JP5683289B2 - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。
バス、トラック等の車両又は建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中のスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が、環境及び人体に害を及ぼすことが近年問題となっている。そこで、多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いることにより、排ガス中のパティキュレートを捕集し、排ガスを浄化するフィルタが種々提案されている。
このようなハニカム構造体としては、コージェライト等からなる柱形状のハニカム焼成体からなるもの、又は、炭化珪素等からなる柱形状のハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されたものが知られている。
ハニカム構造体を用いた排ガス浄化装置として、ハニカム構造体と、ハニカム構造体を収容するケーシング(金属容器)と、ハニカム構造体とケーシングとの間に配設される無機繊維からなる保持シール材とから構成される排ガス浄化装置が知られている。
保持シール材は弾性を有しており、ハニカム構造体は保持シール材の弾性によってケーシング内に保持される。
このような構成の排ガス浄化装置においては、使用時に加わる振動等によってハニカム構造体が動くことを防止することが求められる。
特許文献1には、使用時にハニカム構造体がズレることを防止するために、ハニカム構造体の外表面の一部に突出部を設け、さらに突出部の少なくとも1カ所に切り欠き部を設けた構成が開示されている。
特許第2581774号公報
特許文献1に開示された従来のハニカム構造体は、突出部を設けるために特殊な形状の成形型を用いて作製される。また、切り欠き部を設けるために切削刃物等による切り欠き加工等の工程が必要となる。
しかし、切り欠き加工やその他の加工手段を用いた場合、ハニカム構造体に凸部や凹部を形成するには手間がかかり、生産効率に劣ることとなるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、外周部分に場所によりその厚さが異なるコート層を備え、排気ガス浄化装置に設置した場合にも、ハニカム構造体がズレることを防止することができるハニカム構造体を、容易にかつ効率良く製造することが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法は、
場所によりその厚さが異なるコート層を形成可能な凹凸部を有する筒状体を準備する工程と、
多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された1つのハニカム焼成体、複数の上記ハニカム焼成体が縦横に並列されてなる円柱状のハニカム並列体、又は、複数個の上記ハニカム焼成体が接着剤層を介して接合されたセラミックブロックを準備する工程と、
上記1つのハニカム焼成体、上記ハニカム並列体又は上記セラミックブロックを、上記筒状体内に、上記1つのハニカム焼成体、上記ハニカム並列体又は上記セラミックブロックの外周面と上記筒状体の内壁面とが所定間隔の空隙を有するように配置する工程と、
上記1つのハニカム焼成体と筒状体との空隙、上記ハニカム並列体を構成するハニカム焼成体同士の空隙及びハニカム並列体と筒状体との空隙、又は、上記セラミックブロックと筒状体内との空隙にシール材ペーストを供給する工程とを含む、
上記1つのハニカム焼成体、上記ハニカム並列体、又は、上記セラミックブロックの、その長手方向に垂直な断面の形状がその両端に位置する第1の端面から第2の端面までが同一の形状及び大きさであり、上記外周部分にコート層を備えたハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、その両端に位置する第1の端面から第2の端面までに異なる形状又は大きさの断面形状を有するハニカム構造体を製造することを特徴とする。
上記ハニカム構造体の製造方法によれば、場所によりその厚さが異なるコート層を形成可能な凹凸部を有する筒状体を用い、上記筒状体の内部にハニカム並列体又は上記セラミックブロックを配置した後、筒状体の内部にシール材ペーストを供給する方法をとる。このため、場所によりその厚さが異なる凹凸部を含むコート層を有するハニカム構造体を、切削工具等を用いることなく、容易にかつ効率良く製造することができる。
また、このようにして製造されたハニカム構造体のコート層は、場所によりその厚さが異なる凹凸部を有するので、ハニカム構造体の周囲に保持シール材を巻き付け、排ガス浄化装置に設置した際、場所により保持シール材が圧縮させられて面圧が大きくなる部分が存在し、その部分では、摩擦が大きくなるので、排ガス浄化装置の使用時にハニカム構造体がズレることを防止することができる。
上記筒状体が、場所によりその厚さが異なるコート層を形成可能な凹凸部を有するとは、上記筒状体を使用してコート層を形成した際、コート層の全体が一定の厚さを有するのではなく、場所によってその厚さが異なるように凹凸形状が形成されていることを言う。凹凸とは、コート層に部分的に凹凸が存在するのみでなく、筒状体の長手方向に連続的に、次第にその厚さが増加していったり、次第にその長さが減少していくように構成されているものも含めるものとする。
請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記筒状体は、その長手方向に沿って、その両端に位置する第1の端面及び第2の端面と、上記第1の端面と上記第2の端面の中間である中間面を含むとともに、その長手方向に垂直方向に連続して形成された凹凸部とを有し、かつ、上記筒状体の内径は、上記第1の端面を含む第1の端面部及び上記第2の端面を含む第2の端面部で最も大きくなり、上記中央部で最も小さくなるように、上記第1の端面部から上記第2の端面部まで連続的に変化している。
上記した形状を有する請求項2に記載の筒状体は、第1の端面部及び上記第2の端面を含む第2の端面部で最も大きくなっているので、上記筒状体にシール材ペーストを供給することにより得られるハニカム構造体も、両端面部の直径が最も大きくなり、中央部の直径が最も小さくなっている。
ハニカム構造体の両端面部の直径とは、ハニカム構造体の端面近傍の側面の直径のことをいい、コート層の厚さを含むこととする。中央部の直径とは、コート層の厚さを含む、ハニカム構造体の中央部の直径のことをいう。
請求項2に係るハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム並列体等を内部に配置した上記筒状体にシール材ペーストを供給することによりハニカム構造体を製造するので、上記した形状のハニカム構造体を容易にかつ効率良く製造することができる。
また、このような製造方法により得られたハニカム構造体は、コート層で形成された凹みがハニカム構造体に設けられているので、ハニカム構造体の周囲に保持シール材を巻き付け、排ガス浄化装置に設置した際に、ハニカム構造体の両端面部では、保持シール材が圧縮させられて面圧が大きくなり、ハニカム構造体と保持シール材との摩擦が大きくなる。そのため、排ガス浄化装置の使用時にハニカム構造体がズレることを防止することができる。
請求項3に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記貫通孔の一方の端部が目封じされている。
これにより上記製造方法により得られた上記ハニカム構造体は、フィルタとして機能するので、排ガスに含まれるPMを浄化するためのフィルタとして好適に使用される。
請求項4に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記シール材ペーストは、無機粒子と無機バインダとを含む。
請求項5に記載のハニカム構造体の製造方法では、炭化珪素、又は、珪素含有炭化珪素からなる。
請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記コート層の最も厚い部分の厚さは、1〜20mmとなるようなその長手方向に垂直な方向に連続して形成された凹凸部を有する筒状体を用いる。
上記筒状体を用いて製造されたハニカム構造体では、このように、コート層で形成されたコート層の最も厚い部分の厚さは、1〜20mmとなるので、ハニカム構造体の周囲に保持シール材を巻き付け、排ガス浄化装置に設置した際に、ハニカム構造体の両端面部では、保持シール材が圧縮させられて面圧が大きくなり、ハニカム構造体と保持シール材との摩擦が大きくなる。そのため、排ガス浄化装置の使用時にハニカム構造体がズレることを確実に防止することができる。
コート層の最も厚い部分の厚さが1mm未満であると、コート層の薄い部分は、さらに、厚みが薄くなってしまい、ハニカム構造体の凹凸が小さくなり、保持シール材がハニカム構造体の凹部に引っ掛かるという効果が得られにくくなる。また、コート層の最も厚い部分の厚さが20mmを超えると、コート層の乾燥処理が部分的に不充分となり、コート層が剥がれやすくなる。
請求項7に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記1つのハニカム焼成体、上記ハニカム並列体、又は、上記セラミックブロックの形状は、四角柱の形状である。
請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記外周部分にコート層を備えたハニカム構造体の、その両端に位置する第1の端面及び第2の端面の形状が円であり、上記中央部での長手方向に垂直な断面の形状が円である。
図1(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の製造方法により作製されたハニカム焼成体を模式的に示した斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B線断面図である。 図2は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の製造方法により作製された別のハニカム焼成体を模式的に示す斜視図である。 図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す側面図であり、図3(b)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す断面図(図3(a)のC−C線断面図)である。 図4(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す側面図であり、図4(b)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す断面図(図4(a)のD−D線断面図)である。 図5(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す側面図であり、図5(b)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す断面図(図5(a)のE−E線断面図)である。 図6は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。 図7は、図6に示すハニカム構造体のA−A線断面図である。 図8は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体を備えた排ガス浄化装置を模式的に示す断面図である。 図9(a)及び図9(b)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す側面図である。 図10(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す側面図であり、図10(b)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す断面図(図10(a)のF−F線断面図)である。 図11は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体を模式的に示す側面図である。
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、
場所によりその厚さが異なるコート層を形成可能な凹凸部を有する筒状体を準備する工程と、
多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体が縦横に並列されてなる円柱状のハニカム並列体を準備する工程と、
上記筒状体内に、上記ハニカム並列体の外周面と上記筒状体の内周面とが所定間隔の空隙を有するように配置する工程と、
上記ハニカム並列体を構成するハニカム焼成体同士の空隙及びハニカム並列体と筒状体との空隙にシール材ペーストを供給する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法に用いる筒状体は、その長手方向に沿って、その両端に位置する第1の端面及び第2の端面と、上記第1の端面と上記第2の端面の中間である中間面を含むとともに、その長手方向に垂直方向に連続して形成された凹凸部とを有し、かつ、上記筒状体の内径は、上記第1の端面を含む第1の端面部及び上記第2の端面を含む第2の端面部で最も大きくなり、上記中央部で最も小さくなるように、上記第1の端面部から上記第2の端面部まで連続的に変化している。
まず、本発明の第一の実施形態に係るハニカム構造体を構成するハニカム焼成体であって、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたものを製造する方法について説明する。
(1−1)まず、セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダとを混合して混合粉末を調製し、液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合し、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
本発明の第一実施形態では、ハニカム成形体の長手方向に垂直な断面の形状が正方形のハニカム成形体、及び、ハニカム成形体の長手方向に垂直な断面の形状が3つの線分と1つの円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状のハニカム成形体を作製する。それぞれの形状に応じた押出成形用金型を使用することで、上記2種類のハニカム構造体を作成することができる。
(1−2)次に、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。封止材ペーストとしては、上記の湿潤混合物を用いることができる。
なお、切断工程、乾燥工程、封止工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
(1−3)次に、ハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱する脱脂工程を行い、焼成炉に搬送し、焼成工程を行ってハニカム焼成体を作製する。
なお、脱脂工程及び焼成工程の条件としては、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
以上の工程によって、図1(a)及び図1(b)に示す長手方向に垂直な断面の形状が正方形のハニカム焼成体、及び、図2に示す長手方向に垂直な断面の形状が、断面が3つの線分と1つの円弧とで囲まれた形状のハニカム焼成体を作製することができる。
図1(a)は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法により作製された長手方向に垂直な断面の形状が正方形のハニカム焼成体を模式的に示した斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B線断面図である。
また、図2は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の製造方法により製造された長手方向に垂直な断面が3つの線分と1つの円弧とで囲まれた形状のハニカム焼成体を模式的に示す斜視図である。
図1(a)及び図1(b)に示すハニカム焼成体110には、多数のセル111がセル壁113を隔てて長手方向(図1(a)中、矢印aの方向)に並設されており、セル111のいずれかの端部が封止材112で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスG(図1(b)中、矢印参照)は、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。
ハニカム焼成体110の長手方向に垂直な断面の形状は正方形である。
図2に示すハニカム焼成体120もまた、ハニカム焼成体110と同様、多数のセル121がセル壁123を隔てて長手方向に並設されており、セル121のいずれかの端部が封止材122で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル121に流入した排ガスは、必ずセル121を隔てるセル壁123を通過した後、他方の端面が開口した他のセル121から流出するようになっている。
即ち、ハニカム焼成体120は、外観形状がハニカム焼成体110と異なるものの、その機能はハニカム焼成体110と同一である。
ハニカム焼成体120の断面の形状は、3つの線分120a、120b、120cと1つの円弧120dとで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分120bと線分120cとが成す角、及び、線分120aと線分120bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である形状である。
上述した、フィルタとして用いられるハニカム焼成体は、貫通孔の一方の端部が目封じされたセルを有しており、貫通孔を隔てる隔壁であるセル壁がフィルタとして機能するようになっている。
このような図1(a)及び図1(b)に示すハニカム焼成体110と図2に示すハニカム焼成体120とを接着材層を介して組み合わせ、円柱形状の集合体とすることによりハニカム構造体を製造することができる。
(1−4)本工程では、上記したように、ハニカム焼成体110、120に接着材層及びコート層を形成し、結束させることにより、ハニカム構造体を製造する。
図3(a)、図4(a)及び図5(a)は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す側面図であり、図3(b)、図4(b)及び図5(b)は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す断面図である。
図3(b)、図4(b)及び図5(b)は、それぞれ、図3(a)、図4(a)及び図5(a)のC−C線、D−D線、E−E線断面図である。
まず、ハニカム焼成体同士の間に形成する接着材層の厚さと同等の幅の空隙(例えば、0.5〜2.7mm)が生じるように、ハニカム焼成体を縦横に複数個並列し、円柱形状とする。
ハニカム焼成体を並列する際には、上記空隙と同等の厚さのスペーサを介してハニカム焼成体を積み上げても良いし、ハニカム焼成体の側面を側面保持部材で挟むようにしてもよい。ハニカム焼成体を縦横に並列したものを、以下、ハニカム並列体(ハニカム焼成体の並列体)とも呼ぶ。そして、充填装置内にハニカム並列体を配置する。
スペーサの材質としては、特に限定されるものではないが、無機粒子、無機バインダ、有機バインダ、並びに、無機繊維、ウイスカ及び鱗片状又は層状の無機材料のうちの少なくとも一つを含んでいることが好ましい。また、紙、樹脂等の有機材料からなるものであってもよい。
また、スペーサの大きさは、ハニカム焼成体の側面より小さいものであれば特に限定されないが、ハニカム焼成体の側面の面積の1/4以下の大きさであることが望ましい。
また、スペーサの位置は、特に限定されるものではないが、端面の近傍に配置されていることが望ましく、両端面に少なくとも1つづつ配置されていることが望ましい。
図3(a)及び図3(b)には、充填装置500を構成する筒状体下部501aにハニカム並列体180を配置し、筒状体上部501bを被せる様子を示している。なお、図3(a)には、側面保持部材を省略した側面図を模式的に示している。
ハニカム並列体180を構成するハニカム焼成体110及びハニカム焼成体120は、シール材ペーストの充填装置500を構成する筒状体501の側面保持部材501c及び501d(図3(b)参照)によりその側面を保持されることによってそれぞれの位置を固定されている。
そして、ハニカム焼成体110及び/又はハニカム焼成体120の間には接着材層が形成される幅の空隙504aが設けられている。また、ハニカム焼成体120の外周面と筒状体501の内壁面との間にはコート層が形成される幅の空隙504bが設けられている。
特に、筒状体501の内壁面は、その断面図において、その中央が突出しており、両端が凹んだ形状となっており、空隙504bの幅が、中央で小さく、両端で大きくなるように設計されている。なお、ハニカム構造体の両端面の形状が円であり、中央のその長手方向に垂直な断面の形状が円とすることができる筒状体を用いる。
図4(a)及び図4(b)は、接着材層及びコート層となるシール材ペーストを筒状体内に供給する様子を示している。
なお、図4(a)には、側面保持部材(スペーサ)及びシール材ペースト供給器を省略した側面図を模式的に示している。
まず、筒状体下部501aと筒状体上部501bをネジ止め等の手段により固定し、密閉空間となる筒状体501とする。
次に、シール材ペースト供給器503を筒状体501の端面に取り付ける。
そして、押出機構525を用いてシール材ペースト供給器503のシール材ペースト室520内からシール材ペースト522を押し出して、シール材ペースト522をハニカム焼成体間の空隙504a及びハニカム焼成体120の外周面と筒状体501の内壁面の間の空隙504bに充填する。
シール材ペーストは、無機バインダ、無機繊維及び無機粒子を主成分として含むことが望ましい。これら無機バインダ、無機繊維及び無機粒子については後述する。
続いて、シール材ペースト供給器503を取り外した筒状体501を乾燥機等を用いて加熱して、シール材ペーストを乾燥して、固化することによって、シール材層(接着材層101及びコート層102)を形成する。
その後、筒状体下部501aと筒状体上部501bの固定を解除すると、ハニカム構造体100を取り出すことができる(図5(a)及び図5(b)参照)。
以上の工程によって、両端面の形状が円であり、中央のその長手方向に垂直な断面の形状も円であり、第1の端面部及び第2の端面部で最も大きくなり、中央部で最も小さくなるように、第1の端面部から第2の端面部まで連続的に変化しているハニカム構造体(図6参照)を製造することができる。
次に、上記本発明の第一の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法により得られたハニカム構造体について説明する。
図6は、本発明の第一の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法により得られたハニカム構造を模式的に示す斜視図であり、図7は、図6に示すハニカム構造体のA−A線断面図である。
図6に示すハニカム構造体100では、多孔質炭化ケイ素からなる長手方向に垂直な断面の形状が正方形のハニカム焼成体110、及び、長手方向に垂直な断面が3つの線分と1つの円弧とで囲まれた形状のハニカム焼成体120が接着材層101を介して複数個結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周にコート層102が形成されている。
これらのハニカム焼成体110、120は、上述のようにフィルタとして機能するので、これらのハニカム焼成体110、120が接着材101を介して結束されたハニカム構造体100も、フィルタとして機能する。
本実施形態のハニカム構造体100は、その両端に位置する第1の端面104a及び第2の端面104b、並びに、第1の端面104a及び第2の端面104bの中間面107を有している。そして、コート層102の厚さが、第1の端面104aを含む第1の端面部及び第2の端面を含む第2の端面部で最も厚くなっており、中間面107を含む中央部で最も薄くなっている。ハニカム構造体の両端部の形状は円である。
以下、第1の端面部、第2の端面部及び中央部のコート層の厚さについて説明する。
図7は、図6に示すハニカム構造体のA−A線断面図である。
図7には、中央部106、第1の端面部105a及び第2の端面部105bの位置を模式的に示している。
中央部106は、第1の端面104a及び第2の端面104bの中間である中間面107を含み、断面図において所定の幅を有する領域である。
また、中央部106は、コート層102の厚さが最も薄い部分を含む。
第1の端面部105aは、第1の端面104aを含み、断面図において所定の幅を有する領域である。第1の端面部105aは、第1の端面104aと中間面107の間で、コート層102の厚さが最も厚い部分を含む。
また、第2の端面部105bは、第2の端面104bを含み、断面図において所定の幅を有する領域である。第2の端面部105bは、第2の端面104bと中間面107の間で、コート層102の厚さが最も厚い部分を含む。
図7には、中央部106、第1の端面部105a及び第2の端面部105bが断面図において所定の幅を有することを模式的に示すために、所定の幅を両矢印で示している。
所定の幅は、特に限定されるものでなく、コート層の厚さの変化の態様に応じて定めればよいが、特に基準がない場合には、中央部の幅として中間面を中心とするハニカム構造体の長手方向に平行な長さ(ハニカム構造体の全長)の10%の幅、第1の端面部及び第2の端面部の幅として第1の端面又は第2の端面から中間面に向かってハニカム構造体の全長の10%の幅をそれぞれ定めればよい。
図7に示すハニカム構造体100では、コート層102の厚さが最も薄い部分が中間面107と一致している。また、コート層102の厚さが最も厚い部分が第1の端面104a及び第2の端面104bと一致している。
そのため、中央部106、第1の端面部105a及び第2の端面部105bの幅は実質的にゼロであってもよく、中間面107、第1の端面104a及び第2の端面104bをそれぞれ中央部106、第1の端面部105a及び第2の端面部105bと同視してもよい。
コート層102の厚さは、第1の端面部105a及び第2の端面部105bから中央部106に向かって連続的に変化しており、断面図において中央部106に凹みがある形状となっている。なお、本発明の第一実施形態のハニカム構造体においては、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面における中央部に凹みがある形状の部分の形状は円である。
コート層102の厚さは特に限定されるものではないが、最も厚い部分の厚さが、1〜20mmとなっていることが望ましい。
コート層の最も厚い部分の厚さが1mm未満であると、コート層の薄い部分は、さらに、厚みが薄くなってしまい、ハニカム構造体の凹凸が小さくなり、保持シール材がハニカム構造体の凹部に引っ掛かるという効果が得られにくくなる。また、コート層の最も厚い部分の厚さが20mmを超えると、コート層の乾燥処理が部分的に不充分となり、コート層が剥がれやすくなる。
次に、本発明の実施形態のハニカム構造体を備えた排ガス浄化装置について説明する。
図8は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体を備えた排ガス浄化装置を模式的に示す断面図である。
図8に示す排ガス浄化装置10は、ガス入口側14とガス出口側15を備えた金属容器11と、金属容器11内に収容されたハニカム構造体100とを備えている。ハニカム構造体100と金属容器11の間には保持シール材12が配設されており、保持シール材12でハニカム構造体100が保持されている。
金属容器11のガス入口側14には、内燃機関から排出された排ガスを排ガス浄化装置10内に導入するための導入管が接続される。一方、金属容器11のガス出口側15には、排ガス浄化装置10内を通過した排ガスを外部に排出する排出管が接続される。
保持シール材12は、排ガス浄化装置においてハニカム構造体を保持するために通常使用される、主に無機繊維からなる平面視略矩形状のマット(3〜13mm)である。
保持シール材12の初期厚さは略均一である。
上述したように、ハニカム構造体100においては、コート層102の厚さは、第1の端面部105a及び第2の端面部105bから中央部106に向かって連続的に変化しており、中央部106に凹みがある形状となっているので、ハニカム構造体の両端面部では、保持シール材12が圧縮させられて、保持シール材12がハニカム構造体100を保持する面圧が大きくなる。そのため、ハニカム構造体100は保持シール材12により強固に保持され、排ガス浄化装置の金属容器内の所定位置からハニカム構造体100が動くことを防止することができる。
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、上記筒状体として、その長手方向に沿って、その両端に位置する第1の端面及び第2の端面と、上記第1の端面と上記第2の端面の中間である中間面を含むとともに、その長手方向に垂直方向に連続して形成された凹凸部とを有し、かつ、その内径は、上記第1の端面を含む第1の端面部及び上記第2の端面を含む第2の端面部で最も大きくなり、上記中央部で最も小さくなるように、上記第1の端面部から上記第2の端面部まで連続的に変化している筒状体を用い、上記ハニカム並列体を内部に配置した筒状体の内部にシール材ペーストを供給する。これにより、ハニカム並列体を構成するハニカム焼成体同士の空隙にシール材ペーストを供給し、接着材層を形成することができるとともに、ハニカム並列体と筒状体との空隙にシール材ペーストを供給することによりコート層を形成することができ、しかも容易かつ効率的に接着材層及びコート層を形成することができる。
(2)上記ハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体は、コート層の厚さを両端面部から中央部に向かって連続的に変化させることによって、ハニカム構造体の外周面に連続的に変化した凹みを設けている。この場合、ハニカム構造体の両端面部の直径が、ハニカム構造体の中央部の直径よりも大きくなっている。
このようなコート層で形成された凹みがハニカム構造体に設けられているので、ハニカム構造体の周囲に保持シール材を巻き付け、排ガス浄化装置内に設置した際に、ハニカム構造体の両端面部では、保持シール材が圧縮させられて面圧が大きくなる。そのため、排ガス浄化装置の使用時にハニカム構造体がズレることを確実に防止することができる。
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%の混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダー(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た。
得られた湿潤混合物を押出成形して、図1(a)又は図2に示した形状と同様の形状(ハニカム成形体の長手方向に垂直な断面の形状が正方形のハニカム成形体、及び、ハニカム成形体の長手方向に垂直な断面の形状が3つの線分と1つの円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状のハニカム成形体)であってセルの封止がされていない生のハニカム成形体を作製した。
次に、得られた生のハニカム成形体を乾燥させ、乾燥後のハニカム成形体の所定のセルに封止材ペーストとして原料ペーストを充填してセルの封止を行い、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
乾燥したハニカム成形体を400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成を行うことにより、炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を作製した。ハニカム焼成体は、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、長さ150mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)であった。
平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル(固形分30重量%)15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含むシール材ペーストを用い、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の製造方法において説明した方法を用いて、接着材層及びコート層を形成して、ハニカム構造体を作製した。
具体的には、最初に、2種類のハニカム焼成体の側面を側面保持部材(スペーサ)で隙間が1mmとなるように挟むようにして縦横に配置してハニカム並列体とし、充填装置内に配置した。
そして、ハニカム焼成体の間の空隙及びハニカム焼成体と充填装置の間の空隙にシール材ペーストを充填した。
スペーサとしては、ガラス繊維を主成分とし、水中にガラス繊維、木材パルプ、長石、水酸化アルミニウムを入れ、攪拌を行ったスラリーを抄造し、脱水してシート化した、縦30mm、横8mm、厚さ1mmのシート状のものを使用した。そして、両面にシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体の側面に貼り付け、このスペーサを介してハニカム焼成体同士を貼り合わせた。
さらに、充填装置を乾燥機内、炉内温度120℃で30分でシール材ペーストを加熱処理することにより接着材層及びコート層を形成してハニカム構造体を作製した。
充填装置として、その内壁面の形状が図3(b)に示したような、その中央が突出しており、両端が凹んだ形状となっているものを用いた。
実施例1のハニカム構造体は、コート層の厚さが端面部で厚く、中央部で薄くなっている。
コート層の厚さが最も厚い箇所は、第1の端面及び第2の端面であり、その厚さが3mmとなっていた。
コート層の厚さが最も薄い箇所は、中間面であり、その厚さが1mmとなっていた。
そして、第1の端面及び第2の端面において測定したハニカム構造体の直径は149.8mmであった。
(比較例1)
充填装置の内壁面の形状を中央部と両端部で凹凸のない形状、具体的には、充填装置の内壁面の両端部の直径と中央部の直径が同一の形状で同一の大きさに変更した他は実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。
比較例1のハニカム構造体のコート層の厚さは、ハニカム構造体の外周部から中央部に渡って一定の厚さ、1mmであった。
(排ガス浄化装置の作製)
実施例1及び比較例1で作製したハニカム構造体の外周に、主にアルミナを70重量%含むアルミナ−シリカ繊維からなり、初期厚さが8mmである保持シール材を巻き付け、内径が152mmである円筒形状の金属(SUS製)容器内に圧入することによって排ガス浄化装置を作製した。
実施例1のハニカム構造体を用いた排ガス浄化装置では、比較例1のハニカム構造体を用いた排ガス浄化装置と比べて保持シール材によるハニカム構造体の保持力が高く、排ガス浄化装置の金属容器内でのハニカム構造体のズレが生じにくかった。
(第二実施形態)
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第二実施形態について図面を参照しながら説明する。
第二実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、
場所によりその厚さが異なるコート層を形成可能な凹凸部を有する筒状体を準備する工程と、
多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された複数個のハニカム焼成体が接着剤層を介して接合されたセラミックブロックを準備する工程と、
上記セラミックブロックを上記筒状体内に、上記セラミックブロックの外周面と上記筒状体の内壁面とが所定間隔の空隙を有するように配置する工程と、
上記セラミックブロックと筒状体内との空隙にシール材ペーストを供給する工程とを含み、
上記1つのハニカム焼成体、上記ハニカム並列体、又は、上記セラミックブロックの、その長手方向に垂直な断面の形状がその両端に位置する第1の端面から第2の端面までが同一の形状及び大きさであり、上記外周部分にコート層を備えたハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、その両端に位置する第1の端面から第2の端面までに異なる形状又は大きさの断面形状を有することを特徴とする。
(2−1)本実施形態に係るハニカム構造体の製造方法では、本発明の第一実施形態と同様に、ハニカム構造体を構成する多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体を作製する。
本発明の第一実施形態では、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状が正方形のハニカム焼成体(図1(a)及び図1(b)参照)、及び、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状が、断面が3つの線分と1つの円弧とで囲まれた形状のハニカム焼成体(図2参照)を作製したが、本発明の第二実施形態では、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状が正方形のハニカム焼成体110(図1(a)及び図1(b)参照)のみを作製する。作製方法は、第一実施形態の(1−1)〜(1−3)に記載した方法と同様である。
(2−2)次に、作製された断面の形状が正方形のハニカム焼成体110の側面に接着材層となるシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体110の側面に所定の厚さのシール材ペースト層を形成する。
図9(a)及び図9(b)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を製造する製造工程を模式的に示す側面図である。図9(a)は、(2−3)の工程により得られたセラミック積層体200aを示し、図9(b)は、(2−4)の工程により得られたセラミックブロック200を示している。
(2−3)(2−2)の工程によりシール材ペースト層が形成されたハニカム焼成体を、該シール材ペースト層を介して他のハニカム焼成体と接着する工程を繰り返して行い、その後、乾燥固化を行うことにより、図9(a)に示したハニカム焼成体110が複数個、接着材層211を介して接着された角柱形状のセラミック積層体200aを作製する。
(2−4)次に、ダイヤモンドカッター等の切削工具を用いて、その外周部を円柱形状に切削することで、図9(b)に示した円柱形状のセラミックブロック200を作製する。なお、ハニカム焼成体110a、110bは、断面の形状が正方形のハニカム焼成体110が切削されて形成されたものである。
(2−5)次に、セラミックブロック200の外周部分にコート層を形成する。この際、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法で用いたシール材ペーストの充填装置500と同じ充填装置を用いることができる。
図10は、シール材ペーストの充填装置500の筒状体下部501fにセラミックブロック200を配置し、筒状体上部501eを被せる様子を示している。
セラミックブロック200は、シール材ペーストの充填装置500を構成する筒状体501の側面保持部材501c、501dにより、その側面を保持され、位置が固定されている。
そして、セラミックブロック200と筒状体501の内壁面との間には、コート層が形成される幅の空隙504aが設けられている。
セラミックブロック200は、予めハニカム焼成体110間に接着材層211が形成されているので、ハニカム焼成体110の間にシール材ペーストを充填する必要はない。
筒状体501(筒状体上部501e及び筒状体下部501f)の内壁面は、その断面図において、2つの窪み部分5010a、5010bを有する形状となっている。
(2−6)この後、本発明の第一の実施形態と同様に、シール材ペーストを、充填装置を構成する筒状体501の内部に供給し、セラミックブロック200と筒状体501の内壁面との間にシール材ペーストを充填し、乾燥固化を行い、コート層302を形成する。
上記工程により、円柱形状のセラミックブロック200の外周部分に2つの凸部302a、302bを有するコート層302が形成されたハニカム構造体300(図11参照)を製造することができる。
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、上記筒状体として、場所によりその厚さが異なるコート層を形成可能な凹凸部を有する筒状体(2つの凹部を有する筒状体)を用い、上記セラミックブロックを内部に配置した筒状体の内部にシール材ペーストを供給する。これにより、セラミックブロックと筒状体との空隙にシール材ペーストを供給することによりコート層を形成することができ、しかも容易かつ効率的に接着材層及びコート層を形成することができる。
(2)上記ハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体は、場所によりコート層の厚さが異なり、特に本実施形態に係るハニカム構造体では、セラミックブロックの外周に2つの凸部を有するコート層が形成されているので、ハニカム構造体の周囲に保持シール材を巻き付け、排ガス浄化装置内に設置した際に、ハニカム構造体の凸部では、保持シール材が圧縮させられて面圧が大きくなる。そのため、排ガス浄化装置の使用時にハニカム構造体がズレることを確実に防止することができる。
(その他の実施形態)
本発明の第一及び第二の実施形態では、複数のハニカム焼成体からなるハニカム構造体について説明したが、本発明は、1つのハニカム焼成体からなるものであってもよい。すなわち、1つのハニカム焼成体を前述のシール材ペーストの充填装置500を用いて、コート層を形成して場所によりその厚さが異なるコート層を形成することができる。なお、この場合、ハニカム焼成体の形状は、円柱形状が望ましい。また、ハニカム焼成体16の材質としては、コージェライ又はチタン酸アルミニウムが望ましい。
本発明の第一の実施形態では、コート層の厚さを両端面部を最も厚く設定するとともに、コート層の厚さを両端面部から中央部に向かって連続的に減少させ、ハニカム構造体の長手方向に対する中央部の長手方向に垂直な断面の直径を最も小さくしたハニカム構造体を製造している。
また、本発明の第二の実施形態では、セラミックブロック200の外周部分に2つの凸部302a、302bを有するコート層302が形成されたハニカム構造体300を製造しているが、本発明のハニカム構造体の形状は、第一の実施形態や第二の実施形態に限定されるものではない。
すなわち、本発明のハニカム構造体は、1つのハニカム焼成体、ハニカム並列体、又は、セラミックブロックの長手方向の断面の形状及び大きさが同一であり、その端面を含む外周部分にコート層が形成されており、外周部分に場所によりその厚さが異なるコート層が形成されていればよい。コート層の形状は、場所により凸形状であっても、凹形状であってもよく、連続的に厚さが減少していってもよく、連続的に厚さが増加していってもよく、連続的な厚さの減少と連続的な厚さの増加とを組み合わせたものであってもよい。
ハニカム焼成体の気孔率は特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
ハニカム焼成体で構成されるハニカム構造体をフィルタとして使用した場合、ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、ハニカム焼成体が、排ガスに含まれるパティキュレートによってすぐに目詰まりを起こしやすくなり、一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカム焼成体の強度が低下して容易に破壊されやすくなる。
ハニカム焼成体の平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。
ハニカム焼成体で構成されるハニカム構造体をフィルタとして使用した場合、ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、ハニカム焼成体が排ガスに含まれるパティキュレートによって容易に目詰まりを起こしやすくなり、一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、フィルタとしての機能が不充分となる。
なお、上記気孔率及び気孔径は、水銀圧入法による従来公知の方法により測定することができる。
ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されないが、0.2〜0.4mmが望ましい。
ハニカム焼成体のセル壁の厚さが0.2mm未満であると、ハニカム構造を支持するセル壁の厚さが薄くなり、ハニカム焼成体の強度を保つことができなくなる一方、ハニカム焼成体のセル壁の厚さが0.4mmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失の上昇を引き起こしやすくなる。
また、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は特に限定されないが、望ましい下限は、31個/cm(200個/in)、望ましい上限は、93個/cm(600個/in)、より望ましい下限は、38.8個/cm(250個/in)、より望ましい上限は、77.5個/cm(500個/in)である。
ハニカム焼成体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。また、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたケイ素含有炭化ケイ素も同様の理由で好適に使用できる。
セルを封止する封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て作製される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、湿潤混合物と同様のものを用いることができる。
シール材ペーストにおける無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
シール材ペーストにおける無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
シール材ペーストにおける無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体には、触媒が担持されていてもよい。
ハニカム構造体にCO、HC及びNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化することが可能となる触媒を担持させることにより、触媒反応により排ガス中の有害なガス成分を充分に浄化することが可能となる。また、PMの燃焼を助ける触媒を担持させることにより、PMをより容易に燃焼除去することが可能となる。
これまで、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体としては、貫通孔のいずれか一方の端部が封止されているハニカム構造体(ハニカムフィルタ)について説明を行ったが、上記ハニカム構造体は、貫通孔の端部が封止されていなくてもよい。このようなハニカム構造体は、触媒担体として好適に使用することが可能となる。
100、300 ハニカム構造体
101 接着材層
102、302 コート層
103 セラミックブロック
104a 第1の端面
104b 第2の端面
105a 第1の端面部
105b 第2の端面部
106 中央部
107 中間面
110、120 ハニカム焼成体
111、121 セル
112、122 封止材
113、123 セル壁
180 ハニカム並列体
200 セラミックブロック
211 接着材層
302a、302b 凸部
500 充填装置
501 筒状体
501a、501f 筒状体下部
501b、501e 筒状体上部
501c、501d 側面保持部材
503 シール材ペースト供給器
504a、504b 空隙
520 シール材ペースト室
522 シール材ペースト
525 押出機構
5010a、5010b 窪み部分

Claims (7)

  1. 場所によりその厚さが異なるコート層を形成可能な凹凸部を有する筒状体を準備する工程と、
    多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された1つのハニカム焼成体、複数の前記ハニカム焼成体が縦横に並列されてなるハニカム並列体、又は、複数個の前記ハニカム焼成体が接着剤層を介して接合されたセラミックブロックを準備する工程と、
    前記1つのハニカム焼成体、前記ハニカム並列体又は前記セラミックブロックを、前記筒状体内に、前記1つのハニカム焼成体、前記ハニカム並列体又は前記セラミックブロックの外周面と前記筒状体の内壁面とが所定間隔の空隙を有するように配置する工程と、
    前記1つのハニカム焼成体と筒状体との空隙、前記ハニカム並列体を構成するハニカム焼成体同士の空隙及びハニカム並列体と筒状体との空隙、又は、前記セラミックブロックと筒状体内との空隙にシール材ペーストを供給する工程とを含
    前記筒状体は、その長手方向に沿って、その両端に位置する第1の端面及び第2の端面と、前記第1の端面と前記第2の端面の中間である中間面を含むとともに、その長手方向に垂直方向に連続して形成された凹凸部とを有し、かつ、
    前記筒状体の内径は、前記第1の端面を含む第1の端面部及び前記第2の端面を含む第2の端面部で最も大きくなり、前記中央部で最も小さくなるように、前記第1の端面部から前記第2の端面部まで連続的に変化しており、
    前記1つのハニカム焼成体、前記ハニカム並列体、又は、前記セラミックブロックの、その長手方向に垂直な断面の形状がその両端に位置する第1の端面から第2の端面までが同一の形状及び大きさであり、前記外周部分にコート層を備えたハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、その両端に位置する第1の端面から第2の端面までに異なる形状又は大きさの断面形状を有するハニカム構造体を製造することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記ハニカム焼成体は、前記貫通孔の一方の端部が目封じされている請求項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記シール材ペーストは、無機粒子と無機バインダとを含む請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記ハニカム焼成体は、炭化珪素、又は、珪素含有炭化珪素からなる請求項1〜のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記コート層の最も厚い部分の厚さが、1〜20mmとなるようなその長手方向に垂直な方向に連続して形成された凹凸部を有する筒状体を用いる請求項1〜のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記1つのハニカム焼成体、前記ハニカム並列体、又は、前記セラミックブロックの形状は、四角柱の形状である請求項1〜のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記外周部分にコート層を備えたハニカム構造体の、その両端に位置する第1の端面及び第2の端面の形状が円であり、前記中央部での長手方向に垂直な断面の形状が円である請求項のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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