JP2019130913A - 成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材を有する成形体であって、優れた難燃性と、高い層内強度と、アウトサート成形部材の高接着性を兼ね備えた成形体の提供。【解決手段】繊維強化プラスチック成形体30と、アウトサート成形部材22とを有し、繊維強化プラスチック成形体30は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、熱可塑性樹脂は、第1の樹脂と第2の樹脂を含み、第1の樹脂は、ポリエーテルイミドであり、第2の樹脂は、ポリカーボネートであり、アウトサート成形部材22は、第2の樹脂を含み、繊維強化プラスチック成形体30におけるアウトサート成形部材付設面の第2の樹脂の含有率は、アウトサート成形部材付設面の対向面の第2の樹脂の含有率よりも高い成形体1。【選択図】図1

Description

本発明は、成形体に関する。具体的には、本発明は、特定の構成を有する繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材を有する成形体に関する。
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む不織布(繊維強化プラスチック成形体用基材ともいう)から成形された繊維強化プラスチック成形体は、既にスポーツ、レジャー用品、航空機用材料、電子機器部材など様々な分野で用いられている。繊維強化プラスチック成形体においてマトリックスとなる樹脂には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられることが多い。しかし、熱硬化性樹脂を用いた場合、熱硬化性樹脂と強化繊維を混合した不織布は冷蔵保管しなければならず、長期保管ができないという難点がある。
このため、近年は、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用い、強化繊維を含有した不織布の開発が進められている。このような熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた不織布は、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有する。また、熱可塑性樹脂を含む不織布は、熱硬化性樹脂を含む不織布と比較して成形加工が容易であり、加熱加圧処理を行うことにより成形加工品を成形することができるという利点を有している。さらに、熱可塑性樹脂を含む不織布から成形された繊維強化プラスチック成形体には、後工程でアウトサート成形を施すことも可能である。
繊維強化プラスチック成形体には、その用途に応じて難燃性が求められる場合がある。特に、繊維強化プラスチック成形体が電子機器等に組み込まれる場合には、難燃化が必須条件となっている。繊維強化プラスチック成形体を難燃化する方法としては、不織布やマトリックス樹脂に難燃剤を添加する方法や、限界酸素指数の高い熱可塑性樹脂を用いる方法が検討されている(例えば、特許文献1〜3)。限界酸素指数の高い熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルイミド(PEI)等のスーパーエンプラ樹脂を用いることが検討されている。
特開平9−278914号公報 特開平11−147965号公報 特開平3−180588号公報
上述したように、繊維強化プラスチック成形体の難燃性を高めることが検討されている。しかしながら、難燃性を高めるために多量のハロゲン系難燃剤を使用した場合、環境に悪影響を及ぼす場合があり問題となっていた。また、多量のノンハロゲン系難燃剤を使用した場合、繊維強化プラスチック成形体の薄肉化が困難となり、繊維強化プラスチック成形体の軽量化が難しくなるという問題があった。
難燃剤を使用せずに難燃性を高める方法としては、限界酸素指数の高いスーパーエンプラ樹脂を用いる方法がある。一方で、近年は、繊維強化プラスチック成形体にアウトサート成形部材を付設した成形体が様々な用途で用いられている。アウトサート成形部材には、加工性の良さを確保するため限界酸素指数の低い熱可塑性樹脂が用いられている場合が多い。このように、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材は異なる樹脂を用いるので、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材との接着性が低く、接着性を十分に確保することが必要となっていた。このような成形体においては、アウトサート成形部材との接着性を確保するためにアウトサート成形部材と同じ成分を繊維強化プラスチック成形体に混合する必要があり、結果として、限界酸素指数の低い燃焼性樹脂が混合されることとなる。限界酸素指数の低い燃焼性樹脂が混合された場合は、繊維強化プラスチック成形体の難燃性が低下するため、問題となっていた。
すなわち、従来の繊維強化プラスチック成形体においては、難燃性の向上と、アウトサート成形部材の接着性の向上は両立されておらず、難燃性とアウトサート成形部材との接着性を兼ね備えた繊維強化プラスチック成形体が求められていた。
さらに、従来の繊維強化プラスチック成形体においては、層内強度が十分ではない場合があり、このような場合にはアウトサート成形部材が剥離してしまうことがあり問題となっていた。
本発明は上記の種々の課題を全て解決することを目的とするものである。すなわち、本発明は、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材を有する成形体であって、優れた難燃性と、高い層内強度と、アウトサート成形部材の高接着性を兼ね備えた成形体を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材を含む成形体において、繊維強化プラスチック成形体の構成を規定することにより、アウトサート成形部材の接着性を高め、かつ成形体の難燃性と繊維強化プラスチック成形体の層内強度を効果的に高め得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]繊維強化プラスチック成形体と、繊維強化プラスチック成形体の一方の面側に付設されたアウトサート成形部材とを有し、繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、熱可塑性樹脂は、第1の樹脂と第2の樹脂を含み、第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂及び難燃剤を含む熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1種であり、第2の樹脂は、限界酸素指数が27以下の熱可塑性樹脂であり、アウトサート成形部材は、第2の樹脂を含み、繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の第2の樹脂の含有率は、アウトサート成形部材付設面の対向面の第2の樹脂の含有率よりも高いことを特徴とする成形体。
[2]繊維強化プラスチック成形体は、第1層と第2層を有し、第2層は、アウトサート成形部材が付設される側に配され、第1層は、強化繊維と、第1の樹脂とを含み、第2層は、強化繊維と、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含み、第1層が、第2の樹脂を含む場合は、第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高い[1]に記載の成形体。
[3]第1層の厚みと第2層の厚みの合計に対して、第2層の厚みが1/3以下である[2]に記載の成形体。
[4]第1層の厚みと第2層の厚みの合計は、1.2mm以下である[2]又は[3]に記載の成形体。
[5]第2層に含まれる第2の樹脂の含有量は、第2層の全質量に対して5〜60質量%である[2]〜[4]のいずれかに記載の成形体。
[6]アウトサート成形部材に含まれる第2の樹脂の含有量は、アウトサート成形部材の全質量に対して50質量%以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の成形体。
[7]繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の対向面側に積層された表面層をさらに含む[1]〜[6]のいずれかに記載の成形体。
[8]表面層は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を含む層である[7]に記載の成形体。
[9]表面層は、第1の樹脂を含む層である[7]に記載の成形体。
[10]強化繊維は、炭素繊維である[1]〜[9]のいずれかに記載の成形体。
[11]第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂である[1]〜[10]のいずれかに記載の成形体。
[12]第1の樹脂はポリエーテルイミドであり、第2の樹脂はポリカーボネートである[1]〜[11]のいずれかに記載の成形体。
[13]第1層に含まれる強化繊維の含有量は、第1層の全質量に対して20〜70 質量%であり、第2層に含まれる強化繊維の含有量は、第2層の全質量に対して20〜70質量%である[2]〜[12]のいずれかに記載の成形体。
[14]第1層の密度は0.8〜2.0g/cmであり、第2層の密度は0.8〜2.0g/cmである[2]〜[13]のいずれかに記載の成形体。
本発明によれば、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材を有する成形体であって、優れた難燃性と、高い層内強度と、アウトサート成形部材の高接着性を兼ね備えた成形体を得ることができる。本発明の成形体は、電子機器をはじめ、様々な分野で好ましく用いることができる。
図1は、本発明の成形体の一の態様の構成を説明する断面図である。 図2は、本発明の成形体の他の態様の構成を説明する断面図である。 図3は、評価試験用に用いた成形体の構成を説明する断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(成形体)
本発明の成形体は、繊維強化プラスチック成形体と、繊維強化プラスチック成形体の一方の面側に付設されたアウトサート成形部材とを有する。繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む。熱可塑性樹脂は、第1の樹脂と第2の樹脂を含み、第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂及び難燃剤を含む熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1種であり、第2の樹脂は、限界酸素指数が27以下の熱可塑性樹脂である。アウトサート成形部材は、第2の樹脂を含む。そして繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の第2の樹脂の含有率は、アウトサート成形部材付設面の対向面の第2の樹脂の含有率よりも高い。
ここで、繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面とは、繊維強化プラスチック成形体にアウトサート成形部材が付設した面を全て含む領域であり、アウトサート成形部材が付設した繊維強化プラスチック成形体の表面から厚みが10μmまでの領域のことをいう。本明細書中では、このような領域を繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面と呼ぶ。また、アウトサート成形部材付設面の対向面とは、アウトサート成形部材が付設した繊維強化プラスチック成形体の表面に対向する他方の表面を全て含む領域であり、他方の表面から厚みが10μmまでの領域のことをいう。なお、繊維強化プラスチック成形体の表面に凹凸形状がある場合は凹部と凸部の高さの平均の高さを通る面を繊維強化プラスチック成形体の表面とする。
繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の第2の樹脂の含有率は、アウトサート成形部材付設面の対向面の第2の樹脂の含有率よりも高い。具体的には、アウトサート成形部材付設面の第2の樹脂の含有率は、アウトサート成形部材付設面の対向面の第2の樹脂の含有率の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。なお、各面の第2の樹脂の含有率の高低は、後述するように繊維強化プラスチック成形体の表面を、ATR法を用いてFT−IR分析を行い、両表面の赤外線吸収スペクトルのうち第2の樹脂に特有のピークの吸収強度を求めることで判別することができる。
本発明の成形体においては、繊維強化プラスチック成形体は、単層構造であってもよいが、多層構造であってもよい。繊維強化プラスチック成形体が多層構造である場合は、繊維強化プラスチック成形体は第1層と第2層を有することが好ましい。この場合、第2層は、アウトサート成形部材が付設された側に配される。すなわち、本発明の成形体は、第1層と、第1層の一方の面側に積層された第2層と、第2層上に付設されたアウトサート成形部材とを有することが好ましい。第1層は、強化繊維と、第1の樹脂とを含み、第2層は、強化繊維と、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含み、アウトサート成形部材は、第2の樹脂を含む。本発明の成形体の第1層が、第2の樹脂を含む場合は、第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高い。
図1は、本発明の成形体の構成を表す断面図である。図1では、繊維強化プラスチック成形体が多層構造である場合の構成を説明している。図1に示されているように、本発明の成形体1は、第1層10と、第2層12と、アウトサート成形部材22を有することが好ましい。第1層10と第2層12の積層体は、繊維強化プラスチック成形体30ということもある。第1層10と第2層12の間には、他の層が設けられていてもよいが、第1層10と第2層20とアウトサート成形部材22は、この順に積層されていることが好ましい。なお、アウトサート成形部材22は、第2層12上の一部分に設けられていてもよく、第2層12の全面を覆うような層状の部材であってもよい。
第2層12の面上にアウトサート成形部材22を設ける場合は、まず、第1層10と第2層12の積層体(繊維強化プラスチック成形体30)を形成し、第2層12上にアウトサート成形部材22を付着固定させる。アウトサート成形部材22は、射出成形などの方法によって形成することができる。
本発明の成形体は、さらに表面層を有していてもよい。表面層は塗装面や成形体の外観に影響する面に積層されることが好ましい。表面層は、繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の対向面側に積層されることが好ましい。なお、繊維強化プラスチック成形体が第1層と第2層を有する場合は、第1層の他方の面側であって、第2層が積層された面とは反対の面側に積層されることが好ましい。
図2は、本発明の表面層を有する成形体の構成を表す断面図である。図2に示されているように、本発明の成形体1は、第1層10と、第2層12と、表面層14と、アウトサート成形部材22を有する。第1層10と、第2層12と、表面層14を有する積層体は、繊維強化プラスチック成形体30ということもある。繊維強化プラスチック成形体30においては、表面層は、第1層の他方の面側であって、第2層が積層された面とは反対の面側に積層されることが好ましく、第2層12、第1層10、表面層14がこの順で積層されていることが好ましい。なお、各層間には他の層が設けられていてもよい。図2に示されているような成形体においても、アウトサート成形部材22は、第2層12上に設けられる。
(アウトサート成形部材)
本発明の成形体は、アウトサート成形部材を有する。アウトサート成形部材は、第2層の表面上に付設される。
アウトサート成形部材は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂は、後述する第2の樹脂であることが好ましい。すなわち、アウトサート成形部材は、限界酸素指数が27以下の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。さらに、アウトサート成形部材が含有する第2の樹脂は、繊維強化プラスチック成形体の第2層に含有される第2の樹脂と同種の樹脂であることがより好ましい。例えば、第2層に含まれる第2の樹脂がポリカーボネートである場合、アウトサート成形部材もポリカーボネートを含むことが好ましく、第2層に含まれる第2の樹脂がナイロンである場合、アウトサート成形部材もナイロンを含むことが好ましい。このように共通樹脂を含むことにより、第2層に含まれる第2の樹脂とアウトサート成形部材に含まれる第2の樹脂とが相溶するため、アウトサート成形部材と繊維強化プラスチック成形体の接着性を良好なものとすることができる。
アウトサート成形部材に含まれる第2の樹脂の含有量は、アウトサート成形部材の全質量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。アウトサート成形部材に含まれる第2の樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、アウトサート成形部材と繊維強化プラスチック成形体の接着性をより高めることができる。
アウトサート成形部材は、さらに、強化繊維を含んでいてもよい。アウトサート成形部材が強化繊維を含む場合、アウトサート成形部材自体の強度を高めることができる。アウトサート成形部材に用いる強化繊維としては、後述する繊維強化プラスチック成形体に用いることができる強化繊維を例示することができる。
(繊維強化プラスチック成形体)
本発明の成形体は、繊維強化プラスチック成形体を含む。繊維強化プラスチック成形体は、単層構造であってもよく、少なくとも第1層と第2層を有する多層構造であってもよい。本明細書においては、繊維強化プラスチック成形体が多層構造の場合、第1層と、第1層の一方の面側に積層された第2層の積層体を繊維強化プラスチック成形体と呼ぶ。なお、繊維強化プラスチック成形体は、第1層と、第2層以外に他の層を有していてもよく、他の層は、第1層と第2層の間に設けられていてもよく、第1層の他方の面側であって、第2層が積層された面とは反対の面側に設けられていてもよい。
本発明においては、繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の第2の樹脂の含有率は、アウトサート成形部材付設面の対向面の第2の樹脂の含有率よりも高い。繊維強化プラスチック成形体が単層構造の場合は、繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面から第2の樹脂の含有率が厚さ方向に連続的に減少する構成とすることが好ましい。また、繊維強化プラスチック成形体の層内強度と難燃性を高めるために、繊維強化プラスチック成形体に含まれる第1の樹脂は、厚さ方向に分散していることが好ましい。難燃性と層内強度を両立させるために、第1の樹脂は、アウトサート成形部材付設面の対向面に多く偏在していることが好ましく、アウトサート成形部材付設面においては、微量でも含まれていればよい。このように、繊維強化プラスチック成形体の厚さ方向に第1の樹脂が偏在することで、繊維強化プラスチック成形体の層内強度と難燃性が高められる。
なお、繊維強化プラスチック成形体が単層構造の場合の第2の樹脂の含有率の高低は、繊維強化プラスチック成形体の各表面を、ATR法を用いてFT−IR分析を行い、両表面の赤外線吸収スペクトルのうち第2の樹脂に特有のピークの吸収強度の大小から判別することができる。繊維強化プラスチック成形体の各表面のFT−IR分析の方法については、後述する方法を採用することができる。
繊維強化プラスチック成形体の厚みは、軽量化の観点から薄いほうが好ましいため、1.2mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましく、0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.7mm以下であることが特に好ましい。繊維強化プラスチック成形体に第1層と第2層以外の他の層が含まれる場合であっても、厚みの合計は上記範囲であることが好ましい。通常、繊維強化プラスチックの厚みは薄くなると難燃性が低下する傾向を示すが、本発明の成形体においては、繊維強化プラスチック成形体の厚みが薄い場合であっても十分な難燃性を示すことができる。
(第1層/第2層)
繊維強化プラスチック成形体は、少なくとも第1層と第2層を有する多層構造であってもよい。この場合、第1層は、強化繊維と第1の樹脂とを含み、第2層は、強化繊維と、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含む。ここで、第1層は、第2の樹脂を含まなくてもよいが、第2の樹脂を含んでいてもよい。第1層が、第2の樹脂を含む場合は、第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高い。
第1層に含まれる第1の樹脂と、第2層に含まれる第1の樹脂は、異種であってもよいが、同種であることが好ましい。さらに、第1層が第2の樹脂を含む場合は、第2層に含まれる第2の樹脂と同種の樹脂を含むことが好ましい。このように、各層にそれぞれ共通樹脂を含むことにより、各層の共通樹脂が相溶するため、繊維強化プラスチック成形体の層内強度を良好なものとすることができる。なお、繊維強化プラスチック成形体が、少なくとも第1層と第2層を有する多層構造である場合、繊維強化プラスチック成形体の層内強度が高いことは、第1層と第2層の層間の密着性が良好であることを意味する。
第1層の厚みと第2層の厚みの合計は、軽量化の観点から薄いほうが好ましいため、1.2mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましく、0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.7mm以下であることが特に好ましい。
繊維強化プラスチック成形体では、難燃性の観点から第1層の厚みと第2層の厚みの合計に対して、第2層の厚みは1/3以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましく、1/5以下であることがさらに好ましい。本発明では、第1層と第2層の厚みを上記条件とすることにより、限界酸素指数が低い樹脂が、繊維強化プラスチック成形体の表層領域に偏在することとなる。このような構成とすることにより、本発明の成形体においては、限界酸素指数が低い樹脂を含む場合であっても、難燃性が低下することが抑制されている。
一方、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材との接着性の観点から、第2層の厚さは30μm以上が好ましく、65μm以上がより好ましい。
また、本発明の成形体においては、第1層の厚みは、100〜1100μmであることが好ましく、200〜1000μmであることがより好ましく、400〜950μmであることがさらに好ましい。第2層の厚みは、10〜180μmであることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましく、65〜100μmであることがさらに好ましい。第1層と第2層の厚みを上記条件とすることにより、繊維強化プラスチック成形体及び成形体の難燃性をより高めることができる。
ここで、本発明の成形体における第1層と第2層は、第2の樹脂の含有率により区別することができる。また、第1層と第2層の厚みは下記に記載した方法で算出することができる。
(1.第2の樹脂の含有率が高い部分の存在する面の特定)
まず、繊維強化プラスチック成形体の表面の不純物等を除去するために、繊維強化プラスチック成形体の両表面を層の厚み方向に、3〜5μm削り、表面を光学顕微鏡で観察する。ここで、強化繊維が露出していなければ、更に3〜5μmずつ、強化繊維が露出するまで削る。次に、削ることで露出した繊維強化プラスチック成形体の表面を、ATR法を用いてFT−IR分析を行い、両表面の赤外線吸収スペクトルを求める。そして、第2の樹脂に特有のピークで、第1の樹脂には存しないピークのうち、最も吸収強度の強いピークをひとつ選定する。ここで第2の樹脂であるか否か、すなわち限界酸素指数が27以下であるか否かは、市販のFT−IRスペクトルのデータベースに照らし合わせて樹脂の種類を特定すれば、公知文献からその樹脂の限界酸素指数を調査することで判断できる。市販のFT−IRスペクトルのデータベースとしてはサーモサイエンティフィック社 FT−IR and RamanSpectral Librariesや、Aldrich FT−IR Collection Editionなどが例示されるが、これに限定されるものではない。そして、第2の樹脂に特有のピークの吸収強度(以下、absorbance(x)という)が高い方を第2層側の面とし、その面の第2の樹脂に特有のピークの吸収強度をabsorbance(1)とする。
(2.第2の樹脂の含有率が高い部分が存する面の厚さの測定)
次に、第2層側の面を4〜6μm削り取り、露出した面について同様にabsorbance(2)を求める。これを繰り返し、求めたabsorbance(x)(xは1〜n)がabsorbance(1)の50%以上の領域までを第2層とし、50%未満の領域を第1層とする。また、50%未満となった時までに削り取られた繊維強化プラスチック成形体の厚さの合計を、第2層の厚さとする。
また、繊維強化プラスチック成形体において、第1層の密度は0.8〜2.0g/cmであることが好ましく、1.0〜1.8g/cmであることがより好ましく、1.2〜1.7g/cmであることがさらに好ましい。また、第2層の密度は0.8〜2.0g/cmであることが好ましく、1.0〜1.8g/cmであることがより好ましく、1.2〜1.8g/cmであることがさらに好ましい。
<強化繊維>
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、炭素繊維であることがより好ましい。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
強化繊維として、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維を使用した場合、繊維強化プラスチック成形体用基材に含まれる熱可塑性樹脂の溶融温度で加熱加圧処理することにより繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。また、強化繊維として、アラミド等の有機繊維を用いた場合は、一般的に強化繊維として無機繊維を使用した繊維強化プラスチック成形体用基材から形成される成形体よりも耐摩耗性を向上させ得る。
強化繊維の質量平均繊維長は、3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることがさらに好ましく、6〜50mmであることが特に好ましい。強化繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体を成形する際に、繊維強化プラスチック成形体用基材から強化繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。また、強化繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。なお、本明細書において、質量平均繊維長は、100本の繊維について測定した繊維長の平均値である。
なお、強化繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、一般的には平均繊維径が5〜25μm程度の繊維が好適に使用される。また、強化繊維は、複数の素材や形状を併用してもよい。なお、本明細書において、平均繊維径は、100本の繊維の繊維径を測定した繊維径の平均値である。
繊維強化プラスチック成形体が多層構造の場合、第1層に含まれる強化繊維の含有量は、第1層の全質量に対して20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。また、第2層に含まれる強化繊維の含有量は、第2層の全質量に対して20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。各層の強化繊維の含有量を上記範囲内とすることにより、各層の密度を好ましい範囲に調整することが可能となる。さらに、繊維強化プラスチック成形体の強度を効果的に高めることができる。
<炭素繊維>
強化繊維としては炭素繊維を用いることが好ましい。強化繊維に含まれる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。これらの炭素繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせ用いてもよい。また、これら炭素繊維の中でも、工業規模における生産性及び機械特性の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維の質量平均繊維長は、3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることがさらに好ましく、6〜50mmであることが特に好ましい。炭素繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から炭素繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。また、炭素繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
炭素繊維の単繊維強度は、4500MPa以上であることが好ましく、4700MPa以上であることがより好ましい。単繊維強度とは、モノフィラメントの引っ張り強度をいう。このような炭素繊維を使用した場合、曲げ強度が大幅に向上する。なお、単繊維強度は、JIS R7601「炭素繊維試験方法」に準じて測定することができる。
炭素繊維の平均繊維径は特に限定されないが、概ね好ましい範囲としては5〜20μmが好ましい。炭素繊維の繊維径を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の強度を高めることができる。
<第1の樹脂/第2の樹脂>
繊維強化プラスチック成形体が多層構造の場合、第1層は、第1の樹脂を含み、第2層は、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含む。第1の樹脂及び第2の樹脂は、熱可塑性樹脂であり、このような熱可塑性樹脂は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成する。熱可塑性樹脂を用いることによって、繊維強化プラスチック成形体を成形する際の加熱加圧時間を短縮することができ、繊維強化プラスチック成形体の生産性を高めることができる。
ここで、第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂及び難燃剤を含む熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1種であり、第2の樹脂は、限界酸素指数が27以下の熱可塑性樹脂である。本発明では、このような異なる樹脂を用いることにより、アウトサート成形部材等との接着性を高めつつも、成形体全体の難燃性を高めることができる。
第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂及び難燃剤を含む熱可塑性樹脂から選択される少なくとも1種であればよい。第1の樹脂としては、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂及び難燃剤を含む熱可塑性樹脂を併用することも好ましいが、第1の樹脂は、限界酸素指数が30以上の熱可塑性樹脂であることが好ましい。なお、本発明において、「限界酸素指数」とは、燃焼を続けるのに必要な酸素濃度を表し、JIS K7201に記載された方法で測定した数値をいう。すなわち、限界酸素指数が20以下は、通常の空気中で燃焼することを示す数値である。
限界酸素指数が30以上の第1の樹脂としては、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を例示することができる。なお、ポリエーテルイミドの限界酸素指数(LOI)は47であり、ポリエーテルエーテルケトンの限界酸素指数(LOI)は43であり、ポリエーテルケトンケトンの限界酸素指数(LOI)は47であり、ポリフェニレンサルファイドの限界酸素指数(LOI)は33である。中でも、第1の樹脂は、ポリエーテルイミド及びポリフェニレンサルファイドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリエーテルイミドであることがより好ましい。このようなスーパーエンプラ繊維を用いることにより、難燃剤を付与せずとも難燃性が得られる。
第1の樹脂が難燃剤を含む熱可塑性樹脂である場合、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66)、ABS樹脂等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート(PC)及びポリアミド(ナイロン6、ナイロン66)は好ましく用いられる。ポリカーボネートは曲げ強度・弾性率・耐衝撃強度等に優れ、軽量であっても強度の高い繊維強化プラスチック成形体を成形できるため好ましい。
難燃剤を含む熱可塑性樹脂においても、その限界酸素指数は一定以上であることが好ましい。具体的には、繊維状態において限界酸素指数が24以上であることが好ましく、27以上であることがより好ましい。難燃剤を含む熱可塑性樹脂の限界酸素指数を上記範囲とすることにより、より難燃性に優れた成形体を得ることができる。
第1の樹脂に含まれる難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤を挙げることができる。
ハロゲン系難燃剤の好ましい具体例としては、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、ブロム化イミド等が挙げられ、中でも、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレン樹脂、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレートが、耐衝撃性の低下を抑制しやすい傾向にあり、より好ましい。
リン系難燃剤としては、例えば、エチルホスフィン酸金属塩、ジエチルホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン、リン酸エステル、ホスファゼン等が挙げられ、中でも、ジエチルホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン、ホスファゼンが熱安定性に優れる点から好ましい。また、成形時のガスやモールドデポジットの発生、難燃剤のブリードアウトを抑制するために、リン系難燃剤と相溶性に優れる熱可塑性樹脂を配合してもよい。このような熱可塑性樹脂としては、好ましくは、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂である。
第1の樹脂には、さらに難燃剤と共に、難燃助剤を混合してもよい。難燃助剤としては、例えば、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、アンチモン化合物、硼酸亜鉛等が挙げられ、2種以上併用してもよい。これらの中でも、難燃性がより優れる点からアンチモン化合物、硼酸亜鉛が好ましい。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、ハロゲン系難燃剤を用いる場合、該難燃剤との相乗効果から、三酸化アンチモンを併用することが好ましい。
なお、難燃剤や難燃助剤は、第1の樹脂に均一に分散していることが好ましいが、表面に難燃剤等を付着させたものを用いることもできる。
限界酸素指数が27以下の第2の樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、アクリル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)等を例示することができる。これらの樹脂は用途に応じて選択することができる。なお、ポリカーボネートの限界酸素指数(LOI)は26であり、アクリルの限界酸素指数(LOI)は19であり、ポリエチレンの限界酸素指数(LOI)は17であり、ポリプロピレンの限界酸素指数(LOI)は18であり、ポリエステルの限界酸素指数(LOI)は18であり、ポリアミドの限界酸素指数(LOI)は24である。中でも、耐衝撃性の面から、第2の樹脂は、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリアミドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリカーボネートであることがより好ましい。ポリアミドとしては、強度の面からナイロン6を好ましく例示できる。また、繊維強化プラスチック成形体を成形する基材を湿式抄紙法において製造する場合は、ポリエチレンテレフタレートと変性ポリエチレンテレフタレートの芯鞘バインダー繊維も第2の樹脂として好ましく用いられる。
第1の樹脂及び第2の樹脂は、上述した樹脂群の中から適宜組み合わせて用いることができる。第1の樹脂と第2の樹脂の組み合わせは、成形体の用途に応じて選択することができる。中でも、第1の樹脂としてポリエーテルイミドを用い、第2の樹脂としてポリカーボネートを用いることが好ましい。このような樹脂の組み合わせとすることにより優れた難燃性と高い層内強度を兼ね備えた成形体を得ることができる。さらに、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材との接着性も高めることができる。
第1の樹脂及び第2の樹脂は、繊維強化プラスチック成形体を成形する基材においては、繊維状であることが好ましい。この場合、各樹脂の質量平均繊維長は、各々、2〜100mmであることが好ましく、2〜50mmであることがより好ましく、5〜50mmであることがさらに好ましく、5〜40mmであることがよりさらに好ましく、10〜25mmであることが特に好ましい。質量平均繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から第1の樹脂繊維及び第2の樹脂繊維が脱落することを抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。また、質量平均繊維長を上記範囲内とすることにより、第1の樹脂繊維及び第2の樹脂繊維の分散性を良好にすることができるため、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体及び成形体は良好な強度と外観を有する。
<配合>
本発明では、第1層に含まれる第1の樹脂の含有量は、第1層の全質量に対して、30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。また、第1層に含まれる第2の樹脂の含有量は、第1層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましい。
また、第2層に含まれる第1の樹脂の含有量は、第2層の全質量に対して、3〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることがさらに好ましい。また、第2層に含まれる第2の樹脂の含有量は、第2層の全質量に対して、5〜60質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましい。
第2層に含まれる第1の樹脂と第2の樹脂の質量比は50:10〜10:50とすることが好ましく、50:30〜30:50とすることがより好ましい。第1の樹脂と第2の樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、層内強度やアウトサート成形部材との接着性を高め、かつ成形体の難燃性を向上させることができる。
第2の樹脂の含有量は、繊維強化プラスチック成形体の全質量に対して1〜20質量%とすることができる。本発明では、繊維強化プラスチック成形体中に限界酸素指数の低い第2の樹脂を含有した場合であっても、成形体の難燃性を維持することができる。
<強化繊維と熱可塑性樹脂の配合比>
繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維と熱可塑性樹脂(第1の樹脂と第2の樹脂の合計質量)の質量比は10:90〜80:20であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましく、30:70〜70:30であることがさらに好ましい。強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
<バインダー成分>
繊維強化プラスチック成形体は、バインダー成分を含有してもよい。バインダー成分を含有する場合は、バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。
バインダー成分としては、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂及びこれらを組み合わせた芯鞘構造のバインダー繊維(芯鞘PET)、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、各種澱粉、セルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドーアクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が使用できる。また、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂も好適に使用することができ、これらを変性させて適宜融点を調整した樹脂を使用した合成パルプは少量でも十分な強度が得られるため好ましい。
バインダー成分は、アクリル系ポリマーであってもよい。アクリル系ポリマーは、アクリル繊維であってもよく、アクリル系ポリマーを含むエマルジョンや、アクリル系ポリマーを水中に分散させた溶液であってもよい。中でも、難燃性の観点からは、アクリル系ポリマーは、アクリル繊維であることが好ましい。アクリル繊維は、アクリロニトリル単位を含むことが好ましい。特に、アクリル繊維は、アクリロニトリル単位と(メタ)アクリレート単位とを含むアクリルパルプであることが好ましい。ここで、「単位」とは、アクリル繊維(アクリル系ポリマー)を構成する繰り返し単位(モノマー単位)である。また、アクリルパルプとは、主繊維から枝状の枝繊維が延びている、いわゆるフィブリル状物をいう。
アクリル繊維は、アクリロニトリルと(メタ)アクリレートを混合し、ブレンド紡糸法によって繊維状にしたものであることが好ましい。このようなアクリル繊維においては、アクリロニトリルポリマーと(メタ)アクリレートポリマーが海島構造を構成している。ここで、海島構造とは、アクリロニトリルポリマー中に、(メタ)アクリレートポリマーが微細な層分離構造を構成していることをいう。なお、本明細書中において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味する。」
アクリル繊維が含有する(メタ)アクリレート単位としては、アルキル(メタ)アクリルレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどに由来するモノマー単位が挙げられる。中でも、(メタ)アクリレート単位としては、アルキル(メタ)アクリルレート由来の単位を用いることが好ましく、メチル(メタ)アクリルレート又はエチル(メタ)アクリルレート由来の単位を用いることがより好ましい。
アクリル系ポリマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメチルアクリレートなどの共重合物のエマルジョンや、アクリル系ポリマーを水中に分散させたものも使用することができる。エマルジョンや分散溶液に用いるアクリル系ポリマーは、必要に応じてスチレン共重合物としてもよく、アクリロニトリル共重合物とすることもできる。
本発明では、バインダー成分として用いられる樹脂は、限界酸素指数が27以下であってもよく、このような場合、バインダー成分は第2の樹脂として繊維強化プラスチック成形体に存在することとなる。一般にバインダー成分として用いられる樹脂は限界酸素指数が低いことが知られている。
(表面層)
繊維強化プラスチック成形体は表面層を有してもよい。表面層は、第1層の一方の面側であって、第2層が積層された面とは反対の面側に設けられることが好ましい。このような表面層は、繊維強化プラスチック成形体の表面強度を高めたり、耐久性を高めることができる。さらに、表面層は、繊維強化プラスチック成形体の塗装適性を向上させることができ、繊維強化プラスチック成形体に均一に塗剤を塗布することを可能にする。
表面層は、第1層よりも薄い層であることが好ましい。具体的には、表面層の膜厚は、第1層の膜厚の1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましい。本発明の成形体は、このような薄膜である表面層を有することで、難燃性と塗装適性の両方を高めることができる。
表面層は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリエーテルイミドを含むことがより好ましい。なお、表面層は、上述した樹脂を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましく、95質量%以上含むことがよりさらに好ましく、97質量%以上含むことが特に好ましい。表面層は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種からなる層であってもよい。なお、表面層は、上記のいずれか1種のみから構成されてもよく、上記の樹脂の混合物から構成されてもよい。
表面層に含まれる樹脂は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種であることが好ましいが、中でも、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド及びポリフェニレンサルファイドから選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ポリエーテルイミドであることがさらに好ましい。なお、表面層は、上記の樹脂の混合物から構成されてもよい。また、上記の樹脂以外の樹脂が併用されてもよい。
表面層は、上述した第1の樹脂を含むことも好ましい。表面層は、第1の樹脂を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましく、95質量%以上含むことがよりさらに好ましく、97質量%以上含むことが特に好ましい。表面層に含まれる樹脂は、第1層に含まれる第1の樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。例えば、第1層に含まれる第1の樹脂がポリエーテルイミドである場合、表面層もポリエーテルイミドを含むことが好ましい。このように共通樹脂を含むことにより、第1層に含まれる第1の樹脂と表面層に含まれる第1の樹脂とが相溶するため、層内強度をより良好なものとすることができる。
なお、第1層と表面層に含まれる樹脂は、異種であってもよい。例えば、第1層の熱可塑性樹脂−表面層の熱可塑性樹脂の組み合わせとしては、ポリエーテルイミド−ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド−ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド−ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン−ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミド−ポリスチレン、ポリエーテルイミド−ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。
表面層の坪量は10〜350g/mであることが好ましく、20〜300g/mであることがより好ましい。表面層の坪量を上記範囲内とすることにより、塗装適性を高めることができ、さらに難燃性も高めることができる。
表面層は、ポリエーテルイミドを含むことが好ましく、ポリエーテルイミドからなることがより好ましい。この場合、表面層の坪量は、10〜200g/mであることが好ましく、20〜100g/mであることがより好ましい。表面層にポリエーテルイミドを含有させることにより、表面層の坪量を比較的低く抑えることができ、繊維強化プラスチック成形体の製造コストを抑制することもできる。
表面層が不織布から成形される場合は、不織布は、上述した樹脂の繊維から構成される。また、表面層が樹脂フィルムから成形される場合は、上記樹脂を溶融してフィルム状にしたフィルムを用いることができる。樹脂フィルムには、市販品を用いてもよく、例えば、PEIフィルムとして、三菱樹脂株式会社製の「スペリオUT」、ポリフェニレンサルファイドフィルムとして、東レ社製「トレリナ」等を例示することができる。
(繊維強化プラスチック成形体の成形方法)
繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形することにより成形される。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を、1枚単独、又は所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、予め赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することで、繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
プレス成形の方法としては、各種存在するプレス成形の方法の中でも、大型の航空機などの成形体部材を作製する際によく使用されるオートクレーブ法や、工程が比較的簡便である金型プレス法が好ましく挙げられる。ボイドの少ない高品質な成形体を得るという観点からはオートクレーブ法が好ましい。一方、設備や成形工程でのエネルギー使用量、使用する成形用の治具や副資材等の簡略化、成形圧力、温度の自由度の観点からは、金属製の型を用いて成形をおこなう金型プレス法を用いることが好ましく、これらは用途に応じて選択することができる。
金型プレス法には、ヒートアンドクール法やスタンピング成形法を採用することができる。ヒートアンドクール法は、繊維強化プラスチック成形体用基材を型内に予め配置しておき、型締とともに加圧、加熱をおこない、次いで型締をおこなったまま、金型の冷却により該シートの冷却をおこない繊維強化プラスチック成形体を得る方法である。スタンピング成形法は、予め該基材を遠赤外線ヒーター、加熱板、高温オーブン、誘電加熱などの加熱装置で加熱し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化させた状態で、成形型の内部に配置し、次いで型を閉じて型締を行い、その後加圧冷却する方法である。また、低密度の繊維強化プラスチック成形体を得る場合など、成形時の温度が比較的低い場合は、ホットプレス法を採用することもできる。
成形用の金型は大きく2種類に分類され、1つは鋳造や射出成形などに使用される密閉金型であり、もう1つはプレス成形や鍛造などに使用される開放金型である。成形時の分解ガスや混入空気を型外に排除する観点からは開放金型が好ましいが、過度の樹脂の流出を抑制するためには、成形加工中においては開放部をできるだけ少なくし、樹脂の型外への流出を抑制するような形状を採用することも好ましい。
さらに、金型には打ち抜き機構、タッピング機構から選択される少なくとも一種を有する金型を使用することができる。2段プレス機構を用いるなどの工夫で、熱プレス後に連続して、繊維強化プラスチック成形体を打ち抜き加工することも可能である。また、繊維強化プラスチック成形体は、その使用目的などによってはリブやボス等の強度補強・加工用の突起やネジ穴の形成、意匠性の付与を目的とした模様の付与を行うことができる。
本発明で用いる繊維強化プラスチック成形体が多層構造である場合、他種の繊維強化プラスチック成形体用基材を積層して熱プレスで加熱加圧成形することが好ましい。また、本発明の成形体を成形する場合は、繊維強化プラスチック成形体用基材を成形すると同時、或いは成形後にアウトサート成形を施すことが好ましい。このような方法を用いることにより、複雑なアウトサート成形部材を接着することも可能である。
繊維強化プラスチック成形体用基材から繊維強化プラスチック成形体を成形する際には、具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を150〜600℃の温度で加熱加圧成形することが好ましい。なお、加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維が流動する温度であって強化繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体を成形する際の圧力としては、5〜20MPaが好ましい。また、所望の保持温度に到達するまでの昇温速度は3〜20℃/分が好ましく、所望の熱プレス温度での保持時間としては1〜30分、その後、成形体を取り出す温度(200℃以下)までは圧力を維持しながら、3〜20℃/分の冷却速度とするのが好ましい。さらに、生産効率はやや落ちるものの、熱プレスの保持温度から熱可塑性樹脂のガラス転移温度までは空冷でゆっくりと0.1〜3℃/分で冷却することも、強度向上の観点からは好ましい。また、急速加熱、急速冷却(ヒートアンドクール)成形を用いて熱プレス成形することも可能であり、その場合の昇温、冷却速度はそれぞれ30〜500℃/分である。更に、赤外線ヒーターによる場合は、温度として150〜600℃、好ましくは200〜500℃で1〜30分間加熱し、その後30〜150MPaの圧力で成形することができる。
(繊維強化プラスチック成形体用基材)
上述した繊維強化プラスチック成形体を成形する繊維強化プラスチック成形体用基材は単層構造であってもよく、この場合、第2の樹脂がいずれか一方の表面を含む領域に偏在していることが好ましい。また、述した繊維強化プラスチック成形体を成形する繊維強化プラスチック成形体用基材は、第1層用不織布と、第2層用不織布を有する構成としてもよく、この場合、第2層用不織布に第2の樹脂が多く含有される。また、繊維強化プラスチック成形体が表面層等の他の層を有する場合、繊維強化プラスチック成形体用基材は表面層用シートを有することが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体用基材が第1層用不織布と、第2層用不織布を有する場合、第1層用不織布は、強化繊維と、第1の樹脂繊維とを含む。第2層用不織布は、強化繊維と、第1の樹脂繊維と、第2の樹脂繊維とを含む。ここで、第1の樹脂繊維とは、上述した第1の樹脂から構成される繊維であり、第2の樹脂繊維は、上述した第2の樹脂から構成される繊維である。
なお、繊維強化プラスチック成形体用基材が表面層用シートを有する場合、表面層用シートは、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を含むシートであることが好ましい。
表面層用シートは、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を含み、ポリエーテルイミドを含むことが好ましい。なお、表面層用シートは、不織布であってもよく、フィルムであってもよい。表面層用シートが不織布である場合は、上記の熱可塑性樹脂は、繊維状であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体用基材中における、強化繊維、第1の樹脂繊維及び第2の樹脂繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。また、バインダー成分としてバインダー繊維を含む場合は、バインダー繊維もチョップドストランドであることが好ましい。このような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中で、各種繊維を均一に混合することができる。また、繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形等、異形断面のものも使用できる。
(繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法)
繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程では、繊維強化プラスチック成形体用基材が単層構造である場合、繊維強化プラスチック成形体用基材のいずれか一方の表面に第2の樹脂が偏在するように繊維強化プラスチック成形体用基材を抄紙する工程を含むことが好ましい。具体的には、第1の樹脂を繊維状とし、第2の樹脂を粉末とし、湿式抄紙法によって急速に脱水することで、樹脂の粉末をワイヤー面に偏在させることができる。また、第1の樹脂を含む不織布の面上に、第2の樹脂の粉末を振りかけ、第2の樹脂を表面に偏在させることもできる。
また、繊維強化プラスチック成形体用基材が多層構造である場合、繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程は、強化繊維と、第1の樹脂繊維及び/又は第2の樹脂繊維(以下、熱可塑性樹脂ともいう)を混合し、湿式抄紙法又は乾式抄紙法によって第1層用不織布と第2層用不織布を形成する工程を含むことも好ましい。湿式抄紙法は、熱可塑性樹脂繊維、強化繊維のチョップドストランドを溶媒中に分散させ、その後溶媒を除去してウエブを形成する方法である。また、乾式抄紙法は、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維を気体中で混合し、次いでネット上に捕捉してマットを得る方法である。このような方法は、エアレイドと呼ばれることもある。
第1層用不織布と第2層用不織布を形成する工程は、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維に加えて、さらにバインダー成分を混合し、湿式抄紙法又は乾式抄紙法によって各不織布を形成する工程であってもよい。なお、バインダー成分をエマルジョン液又は水溶液に混合して、スプレー若しくはディッピングにより各不織布に付与する場合、各不織布を形成する工程の後に、該エマルジョン液又は該水溶液をスプレー若しくはディッピングする工程を含んでもよい。
なお、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを各不織布に内添、塗布又は含浸させた後は、その不織布を乾燥することが好ましい。このような加熱工程を設けることにより、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布の表層領域に移行させることができる。さらに、バインダー成分を水掻き膜状に局在させることができる。
湿式抄紙法で繊維強化プラスチック成形体用基材を抄紙する際には、円網抄紙機、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いて抄紙することが好ましい。
各不織布を形成する工程の後には、第1層用不織布と第2層用不織布を積層する工程を含むこともできる。この場合は第1層用不織布と第2層用不織布を積層する工程では第1層用不織布と第2層用不織布を軽く熱プレスをしてもよく、第1層用不織布と第2層用不織布をそれぞれ別々に軽く熱プレスしたものを積層してもよい。この場合の熱プレスの温度・圧力は、材質に応じて適宜設定することができる。なお、繊維強化プラスチック成形体用基材は上述の不織布に限定されない。例えば、強化繊維の不織布に樹脂を含浸させたプリプレグを用いてもよい。
また、第1層用不織布と第2層用不織布を湿式抄紙法で製造する場合は、多層抄きが可能な抄紙機を使用して、ウエットウエブの状態で重ね合わせ、これらを一体として乾燥させて繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることもできる。多層抄きが可能な抄紙機としては、傾斜ワイヤーを複数備えた抄紙機、円網ワイヤーを複数備えた抄紙機、或いは傾斜ワイヤーと円網ワイヤーの双方を複数備えた、いわゆるコンビネーション型抄紙機が例示される。
なお、繊維強化プラスチック成形体が表面層を有する場合は、第1層用不織布と第2層用不織布と表面層用シートを積層して、材質に応じた温度・圧力で軽く熱プレスをすることもできる。
(成形体の用途)
アウトサート成形部材は、複雑な形状、かつ微細な構造とすることができる。このため、本発明の成形体は、様々な用途に用いることができる。成形体の用途としては、例えば、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体、及び筐体に貼り付けるリブ等の補強材、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種フレーム、各種車輪用軸受、各種ビーム、ドア、トランクリッド、サイドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、などの外板またはボディー部品及びその補強材」、「インストルメントパネル、シートフレームなどの内装部品」、または「ガソリンタンク、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」、「エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング」、などの自動車、二輪車用部品、「ウィングレット、スポイラー」などの航空機用部品、「鉄道車両用の座席用部材、外板パネル、外板パネルに貼り付ける補強材、天井パネル、エアコン等の噴出し口」などの鉄道車両用部品、「樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来のシート(クラフト紙、段ボール、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、含浸紙、グラシン紙、セルロースナノファイバーシートなど)の補強材」などの部材、等に好適に使用される。
このように、本発明の繊維強化プラスチック成形体は、強度が高く、また優れた難燃性を有するため安全性が高いので、電気、電子機器用の筐体、自動車用の構造部品、航空機用の部品、土木、建材用のパネル、その他多種多様な用途に好ましく用いられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
(第1層用不織布の作製)
繊維長12mmの炭素繊維(台湾プラスチック社製、CS815)をスラリー濃度0.5%となるように水中に投入し、分散剤としてエマノーン(登録商標)3199V(花王株式会社製)を、炭素繊維100質量部に対して1質量部となるよう添加した。尚、エマノーン3199Vはあらかじめ0.5%濃度の水溶液となるように水に溶解して添加した。その後、古紙離解用パルパーを用いて30秒間攪拌して初期分散を行った後、スラリー濃度0.15%となるように水で希釈した(炭素繊維スラリー)。
別容器にて、粉末のアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤(MTアクアポリマー株式会社製、スミフロック)を溶解した水溶液を作製した。粉末のアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤は、水溶液の全質量に対して、0.1質量%となるように添加した。この水溶液を、上記の炭素繊維スラリーに、添加した。水溶液の添加量は、水溶液の全質量に対して増粘剤の固形分が60ppmとなるように調整した。その後、攪拌し、炭素繊維がモノフィラメント化するまで分散させた。
次いで、太さ2.2dtex、繊維長15mmのポリエーテルイミド繊維を表1の配合比となるように計量した。これを、スラリー濃度が10%となるように水中に投入してポリエーテルイミド繊維スラリーを得た。尚、ポリエーテルイミド繊維は分散性が良好であったため、特に攪拌等の処置をせずとも十分に分散した。
更に、バインダーとして、芯鞘PET繊維(クラレ社製、N-720)と、繊維状PVA(クラレ社製 VPB−105)を、質量比として4.7/1.4となるように水中に投入し、古紙離解用パルパーで3分間離解して、合計質量濃度2.0%であるバインダーのスラリーを得た。
上記のポリエーテルイミド繊維スラリーと、バインダースラリーを表1の第1層に記載した配合比となるように、上記の炭素繊維スラリーに投入し、第1層用の原料スラリーを得た。
そして、このスラリーを連続して傾斜ワイヤー型抄紙機に供給し、20m/minの速度で抄紙し、表1の抄紙坪量の幅1.3mの第1層用不織布を得た。
(第2層用不織布の作製)
第1層用不織布の作製手順と同様にして、0.15%濃度の炭素繊維スラリーを作製した。そして、ポリエーテルイミド繊維及びポリカーボネート繊維(ダイワボウ社製、繊維径30μm、繊維長15mm)を、表1の第2層の配合比となるように計量し、第1層用のポリエーテルイミド繊維スラリーと同様の方法でポリエーテルイミド繊維及びポリカーボネート繊維スラリーを得た。また、第1層と同様の方法でバインダースラリーを作製した。ポリエーテルイミド繊維、ポリカーボネート繊維スラリー及びバインダースラリーを、表1の第2層の配合比となるように上記の炭素繊維スラリーに投入し、第2層用の原料スラリーを得た。そして、このスラリーを連続して傾斜ワイヤー型抄紙機に供給し、20m/minの速度で抄紙し、表1の抄紙坪量の幅1.3mの第2層用不織布を得た。
(繊維強化プラスチック成形体の作製)
得られた第1層用不織布を4枚積層し、さらにその上に第2層用不織布を1枚積層し、プレス圧10MPa、加熱温度300℃で5分間プレスし、70℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。
(成形体の作製)
得られた繊維強化プラスチック成形体を長さ100mm、幅25mmにカット後、射出成形機(ハイブリット式 小型精密射出成形機 PNX60 日精樹脂工業株式会社製)の金型にセットし、アウトサート成形用樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ユーピロン S2000)を用いてアウトサート成形を行った。図3に示すとおり、長さ100mm、幅25mm、厚さ2mmのアウトサート成形部材22が、繊維強化プラスチック成形体30との接着面積が25mm×12.5mmとなる成形体(試験用)を得た。
(実施例2及び3)
各層の配合比及び坪量等を表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
(実施例4)
<難燃性ポリカーボネート繊維の製造>
(難燃剤含有ポリカーボネート繊維の製造)
ポリカーボネート樹脂(A成分)(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロンS−3000(粘度平均分子量:21,000))と、アクリロニトリル・スチレン系共重合体(B成分)(テクノポリマー(株)製、商品名:290FF(220°C、49N荷重におけるメルトフローレート(MFR):50g/10分))
と、ポリカーボネートオリゴマー(C成分)(三菱ガス化学(株)製、商品名:AL071(平均重合度:7))と、燐系難燃剤(D成分)(燐酸エステル、大八化学(株)製、商品名:PX−200化学式:[OC(CHP(O)OCOP(O)[OC(CH)を質量比率 100/5.5/12/16となるように混合した。混合物は、30mmφの2軸押し出し機にて溶融混合し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
得られたペレットを紡糸温度300℃にて、紡糸ノズル(孔径0.6mm)を用いて溶融押出し、紡糸ノズル付近の温度を250℃に冷却し、繊度100dtexの紡糸フィラメントを得た。得られたフィラメントを、ギロチンカッターで15mm長に切断し、難燃剤含有ポリカーボネート繊維を得た。
<繊維強化プラスチック成形体の製造>
第1層と第2層のPEI繊維を上記の難燃性ポリカーボネート繊維に変更し、各層の配合比及び坪量等を表1に記載したとおり変更した以外は、実施例1と同様にして第1層及び第2層用不織布を得た。
得られた第1層用不織布を4枚積層し、さらにその上に第2層用不織布を1枚積層し、プレス圧10MPa、加熱温度245℃で5分間プレスし、70℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。
得られた繊維強化プラスチック成形体を用いて、実施例1と同様にして成形体を得た。
(実施例5)
第2層のポリカーボネート繊維をナイロン6繊維(東レ社製「アミラン」)に変更し、各層の配合比及び坪量等を表1に示す通りとし、アウトサート成形に使用する樹脂を、20%の炭素繊維を含有するナイロン6樹脂(東レ社製 トレカTLP1040)に変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
(実施例6)
炭素繊維をEガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS13JAGP195)に変更し、各層の配合比及び坪量等を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
(実施例7、8及び10)
各層の配合比及び坪量等を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、成形体を得た。
(実施例9)
各層の配合比及び坪量等を表1のとおり変更した以外は、実施例5と同様にして、成形体を得た。
(比較例1)
第2層に強化繊維の配合をせず、各層の配合比及び坪量等を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例2)
第2層にポリカーボネート繊維の配合をせず、各層の配合比及び坪量を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
(評価)
(難燃性評価)
実施例及び比較例で得られた成形体の燃焼試験を「機器及び部品に使用されるプラスチック材料の燃焼性試験の安全性に関するUL規格、UL94 第6版 2013年3月28日付」に記載された、50W(20mm)垂直燃焼試験に準拠して行い、難燃性評価をV−0、V−1、V−2と分類し、これらのいずれにも該当しない物をV−不適合に分類した。V−0の難燃性が最も高く、V−1、V−2、V−不適合の順に難燃性が低下する。本発明では、難燃性評価がV−2以上のものを合格レベルとした。
(アウトサート成形部材の接着性評価)
実施例及び比較例で得られた成形体のアウトサート成形部材の接着性を評価した。成形体は、図3に示す通りの成形体(試験用)を用いた。JIS K 6850に準じて、引張試験機(INSTRON 55R−4206型 20kN容量チャック)によって、繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材の両端をチャックで挟んで引張試験を行い、引張せん断接着強度を測定し、以下の評価基準にて評価した。
○:5MPa以上
△:2MPa以上、5MPa未満
×:2MPa未満
(層内強度の評価)
実施例及び比較例で得られた成形体(試験用)を用いて、繊維強化プラスチック成形体の層内強度について、引張せん断接着強度測定後の剥離状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材の界面で剥離している。
△:繊維強化プラスチック成形体とアウトサート成形部材の界面剥離と、繊維強化プラスチック成形体の層内剥離が混在している。
×:繊維強化プラスチック成形体の層内で剥離している。
Figure 2019130913
比較例に比べて実施例で得られた成形体は、難燃性が高いことがわかる。また、実施例で得られた成形体においては、アウトサート成形部材と繊維強化プラスチック成形体の接着性が高く、繊維強化プラスチック成形体の層内強度(第1層と第2層間の密着性)が高いことがわかる。
(実施例11)
水溶液の全質量に対して増粘剤の固形分が2ppmとなるように増粘剤を添加し、各繊維の配合比を表2のとおりとした以外は、実施例1の第1層用と同様にして原料スラリーを作成し、水で希釈してスラリーの濃度を0.2%に希釈し、3Lを分取した。尚、増粘剤の固形分を実施例1よりも減配したのは、濾水速度を速めて後述する第2の樹脂粉末のワイヤー面への偏在を促進するためである。
次にナイロン6樹脂の粉末(ユニチカ社製、A1020LP−30 (30メッシュ品))を1.56g分取し、80gの水に投入して攪拌して分散させ、上述した原料スラリーに投入し、水で濃度0.1%のスラリーとなるように希釈し、攪拌した。
得られたスラリーを円柱形(高さ 400mm、内径158mm)の原質用容器を備えたJIS P−8222:1998に規定された手すき機に投入し、原質用容器内に水を導入して8Lに希釈し、JIS P−8222:1998に規定された方法で手すきを行い、140℃の熱風乾燥機で乾燥させ、繊維強化プラスチック成形体用基材となる不織布を得た。不織布の抄紙坪量は531g/mであった。
得られた不織布を、プレス圧10MPa、プレス温度300℃で成形した。この成形体の両表面を4μm削り、表面のIR分析を行った。両表面とも、ナイロン6に由来する1680cm−1のピークが見られたが、ワイヤー面の当該ピークの吸収強度が0.6852であるのに対し、反対面の吸収強度はその約1/5である0.1281であった。
Figure 2019130913
実施例11で得られた成形体についても実施例1と同様に難燃性の評価を行ったところ、V−1であり良好な難燃性を示した。また、上記成形体のナイロン6由来のピークが見られた面に、実施例1と同様にアウトサート成形を行い、アウトサート成形部材の接着性評価を行ったところ、接着強度は5.1MPaと十分であった。さらに、実施例11で得られた成形体においても、繊維強化プラスチック成形体の層内強度の評価も良好であった。
(実施例12)
(表面層用不織布の作成)
2.2dtex、繊維長15mmのポリエーテルイミド繊維と、芯鞘PET繊維(クラレ社製、N-720)を、質量比98/2となるように水中に投入し、古紙離解用パルパーで3分間離解して濃度0.5%のスラリーを得た。得られたスラリーを湿式抄式に連続して供給し、表3に示す坪量の表面層用不織布を得た。
(成形体の作製)
実施例1と同様にして、第1層用不織布及び第2層用不織布を作製した。得られた第1層用不織布を4枚積層し、さらにその上に第2層用不織布を1枚積層し、第2層用不織布を積層した反対面に表面層用不織布を1枚積層し、プレス圧10MPa、加熱温度300℃で5分間プレスし、50℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。
実施例1と同様にして、得られた繊維強化プラスチック成形体にアウトサート成形を行い、成形体を作製した。
(評価)
実施例12で得られた成形体についても実施例1と同様の評価を行った。さらに、実施例12で得られた成形体については、下記の評価も行った。
(塗装適性)
実施例12で得られた成形体の表面層に塗装を施し、塗装適性について外観を評価した。成形体(塗装面)の外観について、塗膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:表面の膨れやピンホールが発生していない。
△:わずかにピンホールが発生したが、実用上問題はない。
×:表面の膨れやピンホールが発生した。
Figure 2019130913
実施例12で得られた成形体について、実施例1と同様に難燃性の評価を行ったところ、V−0であり良好な難燃性を示した。また、第2層に実施例1と同様にアウトサート成形を行い、アウトサート成形部材の接着性評価を行ったところ、接着強度は5.3MPaと十分で、繊維強化プラスチック成形体の層内強度の評価も良好であった。また、表面層を有する面に塗装を施した場合の塗装面については、表面の膨れやピンホールが発生せず良好であった。
1 成形体
10 第1層
12 第2層
14 表面層
22 アウトサート成形部材
30 繊維強化プラスチック成形体

Claims (7)

  1. 繊維強化プラスチック成形体と、前記繊維強化プラスチック成形体の一方の面側に付設されたアウトサート成形部材とを有し、
    前記繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、
    前記熱可塑性樹脂は、第1の樹脂と第2の樹脂を含み、
    前記第1の樹脂は、ポリエーテルイミドであり、
    前記第2の樹脂は、ポリカーボネートを含み、
    前記アウトサート成形部材は、第2の樹脂を含み、
    前記繊維強化プラスチック成形体におけるアウトサート成形部材付設面の第2の樹脂の含有率は、前記アウトサート成形部材付設面の対向面の第2の樹脂の含有率よりも高いことを特徴とする成形体。
  2. 前記繊維強化プラスチック成形体は、第1層と第2層を有し、
    前記第2層は、前記アウトサート成形部材が付設される側に配され、
    前記第1層は、強化繊維と、第1の樹脂とを含み、
    前記第2層は、強化繊維と、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含み、
    前記第1層が、第2の樹脂を含む場合は、前記第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、前記第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高い請求項1に記載の成形体。
  3. 前記第2層に含まれる前記第2の樹脂の含有量は、前記第2層の全質量に対して5〜60質量%である請求項2に記載の成形体。
  4. 前記アウトサート成形部材に含まれる前記第2の樹脂の含有量は、前記アウトサート成形部材の全質量に対して50質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形体。
  5. 前記強化繊維は、炭素繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体。
  6. 前記第1層に含まれる強化繊維の含有量は、前記第1層の全質量に対して20〜70質量%であり、
    前記第2層に含まれる強化繊維の含有量は、前記第2層の全質量に対して20〜70質量%である請求項2〜5のいずれか1項に記載の成形体。
  7. 前記第1層の密度は0.8〜2.0g/cmであり、前記第2層の密度は0.8〜2.0g/cmである請求項2〜6のいずれか1項に記載の成形体。
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