JP2016525886A - 糖溶液からの不純物の除去 - Google Patents
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Abstract
溶液(S1)から不純物を除去するためのプロセスを提供し、該溶液(S1)は、水性溶媒中に溶解した1つ以上の糖を含み、該溶液(S1)は、25℃で500μS/cm以上の導電率を有し、該プロセスは、(a)該溶液(S1)を陽イオン交換樹脂(R1)と接触させて、陽イオンの80%以上が全て同じ成分(E)のものである溶液(S2)を生成することと、(b)次いで該溶液(S2)を陽イオン交換樹脂(R2)と接触させることであって、該陽イオン交換樹脂(R2)において、該接触の前に、酸基の90%以上が該成分(E)と共に塩形態にある、接触させることと、を含む。また、請求項1に記載のプロセスにより抽出溶液を提供することと、次いで該溶液(S3)を水素及び金属触媒と接触させることと、を含む、グリコールを生成するためのプロセスも提供する。【選択図】なし
Description
以下の不純物のうちの1つ以上を不要に高レベルで含有する糖水溶液を精製することが時に望ましい:一価陽イオンを有する1つ以上の塩、多価陽イオンを有する1つ以上の塩、及び1つ以上の着色不純物。1つの有用なそのような溶液源は、セルロース及び/またはセミセルロースの加水分解である。また、そのような溶液は、通常、高レベルのタンパク質及び他の不純物を含有する。過去には、イオン交換法がそのような溶液の精製に使用されていたが、そのような方法は非効率的であった。いくつかの以前から知られている方法は、鉱酸及び腐食剤を使用した1つ以上のイオン交換樹脂の再生を要する1つ以上のイオン交換工程を伴ったが、そのような酸及びアルカリの使用は、困難かつ高価である。糖溶液から塩及び着色不純物を効果的に除去するより効率的な方法を提供することが望ましい。例えば、必要とされる再生剤が鉱酸の代わりに塩溶液である、少なくとも1つのイオン交換工程が使用される方法を提供すること、または、水のみが溶離液として使用される、クロマトグラフィープロセスを使用して塩及び着色不純物を除去することが望ましい。また、塩及び着色不純物の両方を糖溶液から除去するクロマトグラフィー工程を含むプロセスを提供することが望ましい。
精製された糖溶液の1つの可能性のある用途は、糖溶液を水素及び金属触媒と接触させることを伴う反応を使用したグリコールの生成である。そのようなグリコール生成の方法は、糖溶液がより高度に精製される場合に、より良く機能する。また、より効率的な方法により精製された糖溶液の使用を伴うグリコール生成の改善された方法を提供することも望ましい。
米国特許第8,003,353号は、セルロース系バイオマスから生成物の糖ストリームを得る方法を記載している。米国特許第8,003,353号により記載される方法は、排除クロマトグラフィーの使用を伴う。糖溶液精製の改善された方法を提供することが望ましい。
以下は、本発明についての陳述である。
本発明の第一の態様は、溶液(S1)から不純物を除去するためのプロセスであって、該溶液(S1)は水性溶媒中に溶解した1つ以上の糖を含み、該溶液(S1)は、25℃で500μS/cm以上の導電率を有し、該プロセスは、
(a)該溶液(S1)を陽イオン交換樹脂(R1)と接触させて、樹脂(R1)中の陽イオンの総モル数に基づいたモル基準において、該陽イオンの80%以上が全て同じ成分(E)のものである、溶液(S2)を生成することと、
(b)次いで該溶液(S2)を陽イオン交換樹脂(R2)と接触させることであって、該陽イオン交換樹脂(R2)において、該接触前に、樹脂(R2)上の酸基の総モル数に基づいたモル基準において、酸基の90%以上が、陽イオンとしての該成分(E)と共に塩形態にある、接触させることと、を含む。
(a)該溶液(S1)を陽イオン交換樹脂(R1)と接触させて、樹脂(R1)中の陽イオンの総モル数に基づいたモル基準において、該陽イオンの80%以上が全て同じ成分(E)のものである、溶液(S2)を生成することと、
(b)次いで該溶液(S2)を陽イオン交換樹脂(R2)と接触させることであって、該陽イオン交換樹脂(R2)において、該接触前に、樹脂(R2)上の酸基の総モル数に基づいたモル基準において、酸基の90%以上が、陽イオンとしての該成分(E)と共に塩形態にある、接触させることと、を含む。
本発明の第2の態様は、
(A)請求項1に記載のプロセスによって抽出溶液を提供する工程と、
(B)次いで該溶液(S3)を水素及び金属触媒と接触させる工程と、を含む、グリコロールを生成するためのプロセスである。
(A)請求項1に記載のプロセスによって抽出溶液を提供する工程と、
(B)次いで該溶液(S3)を水素及び金属触媒と接触させる工程と、を含む、グリコロールを生成するためのプロセスである。
以下は、本発明の詳細説明である。
本明細書で使用される場合、以下の用語は、文脈が明確に別途指示しない限り、指定された定義を有する。
「溶媒」は、15℃〜70℃を含む温度範囲にわたる液体の組成物である。溶媒は、溶媒の重量に基づき50重量%以上の水を含有する場合、「水性」である。溶媒が水と別の化合物との混合物である場合、他方の化合物は、使用される割合で水と混和できる。「混和できる」とは、水と他方の化合物とが、分子レベルで互いに全体に分布していることを意味する。
「溶液」は、1つ以上の「溶質」物質が液体「溶媒」全体に分子またはイオンレベルで分散している混合物である。溶質は、溶媒中に「溶解している」と言われる。
本明細書で使用される場合、糖は化合物であり、その分子は、1個または2個のサッカロース基を含有する。つまり、「糖」は、単糖類または二糖類である。
「導電率」とは、センチメートルあたりのマイクロジーメンス(μS/cm)を単位とする電気伝導率である。導電率は、溶解した塩の総量の尺度である。
水性溶媒中に溶解した糖の溶液の色は、
色=A×1,000/(B1*C1)
により評価され、式中、Aは、25℃で420nmの溶液の吸光度であり、B1は、吸光度測定に使用される光路長であり、C1は、リットルあたりのグラム数での溶液中の糖の濃度である。色は、「IU」と称される単位で報告される。
色=A×1,000/(B1*C1)
により評価され、式中、Aは、25℃で420nmの溶液の吸光度であり、B1は、吸光度測定に使用される光路長であり、C1は、リットルあたりのグラム数での溶液中の糖の濃度である。色は、「IU」と称される単位で報告される。
水性溶媒中に溶解した糖の濃度は、以下のように決定される、量「Brix」により記載される。Brix=(((((11758.74*nD−88885.21)*nD+270177.93)*nD−413145.80)*nD+318417.95)*nD−99127.4536)、式中、nDは、20℃でナトリウムD線(589.3nm)の波長で測定される屈折率である。
イオン交換樹脂は、個々の粒子の形態で存在する有機合成ポリマーである。体積中央粒度は、50μm〜2mmである。イオン交換樹脂の2つの種類は、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂である。
陽イオン交換樹脂は、ポリマーに共有結合したペンダント酸性基を有し、陽イオン交換樹脂は、ポリマーに共有結合したペンダントアミン基またはアンモニウム基を有しない。強酸性陽イオン交換樹脂は、ポリマーに共有結合したペンダントスルホン酸またはスルホン酸基を有する。酸性基は、不安定な水素原子を有する。酸基は、不安定な水素原子が酸基に結合したままである「H形態」にあってもよく、あるいは、酸基は、不安定な水素が陽イオンで置き換えられる「塩形態」にあってもよい。
陰イオン交換樹脂は、ポリマーに共有結合したペンダントアミン基または第四級アンモニウム基を有し、陰イオン交換樹脂は、ポリマーに共有結合した酸性基を有しない。強塩基性陰イオン樹脂は、ポリマーに共有結合した第四級アンモニウム基を有する。
粒子の集団は、指数D60/D10として定義される「均等係数」によって特徴付けられ得る。D60は、体積基準で粒子の60%が通過でき、体積基準で粒子の40%が大きすぎて通過できない、孔の開口部サイズである。D10は、体積基準で粒子の10%が通過でき、体積基準で粒子の90%が大きすぎて通過できない、孔の開口部サイズである。
比率がX:1以上であると本明細書で述べられる時、それは、比率がY:1であることを意味し、YはXより大きいか、またはXと等しい。例えば、比率が3:1以上であると述べられる場合、その比率は、3:1または5:1または100:1であり得るが、2:1ではあり得ない。同様に、比率がW:1以下であると本明細書で述べられるとき、それは、比率がZ:1であることを意味し、ZはWより小さいか、またはWと等しい。例えば、比率が15:1以下であると述べられる場合、その比率は、15:1または10:1または0.1:1であり得るが、20:1ではあり得ない。
本発明の実行は、本明細書では「溶液(S1)」と標示された、水性溶媒中に溶解した1つ以上の糖を含有する溶液の使用を伴う。この水性溶媒は、溶媒の重量に基づいて50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは90重量%以上の量で水を含有する。好ましくは、単糖類の形態にある溶液(S1)中の糖の量は、全ての糖の重量に基づいて50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。
溶液(S1)の導電率は、500μS/cm以上、好ましくは750μS/cm以上、より好ましくは1000μS/cm以上である。溶液(S1)のBrixは、好ましくは15以上、より好ましくは30以上である。溶液(S1)の色は、好ましくは500IU以上、より好ましくは600IU以上、より好ましくは800IU以上、より好ましくは1,000IU以上である。
溶液(S1)は、任意の方法により作製され得る。1つの好ましい方法は、セルロース及び/またはセミセルロースの加水分解である。
本発明のプロセスは、溶液(S1)を、本明細書では「陽イオン交換樹脂(R1)」または同義の「樹脂(R1)」と標示された陽イオン交換樹脂と接触させることである、工程(a)を伴う。樹脂(R1)の組成物は、好ましくは、スチレンポリマー、アクリルポリマー、フェノールポリマー、及びポリアリキルアミンポリマーより選択される。好ましいのは、スチレンポリマーである。好ましいポリマーは架橋しており、より好ましくは、ポリマーは、ポリマーがいかなる溶媒中においても溶解できない十分な架橋密度を有する。
スチレンポリマーは、ポリマーの重量に基づいて50重量%以上のスチレンモノマーの重合単位を含有するポリマーである。スチレンモノマーは、1つ以上の芳香族環、及び芳香族環に直接結合した1つ以上のビニル基を含有する化合物である。好ましいスチレンモノマーは、スチレン、ジビニルベンゼン、及びそれらの混合物である。スチレンポリマーのうち、好ましいのは、スチレンモノマーの重合単位の量が75%以上であるもの、より好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上であるものである。
アクリルポリマーは、ポリマーの重量に基づいて30重量%以上のアクリルモノマーの重量単位を含有するポリマーである。アクリルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、それらのエステル、それらのアミド、及びそれらの混合物である。フェノールポリマーは、フェノール型化合物とアルデヒドとの反応生成物を含有する。フェノール型化合物は、フェノール、クレゾールの異性体、キシレノールの異性体、レゾルシノール、及び1つ以上のアルキルまたは芳香基で置換されたフェノールを含む。アルデヒドは、ホルムアルデヒド及びフルフラールを含む。ポリアリキルアミンポリマーは、ポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応化合物を含有する。ポリアミンは、1個以上のアミン基で置換されたアルキル化合物である。
スチレン及びアクリルポリマーの間では、多機能モノマーの重合単位の量を特徴付けることが有用である。多機能モノマーは、フリーラジカル重合できる2個以上のビニル基を有する。好ましい多機能モノマーは、ジビニルベンゼンである。好ましくは、多機能モノマーの重合単位の量は、ポリマーの重量に基づいて15重量%以下、より好ましくは12重量%以下、より好ましくは10%重量以下である。好ましくは、多機能モノマーの重合単位の量は、ポリマーの重量に基づいて1重量%以上である。
好ましくは、樹脂(R1)は、マクロ多孔質樹脂である。好ましくは、樹脂(R1)は、ポロゲンを使用して作製される。好ましくは、樹脂(R1)中の数基準での平均細孔径は、5nm以上である。
好ましくは、樹脂(R1)は、強酸性陽イオン交換樹脂である。好ましくは、樹脂(R1)は、ポリマーに共有結合したスルホン酸基を有する。
好ましくは、溶液(S1)との接触前に、塩形態にある樹脂(R1)に結合した酸基の割合は、樹脂(R1)に結合した酸基の総モル数に基づいたモル基準で、50%以上、より好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上である。
好ましくは、溶液(S1)との接触前に、塩形態にある樹脂(R1)に結合した酸基は主に、同じ会合した陽イオンを有する。好ましくは、塩形態にある、樹脂(R1)に結合した酸基と会合した陽イオンのうち、そのような酸基と会合した陽イオンの総モル数に基づいたモル基準で、80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が全て、同じ成分(E)の陽イオンであるように、単一成分(E)が存在する。成分(E)は、好ましくは、カルシウム、カリウム、またはナトリウム、より好ましくはカリウムまたはナトリウム、より好ましくはナトリウムである。つまり、陽イオンは、好ましくは、Ca+2、K+、またはNa+、より好ましくは、K+またはNa+、より好ましくはNa+である。
好ましくは、工程(a)は、イオン交換プロセスとして実施される。好ましくは、溶液(S1)の一部分を、樹脂(R1)を含有するクロマトグラフィーカラムの上部に添加し、そのカラムに通過させる。工程(a)の実施において、サービス流量は、好ましくは、1時間あたり1ベッドボリューム(BV/hr)以上であり、より好ましくは2BV/hr以上、より好ましくは5BV/hr以上である。工程(a)の実施において、サービス流量は、好ましくは50BV/hr以下、より好ましくは20BV/hr以下である。好ましくは、工程(a)は20℃〜80℃の温度で実施される。
好ましい実施形態において、樹脂(R1)は、塩溶液を用いて再生することができる。例えば、成分(E)がナトリウムである場合、樹脂(R1)は、NaOHまたはNaClを用いて再生することができる。
工程(a)を実施した後、残った溶液は「溶液(S2)」である。樹脂(R1)は、好ましくは、溶液(S2)から分離される。溶液(S2)中の陽イオンの大部分は、成分Eのもの、すなわち、溶液(S1)との樹脂(R1)の接触前に樹脂(R1)上に存在した酸基の大部分上に存在した同じ成分である。好ましくは、成分(E)のものである、溶液(S2)中の陽イオンの割合は、溶液(S2)中の全陽イオンに基づいたモル基準で、80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
好ましくは、溶液(S2)中の酢酸陽イオンの濃度は、ゼロであるか、溶液(S2)の重量に基づいて5重量%未満であるかのいずれかである。
溶液(S2)は、本明細書では「陽イオン交換樹脂(R2)」または同義の「樹脂(R2)」と称される陽イオン交換樹脂と接触させられる。樹脂(R2)は、樹脂(R1)と異なってもよく、または樹脂(R1)と同一であってもよい。樹脂(R1)に関して上記本明細書に記載される好ましい組成物及び特徴はまた、独立して、樹脂(R2)にも当てはまる。
好ましくは、樹脂(R2)の均等係数は、1.5以下、より好ましくは1.2以下である。好ましくは、樹脂(R2)の中央粒径は、体積基準で、600μm以下、より好ましくは400μm以下である。好ましくは、樹脂(R2)の中央粒径は、体積基準で、100μm以上、より好ましくは200μm以上である。
溶液(S1)に関して上記本明細書に記載される好ましい組成物及び特徴はまた、溶液(S2)が樹脂(R2)との接触前に存在するとき、独立して、溶液(S2)にも当てはまる。溶液(S1)が比較的高い濃度の多価陽イオンを含有するとき、溶液(S1)から溶液(S2)への変化は、各多価陽イオンの一価陽イオンとの置き換えを伴うため、溶液(S2)が溶液(S1)より高い導電率を有し得ることが企図される。独立して、いくつかの実施形態において、工程(a)は、溶液(S1)から色の一部を除去することとなり、そのような実施形態において、溶液(S2)の色と溶液(S1)の色の比率は、0.95:1以下、または0.9:1以下である。
本発明の実行は、溶液(S2)を樹脂(R2)に接触させる工程(b)を伴う。溶液(S2)が樹脂(R2)と接触した後、好ましくは、樹脂(R2)は、残った溶液から分離され、本明細書における残った溶液は、「抽出」溶液として言及される。
抽出溶液は、精製された糖溶液である。好ましくは、抽出溶液の導電率は100μS/cm以下、より好ましくは50μS/cm以下である。好ましくは、色または抽出溶液は、200IU以下、より好ましくは100IU以下、より好ましくは50IU以下である。好ましくは、抽出溶液は、4以上、より好ましくは6以上、より好ましくは10以上、より好ましくは20以上のBrixを有する。
好ましくは、工程(b)は、イオン排除クロマトグラフィー工程として実施される。つまり、樹脂(R2)上の陽イオンは溶液(S2)中の陽イオンと同じであるため、溶液(S2)中の陽イオンは樹脂(R2)によりはじかれ、それ故に溶液(S2)中の塩が、溶液(S2)中に溶解した糖と比較して素早く樹脂(R2)内を移動することが企図される。イオン排除クロマトグラフィーは、パルスモード、疑似移動床モード、改善された疑似移動床モード、または連続疑似移動床モードを含む、任意のモードで実施され得る。溶液(S2)中の塩、及び溶液(S2)中の糖の保持時間が評価され得、塩の保持時間の方が低くなることが企図される。
工程(b)がイオン排除クロマトグラフィー工程として実施されるとき、以下の分離溶液が工程(b)のプロセスから回収され得ることが企図される:比較的高い濃度の糖、及び比較的低い濃度の塩を有する、上記本明細書に記載される「抽出」溶液、ならびに比較的高い濃度の塩、及び比較的低い濃度の糖を有する「ラフィネート」溶液。
抽出溶液を任意の目的のために使用してもよく、例えば、エタノールの形成もしくはグリコールの形成など、後続の化学的または生化学的プロセスのための原材料として抽出溶液を使用してもよい。いくつかの使用目的においては、抽出溶液をさらに精製することが望ましい。グリコール、好ましくはエチレングリコールもしくはプロピレングリコール、またはそれらの混合物の生成のための原材料としての抽出溶液の使用が好ましい。グリコール生成の好ましい方法は、糖溶液を水素と、及び適切な金属触媒と接触させることである。グリコール生成のそのような方法において、糖溶液は、10μS/cm以下の導電率を有することが望ましい。
好ましくは、本発明のプロセスは、本明細書では工程「(c)」と標示され、工程(b)の後に実施される追加工程を含む。工程(c)では、抽出溶液を陽イオン交換樹脂(本明細書では「樹脂(CR3)」と称される)と、及び陰イオン交換樹脂(本明細書では「樹脂(AR3)」と称される)と接触させる。抽出溶液を、樹脂(CR3)及び樹脂(AR3)といずれかの順番で連続して、または同時に接触させてもよい。好ましくは、樹脂(CR3)と樹脂(AR3)との混合物(本明細書では「樹脂(MB3)」と称される)を調製し、抽出溶液と接触させる。
好ましくは、樹脂(CR3)は、強酸性型樹脂である。好ましくは、樹脂(CR3)は、架橋スチレンポリマーである。好ましくは、樹脂(CR3)は、マクロ多孔質(同義的にマクロレティキュラーと称される)樹脂である。好ましくは、樹脂(CR3)の数基準での平均細孔径は、50nm以上、より好ましくは100nm以上である。好ましくは、樹脂(AR3)樹脂は、強塩基型樹脂である。好ましくは、樹脂(AR3)は、架橋スチレンポリマーである。好ましくは、樹脂(AR3)は、マクロ多孔質(同義的にマクロレティキュラーと称される)樹脂である。好ましくは、樹脂(AR3)の数基準での平均細孔径は、50nm以上、より好ましくは100nm以上である。
好ましくは、樹脂(MB3)が使用される。好ましくは、樹脂(CR3)と樹脂(AR3)との重量比は、0.5:1以上、より好ましくは0.75:1以上、より好ましくは0.9:1以上である。好ましくは、樹脂(CR3)と樹脂(AR3)との重量比は、2:1以下、より好ましくは1.33:1以下、より好ましくは1.1:1以下である。
好ましくは、工程(c)が実施される場合、工程(c)はイオン交換プロセスとして実施される。好ましくは、抽出溶液の一部分を、樹脂(MB3)を含有するクロマトグラフィーカラムの上部に添加し、次いで追加の水性溶媒をカラムに添加する。好ましくは、追加の水性溶媒中の水の量は、追加の水性溶媒の重量に基づいて95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。好ましくは、追加の水性溶媒の導電率は、10μS/cm以下である。工程(c)の実施において、サービス流量は、好ましくは1時間あたり1ベッドボリューム(BV/hr)であり、より好ましくは2BV/hr以上、より好ましくは5BV/hr以上である。工程(a)の実施において、サービス流量は、好ましくは50BV/hr以下、より好ましくは20BV/hr以下である。好ましくは、工程(a)は20℃〜45℃の温度で実施される。
以下は、本発明の実施例である。
実施例1
工程(a)を以下のように実施した。初期糖溶液は、2280S/cmの導電率、31のBrix、及びpH=4.78を有した。糖溶液を、AMBERLITE(商標)200CNa樹脂(Dow Chemical Co.)を充填したクロマトグラフィーカラムに通過させた。サービス流量は、9BV/hrであった。70mlの試料をカラムの末端から回収し廃棄した。次いで210mlの試料を回収した(試料「A」)。試料Aは、3320μS/cmの導電率、32のBrix、及びpH=4.88を有した。初期糖溶液中の陽イオンは、試料A中のNa+イオンと置き換わったと考えられる。
工程(b)を以下のように実施した。パルス法を使用した。クロマトグラフィーカラムを調製し、AMBERLITE CR1310Na樹脂(Dow Chemical Co.)で充填した。試料Aをカラムの上部に配置し、クロマトグラフィーを以下のように実施した:流量=2BV/hr、樹脂ベッドボリューム=120ml、樹脂ベッド高=76cm、回収ごとに0.2BV〜1.5BV、0.05BVの試料採取、溶離液=水、注入供給量=4.8ml。各試料は、QuickBrix90(商標)メーター(Mettlo)を用いてBrixが評価され、420nmで吸光度が測定された。
色及び導電率をほぼ一緒に、ならびにカラム中の糖(Brix)より早く溶出した。分離分解をバンド幅及びピーク位置により評価した。溶離液のBrixを溶出時間の関数として記録した。溶出時間は、ベッドボリューム(BV)で測定される。Brixのピーク値の溶出時間はVBrであり、色のピーク値の溶出時間はVIUであり、導電率のピーク値の溶出時間はVCondである。Brixを溶出時間の関数として描き、Brixピークを形成した。Brixピークの幅(WBr)は、ピークの両側において変曲点に描かれた接線により区切られたピーク底辺の部分の幅であった(International Union of Pure and Applied Chemistry IUPAC.Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(「Gold Book」),Compiled by A.D.McNaught and A.Wilkinson.Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)の方法に従う)。同様に、色ピークの幅(WIU)及び導電率ピークの幅(WCond)を決定した。
Brixと色との間の分離分解(RBC)を、
RBC=2*(VBr−VIU)/(WBR+WIU)として決定した。
RBC=2*(VBr−VIU)/(WBR+WIU)として決定した。
同様に、Brixと導電率との間の分解(RCond)を、
RCond=2*(VBr−VCond)/(WBR+WCond)として決定した。
RCond=2*(VBr−VCond)/(WBR+WCond)として決定した。
RBC及びRCondの両方は、0.3超であった。この結果から、パルス法が糖溶液の精製に成功したこと、及び連続疑似移動床法もまた成功するであろうことが結論付けられる。工程(b)が、大量の塩及び着色不純物が除去された糖溶液を生成したことに留意されたい。
Claims (6)
- 溶液(S1)から不純物を除去するためのプロセスであって、前記溶液(S1)が、水性溶媒中に溶解した1つ以上の糖を含み、前記溶液(S1)が、25℃で500μS/cm以上の導電率を有し、前記プロセスが、
(a)前記溶液(S1)を陽イオン交換樹脂(R1)と接触させて、樹脂(R1)中の陽イオンの総モル数に基づいたモル基準において、前記陽イオンの80%以上が全て同じ成分(E)のものである、溶液(S2)を生成することと、
(b)次いで前記溶液(S2)を陽イオン交換樹脂(R2)と接触させることであって、前記陽イオン交換樹脂(R2)において、前記接触前に、樹脂(R2)上の酸基の総モル数に基づいたモル基準において、酸基の90%以上が、陽イオンとしての前記成分(E)と共に塩形態にある、接触させることと、を含む、前記プロセス。 - 前記糖が1つ以上の単糖類を含む、請求項1に記載の前記プロセス。
- 前記溶液(S1)が750μS/cmの導電率を有する、請求項1に記載の前記プロセス。
- 前記溶液(S1)が500IUの色を有する、請求項1に記載の前記プロセス。
- 前記プロセスが、
前記工程(b)の後、前記樹脂(R2)を、前記工程(b)から生じる抽出溶液から分離する工程と、
前記抽出溶液を、陽イオン交換樹脂(CR3)、及び陰イオン交換樹脂(AR3)と接触させる工程と、をさらに含む、請求項1に記載の前記プロセス。 - (A)請求項1に記載の前記プロセスによって抽出溶液を提供する工程と、
(B)次いで前記溶液(S3)を水素及び金属触媒と接触させる工程と、を含む、グリコールを生成するためのプロセス。
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