JP2017002258A - 繊維強化プラスチック成形体用基材、繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法及び繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形体用基材、繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法及び繊維強化プラスチック成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、全体強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、強化繊維は、扁平ガラス繊維であり、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.5〜1.0であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体用基材、繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法及び繊維強化プラスチック成形体に関する。
ガラス繊維等の強化繊維を含む不織布(繊維強化プラスチック成形体用基材ともいう)を加熱加圧処理し、成形した繊維強化プラスチック成形体は、スポーツ、レジャー用品、航空機用材料など様々な分野で用いられている。繊維強化プラスチック成形体を成形する方法としては、強化繊維から構成される繊維強化プラスチック成形体用基材に熱硬化性樹脂等を含浸させて加熱加圧成形する方法や、強化繊維と熱硬化性樹脂等から構成される繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形する方法が知られている。例えば、特許文献1には、扁平ガラスから形成された不織布が開示されており、この不織布に熱硬化性樹脂を含浸させて繊維強化プラスチック成形体を成形することが記載されている。
近年は、熱可塑性樹脂と強化繊維を含有した繊維強化プラスチック成形体用基材の開発が進められている。このような熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱硬化性樹脂を用いた繊維強化プラスチック成形体用基材よりも保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有する。また、熱可塑性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱硬化性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用基材と比較して成形加工が容易であり、加熱加圧処理を行うことにより成形加工品を成形することができるという利点を有している。
熱可塑性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用基材においては、強化繊維を特定の方向に配向させることによって、繊維強化プラスチック成形体の強度に方向性を持たせることが行われている(例えば、特許文献2及び3)。特許文献2及び3では、強化繊維と熱可塑性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用基材の平面方向の強化繊維の配向方向を調整することにより、一方向の機械的強度を高めた繊維強化プラスチック成形体を成形することが提案されている。
国際公開WO99/28543号公報 特開平4−208406号公報 特開平9−41280号公報
上述したように、各種の繊維強化プラスチック成形体用基材が開発されているが、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化プラスチック成形体は、熱硬化性樹脂を用いた繊維強化プラスチック成形体よりも、全体強度が劣る場合があり改善が求められていた。
また、特許文献2及び3に開示されたような一方向の機械的強度を高めた繊維強化プラスチック成形体においては、特定方向以外の強度が弱く問題となる場合があった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、全体強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材において、強化繊維を扁平ガラス繊維とし、かつ、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーターを特定の範囲内とすることにより、全体強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、強化繊維は、扁平ガラス繊維であり、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.5〜1.0であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材。
[2]繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.65〜1.0である[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[3]繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0〜0.3である[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[4]熱可塑性樹脂は熱可塑性樹脂繊維であり、熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径をaとし、扁平ガラス繊維の扁平断面の長径をbとした場合、a/bは0.8以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[5]熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンである[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[6]熱可塑性樹脂は、酸基含有ポリオレフィンである[1]〜[5]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[7]強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混合したスラリーを湿式抄紙する工程を含み、強化繊維は、扁平ガラス繊維であり、湿式抄紙する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程であり、傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.90〜0.98となるように走行することを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
[8]スラリーの分散媒の25℃における粘度は、1.0〜4.0mPa・sである[7]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
[9][7]又は[8]に記載の製造方法で製造された繊維強化プラスチック成形体用基材。
[10][1]〜[6]及び[9]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材を、熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形することにより形成される繊維強化プラスチック成形体であって、繊維強化プラスチック成形体における厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.5〜1.0であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
[11]曲げ強度の相乗平均値が200MPa以上である[10]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
本発明によれば、全体強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
図1は、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の繊維配向パラメーターを測定するための断面観察用試験片のイメージ図である。 図2は、実施例で用いた傾斜型抄紙機の構成を説明する図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(繊維強化プラスチック成形体用基材)
本発明は、強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材に関する。本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材に用いられる強化繊維は扁平ガラス繊維である。また、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.5〜1.0である。
本発明では、強化繊維として扁平ガラス繊維が使用される。扁平ガラス繊維とは、繊維の扁平断面が扁平(異形)であるものであり、略円形ではないものをいう。ここで、扁平断面とは、繊維の長さ方向と直交する面で切断した際の断面である。また、扁平断面が扁平(異形)であるとは、扁平断面の形状の中心点を通過する最大長で定義される長径と、中心点を通過する最小長で定義される短径の比が1.5以上であることを意味する。扁平(異形)形状としては、例えば、ひょうたん型、まゆ型、長円型、楕円型等を挙げることができる。なお、扁平断面の長径は、10個の異なるガラス繊維の扁平断面を垂直方向より顕微鏡観察し、マイクロスケールを基準として測定した長径の平均の値をいい、扁平断面の短径も同様の方法で測定した平均の値である。
本明細書において、繊維配向パラメーター(fp)は、繊維強化プラスチック成形体用基材における強化繊維の配向状態を表すパラメーターである。繊維配向パラメーター(fp)は、繊維配向分布を−1.0〜1.0の数値で表すパラメーターであり、fp=−1.0及びfp=1.0のとき、強化繊維が1方向に配向していることを意味し、fp=0.0のとき、強化繊維が完全にランダムに配置されていることを意味する。
従来技術に係る繊維強化プラスチック成形体用基材においては、繊維強化プラスチック成形体用基材の厚み方向における強化繊維の配向にばらつきが生じていることが本発明者らの検討により明らかとなった。さらに、繊維強化プラスチック成形体用基材の厚み方向における強化繊維の配向がばらつくことにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から成形された繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度が低下するおそれがあることを本発明者らは明らかにした。本発明は、このような知見に基づいて繊維強化プラスチック成形体用基材の厚み方向における繊維配向パラメーター(fp)を制御するものであり、さらに扁平ガラス繊維を用いることにより、繊維強化プラスチック成形体の全体強度を高めることに成功したものである。
本発明では、繊維強化プラスチック成形体用基材における、厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.5〜1.0であればよく、0.65〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることがより好ましく、0.75〜1.0であることがさらに好ましく、0.8〜1.0であることが特に好ましい。繊維強化プラスチック成形体用基材の厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値を上記範囲内とすることにより、厚み方向の強化繊維の配向を一定方向とすることができ、その結果、繊維強化プラスチック成形体全体の曲げ強度を向上させることできる。
なお、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)は、例えば繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法等を適切に選択することによって制御することが可能である。
繊維強化プラスチック成形体用基材における、厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を測定する場合は、繊維強化プラスチック成形体用基材に、一般的に電子顕微鏡観察で使用される包埋用エポキシ樹脂等を含浸させて、断面観察用試験片を作製する。ここで包埋用エポキシ樹脂を含浸させるのは、後述する断面の切り出しの際に繊維の配向方向が切断時のせん断力で変わってしまうことを防止するためである。包埋用樹脂としては、エポキシ樹脂やスチレン樹脂等、せん断力に耐えうる十分な強度・硬度を有する樹脂が好ましいが、本発明では、エポキシ樹脂を使用することで厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を測定する。包埋用樹脂としては、例えば、日本電子株式会社製、アロニックス LCA D−800を例示することができる。なお、熱硬化タイプの樹脂や、硬化時に発熱する樹脂は、硬化時の熱で繊維強化プラスチック成形体用基材中のバインダーの強化繊維同士の接着力が低下し、強化繊維の角度が変わってしまう可能性があるため、紫外線等の光硬化タイプのエポキシ樹脂等、硬化時に熱源とならない樹脂を用いることが好ましい。
樹脂包埋の方法としては、電子顕微鏡観察や光学顕微鏡観察で一般的に用いられる方法を採用することができる。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を幅5mm、長さ10mmに切断し、上述した包埋用エポキシ樹脂を少なくとも試験片の表面が全て覆われるまで滴下して含浸させ、硬化させる。包埋用エポキシ樹脂の滴下は、例えばスポイト等を用いて行うことができる。
図1は、繊維強化プラスチック成形体用基材に紫外線硬化タイプの包埋用エポキシ樹脂を含浸させて得られた断面観察用試験片の概念図である。図1(a)に示されているように、断面観察用試験片45は、繊維強化プラスチック成形体用基材5を構成する強化繊維20と熱可塑性樹脂25、そして包埋用エポキシ樹脂40を包含する。断面観察用試験片45においては、強化繊維20の位置関係及び形状は繊維強化プラスチック成形体用基材5における状態と同一であり、強化繊維20の位置関係及び形状を保持するように包埋用エポキシ樹脂40が存在している。
なお、図1(a)においては、熱可塑性樹脂25は繊維形状で示されているが、実際は、繊維形状でなくてもよく、粒子形状等であってもよい。熱可塑性樹脂25が繊維形状である場合は、断面形状(扁平断面形状)や、繊維径の差異、繊維の色の差異等によって強化繊維20と区別することができる。また、熱可塑性樹脂25と強化繊維20の見分けがつきにくい場合は、元素マッピング等を利用して強化繊維のみの配向を観察することができる。
厚み方向の繊維配向を観察する際には、断面観察用試験片から幅0.3〜0.6mmの試験片を切り出し、得られた試験片の厚み方向の断面を、光学顕微鏡で観察する。切り出す方法としては、安全カミソリ、手術用メス等の薄い鋭利な刃物で垂直に切断する方法を採用しうる。但し、手作業では垂直断面を得るのが難しいため、FT−IR測定用切片等を切り出すためのフィルムスライサー若しくは電子顕微鏡観察用の切片を切り出すためのイオンスライサーを用いることもできる。尚、フィルムスライサーとしては日本分光株式会社製、スライスマスター HS−1が、イオンスライサーとしては日本電子株式会社製 EM−09100ISが例示される。ここで試験片の切り出し方向は、後述する方法で求めた平面方向の基準線と平行な方向である。光学顕微鏡には、キーエンス社製、マイクロスコープを用い、モノフィラメントが視認できる倍率に拡大して繊維を観察する。本実施形態においては、たとえば上記倍率を300倍、600倍、および800倍から選択することができる。また、強化繊維の観察は、試験片の観察面およびその反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察する。なお、試験片は、ミクロトームを用いて切り出してもよい。
本発明では、エポキシ樹脂で包埋して、厚み方向の断面を切り出すことにより、切断時のせん断力で繊維の角度が変わってしまうことを防ぐことができる。
なお、ガラス繊維のように透明な強化繊維などを用いた場合は、上記のような光学顕微鏡で観察しても強化繊維と樹脂の界面がはっきり視認できない場合も生じる。その場合は、上記と同様にエポキシ樹脂で繊維強化プラスチック成形体用基材を包埋し、断面観察用試験片の断面が露出するように切り出した後に、元素マッピングを行うことにより、強化繊維の配向を観察することができる。この場合、マッピングする元素は、強化繊維のみが含有し、熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂は含有しない元素とする。例えば、ガラス繊維においては、Si又はCa元素を、エネルギー分散型X分析(EDS/EDX: Energy Dispersive X−Ray Spectroscopy)装置を備えた電子顕微鏡によりマッピングすることで、繊維配向を測定することができる。このような装置としては、オランダ フェノムワールド社製の卓上走査型電子顕微鏡「PRO X」等が例示される。
強化繊維の配向方向とは、強化繊維の長さ方向の配向方向である。なお、厚み方向の断面においては、強化繊維の扁平断面のみが観察される繊維も発生するが、このような繊維は、強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の測定には用いないものとする。
強化繊維の配向角度θiは、基準線に対する選び出した強化繊維の配向線の角度である。本発明では、上記条件で試験片の厚み方向の断面を光学顕微鏡等で観察して、上記断面のうちの任意に選択される連続した1.5mm2の測定領域を観察し、この測定領域中に存在する視認し得る全ての強化繊維(繊維数はn本とする)の配向角度θiを測定する。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とする。なお、繊維数n本には、視認される強化繊維が扁平断面のみのものは、含まれない。
厚み方向の繊維配向パラメーター(fp、以下fp値ともいう)は、上記の方法で測定した配向角度θiから以下の式(1)を用いて算出することができる。
fp=2×Σ(cos2θi/n)−1 式(1)
ここで、θiは基準線に対する選び出した強化繊維の配向角度(i=1〜n)である。
ここで、基準線は、下記の方法により決定することができる。
基準線を設定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての強化繊維n本の角度を測定する。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜n)で表される。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維n本の角度を算出する。この場合の角度は、α(p+ziと、α(p-zi(i=1〜n)で表される。回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±zi/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値の絶対値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線Pとすることができる。このように決定した基準線Pから算出される繊維配向パラメーターを、厚み方向における繊維配向パラメーター(fp)とすることができる。
図1(b)は、図1(a)に示した断面観察用試験片45をB−B'方向に切り出し、厚み方向を縦方向とした断面概念図である。なお、B−B'方向は、後述する方法で求めた平面方向の基準線と平行な方向であることが好ましい。
図1(b)では、上記の方法で決定された基準線はPで表される点線であり、各強化繊維の配向線は、各々QとRの点線で表されている。なお、図1(b)において、P'とした点線は基準線と平行な線であり、基準線Pと、各強化繊維の配向線(Q及びR)がなす角度をわかりやすく説明するための補助線である。図1(b)では、P'とQがなす角度(配向角度θ1)は0°であるため、P'とQは重なっている。また、P'とRがなす角度(配向角度θ2)はθ2として表されている。このようにして、θ1〜θnが測定される。なお、図1(b)では、強化繊維の配向状態を確認しやすくするために、強化繊維のみを図示している。
なお、繊維配向パラメーター(fp)や仮基準線と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))を測定する部分としては、断面観察用試験片の厚み方向の断面の端部を避け、中央近辺とすることが好ましい。具体的には、断面観察用試験片の両端部辺から厚み方向に5%(断面観察用試験片の厚みに対して5%)までの領域を避けて測定領域とすることが好ましい。
本発明において、厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が上記範囲内であることは、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の強化繊維の配向が一定方向であることを意味する。すなわち、強化繊維は、繊維強化プラスチック成形体用基材の表面(抄紙面)に平行に配向している。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、全体強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
また、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材においては、強化繊維として用いられる扁平ガラス繊維の扁平断面の長径が繊維強化プラスチック成形体用基材の表面(抄紙面)に略平行であると考えられる。このように扁平ガラス繊維が配されることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材において、扁平ガラス繊維の密度を高めることができ、より繊維強化プラスチック成形体の強度を高めることができるものと考えられる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材において、強化繊維は、平面方向ではランダム配向でもよく、基準線が一義的に定まるようにある程度の配向を有していてもよい。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0〜0.3であることが好ましく、0〜0.25であることがより好ましい。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値を上記範囲内とすることにより、全体強度が高められた均質な繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーターの測定は、特に樹脂包埋等の処理をせずとも測定することができる。具体的には、長さ3cm×幅3cmに切り出した繊維強化プラスチック成形体用基材をスライドガラス上に載せ、上から更にスライドガラスを載せて、マイクロスコープを用いて通常の反射光の測定で観察することができる。
本発明では、スライドガラスで挟んだ試験片の一方の面について光学顕微鏡にて観察する。光学顕微鏡には、キーエンス社製、マイクロスコープを用い、モノフィラメントが視認できる倍率に拡大して反射光にて、または反射光と透過光を併用して繊維を観察する。本実施形態においては、たとえば上記倍率を300倍、600倍、および800倍から選択することができる。これにより、一方の面のうちの任意に選択される連続した2.0mm2の測定領域を観察し、この測定領域中に存在する視認し得る全ての繊維(繊維数はm本とする)の配向角度θiを測定する。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とする。繊維配向パラメーター(fp、以下fp値ともいう)は、上記の方法で測定した配向角度θiから以下の式(2)を用いて算出することができる。
fp=2×Σ(cos2θi/m)−1 式(2)
ただし、i=1〜mである。
そして、反対面についても同様に測定し、一方の面と反対面の平均値を求めて、これを平面方向の繊維配向パラメーター(fp)とする。なお、一方の面の測定領域と反対面の測定領域は、たとえば平面視において重なる領域である。また、一方の面および反対面のいずれの観察においても、たとえば一方の面および反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察することができる。
平面方向の繊維配向パラメーターの測定をする際の基準線は、下記の方法により決定することができる。
基準線を設定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての繊維m本の角度を測定する。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜m)で表される。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維m本の角度を算出する。この場合の角度は、α(p+ziと、α(p-zi(i=1〜m)で表される。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±zi/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線Pとすることができる。このように決定した基準線Pから算出される繊維配向パラメーターを、平面方向における繊維配向パラメーター(fp)とすることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材における強化繊維の配合割合は、20〜80質量%であることが好ましい。本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材においては、強化繊維として扁平ガラス繊維を用いているため、強化繊維の配合割合を多くすることも可能である。本発明では、強化繊維として扁平ガラス繊維を用い、かつ厚み方向の繊維配向パラメーターを所定の範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体における強化繊維の充填密度を高めることができるため、繊維強化プラスチック成形体の強度を効果的に高めることができる。
また、強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比は1:0.2〜1:10であることが好ましく、1:0.5〜1:5であることがより好ましく、1:0.7〜1:3であることがさらに好ましい。強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
(扁平ガラス繊維)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、強化繊維として扁平ガラス繊維を含む。本発明で用いる扁平ガラス繊維としては、Eガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、Sガラス(High strength glass)及び耐アルカリガラス等のガラスを溶融紡糸して扁平断面形状を有する繊維にしたものを挙げることができる。
扁平ガラス繊維とは、繊維の扁平断面が扁平(異形)であるものであり、略円形ではないものをいう。また、扁平断面が扁平(異形)であるとは、扁平断面の形状の中心点を通過する最大長で定義される長径と、中心点を通過する最小長で定義される短径の比(長径/短径)が1.5以上であることを意味する。長径/短径の比は、1.5〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、3〜6であることがさらに好ましい。長径/短径の比は、10個の異なるガラス繊維の扁平断面を垂直方向より顕微鏡観察し、マイクロスケールを基準として測定した長径及び短径各々の平均の値から算出することができる。
扁平ガラス繊維としては、例えば、日東紡社製の扁平ガラス繊維(質量平均繊維長が13mm、繊維断面の長径が28μm、短径が7μm、長径/短径の比が4)を用いることができる。本発明では、上述したような扁平ガラス繊維を用いることにより、繊維強化プラスチック成形体全体の曲げ強度をさらに高めることができる。
ガラス繊維の質量平均繊維長は、3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることがさらに好ましく、6〜50mmであることが特に好ましい。ガラス繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材からガラス繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。また、ガラス繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、ガラス繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
なお、本明細書において、質量平均繊維長は、100本の繊維について測定した繊維長の平均値である。
(熱可塑性樹脂繊維)
繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成するため、マトリックス樹脂と呼ぶこともある。このようなマトリックス樹脂繊維を用いた不織布状の繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱硬化性樹脂を使用したシートに比べて、オートクレーブ処理が不要で、加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、生産性を高めることができる。
熱可塑性樹脂は、繊維、粉末、ペレット又はフレーク状のものを、単独で又は組み合わせて用いることができる。中でも、熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂繊維であることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は、10〜22μmであることが好ましく、12〜20μmであることがより好ましい。ここで、平均繊維径とは、質量平均繊維径を意味する。また、熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径をaとし、上述した扁平ガラス繊維の扁平断面の長径をbとした場合、a/bは0.8以下であることが好ましい。a/bは0.75以下であることがより好ましく、0.7以下であることがさらに好ましく、0.65以下であることが特に好ましい。このように熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径を上記範囲内とすることにより、扁平ガラス繊維をより高密度に含有することができ、繊維強化プラスチック成形体の全体強度をより高めることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂等を例示することができる。中でも、成形性、強度及びコストのバランスの観点から、ポリアミド又はポリオレフィンを用いることが好ましく、ポリオレフィンを用いることがより好ましい。
ポリオレフィンは、酸基含有ポリオレフィンであることが好ましく、酸基含有ポリオレフィンとしては、特に限定されないが、極性基を有する酸変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。例えば、カルボキシル基を含有するモノマーと共重合したポリプロピレンを用いることができる。上記カルボキシル基を含有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸などの不飽和カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などのジカルボン酸などを用いることができる。上記共重合するポリプロピレンは、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン共重合体であってもよい。上記プロピレン共重合体としては、例えば、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンと他のオレフィンのブロック共重合体などが挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが挙げられる。具体的には、プロピレン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体などを用いることができる。中でも、安価に入手でき、融点が高く、耐衝撃性に優れることから、プロピレン単独重合体が好ましい。共重合の方法は、特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などを用いることができる。繊維にしたときにカルボキシル基が表面に出やすいという観点から、グラフト共重合であることが好ましい。カルボキシル基量が多いという観点から、酸変性ポリプロピレンは、マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。上記酸変性ポリプロピレンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明では、熱可塑性樹脂として、ポリアミドを用いることも好ましい。ポリアミドはナイロンであることが好ましく、ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン66等を好ましく用いることができる。熱可塑性樹脂としてナイロンを用いることにより、曲げ強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、質量平均繊維長として、3〜100mmであることが好ましく、3〜50mmであることがより好ましく、3〜25mmであることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から熱可塑性樹脂繊維が脱落することを抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。また、熱可塑性樹脂繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、熱可塑性樹脂繊維の分散性を良好にすることができるため、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
本発明で用いられる繊維強化プラスチック成形体用基材では、熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂繊維を用いることによりシート中に空隙を形成することができる。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、繊維強化プラスチック成形体を形成する前は、シート自体がしなやかでドレープ性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用基材を巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
(バインダー成分)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、バインダー成分をさらに含むことができる。この場合、バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダー成分の量は多くなると表面強度・層間強度共に強くなるが、逆に加熱成形時の臭気の問題が発生しやすくなる。しかし、上記の範囲においては臭気の問題はほとんど発生せず、また繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
バインダー成分としては、一般的に不織布製造に使用される、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、各種澱粉、セルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドーアクリル酸エステルーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が使用できる。
(繊維形状)
本発明では、熱可塑性樹脂繊維と扁平ガラス繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。また、バインダー成分として、バインダー繊維を含む場合は、バインダー繊維もチョップドストランドであることが好ましい。このような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中で、各種繊維を均一に混合することができる。
(繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程は、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを混合したスラリーを、湿式抄紙する工程を含む。ここで、強化繊維は、扁平ガラス繊維である。また、湿式抄紙する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程であり、傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.90〜0.98となるように走行するものである。
傾斜型抄紙機のワイヤーのジェットワイヤー比は0.90〜0.98であればよい。ここで、ジェットワイヤー比とは、スラリーの供給速度とワイヤー走行速度の比であり、スラリーの供給速度/ワイヤー走行速度で表される。ジェットワイヤー比が1よりも大きい場合は、スラリーの供給速度がワイヤーの走行速度よりも速く、この場合を「押し地合」という。また、ジェットワイヤー比が1以下の場合は、スラリーの供給速度はワイヤーの走行速度よりも遅く、この場合を「引き地合」という。
本発明では、ジェットワイヤー比を上記範囲とし、「引き地合」で抄紙することにより、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができる。また、本発明では、ジェットワイヤー比を上記範囲内とすることにより、平面方向の強化繊維の配向を所望の範囲内とすることができ、ランダム配向に近い配向とすることが可能となる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法においては、傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度を通常よりも小さくすることが好ましい。好ましい傾斜角度は抄紙機の規模等によって異なるが、例えば10°以下である。傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度を通常よりも小さくすることにより、湿式抄紙する工程における脱水速度を遅くすることができ、ワイヤー付近における分散液の流れの乱れを抑制し、層流とすることができる。これにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができる。なお、図2は、本発明で用いることができる傾斜型抄紙機200の一例の構成を説明する図である。図2では、傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度は、Zで表されている。ワイヤーの傾斜角度Zは、傾斜型抄紙機のワイヤーと載置水平面とがなす角度である。
なお、通常は、傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度を小さくした場合は、インレットの濃度が高くなるため分散性が悪化し、均質な繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることは難しくなるが、本発明では、分散性の良い扁平ガラス繊維を用いることにより、上記問題を解決している。このため、本発明では、高強度の繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材を抄紙する際には、スラリーの分散媒の25℃における粘度(ただし、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法による。)は、1.0〜4.0mPa・sであることが好ましく、1.5〜4.0mPa・sであることがより好ましく、2.0〜4.0mPa・sであることがさらに好ましい。なお、ここでいうスラリーとは、抄紙工程直前のスラリーをいい、インレット中のスラリーのことである。また、スラリーの分散媒の粘度を測定する際は、インレットのスラリーを500ml採取し、150メッシュの金属製のフルイで繊維をろ過して得られるろ液を用いて測定する。
強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを混合してスラリーを得る工程では、スラリーの分散媒の粘度を上記範囲内となるように調整することが好ましい。スラリーの分散媒の粘度は、例えば、ポリアクリルアミド系の高分子を添加する等の方法で調整できる。スラリーの分散媒の粘度を上記範囲内とすることによっても、ワイヤー付近における分散液の流れの乱れを抑制し、層流とすることができる。これにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができる。
また、スラリーの分散媒の濃度や溶媒の粘度を調整することで、各繊維を十分に分散させることができる。スラリー中で各繊維を十分に分散させることによって、繊維強化プラスチック成形体用基材中の各繊維同士が均一に混抄される。なお、本発明では、強化繊維として扁平ガラス繊維を用いているため、スラリーの強化繊維濃度を高くすることができる。これは扁平ガラス繊維の分散性が良いことに起因するものと考えられる。このようにスラリーの強化繊維濃度を高くすることができるため、上述した傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度を小さくすることが可能となる。
湿式抄紙する工程では、傾斜型抄紙機の傾斜ワイヤーに備えられている複数のサクションボックスの吸引力を各々適宜調節することが好ましい。具体的には、サクションボックスの脱水量を同程度にしたり、傾斜ワイヤーの上流側のサクションボックスの脱水量が多くなるように調節することが好ましい。図2に示されているように、傾斜型抄紙機200は、インレット210の底部に設けられた傾斜ワイヤー220の下方に、上流側から第1のサクションボックス201、第2のサクションボックス202、第3のサクションボックス203、第4のサクションボックス204を順に備えていることが好ましい。このような、傾斜型抄紙機200においては、全てのサクションボックスにおける脱水量の合計量を100とした場合に、第1のサクションボックス201の脱水量を5〜65とすることが好ましく、20〜60とすることがより好ましく、35〜60とすることがさらに好ましい。なお、第1のサクションボックス201の脱水量を25よりも多くした場合は、第2〜第4のサクションボックスの脱水量は、順次低下するよう調節されることが好ましい。
このように複数のサクションボックスの脱水量を調節することによっても、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値を所望の範囲内とすることができ、繊維強化プラスチック成形体用基材における扁平ガラス繊維の密度を高めることができる。
湿式抄紙する工程が傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程である場合、傾斜型抄紙機の傾斜ワイヤーの通気度は、250〜500cm3/cm2/secであることが好ましい。なお、ワイヤーの通気度は上述したインレット内のスラリーの分散媒の粘度によって適宜調節することができる。
本発明の製造工程では、上述したような各条件を調整することにより、スラリーを抄紙して得られた不織布シートの脱水速度を遅くすることが好ましい。不織布シートの脱水速度を遅くすることにより、ワイヤー付近における分散液の流れの乱れを抑制し、層流とすることができる。これにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができ、全体強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程では、バインダー成分は、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを含むスラリーに混合してもよく、バインダー成分を抄紙工程後に得られた不織布シートに後添してもよい。例えば、バインダー成分を抄紙工程後に後添する場合、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを、抄紙された不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させてもよい。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
湿式抄紙する工程では、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことが好ましい。すなわち、繊維強化プラスチック成形体用基材を形成する工程は、スラリーを湿式不織布法で湿式抄紙する工程と、バインダー成分を含む溶液等を不織布シートに内添、塗布又は含浸させる工程を含むことが好ましい。さらに、内添、塗布又は含浸後には、加熱乾燥させる工程を含む。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
なお、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布シートに内添、塗布又は含浸させた後は、そのシートを急速に加熱することが好ましい。このような加熱工程を設けることにより、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用基材の表層領域に移行させることができる。さらに、バインダー成分を水掻き膜状に局在させることができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程においては、湿式抄紙する工程の後に乾燥工程を設けることが好ましい。上述したようにバインダー成分を不織布シートに内添、塗布又は含浸させる工程を含む場合は、該工程の後に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥工程における乾燥温度は、繊維強化プラスチック成形体用基材に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度又は融点よりも低い温度であることが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂として酸変性ポリプロピレンを用いる場合、乾燥温度は140℃未満であることが好ましい。
(繊維強化プラスチック成形体)
本発明は、上述した繊維強化プラスチック成形体用基材を、熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形することにより形成される繊維強化プラスチック成形体に関するものでもある。繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用基材を目的とする成形体の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することで形成される。具体的には、繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用基材を1枚単独、あるいは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することで得られる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.5〜1.0である。このことは、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の表面とほぼ平行に存在していることを意味する。なお、繊維強化プラスチック成形体用基材と繊維強化プラスチック成形体における、強化繊維の配向状態は同様である。
繊維強化プラスチック成形体の厚みは、特に限定されないが、モバイル機器等の筐体として使用される場合などにおいて軽量化という観点からは薄いほうが好ましい。具体的には、0.1〜50.0mmであることが好ましく、0.1〜10.0mmであることがより好ましく、0.4〜1.0mmであることがさらに好ましい。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の強度は、200MPa以上であることが好ましく、230MPa以上であることがより好ましく、250MPa以上であることがさらに好ましく、300MPa以上であることが特に好ましい。なお、本明細書において、繊維強化プラスチック成形体の強度とは、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下「MD方向」という。)およびMD方向と直交する方向(クロスディレクション、以下「CD方向」という。)の曲げ強度の相乗平均を意味する。なお、各方向の曲げ強度は、JIS K 7074(炭素繊維プラスチック成形体の曲げ試験方法)に準じて測定することができる。
曲げ強度の相乗平均値=√(FMD×FCD)
ここで、FMDはMD方向の曲げ強度を表し、FCDはCD方向の曲げ強度を表す。
本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、MD方向の曲げ強度と、CD方向の曲げ強度の比(MD強度/CD強度)は2.0以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましい。本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、特定方向の強度が高められているのではなく、全体強度が高められていることが好ましい。すなわち、MD方向とCD方向の強度比は上記値以下であることが好ましい。
(繊維強化プラスチック成形体の成形方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上述した繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形することにより成形される。繊維強化プラスチック成形体用基材は、目的とする形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。
繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用基材を、熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱した金型によって加熱加圧成形することで成形される。
なお、上記の加熱加圧成形を行う前に、熱可塑性樹脂繊維が溶融したり熱変形したりしない範囲の高温の熱風や熱ロール等によって、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱処理してもよい。これにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の水分や揮発ガス分を減少させ、成形加工時における水蒸気や揮発ガスの発生に起因する塗装面の荒れを防ぐことができる。このような加熱処理を行った場合、いったん冷却してから加熱加圧成形を行ってもよいし、冷却せずに加熱加圧処理成形してもよい。
プレス成形の方法としては、各種存在するプレス成形の方法の中でも、大型の航空機などの成形体部材を作製する際によく使用されるオートクレーブ法や、工程が比較的簡便である金型プレス法が好ましく挙げられる。ボイドの少ない高品質な成形体を得るという観点からはオートクレーブ法が好ましい。一方、設備や成形工程でのエネルギー使用量、使用する成形用の治具や副資材等の簡略化、成形圧力、温度の自由度の観点からは、金属製の型を用いて成形をおこなう金型プレス法を用いることが好ましく、これらは用途に応じて選択することができる。
金型プレス法には、ヒートアンドクール法やスタンピング成形法を採用することができる。ヒートアンドクール法は、繊維強化プラスチック成形体用基材を型内に予め配置しておき、型締とともに加圧、加熱をおこない、次いで型締をおこなったまま、金型の冷却により該シートの冷却をおこない成形体を得る方法である。スタンピング成形法は、予め該基材を遠赤外線ヒーター、加熱板、高温オーブン、誘電加熱などの加熱装置で加熱し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化させた状態で、成形体型の内部に配置し、次いで型を閉じて型締を行い、その後加圧冷却する方法である。また、低密度の成形体を得る場合など、成形時の温度が比較的低い場合は、ホットプレス法を採用することもできる。
成形用の金型は大きく2種類に分類され、1つは鋳造や射出成形などに使用される密閉金型であり、もう1つはプレス成形や鍛造などに使用される開放金型である。本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材を用いた場合、用途に応じていずれの金型も使用することが可能である。成形時の分解ガスや混入空気を型外に排除する観点からは開放金型が好ましいが、過度の樹脂の流出を抑制するためには、成形加工中においては開放部をできるだけ少なくし、樹脂の型外への流出を抑制するような形状を採用することも好ましい。
さらに、金型には打ち抜き機構、タッピング機構から選択される少なくとも一種を有する金型を使用することができる。2段プレス機構を用いるなどの工夫で、熱プレス後に連続して、成形体を打ち抜き加工することも可能である。また、成形体は、その使用目的などによってはリブやボス等の強度補強・加工用の突起やネジ穴の形成、意匠性の付与を目的とした模様の付与を行うことができる。
繊維強化プラスチック成形体が多層構造である場合、他種の繊維強化プラスチック成形体用基材を積層して熱プレスで加熱加圧成形することもできる。また、繊維強化プラスチック成形体用基材を成形すると同時、或いは成形後にアウトサート成形やインサート成形によって、より複雑な形状部材を接着することも可能である。
繊維強化プラスチック成形体用基材から繊維強化プラスチック成形体を成形する際には、具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を150〜600℃の温度で加熱加圧成形することが好ましい。なお、加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維が流動する温度であって強化繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体を成形する際の圧力としては、5〜20MPaが好ましい。また、所望の保持温度に到達するまでの昇温速度は3〜20℃/分が好ましく、所望の熱プレス温度での保持時間としては1〜30分、その後、成形体を取り出す温度(200℃以下)までは圧力を維持しながら、3〜20℃/分の冷却速度とするのが好ましい。さらに、生産効率はやや落ちるものの、熱プレスの保持温度から熱可塑性樹脂のガラス転移温度までは空冷でゆっくりと0.1〜3℃/分で冷却することも、強度向上の観点からは好ましい。また、急速加熱、急速冷却(ヒートアンドクール)成形を用いて熱プレス成形することも可能であり、その場合の昇温、冷却速度はそれぞれ30〜500℃/分である。更に、赤外線ヒーターによる場合は、温度として150〜600℃、好ましくは200〜500℃で1〜30分間加熱し、その後30〜150MPaの圧力で成形することができる。
(繊維強化プラスチック成形体の用途)
本発明の繊維強化プラスチック成形体の用途としては、例えば、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体」、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種フレーム、各種車輪用軸受、各種ビーム、ドア、トランクリッド、サイドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種サポート、などの外板またはボディー部品及びその補強材」、「インストルメントパネル、シートフレームなどの内装部品」、または「ガソリンタンク、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」、「エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング」、などの自動車、二輪車用部品、「ウィングレット、スポイラー」などの航空機用部品、「鉄道車両用の座席用部材、外板パネル、天井パネル、エアコン等の噴出し口」などの鉄道車両用部品として好ましく用いられる。
また、本発明の成形体は、単体として上記の用途に好ましく用いられる他、他部材に積層したり、表面或いは裏面に貼合したり、中層に挿入したりすることで、他部材の補強・剛性の向上・表面性の向上等を図ることができる。
このような用途としては、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体に貼り付ける補強材」、「射出成形体、或いは断熱材等に用いられる発泡PP樹脂や発泡ウレタン樹脂等からなる多孔質体の成形体の貼合する補強材」、「樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来材料(クラフト紙、段ボール、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、含浸紙、グラシン紙、セルロースナノファイバーシートなど)からなるシートやモールド等の成形体の補強材」などの部材等に好適に使用される。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、全体強度が高いため、電気、電子機器用の筐体、自動車用の構造部品、航空機用の部品等に特に好ましく用いられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
表1に示す割合で各繊維を含む不織布(湿式不織布)を、傾斜型抄紙機(傾斜ワイヤー型抄紙機)を用いた抄紙工程を経て製造した。
なお、扁平ガラス繊維としては、質量平均繊維長が13mm、長径が28μm、短径が7μm、比(長径/短径)が4の日東紡社製の扁平ガラス繊維を用いた。
また、酸変性PP繊維としては、質量平均繊維長が15mm、直径が表1に示すとおりの丸断面繊維のダイワボウポリテック社製のマレイン酸変性ポリプロピレン繊維「PZ−AD」(酸価:1.4mg/gKOH、融点:165℃)を用いた。バインダー(繊維状PVA)としては、クラレ社製 VPB−105を使用した。
まず、プロペラ型アジテーター付のタンクに、扁平ガラス繊維の濃度が0.5質量%となるように、扁平ガラス繊維と水を投入した。さらに、分散剤として「エマノーン(登録商標)3199V」(花王株式会社製、モノステアリン酸ポリエチレングリコール)の0.5質量%水溶液を、その固形分が扁平ガラス繊維100質量部に対して0.5質量部となるように添加し、プロペラ型アジテーターを用いて回転数250rpmで攪拌した。
次いで、酸変性PP繊維と、PVA繊維とを、表1の配合比(質量比)となるように投入し、回転数250rpmで攪拌を続けた。
その後、これに水を加え、固形分濃度が0.5質量%となるように調整した。
この繊維スラリーを、ヤンキードライヤー式の乾燥設備を備えた傾斜ワイヤー型抄紙機に連続的に流送し、抄速30m/minで抄造し、坪量100g/m2である繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。抄造に際し、スラリーの分散媒の粘度(JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法により測定した液温25℃における粘度)を表1に示すとおりに調整した。なお、スラリーの分散媒は、インレットのスラリーを500ml採取し、150メッシュの金属製のフルイで繊維をろ過して得られるろ液である。スラリーの分散媒の粘度は、循環白水に連続的にアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤(MTアクアポリマー株式会社製、スミフロック)を溶解した水溶液を添加することで調整した。
実施例1で用いた傾斜型抄紙機には、傾斜ワイヤー部分に4つのサクションボックス(脱水ボックス)を備えるものを用いた。図2は、実施例で用いた傾斜型抄紙機200の構成を説明する図である。図2に示されているように、傾斜型抄紙機200は、インレット210の底部に設けられた傾斜ワイヤー220の下方に第1のサクションボックス201、第2のサクションボックス202、第3のサクションボックス203、第4のサクションボックス204を備えている。
なお、実施例1では、ワイヤーの傾斜角度は7°であり、傾斜ワイヤー部分を構成するワイヤーは、125Paの差圧をかけた際の通気度が350cm3/cm2/secとなるものを使用した。そして、実施例1では、4つのサクションボックスから脱水される循環白水の総量を100とした場合の各サクションボックスの脱水量の比率を、各サクションボックスの吸引力を調整することで表1に示すとおりとなるようにした。
また、傾斜型抄紙機のワイヤーのジェットワイヤー比を循環白水の総量を制御することで表1に示す通りとなるよう調整した。このようにして、繊維強化プラスチック成形体用基材を作製した。得られた繊維強化プラスチック成形体用基材のfp値の絶対値は表1に示した。
<曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体の作製>
得られた各繊維強化プラスチック成形体用基材を、7枚積層し、プレス速度を3.5cm/secで上昇させ、プレス圧を10MPaとして185℃まで昇温し、60秒加熱加圧した後、50℃に冷却して表1に記載した厚みの繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例2)
酸変性PP繊維の繊維径とインレット内の分散媒の粘度を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例3)
酸変性PP繊維の繊維径を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例4)
4つのサクションボックスから脱水される循環白水の総量を100とした場合の各サクションボックスの脱水量の比率を、各サクションボックスの吸引力を調整することで表1に示すとおりに変更し、インレット内の分散媒の粘度とジェットワイヤー比を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例3と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例5)
インレット内の分散媒の粘度を表1に示す通りとした以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例6)
4つのサクションボックスから脱水される循環白水の総量を100とした場合の各サクションボックスの脱水量の比率を、各サクションボックスの吸引力を調整することで表1に示すとおりに変更した以外は、実施例5と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例7)
ワイヤーの通気度、ジェットワイヤー比及びインレット内の分散媒の粘度を表1に示すとおり変更した以外は、実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例8)
インレット内の分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1に示すとおりとした以外は、実施例7と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例1)
ジェットワイヤー比及びインレット内の分散媒の粘度を表1に示すとおりに変更し、ガラス繊維を丸ガラス(オーウエンスコーニング社製 CS13JAJP195)に変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例2)
ワイヤーの傾斜角度を15°に変更し、インレット内の分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1に示すとおりに変更した以外は、比較例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例3)
ジェットワイヤー比及びインレット内の分散媒の粘度を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例4)
ガラス繊維を丸ガラスに変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用基材及び曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を得た。
<厚み方向の繊維配向パラメーター(fp値)の測定>
実施例・比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体用基材を幅5mm、長さ10mmに切断し、紫外線硬化タイプの包埋用エポキシ樹脂(日本電子株式会社製、アロニックス LCA D−800)を、試験片の表面全面を覆うようにスポイトを用いて滴下して含浸させ、紫外線を照射して硬化させた。
そして、日本分光株式会社製、スライスマスター HS−1を用いて、硬化物から幅0.4mm、長さ10mmの断面観察用試験片を切り出した。なお、切断方向は、図1(a)におけるB−B'方向とした。
得られた試験片の厚み方向の断面を、キーエンス社製、マイクロスコープで、300倍に拡大して透過光にて繊維を観察した。ここでは、上記断面のうちの連続した1.5mm2の測定領域を観察した。また、試験片の観察面およびその反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察を行った。そして、上記測定領域中に存在する、観察像において視認し得る全ての繊維(繊維数はn本とする)について、後述する方法で設定した基準線に対する角度θi(i=1〜n)を測定した。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とした。そして、設定された基準線に対する繊維の角度θiから、以下の式(1)を用いて厚み方向の繊維配向パラメーターを算出した。
fp=2×Σ(cos2θi/n)−1 式(1)
なお、基準線は下記の方法で決定した。基準線を決定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての繊維n本の角度を測定した。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜n)で表した。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出した。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維n本の角度を算出した。この場合の角度は、α(p+ziと、α(p-zi(i=1〜n)で表した。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出した。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±zi/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線とした。
<平面方向の繊維配向パラメーター(fp値)の測定>
実施例・比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体用基材を幅3cm×長さ3cmとなるように切り出し、この試験片をスライドガラスで挟み、当該試験片の一方の面を光学顕微鏡にて観察した。光学顕微鏡には、キーエンス社製、マイクロスコープを用い、300倍に拡大して反射光にて繊維を観察した。ここでは、上記一方の面のうちの連続した2.0mm2の測定領域を観察した。そして、この測定領域中に存在する、観察像において視認し得る全ての繊維(繊維数はm本とする)について、後述する方法で設定した基準線に対する角度θi(i=1〜m)を測定した。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とした。そして、設定された基準線に対する繊維の角度θiから、以下の式(2)を用いて厚み方向の繊維配向パラメーターを算出した。
fp=2×Σ(cos2θi/m)−1 式(2)
そして、反対面についても同様に測定し、一方の面と反対面の平均値を求めて、これを平面方向の繊維配向パラメーター(fp)とした。なお、一方の面の測定領域と反対面の測定領域は、平面視において重なる領域とした。また、一方の面および反対面のいずれの観察においても、一方の面および反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察を行った。
なお、基準線は下記の方法で決定した。基準線を決定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての繊維m本の角度を測定した。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜m)で表した。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出した。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維m本の角度を算出した。この場合の角度は、α(p+ziと、α(p-zi(i=1〜m)で表した。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出した。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±zi/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線とした。
<曲げ強度の測定>
得られた繊維強化プラスチック成形体を、JIS K 7074 「炭素繊維強化 プラスチックの曲げ試験方法」に従って、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下MDとする)及び繊維の配向と直角方向(クロスディレクション、以下CDとする)について測定し、MD方向とCD方向の強度及び強度比測定した。
なお、曲げ強度の相乗平均値は以下の式で算出した。
曲げ強度の相乗平均値=√(FMD×FCD)
ここで、FMDはMD方向の曲げ強度を表し、FCDはCD方向の曲げ強度を表す。
Figure 2017002258
厚さ方向の配向パラメーターが所定範囲内であり、かつ扁平ガラスを使用した実施例では、いずれも良好な強度を示している。一方、厚さ方向の繊維配向パラメーターが0.5より小さい比較例においては、実施例に比べて強度が低下している。また、比較例3のように繊維配向パラメーターが0.5より小さい比較例であっても扁平ガラス繊維を使用した場合は、若干の強度向上効果は認められるものの、強度の向上効果は実施例に比べて遥かに小さいことがわかる。また、比較例4のように厚さ方向の繊維配向パラメーターが所定範囲内であっても丸ガラス繊維を用いた場合も強度が劣ることがわかる。
以上のことから配向パラメーターを所定範囲内とすることと、扁平ガラス繊維を使用することで得られる相乗効果が顕著であることがわかる。
5 繊維強化プラスチック成形体用基材
20 強化繊維
25 熱可塑性樹脂
40 包埋用エポキシ樹脂
45 断面観察用試験片
200 傾斜型抄紙機
201 第1のサクションボックス
202 第2のサクションボックス
203 第3のサクションボックス
204 第4のサクションボックス
210 インレット
220 傾斜ワイヤー
P 基準線
P’ 基準線と平行な線(補助線)
Q 基準線に対する強化繊維の配向線
R 基準線に対する強化繊維の配向線
Z ワイヤーの傾斜角度

Claims (11)

  1. 強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、
    前記強化繊維は、扁平ガラス繊維であり、
    前記繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.5〜1.0であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材。
  2. 前記繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.65〜1.0である請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  3. 前記繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0〜0.3である請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  4. 前記熱可塑性樹脂は熱可塑性樹脂繊維であり、
    前記熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径をaとし、前記扁平ガラス繊維の扁平断面の長径をbとした場合、a/bは0.8以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  5. 前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  6. 前記熱可塑性樹脂は、酸基含有ポリオレフィンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  7. 強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混合したスラリーを湿式抄紙する工程を含み、
    前記強化繊維は、扁平ガラス繊維であり、
    前記湿式抄紙する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程であり、
    前記傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.90〜0.98となるように走行することを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
  8. 前記スラリーの分散媒の25℃における粘度は、1.0〜4.0mPa・sである請求項7に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の製造方法で製造された繊維強化プラスチック成形体用基材。
  10. 請求項1〜6及び請求項9のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材を、前記熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形することにより形成される繊維強化プラスチック成形体であって、
    前記繊維強化プラスチック成形体における厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.5〜1.0であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
  11. 曲げ強度の相乗平均値が200MPa以上である請求項10に記載の繊維強化プラスチック成形体。
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