JP2017001234A - 押出成形用金型 - Google Patents

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豊樹 小笠原
Toyoki Ogasawara
豊樹 小笠原
茂治 石川
Shigeji Ishikawa
茂治 石川
峻平 榎下
Shumpei Enoshita
峻平 榎下
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Abstract

【課題】3種類の大中小の矩形からなるセルを有し、かつ成形原料をスリット全体に均一に供給可能な押出成形用金型の提供。【解決手段】第1セルとこれより断面積が小さい第2セルが縦横に交互に配置するとともに、第2セルより断面積の小さい第3のセルと第2のセルとが縦横に交互に配置された成形体のための金型10で、第一貫通孔12を備えた原料供給部と、第一貫通孔と連通する第二貫通孔を備えた成形部からなり、第二貫通孔は最外周壁を成形する最外周スリット15aと、内側のセル隔壁を形成する内部スリット15bからなり、内部スリットの区画部分には第1、第2、第3セルを形成する平面視矩形のピン15cが形成され、第3セルを形成するピンの原料供給部と結合する部分の幅は第3セルを形成するピン15eの幅の2〜3倍であり、第一貫通孔は各スリットの交点と重ならないように設けられ、第2のセルを形成するピンと重なるように設けられる。【選択図】図3

Description

本発明は、押出成形用金型に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレート(以下、PMという場合がある)が含まれており、近年、このPMが環境または人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HCまたはNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境または人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガスに含まれるCO、HCまたはNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化する装置として、触媒コンバータが提案されている。また、排ガス中のPMを捕集する装置として、コージェライトや炭化ケイ素等の多孔質セラミックからなるハニカム構造のフィルタ(ハニカムフィルタ)が種々提案されている。
ハニカムフィルタのなかには、排ガス中のPMを捕集するとともに、有毒なガス成分を浄化する機能も持たせるために、セル隔壁の内部やセル隔壁の表面に触媒を担持したものもあり、このようなハニカムフィルタを開発する試みも種々行われている(特許文献1等)。
しかしながら、触媒コンバータとしての機能を充分に発揮させるためには、多量の触媒をハニカムフィルタのセル隔壁の内部や表面に担持する必要があり、セル隔壁の表面に担持させる触媒の量が多いと、触媒層がセル隔壁の表面から剥離してしまう可能性がある。また、従来の方法によると、触媒をセル隔壁の表面に定着させるためには、バインダが必要となるが、触媒層が厚くなると、バインダに起因して初期の圧力損失が大きくなる。
セル隔壁の内部に触媒を担持した場合にも、セル隔壁を構成する気孔が触媒により塞がれることとなるので、初期の圧力損失が大きくなる。さらに、上記ハニカムフィルタでは、少量のPMが堆積しただけで、セル隔壁を構成する気孔がさらに塞がれ、圧力損失が限界に達するため、再生処理を頻繁に行う必要が生じ、実用的な装置となりにくかった。
特開2011−194342号公報 特開2006−21488号公報
そこで、本発明者らは、これまでのハニカムフィルタとは、全く構造が異なり、排ガスが導入されるセルである排ガス導入セルと、排ガスが排出されるセルである排ガス排出セルとの間に触媒を充填するための所定の大きさの触媒充填用セルを設け、排ガス導入セルに導入された排ガスを、触媒充填用セルを通過させた後、排ガス排出セルに入る構造のハニカムフィルタを設計した。上記触媒充填用セルは、上記排ガス排出セルや上記排ガス導入セルよりも容積が小さく、例えば、上記排ガス導入セルの容積の20%以下を想定しているが、触媒を充填するには、充分な容積を有する。
上記のように構成されたハニカムフィルタでは、排ガスを触媒に充分に接触させることができ、初期の圧力損失を低く保つことができ、しかも、PMが堆積した場合にも、圧力損失が上昇しにくいという優れた特徴を有する。
さて、一般に、ハニカム構造体を製造する際には、まず、セラミック粉末とバインダーと分散媒液とを混合して成形体作製用の混合組成物を調製した後、この混合組成物を押出成形用金型を備えた押出成形装置に投入し、押出成形を行うことにより、多数のセルがセル隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状のハニカム成形体を作製する。この後、得られたハニカム成形体をヒーター等を用いて乾燥させた後、ハニカム成形体中のバインダー等を熱分解させる脱脂工程、及び、セラミックの焼成を行う焼成工程を行うことによって、ハニカム焼成体を作製する。最後に、得られたハニカム焼成体を接着剤層を介して複数個結束することにより、ハニカム構造体を製造している。
ハニカム成形体を作製するための押出成形用金型としては、成形原料を供給するための原料供給孔と、上記原料供給孔に連通して格子状に設けられ、成形原料をハニカム成形体の形状に成形するためのスリットとを有する金型が知られている。
例えば、特許文献2では、原料供給孔が、各スリットの交点に連通するように設けられた押出成形用金型が開示されている。このような押出成形用金型では、成形原料が、原料供給孔を通ってスリットの交点部に供給され、その後、スリットの交点部からスリットに沿って拡大するように流れる。そして、隣り合う原料供給孔を通った成形原料がスリット部で混じり合って押し出され、ハニカム形状を成形することができる。
しかしながら、上記した新しい構造のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では、容積が相対的に小さい触媒充填用セルで囲まれた部分に、その容積が極めて小さい極小セルが形成されることとなり、特許文献2に記載された金型を採用しようとしても、原料供給セルの上に極小セルが位置することとなり、そのような構成の金型の実現が難しいという問題がある。
また、特許文献2に記載された金型を使用した場合、上記ハニカム焼成体のセル隔壁部分に相当する内部スリットが薄い場合、成形原料がスリット部を通りにくくなるので、隣り合う原料供給孔を通った成形原料が、スリット部で充分に混じり合わず、境界部分に空隙等が形成されてしまう。そのため、押し出されたハニカム成形体のセル隔壁に損傷が発生するという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、セルに垂直な断面が3種類の大中小の矩形からなるセルを組み合わせたパターンを有し、最少のセルが極めて小さいハニカム成形体を作製することも可能な押出成形用金型を提供することを目的とする。
また、本発明は、原料供給孔を通った成形原料を、スリット全体に均一に供給することが可能な押出成形用金型を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の押出成形用金型は、多数のセルがセル隔壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルの長手方向に垂直な断面において、所定断面積の矩形の第1のセルと上記第1のセルよりも断面積が小さい矩形の第2のセルが縦横に交互に配置されるとともに、上記第2のセルよりさらに断面積の小さい矩形の第3のセルと上記第2のセルとが縦横に交互に配置されたハニカム成形体を作製するために用いられ、
第一の面と、上記第一の面の反対側に形成された第二の面と、上記第一の面から上記第二の面に向かって形成された第一貫通孔を備えた原料供給部と、上記第二の面から上記第一の面に向かって、上記第一貫通孔と連通するように形成された第二貫通孔を備えた成形部とからなる押出成形用金型であって、
上記第二の面から見た上記成形部を構成する第二貫通孔の形状は、上記ハニカム成形体の最外周壁を成形するための最外周スリットと、上記最外周スリットの内側に上記最外周スリットと平行かつ直線状に縦横に形成されたセル隔壁を形成するための内部スリットとからなり、上記内部スリットにより区画された部分には、上記第1のセル、上記第2のセル、及び、上記第3のセルを形成するための平面視矩形のピンが形成されており、上記第3のセルを形成するためのピンの上記原料供給部と結合する部分の幅は、上記第二の面における上記第3のセルを形成するためのピンの幅の2倍以上、3倍以下であり、上記第一の面から見た上記第一貫通孔は、上記第二の面から見た上記各スリットの交点と重ならないように設けられるとともに、上記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられていることを特徴とする。
上記第一の面から見た上記第一貫通孔が、上記第二の面から見た上記各スリットの交点と重ならないように設けられるとともに、上記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられているので、原料供給部に形成された第一貫通孔を通った成形原料は、まず、上記第2のセルを形成するためのピンと上記第1のセルを形成するためのピンとの間に形成された第二貫通孔であるスリットに供給され、その後、スリットに沿って、スリットの交点部に向かって拡大するように流れる。そして、隣り合う第一貫通孔を通った成形原料が上記したスリットの交点部で混じり合い、ハニカム形状を成形する。スリットの交点部は、スリット部に比べて成形原料が通りやすい。その結果、成形原料がスリットの交点部及びその近傍でしっかりと混じり合って、成形原料をスリット全体に均一に供給することができる。
また、上記第一貫通孔は、上記第二の面から見た各スリットの交点と重ならないように、上記交点と交点との間に設けられるとともに、上記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられており、上記第3のセルを形成するためのピンが上記第一貫通孔と余り変わらない大きさであるか、上記第一貫通孔より小さいので、上記第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリット部分を避けるように第一貫通孔が形成されている。そのため、上記第一貫通孔より導入された成形原料は、スリットの交点部で混じり合った後、さらに第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットに向かって流れ、第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットで合流する。しかし、上記第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットは極めて短いため、成形原料は混じり合い易く、第一貫通孔を通った成形原料が混じり合う境界部分に空隙は発生しにくく、押し出されたハニカム成形体のセル隔壁に損傷は発生しにくい。
上記第3のセルを形成するためのピンの上記原料供給部と結合する部分の幅は、上記第二の面における上記第3のセルを形成するためのピンの幅の2倍以上、3倍以下であるので、第一貫通孔を通った成形原料は、スムーズに第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットに流れ込み易く、かつ、第3のセルを形成するためのピンは、しっかりと原料供給部と結合しているので、上記第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットに成形原料が流れ込んでも、上記ピンに損傷等が発生することがない。
本発明の押出成形用金型では、上記内部スリットの幅は、0.10mm以上、0.21mm以下であることが望ましい。
上記内部スリットの幅は、0.10mm以上、0.21mm以下と薄くても、上記第一貫通孔は、上記第二の面から見た上記各スリットの交点と重ならないように設けられるとともに、上記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられているので、成形原料をスリット全体に均一に供給することができ、作製されたハニカム成形体を構成するスリットに、損傷が発生しにくい。
本発明の押出成形用金型では、上記第2のセル及び上記第3のセルを形成するためのピンの上記第二の面に垂直な断面形状は、曲線により形成されていることが望ましい。
本発明の押出成形用金型では、上記第2のセル及び上記第3のセルを形成するためのピンの上記第二の面に垂直な断面形状が、曲線により形成されていると、原料供給孔である第一貫通孔を通った成形原料は、スムーズに上記第2のセル及び上記第3のセルの周辺のスリットに移動し、隣り合う原料供給孔を通った成形原料が上記したスリットの交点部で均一に混じり合い、破損等が発生しにくいハニカム形状を成形することができる。
本発明の押出成形用金型では、上記最外周スリットの幅は、上記内部スリットのスリット幅の1.5〜4倍の値であることが望ましい。
上記最外周スリットの幅が、上記内部スリットのスリット幅の1.5〜4倍の値であると、より機械的強度の高いハニカム構造体を製造することができる。
上記最外周スリットの幅が、上記内部スリットのスリット幅の1.5倍未満の値であると、製造されるハニカム構造体の強度が弱くなり易い。
一方、上記最外周スリットの幅が、上記内部スリットのスリット幅の4倍を超える値であると、製造されるハニカム構造体の最外周壁の厚さが厚くなり、圧力損失が高くなる場合がある。
図1(a)は、本発明の押出成形用金型により作製されるハニカム成形体の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すハニカム成形体のB−B線断面図である。 図2は、図1(a)及び(b)に示すハニカム成形体の長手方向に垂直な断面を拡大して示す拡大断面図である。 図3は、本発明の押出成形用金型の一例を模式的に示す正面図である。 図4は、図3に示した押出成形用金型のC−C線断面図である。 図5は、図3に示した押出成形用金型のD−D線断面図である。 図6(a)は、本発明の押出成形用金型を用いて製造したハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。 図7は、図6(a)及び(b)に示したハニカム焼成体30を用いて製造されたハニカム構造体を示す斜視図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の押出成形用金型について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
以下、本発明の押出成形用金型について、図面を参照しながら説明する。
本発明の押出成形用金型は、多数のセルがセル隔壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルの長手方向に垂直な断面において、所定断面積の矩形の第1のセルと上記第1のセルよりも断面積が小さい矩形の第2のセルが縦横に交互に配置されるとともに、上記第2のセルよりさらに断面積の小さい矩形の第3のセルと上記第2のセルとが縦横に交互に配置されたハニカム成形体を作製するために用いられ、
第一の面と、上記第一の面の反対側に形成された第二の面と、上記第一の面から上記第二の面に向かって形成された第一貫通孔を備えた原料供給部と、上記第二の面から上記第一の面に向かって、上記第一貫通孔と連通するように形成された第二貫通孔を備えた成形部とからなる押出成形用金型であって、
上記第二の面から見た上記成形部を構成する第二貫通孔の形状は、上記ハニカム成形体の最外周壁を成形するための最外周スリットと、上記最外周スリットの内側に上記最外周スリットと平行かつ直線状に縦横に形成されたセル隔壁を形成するための内部スリットとからなり、上記内部スリットにより区画された部分には、上記第1のセル、上記第2のセル、及び、上記第3のセルを形成するための平面視矩形のピンが形成されており、上記第3のセルを形成するためのピンの上記原料供給部と結合する部分の幅は、上記第二の面における上記第3のセルを形成するためのピンの幅の2倍以上、3倍以下であり、上記第一の面から見た上記第一貫通孔は、上記第二の面から見た上記各スリットの交点と重ならないように設けられるとともに、上記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられていることを特徴とする。
図1(a)は、本発明の押出成形用金型により作製されるハニカム成形体の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すハニカム成形体のB−B線断面図である。
図2は、図1(a)及び(b)に示すハニカム成形体の長手方向に垂直な断面を拡大して示す拡大断面図である。
図1及び図2に示すハニカム成形体100では、図面上、最上部(第1列)において、正方形の第1のセル111と第1のセル111よりも断面積が小さい長方形の第2のセル113が、壁部115を挟んで横方向に交互に配置されており、その下の列(第2列)では、第2のセル113と第2のセル113よりさらに断面積の小さい正方形の第3のセル114とが壁部115を挟んで横方向に交互に配置されている。さらにその下の列(第3列)は、第1列と全く同じように配列されており、第4列は、第2列と同じように配列されており、順次上記配列が繰り返されている。また、図面上、第1列では、第2のセル113の長辺113aが縦方向になるように配置され、第2列では、第2のセル113の長辺113aが横方向になるように配置されている。
第1のセル111の一辺111aの長さと第2のセル113の長辺113aの長さは、同じであり、第2のセル113の短辺113bの長さは、第3のセル114の一辺114aの長さと同じであるので、第1のセル111の下に第2のセル113が位置し、第2のセル113の下に第3のセル114が位置する配列となっている。
上記配列を、縦横の両方で見ると、正方形の第1のセル111と第1のセル111よりも断面積が小さい矩形の第2のセル113が壁部115を挟んで縦横に交互に配置されるとともに、第2のセル113よりさらに断面積の小さい矩形の第3のセル114と第2のセル113とが壁部115を挟んで縦横に交互に配置されている。
本発明の押出成形用金型は、上記構成のハニカム成形体100を作製するために用いられ、第一の面と、上記第一の面の反対側に形成された第二の面と、上記第一の面から上記第二の面に向かって形成された第一貫通孔を備えた原料供給部と、上記第二の面から上記第一の面に向かって、上記第一貫通孔と連通するように形成された第二貫通孔を備えた成形部とからなる。
また、第二の面から見た成形部を構成する第二貫通孔の形状は、ハニカム成形体の最外周壁を成形するための最外周スリットと、上記最外周スリットの内側に上記最外周スリットと平行かつ直線状に縦横に形成されたセル隔壁を形成するための内部スリットとからなり、上記内部スリットにより区画された部分には、上記第1のセル、上記第2のセル、及び、上記第3のセルを形成するための平面視矩形のピンが形成されており、上記第3のセルを形成するためのピンの上記原料供給部と結合する部分の幅は、上記第二の面における上記第3のセルを形成するためのピンの幅の2倍以上、3倍以下であり、上記第一の面から見た上記第一貫通孔は、上記第二の面から見た上記各スリットの交点と重ならないように設けられるとともに、上記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられている。
図3は、本発明の押出成形用金型の一例を模式的に示す正面図であり、図4は、図3に示した押出成形用金型のC−C線断面図であり、図5は、図3に示した押出成形用金型のD−D線断面図である。図4及び図5に示す断面図は、成形原料を押し出す方向に平行な方向における断面図であり、図4中に矢印aで示しているのが、成形原料を押し出す方向である。
図3、図4及び図5に示すように、押出成形用金型10は、第一の面10aと、第一の面10aの反対側に形成された第二の面10bと、第一の面10aから第二の面10bに向かって形成された円柱形状の第一貫通孔12を備えた原料供給部11と、第二の面10bから第一の面10aに向かって、第一貫通孔12と連通するように形成された第二貫通孔15を備えた成形部14と外枠18とからなる。
図3に示すように、押出成形用金型10の第二の面10bから見た成形部14を構成する第二貫通孔15は、ハニカム成形体の最外周壁を成形するための最外周スリット15aと、最外周スリット15aの内側に最外周スリット15aと平行かつ直線状に縦横に形成された内部スリット15bとからなり、スリットが形成されていない部分には、3種類の形状の異なる金属製のピン15c、15d、15eが形成されている。すなわち、ピン15cは、第1のセル111を形成するためのピンであり、ピン15dは、第2のセル113を形成するためのピンであり、ピン15eは、第3のセル114を形成するためのピンである。
また、図5に示すように、ピン15eの幅に関し、ピン15eが原料供給部11と結合する部分の幅dは、ピン15eの最上部の幅dの2倍以上、3倍以下であり、ピン15eの第二の面10bに垂直な断面形状は、曲線により形成されている。
このため、第一貫通孔12を通った成形原料は、スムーズに第3のセル114を形成するためのピン15eの周囲の内部スリット15bに流れ込み易く、かつ、ピン15eは、しっかりと原料供給部11と結合しているので、ピン15eの周囲の内部スリット15bに成形原料が流れ込んでも、ピン15eに損傷等が発生することがない。
ピン15dの第二の面10bに垂直な断面形状も、図4に示すように、曲線により形成されていることが望ましい。第一貫通孔12を通った成形原料は、スムーズに第2のセル113を形成するためのピン15dの近くのスリット15bに流れ込み易く、かつ、ピン15dは、第一貫通孔12のない部分で、しっかりと原料供給部11と結合しているので、ピン15dの周囲のスリット15bに成形原料が流れ込んでも、ピン15dに損傷等が発生することがない。
図3に示すピン15c、15d、15eの配置パターン(内部スリット15bの形成パターン)に関し、横列の最上部においては、第1のセル111を形成するための正方形のピンで、他のピンに比べて面積の大きなピン15cと、第2のセル113を形成するための短辺と長辺とからなる縦長の長方形のピンであって、長辺の長さがピン15cの1辺と同じで、短辺の長さがピン15cの一辺よりも短いピン15dとが水平方向に交互に配置されており、これらのピンの間にセル隔壁を形成するための内部スリット15bが形成されている。
また、図3において、最上部の横列に配置されたピン15c、15dの最下部は、直線を構成するように配置されているので、最上部の横列に配置されたピン15c、15dと最上部より2段目の横列に配置されたピン15d、15eの間に、セル隔壁を形成するための直線的な内部スリット15bを形成することができる。
最上部より2段目の横列においては、第2のセル113を形成するための長辺と短辺とからなる横長の長方形のピンであって、長辺の長さがピン15cの一辺と同じで、短辺の長さがピン15cよりも短いピン15dと、縦、横の長さがピン15cの短辺の長さと同じ、第3のセル114を形成するためのピン15dとが水平方向に交互に配置されており、これらのピンの間に内部スリット15bが形成されている。
2段目の横列に配置されたピン15d、15eの最下部は、直線を構成するように配置されているので、最上部より2段目の横列に配置されたピン15d、15eと最上部より3段目の横列に配置されたピン15c、15dの間に、直線的な内部スリット15bを形成することができる。
最上部より3段目の横列に配置されたピンの配置は、最上部の横列に配置されたピンの配置と同様であり、最上部より4段目の横列に配置されたピンの配置は、最上部より2段目の横列に配置されたピンの配置と同じであり、以降、同様の配置が繰り返されている。
一方、垂直方向(縦列)のピンの配置に関し、一番左側の縦列のピンの配置は、最上段の横列のピンの配置を90°回転させたピンの配置となっており、左側より2番目の縦列のピンの配置は、最上段より2番目の横列のピンの配置を90°回転させたピンの配置と同様である。
従って、図3における内部スリット15bのパターンに関し、ピン15cの1辺の長さに相当する間隔Aを隔てて内部スリット15bが形成され、続いてピン15dの短辺の長さに相当する間隔Bを隔てて内部スリット15bが形成されるというパターンが水平方向、垂直方向に渡って繰り返されており、これにより、図1に示した構成のハニカム成形体100を作製することができる。
内部スリット15bの幅rは、0.01mm以上、0.21mm以下であることが好ましい。また、4つのコーナー部分のピン15cは、図3に示すように角部が曲面形状となっている。
また、最外周スリット15aの幅は、内部スリット15bのスリット幅の1.5〜4倍の値であることが望ましい。
この押出成形用金型10を用いて押出成形によりハニカム成形体を作製する際には、原料供給部11の第一貫通孔12に成形原料組成物が供給され、上記成形原料組成物が第一貫通孔12を通過した後、スリット形状の第二貫通孔15を成形原料組成物が通過し、押し出されて図1に示したハニカム成形体100の形状となる。すなわち、最外周スリット15a及び内部スリット15bが形成されている部分がハニカム成形体の壁部に相当し、成形原料組成物がスリット形状に押し出され、連続形状のハニカム成形体が形成される。
本発明の押出成形用金型10では、図3に示すように、最外周スリット15a及び内部スリット15bの交点と重ならないように、上記交点と交点との間に第一貫通孔12が設けられている。
そのため、原料供給孔である第一貫通孔12を通った成形原料組成物は、まず、スリット部である最外周スリット15a及び内部スリット15bに供給され、その後、最外周スリット15a及び内部スリット15bに沿って、最外周スリット15a及び内部スリット15bの交点部及びその近傍に向かって拡大するように流れる。そして、隣り合う最外周スリット15a及び内部スリット15bを通った成形原料組成物が最外周スリット15a及び内部スリット15bの交点部で混じり合い、ハニカム形状の成形体となる。最外周スリット15a及び内部スリット15bの交点部並びに内部スリット15b同士の交点部は、最外周スリット15a及び内部スリット15bのその他の部分に比べて成形原料組成物が通りやすい。その結果、成形原料組成物が最外周スリット15a及び内部スリット15bの交点部並びに内部スリット15b同士の交点部でしっかりと混じり合って、成形原料組成物を最外周スリット15a及び内部スリット15bの全体に均一に供給することができる。
また、第一貫通孔12は、最外周スリット15a及び内部スリット15bの交点並びに内部スリット15b同士の交点部と重ならないように、最外周スリット15a及び内部スリット15bの交点と交点との間、及び、内部スリット15b同士の交点部と交点部との間に設けられるとともに、第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられている。また、ハニカム成形体の第3のセル114が第1のセル111より小さいので、第3のセル114を形成するためのピン15eを避けるように第一貫通孔12が形成されている。そのため、第一貫通孔12より導入された成形原料組成物は、最外周スリット15a及び内部スリット15bの交点部並びに内部スリット15b同士の交点部で混じり合った後、さらに第3のセル114を形成するためのピン15eの周囲のスリットに向かって流れ、第3のセル114を形成するためのピン15eの周囲のスリットで合流する。
第3のセル114を形成するためのピン15eの周囲のスリットは極めて短いため、成形原料組成物は混じり合い易く、境界部分に空隙は発生しにくく、押し出されたハニカム成形体のセル隔壁に損傷は発生しにくい。
第一の面10aに垂直な方向から見た第一貫通孔12の長さLは、5〜10mmであることが好ましい。第一貫通孔12の長さLが5〜10mmであると、成形圧力を適切な範囲に維持することができ、押出成形用金型の寿命が長くなる。
第一貫通孔12の長さLが5mm未満であると、第一貫通孔12の長さLが短くなりすぎるため、成形部14への負荷が大きくなり、押出成形用金型の寿命が短くなる場合がある。一方、第一貫通孔12の長さLが10mmを超えると、成形圧力を高く設定しなければならず、成形速度を上げることが困難となる場合がある。無理に成形速度を上げようとすると、押出成形用金型100への負担が大きくなり、種々の不都合が発生しやすくなる場合がある。
第二の面10bに垂直な方向から見た第二貫通孔15の長さLは、1〜4mmであることが好ましい。第二貫通孔15の長さLが1〜4mmであると、成形圧力を適切な範囲に維持することができ、成形体の形状をほぼ設定通りとすることができる。
第二貫通孔15の長さLが1mm未満であると、第二貫通孔15の長さが短くなりすぎるため、成形体の形状をほぼ設定通りとすることが困難となり、不良品が発生し易くなる場合がある。一方、第二貫通孔15の長さLが4mmを超えると、成形圧力を高く設定しなければならず、成形速度を上げるのが困難となる場合がある。無理に成形速度を上げようとすると、押出成形用金型100への負担が大きくなり、種々の不都合が発生し易くなる場合がある。
第一の面10aから見た第一貫通孔12の形状としては、例えば、円形、多角形等が挙げられる。その中でも特に、円形であることが好ましい。
第一の面10aから見た第一貫通孔12の大きさは、特に限定されるものではなく、第二の面10bから見た第二貫通孔15の面積の総和等により多少変化するが、例えば、第一貫通孔が円形である場合、第一貫通孔12の直径は、0.3〜1.0mmであることが好ましい。
成形原料組成物は、作製するハニカム成形体(ハニカム構造体)の構成材料に応じて選択すればよい。成形原料組成物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、又は、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、又は、炭化タングステン等の炭化物セラミック粉末、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、シリカ、又は、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック粉末等を挙げることができる。その中でも特に、炭化ケイ素粉末であることが好ましい。
押出成形用金型の素材は、炭化タングステンとコバルトとを混合して焼結した超硬合金、炭化タングステンとコバルトとその他微量粒子(例えば、TiC、TiN等)とを混合して焼結した超硬合金、工具鋼、ステンレス鋼、又は、アルミニウム合金等であることが好ましく、炭化タングステンとコバルトとを混合して焼結した超硬合金であることがより好ましい。
ここで、炭化タングステンとコバルトとを混合して焼結した超硬合金の硬度は、一般に、1000〜1500Hvである。
次に、本発明に係る押出成形用金型の製造方法について説明する。
本発明に係る押出成形用金型は、金型素材に第一貫通孔12及び第二貫通孔15を形成する加工工程を行うことにより製造することができる。
具体的には、まず、第一の面10aから第二の面10bに向かって円柱形状の第一貫通孔12を形成し、その後、第二の面10bから第一の面10aに向かって、第一貫通孔12と連通するように第二貫通孔15を形成する(図4参照)。
第一貫通孔12及び第二貫通孔15の形状等については、既に説明したため、その詳細な説明は省略する。
第一貫通孔12及び第二貫通孔15を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ブレード加工、放電加工等が挙げられる。
最後に、本発明に係る押出成形用金型を用いて製造するハニカム構造体の製造方法の一例について説明する。
上記ハニカム構造体の製造方法では、基本的に、本発明に係る押出成形用金型を用いて成形原料を押出成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する工程と、上記ハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する工程とを含む。
(1)まず、セラミック粉末とバインダとを含む成形原料組成物を調製する。
具体的には、まず、セラミック粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の成形原料組成物を調製する。
上記セラミック粉末は、作製するハニカム成形体(ハニカム構造体)の構成材料に応じて選択すればよい。
ハニカム成形体の構成材料の主成分としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、シリカ、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等を挙げることができる。
ハニカム成形体の構成材料の主成分の中では、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。
本明細書において、「主成分が炭化ケイ素である」とは、セラミック粉末が炭化ケイ素を60重量%以上含有することをいう。主成分が炭化ケイ素である場合、炭化ケイ素のみならず、ケイ素結合炭化ケイ素も含まれる。また、炭化ケイ素以外の構成材料の主成分についても同様である。
(2)次に、上記成形原料組成物を押出成形し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させることにより、所定の形状のハニカム成形体を作製する。
この際、上記した押出成形用金型を用いて押出成形を行う。
図1は、本発明の押出成形用金型を用いて押出成形されたハニカム成形体の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、ハニカム成形体100は、長手方向に垂直な断面が正方形の第1のセル111と第1のセル111よりも断面積が小さい矩形の第2のセル113が壁部115を挟んで縦横に交互に配置されるとともに、第2のセル113と第2のセル113よりさらに断面積の小さい矩形の第3のセル114とが壁部115を挟んで縦横に交互に配置された構成となっている。
この後、ハニカム成形体100の第1のセル111の一の端面を、全体がチェック模様となるように、縦横に1つおきに目封止し、同じ端面において、第3のセル114を目封止する。一方、他の端面では、一の端面において目封止がされていない第1のセル111に対し、目封止を行う。目封止する際には、成形原料組成物と同じ組成のものを使用することができる。
(3)その後、目封止が行われたハニカム成形体を、所定の条件で脱脂処理(例えば、200〜500℃)し、焼成処理(例えば、1400〜2300℃)する。
上記の工程を経ることにより、ハニカム焼成体を作製することができる。
なお、上記ハニカム成形体の乾燥体の脱脂処理及び焼成処理の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
図6(a)は、本発明の押出成形用金型を用いて製造したハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
製造されたハニカム焼成体30は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁35を備えるとともに、排ガス入口側の端部30aが開口され且つ排ガス出口側の端部30bが封止材層34により目封止された排ガス導入セル31と、排ガス出口側の端部30bが開口され且つ排ガス入口側の端部30aが封止材層34により目封止された排ガス排出セル32と、排ガス導入セル31と排ガス排出セル32との間に形成された触媒を充填するための触媒充填用セル33とを備え、排ガス導入セル31と排ガス排出セル32とは、触媒充填用セル33を間に挟んで交互に形成されており、触媒充填用セル33は、排ガス導入セル31及び排ガス排出セル32よりも容積が小さい。ハニカム成形体100の第3のセル114に相当する極小セル36は、排ガス入口側が封止材層34により目封止され、フィルタとしては機能しないが、押出成形用金型を用いて良好な特性を有するハニカム成形体を作製するためには、第3のセル114を形成するためのピン15eが必要となる。ピン15eが存在しないと、ハニカム成形体を形成した際、その部分に断面積の大きな壁部が形成されることとなり、押出成形時に成形原料組成物が断面積の大きな部分に流れるため、均一な組織のハニカム成形体が形成されず、クラック等が形成され易くなる。
上記工程を経ることにより、ハニカム焼成体が製造されるが、本発明では、本発明の押出成形用金型を用いることにより製造された一のハニカム焼成体をハニカム構造体(ハニカムフィルタ)として用いてもよく、後述する複数のハニカム焼成体を接着する接着工程や切削工程を経て複数のハニカム焼成体からなるハニカム構造体としてもよい。
以下においては、一のハニカム焼成体からなるハニカム構造体を一体型ハニカム構造体という場合があり、複数のハニカム焼成体からなるハニカム構造体を集合型ハニカム構造体という場合がある。
図6に示すハニカム焼成体は、略四角柱形状のハニカム焼成体であるが、一体型ハニカム構造体の場合には、ハニカム構造体を構成する一のハニカム焼成体の形状は、円柱形状又は楕円柱形状が好ましく、集合型ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の大きさより大きいことが望ましい。
以下に説明する工程は、集合体ハニカム構造体の製造方法において必要となる工程である。
(4)上記工程を経てハニカム焼成体を製造した後、複数のハニカム焼成体を用いてセラミックブロックを作製する。
一例として、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなるセラミックブロックを作製する方法について説明する。
まず、上記ハニカム焼成体のそれぞれの所定の側面に、接着材層となる接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、この接着剤ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、ハニカム焼成体の集合体を作製する。
次に、ハニカム焼成体の集合体を加熱して接着剤ペースト層を乾燥、固化させて接着材層とすることにより、セラミックブロックを作製する。
ここで、接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
(5)その後、セラミックブロックに切削加工を施す。
具体的には、ダイヤモンドカッター等を用いてセラミックブロックの外周を切削することにより、外周が円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
(6)さらに、円柱状のセラミックブロックの外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、外周コート材ペーストして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
また、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
以上の工程によって、ハニカムフィルタとして機能する集合型ハニカム構造体を製造することができる。
図7は、図6(a)及び(b)に示したハニカム焼成体30を用いて製造された集合型ハニカム構造体を示す斜視図である。
このハニカム構造体20では、複数個のハニカム焼成体30が接着材層21を介して結束されてセラミックブロック23を構成し、このセラミックブロック23の外周には、排ガスの漏れを防止するための外周コート層22が形成されている。
このハニカム構造体20を構成するハニカム焼成体30では、図6(b)に示すように、排ガスGは、排ガス入口側端部30aから排ガス導入セル31に導入された後、2つのセル隔壁35及び触媒が充填された触媒充填用セル33を通過して排ガス排出セル32に入り、排ガス排出セル32の内部を通過して排ガス出口側端部30bから流出する。
その結果、排ガス中に含まれるPMは、セル隔壁35により捕集され、排ガス導入セル31の内部のセル隔壁35に堆積し、排ガスから除去される。また、排ガス中に含まれるCO、HCまたはNOx等の排ガス中の有害なガス成分が、触媒充填用セル33に充填された触媒により浄化される。
以下、本発明の押出成形用金型の作用効果について列挙する。
(1)本発明の押出成形用金型では、上記第一の面から見た上記第一貫通孔が、上記第二の面から見た上記各スリットの交点と重ならないように設けられるとともに、上記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられているので、原料供給孔である第一貫通孔を通った成形原料は、まず、上記第2のセルを形成するためのピンと上記第1のセルを形成するためのピンとの間に形成された第二貫通孔であるスリットに供給され、その後、スリットに沿って、スリットの交点部に向かって拡大するように流れる。そして、隣り合う原料供給孔を通った成形原料が上記したスリットの交点部で混じり合い、ハニカム形状を成形する。スリットの交点部は、スリット部に比べて成形原料が通りやすい。その結果、成形原料がスリットの交点部及びその近傍でしっかりと混じり合って、成形原料をスリット全体に均一に供給することができる。
(2)また、本発明の押出成形用金型では、上記第一貫通孔は、上記第二の面から見た各スリットの交点と重ならないように、上記交点と交点との間に設けられるとともに、上記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられており、上記第3のセルを形成するためのピンが上記第一貫通孔と余り変わらない大きさであるか、上記第一貫通孔より小さいので、上記第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリット部分を避けるように第一貫通孔が形成されている。そのため、上記第一貫通孔より導入された成形原料は、スリットの交点部で混じり合った後、さらに第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットに向かって流れ、第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットで合流する。しかし、上記第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットは極めて短いため、成形原料は混じり合い易く、第一貫通孔を通った成形原料が混じり合う境界部分に空隙は発生しにくく、押し出されたハニカム成形体のセル隔壁に損傷は発生しにくい。
(3)また、本発明の押出成形用金型では、上記第3のセルを形成するためのピンの上記原料供給部と結合する部分の幅は、上記第二の面における上記第3のセルを形成するためのピンの幅の2倍以上、3倍以下であるので、第一貫通孔を通った成形原料は、スムーズに第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットに流れ込み易く、かつ、第3のセルを形成するためのピンは、しっかりと原料供給部と結合しているので、上記第3のセルを形成するためのピンの周囲のスリットに成形原料が流れ込んでも、上記ピンに損傷等が発生することがない。
(4)本発明の押出成形用金型で、上記ハニカム成形体のセル隔壁の厚さが、0.21mm以下と薄い場合であっても、上記第一の面から見た上記各スリットの交点と重ならないように、上記交点と交点との間に設けられているので、成形原料をスリット全体に均一に供給することができ、作製されたハニカム成形体を構成するスリットに、損傷が発生しにくい。
(5)本発明の押出成形用金型で、上記第2のセル及び上記第3のセルを形成するためのピンの上記第二の面に垂直な断面形状が、曲線により形成されていると、原料供給孔である第一貫通孔を通った成形原料は、スムーズに上記第2のセル及び上記第3のセルの周辺のスリットに移動し、隣り合う原料供給孔を通った成形原料が上記したスリットの交点部で均一に混じり合い、破損等が発生しにくいハニカム形状を成形することができる。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)押出成形用金型の製造
まず、金型素材として、材質が炭化タングステンとコバルトとを混合して焼結した超硬合金を準備した。ここで、金型素材の硬度は、1200Hvであった。
次に、ブレード加工により、上記金型素材に第一貫通孔及び第二貫通孔を形成した。具体的には、まず、第二貫通孔を形成する第二の面を周囲よりも突出させるように外周部を切削した。次に、第一の面から第二の面に向かって断面形状が円形の第一貫通孔を形成した。その後、第二の面から第一の面に向かって、第一貫通孔と連通するように、第二貫通孔を形成した。
製造した押出成形用金型は、第一の面に垂直な方向から見た第一貫通孔12の長さLが8.5mm、第二の面に垂直な方向から見た第二貫通孔15の長さLが2mm、最外周スリット幅pが0.35mm、内部スリット幅rが0.076mmであった。
また、押出成形用金型10の第二の面10bから見たピンの形状は、第1のセル111を形成するためのピン15cは、一辺が1.16mmの正方形であり、第2のセル113を形成するためのピン15dは、長辺が1.16mm、短辺が0.13mmの矩形であり、第3のセル114を形成するためのピン15eは、一辺が0.13mmの正方形であり、原料供給部と結合する部分の一辺の幅は、0.28mmであった。
図3に示す第一の面10aから見た第一貫通孔12に関し、最外周スリット15aとオーバーラップするように形成されている第一貫通孔12は、第一貫通孔12の中心が、最外周スリット15aのほぼ中心線上であって、ピン15cの中心線X、Yとほぼ重なるようにもうけられており、他の第一貫通孔12は、第一貫通孔12の中心が、ピン15dの重心と重なるようにもうけられている。
また、スリットを構成する第二貫通孔15は、原料供給部を構成する第一貫通孔12と連通するように設けられている。
(2)ハニカム成形体の製造
(2−1)原料組成物準備工程
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)0.8重量%、グリセリン1.3重量%、造孔材(アクリル樹脂)1.9重量%、オレイン酸2.8重量%、及び、水13.2重量%を加えて混合して成形原料組成物を準備した。
(2−2)押出成形工程
上記(1)で製造した押出成形用金型を押出成形装置に取付け、上記(2−1)で準備した成形原料組成物を押出成形装置内に投入した。その後、成形体を連続的に作製した後、切断、及び、乾燥させることにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製した。
この後、ハニカム成形体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行い、ハニカム焼成体を製造した。
なお、製造したハニカム焼成体の長手方向の長さは150mm、長手方向に垂直な断面において、断面形状は正方形で、大きさは34.3mm×34.3mm、最外周壁の厚さの最小値は0.3048mm、内部セルのセル壁35の厚さは0.076mm、排ガス導入セル31及び排ガス排出セル32の形状は、1.16mm×1.16mm、触媒充填用セル33の形状は、0.13mm×1.16mm、極小セル36の形状は、0.13mm×0.13mm、外周壁の厚さが0.35mmの炭化ケイ素焼結体からなる図6に示す形態のハニカム焼成体30であった。上記構成のハニカム焼成体30の触媒充填用セルに触媒として、CZ(nCeO・mZrO)10g、水40ml及びpH調整剤を適量含む混合物を造粒し、500℃で焼成して平均粒子径10μmの二次粒子を形成し、触媒充填用セルに充填した。触媒の容積比率は、45容量%であった。
なお、ハニカム焼成体は、図6に示すように、端面における角部が曲線形状となるように面取りが施された四角柱形状であった。
続いて、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性の接着材ペーストを用いてハニカム焼成体を多数結束させ、さらに、接着材ペーストを120℃で乾燥固化させて接着材層を形成して角柱状のセラミックブロックを作製した。
続いて、角柱状のセラミックブロックの外周をダイヤモンドカッターを用いて切断することにより略円柱状のセラミックブロックを作製した。
続いて、接着材ペーストと同様の組成からなるシール材ペーストをセラミックブロックの外周面に塗布し、シール材ペーストを120℃で乾燥固化させて外周コート層を形成することにより、円柱状のハニカムフィルタの製造を完了した。
ハニカムフィルタの直径は143.8mm、長手方向の長さは150mmであった。
上記したハニカムフィルタの周囲に無機繊維からなるマットを巻き付け、金属製のケーシングに収容し、ディーゼルエンジンの排気管に接続して、排気ガスを流し、触媒及びフィルタとしての性能を評価した。その結果、PMを高い捕集率で捕集することができ、PMの燃焼温度を下げることができるとともに、再生処理の際に確実にPMを燃焼させることができた。
10 押出成形用金型
10a 第一の面
10b 第二の面
11 原料供給部
14 成形部
10a 第一の面
10b 第二の面
12 第一貫通孔
15 第二貫通孔
15a 最外周スリット
15b 内部スリット
15c、15d、15e ピン
18 外枠
20 ハニカム構造体
21 接着材層
22 外周コート層
23 セラミックブロック
30 ハニカム焼成体
30a 排ガス入口側の端部
30b 排ガス出口側の端部
31 排ガス導入セル
32 排ガス排出セル
33 触媒充填用セル
34 封止材層
35 セル隔壁
36 極小セル
100 ハニカム成形体
111 第1のセル
111a 一辺
113 第2のセル
113a 長辺
114 第3のセル
114a 一辺
115 壁部

Claims (4)

  1. 多数のセルがセル隔壁を隔てて長手方向に並設され、前記セルの長手方向に垂直な断面において、所定断面積の矩形の第1のセルと前記第1のセルよりも断面積が小さい矩形の第2のセルが縦横に交互に配置されるとともに、前記第2のセルよりさらに断面積の小さい矩形の第3のセルと前記第2のセルとが縦横に交互に配置されたハニカム成形体を作製するために用いられ、
    第一の面と、前記第一の面の反対側に形成された第二の面と、前記第一の面から前記第二の面に向かって形成された第一貫通孔を備えた原料供給部と、前記第二の面から前記第一の面に向かって、前記第一貫通孔と連通するように形成された第二貫通孔を備えた成形部とからなる押出成形用金型であって、
    前記第二の面から見た前記成形部を構成する第二貫通孔の形状は、前記ハニカム成形体の最外周壁を成形するための最外周スリットと、前記最外周スリットの内側に前記最外周スリットと平行かつ直線状に縦横に形成されたセル隔壁を形成するための内部スリットとからなり、前記内部スリットにより区画された部分には、前記第1のセル、前記第2のセル、及び、前記第3のセルを形成するための平面視矩形のピンが形成されており、前記第3のセルを形成するためのピンの前記原料供給部と結合する部分の幅は、前記第二の面における前記第3のセルを形成するためのピンの幅の2倍以上、3倍以下であり、
    前記第一の面から見た前記第一貫通孔は、前記第二の面から見た前記各スリットの交点と重ならないように設けられるとともに、前記第2のセルを形成するためのピンと重なるように設けられていることを特徴とする押出成形用金型。
  2. 前記内部スリットの幅は、0.10mm以上、0.21mm以下である請求項1に記載の押出成形用金型。
  3. 前記第2のセル及び前記第3のセルを形成するためのピンの前記第二の面に垂直な断面形状は、曲線により形成されている請求項1又は2に記載の押出成形用金型。
  4. 前記最外周スリットの幅は、前記内部スリットのスリット幅の1.5〜4倍の値である請求項1〜3のいずれかに記載の押出成形用金型。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0326502A (ja) * 1989-06-16 1991-02-05 Huels Ag セラミツク物質を押出して蜂の巣体を成形する押出成形型
JPH08169005A (ja) * 1994-12-20 1996-07-02 Babcock Hitachi Kk ハニカム成形用口金およびハニカム成形体の製造方法
JP2004261664A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Ngk Insulators Ltd ハニカム構造体及びハニカム構造体押出し成形用口金

Patent Citations (3)

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