JP2016539641A - ラミニンの角膜内皮細胞培養への応用 - Google Patents

ラミニンの角膜内皮細胞培養への応用 Download PDF

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Abstract

本発明は、角膜内皮細胞の培養方法を提供する。より詳細には、本発明は、角膜内皮細胞において発現するラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、角膜内皮細胞の培養または増殖のための組成物を提供する。詳細には、本発明はラミニン511(α5β1γ1)、ラミニン521(α5β2γ1)あるいはこれらのフラグメントを含みうる。本発明はまた、本発明の組成物をコーティングした角膜内皮細胞の培養容器を提供する。本発明はさらに、本発明の組成物または本発明の容器を用いて角膜内皮細胞を培養する工程を包含する、角膜内皮細胞の培養方法も提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ラミニンの角膜内皮の細胞培養(維持)または増殖のための成分としての用途に関する。詳細には、ラミニンを含む角膜内皮細胞培養・増殖用組成物、容器、培養法等に関する。
ヒトの角膜内皮細胞は、出生時には1平方ミリメートル当たり約3000個の密度で存在しているが、一度障害を受けると再生する能力を持たない。このように、角膜内皮細胞は、培養が困難であるとされており、移植技術において培養、増殖が困難な現在の状況のため、角膜内皮の処置、手術が事実上不可能となっている。日本での角膜提供は不足しており、角膜移植の待機患者約2600人に対し、年間に国内で行われている角膜移植件数は1700件程度である。
特開2011-78370 WO2013/047763 WO2011/024070 WO2010/140464
東邦医学会雑誌 Vol.56, No.1,Page.39 (2009.01.01) 日本眼科学会雑誌 Vol.105, 臨時増刊号, Page.196 (2001.03.15) J Biol Chem.2013 Sep 13. [Epub ahead of print] PLoS One.2013;8(1):e53648. doi: 10.1371/journal.pone.0053648. Epub 2013 Jan 7. Cell Adh Migr.2013 Jan-Feb;7(1):142-9. doi: 10.4161/cam.22125. Epub 2012 Oct 17. J Cell Biochem.2007 Feb 15;100(3):545-56.
本発明者らは、特定のラミニンが、角膜内皮の培養および増殖に有用であることを見出したことによって、本発明を完成した。したがって、本発明は、代表的に、以下を提供する。
(1)角膜内皮細胞において発現するラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、角膜内皮細胞の培養または増殖のための組成物。
(2)前記ラミニンは、ラミニン511(α5β1γ1)およびラミニン521(α5β2γ1)を含む、項目1に記載の組成物。
(3)前記フラグメントは、角膜内皮細胞の細胞接着能を有する、項目1または2に記載の組成物。
(4)前記因子は、ラミニン511、ラミニン521またはラミニン511−E8フラグメントである、項目1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
(5)前記角膜内皮細胞はヒトのものである、項目1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
(6)項目1〜5のいずれか1項に記載の組成物を含む、角膜内皮細胞の培養用培地。
(7)項目1〜5のいずれか1項に記載の組成物をコーティングした角膜内皮細胞の培養容器。
(8)項目1〜5のいずれか1項に記載の組成物を用いる工程を包含する、角膜内皮細胞の培養方法。
(9)項目6に記載の培地を用いる工程を包含する、角膜内皮細胞の培養方法。
(10)項目7に記載の培養容器を用いる工程を包含する、角膜内皮細胞の培養方法。
上記特徴はそれぞれ組み合わせて用いることができることが理解される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本発明は、角膜内皮細胞(特に、ヒト角膜内皮細胞)の培養および維持、増殖を可能にする成分を提供する。
図1は、ヒト角膜内皮細胞のラミニン鎖のmRNA発現を示す図である。左から、分子量マーカー、ラミニンα1鎖、α2鎖、α3鎖、α4鎖、α5鎖、β1鎖、β2鎖、β3鎖、β4鎖、γ1鎖、γ2鎖、γ3鎖を示す。 図2は、ヒト角膜内皮細胞のインテグリン鎖のmRNA発現を示す。上段は、左から、インテグリンα1鎖、α2鎖、α3鎖、α4鎖、α5鎖、α6鎖、α7鎖、α8鎖、α9鎖、α10鎖、α11鎖、αE鎖、αV鎖、αL鎖、αM鎖、αX鎖、αD鎖、αIIb鎖を示す。下段は、左から、インテグリンβ1鎖、β2鎖、β3鎖、β4鎖、β5鎖、β6鎖、β7鎖、β8鎖、を示す。 図3A〜図3Cは、まとめて、フローサイトメトリーによるヒト角膜内皮細胞の種々のインテグリン鎖の発現解析を示す。図3Aは、フローサイトメトリーによるヒト角膜内皮細胞の種々のインテグリン鎖の発現解析を示す。上段は、左から、インテグリンα1、α2およびα3を示す。下段は、左から、α4、α5およびα6を示す。 図3A〜図3Cは、フローサイトメトリーによるヒト角膜内皮細胞のインテグリン鎖の発現解析を示す。上段は、左から、αE、αVおよびα1を示す。下段は、左から、αM、αX、およびαIIb(CD41a)を示す。 図3A〜図3Cは、フローサイトメトリーによるヒト角膜内皮細胞のインテグリン鎖の発現解析を示す。上段は、左から、αIb(CD41b)、β1、およびβ2を示す。下段は、左から、β3、β4およびβ7を示す。 図4は、ラミニン511および521はヒト角膜内皮細胞の細胞接着を促進することを示す写真である。上段は左からラミニン511、ラミニン521、ラミニン211を示し。下段は左からコーティングなし、FNCコーティング、ゼラチンコーティングを示す。縮尺は50μmである。 図5は、ラミニン511および521はヒト角膜内皮細胞の細胞接着を促進することを示すグラフである。y軸は細胞数(%コントロール)を示す。x軸は左から、コーティングなし(コントロール)、ラミニン511、ラミニン521、ラミニン211、FNC coating mix、ゼラチン、ラミニン511−E8フラグメントを示す。 図6は、ラミニン511−E8フラグメントはヒト角膜内皮細胞の細胞接着を促進することを示すグラフである。y軸は細胞数(%コントロール)を示す。x軸は左から、コーティングなし(コントロール)、ラミニン511−E8フラグメントの各濃度(順に0.001μg/cm、0.01μg/cm、0.1μg/cm、0.5μg/cm、1.0μg/cm、1.5μg/cm)、ならびにFNC coating mixを示す。 図7は、ラミニン511、ラミニン521およびラミニン511−E8フラグメントはヒト角膜内皮細胞の細胞増殖を促進することを示すグラフである。y軸はBrdUの取り込み量のコントロールに対する相対値(%)を示す。x軸は、左から、コーティングなし(コントロール)、ラミニン511、ラミニン521、ラミニン211、FNC coating mix、ラミニン511−E8フラグメント(左から、0.5μ/cm、1.0μg/cm、1.5μg/cm)を示す。 図8は、ラミニン511および521はヒト角膜内皮細胞の細胞培養を効率化することを示す培養2日目の位相差顕微鏡写真である。左上はラミニン511を示し、右上はラミニン521を示し、左下はラミニン211を示し。右下はコーティングなしを示す。バーは100μmを示す。 図9は、ラミニン511および521は細胞密度の高いヒト角膜内皮細胞の細胞培養を可能にすることを示す20日目の位相差顕微鏡写真である。左上はラミニン511を示し、右上はラミニン521を示し、左下はラミニン211を示し。右下はコーティングなしを示す。バーは100μmを示す。 図10は、ラミニン511および521は細胞密度の高いヒト角膜内皮細胞の細胞培養を可能にすることを示す写真である。赤染色はNa/K−ATPaseに対する染色を示し、青染色はDAPIに対する染色を示す。左上はラミニン511を示し、右上はラミニン521を示し、左下はラミニン211を示し。右下はコーティングなしを示す。バーは100μmを示す。 図11は、ラミニン511および521は細胞密度の高いヒト角膜内皮細胞の細胞培養を可能にすることを示す写真である。緑染色はZO−1に対する染色を示し、青染色はDAPIに対する染色を示す。左上はラミニン511を示し、右上はラミニン521を示し、左下はラミニン211を示し。右下はコーティングなしを示す。バーは100μmを示す。 図12は、ラミニン521およびラミニン511−E8フラグメントを培地に添加して培養することでも、ヒト角膜内皮細胞の細胞接着を促進することを示すグラフである。y軸は細胞数(%コントロール)を示す。x軸は左から、コーティングなし(コントロール)、ラミニン521の各濃度(順に1.0μg/cm、2.0μg/cm、4.0μg/cm)およびラミニン511−E8フラグメントの各濃度(順に1.0μg/cm、2.0μg/cm、4.0μg/cm)を培地に添加したものならびにFNC coating mixにて培養皿をコーティングしたものを示す。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。従って、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(定義)
本明細書において「角膜内皮細胞」とは当該分野で用いられる通常の意味で用いられる。角膜とは、眼を構成する層状の組織の一つであり透明であり、最も外界に近い部分に位置する。角膜は、ヒトでは外側(体表面)から順に5層でできているとされ、外側から角膜上皮、ボーマン膜、固有層、デスメ膜(角膜内皮基底膜)、および角膜内皮で構成される。特に、特定しない限り、上皮および内皮以外の部分は「角膜実質」とまとめて称することがあり、本明細書でもそのように称する。本明細書において「HCEC」(human corneal endothelial cells)とは、ヒト角膜内皮細胞の略称である。本発明で使用される角膜内皮細胞は、天然に存在する細胞のほか、幹細胞から分化した細胞、例えばiPS等からの誘導分化細胞を用いることができることが理解される。
本明細書において「単離された」とは、通常の環境において天然に付随する物質が少なくとも低減されていること、好ましくは実質的に含まないことをいう。従って、単離された細胞、組織などとは、天然の環境において付随する他の物質(たとえば、他の細胞、タンパク質、核酸など)を実質的に含まない細胞をいう。
本明細書において「角膜内皮製剤」とは、角膜内皮または角膜内皮細胞を含む任意の薬剤をいう。本発明の方法で培養して生産される角膜内皮細胞は、製剤化されうることから、角膜内皮製剤は、本発明の方法で培養して生産される角膜内皮細胞を用いて製造されうる。
本明細書において「細胞外マトリクス」とは、(ECM)とは「細胞外基質」とも呼ばれ、上皮細胞、非上皮細胞を問わず体細胞(somatic cell)の間に存在する物質をいう。細胞外マトリクスは、通常細胞が産生し、従って生体物質の一つである。細胞外マトリクスは、組織の支持だけでなく、すべての体細胞の生存に必要な内部環境の構成に関与する。細胞外マトリクスは一般に、結合組織細胞から産生されるが、一部は上皮細胞や内皮細胞のような基底膜を保有する細胞自身からも分泌される。線維成分とその間を満たす基質とに大別され、線維成分としては膠原線維および弾性線維がある。基質の基本構成成分はグリコサミノグリカン(酸性ムコ多糖)であり、その大部分は非コラーゲン性タンパクと結合してプロテオグリカン(酸性ムコ多糖−タンパク複合体)の高分子を形成する。このほかに、基底膜のラミニン、弾性線維周囲のミクロフィブリル(microfibril)、線維、細胞表面のフィブロネクチンなどの糖タンパクも基質に含まれる。特殊に分化した組織でも基本構造は同一で、例えば硝子軟骨では軟骨芽細胞によって特徴的に大量のプロテオグリカンを含む軟骨基質が産生され、骨では骨芽細胞によって石灰沈着が起こる骨基質が産生される。ここで、代表的な細胞外マトリクスを構成する物質としては、例えば、コラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、エラスチン、コラーゲンVIII、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、トロンボスポンディン、プロテオグリカン類(例えば、デコリン、バイグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、ヒアルロン酸、アグリカンなど)などを挙げることができるがそれらに限定されず、細胞接着を担う細胞外マトリクスであれば、種々のものが本発明において利用され得る。
本明細書において「ラミニン」とは細胞外マトリックスの基底膜を構成するタンパク質であり、多細胞体制・組織構築とその維持、細胞接着、細胞移動、細胞増殖を促進し、がん細胞と関係が深い。胚発生の初期(2細胞期)に発現するとされる。α鎖、β鎖およびγ鎖のそれぞれ1本ずつからなるヘテロ三量体である。ラミニンの命名は、発見順の名称(ラミニン−1、ラミニン−2等)が知られていたが、サブユニットとの対応は考慮されていないため本明細書では、より新たな命名法である、α、β、γのサブクラスの名称(3桁の番号、百の位はα、十の位はβ、一の位はγを示す。)を併記する方法を採用し、α1、β1およびγ1の場合、ラミニン111などと称する。ラミニンはα鎖が5種、β鎖が3種,γ鎖が3種、見出だされている。従って、理論的な組み合わせの最大数は、5×3×3=45で、45種類のラミニン分子が可能であるが、天然にすべての組み合わせが存在しているわけではないとされている。各サブユニットは、例えばα鎖についてはLAMA1、LAMA2、LAMA3、LAMA4、LAMA5等と称し、β鎖についてはLAMB1、LAMB2、LAMB3と称し、γ鎖についてはLAMC1、LAMC2、LAMC3と称される。本発明で使用されるラミニンタンパク質は天然型であっても、あるいはその生物学的活性、特に細胞接着促進活性を保持したまま1またはそれ以上のアミノ酸残基が修飾された修飾型であってもよい。また、本発明におけるラミニンタンパク質は本明細書に記載した特徴を有する限り、その起源、製法などは限定されない。したがって、本発明で使用されるラミニンタンパク質は、天然産のタンパク質、遺伝子工学的手法により組換えDNAから発現させたタンパク質、あるいは化学合成タンパク質の何れでもよい。本発明で使用されるラミニンタンパク質の由来は特に、限定されないが、好ましくは、ヒト由来のものである。医療材料を得る目的などでヒト細胞を培養する場合には、他の動物に由来する材料の使用を避けるために、ヒト由来のラミニンを用いることが好ましいがこれに限定されない。
ラミニンの結合分子も知られており、α1β1、α2β1、α2β2、α3β1、α6β1、α6β4、α7β1、α9β1、αvβ3、αvβ5、αvβ8がラミニンレセプターとして知られるインテグリンである。
以下の表に代表的なラミニンおよびその説明を記載する。
本明細書において「α1鎖」(LAMA1)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA1;LAMA;S−LAM−alphaなどと称する。ヒトLAMA1は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_005559およびNP_005550に登録されている。OMIMは150320とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α1鎖」、「LAMA1」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「α2鎖」(LAMA2)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA2;LAMMなどと称する。ヒトLAMA2は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_000426およびNP_000417に登録されている。OMIMは156225とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α2鎖」、「LAMA2」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「α3鎖」(LAMA3)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA3;BM600;E170;LAMNA;LOCS;lama3aなどと称する。ヒトLAMA3は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_000227およびNP_000218に登録されている。OMIMは600805とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α3鎖」、「LAMA3」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「α4鎖」(LAMA4)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA4;LAMA3;LAMA4*−1;CMD1JJなどと称する。ヒトLAMA4は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_001105206およびNP_001098676に登録されている。OMIMは600133とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α4鎖」、「LAMA4」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「α5鎖」(LAMA5)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA5;KIAA1907などと称する。ヒトLAMA5は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_005560およびNP_005551に登録されている。OMIMは601033とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α5鎖」、「LAMA5」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「β1鎖」(LAMB1)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMB1;CLM;LIS5などと称する。ヒトLAMB1は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_002291およびNP_002282に登録されている。OMIMは150240 とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「β1鎖」、「LAMB1」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「β2鎖」(LAMB2)(laminin S)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMB2;LAMS;NPHS5などと称する。ヒトLAMB2は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_002292およびNP_002283に登録されている。OMIMは150325 とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「β2鎖」、「LAMB2」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「β3鎖」(LAMB3)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMB3;BM600−125KDA;LAM5;LAMNB1などと称する。ヒトLAMB3は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_000228およびNP_000219に登録されている。OMIMは150310 とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「β3鎖」、「LAMB3」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「γ1鎖」(LAMC1)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMC1;LAMB2などと称する。ヒトLAMC1は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_002293およびNP_002284に登録されている。OMIMは150290 とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「γ1鎖」、「LAMC1」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「γ2鎖」(LAMC2)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMC2;B2T;BM600;CSF;EBR2;EBR2A;LAMB2T;LAMNB2などと称する。ヒトLAMC2は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_005562およびNP_005553に登録されている。OMIMは150292 とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「γ2鎖」、「LAMC2」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「γ3鎖」(LAMC3)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMC3;OCCMなどと称する。ヒトLAMC3は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_006059およびNP_006050に登録されている。OMIMは604349 とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「γ3鎖」、「LAMC3」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。
本明細書において「角膜内皮細胞において発現するラミニン」とは、角膜内皮細胞において通常状態において遺伝子が発現、好ましくはタンパク質レベルで、有意に発現しているラミニンの種類をいう。本明細書における解析により、α5、β1、β2およびγ1が発現していることが確認されている(図2)。したがって、ラミニン511、ラミニン521が角膜内皮細胞において発現していることが少なくとも確認されている。ラミニン511については、Dev.Dyn.218,213−234,2000、およびJ.Biol.Chem. 277(15),12741−12748,2002に詳細な記載があるので、これらの文献に記載された内容は、本明細書中に援用する。ラミニン511等は、市販されているものを利用することも可能である。例えば、BioLamina社からラミニン511、ラミニン521の組換えタンパク質が市販されており入手可能である。
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたもの(本明細書にいう誘導体)であり得る。例えば、ラミニン各鎖の発現レベルは、任意の方法によって決定することができる。具体的には、ラミニン各鎖のmRNAの量、ラミニン各鎖タンパク質の量、そしてラミニン各鎖タンパク質の生物学的な活性を評価することによって、ラミニン各鎖の発現レベルを知ることができる。ラミニン各鎖のmRNAやタンパク質の量は、本明細書に記載したような方法によって決定することができる。
本明細書において「機能的等価物」とは、対象となるもとの実体に対して、目的となる機能が同じであるが構造が異なる任意のものをいう。従って、「ラミニンもしくはラミニン各鎖またはその機能的等価物」または「ラミニン、ラミニン各鎖およびその機能的等価物からなる群」という場合は、ラミニンもしくはラミニン各鎖自体のほか、ラミニンもしくはラミニン各鎖のフラグメント、変異体または改変体(例えば、アミノ酸配列改変体等)であって、眼細胞等の細胞接着能、分化制御および/または増殖促進作用を1つ以上有するもの、ならびに、作用する時点においてラミニンもしくはラミニン各鎖自体またはこのラミニンもしくはラミニン各鎖のフラグメント、変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、ラミニンもしくはラミニン各鎖自体またはラミニンもしくはラミニン各鎖のフラグメント、変異体もしくは改変体をコードする核酸、およびその核酸を含むベクター、細胞等を含む)が包含されることが理解される。「ラミニンもしくはラミニン各鎖またはその機能的等価物」または「ラミニン、ラミニン各鎖およびその機能的等価物からなる群」としては、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が代表例として挙げられる。本発明において、ラミニンもしくはラミニン各鎖の機能的等価物は、格別に言及していなくても、ラミニンもしくはラミニン各鎖と同様に用いられうることが理解される。
本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、このようなラミニンの鎖は、その活性、例えば、増殖促進または維持の因子として機能する場合、そのフラグメント自体も本発明の範囲内に入ることが理解される。本発明に従って、用語「活性」は、本明細書において、最も広い意味での分子の機能を指す。活性は、限定を意図するものではないが、概して、分子の生物学的機能、生化学的機能、物理的機能または化学的機能を含む。活性は、例えば、酵素活性、他の分子と相互作用する能力、および他の分子の機能を活性化するか、促進するか、安定化するか、阻害するか、抑制するか、または不安定化する能力、安定性、特定の細胞内位置に局在する能力を含む。適用可能な場合、この用語はまた、最も広い意味でのタンパク質複合体の機能にも関する。本明細書において「生物学的機能」とは、ある遺伝子またはそれに関する核酸分子もしくはポリペプチドについて言及するとき、その遺伝子、核酸分子またはポリペプチドが生体内において有し得る特定の機能をいい、これには、例えば、特異的な抗体の生成、酵素活性、抵抗性の付与等を挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書において、生物学的機能は、「生物学的活性」によって発揮され得る。本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質など)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含され、例えば、ある分子との相互作用によって別の分子が活性化または不活化される活性も包含される。2つの因子が相互作用する場合、その生物学的活性は、その二分子との間の結合およびそれによって生じる生物学的変化、例えば、一つの分子を抗体を用いて沈降させたときに他の分子も共沈するとき、2分子は結合していると考えられる。従って、そのような共沈を見ることが一つの判断手法として挙げられる。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。従って、「活性」は、結合(直接的または間接的のいずれか)を示すかまたは明らかにするか;応答に影響する(すなわち、いくらかの曝露または刺激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接結合する化合物の親和性、または例えば、いくつかの刺激後または事象後の上流または下流のタンパク質の量あるいは他の類似の機能の尺度が挙げられる。
本明細書で使用される「機能的に活性な」は、本発明のポリペプチド、フラグメントまたは誘導体が関連する態様に従って、生物学的活性などの、タンパク質の構造的機能、制御機能、または生化学的機能を有する、ポリペプチド、フラグメントまたは誘導体を指す。
本明細書において、ラミニンの「フラグメント」とは、ラミニンの任意のフラグメントを指し、本発明において使用される因子としては、ラミニン全長のみならず、ラミニンのフラグメントも、その機能、特に内皮細胞の細胞接着能を有する限り使用されうることが理解される。したがって本発明において使用されるラミニンのフラグメントは、通常、ラミニンの機能を少なくとも1つ有する。そのような機能としては、特に内皮細胞の細胞接着能が含まれうる。
以下に、本発明で角膜内皮細胞に発現していることが見出されたラミニンについて、その配列について説明する。これらのラミニンは、本発明の好ましい代表例を示すものであり、本発明は、これらの特定のラミニンサブタイプに限定されるものではないことが理解される。
ラミニンα5鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号1に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンα5鎖の有する活性をいう。α5鎖については、Doi M et al.,J.Biol.Chem. 277(15),12741−12748,2002;米国特許第6,933,273号を参照することができる。
ラミニンα5鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンα5鎖の有する活性をいう。α5鎖については、Doi M et al.,J.Biol.Chem. 277(15),12741−12748,2002;米国特許第6,933,273号を参照することができる。
ラミニンβ1鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号3に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号3に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンβ1鎖の有する活性をいう。β1鎖については、Pillarainen et al.,J.Biol.Chem.262(22),10454−10462,1987;米国特許第6,933,273号を参照することができる。
ラミニンβ1鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号3に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号4に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンβ1鎖の有する活性をいう。β1鎖については、Pillarainen et al.,J.Biol.Chem.262(22),10454−10462,1987;米国特許第6,933,273号を参照することができる。
ラミニンβ2鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号5に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号5に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンβ2鎖の有する活性をいう。β2鎖については、Wewer UM et al.,Genomics. 1994 Nov 15;24(2):243−52.,1987;米国特許第6,933,273号を参照することができる。
ラミニンβ2鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号6に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号5に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号6に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンβ2鎖の有する活性をいう。β2鎖については、Wewer UM et al.,Genomics. 1994 Nov 15;24(2):243−52.,1987;米国特許第6,933,273号を参照することができる。
ラミニンγ1鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号7に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号8に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号7に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンγ1鎖の有する活性をいう。γ1鎖については、Pillarainen et al.,J.Biol.Chem.263(14),6751−6758,1988;米国特許第6,933,273号を参照することができる。
ラミニンγ1鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号8に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号7に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号8に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンγ1鎖の有する活性をいう。γ1鎖については、Pillarainen et al.,J.Biol.Chem.263(14),6751−6758,1988;米国特許第6,933,273号を参照することができる。
本明細書において「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、交換可能で本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)が包含される。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。本発明のタンパク質(例えばラミニン各鎖)は、目的とする各鎖遺伝子をコードするDNAを、適当なベクター中に組み込み、これを真核生物または原核生物細胞のいずれかに、各々の宿主で発現可能な発現ベクターを用いて導入し、それぞれの鎖を発現させることにより所望のタンパク質を得ることができる。ラミニンを発現させるために用いることができる宿主細胞は特に限定されるものではなく、大腸菌、枯草菌等の原核宿主細胞、および酵母、真菌、昆虫細胞、植物および植物細胞、哺乳動物細胞等の真核生物宿主が挙げられる。目的とするラミニン鎖等を発現するように構築したベクターを、トランスフォーメーション、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、アグロバクテリウム法、直接マイクロインジェクション等により、上記の宿主細胞中に導入することができる。ベクターを含む細胞を適当な培地中で成長させて、本発明で使用するラミニン鎖等を産生させ、細胞または培地から精製することにより、ラミニン鎖等を得ることができる。精製はサイズ排除クロマトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、および免疫アフィニティークロマトグラフィー等を用いて行うことができる。
本明細書において、「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。
本明細書において「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、交換可能で本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」を含む。「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al., J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985);Rossolini et al., Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994))。本明細書において「核酸」はまた、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。
本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する遺伝子を構造遺伝子といい、その発現を左右する遺伝子を調節遺伝子という。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」をさすことがある。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST 2.2.26(2011.10.30発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメーターの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。類似性は、同一性に加え、類似のアミノ酸についても計算に入れた数値である。
本明細書において「ストリンジェント(な)条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明で使用されるラミニンは、具体的に開示された各ラミニンの核酸配列に対して「ストリンジェント(な)条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」によってコードされるものも使用されうることが理解される。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1-38, DNA Cloning 1:Core Techniques,A Prac1tical Approach, Second Edition, Oxford University Press(1995)などの実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。従って、本発明において使用されるポリペプチド(例えば、トランスサイレチンなど)には、本発明で特に記載されたポリペプチドをコードする核酸分子に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドも包含される。これらの低ストリンジェンシー条件は、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mMEDTA、0.02% PVP、0.02%BSA、100μg/ml変性サケ精子DNA、および10%(重量/体積)デキストラン硫酸を含む緩衝液中、40℃で18〜20時間ハイブリダイゼーションし、2xSSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mMEDTA、および0.1%SDSからなる緩衝液中、55℃で1〜5時間洗浄し、そして2xSSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDSからなる緩衝液中、60℃で1.5時間洗浄することを含む。
本発明の機能的等価物としては、アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加されたものを用いることができる。本明細書において、「アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の技術的方法により、あるいは天然の変異により、天然に生じ得る程度の複数個の数のアミノ酸の置換等により改変がなされていることを意味する。
本発明で用いられるラミニン各鎖等の改変アミノ酸配列は、例えば1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜2個のアミノ酸の挿入、置換、もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加がなされたものであることができる。改変アミノ酸配列は、好ましくは、そのアミノ酸配列が、ラミニン各鎖等のアミノ酸配列において1または複数個(好ましくは1もしくは数個または1、2、3、もしくは4個)の保存的置換を有するアミノ酸配列であってもよい。ここで「保存的置換」とは、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1または複数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことができる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システインなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
本明細書において「薬剤」、「剤」または「因子」(いずれも英語ではagentに相当する)は、広義には、交換可能に使用され、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、光、放射能、熱、電気などのエネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリペプチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリペプチドに対して特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物(例えば、単鎖抗体)、そのポリペプチドがレセプターまたはリガンドである場合の特異的なリガンドまたはレセプター、そのポリペプチドが酵素である場合、その基質などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「培養」とは、対象となる細胞を育成することをいい、狭義にはその状態が悪化しないで維持される(たとえば、細胞数が実質的に減少しない)ことをいう。狭義には培養維持または維持と同じ意味で使用される。
本明細書において「増殖」とは、細胞の数が増加することをいう。
本明細書において「増殖能」とは、細胞の増殖する能力をいう。本明細書では格別に言及しない場合、増殖の状態は、定常状態での増殖の可能性を指す。ここで、「定常状態」とは、生体での通常の条件であって、生体の恒常性が維持されている状態をいう。そのような状態は、当業者であれば、容易に決定することができる。たとえば、細胞密度解析により、細胞密度がほぼ一定で変化しないこと、または細胞増殖マーカーの発現が認められないことなどによって確認することができる。本明細書において「増殖促進」とは、ある細胞の増殖状態が促進されることをいう。対象となる細胞が増殖していなかった場合は、少しでも増殖を始めれば増殖促進に該当し、すでに増殖をしている細胞の場合は、その増殖レベルが維持またはより高まれば、好ましくは高まれば増殖促進に該当する。
本明細書において「幹細胞」とは、複数系統の細胞に分化できる能力(多分化能)と、細胞分裂を経ても多分化能を維持できる能力(自己複製能)を併せ持つ細胞をいう。幹細胞には、胚性幹細胞、生殖細胞、iPS細胞、組織幹細胞などが包含される。本発明が対象とする角膜内皮細胞は、幹細胞から分化させたものであってもよい。幹細胞から角膜内皮細胞への分化は当該分野で公知の手法を用いて達成することができる。
本明細書において細胞の「正常細胞機能」とは、角膜内皮細胞等の具体的細胞について言う場合、その細胞が本来有している機能をいう。角膜内皮細胞についていえば、そのような機能としては、ZO−1およびNa/K−ATPase、角膜移植への適応能(Matsubara M, Tanishima T: Wound-healing of the corneal endothelium in the monkey: a morphometric study, Jpn J Ophthalmol 1982, 26:264-273;Matsubara M, Tanishima T: Wound-healing of corneal endothelium in monkey: an autoradiographic study, Jpn J Ophthalmol 1983, 27:444-450;Van Horn DL, Hyndiuk RA: Endothelial wound repair in primate cornea, Exp Eye Res 1975, 21:113-124およびVanHorn DL, Sendele DD, Seideman S, Buco PJ: Regenerative capacity of the corneal endothelium in rabbit and cat, Invest Ophthalmol Vis Sci 1977, 16:597-613)等が挙げられるがそれらに限定されない。
ZO−1およびNa/K−ATPaseは、遺伝子の発現を免疫的な手段またはRT−PCR等の核酸レベルでの発現をみることによって評価することができる。Na/K−ATPaseおよびZO−1が正常細胞と同程度に発現および/または機能していることを確認することによって、対象の細胞が正常の機能を有しているかどうかを確認することができる。
角膜移植への適応能は、通常ウサギ等の実験動物においても水疱性角膜症モデルとして角膜内皮を機械的に掻爬して、培養細胞の移植試験を行うことができる。しかしながら、ウサギの角膜内皮細胞は生体内で増殖するため、ホストの角膜内皮細胞の増殖による自然治癒の可能性を否定できない(Matsubara M, et al., Jpn J Ophthalmol 1982, 26:264-273;Matsubara M,et al., Jpn J Ophthalmol 1983, 27:444-450;Van Horn DL, et al., Exp Eye Res 1975, 21:113-124およびVan Horn DL, et al., Invest Ophthalmol Vis Sci 1977,16:597-613)。したがって、より正確な移植適応能を評価するためには、霊長類への生着を評価することが好ましい。ヒトへの移植適応能を評価する場合は、霊長類であるカニクイザルなどにおいて、例えば、少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも2ヶ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月、さらに好ましくは少なくとも6ヶ月、さらにより好ましくは少なくとも12ヶ月経過させた後の適応性を評価する。サル等の霊長類での移植適応能を確認することは特にヒトへの適用において重要である。
本明細書において「BrdU」とは、臭素化デオキシウリジンの省略形であり、DNA合成のときdTTPのアナログとして取り込まれることから、BrdUを取り込んだDNA(細胞核)は、DNAに取り込まれたBrdUに特異的な抗体で検出することができるため、増殖能/分化能が高いことの指標として使用される。
本明細書において「BrdU陽性」とは、細胞マーカーであるBrdUが標的細胞において発現していることをいう。
本明細書において「培養物」は、角膜内皮等の細胞等を培養して生成されるものをいう。したがって、「角膜内皮培養物」は、角膜内皮の培養物をいい、通常、生体内に存在するものとは異なる状態で存在するものをさす。従来の培養法で得られる角膜内皮培養物は、増殖能が低く、容易に形質転換して機能を喪失することが問題であった(Peh GS, BeuermanRW, Colman A, Tan DT, Mehta JS (2011) Human corneal endothelial cell expansionfor corneal endothelium transplantation: an overview. Transplantation 91:811-819.、Okumura N, Kay E, NakaharaM, Hamuro J, Kinoshita S, et al. (2013) Inhibition of TGF-βsignaling enables human corneal endothelial cell expansion in vitro for use inregenerative medicine. PLoS One 8:e58000.)。したがって、培養物という観点からは、特に長期に培養したり、継代したものについていえば、このような細胞密度は達成することができなかったものといえる。すなわち、角膜内皮細胞は培養することで容易に密度が低下する。角膜内皮密度は臨床的には最も重要な健常度の指標の一つである。そのため、高い密度に培養することは再生医療の観点から重要である。また、内皮密度を事前に上昇させた後に、生体への投与することができ、極めて重要な治療薬となり得る。その意味で、通常の培養法で低下した密度を、再度上昇させることができたことが重要である。ヒト角膜内皮の生体における正常値は2500−3000個/mm2程度であり、これに培養物の細胞密度を近づけるかあるいはこれを超える技術を提供することができた点でも本発明は有意義である。
本明細書において「培地」とは、角膜内皮細胞を培養または増殖することができる任意の培地を指し、必要に応じ適切な場合、液体培地(培養液)、懸濁培地、固体培地等の任意の形態をとることができる。このような角膜内皮細胞に使用される培地の成分としては、例えば、DMEM(GIBCO BRL社)、OptiMEM(Life Technologies)、血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、ヒト血清)、増殖因子/成長因子(例えば、b−FGF)、抗生物質(例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン)等を挙げることができる。
本明細書において「(培養)容器」とは、角膜内皮細胞を培養するための容器をいう。培養容器としては、特に限定されるものではなく、細菌の混入を防ぐために滅菌処理され、かつ細胞を培養するのに適した任意の材料、任意の形状の容器を用いることができる。そのような培養容器の例として、当該分野で一般的に用いられている培養用ディッシュ、培養用フラスコ、培養用シャーレ、96ウェル、48ウェル、12ウェル、6ウェル、4ウェル等の培養用プレート、培養用ボトルなどを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J. et al.(1989).Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001); Ausubel, F. M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Ausubel,F.M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Innis, M. A. (1990). PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press; Ausubel, F. M. (1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Ausubel, F. M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Innis, M. A. et al.(1995). PCR Strategies, Academic Press; Ausubel, F. M. (1999). Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, and annual updates; Sninsky, J. J. et al.(1999).PCR Applications: Protocols for Functional Genomics, Academic Press, Gait, M. J. (1985). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Gait, M. J. (1990). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Eckstein, F.(1991). Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, IRL Press; Adams, R. L. et al.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids, Chapman & Hall; Shabarova, Z. et al.(1994). Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids, Weinheim; Blackburn, G. M. et al.(1996). Nucleic Acids in Chemistry and Biology, Oxford University Press; Hermanson, G. T. (I996). Bioconjugate Techniques, Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されている。角膜内皮細胞については、Nancy Joyceらの報告{Joyce, 2004 #161} {Joyce, 2003 #7}がよく知られているが、前述のごとく長期培養、継代培養により線維芽細胞様の形質転換を生じるため、効率的な培養法の研究が現在も行われている。これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
(好ましい実施形態の説明)
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。また、任意の実施形態が組み合わせ得ることも理解されるべきである。
(角膜内皮細胞の培養または増殖のための組成物および培養容器)
1つの局面において、本発明は、角膜内皮細胞において発現するラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、角膜内皮細胞の培養または増殖のための組成物を提供する。
本発明の因子(ラミニン等)は、培養培地に含めて使用されてもよいが、これを培養皿にコーティング(被覆)して使用してもよい。目的とする細胞の初代培養および/または継代培養を行うには、採取分離した細胞を適切な培地(例えば、DMEM(Dulbecco'smodifiedEagle'smedium)培地、OptiMEM培地)を用い、培養用培養皿に細胞を播種して初代培養および継代培養する。本発明においては、培地への10%以下の血清の添加量においても良好な増殖結果を得ることができる。更に、本発明においては、添加物質として、ラミニンに加えて、またはラミニンのコーティングに加えて、サイトカイン(例えば、繊維芽細胞増殖因子(FGF))を培地に添加することができる。本発明の因子は、実施例に記載のような単離した細胞においても有用であり、またiPSやES細胞から誘導した内皮細胞にも有用であるし、また、誘導自体にも有効であると理解される。
使用されるラミニンの濃度としては、例えば、培養培地液(例えば、PBS)中約0.1μg〜約500μg/ml等を挙げることができる。コーティングされる場合は、単位面積あたり(例えば1cm)約0.75μg/cm2の量がコーティングに使用されてもよい。培養容器の処理に使用される場合、本発明のラミニンまたはそのフラグメントの量は特に限定されない。好ましくは、約0.01μg/ml以上、好ましくは約0.01〜10μg/ml、より好ましくは約0.01〜約2μg/mlのラミニンまたはそのフラグメントの溶液で処理した場合、良好な結果が得られ得る。約0.01〜約10μg/ml、約0.01μg/ml〜約2μg/mlのラミニンまたはそのフラグメントは、培養容器の面積あたりの固相化するラミニンまたはそのフラグメントの量としては、約0.0015〜約1.5μg/cm、約0.0015〜約0.3μg/cmに相当する。
1つの好ましい実施形態では、前記ラミニンは、ラミニン511およびラミニン521を含む。したがって、この実施形態では、本発明の因子は、ラミニン511、ラミニン521またはそれらのフラグメントでありうる。本発明のラミニン511のフラグメントまたはラミニン521のフラグメントは、角膜内皮細胞の培養(本明細書では、「維持」、「培養維持」ということもあるが培養と同じ意味で使用される)または増殖に使用されうる限り、どのようなフラグメントを用いてもよい。このようなフラグメントとしては、ラミニン511−E8フラグメントおよびラミニン521ーフラグメント(それぞれ、配列番号9、10(核酸配列、アミノ酸配列)および配列番号11、12(核酸配列、アミノ酸配列))(Taniguchi Y, Ido H, Sanzen N, Hayashi M, Sato-Nishiuchi R, Futaki S, Sekiguchi K. The C-terminal region of laminin beta chains modulates the integrin binding affinities of laminins. J Biol Chem. 284:7820-7831, 2009、参照。ニッピ株式会社から入手可能)が挙げられるがそれに限定されない。ラミニン511−E8フラグメントおよびラミニン521−フラグメントは、エラスターゼ処理により得られるフラグメントの一つで、ヘテロ3量体の coiled−coil ドメインの一部とα鎖C末端領域にある3個の LG ドメイン(LG1〜LG3)からなる。E8フラグメントは、ラミニンのα鎖、β鎖、γ鎖が互いに coiled−coil ドメインを介して会合したヘテロ3量体分子のインテグリン結合部位に該当するとされている。したがって、好ましいフラグメントとしては、ラミニン全長において、インテグリン結合部位が実質的に保持されたものを使用することができる。このようなフラグメントは、ラミニン511−E8フラグメント、ラミニン521ーフラグメントの情報を元に、適宜改変して作製することができることが理解される。
ここで、ヒトラミニンα5β1γ1のE8フラグメント(本明細書において「ヒトラミニン511−E8」ともいう。)は、マウスラミニンα1β1γ1のE8フラグメント(本明細書において「マウスラミニン111−E8」ともいう。)に相当するヒトラミニンα5β1γ1(本明細書において「ヒトラミニン511」ともいう)のフラグメントを意味する。ラミニンのE8フラグメントは、マウスラミニンα1β1γ1(以下、「マウスラミニン111」と記す。)をエラスターゼで消化して得られたフラグメントの中で、強い細胞接着活性をもつフラグメントとして同定されたものである(Edgar D., Timpl R., Thoenen H. The heparin-binding domain of lamininis responsible for its effects on neurite outgrowth and neuronal survival. EMBOJ., 3:1463-1468, 1984.、Goodman SL., Deutzmann R., von der Mark K.Two distinctcell-binding domains in laminin can independently promote nonneuronal celladhesion and spreading. J. Cell Biol., 105:589-598, 1987.)。ヒトラミニン511およびヒトラミニン332についてもエラスターゼで消化した際にマウスラミニン111−E8に相当するフラグメントの存在が推定されている。本発明に用いられるヒトラミニン511−E8は、ヒトラミニン511のエラスターゼ消化産物であることを要するものではなく、マウスラミニン111−E8と同様の細胞接着活性を有し、同様の構造を有し、同程度の分子量を有するヒトラミニン511のフラグメントであればよい。ヒトラミニン511−E8の製造方法は特に限定されず、例えば、全長のヒトラミニン511をエラスターゼ等のタンパク質分解酵素で消化し、目的のフラグメントを分取、精製する方法や、組換えタンパク質として製造する方法などが挙げられる。製造量、品質の均一性、製造コスト等の観点から、組換えタンパク質として製造することが好ましい。組換えヒトラミニン511−E8は、公知の遺伝子組換え技術を適宜用いることにより製造することができる。組換えヒトラミニン511−E8の製造方法としては、例えば、ヒトラミニン511−E8のα鎖、β鎖およびγ鎖の各タンパク質をコードするDNAをそれぞれ取得し、これをそれぞれ発現ベクターに挿入し、得られた3種類の発現ベクターを適切な宿主細胞に共導入して発現させ、3量体を形成しているタンパク質を公知の方法で精製することにより製造できる(例えば、HiroyukiIdo, et al, “The requirement of the glutamic acid residue at the third positionfrom the carboxyl termini of the laminin γ chains in integrin binding bylaminins” The Journal of Biological Chemistry, 282, 11144-11154, 2007.参照)。具体的な作製方法としては、JP2011-78370を参照することができる。同様のフラグメントは、ヒトラミニン521を用いても作製することができる。これは、ラミニン521−E8フラグメントと称され、ラミニン511−E8と同様に作製することができ、ラミニン511−E8と同様の活性を保持することが理解される。
1つの好ましい実施形態では、前記因子は、ラミニン511、ラミニン521、ラミニン511−E8フラグメントまたはラミニン521−E8フラグメントである。
1つの好ましい実施形態では、前記角膜内皮細胞はヒトのものである。
本発明が対象とする内皮細胞は、ドナー角膜からのネイティブな角膜内皮を、デスメ膜の完全性(integrity)および実質層の構造と機能に害を与えることなく除くことにより剥離角膜として調製することができる(例えば、WO2005/038015)。剥離角膜はヒト角膜内皮培養細胞として用いることができる。
別の局面において、本発明は、本発明の因子または組成物をコーティングした角膜内皮細胞の培養容器を提供する。
角膜内皮細胞の培養のためのラミニン等の被覆容器または培養用プレートの調製は、当該分野で公知の手法を参酌して実施することができる。培養容器の調製(コーティング)は以下のようにして行うことができる。例えば、リン酸緩衝液で20μg/mLに希釈したラミニン溶液を培養皿に添加し、37℃(5% CO2) で2時間インキュベートし、その後、溶液を取り除き、リン酸緩衝液と培地で各2回ずつ洗浄し使用することができる。
したがって別の局面では、本発明はまた、角膜内皮細胞において発現するラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子(例えば、ラミニン511、ラミニン521またはそれらのフラグメント)を含む系で細胞を培養するための細胞培養容器を固相化(コーティング)するための組成物、あるいは、細胞培養容器を固相化(コーティング)するための薬剤に関する。1つの実施形態では、本発明の組成物または薬剤は、コーティング用組成物又はコーティング剤である。培養容器の表面にラミニンを固相化する処理技術は当該分野で公知であり、当業者は本発明の目的に応じて任意の培養容器を採用して該容器を処理し、該容器を本発明の方法に用いることができる。
別の局面では、本発明はさらに、上記組成物または薬剤を含む、キットに関する。本発明のキットは、さらに、細胞培養用培地、細胞培養容器等を含んでもよい。細胞培養容器は、例えば、プレコート培養ディッシュ、プレコート培養プレート等でもよい。あるいは、キットの細胞培養容器は、角膜内皮細胞において発現するラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子(例えば、ラミニン511、ラミニン521またはそれらのフラグメント)を固相化した状態あってもよい。本発明の細胞培養容器、組成物、剤、キットは、本発明の角膜内皮細胞において発現するラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子(例えば、ラミニン511、ラミニン521またはそれらのフラグメント)を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法に使用することができる。
(角膜内皮細胞を培養する方法)
別の局面において、本発明は、本発明の組成物を用いた、角膜内皮細胞の培養方法を提供する。すなわち、本発明は、本発明の因子(ラミニン、そのフラグメント等)を用いて角膜内皮細胞を培養する工程を包含する、角膜内皮細胞を培養する、培養または増殖する方法を提供する。本発明の方法において用いられる因子(ラミニン、そのフラグメント等)は、本明細書において説明される任意の形態を用いることができることが理解される。また、本発明の方法において使用されうる培養成分は、角膜内皮の培養に用いられうる成分であればどのようなものでも用いることができ、本明細書において説明される任意の形態のものを例示することができる。
1つの実施形態では、本発明において培養される角膜内皮細胞は霊長類由来である。好ましい実施形態では、本発明において培養される角膜内皮細胞はヒト由来である。
好ましい実施形態では、本発明の方法が目的とする培養は、角膜内皮障害の予防または治療のための細胞培養であり、特に移植用の細胞または組織等を生産するために用いることができる。
角膜内皮細胞を培養する際の温度条件は、角膜内皮細胞が生育する限りにおいて特に限定されないが、例えば約25℃〜約45℃、増殖効率を考慮すれば好ましくは約30℃〜約40℃、さらに好ましくは約37℃である。培養方法は、通常の細胞培養用インキュベーター内で、加湿下、約5〜10%のCO濃度の環境下で行われる。
本発明において使用されうる培養成分は、角膜内皮の培養に用いられうる成分であればどのようなものでも用いることができ、従来販売され使用されている培地成分であってもよく、あるいは、別途角膜内皮用に開発された成分であってもよい。そのような培地成分の例としては、OptiMEM、DMEM,M199、MEM等(これらは、INVITROGEN等から入手可能)を挙げることができるがこれらに限定されない。
本発明は、細胞培養において、本発明の因子(例えば、特定のラミニンまたはそのフラグメント)を含む細胞培養系において、特定のポリペプチドおよび/またはペプチドを併せて使用することにより、種々の特定のラミニンまたはそのフラグメントの活性を上昇させることを特徴とする。ポリペプチドは、血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)またはアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、ならびに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択される。限定されるわけではないが、本発明の1つの実施形態では、追加の成分として使用されうるポリペプチドおよび/またはペプチドは、血清アルブミン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質またはペプトンであり、あるいは、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、免疫グロブリンまたはゼラチンである。
本発明においては、好ましくは、血中タンパク質、より好ましくは、細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質を本発明の因子(特定のラミニンまたはそのフラグメント)とともに使用することができる。血中タンパク質は、好ましくは血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)またはアディポネクチンから選択される。これらはいずれも細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質である。「細胞外マトリックス」とは、細胞外の空間を充填する物質であると同時に骨格的役割(例:動物の軟骨や骨)、細胞接着における足場の役割(例:基底膜やフィブロネクチン)、細胞増殖因子などを保持・提供する役割(例:ヘパラン硫酸に結合する細胞増殖因子FGF)などを担う。多細胞生物を構成する個々の細胞の多くは細胞外マトリックスのベッドあるいは巣に埋もれて生活しているとも言える。ヒトを含めた脊椎動物の細胞外マトリックスに顕著な成分は、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンやラミニンといった糖タンパク質(一部は細胞接着分子)である。「細胞外マトリックスタンパク質」とは、このような細胞外マトリックスを構成するタンパク質を意味する。
本発明における、「細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質」とは、血中タンパク質のうちでも、細胞接着等に関与する細胞外マトリックスタンパク質以外のものを意味する。これらは、いずれも公知のタンパク質であり当業者は適宜入手することが可能である。細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質好ましくは、ヒト血清アルブミン(HSA/例えば、ナカライテスクより入手可能)、組換えヒト血清アルブミン(rHSA/例えば、SIGMA−ALDRICHより入手可能)、またはウシ血清アルブミン(BSA/例えば、SIGMA−ALDRICHより入手可能)であるがこれらに限定されない。また、「細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、免疫グロブリンであってもよい。免疫グロブリンは当業者に周知であり、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEなどが含まれる。例えば、ヒト免疫グロブリン(IgG/例えば、オリエンタル酵母工業株式会社より入手可能)を使用することができるが、これらに限定されない。
本明細書において言及される「ゼラチン」とは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加えて抽出したもので、タンパク質を主成分とする。
本明細書では、追加の成分として、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質を使用することができる。「腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor、TNF)」は、サイトカインの一種であり、狭義にはTNFはTNF−α、TNF−β(リンホトキシン(LT)−α)およびLT−βの3種類である。「TNFファミリーに属するタンパク質」には、受容体活性化因子NFκBリガンド(RANKL)、Fasリガンド、CD40リガンド等の少なくとも19種類以上の分子が含まれる。本発明において使用される追加の成分として使用される、TNFファミリーに属するタンパク質の例として、好ましくは、受容体活性化因子NFκBリガンド(RANKL、sRANKL)が使用されうる。
本発明では、追加の成分としてペプトンを利用しうる。「ペプトン」とは、タンパク質をタンパク質分解酵素で分解したものである。生体内ではタンパク質が胃でペプシンにより消化されてペプトンとなり、膵臓で分泌される膵液や空腸で分泌される腸液によりさらにアミノ酸まで消化される。微生物の栄養源として適しているため、培地においてしばしば添加される。この培地栄養源としてのペプトンは、蛋白質をアミノ酸および低分子量のペプチドまで加水分解したもので、一般には牛乳の蛋白質(ミルクカゼイン)を酵素分解(豚の膵臓から抽出したパンクレアチンなどのプロテアーゼを使用)したものが一般的に使用されている。限定されるわけではないが、ペプトンは好ましくは植物由来のものが使用される。例えば、綿実由来ペプトン、大豆由来ペプトン、小麦由来ペプトンおよびエンドウ豆由来ペプトンからなる群から選択される。
(角膜内皮細胞および角膜内皮製剤)
本発明は、本発明の方法で培養して生産される角膜内皮細胞を提供する。本発明は、通常の培養を行い継代しても、正常に培養または増殖した細胞である点で従来の細胞に無い性質を有するということができる。そして、最も重要な性質は、機能としては正常な角膜内皮の性質を有しているという点である。したがって、本発明が提供する角膜内皮細胞は、製剤として提供されうることから、本発明は、角膜内皮製剤を提供するということになる。したがって、本発明は、本発明の因子もしくは組成物を含む培養液または本発明の因子もしくは組成物がコーティングされた容器を用いて角膜内皮細胞を培養する工程を含む、角膜内皮製剤の製造方法を提供する。
1つの局面において、本発明の角膜内皮製剤は、基材と、その基材上で培養した角膜内皮細胞層とを含有する。
本発明において使用される基材とは、培養角膜内皮細胞層を担持し、移植後一定期間好ましくは少なくとも3日間は生体内でもその形状を維持しうるものであれば特に限定されるものではない。また、本発明において使用される基材は、角膜内皮細胞を試験管内で培養する場合のスキャフォールドとしての役割を有するものであってもよく、培養後の角膜内皮細胞層を担持させる役割のみを有するものであってもよい。好ましくは、本発明において使用される基材は、角膜内皮細胞の培養に用いられ、培養完了後にそのまま移植に供することが可能なスキャフォールドとしての役割を有するものである。
本発明において使用される基材としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、セルロース等の天然物由来の高分子材料、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)等の合成高分子材料、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等の生分解性高分子材料、ハイドロキシアパタイト、羊膜などがあげられる。
本発明において使用される基材の形状は、角膜内皮細胞層を担持し、移植に適する形状であれば特に限定されるものではないが、シート状であることが好ましい。本発明の製剤がシート状の場合、移植時に適用部位に合わせた大きさに切断して用いることができる。また、シートを小さく丸めた後、創口から挿入することも可能である。好ましい具体例として、障害した角膜内皮の面積の約8割を覆う円形の形状が例示される。また、適用部位に密着可能なように、この円形の周辺部に切り込みを入れることも好ましい。
好ましい実施形態において、本発明において使用される基材の例はコラーゲンである。コラーゲンとしては、特開2004−24852号公報に記載のコラーゲンシートが好適に使用できる。かかるコラーゲンシートは、特開2004−24852号公報に記載の方法に従って、例えば、羊膜から調製することができる。
以下に角膜内皮製剤の一例として角膜内皮細胞層の調製を記載する。
本発明で使用される角膜内皮細胞層は、以下の特徴を少なくとも1つ備えるものであることが好ましい。より好ましくは、以下の特徴を2つ以上、さらにより好ましくは全て備えるものである。
(1)細胞層が単層構造である。これは生体の角膜内皮細胞層が備える特徴の一つである。
(2)細胞層における細胞密度は約1,000〜約4,000細胞/mmである。特に、成人をレシピエント(移植者)とする場合には約2,000〜約3,000細胞/mmであることが好ましい。
(3)細胞層を構成する細胞の平面視形状が略六角形である。これは生体における角膜内皮細胞層を構成する細胞が備える特徴の一つである。本発明の製剤は生体の角膜内皮細胞層に類似し、生来の角膜内皮細胞層と同様の機能を発揮するとともに、生体内で増殖能も発揮することができる。
(4)細胞層において細胞が規則正しく整列している。生体の角膜内皮細胞層においてはそれを構成する細胞は規則正しく整列しており、これによって角膜内皮細胞の正常な機能と高い透明性が維持され、また角膜の水分調整機能が適切に発揮されると考えられている。したがって、このような形態的な特徴を備えることにより、本発明の製剤は、生体における角膜内皮細胞層と同様の機能を発揮することが期待される。
本発明の製造方法は、本発明の因子、組成物、または容器を用いて角膜内皮細胞を培養する工程を含み、例えば以下の方法により実施され得る。
<1>角膜内皮細胞の採取および試験管内での培養
角膜内皮細胞はレシピエント自身または適切なドナーの角膜から常法で採取される。本発明における移植条件を考慮すれば、同種由来の角膜内皮細胞を準備すればよい。例えば、角膜組織のデスメ膜と内皮細胞層を角膜実質から剥離した後、培養皿に移し、ディスパーゼなどで処理する。これによって角膜内皮細胞はデスメ膜より脱落する。デスメ膜に残存している角膜内皮細胞はピペッティングなどによって脱落させることができる。デスメ膜を除去した後、本発明の培養液中で角膜内皮細胞を培養する。培地または培養液としては例えば市販のDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)(例えば、INVITROGEN、カタログ番号:12320等を)にFBS(ウシ胎仔血清)(例えば、BIOWEST、カタログ番号:S1820−500)、b−FGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)(例えば、INVITROGEN、カタログ番号:13256−029)、およびペニシリン、ストレプトマイシンなどの抗生物質を適宜添加し、さらに本発明の培養正常化剤の成分を添加したものを使用することができる。本発明の因子をコーティングして培養を行うことで角膜内皮細胞の培養容器表面への接着が促され、良好な増殖が行われる。また、培養液にラミニンを添加して培養する場合は、培養皿の表面にI型コラーゲン、IV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンまたはウシ等の角膜内皮細胞の細胞外マトリックスなどをコーティングしてあるものを使用することが好ましい。あるいは、通常の培養容器をFNC coating mix(登録商標)(50ml(AES−0407)、ATHENA、カタログ番号:0407)等の市販のコーティング剤で処理したものを用いてもよい。角膜内皮細胞を培養する際の温度条件は、角膜内皮細胞が生育する限りにおいて特に限定されないが、例えば約25℃〜約45℃、増殖効率を考慮すれば好ましくは約30℃〜約40℃、さらに好ましくは約37℃である。培養方法は、通常の細胞培養用インキュベーター内で、加湿下、約5〜10%のCO濃度の環境下で行われる。
<2>継代培養
培養に供された角膜内皮細胞が増殖した後に継代培養を行うことができる。好ましくはサブコンフルエントないしコンフルエントになった時点で継代培養を行う。継代培養は次のように行うことができる。まずトリプシン−EDTA等で処理することによって細胞を培養容器表面から剥がし、次いで細胞を回収する。回収した細胞に本発明の培養正常化剤または培地を加えて細胞浮遊液とする。細胞を回収する際、あるいは回収後に遠心処理を行うことが好ましい。かかる遠心分離処理によって細胞密度の高い細胞浮遊液を調製することができる。好ましい細胞密度は、約1〜2×10個/mLである。尚、ここでの遠心分離処理の条件としては、例えば、500rpm(30g)〜1000rpm(70g)、1〜10分を挙げることができるがこれらに限定されない。
細胞浮遊液は上記の初期培養と同様に培養容器に播種され、培養に供される。継代時の希釈倍率は細胞の状態によっても異なるが、約1:2〜1:4、好ましくは約1:3である。継代培養は上記の初期培養と同様の培養条件で行うことができる。培養時間は使用する細胞の状態などによっても異なるが、例えば7〜30日間である。以上の継代培養は必要に応じて複数回行うことができる。本発明の因子、組成物、培地または容器において、細胞接着促進剤(例えば、ROCK阻害剤等)を用いれば、培養初期の細胞接着を亢進させることにより、培養期間の短縮が可能となる。
<3>角膜内皮細胞層の調製
細胞浮遊液は、コラーゲンシート等の基材上に播種され、培養に供される。この際、最終的に製造される角膜内皮製剤において所望の細胞密度の細胞層が形成されるように播種する細胞数が調整される。具体的には細胞密度が約1,000〜約4,000細胞/mmの細胞層が形成されるように細胞を播種する。培養は上記の初期培養などと同様の条件で行うことができる。培養時間は使用する細胞の状態などによっても異なるが、例えば3〜30日間である。
以上のようにして培養を行うことにより、基材上に試験管内で培養した角膜内皮細胞層が形成された角膜内皮製剤が得られる。
本発明において、角膜内皮製剤は、角膜内皮細胞を培養または増殖するために、本発明の因子、組成物、もしくはそれを含む培地を含んでいてもよく、またはそれを含む容器において維持されていてもよい。また、角膜内皮製剤は、移植に供されるまでに本発明の因子、組成物、もしくはそれを含む培地を含んでいてもよく、またはそれを含む容器において維持されていてもよい。本発明は、角膜内皮製剤と本発明の因子、組成物、もしくはそれを含む培地を含んでいてもよく、またはそれを含む容器との組合せも提供する。
本発明の製造方法により得られた角膜内皮製剤は、角膜内皮の移植が必要な疾患、例えば水疱性角膜症、角膜浮腫、角膜白斑、特に、角膜ジストロフィ、外傷または内眼手術に起因する角膜内皮障害によって生じる水疱性角膜症の治療における移植片として用いることができる。このような水疱性角膜症、角膜内皮障害などの原因としては、手術のほかフックス角膜内皮ジストロフィ、偽落屑症候群、角膜内皮炎等を挙げることができる。
本発明の角膜内皮製剤の投与対象は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)があげられ、好ましくは霊長類(例えば、ヒト)である。
(角膜内皮疾患、障害または状態の処置または予防)
本発明は、角膜内皮細胞の培養または増殖のための方法(この方法は、本発明の因子、組成物、もしくは培地または容器を用いて角膜内皮細胞を培養する工程を包含する)によって生産された角膜内皮細胞を含む、角膜内皮疾患、障害または状態の処置または予防のための医薬を提供する。本発明の因子、組成物、もしくは培地または容器は本明細書において説明される任意の形態を用いることができることが理解され、例えば、(角膜内皮細胞の培養または増殖のための組成物)、(角膜内皮細胞を培養する方法)、(角膜内皮細胞および角膜内皮製剤)等の本明細書に記載された事項を参酌することができる。また、医薬として使用される角膜内皮細胞は、本明細書において使用される任意の形態をとり得ることが理解され、例えば、(角膜内皮細胞および角膜内皮製剤)に記載された事項を参酌することができる。
1つの実施形態では、本発明の医薬は、霊長類の角膜内皮疾患、障害または状態の処置または予防を目的とする。好ましくは、この処置または予防の対象は、ヒトの角膜内皮である。
1つの実施形態では、本発明の医薬において使用される角膜内皮細胞は霊長類由来である。好ましくは、本発明の医薬において使用される角膜内皮細胞はヒト由来である。
1つの実施形態では、本発明の医薬が対象とする角膜内皮疾患、障害または状態が水疱性角膜症、角膜内皮炎、角膜浮腫、角膜白斑等である。
1つの実施形態では、本発明の医薬は、シート状または懸濁物で提供される。
1つの実施形態では、本発明の医薬は、細胞接着促進剤をさらに含む。細胞接着促進剤は、角膜組織から分離された角膜内皮細胞または分離され継代した角膜内皮細胞に対して接着促進作用を奏する。この細胞接着促進剤は、医薬として提供される角膜内皮細胞と一緒にまたは別々に提供されることができる。具体的な実施形態では、本発明の医薬において使用される細胞接着促進剤としては、Rhoキナーゼ阻害剤を挙げることができる。Rhoキナーゼ阻害剤としては、下記文献:米国特許4678783号、特許第3421217号、国際公開第95/28387、国際公開99/20620、国際公開99/61403、国際公開02/076976、国際公開02/076977、国際公開第2002/083175、国際公開02/100833、国際公開03/059913、国際公開03/062227、国際公開2004/009555、国際公開2004/022541、国際公開2004/108724、国際公開2005/003101、国際公開2005/039564、国際公開2005/034866、国際公開2005/037197、国際公開2005/037198、国際公開2005/035501、国際公開2005/035503、国際公開2005/035506、国際公開2005/080394、国際公開2005/103050、国際公開2006/057270、国際公開2007/026664などに開示された化合物があげられる。かかる化合物は、それぞれ開示された文献に記載の方法により製造することができ、例えば、1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジンまたはその塩(たとえば、ファスジル(1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン))、(+)−トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその塩(たとえば、Y−27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)など)などを挙げることができる。
本発明の医薬または方法の投与(移植)対象は、晴乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル等)があげられるが、霊長類が好ましく、特にヒトが好ましい。霊長類での角膜内皮治療はこれまで十分な成績が達成されておらず、その意味で本発明は画期的な治療法および医薬を提供する。
別の局面において、本発明は、角膜内皮細胞を正常に培養する方法(この方法は、本発明の因子、組成物、培地または容器を用いて角膜内皮細胞を培養する工程を包含する、)によって生産された角膜内皮細胞を用いる工程を包含する、角膜内皮疾患、障害または状態の処置または予防のための方法を提供する。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に、本発明の角膜内皮細胞の細胞を正常に培養する例を記載する。該当する場合生物試料等の取り扱いは、厚生労働省、文部科学省等において規定される基準を遵守し、該当する場合はヘルシンキ宣言またはその宣言に基づき作成された倫理規定に基づいて行った。研究のための眼の寄贈については、全ての故人ドナーの近親者から同意書を得た。本研究は、SightLifeTM(Seattle,WA)アイバンクの倫理審査により承認された。
(実験手法:研究グレードのヒト角膜組織)
それぞれ、12個のヒトドナー角膜は、SightLifeTMアイバンクから入手し、全ての角膜を、初代培養前に14日未満の期間にわたり、保存培地(Optisol;Chiron Vision Corporation,Irvine,CA)中、4℃で保存した。
(統計解析)
2サンプルの比較の平均値における統計的有意差(P値)は、スチューデントのt検定を用いて決定した。複数のサンプルセットの比較における統計的有意差は、ダネットの多重比較検定を用いて解析した。グラフに示す値は平均±SEを表す。
(実施例1:角膜内皮細胞およびデスメ膜におけるラミニン鎖およびインテグリン鎖の発現)
本実施例では、角膜内皮細胞の基底膜であるデスメ膜におけるラミニン鎖の発現を観察した。
(材料および方法)
ラミニン鎖mRNAの発現はPCR法にて行った。なお、データは示さないがタンパク質の発現についても免疫染色にて確認している。
二次抗体はPBSにて希釈し、室温30分間インキュベートした。使用する二次抗体には、AlexaTM Fluor 488標識(conjugated)ヤギ抗ウサギIgG(カタログ番号:A11034;1:1500; Molecular Probe−Invitrogen)を用いた。0.15 % Triton/PBS−にて2回、PBS−にて1回振盪洗浄後、ヨウ化プロピジウム(カタログ番号:SP29004−41;PI; Nacalai Tesque, Inc. Kyoto, Japan)にて核染色を行い、カバーガラスをかけて包埋した。共焦点レーザー顕微鏡(Olympus Fluoview, Tokyo, Japan)にて観察し、写真撮影した。
PCR法にて使用したラミニン鎖のプライマーの配列は以下の表1に示す。PCR法にて使用したインテグリン鎖のプライマーの配列は以下の表2に示す。これらのプライマーはライフテクノロジーズジャパン株式会社(カタログ番号:10336022) から入手した。
・PCR法:RT-PCR(半定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)により、各ラミニン鎖およびインテグリン鎖に対するPCR法を行った。プライマーは、オリゴヌクレオチド合成会社であるINVITROGENから購入し、脱塩処理したものを用いた。細胞からの総RNAの抽出にはRNEasy Mini Kit(QIAGEN社、カタログ番号:74106)を用いた。シアトルアイバンクから購入した研究用角膜より、角膜内皮細胞を含むデスメ膜を剥離し、角膜内皮細胞を基底膜とともに機械的に剥離して、角膜内皮細胞からのRNA抽出に用いた。RNAはReverTra Ace(TOYOBO社(カタログ番号:TRT−101))により逆転写反応(42℃、60分間)を行い、TAKARA Taq HotStart Version(タカラバイオ社、カタログ番号:RR001A)によりGAPDHを内部標準としてCD166、CD73を増幅した。同量のcDNAを、PCR機(GeneAmp 9700;Applied Biosystems)と、下記のプライマーペアによって増幅した。PCR反応にはTable1および2および下記に示すプライマーを用いた。
・GAPDH-F:GAGTCAACGGATTTGGTCGT (配列番号85)
・GAPDH-R:TTGATTTTGGAGGGATCTCG (配列番号86)
増幅されたDNA断片は1.5%アガロースゲル(ナカライテスク、カタログ番号:01149−76)で電気泳動し、エチジウムブロマイド(ナカライテスク、カタログ番号:14603−51)での染色により検出した。
・フローサイトメトリー:培養ヒト角膜内皮をFNC Coating Mixをコートした培養皿へ播種し、37℃で5%COの条件下にてコンフルエントに到達するまで約14日間培養した。TrypLETM Selectにて細胞を剥離して回収した。Human Cell Surface Marker Screening Panel(BD LyoplateTM、BD Bio-sciences, Franklin Lakes, NJ)を用いて、説明書に準じてフローサイトメーター(BD FACSCantoTMII (BD Biosciences、Franklin Lakes、NJ))を使用してインテグリン鎖の表面抗原解析を行った。
ヒトの角膜内皮細胞の培養は以下の通り行った。シアトルアイバンクから購入した研究用角膜より、角膜内皮細胞を含むデスメ膜を剥離し、角膜内皮細胞を基底膜とともに機械的に剥離して、コラゲナーゼ(ROCHE カタログ番号:10 103 586 001)を用いて基底膜よりはがして(代表的には、1mg/mLコラゲナーゼA(Roche Applied Science)を用いて37℃にて2時間処理した。)回収後、初代培養を行った。培地はOpti−MEM I Reduced−Serum Medium, Liquid(INVITROGEN カタログ番号:31985−070)+8%ウシ胎仔血清(FBS)(BIOWEST、カタログ番号:S1820−500)+200mg/ml CaCl・2HO(SIGMA カタログ番号:C7902−500G)+0.08% コンドロイチン硫酸(SIGMA カタログ番号:C9819−5G)+20μg/ml アスコルビン酸(SIGMA カタログ番号:A4544−25G)+50μg/ml ゲンタマイシン(INVITROGEN カタログ番号:15710−064)+5ng/ml EGF(INVITROGEN カタログ番号:PHG0311)を3T3フィーダー細胞用に馴化させたものを用いた。具体的には、37℃での消化後、個々の角膜から得られたHCECを培養培地中に再懸濁させ、FNC Coating Mix(登録商標)でコーティングした12ウェルプレートの1ウェルにプレーティングした。培養培地は、一部の改変を加えた公開されたプロトコールに従って調製した。簡単に述べると、OptiMEM−I(Life Technologies)、8% FBS、5ng/mL 上皮増殖因子(EGF)(Sigma−Aldrich Co.,St.Louis,MO)、1μM SB431542(Merck Millipore)、20μg/mL アスコルビン酸(Sigma−Aldrich)、200mg/L 塩化カルシウム(Sigma−Aldrich)、0.08% コンドロイチン硫酸(和光純薬工業株式会社、大阪市)および50μg/mLのゲンタマイシンを含有する基本培養培地を準備し、次いで、不活性化3T3線維芽細胞の培養後に馴化培地を回収した。3T3線維芽細胞の不活性化は、以前に記載されたとおりに実施した。簡単に述べると、コンフルエントな3T3線維芽細胞を4μg/mL マイトマイシンC(MMC)(協和発酵キリン株式会社、東京都)とともに、5%CO下で37℃にて2時間インキュベートし、次いでトリプシン処理し、そして、2×10細胞/cmの密度でプラスチック皿にプレーティングした。HCECは、5%CO中37℃にて加湿雰囲気下で培養し、2日おきに培養培地を交換した。HCECが14〜28日でコンフルエントに達すると、これらを、Ca2+およびMg2+非含有PBS中でリンスし、37℃にて5分間0.05%トリプシン−EDTAでトリプシン処理し、そして、1:2の比で継代した。
(結果)
デスメ膜(角膜内皮細胞基底膜)におけるラミニン鎖の発現をみたところ、ラミニンα5鎖、ラミニンβ1鎖、ラミニンγ1鎖、の発現が著明であり、他方、ラミニンα1鎖、ラミニンα2鎖、ラミニンα3鎖における発現は明らかでなかった(データ示さず)。
図1に示すように、ヒト角膜内皮細胞のラミニン鎖のmRNA発現をみたところ、ラミニンα5鎖、ラミニンβ1鎖、ラミニンβ2鎖、およびラミニンγ1鎖の発現が著明であり、他方、ラミニンα1鎖、ラミニンα2鎖、ラミニンα3鎖、ラミニンα4鎖、ラミニンβ3鎖、ラミニンγ2鎖、およびラミニンγ3鎖の発現は明らかでなかった。
図2に示すように、インテグリンα1鎖、インテグリンα2鎖、インテグリンα3鎖、インテグリンα6鎖、インテグリンα10鎖、インテグリンα11鎖、インテグリンβ1鎖、インテグリンβ5鎖、インテグリンβ8鎖、インテグリンαV鎖の発現が認められた。インテグリンβ3鎖、インテグリンβ4鎖、インテグリンβ6鎖においてもわずかに発現が認められた。このことより角膜内皮細胞はラミニン結合インテグリンと知られるインテグリンであるα1β1、α2β1、α3β1、α6β1、α7β1、α6β4の少なくとも1つ以上を発現することが示唆された。
図3(図3A〜図3C)に示すように、表面抗原としての発現としてもインテグリンα1鎖、インテグリンα2鎖、インテグリンα3鎖、インテグリンα5鎖、インテグリンβ1鎖の発現が認められた。
(実施例2:ヒト角膜内皮細胞の細胞接着の促進)
本実施例では、ラミニン等を培養容器にコーティングしたものを用いて、ヒト角膜内皮細胞の細胞接着がなされるかどうかを確認した。
(材料および方法)
・ラミニン511(株式会社ベリタス、LN511)
・ラミニン521(株式会社ベリタス、LN521)
・ラミニン511−E8フラグメント(株式会社ニッピ、382-02413)
・FNC coating mix(登録商標)(50ml(AES−0407)、ATHENA、カタログ番号:0407)
・ゼラチン(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社、G1890-500G)
・容器(CORNING、3526)
(手法)・ヒト角膜内皮細胞(HCEC、入手先および培養方法):HCECの培養は、上述の実施例1の通りに行った。培養した細胞は、Ca2+およびMg2+非含有PBS中でリンスし、37℃にて5分間0.05%トリプシン−EDTAでトリプシン処理し、FNC Coating Mix(登録商標)でコーティングした12ウェルプレートに播種した。培養培地は、一部の改変を加えた公開されたプロトコールに従って調製した。簡単に述べると、OptiMEM−I(Life Technologies)、8% FBS、5ng/mL 上皮増殖因子(EGF)(Sigma−Aldrich Co.,St.Louis,MO)、10μM SB431542(Merck Millipore)、20μg/mL アスコルビン酸(Sigma−Aldrich)、200mg/L 塩化カルシウム(Sigma−Aldrich)、0.08% コンドロイチン硫酸(和光純薬工業株式会社、大阪市)および50μg/mLのゲンタマイシンを含有する基本培養培地を準備し、次いで、不活性化3T3線維芽細胞の培養後に馴化培地を回収した。3T3線維芽細胞の不活性化は、以前に記載されたとおりに実施した。簡単に述べると、コンフルエントな3T3線維芽細胞を4μg/mL マイトマイシンC(MMC)(協和発酵キリン株式会社、東京都)とともに、5%CO下で37℃にて2時間インキュベートし、次いでトリプシン処理し、そして、2×10細胞/cmの密度でプラスチック皿にプレーティングした。HCECは、5%CO中37℃にて加湿雰囲気下で培養し、2日おきに培養培地を交換した。
(手法)HCECをラミニン511、ラミニン521、ラミニン211、ゼラチン、FNC Coating Mix(登録商標)でコーティングした96ウェルプレートの各ウェルに播種して24時間後の細胞形態を位相差顕微鏡にて観察した。96ウェル培養プレートに、5,000個/ウェルの播種密度で播種し、細胞播種後24時間の時点での接着細胞数をCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay (PromegaCorporation, Madison, WI, USA)を用いて検討した。また、ラミニン511−E8フラグメント(0.001〜1.5μg/cm2)でコーティングした培養皿においても細胞の接着を評価した。また、ラミニン521およびラミニン511−E8フラグメントを各種濃度で培地に添加して播種し24時間後の細胞数を同様に評価した。
(BrdU取り込みによる細胞増殖測定)
同様に各種基質でコーティングしたHCECのBrdUとり込みをELISA法により評価した。96ウェル培養プレートに、5,000個/ウェルの播種密度で播種し一晩培養した。その後、培地に5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)を添加し、一晩培養した。培地を除去し、固定溶液(Amersham cellproliferation biotrak ELISA system, version2)を加えて30分間室温でインキュベートした。次いで、固定溶液を除去し、ブロッキング溶液(Amersham cellproliferation biotrak ELISA system, version2)を加えて30分間、室温で静置した。次いで、ブロッキング溶液を除去し、ペルオキシダーゼ結合抗BrdU抗体を添加し、室温で90分静置した。洗浄バッファーで3回プレートを洗浄し、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)基質(Amersham cell proliferationbiotrak ELISA system, version2)を加えて5〜30分間静置した。1M 硫酸で反応を停止し、プレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。結果は5回の測定の平均値±標準誤差として示した。
(結果)
図4に示すように、ラミニン511および521の存在下では、角膜内皮細胞の接着、伸展が良好であるのに対して、それ以外の条件では、増殖が良好ではないことが示される。
図5に示すように、ラミニン511および521の存在下では、角膜内皮細胞の細胞接着はそれ以外の条件と比較して良好であることが示される。
図6に示すように、ラミニン511−E8フラグメントの存在下では、角膜内皮細胞の細胞増殖はそれ以外の条件と比較して良好であることが示される。特に0.1〜1.5μg/cm2の濃度において有意に細胞接着は促進された。
図7に示すように、ラミニン511および521およびラミニン511−E8フラグメントの存在下では、角膜内皮細胞の細胞増殖はそれ以外の条件と比較して良好であることが示される。
(実施例3:ラミニン511および521はヒト角膜内皮細胞の細胞培養における機能付与分析)
本実施例では、ラミニン511および521はヒト角膜内皮細胞の細胞培養における機能付与分析を行った。
(材料および方法)
・ヒト角膜内皮細胞(HCEC、入手先および培養方法):HCECの培養は、以下のように行った。簡単に述べると、シアトルアイバンクから購入した研究用角膜より、角膜内皮細胞を含むデスメ膜を剥離し、角膜内皮細胞を基底膜とともに機械的に剥離して、コラゲナーゼ(ROCHE カタログ番号:10 103 586 001)を用いて基底膜よりはがして(代表的には、1mg/mLコラゲナーゼA(Roche Applied Science)を用いて37℃にて2時間処理した。)回収後、初代培養を行った。初代培養時に、ラミニン511、ラミニン521、ラミニン211、FNC Coating Mix(登録商標)でコーティングした12ウェルプレートの1ウェルにプレーティングした。培地は実施例1と同様のものを用いた。細胞観察は経時的に位相差顕微鏡にて行った。
・染色等の細胞観察方法(組織学的試験):培養したHCECを固定した後に機能関連マーカーとしてZO−1、Na/K−ATPaseを用いて免疫染色を行い蛍光顕微鏡にて観察を行った。4%ホルムアルデヒドで10分間室温(RT)で固定し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)とともに30分間インキュベートした。密着結合関連タンパク質であるZO−1、ポンプ機能に関連するタンパク質であるNa/K−ATPaseの免疫組織化学分析を行った。それぞれ、一次抗体を1:200希釈を用いて実施した。二次抗体には、Alexa Fluor(登録商標)488標識、または、Alexa Fluor(登録商標)594標識ヤギ抗マウスIgG(Life Technologies)の1:2000希釈を使用した。次いで、細胞の核をDAPI(Vector Laboratories,Inc.,Burlingame,CA)で染色した。次いで、スライドを蛍光顕微鏡(BZ-9000; Keyence, Osaka, Japan)で観察した。
・Na/K−ATPaseに対する抗体:MILLIPORE社製(MILLIPORE カタログ番号:05−369)のものを用いた。
・ZO−1に対する抗体:ウサギZYMED LABORATORIES社製(ZYMED LABORATORIES カタログ番号:61−7300)のものを用いた。
(結果)
図8に示されるように、ラミニン511および521はヒト角膜内皮細胞の細胞培養を効率化することを示す。写真は初代培養2日後の位相差顕微鏡写真である。
図9に示されるように、ラミニン511および521は細胞密度の高いヒト角膜内皮細胞の細胞培養を可能にすることを示す。写真は初代培養20日後の位相差顕微鏡写真である。
図10および11に示されるようにラミニン511および521は、ZO−1およびNa/K−ATPaseの活性を保持することが示され、本発明の方法で培養すると正常な機能を維持しつつ増殖させることができることが証明された)。細胞密度はラミニン511およびラミニン521においてラミニン211および非コーティングのコントロールと比べて高かった。
図12に示すように、ラミニン521およびラミニン511−E8フラグメントを各種濃度で培地に添加して播種することで角膜内皮細胞の細胞接着は促進された。
(実施例4:製剤例:角膜内皮シート調製用培養液)
本実施例では、製剤例として、本発明の因子を含有する角膜内皮シート調製用培養液を以下のようにして製造する。
常法により下に示す培養液を調製する。
ラミニン511、ラミニン521および/またはそれらのフラグメント(0.75μg/cm2
ウシ胎仔血清(FBS) 10mL
ペニシリン−ストレプトマイシン溶液 1mL
FGF basic 200ng
DMEM 適量
全量 100mL
FBSは例えば、BIOWEST(カタログ番号:S1820−500)またはインビトロジェン製、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液はナカライテスク製(ペニシリン 5000u/mL,ストレプトマイシン 5000μg/mL含有)、FGF basicは例えば、インビトロジェン製(INVITROGEN、カタログ番号:13256−029)、SB431542はTOCRIS社製、SB203580はCALBIOCHEM社製、DMEMはインビトロジェン製を用いることができる。
(実施例5:製剤例:角膜保存または増幅用容器用組成物)
本実施例では、製剤例として、本発明の因子を含む、容器コーティング用溶液を以下のように製造する。
常法により下に示す保存液を調製する。
ラミニン511、ラミニン521および/またはそれらのフラグメント(0.75μg/cm2
適宜の緩衝液 適量
全量 100mL
各成分は、実施例4と同様に入手することができる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。本出願は、2013年11月27日に出願した特願2013−244972に対して優先権を主張するものであり、その内容はその全体が参考として本明細書において援用される。
角膜内皮細胞の増殖を促す培養用成分、培養方法が提供され、角膜移植に関連する技術に関与する産業(細胞培養産業、製薬等)において利用可能な技術が提供される。
配列番号:1 ラミニンα5鎖核酸配列(NM_005560)
配列番号:2 ラミニンα5鎖アミノ酸配列(NP_005551)
配列番号:3 ラミニンβ1鎖核酸配列(NM_002291)
配列番号:4 ラミニンβ1鎖アミノ酸配列(NP_002282)
配列番号:5 ラミニンβ2鎖核酸配列(NM_002292)
配列番号:6 ラミニンβ2鎖アミノ酸配列(NP_002283)
配列番号:7 ラミニンγ1鎖核酸配列(NM_002293)
配列番号:8 ラミニンγ1鎖アミノ酸配列(NP_002284)
配列番号:9 ラミニンα1鎖sense プライマー配列:5'-GAGTCCGTCTCTCTGGACATAG-3'
配列番号:10 ラミニンα1鎖アンチセンスプライマー配列:5'-CGTGGCATTCACAGGGTTGAC-3'
配列番号:11 ラミニンα2鎖sense プライマー配列:5'-TGCTAGAATTTACCTCCGCTCG-3'
配列番号:12 ラミニンα2鎖アンチセンスプライマー配列:5'-GATCAAGTGGACAAGCCCTG-3'
配列番号:13 ラミニンα3鎖sense プライマー配列:5'-CTCCAAAGGCCCAACTCAAG-3'
配列番号:14 ラミニンα3鎖アンチセンスプライマー配列:5'-CCATAACTGCCTCCTTAGTCTC-3'
配列番号:15 ラミニンα4鎖sense プライマー配列:5'-CTTACGCAACACCACCGGATTC-3'
配列番号:16 ラミニンα4鎖アンチセンスプライマー配列:5'-CCTTCTTCCAAGCATTCTCCG-3'
配列番号:17 ラミニンα5鎖sense プライマー配列:5'-GAGGACTGAAGTGAAAACTCAA-3'
配列番号:18 ラミニンα5鎖アンチセンスプライマー配列:5'-CCACTGAAGTTGTAAATGGTG-3'
配列番号:19 ラミニンβ1鎖sense プライマー配列:5'-GATGGTGAACTTGATGAAAAGT-3'
配列番号:20 ラミニンβ1鎖アンチセンスプライマー配列:5'-GGCTTATATCCTTTAGGAGTGA-3'
配列番号:21 ラミニンβ2鎖sense プライマー配列:5'-GATGATCGCATCCAAGGGAC-3'
配列番号:22 ラミニンβ2鎖アンチセンスプライマー配列:5'-GTCCAGAGTAGGGAGTCTCAG-3'
配列番号:23 ラミニンβ3鎖sense プライマー配列:5'-CCCAGATGGAGGAAGATGTC-3'
配列番号:24 ラミニンβ3鎖アンチセンスプライマー配列:5'-GTAGCTGAGTCTGTGGGCAG-3'
配列番号:25 ラミニンβ4鎖sense プライマー配列:5'-GGCAGGCTACTTTGGATTTC-3'
配列番号:26 ラミニンβ4鎖アンチセンスプライマー配列:5'-GCTTGAGGGATCATCTGGAC-3'
配列番号:27 ラミニンγ1鎖sense プライマー配列:5'-GATGAGATGGTGACAGATCAAG-3'
配列番号:28 ラミニンγ1鎖アンチセンスプライマー配列:5'-TTTCCAGTCTCTTCAATGGTAT-3'
配列番号:29 ラミニンγ2鎖sense プライマー配列:5'-ATCGAAGGTTACTGCGGAATC-3'
配列番号:30 ラミニンγ2鎖アンチセンスプライマー配列:5'-GTAGCCAGAAGCACAATCCTG-3'
配列番号:31 ラミニンγ3鎖sense プライマー配列:5'-GGGATACAAGAGGGAGATGC-3'
配列番号:32 ラミニンγ3鎖アンチセンスプライマー配列:5'-CATAGAAACCTGGCAAACAGC-3'
配列番号:33 インテグリン α1鎖sense プライマー配列:5'-gaagaacctcctgaaacccttt-3'
配列番号:34 インテグリン α1鎖アンチセンスプライマー配列:5'-tgatgtcatattggggaatgaa-3'
配列番号:35 インテグリン α2鎖sense プライマー配列:5'-tgatgggacagaagtaacatgc-3'
配列番号:36 インテグリン α2鎖アンチセンスプライマー配列:5'-tggaccaacatcttcaaaactg-3'
配列番号:37 インテグリン α3鎖sense プライマー配列:5'-gctctgcctttggtttatctgt-3'
配列番号:38 インテグリン α3鎖アンチセンスプライマー配列:5'-ttcccactagaaggtctgggta-3'
配列番号:39 インテグリン α4鎖sense プライマー配列:5'-atattcagtcggagctggtcat-3'
配列番号:40 インテグリン α4鎖アンチセンスプライマー配列:5'-gcatatttgtcacttccaacga-3'
配列番号:41 インテグリン α5鎖sense プライマー配列:5'-tcctcagcaagaatctcaacaa-3'
配列番号:42 インテグリン α5鎖アンチセンスプライマー配列:5'-gttgagtcccgtaactctggtc-3'
配列番号:43 インテグリン α6鎖sense プライマー配列:5'-agcaaggcagatggaataatgt-3'
配列番号:44 インテグリン α6鎖アンチセンスプライマー配列:5'-cagggtaggaatttcgatcaag-3'
配列番号:45 インテグリン α7鎖sense プライマー配列:5'-caggtcaccttctacctcatcc-3'
配列番号:46 インテグリン α7鎖アンチセンスプライマー配列:5'-accgtgacctcatacttgacct-3'
配列番号:47 インテグリン α8鎖sense プライマー配列:5'-atggaaaatgtaaccaggatgg-3'
配列番号:48 インテグリン α8鎖アンチセンスプライマー配列:5'-cagttatgaatgggcagaacaa-3'
配列番号:49 インテグリン α9鎖sense プライマー配列:5'-cactttcagcccatcaatatca-3'
配列番号:50 インテグリン α9鎖アンチセンスプライマー配列:5'-acagtgtgctgttaggcaagaa-3'
配列番号:51 インテグリン α10鎖sense プライマー配列:5'-atcagtgtggttcagagggact-3'
配列番号:52 インテグリン α10鎖アンチセンスプライマー配列:5'-gccctggctttgtagtattgtc-3'
配列番号:53 インテグリン α11鎖sense プライマー配列:5'-ggacactgctgactacgtgaag-3'
配列番号:54 インテグリン α11鎖アンチセンスプライマー配列:5'-gcgtgtgctctctatgatgaag-3'
配列番号:55 インテグリン αE鎖sense プライマー配列:5'-tagcagtgaagaagctgacgag-3'
配列番号:56 インテグリン αE鎖アンチセンスプライマー配列:5'-tctttcaggaagacgacagtga-3'
配列番号:57 インテグリン αV鎖sense プライマー配列:5'-atctgtgaggtcgaaacaggat-3'
配列番号:58 インテグリン αV鎖アンチセンスプライマー配列:5'-accttgccaataaaagctacca-3'
配列番号:59 インテグリン αL鎖sense プライマー配列:5'-gaaccattgacaccagaagtga-3'
配列番号:60 インテグリン αL鎖アンチセンスプライマー配列:5'-ttcttcaaaccccaactgtctt-3'
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配列番号:65 インテグリン αD鎖sense プライマー配列:5'-ttaaccagatgaagggctttgt-3'
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配列番号:67 インテグリン αIIb鎖sense プライマー配列:5'-gaaaagactgaggaggctgaga-3'
配列番号:68 インテグリン αIIb鎖アンチセンスプライマー配列:5'-gagaaaatatccgcaactggag-3'
配列番号:69 インテグリン β1鎖sense プライマー配列:5'-gctgaagactatcccattgacc-3'
配列番号:70 インテグリン β1鎖アンチセンスプライマー配列:5'-atttccagatatgcgctgtttt-3'
配列番号:71 インテグリン β2鎖sense プライマー配列:5'-tgatggacctctcctactccat-3'
配列番号:72 インテグリン β2鎖アンチセンスプライマー配列:5'-gaaactggttggagttgttggt-3'
配列番号:73 インテグリン β3鎖sense プライマー配列:5'-tgtttaccactgatgccaagac-3'
配列番号:74 インテグリン β3鎖アンチセンスプライマー配列:5'-tcccataagcatcaacaatgag-3'
配列番号:75 インテグリン β4鎖sense プライマー配列:5'-gcttcacacctatttccctgtc-3'
配列番号:76 インテグリン β4鎖アンチセンスプライマー配列:5'-gaaggaaggtttcagatggatg-3'
配列番号:77 インテグリン β5鎖sense プライマー配列:5'-gctggtgttcacaacagatgat-3'
配列番号:78 インテグリン β5鎖アンチセンスプライマー配列:5'-atcccagactgacaactccact-3'
配列番号:79 インテグリン β6鎖sense プライマー配列:5'-tgtgactgtggtgaatgtgtgt-3'
配列番号:80 インテグリン β6鎖アンチセンスプライマー配列:5'-caccagctagtttgcacttgtc-3'
配列番号:81 インテグリン β7鎖sense プライマー配列:5'-cacttcagacgacacattccat-3'
配列番号:82 インテグリン β7鎖アンチセンスプライマー配列:5'-cccaactgcagacttaggaatc-3'
配列番号:83 インテグリン β8鎖sense プライマー配列:5'-gcattatgtcgaccaaacttca-3'
配列番号:84 インテグリン β8鎖アンチセンスプライマー配列:5'-atttcttcaggcttctcacgtc-3'
配列番号:85 GAPDH-F: GAGTCAACGGATTTGGTCGT
配列番号:86 GAPDH-R: TTGATTTTGGAGGGATCTCG

Claims (10)

  1. 角膜内皮細胞において発現するラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、角膜内皮細胞の培養または増殖のための組成物。
  2. 前記ラミニンは、ラミニン511(α5β1γ1)およびラミニン521(α5β2γ1)を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記フラグメントは、角膜内皮細胞の細胞接着能を有する、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記因子は、ラミニン511、ラミニン521またはラミニン511−E8フラグメントである、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記角膜内皮細胞はヒトのものである、請求項1に記載の組成物。
  6. 請求項1に記載の組成物を含む、角膜内皮細胞の培養用培地。
  7. 請求項1に記載の組成物をコーティングした角膜内皮細胞の培養容器。
  8. 請求項1に記載の組成物を用いる工程を包含する、角膜内皮細胞の培養方法。
  9. 請求項6に記載の培地を用いる工程を包含する、角膜内皮細胞の培養方法。
  10. 請求項7に記載の培養容器を用いる工程を包含する、角膜内皮細胞の培養方法。
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