JP6586773B2 - 成形体 - Google Patents
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Description
さらに、従来の繊維強化プラスチック成形体においては、層内強度が十分ではない場合があり、このような場合にはアウトサート成形部材が剥離してしまうことがあり問題となっていた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]繊維強化プラスチック成形体は、第1層と第2層を有し、第2層は、アウトサート成形部材が付設される側に配され、第1層は、強化繊維と、第1の樹脂とを含み、第2層は、強化繊維と、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含み、第1層が、第2の樹脂を含む場合は、第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高い[1]に記載の成形体。
[3]第1層の厚みと第2層の厚みの合計に対して、第2層の厚みが1/3以下である[2]に記載の成形体。
[4]第1層の厚みと第2層の厚みの合計は、1.2mm以下である[2]又は[3]に記載の成形体。
[5]第2層に含まれる第2の樹脂の含有量は、第2層の全質量に対して5〜60質量%である[2]〜[4]のいずれかに記載の成形体。
[6]アウトサート成形部材に含まれる第2の樹脂の含有量は、アウトサート成形部材の全質量に対して50質量%以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の成形体。
[7]繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の対向面側に積層された表面層をさらに含む[1]〜[6]のいずれかに記載の成形体。
[8]表面層は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を含む層である[7]に記載の成形体。
[9]表面層は、第1の樹脂を含む層である[7]に記載の成形体。
[10]強化繊維は、炭素繊維である[1]〜[9]のいずれかに記載の成形体。
[11]第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂である[1]〜[10]のいずれかに記載の成形体。
[12]第1の樹脂はポリエーテルイミドであり、第2の樹脂はポリカーボネートである[1]〜[11]のいずれかに記載の成形体。
[13]第1層に含まれる強化繊維の含有量は、第1層の全質量に対して20〜70 質量%であり、第2層に含まれる強化繊維の含有量は、第2層の全質量に対して20〜70質量%である[2]〜[12]のいずれかに記載の成形体。
[14]第1層の密度は0.8〜2.0g/cm3であり、第2層の密度は0.8〜2.0g/cm3である[2]〜[13]のいずれかに記載の成形体。
本発明の成形体は、繊維強化プラスチック成形体と、繊維強化プラスチック成形体の一方の面側に付設されたアウトサート成形部材とを有する。繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む。熱可塑性樹脂は、第1の樹脂と第2の樹脂を含み、第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂及び難燃剤を含む熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1種であり、第2の樹脂は、限界酸素指数が27以下の熱可塑性樹脂である。アウトサート成形部材は、第2の樹脂を含む。そして繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の第2の樹脂の含有率は、アウトサート成形部材付設面の対向面の第2の樹脂の含有率よりも高い。
本発明の成形体は、アウトサート成形部材を有する。アウトサート成形部材は、第2層の表面上に付設される。
本発明の成形体は、繊維強化プラスチック成形体を含む。繊維強化プラスチック成形体は、単層構造であってもよく、少なくとも第1層と第2層を有する多層構造であってもよい。本明細書においては、繊維強化プラスチック成形体が多層構造の場合、第1層と、第1層の一方の面側に積層された第2層の積層体を繊維強化プラスチック成形体と呼ぶ。なお、繊維強化プラスチック成形体は、第1層と、第2層以外に他の層を有していてもよく、他の層は、第1層と第2層の間に設けられていてもよく、第1層の他方の面側であって、第2層が積層された面とは反対の面側に設けられていてもよい。
繊維強化プラスチック成形体は、少なくとも第1層と第2層を有する多層構造であってもよい。この場合、第1層は、強化繊維と第1の樹脂とを含み、第2層は、強化繊維と、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含む。ここで、第1層は、第2の樹脂を含まなくてもよいが、第2の樹脂を含んでいてもよい。第1層が、第2の樹脂を含む場合は、第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高い。
一方、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材との接着性の観点から、第2層の厚さは30μm以上が好ましく、65μm以上がより好ましい。
まず、繊維強化プラスチック成形体の表面の不純物等を除去するために、繊維強化プラスチック成形体の両表面を層の厚み方向に、3〜5μm削り、表面を光学顕微鏡で観察する。ここで、強化繊維が露出していなければ、更に3〜5μmずつ、強化繊維が露出するまで削る。次に、削ることで露出した繊維強化プラスチック成形体の表面を、ATR法を用いてFT−IR分析を行い、両表面の赤外線吸収スペクトルを求める。そして、第2の樹脂に特有のピークで、第1の樹脂には存しないピークのうち、最も吸収強度の強いピークをひとつ選定する。ここで第2の樹脂であるか否か、すなわち限界酸素指数が27以下であるか否かは、市販のFT−IRスペクトルのデータベースに照らし合わせて樹脂の種類を特定すれば、公知文献からその樹脂の限界酸素指数を調査することで判断できる。市販のFT−IRスペクトルのデータベースとしてはサーモサイエンティフィック社 FT−IR and RamanSpectral Librariesや、Aldrich FT−IR Collection Editionなどが例示されるが、これに限定されるものではない。そして、第2の樹脂に特有のピークの吸収強度(以下、absorbance(x)という)が高い方を第2層側の面とし、その面の第2の樹脂に特有のピークの吸収強度をabsorbance(1)とする。
次に、第2層側の面を4〜6μm削り取り、露出した面について同様にabsorbance(2)を求める。これを繰り返し、求めたabsorbance(x)(xは1〜n)がabsorbance(1)の50%以上の領域までを第2層とし、50%未満の領域を第1層とする。また、50%未満となった時までに削り取られた繊維強化プラスチック成形体の厚さの合計を、第2層の厚さとする。
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、炭素繊維であることがより好ましい。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
強化繊維としては炭素繊維を用いることが好ましい。強化繊維に含まれる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。これらの炭素繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせ用いてもよい。また、これら炭素繊維の中でも、工業規模における生産性及び機械特性の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維を用いることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体が多層構造の場合、第1層は、第1の樹脂を含み、第2層は、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含む。第1の樹脂及び第2の樹脂は、熱可塑性樹脂であり、このような熱可塑性樹脂は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成する。熱可塑性樹脂を用いることによって、繊維強化プラスチック成形体を成形する際の加熱加圧時間を短縮することができ、繊維強化プラスチック成形体の生産性を高めることができる。
ハロゲン系難燃剤の好ましい具体例としては、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、ブロム化イミド等が挙げられ、中でも、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレン樹脂、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレートが、耐衝撃性の低下を抑制しやすい傾向にあり、より好ましい。
リン系難燃剤としては、例えば、エチルホスフィン酸金属塩、ジエチルホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン、リン酸エステル、ホスファゼン等が挙げられ、中でも、ジエチルホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン、ホスファゼンが熱安定性に優れる点から好ましい。また、成形時のガスやモールドデポジットの発生、難燃剤のブリードアウトを抑制するために、リン系難燃剤と相溶性に優れる熱可塑性樹脂を配合してもよい。このような熱可塑性樹脂としては、好ましくは、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂である。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb2O3)、五酸化アンチモン(Sb2O5)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、ハロゲン系難燃剤を用いる場合、該難燃剤との相乗効果から、三酸化アンチモンを併用することが好ましい。
本発明では、第1層に含まれる第1の樹脂の含有量は、第1層の全質量に対して、30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。また、第1層に含まれる第2の樹脂の含有量は、第1層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維と熱可塑性樹脂(第1の樹脂と第2の樹脂の合計質量)の質量比は10:90〜80:20であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましく、30:70〜70:30であることがさらに好ましい。強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
繊維強化プラスチック成形体は、バインダー成分を含有してもよい。バインダー成分を含有する場合は、バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。
繊維強化プラスチック成形体は表面層を有してもよい。表面層は、第1層の一方の面側であって、第2層が積層された面とは反対の面側に設けられることが好ましい。このような表面層は、繊維強化プラスチック成形体の表面強度を高めたり、耐久性を高めることができる。さらに、表面層は、繊維強化プラスチック成形体の塗装適性を向上させることができ、繊維強化プラスチック成形体に均一に塗剤を塗布することを可能にする。
表面層は、ポリエーテルイミドを含むことが好ましく、ポリエーテルイミドからなることがより好ましい。この場合、表面層の坪量は、10〜200g/m2であることが好ましく、20〜100g/m2であることがより好ましい。表面層にポリエーテルイミドを含有させることにより、表面層の坪量を比較的低く抑えることができ、繊維強化プラスチック成形体の製造コストを抑制することもできる。
繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形することにより成形される。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を、1枚単独、又は所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、予め赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することで、繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
上述した繊維強化プラスチック成形体を成形する繊維強化プラスチック成形体用基材は単層構造であってもよく、この場合、第2の樹脂がいずれか一方の表面を含む領域に偏在していることが好ましい。また、述した繊維強化プラスチック成形体を成形する繊維強化プラスチック成形体用基材は、第1層用不織布と、第2層用不織布を有する構成としてもよく、この場合、第2層用不織布に第2の樹脂が多く含有される。また、繊維強化プラスチック成形体が表面層等の他の層を有する場合、繊維強化プラスチック成形体用基材は表面層用シートを有することが好ましい。
なお、繊維強化プラスチック成形体用基材が表面層用シートを有する場合、表面層用シートは、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を含むシートであることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程では、繊維強化プラスチック成形体用基材が単層構造である場合、繊維強化プラスチック成形体用基材のいずれか一方の表面に第2の樹脂が偏在するように繊維強化プラスチック成形体用基材を抄紙する工程を含むことが好ましい。具体的には、第1の樹脂を繊維状とし、第2の樹脂を粉末とし、湿式抄紙法によって急速に脱水することで、樹脂の粉末をワイヤー面に偏在させることができる。また、第1の樹脂を含む不織布の面上に、第2の樹脂の粉末を振りかけ、第2の樹脂を表面に偏在させることもできる。
また、第1層用不織布と第2層用不織布を湿式抄紙法で製造する場合は、多層抄きが可能な抄紙機を使用して、ウエットウエブの状態で重ね合わせ、これらを一体として乾燥させて繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることもできる。多層抄きが可能な抄紙機としては、傾斜ワイヤーを複数備えた抄紙機、円網ワイヤーを複数備えた抄紙機、或いは傾斜ワイヤーと円網ワイヤーの双方を複数備えた、いわゆるコンビネーション型抄紙機が例示される。
なお、繊維強化プラスチック成形体が表面層を有する場合は、第1層用不織布と第2層用不織布と表面層用シートを積層して、材質に応じた温度・圧力で軽く熱プレスをすることもできる。
アウトサート成形部材は、複雑な形状、かつ微細な構造とすることができる。このため、本発明の成形体は、様々な用途に用いることができる。成形体の用途としては、例えば、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体、及び筐体に貼り付けるリブ等の補強材、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種フレーム、各種車輪用軸受、各種ビーム、ドア、トランクリッド、サイドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、などの外板またはボディー部品及びその補強材」、「インストルメントパネル、シートフレームなどの内装部品」、または「ガソリンタンク、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」、「エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング」、などの自動車、二輪車用部品、「ウィングレット、スポイラー」などの航空機用部品、「鉄道車両用の座席用部材、外板パネル、外板パネルに貼り付ける補強材、天井パネル、エアコン等の噴出し口」などの鉄道車両用部品、「樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来のシート(クラフト紙、段ボール、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、含浸紙、グラシン紙、セルロースナノファイバーシートなど)の補強材」などの部材、等に好適に使用される。
このように、本発明の繊維強化プラスチック成形体は、強度が高く、また優れた難燃性を有するため安全性が高いので、電気、電子機器用の筐体、自動車用の構造部品、航空機用の部品、土木、建材用のパネル、その他多種多様な用途に好ましく用いられる。
(第1層用不織布の作製)
繊維長12mmの炭素繊維(台湾プラスチック社製、CS815)をスラリー濃度0.5%となるように水中に投入し、分散剤としてエマノーン(登録商標)3199V(花王株式会社製)を、炭素繊維100質量部に対して1質量部となるよう添加した。尚、エマノーン3199Vはあらかじめ0.5%濃度の水溶液となるように水に溶解して添加した。その後、古紙離解用パルパーを用いて30秒間攪拌して初期分散を行った後、スラリー濃度0.15%となるように水で希釈した(炭素繊維スラリー)。
そして、このスラリーを連続して傾斜ワイヤー型抄紙機に供給し、20m/minの速度で抄紙し、表1の抄紙坪量の幅1.3mの第1層用不織布を得た。
第1層用不織布の作製手順と同様にして、0.15%濃度の炭素繊維スラリーを作製した。そして、ポリエーテルイミド繊維及びポリカーボネート繊維(ダイワボウ社製、繊維径30μm、繊維長15mm)を、表1の第2層の配合比となるように計量し、第1層用のポリエーテルイミド繊維スラリーと同様の方法でポリエーテルイミド繊維及びポリカーボネート繊維スラリーを得た。また、第1層と同様の方法でバインダースラリーを作製した。ポリエーテルイミド繊維、ポリカーボネート繊維スラリー及びバインダースラリーを、表1の第2層の配合比となるように上記の炭素繊維スラリーに投入し、第2層用の原料スラリーを得た。そして、このスラリーを連続して傾斜ワイヤー型抄紙機に供給し、20m/minの速度で抄紙し、表1の抄紙坪量の幅1.3mの第2層用不織布を得た。
得られた第1層用不織布を4枚積層し、さらにその上に第2層用不織布を1枚積層し、プレス圧10MPa、加熱温度300℃で5分間プレスし、70℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。
得られた繊維強化プラスチック成形体を長さ100mm、幅25mmにカット後、射出成形機(ハイブリット式 小型精密射出成形機 PNX60 日精樹脂工業株式会社製)の金型にセットし、アウトサート成形用樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ユーピロン S2000)を用いてアウトサート成形を行った。図3に示すとおり、長さ100mm、幅25mm、厚さ2mmのアウトサート成形部材22が、繊維強化プラスチック成形体30との接着面積が25mm×12.5mmとなる成形体(試験用)を得た。
各層の配合比及び坪量等を表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
<難燃性ポリカーボネート繊維の製造>
(難燃剤含有ポリカーボネート繊維の製造)
ポリカーボネート樹脂(A成分)(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロンS−3000(粘度平均分子量:21,000))と、アクリロニトリル・スチレン系共重合体(B成分)(テクノポリマー(株)製、商品名:290FF(220°C、49N荷重におけるメルトフローレート(MFR):50g/10分))
と、ポリカーボネートオリゴマー(C成分)(三菱ガス化学(株)製、商品名:AL071(平均重合度:7))と、燐系難燃剤(D成分)(燐酸エステル、大八化学(株)製、商品名:PX−200化学式:[OC6H3(CH3)2]2P(O)OC6H4OP(O)[OC6H3(CH3)2]2)を質量比率 100/5.5/12/16となるように混合した。混合物は、30mmφの2軸押し出し機にて溶融混合し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
得られたペレットを紡糸温度300℃にて、紡糸ノズル(孔径0.6mm)を用いて溶融押出し、紡糸ノズル付近の温度を250℃に冷却し、繊度100dtexの紡糸フィラメントを得た。得られたフィラメントを、ギロチンカッターで15mm長に切断し、難燃剤含有ポリカーボネート繊維を得た。
第1層と第2層のPEI繊維を上記の難燃性ポリカーボネート繊維に変更し、各層の配合比及び坪量等を表1に記載したとおり変更した以外は、実施例1と同様にして第1層及び第2層用不織布を得た。
得られた第1層用不織布を4枚積層し、さらにその上に第2層用不織布を1枚積層し、プレス圧10MPa、加熱温度245℃で5分間プレスし、70℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。
得られた繊維強化プラスチック成形体を用いて、実施例1と同様にして成形体を得た。
第2層のポリカーボネート繊維をナイロン6繊維(東レ社製「アミラン」)に変更し、各層の配合比及び坪量等を表1に示す通りとし、アウトサート成形に使用する樹脂を、20%の炭素繊維を含有するナイロン6樹脂(東レ社製 トレカTLP1040)に変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
炭素繊維をEガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS13JAGP195)に変更し、各層の配合比及び坪量等を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
各層の配合比及び坪量等を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、成形体を得た。
各層の配合比及び坪量等を表1のとおり変更した以外は、実施例5と同様にして、成形体を得た。
第2層に強化繊維の配合をせず、各層の配合比及び坪量等を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
第2層にポリカーボネート繊維の配合をせず、各層の配合比及び坪量を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
(難燃性評価)
実施例及び比較例で得られた成形体の燃焼試験を「機器及び部品に使用されるプラスチック材料の燃焼性試験の安全性に関するUL規格、UL94 第6版 2013年3月28日付」に記載された、50W(20mm)垂直燃焼試験に準拠して行い、難燃性評価をV−0、V−1、V−2と分類し、これらのいずれにも該当しない物をV−不適合に分類した。V−0の難燃性が最も高く、V−1、V−2、V−不適合の順に難燃性が低下する。本発明では、難燃性評価がV−2以上のものを合格レベルとした。
実施例及び比較例で得られた成形体のアウトサート成形部材の接着性を評価した。成形体は、図3に示す通りの成形体(試験用)を用いた。JIS K 6850に準じて、引張試験機(INSTRON 55R−4206型 20kN容量チャック)によって、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材の両端をチャックで挟んで引張試験を行い、引張せん断接着強度を測定し、以下の評価基準にて評価した。
○:5MPa以上
△:2MPa以上、5MPa未満
×:2MPa未満
実施例及び比較例で得られた成形体(試験用)を用いて、繊維強化プラスチック成形体の層内強度について、引張せん断接着強度測定後の剥離状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材の界面で剥離している。
△:繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材の界面剥離と、繊維強化プラスチック成形体の層内剥離が混在している。
×:繊維強化プラスチック成形体の層内で剥離している。
水溶液の全質量に対して増粘剤の固形分が2ppmとなるように増粘剤を添加し、各繊維の配合比を表2のとおりとした以外は、実施例1の第1層用と同様にして原料スラリーを作成し、水で希釈してスラリーの濃度を0.2%に希釈し、3Lを分取した。尚、増粘剤の固形分を実施例1よりも減配したのは、濾水速度を速めて後述する第2の樹脂粉末のワイヤー面への偏在を促進するためである。
得られたスラリーを円柱形(高さ 400mm、内径158mm)の原質用容器を備えたJIS P−8222:1998に規定された手すき機に投入し、原質用容器内に水を導入して8Lに希釈し、JIS P−8222:1998に規定された方法で手すきを行い、140℃の熱風乾燥機で乾燥させ、繊維強化プラスチック成形体用基材となる不織布を得た。不織布の抄紙坪量は531g/m2であった。
得られた不織布を、プレス圧10MPa、プレス温度300℃で成形した。この成形体の両表面を4μm削り、表面のIR分析を行った。両表面とも、ナイロン6に由来する1680cm-1のピークが見られたが、ワイヤー面の当該ピークの吸収強度が0.6852であるのに対し、反対面の吸収強度はその約1/5である0.1281であった。
(表面層用不織布の作成)
2.2dtex、繊維長15mmのポリエーテルイミド繊維と、芯鞘PET繊維(クラレ社製、N-720)を、質量比98/2となるように水中に投入し、古紙離解用パルパーで3分間離解して濃度0.5%のスラリーを得た。得られたスラリーを湿式抄式に連続して供給し、表3に示す坪量の表面層用不織布を得た。
実施例1と同様にして、第1層用不織布及び第2層用不織布を作製した。得られた第1層用不織布を4枚積層し、さらにその上に第2層用不織布を1枚積層し、第2層用不織布を積層した反対面に表面層用不織布を1枚積層し、プレス圧10MPa、加熱温度300℃で5分間プレスし、50℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1と同様にして、得られた繊維強化プラスチック成形体にアウトサート成形を行い、成形体を作製した。
実施例12で得られた成形体についても実施例1と同様の評価を行った。さらに、実施例12で得られた成形体については、下記の評価も行った。
実施例12で得られた成形体の表面層に塗装を施し、塗装適性について外観を評価した。成形体(塗装面)の外観について、塗膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:表面の膨れやピンホールが発生していない。
△:わずかにピンホールが発生したが、実用上問題はない。
×:表面の膨れやピンホールが発生した。
10 第1層
12 第2層
14 表面層
22 アウトサート成形部材
30 繊維強化プラスチック成形体
Claims (12)
- 第1層と第2層を有する繊維強化プラスチック成形体と、前記繊維強化プラスチック成形体の一方の面側に付設されたアウトサート成形部材とを有し、
前記第2層は、前記アウトサート成形部材が付設される側に配され、
前記第1層の厚みと前記第2層の厚みの合計に対して、前記第2層の厚みが1/3以下であり、
前記繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維と、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂とを含み、
前記熱可塑性樹脂は、第1の樹脂と第2の樹脂を含み、
前記第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂及び難燃剤を含む熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1種であり、
前記第2の樹脂は、限界酸素指数が27以下の熱可塑性樹脂であり、
前記第1層は、前記強化繊維と、前記第1の樹脂とを含み、
前記第2層は、前記強化繊維と、前記第1の樹脂と、前記第2の樹脂とを含み、
前記アウトサート成形部材は、前記第2の樹脂の少なくとも一部を含み、
前記第1層が、前記第2の樹脂を含む場合は、前記第2層に含まれる前記第2の樹脂の含有率は、前記第1層に含まれる前記第2の樹脂の含有率よりも高いことを特徴とする成形体。 - 前記第1層の厚みと前記第2層の厚みの合計は、1.2mm以下である請求項1に記載の成形体。
- 前記第2層に含まれる前記第2の樹脂の含有量は、前記第2層の全質量に対して5〜60質量%である請求項1又は2に記載の成形体。
- 前記アウトサート成形部材に含まれる前記第2の樹脂の含有量は、前記アウトサート成形部材の全質量に対して50質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形体。
- 前記第1層側に積層された表面層をさらに含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体。
- 前記表面層は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を含む層である請求項5に記載の成形体。
- 前記表面層は、前記第1の樹脂を含む層である請求項5に記載の成形体。
- 前記強化繊維は、炭素繊維である請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形体。
- 前記第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂である請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形体。
- 前記第1の樹脂はポリエーテルイミドであり、前記第2の樹脂はポリカーボネートを含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の成形体。
- 前記第1層に含まれる強化繊維の含有量は、前記第1層の全質量に対して20〜70質量%であり、
前記第2層に含まれる強化繊維の含有量は、前記第2層の全質量に対して20〜70質量%である請求項1〜10のいずれか1項に記載の成形体。 - 前記第1層の密度は0.8〜2.0g/cm3であり、前記第2層の密度は0.8〜2.0g/cm3である請求項1〜11のいずれか1項に記載の成形体。
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