JP2017002630A - トンネル覆工装置、及び、トンネルの覆工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
尚、トンネルの内周面の覆工にプレキャスト覆工版を用いる工法としては、例えば、PCL工法(登録商標)(Precast Concrete Lining)が知られている。
本発明は、このような実状に鑑み、プレキャスト覆工版を用いるトンネルの覆工作業において、当該作業の効率を向上させることを目的とする。
図1は、本発明の一実施形態におけるトンネル覆工装置の概略構成を示す図である。図2は、トンネル覆工装置を構成する覆工版組立部フレーム及び覆工版支保部フレームの展開図である。尚、図1の左右半部は、それぞれ、トンネル覆工装置のトンネル軸方向における異なる位置での横断面を示す。詳しくは、図1の右半分は、図2のA−A断面における右半分に対応し、図1の左半分は、図2のB−B断面における左半分に対応する。また、図1には、複数のプレキャスト覆工版(以下、単に「覆工版」と称する)10からなるアーチ状の覆工版リング11の設置予定位置が破線で示されている。ここで、覆工版リング11が本発明の「覆工版ユニット」に対応する。また、覆工版10は、工場にて予め製造されたプレキャストコンクリートからなり、円弧状断面をなす板状の部材である。覆工版10は、その厚さが例えば10cm程度であり、トンネル軸方向に所定幅(例えば2m幅)を有している。
トンネル覆工装置1は、トンネルの床面3上をトンネル軸方向に走行可能な門型の移動台車(ガントリー)4と、この移動台車4をその上方より覆うように配置されるアーチ状の覆工版組立部フレーム5と、移動台車4をその上方より覆うように配置されるアーチ状の覆工版支保部フレーム6と、を含んで構成される。
トンネル床面3のうち、トンネル幅方向の両端部(左右両側部)には、支持コンクリート9が予め構築されている。
また、移動台車4のトンネル軸方向の中間に位置する複数の脚部41にはそれぞれ下端に補助ジャッキ(図示せず)が設けられている。この補助ジャッキは、移動台車4の停止時に移動台車4の移動を制限するものである。
移動台車4には送風用の風管45と作業足場(図示せず)とが設けられている。この作業足場は覆工版10同士の連結作業時や後述する充填材の注入作業時等に使用される。
枠部材51は、トンネル径方向外側から内側に向かって見て矩形状をなし、その矩形状内の開口にはトンネル周方向に沿ってパネル搬送装置52とリング搬送装置53とが交互に直列に配置されている。
ここで、ジャッキ57は、本発明の「組立部フレーム用ジャッキ」に対応するものであり、その基端部が移動台車4に固定されてトンネル径方向に伸縮自在である。また、ジャッキ57の先端部にはリング搬送装置53が設けられている。
ジャッキ57の伸長時には、リング搬送装置53が枠部材51よりトンネル径方向外側に突出する(図1の符号α参照)。一方、ジャッキ57の短縮時には、リング搬送装置53の各ローラ53bが枠部材51よりもトンネル径方向外側に張り出して露出しない程度までリング搬送装置53がトンネル径方向内側に退入される(図1の符号β参照)。
枠部材61は、複数の支柱等を介して、移動台車4によって支持されている。
本実施形態では、枠部材61は、トンネル径方向外側から内側に向かって見て矩形状をなし、その矩形状内の開口にはトンネル周方向に沿って10個のリング搬送装置63が互いに間隔を空けて直列に配置されている。
ここで、ジャッキ67は、本発明の「支保部フレーム用ジャッキ」に対応するものであり、その基端部が移動台車4に固定されてトンネル径方向に伸縮自在である。また、ジャッキ67の先端部にはリング搬送装置63が設けられている。
ジャッキ67の伸長時には、リング搬送装置63が枠部材61よりトンネル径方向外側に突出する(図1の符号γ参照)。一方、ジャッキ67の短縮時には、リング搬送装置63の各ローラ63bが枠部材61よりもトンネル径方向外側に張り出して露出しない程度までリング搬送装置63がトンネル径方向内側に退入される。
本実施形態では、坑口側から右側の覆工版仮置き部31Rまでトンネル軸方向に延びる左右一対のレール32L,32Rがトンネル床面3上に敷設されている。ここで、本実施形態では、前述のレール42Rがレール32Lとして機能している。
また、本実施形態では、坑口側から左側の覆工版仮置き部31Lまでトンネル軸方向に延びる左右一対のレール33L,33Rがトンネル床面3上に敷設されている(後述する図6(A)参照)。ここで、本実施形態では、前述のレール42Lがレール33Rとして機能している。
同様に、図3(A)に示す運搬台車35Rは、1つ以上の覆工版10を搭載可能であり、かつ、レール32L,32R上を走行可能である。この運搬台車35Rは、1つ以上の覆工版10を搭載した状態で、トンネルの坑口側から覆工版仮置き部31Rまで走行可能である。
ここで、運搬台車35L,35Rが本発明の「台車」に対応するものであり、トンネル覆工装置1は、運搬台車35L,35Rを備えている。
次に、この覆工版置き部31Rにて、トンネルの天端に配置される予定の覆工版10にワイヤーWの先端部を接続する(換言すれば覆工版10の玉掛けを行う)。
次に、図4(B)〜図5(A)に示すように、ウインチ21によりワイヤーWを更に巻き上げることにより、覆工版10を覆工版組立部フレーム5の上部まで移動させる。この移動時には、覆工版10が覆工版組立部フレーム5のパネル搬送補助ローラ54及びローラ52bに接触するので、これらローラ54,52bの回転により、覆工版10をトンネル周方向に沿って覆工版組立部フレーム5の上部までスムーズに搬送することができる。ここで、覆工版10を移動させるウインチ21も、本発明の「組立部フレーム用搬送手段」を構成し得る。
従って、覆工版組立部フレーム5では、そのトンネル径方向外側にて複数の覆工版10を支持しつつアーチ状に連結することにより、アーチ状の覆工版リング11を形成可能である。
尚、本実施形態において、覆工版組立部フレーム5にて覆工版リング11が組み立てられている途中では、ジャッキ57が短縮して、リング搬送装置53のローラ53bが覆工版リング11から離間している。
図14は、パネル連結金具の概略構成を示す図である。詳しくは、図14(A)は、トンネル径方向外側から内側に向かって見たときのパネル連結金具を示す図であり、図14(B)は図14(A)のI−I断面図である。
L型金具81は山形鋼からなり、互いに直交する2つの板状部分81a及び81bにより構成される。
板状部分81bは、板状部分81aが覆工版10の外面に面接触しているときに、覆工版10の外面よりトンネル径方向外側に張り出す。板状部分81bには、ボルト83を挿入するための孔81dが貫通形成されている。
覆工版10のトンネル周方向両端部の外面(トンネル径方向外側の表面)には、それぞれ、ボルト82の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を備えるボルト取付孔82aが形成されている。
尚、本実施形態では、覆工版10同士の連結部分に2つのパネル連結金具80を用いているが、当該連結部分に用いられるパネル連結金具80の個数はこれに限らない。また、本実施形態では、覆工版10同士の連結にパネル連結金具80を用いているが、覆工版10同士の連結手法はこれに限らず、例えば、いわゆるワンパス形式の継手金物を用いて覆工版10同士の連結を行ってもよい。
図15は、リング連結金具90の概略構成を示す図である。詳しくは、図15(A)はリング連結金具90の平面図であり、図15(B)はリング連結金具90の側面図である。図16は、リング連結金具90の取付状態を示す図である。詳しくは、図16(A)は、トンネル径方向外側から内側に向かって見たときのリング連結金具90の取付状態を示す図であり、図16(B)は図16(A)のII−II断面図である。
前述の覆工版リング11,11s同士の連結時には、リング連結金具90の一方の端部の係止凹部93を、既設の覆工版リング11sに取り付けられたパネル連結金具80のボルト83の雄ねじ部に引っ掛ける。この後、リング連結金具90の他方の端部の係止凹部93を、覆工版リング11に取り付けられたパネル連結金具80のボルト83の雄ねじ部に引っ掛ける。これにより、切羽側に向かう外力が覆工版リング11に作用しても、覆工版リング11は、リング連結金具90によって、切羽側への移動が制限される。尚、坑口側に向かう外力が覆工版リング11に作用する場合には、覆工版リング11は、既設の覆工版リング11sに当接しているので、坑口側への移動が制限される。尚、本実施形態では、覆工版リング同士の連結にリング連結金具90を用いているが、覆工版リング同士の連結手法はこれに限らず、例えば、いわゆるワンパス形式の継手金物を用いて覆工版リング同士の連結を行ってもよい。
次に、図12(A)及び(B)に示すように、覆工版リング11の下端と既設の支持コンクリート9との間の隙間を塞ぐように型枠99を設置すると共に、妻型枠8を設置する。ここで、妻型枠8は、トンネル覆工装置1内から前述の間隙7(図2参照)を通じて空間S内に配置され得る。尚、本実施形態では、妻型枠8が、1スパン分の覆工版リング11のうち、最も切羽側に位置する覆工版リング11のトンネル軸方向中央部に設けられているが、妻型枠8の設置位置はこれに限らない。例えば、妻型枠8が、1スパン分の覆工版リング11のうち、最も切羽側に位置する覆工版リング11の切羽側端部に設けられてもよい。この場合には、前述のリング連結金具90を用いる代わりに、例えば、いわゆるワンパス形式の継手金物を用いて覆工版リング同士の連結が行われる。
以上の工程を繰り返すことで覆工体15が切羽側に向かって順次構築される。尚、本実施形態では、覆工版10(覆工体リング11)の厚さは10cm程度であり、硬化した充填材70の厚さは20cm程度であるので、覆工体15の厚さは30cm程度である。
このようにして、トンネル覆工装置1を用いて、トンネルの覆工がなされる。
Claims (11)
- トンネルの内周面の覆工に用いられる装置であって、
トンネル床面上をトンネル軸方向に走行可能な門型の移動台車と、
前記移動台車のうちトンネル軸方向の一端部に設置されて前記移動台車によって支持されるアーチ状の覆工版組立部フレームと、
前記移動台車のうち前記覆工版組立部フレームが設置されている部分にトンネル軸方向で隣接する部分に設置されて前記移動台車によって支持されるアーチ状の覆工版支保部フレームと、
を含んで構成され、
前記覆工版組立部フレームでは、そのトンネル径方向外側にて複数のプレキャスト覆工版を支持しつつアーチ状に連結することによりアーチ状の覆工版ユニットを形成可能であり、
前記覆工版支保部フレームでは、複数の前記覆工版ユニットをトンネル軸方向に直列に連結した状態で複数の前記覆工版ユニットを支持可能である、トンネル覆工装置。 - 前記覆工版組立部フレームは、前記覆工版組立部フレームにて形成された前記覆工版ユニットを前記覆工版支保部フレームに移動させる組立部フレーム用搬送手段を備える、請求項1に記載のトンネル覆工装置。
- 前記組立部フレーム用搬送手段は、基端部が前記移動台車に固定されてトンネル径方向に伸縮自在な組立部フレーム用ジャッキと、前記組立部フレーム用ジャッキの先端部に設けられて前記覆工版ユニットに接触可能な組立部フレーム用覆工版ユニット搬送部とを備え、
前記覆工版組立部フレームにて前記覆工版ユニットが組み立てられている途中では、前記組立部フレーム用ジャッキが短縮して、前記組立部フレーム用覆工版ユニット搬送部が前記覆工版ユニットから離間する一方、
前記覆工版組立部フレームにて前記覆工版ユニットが組み立てられた後には、前記組立部フレーム用ジャッキが伸長して、前記組立部フレーム用覆工版ユニット搬送部が前記覆工版ユニットに接触して前記覆工版ユニットを支持する、請求項2に記載のトンネル覆工装置。 - 前記覆工版支保部フレームは、そのトンネル径方向外側にて前記覆工版ユニットをトンネル軸方向に移動させる支保部フレーム用搬送手段を備える、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のトンネル覆工装置。
- 前記支保部フレーム用搬送手段は、基端部が前記移動台車に固定されてトンネル径方向に伸縮自在な支保部フレーム用ジャッキと、前記支保部フレーム用ジャッキの先端部に設けられて前記覆工版ユニットに接触可能な支保部フレーム用覆工版ユニット搬送部とを備え、
前記支保部フレーム用ジャッキは、前記覆工版ユニットがトンネル軸方向に移動されるときに伸長して、前記支保部フレーム用覆工版ユニット搬送部が前記覆工版ユニットに接触して前記覆工版ユニットを支持する一方、
前記支保部フレーム用ジャッキは、前記移動台車が走行するときに短縮して、前記支保部フレーム用覆工版ユニット搬送部が前記覆工版ユニットから離間する、請求項4に記載のトンネル覆工装置。 - 前記移動台車の側方のトンネル床面上には、前記プレキャスト覆工版を仮置きするための覆工版仮置き部が設けられる、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のトンネル覆工装置。
- 1つ以上の前記プレキャスト覆工版を搭載可能であり、かつ、トンネル床面上をトンネル軸方向に走行可能な台車を更に含んで構成され、
前記台車は、1つ以上の前記プレキャスト覆工版を搭載した状態で、トンネルの坑口側から前記覆工版仮置き部まで走行可能である、請求項6に記載のトンネル覆工装置。 - 前記プレキャスト覆工版を前記覆工版仮置き部から前記覆工版組立部フレームのトンネル径方向外側に引き込む覆工版引込装置を更に含んで構成される、請求項6又は請求項7のトンネル覆工装置。
- 前記覆工版支保部フレームに支持された複数の前記覆工版ユニットとトンネルの内周面との間の空間内に充填材を注入する充填材注入装置を更に含んで構成される、請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載のトンネル覆工装置。
- 請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載のトンネル覆工装置を用いるトンネルの覆工方法であって、
前記覆工版組立部フレームと前記覆工版支保部フレームとの間には間隙が形成されており、
前記覆工版支保部フレームに支持された複数の前記覆工版ユニットとトンネルの内周面との間の空間内に注入される充填材の注入用の妻型枠を、前記トンネル覆工装置内から前記間隙を通じて前記空間内に配置することを含む、トンネルの覆工方法。 - 請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載のトンネル覆工装置を用いるトンネルの覆工方法であって、
前記覆工版ユニットの天端部を構成するプレキャスト覆工版を前記覆工版組立部フレームの上部に仮固定する工程と、
前記仮固定されたプレキャスト覆工版のトンネル周方向両端部にそれぞれ連結するように、トンネル周方向に沿って複数のプレキャスト覆工版を直列に連結することで、アーチ状の前記覆工版ユニットを形成する工程と、
を含む、トンネルの覆工方法。
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