけの熱膨張率が小さくなりすぎるため、基材との密着性も低下し、剥離が起こりやすくなるからである。一方、複合層10bにおけるWC粒子10fの体積率が25vol%未満であると、複合層10bと被覆層10cとの密着性の向上に対する効果は小さい。
さらに、複合層10bにおける、WC粒子10gの体積率は、0〜15vol%であることが好ましく、3〜15vol%であることがより好ましく、5〜10vol%であることがより一層好ましい。これは、複合層10bにおけるWC粒子10gの体積率が15vol%を超えると、複合層10bの強度が低下してしまうからである。
また、複合層10bにおけるWC粒子10fとWC粒子10gとの体積率の和は、25〜45vol%であることが好ましく、30〜40vol%であることがより好ましい。
複合層10bが、WC粒子10fを20〜45vol%、WC粒子10gを0〜15vol%含む場合、被覆層10cの層厚は、20μm以下であることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。これは、被覆層10cの厚さが20μmを超えると、その厚みにより複合層10bと被覆層10cとの接着強度に対して、外力の方が大きくなり、被覆層10cが剥離してしまうことがあるからである。また、被覆層10cの厚さが5μm未満である場合には、複合層10bの剛性が高くとも、被覆層10cに割れが生じてしまうことがあるからである。
このようにして形成した複合層10bの被覆層10c側の表面粗さRaは、被覆層10cとの密着性の観点から、0.8μm以下であることが好ましい。
ここで、硬質粒子10dのWC粒子10fは、その一部が、複合層10bと被覆層10cとの界面15に対して露出している。これにより、被覆層10cの形成過程において、DLCからなる被覆層10cとWC粒子10fが接触する。ここで、複合層10bに含まれるWC粒子10fは、W原子が露出しているため、DLCからなる被覆層10cのC元素との親和性がある。そのため、複合層10bと、被覆層10cとの接合が強固なものとなり、被覆層10cと複合層10bとの間の剥離を防止することができる。なお、複合層10bと、被覆層10cとの接合が強固なものとなるのは、複合層10bのWCと、DLCからなる被覆層10cの炭素原子とが接触することにより、露出しているW原子とC元素とが接触し結合しているため、もしくは、WC+C→2WCという反応が起こるためであると考えられる。
ここで、コバルト基合金の熱膨張係数は、12ppm/℃である。この値は、ステンレス材の熱膨張係数と近い値である。そのため、複合層10bの母材10eとしてコバルト基合金を使用した場合において、基体10aとしてステンレス材を用いることにより、基体10aと複合層10bとの間で熱膨張係数の値の差で生じる応力による剥離を防止することができる。このように、母材10eの熱膨張係数は、基体10aとの密着性を考慮して、10〜14ppm/℃であることが好ましい。
このとき、母材10eおよび硬質粒子10dからなる複合層10bの見かけ上の熱膨張係数は、8〜13ppm/℃となる。例えば、母材10eとしてコバルト基合金を用い、複合層10bが、WC粒子10fとWC粒子10gとを体積率の和で45vl%含んでいる場合、複合層10bの見かけ上の熱膨張係数は、9.3ppm/℃となる。また、母材10eとしてニッケル基合金を用い、複合層10bが、WC粒子10fとWC粒子10gとを体積率の和で25vl%含んでいる場合、複合層10bの見かけ上の熱膨張係数は、11.3ppm/℃となる。
なお、本実施形態においては、複合層10bとして、母材10eとなる合金粉末と、WC粒子10fおよびWC粒子10gからなる硬質粒子10dとを用いたが、複合層10bの原料はこれに限られるものではない。すなわち、複合層10bの原料として、母材10eとなる合金粉末、およびWC粒子10fが少なくとも含まれていればよい。このような構成であっても、複合層10bの上に、DLCからなる被覆層10cを設けることで、WC粒子10fの一部が、DLCの炭素と原子と接触し、複合層10bと被覆層10cとの接合が強固なものとなる。これにより、複合層10bと被覆層10cとの間の剥離を防止することができる。
また、本実施形態においては、軸部材10が、基体10a、複合層10bおよび被覆層10cを備えている構成について述べたが、軸部材10は、基体10aを備えていなくてもよい。すなわち、軸部材10は、複合層10bと被覆層10cとの2層構造であってもよい。
また、本実施形態においては、被摺動部材としての軸受部材11が円筒形状である例を示したが、軸受部材11の形状はこれに限られるものでは無く、例えば、軸部材10に対して平面で摺動する、平面状の軸受部材であってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1〕
母材としてコバルト基合金を、硬質粒子として、平均粒子径が53μmのWC粒子、および平均粒子径が5μmのWC粒子を用いて内径85mm、長さ80mm、層厚1300μmの円筒形状の複合層を熱間静水圧加圧法により形成した。このとき、WC粒子の体積率は32vol%であり、WCの体積率は8vol%であった。そして、複合層の表面に、DLCの被覆層を、PVD法を用いて7μmの層厚で製膜し、試験片を作成した。
次に、作成した試験片に対して、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
ロックウェル圧痕試験は、被覆層の密着性を評価するための試験であり、Cスケールのロックウェル硬度計を用いて被覆層を押圧し、押圧により生じた圧痕を観察した。
耐摩耗試験は、外径139mm、内径105mm、厚さ6mmの窒化ケイ素からなるリングを相手材とし、ピン・オン・ディスク方式で、面厚0.3MPa、回転速度3m/secの条件で、1時間摩擦試験を行い、試験前後の重量変化から耐摩耗性を評価した。
〔実施例2〕
硬質粒子として、平均粒子径が46μmのWC粒子、および平均粒子径が10μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を950μmとし、被覆層の層厚を5μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は28vol%であり、WC粒子の体積率は14vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例3〕
母材としてニッケル基合金を、硬質粒子として、平均粒子径が28μmのWC粒子、および平均粒子径が7μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を420μmとし、被覆層の層厚を23μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は30vol%であり、WC粒子の体積率は65vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例4〕
母材としてニッケル基合金を、硬質粒子として、平均粒子径が35μmのWC粒子、および平均粒子径が4μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を485μmとし、被覆層の層厚を3μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は45vol%であり、WC粒子の体積率は4vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例5〕
硬質粒子として、平均粒子径が58μmのWC粒子、および平均粒子径が8μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を750μmとし、被覆層の層厚を10μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は42vol%であり、WC粒子の体積率は3vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例6〕
母材としてニッケル基合金を、硬質粒子として、平均粒子径が20μmのWC粒子、および平均粒子径が6μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を380μmとし、被覆層の層厚を10μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は54vol%であり、WC粒子の体積率は23vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例7〕
母材としてニッケル基合金を、硬質粒子として、平均粒子径が70μmのWC粒子のみを用い、複合層の層厚を700μmとし、被覆層の層厚を14μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は38vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例8〕
硬質粒子として、平均粒子径が76μmのWC粒子、および平均粒子径が4μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を1050μmとし、被覆層の層厚を15μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は29vol%であり、WC粒子の体積率は6vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例9〕
母材としてニッケル基合金を、硬質粒子として、平均粒子径が67μmのWC粒子、および平均粒子径が10μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を800μmとし、被覆層の層厚を12μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は33vol%であり、WC粒子の体積率は10vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例10〕
母材としてSUS304を、硬質粒子として、平均粒子径が60μmのWC粒子、および平均粒子径が5μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を610μmとし、被覆層の層厚を22μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は36vol%であり、WC粒子の体積率は3vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例11〕
母材としてSUS304を、硬質粒子として、平均粒子径が55μmのWC粒子のみを用い、複合層の層厚を900μmとし、被覆層の層厚を23μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は22vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例12〕
母材としてニッケル基合金を、硬質粒子として、平均粒子径が68μmのWC粒子のみを用い、複合層の層厚を190μmとし、被覆層の層厚を4μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は18vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例13〕
硬質粒子として、平均粒子径が31μmのWC粒子、および平均粒子径が6μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を400μmとし、被覆層の層厚を28μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は45vol%であり、WC粒子の体積率は10vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔実施例14〕
母材としてSUS304を、硬質粒子として、平均粒子径が19μmのWC粒子、および平均粒子径が4μmのWC粒子を用い、複合層の層厚を250μmとし、被覆層の層厚を35μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWC粒子の体積率は16vol%であり、WC粒子の体積率は5vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
〔比較例1〕
硬質粒子として、平均粒子径が13μmのWC粒子のみを用い、複合層の層厚を460μmとし、被覆層の層厚を3μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で試験片を作成した。このとき、複合層におけるWCの体積率は45vol%であった。そして、実施例1と同様の条件にて、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った。
表1は、実施例1〜14および比較例1において作製され、ロックウェル圧痕試験および耐摩耗試験を行った試験片における、各種条件および試験結果を示す表である。
Figure 2017044308
表1のロックウェル圧痕試験の結果において、丸印(○)は、圧痕の周囲の被覆層に剥離見られなかったことを示し、三角印(△)は、圧痕の周囲の被覆層に軽微な剥離が見られたことを示し、バツ印(×)は、圧痕の周囲の被覆層が剥離していたことを示している。
また、表1では、耐摩耗試験の結果を、被覆層の摩耗が少なかった方から順に、二重丸印(◎)、丸印(○)、三角印(△)、およびバツ印(×)で示している。
表1に示すように、複合層にWC粒子を含む実施例1〜14は、複合層にWC粒子を含まない比較例1と比べて、耐摩耗性に優れることが確認された。
本発明は、例えばポンプ等に用いられる摺動部材に利用することができる。
1A 軸・軸受構造
10 軸部材
10a 基体
10b 複合層
10c 被覆層
10e 母材
10f WC粒子
10g WC粒子
11 軸受部材

Claims (7)

  1. 軸および軸受を有する軸・軸受構造に用いられ、被摺動部材に対して相対的に摺動する摺動部材であって、
    C粒子および母材を含む複合層と、
    前記複合層の表面に設けられ、前記被摺動部材に摺接する、ダイヤモンドライクカーボンを含む被覆層とを備えることを特徴とする摺動部材。
  2. 前記複合層は、前記WC粒子を20〜45vol%含むことを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記複合層は、15vol%以下のWC粒子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の摺動部材。
  4. 前記複合層の層厚が、400μm以上であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の摺動部材。
  5. 前記被覆層の層厚が、5〜15μmであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の摺動部材。
  6. 前記複合層に対して、前記被覆層とは反対側に設けられたステンレス材からなる基体を備え、
    前記母材は、熱膨張係数が10〜14ppm/℃であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の摺動部材。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の摺動部材を備えるポンプ。
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