JP2010253937A - 一体化成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】三次元形状などの複雑形状が作製可能であり、かつ等方的な力学特性を有し、薄肉、軽量性にも優れる一体化成形品を提供すること。
【解決手段】強化繊維と樹脂を有してなる面状成形体(I)と、第2の成形体とが接合した一体化成形品であり、該面状成形体(I)が少なくとも1つの屈曲部を有しており、かつ該屈曲部で区切られる各面部での曲げ強度が実質的に等方性であり、かつ各面部同士の曲げ強度が実質的に同等である一体化成形品である。
【選択図】なし

Description

本発明は、等方的な力学特性を有し、力学特性にムラ・バラツキの極めて少ない三次元形状の一体化成形品に関する。さらに、本発明は、電子・電気機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品または建材のいずれかの用途に好適に用いられる三次元形状の一体化成形品に関する。
繊維強化プラスチック(FRP)は、成形性、薄肉、軽量、比剛性、生産性、経済性に優れる材料であり、電気・電子機器部品、自動車機器部品、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の部品や筐体に頻繁に利用されている。とりわけ、ノートパソコン、携帯電話、携帯情報端末に代表される携帯電子機器の普及につれて、薄型で軽量の製品が市場で強く要望されている。これにともない、製品を構成する筐体や内部部材の薄肉化や軽量化が強く求められ、材料性能として比剛性が高く、比重が低いことが求められている。
そして、薄肉への要求にともない、マグネシウム合金やアルミニウム合金などの金属材料の活用が検討されている。しかし、これらの金属材料単体では、複雑な形状の部材や製品を効率よく生産することが困難である。
特許文献1には、複雑形状を成すために、金属製の成形品と射出成形したリブとをエポキシ樹脂系の塗料で接着して一体化してなる筐体が提案されている。特許文献2には、金属板と合成樹脂成形体とを一体化してなる電磁波シールド筐体が提案されている。しかしながら、これらの筐体では、薄肉で高い力学特性を満足することができても、金属材料の比重が大きいために、結果的には、軽量性を満足するには至っていない。
一方、FRPの中でも、連続した強化繊維で補強されたFRPは、特に軽量で比剛性に優れた素材であるが、複雑形状の成形品を効率よく容易に生産するには不向きであった。このため、連続した強化繊維を用いたFRPに複雑な形状を有する部品や構造体を単一の成形工程で量産性よく接合させる技術が特許文献3に開示されている。但し、連続した強化繊維で補強されたFRPは絞り形状、箱型などの形状賦形された成形品に使用することは難しく、三次元形状の形成には向いていない。
特許文献4には、不連続で単繊維状の炭素繊維を熱可塑性樹脂中に高含有率で含有させ、かつ均等に配向させることにより、高い力学特性を有する成形品が開示されている。強化繊維が不連続なため、ある程度の形状賦形も可能である。
しかしながら、近年では電子機器をはじめとする筐体製品の軽量化、薄肉化、高剛性化、複雑形状化へのニーズは増大し、従来の成形品では容易に達成できない、前記特徴に優れた成形品の開発が強く求められている。
本発明は、かかる技術的問題を鑑み、三次元形状の成形性に優れ、かつ等方的で優れた力学特性、薄肉、軽量性を有する一体化成形品を提供することを目的とする。
特開2001−298277号公報 特開平06−029684号公報 特許第3906319号公報 国際公開第2007/97436号パンフレット
本発明は屈曲部の複雑形状を有しつつ、力学特性が実質的に同等な面状成形体(I)と第2の成形体とが接合した一体化成形体を提供すること、すなわち、三次元形状などの複雑形状が作製可能であり、かつ等方的な力学特性を有し、薄肉、軽量性にも優れる一体化成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、上記課題を達成することができる、次の一体化成形品を見出した。すなわち、本発明は、強化繊維と樹脂を有してなる面状成形体(I)と、第2の成形体とが接合した一体化成形品であり、該面状成形体(I)が少なくとも1つの屈曲部を有しており、かつ該屈曲部で区切られる各面部での曲げ強度が実質的に等方性であり、かつ各面部同士の曲げ強度が実質的に同等である一体化成形品である。
また、本発明は、第2の成形体が、面状成形体(II)であり曲げ強度が実質的に等方性であること、連続した強化繊維と樹脂を有してなる繊維強化複合材料(III)であること、または、エッジ、フレーム、ボス、リブ、ヒンジ、マウントから選択されるいずれかの部位が形成されてなる複雑形状の成形体(IV)であることが好ましい。
本発明によれば、三次元形状などの複雑形状が作製可能であり、かつ等方的な力学特性を有し、薄肉、軽量性にも優れる一体化成形品が得られる。
一体化成形品の一例を示す模式図。 頂点の例を示す模式図。 一体化成形品の一例を示す模式図(貫通孔、厚みの連続的な変化あり)。 一体化成形品の一例を示す模式図。 一体化成形品の一例を示す模式図。 面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)との界面(図5のC)の模式図。 一体化成形品の一例を示す模式図。 一体化成形品の一例を示す模式図。 接着強度評価試験片および引張治具。 切り込み入り炭素繊維プリプレグの一例を示す模式図。
本発明の一体化成形品は、強化繊維と樹脂を有してなる面状成形体(I)と、第2の成形体とが接合した一体化成形品である。
まず、本発明の面状成形体(I)に用いられる強化繊維について説明する。強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維などの高強度、高弾性率繊維が好ましく使用でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。中でも、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が力学特性の向上、成形品の軽量化効果の観点から好ましく、得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。また、導電性を付与する目的では、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。
面状成形体(I)に含まれる強化繊維の形態としては、特に制限はないが、少なくとも1つの屈曲部を有する形状をとる観点からは、賦形性を考慮して不連続な強化繊維であることが好ましい。また力学特性において等方性を有する観点からは、不連続な強化繊維がランダムに配向した状態であることが好ましい。
上記のように不連続な強化繊維がランダムに配向した状態の面状成形体(I)を得る方法については、特に制限はないが、例えば、(1)チョップドの形態を有する強化繊維束を気流ジェット下で開繊、分散し、その分散物をコンベアベルト上に集積させたものに、樹脂を含浸複合しプレス成形して得る方法、(2)チョップドの形態を有する強化繊維束と樹脂繊維を気流ジェット下で開繊、混合し、その混合物をコンベアベルト上に集積させたものをプレス成形して得る方法、(3)チョップドの形態を有する強化繊維を分散液中で開繊、分散し、有孔支持体上に抄紙したものに、樹脂を含浸複合しプレス成形して得る方法、(4)チョップドの形態を有する強化繊維と樹脂繊維を分散液中で開繊、混合し、有孔支持体上に抄紙したものをプレス成形して得る方法、(5)チョップドの形態を有する強化繊維をカード機により開繊、分散し、その分散物をコンベアベルト上に集積させたものに、樹脂を含浸複合しプレス成形して得る方法、および(6)チョップドの形態を有する強化繊維と樹脂繊維をカード機により開繊、混合し、その混合物をコンベアベルト上に集積させたものをプレス成形して得る方法などが挙げられる。本発明では、より好ましくは、強化繊維の開繊性に優れ、かつその強化繊維の繊維長を長く維持できる、(1)〜(4)の方法が用いられ、さらに好ましくは生産性の観点から、(3)または(4)の方法が用いられる。
また、(1)または(2)の方法では、気流の流れを制御することで、強化繊維を単繊維状で均一に分散し、面状成形体(I)の等方性を向上しても良い。(3)または(4)の方法では、分散液量に対する強化繊維の濃度を下げたり、分散液を撹拌する撹拌翼を撹拌力の大きな形状としたり、撹拌翼の回転数を高くすることにより、強化繊維を単繊維状で均一に分散し、面状成形体(I)の等方性を向上しても良い。
次に、本発明の面状成形体(I)に用いられる樹脂について説明する。樹脂の種類としては特に制限はなく、以下に例示される熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれの樹脂も用いることができるが、力学特性や耐熱性の観点からは熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、生産性やリサイクル性の観点からは熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂などを好ましく用いることができる。これらの共重合体、変性体、および/または、これらの2種以上をブレンドした樹脂などを適用しても良い。これらの中でも、特に、エポキシ樹脂は、成形体の力学特性や、耐熱性の観点から好ましい。エポキシ樹脂は、その優れた力学特性を発現するために、使用する樹脂の主成分として含まれるのが好ましく、具体的には、樹脂組成物当たり60質量%以上含まれることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィンや、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、液晶ポリマーなどの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他や、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレートなどの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂が挙げられる。とりわけ、耐熱性、難燃性、耐薬品性の観点からは、ポリフェニレンスルフィド樹脂が、成形体外観、寸法安定性の観点からは、ポリカーボネート樹脂やスチレン系樹脂が、成形体の強度、耐衝撃性の観点からは、ポリアミド樹脂が、軽量性の観点からはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンおよびそれらの酸変性体がより好ましく用いられる。
上記群に例示された熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を含有しても良い。これらの例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。
難燃剤としては、臭素化樹脂などのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモンや五酸化アンチモンなどのアンチモン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、芳香族ホスフェートおよび赤燐などのリン系難燃剤、有ホウ酸金属塩、カルボン酸金属塩および芳香族スルホンイミド金属塩などの有機酸金属塩系難燃剤、硼酸亜鉛、亜鉛、酸化亜鉛およびジルコニウム化合物などの無機系難燃剤、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェートおよび窒素化グアニジンなどの窒素系難燃剤、PTFEなどのフッ素系難燃剤、ポリオルガノシロキサンなどのシリコーン系難燃剤、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物系難燃剤などが挙げられる。とりわけ、用途が電気・電子機器、自動車、航空機などの場合には、難燃性が要求される場合があり、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、無機系難燃剤が好ましく添加される。
上記難燃剤は、難燃効果の発現とともに、使用する樹脂の力学特性や成形時の樹脂流動性などと良好な特性バランスを保つために、樹脂100質量部に対して難燃剤1〜20質量部とすることが好ましい。より好ましくは1〜15質量部である。
面状成形体(I)の難燃性はUL94、V−2以上が好ましく、より好ましくはV−1以上、さらに好ましくはV−0である。
本発明の一体化成形品は、前記面状成形体(I)が少なくとも1つの屈曲部を有しており、かつ該屈曲部で区切られる各面部での曲げ強度が実質的に等方性であり、かつ各面部同士の曲げ強度が実質的に同等である一体化成形品である。
ここで図面を用いて、本発明の一体化成形品について詳細に説明する。図1は本発明の一体化成形品を示す一例である。面状成形体(I)において、面状成形体(I)を形成する9個の面部を(1)〜(9)とし、該面部(1)〜(9)が相互につながる部位を屈曲部とする。例えば面状成形体(I)には、面部(1)と面部(2)で形成される屈曲部、面部(1)と面部(4)で形成される屈曲部、面部(1)と面部(5)で形成される屈曲部、面部(2)と面部(3)で形成される屈曲部、面部(2)と面部(5)で形成される屈曲部、面部(2)と面部(6)で形成される屈曲部、面部(2)と面部(7)で形成される屈曲部、面部(2)と面部(8)で形成される屈曲部、面部(2)と面部(9)で形成される屈曲部、面部(3)と面部(4)で形成される屈曲部、面部(3)と面部(9)で形成される屈曲部、面部(4)と面部(5)で形成される屈曲部、面部(4)と面部(6)で形成される屈曲部、面部(4)と面部(7)で形成される屈曲部、面部(4)と面部(8)で形成される屈曲部、面部(4)と面部(9)で形成される屈曲部、面部(5)と面部(6)で形成される屈曲部、面部(6)と面部(7)で形成される屈曲部、面部(7)と面部(8)で形成される屈曲部、面部(8)と面部(9)で形成される屈曲部の合計20個の屈曲部が存在する。
本発明の一体化成形品は、前記面状成形体(I)を形成する各面部での曲げ強度が実質的に等方性であること、かつ各面部同士の曲げ強度が実質的に同等であることが重要である。この特徴により、前記面状成形体(I)の強度の異方性を考慮して一体化成形品を設計する必要がなく、厚み、形状、重量などの成形品の設計が極めて容易で自由度が高くなる。
前記曲げ強度は、以下に記載する方法で評価されるものである。図1の一体化成形品を例にとり、詳細を説明する。図1に記載の一体化成形品を構成する面状成形体(I)の各面部(1)〜(9)より、面状成形体(I)のみで構成されている部位から試験片を切り出し、ISO178法(1993)に従い曲げ特性を測定する。試験片は各面部において、任意の方向を0°方向とした場合に+45°、−45°、90°方向の4方向について切り出した試験片を作製し、それぞれの方向について測定数はn=5とし、平均値を曲げ強度とする。面部の大きさによっては、正規の試験片を切り出せない場合があるが、その場合は寸法を縮尺した状態で可能な範囲で試験片の切り出しをおこなう。それでも試験片の切り出しが困難なほど、面部が小さな場合は該面部の測定を行う必要はなく、該面部の曲げ強度への影響は小さいものと判断する。
このとき、面状成形体(I)に厚みが一定の面部が存在する場合はその部分を試験片に使用し、厚みが一定の面部が存在しない場合には、該当面部の厚みに対して厚みの変化量が1/10以下である部分までを試験片として切り出して使用する。
また、一体化成形品において、面状成形体(I)のみで構成されている部位が存在しないか、試験片を切り出すには面状成形体(I)のみで構成されている部位が小さく、かつ面状成形体(I)の面部の表面は平坦であるが、裏面にボス、リブなどの凹凸部品が一体化形成されている成形品の場合、そのボス、リブの凹凸がその部分の面状成形体(I)の厚みの1/10以下であった場合はそのまま試験片として使用する。ボス、リブの凹凸がその部分の面状成形体(I)の厚みの1/10よりも大きい場合は、ボス、リブの凹凸部分を切削するなどで、面状成形体(I)のみを分離してから試験片として使用する。
各面部での曲げ強度が実質的に等方性であることとは、各面部における0°、+45°、−45°、90°の4方向全てにおいて測定される曲げ強度の平均値に対して、その面部で測定された曲げ強度の最小値および最大値が平均値の±20%の範囲内に入っていることを意味する。好ましくは±10%以内であり、さらに好ましくは±5%以内である。
また、各面部同士の曲げ強度が実質的に同等であることとは、それぞれの面部において測定される曲げ強度が、全面部の曲げ強度の平均値の±20%の範囲内に入っていることを意味する。好ましくは±10%以内であり、さらに好ましくは±5%以内である。
このように、各面部での曲げ強度を実質的に等方性にし、かつ各面部同士の曲げ強度が実質的に同等にする手段としては、上述の(1)〜(6)の方法が挙げられるが、この中でも、(3)チョップドの形態を有する強化繊維を分散液中で開繊、分散し、有孔支持体上に抄紙したものに、樹脂を含浸複合しプレス成形して得る方法、(4)チョップドの形態を有する強化繊維と樹脂繊維を分散液中で開繊、混合し、有孔支持体上に抄紙したものをプレス成形して得る方法が、強化繊維の開繊性や生産性などの観点から好ましく用いられる。
面状成形体(I)に、より大型のもので複雑な形状を形成させるという観点からは、面状成形体(I)における前記屈曲部は、その最大長さが100〜4000mmであることが好ましい。より好ましくは150〜3000mm、さらに好ましくは200〜2000mmである。図1に示す一体化成形品の面状成形体(I)における屈曲部の最大長さは、3で示されるように面部(5)と面部(6)、面部(6)と面部(7)で形成される屈曲部、および面部(7)と面部(8)、面部(8)と面部(9)で形成される屈曲部となる。
また、前記屈曲部におけるR部は、図1に示すように屈曲部を拡大した部位の曲面を形成する部分のことである。さらに図1に示すように、該R部の屈曲程度を表すために、R部の屈曲に最も適合する円を想定した曲率半径を使用する。より複雑な形状を形成させるという観点からは、該R部の曲率半径は5mm以下であることが好ましい。より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。曲率半径の下限については特に制限はないが、通常の成形品を考慮した場合、0.1mm以上で形成することが想定される。
ここで前記曲率半径は、一体化成形品の面状成形体(I)の屈曲部を切り出して光学顕微鏡にて断面観察し、R部の屈曲に適合する円を想定することで決定する。1個の屈曲部に対してn=5の測定を実施し、その平均値をもって、屈曲部におけるR部の曲率半径とする。
さらに、面状成形体(I)に複雑な形状を形成させる観点からは、前記屈曲部の個数が3個以上であることが好ましい。単純な面状成形体の折り曲げ形状では屈曲部が1個であり、コの字形状、単純なS字形状では屈曲部が2個となる。通常、部材などの複雑形状成形品はさらに屈曲部の個数が多くなる場合が大半であり、本発明の面状成形体(I)の屈曲部の個数としては3個以上が好ましい目安となり、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは8個以上である。屈曲部の個数の上限については特に制限はないが、通常の成形品の場合、1000個以下で形成されるものと想定できる。
また、面状成形体(I)は形状として各種ケース、筐体や部材への適用範囲を広げる観点から、前記面状成形体(I)が屈曲部で区切られる3面から構成される頂点を有することが好ましい。ここで、屈曲部で区切られる3面から構成される頂点とは、図2に示すように3面から構成されるコーナー部のことである。このような頂点を有する3面の形状は、例えば平面状のシート材料を賦形して形成する場合には、シート材料に適度な変形能力が必要となる。特に一方向に連続した強化繊維で補強された強化繊維シートなど、変形能力が小さなシート材料を使用した場合には、形状への材料の追従性が十分に確保できない場合がある。頂点の数は2個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましい。頂点の数の上限については特に制限はないが、通常の成形品を考慮した場合、100個以下で形成されるものと想定できる。
さらに、面状成形体(I)は形状による剛性向上の効果を高めるために、凹凸形状を有することが好ましい。具体的には基準面から凹凸面との高さの差が3mm以上であることが好ましい。詳細について図1を用いて説明する。基準面とは、面状成形体(I)を形成する面部のうち、面積が最も大きな面部のことをいう。図1においては面部(5)、面部(9)が基準面に相当する。基準面と凹凸形状を形成している凹凸面とは、基準面に実質的に平行かつ、基準面から面部1つ以上を隔てて形成される面部のことであり、図1においては、面部(7)が凹凸面に相当する。ここで、実質的に平行とは、基準面と対象とする面部とが形成する角度が20°以下のことをいう。基準面と凹凸面とが平行な場合には、基準面と凹凸面との高さの差はそのまま測定することで判定できるが、基準面と凹凸面とがある角度を形成する場合には、基準面と凹凸面上の点Pとの高さの差のうち、最も高さの差が大きくなるものを、基準面と凹凸面との高さの差とする。基準面から凹凸面との高さの差は5mm以上であることがより好ましい。
また、一体化成形品の薄肉性、軽量性を考慮した場合、前記面状成形体(I)はその平均厚みTが0.3〜3mmであることが好ましい。面状成形体(I)の平均厚みTとは、面状成形体(I)を形成する全ての面部の平均厚みの平均値とする。すなわち、面状成形体(I)を形成するm個の面部のうち、面部(p)(p=1、2・・・、m)の平均厚みをTpとした場合、次式で平均厚みTを算出する。
・T=Σ(Tp)/m(p=1、2、・・・、m)
ここで、面部(p)の平均厚みTpは、面部(p)内において2点X、Yを直線距離XYが最も長くなるように決定し、該直線XYを10等分した際の両端XYを除く各分割点において厚みを測定し、その平均値をもって面部(p)の平均厚みTpとする。平均厚みTは0.4〜2mmであることがより好ましく、0.5〜1.5mmであることがさらに好ましい。
面状成形体(I)は、形状設計の自由度から、その厚みが変化していることが好ましい。ここで厚みが変化するとは、図3の面状成形体(I)の厚み変化部に示すように、面部(10)において厚みt1の部位から厚みt2の部位へ厚みが変化することを示す。この厚み変化は、連続的に変化したものであることがより好ましい。なお、ここでいう「連続的に」とは、厚みがテーパー状に変化していることを意味し、変化している部位において、面部上に2点A、Bを設定し、次式で表される厚みの変化の比が0.001〜1であることが望ましい。
・厚みの変化の比 = AB間の厚みの変化量(mm)/AB間距離(mm)。
厚みの変化の大きさは、好ましくは面状成形体(I)の平均厚みTの10%以上である。より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上である。厚みの変化の大きさの上限値は特に制限はないが、通常の成形品を考慮した場合、500%以下で形成されるものと想定できる。ここで厚み変化の大きさの測定方法について図3を例にとり説明する。厚みが変化している部位AB間において、最も大きい厚みをt1、最も小さい厚みをt2としたとき、厚みの変化の大きさは次式で表される。
・厚みの変化の大きさ(%) = (t1−t2)/T×100
T:面状成形体(I)の平均厚み。
また、面状成形体(I)には、一体化成形品の用途によっては貫通孔を有することが好ましい。例えば、発生ガスや熱交換のための通気口や排気口、成形品の掴み部分、加工用のネジ孔やボルト接合用の孔、意匠性の付与を目的とした孔や打ち抜き模様などで利用する孔部を有する成形品が挙げられる。前記貫通孔を形成する手法としては特に制限などはなく、切削加工、トリミング加工、打ち抜き加工、ドリル加工など既存の手法を用いて形成される。図3には、熱交換用の排気口として使用する貫通孔を有する面状成形体(I)を例示している。
一体化成形品とした際の力学特性を確保する観点や、薄肉成形品とした際にも成形品として高い強度を確保する観点から、前記面状成形体(I)の曲げ強度は400〜1000MPaであることが好ましい。より好ましくは450〜1000MPaであり、さらに好ましくは500〜1000MPaである。
また、成形品の軽量性を高める観点から、前記面状成形体(I)が比重0.2〜1.4のコア材を有するサンドイッチ構造体であることが好ましい。コア材としては、樹脂製のフィルム、シートおよび発泡体、あるいは繊維強化樹脂製のフィルム、シートおよび発泡体などが挙げられる。なかでも、コストの観点から、樹脂製のフィルム、シートが好ましく、軽量性の観点からは発泡体が好ましい。この樹脂としては、前記面状成形体(I)に用いられる樹脂と同様の思想で選定することができる。
さらに、成形品の軽量性を高める観点から、前記面状成形体(I)の比重は0.5〜1.5であることが好ましい。より好ましくは0.5〜1.3であり、さらに好ましくは0.5〜1.1である。比重の測定は、面状成形体(I)を切り出し、ISO1183(1987)に準拠して測定する。
さらに、成形品の寸法安定性を高める観点から、前記面状成形体(I)の線膨張係数が15ppm/K以下であり、かつ実質的に等方性であることが好ましい。より好ましくは13ppm/K以下、さらに好ましくは10ppm/K以下である。線膨張係数の下限については、特に制限はないが、0.01ppm/Kもあれば成形品に高い寸法安定性を与えることができる。線膨張係数の測定は、ISO11359−2に準拠して測定する。面状成形体(I)からの試験片の切り出しは前述の曲げ強度測定と同様に実施する。また、線膨張係数が実質的に等方性とは、前述の曲げ強度の等方性の定義と同様とする。
面状成形体(I)の力学特性や寸法安定性を高める観点から、面状成形体(I)に含まれる強化繊維の数平均繊維長Lnは1〜5mmであることが好ましい。より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは3〜5mmである。強化繊維の数平均繊維長Lnの測定は、面状成形体(I)から強化繊維を抽出し、無作為に400本選び出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡にて測定して、次式により、その数平均繊維長(Ln)を算出することにより行う。
・数平均繊維長(Ln)=(ΣLi)/400
Li:測定した繊維長(i=1、2、3、・・・、400)。
強化繊維の抽出方法としては、面状成形体(I)の一部を切り出し、樹脂を溶解させる溶媒により十分溶解させた後、濾過などの公知の操作により強化繊維と分離することができる。樹脂を溶解する溶媒が無い場合は、面状成形体(I)の一部を切り出し、樹脂を加熱炉にて焼却除去して強化繊維を分離する手法を用いることができる。無作為に抽出する測定強化繊維本数を400本以上とすれば、数平均繊維長(Ln)の値はほぼ変化がなくなる。
次に、面状成形体(I)と接合して、本発明の一体化成形品を構成する第2の成形体について説明する。第2の成形体は、曲げ強度が実質的に等方性である面状成形体(II)、連続した強化繊維と樹脂を有してなる繊維強化複合材料(III)、複雑形状の成形体(IV)のいずれかであることが好ましい。
力学特性が実質的に等方性である成形体同士を接合し、均一で安定した力学特性を発揮する一体化成形品を作製する場合には、前記第2の成形体が面状成形体(II)であることが好ましい。例えば、繊維含有量が面状成形体(I)よりも多い面状成形体(II)を面状成形体(I)の表面および裏面に接合することで、面状成形体(I)にさらなる力学特性や剛性を付与することが可能となる。あるいは、繊維含有量が面状成形体(I)よりも少ない面状成形体(II)を面状成形体(I)の表面に接合することで、優れた表面外観を面状成形体(I)に付与することが可能となる。ここで、曲げ強度が実質的に等方性とは、前述の曲げ強度の等方性の定義と同様とする。
このような面状成形体(II)を面状成形体(I)の表面に接合する手段としては、特に制限などはないが、(1)面状成形体(I)と面状成形体(II)の成形材料を積層し、成形と同時に両者を一体化する方法、(2)面状成形体(I)あるいは面状成形体(II)の一方を予め成形し、残るもう一方の成形材料の成形と同時に両者を一体化する方法、(3)面状成形体(I)と面状成形体(II)を個別に成形し、接着剤や熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着などで両者を接着させる方法が挙げられる。成形材料の具体的な成形方法としては、特に限定されるものではないが、成形性、取り扱い性の観点からスタンビング成形やプレス成形などの圧縮成形が好ましく用いられる。上記の(1)から(3)の一体化成形方法の中でも、プロセスの容易さや、成形サイクルの短さから、(3)の熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着が特に好適に用いられる。
また、さらに高い力学特性を面状成形体(I)に付与することを目的として、第2の成形体として連続した強化繊維と樹脂とを有してなる繊維強化複合材料(III)が接合されていることが好ましい。例えば、連続した強化繊維をエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂または、ポリプロピレンやポリアミドなどの熱可塑性樹脂と複合した繊維強化複合材料(III)を面状成形体(I)の表面に接合することで、面状成形体(I)に極めて優れた力学特性や剛性を付与することが可能となる。
ここで、連続した強化繊維の形態は特に限定されず、例えば、多数本の強化繊維からなる強化繊維束、その繊維束から構成されたクロス、多数本の強化繊維が一方向に配列された強化繊維束(一方向性繊維束)、その一方向性繊維束から構成された一方向性クロスなど、それらを組み合わせたもの、複数層配置したものなどが挙げられる。中でも、基材としての繊維強化複合材料の生産性の観点から、クロスと一方向性繊維束が好ましく用いられる。強化繊維群は、同一の形態の複数本の繊維束から構成されていても、あるいは、異なる形態の複数本の繊維束から構成されていても良い。一つの強化繊維群を構成する強化繊維数は、通常、300〜48,000であるが、基材の製造を考慮すると、好ましくは、300〜24,000であり、より好ましくは、1,000〜12,000である。さらに強化繊維群は、少なくとも一方向に、10mm以上の長さにわたり連続した多数本の強化繊維から構成されていることが好ましい。強化繊維群は、繊維強化複合材料(III)の長さ方向の全長さにわたり、あるいは、繊維強化複合材料(III)の幅方向の全幅にわたり、連続している必要はなく、途中で分断されていても良い。
強化繊維の種類、樹脂の種類については、面状成形体(I)と同様の思想で選定することができる。
このような繊維強化複合材料(III)を面状成形体(I)の表面に接合する手段としては、特に制限などはないが、(1)面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)の成形材料を積層し、成形と同時に両者を一体化する方法、(2)面状成形体(I)を予め成形し、繊維強化複合材料(III)の成形と同時に両者を一体化する方法、(3)繊維強化複合材料(III)を予め成形し、面状成形体(I)の成形と同時に両者を一体化する方法、(4)面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)を個別に成形し、接着剤や熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着などで両者を接着させる方法が挙げられる。好ましくは(4)の面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)とを個別に成形し、両者を接着させる方法が用いられる。面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)とを接着させる方法としては、プロセスの容易さや、成形サイクルの短さから、熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着が好ましい。
成形品の適用用途を広げる観点からは、面状成形体(I)に複雑形状の成形体(IV)を接合することが好ましい。ここで複雑形状の成形体(IV)とは、面状成形体(I)を構成する面部の屈曲部や凹凸形状よりも複雑な形状のことであり、例えばエッジ、フレーム、ボス、リブ、ヒンジ、マウントなどの微細で曲率半径が面状成形体(I)を構成する面部の屈曲部の曲率半径よりも小さいものなどである。このような複雑形状の成形体(IV)と接合することで、面状成形体(I)の等方的な優れた力学特性が活用できる用途を広げることができる。
前記の複雑形状の成形体(IV)は、形成が容易で生産性に優れることから、射出成形品であることが好ましい。
また、面状成形体(I)と第2の成形体とが十分に接合されており、本発明の一体化成形品の力学特性を最大限に引き出すことと、各種用途に使用するための生産性の観点から、面状成形体(I)に含まれる樹脂と、第2の成形体に含まれる樹脂とが共に熱可塑性樹脂であり、一体化成形品の接合強度が5MPa以上であることが好ましい。より好ましくは10MPa以上であり、さらに好ましくは15MPa以上である。
ここで一体化成形品の接合強度は以下のようにして測定する。一体化成形品から、図9−(a)に示すような面状成形体(I)と第2の成形体とが接合一体化した部分を試験片として切り出し、原則として、ISO4587の規定に準拠して測定する。図9−(a)において、試験片におけるLは、接着部の長さ、Mは、面状成形体(I)および第2の成形体の接着部Lの長さを除いた長さ、Wは、面状成形体(I)および第2の成形体の幅、および、Dは、面状成形体(I)および第2の成形体の厚さを、それぞれ表す。試験片の大きさは、原則として、ISO4587の規定に基づく大きさとするが、一体化成形品から、その大きさの試験片が取得出来ない場合は、可能な範囲で、各寸法が大きく取れる一体化成形品の部位より切り出した試験片を用いる。取得された試験片は、ISO4587の規定に基づき、ラップシア引張試験に供する。これにより測定した接着破断加重を、接着面積15で除して、接着強度を算出する。
ISO4587の規定に基づく試験片が切り出せない場合には、一体化成形品より図9−(b)に示すような面状成形体(I)と第2の成形体とが接合一体化した部分を試験片として切り出し、次いで試験片を測定装置の治具(図9−(c)中16a、16b)に固定する。試験片の固定は、試験片が測定装置のチャックに把持できるものはそのままチャックに挟み引張試験を行うが、把持できないものは試験片に接着剤を塗布し治具と接着させて引張試験を行っても良い。試験結果の最大荷重を接着面積で除して接着強度を算出する。
さらに、前記第1の成形体を構成する樹脂と第2の成形体を構成する樹脂が同種の熱可塑性樹脂(A)であり、かつ第1の成形体と第2の成形体との接合部分には前記熱可塑性樹脂(A)よりも融点または軟化点の低い同種の熱可塑性樹脂(B)が存在することが好ましい。特に熱可塑性樹脂(A)に難燃剤などの添加剤を加えた場合には、熱可塑性樹脂(A)を溶融させにくくなる場合が多く、上記構成とすることで第1の成形体と第2の成形体とを接合する際に、熱可塑性樹脂(B)が容易に溶融して第1の成形体と第2の成形体とを強固に一体化できる。ここで、「同種の」熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂を特徴づける構造、例えばポリアミド樹脂であればアミド結合を含む繰り返し単位、ポリエステル樹脂であればエステル結合を含む繰り返し単位、ポリカーボネート樹脂であればカーボネート結合を含む繰り返し単位、ポリプロピレン樹脂であればプロピレン繰り返し単位、を少なくとも熱可塑性樹脂の50質量%以上含むものであり、かつそのような熱可塑性樹脂のなかでも熱可塑性樹脂のSP値の差が2.5以内であることを意味する。SP値は、例えばFedorsの方法(Polymer Engineering and Science,vol.14,No.2,p147(1974))により計算することができる。
「同種」の熱可塑性樹脂の具体例として、ポリアミド樹脂の場合には、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612などの構造を50質量%以上含むポリアミド、共重合ポリアミドが該当する。
熱可塑性樹脂(B)は、第1の成形体および第2の成形体とは別に準備しておき、第1の成形体と第2の成形体との接合部に配置して一体化させて使用する場合や、第1の成形体または第2の成形体に予め一体化させておいて使用してもよい。
熱可塑性樹脂(B)には、熱可塑性樹脂(A)に同種の共重合成分を重合した樹脂、または熱可塑性樹脂(A)に低分子量、低融点あるいは低粘度の添加剤を混合した樹脂が例示できる。具体的には、熱可塑性樹脂(A)がポリアミド6の場合には、ポリアミド66、ポリアミド610などの共重合成分を重合した樹脂や、熱可塑性樹脂(A)がポリプロピレンの場合には、酸変性ポリプロピレンや低分子量のポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
本発明の一体化成形品の製造方法については、特に限定されないが、効率よく製造するためには、例えば、面状成形体(I)を金型にインサートして、複雑形状の成形品(IV)を、該金型を用いて射出成形して得ることで、エッジ、フレーム、ボス、リブ、ヒンジ、マウントから選択されるいずれかの部位を該面状成形体(I)に一体化させる製造方法が好ましく適用できる。
一体化成形品における、面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)との接合強度を高める観点からは、前記面状成形体(I)を構成する樹脂が熱可塑性樹脂であり、かつ前記繊維強化複合材料(III)が、その最外層に熱可塑性樹脂からなる層を有し、かつ少なくとも該熱可塑性樹脂からなる層と熱硬化性樹脂からなる層との二層構造を有し、各々の層が凹凸状の界面で結合してなり、さらに連続した強化繊維が各々の層を跨り、繊維強化複合材料(III)の最外層の該熱可塑性樹脂を介して面状成形体(I)と接合してなる一体化成形品であることが好ましい。
ここで、前記熱可塑性樹脂からなる層と熱硬化性樹脂からなる層との二層構造を有し、各々の層が凹凸状の界面で結合してなる構造および連続した強化繊維が各々の層を跨る構造について、図6に繊維強化複合材料(III)の断面を観察した模式図を示す。図6において、熱可塑性樹脂層の樹脂が、強化繊維間の間隙の中まで進入している状態が示され、更に、熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層との界面が凸凹形状を有している状態が示される。この強化繊維を含む凹凸形状の界面近傍で、同一の強化繊維が熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層との両層に跨っている場合には、いわば串刺しの効果により界面が補強され、熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層との強固な接合がもたらされるために好ましい形態である。その結果、繊維強化複合材料(III)の熱可塑性樹脂層を介して面状成形体(I)と強固に接合することが可能となる。
本発明の一体化成形品は、形状賦形が可能であり、等方的で均一な力学特性を示すことから、その用途として好適であるのは、電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品または建材である。特に自動車部品としては、インストルメントパネル、ドアビーム、アンダーカバー、ランプハウジング、ペダルハウジング、ラジエータサポート、スペアタイヤカバー、フロントエンドなどの各種モジュール等、また電気・電子機器としては、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラ、PDA、プラズマディスプレー、さらにオフィスオートメーション機器、家電機器としては、電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、電子レンジ、音響機器、トイレタリー用品、レーザーディスク、冷蔵庫、エアコンなどに好適である。
なかでも、薄肉、軽量、剛性が求められる電子機器筐体には好適であり、筐体の天面部分または底面部分に面状成形体(I)の最大面を配置することが、薄肉、軽量、剛性の効果を十分に発揮するために好ましい。
また、電子・電子機器、家電機器、自動車部品、航空機部品などに使用される場合には、前記第2の成形体の少なくとも一部が、電波透過性を有する部位からなることが好ましい場合がある。特に電気・電子機器、家電機器ではアンテナ部分では発信、受信する電波を透過することが求められることが多い。
その場合、具体的には、前記電波透過性を有する部位の電界シールド性が、0〜15dBであることが好ましく、0〜7dbであることがより好ましい。また、強度を高める観点からは、前記電波透過性を有する部位が、非導電性繊維で強化された部材で形成されていることが好ましく、前記電波透過性を有する部位が、含有量10〜70質量%のガラス繊維で強化された部材で形成されていることが好ましい。
前記電波透過性を有する部位を成形するには、上記した電波透過性の材料で第2の成形体を成形したり、前記電波透過性を有する部位を予め成形しておき、その電波透過性を有する部位を、第2の成形体を成形する際に金型内にインサートして成形するなどの方法が用いられる。予め成形しておく電波透過性を有する部位の作製方法には特に制限はないが、例えばガラス繊維強化樹脂材料を射出成形、プレス成形あるいはスタンピング成形することで作製できる。具体的には、電波透過性を有する部位が面状の場合には、成形体が等方性となる観点から、本発明にて用いる面状成形体(I)を強化繊維にガラス繊維を用いて作製した等方性を有する成形体が好ましい。また、電波透過性を有する部位が複雑な形状の場合には、ガラス繊維強化樹脂材料を射出成形して作製した成形体をインサートして、第2の成形体を成形することもできる。
ここで、前記電波透過性を有する部位と、前記第2の成形体との接着性を高める観点から、前記電波透過性を有する部位における前記熱可塑性樹脂と、前記第2の成形体における熱可塑性樹脂とが同種の樹脂であることが好ましい。ここで、「同種の」熱可塑性樹脂とは、前記第1の成形体における熱可塑性樹脂の場合と同様の思想で定義するものである。
電波透過性は、アドバンテスト法に基づき測定する。第2の成形体から正方形の平板を切出して試験片とする。試験片の大きさは、可能な限り大きくとることが好ましい。試験片の大きさは、小さくても一辺が20mmの正方形以上であることが好ましい。試験片の大きさが確保できない場合、該当する材質部分を切り出して、熱プレス成形などで再成形してから測定に供しても良い。熱などで変性してしまう、あるいは再成形が不可能な場合は、該当材料の組成を分析し、同等組成の材料を試験片形状に成形して測定に供しても良い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(1)面状成形体(I)の平均厚みT
面状成形体(I)を形成する全ての面部の平均厚みの平均値として、次式で平均厚みTを算出した。
・T=Σ(Tp)/m(p=1、2、・・・、m)
ここで、全ての面部のうち、面部(p)(p=1、2・・・、m)の平均厚みをTpとし、面部(p)の平均厚みTpを、面部(p)内において2点X、Yを直線距離XYが最も長くなるように決定し、該直線XYを10等分した際の両端XYを除く各分割点において厚みを測定し、その平均値をもって面部(p)の平均厚みTpとした。
(2)面状成形体(I)の厚みの変化の比
図3の面状成形体(I)の厚みが変化している部位において、面部上に2点A、Bを設定し、次式で表される厚みの変化の比を算出した。
・厚みの変化の比 = AB間の厚みの変化量(mm)/AB間距離(mm)。
(3)面状成形体(I)の厚みの変化の大きさ
図3の面状成形体(I)の厚みが変化している部位AB間において、最も大きい厚みをt1、最も小さい厚みをt2とし、次式で表される厚みの変化の大きさを算出した。
・厚みの変化の大きさ(%) = (t1−t2)/T×100
T:面状成形体(I)の平均厚み。
(4)面状成形体(I)の比重
一体化成形品から面状成形体(I)のみを切り出し、ISO1183(1987)に準拠して測定した。
(5)面状成形体(I)に含まれる強化繊維の数平均繊維長Ln
面状成形体(I)を空気中500℃で1時間加熱し、樹脂成分を焼き飛ばした。残った強化繊維を無作為に400本選び出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、次式により、その数平均繊維長(Ln)を算出した。
・数平均繊維長(Ln)=(ΣLi)/400
Li:測定した繊維長(i=1、2、3、・・・、400)。
(6)面状成形体(I)の曲げ強度、曲げ弾性率
図1に記載の一体化成形品を構成する面状成形体(I)の各面部(1)〜(9)より、面状成形体(I)のみで構成されている部位から試験片を切り出し、ISO178法(1993)に従い曲げ特性を測定した。試験片は各面部において、任意の方向を0°方向とした場合に+45°、−45°、90°方向の4方向について切り出した試験片を作製し、それぞれの方向について測定数はn=5とし、平均値を曲げ強度および曲げ弾性率とした。測定装置としては“インストロン(登録商標)”5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。
(7)曲げ強度、曲げ弾性率の面内バラツキ
測定する面部における0°、+45°、−45°、90°の4方向全てにおいて測定される曲げ特性の平均値と、該面部で測定された曲げ特性の個別値を用いて次式で算出した。
・曲げ特性の面内バラツキ =(平均値と個別値との差の絶対値の最大値)/平均値×100。
(8)曲げ強度、曲げ弾性率の面部間バラツキ
各々の面部における曲げ特性と、全面部の曲げ特性の平均値を用いて次式で算出した。
・曲げ特性の面部間バラツキ =(平均値と各面部の個別値との差の絶対値の最大値)/平均値×100。
(9)面状成形体(I)の比剛性
面状成形体(I)の比重と曲げ弾性率を用いて次式で算出した。
・比剛性 =(曲げ弾性率)1/3/比重。
(10)面状成形体(I)の線膨張係数
図1に記載の一体化成形品を構成する面状成形体(I)の各面部(1)〜(9)より、面状成形体(I)のみで構成されている部位から試験片を切り出し、線膨張係数の測定は、ISO11359−2に準拠して測定した。面状成形体(I)からの試験片の切り出しは前述の曲げ強度測定と同様に実施した。
(11)線膨張係数の面内バラツキ
測定する面部における0°、+45°、−45°、90°の4方向全てにおいて測定される線膨張係数の平均値と、該面部で測定された線膨張係数の個別値を用いて次式で算出した。
・線膨張係数の面内バラツキ =(平均値と個別値との差の絶対値の最大値)/平均値×100。
(12)面状成形体(I)と第2の成形体との接着強度
一体化成形品より図9−(b)に示すような面状成形体(I)と第2の成形体とが接合一体化した部分を試験片として切り出し、次いで試験片を測定装置の治具(図9−(c)中16a、16b)に、接着剤(スリーボンド1782、株式会社スリーボンド製)を塗布し、23±5℃、50±5%RHで4時間放置して治具と接着させ固定した。引張試験は、雰囲気温度が調節可能な試験室において、25℃の雰囲気温度で行った。 試験開始前に、試験片は、試験室内において、少なくとも5分間、引張試験の負荷がかからない状態を維持し、また、試験片に熱電対を配置して、雰囲気温度と同等になったことを確認した後に、引張試験を行った。引張試験は、引張速度1.27mm/分にて、両者の接着面から90°方向に引っ張って行い、その最大荷重を接着面積で除した値を接着強度(単位:MPa)とした。また、試料数はn=5とした。測定装置としては“インストロン(登録商標)”5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。
(13)一体化成形品の力学強度の判定
面状成形体(I)の曲げ強度をもとに以下の基準で判定し、A、Bを合格とした。
A:曲げ強度600MPa以上
B:曲げ強度350MPa以上600MPa未満
C:曲げ強度350MPa未満。
(14)一体化成形品の剛性の判定
面状成形体(I)の比剛性をもとに以下の基準で判定し、A、Bを合格とした。
A:比剛性2.20以上
B:比剛性2.00以上2.20未満
C:比剛性2.00未満。
(15)一体化成形品の力学的等方性の判定
面状成形体(I)の曲げ強度、曲げ弾性率の面内バラツキをもとに以下の基準で判定し、A、Bを合格とした。
A:面内バラツキ10%未満
B:面内バラツキ10%以上20%未満
C:面内バラツキ20%以上。
(16)一体化成形品の形状賦形性
面状成形体(I)の屈曲部におけるR部の曲率半径をもとに以下の基準で判定し、A、Bを合格とした。
A:曲率半径3mm以下
B:曲率半径3mmより大きく5mm未満
C:曲率半径5mm以上。
(17)一体化成形品の接着強度
面状成形体(I)と第2の成形体との接着強度をもとに以下の基準で判定し、A、Bを合格とした。
A:接着強度10MPa以上または成形品母材破壊
B:接着強度5MPa以上10MPa未満
C:接着強度5MPa未満。
(18)電波透過性
電波透過性は、アドバンテスト法に基づき測定した。成形体から正方形の平板を切出して試験片とした。試験にあたり、試験片を絶乾状態(水分率0.1%以下)とし、四辺に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させた。シールドボックス中に試験片を挟み込んで、スペクトラムアナライザーにて、周波数1GHzでの電波シールド性(単位:dB)を測定し、電磁波シールド性とした。電波シールド性が低いほど、電波透過性に優れている。後述の実施例においては、一辺が20mmの正方形で厚み1mmの試験片を用いた。
以下、実施例にて使用した材料について参考例として示す。
参考例1.炭素繊維1
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数12,000本の連続炭素繊維を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:1.6g/m
比重:1.8
引張強度:4600MPa
引張弾性率:220GPa。
参考例2.炭素繊維2
東レ(株)製トレカT700S−12K−50C。
参考例3.ナイロン6樹脂フィルム
東レ(株)製、CM1007(ナイロン6樹脂、融点225℃)を240℃の温度で10MPaの圧力を2分間かけて、目付60g/mのナイロン6樹脂フィルムを作製した。比重:1.13。
参考例4.共重合ナイロン樹脂フィルム
東レ(株)製、CM4000(共重合ナイロン樹脂)を210℃の温度で10MPaの圧力を2分間かけて、目付60g/mの共重合ナイロン樹脂フィルムを作製した。比重:1.13。
参考例5.連続炭素繊維プリプレグ
東レ(株)製、トレカプリプレグP3052S−12。
参考例6.熱接着用基材
3元共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製、3元共重合ポリアミド樹脂CM4000、ポリアミド6/66/610、融点150℃)のペレットを用い、メルトブロー法にて、幅1,000mm、目付30g/mの不織布状の基材を製造した。
参考例7.ガラス繊維強化熱可塑性樹脂(GMT)
Quadrant社製、ユニシートP4038−BK31。
参考例8.炭素繊維シートモールディングコンパウンド(SMC)用ビニルエステル樹脂
ビニルエステル樹脂(昭和高分子社製リポキシH600)をマトリックス樹脂とし、そのビニルエステル樹脂100質量部に対して、有機過酸化物硬化剤(日本油脂社製パーブチルZ)1.0質量部、重合禁止剤(精工化学社製TBH)0.6質量部、増粘剤(ダウ・ケミカル社製I・143L)13.0質量部、及び内部離型剤(アデカファイン社製ZNS・P)5.0質量部を配合したもの。
参考例9.炭素繊維強化ナイロン6長繊維ペレット
東レ(株)製、炭素長繊維ペレットTLP−1146S(ナイロン6樹脂マトリックス)
繊維含有量20質量%。UL94、V−0(0.75mm厚み)、電波シールド性39dB。
参考例10.切り込み入り炭素繊維プリプレグ
東レ(株)製、トレカプリプレグP3052S−12に、自動裁断機を用いて図10に示すような切り込みを連続的に挿入することにより、等間隔で規則的な切り込みを有する切り込み入り炭素繊維プリプレグを得た。切り込みの方向は繊維直交方向18で、切り込みの長さ23は5.1mmであり、間隔24(繊維長さ)は30mmである。隣り合う列の切り込みが互いに切り込んでいる25は0.1mmである。
参考例11.ナイロン6樹脂フィルム
東レ(株)製、CM1007(ナイロン6樹脂)を240℃の温度で10MPaの圧力を2分間かけて、厚み0.75mmのナイロン6樹脂フィルムを作製した。比重:1.13。
参考例12.ガラス繊維強化ナイロン66樹脂ペレット
東レ(株)製、CM3004G−30(ナイロン66樹脂、ガラス繊維30質量%、UL94、V−0(0.4mm厚み)、電波シールド性0dB)
参考例13.難燃ナイロン6樹脂フィルム
東レ(株)製、CM1007(ナイロン6樹脂)を85質量部、協和化学工業(株)製キスマ5EUを8質量部、燐化学工業(株)製ノーバエクセル140を7質量部混練した難燃ナイロン6樹脂を、240℃の温度で10MPaの圧力を2分間かけて、目付60g/mの難燃ナイロン6樹脂フィルムを作製した。比重:1.22。このフィルムの難燃性はUL94、VTM−0であった。
参考例14.難燃共重合ナイロン樹脂フィルム
東レ(株)製、CM4000(共重合ナイロン樹脂)を85質量部、協和化学工業(株)製キスマ5EUを8質量部、燐化学工業(株)製ノーバエクセル140を7質量部混練した難燃共重合ナイロン樹脂を、240℃の温度で10MPaの圧力を2分間かけて、目付60g/mの難燃共重合ナイロン樹脂フィルムを作製した。比重:1.22。このフィルムの難燃性はUL94、VTM−0であった。
実施例1.
参考例1で得られた炭素繊維をカートリッジカッターで6.4mmにカットし、チョップド炭素繊維を得た。水と界面活性剤(ナカライテクス(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名))からなる濃度0.1質量%の分散液を30リットル作製し、この分散液に、チョップド炭素繊維8gを投入し、5分間撹拌した後、長さ400mm×幅400mmの抄紙面を有する大型角型シートマシン(熊谷理機工業株式会社製、N0.2553−I(商品名))に流し込み、吸引、脱泡、乾燥して、長さ400mm、幅400mmの炭素繊維ウェブを得た。炭素繊維ウェブの目付は50g/mであった。
上記炭素繊維ウェブ1枚と参考例3で得られたナイロン6樹脂フィルム2枚とを、ナイロン6/炭素繊維ウェブ/ナイロン6となるように積層し、250℃の温度で5MPaの圧力を2分間かけて炭素繊維ウェブにナイロン6樹脂が含浸したシート基材1を作製した。シート基材1の炭素繊維含有量は20vol%であった。
上記炭素繊維ウェブ1枚と、参考例3で得られたナイロン6樹脂フィルム1枚と、参考例4で得られた共重合ナイロン樹脂フィルム1枚とを、ナイロン6/炭素繊維ウェブ/共重合ナイロンとなるように積層し、250℃の温度で5MPaの圧力を2分間かけて炭素繊維ウェブにナイロン6樹脂と共重合ナイロン樹脂が含浸したシート基材2を作製した。シート基材2の炭素繊維含有量は20vol%であった。
得られたシート基材1を7枚積層しその上にシート基材2を、共重合ナイロンが含浸した表面が最表面にくるように積層し、遠赤外線加熱炉で、窒素雰囲気下、280℃に予熱した。キャビティー表面温度が120℃であり、厚み1.0mmの箱形状(図1の面状成形体(I)の形状)のキャビティーを有するスタンピング成形金型に予熱した8枚積層のシート基材を配置し(チャージ率110%)、金型を閉じ、成形圧力30MPaで加圧し、2分間保持した後、金型を開き、脱型し、箱型の面状成形体(I)を得た。箱形の内側が共重合ナイロン表面となっている。
上記面状成形体(I)を射出成形金型内にインサートし、参考例9のTLP1146Sを射出成形して、ボス、リブの部品を面状成形体(I)に一体化した成形品を作製した。得られた一体化成形品の模式図を図1に示す。一体化成形品の評価結果は表1に記載した。
実施例2.
スタンピング成形金型の一部に厚みが連続して変化する部位を設けた以外は、実施例1と同様にして、面状成形体(I)を作製した。次いで得られた面状成形体(I)に打ち抜き加工を施して、排気口の貫通孔を有する面状成形体(I)を作製した。上記面状成形体(I)を射出成形金型内にインサートし、参考例9のTLP1146Sを射出成形して、ボス、リブの部品を面状成形体(I)に一体化した成形品を作製した。得られた一体化成形品の模式図を図3に示す。一体化成形品の評価結果は表1に記載した。
実施例3.
スタンピング成形金型の立壁部を無くした以外は、実施例1と同様にして、面状成形体(I)を作製した。上記面状成形体(I)を射出成形金型内にインサートし、参考例9のTLP1146Sを射出成形して、ボス、リブ、フレームの部品を面状成形体(I)に一体化した成形品を作製した。得られた一体化成形品の模式図を図4に示す。一体化成形品の評価結果は表1に記載した。
実施例4.
実施例1と同様にして面状成形体(I)を作製した。参考例5のトレカプリプレグを連続繊維の配向方向が0°/90°となるように積層し、さらに最表層の一方に参考例6の熱接着用基材を積層した。この積層体をプレス成形機にて、160℃で2分間予熱して、熱接着用基材を溶融させた後、1MPaの圧力をかけながら、150℃で30分間加熱して熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、脱型して繊維強化複合材料(III)を作製した。得られた繊維強化複合材料(III)は図5の9に示す形状である。
面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)とが、熱接着用基材を介して接するように積層し、これをプレス機にて、1MPaの圧力をかけながら250℃で2分間加熱を行なった。加熱終了後、加圧したまま室温まで冷却し、脱型することで面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)を接合させた。従って最終的に面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)との接合体を作製するのに要した金型占有時間は34分であった。
上記面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)との接合体を射出成形金型内にインサートし、参考例9のTLP1146Sを射出成形して、ボス、リブの部品を面状成形体(I)に一体化した成形品を作製した。得られた一体化成形品の模式図を図5に示す。一体化成形品の評価結果は表1に記載した。
実施例5.
実施例1で得られた炭素繊維ウェブ2枚と参考例3で得られたナイロン6樹脂フィルム2枚とを、ナイロン6/炭素繊維ウェブ/炭素繊維ウェブ/ナイロン6となるように積層し、250℃の温度で5MPaの圧力を3分間かけて炭素繊維ウェブにナイロン6樹脂が含浸したシート基材3を作製した。シート基材3の炭素繊維含有量は35vol%であった。
実施例1で得られた炭素繊維ウェブ2枚と、参考例3で得られたナイロン6樹脂フィルム1枚と、参考例4で得られた共重合ナイロン樹脂フィルム1枚とを、ナイロン6/炭素繊維ウェブ/炭素繊維ウェブ/共重合ナイロンとなるように積層し、250℃の温度で5MPaの圧力を3分間かけて炭素繊維ウェブにナイロン6樹脂と共重合ナイロン樹脂が含浸したシート基材4を作製した。シート基材4の炭素繊維含有量は35vol%であった。
シート基材1を4枚とシート基材3を1枚と、シート基材4を1枚とを、シート基材3/シート基材1/シート基材1/シート基材1/シート基材1/シート基材4となるように積層した。このときシート基材4の共重合ナイロンが含浸した表面が最表面にくるように積層した。
以降は実施例1と同様にして面状成形体(I)の作製および一体化成形品の作製を行った。得られた一体化成形品の模式図を図7に示す。一体化成形品の評価結果は表1に記載した。
実施例6
実施例1と同様にして面状成形体(I)を作製した。別途、射出成形で作製したボス、リブに接着剤(スリーボンド1782、株式会社スリーボンド製)を塗布し、上記面状成形体(I)に貼り合わせ、23±5℃、50±5%RHで4時間放置して一体化成形品を作製した。得られた一体化成形品の模式図を図8に示す。一体化成形品の評価結果は表1に記載した。
実施例7
ナイロン6樹脂フィルムの代わりに、参考例13で得られた難燃ナイロン6樹脂フィルムを用いた以外は、実施例2と同様にして面状成形体(I)および一体化成形品を作製した。面状成形体(I)の難燃性はUL94、V−0であった。一体化成形品の評価結果は表3に記載した。
実施例8
炭素繊維ウェブ1枚と参考例13で得られた難燃ナイロン6樹脂フィルム2枚とを、難燃ナイロン6/炭素繊維ウェブ/難燃ナイロン6となるように積層し、250℃の温度で5MPaの圧力を3分間かけて炭素繊維ウェブに難燃ナイロン6樹脂が含浸したシート基材5を作製した。シート基材5の炭素繊維含有量は20vol%であった。
炭素繊維ウェブ1枚と参考例13で得られた難燃ナイロン6樹脂フィルム1枚と、参考例14で得られた難燃共重合ナイロン樹脂フィルム1枚とを、難燃ナイロン6/炭素繊維ウェブ/難燃共重合ナイロンとなるように積層し、250℃の温度で5MPaの圧力を3分間かけて炭素繊維ウェブに難燃ナイロン樹脂が含浸したシート基材6を作製した。シート基材6の炭素繊維含有量は20vol%であった。
上記シート基材5とシート基材6を1枚ずつ遠赤外線加熱炉で、窒素雰囲気下、280℃に予熱した。キャビティー表面温度が120℃であり、厚み1.0mmの箱形状(図1の面状成形体(I)の形状)のキャビティーを有するスタンピング成形金型に予熱した2枚のシート基材5、シート基材6および予熱していない参考例11で得られたナイロン6樹脂フィルムとを、シート基材5/ナイロン6樹脂フィルム/シート基材6となるように配置し(チャージ率110%)、金型を閉じ、成形圧力30MPaで加圧し、2分間保持した後、金型を開き、脱型し、箱型の面状成形体(I)を得た。箱形の内側が難燃共重合ナイロン表面となっている。面状成形体(I)の表層は難燃ナイロン6樹脂であり、難燃性に優れるものとなった。
この面状成形体(I)を用いて、実施例1と同様にして一体化成形品を作製した。一体化成形品の評価結果は表3に記載した。
実施例9
参考例9のTLP1146Sの代わりに、参考例12のガラス繊維強化ナイロン66樹脂ペレットを用いた以外は、実施例3と同様にして一体化成形品を作製した。フレームがガラス繊維強化ナイロン66樹脂ペレットのため、電波透過性に優れる一体化成形品となった。また、面状成形体(I)の表層は難燃ナイロン6樹脂であり、難燃性に優れるものとなった。一体化成形品の評価結果は表3に記載した。
実施例10
炭素繊維ウェブ1枚と参考例13で得られた難燃ナイロン6樹脂フィルム2枚とを、難燃ナイロン6/炭素繊維ウェブ/難燃ナイロン6となるように積層し、250℃の温度で5MPaの圧力を3分間かけて炭素繊維ウェブに難燃ナイロン6樹脂が含浸したシート基材5を作製した。シート基材5の炭素繊維含有量は20vol%であった。面状成形体(I)の表層は難燃ナイロン6樹脂であり、難燃性に優れるものとなった。なお、実施例10の面状成形体(I)の内側は共重合ナイロン樹脂表面となっていない。
得られたシート基材5を8枚積層し、使用した以外は、実施例2と同様にして一体化成形品を作製した。一体化成形品の評価結果は表3に記載した。
比較例1.
参考例7のガラス繊維強化熱可塑性樹脂(GMT)を遠赤外線加熱炉で、窒素雰囲気下、280℃に予熱した。キャビティー表面温度が120℃であり、厚み1.0mmの箱形状(図1の面状成形体(I)の形状)のキャビティーを有するスタンピング成形金型に予熱したGMT基材を配置し(チャージ率50%)、金型を閉じ、成形圧力30MPaで加圧し、2分間保持した後、金型を開き、脱型し、箱型の面状成形体(I)を得た。
以降は実施例1と同様にして一体化成形品を作製したところ、面状成形体(I)の剛性が低いため、射出成形品と一体化した際に成形品に歪みが生じた。得られた一体化成形品の模式図を図1に示す。一体化成形品の評価結果は表2に記載した。
比較例2.
参考例2のトレカT700S−12K−50Cを25mm長にカットし、該カット炭素繊維束をランダムな方向に炭素繊維束が分布するように散らばらせ、炭素繊維束ランダム配向基材を作製した。該炭素繊維束ランダム配向基材を60質量部に、参考例8の炭素繊維シートモールディングコンパウンド用ビニルエステル樹脂40質量部を含浸させ、炭素繊維シートモールディングコンパウンド基材(SMC)を作製した。
実施例1で使用したスタンピング金型を用いて、得られたSMC基材を150℃の金型に配置し(チャージ率50%)、金型を閉じ、成形圧力30MPaで加圧し、30分間保持した後、金型を開き、脱型し、箱型の面状成形体(I)を得た。
以降は実施例6と同様にして一体化成形品を作製した。得られた一体化成形品の模式図を図8に示す。一体化成形品の評価結果は表2に記載した。
比較例3
実施例1で使用したスタンピング金型を用いて、参考例5のトレカプリプレグを連続繊維の配向方向が[0°/45°/−45°/90°]sとなるように8枚積層し、150℃で1MPaの圧力を30分間かけて面状成形体(I)を作製しようと試みたが、プリプレグの連続繊維が突っ張って三次元形状の箱型をうまく形成することができなかった。
比較例4
実施例1で使用したスタンピング金型を用いて、参考例10の切り込み入り炭素繊維プリプレグを、炭素繊維の配向方向が[0°/45°/−45°/90°]sとなるように8枚積層し、その表面に参考例4で得られた共重合ナイロン樹脂フィルム1枚を積層し、150℃で1MPaの圧力を30分間かけて面状成形体(I)を作製した。
以降は実施例1と同様にして一体化成形品を作製したところ、面状成形体(I)の形状は賦形できたが、繊維配向があるため、特性の等方性には劣る結果となった。得られた一体化成形品の模式図を図1に示す。一体化成形品の評価結果は表2に記載した。
Figure 2010253937
Figure 2010253937
Figure 2010253937
実施例1〜10で示されるように、形状賦形性が良好で、かつ力学特性が等方性な面状成形体(I)を用いた一体化成形品は、良好な特性を示している。また、難燃処方を用いた実施例7〜10の成形品はいずれも難燃性に優れるものとなった。さらに、面状成形体(I)にフィルムコアを使用した実施例8では、特に軽量性に優れるものとなった。第2の成形体にガラス繊維強化成形品を用いた実施例9では、優れた電波透過性を有するものとなった。また、第1の成形体と第2の成形体との接合部に、融点の低い共重合ナイロン樹脂を用いた実施例1〜5、7〜9では、優れた接着性を発揮するものとなった。一方面状成形体(I)にGMTを使用した比較例1では、力学特性が等方的でなく、剛性も低く、成形品が歪み、軽量化効果も小さい。また、SMC基材を用いた比較例2においても力学特性が等方的でなく、比剛性が低く、軽量化効果は小さい。連続繊維プリプレグを用いた比較例3は形状を作り上げることが困難であった。比較例4は、形状賦形は可能であったが、繊維配向があるため、特性の等方性には劣る結果となった。
1.面状成形体(I)
2.第2の成形体
3.屈曲部の最大長さ
4.基準面と凹凸面との高さの差
5.屈曲部
6.面部
7.頂点
8.貫通孔
9.繊維強化複合材料(III)
10.強化繊維
11.熱可塑性樹脂層
12.熱硬化性樹脂層
13.面状成形体(II)
14.接着強度試験片(ISO4587用)
15.接着面積
16a.接着強度評価の治具
16b.接着強度評価の治具
17.接着強度評価試験片
18.繊維方向
19.繊維直交方向
20.切り込み入り炭素繊維プリプレグ
21.炭素繊維
22.切り込み
23.切り込み長さ
24.繊維長さ
25.隣り合う列の切り込みが互いに切り込んでいる長さ
A.面状成形体(I)において厚みがテーパー状に変化している点(最大厚み部)
B.面状成形体(I)において厚みがテーパー状に変化している点(最小厚み部)
C.面状成形体(I)と繊維強化複合材料(III)との界面

Claims (28)

  1. 強化繊維と樹脂を有してなる面状成形体(I)と、第2の成形体とが接合した一体化成形品であり、該面状成形体(I)が少なくとも1つの屈曲部を有しており、かつ該屈曲部で区切られる各面部での曲げ強度が実質的に等方性であり、かつ各面部同士の曲げ強度が実質的に同等である一体化成形品。
  2. 前記面状成形体(I)における屈曲部の最大長さが100〜4000mmである、請求項1に記載の一体化成形品。
  3. 前記面状成形体(I)における屈曲部におけるR部の曲率半径が5mm以下である、請求項1または2のいずれかに記載の一体化成形品。
  4. 前記面状成形体(I)における屈曲部の個数が3個以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の一体化成形品。
  5. 前記面状成形体(I)が屈曲部で区切られる3面から構成される頂点を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の一体化成形品。
  6. 前記面状成形体(I)が凹凸形状であり、基準面から、凹凸面との高さの差が3mm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の一体化成形品。
  7. 前記面状成形体(I)の平均厚みTが0.3〜3mmである、請求項1〜6のいずれかに記載の一体化成形品。
  8. 前記面状成形体(I)の厚みが変化しており、該厚みの変化の大きさが平均厚みTに対し10%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の一体化成形品。
  9. 前記面状成形体(I)が厚み方向に貫通孔を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の一体化成形品。
  10. 前記面状成形体(I)の曲げ強度が400〜1000MPaである、請求項1〜9のいずれかに記載の一体化成形品。
  11. 前記面状成形体(I)が、比重0.2〜1.4のコア材を有するサンドイッチ構造体である、請求項1〜10のいずれかに記載の一体化成形品。
  12. 前記面状成形体(I)の比重が0.5〜1.5である、請求項1〜11のいずれかに記載の一体化成形品。
  13. 前記面状成形体(I)の線膨張係数が15ppm/K以下であり、かつ線膨張係数が実質的に等方性である、請求項1〜12のいずれかに記載の一体化成形品。
  14. 前記強化繊維の数平均繊維長Lnが1〜5mmである、請求項1〜13のいずれかに記載の一体化成形品。
  15. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜14のいずれかに記載の一体化成形品。
  16. さらに前記樹脂中に、該樹脂100質量部に対して1〜20質量部の難燃剤が含まれている、請求項1〜15のいずれかに記載の一体化成形品。
  17. 前記樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1〜16のいずれかに記載の一体化成形品。
  18. 前記第2の成形体が面状成形体(II)であり、曲げ強度が実質的に等方性である、請求項1〜17のいずれかに記載の一体化成形品。
  19. 前記第2の成形体が、連続した強化繊維と樹脂を有してなる繊維強化複合材料(III)である、請求項1〜17のいずれかに記載の一体化成形品。
  20. 前記第2の成形体が、エッジ、フレーム、ボス、リブ、ヒンジ、マウントから選択されるいずれかの部位が形成されてなる複雑形状の成形体(IV)である、請求項1〜17のいずれかに記載の一体化成形品。
  21. 前記面状成形体(I)と、前記第2の成形体がともに熱可塑性樹脂から構成され、一体化成形品の接合強度が5MPa以上である、請求項18〜20のいずれかに記載の一体化成形品。
  22. 前記第1の成形体を構成する樹脂と第2の成形体を構成する樹脂が同種の熱可塑性樹脂(A)であり、かつ第1の成形体と第2の成形体との接合部分には前記熱可塑性樹脂(A)よりも融点または軟化点の低い同種の熱可塑性樹脂(B)が存在する、請求項21に記載の一体化成形品。
  23. 前記複雑形状の成形体(IV)が射出成形体である、請求項20〜22のいずれかに記載の一体化成形品。
  24. 前記第2の成形体が電波透過性を有する成形体である、請求項1〜23のいずれかに記載の一体化成形品。
  25. 前記面状成形体(I)を構成する樹脂が熱可塑性樹脂であり、かつ前記繊維強化複合材料(III)が、その最外層に熱可塑性樹脂からなる層を有し、少なくとも熱硬化性樹脂からなる層と該熱可塑性樹脂からなる層の二層構造を有し、かつ各々の層が凹凸状の界面で結合してなり、さらに連続した強化繊維が各々の層を跨り、繊維強化複合材料(III)の最外層の該熱可塑性樹脂を介して面状成形体(I)と接合してなる、請求項19に記載の一体化成形品。
  26. 電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品または建材のいずれかの用途に用いられる請求項1〜25のいずれかに記載の一体化成形品。
  27. 前記一体化成形品が電子機器筐体であり、該筐体の天面部分または底面部分に該面状成形体(I)の最大面を配置してなる請求項26に記載の一体化成形品。
  28. 前記面状成形体(I)を金型にインサートして、前記複雑形状の成形品(IV)を、該金型を用いて射出成形して得ることで、エッジ、フレーム、ボス、リブ、ヒンジ、マウントから選択されるいずれかの部位を該面状成形体(I)に一体化させる、請求項20に記載の一体化成形品の製造方法。
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