本開示を更に記載する前に、本開示は、本明細書において記載される特定の実施形態に限定されないことを理解されるべきであり、且つ、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的にのみ使用され、限定することを意図していないことも理解されるべきである。
ある範囲の数値が与えられるとき、文脈から別に示されている場合を除き、この範囲の上限と下限の間の中間値、並びに、この記載された範囲における任意のその他の記載の値又は中間値もまた、下限値の10分の1まで本発明内に包含されるものと理解されるべきである。これらの小さい範囲の上限と下限は、その小さい範囲に独立して含まれても良く、又、本発明内に包含され、記載の範囲内で、特に除かれる場合は別である。この記載された範囲が限度の一つ又は両者を含む場合には、これらの含められた限度のいずれか又は両者を除く範囲も又、本発明に含められる。別に定める場合を除き、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は本発明が属する技術分野の通常の技術者により一般的に理解されているものと同一の意味を有する。
本明細書で使用される場合、及び、添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数表記は、文脈から明確に異なる場合を除き、複数も含むことに留意されたい。任意の構成要素をも排除するように、特許請求の範囲を起草できることに更に留意されたい。このため、特許請求の範囲の構成要素の列挙に関連して、「ただ(solely)」、「のみ(only)」などのような排他的用語を使用すること、或いは、「否定的な(negative)」限定を使用することに対する先の記載として、本記載は役割を果たすことを目的とする。
本明細書において記載される刊行物は、本出願の出願日の前の開示のために提供されている。更に、与えられた刊行物の公表日は、実際に公表された日と異なるかもしれず、これは個別に確認される必要があるかもしれない。
概要
本開示は、様々な代謝関連の疾患(例えば、高コレステロール血症)、障害及び疾病、並びに/又は、それらの症状を治療及び/又は予防するための、本明細書において記載される薬剤の使用、及びそれらの組成物を企図する。本開示のある特定の態様においては、こうした治療又は予防は、特定の投薬パラメーターを利用することによって遂行される。本開示は、血清コレステロールの治療関連の削減を実現し、且つ、より高いIL−10血清濃度から生じる重篤な毒性を回避する、最適平均IL−10血清トラフ濃度範囲、及び、最適投薬範囲が存在する知見に基づく。
本開示のいくつかの実施形態においては、IL−10薬剤(例えば、IL−10ポリペプチド)によって治療可能な疾患又は障害を有する対象、或いは、これを有するリスクにある対象は、約1ng/mL超であるが、約10ng/mL未満である血清トラフ濃度を実現するのに十分な量のIL−10薬剤が投与され、一方、他の実施形態においては、血清トラフ濃度は、約2ng/mL超であるが、約10ng/mL未満である。
本開示のポリペプチド及び核酸分子に関連した、いかなる「ヒト」への言及も、ポリペプチド又は核酸が得られる方法又は供給源に関して、限定されることを意図するものではなく、むしろ、配列に関してのみ限定されるものであり、その理由は、それが、一連の天然のヒトポリペプチド又は核酸分子に対応することができるからであることを留意されたい。ヒトポリペプチド及びそれらをコードする核酸分子に加えて、本開示は、他の種からのIL−10−関連のポリペプチド及び対応する核酸分子を企図する。
定義
特に明記しない限り、以下の用語は、下記に記載する意味を有することを意図する。その他の用語は、本明細書の全体に渡り定義される。
「患者」又は「対象」という用語は、ヒト又はヒト以外の動物(例えば、哺乳類)を意味するために相互に交換して使用される。
例えば、対象、細胞、組織、器官、又は体液などのそれらが適用される、「投与」、「投与する」などの用語は、例えば、IL−10又はPEG−IL−10、核酸(例えば、天然ヒトIL−10をコードする核酸)、前述のものを含む医薬品組成物、又は診断薬の、対象、細胞、組織、器官、又は体液への接触を意味する。細胞との関係においては、投与は、試薬の細胞への接触(例えば、体外で又は生体外で)、並びに、試薬の流体への接触を含み、この場合に、流体は細胞と接触している。
「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、対象を悩ます疾患、障害、又は疾病の根本原因の少なくとも1つを、或いは、対象を悩ます疾患、障害、又は疾病に関連する症状の少なくとも1つを、一時的に又は永久に、除去、低減、抑制、緩和、又は、改善するように、疾患、障害、又は疾病、或いは、それらの症状の診断、観察などがされた後に開始される手順(IL−10、又はIL−10を含む医薬品組成物を投与することなど)を指す。従って、治療は、進行中の疾患を阻害すること(例えば、疾患、障害、又は疾病、或いはそれに関連した臨床症状の進行又は更なる進行を止める)を含む。又、これらの用語は、IL−10又はPEG−IL−10が、例えば、液相又はコロイド相において、IL−10受容体に接触する状況などの、他の関連において使用されることができる。
本明細書において使用される「治療を必要とする」という用語は、医師又はその他の介護者によってなされる、対象が治療を必要とする、又は治療から恩恵を受けるという判断を指す。この判断は、医師又は介護者の専門知識の領域における様々な要因に基づいてなされる。
「予防する」、「予防すること」、「予防」などの用語は、一般的に、特定の疾患、障害、又は疾病にかかりやすい対象との関連において、疾患、障害、又は疾病などを発症する対象のリスクを一時的に又は永久に、防止、抑制、阻止、又は、低減する(例えば、臨床症状の欠如によって決定される)、或いは、それらの開始を遅延させるような様式で(例えば、疾患、障害、疾病、又はそれらの症状の開始の前に)、開始される手順(IL−10、又はIL−10を含む医薬品組成物を投与することなど)を指す。ある特定の例においては、又、これらの用語は、疾患、障害、又は疾病の進行を減速させる、或いは、有害な又は望ましくない状態までのその進行を阻害することを意味する。
本明細書において使用される「予防を必要とする」という用語は、医師又はその他の介護者によってなされる、対象が治療を必要とする、又は予防ケアから恩恵を受けるという判断を意味する。この判断は、医師又は介護者の専門知識の領域における様々な要因に基づいてなされる。
「治療有効量」という表現は、対象に投与される場合、疾患、障害、及び疾病の任意の症状、態様、又は性質に、任意の検出可能な正の影響を及ぼすことができる量で、単独で、又は、医薬品組成物の一部として、並びに、1回の投薬で、又は、一連の投薬の一部として、対象に薬剤を投与することを意味する。治療有効量は、関連した生理作用を測定することによって確認されることができ、且つ、投薬計画及び対象の疾病の診断分析などに関連して調整されることができる。例としては、投与に続いて生成した炎症性サイトカインの量の測定により、治療有効量が使用されたかどうかを示すことができる。
「変化を与える十分な量において」という表現は、特定の治療の投与の前(例えば、ベースラインレベル)及び後に、測定される指標のレベル間の検出可能な差が存在することを意味する。指標は、任意の客観的なパラメーター(例えば、IL−10の血清濃度)又は主観的なパラメーター(例えば、対象が健康状態についてどう感じるか)を含む。
「小分子」という用語は、約10kDa未満、約2kDa未満、又は約1kDa未満である分子量を有する化学化合物を意味する。小分子は、無機分子、有機分子、無機成分を含む有機分子、放射性原子を含む分子、及び合成分子を含むが、これらに限定されるものではない。治療においては、小分子は、大分子より、細胞により浸透でき、分解により影響されず、且つ、免疫応答を引き起こす可能性が低い場合がある。
「リガンド」という用語は、例えば、受容体の作用薬又は拮抗剤として作用することができるペプチド、ポリペプチド、膜関連の又は膜結合の分子、又はそれらの複合体を意味する。「リガンド」は、例えば、サイトカイン、サイトカイン変異体体、類似体、突然変異タンパク質、及び抗体から誘導される結合組成物などの、天然及び合成リガンドを包含する。又、「リガンド」は、例えば、サイトカインのペプチド模倣体及び抗体のペプチド模倣体などの、小分子を包含する。又、この用語は、作用薬又は拮抗剤ではなく、例えば、シグナリング又は粘着性などのその生物的特性に著しく影響することなく、受容体と結合することができる薬剤を包含する。更に、この用語は、例えば、化学的又は組換え方法によって、膜結合型リガンドの可溶性バージョンに変化された膜結合型リガンドを含む。リガンド又は受容体は、完全に細胞内にあることができ、即ち、サイトゾル、核、又はいくつかのその他の細胞内区画に存在することができる。リガンドと受容体の複合体は、「リガンド−受容体複合体」と称される。
「阻害剤」及び「拮抗剤」、又は、「活性化剤」及び「作用薬」という用語は、それぞれ、例えば、リガンド、受容体、補因子、遺伝子、細胞、組織、又は器官などの、例えば、活性化のための、抑制又は活性化分子を意味する。阻害剤は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、又は細胞などを、減少、阻止、防止、活性化を遅延、不活性化、脱感作、又は、下方制御する分子である。活性化剤は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、又は細胞などを、増加、活性化、促進、活性化を強化、感作、又は上方制御する分子である。又、阻害剤は、構造的な活性化を低減、阻止、又は不活性化する分子として定義されることができる。「作用薬」は、標的と相互作用して、標的の活性化の増加を引き起こす又は促進する分子である。拮抗剤は、作用薬の作用(複数可)に対抗する分子である。拮抗剤は、作用薬の活性を防止、低減、阻害、又は中和し、又、認識されない作用薬が存在する場合でさえ、拮抗剤は、例えば、標的受容体などの標的の構造的な活性を、防止、阻害、又は低減させることができる。
「調整する」、「調整」などの用語は、直接的に又は間接的に、IL−10薬剤(又はそれらをコードする核酸分子)の機能又は活性を増減する、或いは、IL−10薬剤のものに相当する効果を生む分子の能力を強化する分子(例えば、活性化剤又は阻害剤)の能力を意味する。「調整剤」という用語は、前述の活性を遂行することができる分子を広く意味するものと意図される。例としては、例えば、遺伝子、受容体、リガンド、又は細胞などの調整剤は、遺伝子、受容体、リガンド、又は細胞の活性を変更する分子であり、この場合に、活性は、その調整特性において、活性化、阻害、又は変更されることができる。調整剤は、単独で作用することができる、或いは、例えば、タンパク質、金属イオン、又は小分子などの補因子を使用することができる。「調整剤」という用語は、IL−10と同一の作用機構を通して作動し(即ち、それに類似した方法でIL−10と同一のシグナル伝達経路を調整する薬剤)、及びIL−10のものに相当する(又は超える)生物反応を引き起こすことができる薬剤を含む。
調整剤の例としては、小分子化合物及びその他の生物有機分子が挙げられる。小分子化合物の多数のライブラリ(例えば、コンビナトリアルライブラリ)が、市販されており、調整剤を特定することの出発点として役立つことができる。所望の特性を有する1つ以上の化合物を特定するために、こうした合成ライブラリがスクリーニング可能である、1つ以上の分析法(例えば、生化学的分析法、又は、細胞ベースの分析法)を開発することが、当業者には可能であり、その後、例えば、類似体及びそれらの誘導体を合成し評価することによって、こうした1つ以上の化合物を最適化することが、当業界の医薬化学者には可能である。合成及び/又は分子モデリング研究は、活性化剤の特定において利用されることができる。
分子の「活性」は、分子のリガンドへの又は受容体への結合、触媒活性、遺伝子発現又は細胞シグナリング、分化、又は成熟化を刺激する能力、抗原活性、その他の分子の活性の調整などを表す、或いは、意味することができる。又、細胞間相互作用(例えば、粘着力)を調整又は維持する際の活性、或いは、細胞(例えば、細胞膜)の構造を維持する際の活性を、この用語は、意味することができる。又、「活性」は、例えば、[触媒活性]/[mgタンパク質]又は[免疫学的活性]/[mgタンパク質]などの比活性、生物学的区画における濃度などを意味することができる。「増殖活性」という用語は、例えば、通常の細胞分割、並びに、癌、腫瘍、異形成、細胞形質転換、転移、及び脈管形成などを促進する、これらに必要である、或いは、これらに特に関連する活性を包含する。
本明細書において使用される場合、「相当する」、「相当する活性」、「に相当する活性」、「相当する効果」、「に相当する効果」などは、量的に及び/又は質的に考えられることができる相対的な用語である。これらの用語の意味は、これらが使われる文脈に多くの場合に依存する。例としては、技術的に認められた分析法(例えば、投薬反応分析法)、又は技術的に認められた動物モデルにおいて決定されるように、1つの薬剤が、その他の薬剤の活性の20%を実現することができるに過ぎない場合、受容体をともに活性化させる2つの薬剤は、質的観点から相当する効果を有すると考えられることができるが、2つの薬剤は、定量的観点から相当する効果が欠如していると考えられることができる。1つの結果を別の結果(例えば、参照標準に対する1つの結果)と比較する場合、「相当する」は、1つの結果が、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、7%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満、参照標準から逸脱することを、多くの場合に意味する。特定の実施形態においては、それが、15%未満、10%未満、又は5%未満、参照標準から逸脱する場合、1つの結果は参照標準に相当する。例としては、限定するものではないが、活性又は効果は、有効性、安定性、溶解性、又は免疫原性を指し得る。
例えば、細胞、組織、器官、又は生命体の、「応答」という用語は、例えば、濃度、密度、粘着力、又は生物学的区画内における移動、遺伝子発現の速度、又は分化の状態などの、生化学的又は生理学的挙動における変化を包含し、この場合、変化は、活性化、刺激、又は治療、或いは、遺伝的プログラミングなどの内部機構と相関している。特定の文脈においては、「活性化」、「刺激」などの用語は、内部機構、並びに、外部要因又は環境要因によって調整される細胞活性化を意味し、一方、「阻害」、「下方制御」などの用語は、逆の効果を意味する。
本明細書において相互に交換して使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸の重合形態を意味し、これは、遺伝的にコード及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的に又は生化学的に改質又は誘導化されたアミノ酸、並びに、改質ポリペプチド骨格を有するポリペプチドを含むことができる。こうした用語は、これらに限定されるものではないが、異種のアミノ酸配列を有する融合タンパク質、異種の及び同種のリーダー配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を有する又は有しない融合タンパク質、免疫学的に標識されたタンパク質を有する融合タンパク質などを含む、融合タンパク質を含む。
本開示の全体に渡り、1文字又は3文字のコードに従うアミノ酸が参照されることが理解されるであろう。読者に便利なように、1文字及び3文字のアミノ酸コードを以下に示す。
G グリシン Gly
P プロリン Pro
A アラニン Ala
V バリン Val
L ロイシン Leu
I イソロイシン Ile
M メチオニン Met
C システイン Cys
F フェニルアラニン Phe
Y チロシン Tyr
W トリプトファン Trp
H ヒスチジン His
K リシン Lys
R アルギニン Arg
Q グルタミン Gln
N アスパラギン Asn
E グルタミン酸 Glu
D アスパラギン酸 Asp
S セリン Ser
T スレオニン Thr
本明細書において使用される場合、「変異体」という用語は、天然の変異体及び非天然の変異体を包含する。天然の変異体は、相同体(種毎に、それぞれ、アミノ酸又はヌクレオチド配列において異なるポリペプチド及び核酸)、並びに、対立遺伝子変異体(ある種の中で個体毎に、それぞれ、アミノ酸又はヌクレオチド配列において異なるポリペプチド及び核酸)を含む。非天然の変異体は、それぞれ、アミノ酸又はヌクレオチド配列における変化を含むポリペプチド及び核酸を含み、この場合に、配列における変化が、人為的に導入され(例えば、突然変異タンパク質)、例えば、変化は、ヒトの介入(「ヒトの手」)によって実験室において生じる。従って、本明細書においては、「突然変異タンパク質」は、通常、単一の又は複数のアミノ酸置換を有する、且つ、部位特異的な又は不規則な突然変異に供された、クローン遺伝子から、或いは、完全に合成遺伝子から、多くの場合に誘導される、突然変異した組み換えタンパク質を広く意味する。
「DNA」、「核酸」、「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」などの用語は、任意の長さのヌクレオチドの重合形態、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド、或いはその類似体を意味するために、本明細書において相互に交換して使用される。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、線形型及び円形型の核酸、メッセンジャーRNA(mRNA)、相補DNA(cDNA)、組み換えポリヌクレオチド、ベクター、プローブ、プライマーなどが挙げられる。
本明細書において使用される場合、ポリペプチドの構造の関連においては、「N末端」(又は「アミノ末端」)及び「C末端」(又は「カルボキシル末端」)は、ポリペプチドの最も端のアミノ及びカルボキシル末端をそれぞれ指し、一方、「N末端」及び「C末端」という用語は、それぞれ、N末端及びC末端の方のポリペプチドのアミノ酸配列における相対的位置を指し、それぞれ、N末端及びC末端で残基を含むことができる。「直N末端の」又は「直C末端の」は、第2のアミノ酸残基に対する第1のアミノ酸残基の位置を意味し、この場合に、第1及び第2のアミノ酸残基は、共有結合されて隣接するアミノ酸配列を提供する。
アミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列の関連においては、「から誘導される」(例えば、IL−10ポリペプチド「から誘導される」アミノ酸配列)とは、ポリペプチド又は核酸は、参照のポリペプチド又は核酸(例えば、核酸をコードする天然のIL−10ポリペプチド又はIL−10)の配列に基づく配列を有することを示すことを意図し、タンパク質又は核酸が生成される供給源又は方法に関して限定されることを意図するものではない。例としては、「から誘導される」という用語は、参照のアミノ酸又はDNA配列の相同体又は変異体を含む。
ポリペプチドの関連においては、「単離された」という用語は、天然発生する場合、天然発生することができるものと異なる環境にある対象のポリペプチドを指す。「単離された」とは、対象のポリペプチドのために実質的に濃縮される試料の中にある、並びに/或いは、対象のポリペプチドが、部分的又は実質的に精製されるポリペプチドを含むことを意味する。ポリペプチドが天然発生でない場合、「単離された」とは、合成手段又は組み換え手段によって生成された環境から、ポリペプチドが分離されたことを示す。
「濃縮された」とは、対象のポリペプチドが、a)生体試料(例えば、ポリペプチドが天然発生する、又は、ポリペプチドが投与の後に存在する試料)などの、出発となる試料におけるポリペプチドの濃度より高い濃度(例えば、少なくとも3倍超、少なくとも4倍超、少なくとも8倍超、少なくとも64倍超、又はこれを超える)、或いは、b)ポリペプチドが生成された環境(例えば、細菌細胞におけるような)より高い濃度で存在するように、試料が、非天然的に操作される(例えば、科学者によって)ことを意味する。
「実質的に純粋な」とは、成分(例えば、ポリペプチド)が、組成物の総含有量の約50%超、且つ、典型的には、総ポリペプチド含有量の約60%超からなることを示す。より典型的には、「実質的に純粋な」とは、総組成物の少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%以上が対象の成分である組成物を指す。場合によっては、ポリペプチドは、組成物の総含有量の約90%超、又は約95%超からなることになる。
リガンド/受容体、抗体/抗原、又はその他の結合対に言及する場合、「特異的に結合する」又は「選択的に結合する」という用語は、タンパク質及びその他の生物製剤の不均一な群におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を示す。従って、指定された条件の下で、特定されたリガンドが、特定の受容体と結合し、試料に存在する他のタンパク質に有意な量で結合することはない。企図された方法の、抗体の抗原結合部位から誘導される抗体又は結合組成物は、その抗原、或いはそれらの変異体又は突然変異タンパク質に、任意の他の抗体、又はそれから誘導される結合組成物との親和性より、少なくとも2倍超、少なくとも10倍超、少なくとも20倍超、又は少なくとも100倍超の親和性で結合する。特定の実施形態においては、例えば、スキャッチャード分析(Munsen,et al.1980 Analyt.Biochem.107:220−239)による測定により、抗体は、約109リットル/モルより高い親和性を有することになる。
IL−10及びPEG−IL−10
ヒトサイトカイン合成阻止因子(CSIF)としても知られる、抗炎症サイトカインIL−10は、IL−19、IL−20、IL−22、IL−24(Mda−7)、及びIL−26、インターフェロン(IFN−α、−β、−γ、−δ、−ε、−κ、−Ω、及び−τ)、並びに、インターフェロン状分子(limitin、IL−28A、IL−28B、及びIL−29)を含む一組のサイトカインである、タイプ(クラス)−2サイトカインと分類される。
IL−10は、免疫制御及び炎症における多面発現効果を有するサイトカインである。IL−10は、マスト細胞によって、これらの細胞が有する炎症効果をアレルギー反応の部位で反作用させながら、生成される。IL−10は、IFN−γ、IL−2、IL−3、TNFα、及びGM−CSFなどの炎症促進性サイトカインの合成を阻害することができるが、IL−10はまた、特定のT細胞及びマスト細胞に対して刺激性であり、且つ、B細胞の成熟、増殖、及び抗体生産を刺激する。IL−10は、NF−κB活性を阻止することができ、且つ、JAK−STATシグナル伝達経路の制御に関与する。又、IL−10は、CD8+T細胞の細胞毒性活性及びB細胞の抗体生産を誘発し、マクロファージ活性及び腫瘍を促進する炎症を抑制する。CD8+T細胞の調節は、投薬量に依存し、この場合に、より高い投薬量は、より強い細胞毒性反応を誘発する。
ヒトIL−10は、37kDaの分子質量を有するホモダイマーであり、ここで、それぞれ18.5kDaのモノマーは、178のアミノ酸を含み、そのうちの始めの18は、シグナルペプチド、及び、2つの分子内ジスルフィド結合を形成する2つのシステイン残基を含む。IL−10ダイマーは、2つのモノマーサブユニット間の非共有相互作用の破壊の際に生物学的に不活性になる。
本開示は、80%の相同体を示すヒトIL−10及びネズミIL−10、並びにそれらの使用について企図する。更に、本開示の範囲は、ラット(登録NP_036986.2;GI 148747382)、ウシ(登録NP_776513.1;GI 41386772)、ヒツジ(登録NP_001009327.1;GI 57164347)、イヌ(登録ABY86619.1;GI 166244598)、及びウサギ(登録AAC23839.1;GI 3242896)を含む、その他の哺乳類の種からのIL−10オルソログ、及びそれらの改質形態を含む。
前述のように、「IL−10」、「IL−10ポリペプチド(複数可)、「IL−10薬剤(複数可)」などの用語は、広く解釈されることが意図され、相同体、変異体(突然変異タンパク質を含む)、及びそれらのフラグメント、並びに、例えば、リーダー配列(例えば、シグナルペプチド)及び前述の改質バージョンを有するIL−10ポリペプチドを含む、例えば、ヒト及びヒト以外のIL−10関連ポリペプチドを含む。更なる特定の実施形態においては、IL−10、IL−10ポリペプチド(複数可)、及びIL−10薬剤(複数可)は、作用薬である。
タイプIIサイトカイン受容体であるIL−10受容体は、アルファ及びベータサブユニットからなり、これらは、それぞれ、R1及びR2とも称される。受容体の活性化は、アルファ及びベータの両方と結合することを必要とする。IL−10ポリペプチドの1つのホモダイマーは、アルファと結合し、同一のIL−10ポリペプチドのもう一方のホモダイマーは、ベータと結合する。
組み換えヒトIL−10の有用性は、その比較的短い血清半減期によって、多くの場合に制限され、これは、例えば、血流における腎クリアランス、タンパク質分解、及びモノマー化に起因し得る。結果として、その二量体構造を破壊させて、その結果、その活性に悪影響を与えることなく、IL−10の薬物動態的側面を改善するための様々な方法が調査されている。IL−10のペグ化は、特定の薬物動態パラメーター(例えば、血清半減期)の改善及び/又は活性の強化をもたらす。
本明細書において使用される場合、「ペグ化IL−10」及び「PEG−IL−10」という用語は、結合が安定なように、一般的にリンカーを介して、IL−10タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸残基に共有結合する1つ以上のポリエチレングリコール分子を有するIL−10分子を指す。「モノペグ化IL−10」及び「モノ−PEG−IL−10」という用語は、1つのポリエチレングリコール分子が、一般的にリンカーを介して、IL−10ダイマーの1つのサブユニットにおける単一のアミノ酸残基と共有結合することを示す。ある特定の実施形態においては、本開示において使用されるPEG−IL−10は、1〜9つのPEG分子が、IL−10ダイマーの1つのサブユニットのN末端でアミノ酸残基のアルファアミノ基にリンカーを介して共有結合するモノ−PEG−IL−10である。一般的には、1つのIL−10サブユニットにおけるモノペグ化は、サブユニットシャッフル(subunit shuffling)による非ペグ化、モノペグ化、及びジペグ化IL−10の非均一混合物をもたらす。更に、一般的には、ペグ化反応を完了まで進行させることは、非特異的及びマルチペグ化IL−10をもたらすことになり、その結果、その生理活性を減少させる。従って、本開示の特定の実施形態は、本明細書(例えば、実験の部)において記載される方法によって生成されるモノ及びジペグ化IL−10の混合物の投与を含む。
特定の実施形態においては、PEG部位の平均分子量は、約5kDa〜約50kDaである。IL−10へのPEG結合の方法又は部位は、重要ではないが、ある特定の実施形態においては、ペグ化は、IL−10薬剤の活性を変更させない、又は最小限に変更させるに過ぎない。ある特定の実施形態においては、半減期の増加は、生物活性の任意の減少よりも大きい。米国特許第7,052,686号明細書に記載のように、典型的には、PEG−IL−10の生物活性は、細菌抗原(リポポリサッカライド(LPS))によって攻撃され、PEG−IL−10で治療される対象の血清において、炎症性サイトカイン(例えば、TNF−α又はIFN−γ)のレベルを評価することによって測定される。
IL−10変異体は、血清半減期を増加させること、IL−10に対する免疫応答を減少させること、精製又は調製を促進させること、IL−10のそのモノマーサブユニットへの転換を減少させること、治療有効性を改善させること、並びに、治療への使用の間、副作用の程度又は発生を低減させることを含む、様々な目的を念頭において調製されることができる。例えば、グリコシル化変異体などの翻訳後の変異体である場合があるが、通常、アミノ酸配列変異体は、実際には見られない所定の変異体である。IL−10活性の適切なレベルを保持するという条件で、IL−10の任意の変異体を使用することができる。
「保存アミノ酸置換」という表現は、タンパク質のアミノ酸(複数可)を、同程度の、側鎖の酸性、塩基性、電荷、極性、又は大きさの側鎖を有するアミノ酸で置き換えることによって、タンパク質の活性を保存する置換を指す。一般的には、保存アミノ酸置換は、以下の群内でのアミノ酸残基の置換を伴う:1)L、I、M、V、F、2)R、K、3)F、Y、H、W、R、4)G、A、T、S、5)Q、N、及び6)D、E。置換、挿入、又は削除のためのガイダンスは、異なる変異体タンパク質、又は、異なる種からのタンパク質のアミノ酸配列の配置に基づくことができる。従って、任意の天然IL−10ポリペプチドに加えて、本開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10、通常、20、10、又は、5以下のアミノ酸置換基を有することを企図し、この場合に、通常、置換は、保存アミノ酸置換である。
又、本開示は、成熟したIL−10から誘導される連続アミノ酸残基を含む、成熟したIL−10の活性フラグメント(例えば、サブ配列)を企図する。ペプチド又はポリペプチドサブ配列の連続アミノ酸残基の長さは、サブ配列が誘導される特定の天然アミノ酸配列に応じて変動する。一般的には、ペプチド及びポリペプチドは、約20のアミノ酸から約40のアミノ酸、約40のアミノ酸から約60のアミノ酸、約60のアミノ酸から約80のアミノ酸、約80のアミノ酸から約100のアミノ酸、約100のアミノ酸から約120のアミノ酸、約120のアミノ酸から約140のアミノ酸、約140のアミノ酸から約150のアミノ酸、約150のアミノ酸から約155のアミノ酸、約155のアミノ酸から完全長のペプチド又はポリペプチドまでであることができる。
更に、IL−10ポリペプチドは、連続アミノ酸(例えば、「比較ウインドウ」)の定義された長さにわたって、参照配列と比較して、定義された配列同一性を有することができる。比較用の配列のアラインメントの方法は、当技術分野において周知である。比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)のローカル相同体アルゴリズムによって、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.8:443(1970)の相同体配置アルゴリズムによって、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実現形態によって(GAP,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Madison,Wis.)、又は、手動アラインメント及び視覚検査によって(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.1995 supplement)を参照されたい)、実行されることができる。
例としては、適切なIL−10ポリペプチドは、約20のアミノ酸から約40のアミノ酸、約40のアミノ酸から約60のアミノ酸、約60のアミノ酸から約80のアミノ酸、約80のアミノ酸から約100のアミノ酸、約100のアミノ酸から約120のアミノ酸、約120のアミノ酸から約140のアミノ酸、約140のアミノ酸から約150のアミノ酸、約150のアミノ酸から約155のアミノ酸、約155のアミノ酸から完全長のペプチド又はポリペプチドまでの連続伸長に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
更に下で述べられるように、IL−10ポリペプチドは、天然の供給源(例えば、その自然の環境以外の環境)から単離されることができ、組み換え的に生成されることもでき(例えば、細菌、酵母、ピキア属、昆虫細胞などの、遺伝的に改質された宿主細胞において)、この場合に、遺伝的に改質された宿主細胞は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸によって改質される。又、IL−10ポリペプチドは、合成によって生成されることができる(例えば、無細胞化学合成によって)。
天然の又は非天然のアイソフォーム、対立遺伝子変異体、及び複合変異体を含む、IL−10薬剤をコードする核酸分子が、本開示によって企図される。又、本開示は、天然のDNA配列からの1つ以上の塩基において変動する核酸配列を包含するが、遺伝コードの縮退のため、IL−10ポリペプチドに対応するアミノ酸配列に依然として翻訳される。
IL−10血清濃度
本明細書において記載される方法におけるIL−10の血液血漿レベルは、(1)ある程度の特定されたレベルを超える、又は、ある範囲のレベルの、平均IL−10血清トラフ濃度、(2)ある程度の時間の間、ある程度の特定されたレベルを超える、平均IL−10血清トラフ濃度、(3)ある程度の特定されたレベルを超える又は下回る、或いは、ある範囲のレベルの、定常状態のIL−10血清濃度レベル、或いは、(4)ある程度の特定されたレベルを超える又は下回る、或いは、ある程度の範囲のレベルの、濃度プロファイルのCmaxを含む、いくつかの方法において特徴づけられることができる。本明細書において記載されるように、平均血清トラフIL−10濃度は、特定の症状の有効性に特に重要であることが判明した。
本開示のいくつかの実施形態においては、生成されることができる血液血漿及び/又は血清レベル濃度プロファイルは、約1.0pg/mL超、約10.0pg/mL超、約20.0pg/mL超、約30pg/mL超、約40pg/mL超、約50.0pg/mL超、約60.0pg/mL超、約70.0pg/mL超、約80.0pg/mL超、約90pg/mL超、約0.1ng/mL超、約0.2ng/mL超、約0.3ng/mL超、約0.4ng/mL超、約0.5ng/mL超、約0.6ng/mL超、約0.7ng/mL超、約0.8ng/mL超、約0.9ng/mL超、約1.0ng/mL超、約1.5ng/mL超、約2.0ng/mL超、約2.5ng/mL超、約3.0ng/mL超、約3.5ng/mL超、約4.0ng/mL超、約4.5ng/mL超、約5.0ng/mL超、約5.5ng/mL超、約6.0ng/mL超、約6.5ng/mL超、約7.0ng/mL超、約7.5ng/mL超、約8.0ng/mL超、約8.5ng/mL超、約9.0ng/mL超、約9.5ng/mL超、又は約10.0ng/mL超の平均IL−10血漿及び/又は血清トラフ濃度を含む。更なる実施形態においては、生成されることができる血液血漿及び/又は血清レベル濃度プロファイルは、約10.0ng/mL未満、約9.0ng/mL未満、約8.0ng/mL未満、約7.0ng/mL未満、約6.0ng/mL未満、約5.0ng/mL未満、約4.0ng/mL未満、約3.0ng/mL未満、約2.5ng/mL未満、約2.0ng/mL未満、約1.9ng/mL未満、約1.8ng/mL未満、約1.7ng/mL未満、約1.6ng/mL未満、約1.5ng/mL未満、約1.4ng/mL未満、約1.3ng/mL未満、約1.2ng/mL未満、約1.1ng/mL未満、約1.0ng/mL未満、約0.75ng/mL未満、約0.5ng/mL未満、約0.25ng/mL未満、約0.1ng/mL未満、約0.075ng/mL未満、約0.05ng/mL未満、約0.025ng/mL未満、又は約0.01ng/mL未満の平均IL−10血漿及び/又は血清トラフ濃度を含む。
本開示の特定の実施形態においては、平均IL−10血清トラフ濃度は、1.0pg/mL〜10ng/mLの範囲にある。いくつかの実施形態においては、平均IL−10血清トラフ濃度は、1.0pg/mL〜100pg/mLの範囲にあり、他の実施形態においては、平均IL−10血清トラフ濃度は、0.1ng/mL〜1.0ng/mLの範囲にある。更にその他の実施形態においては、平均IL−10血清トラフ濃度は、1.0ng/mLから10ng/mLの範囲にある。本開示は、本明細書において記載されるものによって包含される任意の濃度を、こうした範囲が明確に列挙されていない場合であっても組み込む範囲を企図することを理解すべきである。例としては、実施形態における平均血清IL−10濃度は、0.5ng/mL〜5ng/mLの範囲にあることができる。更なる例としては、本開示の特定の実施形態は、約1.0pg/mL〜約9.5ng/mL、約0.5ng/mL〜約10.5ng/mL、約1.0ng/mL〜約10.0ng/mL、約1.0ng/mL〜約9.0ng/mL、約1.0ng/mL〜約8.0ng/mL、約1.0ng/mL〜約7.0ng/mL、約1.5ng/mL〜約10.0ng/mL、約1.5ng/mL〜約9.0ng/mL、約1.5ng/mL〜約8.0ng/mL、約1.5ng/mL〜約7.0ng/mL、約2.0ng/mL〜約10.0ng/mL、約2.0ng/mL〜約9.0ng/mL、約2.0ng/mL〜約8.0ng/mL、及び約2.0ng/mL〜約7.0ng/mLの範囲の平均IL−10血清トラフ濃度を含む。
特定の実施形態においては、1〜2ng/mLの平均IL−10血清トラフ濃度は、治療の期間に渡り維持される。又、本開示は、平均IL−10血清ピーク濃度が、治療の期間に渡り約10.0ng/mL以下である実施形態を企図する。更なる実施形態は、約1.0pg/mL以上の平均IL−10血清トラフ濃度を企図する。一般的には、最適平均血清濃度は、所望の治療効果が望ましくない副作用をもたらすことなく実現されるものである。ほとんどの患者の群においては、最大血清コレステロール減少は、約1.0ng/mL〜約10ng/mLの平均IL−10血清トラフ濃度で多くの場合に実現され、一般的には、こうした濃度で、許容できない副作用は観察されることはない。しかしながら又、低い平均II−10血清トラフ濃度は、ある特定の患者の群においては有利である場合がある。例えば、約0.1ng/mL〜約1.0ng/mLのIL−10血清トラフ濃度は、約30%まで血清コレステロールレベルを減少させることを示しており、こうした低いIL−10血清トラフ濃度は、高い濃度で副作用を示す患者において治療上の目標であることができる。更に、ミリリットル当たりの低いピコグラムのIL−10血清レベルは、動脈及びその他の血小板を劇的に減少させることができる。
本開示の特定の実施形態は、IL−10治療を受ける対象をモニターして、副作用を予測し、その結果、潜在的に回避する方法を提供し、この方法は、(1)IL−10の対象のピーク濃度を測定することと、(2)IL−10の対象のトラフ濃度を測定すことと、(3)ピークトラフ変動を算出することと、(4)算出したピークトラフ変動を用いて、対象の潜在的副作用を予測することと、を含む。特定の対象群においては、より小さいピークトラフ変動は、対象がIL−10関連の副作用を経験するであろうという低い可能性を示す。更に、いくつかの実施形態においては、特定のピークトラフ変動が、特定の投薬パラメーターを使用して、特定の疾患、障害、及び疾病の治療に対して決定され、それらの変動は参照標準として使用される。
大多数の薬物においては、血漿薬物濃度は、多指数関数的な様式にて減少する。静脈内投与の直後に、薬物は、初期の空間に渡り急速に分布し(血漿容量として最小限に定義される)、その後、血管外空間(例えば、特定の組織)への遅い平衡的配布が生じる。静脈IL−10投与は、こうした2区画反応速度モデルと関連する(Rachmawati,H.et al.(2004)Pharm.Res.21(11):2072−78を参照されたい)。又、皮下組み換えhIL−10の薬物動態が研究されている(Radwanski,E.et al.(1998)Pharm.Res.15(12):1895−1901)。従って、適切なIL−10投薬関連のパラメーターを評価する場合、分布容量を考慮することは妥当である。更に、特異的な細胞タイプに対する標的IL−10薬剤の効果が、調査されており(例えば、Rachmawati,H.(May 2007)Drug Met.Dist.35(5):814−21を参照されたい)、且つ、IL−10薬物動態及び投薬原則の活用は、こうした効果の成功に非常に貴重であると判明し得る。
本開示は、前述のIL−10血清トラフ濃度のいずれかの維持をもたらす、任意の投薬量の投与及び投薬計画を企図する。例としては、限定されるものではないが、対象がヒトである場合、非ペグ化hIL−10を、0.5μg/kg/日超、1.0μg/kg/日超、2.5μg/kg/日超、5μg/kg/日超、7.5μg/kg超、10.0μg/kg超、12.5μg/kg超、15μg/kg/日超、17.5μg/kg/日超、20μg/kg/日超、22.5μg/kg/日超、25μg/kg/日超、30μg/kg/日超、又は35μg/kg/日超の投与量で投与することができる。更に、例としては、限定されるものではないが、対象がヒトである場合、比較的小さいPEG(例えば、5kDaモノ−ジ−PEG−hIL−10)を含むペグ化hIL−10を、0.5μg/kg/日超、0.75μg/kg/日超、1.0μg/kg/日超、1.25μg/kg/日超、1.5μg/kg/日超、1.75μg/kg/日超、2.0μg/kg/日超、2.25μg/kg/日超、2.5μg/kg/日超、2.75μg/kg/日超、3.0μg/kg/日超、3.25μg/kg/日超、3.5μg/kg/日超、3.75μg/kg/日超、4.0μg/kg/日超、4.25μg/kg/日超、4.5μg/kg/日超、4.75μg/kg/日超、又は5.0μg/kg/日超の投与量で投与することができる。本開示のある特定の実施形態においては、対象がヒトである場合、、非ペグ化hIL−10を、50μg/kg/日未満、40μg/kg/日未満、35μg/kg/日未満、30μg/kg/日未満、25μg/kg/日未満、20μg/kg/日未満、15μg/kg/日未満、12.5μg/kg/日未満、10μg/kg/日未満、7.5μg/kg/日未満、5.0μg/kg/日未満、2.5μg/kg/日未満、2.0μg/kg/日未満、1.5μg/kg/日未満、又は、1.0μg/kg/日未満の投薬量で投与することができる。更なる実施形態においては、例としては、限定されるものではないが、対象がヒトである場合、比較的小さいPEG(例えば、5kDaモノ−ジ−PEG−hIL−10)を含むペグ化hIL−10を、5.0μg/kg/日未満、4.5μg/kg/日未満、4.0μg/kg/日未満、3.5μg/kg/日未満、3.0μg/kg/日未満、2.5μg/kg/日未満、2.0μg/kg/日未満、1.75μg/kg/日未満、1.5μg/kg/日未満、1.25μg/kg/日未満、1.0μg/kg/日未満、0.75μg/kg/日未満、又は、0.5μg/kg/日未満の投薬量で、投与することができる。
コレステロール、及びコレステロール恒常性におけるPEG−IL−10の効果、並びにそれらの指標
生理学:コレステロールは、細胞膜構造、並びに、ステロイドホルモン、胆汁酸、及びビタミンDの生合成を含む、非常に多くの生理学的プロセスにおいて不可欠な役割を果たす、コレステロール合成は、酵素HGM−CoA還元酵素による3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)のメバロネートへの還元により開始する複雑な37ステップのプロセスを伴う。これは、コレステロール合成における、調整された律速的な不可逆ステップであり、スタチン系薬剤(HMG−CoA還元酵素競合阻害剤)のための作用部位である。
肝臓は、コレステロールの主要な調整部位である。肝臓は、血行におけるほとんどのLDLの前駆体、VLDLの形成部位であるだけでなく、大部分のLDLの受容体媒介除去が生じる場所である。
初期においては、肝臓は、小腸から吸収されるすべてのコレステロールを除去する。過剰なコレステロールの吸収は、肝臓に貯蔵されるコレステロールの量を増加させ得、VLDL分泌(結果として、LDL形成)の増加、及び、肝臓LDL−受容体活性の下方制御をもたらす。平均で、小腸に入る全コレステロールの約半分が吸収される。吸収率速度は、個体間で大きく変動し、これにより、なぜ、一部の患者が、スタチン及びその他の部類の脂質を低下させる薬物に対して、不十分に反応する、或いは、まったく反応しないかを、少なくとも部分的に説明することができる。例えば、Turley,SD,(2004)Clin.Cardiol.6 Suppl 3:III16−21を参照されたい。又、肝臓は、非エステル型の形態(胆汁を介して)で消化管へ排出することによって、コレステロールを再利用する。
脂質パネル:総コレステロールは、LDL、HDL、及びVLDLの合計と定義される。一般的には、200mg/dL未満の総血液コレステロールレベルは、正常であるとみなされ、200〜239mg/dLのレベルは、境界高とみなされ、240mg/dLを超えるレベルは、高いとみなされる。
1988年以降、米国コレステロール教育プログラム(NCEP)は、LDLをコレステロール治療の主要な標的と認識するガイドラインを発行している。Adult Treatment Panel−III(ATP−III)に記載される、現行のガイドラインでは、100mg/dL(2.6mmol/l)未満のLDLを目標として設定している。LDLの増加は、アテローム硬化型疾患と関連し、これは、臨床CHD、対症頸動脈疾患、末梢性動脈疾患、及び腹部大動脈瘤を含む、冠状動脈性心臓病(CHD)関連の事象に対して高リスクをもたらす。高いコレステロールレベルと関連する、疾患、障害、及び疾病、並びに、それらの治療及び/又は予防を、以下に詳述する。
低いレベルの高密度コレステロール(HDL−C又は単にHDL)が、アテローム性動脈硬化及びCHDの進行における寄与因子であることを示す重要な証拠が存在する。低HDLは、早期の冠状動脈疾患患者において最も一般的な脂質障害の1つである。通常、高トリグリセリド血症患者は、相対的に少ないHDLコレステロールを有する。又、ベータ遮断薬、プロゲステロン、及びテストステロンを含む、ある特定の薬物も、HDLレベルを低下させる。
平均的な男性においては、HDLコレステロールレベルは、40〜50mg/dLの範囲であるが、平均的な女性では、50〜60mg/dLの範囲である。アテローム動脈硬化性事象における最も低いリスクと関連したHDLの中央値は、男性では62mg/dL及び女性では81mg/dLであることが、研究により示されている。脂質を低下させる治療におけるATP−IIIガイドラインは、主要な正のリスク因子として、40mg/dL未満のHDLレベル、及び、負のリスク因子(即ち、保護的)として、60mg/dL以上のLDLレベルを設定した。5:1未満のHDLに対する総コレステロールの比が、望ましいと考えられる。
トリグリセリドは、超低密度リポタンパク質(VLDL)によって、血流にて主に運ばれる。トリグリセリドの豊富な粒子のかなりの不均一性が存在する。食事の脂肪−カイロミクロンから誘導されるトリグリセリドの豊富な粒子は、それ自体、CHDと関連していないが、非常に高い場合(1,000mg/dL超)、膵炎、静脈及び動脈の血栓、急性心臓発作、及び脳卒中を引き起こす場合がある。しかしながら、これらのカイロミクロン粒子は、リポタンパク質リパーゼによって、アテローム生成の中間密度リポ蛋白(IDL)に段階的に大きさが減少する。同様に、肝臓からのVLDLは、リポタンパク質リパーゼによって大きさが減少し、アテローム生成IDLを生成する。VLDLは、冠状動脈疾患及びCHD事象の進行を予示し、その結果、高トリグリセリド血症は、CHDにおけるリスク因子として増々認められてきている。
高いトリグリセリドレベルは、遺伝的原因から生じる又は後天性である。遺伝的原因に関して、500人中1人が、高血漿トリグリセリドになる遺伝的な傾向がある。最も一般的には、後天性の高トリグリセリドは、過剰なアルコールの摂取、外因性エストロゲン又はエストロゲン作用薬、十分に制御されない糖尿病、ベータ遮断薬、コルチコステロイド、及び尿毒症と関連している。1,000mg/dLの過度なトリグリセリドレベルは、遺伝的原因に投影された高トリグリセリドの後天性の原因を反映している。後天性の高トリグリセリドのあまり一般的ではない原因としては、腎不全、ネフローゼ症候群、タンパク尿、甲状腺機能低下症、多くの肝疾患、ヘモクロマトーシス、副甲状腺機能亢進症、及び糖原病が挙げられる。
米国心臓協会によると、150mg/dL未満のトリグリセリドレベルが正常であり、150〜199mg/dLのレベルは、境界線上の高さであり、200〜499mg/dLのレベルは高く、500mg/dL以上のレベルは非常に高い。一般的には、150〜200mg/dLのトリグリセリドレベルは、薬理的に治療されることはない。
試験:いくつかの一般的な方法及び系が、対象の脂質プロファイルを評価する際に用いられている。現行で存在する又はその後に開発される、任意の方法又は系を、本開示の教示とともに用いることができる。
一般的に比色定量法を利用する、空腹時コレステロール試験は、総血清コレステロールを測定するための従来の手段である。こうした試験では、リポタンパク質プロファイルを決定するために迅速に12時間後に採血されることが必要となる。通常、総コレステロール、HDL、及びトリグリセリドのみが測定され、費用面のため、通常、VLDLは、トリグリセリドの1/5として推定され、LDLは、フリードワルドの式を用いて推定される。こうした試験は安価であり広く利用されているが(例えば、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO;BioVision,Inc.,Milpitas,CA)、空腹時であることを必要とし、LDLが正確に決定されるのではなく推定されることから、その他の試験ほど感度が高くない。
高コレステロール血症を評価する場合、すべてのリポタンパク質副分画(VLDL、IDL、LDL、及びHDL)を測定することは、多くの場合に有用である。特定の治療上の目標は(HDLを維持又は増加させながら)LDLを減少させることから、LDL濃度を直接測定するコレステロール試験は、より正確であり、トリグリセリドが高いこうした患者に、特に有用である。市販されているが(例えば、Beckman Coulter,Inc;Brea,CA)、これらの直接測定試験を用いることは、その費用のため制限される場合がある。
コレステロール恒常性におけるPEG−IL−10の効果、及びその指標:実験の部で述べられるように、PEG−IL−10のマウスへの投与は、コレステロール合成経路(メバロネート経路)に関与したいくつかの肝酵素の発現レベルを下方制御した。更に、実験の部は、総血清コレステロール、トリグリセリド、LDL、HDL、及びLDL/HDL比に対する、PEG−IL−10のマウスでの効果を記載している。図2に示すように、コレステロール(図2A)、トリグリセリド(図2B)、及びLDL(図2C)のレベルはすべて、PEG−IL−10の3つの投薬それぞれにおいて著しく減少した。重要なことに、これらのデータを一緒にすると、最適な治療効果を実現するために、特定のPEG−IL−10投薬量(マウスでの約0.2mg/kg)を超えることは必要ではないことを示している。従って、より高い投薬量で観察されるより重篤な副作用(例えば、肝臓毒性)を回避することができる。ヒト投薬へのネズミ投薬の転換は、相当する結果に結びつくはずである。
図2Dに示すように、PEG−IL−10は、媒体対照と比較して血清HDLレベルを低下させた。HDLレベルを上昇させることは、有益である(例えば、心臓保護)という歴史的に認識された定説によれば、この結果は不益であるとみなされる。しかしながら、AIM−HIGH試験(Atherothrombosis Intervention in Metabolic Syndrome with Low HDL/Triglycerides:Impact on Global Health Outcomes)からの証拠を含む最近の証拠では、任意の治療薬標的HDLは必然的に有益であるという概念に対抗している(例えば、Nicholls,(2012)Cleveland Clinic J.Med.79(1):38−43を参照されたい)。従って、PEG−IL−10が血清HDLレベルを低下させるという観察は、実際には、治療的には無関係である可能性がある。更に、この結果は、総血清コレステロールは、心血管疾患リスクの増加と関連するという知見と一致し、矛盾していない(例えば、Lewington et al.,(2005)Circulation 12:3373−74を参照されたい)。
実験の部で詳述するように、胆汁酸合成(CYP7A1)、細胞内コレステロール輸送(APOL8)、及びコレステロール流出(ABCG1)の調整因子におけるマウスに投与されたPEG−IL−10の効果を評価した。コレステロールを酸化させるチトクロームP450ヘム酵素、CYP7A1は、コレステロールからの胆汁酸の合成における律速酵素である。図3Aにて図示するように、PEG−IL−10は、CYP7A1のメッセージ発現を増加させ、肝臓からのコレステロールの流出が増加することを示している。図3Bは、PEG−IL−10の投薬量を増加させることは、コレステロール輸送にて中心的役割を果たすHDL族のメンバーである、APOL8のメッセージ発現を増加させることに相関することを示しており、結果として、より多くの細胞内コレステロール輸送、これによる、流出に利用できるよりより多くの基質が存在する。更に、IL−10は、胆汁酸塩として肝臓からの除去のためのコレステロールを調製することに関与する流出分子、ABCG1のメッセージ発現を増加させ、これは、血清コレステロールの減少と相関している。
更に、LDLに影響を与えるコレステロール恒常性の主要な調整因子であるPCSK9に対する、マウスに投与されたPEG−IL−10の効果を決定した。図4Aに示すように、PEG−IL−10は、LDL受容体を欠くノックアウトマウスにおけるPCSK9のメッセージ発現を下方制御した。これらのデータは、PEG−IL−10が、PCSK9に依存しない方法にて、コレステロールを低下させることを示す。これらのノックアウトマウスに投与される場合、又、PEG−IL−10は、HDL粒子タンパク質APOA2のメッセージ発現の減少を引き起こした(図4Bを参照されたい)。HDL構築に関与するAPOA2は、高密度リポタンパク質粒子の2番目に豊富なタンパク質である。従って、APOA2メッセージ発現の減少は、HDLの減少による高コレステロール血症の一因となる。しかしながら、本明細書において述べられるように、LDLにおけるペグ化IL−10の有益な作用は、HDLの減少による任意のより好ましくない結果を大きく上回り、このことは、異なる作用機構を有する別の薬剤(複数可)との併用にてペグ化IL−10が投与される場合に、特に当てはまることができる。
又、LDLR−/−マウスでのCRPにおけるPEG−IL−10の効果を評価した。CRPは、急性反応物の部類のメンバーであり、且つ、そのレベルは、体内で起こる炎症プロセスの間、劇的に上昇する。主には、その炎症性及びアテローム動脈硬化性効果のために、高いレベルのCRPは、心血管リスクと関連している。図5にて図示するように、PEG−IL−10の投与は、CRPメッセージ発現を減少させ、IL−10が、心臓保護効果を有することを示唆した。
更に、LDLR−/−マウスへのPEG−IL−10の投与は、コレステロール取り込みに関係するいくつかのスカベンジャー受容体に対する正の効果を有した。MSR1(SR−A1(スカベンジャー受容体−A1)としても知られる)、及びCD204(分化(Differentiation)204のクラスター))、並びに、MARCO(SR−A2(スカベンジャー受容体A−2)としても知られる)は、LDLのエンドサイトーシスを調節するスカベンジャー受容体であり、このため、コレステロールの取り込みに関与する。両方のスカベンジャー受容体のメッセージ発現の増加が観察され(図6A及び6Bを参照されたい)、これは、コレステロールの取り込みの強化と相関し、且つ、MSR1及びMARCOは、高コレステロール血症を正常化させることに関連することを示す。
特定の実施形態においては、本明細書において開示されるIL−10薬剤(例えば、PEG−IL−10)は、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%までなど、VLDL、IDL、LDL、又はそれらの組合せのレベルを低下させることができる反高脂血症活性を有する。更にその他の実施形態においては、本明細書において開示されるIL−10薬剤(例えば、PEG−IL−10)は、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、又は約80%〜約100%、10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、又は約70%〜約90%、10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%などの範囲の、VLDL、IDL、LDL、又はそれらの組合せのレベルを低下させることができる反高脂血症活性を有する。
本開示の別の実施形態においては、本明細書において開示されるIL−10薬剤(例えば、PEG−IL−10)は、HDLのレベルを上昇させる。この実施形態の態様においては、IL−10薬剤は、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも37%、少なくとも40%、少なくとも42%、少なくとも45%、又は少なくとも47%までなど、HDLのレベルを上昇させる。本開示の更なるその他の実施形態においては、IL−10薬剤は、例えば、約2%〜約100%、10%〜約50%、約15%〜約50%、約20%〜約50%、約25%〜約50%、約30%〜約50%、約35%〜約50%、又は約40%〜約50%、2%〜約45%、約10%〜約45%、約15%〜約45%、約20%〜約45%、約25%〜約45%、約30%〜約45%、又は約35%〜約45%、2%〜約40%、約10%〜約40%、約15%〜約40%、約20%〜約40%、約25%〜約40%、又は約30%〜約40%、約2%〜約35%、約10%〜約35%、約15%〜約35%、約20%〜約35%、又は約25%〜約35%などの範囲のHDLのレベルを上昇させる。
前述の量、範囲などは、限定されるものではなく、例示的なものであることを理解すべきである。
IL−10の生産方法
本開示のポリペプチドは、非組み換え(例えば、化学合成)及び組み換え方法を含む、任意の適切な方法によって生産されることができる。
A.化学合成
ポリペプチドが化学的に合成される場合に、合成は、液相又は固相を介して進行することができる。固相ペプチド合成(SPPS)は、非天然のアミノ酸及び/又はペプチド/タンパク質骨格改質の組み込みを可能にする。9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及びt−ブチルオキシカルボニル(Boc)などの、様々な形態のSPPSは、本開示のポリペプチドを合成することに利用できる。化学合成の詳細は、当技術分野において周知である(例えば、Ganesan A.(2006)Mini Rev.Med.Chem.6:3−10;及びCamarero J.A.et al.,(2005)Protein Pept Lett.12:723−8).
後述するように固相ペプチド合成が実施されることができる。アルファ官能基(Nα)及び任意の反応性側鎖は、酸に不安定又は塩基に不安定な基によって保護される。保護基は、アミド結合を結合するための条件の下で安定であるが、形成したペプチド鎖を損なわずに、容易に切断されることができる。α−アミノ官能基に適切な保護基としては、これらに限定されるものではないが、Boc、ベンジルオキシカルボニル(Z)、O−クロルベンジルオキシカルボニル、ビーフェニルイソプロピルオキシカルボニル、tert−アミルオキシカルボニル(Amoc)、α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシ−ベンジルオキシカルボニル、o−ニトロスルフェニル、2−シアノ−t−ブトキシカルボニル、Fmoc、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシルオヘキス−1−イリデン)エチル(Dde)などが挙げられる。
適切な側鎖保護基としては、これらに限定されるものではないが、アセチル、アリル(All)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジル(Bzl)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシメチル(Bom)、o−ブロモベンジルオキシカルボニル、t−ブチル(tBu)、t−ブチルジメチルシリル、2−クロロベンジル、2−クロロベンジルオキシカルボニル、2,6−ジクロロベンジル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキス−1−イリデン)エチル(Dde)、イソプロピル、4−メトキシ−2,3−6−トリメチルベンジルスルホニル(Mtr)、2,3,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(Pmc)、ピバリル、テトラヒドロピラン−2−イル、トシル(Tos)、2,4,6−トリメトキシベンジル、トリメチルシリル及びトリチル(Trt)を挙げることができる。
固相合成においては、C末端アミノ酸は、適切な支持材料に連結する。適切な支持材料は、段階的縮合のための試薬及び反応条件、並びに、合成プロセスの開裂反応に対して不活性であり、且つ、使用される反応媒体に溶解しないものである。市販の支持材料の例としては、反応性基及び/又はポリエチレングリコールで改質されたスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、クロロメチル化スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、ヒドロキシメチル化又はアミノメチル化スチレン/ジビニルベンゼンコポリマーなどが挙げられる。ペプチド酸の調製が望まれる場合、ポリスチレン(1%)−ジビニルベンゼン、又は4−ベンジルオキシベンジル−アルコール(ワング(Wang)−アンカー)又は塩化2−クロロトリチルで誘導化されたTentaGel(登録商標)を使用することができる。ペプチドアミドの場合、ポリスチレン(1%)−ジビニルベンゼン、又は5−(4’−アミノメチル)−3’,5’−ジメトキシフェノキシ)吉草酸(PAL−アンカー)又はp−(2,4−ジメトキシフェニル−アミノメチル)−フェノキシ基(リンク(Rink)アミドアンカー)で誘導化されたTentaGel(登録商標)を使用することができる。
ポリマー支持体に対する結合は、例えば、2〜72時間の反応時間、室温又は高温(例えば、40℃〜60℃)で、エタノール、アセトニトリル、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、Nーメチルピロリドン、又は類似の溶媒での活性化試薬の添加によって、C末端Fmoc保護アミノ酸を支持材料と反応させることにより、実現可能である。
Nα−保護アミノ酸(例えば、Fmocアミノ酸)のPAL、ワング又はリンクアンカーへのカップリングは、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール又は1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールの存在下又は非存在下において、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)又はその他のカルボジイミド、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)又はその他のウロニウム塩、O−アシル尿素、ベンゾトリアゾル−1−イル−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェイト(PyBOP)又はその他のホスホニウム塩、N−ヒドロキシスクシンイミド、その他のN−ヒドロキシイミド又はオキシムなどのカップリング試薬を援用して、例えば、2〜72時間の反応時間での、ジイソプロピルエチルアミンなどの(例えば、2倍の過剰量でなどの、アミノ酸及びカップリング試薬の1.5〜3倍の過剰量で、3時間、例えば、25℃などの、約10℃〜50℃の温度で、例えば、ジメチルホルムアミドなどの、ジメチルホルムアミド、Nーメチルピロリドン、又はジクロロメタンなどの溶媒において)、例えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、トリエチルアミン、又はN−メチルモルホリンなどの塩基の添加の有り無で、例えば、HOBtの添加を伴うTBTUを援用して、実行されることができる。
カップリング試薬の代わりに、又、前述の条件の下において、活性エステル(例えば、ペンタフルオロフェニル、p−ニトロフェニルなど)、Nα−Fmoc−アミノ酸の対称形無水物、その酸塩化物又は酸フッ化物を使用することができる。
Nα−保護アミノ酸(例えば、Fmocアミノ酸)は、DIEAの添加によって、ジクロロメタンにおける2−クロロトリチル樹脂に結合することができ、例えば、20分などの10〜120分の反応時間を有するが、この溶媒及びこの塩基の使用に限定されない。
保護アミノ酸の連続したカップリングは、典型的には自動化ペプチド合成機で、ペプチド合成の従来法に従って実行されることができる。例えば、DMFにて50%ピペリシンでの2分を2回、及びDMFにて20%ピペリシンでの15分を1回など、5〜20分間、ジメチルホルムアミドにて、例えば、ピペリシン(10%〜50%)での処理による固相上のカップリングしたアミノ酸のNα−Fmoc保護基の切断の後、ジクロロメタン、DMF、又はその2つの混合物などの、不活性、非水溶性、極性溶媒にて、例えば、25℃でなどの、約10℃〜50℃の温度で、例えば、10倍の過剰量でなど、3〜10倍の過剰量で、次の保護アミノ酸は、前のアミノ酸にカップリングされる。第1のNα−Fmocアミノ酸をPAL、ワング又はリンクアンカーにカップリングするための前述の試薬は、カップリング試薬として適切である。又、保護アミノ酸の活性エステル、或いは、その塩化物又はフッ化物又は対称形無水物が、代替として用いられることができる。
固相合成終了時に、ペプチドは、支持材料から切断され、同時に側鎖保護基が切断される。例えば、2時間などの0.5〜3時間以内で、例えば、15%v/vジメチルスルフィド/エタンジチオール/m−クレゾール1:1:1などの、ジメチルスルフィド、エチルメチルスルフィド、チオアニソール、チオクレゾール、m−クレゾール、アニソールエタンジチオール、フェノール、又は水などの、5%〜20%V/Vのスカベンジャーの添加によって、トリフルオロ酢酸又はその他の強い酸性媒体により、切断は実行されることができる。氷酢酸/トリフルオロエタノール/ジクロロメタン2:2:6で2−クロロトリチルアンカーを切断することによって、完全に保護された側鎖を有するペプチドが得られる。保護ペプチドは、シリカゲルにおけるクロマトグラフィーによって精製されることができる。ペプチドが、ワングアンカーを介して固相に結合される場合、且つ、C末端アルキルアミド化にてペプチドを得ることを目的とする場合、切断は、アルキルアミン又はフルオロアルキルアミンでのアミノ分解によって実行されることができる。アミノ分解は、約−10℃〜50℃(例えば、約25℃)の温度、約12〜24時間(例えば、約18時間)の反応時間で実行される。更に、ペプチドは、例えば、メタノールによる再エステル化によって支持体から切断されることができる。
得られる酸性溶液は、ペプチドを沈殿させ、その結果、エーテルに残留するスカベンジャー及び切断された保護基を分離するために、例えば、10倍の過剰量のジエチルエーテルなどの、3〜20倍の量の冷却エーテル又はn−ヘキサンと混合されることができる。氷酢酸から数回ペプチドを再沈殿させることによって、更なる精製が実行されることができる。得られる沈殿物は、水又はtert−ブタノール、或いは、例えば、tert−ブタノール/水の1:1の混合物などの、この2つの溶媒の混合物にて取り込まれ、凍結乾燥されることができる。
得られたペプチドは、酢酸の形態における弱塩基性樹脂でのイオン交換、非誘導化ポリスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーにおける疎水吸着クロマトグラフィー(例えば、アンバーライト(登録商標)XAD)、シリカゲルにおける吸着クロマトグラフィー、例えば、カルボキシメチルセルロースにおけるなどの、イオン交換クロマトグラフィー、例えば、Sephadex(登録商標)G−25におけるなどの、分配クロマトグラフィー、対向分配クロマトグラフィー、或いは、例えば、オクチル又はオクタデシルシリルシリカ(ODS)相における逆相HPLCなどの、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、様々なクロマトグラフ法によって精製されることができる。
B.組み換え生産
ヒト及びマウスIL−10の調製を記載する方法は、例えば、米国特許第5,231,012号明細書にて見出すことができ、これは、組み換え及びその他の合成技術を含む、IL−10活性を有するタンパク質の生産のための方法を教示している。IL−10は、ウィルスを起源とする場合があり、エプスタインバーウィルス(BCRF1タンパク質)からのウィルスIL−10のクローニング及び発現は、Moore et al.,(1990)Science 248:1230に開示されている。IL−10は、本明細書において記載されたものなどの、当技術分野において周知の標準的な技術を用いたいくつかの方法で得られることができる。又、組み換えヒトIL−10は、例えば、PeproTech,Inc.,Rocky Hill,N.J.から市販されている。
ポリペプチドが、組み換え技術を使用して生産される場合、ポリペプチドは、任意の適切な構造体及び任意の適切な宿主細胞を用いて、細胞内タンパク質として、又は、分泌されたタンパク質として、生産されることができ、宿主細胞は、それぞれ細菌(例えば、大腸菌)又は酵母宿主細胞などの、原核細胞又は真核細胞であることができる。宿主細胞として使用されることができる真核細胞の他の例としては、昆虫細胞、哺乳類細胞、及び/又は植物細胞が挙げられる。哺乳類宿主細胞が使用される場合、ヒト細胞(例えば、HeLa、293、H9、及びJurkat細胞)、マウス細胞(例えば、NIH3T3、L細胞、及びC127細胞)、霊長類細胞(例えば、Cos1、Cos7、及びCV1)、並びに、ハムスター細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)を挙げることができる。
ポリペプチドの発現に適する様々な宿主−ベクター系が、当技術分野において周知の標準的手順に従って使用されることができる。例えば、Sambrook et al.,1989 Current Protocols in Molecular Biology Cold Spring Harbor Press,New York及びAusubel et al.1995 Current Protocols in Molecular Biology,Eds.Wiley and Sonsを参照されたい。宿主細胞へ遺伝物質を導入する方法としては例えば、変換、電気穿孔法、接合、カルシウムリン酸法などが挙げられる。導入されたポリペプチドコード化核酸の安定な発現を提供するために、転写する方法が選択されることができる。ポリペプチドコード化核酸は、遺伝性エピソーム成分(例えば、プラスミド)として提供可能である、又は、ゲノム的に融合可能である。対象のポリペプチドの生産に用いられる様々な適切なベクターが、市販されている。
ベクターは、宿主細胞における染色体外維持を提供することができる、或いは、宿主細胞ゲノムへの融合を提供することができる。発現ベクターは、転写及び翻訳制御配列を提供し、誘導的又は構成的発現を提供することができ、この場合に、コード領域は、転写開始領域、並びに、転写及び翻訳末端領域の転写制御の下で作動可能に結合される。一般的には、転写及び翻訳制御配列は、これらに限定されるものではないが、プロモーター配列、リボゾーム結合部位、転写開始及び停止配列、翻訳開始及び停止配列、並びにエンハンサー又はアクチベーター配列を含む。プロモーターは、構成的又は誘導的であることができ、且つ、強力な構成的プロモーターであることができる(例えば、T7)。
一般的には、発現構造体は、対象のタンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するために、プロモーター配列の近くに位置する都合のよい制限部位を有する。発現宿主にて機能する選択可能なマーカーが、ベクターを含む細胞の選択を容易にするために存在することができる。更に、発現構造体は、更なる成分を含むことができる。例えば、発現ベクターは、1つ又は2つの複製系を有することができ、これにより、例えば、発現のために哺乳類又は昆虫細胞において、且つ、クローニング及び増幅のために原核生物宿主においてなどの、有機体にて維持されることができる。更に、発現構造体は、変形宿主細胞の選択を可能にするために、選択可能なマーカー遺伝子を含むことができる。選択可能な遺伝子は、当技術分野において周知であり、使用する宿主細胞によって変動する。
タンパク質の単離及び精製は、当技術分野において周知の方法によって達成されることができる。例えば、構成的に及び/又は誘導に応じてタンパク質を発現するために、遺伝的に改質された細胞のライセートから、又は、イムノアフィニティー精製による合成反応混合物から、タンパク質は単離されることができ、これは、一般的には、試料を抗タンパク質抗体に接触させること、洗浄して非特異的に結合した物質を除去すること、及び特異的に結合したタンパク質を溶出させることを伴う。単離したタンパク質は、透析、及びタンパク質精製において通常使用されるその他の方法によって、更に精製されることができる。一実施形態においては、タンパク質は、金属キレートクロマトグラフィー法を用いて単離されることができる。タンパク質は、単離を促進するための改質を含むことができる。
ポリペプチドは、実質的に純粋な又は単離された形態(例えば、他のポリペプチドを有さない)で調製されることができる。ポリペプチドは、存在し得る他の成分に対してそのポリペプチドにおいて濃縮されて組成物に存在することができる(例えば、その他のポリペプチド又はその他の宿主細胞成分)。例えば、約90%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、又は約1%未満などで、その他の発現タンパク質を実質的に有さず、組成物においてポリペプチドが存在するように、精製されたポリペプチドは提供されることができる。
当技術分野において周知の異なるIL−10関連核酸を操作する組み換え技術を用いIL−10ポリペプチドを生成して、IL−10ポリペプチドをコードすることができる構造体を提供することができる。特定のアミノ酸配列を提供する場合、例えば、分子生物学における背景及び経験を鑑みて、当業者は、こうしたアミノ酸配列をコードする様々な異なる核酸分子を認識することが理解されるであろう。
アミド結合置換
場合によっては、IL−10は、ペプチド結合以外の1つ以上の結合を含み、例えば、少なくとも2つの隣接するアミノ酸は、アミド結合以外の結合を介して結合される。例えば、望ましくないタンパク質分解又はその他の分解の手段を低減させる又は除去するために、及び/又は血清安定性を増加させるために、及び/又は立体配座の柔軟性を制限する又は増加させるために、IL−10の骨格内の1つ以上のアミド結合、置換されることができる。
別の例では、IL−10における1つ以上のアミド結合(−CO−NH−)は、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2CH2−、−CH=CH−(シス及びトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、又は−CH2SO−などの、アミド結合の等量式である結合で、置き換えられることができる。IL−10の1つ以上のアミド結合が、例えば、誘導された等量式の偽ペプチド結合によって置き換えられることができる。Couder et al.(1993)Int.J.Peptide Protein Res.41:181−184を参照されたい。こうした置き換え及びこれらを実践する方法は、当業者にとって周知である。
アミノ酸置換
1つ以上のアミノ酸置換が、IL−10ポリペプチドにおいて行われることができる。以下は、非限定的な例である。
a)アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ノルロイシン、(S)−2−アミノ酪酸、(S)−シクロヘキシルアラニン、或いは、分岐型、環式、及び直鎖型アルキル、アルケニル、又はアルキニル置換を含む、C1〜C10炭素からの脂肪族側鎖によって置換されたその他の基本のアルファアミノ酸を含む、アルキル置換疎水性アミノ酸の置換。
b)アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アザ、ハロゲン化(フルオロ、クロル、ブロモ、又はイオド)、或いは、上記列挙した芳香族アミノ酸のアルコキシ(C1〜C4から)−置換形態を含む、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、スルホチロシン、ビフェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、2−ベンゾチエニルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、ヒスチジンを含む、
芳香族置換疎水性アミノ酸の置換。この例示的な例は、2−、3−、又は4−アミノフェニルアラニン、2−、3−、又は4−クロロフェニルアラニン、2−、3−、又は4−メチルフェニルアラニン、2−、3−、又は4−メトキシフェニルアラニン、5−アミノ−、5−クロロ−、5−メチル−、又は、5−メトキシトリプトファン、2’−、3’−、又は4’−アミノ−、2’−、3’−、又は4’−クロロ−、2、3、又は4−ビフェニルアラニン、2’−、3’−、又は4’−メチル−、2−、3−、又は4−ビフェニルアラニン、及び、2−又は3−ピリジルアラニンである。
c)アルキル、アルケニル、又はアリール置換した(C1〜C10分岐型、直鎖型、又は環式から)前述のアミノ酸の誘導体を含む、アルギニン、リシン、ヒスチジン、オルニチン、2,3−ジアミノプロピオン酸、ホモアルギニンを含む、塩基性側鎖を含むアミノ酸の置換である(置換基が、例えば、プロR位置において、ヘテロ原子(アルファ窒素、又は遠位の窒素(複数可))にあれ、又はアルファ炭素などにある場合であれ)。例示的な例として役立つ化合物としては、N−イプシロン−イソプロピル−リシン、3−(4−テトラヒドロピリジル)−グリシン、3−(4−テトラヒドロピリジル)−アラニン、N,N−ガンマ、ガンマ’−ジエチル−ホモアルギニンが挙げられる。又、アルファ−メチル−アルギニン、アルファ−メチル−2,3−ジアミノプロピオン酸、アルファ−メチル−ヒスチジン、アルファ−メチル−オルニチンなどの化合物が挙げられ、この場合に、アルキル基は、アルファ炭素のプロR位置を占める。又、アルキル、芳香族、複素環式芳香族(この場合に、複素環式芳香族基は、単独で又は組合せで1つ以上の窒素、酸素、又は硫黄原子を有する)、カルボキシル酸、或いは、酸塩化物、活性エステル、活性アゾリド、及び関連した誘導体、並びに、リシン、オルニチン、又は2,3−ジアミノプロピオン酸などの多くの周知の活性誘導体のいずれかから形成されるアミドが挙げられる。
d)アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、チロシン、2,4−ジアミノプリオピオン酸のアルキル、アリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールスルホンアミド、オルニチン又はリシン、並びに、テトラゾール置換アルキルアミノ酸を含む、酸性アミノ酸の置換。
e)アスパラギン、グルタミン、及び、アスパラギン又はグルタミンのアルキル又は芳香族置換誘導体を含む、側鎖アミド残基の置換。並びに、
f)セリン、スレオニン、ホモセリン、2,3−ジアミノプロピオン酸、及び、セリン又はスレオニンのアルキル又は芳香族置換誘導体を含む、ヒドロキシル含有アミノ酸の置換。
場合によっては、IL−10は、1つ以上の天然の非遺伝的にコードされたLーアミノ酸、合成Lーアミノ酸、又はアミノ酸のD−エナンチオマーを含む。例えば、IL−10は、D−アミノ酸のみを含むことができる。例えば、IL−10ポリペプチドは、1つ以上の以下の残基を含むことができる:ヒドロキシプロリン、β−アラニン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、m−アミノメチル安息香酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、α−アミノイソ酪酸、N−メチルグリシン(サルコシン)、オルニチン、シトルリン、t−ブチルアラニン、t−ブチルグリシン、N−メチルイソロイシン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、ノルロイシン、ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸、β−2−チエニルアラニン、メチオニンスルホキシド、ホモアルギニン、N−アセチルリシン、2,4−ジアミノ酪酸、ロー−アミノフェニルアラニン、N−メチルバリン、ホモシステイン、ホモセリン、ε−アミノヘキサン酸、ω−アミノヘキサン酸、ω−アミノヘプタン酸、ω−アミノオクタン酸、ω−アミノデカン酸、ω−アミノテトラデカン酸、シクロヘキシルアラニン、α、γ−ジアミノ酪酸、α、β−ジアミノプロピオン酸、δ−アミノ吉草酸、及び2,3−ジアミノ酪酸。
更なる改質
システイン残基又はシステイン類似体が、IL−10ポリペプチドに導入されて、
ジスルフィド結合を介する別のペプチドへの結合をもたらす、又は、IL−10ポリペプチドの環化をもたらすことができる。システイン又はシステイン類似体を導入する方法は、当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第8,067,532号明細書を参照されたい。
IL−10ポリペプチドを、環化することができる。1つ以上のシステイン又はシステイン類似体を、IL−10ポリペプチドに導入することができ、この場合に、導入されたシステイン又はシステイン類似体は、第2の導入されたシステイン又はシステイン類似体とジスルフィド結合を形成することができる。環化のその他の手段は、オキシムリンカー又はランチオニンリンカーの導入を含み、例えば、米国特許第8,044,175号明細書を参照されたい。環化の結合を形成することができるアミノ酸(又は非アミノ酸部位)の任意の組合せを、使用及び/又は導入することができる。環化の結合は、橋かけの導入を可能にする官能基とのアミノ酸の任意の組合せによって形成されることができる(又はアミノ酸及び−(CH2)n−CO−又は−(CH2)n−C6H4−CO−と)。いくつかの例は、ジスルフィド、−(CH2)n−カルバ橋かけ、チオアセタール、チオエーテル橋かけ(シスタチオニン又はランチオニン)、及びエステル及びエーテルを含む橋かけなどの、ジスルフィド模倣物である。これらの例においては、nは、任意の整数であることができるが、多くの場合に10未満である。
その他の改質としては、例えば、N−アルキル(又はアリール)置換(ψ[CONR])、又は、ラクタム及びその他の環状構造を構成する骨格架橋が挙げられる。他の誘導体としては、C末端ヒドロキシメチル誘導体、o−改質誘導体(例えば、C末端ヒドロキシメチルベンジルエーテル)、アルキルアミド及びヒドラジドなどの置換アミドを含む、N−末端改質誘導体が挙げられる。
場合によっては、IL−10ポリペプチドにおける1つ以上のL−アミノ酸が、1つ以上のD−アミノ酸と置き換えられる。
場合によっては、IL−10ポリペプチドは、レトロインベルソ類似体である(例えば、Sela and Zisman(1997)FASEB J.11:449を参照されたい)。レトローインベルソペプチド類似体は、直鎖型ポリペプチドの異性体であり、この場合に、アミノ酸配列の方向は、逆転し(レトロ)、例えば、L−アミノ酸ではなくD−アミノ酸を使用して、それにおける1つ以上のアミノ酸のキラリティー、D−又はLーは、逆転する(インベルソ)。(例えば、Jameson et al.(1994)Nature 368:744;及びBrady et al.(1994)Nature 368:692を参照されたい)。
IL−10ポリペプチドは、脂質二重層、ミセル、細胞膜、オルガネラ膜、又は小胞膜を透過させることを促進するポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、又は有機又は無機分子を指す、「タンパク質変換領域」(PTD)を含むことができる。別の分子に結合したPTDは、例えば、細胞外空間から、細胞内空間、又は細胞質ゾルから細胞小器官内に移動するなど、分子が膜を透過することを促進する。いくつかの実施形態においては、PTDは、IL−10ポリペプチドのアミノ末端に共有結合し、他の実施形態においては、PTDは、IL−10ポリペプチドのカルボキシル末端に共有結合される。例示的なタンパク質変換領域としては、限定されるものではないが、最小のウンデカペプチドタンパク質変換領域(YGRKKRRQRRRを含むHIV−1TATの残基47−57に対応する、配列番号3)、細胞への直接導入に十分ないくつかのアルギニン残基を含むポリアルギニン配列(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10〜50のアルギニン)、VP22領域(Zender et al.(2002)Cancer Gene Ther.9(6):489−96)、ショウジョウバエアンテナペディアタンパク質変換領域(Noguchi et al.(2003)Diabetes52(7):1732−1737)、短縮ヒトカルシトニンペプチド(Trehin et al.(2004)Pharm.Research 21:1248−1256)、ポリリシン(Wender et al.(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:13003−13008)、RRQRRTSKLMKR(配列番号4)、トランスポータン(Transportan)GWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKIL(配列番号5)、KALAWEAKLAKALAKALAKHLAKALAKALKCEA(配列番号6)、並びに、RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号7)が挙げられる。例示的なPTDとしては、これらに限定されるものではないが、YGRKKRRQRRR(配列番号3)、RKKRRQRRR(配列番号8)、3つアルギニン残基から50のアルギニン残基までからなるアルギニンホモポリマーが挙げられ、例示的なPTD領域アミノ酸配列としては、限定されるものではないが、以下、YGRKKRRQRRR(配列番号3)、RKKRRQRR(配列番号9)、YARAAARQARA(配列番号10)、THRLPRRRRRR(配列番号11)、及びGGRRARRRRRR(配列番号12)のいずれかが挙げられる。
IL−10ポリペプチドのC末端端部のアミノ酸のカルボキシル基COR3は、遊離形態(R3=OH)にて、或いは、例えば、ナトリウム、カリウム、又はカルシウム塩などの、生理学的に許容されるアルカリ又はアルカリ土類塩の形態にて存在することができる。又、カルボキシル基は、例えば、メタノール、分岐型又は非分岐型C1〜C6−アルキルアルコール、例えば、エチルアルコール又はtert−ブタノールなどの、一級、二級、又は三級アルコールでエステル化されることができる。又、カルボキシル基は、アンモニア、例えば、メチルアミン又はジメチルアミンなどの、分岐型又は非分岐型C1〜C6−アルキルアミン、或いは、C1〜C6ジアルキルアミンなどの、第一又は第二アミンでアミド化されることができる。
IL−10ポリペプチドのN末端のアミノ酸NR1R2のアミノ基は、例えば、塩化物又は酢酸などの、遊離形態(R1=H及びR2=H)にて、或いは生理学的に許容される塩の形態にて存在することができる。又、アミノ基は、R1=H、及びR2=アセチル、トリフルオロアセチル、又はアダマンチルであるように、酸でアセチル化されることができる。アミノ基は、前述で提供されるもの(例えば、Fmoc、ベンジルオキシ−カルボニル(Z)、Boc、及びAlloc)などの、ペプチド化学において従来使用されるアミノ保護基によって保護される形態にて、存在することができる。アミノ基は、N−アルキル化されることができ、この場合に、R1及び/又はR2=C1〜C6アルキル又はC2〜C8アルケニル又はC7〜C9アラルキルである。アルキル残基は、直鎖型、分岐型、又は環式(例えば、それぞれ、エチル、イソプロピル、及びシクロヘキシル)であることができる。
IL−10機能を強化及び/又は模倣する特定の改質
本明細書において開示される治療方法(例えば、IL−10)及び/又は投与される方法の1つ以上の物理的特性を向上させることは、多くの場合に有益であり、必要不可欠である場合がある。物理的特性の向上は、例えば、免疫原性を調整すること、水溶性、生体有用性、血清半減期、及び/又は治療半減期を増加させる方法、及び/又は生物活性を調整することを含む。例えば、検出分析(例えば、エピトープ標識)に用いる抗体を増加させるために、並びに、タンパク質精製の容易さを提供するために、特定の改質が有用である場合がある。一般的には、こうした改良は、治療方法の生理活性に悪影響を与えることなく且つ/又はその免疫原性を増加させることなく、行わなければならない。
IL−10のペグ化は、本開示によって企図される1つの特定の改質であり、一方、その他の改質としては、これらに限定されるものではないが、グリコシル化(N−及びO−結合した)、ポリシアリル化、血清アルブミンを含むアルブミン融合分子(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、シノ血清アルブミン、又はウシ血清アルブミン(BSA))、例えば、複合脂肪酸鎖(アシル化)を介するアルブミン結合、並びに、Fc−融合タンパク質が挙げられる。
ペグ化:タンパク質治療の臨床効果は、短い血漿半減期及びプロテアーゼ分解に対する感受性によって、多くの場合に制限される。様々な治療タンパク質(例えば、フィルグラスチム)の研究が、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンなどの、様々な非タンパク性ポリマーのいずれかにポリペプチド配列を複合又は結合させることを含む、様々な改質によってこうした困難さを克服することができることを示している。これは、タンパク質、及び、例えば、PEGなどの非タンパク性ポリマーの両方に、共有結合した結合部位によって、多くの場合にもたらされる。こうしたPEG複合生体分子は、より良好な物理的及び熱的安定性、酵素分解を受け易いことに対する保護、溶解性の増加、生体内循環半減期の増加及びクリアランスの減少、免疫原性及び抗原性の減少、並びに、毒性の減少を含む、臨床的に有用な特性を有することが示されている。
薬物動態パラメーターにおけるペグ化の有益な効果に加えて、ペグ化自体は、活性を強化し得る。例えば、PEG−IL−10は、非ペグ化IL−10よりも、ある特定の癌に対して有効であることが示されている。(例えば、欧州特許出願公開第206636A2号明細書を参照されたい)
ポリペプチド配列に対する複合に適するPEGは、一般的には、室温で水に溶解し、且つ、一般式R(O−CH2−CH2)nO−Rを有し、この場合に、Rは、水素、或いは、アルキル又はアルカノール基などの保護基であり、且つ、nは1〜1000の整数である。Rが保護基である場合、一般的には、1〜8の炭素を有する。ポリペプチド配列に複合されるPEGは、直鎖型又は分岐型であることができる。分岐型PEG誘導体、「星型PEG」及び多アームPEGが、本開示によって企図される。本開示において使用されるPEGの分子量は、任意の特定範囲に制限されず、実施例が本明細書において記載され、例としては、特定の実施形態では、5kDa〜20kDaの分子量を有し、一方、その他の実施形態では、4kDa〜10kDaの分子量を有する。
又、本開示は、PEGが異なるn値を有し、その結果、様々な異なるPEGが特定の比で存在する、複合体の組成物を企図する。例えば、いくつかの組成物は、n=1、2、3、及び4である複合体の混合物を含む、いくつかの組成物においては、n=1である複合体のパーセンテージは18〜25%であり、n=2である複合体のパーセンテージは50〜66%であり、n=3である複合体のパーセンテージは12〜16%であり、並びに、n=4である複合体のパーセンテージは最大5%である。こうした組成物は、当技術分野において周知である反応条件及び精製法によって生産可能である。例示的な反応条件は、本明細書の全体に渡り記載される。陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて、複合体を分離することができ、次いで、例えば、所望の数の結合されたPEGを有する複合体を含む分画が確認され、非改質タンパク質配列を有さず、且つ、他の数の結合されたPEGを有する複合体を有さず精製される。
ペグ化は、ポリペプチドのN末端のアルファアミノ基、リシン残基の側鎖のイプシロンアミノ基、及び、ヒスチジン残基の側鎖のイミダゾール基で、最も多く発生する。ほとんどの組み換えポリペプチドが、単一のアルファ及びいくつかイプシロンアミノ及びイミダゾール基を有することから、多数の位置異性体が、リンカー化学に基づいて生成されることができる。当技術分野において周知である一般的なペグ化戦略は、本明細書において適用可能である。PEGは、1つ以上のポリペプチド配列の遊離アミノ又はカルボキシル基とポリエチレングリコールとの間の結合を媒介する末端反応基(「スペーサー」)を介して、本開示のポリペプチドに結合されることができる。遊離アミノ基に結合されることができるスペーサーを有するPEGは、N−ヒドロキシスクシニルイミドでポリエチレングリコールのコハク酸エステルを活性化させることによって調製されることができるN−ヒドロキシスクシニルイミドポリエチレングリコールを含む。遊離アミノ基に結合されることができる別の活性ポリエチレングリコールは、2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−6−クロロ−s−トリアジンであり、これは、塩化シアヌルとポリエチレングリコールモノメチルエーテルを反応させることによって調整されることができる。遊離カルボキシル基に結合する活性ポリエチレングリコールは、ポリオキシエチレンジアミンを含む。
スペーサーを有するPEGへの本開示の1つ以上のポリペプチド配列の複合を、様々な従来の方法によって実行することができる。例えば、複合反応は、5〜10のpHの溶液において、4℃から室温までの温度で30分〜20時間、4:1〜30:1のタンパク質に対する試薬のモル比を用いて実行されることができる。反応条件は、反応によって主として所望の置換度を与えるように選択されることができる。一般的には、低温、低pH(例えば、pH=5)、及び短い反応時間は、結合されたPEGの数を減少させる傾向があるが、高温、中性から高pH(例えば、pH7以上)、及びより長い反応時間は、結合されたPEGの数を増加させる傾向がある。当技術分野において周知である様々な手段を用いて、反応を終了することができる。いくつかの実施形態においては、反応は、反応混合物を酸性化し、例えば、−20℃で凍結させることによって終了する。様々な分子のペグ化は、例えば、米国特許第5,252,714号明細書、米国特許第5,643,575号明細書、米国特許第5,919,455号明細書、米国特許第5,932,462号明細書、及び米国特許第5,985,263号明細書に記載されている。PEG−IL−10は、例えば、米国特許第7,052,686号明細書に記載されている。本明細書において使用のために企図される特定の反応条件は、実験の部に記載される。
又、本開示は、PEG模倣物の使用を企図する。いくつかの更なる有益な特性を与えながら、PEGの属性(例えば、血清半減期の強化)を保持する組み換えPEG模倣物が開発されている。例としては、PEGと類似する伸長した配座を形成することができる単一のポリペプチド鎖(例えば、Ala、Glu、Gly、Pro、Ser、及びThrを含む)は、対象のペプチド又はタンパク質薬にすでに融合されて組み換え技術によって生産されることができる(例えば、Amunix’XTEN technology;Mountain View,CA)。これにより、製造プロセスの間、更なる複合ステップの必要性がなくなる。更に、確立した分子生物学技術は、ポリペプチド鎖の側鎖組成物の制御を可能にし、免疫原性及び製造特性の最適化を可能にする。
グリコシル化:本開示の目的のため、「グリコシル化」は、グリカンをタンパク質、脂質、又はその他の有機分子に結合させる酵素プロセスを広く意味することを意図する。本開示と関連して「グリコシル化」という用語の使用は、一般的には、1つ以上の炭水化物部位を加える又は削除すること(基本のグリコシル化部位を除去することによって、又は、化学的及び/又は酵素的手段によってグリコシル化を抹消することによって)、及び/又は、天然配列において存在することができる、又は、存在しなくてもよい、1つ以上のグリコシル化部位を加えることを指すことを意図する。更に、相は、性質の変化及び存在する様々な炭水化物部位の比率を伴う未変性タンパク質のグリコシル化の質的変化を含む。
グリコシル化は、IL−10などのポリペプチドの物理的特性(例えば、溶解性)に劇的に影響を及ぼし得、又、タンパク質安定性、分泌、及び細胞内局在性において重要であり得る。又、グリコシル化ポリペプチドは、安定性の強化を示すことができ、又は、半減期などの、1つ以上の薬物動態特性を向上させることができる。更に、溶解性の向上は、例えば、非グリコシル化ポリペプチドを含む製剤より薬剤投与により適する製剤の作製を可能にする。
グリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を変更することによって達成されることができる。ポリペプチドに対する変更は、例えば、1つ以上のセリン又はスレオニン残基(O−結合グリコシル化部位の場合)、或いは、アスパラギン残基(N−結合グリコシル化部位の場合)の添加、或いは、置換によって行われることができる。それぞれの種類で見られるN−結合及びO−結合オリゴ糖並びに糖残基の構造は、異なることができる。両方で一般的に見られる糖の一種類は、N−アセチルノイラミン酸(以下、シアリン酸と称される)である。通常、シアリン酸は、N−結合及びO−結合オリゴ糖の両方の末端残基であり、その陰電荷によって、糖タンパク質に酸性特性を与えることができる。本開示の特定の実施形態は、N−グリコシル化変異体の生成と使用を含む。
本開示のポリペプチド配列は、核酸レベルでの変化によって、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成するように、予め選択された塩基においてポリペプチドをコードする核酸を変異させることによって、場合により変更されることができる。
ポリシアル化:又、本開示は、ポリペプチドの安定性及び生体内の薬動動態を改善するために、天然の生物分解可能なα−(2→8)結合ポリシアル酸(「PSA」)へのポリペプチドの複合である、ポリシアリル化の使用を企図する。
アルブミン融合:複合のための更なる適切な成分及び分子は、ヒト血清アルブミン(HSA)、シノ血清アルブミン、及びウシ血清アルブミン(BSA))などのアルブミンを含む。
本開示によれば、アルブミンは、カルボキシル末端、アミノ末端、カルボキシル及びアミノ末端の両方にて、且つ、内部的に、薬物分子(例えば、本明細書において記載されるポリペプチド)に複合されることができる(例えば、米国特許第5,876,969号明細書及び米国特許第7,056,701号明細書を参照されたい)。
本開示によって企図されるHSA−薬物分子複合体においては、アルブミン分泌前配列、及びそれらの変異体、フラグメント、及びそれらの変異体、及びHSA変異体などの、様々な形態のアルブミンを使用することができる。一般的には、こうした形態は、1つ以上の所望のアルブミン活性を有する。更なる実施形態においては、本開示は、アルブミン、アルブミンフラグメント、及びアルブミン変異体などに直接又は間接的に融合されたポリペプチド薬物分子を含む融合タンパク質を伴い、この場合に、融合タンパク質は、非融合薬物分子より高い血漿安定性を有し、且つ/又は、融合タンパク質は、非融合薬物分子の治療活性を保持する。いくつかの実施形態においては、間接的な融合は、ペプチドリンカー又はその改質バージョンなどのリンカーによって行われる。
前述のように、例えば、本開示の1つ以上のポリペプチドへのアルブミンの融合は、HSAにおける核酸コード又はそのフラグメントが1つ以上のポリペプチド配列における核酸コードに結合されるように、遺伝子操作によって実現されることができる。
代替アルブミン結合戦略:いくつかのアルブミン結合戦略が、直接融合の代替として開発されており、本明細書において記載されるIL−10薬剤とともに用いられることができる。例としては、本開示は、複合脂肪酸鎖を介するアルブミン結合(アシル化)、並びに、アルブミン結合領域(ABD)ポリペプチド配列と、本明細書において記載される1つ以上のポリペプチドの配列と、を含む融合タンパク質を企図する。
その他の分子との複合:複合のための更なる適切な成分及び分子としては、例えば、サイログロブリン、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ポリ(D−リシン:D−グルタミン酸)などのポリアミノ酸、ロタウィルスのVP6ポリペプチド、インフルエンザウィルス血球凝集素、インフルエンザウィルス核タンパク質、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、並びに、B型肝炎ウィルスコアタンパク質及び表面抗原、又は前述の任意の組合せが挙げられる。
従って、本開示は、別のポリペプチド(例えば、対象ポリペプチドに対して異種のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、又は担体分子などの、ポリペプチド配列のN末端及び/又はC末端での1つ以上の更なる成分又は分子の複合を企図する。従って、例示的なポリペプチド配列は、別の成分又は分子との複合体として提供されることができる。
又、IL−10ポリペプチドは、タンパク質、セファロース、アガロース、セルロース、又はセルロースビーズなどの多糖、ポリグルタミン酸又はポリリシンなどの重合アミノ酸、アミノ酸コポリマー、不活性ウィルス粒子、ジフテリア、破傷風、コレラ、又はロイコトキシン分子からのトキソイドなどの不活性細菌毒素、不活性細菌、及び樹状細胞などの、大きくゆっくりと代謝された高分子と複合することができる。必要に応じて、こうした複合形態を用いて、本開示のポリペプチドに対する抗体を生産することができる。
複合のための更なる候補成分及び分子は、単離又は精製に適するものを含む。特定の非限定的な例としては、ビオチン(ビオチン−アビジン特定結合対)、抗体、レセプター、リガンド、レクチン、又は、例えば、プラスチック又はポリスチレンビーズ、プレート又はビーズ、磁気ビーズ、試験片、及び膜を含む、固体支持体を含む分子などの結合分子が挙げられる。
Fc−融合分子:特定の実施形態においては、本開示のポリペプチド配列のアミノ又はカルボキシル末端は、イムノグロブリンFc領域(例えば、ヒトFc)と融合して融合複合体(又は融合分子)を形成することができる。Fc融合複合体は、生物薬剤の系統的半減期を増加させることが示されており、この結果、生物薬剤生成物は、頻度がより低い投与が必要とされ得る。
Fcは、血管の内側を覆う内皮細胞において、早発性Fc受容体(FcRn)と結合し、結合の際に、より長い血行に分子を維持しながら、Fc融合分子は、分解から保護され、血行に再放出される。このFc結合は、内因性免疫IgGが、その長い血漿半減期を保持する機構であると考えられている。より最近のFc融合技術は、従来のFc融合複合体と比較して、生物薬剤の単一コピーを抗体のFc領域に結合し、生物薬剤の薬物動態及び薬力学特性を最適化する。
他の改質:本開示は、1つ以上の特性を向上させるために、IL−10の中で、現在周知である又は将来に開発される他の改質の使用を企図する。例としては、HES化が挙げられ、その様々な態様は、例えば、米国特許出願公開第2007/0134197号明細書及び米国特許出願公開第2006/0258607号明細書に記載され、且つ、融合タグとしてSUMOを含む融合分子(LifeSensors,Inc.;Malvern,PA)が挙げられる。
リンカー:リンカー及びその使用は、上で記載された。本開示のポリペプチド配列を改質するために使用される前述の成分及び分子のいずれも、リンカーを介して任意に複合されることができる。適切なリンカーとしては、一般的には、改質ポリペプチド配列と、結合した成分と分子との間のいくらかの動きを可能にする十分な長さを有する「柔軟なリンカー」が挙げられる。一般的には、リンカー分子は、約6〜50の原子の長さである。又、リンカー分子は、例えば、2〜10のモノマーユニット、ジアミン、二酸、アミノ酸、又はそれらの組合せを含む、アリールアセチレン、エチレングリコールオリゴマーであることができる。適切なリンカーは、容易に選択されることができ、1つのアミノ酸(例えば、Gly)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜20、20〜30、30〜50、又は50を超えるアミノ酸などの、任意の適切な長さであることができる。
柔軟なリンカーの例としては、グリシンポリマー(G)n、グリシン−セリンポリマー(例えば、(GS)n)、GSGGSn(配列番号13)、GGGSn(配列番号14)、(GmSo)n、(GmSoGm)n、(GmSoGmSoGm)n(配列番号15)、(GSGGSm)n(配列番号16)、(GSGSmG)n(配列番号17)、及び(GGGSm)n(配列番号18)、並びにそれらの組合せが挙げられ、この場合に、m及びoはそれぞれ、独立して、少なくとも1の整数から選択される)、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマー、並びに、その他の柔軟なリンカーが挙げられる。グリシン及びグリシン−セリンポリマーは、比較的構造化されていなく、従って、成分の間で中立の綱として機能することができる。例示的な柔軟なリンカーとしては、これらに限定されるものではないが、GGSG(配列番号19)、GGSGG(配列番号20)、GSGSG(配列番号21)、GSGGG(配列番号22)、GGGSG(配列番号23)、並びにGSSSG(配列番号24)が挙げられる。
治療及び予防用途
本開示は、例えば、コレステロール恒常性に直接又は間接的に関連する高コレステロール血症、異常な脂質プロファイル、及び、その他の障害に関連する、又は、由来する、疾患、障害、又は疾病、及び/又はそれらの症状の治療又は予防における、本明細書において記載されるIL−10ポリペプチド(例えば、PEG−IL−10)の使用に関する。実際には、本開示の教示は、前述のIL−10平均血清トラフ濃度パラメーターを実現又は維持することが有益であることができる、任意のこうした疾患、障害、又は疾病に適用されることを意図する。特定の用途が以下に詳述されるが、本開示は大きく限定されないことを理解すべきである。更に、高コレステロール血症及び異常な脂質プロファイルに関連する、又は由来する例示的な疾患、障害、及び疾病の特定の分類が、以下に説明されるが、1つ以上の分類の間の重複は多くの場合に存在することを理解すべきである(例えば、特定の心血管疾患は、炎症性成分を有する場合がある)。
心血管疾患
特定の実施形態においては、本開示は、高コレステロール血症及び異常な脂質プロファイルに由来する、心血管疾患、障害、及び疾病、並びにそれらに関連する障害を治療及び/又は予防するための、本明細書において記載されるIL−10ポリペプチド(例えば、PEG−IL−10)の使用を企図する。
本明細書において使用される場合、「心血管疾患」、「心臓病」などの用語は、心血管系、主として心臓病、脳及び腎臓の血管疾患、並びに末梢性動脈の疾患に影響する任意の疾患を指す。心血管疾患は、疾患の一群であり、そのいくつかは、以下に更に説明され、冠状動脈性心臓病(例えば、虚血性心疾患又は冠状動脈疾患)、アテローム性動脈硬化、心筋症、高血圧、高血圧性心疾患、肺性心、心臓律動異常、心内膜炎、脳血管疾患、及び末梢性動脈疾患を含む。心血管疾患は、世界的に死亡の主要な原因であり、通常、高齢者が罹患するが、心血管疾患、特にアテローム性動脈硬化の既述の例は、若年期に開始する。
特定の実施形態においては、本開示は、末梢性動脈疾患(PAD)又は末梢性動脈閉塞疾患(PAOD)としても知られる末梢血管疾患(PVD)の治療及び/又は予防を企図する。PVDは、冠状又は脳脈管系の範囲ではない、急性又は慢性局所貧血をもたらす、大動脈の障害によって特徴づけられる疾病を広く意味する。又、PVDは、動脈の一時的な狭窄化(例えば、レイノー現象)又は動脈の拡張化(例えば、血管痙攣)から得られる微小血管性疾患と分類される疾患のサブセットを含む。PVDの症状としては、限定されるものではないが、血流の減少、痛み、創傷、ゆっくりと回復する又はまったく回復しない潰瘍、及び手足の冷たさ又は変色による、疼痛、虚弱、しびれ、又は筋肉の痙攣が挙げられる。軽度のPAD患者の約20%は、症状がない場合がある。
特定の実施形態においては、本開示のIL−10薬剤(例えば、PEG−IL−10)は、心筋機能の悪化が特徴である疾病、心筋症を含む、心血管疾患の治療及び/又は予防において使用される。予兆及び症状は、心臓病のほとんどの任意の形態のものに類似する場合があり、胸の痛み及びEKG異常を含む場合がある。軽度の心筋症は、多くの場合に症状がないが、ひどい場合は、心不全、不整性、全身性塞栓症、又は突然の心臓死と関連がある。
いくつかの方式を用いて心筋症を分類することができる。方式の一つは、拡張、肥大、又は制限に関与するものとして、機能的に心筋症を分類する。別の方式は、心筋症を外因性又は内因性として分類する。「外因性心筋症」は、主要な病状が心筋自体以外にある心筋症を意味する。例えば、外因性心筋症は、代謝/貯蔵障害、内分泌障害、運動支配障害、栄養障害、炎症性障害、毒性(薬物及びアルコールを含む)、局所貧血、及び/又は感染症(例えば、C型肝炎)によって引き起こされる場合がある。外因性心筋症の非限定的な例としては、先端巨大症、アルコール心筋症、アミロイド症、シャーガス病、糖尿病性心筋症、血色素症、高血圧心筋症、甲状腺機能亢進症、炎症性心筋症、虚血性心筋症、筋ジストロフィー、弁膜性心筋症、全身代謝病に続発する心筋症、全身性栄養的に続発する心筋症、冠状動脈疾患、及び先天性心臓病が挙げられる。対照的に、内因性心筋症は、原因不明である心筋の虚弱が特徴である心筋症を意味する。内因性心筋症の非限定的な例としては、拡張型心筋症、肥大心筋症、催不整脈性右室心筋症、拘束性心筋症、隔離心室非圧縮、ミトコンドリア性筋障害、たこつぼ心筋症、及びレフラー心内膜炎が挙げられる。
本開示によって企図される実施形態は、本開示のIL−10薬剤(例えば、PEG−IL−10)が、i)虚血性心疾患の治療及び/又は予防において使用されるものを含む。虚血性心疾患又は心筋虚血は、通常、冠状動脈の狭小化又は妨害による心筋の血液供給の減少が特徴である疾病を指す。虚血性心疾患の症状としては、運動時、寒冷な気候又は感情的な状況における胸の痛み、急性的な胸の痛み、急性冠動脈症候群、不安定狭心症、心筋梗塞、心不全、呼吸困難、又は手足の腫脹、ii)身体の全体にわたって十分量な量の血液を満たす又はポンプ輸送する心臓の能力を悪化させる心臓異常が特徴である疾病、鬱血性心不全、並びに、iii)限定されるものではないが、左室肥大、冠状動脈性心臓病、鬱血性心不全、高血圧の心筋症、及び心臓不整性を含む、高血圧を特徴とする疾病、高血圧性心疾患が挙げられる。
本開示の特定の実施形態は、コレステロール及びトリグリセリドなどの脂肪物質の蓄積の結果として、動脈壁が厚くなり斑を形成する、慢性疾病、アテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するための、本明細書において記載されるIL−10ポリペプチドの使用に関する。更に本明細書において述べられるように、アテローム性動脈硬化は、機能性HDLによるマクロファージからの脂肪及びコレステロールの十分な除去を伴わず、大きくは、マクロファージの蓄積によって生じ、且つ、LDLによって促進される、動脈壁における慢性炎症反応を多くの場合に伴う。慢性的に拡大するアテローム性動脈硬化症は、ルーメンの完全な閉鎖を引き起こす場合があり、ルーメン狭窄が非常に激しく、下流の組織(複数可)への血液供給が不十分であり、局所貧血をもたらす場合、これがまさに出現する場合がある。
心血管疾患が、血液の異常に高いレベルの脂質及び/又はリポタンパク質を特徴とする疾病、高脂血症(又は高リポタンパク質)を含む実施形態が、本開示によって特に企図される。高脂血症は、特定の遺伝子の異常によって生じる場合に家族性(又は一次性)、別の基礎疾患から得られる場合に後天性(又は二次性)、或いは、原因不明の場合に特発性と分類されることができる。又、高脂血症は、どの脂質及び/又はリポタンパク質のタイプが上昇するかに基づいて分類されることができる。高脂血症の非限定的な例としては、脂質異常症、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高トリグリセリド血症、高リポタンパク質、高キロミクロン血症、及び混合性高脂血症が挙げられる。高リポタンパク質としては、例えば、高リポタンパク質タイプIa、高リポタンパク質タイプIb、高リポタンパク質タイプIc、高リポタンパク質タイプIIa、高リポタンパク質タイプIIb、高リポタンパク質タイプIII、高リポタンパク質タイプIV、及び高リポタンパク質タイプVが挙げられる。
血液の脂質及び/又はリポタンパク質のレベルを制御することによって心血管疾患を治療する試みは、成功が限られていた。例えば、スタチンの投与が一部の個体の心血管リスク率を低下させるが、これらの治療化合物はトリグリセリドレベルを低下させることはない。有害的な高レベルのトリグリセリドを示す心血管リスクにおける個体においては、フィブラート系薬の部類の治療薬のメンバーを、投与することができる。しかしながら、フィブラート系薬は、トリグリセリド及びLDLレベルを低下させるが、HDLレベルに影響を及ぼすことはない。更に、スタチン及びフィブラート系薬を伴う併用治療は、効果的である場合がある一方、筋疾患及び横紋筋融解症のリスクが多くの場合に著しく増加し、このため、非常に徹底的な医学的管理下で実行されることができるに過ぎない。前述で例証される制限を鑑み、高脂質及び/又はリポタンパク質レベルと関連したものを含む、心血管疾患の使用及び治療のための改善された薬剤の必要性が明らかに存在する。
血栓症及び血栓性疾病
他の実施形態においては、本開示は、高コレステロール血症及び異常な脂質プロファイルに由来する、血栓症及び血栓性疾患、障害、及び疾病、並びにそれらに関連する障害を治療又は予防するための、本明細書において記載されるIL−10ポリペプチド(例えば、PEG−IL−10)の使用を企図する。循環系による血流の妨害となっている血管内部の血栓の形成である血栓症は、以下(フィルヒョーの3主徴)の1つ以上における異常によって生じ得る:過剰凝固性又は血液凝固の増加、内皮細胞障害、又は阻害された血流(停滞、乱流)。
一般的には、血栓症は、静脈又は動脈として分類され、そのそれぞれは、いくつかのサブタイプによって示されることができる。静脈血栓症としては、深部静脈血栓(DVT)、門脈血栓症、腎静脈血栓症、頸静脈血栓症、バッド−キアリ症候群、パジェット−シュレッター疾患、及び脳静脈洞血栓症が挙げられる。動脈血栓症としては、脳卒中及び心筋梗塞が挙げられる。
炎症性障害
コレステロール及び/又はLDLが、血管壁に埋められる場合に、免疫応答が起動することができ、次いで、慢性炎症をもたらす。この炎症に応答して、血液単球が、内皮に付着し、内皮細胞下空間に移動して、マクロファージに分化する。マクロファージは、次に、LDL受容体と区別されるスカベンジャー受容体を介してファゴサイトーシスによるコレステロール沈着物及び改質LDLを取り込む。しかしながら、マクロファージによって媒介される適応機構は、病態疾病の下で見られる非制御コレステロール及び/又はLDL沈着を処理するのに十分ではない。結果として、脂質積載マクロファージは、炎症を誘発する分子の放出によって多くの場合に行われる「泡末細胞」に変換される。血管壁におけるコレステロール/LDL沈着、及び付随する泡末細胞媒介の炎症誘発性反応の両方は、アテローム硬化型病変の進行に至る。従って、脂質又はリポタンパク質のレベルを調整する一つの結果は、慢性炎症の低減又は除去である。
本開示は、本明細書において記載されるIL−10薬剤(例えば、PEG−IL−10)を、脈管炎の治療及び/又は予防において使用する実施形態を含む。脈管炎は、白血球移動及び結果として生じる損傷による、静脈(静脈炎)、動脈(動脈炎)、及び毛細管などのリンパ管及び血管を含む、血管壁の炎症を特徴とする種々の群の障害である。大きさに関係なく、炎症は、動脈及び/又は静脈に影響を及ぼし得る。炎症は、特定の器官又は組織に渡って点在する炎症の領域によって、局所的又は広範囲に渡る場合がある、或いは更には、身体における複数の器官系に影響を及ぼす場合がある。脈管炎としては、限定されるものではないが、バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)、脳脈管炎(中枢神経系脈管炎)、チャーグストラウス動脈炎、クリオグロブリン血症、基本クリオグロブリン脈管炎、巨細胞(一過性)動脈炎、ヘノッホシェーンライン紫斑病、過敏性血管炎(アレルギー脈管炎)、川崎病、顕微的多発動脈炎/ポリ脈管炎、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発性筋痛(PMR)、リウマチ様脈管炎、高安動脈炎、血栓性静脈炎、ヴェゲナー肉芽腫症、並びに、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、再発性多発軟骨炎、ベーチェット病、又はその他の結合組織障害などの、結合組織障害に続発する脈管炎、並びに、ウィルス感染に続発する脈管炎が挙げられる。
他の実施形態は、炎症性心臓病に関し、これは、心筋及び/又は周囲組織の炎症が特徴である疾病を指す。例としては、限定されるものではないが、心内膜炎、炎症性心臓肥大症、及び心筋炎が挙げられる。
医薬品組成物
本開示のIL−10ポリペプチドは、対象への投与に適する組成物の形態であることができる。一般的には、こうした組成物は、IL−10及び1つ以上の薬理学的に許容可能な又は生理学的に許容可能な希釈物、担体、又は賦形剤を含む「医薬品組成物」である。ある特定の実施形態においては、IL−10ポリペプチドは、治療的に許容可能な量で存在する。医薬品組成物は、本開示の方法で用いられることができ、従って、例えば、医薬品組成物は、本明細書において記載される、治療及び予防方法、並びに、用途を実践するために、生体外で又は生体内で対象に投与されることができる。
本開示の医薬品組成物は、投与の意図された方法又は経路と適合性を持つように処方されることができ、投与の例示的な経路は、本明細書において記載される。更に、本開示によって企図される疾患、障害、及び疾病を治療又は予防するために、本明細書において記載されるその他の治療活性剤又は化合物と併用して、医薬品組成物は使用されることができる。
典型的には、医薬品組成物は、本開示によって企図されるIL−10ポリペプチドと1つ以上の薬理学的に且つ生理学的に許容可能な製剤の治療有効量を含む。適切な薬理学的に許容可能な又は生理学的に許容可能な希釈物、担体、又は賦形剤としては、限定されるものではないが、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸及び重硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、エチル又はn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾアート)、乳化剤、懸濁剤、分散剤、溶媒、充填剤、増量剤、洗剤、緩衝液、媒体、希釈物、及び/又は補助剤が挙げられる。例えば、適切な媒体は、おそらく非経口投与のための医薬品組成物において一般的であるその他の物質で補充される、生理食塩水又はクエン酸緩衝生理食塩水であることができる。中性緩衝生理食塩水又は血清アルブミンと混合された生理食塩水が更なる例示的な媒体である。当業者は、本明細書において企図される医薬品組成物及び投与形態に用いられることができる様々な緩衝剤を容易に認識するであろう。典型的な緩衝剤としては、これらに限定されるものではないが、薬理学的に許容可能な、弱酸、弱塩基、又はそれらの混合物が挙げられる。例としては、緩衝剤成分は、リン酸、酒石酸、乳酸、琥珀酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びそれらの塩などの、水溶性物質であることができる。許容可能な緩衝剤としては、例えば、トリス緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、及びN−トリス[ヒドロキシメチル]メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)が挙げられる。
医薬品組成物は処方された後、溶液、懸濁物、ゲル、乳化物、固体、或いは脱水された又は凍結乾燥された粉末として、無菌のバイアルに保存されることができる。こうした製剤は、すぐに使用できる形態、使用前に再構成を必要とする凍結乾燥形態、使用前に希釈を必要とする液体形態、又はその他の許容可能な形態で保存されることができる。いくつかの実施形態においては、医薬品組成物は、使い捨ての容器(例えば、使い捨てのバイアル、アンプル、シリンジ、又は自動インジェクター(例えば、EpiPen(登録商標)に類似する)で提供され、一方、多数回使用用の容器(例えば、多数回使用用のバイアル)が、その他の実施形態において提供される。インプラント(例えば、インプラント可能ポンプ)及びカテーテルシステム、遅行噴射ポンプ及び装置を含む、任意の薬物デリバリー装置を使用して、IL−10を送達することができ、そのすべては、当業者にとって周知である。又、一般的には、皮下或いは筋肉内に投与される蓄積注射を利用して、所定の期間に渡り、本明細書において開示されるポリペプチドを放出することができる。通常、蓄積注射は、固体系又は油系であり、一般的には、本明細書において記載される少なくとも1つの製剤成分を含む。当業者は、蓄積注射の可能性のある製剤及び使用に精通している。
医薬品組成物は、無菌注射剤の水性又は油性の懸濁物の形態であることができる。この懸濁物は、本明細書において記載される、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用する周知の技術によって、処方されることができる。又、無菌注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液として、無毒の非経口的に許容可能な希釈物又は溶媒における、無菌注射用溶液又は懸濁物であることができる。使用されることができる許容可能な希釈物、溶媒、及び分散媒体としては、水、リンガー液、等張塩化ナトリウム溶液、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、並びに適切なそれらの混合物が挙げられる。更に、通常、無菌固定油を、溶媒又は懸濁媒体として用いることができる。このためには、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む、任意の刺激の少ない固定油を用いることができる。更に、オレイン酸などの脂肪酸を、注射可能物の調製において使用することができる。吸収(例えば、モノステアリン酸アルミニウム又はゼラチン)を遅延させる薬剤を含むことによって、特定の注射可能な製剤の長期にわたる吸収が、実現可能である。
活性成分を含む医薬品組成物は、例えば、錠剤、カプセル、トローチ、トローチ剤、水性又は油性の懸濁物、分散性粉末又は顆粒、乳化物、硬質又は軟質のカプセル、又はシロップ、溶液、ミクロビーズ、又はエリキシル剤として、経口使用に適する形態であることができる。特定の実施形態においては、本明細書において記載されるIL−10薬剤によって共同投与される薬剤の活性成分は、経口使用に適する形態である。経口使用を目的とする医薬品組成物は、医薬品組成物の製造のための当技術分野において周知の任意の方法によって、調製されることができ、且つ、こうした組成物は、薬学的に簡潔で好ましい製剤を提供するために、例えば、甘味剤、香料、着色剤、及び保存剤などの、1つ以上の薬剤を含むことができる。錠剤、カプセルなどは、錠剤の製造に適する無毒の薬理学的に許容可能な賦形剤との混合物における活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウムなどの希釈物、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸などの、粒状化剤及び分解剤、例えば、澱粉、ゼラチン、又はアカシアなどの結合剤、並びに、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクなどの滑沢剤であることができる。
経口投与に適切な錠剤、カプセルなどは、コーティングされなくてもよく、あるいは消化管における分解及び吸収を遅延させるために周知の技術によってコーテイングされていてもよく、それによって継続した作用を提供する。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はグリセリルジステアリン酸などの時間遅延材料を使用することができる。又、これらは、当技術分野において周知の技術によってコーティングされて、徐放のための浸透療法錠剤を形成することができる。更なる薬剤は、投与された組成物の送達を制御するために、生分解可能粒子又は生体適合性粒子、或いは、ポリエステル、ポリアミン酸、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、ポリ無水物、ポリグリコール酸、エチレン−ビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミン、又はラクチド/グリコリドコポリマー、ポリ乳酸/グリコリドコポリマー、又はエチレンビニル酢酸コポリマーなどの高分子物質を含む。例えば、経口薬剤は、液滴形成技術によって、又は界面重合によって、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル又はポリ(メチルメタクロラート)マイクロカプセルを、それぞれ用いることによって、或いはコロイド薬物送達系において、調製されるマイクロカプセルにおいて取り込まれることができる。コロイド分散系としては、水中油型乳化物、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む、高分子複合体、ナノ−カプセル、マイクロスフェア、ミクロビーズ、及び脂質系システムが挙げられる。前述の製剤の調製方法は、当業者にとって明らかであろう。
又、経口使用のための製剤は、活性成分が、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、又は微結晶性セルロースなどの、不活性固体希釈物と混合される、硬質ゼラチンカプセルとして、或いは、活性成分が、例えば、落花生油、流動パラフィン、又はオリーブ油などの、水又は油性媒体と混合される軟質ゼラチンカプセル剤として、提供されることができる。
水性懸濁物は、その製造に適する賦形剤と混合された活性材料を含む。こうした賦形剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムなどの懸濁剤、例えば、天然ホスファチド(例えば、レシチン)、又は脂肪酸とのアルキレンオキシドの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンステアラート)、又は長鎖脂肪族アルコールとのエチレンオキシドの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール用)、又は脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとのエチレンオキシドの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)、又は脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとのエチレンオキシドの縮合物(例えば、ポリエチレンモノオレイン酸ソルビタン)などの分散剤又は湿潤剤であることができる。又、水性懸濁物は、1つ以上の防腐剤を含むことができる。
油性懸濁物は、活性成分を、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、又はヤシ油などの植物油、或いは、流動パラフィンなどの鉱物油中で懸濁させることによって処方することができる。油性懸濁物は、例えば、蜜ろう、硬質パラフィン、又はセチルアルコールなどの濃稠化剤を含むことができる。前述に記載のものなどの甘味剤、及び香料は、好ましい経口製剤を提供するために加えられることができる。
水の添加による水性懸濁物の調製に適する分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の防腐剤と混合した活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、本明細書において例示される。
又、本開示の医薬品組成物は、水中油型乳化物の形態であることができる。油相は、例えば、オリーブ油又は落花生油などの植物油、或いは、例えば、流動パラフィン又はそれらの混合物などの鉱物油であることができる。適切な乳化剤は、例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴムなどの天然ゴム、例えば、大豆、レシチン、及び脂肪酸由来のエステル又は部分エステルなどの天然ホスファチド、例えば、モノオレイン酸ソルビタンなどのヘキシトール無水物、並びに、例えば、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタンなどのエチレンオキシドとの部分エステルの縮合物であることができる。
又、製剤は、インプラント、リポソーム、ヒドロゲルを含む、徐放製剤などの身体からの急速な分解又は除去から組成物を保護する担体、プロドラッグ、並びにマイクロカプセル化送達系を含むことができる。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はグリセリルステアラートなどの時間遅延材料を、単独で又はワックスとともに使用することができる。
本開示は、直腸投与のための坐薬の形態で、IL−10ポリペプチドの投与を企図する。坐薬は、常温で個体であるが、直腸温度で液体である適切な非刺激性賦形剤を薬物と混合することによって調製されることができ、従って、直腸で溶けて薬物を放出することになる。こうした材料としては、これらに限定されるものではないが、カカオバター及びポリエチレングリコールが挙げられる。
本開示によって企図されるIL−10ポリペプチドは、現在、周知である、又は、将来に開発される任意の他の適切な医薬品組成物(例えば、鼻又は吸入使用用スプレー)の形態であることができる
製剤におけるポリペプチド及びそのフラグメントの濃度は、広く変動することができ(例えば、約0.1重量%未満、通常、約2重量%又は少なくとも約2重量%から、20重量%〜50重量%まで)、且つ、通常、例えば、選択される特定の投与様式に従って、液量、粘度、及び対象に関する要因に主に基づいて選択されることとなる。
投与経路
本開示は、任意の適切な方法での、IL−10及びその組成物の投与を企図する。投与の適切な経路としては、非経口(例えば、筋肉内、静脈、皮下(例えば、注入又はインプラント)、腹膜内、大槽内、関節内、腹膜内、脳内(実質内)、及び脳室内)、経口、経鼻、膣内、舌下、眼内、直腸、局所(例えば、経皮)、舌下、並びに吸入が挙げられる。デポ注射は、一般的には、皮下、又は、筋肉内で投与され、又、これを利用して、所定の期間に渡り、本明細書において開示されるIL−10ポリペプチドを放出することができる。
本開示の特定の実施形態は、非経口投与を企図し、更なる特定の実施形態においては、非経口投与は皮下である。
併用治療
本開示は、1つ以上の活性治療薬又はその他の予防方法又は治療方法(例えば、放射線)との併用におけるIL−10(例えば、PEG−IL−10)の使用を企図する。こうした併用治療において、様々な活性薬剤は、IL−10とは異なる作用機構を多くの場合に有する。こうした併用治療は、1つ以上の薬剤の投与量を低減することによって、特に有利であり得、これによって、1つ以上の薬剤に関連する副作用を低減又は排除し、更に、こうした併用治療は、基礎疾患、障害、又は疾病において相乗的治療効果又は予防効果を有することができる。
特定の実施形態においては、本開示は、本明細書において記載されるIL−10ポリペプチド(例えば、PEG−IL−10)及び少なくとも1つの更なる治療薬又は診断薬によって、関連する心血管、血栓性、及び炎症性障害を含む、コレステロール恒常性と関連する(直接的又は間接的に)疾患、障害、及び疾病を治療及び/又は予防する方法を提供する。併用治療は、前述の疾患、障害、及び疾病を治療及び/又は予防する薬剤に限定されることはないことを理解されたく、例えば、IL−10ポリペプチドとの併用での使用に企図される薬剤は、糖尿病又は肥満などの、他の代謝性障害を治療又は予防することにおいて有効性を有し得る。又、改質した食事及び/又は運動療法との併用でのIL−10ポリペプチド(例えば、PEG−IL−10)の使用が、本明細書において企図される。
本明細書において使用される場合、「併用」は、例えば、別々の投与のために別々に処方されるなどの(例えば、キットで提供されることができるように)、別々に投与可能である治療、並びに、単一の製剤において、ともに投与可能である治療(即ち、「共処方」)を含むことを意図する。
特定の実施形態においては、IL−10ポリペプチドは、順次、投与又は適用され、例えば、この場合に、1つの薬剤は、1つ以上の他の薬剤の前に投与される。他の実施形態においては、IL−10ポリペプチドは、同時に投与され、例えば、この場合に、2つ以上の薬剤は、同時に又はほぼ同時に投与され、2つ以上の薬剤は、2つ以上の別々の製剤で存在し得る、又は単一の製剤(即ち、共処方)に統合されることができる。2つ以上の薬剤が、順次、又は、同時に投与されるかどうかにかかわらず、本開示の目的のために併用して投与されることが考慮される。
本開示のIL−10ポリペプチドは、状況の下で適切な任意の方法における少なくとも1つの活性薬剤と併用して使用されることができる。一実施形態においては、少なくとも1つの活性薬剤及び本開示の少なくとも1つのIL−10ポリペプチドでの治療が、時間の経過に渡り維持される。別の実施形態においては、少なくとも1つの活性薬剤での治療は、低減又は中断され(例えば、対象が安定である場合)、一方、本開示のIL−10ポリペプチドでの治療は、恒常的な投薬計画に維持される。更なる実施形態においては、少なくとも1つの活性薬剤での治療は、低減又は中断され(例えば、対象が安定である場合)、一方、本開示のIL−10ポリペプチドでの治療は、低減される(例えば、低投薬量、より頻度の低い投薬又はより短い期間の治療計画)。更に別の実施形態においては、少なくとも1つの活性薬剤での治療は、低減又は中断され(例えば、対象が安定である場合)、本開示のIL−10ポリペプチドでの治療は増加される(例えば、高投薬量、より頻度の高い投薬又はより長い期間の治療計画)。更に別の実施形態においては、少なくとも1つの活性薬剤での治療は維持され、本開示のIL−10ポリペプチドでの治療は、中断又は低減される(例えば、低投薬量、より頻度の低い投薬又はより短い期間の治療計画)。更に別の実施形態においては、少なくとも1つの活性薬剤での治療、及び、本開示のIL−10ポリペプチドでの治療は、中断又は低減される(例えば、低投薬量、より頻度の低い投薬又はより短い期間の治療計画)。
本明細書において開示されるIL−10ポリペプチド(例えば、PEG−IL−10)と併用での使用に適する特定の薬剤が、以下に記載されるが、本開示はそのように限定されないことを理解すべきである。以下、特定の薬剤が、特定の部類の例示的な疾患、障害、及び疾病において記載されるが、1つ以上の部類の重複が多くの場合に存在することを理解されたい(例えば、ある特定の薬剤が、心血管及び抗炎症性効果の両方を有することができる)。
コレステロール恒常性剤
本開示の特定の実施形態は、コレステロール恒常性と関連した薬剤とIL−10ポリペプチドの併用を伴う。これらの薬剤の多くは、コレステロールの吸収、合成、輸送、保存、異化、及び排出を伴う様々な経路を標的とし、従って、併用治療に特に有用である候補である。
高コレステロール血症(結果として、例えば、アテローム性動脈硬化である場合が多い)の治療のための併用治療に有用である治療薬の例としては、コレステロールの酵素的合成を阻害するスタチン(例えば、CRESTOR、LESCOL、LIPITOR、MEVACOR、PRAVACOL、及びZOCOR)、コレステロールを隔離しその吸収を防止する胆汁酸樹脂(例えば、COLESTID、LO−CHOLEST、PREVALITE、QUESTRAN、及びWELCHOL)、コレステロール吸収を阻止するエゼチミブ(ZETIA)、トリグリセリドを減少させHDLを穏やかに増加させることができるフィブリン酸(例えば、TRICOR)、LDLコレステロール及びトリグリセリドを穏やかに低下させるナイアシン(例えば、NIACOR)、及び/又は前述のものの組合せ(例えば、VYTORIN(シンバスタチンとエゼチミブ)が挙げられる。本明細書において記載されるIL−10ポリペプチドとの併用に使用される候補であることができる代替のコレステロール治療としては、様々な栄養補助食品及びハーブ(例えば、ニンニク、ポリコサノール、及びグッグル)が挙げられる。前述の治療薬のいくつかの部類は、以下に更に述べられる。
本開示の特定の実施形態は、フィブラート系薬と併用のIL−10薬剤を含む。両親媒性カルボン酸の一部類である、フィブラート系薬を反高脂肪血剤として使用して、例えば、トリグリセリド及びLDLのレベルを減少させ、HDLのレベルを上昇させることができる。適切なフィブラート系薬の例としては、限定されるものではないが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、及びフェノフィブラートが挙げられる。
本開示の更なる特定の実施形態は、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン)と併用のIL−10薬剤を含む。HMG−CoA還元酵素阻害剤は、肝臓のコレステロールの生産において中心的役割を果たす、酵素HMG−CoA還元酵素を阻害することによってLDL及び/又はコレステロールレベルを低下させることができる。コレステロール供給の減少を補償するために、肝臓LDL受容体の合成が増加し、血液からのLDL粒子の除去が増加する。適切なスタチンの例としては、限定されるものではないが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンが挙げられる。スタチンとIL−10ポリペプチドの併用は、本明細書において特に企図される。
本開示の更なる特定の実施形態は、ナイアシンと併用のIL−10薬剤を含む。ナイアシンは、肝臓ジアシグリセリンアシル基転移酵素−2を選択的に阻害し、トリグリセリド合成を低減させ、受容体HM74及びHM74A又はGPR109AによるVLDL分泌を低減させることによって、LDLレベルを低下させることができる。ナイアシンの非限定的な使用は、脂肪組織の脂肪の分解を阻害する抗高脂肪血剤としてである。ナイアシンは、脂肪の分解を阻止することによって、血液の遊離脂肪酸の減少を引き起こし、結果として、肝臓によるVLDL及びコレステロールの分泌を低減させる。ナイアシンは、又、VLDLレベルを低下させることによって、血液のHDLのレベルを上昇させることができる。適切なナイアシンの例としては、限定されるものではないが、アシピモクス、ナイアシン、ニコチンアミド、及びビタミンB3が挙げられる。
本開示のその他の特定の実施形態は、胆汁酸封鎖剤と併用のIL−10薬剤を含む。胆汁酸封鎖剤(樹脂としても知られる)は、消化管の胆汁の特定成分と結合し、これにより、それらを封鎖することによって胆汁酸の腸肝循環を撹乱し、腸からのその再吸収を防止する。胆汁酸封鎖剤は、LDL及びコレステロールを低下させることに特に効果的であり、又、HDLレベルを上昇させることができる。適切な胆汁酸封鎖剤の例としては、限定されるものではないが、コレスチラミン、コレセベラム、及びコレスチポールが挙げられる。
本開示の更なる特定の実施形態は、コレステロール吸収阻害剤と併用のIL−10薬剤を含む。コレステロール吸収阻害剤は、腸からのコレステロールの吸収を低減させ、これは細胞の表面のLDL受容体の上方制御、及び、これらの細胞へのLDLコレステロール取り込みの増加に結びつき、その結果、血液血漿のLDLのレベルを低下させる。適切なコレステロール吸収阻害剤の例としては、限定されるものではないが、エゼチミブ、フィトステロール、ステロール、及びスタノールが挙げられる。エゼチミブとIL−10ポリペプチドの併用が、本明細書において特に企図される。エゼチミブは、コレステロール吸収を選択的に阻止し、平均18%まで血漿LDLレベルを低下させる。エゼチミブがスタチンのより低い投与量で共同投与される場合、LDLレベルは更に減少し、これは、単独で最大投与量のスタチンによって実現される減少に等しい。スタチン投与量の減少によって、スタチン関連の副作用がより少なくなる。
本開示の更なる特定の実施形態は、脂肪吸収阻害剤と併用のIL−10薬剤を含む。脂肪吸収阻害剤は、腸からの脂肪の吸収を減少させ、これによってカロリーの取り込みを低減させる。一態様においては、脂肪吸収阻害剤は、腸においてトリグリセリドを分解する酵素、膵リパーゼを阻害する。適切な脂肪吸収阻害剤の例としては、限定されるものではないが、オーリスタットが挙げられる。
更にその他の特定の実施形態においては、本開示は、PCSK9(プロタンパク質コンベルターゼサブチリシン/ケキシンタイプ9)の調整剤と併用の本明細書において記載されるPEG−IL−10薬剤の使用を企図する。PCSK9は、コレステロール恒常性において主要な調整の役割を果たす。これは、肝臓、腸、及び腎臓において主に発現されるセリンプロテアーゼである。コードされたタンパク質は、小胞体における自己触媒的分子内プロセシングを受ける可溶な酵素前駆体として合成される。
コレステロール恒常性プロセスの一部として、肝細胞の表面のLDL受容体(LDLR)と結合し、こうした細胞によって取り込まれる場合、LDLコレステロールは血液から除去される。PCSK9は、LDLRと結合して受容体分解を誘発することによって機能し、これによって、細胞表面へのLDLRリサイクルを防止して、より多くのLDLコレステロールを除去し、それらの代謝の減少を最終的にもたらす。LDLRへのPCSK9結合を防止することによって、受容体を細胞表面に戻らせ、より多くのコレステロールを除去する。更に本明細書において述べられるように、PEG−IL−10は、LDL受容体を欠くノックアウトマウスにおけるPCSK9のメッセージ発現を下方制御する。従って、PEG−IL−10は、PCSK9に依存しない方法で、コレステロールを劇的に低下させ、PCSK9阻害剤とPEG−IL−10の併用は、更なる効果を有することを示す。
PCSK9機能の阻害剤は、許容可能な副作用プロファイルを伴い、従来の市販の薬剤より非常に多くのコレステロールを低下させることを示している。本開示は、PCSK9における直接的又は間接的な阻害効果を有する任意の調整剤とのPEG−IL−10の使用を企図する。PCSK9に結合してLDLRとのその相互作用に干渉するいくつかのモノクローナル抗体が開発されている(例えば、Amgen(AMG145)、Merck(1D05−IgG2)及びAventis/Regeneron(SAR236553/REGN727)による)。更に、PCSK9に結合するLDLRのEGFA領域を模倣するペプチドが開発されており、PCSK9アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与による遺伝子サイレンシング(ISIS Pharmaceuticals)は、LDLRの発現を増加させ、マウスの総コレステロールレベルの循環を低下させることが示されている。本明細書において記載されるPEG−IL−10薬剤との併用治療のために企図されるPCSK9機能のその他の調整剤は、RNA干渉(RNAi)(Alnylam Pharmaceuticals)によって、且つ、固定された核酸(LNA) (Santaris Pharma)として、作用するものであり、非寛容RNAとも称される。
本開示は、薬理学的に許容可能な塩、酸、又は前述のいずれかの誘導体を包含する。
免疫及び炎症性疾病
本開示は、IL−10ポリペプチド(例えば、PEG−IL−10)、及び、免疫及び/又は炎症性関連の特性を有する少なくとも1つの更なる薬剤によって、免疫及び/又は炎症性関連の疾患、障害、及び疾病、並びに、それらに関連する障害を治療及び/又は予防する方法を提供する。例としては、IL−10ポリペプチドは、炎症性成分を有する心血管障害の有効性を有する薬剤とともに投与されることができる。
併用治療において有用な治療薬の例としては、これらに限定されるものではないが、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が挙げられる。鎮痛性、抗炎症性、及び解熱性特性を有する治療化合物の大きな群である、NSAIDは、シクロオキシゲナーゼを阻止することによって炎症を低減する。こうした薬剤の例としては、イブプロフェン、及びその他のプロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナック、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナック、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フイロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オキスピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、及びゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサル及びフルフェニサール)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、及びテノキシカン)、サリチラート(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)、並びにピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)が挙げられる。
その他の併用としては、選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、及び非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤が挙げられる。本開示の特定の実施形態は、セレコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ルミラコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブなどの、適切な選択的COX−2阻害剤(複数可)と併用の本明細書において記載されるIL−10ポリペプチド(例えば、PEG−IL−10)を企図する。
併用のためのその他の活性薬剤としては、プレドニソロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、又はヒドロコルチゾンなどのステロイドが挙げられる。こうした併用は特に有利であり得、その理由は、本IL−10ポリペプチドと併用して患者を治療する場合、必要なステロイド投薬量を減少させることによって、ステロイドの1つ以上の副作用を、低減又は更には排除することができるからである。
例えば、慢性関節リウマチを治療する併用のための活性薬剤の更なる例としては、サイトカイン抑圧抗炎症剤(複数可)(CSAID)、例えば、TNF、LT、IL−1β.、IL−2、IL−6、IL−7、IL−8、IL−15、IL−16、IL−18、EMAP−II、GM−CSF、FGF、又はPDGFなどの、その他のヒトサイトカイン又は成長因子に対する抗体又はこれらの拮抗剤が挙げられる。
活性薬剤の特定の併用は、自己免疫及び後続の炎症カスケードにおいて、異なる地点で干渉することができ、キメラTNF抗体、ヒト化TNF抗体、又はヒトTNF抗体などのTNF拮抗剤、REMICADE、反TNF抗体フラグメント(例えば、CDP870)、及び可溶性p55又はp75TNF受容体、その誘導体、p75TNFRIgG(ENBREL.)又はp55TNFR1gG(LENERCEPT)、可溶性IL−13受容体(sIL−13)、更に、TNFα転換酵素(TACE)阻害剤が挙げられ、同様に、IL−1阻害剤(例えば、インターロイキン−1−変換酵素阻害剤)は効果的であり得る。他の併用としては、インターロイキン11、抗P7、及びp−セレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)が挙げられる。本明細書において記載されるIL−10ポリペプチドとの併用に有用な薬剤のその他の例としては、インターフェロン−β1a(AVONEX)、インターフェロン−β1b(BETASERON)、copaxone、高圧酸素、静脈免疫グロブリン、クラドリビン、及び、その他のヒトサイトカイン又は成長因子に対する抗体又はこれらの拮抗剤(例えば、CD40リガンド及びCD80に対する抗体)が挙げられる。
本開示は、薬理学的に許容可能な塩、酸、又は前述のいずれかの誘導体を包含する。
抗糖尿病薬及び肥満予防薬。又、コレステロール関連障害(複数可)のための薬理学的治療を必要とする一部の患者は、抗糖尿病薬及び/又は肥満予防薬を服用している。本開示は、以下を含む、多数の抗糖尿病薬(及びそれらの部類)との併用治療を企図する:1)スルホニル尿素(例えば、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、トルブタミド、グリブリド、グリメピリド、グリピジド)、及びメグリチニド(例えば、レパグリニド(PRANDIN)、及びナテグリニド(STARLIX))を含む、インシュリン、インシュリン模倣物、及びインシュリン分泌の刺激を伴う薬剤、2)ビグアナイド(例えば、メトホルミン(GLUCOPHAGE))、並びに、グルコース利用を促進すること、肝性グルコース生産を減少させること、及び/又は腸のグルコース産出を低減させることによって作用するその他の薬剤、3)アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース及びミグリトール)、並びに、炭水化物消化及びその後の腸からの吸収を遅延させ、食後の過血糖を減少させるその他の薬剤、4)チアゾリシンジオン(例えば、インシュリン作用(例えば、インシュリン感作によって)を強化し、その結果、末梢組織におけるグルコース利用を促進する、ロシグリタゾン(AVANDIA)、トログリタゾン(REZULIN)、ピオグリタゾン(ACTOS)、グリピジド、バラグリタゾン、リボグリタゾン、ネトグリタゾン、トログリタゾン、エングリタゾン、シグリタゾン、アダグリタゾン、ダルグリタゾン、5)DPP−IV阻害剤(例えば、ビルダグリプチン(GALVUS)及びシタグリプチン(JANUVIA))、並びにグルカゴン状ペプチド−1(GLP−1)、並びにGLP−1拮抗剤及び類似体(例えば、エキセナチド(BYETTA))を含む、グルカゴン状ペプチド、並びに、6)DPP−IV耐性類似体(インクレチン模倣物)、PPARガンマ拮抗剤、二作用性PPAR拮抗剤、汎作用PPAR作用剤、PTP1B阻害剤、SGLT阻害剤、インシュリン分泌促進物質、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3阻害剤、免疫調整剤、ベータ−3アドレナリン受容体作用薬、11ベータ−HSD1阻害剤、及びアミリン類似体。更に他の実施形態においては、本明細書において記載されるIL−10薬剤は、1つ以上の適切な核受容体結合剤(例えば、レチノイン酸受容体(RAR)結合剤、レチノイドX受容体(RXR)結合剤、肝臓X受容体(LXR)結合剤、及びビタミンD結合剤)と併用して使用される。
更に、本開示は、代謝を刺激する又は食欲を減少させる薬剤などの、減量を促進するための薬剤と方法を用いる併用療法、並びに、減量を促進するための改質した食事及び/又は運動療法を企図する。
本開示は、薬理学的に許容可能な塩、酸、又は前述のいずれかの誘導体を包含する。
投薬
本開示のIL−10ポリペプチドは、例えば、投与の目的(例えば、望まれる溶解度)、製剤が投与される対象の年齢、体重、性別、並びに健康及び物理的状態、投与の経路、並びに、疾患、障害、疾病、又はそれらの症状の性質に基づく量で対象に投与されることができる。又、投薬計画は、投与される薬剤(複数可)に関連した任意の副作用の存在、性質、及び範囲を考慮に入れることができる。有効な投薬量及び投薬計画は、例えば、安全性及び投薬量漸増試験、生体内での研究(例えば、動物モデル)、並びに当業者に周知のその他の方法によって容易に決定されることができる。
本開示は、ある特定の血清トラフ濃度を実現し、且つ/又は、特定の平均血清トラフ濃度を維持するためのIL−10の投与を企図する。IL−10に特定の手法が、本明細書の別の部分において及び以下のこのセクションにおいて記載される。
一般的に、投薬パラメーターは、投薬量が、対象に不可逆的に有毒であり得る量未満の(即ち、最大耐投薬量、「MTD」)、且つ、対象に対して測定できる効果を生むのに必要な量未満ではないことを示す。こうした量は、例えば、投与経路及びその他の要因を考慮に入れて、ADMEと関連した薬物動態及び薬力学パラメーターによって決定される。
有効投薬量(ED)は、投薬を受ける対象群のある部分において治療的反応又は所望の効果を生じさせる薬剤の投薬又は投薬量である。薬剤の「中央値有効量」又はED50は、投与される群の50%において治療的反応又は所望の効果を生む薬剤の投薬又は投薬量である。ED50は、薬剤の効果の合理的な予見の度合いとして通常使用されるが、必ずしも、すべての関連した要因を考慮に入れて臨床医が適切であると考える投薬量であるというわけではない。従って、状況によっては、有効量は、算出されたED50を超え、他の状況においては、有効量は、算出されたED50未満であり、更に他の状況においては、有効量は、算出されたED50と同一である。
更に、本開示のIL−10ポリペプチドの有効投薬量は、対象に1つ以上の投薬で投与される場合、健康な対象に対して所望の結果をもたらす量であることができる。例えば、特定の障害を受けている対象の場合、有効投薬量は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は90%超で、その障害の診断パラメーター、測定値、マーカーなどを改善するものであることができ、この場合に、100%は、通常の対象によって示される診断パラメーター、測定値、マーカーなどとして定義される。
本明細書において記載される疾患、障害、又は疾病を治療するのに必要なPEG−IL−10の量は、複合タンパク質のIL−10活性に基づいており、これは、当技術分野において周知のIL−10活性分析によって決定することができる。例としては、腫瘍関連においては、適切なIL−10活性は、例えば、腫瘍部位へのCD8+T細胞浸潤、これらの浸潤している細胞からの、IFN−γ、IL−4、IL−6、IL−10、及びRANK−Lなどの炎症性サイトカインの発現、並びに、生体試料におけるTNF−α又はIFN−γのレベルの増加を含む。
PEG−IL−10の治療有効量は、約0.01〜約100μgタンパク質/体重のkg/日、約0.1〜20μgタンパク質/体重のkg/日、約0.5〜10μgタンパク質/体重のkg/日、又は、約1〜4μgタンパク質/体重のkg/日の範囲であり得る。いくつかの実施形態においては、PEG−IL−10は、連続注入によって投与されて、約50〜800μgタンパク質/体重のkg/日(例えば、約1〜16μgタンパク質/体重のkg/日のPEG−IL−10)を送達する。注入速度は、例えば、副作用及び血液細胞算定の評価に基づいて変動することができる。
経口剤の投与のために、組成物は、1.0〜1000ミリグラムの活性成分、具体的には、1.0、3.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1,000.0ミリグラムの活性成分を含む、錠剤、カプセルなどの形態で提供されることができる。
IL−10ポリペプチドのための具体的な投薬計画(例えば、投薬頻度)は、本明細書において記載される。
特定の実施形態においては、本開示のIL−10ポリペプチドの投薬量は、「単位投薬量形態」で含まれる。「単位投薬量形態」という表現は、物理的に別々の単位を意味し、単位はそれぞれ、所望の効果を生むのに十分な、単独で又は1つ以上の更なる薬剤と併用で、本開示の所定量のIL−10ポリペプチドを含む。単位投薬量形態のパラメーターが、特定の薬剤及び実現される効果に依存することは理解されるであろう。
キット
又、本開示は、IL−10及びその医薬品組成物を含むキットを企図する。一般的には、キットは、後述のように、様々な構成要素を収納する物理的構造体の形態であり、例えば、前述の方法を実施する際に利用されることができる(例えば、コレステロール恒常性を回復することが必要である対象に対するIL−10ポリペプチドの投与)。
キットは、本明細書において開示される1つ以上のIL−10ポリペプチドを含むことができ(例えば、無菌容器にて提供される)、これは対象への投与に適する医薬品組成物の形態であることができる。IL−10ポリペプチドは、すぐに使用できる形態で、又は、例えば、投与の前の再構成又は希釈を必要とする形態で提供されることができる。IL−10ポリペプチドが、使用者によって再構成される必要がある形態である場合、又、キットは、IL−10ポリペプチドとパッケージされて、又はこれとは別に、緩衝液、薬理学的に許容可能な賦形剤などを含むことができる。併用治療が企図される場合、キットは、別々にいくつかの薬剤を含むことができる、又は、これら薬剤は、キットに事前に組み込まれることができる。キットの成分それぞれは、個別の容器内に入れることができ、様々な容器のすべては、単一のパッケージ内にあることができる。本開示のキットは、その中に収納される(例えば、冷凍又は凍結)構成要素を適切に維持するのに必要な条件に対して設計されることができる。
キットは、その中の構成要素の識別情報及びそれらの使用のための指示(例えば、作用機構、薬物動態学及び薬動力学、副作用、禁忌などを含む、投薬パラメーター、活性成分(複数可)の臨床薬理学)を含む、ラベル又はパッケージ挿入物を含むことができる。ラベル又は挿入物は、ロット番号及び有効期限などの製造業者情報を含むことができる。ラベル又はパッケージ挿入物は、例えば、構成要素を収納する物理的な構造に統合される、物理的な構造内に別々に含まれる、又はキットの構成要素(例えば、アンプル、管、又はバイアル)に添付される。
更に、ラベル又は挿入物は、ディスク(例えば、ハードディスク、カード、メモリーディスク)、CD−又はDVD−ROM/RAM、DVDなどの光ディスク、MP3、磁気テープなどのコンピュータ可読媒体、或いはRAM及びROMなどの電気記憶媒体、或いは磁気/光学記憶メディアなどの、それらの混成媒体、FLASH媒体、又はメモリ−タイプカードを含むことができる、或いは、これらに組み込まれることができる。いくつかの実施形態においては、実際の指示は、キットに存在しないが、例えば、インターネットを介してなどの、遠隔源から指示を得るための手段が提供される。
実験
本発明を実施及び使用する方法の完全な開示と記載を当業者に与えられるように、以下の実施例を提起し、それらは、本発明者が本発明として認識する範囲を限定することを意図するものではなく、又、以下の実験が実施され、それらが、実施されることができるすべての実験であることを示すことを意図するものでもない。現在時制で書かれる例示的な記載は、必ずしも実施されたわけではなく、その中に記載されるデータなどをもたらすために、記載のものは実施することができることを理解されたい。使用される数(例えば、量、温度など)に関して精度を確実にするように努力したが、ある程度の実験的誤差及び偏差を考慮すべきである。
特に指示がない限り、部は重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は摂氏(℃)においてであり、圧力は大気圧又はその近傍である。標準的な省略形が使用され、以下を含む:bp=塩基対(複数可)、kb=キロベース(複数可)、pl=ピコリットル(複数可)、又はsec=秒(複数可)、min=分(複数可)、h又はhr=時間(複数可)、aa=アミノ酸(複数可)、kb=キロベース(複数可)、nt=ヌクレオチド(複数可)、pg=ピコグラム、ng=ナノグラム、μg=マイクログラム、mg=ミリグラム、g=グラム、kg=キログラム、dl又はdL=デシリットル、μl又はμL=マイクロリットル、ml又はmL=ミリリットル、l又はL=リットル、μM=ミクロモル、mM=ミリモル、M=モル、kDa=キロダルトン、i.m.=筋肉内(に)、i.p.=腹腔内(に)、SC又はSQ=皮下(に)、QD=毎日、BID=1日2回、QW=毎週、QM=毎月、HPLC=高速液クロマトグラフィー、BW=体重、U=単位、ns=統計的に有意でない、PBS=リン酸緩衝生理食塩水、PCR=ポリメラーゼ連鎖反応、NHS=N−ヒドロキシスクシンイミド、HSA=ヒト血清アルブミン、MSA=マウス血清アルブミン、DMEM=イーグル培地のダルベッコ変法、GC=ゲノムコピー、EDTA=エチレンジアミン四酢酸、APOL8=アポリポタンパク質L8、APOA2=アポリポタンパク質A−II、PCSK9=タンパク質コンベルターゼサブチリシン/ケキシン9、CYP7A1=チトクロームP4507A1、コレステロール7アルファ−ヒドロキシラーゼ、又はコレステロール7−アルファ−モノオキシゲナーゼ、ABCG1=ATP−結合カセットサブファミリーGメンバー1、CRP=C−反応性タンパク質、MSR1=マクロファージスカベンジャー受容体1。
材料及び方法
以下の一般的な材料及び方法が、指定の箇所にて使用され、又は、以下の実施例において用いられることができる。
分子生物学における標準方法は、科学文献に記載されている(例えば、Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;及びAusubel,et al.(2001)Current Protocols in Molecular Biology,Vols.1−4,John Wiley and Sons,Inc.New York,N.Y.を参照されたく、これらは、細菌細胞及びDNA突然変異生成におけるクローニング(Vol.1)、哺乳類細胞及び酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質及びタンパク質発現(Vol.3)、並びに生物情報学(Vol.4)を記載している)。
科学文献は、免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、及び結晶化、並びに化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の生産、並びにタンパク質のグリコシル化を含む、タンパク質精製のための方法を記載している(例えば、Coligan,et al.(2000)Current Protocols in Protein Science,Vols.1−2,John Wiley and Sons,Inc.,NYを参照されたい)。
ポリクローナル及びモノクローナル抗体の生産、精製、及びフラグメント化が、記載されており(例えば、Harlow and Lane(1999)Using Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)、リガンド/受容体相互作用を分析するための標準的な技術が利用可能であり(例えば、Coligan et al.(2001)Current Protocols in Immunology,Vol.4,John Wiley,Inc.,NYを参照されたい)、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を含む、フローサイトメトリーのための方法が利用可能であり(例えば、Shapiro(2003)Practical Flow Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,NJを参照されたい)、並びに、例えば、診断試薬としての使用のための、核酸プライマー及びプローブ、ポリペプチド、及び抗体を含む、核酸を修飾することに適する蛍光試薬が利用可能である(Molecular Probes(2003)Catalogue,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR.;Sigma−Aldrich(2003)Catalogue,St.Louis,MO.)。
例えば、抗原性フラグメント、リーダー配列、タンパク質の折畳み、機能的領域、グリコシル化部位、及び配列アラインメントなどを決定するためのソフトウェアパッケージ及びデータベースが利用可能である(例えば、GCG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San Diego,CA);及びDeCypher(商標)(TimeLogic Corp.,Crystal Bay,NVを参照されたい)。
血清IL−10濃度レベル及び曝露レベルは、当技術分野において使用する標準分析法で決定することができる。例えば、平坦なキャピラリ管にマウス尾部小片からの全血液(約50μl/マウス)を集め、遠心分離によって血清及び血液細胞を分離し、標準ELISAキット及び技術によってIL−10曝露レベルを決定することによって、血清曝露レベル分析を実施することができる。
LDLR−/−マウスは、The Jackson Lab(Bar Harbor,ME)から得た。こうしたマウスは、200〜400mg/dlの高い血清コレステロールレベルを有し、高脂肪食を食した場合、それらのコレステロールレベルは、2,000mg/dlを超える。マウスの通常の血清コレステロールは、80〜100mg/dlである。
肝臓を検死でマウスから切除し、その後の分析のために急速冷凍した。肝臓組織を、標準サイバーグリーン手順によるqPCR分析において使用した(例えば、Life Technologies Corp.,Grand Island,NYを参照されたい)。
正規化メッセンジャーRNA単位を、相対的な定量化によって決定し、これにより、試料の遺伝子発現の変化を、参照試料の遺伝子発現に基づいて算出する。
LDLレベルを直接測定するコレステロール試験を用いたが、これらは市販されている(例えば、Beckman Coulter,Inc;Brea,CA:AU System LDL−Cholesterol Test)。総血清コレステロールを測定するための従来の試験(比色分析法の中で一般的に使用する)は、安価であり広く利用されている(例えば、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO;BioVision,Inc.,Milpitas,CA)。
特許文献(例えば、米国特許出願公開第2011/0250163号明細書)に記載のモノ−/ジ−PEG−IL−10混合物を、下記の実施例において使用した。2つの例示的な合成スキームは、以下の通りである。
例示的なスキーム番号1.IL−10(例えば、齧歯動物又は霊長類)を、50mMのリン酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウムpH範囲5〜7.4に対して透析する。1:1〜1:7のモル比の5kDaのPEG−プロピルアデヒドを、0.75〜30mMのナトリウムシアノボロハイドライドの存在下にて1〜12mg/mLの濃度でIL−10と反応させる。或いは、反応は、同様の方法でピコリンボランによって活性化することができる。反応物は、5〜30℃で3〜24時間、インキュベートする。ペグ化反応物のpHを6.3に調整し、7.5mg/mLのhIL−10をPEGと反応させ、IL−10のPEGリンカーに対する比は1:3.5とする。シアノボロヒドリドの最終濃度は約25mMであり、反応を15℃で12〜15時間、実行する。モノ−及びジーPEGIL−10は、最も大きい反応生成物であり、それぞれの濃度は終了時において約50%である。反応は、グリシン又はリシンなどのアミノ酸、或いは、トリス緩衝液を使用して冷却することができる。ゲル濾過、陰及び陽イオン交換クロマトグラフィー、及びサイズ排除HPLC(SE−HPLC)などの複数の精製法を使用して、所望のペグ化IL−10分子を単離することができる。
例示的スキーム番号2.IL−10を10mMのリン酸ナトリウムpH7.0、100mMの塩化ナトリウムに対して透析する。透析したIL−10を、透析緩衝液を使用して、約0.5〜12mg/mLの濃度まで3.2倍に希釈する。リンカーの添加の前に、SC−PEG−12kDa(Delmar Scientific Laboratories,Maywood,Ill.)及びpH9.1の100mMテトラホウ酸ナトリウムの1容量を加えて、9容量の希釈したIL−10を形成し、IL−10溶液のpHを8.6まで上げる。SC−PEG−12Kのリンカーを、透析緩衝液において溶解し、適切な量のリンカー溶液(IL−10のモル当たり1.8〜3.6モルのリンカー)を、希釈したIL−10溶液に加えてペグ化反応を開始する。速度を制御するために、反応を5℃で実行し、反応溶液を穏やかに撹拌する。サイズ除去HPLC(SE−HPLC)によって決定される、モノ−PEG−IL−10収率が、約40%に近い場合、1Mのグリシン溶液を30mMの最終濃度まで加えることによって反応を停止する。反応溶液のpHは、塩酸溶液を用いて7.0にゆっくりと調整し、反応は0.2ミクロンで濾過されて−80℃で保存する。
PEG−IL−10を、10mMのHEPES、pH6.5、0.05%のMSAを含む100mMの塩化ナトリウムにて、0.75〜1.0mg/mLで処方した。対照(プラセボ)=PEG−IL−10の無い同一の製剤マトリックス。
免疫組織化学
ピコシリウスレッド染色:スライドを、60℃で45分間、オーブンにて加熱し、キシレン及び一連のアルコールを用いて脱パラフィンし、水において再水和し、製造業者の指示に従って新たに調製したピコシリウスレッド染色溶液にて60分間保持し、酸性水にて洗浄を2回した。核を、8〜10分間、ヴァイゲルトヘマトキシリンにて染色し、100%のエタノールで3回交換して脱水し、清浄し、取り付けた。
抗F4/80、抗Msr1、PCNA、及びSca1:肝臓組織を10%中性緩衝ホルムアルデヒドで固定しパラフィンに封埋した。組織試料片を5μm厚の部片に切断し、キシレン部において脱パラフィンし、段階的な一連のアルコール溶液において水和した(100%、95%、80%、70%、50%、3回の交換、それぞれ5分)。スライド上の組織を、熱誘発エピトープ修正(epitope retrieval)(98℃で20分間、10mmol/Lのクエン酸ナトリウム緩衝液)に供し、次いで、3%の過酸化水素で処理して内因性ペルオキシダーゼを反応停止させした。部片を、室温で1時間、ブロッキング溶液(5%中性ヤギ血清)においてインキュベートした。選択した第1の抗体を、スライドに塗布し、4℃で終夜、湿潤したチャンバーにおいてインキュベートした。次いで、第2のビオチン化した抗体を、1:250の希釈で塗布し(Vector Lab;Burlingame,CA)、その後、ストレプトアビジンペルオキシダーゼでインキュベートした。部片を、それぞれのステップ後に、PBS 3Xで洗浄した。部片を、DAB基質で染色し、2分間、マイヤーヘマトキシリンで対比染色した。スライドを、100%のエタノールで3回交換して脱水し、清浄し、取り付けた。
画像定量化:媒体処理した肝臓と比較したPEG−rMuIL−10処理した肝臓の分析のために、群当たり2〜5のマウスをランダムに選択し、シリウスレッド(Polyscience Inc.;Warrington,PA)、坑PCNA(Abcam;Cambridge,MA)、ヘマトキシリン(American MasterTech;Lodi,CA)、坑Msr1(Abcam)、坑F4/80(Abcam)、Sca1(Abcam)で染色した。肝臓ごとに、8〜10の独立画像を、20×対物レンズを用いて収集した。次いで、信号の平均領域を、MetaMorph画像ソフトウェア(Molecular Devices;Sunnyvale,CA)を使用して代表的な領域に色閾値を適用しピクセル分布を調整して正の信号と一致することによって分析した。すべての画像を20×対物レンズで取得した。
図のバーは、データポイントの中央値を表す。
実施例1
脂質パネルにおけるPEG−IL−10の効果
脂質パネルに関連のパラメーターに対するPEG−rmIL−10曝露の効果を、高脂肪食を食したLDLR−/−マウスにおいて決定した。4つの群(10のマウス/群)に、1mg/kg、0.2mg/kg、又は0.02mg/kgのPEG−rmIL−10又は媒体対照をSCで14日間、毎日投与し、その後、総血清コレステロール、トリグリセリド、LDL、HDL、及びLDL/HDL比を決定した。
図2を参照すると、コレステロール(図2A)、トリグリセリド(図2B)、及びLDL(図2C)のレベルはすべて、媒体と比較してそれぞれの投薬量のPEG−rmIL−10で著しく減少した。より詳しくは、媒体制御に対して、1mg/kg、0.2mg/kg、及び0.02mg/kgのPEG−rmIL−10は、それぞれ、約68%、67%、及び45%、総血清コレステロールを減少させ(図2A)、それぞれ、約53%、61%、及び51%、血清トリグリセリドを減少させ(図2B)、並びに、それぞれ、約75%、75%、及び49%、血清LDLを減少させた(図2C)。
興味深いことに、総血清コレステロール及び血清LDLの減少は、1mg/kgのPEG−rIL−10及び0.2mg/kgのPEG−rmIL−10を受ける動物の群において基本的に同一である。この効果がなぜ発生したかという理解は本開示を実践するために必要でないが、特定のIL−10血清濃度を超えるコレステロールのミセルへの内在化に起因すると考えられており、この結果、2つの投薬量を比較する場合、名目上増加したコレステロール、及びLDLの低下が存在する。これらの投薬量漸増結果は、重篤で有害な副作用と関連する場合があるものより低いペグ化IL−10投薬量でコレステロール、トリグリセリド、及びLDLにおける治療的に関連した減少を実現することは可能であることを示唆している。
図2Dに示すように、媒体対照と比較した場合、PEG−rmIL−10の投薬量を増加させると、HDLレベルの減少につながる(0.02mg/kg=15%、0.2mg/kg=26%、及び1mg/kg=32%)。0.02mg/kg〜0.2mg/kgの投薬量のものより少ない0.2mg/kg〜1mg/kgの投薬量のHDL減少は、少なくとも一部で、前述の同一ミセルについての説明に由来する可能性が高い。すでに述べているように、HDL(いわゆる「善玉コレステロール」)の減少は、好ましくないものとして見られる場合があるが、主要なオピニオンリーダーは、HDLの減少の悪影響は、非常に高いコレステロールレベルを有する対象において、より重要である可能性が高いことを示唆している。図2Eを参照し、媒体対照と比較して、LDL/HDL比は、41%(0.02mg/kg)、66%(0.2mg/kg)、及び56%(1mg/kg)まで減少した。より大きい比の減少が好まれることから、これらのデータは、PEG−rmIL−10の0.2mg/kgの投薬量は、1mg/kgの投薬量より有益であることを実証している。
合わせて考えると、これらのデータは、最適な治療効果を実現するために、マウスの約0.2mg/kgのPEG−IL−10の投薬量を超える必要はないことを示している。従って、より高い投薬量によって観察されるより重篤な副作用(例えば、肝臓毒性)を、回避することができる。ヒト投薬量へのネズミ投薬量の転換は、相当する結果をもたらすに違いない。
実施例2
コレステロール合成の調整因子に対するPEG−IL−10の効果
コレステロール合成におけるPEG−rmIL−10の作用機構を評価するために、LDLR−/−マウスは、4週間、高脂肪西洋食を食した。3週目〜4週目の間、マウスにPEG−rmIL−10(1mg/kg、0.2mg/kg、又は0.02mg/kg)或いは媒体対照(4つの群それぞれ10匹のマウス)をSCで毎日投与し、その後、肝臓を、コレステロール合成経路に関与する遺伝子のパネルの発現について分析した(メバロン酸経路)。
以下の肝酵素の発現レベルは、対照として使用するHMG−CoA還元酵素に比べて、少なくとも2倍(データは示されていない)下方制御された:HMG−CoAシンターゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、ファルネシル二リン酸キナーゼ、及びNAD(P)依存型ステロイドデヒドロゲナーゼ。評価されたその他の肝酵素の発現レベルは、2倍の閾値未満の変化を示した(データは示されていない)。
これらの結果は、IL−10が、コレステロール合成経路における複数の酵素ステップに影響することを実証している。
実施例3
コレステロール調整因子に対するPEG−IL−10の効果
胆汁酸合成(CYP7A1)、細胞内コレステロール輸送(APOL8)、及びコレステロール流出(ABCG1)の調整因子に対するPEG−rmIL−10の効果を評価するために、LDLR−/−マウスは、4週間、高脂肪西洋食を食した。3週目〜4週目の間、マウスにPEG−rmIL−10(1mg/kg、0.2mg/kg、又は0.02mg/kg)又は媒体対照(4つの群それぞれ10匹のマウス)をSCで毎日投与し、その後、CYP7A1、APOL8、及びABCG1の肝臓におけるメッセージ発現を評価した。
コレステロールを酸化させるチトクロームP450ヘム酵素であるCYP7A1は、コレステロールからの胆汁酸の合成における律速酵素であり、7−アルファ−ヒドロキシコレステロールの形成を触媒する。CYP7A1は、胆汁酸シンターゼ遺伝子と称される場合がある。CYP7A1は、血漿コレステロールレベルが低い場合、ステロール制御因子結合タンパク質(SREBP)によって下方制御される。対照的に、CYP7A1は、コレステロール(より詳しくは、オキシステロール)レベルが高い場合、核内受容体LXR(肝臓X受容体)によって上方制御され、この上方制御は、胆汁酸の生産を増加させ、肝細胞のコレステロールのレベルを減少させる。図3Aに示すように、0.2mg/kg及び0.02mg/kgのPEG−rmIL−10は、CYP7A1のメッセージ発現を増加させ、肝臓からのコレステロールの流出が増加することを示す。
興味深いことに、PEG−rmIL−10の1.0mg/kgの投薬量は、CYP7A1のメッセージ発現に基本的に影響を及ぼすことはなかった。この結果についての可能性のある説明は、CYP7A1におけるIL−1bとIL−10の間の相互作用に関係する。IL−1bが、肝臓におけるCYP7A1の発現レベルを減少させることができることが報告されている(Feingold et al,J.Lipid Res.(1996)37:223−28を参照されたい)。高い血清コレステロール濃度に対処するために、高投薬量のPEG−IL−10を投与する場合、IL−1bの発現が、劇的に強化される。IL−1bmRNA及び(可能性のある)タンパク質の高いレベルは、CYP7A1の発現を制限するためにフィードバックされると考えられ、コレステロール流出に対する効果は、仮にあっても、ほとんどないという結果になる。
APOL8は、HDLファミリーに属し、コレステロール輸送において中心的役割を果たす。PEG−rmIL−10の投薬量を増加させることは、APOL8のメッセージ発現を増加させることと相関しており(図3B)、より大きな細胞内コレステロール輸送をもたらし、このため、流出に利用できるより多くの基質をもたらす。
図3Cは、ABCG1におけるPEG−rmIL−10の効果を表し、これは、マクロファージコレステロール及びリン脂質輸送に関与し、且つ、その他の細胞型における細胞脂質恒常性を調整することができる。ABCG1は、胆汁酸塩として肝臓からの除去のためのコレステロールを調製することに関与する流出分子である。図3Cのデータは、PEG−rmIL−10のより高い投薬量は、ABCG1メッセージ発現の増加と関連し、結果として、血清コレステロールの減少と相関していることを示している。
実施例4
LDL及びHDL調整に対するPEG−IL−10の効果
LDL(PCSK9)及びHDL(APOA2)の調整因子に対するPEG−rmIL−10の効果を評価するために、LDLR−/−マウスは、4週間、高脂肪西洋食を食した。3週目〜4週目の間、マウスにPEG−rmIL−10(1mg/kg、0.2mg/kg、又は0.02mg/kg)或いは媒体対照(4つの群それぞれ10匹のマウス)をSCで毎日投与し、その後、PCSK9及びAPOA2の肝臓におけるメッセージ発現を評価した。
PCSK9は、コレステロール恒常性において主要な調整の役割を果たす。本明細書において述べられるように、肝細胞の表面のLDL受容体(LDLR)と結合する際、LDLコレステロールは血液から除去されて、細胞によって取り込まれる。PCSK9は、LDLRの上皮成長因子状繰り返しA(EGF−A)領域と結合し、LDLR分解を誘発し、その結果、LDLの代謝を減少させ、高コレステロール血症をもたらす。従って、PCSK9が結合しない場合、受容体は、細胞の表面に戻ることができ、より多くのコレステロールを除去することができる。PCSK9を阻止する薬剤は、コレステロールを低下させることができ、開発されている。図4Aに示すように、PEG−rmIL−10は、PCSK9のメッセージ発現を下方制御する。ノックアウトマウスはLDL受容体を欠いていることから、PEG−IL−10は、PCSK9に依存しない方法でコレステロールを劇的に低下させること(即ち、コレステロールにおけるペグ化IL−10の減少は、PCSK9の調整から独立している)を、これらのデータは示している。
又、PEG−rmIL−10のノックアウトマウスへの投与は、HDL粒子タンパク質APOA2のメッセージ発現を減少させる(図4B)。HDL構築に関与するAPOA2は、高密度リポタンパク質粒子の2番目に多いタンパク質である。従って、PEG−IL−10の投与から生じるAPOA2メッセージ発現の減少は、HDLの減少による高コレステロール血症の一因となる。しかしながら、本明細書において述べられるように、LDLにおけるペグ化IL−10の有益な効果は、HDLの減少による任意のより好ましくない結果を大きく上周り、ペグ化IL−10が異なる作用機構を有する別の薬剤(複数可)と併用して投与される場合、これは特に当てはまることができる。
実施例5
炎症の調整因子に対するPEG−IL−10の効果
CRPの調整に対するPEG−rmIL−10の効果を評価するために、LDLR−/−マウスは、4週間、高脂肪西洋食を食した。3週目〜4週目の間、マウスにPEG−rmIL−10(1mg/kg、0.2mg/kg、又は0.02mg/kg)或いは媒体対照(4つの群それぞれ10匹のマウス)をSCで毎日投与し、その後、CRPの肝臓におけるメッセージ発現を評価した。
CRPは、急性相反応物の部類のメンバーであり、それは、そのレベルが、身体で生じる炎症プロセスの間、劇的に上昇するからである。CRPは、外来及び傷害性細胞に結合する相補体を支援し、CRPのための受容体を発現するマクロファージによる食作用を強化すると考えられる。又、CRPは、感染症に対する初期の防御系として先天性免疫において役割を果たすと考えられている。主としてその炎症性及びアテローム動脈硬化性効果のために、高いレベルのCRPは、心血管リスクと関連している。従って、ペグ化IL−10の投与で見られるCRPメッセージ発現の減少は(図5)、その心臓保護効果を示唆している。
実施例6
コレステロール取り込みの調整因子に対するPEG−IL−10の効果
コレステロールの取り込みの調整因子であるMSR1及びMARCOに対するPEG−rmIL−10の効果を評価するために、LDLR−/−マウスは、4週間、高脂肪西洋食を食した。3週目〜4週目の間、マウスにPEG−rmIL−10(1mg/kg、0.2mg/kg、又は0.02mg/kg)或いは媒体対照(4つの群のそれぞれの10匹のマウス)をSCで毎日投与し、その後、MSR1及びMARCOの肝臓におけるメッセージ発現を評価した。
SR−A1(スカベンジャー受容体−A1)及びCD204(分化204のクラスター)としても知られる、MSR1、並びに、SR−A2(スカベンジャー受容体A−2)としても知られるマクロファージ受容体であるMARCOは、LDLのエンドサイトーシスを媒介し、その結果、コレステロール取り込みに関与するスカベンジャー受容体である。スカベンジャー受容体−MSR1(図6A)及びMARCO(図6B)の両方のメッセージ発現の増加が、ペグ化IL−10の投与の後に認められた。こうした発現の増加が、コレステロール取り込みの強化と相関することから、MSR1及びMARCOは、高コレステロール血症を正常化することと関連する。
実施例7
コレステロールのPEG−rMuIL−10誘発減少に対する食作用細胞除去の効果
骨髄細胞系列内の食作用細胞と、血漿コレステロールのPEG−rMuIL−10の制御との間の関係を評価した。標準的な技術を使用して、PEG−rMuIL−10の存在下又は不在下において、クロドロナートリポソームを動物に投薬することによって、食作用細胞を除去した。初めに、肝臓の食作用細胞の完全な除去を、F4/80のIHCによる検出によって確認した。肝細胞がクロドロナートに影響を受けないことを保証するために、肝細胞の健全性を、TUNEL IHC(アポトーシス細胞の増加はない、データは示されていない)、並びに、H&E(組織学的形態又は細胞組織における変化はない、データは示されていない)によって確認した。
野生型、及び、LDLR−/−C57BL/6のマウス(年齢7〜8週間)を、投薬前の2週間、通常の食事で維持した、或いは、高脂肪西洋食を食させた。PEG−rMuIL−10(1mg/kg)又は媒体(10mMHEPES、100mMの塩化ナトリウム、pH6.5、0.05%マウス血清アルブミン)を、1〜2週間、毎日、皮下に投薬した。マウスを、投薬の期間に渡り、それぞれの食事に維持した。クロドロナート除去の研究のために、PEG−rMuIL−10投薬の1日前に始まり、3日毎に(1回目の投薬量:0.2mL、その後の投薬量:0.1mL)、マウスに、1XPBSにおいて懸濁したクロドロナートリポソーム(5mg/mLのクロドロナート、Cl)、又は、媒体リポソーム(Li)を有するIVを投薬した。
図7のパネルAは、HEPES/リポソーム、HEPES/クロドロナート、PEG−rMuIL−10/リポソーム、及びPEG−rMuIL−10/クロドロナートで7日間の処置の後、高脂肪食を食したLDLR−/−マウスにおける総血漿コレステロールを表す。図7のパネルDは、24時間、リポソーム又はクロドロナートで処置した高脂肪食を食した野生型マウスにおける総血漿コレステロールを表す。図7のパネルCは、24時間、リポソーム又はクロドロナートで処置された通常食を食したLDLR−/−マウスにおける総血漿コレステロールを表す。図7のパネルBは、24時間、リポソーム又はクロドロナートで処置された野生型マウスにおける総血漿コレステロールを表す。図7のパネルEは、図7のパネルAにおけるデータを生成するために用いたマウスの14日間の処理後の総血漿コレステロールを表す。
図7のパネルAを参照すると、食作用細胞の除去は、血漿コレステロールのPEG−rMuIL−10の調整を無効にした。予想外に、クロドロナート単独で、総血漿コレステロールが45%増加した。通常食における野生型及びLDLR−/−マウス(図7のパネルB及びC)、並びに、高脂肪食における野生型マウス(図7のパネルD)での食作用細胞の除去は、血漿コレステロールの一貫した増加をもたらし、食作用細胞が、血漿コレステロールの通常の調整に関与していることを示唆している。図7のパネルEは、肝臓クッパー細胞の再増殖が、血漿コレステロールの減少と相伴うことを示す。更に、PEG−rMuIL−10投薬は、クッパー細胞が組織を再増殖した速度を加速するように見えた。
実施例8
骨髄細胞系列細胞スカベンジャーに対するPEG−rHuIL−10の効果
ヒト末梢血単球、ヒト末梢血マクロファージ、ヒトクッパー細胞、及びヒト肝細胞を、どの肝細胞がPEG−rHuIL−10に反応するかを決定するために、生体外にてPEG−rHuIL−10で処理した。
図8のパネルA〜Dを参照すると、10ng/mLのPEG−rHuIL−10に24時間、露出の後、1×105〜1×106細胞を、MSR1、MARCO、SCARB1、SCARB2、及びCD36の発現について分析した。図8のパネルA〜Dはヒト末梢血単球(図8のパネルA)、ヒト末梢血マクロファージ(図8のパネルB)、ヒトクッパー細胞(図8のパネルC)、並びにヒト肝細胞(図8のパネルD)のスカベンジャー受容体発現分析を表す。図8のパネルA〜Dにおけるデータは、3つの独立した実験を表す。スカベンジャー受容体発現は、クッパー細胞及び末梢血単球のみにおいて強化された(図8のパネルA〜Dを参照されたい)cRPMI媒体において7日間、50ng/mLのM−CSFに露出した場合、末梢血単球はマクロファージに分化した。スカベンジャー受容体調整は、マウスとヒトの間で類似しているように見え(データは示されていない)、脊髄分画に対する効果に関して、IL−10の生物の保存を示唆している。
スカベンジャー受容体の発現の増加が、リポタンパク質の取り込みの強化と相関するかどうかについて判定した。図8のパネルE〜Hを参照すると、細胞を対照(w/o)及びPEG−rHuIL−10(10ng/mL)に、24時間、露出し、4〜5時間後に完全な取り込みを評価した。図8のパネルE〜Hにおけるデータは、3〜10の独立した実験を表す。又、LDLの任意の形態へ露出されていない細胞からのバックグラウンド(b.g.)平均蛍光強度(M.F.I.)を示す。[*p<0.05、***p<0.001]。図8のパネルE〜Hは、ヒト単球(図8、パネルE)、ヒトマクロファージ(図8のパネルF)、ヒトクッパー細胞(図8のパネルG)、並びにヒト肝細胞(図8のパネルH)における、LDL、Ac−LDL、及びOx−LDL取り込みの定量化を表す。図8Eに示すように、PEG−rHuIL−10は、新たに単離された末梢血液単球によって、LDLではなく、Ac及びOx−LDLの取り込みを増加させた。図8のパネルFを参照すると、M−CSF−分化マクロファージは、PEG−rHuIL−10に応答しなかったが、PEG−rHuIL−10は、Ac−LDL又はOx−LDLではなく、LDLのクッパー細胞取り込みを増加させた(図8のパネルG)。LDL、Ox−LDL、及びAc−LDLの肝細胞取り込みは、PEG−rHuIL−10に対応して不変だった(図8のパネルH)。一般的には、骨髄細胞系列細胞は、食作用性であるが、これらのデータは、コレステロール取り込みの性質は、PEG−rHuIL−10に応答して、単球、マクロファージ、クッパー細胞、肝細胞との間で異なることを示している。
図8のパネルI及びJは、Ac−LDL(図8のパネルI)及びOx−LDL(図8のパネルJ)の取り込みに対するマンノースの阻害効果を表す。細胞を、Ox−LDL及びAc−LDLとの共同インキュベートの前に、100mMのマンノースに事前に曝露した。細胞を、24時間、対照(w/o)及びPEG−rHuIL−10(10ng/mL)に曝露して、4〜5時間後に完全な取り込みを評価した。図8I及びJのデータは、3〜10の独立した実験を表す。又、LDLの任意の形態へ露出されていない細胞からのバックグラウンド(b.g.)平均蛍光強度(M.F.I.)を示す。[*p<0.05、***p<0.001]。図8I及びJを参照すると、マンノースは、単球によるOx−LDLの取り込みではなく、Ac−LDLにおけるPEG−rHuIL−10の増加を阻害した。リポタンパク質の取り込みのPEG−rHuIL−10の制御は、周知の及びおそらく未知のスカベンジャー受容体調整の両方を介するものであることを、これらのデータは示唆している。
実施例9
癌患者におけるコレステロールの調整
総血漿コレステロールを、PEG−rHuIL−10で治療した癌患者において測定した。完全に同意した患者を、IRB認可のプロトコール下にて、訓練された採血者によって、毎週の末梢血液採取に供した:FDA study ID#NCT02009449。血清コレステロールの定量化を、標準手順の後、ローカル臨床検査室によって実施した。
患者を訓練して、腹部にPEG−rHuIL−10を自身で注射させた。PEG−rHuIL−10を、毎日、2.5μg/kg(n=4)又は5μg/kg(n=4)SCで患者に投与した。患者に15〜28日間投薬した。図9A及び9Bを参照すると、PEG−rHuIL−10は、低血漿コレステロール(約100mg/dL)を有する患者に影響を及ぼさなかったが、約140mg/dLの初期の血漿コレステロールを有する患者は、PEG−rHuIL−10の投与後に、約100mg/dLまでの血漿コレステロールの減少を示した。140mg/dL以下のレベルは、心血管事象の生涯リスクがないことと一致している。図9A及びBのグラフ上のそれぞれの線は、個々の患者を表している。
これらのデータは、PEG−rHuIL−10は、高コレステロール血症患者においてのみ、コレステロールを調整することを示している。
本発明の特定の実施形態を、本発明を実行するための、発明者に周知の最良の形態を含めて、本明細書において記載する。前述のものを考慮すると、本開示の実施形態の記載、変形例が、当技術分野に従事する人にとって明白であり得、当業者は、適切な場合、こうした変形例を使用することができることが予期される。従って、本発明は、本明細書において具体的に記載されたものとは異なるように実施され、本発明は、適用法が認める、本明細書に添付する特許請求の範囲に記載する主題の改変形態及び均等物をすべて含むことが意図される。更に、それらの可能な変更形態すべてにおける前述の要素の任意の組合せも、本明細書において別段の記載がないか又は別段の記載がなく限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、本発明により包含される。
本明細書において引用されるすべての刊行物、特許出願、登録番号、及びその他の参考文献は、個々の刊行物又は特許出願が、具体的に、且つ、個々に参照により組み込まれることが示されるかのごとく、参照により本明細書に組み込まれる。