本明細書中には、グルカゴン受容体と特異的に結合する抗体が開示されている。抗グルカゴン受容体抗体の作製方法、これらの抗体を含む組成物、およびこれらの抗体を医薬品として使用する方法を提供する。抗グルカゴン受容体抗体は、血漿グルコースレベルを低下させるために使用することができ、また、T1D、T2D、または、高血糖症、空腹時血糖異常、耐糖能異常、異常脂質血症、肥満症、腎症、網膜症、白内障、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、創傷治癒障害、糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖性高浸透圧性症候群、周術期高血糖症、集中治療室患者における高血糖症、インスリン耐性症候群、および代謝症候群を含めた関連障害の、予防および/または処置において使用することができる。
一般技法
別段に指定しない限りは、本発明の実施では、当分野の技術範囲内にある、分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の慣用技術を用いる。そのような技法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら、1989)、Cold Spring Harbor Press、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984)、Methods in Molecular Biology、Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)、Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)、Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993〜1998)、J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら編、1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999)、Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997)、Antibodies(P.Finch、1997)、Antibodies:a practical approach(D.Catty編、IRL Press、1988〜1989)、Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000)、Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999)、The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)などの文献中に十分に記述されている。
定義
別段に指定しない限りは、以下の用語は以下の意味を有すると理解される。分子(ただし、分子は、たとえば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体である)に言及する場合の用語「単離した分子」は、その起源または派生供給源のおかげで、(1)そのネイティブ状態においてそれに付随する、天然に会合している構成成分と会合していない、(2)同じ供給源、たとえば、種、それが発現される細胞、ライブラリなどからの他の分子を実質的に含まない、(3)異なる種からの細胞によって発現される、または(4)天然に存在しない。したがって、化学合成である分子、またはそれが天然において由来する系とは異なる細胞系中で発現された分子は、その天然に会合している構成成分から「単離」されている。また、分子は、分野で周知の精製技法を使用して単離することによっても、天然に会合している構成成分を実質的に含まないようにし得る。分子の純度または均一性は、当分野で周知のいくつかの手段によってアッセイし得る。たとえば、ポリペプチド試料の純度は、当分野で周知の技法を使用して、ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびポリペプチドを可視化するためのゲルの染色を使用してアッセイし得る。特定の目的には、HPLCまたは当分野で周知の精製用の他の手段を使用して、より高い分解能をもたらし得る。
「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的と特異的結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書中で使用するこの用語には、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体のみでなく、別段に指定しない限りは、特異的結合、抗原結合部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変立体配置についてインタクトな抗体と競合するその任意の抗原結合部分も包含される。抗原結合部分には、たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、ドメイン抗体(dAb、たとえばサメおよびラクダの抗体)、相補性決定領域(CDR)を含めた断片、単鎖可変断片抗体(scFv)、マキシボディ、ミニボディ、細胞内抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NARおよびビス−scFv、ならびに、ポリペプチドに特異的抗原結合を与えるために十分な、免疫グロブリンの少なくとも一部分を含有するポリペプチドが含まれる。抗体にはIgG、IgA、もしくはIgM(またはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体が含まれ、抗体は任意の特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを様々なクラスに割り当てることができる。5つの主要な免疫グロブリンクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2へとさらに分類し得る。免疫グロブリンの様々なクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの様々なクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は周知である。
抗体の「可変領域」とは、単独または組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域をいう。当分野で知られているように、重鎖および軽鎖の可変領域は、超可変領域としても知られている3つの相補性決定領域(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FR)からそれぞれなり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。対象可変領域の変異体、特にCDR領域外(すなわちフレームワーク領域内)のアミノ酸残基中の置換を有するものが望まれる場合は、適切なアミノ酸置換、好ましくは保存的アミノ酸置換は、対象可変領域を、対象可変領域と同じカノニカルクラス内のCDR1およびCDR2配列を含有する他の抗体の可変領域と比較することによって同定することができる(ChothiaおよびLesk、J Mol Biol、196(4):901〜917、1987)。
特定の実施形態では、CDRの確定描写および抗体の結合部位を含む残基の同定は、抗体の構造を解析するおよび/または抗体−リガンドの複合体の構造を解析することによって達成される。特定の実施形態では、このことは、X線結晶構造解析などの当業者に知られている様々な技法のいずれかによって達成することができる。特定の実施形態では、様々な分析方法を用いてCDR領域を同定または概算することができる。そのような方法の例には、それだけには限定されないが、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、接触定義、およびコンホメーション定義が含まれる。
Kabat定義は、抗体中の残基の付番の標準であり、CDR領域を同定するために典型的に使用する。たとえばJohnsonおよびWu、2000、Nucleic Acids Res.、28:214〜8を参照されたい。Chothia定義はKabat定義に類似しているが、Chothia定義は特定の構造的ループ領域の位置を考慮に入れる。たとえばChothiaら、1986、J.Mol.Biol.、196:901〜17;
Chothiaら、1989、Nature、342:877〜83を参照されたい。AbM定義は、抗体構造をモデリングする、Oxford Molecular Groupによって作成されたコンピュータプログラムの統合スイートを使用する。たとえば、Martinら、1989、Proc Natl Acad Sci(USA)、86:9268〜9272、「AbMTM,A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies」、英国Oxford、Oxford Molecular,Ltd.を参照されたい。AbM定義は、Samudralaら、1999、「Ab Initio Protein Structure Prediction Using a Combined Hierarchical Approach」、PROTEINS、Structure,Function and Genetics補遺、3:194〜198によって記載されているものなどの、知識データベースおよび非経験的方法の組合せを使用して、抗体の三次構造を一次配列からモデリングする。接触定義は、入手可能な複合体の結晶構造の分析に基づく。たとえばMacCallumら、1996、J.Mol.Biol.、5:732〜45を参照されたい。本明細書中でCDRの「コンホメーション定義」と呼ぶ別の手法では、CDRの位置は、抗原結合に対してエンタルピー貢献を行う残基として同定し得る。たとえばMakabeら、2008、Journal of Biological Chemistry、283:1156〜1166を参照されたい。さらに他のCDR境界の定義は、上記手法のうちの1つに厳密に従わないが、それでもKabat CDRの少なくとも一部分と重複していてもよい。ただし、これらは、特定の残基または残基群が抗原結合に顕著な影響を与えないという予測または実験的発見に鑑みて短縮または伸長してもよい。本明細書中で使用するCDRとは、手法の組合せを含めた、当分野で知られている任意の手法によって定義されるCDRをいう場合がある。本明細書中で使用する方法は、これらの手法のいずれかに従って定義されたCDRを利用し得る。複数のCDRを含有する任意の所定の実施形態について、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、接触、および/またはコンホメーション定義のいずれかに従って定義し得る。
当分野で知られているように、抗体の「定常領域」とは、単独または組み合わせた、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域をいう。
本明細書中で使用する「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体の集団から得た抗体をいう、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在し得る天然に存在する突然変異以外は同一である。モノクローナル抗体は特異性が高く、単一の抗原部位に対して向けられている。さらに、様々な決定要因(エピトープ)に対して向けられている様々な抗体が典型的に含まれるポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定要因に対して向けられている。修飾語句「モノクローナル」とは、実質的に均質な抗体の集団から得られたという抗体の特徴を示すものであり、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈されるべきでない。たとえば、本発明に従って使用するモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、1975、Nature、256:495によって最初に記載されているハイブリドーマ方法によって作製し得るか、または米国特許第4,816,567号に記載されているものなどの組換えDNA方法によって作製し得る。また、モノクローナル抗体は、たとえばMcCaffertyら、1990、Nature、348:552〜554に記載されている技法を使用して作製されたファージライブラリからも単離し得る。本明細書中で使用する「ヒト化」抗体とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、もしくは抗体の他の抗原結合部分配列など)である非ヒト(たとえばネズミ)抗体の形態をいう。好ましくは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントのCDRからの残基が、所望の特異性、親和性、および結合能を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種のCDRからの残基(ドナー抗体)によって置き換えられている。ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも輸入されたCDRまたはフレームワーク配列中のどちらにも見つからないが、抗体性能をさらに洗練および最適化するために含められる残基を含み得る。
「ヒト抗体」とは、ヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を保有する抗体、および/または本明細書中に開示するヒト抗体を作製する技法のいずれかを使用して作製された抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に排除する。
用語「キメラ抗体」とは、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、たとえば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体をいうことを意図する。
用語「エピトープ」とは、抗体の抗原結合領域のうちの1つまたは複数において、抗体によって認識および結合されることができる分子の一部分をいう。エピトープは多くの場合アミノ酸または糖側鎖などの表面分子群からなっており、特定の三次元構造的特徴および特定の電荷特徴を有する。一部の実施形態では、エピトープはタンパク質エピトープであり得る。タンパク質エピトープは直鎖状またはコンホメーションであり得る。直線状エピトープでは、タンパク質と相互作用分子(抗体など)との間の相互作用点のすべてが、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って直線状に存在する。「非線形エピトープ」または「コンホメーションエピトープ」は、抗原タンパク質内の非連続的なポリペプチド(またはアミノ酸)を含み、これに、エピトープに特異的な抗体が結合する。本明細書中で使用する用語「抗原エピトープ」とは、当分野で周知の任意の方法、たとえば慣例の免疫アッセイによって決定される、抗体が特異的に結合することができる抗原の一部分として定義される。抗原上の所望のエピトープが決定された後、たとえば本明細書中に記載の技法を使用して、そのエピトープに対する抗体を作製することが可能である。あるいは、発見の過程中に、抗体の作製および特徴づけにより望ましいエピトープに関する情報が解明され得る。その後、この情報から、同じエピトープとの結合について抗体を競合的にスクリーニングすることが可能である。これを達成するための一手法は、グルカゴン受容体との結合について互いに競合または交差競合する抗体、たとえば抗原との結合について競合する抗体を見つけるために競合および交差競合研究を実施することである。「機能的エピトープ」は含む
本明細書中で使用する用語「グルカゴン受容体」とは、グルカゴン受容体の任意の形態、およびグルカゴン受容体の活性の少なくとも一部を保持しているその変異体をいう。ヒトグルカゴン受容体への具体的な言及など、そうではないと別段に示さない限りは、グルカゴン受容体には、ネイティブ配列グルカゴン受容体のすべての哺乳動物種、たとえば、ヒト、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、およびウシ科動物が含まれる。1つの例示的なヒトグルカゴン受容体はUniprot受託番号P47871(配列番号1)として見つかる。
用語「拮抗抗体」とは、標的と結合して、その標的の生物学的効果を妨げるまたは低下させる抗体をいう。一部の実施形態では、この用語は、それが結合している標的、たとえばグルカゴン受容体が、生物学的機能を行うことを妨げる抗体を意味することができる。
本明細書中で使用する「抗グルカゴン受容体拮抗抗体」とは、グルカゴン受容体によって媒介されるグルカゴン受容体の生物活性および/または下流事象(複数可)を阻害することができる抗体をいう。抗グルカゴン受容体拮抗抗体には、グルカゴン結合および下流のシグナル伝達、アデニル酸シクラーゼ活性化、細胞内cAMPレベルの増加、グリコーゲン分解の刺激、糖新生の活性化、グリコーゲン生成の阻害、解糖の阻害、ならびに肝臓のグルコース産生など、グルカゴン受容体によって媒介される下流事象を含めたグルカゴン受容体の生物活性を(顕著なものを含めた任意の度合まで)遮断する、拮抗する、抑制する、または低下させる抗体が包含される。本発明の目的のために、用語「抗グルカゴン受容体拮抗抗体」(「拮抗性グルカゴン受容体抗体」、「拮抗性抗グルカゴン受容体抗体」または「グルカゴン受容体拮抗抗体」と互換的に呼ばれる)には、グルカゴン受容体自体、グルカゴン受容体の生物活性(それだけには限定されないが、グルカゴンと結合する、細胞内cAMPを増加させる、グリコーゲン分解を刺激する、糖新生を活性化する、および肝臓グルコースの放出を促進するその能力を含む)、または生物活性の結果が、任意の有意義な度合で実質的に無効化、減少、または中和されている、以前に同定されたすべての用語、表題、ならびに機能的状態および特徴が包含されることを明確に理解されたい。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、グルカゴン受容体と結合して血漿グルコースレベルを低下させる。抗グルカゴン受容体拮抗抗体の例は本明細書中に提供されている。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」とは、本明細書中で互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸の鎖をいう。鎖は直鎖状または分枝状であってよく、また、修飾アミノ酸を含んでいてもよく、かつ/または非アミノ酸によって中断されていてもよい。また、この用語には、天然または介入、たとえば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作もしくは修飾によって修飾されたアミノ酸鎖も包含される。また、この定義には、たとえば、アミノ酸の1つまたは複数の類似体(たとえば非天然アミノ酸などを含む)、および当分野で知られている他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。ポリペプチドは、単鎖または会合した鎖として存在できることが理解されよう。
当分野で知られているように、本明細書中で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドの鎖をいい、DNAおよびRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはその類似体、あるいはDNAまたはRNAポリメラーゼによって鎖内に取り込ませることができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびその類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合は、ヌクレオチド構造への修飾は、鎖が構築される前または後に与え得る。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド構成成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識成分とのコンジュゲーションによってなど、重合後にさらに修飾し得る。他の種の修飾には、たとえば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つまたは複数を類似体で置換すること、ヌクレオチド間修飾、たとえば、無電荷連結(たとえば、ホスホン酸メチル、リン酸トリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)および電荷連結(たとえば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するもの、ペンダント基、たとえばタンパク質(たとえば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシンなど)を含有するもの、インターカレーター(たとえば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート剤(たとえば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾連結(たとえばアルファアノマー核酸など)を有するもの、ならびにポリヌクレオチドの非修飾形態が含まれる。さらに、糖中に通常存在するヒドロキシル基のいずれかを、たとえば、ホスホン酸基、リン酸基によって置き換える、標準の保護基によって保護し得る、もしくは追加のヌクレオチドとのさらなる連結を調製するために活性化させ得る、または固体支持体とコンジュゲーションさせ得る。5’および3’末端OHは、リン酸化するか、またはアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャップ基部分で置換することができる。また、他のヒドロキシルも標準の保護基へと誘導体化し得る。また、ポリヌクレオチドは、たとえば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環状糖類似体、アルファまたはベータアノマー糖、アラビノース、キシロースもしくはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環状類似体、およびメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体を含めた、当分野で一般に知られているリボースまたはデオキシリボース糖の類似体を含有することもできる。1つまたは複数のリン酸ジエステル連結を代替連結基によって置き換え得る。これらの代替連結基には、それだけには限定されないが、リン酸基がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)によって置き換えられている実施形態[式中、それぞれのRまたはR’は、独立して、H、または、エーテル(−O−)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、もしくはアラルジルを含有していてもよい置換もしくは非置換のアルキル(1〜20個のC)]が含まれる。ポリヌクレオチド中のすべての連結が同一である必要はない。前述の記述は、RNAおよびDNAを含めた本明細書中で言及するすべてのポリヌクレオチドに適用される。
本明細書中で使用するように、本明細書中の実施例1に開示されている方法によって測定して平衡解離定数が20nM以下、好ましくは約6nM未満、より好ましくは約1nM未満、最も好ましくは約0.2nM未満である場合、抗体はグルカゴン受容体「と相互作用する」。
エピトープと「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書中で互換的に使用される)抗体とは、当分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または優先的な結合を決定するための方法も当分野で周知である。分子は、別の細胞または物質とよりも、より高い頻度で、より迅速に、より長い期間、および/またはより高い親和性で特定の細胞または物質と反応または会合する場合に、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。抗体は、他の物質と結合するよりも、より高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い期間結合する場合に、標的と「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。たとえば、グルカゴン受容体エピトープと特異的または優先的に結合する抗体は、他のグルカゴン受容体エピトープまたは非グルカゴン受容体エピトープと結合するよりも、より高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い期間、このエピトープと結合する抗体である。また、この定義を読むことによって、たとえば、第1の標的と特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的と特異的または優先的に結合してもしなくてもよいことも理解されたい。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的な結合を必ずしも必要としない(ただし含まれることはできる)。一般に、必ずしもではないが、結合への言及は優先的結合を意味する。
本明細書中で使用する「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(すなわち汚染物質を含まない)、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、さらにより好ましくは少なくとも98%純粋、最も好ましくは少なくとも99%純粋である材料をいう。
「宿主細胞」には、ポリヌクレオチド挿入物を取り込ませるためのベクター(複数可)のレシピエントとなることができる、またはレシピエントであった、個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には単一宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は、天然、偶然、または意図的な突然変異が原因で、元の親細胞と必ずしも完全に(形態学的またはゲノムDNA相補体的に)同一でない場合がある。宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチド(複数可)を用いてin vivoで形質移入した細胞が含まれる。
当分野で知られているように、用語「Fc領域」は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用する。「Fc領域」はネイティブ配列Fc領域または変異体Fc領域であり得る。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常は、位置Cys226またはPro230のアミノ酸残基から、そのカルボキシル末端までのストレッチであると定義される。Fc領域中の残基の付番は、Kabat中のものと同じEUインデックスのものである。Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、メリーランド州Bethesda、1991。免疫グロブリンのFc領域は、一般に2つの定常ドメイン、すなわちCH2およびCH3を含む。当分野で知られているように、Fc領域は二量体または単量体の形態で存在することができる。
当分野で使用する「Fc受容体」および「FcR」とは、抗体のFc領域と結合する受容体を記述する。好ましいFcRはネイティブ配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRはIgG抗体と結合するものであり(ガンマ受容体)、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体が含まれ、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライシングされた形態が含まれる。FcγRII受容体にはFcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)が含まれ、これらは類似のアミノ酸配列を有するが主にその細胞質ドメインが異なる。FcRは、RavetchおよびKinet、1991、Ann.Rev.Immunol.、9:457〜92、Capelら、1994、Immunomethods、4:25〜34、ならびにde Haasら、1995、J.Lab.Clin.Med.、126:330〜41に総説されている。また、「FcR」には新生児受容体FcRnも含まれ、これは母性IgGを胎児に輸送することを司っている(Guyerら、1976、J.Immunol.、117:587およびKimら、1994、J.Immunol.、24:249)。
本明細書中で抗体に関して使用する用語「競合する」とは、第1の抗体とその同族エピトープとの結合の結果が、第2の抗体が存在しない場合の第1の抗体の結合と比較して、第2の抗体の存在下で検出可能に減少するように、第1の抗体またはその抗原結合部分が、第2の抗体またはその抗原結合部分の結合と十分に類似した様式でエピトープと結合することを意味する。その逆、すなわち、第2の抗体とそのエピトープとの結合も第1の抗体の存在下で検出可能に減少することは、可能であるがそうである必要はない。言い換えると、第2の抗体が第1の抗体とその対応するエピトープとの結合を阻害することなく、第1の抗体は、第2の抗体とそのエピトープとの結合を阻害することができる。しかし、同じ、より高い、またはより低い程度にかかわらず、それぞれの抗体が他方の抗体とその同族エピトープまたはリガンドとの結合を検出可能に阻害する場合は、抗体は、そのそれぞれのエピトープの結合について互いに「交差競合する」と言われる。競合および交差競合抗体はどちらも本発明によって包含される。そのような競合または交差競合が起こる機構(たとえば、立体障害、コンホメーション変化、または共通エピトープもしくはその一部分との結合)にかかわらず、当業者は、本明細書中で提供する教示に基づいて、そのような競合および/または交差競合抗体が本明細書中に開示されている方法に包含され、それに有用な場合があることを理解されよう。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合、補体依存性細胞傷害、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、貪食、細胞表面受容体(たとえばB細胞受容体)の下方制御などが含まれる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が結合ドメイン(たとえば抗体可変ドメイン)と一緒になることを必要とし、そのような抗体エフェクター機能を評価するための当分野で知られている様々なアッセイを使用して評価することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然に見つかるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によってネイティブ配列Fc領域とは異なるが、それでもネイティブ配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保持しているアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する、たとえば、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域中に約1個〜約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1個〜約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書中の変異体Fc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を保有する。
本明細書中で使用する「処置」とは、有益または所望の臨床結果を得るための手法である。本発明の目的のために、有益または所望の臨床結果には、それだけには限定されないが、以下のうちの1つまたは複数が含まれる:T1D、T2D、高血糖症、空腹時血糖異常、耐糖能異常、異常脂質血症、肥満症、腎症、網膜症、白内障、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、創傷治癒障害、糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖性高浸透圧性症候群、周術期高血糖症、集中治療室患者における高血糖症、インスリン耐性症候群、および代謝症候群から生じる、血糖値の低下、グルコースクリアランスの改善(耐糖能の改善)、および異常な血漿グルコースレベルの発生率の低下または寛解。
「寛解」とは、抗グルカゴン受容体拮抗抗体を投与しない場合と比較した、1つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。また、「寛解」には、症状の期間の短縮または縮小も含まれる。
本明細書中で使用する「有効用量」または「有効量」の薬物、化合物、または医薬組成物とは、任意の1つまたは複数の有益または所望の結果をもたらすために十分な量である。より具体的な態様では、有効量は、疾患の症状を予防する、緩和させる、もしくは寛解させる、および/または処置している対象の生存を延長する。予防的使用では、有益または所望の結果には、疾患、その合併症、および疾患の発生中に表れる中間病理表現型の生化学的、組織学的および/または行動性の症状を含めた、疾患の危険性の排除もしくは低下、重篤度の軽減、または発生の遅延が含まれる。治療的使用では、有益または所望の結果には、T1D、T2D、高血糖症、高インスリン血症、空腹時血糖異常、耐糖能異常、異常脂質血症、もしくは代謝症候群の1つもしくは複数の症状の低下、疾患を処置するために必要な他の医薬の用量の減少、別の医薬の効果の増強、および/または患者の疾患の進行の遅延などの臨床結果が含まれる。有効用量は、1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的のために、有効用量の薬物、化合物、または医薬組成物とは、予防的または治療処置を直接または間接的に達成するために十分な量である。臨床的な場面で理解されているように、有効用量の薬物、化合物、または医薬組成物は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成してもしなくてもよい。したがって、「有効用量」は、1つまたは複数の治療剤の投与の場面で考慮してよく、1つまたは複数の他の薬剤と併せて望ましい結果が達成され得るまたは達成される場合は、単一の薬剤を有効量で投与することを検討し得る。
「個体」または「対象」とは、哺乳動物、より好ましくはヒトである。また、哺乳動物には、それだけには限定されないが、家畜(たとえば、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリなど)、スポーツ動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、およびラットも含まれる。
本明細書中で使用する「ベクター」とは、1つまたは複数の目的の遺伝子または配列を宿主細胞内に送達し、好ましくは発現させることができる構築体を意味する。ベクターの例には、それだけには限定されないが、ウイルスベクター、裸DNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、陽イオン性縮合剤と会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中にカプセル封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、および産生細胞などの特定の真核細胞が含まれる。
本明細書中で使用する「発現制御配列」とは、核酸の転写を指示する核酸配列を意味する。発現制御配列は、構成的もしくは誘導性プロモーターなどのプロモーター、またはエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写する核酸配列に作動可能に連結されている。
本明細書中で使用する「薬学的に許容できる担体」または「薬学的に許容できる賦形剤」には、活性成分と組み合わせた場合に、成分が生物活性を保持することを許容し、対象の免疫系と反応しない、任意の材料が含まれる。例には、それだけには限定されないが、リン酸緩衝溶液、水、油/水乳濁液などの乳濁液、および様々な種類の湿潤剤等の標準の製薬担体のいずれかが含まれる。エアロゾルまたは非経口投与のために好ましい希釈剤は、リン酸緩衝溶液(PBS)または正常(0.9%)生理食塩水である。そのような担体を含む組成物は、周知の慣用方法によって配合される(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州Easton、1990およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing、2000を参照)。
本明細書中で使用する用語「kon」とは、抗体と抗原との会合の速度定数をいう。具体的には、速度定数(konおよびkoff)ならびに平衡解離定数は、完全長抗体および/またはFab抗体断片(すなわち一価)ならびにグルカゴン受容体を使用して測定する。
本明細書中で使用する用語「koff」とは、抗体/抗原複合体からの抗体の解離の速度定数をいう。
本明細書中で使用する用語「KD」とは、抗体−抗原の相互作用の平衡解離定数をいう。
本明細書中で「約」の値またはパラメータへの言及には、その値またはパラメータ自体に向けられた実施形態が含まれる(かつそれを記述する)。たとえば、「約X」に言及する記述には「X」の記述が含まれる。数値範囲は、範囲を定義する数値を包括する。
本明細書中で「含む」という言葉を用いて実施形態を記述する場合はいつでも、「からなる」および/または「から本質的にある」に関して記述されている、そうでなければ類似の実施形態も提供されることを理解されたい。
マーカッシュ群または代替物の他の群分けに関して本発明の態様または実施形態が記述されている場合、本発明には、列挙されている群全体を総じてのみでなく、群のそれぞれのメンバーの個々および主群のすべての可能な部分群、ならびに主群から群のメンバーのうちの1つまたは複数が欠如しているものも包含される。また、本発明は、特許請求される発明中の群のメンバーのうちの任意の1つまたは複数の明確な排除も想定している。
別段に定義しない限りは、本明細書中で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の技術者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合は、定義を含めて本明細書が支配する。本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、用語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形は、記述した整数または整数群の包含を暗示するが、任意の他の整数または整数群の排除を暗示するものではないと理解されたい。文脈によってそうでないと要求されない限りは、単数形の用語には複数形が含まれ、複数形の用語には単数形が含まれるものとする。用語「たとえば(e.g.)」または「たとえば(for example)」に続く任意の例(複数可)は、網羅的または限定であることを意図しない。
例示的な方法および材料を本明細書中に記述したが、本明細書中に記載のものに類似または均等である方法および材料も、本発明の実施または試験において使用することができる。材料、方法、および例は例示的のみであり、限定することを意図しない。
グルカゴン受容体によって媒介される状態を予防または処置する方法
本明細書中では、治療上有効な量の抗グルカゴン受容体拮抗抗体を個体に投与することを含む、それを必要としている個体において血中グルコースを低下させる方法を提供する。
また、治療上有効な量の抗グルカゴン受容体拮抗抗体を個体に投与することを含む、それを必要としている個体において耐糖能を改善する方法も提供する。
また、それを必要としている個体に、有効量の抗グルカゴン受容体拮抗抗体を投与することを含む、個体においてグルカゴン受容体によって媒介される状態を処置もしくは予防する方法も提供する。一部の実施形態では、状態はT1Dである。他の実施形態では、状態はT2Dである。他の実施形態では、状態は高血糖症である。他の実施形態では、状態は高インスリン血症である。他の実施形態では、状態は空腹時血糖異常である。他の実施形態では、状態は耐糖能異常である。他の実施形態では、状態は異常脂質血症である。他の実施形態では、状態は代謝症候群である。
一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体の治療的投与は、より低い血清グルコースを有利にもたらす。好ましくは、血清グルコースは、投与前よりも少なくとも約10%または15%低い。より好ましくは、血清グルコースは、抗体を投与する前よりも少なくとも約20%低い。さらにより好ましくは、血清グルコースは、抗体を投与する前よりも少なくとも30%低い。有利なことに、血清グルコースは、抗体を投与する前よりも少なくとも40%低い。より有利なことに、血清グルコースは、抗体を投与する前よりも少なくとも50%低い。非常に好ましくは、血清グルコースは、抗体を投与する前よりも少なくとも60%低い。最も好ましくは、血清グルコースは、抗体を投与する前よりも少なくとも70%低い。
T2Dを患っている、またはその危険性にある個体を、抗グルカゴン受容体拮抗抗体で処置することができる。抗グルカゴン受容体拮抗抗体治療に適した個体は、当分野で周知のT2Dの臨床基準および予後的指標を使用して選択される。T2Dの重篤度の評価は、たとえば、絶食血漿グルコース試験、偶発血漿グルコース試験、経口糖負荷試験、食後2時間試験、ランダム血糖、糖化ヘモグロビン(A1C)試験、尿試験、散瞳検査、および足の検査を含めた、当分野で知られている試験に基づいて行い得る。一部の実施形態では、T2Dおよび/またはT2Dの症状の寛解、調節、発生率の低下、または発生もしくは進行の遅延は、絶食血漿グルコース試験によって測定する。
一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体の治療的投与は、たとえば、高血糖症、口渇の増加、空腹感の増加、口渇、頻尿、原因不明の体重減少、疲労、かすみ目、頭痛、意識喪失、網膜症、腎臓損傷、血液循環不良、神経損傷、感染症の増加、潰瘍、嘔気、嘔吐、および下痢を含めた、T2Dの1つまたは複数の症状の発生率の低下および/または寛解を有利にもたらす。
T1Dを患っている、またはその危険性にある個体を、抗グルカゴン受容体拮抗抗体で処置することができる。抗グルカゴン受容体拮抗抗体治療に適した個体は、当分野で周知のT1Dの臨床基準および予後的指標を使用して選択される。T1Dの重篤度の評価は、たとえば、A1C試験、絶食血漿グルコース試験、経口糖負荷試験、ランダム血漿グルコース試験、フルクトサミン試験、ケトンの試験、および尿試験を含めた、当分野で知られている試験に基づいて行い得る。一部の実施形態では、T1Dおよび/またはT1Dの症状の寛解、調節、発生率の低下、または発生もしくは進行の遅延は、絶食血漿グルコース試験によって測定する。
一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体の治療的投与は、たとえば、高血糖症、口渇の増加、空腹感の増加、口渇、頻尿、原因不明の体重減少、疲労、かすみ目、頭痛、意識喪失、網膜症、腎臓損傷、血液循環不良、神経損傷、感染症の増加、潰瘍、嘔気、嘔吐、下痢、刺痛、知覚麻痺、手または足の疼痛、皮膚の乾燥、皮膚の痒み、および治癒が遅い痛みを含めた、T1Dの1つまたは複数の症状の発生率の低下および/または寛解を有利にもたらす。
本明細書中に記載のすべての方法に関して、抗グルカゴン受容体拮抗抗体への言及には、1つまたは複数の追加の薬剤を含む組成物も含まれる。これらの組成物は、当分野で周知である緩衝剤を含めた薬学的に許容できる賦形剤などの適切な賦形剤をさらに含み得る。本発明は、単独で、または他の処置方法と組み合わせて使用することができる。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、任意の適切な経路を介して個体に投与することができる。当業者には、本明細書中に記載の例は限定することを意図せず、利用可能な技法を例示するものであることが明らかであろう。したがって、一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、静脈内投与などの既知の方法に従って、たとえば、ボーラスとしてもしくは一定期間にわたる持続注入によって、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、経皮、皮下、関節内、舌下、滑液内、ガス注入を介して、くも膜下腔内、経口、吸入、または外用の経路によって、個体に投与する。投与は、全身性、たとえば静脈内投与であるか、または局所的であり得る。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含めた、液体配合物用の市販の噴霧器が投与に有用である。液体配合物は直接噴霧することができ、凍結乾燥粉末は再構成後に噴霧することができる。あるいは、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、炭化フッ素配合物および定量吸入器を使用してエアロゾル化するか、または凍結乾燥および粉砕した粉末として吸入することができる。
一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、部位特異的または標的化された局所送達技法を介して投与する。部位特異的または標的化された局所送達技法の例には、抗グルカゴン受容体拮抗抗体の様々な埋め込み型デポー源、または輸液カテーテル、留置カテーテル、もしくは針カテーテルなどの局所送達カテーテル、人工血管移植片、外膜ラップ、シャントおよびステントもしくは他の埋め込み型装置、部位特異的担体、直接注入、あるいは直接塗布が含まれる。たとえば、PCT公開WO00/53211号および米国特許第5,981,568号を参照されたい。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体の様々な配合物を投与に使用し得る。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体はニートで投与し得る。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体および薬学的に許容できる賦形剤が様々な配合物中にあり得る。薬学的に許容できる賦形剤は当分野で知られており、薬理学的に有効な物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。たとえば、賦形剤は、形状もしくは稠度を与える、または希釈剤として役割を果たすことができる。適切な賦形剤には、それだけには限定されないが、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、容積モル浸透圧濃度を変化させるための塩、カプセル封入剤、緩衝剤、および皮膚浸透促進剤が含まれる。非経口および非経口でない薬物送達のための賦形剤および配合物は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing、2000に記載されている。
一部の実施形態では、これらの薬剤は、注入による投与(たとえば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)のために配合されている。したがって、これらの薬剤を生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液などの薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせることができる。具体的な投薬レジメン、すなわち、用量、タイミングおよび反復は、具体的な個体およびその個体の病歴に依存する。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、注入(たとえば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)によるものを含めた任意の適切な方法を使用して投与することができる。また、抗グルカゴン受容体抗体は、本明細書中に記載のように外用または吸入を介して投与することもできる。一般に、抗グルカゴン受容体抗体の投与には、初期候補用量は約2mg/kgであり得る。本発明の目的のために、典型的な1日用量は、上述した要因に応じて、約3μg/kgから30μg/kgから300μg/kgから3mg/kgまで、30mg/kgまで、100mg/kgまでまたはそれより多くのいずれかの範囲であり得る。たとえば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、および約25mg/kgの用量を使用し得る。数日間またはそれより長くにわたる繰り返し投与には、状態に応じて、症状の所望の抑制が起こるまで、またはたとえばグルカゴン関連障害に関連する症状を低下させるために十分な治療的レベルが達成されるまで、処置を持続させる。この治療の進行は、慣用技術およびアッセイによって容易にモニタリングされる。投薬レジメン(使用する抗グルカゴン受容体拮抗抗体を含む)は時間とともに変化することができる。
本発明の目的のために、抗グルカゴン受容体拮抗抗体の適切な用量は、用いる抗グルカゴン受容体拮抗抗体(またはその組成物)、処置する症状の種類および重篤度、薬剤を予防的または治療的目的のどちらで投与するか、以前の治療、患者の病歴および薬剤に対する応答、患者の血糖値、患者のグルコースの合成およびクリアランス速度、患者の投与した薬剤のクリアランス速度、ならびに担当医の裁量に依存する。典型的には、臨床家は、所望の結果をもたらす用量に達するまで抗グルカゴン受容体拮抗抗体を投与する。用量および/または頻度は処置の間に変化する場合がある。一般に、半減期などの経験的検討事項が用量の決定に貢献する。たとえば、ヒト化抗体または完全ヒト抗体などのヒト免疫系に適合性のある抗体を使用して、抗体の半減期を延長し、抗体が宿主の免疫系によって攻撃されることを予防し得る。投与の頻度は治療の間に決定および調節してよく、必ずしもではないが、一般には症状の処置および/または抑制および/または寛解および/または遅延に基づく。あるいは、抗グルカゴン受容体拮抗抗体の持続的な連続放出配合物が適切であり得る。持続放出をもたらすための様々な配合物および装置が当分野で知られている。
一実施形態では、拮抗抗体の用量は、拮抗抗体の1回または複数回の投与を与えられた個体において経験的に決定し得る。個体に漸増用量の抗グルカゴン受容体拮抗抗体を与える。有効性を評価するために、疾患の指標を追跡することができる。
本発明の方法に従った抗グルカゴン受容体拮抗抗体の投与は、たとえば、レシピエントの生理的条件、投与の目的が治療的であるか予防的であるか、および当業者に知られている他の要因に応じて、連続的または断続的であり得る。抗グルカゴン受容体拮抗抗体の投与は、事前に選択した期間にわたって本質的に連続的であり得るか、または一連の間隔を空けた投薬であり得る。
一部の実施形態では、複数の抗グルカゴン受容体拮抗抗体が存在し得る。少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つの異なる拮抗抗体、またはそれより多くの拮抗抗体が存在することができる。一般に、これらの抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、互いに有害な影響を与えない相補的活性を有し得る。また、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、他の抗体および/または他の治療と併せて使用することもできる。また、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、薬剤の有効性を増強および/または補完する役割を果たす他の薬剤と併せて使用することもできる。
一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、1つまたは複数の追加の治療剤の投与と組み合わせて投与し得る。これらには、それだけには限定されないが、mTOR阻害剤、メグリチニド(たとえば、レパグリニド、ナテグリニドなど)、スルホニル尿素(たとえば、グリピジド、グリメピリド、グリブリドなど)、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害剤(たとえば、サキサグリプチン、シタグリプチン、リナグリプチンなど)、ビグアニド(たとえば、メトホルミンなど)、チアゾリジンジオン(たとえば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾンなど)、アルファグルコシダーゼ阻害剤(たとえば、アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど)、アミリン模倣体(たとえばsymlin)、および内分泌物模倣体(たとえば、EXENATIDE(登録商標)、リラグルチドなど)の投与が含まれる。追加の処置には、SYMLIN(登録商標)(プラムリンチド)などの注射可能な処置が含まれる。
一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、たとえば、それだけには限定されないが、ラパマイシン、シロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、および/またはATP競合的mTORキナーゼ阻害剤(TKI)などの1つまたは複数のmTOR阻害剤と併せて使用する。一部の実施形態では、TKIは、Torin1、Torin2、PP242、PP30、KU0063794、WAY−600、WYE−687、WYE−354、OSI−027、AZD−8055、KU−BMCL−200908069−1、Wyeth−BMCL−200908069−2、XL−388、INK−128、および/またはAZD−2014である。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、メトホルミン、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素、および/または二糖阻害剤と併せて使用する。あるいは、治療は、数分間から数週間の範囲の間隔によって他の薬剤処置の前または後であり得る。他の薬剤および/またはタンパク質もしくはポリヌクレオチドを別々に投与する実施形態では、一般に、薬剤および本発明の組成物が対象に対して依然として有利に組み合わさった効果を発揮することができるように、それぞれの送達の間に著しい期間があかないことを確実にするであろう。そのような事例では、どちらの様式も互いに約12〜24時間以内、より好ましくは互いに約6〜12時間以内に投与し得ることが企図される。しかし、一部の状況では、それぞれの投与に間に数日間(2、3、4、5、6、または7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8)が経過してしまう場合は、投与の期間を顕著に延長することが望ましい場合がある。
一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体組成物は、非スルホニル尿素分泌促進物質、インスリン、インスリン類似体、エキセンディン−4ポリペプチド、ベータ3アドレナリン受容体作用剤、PPAR作用剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、スタチンおよびスタチン含有物の組合せ、コレステロール取り込みおよび/または胆汁酸再吸収の阻害剤、LDL−コレステロール拮抗剤、コレステリルエステル転送タンパク質拮抗剤、エンドセリン受容体拮抗剤、成長ホルモン拮抗剤、インスリン増感剤、アミリン模倣体または作用剤、カンナビノイド受容体拮抗剤、グルカゴン様ペプチド−1作用剤、メラノコルチン、ならびにメラニン凝集ホルモン受容体作用剤からなる群から選択される第2の薬剤を含む。
本発明に従って使用する抗グルカゴン受容体拮抗抗体の治療用配合物は、所望の度合の純度を有する抗体を任意選択の薬学的に許容できる担体、賦形剤、または安定化剤(Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing、2000)と混合することによって、凍結乾燥した配合物または水溶液の形態で貯蔵用に調製する。許容できる担体、賦形剤、または安定化剤は、用いる用量および濃度においてレシピエントに対して無毒性であり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝剤、塩化ナトリウムなどの塩、アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤、保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レソルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾール等)、低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物、EDTAなどのキレート化剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖、ナトリウムなどの塩形成対イオン、金属錯体(たとえばZn−タンパク質複合体)、ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含み得る。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体を含有するリポソームは、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:3688(1985)、Hwangら、Proc.Natl Acad.Sci.USA、77:4030(1980)、ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されているものなどの、当分野で知られている方法によって調製する。循環時間が増強されたリポソームは、米国特許第5,013,556号中に開示されている。特に有用なリポソームは、逆相蒸発方法によって、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いて作製することができる。リポソームは、規定の孔径のフィルターを通して押し出されて、所望の直径を有するリポソームが得られる。
また、活性成分は、たとえば、コアセルベーション技法または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、たとえばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド状薬物送達系(たとえば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)またはマクロ乳濁液にて捕捉させてもよい。そのような技法はRemington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000)に開示されている。
持続放出調製物を調製し得る。持続放出調製物の適切な例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、マトリックスは、造形品、たとえばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(たとえば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸と7 エチル−L−グルタミン酸とのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、酢酸スクロースイソブチレート、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
in vivo投与に使用する配合物は無菌的でなければならない。これは、たとえば滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。治療用抗グルカゴン受容体拮抗抗体組成物は、一般に、無菌的なアクセス口を備えた容器、たとえば、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを備えた静脈内溶液のバッグまたはバイアル内に入れる。
本発明による組成物は、経口、非経口もしくは直腸投与、または吸入もしくはガス注入による投与のために、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁液、または坐薬などの単位剤形であり得る。
錠剤などの固体組成物の調製には、主活性成分を、製薬担体、たとえば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガムなどの慣用の錠剤化成分、および他の製薬希釈剤、たとえば水と混合して、本発明の化合物、または無毒性の薬学的に許容できるその塩の均質な混合物を含有している固体プレフォーミュレーション組成物を形成する。これらのプレフォーミュレーション組成物を均質と言及する場合は、組成物を錠剤、丸薬、およびカプセルなどの等しく有効な単位剤形へと容易に細分割し得るように、活性成分が組成物全体にわたって均等に分散されていることを意味する。その後、この固体プレフォーミュレーション組成物を、約0.1〜約500mgの本発明の活性成分を含有する上述の種類の単位剤形へと細分割する。新規組成物の錠剤または丸薬は、長期作用の利点をもたらす剤形を提供するために、コーティングまたは他の様式で配合することができる。たとえば、錠剤または丸薬は、内部用量および外部用量の構成成分を含むことができ、後者が前者を覆うエンベロープの形態である。2つの構成成分は、胃内での分解に耐え、内部構成成分が無傷で十二指腸内まで通る、またはその放出が遅延されることを可能にする役割を果たす腸溶層によって隔てることができる。様々な材料をそのような腸溶層またはコーティングに使用することができ、そのような材料には、いくつかのポリマー酸ならびにポリマー酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料との混合物が含まれる。
適切な界面活性剤には、特に、ポリオキシエチレンソルビタン(たとえばTween(商標)20、40、60、80、または85)および他のソルビタン(たとえばSpan(商標)20、40、60、80、または85)などの非イオン性薬剤が含まれる。界面活性剤を有する組成物は0.05〜5%の界面活性剤を好都合に含み、0.1〜2.5%であり得る。必要に応じて、たとえばマンニトールまたは他の薬学的に許容できるビヒクルなどの他の成分を加え得ることが理解されよう。
適切な乳濁液は、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)、およびLipiphysan(商標)などの市販の脂肪乳濁液を使用して調製し得る。活性成分は、事前に混合した乳濁組成物に溶かし得るか、または、油(たとえば、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、もしくはアーモンド油)中に溶かし、リン脂質(たとえば、卵リン脂質、ダイズリン脂質、もしくはダイズレシチン)および水と混合した際に乳濁液を形成し得る。乳濁液の等張性を調節するために他の成分、たとえばグリセロールまたはグルコースを加え得ることを理解されたい。適切な乳濁液は、典型的には20%まで、たとえば5〜20%の油を含有する。脂肪乳濁液は、0.1〜1.0μm、特に0.1〜0.5μmの脂肪液滴を含み、5.5〜8.0の範囲のpHを有することができる。
乳濁組成物は、抗グルカゴン受容体拮抗抗体をIntralipid(商標)またはその構成成分(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロール、および水)と混合することによって調製されるものであり得る。
吸入またはガス注入のための組成物には、薬学的に許容できる水性溶媒もしくは有機溶媒またはその混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体または固体組成物は、上述の適切な薬学的に許容できる賦形剤を含有し得る。一部の実施形態では、組成物は、局所または全身性の効果のために経口または経鼻の呼吸器経路によって投与する。好ましくは無菌的な薬学的に許容できる溶媒中の組成物は、ガスを使用することによって噴霧化し得る。噴霧化した溶液は、噴霧化装置から直接呼吸し得る、または噴霧化装置をフェイスマスク、テント、もしくは間欠的陽圧呼吸機に取り付け得る。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、好ましくは経口または経鼻で、配合物を適切な様式で送達する装置から投与し得る。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体
本発明の方法は、グルカゴン受容体によって媒介される下流事象を含めたグルカゴン受容体の生物活性を遮断する、抑制する、または低下させる(顕著に低下させることを含む)抗グルカゴン受容体拮抗抗体を使用する。抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、任意の以下のうちの1つまたは複数の特徴を示すべきである:(a)グルカゴン受容体との結合および下流のシグナル伝達事象の遮断、(b)グルカゴン受容体とのグルカゴン結合の遮断、(c)アデニル酸シクラーゼ活性化の遮断、(d)細胞内cAMPの増加の遮断、(e)グリコーゲン分解の遮断、(f)糖新生の遮断、ならびに(g)肝臓のグルコース産生の遮断。
本発明の目的のために、抗体は、好ましくは、グルカゴン受容体のシグナル伝達機能を阻害する様式で、グルカゴン受容体と反応する。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は霊長類のグルカゴン受容体を特異的に認識する。
本発明において有用な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質(たとえばドメイン抗体)、ヒト化抗体、ならびに抗体のグリコシル化変異体、抗体のアミノ酸配列変異体、および共有結合的に修飾された抗体を含めた、所要の特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変立体配置を包含することができる。抗体は、ネズミ、ラット、ヒト、または任意の他の起源(キメラもしくはヒト化抗体を含む)であり得る。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体はモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗体はヒトまたはヒト化抗体である。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、当分野で知られている任意の方法によって作製し得る。ヒトおよびマウス抗体を生成するための一般的技法は当分野で知られているおよび/または本明細書中に記載されている。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、グルカゴン受容体の生物活性の低下、寛解、または中和が検出および/または測定される、当分野で知られている方法を使用して同定または特徴づけることができる。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、候補薬剤をグルカゴン受容体と共にインキュベートし、結合および/または付随するグルカゴン受容体の生物活性の低下もしくは中和をモニタリングすることによって同定する。結合アッセイは、たとえば、精製したグルカゴン受容体ポリペプチド(複数可)、またはグルカゴン受容体ポリペプチド(複数可)を天然に発現する細胞(たとえば様々な株)、もしくは発現するように形質移入した細胞を用いて行い得る。一実施形態では、結合アッセイは競合的結合アッセイであり、グルカゴン受容体結合について既知の抗グルカゴン受容体拮抗抗体と競合する候補抗体の能力を評価する。アッセイは、ELISA様式を含めた様々な様式で行い得る。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、候補抗体をグルカゴン受容体と共にインキュベートし、結合をモニタリングすることによって同定する。
初期同定後、候補抗グルカゴン受容体拮抗抗体の活性は、標的の生物活性を試験することで知られているバイオアッセイによってさらに確認および洗練することができる。一部の実施形態では、in vitro細胞または細胞毒性アッセイを使用して候補抗グルカゴン受容体拮抗抗体をさらに特徴づける。たとえば、候補抗体を、グルカゴン受容体を発現するCHO細胞と共にインキュベーションし、グルカゴンを加え、細胞内cAMPレベルをモニタリングする。あるいは、バイオアッセイを使用して候補を直接スクリーニングすることができる。
本発明の抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、以下のうちの1つまたは複数の特徴を示す:(a)グルカゴン受容体との結合および下流のシグナル伝達事象の遮断、(b)グルカゴン受容体とのグルカゴン結合の遮断、(c)アデニル酸シクラーゼ活性化の遮断、(d)細胞内cAMPの増加の遮断、(e)グリコーゲン分解の遮断、(f)糖新生の遮断、ならびに(g)肝臓のグルコース産生の遮断。好ましくは、抗グルカゴン受容体抗体はこれらの特徴のうちの2つ以上を有する。より好ましくは、抗体は特徴のうちの3つ以上を有する。より好ましくは、抗体は特徴のうちの4つ以上を有する。より好ましくは、抗体は特徴のうちの5つ以上を有する。より好ましくは、抗体は特徴のうちの6つ以上を有する。最も好ましくは、抗体は7つの特徴をすべて有する。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体は、当分野で周知の方法を使用して特徴づけ得る。たとえば、1つの方法は、それが結合するエピトープを同定すること、すなわち「エピトープマッピング」である。たとえばHarlowおよびLane、Using Antibodies,a Laboratory Manualの第11章、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州Cold Spring Harbor、1999に記載されているように、抗体−抗原複合体の結晶構造の分析、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ペプチドに基づくアッセイを含めて、タンパク質上のエピトープの位置のマッピングおよび特徴づけを行うために数多くの方法が当分野で知られている。さらなる例では、エピトープマッピングを使用して、抗グルカゴン受容体拮抗抗体が結合する配列を決定することができる。エピトープマッピングは、様々な供給者、たとえば、Pepscan Systems(Edelhertweg 15、8219 PH Lelystad、オランダ)から販売されている。エピトープは、直線状エピトープ、すなわち単一のアミノ酸ストレッチ中に含有されるもの、または必ずしも単一のストレッチ中に含有されていない場合があるアミノ酸の三次元の相互作用によって形成されるコンホメーションエピトープであり得る。様々な長さのペプチド(たとえば少なくとも4〜6個のアミノ酸の長さ)を単離または合成して(たとえば組換えによる)、抗グルカゴン受容体拮抗抗体との結合アッセイに使用することができる。別の例では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体が結合するエピトープは、グルカゴン受容体配列に由来する重複ペプチドを使用し、抗グルカゴン受容体拮抗抗体による結合を決定することによる系統的なスクリーニングにおいて決定することができる。遺伝子断片発現アッセイによれば、グルカゴン受容体をコードしているオープンリーディングフレームをランダムにまたは特定の遺伝子構築物によって断片化し、発現されたグルカゴン受容体断片の、試験する抗体との反応性を決定する。遺伝子断片は、たとえば、PCRによって生成し、その後、in vitroで、放射性アミノ酸の存在下で転写してタンパク質へと翻訳し得る。その後、抗体と放射標識したグルカゴン受容体断片との結合を、免疫沈降およびゲル電気泳動によって決定する。また、特定のエピトープは、ファージ粒子(ファージライブラリ)または酵母(酵母ディスプレイ)の表面上に提示されるランダムペプチド配列の大きなライブラリを使用して同定することもできる。あるいは、簡単な結合アッセイにおいて、重複ペプチド断片の定義されたライブラリを、試験抗体との結合について試験することができる。さらなる例では、抗原の突然変異誘発、ドメインスワッピング実験、およびアラニンスキャニング突然変異誘発を行って、エピトープ結合に要求される、十分および/または必要な残基を同定することができる。たとえば、アラニンスキャニング突然変異誘発実験は、グルカゴン受容体ポリペプチドの様々な残基がアラニンで置き換えられている突然変異グルカゴン受容体を使用して行うことができる。抗体と突然変異グルカゴン受容体との結合を評価することによって、抗体結合に対する特定のグルカゴン受容体残基の重要性を評価することができる。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体を特徴づけるために使用できるさらに別の方法は、同じ抗原と結合することが知られている他の抗体、すなわちグルカゴン受容体の様々な断片を用いた競合アッセイを使用して、抗グルカゴン受容体拮抗抗体が他の抗体と同じエピトープと結合するかどうかを決定することである。競合アッセイは当業者に周知である。
グルカゴン受容体に対する抗グルカゴン受容体拮抗抗体の結合親和性(KD)は約0.001〜約200nMであり得る。一部の実施形態では、結合親和性は、約200nM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約60pM、約50pM、約20pM、約15pM、約10pM、約5pM、約2pM、または約1pMのいずれかである。一部の実施形態では、結合親和性は、約250nM、約200nM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約50pM、約20pM、約10pM、約5pM、または約2pMのいずれか未満である。
したがって、本発明は、以下のいずれか、あるいは、表1Aもしくは1B中に見つかる部分的な軽鎖配列および部分的な重鎖配列を有する抗体、またはその変異体を含む組成物(医薬組成物を含む)を提供する。表1Aおよび1B中、下線を引いた配列はKabatによるCDR配列であり、太字の配列はChothiaによるCDR配列である。
また、本発明は、グルカゴン受容体に対する抗体のCDR部分も提供する。CDR領域の決定は十分に当分野の技術範囲内にある。一部の実施形態では、CDRは、KabatおよびChothia CDRの組合せであり得ることが理解されよう(「組合せCDR」または「拡張CDR」とも呼ばれる)。本明細書中でCDRの「コンホメーション定義」と呼ぶ別の手法では、CDRの位置は、抗原結合に対してエンタルピー貢献を行う残基として同定し得る。たとえばMakabeら、2008、Journal of Biological Chemistry、283:1156〜1166を参照されたい。一般に、「コンホメーションCDR」には、抗体が特定の抗原と結合するために正しいループ構造を維持するために束縛されている、Kabat CDRおよびバーニアゾーン中の残基位置が含まれる。コンホメーションCDRの決定は十分に当分野の技術範囲内にある。一部の実施形態では、CDRはKabat CDRである。他の実施形態では、CDRはChothia CDRである。他の実施形態では、CDRは、拡張、AbM、コンホメーション、または接触CDRである。言い換えれば、複数のCDRを有する実施形態では、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、コンホメーション、接触CDRのいずれか、またはその組合せであり得る。
一部の実施形態では、抗体は、表1Aまたは1B中に示す重鎖可変領域のうちの任意の1つの3つのCDRを含む。一部の実施形態では、抗体は、表1Aまたは1B中に示す軽鎖可変領域のうちの任意の1つの3つのCDRを含む。一部の実施形態では、抗体は、表1Aまたは1B中に示す重鎖可変領域のうちの任意の1つの3つのCDR、および表1Aまたは1B中に示す軽鎖可変領域のうちの任意の1つの3つのCDRを含む。
表2Aおよび2Bは、本明細書中で提供する抗グルカゴン受容体拮抗抗体のCDR配列の例を提供する。
一部の実施形態では、抗体は、表2Bからの3つの軽鎖CDRおよび3つの重鎖CDRを含む。表2Bに示す変異体からのコンセンサス配列は以下の通りである:軽鎖可変領域CDR1:X1ASQNX2RX3 AX4X5[式中、X1はKまたはRであり、X2はVまたはIであり、X3はTまたはSであり、X4はVまたはLであり、X5はVまたはNである(配列番号90)]。軽鎖可変領域CDR2:LAX1NRH X2[式中、X1はSまたはTであり、X2はSまたはGである(配列番号91)]。軽鎖可変領域CDR3:X1QHWX2YPFX3[式中、X1はLまたはQであり、X2はTまたはSであり、X3はTまたはSである(配列番号92)]。重鎖可変領域CDR2:WINX1EX2DEX3X4YAX5X6FX7G[式中、X1はTまたはSであり、X2はTまたはSであり、X3はTまたはSであり、X4はSまたはTであり、X5はDまたはQであり、X6はDまたはNであり、X7はKまたはQである(配列番号93)]。重鎖可変領域CDR3:SRGWX1YGPPDX2[式中、X1はTまたはSであり、X2はYまたはVである(配列番号94)]。
一部の実施形態では、抗体は、C末端リシンを有するもしくは有さない完全長重鎖、および/または抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb5の完全長軽鎖を含む。mAb5完全長重鎖のアミノ酸配列(配列番号87)を以下に示す。
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDFSVHWVRQAPGQGLEWMGWINTETDETSYADDFKGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCVKSRYWSYGPPDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号87)
C末端リシンを有さないmAb5完全長重鎖のアミノ酸配列(配列番号88)を以下に示す。
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDFSVHWVRQAPGQGLEWMGWINTETDETSYADDFKGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCVKSRYWSYGPPDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号88)
mAb5完全長軽鎖のアミノ酸配列(配列番号89)を以下に示す。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQNIRTAVVWYQQKPGKAPKLLIYLASNRHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCLQHWTYPFTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号89)
また、本発明は、抗グルカゴン受容体拮抗抗体を生成、選択、および作製する方法も提供する。本発明の抗体は、当分野で知られている手順によって作製することができる。一部の実施形態では、抗体は、当分野で知られている任意の方法を使用して、組換えによって作製し、発現させ得る。
一部の実施形態では、抗体は、ファージディスプレイ技術によって調製および選択し得る。たとえば、米国特許第5,565,332号、第5,580,717号、第5,733,743号、および第6,265,150号、ならびにWinterら、Annu.Rev.Immunol.、12:433〜455、1994を参照されたい。あるいは、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature、348:552〜553、1990)を使用して、ヒト抗体および抗体断片をin vitroで免疫化していないドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから生成することができる。この技法によれば、抗体Vドメイン遺伝子をM13またはfdなどの糸状バクテリオファージの主または副コートタンパク質遺伝子内にインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面上に機能的抗体断片として提示させる。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するため、抗体の機能的特性に基づく選択は、これらの特性を示す抗体をコードしている遺伝子の選択ももたらす。したがって、ファージはB細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは様々な様式で行うことができ、総説には、たとえばJohnson,Kevin S.およびChiswell,David J.、Current Opinion in Structural Biology、3:564〜571、1993を参照されたい。Several sources of V−gene segments can be used for phage display、Clacksonら、Nature、352:624〜628、1991は、抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを、免疫化したマウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さなランダムコンビナトリアルライブラリから単離した。ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、抗原の多様なアレイ(自己抗原を含む)に対する抗体を、Markら、J.Mol.Biol.、222:581〜597、1991またはGriffithら、EMBO J.、12:725〜734、1993に記載の技術に本質的に従って単離することができる。天然の免疫応答では、抗体遺伝子は高い率で突然変異を蓄積する(体細胞超変異)。導入された変化の一部は高い親和性を与え、続く抗原チャレンジ中に高親和性表面免疫グロブリンを示すB細胞が優先的に複製および分化される。この天然のプロセスは、「鎖シャフリング」として知られる技法を用いることによって模倣することができる。(Marksら、Bio/Technol.、10:779〜783、1992)。この方法では、ファージディスプレイによって得られる「一次」ヒト抗体の親和性は、続いて、重鎖および軽鎖のV領域遺伝子を、免疫化していないドナーから得られたVドメイン遺伝子の天然に存在する変異体のレパートリー(レパートリー)で置き換えることによって改善することができる。この技法により、pM〜nMの範囲の親和性を有する抗体および抗体断片の生成が可能となる。非常に大きなファージ抗体レパートリー(「究極のライブラリ」としても知られる)を作製するための戦略が、Waterhouseら、Nucl.Acids Res.、21:2265〜2266、1993によって記載されている。また、遺伝子シャフリングを使用してげっ歯類抗体からヒト抗体を誘導することもでき、ヒト抗体は開始げっ歯類抗体と同様の親和性および特異性を有する。「エピトープインプリント」としても呼ばれるこの方法によれば、ファージディスプレイ技法によって得られたげっ歯類抗体の重鎖または軽鎖のVドメイン遺伝子をヒトVドメイン遺伝子のレパートリーと置き換えて、げっ歯類−ヒトのキメラを創製する。抗原に対する選択は、機能的抗原結合部位を回復することができるヒト可変領域の単離をもたらす、すなわち、エピトープがパートナーの選択を支配(インプリント)する。残りのげっ歯類Vドメインを置き換えるためにこのプロセスを繰り返した場合に、ヒト抗体が得られる(PCT公開WO93/06213号を参照)。従来のCDR移植によるげっ歯類抗体のヒト化とは異なり、この技法は、げっ歯類起源のフレームワークまたはCDR残基を有さない、完全にヒトである抗体を提供する。
一部の実施形態では、抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して作製し得る。ヒトを含めた任意の哺乳動物対象またはそれに由来する抗体産生細胞を操作して、ヒトを含めた哺乳動物のハイブリドーマ細胞系を生成するための基礎として役割を果たすことができることが企図される。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは、一般に、本明細書中にさらに記述されているように、抗体の刺激および生成における確立された慣用技術を順守する。典型的には、宿主動物は、本明細書中に記載のものを含めた一定量の免疫原を用いて、腹腔内、筋肉内、経口、皮下、足底内、および/または皮内で接種する。
ハイブリドーマは、リンパ球および不死化骨髄腫細胞から、Kohler,B.およびMilstein,C.、1975、Nature、256:495〜497の一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技法、またはBuck,D.W.ら、In Vitro、18:377〜381、1982によって改変されたものを使用して調製することができる。それだけには限定されないが、X63−Ag8.653およびSalk Institute、Cell Distribution Center、米国カリフォルニア州San Diegoからのものを含めた、利用可能な骨髄腫系をハイブリダイゼーションに使用し得る。一般に、この技法は、ポリエチレングリコールなどの融合誘導剤を使用して、または当業者に周知の電気的手段によって、骨髄腫細胞をリンパ球細胞と融合させることを含む。融合後、細胞を融合培地から分離し、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培地などの選択的成長培地中で成長させてハイブリダイズしていない親細胞を排除する。血清を補充したまたは含まない、本明細書中に記載の培地のいずれかを使用して、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養することができる。細胞融合技法の別の代替法として、EBV不死化B細胞を使用して本発明のグルカゴン受容体モノクローナル抗体を生成し得る。所望する場合は、ハイブリドーマまたは他の不死化B細胞を拡大およびサブクローニングし、上清を、慣用の免疫アッセイ手順(たとえば、ラジオイムノアッセイ、酵素免疫アッセイ、または蛍光免疫アッセイ)によって抗免疫原活性についてアッセイする。
抗体の供給源として使用し得るハイブリドーマには、グルカゴン受容体に特異的なモノクローナル抗体、またはその一部分を産生する親ハイブリドーマのすべての誘導体、子孫細胞が包含される。
そのような抗体を産生するハイブリドーマは、in vitroまたはin vivoで、既知の手順を使用して成長させ得る。モノクローナル抗体は、培養培地または体液から、所望する場合は硫安塩析、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過などの慣例の免疫グロブリン精製手順によって、単離し得る。望ましくない活性が存在する場合は、たとえば、調製物を固相に付着させた免疫原から構成される吸着剤上に流し、所望の抗体を免疫原から外して溶出または放出させることによって除去することができる。免疫化する種において免疫原性であるタンパク質、たとえば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシ科動物サイログロブリン、またはダイズトリプシン阻害剤とコンジュゲーションさせたグルカゴン受容体ポリペプチド、または標的アミノ酸配列を含有する断片を用いた、二官能性剤または誘導体化剤、たとえば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介したコンジュゲーション)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介する)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl2、またはR1N=C=NR[式中、RおよびR1は異なるアルキル基である]を使用した、宿主動物の免疫化により、抗体集団(たとえばモノクローナル抗体)を得ることができる。
所望する場合は、目的の抗グルカゴン受容体拮抗抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)を配列決定し、その後、発現または増殖のためにポリヌクレオチド配列をベクター内にクローニングし得る。目的の抗体をコードしている配列は宿主細胞中のベクター内に維持されていてよく、その後、宿主細胞を拡大し、将来使用するために凍結することができる。細胞培養物中での組換えモノクローナル抗体の産生は、当分野で知られている手段による、B細胞からの抗体遺伝子のクローニングによって実施することができる。たとえば、Tillerら、2008、J.Immunol.Methods、329、112、米国特許第7,314,622号を参照されたい。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列を、抗体を「ヒト化する」ため、抗体の親和性もしくは他の特徴を改善するための遺伝子操作に使用し得る。また、抗体を、たとえば、イヌ、ネコ、霊長類、ウマ、およびウシにおいて使用するためにカスタマイズしてもよい。
一部の実施形態では、完全にヒトの抗体は、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作されている市販のマウスを使用することによって得られ得る。また、より望ましい(たとえば完全にヒトの抗体)またはより頑強な免疫応答を生じるように設計されているトランスジェニック動物も、ヒト化またはヒト抗体の作製に使用し得る。そのような技術の例は、Abgenix,Inc.(カリフォルニア州Fremont)からのXenomouse(商標)ならびにMedarex,Inc.(ニュージャージー州Princeton)からのHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC Mouse(商標)である。
抗体は、最初に抗体および抗体産生細胞を宿主動物から単離し、遺伝子配列を得て、遺伝子配列を使用して抗体を宿主細胞(たとえばCHO細胞)中で組換え発現させることによって組換え作製し得る。用い得る別の方法は、抗体配列を植物(たとえばタバコ)またはトランスジェニック乳中に発現させることである。植物または乳で抗体を組換え発現させる方法は開示されている。たとえば、Peetersら、Vaccine、19:2756、2001、Lonberg,N.およびD.Huszar、Int.Rev.Immunol、13:65、1995、ならびにPollockら、J Immunol Methods、231:147、1999を参照されたい。抗体の誘導体、たとえば、ドメイン、単鎖などを作製する方法は当分野で知られている。
また、免疫アッセイおよび蛍光活性化細胞分取(FACS)などのフローサイトメトリー分別技法も、グルカゴン受容体に特異的な抗体を単離するために用いることができる。
モノクローナル抗体をコードしているDNAは、慣用の手順を使用して(たとえば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子と特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離および配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として役割を果たす。単離した後、DNAを発現ベクター(PCT公開WO87/04462号に開示されている発現ベクターなど)内に入れてよく、その後、これを、大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの、そうでなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞内に形質移入させて、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成を得る。たとえばPCT公開WO87/04462号を参照されたい。また、DNAは、たとえば、相同的なネズミ配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列で置換することによって、Morrisonら、Proc.Nat.Acad.Sci.、81:6851、1984、または、免疫グロブリンのコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全体または一部を共有結合させることによっても改変し得る。このようにして、本明細書中に記載のグルカゴン受容体モノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体を調製し得る。
抗体断片は、抗体のタンパク質分解もしくは他の分解によって、上述のような組換え方法(すなわち、単一または融合ポリペプチド)によって、または化学合成によって生成することができる。抗体のポリペプチド、特に約50個までのアミノ酸のより短いポリペプチドは、化学合成によって便利に作製される。化学合成方法は当分野で知られており、商業的に利用可能である。たとえば、抗体を、固相方法を用いた自動ポリペプチド合成機によって生成することができる。米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、および第6,331,415号も参照されたい。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、抗体mAb1、mAb2、mAb3、mAb4、mAb5、mAb6、LM1、LM2、LM3、LM4、LM6、LM7、LM8、LM9、LM11、HM4、HM6、HM7、HM8、HM11、またはHM12の重鎖および/または軽鎖可変領域をコードしている配列を含む。目的の抗体をコードしている配列を宿主細胞内のベクター中に維持してよく、その後、宿主細胞を拡大して将来使用するために凍結することができる。ベクター(発現ベクターを含む)および宿主細胞は、本明細書中にさらに記載されている。
本発明には親和性成熟された実施形態が含まれる。たとえば、親和性成熟された抗体は、当分野で知られている手順によって生成することができる(Marksら、1992、Bio/Technology、10:779〜783、Barbasら、1994、Proc Nat.Acad.Sci,USA、91:3809〜3813、Schierら、1995、Gene、169:147〜155、Yeltonら、1995、J.Immunol.、155:1994〜2004、Jacksonら、1995、J.Immunol.、154(7):3310〜9、Hawkinsら、1992、J.Mol.Biol.、226:889〜896、およびPCT公開WO2004/058184号)。
以下の方法を、抗体の親和性の調節およびCDRの特徴づけに使用し得る。抗体のCDRを特徴づけるおよび/または抗体などのポリペプチドの結合親和性を変更する(たとえば改善する)1つの方法は、「ライブラリスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。一般に、ライブラリスキャニング突然変異誘発は以下のように機能する。当分野で認識されている方法を使用して、CDR中の1つまたは複数のアミノ酸位置を2個以上(3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個など)のアミノ酸で置き換える。これにより小さなクローンライブラリが生じ(一部の実施形態では、分析したそれぞれのアミノ酸位置について1つ)、そのそれぞれが2つ以上のメンバーの複雑度を有する(それぞれの位置で2個以上のアミノ酸を置換した場合)。一般に、ライブラリにはネイティブ(未置換の)アミノ酸を含むクローンも含まれる。それぞれのライブラリからの少数のクローン、たとえば約20〜80個のクローン(ライブラリの複雑度に応じる)を、標的ポリペプチド(または他の結合標的)に対する結合親和性についてスクリーニングし、結合が増加した、同じ、減少した、または結合なしの候補を同定する。結合親和性を決定する方法は当分野で周知である。結合親和性は、たとえば、約2倍以上の結合親和性の差を検出するBiacore(商標)表面プラズモン共鳴分析、Kinexa(登録商標)バイオセンサー、シンチレーション近接アッセイ、ELISA、ORIGEN(登録商標)免疫アッセイ、蛍光消光、蛍光移動、および/または酵母ディスプレイを使用して決定し得る。また、結合親和性は、適切なバイオアッセイを使用してもスクリーニングし得る。Biacore(商標)は、開始抗体が既に比較的高い親和性、たとえば約10nM以下のKDで結合する場合に特に有用である。
一部の実施形態では、当分野で認識されている突然変異誘発方法(その一部は本明細書中に記載されている)を使用して、CDR中のそれぞれのアミノ酸位置(一部の実施形態では1個ずつ)を20個すべての天然アミノ酸で置き換える。これにより小さなクローンライブラリが生じ(一部の実施形態では、分析したそれぞれのアミノ酸位置について1つ)、そのそれぞれが20個のメンバーの複雑度を有する(それぞれの位置で20個すべてのアミノ酸を置換した場合)。
一部の実施形態では、スクリーニングするライブラリは、同じCDRまたは2つ以上のCDR中であり得る2つ以上の位置に置換を含む。したがって、ライブラリは、1つのCDR中の2つ以上の位置に置換を含み得る。ライブラリは、2つ以上のCDR中の2つ以上の位置に置換を含み得る。ライブラリは、2、3、4、5、または6つのCDR中に見つかる3つ、4つ、5つ、またはそれより多くの位置に置換を含み得る。置換は、冗長性の低いコドンを使用して調製し得る。たとえばBalintら、1993、Gene、137(1):109〜18の表2を参照されたい。
CDRは重鎖可変領域(VH)CDR3および/または軽鎖可変領域(VL)CDR3であり得る。CDRは、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3のうちの1つまたは複数であり得る。CDRは、Kabat CDR、Chothia CDR、拡張CDR、AbM CDR、接触CDR、またはコンホメーションCDRであり得る。
改善された結合を有する候補を配列決定してもよく、それによりCDR置換突然変異体が同定され、これにより改善された親和性(「改善された」置換とも呼ばれる)がもたらされる。結合する候補も配列決定してよく、それにより、結合を保持するCDR置換が同定される。
複数回のスクリーニングを実施し得る。たとえば、改善された結合を有する候補(それぞれが、1つまたは複数のCDRの1つまたは複数の位置にアミノ酸置換を含む)は、それぞれの改善されたCDR位置(すなわち、置換突然変異体が改善された結合を示した、CDR中のアミノ酸位置)に少なくとも元のアミノ酸および置換されたアミノ酸を含有する第2のライブラリの設計にも有用である。このライブラリの調製およびスクリーニングまたは選択は、以下にさらに記載されている。
また、改善された結合、同じ結合、減少した結合、または結合なしのクローンの頻度が、抗体−抗原の複合体の安定性におけるそれぞれのアミノ酸位置の重要性に関する情報も提供することに限って言えば、ライブラリスキャニング突然変異誘発は、CDRを特徴づけるための手段も提供する。たとえば、CDRの位置が、20個のアミノ酸すべてに変えた場合に結合を保持する場合、その位置は抗原結合に必要である可能性が低い位置として同定される。逆に、CDRの位置が数パーセントの置換でのみ結合を保持する場合、その位置はCDR機能に重要な位置として同定される。したがって、ライブラリスキャニング突然変異誘発方法は、数多くのアミノ酸(20個すべてのアミノ酸を含む)に変えることができるCDR中の位置、および変えることができないまたは数個のアミノ酸にしか変えることができないCDR中の位置に関する情報を生成する。
改善された親和性を有する候補を第2のライブラリ中で組み合わせてよく、これには、改善されたアミノ酸、その位置での元のアミノ酸が含まれ、また、所望されるライブラリの複雑度、または所望のスクリーニングもしくは選択方法を使用して許容されるライブラリの複雑度に応じて、その位置での追加の置換がさらに含まれ得る。さらに、所望する場合は、隣接するアミノ酸位置を少なくとも2個以上のアミノ酸へとランダム化することができる。隣接アミノ酸のランダム化は、突然変異体CDR中に追加のコンホメーションの柔軟性を許容する場合があり、立ち代ってこれは、より多数の改善突然変異の導入を容易にするまたは促進し得る。また、ライブラリは、1回目のスクリーニングにおいて改善された親和性を示さなかった位置での置換も含み得る。
Kinexa(商標)バイオセンサー分析を使用したスクリーニング、ならびにファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、およびリボソームディスプレイを含めた当分野で知られている任意の選択方法を使用した選択を含めた、当分野で知られている任意の方法を使用して、第2のライブラリを、改善および/または変更された結合親和性を有するライブラリメンバーについてスクリーニングまたは選択する。
本発明の抗グルカゴン受容体抗体を発現させるために、上述の方法のいずれかを使用して、VHおよびVL領域をコードしているDNA断片を最初に得ることができる。また、当業者に知られている標準の方法を使用して、様々な改変、たとえば、突然変異、欠失、および/または付加をDNA配列内に導入することもできる。たとえば、PCR産物が所望の突然変異または部位特異的突然変異誘発を含有するように突然変異させたヌクレオチドをPCRプライマー内に取り込ませるPCR媒介性突然変異誘発などの標準の方法を使用して、突然変異誘発を実施することができる。
本発明には、表1に示す可変領域への改変および表2Aまたは2Bに示すCDRへの改変が包含される。たとえば、本発明には、その特性に顕著な影響を与えない機能的に等価な可変領域およびCDRを含む抗体、ならびに増強もしくは減少した活性および/または親和性を有する変異体が含まれる。たとえば、アミノ酸配列を突然変異させて、グルカゴン受容体に対して所望の結合親和性を有する抗体が得られ得る。ポリペプチドの改変は当分野において日常的な実施であり、本明細書中に詳述する必要はない。改変ポリペプチドの例には、アミノ酸残基の保存的置換を有するポリペプチド、機能的活性に顕著に有害な変化を与えないアミノ酸またはポリペプチドのそのリガンドに対する親和性を成熟(増強)させるアミノ酸の1つまたは複数の欠失または付加、あるいは化学的類似体の使用が含まれる。
アミノ酸配列の挿入には、1個の残基から数百個またはそれ以上の残基を含有するポリペプチドの範囲の長さのアミノおよび/またはカルボキシル末端の融合、ならびに1個または複数のアミノ酸残基配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体またはエピトープタグと融合された抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体には、抗体のNまたはC末端と血液循環中の抗体の半減期を増加させる酵素またはポリペプチドとの融合が含まれる。
置換変異体は、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その代わりに別の残基が挿入されている。置換突然変異誘発において最も興味深い部位には超可変領域が含まれるが、フレームワークの変更も企図される。保存的置換は、表3中に「保存的置換」の見出しの下示されている。そのような置換が生物活性の変化をもたらす場合は、表3中に「例示的な置換」と命名する、またはアミノ酸クラスを参照して以下にさらに記載するより実質的な変化を導入し、生成物をスクリーニングしてもよい。
抗体の生物学的特性の実質的な改変は、(a)たとえばβシートもしくはヘリックスコンホメーションとしての、置換の領域におけるポリペプチド主鎖の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩を維持することに対するその効果が顕著に異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群分けされる。
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)電荷を有さない極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性(負電荷):Asp、Glu、
(4)塩基性(正電荷):Lys、Arg、
(5)鎖の方向性に影響を与える残基:Gly、Pro、および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスで交換することによって行われる。
たとえば、行い得る1つの種類の置換は、抗体中の化学的に反応性があり得る1つまたは複数のシステインを、それだけには限定されないがアラニンまたはセリンなどの別の残基に変えることである。たとえば、カノニカルでないシステインの置換が存在することができる。置換は、可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中、または抗体の定常領域中で行うことができる。一部の実施形態では、システインはカノニカルである。また、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋結合を防止するために、抗体の正しいコンホメーションの維持に関与していない任意のシステイン残基も、一般にセリンで置換し得る。逆に、特に抗体がFv断片などの抗体断片である場合に、その安定性を改善するためにシステイン結合(複数可)を抗体に加え得る。
また、たとえば抗体の結合特性を変更するために、抗体をたとえば重および/または軽鎖の可変ドメイン中で改変してもよい。可変領域中の変化は、結合親和性および/または特異性を変更する場合がある。一部の実施形態では、1〜5個以下の保存的アミノ酸置換をCDRドメイン内で行う。他の実施形態では、1〜3個以下の保存的アミノ酸置換をCDRドメイン内で行う。たとえば、グルカゴン受容体に対する抗体のKDを増加もしくは減少させるため、koffを増加もしくは減少させるため、または抗体の結合特異性を変更するために、突然変異をCDR領域のうちの1つまたは複数中で行い得る。部位特異的突然変異誘発の技法は当分野で周知である。たとえば、SambrookらおよびAusubelら、上記を参照されたい。
また、抗グルカゴン受容体抗体の半減期を増加させるために、改変または突然変異をフレームワーク領域または定常領域中に行ってもよい。たとえばPCT公開WO00/09560号を参照されたい。また、フレームワーク領域または定常領域中の突然変異は、抗体の免疫原性を変更するため、別の分子との共有もしくは非共有結合の部位を提供するため、または補体結合、FcR結合および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害などの特性を変更するために行うこともできる。一部の実施形態では、1〜5個以下の保存的アミノ酸置換をフレームワーク領域または定常領域中で行う。他の実施形態では、1〜3個以下の保存的アミノ酸置換をフレームワーク領域または定常領域中で行う。本発明によれば、単一の抗体が、可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域のうちの任意の1つもしくは複数中、または定常領域中に突然変異を有し得る。
また、修飾体には、グリコシル化されたポリペプチドおよびグリコシル化されていないポリペプチド、ならびにたとえば様々な糖でのグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化などの他の翻訳後修飾を有するポリペプチドも含まれる。抗体は、その定常領域中の保存的位置でグリコシル化されている(JefferisおよびLund、1997、Chem.Immunol.、65:111〜128、WrightおよびMorrison、1997、TibTECH、15:26〜32)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boydら、1996、Mol.Immunol.、32:1311〜1318、WittweおよびHoward、1990、Biochem.、29:4175〜4180)ならびに糖タンパク質部分間の分子内相互作用に影響を与え、これは、糖タンパク質のコンホメーションおよび提示された三次元表面に影響を与える場合がある(JefferisおよびLund、上記、WyssおよびWagner、1996、Current Opin.Biotech.、7:409〜416)。また、オリゴ糖は、特定の認識構造に基づいて所定の糖タンパク質を特定の分子に標的化させる役割を果たし得る。また、抗体のグリコシル化は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)に影響を与えることも報告されている。具体的には、分岐GlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)のテトラサイクリン調節性発現を用いてCHO細胞によって産生させた抗体は、改善されたADCC活性を有することが報告されている(Umanaら、1999、Nature Biotech.、17:176〜180)。
抗体のグリコシル化は、典型的にはN結合型またはO結合型のどちらかである。N結合型とは、炭水化物部分がアスパラギン残基の側鎖に付着することをいう。トリペプチド配列はアスパラギン−X−セリン、アスパラギン−X−スレオニン、およびアスパラギン−X−システインであり、式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸であり、炭水化物部分がアスパラギン側鎖に酵素的付着するための認識配列である。したがって、これらのトリペプチド配列のいずれかがポリペプチド中に存在することで、潜在的なグリコシル化部位が作り出される。O結合型グリコシル化とは、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの糖のうちの1つがヒドロキシアミノ酸に付着することをいい、最も一般的にはセリンまたはスレオニンであるが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンも使用し得る。
グリコシル化部位を抗体に付加することは、上述のトリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含有するようにアミノ酸配列を変更することによって好都合に達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。また、変更は、1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基を元の抗体の配列に付加すること、またはそれによって置換することによっても行い得る(O結合型グリコシル化部位の場合)。
また、抗体のグリコシル化パターンは、根底にあるヌクレオチド配列を変更せずに変更してもよい。グリコシル化は、抗体を発現させるために使用する宿主細胞に大きく依存する。組換え糖タンパク質、たとえば抗体を潜在的な治療剤として発現させるために使用する細胞種がネイティブ細胞であることは稀なため、抗体のグリコシル化パターンの変動は予測できる(たとえばHseら、1997、J.Biol.Chem.、272:9062〜9070を参照)。
宿主細胞の選択肢に加えて、抗体の組換え産生中のグリコシル化に影響を与える要因には、成長モード、培地配合、培養密度、酸素付加、pH、精製スキームなどが含まれる。特定の宿主生物において達成されるグリコシル化パターンを変更するために、オリゴ糖産生に関与している特定の酵素の導入または過剰発現を含めた様々な方法が提案されている(米国特許第5,047,335号、第5,510,261号、および第5,278,299号)。グリコシル化、または特定の種類のグリコシル化は、たとえばエンドグリコシダーゼH(Endo H)、N−グリコシダーゼF、エンドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼF2、エンドグリコシダーゼF3を使用して、糖タンパク質から酵素的に除去することができる。さらに、組換え宿主細胞は、特定の種類の多糖のプロセッシングに欠陥があるように遺伝子操作することができる。これらおよび同様の技法は当分野で周知である。
他の改変方法には、それだけには限定されないが、酵素的手段、酸化的置換、およびキレート化を含めた、当分野で知られているカップリング技法の使用が含まれる。改変は、たとえば、免疫アッセイのために標識を付着させるために使用することができる。改変ポリペプチドは当分野における確立された手順を使用して作製され、また、その一部が以下および実施例中に記述されている当分野で知られている標準のアッセイを使用してスクリーニングすることができる。
一部の実施形態では、抗体は、ヒトFcガンマ受容体に対して増加もしくは減少した結合親和性を有する改変定常領域を含み、免疫学的に不活性もしくは部分的に不活性であり、たとえば、補体媒介性溶解を始動させない、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)を刺激しない、もしくはミクログリアを活性化しない、または、補体媒介性溶解の指導、ADCCの刺激、またはミクログリアの活性化のうちの任意の1つまたは複数において活性が低下している(未改変の抗体と比較して)。定常領域の様々な改変を使用して、エフェクター機能の最適なレベルおよび/または組合せを達成し得る。たとえば、Morganら、Immunology、86:319〜324、1995、Lundら、J.Immunology、157:4963〜4969、1996、Idusogieら、J.Immunology、164:4178〜4184、2000、Taoら、J.Immunology、143:2595〜2601、1989、およびJefferisら、Immunological Reviews、163:59〜76、1998を参照されたい。一部の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.、1999、29:2613〜2624、PCT出願PCT/GB99/01441号、および/またはUK特許出願第9809951.8号に記載のように改変する。
一部の実施形態では、Fcガンマ受容体と補体および免疫系との相互作用を回避するために、抗体定常領域を改変することができる。そのような抗体を調製するための技法はWO99/58572号に記載されている。たとえば、臨床治験および処置において使用する抗体がヒトである場合は、免疫応答を回避するために、定常領域をヒト定常領域により似せるために操作し得る。たとえば、米国特許第5,997,867号および第5,866,692号を参照されたい。
一部の実施形態では、FcはヒトIgG2またはヒトIgG4であり得る。Fcは、A330P331からS330S331の突然変異を含有するヒトIgG2であり得(IgG2Δa)、アミノ酸残基は野生型IgG2配列を参照して付番されている。Eur.J.Immunol.、1999、29:2613〜2624。一部の実施形態では、抗体はE233F234L235からP233V234A235の突然変異を含むIgG4(IgG4Δc)の定常領域を含み(Armourら、2003、Molecular Immunology、40、585〜593)、付番は野生型IgG4を参照している。さらに別の実施形態では、Fcは、G236の欠失を有するヒトIgG4 E233F234L235からP233V234A235である(IgG4Δb)。別の実施形態では、Fcは、ヒンジ安定化突然変異であるS228からP228を含有する任意のヒトIgG4 Fcである(IgG4、IgG4Δb、またはIgG4Δc)(Aalberseら、2002、Immunology、105、9〜19)。
さらに他の実施形態では、定常領域はN結合型グリコシル化について非グリコシル化である。一部の実施形態では、定常領域は、定常領域中のオリゴ糖付着残基および/またはN−グリコシル化認識配列の一部である隣接残基を突然変異させることによって、N結合型グリコシル化について非グリコシル化である。たとえば、N−グリコシル化部位であるN297を、たとえばA、Q、K、またはHへと突然変異させ得る。Taoら、J.Immunology、143:2595〜2601、1989、およびJefferisら、Immunological Reviews、163:59〜76、1998を参照されたい。一部の実施形態では、定常領域はN結合型グリコシル化について非グリコシル化である。定常領域は、酵素的に(酵素PNGaseによって炭水化物を除去するなど)、またはグリコシル化欠損宿主細胞中で発現させることによって、N結合型グリコシル化について非グリコシル化であってよい。
他の抗体の改変には、PCT公開WO99/58572号に記載のように改変された抗体が含まれる。これらの抗体は、標的分子に向けられた結合ドメインに加えて、ヒト免疫グロブリン重鎖の定常領域の全体または一部に実質的に相同的なアミノ酸配列を有するエフェクタードメインを含む。これらの抗体は、顕著な補体依存性溶解、または標的の細胞媒介性破壊を始動させずに標的分子と結合することができる。一部の実施形態では、エフェクタードメインはFcRnおよび/またはFcγRIIbと特異的に結合することができる。これらは、典型的には2つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖CH2ドメインに由来するキメラドメインに基づく。この様式で改変された抗体は、慣用の抗体治療に対する炎症性および他の有害な反応を回避して、慢性抗体治療で使用するために特に適している。
一部の実施形態では、抗体は、未改変の抗体と比較してFcRnに対する増加した結合親和性および/または増加した血清半減期を有する改変定常領域を含む。
「生殖系列化」として知られるプロセスでは、VHおよびVL配列中の特定のアミノ酸を、生殖系列VHおよびVL配列中に天然に見つかるものに一致するように突然変異させることができる。具体的には、抗体を投与した際の免疫原性の危険性を低下させるために、VHおよびVL配列中のフレームワーク領域のアミノ酸配列を、生殖系列配列と一致するように突然変異させることができる。ヒトVHおよびVL遺伝子の生殖系列DNA配列は当分野で知られている(たとえば「Vbase」ヒト生殖系列配列データベースを参照。また、Kabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健社会福祉省、NIH出版第91−3242号、Tomlinsonら、1992、J.Mol.Biol.、227:776〜798、およびCoxら、1994、Eur.J.Immunol.、24:827〜836を参照)。
行い得る別の種類のアミノ酸置換は、抗体中の潜在的なタンパク質分解部位を除去することである。そのような部位は、抗体の可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中または定常領域中に存在し得る。システイン残基の置換およびタンパク質分解部位の除去は、抗体産物における不均一性の危険性を減少させ、したがってその均一性を増加させ得る。別の種類のアミノ酸置換は、潜在的な脱アミド化部位を形成するアスパラギン−グリシンの対を排除することであり、これは、一方または両方の残基を変更することによって行う。別の例では、本発明の抗グルカゴン受容体抗体の重鎖のC末端リシンを切断することができる。本発明の様々な実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体の重鎖および軽鎖には、シグナル配列が任意選択で含まれていてもよい。
本発明のVHおよびVLセグメントをコードしているDNA断片が得られた後、これらのDNA断片を、たとえば可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子、またはscFv遺伝子へと変換するために、標準の組換えDNA技法によってさらに操作することができる。これらの操作では、VLまたはVHをコードしているDNA断片は、抗体定常領域または柔軟なリンカーなどの別のタンパク質をコードしている別のDNA断片と作動可能に連結している。この文脈において使用する用語「作動可能に連結している」とは、2つのDNA断片が、2つのDNA断片によってコードされているアミノ酸配列がインフレームに保たれるように結合されていることを意味することを意図する。
VH領域をコードしている単離したDNAは、VHをコードしているDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、およびCH3)をコードしている別のDNA分子に作動可能に連結させることによって、完全長重鎖遺伝子へと変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で知られており(たとえばKabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健社会福祉省、NIH出版第91−3242号を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は標準のPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、またはIgD定常領域であり得るが、最も好ましくはIgG1またはIgG2定常領域である。IgG定常領域配列は、Gm(1)、Gm(2)、Gm(3)、およびGm(17)などの、様々な個体の間で生じることが知られている様々な対立遺伝子またはアロタイプのいずれかであり得る。これらのアロタイプは、IgG1定常領域中の天然に存在するアミノ酸置換を表す。Fab断片重鎖遺伝子には、VHをコードしているDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードしている別のDNA分子に作動可能に連結させることができる。CH1重鎖定常領域は、重鎖遺伝子のいずれかに由来し得る。
VL領域をコードしている単離したDNAは、VLをコードしているDNAを、軽鎖定常領域CLをコードしている別のDNA分子に作動可能に連結させることによって、完全長軽鎖遺伝子(およびFab軽鎖遺伝子)へと変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で知られており(たとえばKabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健社会福祉省、NIH出版第91−3242号を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は標準のPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域はカッパまたはラムダ定常領域であり得る。カッパ定常領域は、Inv(1)、Inv(2)、およびInv(3)などの、様々な個体の間で生じることが知られている様々な対立遺伝子のいずれかであり得る。ラムダ定常領域は、3つのラムダ遺伝子のいずれかに由来し得る。
scFv遺伝子を創製するためには、VHおよびVL配列を、VLおよびVH領域が柔軟なリンカーによって結合された連続した単鎖タンパク質として発現させることができるように、VHおよびVLをコードしているDNA断片を、柔軟なリンカーをコードしている別の断片に作動可能に連結させる(たとえば、Birdら、1988、Science、242:423〜426、Hustonら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:5879〜5883、McCaffertyら、1990、Nature、348:552〜554を参照されたい)。連結ペプチドの一例は(GGGGS)3(配列番号18)であり、これは一方の可変領域のカルボキシ末端と他方の可変領域のアミノ末端との間の約3.5nmを架橋する。他の配列のリンカーが設計かつ使用されている(Birdら、1988、上記)。立ち代って、リンカーは薬物の付着または固体支持体への付着などの追加の機能について改変することができる。単鎖抗体は、単一のVHおよびVLのみを使用した場合は一価であり、2つのVHおよびVLを使用した場合は二価であり、または、2つより多くのVHおよびVLを使用した場合は多価であり得る。グルカゴン受容体および別の分子と特異的に結合する二重特異性または多価抗体を作製し得る。単鎖変異体は、組換えまたは合成のいずれかによって生成することができる。scFvの合成生成には、自動合成機を使用することができる。scFvの組換え産生には、scFvをコードしているポリヌクレオチドを含有する適切なプラスミドを、酵母、植物、昆虫、もしくは哺乳動物細胞などの真核、または大腸菌(E.coli)などの原核のいずれかの適切な宿主細胞内に導入することができる。目的のscFvをコードしているポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーションなどの日常的な操作によって作製することができる。生じるscFvは、当分野で知られている標準のタンパク質精製技法を使用して単離することができる。
また、ダイアボディなどの単鎖抗体の他の形態も包含される。ダイアボディとは二価の二重特異性抗体であり、VHおよびVLが単一のポリペプチド鎖上に発現されるが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を許容するには短すぎるリンカーを使用することで、ドメインが別の鎖の相補的ドメインと対合することを強制して2つの抗原結合部位を創製する(たとえば、Holliger,P.ら、1993、Proc.Natl.Acad Sci.USA、90:6444〜6448、Poljak,R.J.ら、1994、Structure、2:1121〜1123を参照)。
また、2つの共有結合された抗体を含むヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲内にある。そのような抗体は、免疫系細胞を望ましくない細胞に標的化するため(米国特許第4,676,980号)、ならびにHIV感染症を処置するために使用されている(PCT公開WO91/00360号およびWO92/200373号、EP03089号)。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋結合方法を使用して作製し得る。適切な架橋結合剤およびその技法は当分野で周知であり、米国特許第4,676,980号に記載されている。
また、キメラまたはハイブリッド抗体も、架橋結合剤を含むものを含めた、合成タンパク質化学の既知の方法を使用してin vitroで調製し得る。たとえば、免疫毒素を、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することによって構築し得る。この目的のための適切な試薬の例には、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートが含まれる。
また、本発明には、本明細書中に開示した抗体からの1つまたは複数の断片または領域を含む融合タンパク質も包含される。一部の実施形態では、別のポリペプチドと連結した本発明の抗グルカゴン受容体抗体の全体または一部分を含む融合抗体を作製し得る。別の実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体の可変ドメインのみがポリペプチドと連結している。別の実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体のVHドメインは第1のポリペプチドと連結している一方で、抗グルカゴン受容体抗体のVLドメインは、VHおよびVLドメインが互いに相互作用して抗原結合部位を形成することができるような様式で第1のポリペプチドと会合する第2のポリペプチドと連結している。別の好ましい実施形態では、VHドメインは、VHおよびVLドメインが互いに相互作用できるように、リンカーによってVLドメインから隔てられている。その後、VH−リンカー−VL抗体を目的のポリペプチドと連結させる。さらに、2つ(以上)の単鎖抗体が互いに連結されている融合抗体を創製することができる。これは、単一のポリペプチド鎖上に二価もしくは多価の抗体を創製したい場合、または二重特異性抗体を創製したい場合に有用である。
一部の実施形態では、配列番号2、4、6、8、10、もしくは42に示す可変軽鎖領域の少なくとも10個の連続したアミノ酸、および/または配列番号3、5、7、9、11、もしくは43に示す可変重鎖領域の少なくとも10個のアミノ酸を含む融合ポリペプチドを提供する。他の実施形態では、可変軽鎖領域の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、もしくは少なくとも約30個の連続したアミノ酸、および/または可変重鎖領域の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、もしくは少なくとも約30個の連続したアミノ酸を含む融合ポリペプチドを提供する。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号2と3、4と5、6と7、8と9、10と11、および42と43から選択される配列対のいずれかに示される、軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、融合ポリペプチドは1つまたは複数のCDRを含む。さらに他の実施形態では、融合ポリペプチドはVH CDR3および/またはVL CDR3を含む。本発明の目的のために、融合タンパク質は、1つまたは複数の抗体と、ネイティブ分子中ではそれが付着していない別のアミノ酸配列、たとえば異種配列または別の領域からの相同配列とを含有する。例示的な異種配列には、それだけには限定されないが、FLAGタグまたは6Hisタグなどの「タグ」が含まれる。タグは当分野で周知である。
融合ポリペプチドは、当分野で知られている方法、たとえば合成または組換えによって創製することができる。典型的には、本発明の融合タンパク質は、本明細書中に記載の組換え方法を使用して、それらをコードしているポリヌクレオチドを調製および発現させることによって作製されるが、たとえば化学合成を含めた当分野で知られている他の手段によっても調製し得る。
他の実施形態では、核酸分子をコードしている抗グルカゴン受容体抗体を使用して、他の改変抗体を調製し得る。たとえば、標準の分子生物学的技法を使用し、明細書の教示に従って、「カッパボディ」(Illら、1997、Protein Eng.、10:949〜57)、「ミニボディ」(Martinら、1994、EMBO J.、13:5303〜9)、「ダイアボディ」(Holligerら、上記)、または「ヤヌシン」(Trauneckerら、1991、EMBO J.、10:3655〜3659およびTrauneckerら、1992、Int.J.Cancer(補遺)、7:51〜52)を調製し得る。
たとえば、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である二重特異性抗体を、本明細書中に開示されている抗体を使用して調製することができる。二重特異性抗体を作製する方法は当分野で知られている(たとえばSureshら、1986、Methods in Enzymology、121:210を参照)。たとえば、二重特異性抗体または抗原結合断片は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結によって生成することができる。たとえば、SongsivilaiおよびLachmann、1990、Clin.Exp.Immunol.、79:315〜321、Kostelnyら、1992、J.Immunol.、148:1547〜1553を参照されたい。従来は、二重特異性抗体の組換え産生は、2本の重鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖の対の同時発現に基づいていた(MillsteinおよびCuello、1983、Nature、305、537〜539)。さらに、二重特異性抗体を「ダイアボディ」または「ヤヌシン」として形成し得る。一部の実施形態では、二重特異性抗体はグルカゴン受容体の2つの異なるエピトープと結合する。一部の実施形態では、上述の改変抗体は、本明細書中で提供する抗グルカゴン受容体抗体からの可変ドメインまたはCDR領域のうちの1つまたは複数を使用して調製する。
二重特異性抗体を作製するための一手法によれば、所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常領域配列と融合させる。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常領域とのものである。軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)が融合体のうちの少なくとも1つ中に存在することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体、および所望する場合は免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを別々の発現ベクター内に挿入し、適切な宿主生物内に同時形質移入させる。これにより、構築に使用する3つのポリペプチド鎖の不均等な比が最適な収率をもたらす実施形態において、3つのポリペプチド断片の共通の割合の調節において大幅な柔軟性がもたらされる。しかし、等しい比の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現がより高い収率をもたらす場合、または比は特に重要でない場合は、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクター中に挿入することが可能である。
一手法では、二重特異性抗体は、一方のアーム中の第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、他方のアーム中にハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖の対(第2の結合特異性を提供する)とから構成されている。免疫グロブリン軽鎖を二重特異性分子の半分のみにしか有さないこの不斉構造が、所望の二重特異性化合物を望ましくない免疫グロブリン鎖の組合せから分離することを容易にする。この手法はPCT公開WO94/04690号に記載されている。
また、本発明は、固体支持体へのカップリングを促進する薬剤(ビオチンまたはアビジンなど)とコンジュゲーション(たとえば連結)させた抗体を含む組成物も提供する。平易にするために、一般に、これらの方法は本明細書中に記載のグルカゴン受容体結合および/または拮抗剤の実施形態のいずれかに適用されるという理解で抗体に言及する。一般に、コンジュゲーションとは、これらの構成成分を本明細書中に記載のように連結させることをいう。連結(一般に、少なくとも投与のためにこれらの構成成分を近位の会合に固定すること)は、多数の方法で達成することができる。たとえば、薬剤および抗体がそれぞれ互いと反応することができる置換基を有する場合は、それらの間の直接反応が可能である。たとえば、一方上にあるアミノまたはスルフヒドリル基などの求核基が、他方上にある酸無水物もしくは酸ハロゲン化物などのカルボニル含有基、または良好な脱離基(たとえばハロゲン化物)を含有するアルキル基と反応することができる場合がある。
抗体は、多数の様々な担体と結合させることができる。担体は活性および/または不活性であり得る。周知の担体の例には、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然セルロースおよび変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびにマグネタイトが含まれる。担体の性質は、本発明の目的のために可溶性または不溶性のどちらかであり得る。当業者は、抗体を結合するための他の適切な担体を知っている、または日常的な実験を使用してそれを確認することができるであろう。一部の実施形態では、担体は、肺、心臓、または心臓弁を標的とする部分を含む。
本発明の抗体またはポリペプチドは、蛍光分子、放射性分子、または当分野で知られている任意の他の標識などの標識剤と連結させ得る。(直接または間接的に)シグナルを一般にもたらす標識は、当分野で知られている。
ポリヌクレオチド、ベクター、および宿主細胞
また、本発明は、たとえばエフェクター機能が損なわれた抗体などの、本明細書中に記載の抗体断片および改変抗体を含めた抗体のいずれかをコードしているポリヌクレオチドも提供する。別の態様では、本発明は、本明細書中に記載のポリヌクレオチドのいずれかを作製する方法を提供する。ポリヌクレオチドは、当分野で知られている手順によって作製および発現させることができる。したがって、本発明は、以下のいずれかをコードしているポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドを含む、医薬組成物を含めた組成物を提供する:抗体mAb1、mAb2、mAb3、mAb4、mAb5、mAb6、LM1、LM2、LM3、LM4、LM6、LM7、LM8、LM9、LM11、HM4、HM6、HM7、HM8、HM11、およびHM12、またはグルカゴン受容体を拮抗する能力を有する任意の断片もしくはその一部。
また、任意のそのような配列に相補的なポリヌクレオチドも、本発明によって包含される。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であってよく、DNA(ゲノム、cDNA、もしくは合成)またはRNA分子であってよい。RNA分子には、イントロンを含有し、DNA分子と一対一の様式で対応するHnRNA分子、およびイントロンを含有しないmRNA分子が含まれる。追加のコードまたは非コード配列が本発明のポリヌクレオチド内に存在していてもよいが、そうである必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材料と連結していてもよいが、そうである必要はない。
ポリヌクレオチドは、ネイティブ配列(すなわち、抗体もしくはその断片をコードしている内在性配列)を含み得るか、またはそのような配列の変異体を含み得る。ポリヌクレオチド変異体は、コードされているポリペプチドの免疫反応性がネイティブの免疫反応性分子と比較して消失しないように、1つまたは複数の置換、付加、欠失および/または挿入を含有する。コードされているポリペプチドの免疫反応性に対する効果は、一般に本明細書中に記載のように評価し得る。変異体は、好ましくは、ネイティブ抗体またはその断片をコードしているポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%同一性、より好ましくは、少なくとも約80%同一性、さらにより好ましくは、少なくとも約90%同一性、最も好ましくは、少なくとも約95%同一性を示す。
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載のように最大一致についてアラインメントした際に同じである場合に「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、配列を比較ウィンドウにわたって比較し、配列類似の局所領域を同定および比較することによって行う。本明細書中で使用する「比較ウィンドウ」とは、少なくとも約20個の連続した位置、通常は30〜約75個、または40〜約50個のセグメントをいい、配列と同じ数の連続した位置の参照配列とを最適にアラインメントした後にそれらを比較し得る。
比較のために配列の最適アラインメントは、生物情報学ソフトウェアスイート(DNASTAR(登録商標),Inc.、ウィスコンシン州Madison)のLazergene(登録商標)中のMegAlign(登録商標)プログラムを使用して、初期設定パラメータを使用して実施することができる。このプログラムは、以下の参考文献中に記載のいくつかのアラインメントスキームを統合している:Dayhoff,M.O.(編)、Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、ワシントンDC、第5巻、補遺3、ページ345〜358のDayhoff,M.O.、1978、A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships、Hein J.、1990、Unified Approach to Alignment and Phylogenes、ページ626〜645、Methods in Enzymology、第183巻、Academic Press,Inc.、カリフォルニア州San Diego、Higgins,D.G.およびSharp,P.M.、1989、CABIOS、5:151〜153、Myers,E.W.およびMuller W.、1988、CABIOS、4:11〜17、Robinson,E.D.、1971、Comb.Theor.、11:105、Santou,N.、Nes,M.、1987、Mol.Biol.Evol.、4:406〜425、Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.、1973、Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、カリフォルニア州San Francisco、Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:726〜730。
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、2つの最適にアラインメントされた配列を、少なくとも20個の位置の比較のウィンドウにわたって比較することによって決定し、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適アラインメントのための参照配列(付加または欠失を含まないもの)と比較して、20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両配列中で同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して一致した位置の数を得て、一致した位置の数を参照配列中の位置の合計数(すなわちウィンドウサイズ)で除算し、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算する。
また、またはその代わりに、変異体は、ネイティブ遺伝子、またはその一部分もしくは補体に実質的に相同的であり得る。そのようなポリヌクレオチド変異体は、中等度にストリンジェントな条件下で、ネイティブ抗体をコードしている天然に存在するDNA配列(または相補的配列)とハイブリダイズすることができる。
適切な「中等度にストリンジェントな条件」には、5×SSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の溶液中で前洗浄することと、50℃〜65℃、5×SSC、終夜でハイブリダイズさせることと、次いで、65℃で20分間、0.1%のSDSを含有する2×、0.5×、および0.2×SSCのそれぞれで2回洗浄することとが含まれる。
本明細書中で使用する「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」とは、
(1)洗浄に低イオン強度および高温を用いるもの、たとえば、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウム、50℃を用いるもの、(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアミド、たとえば50%(v/v)のホルムアミドなどの変性剤、0.1%のウシ血清アルブミン/0.1%のFicoll/0.1%のポリビニルピロリドン/750mMの塩化ナトリウムを含む50mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.5、75mMのクエン酸ナトリウム、42℃を用いるもの、または、(3)50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%のSDS、および10%の硫酸デキストラン、42℃を用い、42℃で0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および55℃で50%のホルムアミドの洗浄、次いで、EDTAを含有する0.1×SSC、55℃からなる高ストリンジェンシー洗浄を用いるものである。当業者には、プローブの長さなどの要因に順応するために必要に応じて温度、イオン強度などをどのように調節するかが理解されるであろう。
当業者には、遺伝暗号の縮重の結果、本明細書中に記載の1つのポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列が数多く存在することが理解されよう。これらのポリヌクレオチドの一部は、どのネイティブ遺伝子のヌクレオチド配列とも最小限の相同性しか有さない。それにもかかわらず、コドン使用頻度の相違が原因で変動するポリヌクレオチドは、本発明によって具体的に企図される。さらに、本明細書中で提供するポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は本発明の範囲内にある。対立遺伝子とは、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換などの1つまたは複数の突然変異の結果変更されている内在性遺伝子である。生じるmRNAおよびタンパク質は、変更された構造または機能を有し得るが、そうである必要はない。対立遺伝子は、標準の技法(ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較など)を使用して同定し得る。
本発明のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え方法、またはPCRを使用して得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成方法は当分野で周知であり、本明細書中に詳述する必要はない。当業者は、本明細書中で提供する配列および市販のDNA合成機を使用して所望のDNA配列を生成することができる。
組換え方法を使用してポリヌクレオチドを調製するためには、本明細書中にさらに記述されているように、所望の配列を含むポリヌクレオチドを適切なベクター内に挿入することができ、立ち代って、ベクターは、複製および増幅のための適切な宿主細胞内に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当分野で知られている任意の手段によって宿主細胞内に挿入し得る。細胞は、外来性ポリヌクレオチドを、直接取り込み、エンドサイトーシス、形質移入、F接合、または電気穿孔によって導入することによって形質転換させる。導入後、外来性ポリヌクレオチドは、非組込みベクター(プラスミドなど)として細胞内に維持されるか、宿主細胞ゲノム内に組み込ませることができる。このようにして増幅されたポリヌクレオチドは、当分野において周知の方法によって宿主細胞から単離することができる。たとえばSambrookら、1989を参照されたい。
あるいは、PCRはDNA配列の複製を可能にする。PCR技術は当分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、第4,800,159号、第4,754,065号、および第4,683,202号、ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston、1994に記載されている。
RNAは、単離したDNAを適切なベクター中で使用し、それを適切な宿主細胞内に挿入することによって得ることができる。その後、細胞が複製され、DNAがRNAへと転写される際、たとえばSambrookら、1989、上記に記載の当業者に周知の方法を使用してRNAを単離することができる。
適切なクローニングベクターは、標準の技法に従って構築し得るか、または当分野で入手可能な多数のクローニングベクターから選択し得る。選択されるクローニングベクターは使用を意図する宿主細胞に応じて変動し得るが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有しており、特定の制限エンドヌクレアーゼの単一の標的を保有していてよく、および/またはベクターを含有するクローンの選択に使用することができるマーカーの遺伝子を保有していてよい。適切な例にはプラスミドおよび細菌ウイルス、たとえば、pUC18、pUC19、Bluescript(たとえばpBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28などのシャトルベクターが含まれる。これらおよび多数の他のクローニングベクターが、BioRad、Strategene、およびInvitrogenなどの市販の供給業者から入手可能である。
発現ベクターがさらに提供される。発現ベクターとは、一般に、本発明によるポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチド構築体である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAと一体化した部分として、宿主細胞中で複製可能でなければならないことが暗示される。適切な発現ベクターには、それだけには限定されないが、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含めたウイルスベクター、コスミド、およびPCT公開WO87/04462号に開示されている発現ベクターが含まれる。ベクターの構成成分には、一般に、それだけには限定されないが、以下のうちの1つまたは複数が含まれ得る:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、適切な転写制御要素(プロモーター、エンハンサー、およびターミネーターなど)。発現(すなわち翻訳)には、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、およびストップコドンなどの1つまたは複数の翻訳制御要素が通常必要である。
目的のポリヌクレオチドを含有するベクターは、電気穿孔、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、または他の物質を用いた形質移入、微粒子銃、リポフェクション、および感染(たとえばベクターがワクシニアウイルスなどの感染性因子である場合)を含めたいくつかの適切な手段のいずれかによって宿主細胞内に導入することができる。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入するための選択肢は、多くの場合は宿主細胞の特徴に依存する。
また、本発明は、本明細書中に記載のポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞も提供する。異種DNAを過剰発現することができる任意の宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチド、またはタンパク質をコードしている遺伝子を単離する目的で使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例には、それだけには限定されないが、COS、HeLa、およびCHO細胞が含まれる。PCT公開WO87/04462号も参照されたい。適切な非哺乳動物宿主細胞には、原核生物(大腸菌(E.coli)または枯草菌(B.subtilis)など)および酵母(出芽酵母(S.cerevisae)、分裂酵母(S.pombe)、またはケー・ラクチス(K.lactis)など)が含まれる。好ましくは、宿主細胞は、対応する内在性抗体または目的タンパク質が宿主細胞中に存在する場合は、それよりも約5倍高い、より好ましくは10倍高い、さらにより好ましくは20倍高いレベルでcDNAを発現する。グルカゴン受容体またはグルカゴン受容体ドメインとの特異的結合について宿主細胞をスクリーニングすることは、免疫アッセイまたはFACSによって達成する。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
発現ベクターは、抗グルカゴン受容体拮抗抗体の発現を指示するために使用することができる。当業者は、外来性タンパク質のin vivo発現を得るために発現ベクターを投与することに精通している。たとえば、米国特許第6,436,908号、第6,413,942号、および第6,376,471号を参照されたい。発現ベクターの投与には、注射、経口投与、粒子銃またはカテーテル投与、および外用投与を含めた、局所または全身投与が含まれる。別の実施形態では、発現ベクターは、交感神経幹もしくは神経節に、または冠状動脈、心房、心室、もしくは心膜内に直接投与する。
また、発現ベクターまたはサブゲノムポリヌクレオチドを含有する治療用組成物の標的化送達も使用することができる。受容体媒介性DNA送達技法は、たとえば、Findeisら、Trends Biotechnol.、1993、11:202、Chiouら、Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer、J.A.Wolff編、1994、Wuら、J.Biol.Chem.、1988、263:621、Wuら、J.Biol.Chem.、1994、269:542、Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1990、87:3655、Wuら、J.Biol.Chem.、1991、266:338に記載されている。ポリヌクレオチドを含有する治療用組成物は、遺伝子治療プロトコルにおける局所投与のために約100ng〜約200mgのDNAの範囲で投与する。また、約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgの濃度範囲のDNAも、遺伝子治療プロトコル中に使用することができる。治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達することができる。遺伝子送達ビヒクルはウイルス起源または非ウイルス起源のものであり得る(一般に、Jolly、Cancer Gene Therapy、1994、1:51、Kimura、Human Gene Therapy、1994、5:845、Connelly、Human Gene Therapy、1995、1:185、およびKaplitt、Nature Genetics、1994、6:148を参照)。そのようなコード配列の発現は、内在性哺乳動物または異種プロモーターを使用して導入することができる。コード配列の発現は、構成的または調節性のどちらかであり得る。
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞中での発現のためのウイルスに基づくベクターは当分野で周知である。例示的なウイルスに基づくビヒクルには、それだけには限定されないが、組換えレトロウイルス(たとえば、PCT公開WO90/07936号、WO94/03622号、WO93/25698号、WO93/25234号、WO93/11230号、WO93/10218号、WO91/02805号、米国特許第5、219,740号、および第4,777,127号、GB特許第2,200,651号、ならびにEP特許第0 345 242号を参照)、アルファウイルスに基づくベクター(たとえば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67、ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373、ATCC VR−1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923、ATCC VR−1250、ATCC VR1249、ATCC VR−532))、ならびにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(たとえば、PCT公開WO94/12649号、WO93/03769号、WO93/19191号、WO94/28938号、WO95/11984号、およびWO95/00655号を参照)が含まれる。また、Curiel、Hum.Gene Ther.、1992、3:147に記載の、死滅させたアデノウイルスと連結したDNAの投与も用いることができる。
また、それだけには限定されないが、死滅させたアデノウイルス単独と連結したまたはしていないポリカチオン凝縮DNA(たとえばCuriel、Hum.Gene Ther.、1992、3:147を参照)、リガンドと連結したDNA(たとえばWu、J.Biol.Chem.、1989、264:16985を参照)、真核細胞送達ビヒクル細胞(たとえば、米国特許第5,814,482号、PCT公開WO95/07994号、WO96/17072号、WO95/30763号、およびWO97/42338号を参照)、および核電荷中和または細胞膜との融合を含めた、非ウイルス送達ビヒクルおよびその方法も用いることができる。また、裸DNAも用いることができる。例示的な裸DNAの導入方法は、PCT公開WO90/11092号および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして役割を果たすことができるリポソームは、米国特許第5,422,120号、PCT公開WO95/13796号、WO94/23697号、WO91/14445号、およびEP0524968号に記載されている。さらなる手法が、Philip、Mol.Cell Biol.、1994、14:2411、およびWoffendin、Proc.Natl.Acad.Sci.、1994、91:1581に記載されている。
組成物
また、本発明は、有効量の本明細書中に記載の抗グルカゴン受容体抗体を含む医薬組成物も提供する。また、そのような組成物の例、およびどのように配合するかも、本明細書中に記載されている。一部の実施形態では、組成物は1つまたは複数のグルカゴン受容体抗体を含む。他の実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体はグルカゴン受容体を認識する。他の実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体はヒト抗体である。他の実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体はヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体は、抗体媒介性溶解またはADCCなどの所望の免疫応答を始動させることができる定常領域を含む。他の実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体は、抗体媒介性溶解またはADCCなどの所望しないまたは望ましくない免疫応答を始動させない定常領域を含む。他の実施形態では、抗グルカゴン受容体抗体は、抗体の1つまたは複数のCDR(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または一部の実施形態では6つすべてのCDRなど)を含む。
組成物は、複数の抗グルカゴン受容体抗体(たとえば、グルカゴン受容体の様々なエピトープを認識するグルカゴン受容体抗体の混合物)を含むことができることが理解されよう。他の例示的な組成物は、同じエピトープ(複数可)を認識する複数の抗グルカゴン受容体抗体、またはグルカゴン受容体の様々なエピトープと結合する様々な種類の抗グルカゴン受容体抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、グルカゴン受容体の様々な変異体を認識する抗グルカゴン受容体抗体の混合物を含む。
本発明において使用する組成物は、凍結乾燥した配合物または水溶液の形態で、薬学的に許容できる担体、賦形剤、または安定化剤(Remington:The Science and practice of Pharmacy、第20版、2000、Lippincott Williams and Wilkins、K.E.Hoover編)をさらに含むことができる。許容できる担体、賦形剤、または安定化剤は、用量および濃度においてレシピエントに対して無毒性であり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤、保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レソルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾール等)、低分子量(約10未満の残基)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、もしくはデキストランを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物、EDTAなどのキレート化剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖、ナトリウムなどの塩形成対イオン、金属錯体(たとえばZn−タンパク質複合体)、ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含み得る。薬学的に許容できる賦形剤を本明細書中にさらに記載する。
また、抗グルカゴン受容体抗体およびその組成物は、薬剤の有効性を増強および/または補完する役割を果たす他の薬剤と併せて使用することもできる。
また、本発明は、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを含む、医薬組成物を含めた組成物も提供する。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中に記載の抗体をコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。他の実施形態では、組成物は、本明細書中に記載の抗体のいずれかをコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。
キット
また、本発明は、本明細書中に記載の抗体のいずれかまたはすべてを含むキットも提供する。本発明のキットには、本明細書中に記載の抗グルカゴン受容体拮抗抗体を含む1つまたは複数の容器と、本明細書中に記載の本発明の方法のいずれかに従った使用説明書とが含まれる。一般に、これらの説明書は、上述した治療処置のための抗グルカゴン受容体拮抗抗体の投与の説明を含む。一部の実施形態では、単一用量の投与単位を生成するためのキットを提供する。特定の実施形態では、キットは、乾燥タンパク質を含む第1の容器および水性配合物を含む第2の容器をどちらも含有することができる。特定の実施形態では、単一および複数チャンバの事前に満たされたシリンジ(たとえば液体シリンジおよび分散シリンジ)を含有するキットが含まれる。
一部の実施形態では、抗体はヒト抗体である。一部の実施形態では、抗体はヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。抗グルカゴン受容体抗体の使用に関する説明書には、意図する処置のための用量、投薬スケジュール、および投与経路に関する情報が含まれる。容器は、単位用量、バルク包装(たとえば複数用量の包装)または副単位用量であり得る。本発明のキット中に供給される説明書は、典型的にはラベルまたは添付文書(たとえばキットに含まれる紙シート)上の書面の説明書であるが、機械読み取り可能な説明書(たとえば磁気または光学記憶ディスク上に保持される説明書)も許容される。
本発明のキットは適切に包装されている。適切な包装には、それだけには限定されないが、バイアル、ボトル、ジャー、フレキシブル包装(たとえば密封Mylarまたはプラスチックバッグ)などが含まれる。また、吸入器、経鼻投与装置(たとえば噴霧器)、またはミニポンプなどの輸液装置等の特定の装置と組み合わせて使用するための包装も企図される。キットは無菌的なアクセス口を備えていてよい(たとえば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを備えた静脈内溶液のバッグまたはバイアルであり得る)。また、容器も、無菌的なアクセス口を備えていてよい(たとえば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを備えた静脈内溶液のバッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は抗グルカゴン受容体抗体である。容器は第2の製薬的な活性薬剤をさらに含み得る。
キットは、緩衝液および解釈用の情報などの追加の構成成分を任意選択で提供し得る。通常、キットは容器および容器に付随させたラベルまたは添付文書(複数可)を含む。
生物学的受託
本発明の代表的な材料は、2013年1月29日にAmerican Type Culture Collection、米国バージニア州Manassas、University Boulevard 10801、20110−2209に受託した。ATCC受託番号PTA−120164を有するベクターmAb5−LCはmAb5の軽鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドであり、ATCC受託番号PTA−120165を有するベクターmAb5−HCはmAb5の重鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドである。特許手続きのための微生物寄託の国際認識に関するブダペスト条約およびその下位規定(ブダペスト条約)の規定の下に受託を行った。これにより、受託から30年間の間、受託物の生きた培養物の維持が保証される。受託物はブダペスト条約の条件の下にATCCによって利用可能となり、Pfizer,Inc.とATCCとの間の合意に従う。これにより、関連する米国特許が発行された際、または任意の米国もしくは外国特許出願が公開された際のいずれか早い方において、受託物の培養物の子孫の公衆への永久的かつ無制限の利用可能性が確実となり、また、米国特許第122条およびそれに準ずる長官の規定(米国特許法施行規則第1.14条が含まれ、886 OG 638を具体的に参照)に従ってその権利を有すると米国特許商標庁長官に判断された者に、子孫の利用可能性が確実となる。
本出願の譲受人は、受託されている材料の培養物が、適切な条件下で培養した場合に死滅または喪失または損なわれた場合は、通知された際に材料を即座に同じものと交換することに同意している。受託した材料の利用可能性は、任意の政府の権力の下、その特許法に従って付与された権利に違反して本発明を実施するための認可であるとして解釈されるべきでない。
以下の実施例は例示目的でのみ提供し、いかなる様式でも本発明の範囲限定することを意図しない。実際に、前述の説明から、本明細書中に示し記載したものに加えて、本発明の様々な改変が当業者に明らかとなり、これらは添付の特許請求の範囲内にある。
(実施例1)
抗体動力学および結合親和性の決定
本実施例では、ヒトおよびカニクイザル(cyno)グルカゴン受容体に対する、抗グルカゴン受容体抗体の抗体動力学および結合親和性の決定を例示する。
抗ヒトFcセンサーチップは、Biacore CM4センサーチップのすべてのフローセルを、400mMのEDCおよび100mMのNHSの1:1(v/v)の混合物を用いて7分間、10μL/分の流速で活性化することによって調製した。ヤギ抗ヒトFc抗体(Southern Biotech)を10mMの酢酸ナトリウム、pH5.0で50μg/mLまで希釈し、すべてのフローセル上に7分間、20μL/分で注入した。すべてのフローセルを、150mMのホウ酸緩衝液、pH8.5中の100mMのエチレンジアミンを用いて7分間、10μL/分で遮断した。この固定手順用のランニング緩衝液は、10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.05%(v/v)のTWEEN(登録商標)20、pH7.4であった。
以下の動力学実験を、25℃および37℃で、10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.05%(v/v)のTWEEN(登録商標)20、pH7.4、1mg/mLのBSAのランニング緩衝液を使用して行った。
すべての実験は、Biacore(商標)T200表面プラズモン共鳴バイオセンサー(GE Lifesciences、ニュージャージー州Piscataway)上で行った。ヒトおよびカニクイザル(cyno)グルカゴン受容体細胞外ドメインヒトFc融合タンパク質を、下流フローセル(それぞれフローセル2、3)上に、2μg/mL、10μL/分の流速で3分間捕捉した。フローセル1はブランク参照表面として使用した。グルカゴン受容体Fc融合タンパク質の捕捉後、分析物(緩衝液またはmAb5 Fab)を30μL/分ですべてのフローセル上に2分間注入した。複数のmAb5 Fab分析物の濃度を試験した。mAb5 Fab分析物の濃度は0.16、0.8、4、20、および100nMであった。分析物の注入後、解離を10分間(20nMおよび100nMのmAb5 Fab分析物試料)または30秒間(0.16、0.8、および4nMのmAb5 Fab分析物試料)の間モニタリングした。緩衝液分析物サイクルについて、解離を30秒間および10分間の間モニタリングした。分析物の結合および解離の後、4回の1分間の75mMのリン酸の注入を用いてすべてのフローセルを再生した。センサーグラムのデータは曲線の当てはめの前に二重参照した(二重参照はMyszka,D.G.、1999、J.Mol.Recognit.、12:279〜284に記載のとおりである)。二重参照したセンサーグラムは、Biacore(商標)T200評価ソフトウェアを使用して、物質移行結合モデルを用いた単純な1:1のラングミュアーに全体的に当てはめた。抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb5とヒトおよびcynoのグルカゴン受容体との結合の結合親和性データを、以下の表4に示す。
(実施例2)
細胞に基づく機能的アッセイ
本実施例では、ヒトグルカゴン受容体を発現する細胞における、グルカゴンシグナル伝達に対する抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb5の効果を例示する。
本研究では、ヒトグルカゴン受容体を用いて安定に形質移入したCHO細胞系におけるcAMPシグナル伝達を、LANCE(登録商標)cAMPキット(カタログ#AD0262E、PerkinElmer Inc.)を使用して測定した。細胞を96ウェルプレートに加え、段階希釈したmAb5と共にインキュベーションした。その後、細胞を200pMのグルカゴン(カタログ#22456、AnaSpec,Inc.)で30分間、室温(RT)で刺激した。その後、検出抗体を加え、10分間RTでインキュベーションした。その後、供給されている検出緩衝液を用いて細胞を溶解し、暗所で3時間、RTでインキュベーションした。その後、プレートをVICTOR3(商標)プレートリーダー(PerkinElmer,Inc)で読み取った。結果を図1に示す。このアッセイの読み取りは標識した外来性cAMP(665nmで測定)と標識していない内在的に産生されたcAMPとの間の競合に基づいているため、より高いシグナルは、細胞によって産生されたcAMPがより少ないことを示す。mAb5は用量依存的な様式でcAMPの産生を阻害する(図1)。
これらの結果は、抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb5が、グルカゴン刺激後にグルカゴン受容体媒介性のcAMPの増加を阻害することを実証している。
(実施例3)
カニクイザルにおけるin vivoの有効性
本実施例では、カニクイザルにおける、グルカゴンチャレンジ後の血漿グルコースレベルに対する抗グルカゴン受容体拮抗抗体の効果を例示する。
動物へのグルカゴンの静脈内ボーラスの投与は、肝臓でのグルカゴンシグナル伝達の結果として血漿グルコースの上昇をもたらす。抗グルカゴン受容体拮抗抗体がこの血漿グルコースの上昇を阻害するかどうかを決定するために、抗グルカゴン受容体拮抗抗体またはPBSのどちらかを与えたナイーブな雌のカニクイザルにおいてグルカゴンチャレンジを行った。グルカゴンチャレンジは、サルにおいて2回の別々の機会に行った。1回目のグルカゴンチャレンジは、サルに3mg/kgの単一の静脈内用量のmAb5または同体積のPBS(ベースライン)のどちらかを与える5日前に行い、2回目のグルカゴンチャレンジは、サルにmAb5の投薬またはPBSを与えた1時間後に行った。
それぞれのグルカゴンチャレンジについて、20μg/kgのグルカゴンの静脈内ボーラス(GlucaGen(登録商標)Hypokits(登録商標))を0時点に投与した。以下の時点で血液試料をすべての動物から採取した:チャレンジ前、ならびにチャレンジの5、15、30、45、60、および120分後。臨床用化学分析器を使用して、血漿試料を血漿グルコース濃度について分析した。平均絶対的グルコース値(mg/dL)+/−SEMおよびAUC(経時的な血漿グルコース偏位を反映する曲線下面積)を表5に示す。
グルカゴンチャレンジの1時間前に3mg/kgのmAb5で処置した動物の平均血漿グルコース濃度は、チャレンジ前では78.83+/−5.44であり、チャレンジの5分後では92.00+/−4.88mg/dLであり、チャレンジの15分後では81.33+/−5.54mg/dLであり、チャレンジの30分後では69.00+/−4.66mg/dLであり、チャレンジの45分後では63.83+/−2.36mg/dLであり、チャレンジの60分後では63.17+/−3.15mg/dLであった(表5)。対照的に、グルカゴンチャレンジの1時間前にPBSを投与した動物の平均血漿グルコース濃度は、チャレンジ前では84.5+/−4.36であり、チャレンジの5分後では109.0+/−6.98mg/dLであり、チャレンジの15分後では118.5+/−9.79mg/dLであり、チャレンジの30分後では107.17+/−12.30mg/dLであり、チャレンジの45分後では98.33+/−12.08mg/dLであり、チャレンジの60分後では92.67+/−12.64mg/dLであった(表5)。したがって、グルカゴンチャレンジ後、血漿グルコースレベルは、PBS対照と比較して抗グルカゴン受容体拮抗抗体Mab5で処置した動物において実質的に低い。
これらの結果は、グルカゴンチャレンジ後に抗グルカゴン受容体拮抗抗体がグルコース偏位を有効に遮断することを実証している。
(実施例4)
処置後の肝機能の分析
本実施例では、高用量のmAb5グルカゴン受容体遮断mAbを用いた慢性処置の効果を例示する。
ヒトにおける以前の臨床データにより、グルカゴン受容体低分子拮抗剤を用いた4週間の処置が、特定の肝機能検査(LFT)、具体的にはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)(LYおよびMK)の上昇をもたらす場合があることが実証されている。たとえばEngel,S.ら、2011、「Efficacy and tolerability of MK0893,a glucagon receptor antagonist,in patients with type 2 diabetes」、ADA Symposiumを参照されたい。そのような変化が、グルカゴン受容体を低分子の代わりにモノクローナル抗体で遮断した長期処置の後に明白であるかどうかに取り組むために、研究を実施して、カニクイザルにおいてこれらのLFTパラメータに対する週に1回の静脈内ボーラス用量のmAb5の効果を4週間にわたって評価した。
上記実施例3に示すように、カニクイザルにおいて、単一用量の3mg/kgのmAb5がグルカゴンチャレンジ後にグルコース偏位を有効に阻害する。肝機能研究では、常に完全に遮断されていることを確実にするために100mg/kgの用量を選択した。3匹の細身のナイーブな雌サルに、1、8、15、および22日目に100mg/kgのmAb5を与えた。対照として、3匹の細身のナイーブな雌サルに、1、8、15、および22日目にIVボーラスのPBS対照を与えた。絶食血清試料を両群からのすべての動物から、7、14、21、および29日目に採取し、ベースライン、すなわち研究の開始前(−6日目)に同じ動物から採取した処置前の試料に対して比較した。また、臨床用化学分析器を使用して、ALTおよびASTに加えてアルカリホスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)も測定した。ALT、AST、ALP、およびGGT試験の結果を図2および3に示し、以下の表6に要約する。
表6は、ベースライン(−6日目)および研究の終わり(29日目)でのこれらのパラメータの平均(+/−SEM)値を示す。表6に見られるように、PBS対照動物およびベースライン群の動物と比較して、mAb5で処置した動物(最後の列)において測定されたLFTパラメータのどれにも顕著な変化がなかった。
これらの結果は、高用量のmAb5グルカゴン受容体遮断抗体を用いた慢性処置が肝機能に有害でないことを実証している。
(実施例5)
処置後の循環脂質レベルの分析
本実施例では、高用量のAb5グルカゴン受容体遮断mAbを用いた慢性処置が、カニクイザルにおいて血漿脂質の変化を誘発しないことを例示する。
ヒトにおける以前の臨床データにより、グルカゴン受容体低分子拮抗剤を用いた4週間の処置が、LDL−コレステロールレベル(MK)の用量依存的な10〜17%の上昇に関連していたことが実証されている。たとえばRuddy,M.ら、2011、「Inhibition of glucagon−induced hyperglycemia predicts glucose−lowering efficacy of the glucagon receptor antagonist,MK0893,in patients with type 2 diabetes mellitus(T2DM)」、ADA Symposiumを参照されたい。そのような変化が、グルカゴン受容体を低分子の代わりにモノクローナル抗体で遮断した長期処置の後に明白であるかどうかに取り組むために、研究を実施して、カニクイザルにおいて、週に1回の静脈内ボーラス用量のmAb5の後の、LDL−Cおよび他の循環脂質(総コレステロール、HDL−C、およびトリグリセリド)に対する効果を4週間にわたって評価した。
3匹の細身のナイーブな雌サルに、1、8、15、および22日目に100mg/kgのmAb5を与えた。対照には、3匹の細身のナイーブな雌サルに、同じ時点でIVボーラスのPBS対照を与えた。絶食血清試料を両群からのすべての動物から、7、14、21、および29日目に採取し、ベースライン、すなわち研究の開始前に同じ動物から採取した処置前の試料(−6日目)に対して比較し、臨床用化学分析器を使用して脂質を測定した。本研究からのデータを表7に要約し、図4および5に示す。
表7は、ベースライン(−6日目)および研究の終わり(29日目)でのこれらのパラメータの平均(+/−SEM)値を示す。図4および5は、−6、7、14、21、および29日目での、対照およびmAb5で処置した動物における血漿脂質レベルを示す。PBS対照動物およびベースライン群の動物と比較した場合に、mAb5で処置した動物において測定された循環脂質パラメータのどれにも変化が観察されなかった。
これらの結果は、高用量のmAb5抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた慢性処置が上昇したLDL−コレステロールに関連していないことを実証している。
(実施例6)
2型糖尿病のマウスモデルにおけるin vivoの有効性
本実施例では、2型糖尿病のマウスモデルにおける抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた処置を例示する。
絶食させたマウスにおけるグルコースの腹腔内ボーラスの投与(グルコースチャレンジ)は、血漿グルコースの著しい上昇、次いでクリアランス期間をもたらす。絶食血漿グルコースレベル、すなわちチャレンジの直前、および投与したグルコース負荷を処理する能力がどちらも、高脂肪食給餌のDIO(食餌性肥満)マウスでは損なわれていた。抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3を用いたこれらの動物の事前処置を、以下のように実施した:6週齢から開始して、C57Bl/6Jマウス(n=5匹/群)に高脂肪食を給餌した(「HFD」、40kcal%の脂肪)。12週齢から、マウスはHFDを続け、第1の群には週に1回の3mg/kgのmAb3の腹腔内注射を与えた一方で、第2の群には同様の体積のPBSビヒクルを与えた。3週間の処置の後、かつ18時間、終夜の絶食の後、グルコースの腹腔内ボーラス(2g/kg)をすべての動物に投与した(時間=0)。以下の時点で血液試料をすべての動物から採取した:チャレンジ前、ならびにチャレンジの15、30、45、60、90、および120分後。携帯用One Touch(登録商標)グルコース計を使用して、全血試料を血漿グルコース濃度について分析した。平均絶対的グルコース値(mg/dL)+/−SEMおよびAUC(経時的な血漿グルコース偏位を反映する曲線下面積)を表8に示す。
抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3で処置した動物は128.80+/−12.92mg/dLの絶食血糖値を有しており、これはPBSを与えた対照動物における絶食血糖値である156.80+/−11.41mg/dLよりも顕著に低かった(表8、2列目)。さらに、PBSを与えた動物と比較して、mAb3で処置した動物はグルコースチャレンジ後により低い血糖値を有していた(表8、3〜9列目)。これらの結果は、2型糖尿病のマウスモデルにおいて、抗グルカゴン受容体拮抗抗体がグルコースチャレンジの際に誘発された絶食血中グルコースおよび血漿グルコース偏位を低下させることを実証している。
(実施例7)
組合せ処置
本実施例では、マウスにおける抗グルカゴン受容体拮抗抗体およびmTOR阻害剤を用いた組合せ処置を例示する。
げっ歯類におけるグルカゴンシグナル伝達の遮断は、膵臓アルファ(すなわちグルカゴン産生)細胞の数および/または大きさの増加をもたらすことが以前に実証されている。たとえば、Gellingら、2003、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、100(3):1438〜1443(GCGRヌルマウス)、Sloopら、2004、J.Clin.Invest.、113(11):1571〜1581(アンチセンスオリゴヌクレオチド)を参照されたい。マウスにおける抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3の投与(週に1回、i.p.)も同様に島あたりのアルファ細胞の面積を増加させることが示されており、これは、アルファ細胞数の増加および平均のアルファ細胞の大きさの増加を反映している。
本研究は、mAb3との同時処置としてのmTOR阻害剤ラパマイシンの効果を評価するために実施した。本研究では、雄の14週齢のC57Bl/6Jマウス(n=10匹/群)に、週に1回の3mg/kgのmAb3の腹腔内注射、または1日1回の10mg/kgのラパマイシンの腹腔内投薬(水中に5%のエタノール、5.2%のTween−80、5.2%のPEG400で配合)のどちらかを、週に1回の3mg/kgの用量のmAb3と組み合わせて与えた。第3の群には対照としてビヒクルを与えた。3週間の処置の後、動物を屠殺してその膵臓を採取し、10%の中性緩衝ホルマリン中で24時間固定し、その後、パラフィンワックス中で加工し、標準の手順に従って包埋した。切片を4μmに切断し、プラススライド上に載せ、終夜、37℃で乾燥させた。Leica Bond(商標)自動免疫染色器(Leica Microsystems、イリノイ州)上の連続的な二重標識プロトコルを使用した免疫組織化学によって、グルカゴン(島アルファ細胞を同定するため)およびインスリン(島ベータ細胞を同定するため)を脾臓中で検出した。内在性タンパク質をCyto−Q Background Buster(Innovex Biosciences、カリフォルニア州)で遮断した。熱誘導性エピトープ回収(HIER)緩衝液をpH6.0(Leica Microsystems、イリノイ州)で20分間使用して、抗グルカゴン免疫組織化学について抗原の回収を行った。抗インスリン(Dako、カリフォルニア州)はビオチン標識したヤギ抗モルモットIgG(Dako、カリフォルニア州)を使用してBond(商標)Intense R Detection(Leica Microsystems)を用いて検出し、抗グルカゴン(Abcam、マサチューセッツ州)はBond(商標)Polymer Refine Red Kit(Leica Microsystems、イリノイ州)を使用して検出した。組織をヘマトキシリン(Leica Microsystems、イリノイ州)で対比染色し、脱水し、キシレン中にマウントした後、微視的な評価を行った。抗グルカゴン(vector red)および抗インスリン(DAB)について染色した膵臓IHCの切片を含有するスライドを、マルチスペクトルカメラを備えたPerkin Elmer Vectra 自動イメージングシステムを使用して低(4×)および高倍率(20×)でイメージングした。低および高倍率の画像を、どちらもPerkin Elmer(登録商標)のInForm(登録商標)画像分析ソフトウェアを使用して分析した。個々の島の詳細な分析は高倍率のマルチスペクトル画像を使用して実施した。膵臓切片内の各島の画像は自動の様式で獲得され、スペクトルの分解の後、Perkin Elmer(登録商標)のInForm(登録商標)ソフトウェアで分析した。組織のすべての非関連領域を排除する一方で、それぞれ抗グルカゴンまたは抗インスリン染色を使用してアルファまたはベータ細胞の領域を定量および特徴づけるためのアルゴリズムを作成した。また、ヘマトキシリン対比染色を使用してそれぞれの領域内の核の数も決定し、これを使用して、それぞれの島の領域(アルファ/ベータ)に対する平均細胞数および平均の細胞の大きさを計算した。
研究データを以下の表9に要約する。表中には、アルファ細胞の数(%アルファ細胞数/島+/−SEMとして定量)、アルファ細胞によって占有される全体的な面積(%アルファ細胞の面積/島+/−SEMとして定量)、および平均のアルファ細胞の大きさ(ピクセルとして測定)を提供する。
ビヒクルのみを投与したマウスと比較して、mAb3で処置したマウスにおいてアルファ細胞数およびアルファ細胞の大きさの増加が観察された(表9)。これらの増加したアルファ細胞の数および大きさの測度は、mAb3をラパマイシン処置と同時投与した場合には存在しなかった(表9)。これらのデータは、mTORシグナル伝達がアルファ細胞の過形成の媒介に役割を果たし得ることを実証している。また。これらのデータは、mTOR阻害剤を用いた同時処置は、グルカゴン受容体活性を遮断することによって誘発される肥厚および過形成を低下させることも実証している。
(実施例8)
肝機能の分析
本実施例では、肝機能に対する抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた4週間の処置の効果を例示する。
グルカゴン受容体低分子拮抗剤を用いた4週間の処置が、特定の肝機能検査(LFT)、具体的にはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)(LYおよびMK)の上昇をもたらす場合があることが以前に示されている。たとえばEngel,S.ら、2011、「Efficacy and tolerability of MK0893,a glucagon receptor antagonist,in patients with type 2 diabetes」、ADA Symposiumを参照されたい。そのような変化が、グルカゴン受容体を低分子の代わりにモノクローナル抗体で遮断した長期処置の後に明白であるかどうかに取り組むために、研究を実施して、野生型および高脂肪食給餌(HFD)のDIO(食餌性肥満)マウスにおいて、これらのLFTパラメータに対する週に1回の腹腔内用量の抗グルカゴン受容体拮抗抗体の効果を4週間にわたって評価した。
本研究では、野生型およびHFD−DIOマウスに、抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3またはPBSビヒクル(対照)のどちらかを、10mg/kgのi.p.の用量で、週に1回の基準で投与した。使用した10mg/kgの用量は、少なくとも7日間(すなわち投薬間隔)の間に最大のグルコース低下効果を発揮することが示されており、これは、本研究においてグルカゴン受容体が完全に遮断されていることを示唆している。4週間のmAb3処置の後、絶食血清試料を採取し、以下の肝酵素のレベルを測定した:ALT、AST、およびALP。結果(群あたりの平均および標準誤差(n=10匹/群/マウスモデル))を以下の表10に要約する。
PBSビヒクル対照動物において測定されたLFTパラメータと比較して、mAb3で処置した動物において測定されたLFTパラメータ(すなわち、ALT、ALP、およびASTレベル)のどれにも顕著な変化がなかった(表10)。
これらの結果は、抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた4週間の処置が肝機能に有害でないことを実証している。
(実施例9)
肝機能の分析
本実施例では、肝機能に対する抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた43週間の処置の効果を例示する。
本研究では、野生型C57Bl/6雄マウスを、抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3を用いた長期処置に曝し、9週齢で開始し、43週間の間、52週齢まで続けた(n=9匹)。3mg/kgの用量のmAb3をi.p.で週に1回投与した。PBSビヒクルを対照動物群に投与した(n=6匹)。研究の終了時に、絶食血清試料を採取し、以下の肝酵素のレベルを測定した:ALT、AST、およびALP。結果(群あたりの平均および標準誤差)を表11に要約する。
同じ期間にわたってPBSを投薬した対照マウスにおいて測定されたLFTパラメータと比較した場合に、mAb3で処置したマウスにおいて測定されたLFTパラメータ(すなわち、ALT、ALP、およびASTレベル)のどれにも顕著な変化がなかった(表11)。したがって、この動物の全寿命のかなりの部分を表す約11カ月の期間のmAb3グルカゴン受容体遮断抗体を用いた処置は、これらの肝機能の酵素マーカーに対するいかなる有害効果にも関連していなかった。
これらの結果は、抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた長期処置が肝機能に有害でないことを実証している。
(実施例10)
肝機能の分析
本実施例では、抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた慢性処置の効果を例示する。
肝機能に対する抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb5を用いた13週間の長さの処置の効果に取り組むための研究を実施した。本研究では、雄および雌のカニクイザルに、mAb5を皮下(SC)または静脈内(IV)のどちらかで、13週間にわたって投与した。
カニクイザルにおいて、単一用量の3mg/kgのmAb5がグルカゴンチャレンジ後にグルコース偏位を有効に阻害する(上記実施例3を参照)。この慢性研究のために選択された用量は10、50、および200mg/kgであり、そのそれぞれがグルカゴンシグナルの完全な遮断を生じると予想される。
細身のナイーブなサルの4つのコホート(それぞれn=各性別が3匹ずつ)に、10mg/kgのmAb5を週に1回、IVまたはSC注射によって、合計13週間の間与えた。各性別5匹ずつの細身のナイーブなサルのさらに6つのコホートに、それぞれ50mg/kgのmAb5を週に1回、IV注射によって、または200mg/kgのmAb5を週に1回、IVまたはSC注射によって、合計13週間の間与えた。対照として、各性別5匹ずつの細身のナイーブなサルに、週に1回、ビヒクルの注射をIVまたはSC注射のどちらかの経路によって13週間の間与えた。
29、57、および93日目に絶食血清試料をすべての動物から採取し、2つのベースライン、すなわち研究の開始前(すなわち−43および−8日目)に同じ動物から採取した処置前の試料と比較した。また、臨床用化学分析器を使用して、ALTおよびASTに加えてアルカリホスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)も測定した。ALT、AST、ALP、およびGGT試験の結果(平均+/−SEM)を以下の表12に要約する。
表12は、ベースライン(−43および−8日目)ならびに投薬スケジュール全体にわたる月に1回の間隔(29、57、および93日目)での、ALT、AST、ALP、およびGGTレベルの平均(+/−SEM)値を示す。ビヒクルで処置した対照動物および各群の自身のベースライン値と比較して、mAb5を用いて任意の用量レベル/投薬経路で処置した動物において測定されたLFTパラメータのどれにも顕著な変化がなかった(表12)。
これらの結果は、高用量のmAb5グルカゴン受容体遮断抗体を用いた慢性処置が肝機能に有害でないことを実証している。
(実施例11)
循環脂質レベルの分析
本実施例では、mAb5グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた慢性の長期処置の効果を例示する。
グルカゴン受容体をモノクローナル抗体で遮断することの効果を評価するために、雄および雌のカニクイザルに、週に1回のmAb5の用量を13週間の間投与し、循環脂質(総コレステロール、LDL−C、HDL−C、およびトリグリセリド)に対する効果について評価した。
それぞれが各性別の動物を3匹ずつ含む、細身のナイーブなサルの4つのコホートに、10mg/kgのmAb5を週に1回、IVまたはSC注射によって、合計13週間の間与えた。各性別5匹ずつの細身のナイーブなサルのさらに6つのコホートに、それぞれ50mg/kgのmAb5を週に1回、IV注射によって、または200mg/kgのmAb5を週に1回、IVまたはSC注射によって、合計13週間の間与えた。対照として、各性別5匹ずつの細身のナイーブなサルに、週に1回、ビヒクルの注射(IVおよびSC経路の両方によって)を13週間の間与えた。
29、57、および93日目に絶食血清試料をすべての動物から採取し(約月に1回)、2つのベースライン、すなわち研究の開始前(−43および−8日目)に同じ動物から採取した処置前の試料に対して比較した。また、臨床用化学分析器を使用して、ALTおよびASTに加えてアルカリホスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)も測定した。本研究からのデータ(平均+/−SEM)を表13に要約する。
表13は、ベースライン(−43および−8日目)ならびに投薬スケジュール全体にわたる月に1回の間隔(29、57、および93日目)での、これらのパラメータの平均(+/−SEM)値を示す。ビヒクルで処置した対照動物および各群の自身のベースライン値と比較して、mAb5を用いて任意の用量レベル/投薬経路で処置した動物において測定された循環脂質パラメータのどれにも顕著な変化がなかった(表13)。
これらの結果は、高用量のmAb5グルカゴン受容体遮断抗体を用いた慢性処置が、LDL−Cまたはトリグリセリドの有害な上昇をもたらさないことを実証している。
(実施例12)
アルファ細胞の過形成の逆転
本実施例では、高用量の抗グルカゴン受容体拮抗抗体で処置した対象における、肥厚を伴ったまたは伴わない膵臓アルファ細胞の過形成の逆転を例示する。
マウスおよび/またはラットにおけるグルカゴンシグナル伝達の遮断は、循環グルカゴンレベル(高グルカゴン血症)の代償性の上昇ならびに膵臓アルファ細胞の数および/または細胞の大きさの増加をもたらすことが示されている(たとえば、Gellingら、2003、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、100(3):1438〜1443(GCGRヌルマウス)、Sloopら、2004、J.Clin.Invest.、113(11):1571〜1581(アンチセンスオリゴヌクレオチド)、Guら、2009、J.Pharmacol.Exp.Ther.、331(3):871〜881(モノクローナル抗体)を参照)。上記実施例3に示すように、カニクイザルにおいて、単一用量の3mg/kgのmAb5がグルカゴンチャレンジ後にグルコース偏位を有効に阻害するため、この慢性研究のために選択された用量(10、50、および200mg/kg)は、グルカゴンシグナルの完全な遮断を生じると予想される。
本研究では、それぞれが各性別の動物を3匹ずつ含む、細身のナイーブなサルの4つのコホートに、10mg/kgのmAb5を週に1回、IVまたはSC注射によって、合計13週間の間与えた。各性別5匹ずつの細身のナイーブなサルのさらに6つのコホートに、それぞれ50mg/kgのmAb5を週に1回、IV注射によって、または200mg/kgのmAb5を週に1回、IVまたはSC注射によって、合計13週間の間与えた。対照として、各性別5匹ずつの細身のナイーブなサルに、週に1回、ビヒクルの注射(IVおよびSC経路の両方によって)を13週間の間与えた。
投薬期間の終わりに、コホートあたり3匹の動物からの膵臓を採取し、切片にし、標準のH&Eおよび抗グルカゴン/抗インスリンIHC技法を使用した染色した。膵臓を、島アルファ細胞の過形成および肥厚について検査およびスコアづけした。その後、選択されたコホートからの各性別2匹ずつの動物を(対照、50mg/kgのIV、200mg/kgのIV、200mg/kgのSC)、24週間の回復期間(すなわちmAb5投薬の中断後)の間追跡して、抗体レベルを効果のある閾値未満まで落とさせた(「抗体ウォッシュアウト」)。この抗体ウォッシュアウト期間の終わりに、これらの動物からの膵臓を過形成および肥厚について同様に分析した。本研究からのデータを表14に要約する。
13週間の時点で一部の動物においてアルファ細胞の過形成および/または肥厚の兆候が存在する(表13、最初の8列)。しかし、24週間の抗体ウォッシュアウト期間の終わりでは、どの用量群からのどの動物においても、アルファ細胞の過形成の兆候も肥厚の兆候も存在しなかった(表13、最後の4列)。したがって、高用量のmAb5を用いた慢性の長期処置は肥厚を伴ったまたは伴わない膵臓アルファ細胞の過形成をもたらし得るが、これらの特徴は抗体ウォッシュアウトの後に完全に逆転可能である。
これらの結果は、カニクイザルにおいて、mAb5処置後の膵島のアルファ細胞の変化が、治療用抗体のレベルが最小の効果のある閾値未満に落ち、グルカゴンシグナル伝達の遮断が解放された後に完全に逆転可能であることを実証している。
(実施例13)
肝細胞グリコーゲン沈着の逆転
本実施例では、高用量の抗グルカゴン受容体拮抗抗体で処置した対象における、肝細胞グリコーゲン沈着の逆転を例示する。
カニクイザルにおいて、単一用量の3mg/kgのmAb5がグルカゴンチャレンジ後にグルコース偏位を有効に阻害する(上記実施例3を参照)。この慢性研究のために選択された用量(10、50、および200mg/kg)は、グルカゴンシグナルの完全な遮断を生じると予想される。それぞれが各性別の動物を3匹ずつ含む、細身のナイーブなサルの4つのコホートに、10mg/kgのmAb5を週に1回、IVまたはSC注射によって、合計13週間の間与えた。各性別5匹ずつの細身のナイーブなサルのさらに6つのコホートに、それぞれ50mg/kgのmAb5を週に1回、IV注射によって、または200mg/kgのmAb5を週に1回、IVまたはSC注射によって、合計13週間の間与えた。対照として、各性別5匹ずつの細身のナイーブなサルに、週に1回、ビヒクルの注射(IVおよびSC経路の両方によって)を13週間の間与えた。
投薬期間の終わりに、コホートあたり3匹の動物からの肝臓を採取し、固定し、切片にし、標準のH&EおよびPAS染色技法を使用して染色した。肝臓を、肝細胞グリコーゲン沈着の増加について検査およびスコアづけした。その後、選択されたコホートからの各性別2匹ずつの動物を(対照、50mg/kgのIV、200mg/kgのIV、200mg/kgのSC)、mAb5投薬の中断後の24週間の回復期間の間追跡して、抗体レベルを効果のある閾値未満まで落とさせた(「抗体ウォッシュアウト」)。この期間の終わりに、これらの動物からの肝臓を同様に分析した。本研究からのデータを表15に要約する。
13週間のmAb5処置後に一部の動物において肝細胞グリコーゲンの増加が観察された(表15)。たとえば、10mg/kgのSCのmAb5を投薬した2匹の雄、50mg/kgのIVのmAb5を投薬した1匹の雌、200mg/kgのIVのmAbを投薬した3匹の雄および2匹の雌、ならびに200mg/kgのSCのmAb5を投薬した2匹の雄が、肝細胞グリコーゲンの増加について陽性スコアとなった(表15、最初の7列)。しかし、mAb5ウォッシュアウト時間の後では、どの用量群からのどの動物においても肝細胞グリコーゲンの増加の兆候は観察されなかった(表15、最後の4列)。したがって、高用量のmAb5を用いた慢性の長期処置は肝細胞グリコーゲン沈着の変化をもたらし得るが、この変化は抗体ウォッシュアウトの後に完全に逆転可能である。
これらの結果は、カニクイザルにおいて、抗グルカゴン受容体拮抗抗体処置後の肝細胞中のグリコーゲン蓄積の変化が、治療用抗体のレベルが最小の効果のある閾値未満に落ち、グルカゴンシグナル伝達の遮断が解放された後に完全に逆転可能であることを実証している。
(実施例14)
2型糖尿病のマウスモデルにおけるin vivoの有効性
本実施例では、2型糖尿病のマウスモデルにおける抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた処置を例示する。
レプチン欠損の雄のob/obマウスは著しい食欲亢進を示し、高血糖症、高インスリン血症、および肥満症がもたらされる。本研究では、雄のob/obマウスに単一用量のmAb3を以下の用量で投与した:10mg/kg、3mg/kg、1mg/kg、または0.3mg/kg(各用量群でn=5匹)。対照動物にはmAb3の代わりにPBSを投与した。血液試料をすべての動物から(摂食状態で)以下の時点で採取した:投薬前、ならびに投薬後の1、2、5、6、7、9、12、13、および20日目。携帯用One Touch(登録商標)グルコース計を使用して、全血試料をグルコース濃度について分析した。平均絶対的グルコース値+/−SEMを表16に示す。
表16に示すように、抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3の単一の腹腔内注射の投与は、その処置前のベースラインまたはビヒクルで処置した群と比較して、これらのマウスの著しいかつ持続的な摂食血糖値の低下を生じる。効果の持続期間は用量応答性を示し、10mg/kgの用量が最長の効果持続期間を有しており、1mg/kgの用量が最短の効果持続期間を有していた(表16)。10、3、または1mg/kgの抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3で処置した動物は、mAb3投薬の1日および2日後に顕著に改善された摂食グルコースレベルを有していた(表16、2および3段)。
単一用量の10または3mg/kgのmAb3は、グルコース低下において比較できるほどの最大効果を生じた。たとえば、10mg/kgのmAb3を用いた処置の6日後では、マウスの摂食血糖値は75.60±7.71mg/dLであり、3mg/kgのmAb3を用いた処置の2日後では、マウスの摂食血糖値は79.20±3.62mg/dLであった。相対的に、mAb3の代わりにPBSを与えた対照動物では、摂食血糖値がはるかにより高かった、すなわち、投薬後の2日目に261.80±28.13mg/dLおよび投薬後の6日目に241.20±43.40mg/dLであった。1mg/kgの用量はより低い効果を生じ、1mg/kgのmAb3を用いた処置の2日後では、マウスの摂食血糖値は124.00±8.79mg/dLであった。0.3mg/kgの用量では測定可能な効果は観察されなかった。
5日目までには、1mg/kgのmAb3で処置した動物におけるグルコースレベルは投薬前レベルに戻っていた。しかし、3または10mg/kgのmAb3のどちらかで処置した動物は、それぞれ投薬後の7日目および12日目まで改善された摂食グルコースレベルを保持していた(表16、4、6、および8段)。
これらの結果は、2型糖尿病のマウスモデルにおいて、抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3が摂食血糖値を有効に低下させることを実証している。
(実施例15)
2型糖尿病のマウスモデルにおけるin vivoの有効性
本実施例では、2型糖尿病のマウスモデルにおける抗グルカゴン受容体拮抗抗体を用いた処置を例示する。
HFD−DIOおよびob/obマウスは、2型糖尿病のすべてではなくても一部の要素の、一般に認められているモデルである。これらのモデルはどちらも明らかな肥満症を現す。両モデル種の3カ月齢の雄マウスに、抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3またはPBSのどちらかを投与した(n=10匹/群/マウスモデル)。mAb3は、10mg/kgで、週に1回の腹腔内注射によって、4週間にわたって投与し、PBSは同様の様式で対照動物に投与した。1、2および3週間の処置の終わりに、それぞれのマウスの体重を測定した。それぞれの時点で、それぞれの個々のマウスの重量は、その投薬前の開始重量のパーセンテージとして表した。それぞれの群の平均重量±SEMを決定した。結果を表17に要約する。
10mg/kgの抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3で処置したHFD−DIOおよびob/obマウスはどちらも、PBSで処置したマウスと比較して、4週間の研究期間にわたって体重増加が顕著により少なかった(表17)。たとえば、HFD−DIOマウスでは、平均体重がベースラインの119.42±1.41%であったPBSを与えた動物と比較して、mAb3で処置した動物の平均体重はベースラインの114.99±1.23%であった。要約すると、PBSで処置したマウスと比較して、mAb3を用いた処置はHFD−DIOマウスおよびob/obマウスのどちらにおいても体重増加を顕著に低下させた。
これらの結果は、2型糖尿病の2つの異なるマウスモデルにおいて、抗グルカゴン受容体拮抗抗体が体重増加させることができることを実証している。
(実施例16)
組合せ処置
本実施例では、マウスにおける抗グルカゴン受容体拮抗抗体およびmTOR阻害剤を用いた組合せ処置を例示する。
げっ歯類におけるグルカゴンシグナル伝達の遮断は、膵臓アルファ(すなわちグルカゴン産生)細胞の数および/または大きさの増加をもたらすことが以前に実証されている。たとえば、Gellingら、2003、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、100(3):1438〜1443(GCGRヌルマウス)、Sloopら、2004、J.Clin.Invest.、113(11):1571〜1581(アンチセンスオリゴヌクレオチド)、Guら、2009、J.Pharmacol.Exp.Ther.、331(3):871〜881(モノクローナル抗体)を参照されたい。マウスにおける抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3の投与(週に1回、i.p.)も同様に島あたりのアルファ細胞の数および合計面積を増加させることが示されており、これは、アルファ細胞数の増加および平均のアルファ細胞の大きさの増加を反映している。
本研究では、12週齢の雄のHFD−DIOマウス(n=5匹/群)に、週に1回の3mg/kgのmAb3の腹腔内注射、または1日1回の10mg/kgのラパマイシンの腹腔内投薬(水中に5%のエタノール、5.2%のTween−80、5.2%のPEG400で配合)のどちらかを、週に1回の3mg/kgの用量の抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb3と組み合わせて与えた。第3の群には対照としてPBSを与えた。
3週間の処置の後、動物を屠殺してその膵臓を採取し、固定し、切片にし、以前に記載のようにグルカゴン(島アルファ細胞を同定するため)およびインスリン(島ベータ細胞を同定するため)について染色した。組織のすべての非関連領域を排除する一方で、それぞれ抗グルカゴンまたは抗インスリン染色を使用してアルファまたはベータ細胞の領域を定量および特徴づけるためのアルゴリズムを作成した。また、ヘマトキシリン対比染色を使用してそれぞれの領域内の核の数も決定し、これを使用して、それぞれの島の領域(アルファ/ベータ)に対する平均細胞数および平均の細胞の大きさを計算した。
研究データを以下の表18に要約する。表18は、(a)アルファ細胞の数、%アルファ細胞数/島+/−SEMとして定量、(b)アルファ細胞によって占有される全体的な面積、%アルファ細胞の面積/島+/−SEMとして定量、および(c)平均のアルファ細胞の大きさ、ピクセルとして測定を提供する。
ビヒクルのみを投与したマウスと比較して、mAb3で処置したHFD−DIOマウスにおいてアルファ細胞数(アルファ細胞の過形成)およびアルファ細胞の大きさ(アルファ細胞の肥厚)の増加が観察された(表18)。しかし、これらの増加したアルファ細胞の数および大きさの測度は、HFD−DIOマウスにおいてmAb3をラパマイシン処置と同時投与した場合には存在しなかった(表18、最後の段)。
これらのデータは、mTORシグナル伝達がアルファ細胞の過形成の媒介に役割を果たし得ることを実証している。また。これらのデータは、mTOR阻害剤を用いた同時処置は、グルカゴン受容体活性を遮断することによって誘発される肥厚および過形成を低下させることも実証している。
(実施例17)
カニクイザルにおけるin vivoの有効性
本実施例では、カニクイザルにおける、グルカゴンチャレンジ後の血漿グルコースレベルに対する抗グルカゴン受容体拮抗抗体の効果を例示する。
動物へのグルカゴンの静脈内ボーラスの投与は、肝臓でのグルカゴンシグナル伝達の結果として血漿グルコースの上昇をもたらす(グルカゴンチャレンジ)。急性グルカゴンシグナル伝達をin vivoで遮断することに有効なmAb5の用量を決定するために、グルカゴンチャレンジを行う1時間前に1、3、または30mg/kgの抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb5を与えた細身のナイーブな雌のカニクイザルにおいてグルカゴンチャレンジパラダイムを実施した。それぞれの動物コホートにおいて、グルカゴンチャレンジは2回の別々の機会に行った。1回目のチャレンジは、投薬後の応答を比較するための、それぞれの動物の投薬前ベースラインを確立するために、サルにmAb5を与える5日前であり、2回目のチャレンジは、サルにmAb5の投薬を与えた1時間後であった。
それぞれのグルカゴンチャレンジについて、20μg/kgのグルカゴンのIVボーラス(GlucaGen(登録商標)Hypokits(登録商標))を0時点に投与した。以下の時点で血液試料をすべての動物から採取した:チャレンジの直前、ならびにチャレンジの5、15、30、45、60、および120分後。臨床用化学分析器を使用して、血漿試料を血漿グルコース濃度について分析した。結果(グルコースレベルの平均変化+/−SEM、単位はmg/dL)を表19に要約する。動物間の開始血糖値のばらつきが理由で、データは、チャレンジ前の値からの絶対的グルコース値の変化として示す。
それぞれの群において、−5日目に、事前のmAb5処置なしのグルカゴンチャレンジは血漿グルコースレベルの増加をもたらし、これは、肝臓がグルコース産生を増加する生理的応答およびグルカゴン刺激の結果としてのアウトプットを反映している(ベースライン)(表19、「ベースラインでのGC」と表示した段)。グルコースレベルはグルカゴンチャレンジの15分後にピークとなり、一般に、チャレンジの60〜120分後にチャレンジ前またはさらにより低いレベルまで戻った。
グルカゴンチャレンジの1時間前にmAb5を用いた処置を行うことで、ベースライン応答と比較して、グルカゴンチャレンジに対するグルコース応答の著しい阻害がもたらされた(表19、「MAb5の1時間後でのGC」と表示した段)。これらの群におけるピークグルコース偏位は最小限であり、一部の場合では負数であり、一般により早い時点で観察され、正常または実際にチャレンジ前よりも低いレベルまでより急速に戻った。たとえば、GCの15分後では(ベースラインチャレンジ中にグルコースレベルがピークとなった時点)、30mg/kgのmAb5で処置した動物の血糖値はチャレンジ前よりも16.67±14.17mg/dL低かった。しかし、MAb5処置なしのGCの15分後では、これらの同じ動物の血糖値はチャレンジ前よりも45.67±6.84mg/dL高かった。GCの15分後では、3mg/kgのmAb5で処置した動物の血糖値はチャレンジ前よりも16.25±22.45mg/dL高かった。対照的に、MAb5処置なしのGCの15分後では、これらの同じ動物の血糖値はチャレンジ前よりも56.75±26.52mg/dL高かった。GCの15分後では、1mg/kgのmAb5で処置した動物の血糖値はチャレンジ前よりも1.00±14.73mg/dL高かった。対照的に、MAb5処置なしのGCの15分後では、これらの同じ動物の血糖値はチャレンジ前よりも52.00±14.19mg/dL高かった。30、3、または1mg/kgのmAb5の用量は、このパラダイムにおいて用量応答のない同様の有効性を示した。
これらの結果は、mAb5がグルカゴンシグナル伝達をin vivoで遮断することに有効であり、また、グルカゴンチャレンジ後に抗グルカゴン受容体拮抗抗体がグルコース偏位を有効に遮断することを実証している。
(実施例18)
カニクイザルにおけるin vivoの有効性
本実施例では、カニクイザルにおける、グルカゴンチャレンジ後の血漿グルコースレベルに対する抗グルカゴン受容体拮抗抗体の効果を例示する。
動物へのグルカゴンの静脈内ボーラスの投与は、肝臓でのグルカゴンシグナル伝達の結果として血漿グルコースの上昇をもたらす(グルカゴンチャレンジ)。急性グルカゴンシグナル伝達をin vivoで遮断することに有効であり得るmAb5の他の用量を決定するために、グルカゴンチャレンジを行う1時間前に1.78、0.24、または0.026mg/kgの抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb5を与えた細身のナイーブな雌のカニクイザルにおいてグルカゴンチャレンジパラダイムを実施した。動物の追加のコホートにPBSビヒクルのみを与えた(n=4匹/群)。それぞれの動物コホートにおいて、グルカゴンチャレンジは3回の別々の機会に行った。1回目のチャレンジは、それぞれの動物の投薬前ベースラインを確立し、すべての動物がグルカゴン応答性であることを確実にするために、サルにmAb5を与える3日前であり、2回目のチャレンジは、サルにmAb5の投薬を与えた1時間後であり、3回目のチャレンジは、サルにmAb5の投薬を与えた1週間後であった。
それぞれのグルカゴンチャレンジについて、20μg/kgのグルカゴンのIVボーラス(GlucaGen(登録商標)Hypokits(登録商標))を0時点に投与した。以下の時点で血液試料をすべての動物から採取した:チャレンジ前、ならびにチャレンジの5、15、30、45、60、および120分後。臨床用化学分析器を使用して、血漿試料を血漿グルコース濃度について分析した。2回目および3回目のチャレンジからの結果(グルコースレベルの平均変化+/−SEM、単位はmg/dL)を表20に要約する。動物間の開始血糖値のばらつきが理由で、データは、その日に採取したチャレンジ前の値からの絶対的グルコース値の変化として示す。
mAb5で処置した動物におけるグルカゴンチャレンジ(GC)後の血糖値の変化は、同じ日にGCを受ける、PBSで事前処置した動物の血糖値の変化と比較することができる(表20)。ピークグルコースレベルは、一般に5分の時点で観察された。0.026および0.24mg/kgのmAb5の投薬の1時間後のGC中、グルコース応答の低下は、あったとしても非常にわずかしか見られなかった。たとえば、mAb5の代わりにPBSを与えた動物における34.75±5.57mg/dLの増加と比較して、0.026および0.24mg/kgのmAb5で処置した1時間後にチャレンジした動物では、それぞれ30.25±6.65mg/dLおよび44.25±6.21mg/dLの血糖値の増加がピークグルコースレベルで観察された(表20)。8日目までには、0.026および0.24mg/kgのmAb5投薬群における応答は対照動物と同様であった。
しかし、1.78mg/kgのmAb5処置群では、投薬の1時間後でのグルカゴン応答の中等度の阻害が観察された。1.78mg/kgのmAb5で処置した動物では、血漿グルコースレベルは他の群よりも低く、5分でピークとなり(22.25±1.49mg/dL)、チャレンジの30〜45分後までにベースラインまたはそれ未満まで戻った(表20)。このグルカゴン応答の阻害は、mAb5投与の7日後に反復グルカゴンチャレンジを実施した場合にさえも観察された(表20)。また、1.78mg/kgのmAb5の顕著な処置効果は、ビヒクルで処置した群における血漿グルコースレベル(85.50±8.17mg/dL)と比較して、チャレンジ前(すなわち絶食)血漿グルコースレベルを低下させる(60.0±3.79mg/dL)ことにおいても明白であった。
これらの結果は、グルカゴンチャレンジ後に抗グルカゴン受容体拮抗抗体がグルコース偏位を有効に遮断することを実証している。
(実施例19)
エピトープマッピング
抗グルカゴン受容体拮抗抗体mAb5の結晶構造およびmAb5:グルカゴン受容体複合体の結晶構造を使用して、mAb5によって認識されるヒトグルカゴン受容体上のエピトープを特徴づけた。mAb5:グルカゴン受容体の結晶構造とグルカゴン受容体構造単独との間の接近可能な表面積の相違を計算することによって、結合に関与しているグルカゴン受容体残基を同定した。mAb5抗体との複合体形成の際に埋もれた表面積を示すグルカゴン受容体残基がエピトープの一部として含められた。溶媒が接近可能なタンパク質の表面は、タンパク質のファンデルワールス表面を転がっていく際のプローブ球(半径1.4Aの溶媒分子を表す)の中心位置として定義した。溶媒が接近可能な表面積は、プログラムMODELLER(A.SaliおよびT.L.Blundell.、J.Mol.Biol.、234、779〜815、1993)によって実装されているように、各原子の周りの拡張球上に表面点を作製し(原子およびプローブの半径の合計に等しい、原子中心からの距離で)、隣接原子と会合している等価な球内にあるものを排除することによって計算した。結晶構造の分析に基づいて、mAb5によって認識されるグルカゴン受容体上の構造的エピトープは、ヒトグルカゴン受容体の位置31、33〜38、40〜42、44〜45、48、62、および64のアミノ酸残基を含む(配列番号1)。
大きなタンパク質−タンパク質界面の結合エネルギーを支配する残基が何であるかは、「機能的エピトープ」と呼ばれている(Cunningham,B.C.およびWells,J.A.、1993、J.Mol.Biol.、234、554〜563)。その結果、相互作用の親和性(したがって生物学的特異性)はリガンドおよび受容体の機能的エピトープの構造的相補性によって定義される。詳細な突然変異誘発の研究により、サイトカインおよび受容体の機能的エピトープを作り上げる最も重要な残基は、トリプトファンなどの非極性側鎖、非極性側鎖の脂肪族構成成分、またはポリペプチド主鎖のいずれかに関与する疎水性接触であることが示されている。非極性の「コア」は、結合エネルギーにおいて重要性がより低い極性残基のハローによって取り囲まれている。動力学的研究により、機能的エピトープの主な役割は、複合体の解離速度を減少させることによってタンパク質−タンパク質の相互作用を安定化することであることが示されている。サイトカインと受容体との間の初期接触は、多くの不安定な接触を生じるランダム拡散またはタンパク質表面の「転がり」によって支配されていることが示唆されている。その後、複合体は、受容体の機能的エピトープとリガンドとが結合する際に安定化される(たとえばBravoおよびHeath、2000、EMBO J.、19:2399〜2411を参照)。
酵母ディスプレイを使用して、mAb5によって認識されるグルカゴン受容体上の機能的エピトープに関与しているアミノ酸残基を決定した。グルカゴン受容体細胞外ドメイン(GCGR−ECD)の単一点突然変異体のライブラリを酵母細胞上に提示させた。その後、GCGR−ECDを発現する酵母細胞(「元のライブラリ」)を、蛍光標識したmAb5または蛍光標識した非mAb5抗グルカゴン受容体抗体のプールのどちらかと共にインキュベーションした。野生型グルカゴン受容体を陽性対照として使用した。野生型GCGR−ECDと比較して抗体結合が減少したGCGR−ECD突然変異体を提示する酵母細胞を、FACSによって単離した。この細胞集団(「濃縮ライブラリ」)をディープシークエンシングし、データ分析して、それぞれの突然変異体の濃縮を決定した。濃縮とは、元のライブラリにおけるその発生率と比較した、濃縮されたライブラリ(FACS単離後)中の特定の突然変異体の発生率として定義され、たとえば、濃縮4.0とは、突然変異体が、元のライブラリ中に見つかるよりも4倍の頻度で濃縮されたライブラリ中に存在することを意味する。より高い濃縮は、より低い結合親和性を有するGCGR−ECD突然変異体に対応する。3回のパニングを実施し、3回の異なる回の間に一貫性があった。表21は酵母ディスプレイ分析の結果を要約している。
いずれかの回において3より高い濃縮を有する突然変異位置は、mAb5によって認識されるグルカゴン受容体上の機能的エピトープの一部であるとみなされる。酵母ディスプレイ分析に基づいて、mAb5によって認識されるグルカゴン受容体上の機能的エピトープは、配列番号1の位置33、36、38、41、44、45、および60のアミノ酸残基に関与している(表21、太字の位置)。位置60が、構造的エピトープ中には見つからない唯一の濃縮された残基であり、これは非mAb5抗体のプール中でも濃縮されており、この位置の残基がタンパク質の折り畳みを乱すことを示している。
突然変異体ライブラリおよび構造的エピトープ中のどの位置が濃縮されていないかを決定するための分析を実施した。構造的エピトープ中の15個の位置のうち、11個の位置は突然変異体ライブラリ中にも存在する。これらの11個の位置のうち、6個の位置が濃縮されている。機能的エピトープ中の5個の濃縮されていない位置は、31、34、42、48、および64である。すべての濃縮されていない位置は、構造的エピトープの周辺に位置する。
開示されている教示は様々な応用、方法、キット、および組成物を参照して記載されているが、本明細書中および以下に特許請求される発明の教示から逸脱せずに様々な変化および改変が可能であることを理解されたい。前述の例は開示されている教示をより良好に例示するために提供するものであり、本明細書中に提示する教示の範囲を限定することを意図しない。本教示はこれらの例示的な実施形態に関して記載されているが、当業者には、これらの例示的な実施形態の数々の変形および改変が必要以上の実験を行わずに可能であることを容易に理解されるであろう。すべてのそのような変形およい改変が本教示の範囲内にある。
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