本明細書において別途定義されない限り、本開示と関連して使用される科学用語および技術用語は当業者によって一般的に理解される意味を持つものとする。さらに、文脈から特に必要とされない限り、単数形の用語は複数のものを含むものとし、複数形の用語は単数のものを含むものとする。概して、本明細書に記載される細胞と組織の培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、およびタンパク質と核酸の化学、およびハイブリダイゼーションと関連して使用される命名法およびそれらの技術は当技術分野において一般的に使用され、且つ、よく知られているものである。概して、本開示の方法および技術は別段の指示が無い限り当技術分野においてよく知られている従来法に従って、ならびに本明細書を通して引用および議論される様々な一般的参照文献およびより特定的な参照文献に記載されているように実施される。例えば、参照により本明細書に援用されるSambrookら著、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版局、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州(1989年)、およびAusubelら著、Current Protocols in Molecular Biology、グリーン・パブリッシング・アソシエーツ(1992年)、ならびにHarlowおよびLane著、Antibodies:A Laboratory Manual、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版局、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州(1990年)を参照されたい。酵素反応および精製技術は製造業者の仕様書に従って、当技術分野において一般的に遂行されるように、または本明細書に記載されるように実施される。本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、および医薬化学と関連して使用される命名法ならびにそれらの実験技法および実験技術は当技術分野において一般的に使用され、且つ、よく知られているものである。化学合成、化学分析、医薬調製、製剤、および送達、および患者の治療には標準的技術が使用される。
定義
「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語はそれぞれペプチド結合によって相互に結合した2個以上のアミノ酸残基を含む分子を指す。これらの用語は、例えば、あるタンパク質配列の天然タンパク質と人工タンパク質、タンパク質断片およびポリペプチド類似体(改変タンパク質、変異体、および融合タンパク質等)ならびに翻訳後に改変されたか、または他の場合では共有結合または非共有結合によって改変されたタンパク質を包含する。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は単量体でも多量体でもあり得る。ある特定の実施形態において、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」はペプチド結合を介して連結しているα炭素を有するアミノ酸鎖である。したがって、その鎖の一方の末端(アミノ末端)の末端アミノ酸は遊離アミノ基を有し、その鎖の他方の末端(カルボキシ末端)の末端アミノ酸は遊離カルボキシル基を有する。本明細書において使用される場合、「アミノ末端」(N末端と略される)という用語はペプチドのアミノ末端のアミノ酸上の遊離α−アミノ基、またはそのペプチド内の他のいずれかの位置にあるアミノ酸のα−アミノ基(ペプチド結合に関与しているときはイミノ基)を指す。同様に、「カルボキシ末端」という用語はペプチドのカルボキシ末端上の遊離カルボキシル基、またはそのペプチド内の他のいずれかの位置にあるアミノ酸のカルボキシル基を指す。ペプチドにはまた、アミド結合と対照的にエーテル結合によって結合したアミノ酸などのペプチド模倣物を含むがこれらに限定されないあらゆるポリアミノ酸が基本的に含まれる。
ポリヌクレオチド配列とポリペプチド配列は標準的な1文字または3文字の略記を用いて表示される。別段の指示が無い限り、ポリペプチド配列はそれらのアミノ末端を左側に有し、且つ、それらのカルボキシ末端を右側に有し、一本鎖核酸配列と二本鎖核酸配列のトップストランドはそれらの5’末端を左側に有し、且つ、それらの3’末端を右側に有する。ポリペプチドの特定の区域はアミノ酸80〜119のようにアミノ酸残基番号によるか、またはSer80〜Ser119のようにその部位の実際の残基によって指定され得る。特定のポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列はどのくらいその配列が基準配列と異なっているか説明することによっても記載され得る。
本開示のポリペプチドにはあらゆる理由のために、例えば、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させるため、(2)酸化に対する感受性を低下させるため、(3)タンパク質複合体形成向けに結合親和性を変化させるため、(4)結合親和性を変化させるため、および(5)他の物理化学的特性または機能的特性を付与または改変するために多少なりとも改変されているポリペプチドが含まれる。例えば、単一アミノ酸置換または多重アミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)が天然配列の中に(例えば、分子間接触部を形成するドメインの外側にあるポリペプチド部分の中に)起きて良い。「保存的アミノ酸置換」は機能的に類似のアミノ酸によるアミノ酸のポリペプチド中での置換を指す。次の6群は相互に保存的置換物であるアミノ酸をそれぞれ含む。
アラニン(A)、セリン(S)、およびトレオニン(T)
アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)
アスパラギン(N)およびグルタミン(Q)
アルギニン(R)およびリシン(K)
イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、およびバリン(V)
フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、およびトリプトファン(W)
「非保存的アミノ酸置換」はこれらのクラスのうちの1つのクラスのメンバーによる別のクラスのメンバーに対する置換を指す。ある特定の実施形態によると、そのような変更を行うときにアミノ酸の疎水性親水性指標を考慮して良い。それぞれのアミノ酸にはその疎水性特性と電荷特性に基づいて疎水性親水性指標が割り当てられている。疎水性親水性指標はイソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リシン(−3.9)、およびアルギニン(−4.5)である。
相互作用性生物学的機能をタンパク質に付与する際の疎水性親水性アミノ酸指標の重要性が当技術分野において理解されている(例えば、Kyteら著、1982年、J.Mol.Biol.誌、第157巻:105〜131頁を参照されたい)。ある特定のアミノ酸を類似の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸に対して置換して良く、それでもなお類似の生物活性が保持されることが知られている。疎水性親水性指標に基づいて変更を行う際に±2以内の疎水性親水性指標を有するアミノ酸の置換がある特定の実施形態に含まれる。±1以内の疎水性親水性指標を有するアミノ酸の置換がある特定の実施形態に含まれ、±0.5以内の疎水性親水性指標を有するアミノ酸の置換がある特定の実施形態に含まれる。
類似のアミノ酸の置換は、特にそれによって作製された生物学的に機能的なタンパク質またはペプチドを本明細書において開示されるように免疫学的実施形態に使用するつもりである場合、親水性に基づいて効果的に行われ得ることも当技術分野において理解されている。ある特定の実施形態において、タンパク質の最大局所的平均親水性はその隣接するアミノ酸の親水性によって影響され、そのタンパク質の免疫原性と抗原性、すなわちそのタンパク質の生物学的特性と相関する。
次の親水性値がこれらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0)、リシン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、トレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)およびトリプトファン(−3.4)。類似の親水性値に基づいて変更を行う際に±2以内の親水性値を有するアミノ酸の置換がある特定の実施形態に含まれ、±1以内の親水性値を有するアミノ酸の置換がある特定の実施形態に含まれ、±0.5以内の親水性値を有するアミノ酸の置換がある特定の実施形態に含まれる。例となるアミノ酸置換が表1に示されている。
当業者はよく知られている技術を用いて本明細書において明記されるポリペプチドの適切な変異体を決定することができる。ある特定の実施形態において、当業者は、活性にとって重要であると考えられていない領域を標的とすることによって活性を損なうことなく変更することができる分子の適切な領域を特定することができる。他の実施形態において、当業者は類似のポリペプチドの間で保存されているそれらの分子の残基および部分を特定することができる。追加の実施形態において、生物活性または構造にとって重要であり得る領域ですら、生物活性を損なうことがない、またはポリペプチド構造に悪影響を与えることがない保存的アミノ酸置換の対象とされ得る。
加えて、当業者は類似のポリペプチド中の残基であって、活性または構造にとって重要であるそれらの残基を特定する構造機能研究を再検討することができる。そのような比較を考慮すると、当業者はあるポリペプチド中のアミノ酸残基であって、類似のポリペプチドにおける活性または構造にとって重要なアミノ酸残基に対応するそれらアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者はそのような予測された重要なアミノ酸残基に対する化学的に類似のアミノ酸置換を選択することができる。
当業者は三次元構造およびアミノ酸配列を類似のポリペプチド中のその構造と関連して分析することもできる。そのような情報を考慮すると、当業者はポリペプチドのアミノ酸残基の整列をその三次元構造に関して予測することができる。ある特定の実施形態において、そのポリペプチドの表面上にあると予測されるアミノ酸残基は他の分子との重要な相互作用に関与し得るので、当業者はそのような残基に対して極端な変更を行わないことを選択することができる。また、当業者はそれぞれの所望のアミノ酸残基の位置に単一のアミノ酸置換を有する検査変異体を作製することができる。次に、当業者に知られている活性アッセイ法を用いてそれらの変異体をスクリーニングすることができる。適切な変異体についての情報を集めるためにそのような変異体を使用することが可能である。例えば、特定のアミノ酸残基に対する変更が活性の棄損、活性の望ましくない低下、または不適切な活性を引き起こすことが分かった場合、そのような変更を有する変異体を回避することができる。言い換えると、当業者は、さらなる置換が単独で、または他の突然変異と組み合わせて回避されるべき位置にあるアミノ酸をそのような日常の実験から集められた情報に基づいて容易に決定することができる。
本明細書において使用される「ポリペプチド断片」および「短縮型ポリペプチド」という用語は、対応する完全長タンパク質と比較してアミノ末端欠失および/またはカルボキシ末端欠失を有するポリペプチドを指す。ある特定の実施形態において、断片は、例えば、少なくとも5アミノ酸長、少なくとも10アミノ酸長、少なくとも25アミノ酸長、少なくとも50アミノ酸長、少なくとも100アミノ酸長、少なくとも150アミノ酸長、少なくとも200アミノ酸長、少なくとも250アミノ酸長、少なくとも300アミノ酸長、少なくとも350アミノ酸長、少なくとも400アミノ酸長、少なくとも450アミノ酸長、少なくとも500アミノ酸長、少なくとも600アミノ酸長、少なくとも700アミノ酸長、少なくとも800アミノ酸長、少なくとも900アミノ酸長、または少なくとも1000アミノ酸長であり得る。ある特定の実施形態において、断片は、例えば、多くとも1000アミノ酸長、多くとも900アミノ酸長、多くとも800アミノ酸長、多くとも700アミノ酸長、多くとも600アミノ酸長、多くとも500アミノ酸長、多くとも450アミノ酸長、多くとも400アミノ酸長、多くとも350アミノ酸長、多くとも300アミノ酸長、多くとも250アミノ酸長、多くとも200アミノ酸長、多くとも150アミノ酸長、多くとも100アミノ酸長、多くとも50アミノ酸長、多くとも25アミノ酸長、多くとも10アミノ酸長、または多くとも5アミノ酸長でもあり得る。断片はその末端のうちの一方または両方のどちらかに1個以上の追加アミノ酸、例えば、異なる天然タンパク質に由来するアミノ酸の配列(例えば、Fcドメインまたはロイシンジッパードメイン)または人工アミノ酸配列(例えば、人工リンカー配列)をさらに含み得る。
本明細書において使用される「ポリペプチド変異体」および「ポリペプチド突然変異体」という用語は、あるアミノ酸配列を備え、別のポリペプチド配列との関連で1個以上のアミノ酸残基がそのアミノ酸配列に挿入され、そのアミノ酸配列から欠失され、および/またはそのアミノ酸配列に置換されているポリペプチドを指す。ある特定の実施形態において、挿入、欠失、または置換されるアミノ酸残基の数は、例えば、少なくとも1アミノ酸長、少なくとも2アミノ酸長、少なくとも3アミノ酸長、少なくとも4アミノ酸長、少なくとも5アミノ酸長、少なくとも10アミノ酸長、少なくとも25アミノ酸長、少なくとも50アミノ酸長、少なくとも75アミノ酸長、少なくとも100アミノ酸長、少なくとも125アミノ酸長、少なくとも150アミノ酸長、少なくとも175アミノ酸長、少なくとも200アミノ酸長、少なくとも225アミノ酸長、少なくとも250アミノ酸長、少なくとも275アミノ酸長、少なくとも300アミノ酸長、少なくとも350アミノ酸長、少なくとも400アミノ酸長、少なくとも450アミノ酸長、または少なくとも500アミノ酸長であり得る。本開示の変異体には融合タンパク質が含まれる。
ポリペプチドの「誘導体」は化学的に改変されているポリペプチド、例えば、別の化学部分への結合、例えばポリエチレングリコールへの結合、アルブミン(例えばヒト血清アルブミン)への結合、リン酸化、およびグリコシル化があるポリペプチドである。
「%配列同一性」という用語は本明細書において「%同一性」という用語と互換的に使用され、配列アラインメントプログラムを使用して整列させたときの2つ以上のペプチド配列の間のアミノ酸配列同一性のレベル、または2つ以上のヌクレオチド配列の間のヌクレオチド配列同一性のレベルを指す。例えば、本明細書において使用される場合、80%の同一性は規定のアルゴリズムによって決定される80%配列同一性と同じ事を意味し、所与の配列が別の長さの別の配列に対して少なくとも80%同一であることを意味する。ある特定の実施形態において、その%同一性は、例えば、所与の配列に対する少なくとも60%の、少なくとも65%の、少なくとも70%の、少なくとも75%の、少なくとも80%の、少なくとも85%の、少なくとも90%の、少なくとも95%、または少なくとも99%の、またはそれよりも高い配列同一性から選択される。ある特定の実施形態において、その%同一性は、例えば、約60%〜約70%、約70%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、または約95%〜約99%の範囲内にある。
「%配列相同性」という用語は本明細書において「%相同性」という用語と互換的に使用され、配列アラインメントプログラムを使用して整列させたときの2つ以上のペプチド配列の間のアミノ酸配列相同性のレベル、または2つ以上のヌクレオチド配列の間のヌクレオチド配列相同性のレベルを指す。例えば、本明細書において使用される場合、80%の相同性は規定のアルゴリズムによって決定される80%配列相同性と同じ事を意味し、したがって所与の配列のホモログがその所与の配列のある長さにわたって80%を超える配列相同性を有することを意味する。ある特定の実施形態において、その%相同性は、例えば、所与の配列に対する少なくとも60%の、少なくとも65%の、少なくとも70%の、少なくとも75%の、少なくとも80%の、少なくとも85%の、少なくとも90%の、少なくとも95%、または少なくとも99%の、またはそれより高い配列相同性から選択される。ある特定の実施形態において、その%相同性は、例えば、約60%〜約70%、約70%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、または約95%〜約99%の範囲内にある。
2つの配列間の同一性を決定するために使用され得る例となるコンピュータープログラムにはNCBIウェッブサイトにおいてインターネット上で公開されているBLASTプログラム、例えば、BLASTN、BLASTX、およびTBLASTX、BLASTPおよびTBLASTNからなるパッケージが含まれるがこれらに限定されない。Altschulら著、1990年、J.Mol.Biol.誌、第215巻:403〜10頁(公表された初期設定、すなわちw=4、t=17のパラメーターに特に関連して)およびAltschulら著、1997年、Nucleic Acids Res.誌、第25巻:3389〜3402頁も参照されたい。配列検索は、所与のアミノ酸配列をGenBank Protein Sequencesおよび他の公開データベースの中のアミノ酸配列と比較して評価するときにBLASTPプログラムを使用して実行されることが典型的である。BLASTXプログラムは全てのリーディングフレームで翻訳された核酸配列をGenBank Protein Sequencesおよび他の公開データベースの中のアミノ酸配列に対して検索することにとって好ましい。BLASTPとBLASTXの両方は11.0のオープンギャップペナルティ―と1.0の伸長ギャップペナルティ―という初期パラメーターを使用して実行され、且つ、BLOSUM−62マトリックスを利用する。同文献を参照されたい。
パーセント配列同一性の算出に加え、BLASTアルゴリズムは2つの配列間の類似性の統計分析も実施する(例えば、KarlinおよびAltschul著、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA誌、第90巻:5873〜5787頁(1993年)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの基準は最小和確率(P(N))であり、それは2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の整合が偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、基準核酸に対する検査核酸の比較における最小和確率が例えば約0.1未満、約0.01未満、または約0.001未満である場合にその核酸はその基準配列に対して類似していると考えらえる。
「単離分子」という用語は(その分子が例えばポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体である場合に)その起源または誘導源によって(1)その分子の天然状態ではその分子に付随する天然結合成分と結合していない分子、(2)同じ種に由来する他の分子を実質的に含まない分子、(3)異なる種に由来する細胞によって発現される分子、または(4)自然界では生じない分子である。したがって、化学合成される分子、または自然界で起源となる細胞とは異なる細胞系で発現される分子は、その分子の天然結合成分から「単離」される。分子は、当技術分野においてよく知られている精製技術を用いて単離されることによって天然結合成分を実質的に含まないようにされても良い。分子の純度または均質性は当技術分野においてよく知られている多数の手段によってアッセイされ得る。例えば、ポリペプチド試料の純度は、当技術分野においてよく知られている技術を用いるポリアクリルアミドゲル電気泳動およびそのポリペプチドを可視化するためのそのゲルの染色を用いてアッセイされ得る。ある特定の目的のためにHPLCまたは当技術分野においてよく知られている精製のための他の手段を用いることでより高い解像度が提供され得る。
タンパク質またはポリペプチドは、試料の少なくとも約60%〜75%が単一種のポリペプチドを示すときに「実質的に純粋」であり、「実質的に均質」であり、または「実質的に精製」されている。実質的に純粋なポリペプチドまたはタンパク質はタンパク質試料の約50%(重量/重量)、60%(重量/重量)、70%(重量/重量)、80%(重量/重量)、または90%(重量/重量)を構成することが典型的であり、約95%を構成することがより一般的であり、例えば、それは99%を超える。タンパク質の純度または均質性は、タンパク質試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動とそれに続く当技術分野においてよく知られている染色液によるそのゲルの染色時の単一ポリペプチドバンドの視覚化などの当技術分野においてよく知られている多数の手段によって示され得る。ある特定の目的のためにHPLCまたは当技術分野においてよく知られている精製のための他の手段を用いることでより高い解像度が提供され得る。
「抗原結合性拮抗タンパク質」は、抗原に結合する部分を含み、且つ、その抗原へのその単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の結合を促進する構造をその抗原結合部分に採らせるスキャフォルドまたはフレームワーク部分を含んでも良いタンパク質である。抗原結合性拮抗タンパク質の例には抗体、抗体断片(例えば、抗体の抗原結合部分)、抗体誘導体、および抗体類似体が挙げられる。その単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、例えば、移入されたCDRまたはCDR派生物を有する代替的タンパク質スキャフォルドまたは人工スキャフォルドを含み得る。そのようなスキャフォルドには、例えば前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の三次元構造を安定化するために導入された突然変異を含む抗体由来スキャフォルド、ならびに例えば生体適合性重合体を含む完全合成スキャフォルドが含まれるがこれらに限定されない。例えば、Korndorferら著、2003年、Proteins:Structure,Function,and Bioinformatics誌、第53巻、第1号:121〜129頁(2003年)、Roqueら著、Biotechnol.Prog.誌、第20巻:639〜654頁(2004年)を参照されたい。加えて、ペプチド抗体模倣物(「PAM」)ならびにスキャフォルドとしてフィブロネクション成分を利用する抗体模倣物に基づくスキャフォルドを使用することができる。
単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、例えば、天然免疫グロブリンの構造を有し得る。「免疫グロブリン」は四量体分子である。天然免疫グロブリンではそれぞれの四量体が二対の同一のポリペプチド鎖から構成され、それぞれのペアが1本の「軽」鎖(約25kDa)と1本の「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識に対して最終的な責任がある約100アミノ酸〜110アミノ酸、またはそれより多くのアミノ酸からなる可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分はエフェクター機能に対して最終的な責任がある定常領域を規定する。ヒト軽鎖はカッパ軽鎖とラムダ軽鎖に分類される。重鎖はミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンとして分類され、その抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして規定する。軽鎖と重鎖の内部では可変領域と定常領域が約12個以上のアミノ酸からなる「J」領域によって連結されており、重鎖はさらに約10個多いアミノ酸からなる「D」領域も含む。Fundamental Immunology、第7章(Paul,W.編、第2版、レイブン・プレス、ニューヨーク(1989年))を全般的に参照されたい(全ての目的のために参照によりその全体が援用される)。完全な免疫グロブリンが2つの結合部位を有するように各軽鎖/重鎖対の可変領域が抗体結合部位を形成する。
「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的または部分的にコードされ、且つ、腫瘍抗原に対する特異性または病理状態で過剰発現された分子に対する特異性を有する1つ以上のポリペプチドを含むタンパク質を指す。広く認められている免疫グロブリン遺伝子にはカッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミューの定常領域遺伝子、ならびにこれらの遺伝子のサブタイプおよび多種多様な免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖(LC)はカッパまたはラムダのどちらかとして分類される。重鎖(HC)はガンマ、ミュー、アルファ、デアルタ、またはイプシロンとして分類され、それらは次にそれぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEの免疫グロブリンクラスを規定する。典型的な免疫グロブリン(例えば抗体)構造単位は四量体を含む。各四量体は二対の同一のポリペプチド鎖から構成され、それぞれのペアが1本の「軽」鎖(約25kD)と1本の「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端は抗原認識に対して最終的な責任がある約100アミノ酸〜110アミノ酸、またはそれより多くのアミノ酸からなる可変領域を規定する。
完全長抗体では各重鎖は重鎖可変領域(本明細書においてHCVRまたはVHと略記される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域はCH1、CH2およびCH3の3ドメイン(および幾つかの例ではCH4)から構成される。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書においてLCVRまたはVLと略記される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域はCLの1ドメインから構成される。VH領域とVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存的な領域が散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細かく分割され得る。VHとVLのそれぞれがアミノ末端からカルボキシ末端に向かって次の順序、すなわちFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されている3つのCDRと4つのFRから構成される。フレームワーク領域とCDRの範囲が規定されている。様々な軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列がヒトなどの種の内部で比較的に保存されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち構成要素である軽鎖と重鎖のフレームワーク領域複合体は三次元空間内でCDRを配置および配列するように働く。免疫グロブリン分子はいずれかのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの分子であり得る。
抗体は完全な免疫グロブリンとして、または多数のよく特徴づけられた断片として存在する。そのような断片には標的抗原に結合するFab断片、Fab’断片、Fab2、F(ab)’2断片、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)が含まれる。scFvタンパク質は免疫グロブリンの軽鎖可変領域と免疫グロブリンの重鎖可変領域がリンカーによって結合している融合タンパク質であり、一方でdsFvではそれらの鎖の結合を安定化させるためにそれらの鎖に突然変異が形成されてジスルフィド結合が導入されている。様々な抗体断片が完全抗体の消化との関連で規定されており、当業者は化学的に、または組換えDNA法を利用することでそのような断片を新規に合成し得ることを理解する。したがって、本明細書において使用される場合、抗体という用語は、例えば、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、単ドメイン抗体、ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、所望の生物活性を示す抗体断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、イントラボディ、および上記のいずれかのエピトープ結合断片または抗原結合断片を包含する。
Fab断片はVLドメイン、VHドメイン、CLドメインおよびCH1ドメインを有する一価断片であり、F(ab’)2断片はヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を有する二価断片であり、Fd断片はVHドメインとCH1ドメインを有し、Fv断片はある抗体の単腕のVLドメインとVHドメインを有し、dAb断片はVHドメイン、VLドメイン、またはVHドメインもしくはVLドメインの抗原結合断片を有する(米国特許第6846634号明細書、第6696245号明細書、米国特許出願公開第05/0202512号明細書、第04/0202995号明細書、第04/0038291号明細書、第04/0009507号明細書、第03/0039958号明細書、Wardら著、Nature誌、第341巻:544〜546頁(1989年))。
単鎖抗体(scFv)は、そのタンパク質鎖が自身の上に折り重なり、且つ、一価抗原結合部位を形成することを可能にするほど充分に長いリンカー(例えば、アミノ酸残基の合成配列)を介して連続的なタンパク質鎖を形成するためにVL領域とVH領域が連結されている抗体である(例えば、Birdら著、Science誌、第242巻:423〜26頁(1988年)およびHustonら著、1988年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA誌、第85巻:5879〜83頁(1988年)を参照されたい)。ディアボディは、2本のポリペプチド鎖を含み、同じ鎖の上にある2つのドメインの間で対合させるにはあまりに短いリンカーによって連結されたVHドメインとVLドメインをそれぞれのポリペプチド鎖が含み、そうして各ドメインが別のポリペプチド鎖上にある相補的なドメインと対合するようになっている二価抗体である(例えば、Holligerら著、1993年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA誌、第90巻:6444〜48頁(1993年)、およびPoljakら著、Structure誌、第2巻:1121〜23頁(1994年)を参照されたい)。ディアボディのそれら2本のポリペプチド鎖が同一である場合、それらの対合により生じるディアボディは2か所の同一の抗原結合部位を有することになる。2つの異なる抗原結合部位を有するディアボディを作製するために異なる配列を有するポリペプチド鎖が使用され得る。同様に、トリボディおよびテトラボディは、それぞれ3本および4本のポリペプチド鎖を含み、且つ、それぞれ同じでも異なっていても良い3か所および4か所の抗原結合部位を形成する抗体である。
単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は1か所以上の結合部位を有し得る。1か所より多くの結合部位が存在する場合、それらの結合部位は相互に同一であっても異なっていても良い。例えば、天然ヒト免疫グロブリンは2か所の同一な結合部位を有していることが典型的であり、一方で「二特異性」または「二官能性」抗体は2か所の異なる結合部位を有する。
「ヒト抗体」という用語にはヒト免疫グロブリン配列に由来する1つ以上の可変領域と定常領域を有する全ての抗体が含まれる。1つの実施形態において、それら可変ドメインと定常ドメインの全てがヒト免疫グロブリン配列に由来する(完全ヒト抗体)。これらの抗体は様々な方法で調製されて良く、それらの方法の例が下で説明されており、それらにはヒト重鎖および/または軽鎖コード遺伝子に由来する抗体を発現するように遺伝的に改変されているマウスの目的の抗原による免疫を介した方法が含まれる。
「ヒト化抗体」は、そのヒト化抗体がヒト患者に投与されたときにその抗体が非ヒト種抗体と比較して免疫応答を誘導する可能性が低くなるように、および/または程度が低い免疫応答を誘導するように、その非ヒト種に由来する抗体の配列と1か所以上のアミノ酸置換、欠失、および/または付加によって異なる配列を有する。1つの実施形態において、ヒト化抗体を作製するために非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークドメインと定常ドメインの中のある特定のアミノ酸に突然変異が形成される。別の実施形態において、ヒト抗体の定常ドメインが非ヒト種の可変ドメインに融合される。別の実施形態において、非ヒト抗体がヒト患者に投与されたときのその抗体のあり得る免疫原性を減少させるためにその非ヒト抗体の1つ以上のCDR配列中の1個以上のアミノ酸残基が変更されるが、そのヒト化抗体の抗原への結合がその非ヒト抗体の抗原への結合よりもあまり悪くならないようにそれらの変更されるアミノ酸残基はその抗体の抗原への免疫特異的結合にとって重要ではないか、またはそのアミノ酸配列へ変更が保存的変更で行われるかのどちらかである。ヒト化抗体の作製法の例を米国特許第6054297号明細書、第5886152号明細書および第5877293号明細書に見ることができる。
抗体を含む本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、10−7Mまたはそれより低い解離定数(以下で定義されるKd、または対応するKb)値によって判定される高い結合親和性でヒトグルカゴン受容体などの抗原に結合する場合、その抗原に「特異的に結合」する。ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は他の種に由来するグルカゴン受容体にも同じ親和性、または異なる親和性で結合して良い。
「エピトープ」は単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質(例えば、抗体)が結合する分子のその部分である。エピトープはその分子の非連続的な部分(例えば、ポリペプチドの場合、そのポリペプチドの一次配列では連続していないが、そのポリペプチドの三次構造および四次構造の状況では抗原結合性拮抗タンパク質が結合するほど充分に相互に近傍にあるアミノ酸残基)を含み得る。
用語「血糖値(blood glucose level)」、または「血糖値(level of blood glucose)」は、血糖濃度を意味するものとする。ある実施形態では、血糖値は血漿グルコース値である。血漿グルコースは、例えばEtgen et al., Metabolism, 49(5): 684-688, 2000)に従って求めてもよいし、あるいは、D'Orazio et al., Clin. Chem. Lab. Med., 44(12):1486-1490, 2006に従って全体血糖濃度の変換から算出してもよい。
用語「正常血糖値(normal glucose level)」は、ヒトにおいて、空腹時血糖値では約100mg/dL未満、食後2時間の血糖値では約145mg/dL未満、あるいは、ランダム血糖値検査の血糖値(random glucose)では125mg/dLの、平均血漿グルコース値を指す。用語「血糖値上昇(elevated blood glucose level)」または「血糖値上昇(elevated levels of blood glucose)」は、臨床的に不適切な基底および食後の高血糖を示す対象において見られるもの等、または、経口グルコース負荷試験(oGTT)で対象において見られるもの等の、血糖値上昇を意味するものとし、「血糖値上昇」は、空腹時条件下で試験された場合は約100mg/dL超であり、1時間の時点で試験された場合は約200mg/dL超である。
用語「グルカゴン阻害剤」、「グルカゴン抑制剤」および「グルカゴンアンタゴニスト」は同義的に使用される。各々はグルカゴンシグナル伝達を検出可能に阻害する分子である。阻害剤によって引き起こされる阻害は、その阻害がグルカゴンシグナル伝達阻害を決定するものとして当該技術分野において認知および理解されるアッセイを用いて検出可能である限り、完了される必要はない。
「医薬組成物」は動物またはヒトにおける製薬学的用途にとって適切な組成物を指す。医薬組成物は薬理学的有効量および/または治療有効量の活性薬剤と薬学的に許容可能な担体を含む。「薬学的に許容可能な担体」は、動物またはヒトに投与されたときに有害反応、アレルギー反応、または他の不都合な反応を引き起こすことがない組成物を指す。本明細書において使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」は標準的な医薬担体、ベヒクル、緩衝剤、およびリン酸緩衝生理食塩水溶液、5%ブドウ糖水溶液のような担体、および水中油型乳剤または油中水型乳剤のような乳剤、および様々な種類の湿潤剤、および/またはアジュバントのうちのいずれをも指す。適切な医薬担体と製剤はRemington’s Pharmaceutical Sciences、第21版、2005年、マック・パブリッシング社、イーストンの中に記載されている。「薬学的に許容可能な塩」は製薬学的用途のために化合物の中に製剤することができる、例えば、金属塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、等)およびアンモニアまたは有機アミンの塩をはじめとする塩である。
本明細書で使用される場合、ヒトグルカゴン受容体と特異的に結合する単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の「治療有効量」は、開示および特許請求された方法に従って対象に与えられた場合に以下の生物活性のうちの1つをもたらす、係るタンパク質の量を指す:肥満症の治療;NAFLDの治療;NASHの治療;またはNASHの一つもしくは複数の症状の低減、抑制、減弱、もしくは阻害。
用語「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」および「治療(treatment)」は、有益または所望の臨床結果を得るためのアプローチを指す。さらに、本明細書における「治療」への言及は、治癒的、対症的および予防的な治療への言及を包含する。本開示の目的において、有益または所望の臨床結果には、限定はされないが、以下のうちの一つまたは複数が含まれる:約80〜180mg/dL以内、もしくは約80〜170mg/dL以内、もしくは約80〜160mg/dL以内、もしくは約80〜150mg/dL以内、もしくは約80〜140mg/dL以内への血糖の改善、または、高血糖症、高グルカゴン血症(hyperglucanemia)、および高インスリン血症を含むがこれらに限定はされない、血糖値上昇と関連した、もしくは血糖値上昇からもたらされる、一つもしくは複数のあらゆる状態、疾患、もしくは症状における改善。
本明細書および添付されている特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「or」、および「the」は文脈から明確にそうではないことが示されていない限り複数の指示物を含む。本明細書に記載される本開示の態様とその変形例にはある態様と変形例から「なる」こと、および/または「基本的になる」ことが含まれることが理解される。
本明細書中の「約」が付いた値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする変量を含む(および、その変量を説明する)。例えば、「約X」を参照する説明は「X」の説明を含む。
肥満症
肥満症は、健康に悪影響を及ぼし得る程に過剰な体脂肪が肝臓を含む複数の組織に蓄積した、医学的状態である。典型的には肥満度指数(BMI)(ある人間の体重をその人間の身長の二乗で割ることにより得られる測定値)が30kg/m2以上と定義され、肥満症の有病率は合衆国および他の多くの先進国において過去10年で著しく増加し、世界的な公衆衛生上の懸念となった。
肥満症は、最も多くは、過剰な食物エネルギー摂取、身体活動の不足、および遺伝的感受性の組合せによって引き起こされるが、少数の症例では、遺伝子、内分泌障害、薬物治療、または精神病によって主に引き起こされる。肥満症は、様々な疾患、特に、心疾患、2型糖尿病、NAFLD/NASH、閉塞性睡眠時無呼吸、ある種のがん、変形性関節症、および喘息、の可能性を増大する。合併症は、肥満症によって直接的に引き起こされるか、または、質の悪い食事もしくは座りがちなライフスタイル等の共通原因を共有するメカニズムを介して間接的に関連している。肥満症と特定の状態の間の関連の強さは様々である。最も強いものの1つは2型糖尿病との関連である。男性における糖尿病症例の64%、および女性における症例の77%の根底には過剰な体脂肪がある。
現在の治療様式としては、典型的には、食事および運動のプログラム、ライフスタイル管理、薬物療法、並びに外科手術が挙げられる。治療法の決定は、肥満症の重症度、付随する医学的状態の重症度、対象のリスク状態(subject risk status)、および対象の見込み(subject expectation)に基づいてなされる。心血管リスクおよび糖尿病発生率の顕著な改善が5〜10%の体重減少によって観察されたが、これは、ベースライン値からの10%の体重減少を目標閾値として推奨している肥満症治療のための診療ガイドラインを裏付けるものである。残念ながら、体重減少を促進する利用可能な薬理療法は、副作用、禁忌または陽性反応の欠如のために、多くの肥満対象に十分な恩恵を与えることができない(国立心臓・肺・血液研究所、Clinical guidelines on the identification, evaluation, and treatment of overweight and obesity in adults: the evidence report, NIH Publication No. 98-4083、1998年9月)。
肥満外科手術は、BMIが40kg/m2以上の対象に対する体重減少介入と見なすことができる。BMIが〜35kg/m2であり、関連する重篤な医学的状態を有する対象も、この治療選択肢の候補である。残念ながら、通常、出血、塞栓症または血栓症、創合併症、深部感染、肺合併症、および胃腸管閉塞を含む術後合併症が肥満外科手術から生じ;これらの合併症に対処するために、術後期に再手術が必要とする場合がある。術後期を過ぎた再手術またはコンバージョン手術の割合は肥満処置の種類に依存し、ある研究では17%〜31%の範囲であった。バイパス術には微量栄養素欠乏および蛋白・熱量不足栄養障害等の腸管吸収異常も典型的に見られ、生涯の栄養分供給が必要となる。肥満外科手術と関連した主要且つ重大な有害事象はよく起こることであり、実行された処置のおよそ4パーセントで観察される(それぞれ腹腔鏡下バンディングまたはバイパス術を受けた全対象の0.3〜2パーセントにおける死亡を含む)。
例えば食事性肥満(DIO)を含む肥満症を治療する改善された、且つ/または新しい方法が、依然として強く必要とされていることは明らかである。本開示は、糖尿病患者および非糖尿病患者におけるDIOの治療のための、改善された有効な治療法をもたらし得る、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合するアンタゴニスト性抗原結合タンパク質を提供する。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は西洋人種に高度に蔓延している。最近の研究では、この疾患は、肥満個体においては70%の頻度で、痩せた個体においては35%の頻度で、発生し得ると示唆されている(Wanless IR, et al., Hepatology, 12:1106-1110, 1990)。NAFLDは、アルコールをほとんど消費しない個人に生じる肝臓の大滴性脂肪症を特徴とする。NAFLDの組織学的スペクトルは、単なる脂肪症単独、または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分類される。いくつかの疫学的研究は飽和脂肪をより多く含む食事を関連付けている(Musso G, et al., Hepatology, 37:909-916, 2003)。しかしNAFLDは、特に甘味飲料からの、フルクトースの摂取とも強く関連している(Ouyang X, et al., J Hepatol., 48:993-999, 2008)。古典的な西洋食は飽和脂肪および糖の両方を多く含む。
高脂肪・高糖質(例えば、グルコース、フルクトース等の単糖)な食事の消費に伴い発達する肝臓インスリン抵抗性(高血糖症および/または高インスリン血症を引き起こし得る)は、NAFLDに密接に関連している。肝臓インスリン抵抗性が3つのエネルギー代謝経路における機能障害によって引き起こされることを示唆する証拠が蓄積されている(Samuel et al, Cell, 148:852-871, 2012)。1つ目は、過剰な炭水化物流(例えば、グルコース、フルクトース)が、肝臓グルコース産生に対するインスリンの抑制効果への抵抗性および新規の脂質生合成(Id)を介した炭素の過剰処分と関連しているというものである。2つ目は、脂質合成の増加(または脂質分泌/輸送の減少)が、不活性であるが、肝臓インスリン抵抗性を引き起こすと推定される生理活性脂質中間体のジアシルグリセロール(DAG)およびセラミドのレベル増加としばしば完全にかみ合う、肝臓トリアシルグリセロール(TAG)の蓄積をもたらすというものである(Kumashiro N et al, Proc Natl Acad Sci U S A, 108:16381-16385, 2011)。3つ目は、インスリン抵抗性に関与する脂肪肝が、ミトコンドリア機能の異常および肝臓脂肪酸酸化の異常と関連しているというものである(Rector RS et al., J Hepatol, 52:727-736, 2010)。
完全には理解されていない機構により、NAFLDは、より攻撃的な形態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)へと進行する場合や、あるいは、線維症、肝硬変、および肝細胞癌(HCC)に進行する場合がある。NASHは現在では、アメリカ人の2%〜5%に発症し、肝硬変および永久的肝不全をもたらす可能性がある、進行性の代謝性肝疾患として認められている(Brunt et al., supra, 1999; Brunt, supra, 2001; Ludwig et al., J. Gastroenterol. Hepatol. 12:398-403, 1997)。正常肝臓からNASHへの現在の発病モデルではツーヒット進行が示唆されている。最初に、インスリン抵抗性が肝細胞における脂質の蓄積を引き起こす(ファーストヒット)。次に、酸化的ストレス、脂質過酸化、直接的な脂質毒性、ミトコンドリア機能不全、および/または感染等の細胞傷害が肝炎を引き起こし(セカンドヒット)、その結果NASHがもたらされると提唱されている(Brunt, supra, 2001)。
脂質による肝臓鬱血は、重篤な肝臓インスリン抵抗性およびグルコース産生異常を引き起こす(Samuel et al., J. Biol. Chem. 279:32345-32353, 2004)。インスリン抵抗性により引き起こされる脂肪症は、肝臓の代謝性傷害に対する感受性を増加させることで、炎症、壊死、および線維症をもたらすと考えられている(James et al., Lancet 353:1634-1636, 1999; Ludwig et al., Mayo Clin. Proc. 55:434-438, 1980; Day, Gut 50:585-588, 2002; Browning et al., J. Clin. Invest. 114:147-152, 2004)。このように脂肪症はNASHに常に伴うものであるが、肝生検によってしかNASHは区別することができない。NASHの評価および重症度は、脂肪肝、肝炎、および肝傷害のパターンおよび程度に応じて組織学的になされ、当然、顕著なアルコール消費がない場合にのみ行われる(Brunt、上記参照、2001)。脂肪症は動物モデルおよびヒトモデルの両方で見られるが、NASHはヒトの条件においてのみ完全に理解されている(Browning et al.、上記参照、2004)。従って、NASHで観察される臨床的変化を理解することが、この状態に対する治療方針の発達に不可欠である。
現在、NASH患者の特定を可能にする良好な臨床マーカーは存在していない。同様に、NASHのさらなる疾患増悪を減速する、またはその経過に変化を与える治療法も存在していない。そのようなNASHのマーカーおよび治療が当該技術分野では必要とされている。米国においてNASHは、C型肝炎およびアルコール性肝疾患に続く、肝硬変の主な原因の1つに位置付けられている。従って、NASHを治療する方法が当該分野において必要とされている。本開示は、糖尿病患者および非糖尿病患者におけるNASHの治療および防止のための、改善された有効な治療法をもたらし得る、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合するアンタゴニスト性抗原結合タンパク質を提供する。
グルカゴン受容体および抗原結合性拮抗タンパク質
グルカゴンは、プロホルモンとプロニューロペプチドの細胞内成熟に関与する神経内分泌特異的プロテアーゼであるプロホルモン転換酵素2(PC2)の細胞特異的発現によって膵臓α細胞においてそのプレプロ型をプロセッシングして作られる29アミノ酸ホルモンである(Furutaら著、J.Biol.Chem.誌、第276巻:27197〜27202頁(2001年))。生体内ではグルカゴンはインスリン作用に対する主要な逆調節性ホルモンである。空腹時にグルコースレベルの低下に応じてグルカゴン分泌が増加する。増加したグルカゴン分泌により、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生の促進によるグルコース産生が刺激される(DunningおよびGerich著、Endocrine Reviews誌、第28巻:253〜283頁(2007年))。したがって、グルカゴンは動物における正常なグルコースレベルの維持においてインスリンの効果を相殺する。
グルカゴンの生物学的効果には特異的な細胞表面受容体であるグルカゴン受容体への結合とその後の活性化が介在する。グルカゴン受容体(GCGR)はGタンパク質共役受容体セクレチンサブファミリー(ファミリーB)のメンバーである。ヒトGCGRは477アミノ酸配列GPCRであり、GCGRのアミノ酸配列は種を越えてよく保存されている(Mayoら著、Pharmacological Rev.誌、第55巻:167〜194頁、(2003年))。グルカゴン受容体は主に肝臓で発現し、それは肝臓では肝臓でのグルコース産生を調節し、腎臓および膵島β細胞では糖新生におけるその役割を反映する。肝臓におけるグルカゴン受容体の活性化によりアデニルシクラーゼの活性およびホスホイノシトール代謝回転が刺激され、それが引き続いてホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(FBPase−1)、およびグルコース−6−ホスファターゼ(G−6−Pase)を含む糖新生酵素の発現増加を引き起こす。加えて、グルカゴンシグナル伝達によってグリコーゲンホスホリラーゼが活性化され、グリコーゲンシンターゼが抑制される。高めの基底グルカゴンレベルと食後のグルカゴン分泌の抑制欠如がヒトにおいて糖尿病状態に寄与することが研究から示されている(Mullerら著、N Eng J Med誌、第283巻:109〜115頁(1970年))。したがって、GCGRアンタゴニストを使用してグルカゴンの産生または機能を標的とすることによって血糖を制御し、低下させる方法が探索されている。
様々な実施形態において、本開示の抗原結合性拮抗タンパク質は、細胞上に発現される膜結合型グルカゴン受容体に結合し、グルカゴン受容体を介するグルカゴンシグナル伝達を阻害または遮断するように選択され得る。様々な実施形態において、本開示の抗原結合性拮抗タンパク質はヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する。様々な実施形態において、ヒトグルカゴン受容体に結合する本抗原結合性拮抗タンパク質は他の種のグルカゴン受容体に結合しても良い。幾つかの種のグルカゴン受容体のポリヌクレオチド配列とポリペプチド配列が知られている(例えば、ヒト、ラット、マウスおよびカニクイザルのグルカゴン受容体のポリヌクレオチド配列とポリペプチド配列についてのその具体的な教示のために参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第7947809号明細書を参照されたい)。本開示の様々な実施形態において、本抗原結合性拮抗タンパク質は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する。
ヒト(Homo sapiens)グルカゴン受容体アミノ酸配列
(受託番号AAI04855)
MPPCQPQRPLLLLLLLLACQPQVPSAQVMDFLFEKWKLYGDQCHHNLSLLPPPTELVCNRTFDKYSCWPDTPANTTANISCPWYLPWHHKVQHRFVFKRCGPDGQWVRGPRGQPWRDASQCQMDGEEIEVQKEVAKMYSSFQVMYTVGYSLSLGALLLALAILGGLSKLHCTRNAIHANLFASFVLKASSVLVIDGLLRTRYSQKIGDDLSVSTWLSDGAVAGCRVAAVFMQYGIVANYCWLLVEGLYLHNLLGLATLPERSFFSLYLGIGWGAPMLFVVPWAVVKCLFENVQCWTSNDNMGFWWILRFPVFLAILINFFIFVRIVQLLVAKLRARQMHHTDYKFRLAKSTLTLIPLLGVHEVVFAFVTDEHAQGTLRSAKLFFDLFLSSFQGLLVAVLYCFLNKEVQSELRRRWHRWRLGKVLWEERNTSNHRASSSPGHGPPSKELQFGRGGGSQDSSAETPLAGGLPRLAESPF(配列番号1)
様々な実施形態において、それら引用された参照文献に記載されるグルカゴン受容体に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の(当技術分野において知られており、且つ、本明細書に記載される方法を用いて計算される)同一性を有するグルカゴン受容体に特異的に結合する本開示の抗原結合性拮抗タンパク質も本開示に含まれる。
本開示のアンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、グルカゴンとその受容体との間の相互作用を遮断して、グルカゴンのグルコース増加作用を阻害する働きをする。すなわち、本開示のアンタゴニスト性抗原結合タンパク質の使用は、正常なグルコースレベルを達成することにより、糖尿病の一つもしくは複数の症状、または糖尿病によって引き起こされる長期的合併症、例えば、限定はされないが、高血糖症、高グルカゴン血症(hyperglucanemia)、および高インスリン血症、を改善または防止する、有効な手段である。本開示のアンタゴニスト性抗原結合タンパク質の使用はまた、非糖尿病患者において正常なグルコースレベルを達成することで、肥満症またはNAFLDを含むがこれに限定はされない障害を有する対象における、高血糖症、高グルカゴン血症(hyperglucanemia)、および高インスリン血症のリスクを低下させる、並びに、そのような非糖尿病性障害を治療するための、有効な手段である。
ヒトグルカゴン受容体などの抗原に結合する抗体の作製方法が当業者に知られている。例えば、標的抗原ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を作製するための方法は、検出可能な免疫応答を刺激するために有効である量の、その標的抗原ポリペプチドを含む免疫原性組成物をマウスに投与すること、そのマウスから抗体産生細胞(例えば、脾臓由来細胞)を入手し、それらの抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合して抗体産生性ハイブリドーマを得ること、およびそれらの抗体産生性ハイブリドーマを検査してその標的抗原ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを特定することを含み得る。一旦ハイブリドーマが獲得されると、細胞培養物の中で、所望によりハイブリドーマ由来細胞が標的抗原ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件下でそのハイブリドーマを増殖させることができる。そのモノクローナル抗体はその細胞培養物から精製され得る。そこで、特に望ましい抗体を特定するために多種多様な技術が抗原/抗体相互作用の試験に利用可能である。
例えば、ライブラリーから組換え抗体を選択する方法、または全レパートリーのヒト抗体を産生することが可能な遺伝子導入動物(例えば、マウス)の免疫に依存する方法をはじめとした、必要な特異性を有する抗体を作製または単離する他の適切な方法を使用することができる。例えば、Jakobovitsら著、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)誌、第90巻:2551〜2555頁、1993年;Jakobovitsら著、Nature誌、第362巻:255〜258頁、1993年;Lonbergら、米国特許第5545806号明細書、およびSuraniら、米国特許第5545807号明細書を参照されたい。
種々の方法で抗体を改変することができる。それらの抗体は単鎖抗体(小型モジュール免疫薬剤、すなわちSMIP(商標)を含む)、FabおよびF(ab’)2断片等として作製され得る。抗体はヒト化され得る、キメラ化され得る、脱免疫化され得る、または完全ヒト型であり得る。多数の刊行物が多種多様な抗体とそのような抗体の作製方法について説明している。例えば、米国特許第6355245号明細書、第6180370号明細書、第5693762号明細書、第6407213号明細書、第6548640号明細書、第5565332号明細書、第5225539号明細書、第6103889号明細書、および第5260203号明細書を参照されたい。
キメラ抗体は当技術分野において知られている組換えDNA技術によって作製され得る。例えば、マウス(または他の種)モノクローナル抗体分子のFc定常領域をコードしている遺伝子を制限酵素で消化してマウスFcをコードする領域を取り外し、そしてヒトFc定常領域をコードしている遺伝子の同等の部分を置換する(Robinsonら、国際特許出願公開PCT/US86/02269号明細書;Akiraら、欧州特許出願公開第184187号明細書;Taniguchi, M.、欧州特許出願公開第171496号明細書;Morrisonら、欧州特許出願公開第173494号明細書;Neubergerら、国際出願公開第86/01533号パンフレット、Cabillyら、米国特許第4816567号明細書;Cabillyら、欧州特許出願公開第125023号明細書;Betterら著、Science誌、第240巻:1041〜1043頁、1988年;Liuら著、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)誌、第84巻:3439〜3443頁、1987年;Liuら著、J.Immunol.誌、第139巻:3521〜3526頁、1987年;Sunら著、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)誌、第84巻:214〜218頁、1987年;Nishimuraら著、Canc.Res.誌、第47巻:999〜1005頁、1987年;Woodら著、Nature誌、第314巻:446〜449頁、1985年、およびShawら著、J.Natl Cancer Inst.誌、第80巻:1553〜1559頁、1988年を参照されたい)。
抗体をヒト化するための方法が当技術分野において説明されている。幾つかの実施形態において、ヒト化抗体は非ヒトCDRに加えてヒトではない起源から導入された1個以上のアミノ酸残基を有する。ヒト化は基本的にWinterと共同研究者の方法に従い、超可変領域配列をヒト抗体の対応配列に対して置換することにより実施され得る(Jonesら著、Nature誌、第321巻:522〜525頁、1986年;Riechmannら著、Nature誌、第332巻:323〜327頁、1988年;Verhoeyenら著、Science誌、第239巻:1534〜1536頁、1988年)。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、完全なヒト可変領域よりもかなり小さな領域が非ヒト種に由来する対応配列によって置換されているキメラ抗体である(米国特許第4816567号明細書)。実際にはヒト化抗体は、数個の超可変領域残基と可能であれば数個のフレームワーク領域残基がげっ歯類抗体中の類似の部位の残基によって置換されているヒト抗体であることが典型的である。
Queenらの米国特許第5693761号は抗体のヒト化についてのWinterらの方法に対する改良点を開示しており、CDRが折り畳まれてマウス抗体中に見出される結合可能構造になることを立体構造的または他の化学的不適合性のために妨げるそのヒト化フレームワーク中の構造的モチーフ内の問題に結合力喪失の原因があるとする前提に基づいている。この問題に対処するため、Queenはヒト化されるマウス抗体のフレームワーク配列に対して直鎖ペプチド配列の状態で非常に相同的なヒトフレームワーク配列を使用することを教示している。したがって、Queenの方法は種間でフレームワーク配列を比較することに焦点を当てている。典型的には、全ての利用可能なヒト可変領域配列を特定のマウス配列と比較し、対応するフレームワーク残基間のパーセンテージ同一性を算出する。それらのフレームワーク配列をヒト化プロジェクトに提供するために最も高いパーセンテージを有するヒト可変領域を選択する。QueenはCDRを結合可能構造の中に支持ために重要なマウスフレームワーク由来のある特定のアミノ酸残基をヒト化フレームワークの中に保持することが重要であることも教示している。潜在的な重要度は分子モデルから評価される。保持される候補残基は典型的には直鎖配列の状態でCDRに隣接する残基、またはどのCDR残基からでも物理的にその6Å以内にある残基である。
他のアプローチでは、特定のフレームワークアミノ酸残基の重要性は、Riechmannら著、1988年によって記載されるように低結合力ヒト化コンストラクトが一旦得られると個々の残基をマウス配列のものに戻し、抗原結合をアッセイすることによって実験的に決定される。フレームワーク配列中の重要なアミノ酸を特定するための別の例となるアプローチはCarterらの米国特許第5821337号およびAdairらの米国特許第5859205号によって開示されている。これらの参照文献は、フレームワーク内の特異的なKabat残基位置であって、ヒト化抗体中では結合力を維持するために対応するマウスのアミノ酸による置換を必要とし得る前記残基位置を開示している。
抗体をヒト化する「フレームワークシャッフリング」と呼ばれる別の方法は、個々のヒト生殖系列フレームワークをまとめたものにインフレームで融合された非ヒトCDR可変領域を含むコンビナトリアルライブラリーの作製に依存する(Dall’Acquaら著、Methods誌、第36巻:43頁、2005年)。次に良好な結合を保持するヒト化抗体をコードするクローンを特定するためにそれらのライブラリーがスクリーニングされる。
ヒト化抗体の作製の際に使用される軽鎖と重鎖の両方のヒト可変領域の選択が抗原性を低下させるために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法によると、げっ歯類抗体の可変領域の配列が公知のヒト可変ドメイン配列からなる全ライブラリーに対してスクリーニングされる。そして、そのげっ歯類抗体の可変領域の配列に最も近いヒト配列がヒト化抗体用のヒトフレームワーク領域(フレームワーク領域)として受け入れられる(Simsら著、J.Immunol.誌、第151巻:2296頁、1993年;Chothiaら著、J.Mol.Biol.誌、第196巻:901頁、1987年)。別の方法は、特定のサブグループの軽鎖可変領域または重鎖可変領域を有する全ヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に使用することができる(Carterら著、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)誌、第89巻:4285頁、1992年;Prestaら著、J.Immunol.誌、第151巻:2623頁、1993年)。
ヒト可変領域の中に置換される非ヒト残基の選択は様々な因子によって影響を受け得る。これらの因子には、例えば、特定の位置にあるアミノ酸の希少性、CDRまたは抗原のどちらかとの相互作用の確率、および軽鎖可変ドメイン接触面と重鎖可変ドメイン接触面との間の接触面に参加する確率が含まれる(例えば、米国特許第5693761号明細書、第6632927号明細書、および第6639055号明細書を参照されたい)。これらの因子を分析するための1つの方法は非ヒト配列とヒト化配列の三次元モデルの使用を介したものである。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列のありそうな三次元立体配座構造を例示および提示するコンピュータープログラムが利用可能である。これらの提示物の調査により、候補免疫グロブリン配列の機能におけるそれらの残基のあり得る役割についての分析、例えば、候補免疫グロブリンの抗原への結合能力に影響を与える残基の分析が可能になる。標的抗原への増加した親和性などの所望の抗体特性を達成するために、このようにして非ヒト残基を選択し、ヒト可変領域残基に置換することができる。
完全ヒト抗体を作製するための方法が当技術分野において説明されている。例として、抗GCGR抗体またはその抗原結合性抗体断片を作製するための方法は、ファージ上でヒト抗体のライブラリーを合成するステップ、GCGRまたはその抗体結合部分を用いてライブラリーをスクリーニングするステップ、GCGRに結合するファージを単離するステップ、およびそのファージから抗体を獲得するステップを含む。別の例として、ファージディスプレイ技術に使用される抗体ライブラリーを調製するための1つの方法は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を備える非ヒト動物をGCGRまたはその抗原性部分で免疫して免疫応答を生じさせるステップ、その免疫された動物から抗体産生細胞を取り出すステップ、それらの取り出された細胞から本開示の抗体の重鎖と軽鎖をコードするRNAを単離するステップ、そのRNAを逆転写してcDNAを作製するステップ、プライマーを使用してcDNAを増幅するステップ、およびファージディスプレイベクターにそのcDNAを挿入して抗体をファージ上に発現させるステップを含む。本開示の組換え抗GCGR抗体はこのようにして獲得され得る。
また、例として、本開示の組換えヒト抗GCGR抗体は、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーをスクリーニングすることによっても単離され得る。そのライブラリーは、B細胞から単離されたmRNAより調製されたヒトVL cDNAとVH cDNAを使用して作製されたscFvファージディスプレイライブラリーであることが好ましい。そのようなライブラリーを調製し、そしてスクリーニングするための方法が当技術分野において知られている。ファージディスプレイライブラリーを作製するためのキットが市販されている(例えば、Pharmaciaリコンビナント・アンティボディ・システム、カタログ番号27−9400−01;およびStratagene SurfZAP(商標)ファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。抗体ディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングにおいて使用され得る他の方法および試薬も存在する(例えば、全ての参照により本明細書に援用される米国特許第5223409号明細書、PCT国際公開第92/18619号パンフレット、第91/17271号パンフレット、第92/20791号パンフレット、第92/15679号パンフレット、第93/01288号パンフレット、第92/01047号パンフレット、第92/09690号パンフレット、Fuchsら著、Bio/Technology誌、第9巻:1370〜1372頁(1991年);Hayら著、Hum.Antibod.Hybridomas誌、第3巻:81〜85頁、1992年;Huseら著、Science誌、第246巻:1275〜1281頁、1989;McCaffertyら著、Nature誌、第348巻:552〜554頁、1990年;Griffithsら著、EMBO J.誌、12巻:725〜734頁、1993年;Hawkinsら著、J.Mol.Biol.誌、第226巻:889〜896頁、1992年;Clacksonら著、Nature誌、第352巻:624〜628頁、1991年;Gramら著、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)誌、第89巻:3576〜3580頁、1992年;Garradら著、Bio/Technology誌、第9巻:1373〜1377頁、1991年;Hoogenboomら著、Nuc.Acid Res.誌、第19巻:4133〜4137頁、1991年;およびBarbasら著、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)誌、第88巻:7978〜7982頁、1991年)を参照されたい)。
ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座および軽鎖遺伝子座の幾つか、または全てをゲノム内に含む非ヒト遺伝子導入動物、例えばXenoMouse(商標)動物(Abgenix社/Amgen社、フリーモント、カリフォルニア州)をヒトIgE抗原で免疫することによっても作製される。XenoMouse(商標)マウスは、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座と軽鎖遺伝子座の大きな断片を含み、且つ、マウス抗体の産生が欠損している遺伝子改変マウス株である。例えば、Greenら著、Nature Genetics誌、第7巻:13〜21頁、1994年および米国特許第5916771号明細書、第5939598号明細書、第5985615号明細書、第5998209号明細書、第6075181号明細書、6091001号明細書、第6114598号明細書、第6130364号明細書、第6162963号明細書、および第6150584号明細書を参照されたい。XenoMouse(商標)マウスは成体様ヒトレパートリーの完全ヒト抗体を産生し、抗原特異的ヒト抗体を生成する。幾つかの実施形態において、XenoMouse(商標)マウスは酵母人工染色体(YAC)中のヒト重鎖遺伝子座とカッパ軽鎖遺伝子座のメガベースサイズの生殖系列構成断片の導入を介してヒト抗体V遺伝子レパートリーの約80%を含む。他の実施形態において、XenoMouse(商標)マウスはヒトラムダ軽鎖遺伝子座のほぼ全てをさらに含む。Mendezら著、Nature Genetics誌、第15巻:146〜156頁、1997年;GreenおよびJakobovits著、J.Exp.Med.誌、第188巻:483〜495頁、1998年;および国際公開第98/24893号パンフレットを参照されたい。
様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、組換え抗体、ディアボディ、キメラ化もしくはキメラ抗体またはその抗原結合断片、ヒト化抗体またはその抗原結合断片、完全ヒト抗体またはその抗原結合断片、CDR移植抗体またはその抗原結合断片、単鎖抗体、Fv、Fd、Fab、Fab’、またはF(ab’)2、および合成もしくは半合成抗体である抗体またはその抗原結合性抗体断片を利用している。
様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、例えば、少なくとも約1×10−7M、少なくとも約1×10−8M、少なくとも約1×10−9M、少なくとも約1×10−10M、少なくとも約1×10−11M、または少なくとも約1×10−12Mの解離定数(KD)でグルカゴン受容体抗原に結合する抗体または抗原結合断片を利用している。様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、例えば、少なくとも約1×10−7Mから少なくとも約1×10−8M、少なくとも約1×10−8Mから少なくとも約1×10−9M、少なくとも約1×10−9Mから少なくとも約1×10−10M、少なくとも約1×10−10Mから少なくとも約1×10−11M、または少なくとも約1×10−11Mから少なくとも約1×10−12Mの範囲の解離定数(KD)でグルカゴン受容体抗原に結合する抗体または抗原結合断片を利用している。
グルカゴン受容体に対する抗体は、例えば、米国特許第5,770,445号;同第7,947,809号;同第7,968,686号;同第8,545,847号;同第8,771,696号;同第9,102,732号;同第9,248,189号;欧州特許出願第EP2074149A2号;欧州特許第EP0658200B1号;米国特許公開第2009/0041784号;同第2009/0252727号;同第2013/0344538号;同第2014/0335091号;および同第20160075778号、並びに国際公開第2008/036341号で記載されている。本発明の様々な実施形態において、単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、例えば米国特許第7,947,809号および同第8,158,759号(各々、様々な抗GCGR抗体または抗GCGR抗原結合性フラグメントのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列のその具体的な教示について、その全体が参照によって本明細書に援用される)に記載されるポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を含む、抗GCGR(「アンタゴニスト性」)抗体または抗GCGR抗原結合性フラグメントである。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号2に示される重鎖可変領域配列を備える抗体のものと同等以上の抗原結合親和性を有する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号2に示される重鎖可変領域配列を備える抗体と同じエピトープに結合する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号2に示される重鎖可変領域配列を備える抗体と競合する抗GCGR抗体である。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号2に示される重鎖可変領域配列の少なくとも1つ(例えば、2つ、または3つの)CDRを含む抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号2に示される重鎖可変領域配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号2に示される重鎖可変領域配列、すなわち
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSS(配列番号2)
を含む抗GCGR抗体であり得る。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号3に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体のものと同等以上の抗原結合親和性を有する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号3に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体と同じエピトープに結合する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号3に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体と競合する抗GCGR抗体である。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号3に示される軽鎖可変領域配列の少なくとも1つ(例えば、2つ、または3つの)CDRを含む抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号3に示される軽鎖可変領域配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号3に示される軽鎖可変領域配列、すなわち
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIK(配列番号3)
を含む抗GCGR抗体であり得る。
様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号2または3の配列と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の観察された相同性を共有するアミノ酸配列を含む。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号4に示される重鎖可変領域配列を備える抗体のものと同等以上の抗原結合親和性を有する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号4に示される重鎖可変領域配列を備える抗体と同じエピトープに結合する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号4に示される重鎖可変領域配列を備える抗体と競合する抗GCGR抗体である。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号4に示される重鎖可変領域配列の少なくとも1つ(例えば、2つ、または3つの)CDRを含む抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号4に示される重鎖可変領域配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号4に示される重鎖可変領域配列、すなわち
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSS(配列番号4)
を含む抗GCGR抗体であり得る。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号5に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体のものと同等以上の抗原結合親和性を有する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号5に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体と同じエピトープに結合する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号5に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体と競合する抗GCGR抗体である。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号5に示される軽鎖可変領域配列の少なくとも1つ(例えば、2つ、または3つの)CDRを含む抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号5に示される軽鎖可変領域配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号5に示される軽鎖可変領域配列、すなわち
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIK(配列番号5)
を含む抗GCGR抗体であり得る。
様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号4または5の配列と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の観察された相同性を共有するアミノ酸配列を含む。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号6に示される重鎖可変領域配列を備える抗体のものと同等以上の抗原結合親和性を有する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号6に示される重鎖可変領域配列を備える抗体と同じエピトープに結合する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号6に示される重鎖可変領域配列を備える抗体と競合する抗GCGR抗体である。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号6に示される重鎖可変領域配列の少なくとも1つ(例えば、2つ、または3つの)CDRを含む抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号6に示される重鎖可変領域配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号6に示される重鎖可変領域配列、すなわち
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSS(配列番号6)
を含む抗GCGR抗体であり得る。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号7に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体のものと同等以上の抗原結合親和性を有する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号7に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体と同じエピトープに結合する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号7に示される軽鎖可変領域配列を備える抗体と競合する抗GCGR抗体である。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号7に示される軽鎖可変領域配列の少なくとも1つ(例えば、2つ、または3つの)CDRを含む抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号7に示される軽鎖可変領域配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号7に示される軽鎖可変領域配列、すなわち
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIK(配列番号7)
を含む抗GCGR抗体であり得る。
様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号6または7の配列と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の観察された相同性を共有するアミノ酸配列を含む。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号8に示される重鎖配列を備えるキメラ抗体のものと同等以上の抗原結合親和性を有する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号8に示される重鎖配列を備える抗体と同じエピトープに結合する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号8に示される重鎖配列を備える抗体と競合する抗GCGR抗体である。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号8に示される重鎖配列の少なくとも1つ(例えば、2つ、または3つの)CDRを含む抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号8に示される重鎖配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号8に示される重鎖配列、すなわち
MEFGLSWVFLVALLRGVQCQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSSAKTTPPSVYPLAPGSAAQTNSMVTLGCLVKGYFPEPVTVTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVPSSTWPSETVTCNVAHPASSTKVDKKIVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGK(配列番号8)
を含む抗GCGR抗体であり得る。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号9に示される軽鎖配列を備えるキメラ抗体のものと同等以上の抗原結合親和性を有する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号9に示される軽鎖配列を備える抗体と同じエピトープに結合する抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号9に示される軽鎖配列を備える抗体と競合する抗GCGR抗体である。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号9に示される軽鎖配列の少なくとも1つ(例えば、2つ、または3つの)CDRを含む抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号9に示される軽鎖配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は配列番号9に示される軽鎖配列、すなわち
MDMRVPAQLLGLLLLWFPGARCDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC(配列番号9)
を含む抗GCGR抗体であり得る。
様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号8または9の配列と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の観察された相同性を共有するアミノ酸配列を含む。
本開示の様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、および配列番号28から選択される重鎖可変領域配列と配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、および配列番号47から選択される軽鎖可変領域配列を備える抗GCGR抗体であり得る。様々な実施形態において、前記抗体は、配列番号10〜28または配列番号29〜47の配列と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の観察された相同性を共有するアミノ酸配列を含む。
様々な実施形態において、単離アンタゴニスト性抗体は、配列番号28の重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列および配列番号47の軽鎖可変領域をコードするアミノ酸配列を含む完全ヒト抗体である。
本開示の単離抗GCGR抗体、本開示の抗体断片、または本開示の抗体誘導体は当技術分野において知られているあらゆる定常領域を含み得る。その軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダタイプの軽鎖定常領域、例えばヒトカッパまたはラムダタイプの軽鎖定常領域であり得る。その重鎖定常領域は、例えば、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュータイプの重鎖定常領域、例えば、ヒトアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュータイプの重鎖定常領域であり得る。様々な実施形態において、前記軽鎖定常領域または重鎖定常領域は天然定常領域の断片、誘導体、変異体、または改変タンパク質である。
目的の抗体から異なるサブクラスまたはアイソタイプの抗体を誘導するための技術、すなわち、サブクラススイッチングが知られている。したがって、IgG抗体が例えばIgM抗体に由来することも、その反対もあり得る。そのような技術により、所与の抗体(親抗体)の抗原結合特性を持つが、親抗体のものと異なる抗体アイソタイプまたはサブクラスに関連する生物学的特性も持つ新しい抗体の調製が可能になる。組換えDNA技術を用いても良い。特定の抗体ポリペプチドをコードするクローン化DNA、例えば、所望のアイソタイプの抗体の定常ドメインをコードするDNAをそのような技法に用いても良い。Lanittoら著、Methods Mol Biol.誌、第178巻:303〜16頁(2002年)も参照されたい。
様々な実施形態において、本開示の単離抗原結合タンパク質は配列番号48に示されるカッパ軽鎖定常領域またはその断片を含む。様々な実施形態において、本開示の単離抗原結合タンパク質は配列番号49に示されるラムダ軽鎖定常領域またはその断片を含む。様々な実施形態において、本開示の単離抗原結合タンパク質は配列番号50に示されているIgG2重鎖定常領域またはその断片を含む。
様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は配列番号51に示される重鎖配列を備え、且つ、番号52に示される軽鎖配列を備える。
本開示の様々な実施形態において、前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質はヘミボディである。「ヘミボディ」は、完全な重鎖、完全な軽鎖、およびその完全な重鎖のFc領域と対合した2つ目の重鎖Fc領域を含む免疫学的に機能的な免疫グロブリン構築物である。その重鎖Fc領域とその第2重鎖Fc領域を連結するためにリンカーを用いることができるが、リンカーが必要なわけでもない。様々な実施形態において、前記ヘミボディは(i)完全軽鎖と(ii)Fc領域(例えば、IgG2 Fc領域)に融合した重鎖を含む一価抗原結合タンパク質である。ヘミボディを調製するための方法は、例えば、そのようなヘミボディの調製を教示する目的で本明細書における参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2012/0195879号明細書に記載されている。
医薬組成物
別の態様では本開示は1種類以上の薬学的に許容可能な担体と共に本明細書に記載される単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。本明細書に記載されるそれらの医薬組成物および使用方法は、下で詳細に説明されるように他の活性薬剤との併用(共投与)実施形態も包含する。
概して、本開示の前記アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は1種類以上の薬学的に許容可能な担体と合同した製剤として投与されるのに適している。「担体」という用語は、本開示の化合物以外のあらゆる成分を記述するために本明細書において使用される。担体の選択は特定の投与モード、溶解性と安定性に対する担体の効果、および剤形の性質などの因子に大いに依存することになる。本明細書において使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」には生理学的に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆材、抗菌剤と抗真菌剤、等張化剤、および吸収遅延化剤などが含まれる。薬学的に許容可能な担体の幾つかの例は水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなど、ならびにそれらの組合せである。多くの事例において、前記組成物はその組成物の中に等張化剤、例えば糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール類、または塩化ナトリウムを含む。薬学的に許容可能な物質の追加例は湿潤剤、または湿潤もしくは乳化剤、保存剤、もしくは緩衝剤などの少量の補助物質であり、それらは前記抗体の有効期間または有効性を向上させる。本開示の医薬組成物およびそれらの調製方法は容易に当業者に明らかになる。そのような組成物およびそれらの調製方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、(マック・パブリッシング社、1995年)内に見出すことができる。概して、前記医薬組成物は、無菌であり、実質的に等張であり、且つ、米国食品医薬品局の全てのGMP規制を全面順守したものとして製剤される。
本開示の医薬組成物は典型的には非経口投与に適切である。本明細書において使用される場合、医薬組成物の「非経口投与」には患者組織の物理的裂傷形成とその組織のその裂傷を介した医薬組成物の投与を特徴とし、したがって一般的には血流、筋肉、または内臓へ直接的に投与することになるあらゆる投与経路が含まれる。したがって、非経口投与には医薬組成物の注射によるその組成物の投与、外科的切開を介したその組成物の塗布によるその組成物の投与、組織貫通性非外科的創傷を介したその組成物の塗布によるその組成物の投与などが含まれるがこれらに限定されない。具体的に、非経口投与は皮下注射または注入、腹膜内注射または注入、筋肉内注射または注入、胸骨内注射または注入、静脈内注射または注入、動脈内注射または注入、髄腔内注射または注入、脳室内注射または注入、尿道内注射または注入、頭蓋内注射または注入、滑膜内注射または注入、または腎臓透析注入技術を含むと考えられているがこれらに限定されない。
本開示の医薬組成物は、標準的な針および注射器を用いて皮下または静脈内に送達され得る。さらに皮下送達については、ペン型送達デバイスが、本開示の医薬組成物の送達に容易に適用される。このようなペン型送達デバイスは、再利用可能なものと、使い捨てのものがある。再利用可能なペン型送達デバイスは通常、医薬組成物を含有する交換可能カートリッジを利用する。カートリッジ内の全ての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になった後、その空のカートリッジは容易に、廃棄し、医薬組成物を含有する新しいカートリッジと交換することができる。ペン型送達デバイスはその後再利用することができる。使い捨てペン型送達デバイスには、交換可能カートリッジが存在しない。そうではなく、使い捨てペン型送達デバイスには、デバイス内部のリザーバーに保持された医薬組成物が予め充填されている。リザーバーから医薬組成物がなくなると、デバイス全体が廃棄される。多数の再利用可能なペン型およびオートインジェクター型の送達デバイスが、本開示の医薬組成物の皮下送達に適用されており、例えば、限定はされないが、AUTOPEN(登録商標)(オーウェン・マンフォード社(Owen Mumford, Inc.)、ウッドストック、英国)、DISETRONIC(登録商標)(ディストロニック・メディカル・システムズ社(Disetronic Medical Systems)、ブルクドルフ、スイス)、およびHUMALOG MIX 75/25(登録商標)、HUMALOG(登録商標)ペン、HUMALIN 70/30(登録商標)ペン(イーライリリー社(Eli Lilly and Co.)、インディアナポリス、インディアナ州)が挙げられる。
非経口投与に適切な医薬組成物製剤は典型的には無菌水または無菌等張生理食塩水などの薬学的に許容可能な担体と混合されて有効成分を含むことが一般的である。そのような製剤はボーラス投与または連続投与に適切な形態で調製、包装、または販売されて良い。注射可能製剤は、保存剤を含むアンプルまたは複数回投与用容器などの単位剤形の状態で調製、包装、または販売されて良い。非経口投与用製剤には懸濁剤、水剤、油性ベヒクルまたは水性ベヒクル中の乳剤、ペースト剤などが含まれるがこれらに限定されない。そのような製剤は、懸濁化剤、安定化剤または分散化剤を含むがこれらに限定されない1種類以上の追加の成分をさらに含んで良い。非経口投与用製剤の1つの実施形態において、前記有効成分は、再構成された組成物の非経口投与前に適切なベヒクル(例えば無菌発熱性物質非含有水)と共に再構成されるように乾燥形状(すなわち、粉末形状または顆粒形状)で提供される。非経口製剤には塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくは3から9までのpH)などの担体を含み得る水剤も含まれるが、幾つかの用途について非経口製剤は無菌非水性溶液として、または無菌発熱性物質非含有水などの適切なベヒクルと併せて使用される乾燥体としてより適切に製剤され得る。例となる非経口投与剤形には無菌水溶液、例えばプロピレングリコール水溶液またはブドウ糖水溶液中の水剤または懸濁剤が含まれる。そのような剤形は所望により適切に緩衝化され得る。有用な他の非経口投与可能製剤には有効成分を微晶質形状またはリポソーマル調製物形状で含むものが含まれる。非経口投与用製剤は即時放出および/または調節放出されるように製剤され得る。放出調節製剤には遅延放出、持続性放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
例えば、1つの態様では無菌注射溶液は、必要に応じて上に列記した成分のうちの1つ、またはそれらの成分の組合せを含む適切な溶媒の中に必要な量の前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を包含し、その後にそれをフィルター滅菌することで調製され得る。概して、分散剤は、基礎分散媒と上で列挙した成分の中の必要とされる他の成分を含む無菌ベヒクルの中に前記活性化合物を包含することにより調製される。無菌注射溶液の調製用の無菌粉剤の場合では、以前に無菌濾過されたその溶液から真空乾燥および凍結乾燥などの調製方法によって追加のあらゆる所望の成分と前記有効成分からなる粉末が産生される。溶液の適正な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆材の使用によって、分散剤の場合は要求される粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。注射可能組成物の長期吸収は吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを前記組成物の中に含むことによって可能になる。様々な実施形態において、それら注射可能組成物は市販の使い捨て注射用器具を使用して投与される。
本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を鼻腔内経路で投与することができ、または吸入により、典型的には乾燥粉剤吸入器からの(単独での、混合物としての、または、例えば、適切な薬学的に許容可能な担体と混合された混合成分粒子としての)乾燥粉剤の形状での吸入により投与することができ、適切な噴射剤の使用を含む、または含まない加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは細かい霧を作製するために電気流体力学を使用する噴霧器)、またはネブライザからのエアロゾルスプレーとして投与することができ、または点鼻薬として投与することができる。
概して、その加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザは、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の溶液または懸濁液であって、例えば、前記活性薬剤の分散、溶解、またはその放出の長期化にとって適切な薬剤である噴射剤を溶媒として含む前記溶液または懸濁液を含有する
乾燥粉剤製剤または懸濁剤製剤の使用前に前記医薬製品は概して吸入による送達に適切なサイズ(典型的には5マイクロン未満)にまで微粉にされる。これはスパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセッシング、高圧ホモジナイゼーション、またはスプレー乾燥などのあらゆる適切な粉砕方法によって達成され得る。
吸入器または散布器の中に使用するためのカプセル、ブリスターおよびカートリッジは、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質、適切な粉末基材、および性能調節剤からなる粉末混合物を含むように製剤され得る。
メントールおよびレボメントールなどの適切な着香料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を吸入/鼻腔内投与用の本開示の製剤に添加して良い。
吸入/鼻腔内投与用の製剤は即時放出および/または調節放出されるように製剤され得る。放出調節製剤には遅延放出、持続性放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
乾燥粉剤吸入器およびエアロゾル剤の事例では投薬単位は計量された量を送達する弁によって決定される。本開示に準拠する単位は、計量された用量または「一吹き」の本開示の抗体を投与するように用意されていることが典型的である。全体的な1日用量は単回投与で投与されることが典型的であり、より一般的には一日を通して複数に分割された用量として投与される。
本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は経口投与用に製剤されても良い。経口投与はその化合物が胃腸管に入ることになる飲み込み、および/またはその化合物が口から直接的に血流に入るバッカル投与、舌投与、または舌下投与を含み得る。経口投与に適切な製剤には、錠剤、多粒子またはナノ粒子を含む軟質カプセル剤または硬質カプセル剤、液剤、または粉剤、ロゼンジ剤(液体充填型を含む)、チューイング剤、ゲル剤、急速分散剤形、フィルム剤、膣坐剤、スプレー剤、およびバッカル/粘膜付着パッチなどの固形系、半固形系、および液体系が含まれる。
経口用の医薬組成物は医薬組成物の製造についての技術分野に知られているあらゆる方法に従って調製されて良く、薬学的に洗練されており、且つ、口当たりが良い調製物を提供するためにそのような組成物は甘味剤からなる群より選択される1種類以上の薬剤を含んで良い。例えば、経口送達用錠剤を調製するために前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質が少なくとも1種類の医薬担体と混合され、そしてその固形製剤が胃腸管への送達用に公知の方法に従って圧縮されて錠剤に成形される。その錠剤組成物は添加物、例えばサッカリド担体またはセルロース担体、デンプンペーストまたはメチルセルロースなどの結合剤、充填剤、崩壊剤、または医薬調製物の製造に通常は使用されることが典型的である他の添加物と共に製剤されることが典型的である。経口送達用カプセル剤を調製するためにDHEAが少なくとも1種類の医薬担体と混合され、そしてその固形製剤が胃腸管への送達に適切なカプセル容器の中に入れられる。単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を含む組成物は、参照により本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、1990年(マック・パブリッシング社、イーストン、ペンシルバニア州18042)の第89章に概ね記載されているように調製され得る。
様々な実施形態において、前記医薬組成物は、錠剤の製造にとって適切である無毒の薬学的に許容可能な担体と混合して単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を含む経口送達用錠剤として製剤される。これらの担体は炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤、顆粒化剤および崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、ゼラチンまたはアカシアガム、および滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであり得る。それらの錠剤は被覆されていなくても良く、または胃腸路における崩壊と吸収を遅らせることによってより長い期間にわたって持続性作用を提供するために公知の技術で被覆されても良い。例えば、モノステアリン酸グリセリルもしくはジノステアリン酸グリセリル単独またはワックスとそれらなどの時間遅延物質を用いて良い。
様々な実施形態において、前記医薬組成物は、前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質が不活性固形希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンと混合している硬質ゼラチンカプセル剤として、または前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質が水性媒体または油性媒体、例えばラッカセイ油、ピーナッツ油、液体パラフィン、またはオリーブ油と混合している軟質ゼラチンカプセル剤として製剤される。
液体製剤には懸濁剤、水剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作製された)軟質カプセル剤または硬質カプセル剤の中で充填剤として使用されて良く、典型的には担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と1種類以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤は例えばサシェの固形物の再構成によっても調製され得る。
当技術分野において受け入れられているペプチド、タンパク質または抗体のあらゆる投与方法が本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を投与するために適切に用いられ得る。
治療方法
グルカゴン受容体とのそれらの相互作用により、本アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は、現在の治療に関連する望まれない副作用のうちの一つまたは複数を低減および/または排除しつつ、糖新生およびグリコーゲン溶解を制御することにより血糖値を低下させるのに、並びにまた、グルカゴンのその受容体との相互作用の遮断が有益である広範囲の状態および障害を治療するのに、有用である。
本開示の一態様において、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する治療有効量の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を対象に投与することを含む、過剰なレベルのグルカゴン(高グルカゴン血症(hypergluconemia))および/または血糖を特徴とする障害または状態と診断された対象を治療するための方法が提供される。様々な実施形態において、アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は完全ヒトモノクローナル抗体であり、障害は肥満症である。様々な実施形態において、アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は完全ヒトモノクローナル抗体であり、障害はNAFLDである。様々な実施形態において、アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は完全ヒトモノクローナル抗体であり、障害はNASHである。
アンタゴニスト性抗原結合タンパク質、特に本開示によるヒト抗体は、有望な治療薬となるのに、完治させる必要も、あるいは疾患の全ての症状もしくは徴候を根絶する必要もない。関連分野で認知されているように、治療薬として使用される薬剤は、所与の病状の重症度を低減すればよく、有用な治療薬と見なされるために疾患の全ての徴候を根絶する必要はない。同様に、予防的に施される処置も、有望な予防薬となるために、状態の発生防止に完全に効果的である必要はない。単に、疾患の影響を低減すれば(例えば、その症状の数もしくは重症度を低減することにより、または別の治療の有効性を増加させることにより、または別の有益な作用をもたらすことにより)、あるいは、疾患が対象において発生もしくは悪化する可能性を減少させれば、十分である。本開示の一実施形態は、特定の障害の重症度を示す指標のベースラインを超える持続的な改善を誘導するのに十分な量および時間で、ヒト抗体等の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を対象に投与することを含む、方法を対象とする。
本開示の様々な実施形態において、肥満症は、BMI30kg/m2以上と定義される(国立衛生研究所、Clinical Guidelines on the Identification, Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults (1998))。他の様々な実施形態において、本開示は、25kg/m2以上、26kg/m2以上、27kg/m2以上、28kg/m2以上、29kg/m2以上、29.5kg/m2以上、または29.9kg/m2以上の肥満度指数(BMI)を特徴とする疾患、障害、または状態を包含することも意図され、これらは全て典型的には過体重と見なされる。
ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質、具体的には本開示の完全ヒト抗体は一定の期間にわたって定期的な間隔で例えば1回、または1回よりも多く投与されて良い。様々な実施形態において、完全ヒト抗体は一定の期間にわたって少なくとも1カ月以上につき一回、例えば1カ月につき一回、2か月につき一回、または3か月につき一回、または不確定の頻度でも投与される。慢性の病気の治療については長期治療が非常に有効であることが一般的である。しかしながら、急性の病気の治療についてはより短い期間の投与、例えば、1〜6週間までの投与で充分であり得る。概して、前記完全ヒト抗体は、患者が選択された指標または選択された複数の指標について基線よりも上の医学的に適切な程度の改善を示すまで投与される。
本明細書において提供される治療計画の一例は、血糖レベルが関与する病気を治療するために適切な投与量で単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を週に一度、または2週間に一度皮下注射することを含む。単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の週に一度、2週間に一度、または月に一度の投与は所望の結果が達成されるまで、例えば、患者の症状が治まるまで継続されることになる。治療は必要に応じて再開されて良く、あるいは維持用量が投与されて良い。
患者の血糖レベルは、あるとすれば幾らかでもそれらのレベルの変化を検出するためにヒト抗体などの単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質による治療の前、治療中、および/または治療後にモニターされて良い。幾つかの障害について、血糖上昇の発生率は疾患ステージなどの因子に従って変化し得る。グルコースレベルを測定するために公知の技術が用いられて良い。グルカゴンレベルも公知の技術、例えばELISAを用いて患者の血液の中で測定されて良い。
治療的に有効な用量は、IC50を決定することによって細胞培養アッセイから最初に推定され得る。その後、用量は、細胞培養において決定されるIC50を含む循環血漿中濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて定式化され得る。そのような情報はヒトにおける有用な用量をより精密に決定するために使用され得る。血漿中のレベルは、例えば、HPLCまたはその治療薬に特異的な抗イディオタイプ抗体を使用する免疫アッセイによって測定され得る。患者の病気を診る個々の医師によって正確な組成物、投与経路、および投与量が選択され得る。
投与計画を調節して最適な所望の応答(例えば、治療的応答または予防的応答)をもたらすことができる。例えば、単回ボーラスを投与することができ、一定の期間にわたって数回に分割された用量(複数回用量または反復用量または維持用量)を投与することができ、そして急迫した治療状況によって示されるように比例的にその用量を減少または増加することができる。投与を簡単にし、且つ、投与量を均一にするために投薬単位剤形で非経口組成物を製剤することが特に有利である。本明細書において使用される投薬単位剤形は治療を受ける哺乳類対象への統一的な投与量として適切な物理的に別々の単位を指し、各単位は必要とされる医薬担体と共に所望の治療効果をもたらすように計算された所定の量の活性化合物を含む。本開示の投薬単位剤形の仕様は主に前記抗体に独特の特性、および達成されるべき特定の治療効果または予防効果によって決定づけられる。
したがって、当業者は本明細書において提供される開示に基づいて治療技術分野においてよく知られている方法に準拠して用量と投与計画が調節されることを理解することになる。すなわち、最大忍容用量を容易に確定することができ、検出可能な治療利益を患者に提供するための各薬剤を投与する時間的要求事項を決定できるように検出可能な治療利益をその患者に対して提供する有効量を決定することもできる。したがって、ある特定の用量と投与計画が本明細書において例示されるが、これらの例は本開示の実施に際して患者に提供され得る用量と投与計画を決して限定しない。
投与量の値は緩和されるべき病気の種類と重症度によって変化する場合があり得、それらは単回用量または複数回用量を含み得ることが特筆されるべきである。どの特定の患者についても具体的な投与計画は、その個人の要求と前記組成物の投与を行い、またはその投与を指揮する人物の専門的な判断に応じて時間と共に調節されるべきであること、および本明細書において明記される投与量範囲はただの例示であり、本請求の構成要素の範囲または実施を制限することを意図したものではないことがさらに理解されるべきである。さらに、本開示の組成物を用いる投与計画は疾患の種類、患者の年齢、体重、性別、医療状態、病気の重症度、投与経路、および使用される特定の抗体をはじめとする様々な因子に基づいて良い。したがって、投与計画は大幅に変化する場合があり得るが、それは標準的方法を用いて日常的に決定され得る。例えば、用量は薬物動態パラメーターまたは薬力学パラメーターに基づいて調節されて良く、それらのパラメーターは毒性効果および/または検査室値などの臨床効果を含み得る。したがって、本開示は当業者によって決定される患者内用量増加を包含する。適切な投与量および投与計画の決定は関連の技術分野においてよく知られており、本明細書において開示される教示が一旦提供されるとそのような決定が包含されることが当業者によって理解されることになる。
ヒト患者への投与について、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の毎月の総用量は、当然投与モードに応じて患者当たり0.5〜1200mg、患者当たり0.5〜1100mg、患者当たり0.5〜1000mg、患者当たり0.5〜900mg、患者当たり0.5〜800mg、患者当たり0.5〜700mg、患者当たり0.5〜600mg、患者当たり0.5〜500mg、患者当たり0.5〜400mg、患者当たり0.5〜300mg、患者当たり0.5〜200mg、患者当たり0.5〜100mg、患者当たり0.5〜50mg、患者当たり1〜1200mg、患者当たり1〜1100mg、患者当たり1〜1000mg、患者当たり1〜900mg、患者当たり1〜800mg、患者当たり1〜700mg、患者当たり1〜600mg、患者当たり1〜500mg、患者当たり1〜400mg、患者当たり1〜300mg、患者当たり1〜200mg、患者当たり1〜100mg、または患者当たり1〜50mgの範囲内にあり得る。例えば、毎月の静脈内用量は患者当たり約1〜1000mgを必要とし得る。様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は患者当たり約1〜500mgの毎月の静脈内用量で投与され得る。様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は患者当たり約1〜400mgの毎月の静脈内用量で投与され得る。様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は患者当たり約1〜300mgの毎月の静脈内用量で投与され得る。様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は患者当たり約1〜200mgの毎月の静脈内用量で投与され得る。様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は患者当たり約1〜150mgの毎月の静脈内用量で投与され得る。様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は患者当たり約1〜100mgの毎月の静脈内用量で投与され得る。様々な実施形態において、本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質は患者当たり約1〜50mgの毎月の静脈内用量で投与され得る。その毎月の総用量は単回用量または分割用量で投与されてよく、医師の裁量で本明細書において示された典型的な範囲から外れてよい。
本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の治療有効量または予防有効量についての例となる非限定的な毎週または二週間毎の投与範囲は、体重に対して0.001〜100mg/kg、0.001〜90mg/kg、0.001〜80mg/kg、0.001〜70mg/kg、0.001〜60mg/kg、0.001〜50mg/kg、0.001〜40mg/kg、0.001〜30mg/kg、0.001〜20mg/kg、0.001〜10mg/kg、0.001〜5mg/kg、0.001〜4mg/kg、0.001〜3mg/kg、0.001〜2mg/kg、0.001〜1mg/kg、0.010〜50mg/kg、0.010〜40mg/kg、0.010〜30mg/kg、0.010〜20mg/kg、0.010〜10mg/kg、0.010〜5mg/kg、0.010〜4mg/kg、0.010〜3mg/kg、0.010〜2mg/kg、0.010〜1mg/kg、0.1〜50mg/kg、0.1〜40mg/kg、0.1〜30mg/kg、0.1〜20mg/kg、0.1〜10mg/kg、0.1〜5mg/kg、0.1〜4mg/kg、0.1〜3mg/kg、0.1〜2mg/kg、0.1〜1mg/kg、1〜50mg/kg、1〜40mg/kg、1〜30mg/kg、1〜25mg/kg、1〜20mg/kg、1〜15mg/kg、1〜10mg/kg、1〜7.5mg/kg、1〜5mg/kg、1〜4mg/kg、1〜3mg/kg、1〜2mg/kgであり得、または体重に対して1mg/kgであり得る。投与量の値は緩和されるべき病気の種類と重症度によって変化する場合があり得ることが特筆されるべきである。どの特定の患者についても具体的な投与計画は、その個人の要求と前記組成物の投与を行い、またはその投与を指揮する人物の専門的な判断に応じて時間と共に調節されるべきであること、および本明細書において明記される投与量範囲はただの例示であり、本請求の構成要素の範囲または実施を制限することを意図したものではないことがさらに理解されるべきである。
様々な実施形態において、投与された総用量は、例えば、約1〜1000μg/ml、約1〜750μg/ml、約1〜500μg/ml、約1〜250μg/ml、約10〜1000μg/ml、約10〜750μg/ml、約10〜500μg/ml、約10〜250μg/ml、約20〜1000μg/ml、約20〜750μg/ml、約20〜500μg/ml、約20〜250μg/ml、約30〜1000μg/ml、約30〜750μg/ml、約30〜500μg/ml、約30〜250μg/mlの範囲内の血漿中抗体濃度を達成する。
様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は、単剤療法またはインスリン補充と併用のどちらかで体重に対して0.01mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して0.025mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して0.05mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して0.075mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して0.1mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して0.25mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して0.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して0.75mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して1mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して1.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して2mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して2.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して3mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して3.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して4mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して4.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して5.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して6mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して6.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して7mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して7.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して8mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して8.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して9mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して9.5mg/kgになる。様々な実施形態において、治療有効量の本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質に適した毎週または二週間毎の用量は体重に対して10mg/kgになる。
本開示の医薬組成物の毒性および治療指数は、例えばLD50(集団の50%にとって致死的である用量)およびED50(集団の50%において治療上有効である用量)のための細胞培養物または実験動物における標準的薬学的手法によって決定され得る。有毒な用量と治療的に有効な用量との間の用量の比率が治療指数であり、それは比率LD50/ED50として表され得る。大きい治療指数を示す組成物が一般的に好ましい。
様々な実施形態において、前記医薬組成物の単回投与または複数回投与が、患者が必要とし、且つ、患者によって認容される投与量および投与頻度に応じて行われる。あらゆる事象において、前記組成物は患者を効果的に治療するために本明細書において開示される単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質のうちの少なくとも1つを充分な量で提供するべきである。その投与量を一度投与することができるが、治療成果が達成されるまでか、または副作用のために治療の中断が許されるまでのどちらかで、その投与量を定期的に適用してよい。
単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質医薬組成物の投与頻度は、治療法および治療される特定の疾患の性質に応じたものとなる。対象は、毎週または毎月等の一定間隔を置いて、所望の治療結果が達成されるまで、治療され得る。例示的な投与頻度として、限定はされないが:ブレークなしで毎週1回;毎週1回、隔週で1回;2週間に1回;3週間に1回;ブレークなしで2週間毎週1回、その後月1回;ブレークなしで3週間毎週1回、その後月1回;月1回;2ヵ月に1回;3ヵ月に1回;4ヵ月に1回;5ヵ月に1回;もしくは6ヶ月に1回、または年1回が挙げられる。
本明細書において使用される場合、「共投与」、「共投与された」および「との併用で」という用語は本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質および1つ以上の他の治療薬に関して次のこと、すなわち、治療を必要とする患者への本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質と治療薬のそのような組合せの同時投与であって、そのような成分を実質的に同時に前記患者へ放出する単一の剤形に前記成分が一緒に製剤されるときの前記同時投与;治療を必要とする患者への本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質と治療薬のそのような組合せの実質的な同時投与であって、前記患者によって実質的に同時に取り込まれるとそのような成分を実質的に同時に前記患者へ放出する別々の剤形に前記成分が相互に離間して製剤されるときの前記実質的な同時投与;治療を必要とする患者への本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質と治療薬のそのような組合せの連続投与であって、各投与の間にかなりの時間間隔をあけて前記患者によって連続的に取り込まれるとそのような成分を実質的に異なる時間で前記患者へ放出する別々の剤形に前記成分が相互に離間して製剤されるときの前記連続投与;および治療を必要とする患者への本開示の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質と治療薬のそのような組合せの連続投与であって、各部分が同じ経路または異なる経路のどちらで投与されても良い場合にそのような成分が制御放出されると前記成分を同時および/または異なる時間で前記患者へ同時に、連続的に、および/または重複的に放出する単一の剤形に前記成分が一緒に製剤されるときの前記連続投与を意味するものとし、且つ、そのような投与を指し、且つ、そのような投与を含む。
本発明の化合物と組み合わせて使用してよい好適な医薬品として、抗肥満薬(食欲抑制薬を含む)、抗糖尿病薬、血糖降下薬、抗高脂血症薬、および降圧薬が挙げられる。
好適な抗肥満薬(そのうちいくつかは抗糖尿病薬としても作用し得る)として、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(11β−HSD1型)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ−1(SCD−1)阻害剤、MCR−4アゴニスト、コレシストキニン−A(CCK−A)アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤(シブトラミン等)、交感神経刺激薬、β3アドレナリンアゴニスト、ドパミンアゴニスト(ブロモクリプチン等)、メラニン細胞刺激ホルモン類似体、5HT2cアゴニスト、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤(例えば、テトラヒドロリプスタチン、すなわちオルリスタット)、食欲低下剤(ボンベシンアゴニスト等)、神経ペプチド−Yアンタゴニスト(例えば、ベルネペリット(velneperit)等のNPY Y5アンタゴニスト)、PYY3〜36(その類似体を含む)、BRS3修飾薬、オピオイド(opiod)受容体サブタイプのアンタゴニスト混合物、甲状腺模倣薬(thyromimetic agent)、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、糖質コルチコイドのアゴニストまたはアンタゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1アゴニスト、毛様体神経栄養因子(リジェネロン・ファーマシューティカルズ社(Regeneron Pharmaceuticals, Inc.)(ニューヨーク州タリータウン)およびプロクター・アンド・ギャンブル社(オハイオ州シンシナティー)から入手可能なAXOKINE(登録商標)等)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)阻害剤、ヒスタミン3アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、ニューロメジンUアゴニスト、MTP/ApoB阻害剤(例えば、ジルロタピド、JTT130、ウシスタピド(Usistapide)、SLx4090等の腸選択的MTP阻害剤)、オピオイドアンタゴニスト、μオピオイド受容体修飾薬(GSK1521498を含むがこれに限定されない)、MetAp2阻害剤(ZGN−433を含むがこれに限定はされない)、グルカゴン、GIPおよびGLP1受容体のうち2つ以上に混合型調節作用を有する剤(MAR−701またはZP2929等)、ノルエピネフリントランスポーター阻害剤、カンナビノイド−1−受容体アンタゴニスト/インバースアゴニスト、グレリンアゴニスト/アンタゴニスト、オキシントモジュリンおよび類似体、モノアミン取り込み阻害剤(限定はされないが、テソフェンシン等)、オレキシンアンタゴニスト、組合せ剤(ブプロピオン+ゾニサミド、プラムリンチド+メトレレプチン、ブプロピオン+ナルトレキソン、フェンテルミン+トピラメート等)等が挙げられる。
様々な実施形態において、抗肥満薬は、腸選択的MTP阻害剤(例えば、ジルロタピド、ミトラタピドおよびインプリタピド、R56918(CAS登録番号403987)およびCAS登録番号913541−47−6)、CCKaアゴニスト(例えば、N−ベンジル−2−[4−(1H−インドール−3−イルメチル)−5−オキソ−1−フェニル−4,5−ジヒドロ−2,3,6,10b−−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−6−イル]−N−イソプロピル−アセトアミド(PCT公開番号WO2005/116034または米国特許出願公開第2005−0267100A1号に記載)、5HT2cアゴニスト(例えば、ロルカセリン(Lorcaserin))、MCR4アゴニスト(例えば、米国特許第6,818,658号に記載の化合物)、リパーゼ阻害剤(例えば、セチリスタット)、PYY3〜36(本明細書で使用される場合、「PYY3〜36」はペグ化(peglated)PYY3〜36等の類似体、例えば米国特許出願公開第2006/0178501号に記載されるもの、も包含する)、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン)、オレオイル−エストロン(CAS登録番号180003−17−2)、オビネピチド(obinepitide)(TM30338)、プラムリンチド(SYMLIN(登録商標))、テソフェンシン(NS2330)、レプチン、ブロモクリプチン、オルリスタット、AOD−9604(CAS登録番号221231−10−3)およびシブトラミンから選択される。
様々な実施形態において、前記併用療法は同じ医薬組成物または別々の医薬組成物のどちらかの中にある前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質組成物と前記第2薬剤組成物を同時に投与することを含む。様々な実施形態において、単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質組成物と前記第2薬剤組成物は連続的に投与される、すなわち、前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質組成物は前記第2薬剤組成物の投与の前または後のどちらかに投与される。
様々な実施形態において、前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質組成物と前記第2薬剤組成物の投与は同時である、すなわち、前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質組成物と前記第2薬剤組成物の投与期間が相互に重なり合う。
様々な実施形態において、前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質組成物と前記第2薬剤組成物の投与は同時ではない。例えば、様々な実施形態において、前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質組成物の投与は前記第2薬剤組成物が投与される前に終了する。様々な実施形態において、前記第2薬剤組成物の投与は前記単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質組成物が投与される前に終了する。
様々な実施形態において、本開示は、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する治療有効量の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を対象に投与することを含む、過体重または肥満の対象を治療するための方法を含む。
様々な実施形態において、本開示は、(a)ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する治療有効量の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質;および(b)抗肥満薬を対象に投与することを含む、過体重または肥満の対象を治療するための方法を含む。
様々な実施形態において、本開示は、NAFLD/NASHと診断された対象、またはNAFLD/NASHに罹患するリスクがある対象に、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する治療有効量の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を投与することを含む、対象におけるNAFLD/NASHを治療または予防するための方法を含む。様々な実施形態において、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。様々な実施形態において、本開示はNAFLDを治療するための方法を含む。様々な実施形態において、本開示はNASHを治療するための方法を含む。
様々な実施形態において、本開示は、NAFLD/NASHと診断された対象、またはNAFLD/NASHに罹患するリスクがある対象に、(a)ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する治療有効量の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質、および(b)抗肥満薬を投与することを含む、対象におけるNAFLD/NASHを治療または予防するための方法を含む。様々な実施形態において、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。様々な実施形態において、本開示はNAFLDを治療するための方法を含む。様々な実施形態において、本開示はNASHを治療するための方法を含む。
別の態様において、本開示は、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する治療有効量の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質を対象に投与することを含む、NASHを発症する危険性がある対象(例えば、過体重もしくは肥満である対象またはNAFLDを有する対象)を治療するための方法を提供する。
別の態様において、本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療、予防および/または防止を目的とした医薬を調製するための、それを必要とする対象における、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する非天然の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の使用に関する。
別の態様において、本開示は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の治療、予防および/または防止を目的とした医薬を調製するための、それを必要とする対象における、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する非天然の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の使用に関する。
別の態様において、本開示は、肥満に分類される(例えば、30kg/m2以上の肥満度指数(BMI)を有する)対象の治療を目的とした医薬を調製するための、ヒトグルカゴン受容体に特異的に結合する非天然の単離アンタゴニスト性抗原結合タンパク質の使用に関する。
本発明を説明してきたが、以下の実施例は例示であり、限定するものではない。
実施例1
本実施例では、様々なDIOマウスモデルにおけるグルコース生産の制御と肥満の発達との間の関係を評価する。具体的には、配列番号8に記載の重鎖配列および配列番号9に記載の軽鎖配列を含む抗GCGR抗体(「REMD2.59C」)のインビボ活性を、野生型C57BL/6マウスを用いた20週齢DIOマウスモデルにおいて評価する。野生型C57BL/6マウスは、高脂肪食(「HFD」)を給餌された場合に体脂肪量増加、高血糖症、および高インスリン血症を示すことから、肥満症研究に一般に使用される(REbuffe-Scrive, M et al., Metabolism, 42:1405-1409, 1993; Surwit, RS., Metabolism 44:645-651, 1995)。
本研究では、それぞれ10匹の野生型C57BL/6Jマウス(雄、4〜6週齢、20〜22g)からなる3つの群に、高脂肪食(HFD)を8週間自由給餌する(以下、「ビヒクル群」または「REMD2.59群」または「ペアフィード群」)。10匹の野生型C57BL/6Jマウス(雄、4〜6週齢、20〜22g)からなる1つの群に、通常食(「固形飼料」)を8週間自由給餌する(以下、「通常食群」)。8匹の野生型C57BL/6J(雄、4〜6週齢、20〜22g)からなる1つの群に、8週間、HFDを給餌し、7.5mg/kgのREMD2.59抗体を週1回投与する(1日目に開始)(以下、「防止群」)。マウスは、一定の温度および湿度の層流室内で、各ケージに1匹ずつ飼育する。動物は、(22±2℃)の温度および40%〜70%の相対湿度に維持された環境監視下の、換気の良いルーム内の、ポリカーボネートケージ内に収容する。蛍光照明により、1日当たりおよそ12時間照明が与えられた。床敷材は軟木とし、週1回交換する。全手順を、実験動物の管理と使用に関するアメリカ国立衛生研究所(NIH)ガイドラインに従って実施した。
HFD食餌の開始後の8週目に、「ビヒクル群」および「ペアフィード群」はHFDのまま、「通常食群」は固形飼料のまま、全てに、週1回(57日目に開始して20週目まで)、皮下注射でビヒクル(PBS)を投与する。HFD「REMD2.59群」には、週1回(57日目に開始して20週目まで)、皮下注射で、7.5mg/kg(10mL/kg)のREMD2.59C抗体を投与する。HFD「防止群」は、週1回、20週目まで、皮下注射による7.5mg/kg(10mL/kg)のREMD2.59C抗体の投与を継続する。試験群割当の概略を以下の表2に記す。
体重は試験全体を通じて毎週測定する。摂食量(食物in/食物out)は試験全体を通じて毎週記録する。「REMD2.59群」の処置後1週目の摂食量を毎日監視し、処置後7日目の量を用いて10週目の「ペアフィード群」に給餌する。その後毎週、「REMD2.59群」の摂食量を毎週監視し、各週最後の摂食量を用いて翌週の「ペアフィード群」に給餌する。固形飼料を給餌される「通常食群」には、20週間の試験全体を通じて同量の固形飼料を給餌する。
体重および摂食量に加えて、以下を含む、様々な他のパラメーターを、20週間の試験全体を通じて測定した:
i)空腹時血糖測定を、尾静脈から、週1回、Accu−Chek Aviva System(登録商標)を用いて測定した(マウスは試験および空腹時血糖値の前に6時間絶食させる);
ii)経口グルコース負荷試験(OGTT)を試験の最後に全ての動物に実施して、REMD Ab2.59の反復投与効果を試験した。ベースライン(0時点)のグルコースレベルを、16時間時間の絶食後に、グルコースチャレンジに先立って、測定した。2g/kgのグルコースを経口投与した後、Accu−Chek Performa Systemを用いて様々な時点(30、60、120分)の血糖値を測定した;
iii)血清中の脂質プロファイルおよび血液生化学パラメーター(ALT、AST、GGT、ALP、TGおよびTCHO)を、試験全体を通じて検査した。血液試料は、8、12、16および20週目に採取し、即座に4℃、4000g、15分間の遠心分離により処理し、その後、新しい試験管に移した。TOSHIBA TBA−40FR自動生化学分析装置を用いて、脂質プロファイルおよび血液生化学パラメーターを測定した;
iv)脂質プロファイル(TG、TCHO、HDL−CおよびLDL−C)をプロトコルに従って動物の肝臓から抽出した後、TOSHIBA TBA−40FR自動生化学分析装置を用いて、脂質プロファイルを測定した;
v)全試験動物のインスリンレベルを8、12、16および20週目に測定した。GLP−1およびレプチンを試験の最後にELISA法を用いて測定した。血清を分析に使用した;
vi)終了日に、OGTT試験後に剖検を行った。試験の最後に、組織または臓器を採取し、膵臓、白色脂肪組織(WAT)、筋肉(腓腹筋)および肝臓の湿重量を測定した。これらの組織試料の半分をH&E(肝臓およびWAT)またはIHC(膵臓)分析用に固定およびパラフィンブロック包埋した。視床下部、脳、心臓および膵臓、WAT、筋肉、肝臓の残り部分は、−80℃で保存するか、さらなる分析にかけた。上記の様々な測定および/または分析は、下記の追加の材料および方法セクションに記載の通りに行う。全ての統計検定を行い、有意水準は5%、すなわちP<0.05に設定した。試験設計の通りに、全ての測定パラメーターについて、群の平均および標準偏差を算出した。群間には、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアによる1元配置分散分析(ANOVA)を用いた。
結果
体重および摂食量:図1に示されるように、REMD2.59群は9週目から20週目まで体重増加を効率的に減少させた。REMD2.59群のものと同量の一日食を9週目から20週目まで与えられたペアフィード群は、REMD2.59群と比べて、同様の、しかしわずかに多い、体重増加を示した。この知見は、REMD2.59の効果が食物摂取の減少に限定されないことを示唆する。1週目から20週目までHFDと同時にREMD2.59の毎週注射を与えられた防止群は、HFDの摂取にもかかわらず、他の全ての群と比較して最も少ない体重増加を示した。具体的には、防止群の平均体重(35.3±3.0g)は、試験の終わり(140日目、すなわち20週目の終わり)に、ビヒクル群(53.3±2.4g)よりも34%低く(P<0.01)、さらには通常食群(38.6±3.1g)よりも9%低かった。図2に示されるように、防止群は、グラム体重当たり、通常食群と同量のカロリーを消費した。一方、HFD給餌群(ビヒクル群、REMD2.59群およびペアフィード群)は全て、グラム体重で調整された場合、ほぼ同量のカロリーを消費した。それでもなお、体重差を考慮に入れて、ビヒクル群は最大の平均体重を有するために、REMD2.59群およびペアフィード群と比較して、ビヒクル群は動物当たりより多量のカロリーを消費する。
空腹時血糖:図3に示されるように、9週目から開始されたREMD2.59処置(すなわち、REMD2.59群)は、ビヒクル対照群よりも著しく低い血糖値をもたらした。ペアフィード群がREMD2.59群よりずっと小規模のグルコース低下しか達成していないことから、この高血糖補正は、エネルギー消費の減少だけでは説明できない。防止群は、通常食対照群さえよりも低い、最低の空腹時血糖値プロファイルに至った。結論として、ビヒクル対照群から明らかなように、食餌誘発性の肥満症は高血糖症と明らかに関連している。
経口グルコース負荷試験(OGTT)から得られる血糖値:図4に示されるように、治療措置(REMD2.59群)として、または予防措置(防止群)として与えられたREMD2.59は、経口グルコース負荷試験(OGTT)において著しく低い血糖プロファイルをもたらした。しかし、無処置(ビヒクル群)または食事制限(ペアフィード群)は、OGTT中のグルコースレベルのベースライン上昇およびより高いグルコース変動域(glucose excursion)を特徴とし、より高いOGTT後グルコースプロファイルをもたらす、糖尿病性のOGTTグルコースプロファイルを示した。図5に示されるように、OGTTグルコース曲線下面積(AUC)値によって、図4に示される知見の確認および裏付けがなされていると思われる。
脂質プロファイルおよび血液生化学的データ:図6に示されるように、トリグリセリド(TG)レベルは、HFD給餌ビヒクル群と通常食対照群との間で有意な差異は無かった。REMD2.59処置はTGレベルに有意な影響を与えず、防止群は16週目にTGレベルの減少を示したが、その変化は試験の終わりまで持続されなかった。すなわち、全体としてREMD2.59は循環TGレベルに大きな変化を与えなかった。図7に示されるように、総コレステロール(TCHO)レベルは、REMD2.59処置によって影響を受けなかったが(ビヒクル群とREMD2.59群とを比較)、防止群(20週目までに47%まで)では通常食群に近いレベルにまで有意に減少された。
肝臓内脂質プロファイル分析:図9に示されるように、REMD2.59処置は、ビヒクル群マウスとの比較で、緩やかではあるが統計的に有意に、肝組織内TG含量を減少させた(131.6±46.5mg/g組織に対して102.0±45.2mg/g組織)。防止群は、ビヒクル群との比較で、84%(131.6±46.5mg/g組織に対して21.4±14.5mg/g組織)の肝臓TG含量の減少を示した。図10に示されるように、総コレステロール(TCHO)、高密度リポタンパク質レベルおよび低密度リポタンパク質レベル(HDL−CおよびLDL−C)は、REMD2.59処置または防止によって有意な影響を受けなかった。
GLP−1、インスリンおよびレプチンの測定:図11に示されるように、治療期間の全体を通して、20週間の試験の最後まで、REMD2.59群および防止群は共に、インスリンレベルが通常食群で見られたレベルに戻された、またはそれよりも低くなったことから、高インスリン血症の補正において非常にロバストな効果を示した。ヒトの肥満症、2型糖尿病、およびNAFLD/NASHにおいて異脂肪血症は高インスリン血症と密接に関連しているため、このことはREMD2.59の重要な生物学的作用を示している。図12に示されるように、レプチンは防止群ではビヒクル群と比較して92%ほども減少し、減少したレプチンレベルは通常食群のものよりも低かった。循環レプチンレベルは肥満症の程度を示すものであるため、このことは重要である。REMD2.59群はわずかに、ただし統計的に有意に、レプチンレベルを減少させた。図13に示されるように、REMD2.59群は循環活性GLP−1レベルにおける10倍の増加を伴うが、防止群はそれを伴わず、このことは、REMD2.59を用いたグルカゴン受容体の遮断による食物摂取制御および他の代謝的利点におけるGLP−1による寄与を示唆している。実際に、REMD2.59の週1回処置は循環活性GLP−1レベルにおいて10倍近くの増加を誘導し、これは、さらなる体重減少効果の原因となり得る。
組織学および免疫組織化学の結果:図14に示されるように、防止群は白色脂肪組織重量の有意な減少を示し、このことは、グルカゴン受容体の遮断が肥満の低減と関連していることを示唆している。防止群はまた、脂肪(TG)およびグリコーゲン含量の減少に関連し得る、肝臓湿重量の減少も示す。REMD2.59群は、防止群と同様に肝臓湿重量の減少を示したが、膵臓組織湿重量をわずかに増加させ、これは、島組織量における反応性増加によるものであり得る。図15に示されるように、免疫化学(IHC)染色された膵臓切片において、REMD2.59群は、防止群と同様に、インスリン面積/島面積の減少を示し、このことは集合的に、グルカゴン受容体シグナリングの遮断が、ランゲルハンス島β細胞に対する刺激およびインスリン合成/分泌に対する刺激を減弱したことを示唆している。このような組織学的知見は、REMD2.59群および防止群がより低い循環インスリンレベルを示した(図11、上記)という知見と一致している。一方、REMD2.59群および防止群の両方がグルカゴン面積/島面積における著しい増加を誘導し、このことは、ランゲルハンス島α細胞からのグルカゴン合成/分泌の反応性フィードバック刺激を示唆している。
図16に示されるように、以下の知見を得ることができる:1)ビヒクル群から得た肝組織は、これらのマウスの脂肪肝診断を確かにする、脂肪滴による豊富な液胞を示す;2)REMD2.59群から得た肝臓試料は、脂肪滴の密度およびサイズの著しい減少を示しているように見え、すなわち、明白な脂肪滴により占有される面積がビヒクル群のそれよりもずっと小さくなっているように見える;3)ペアフィード群から得た肝臓組織試料は、ビヒクル群で観察されたものからの脂肪滴の密度およびサイズの減少を、例えあるにしても、ほとんど示さない;4)通常食群から得た肝臓組織試料は、防止群のそれと同等の、目に見える脂肪滴を実質的含まない非常にきれいな肝臓切片を示す;5)防止群から得た肝臓組織試料は、通常食群のそれと同等の、目に見える脂肪滴を実質的に含まない非常にきれいな肝臓切片を示す。上記の組織学的証拠は、食餌誘発性肥満マウスにおける脂肪肝変化の補正、または防止における、アンタゴニスト性グルカゴン受容体抗体のロバストな効果を明確に示している。脂肪肝における組織学的改善は、肝臓組織診断からも明らかなように、高血糖症および高インスリン血症の補正、並びにグルコースおよび脂肪の代謝改善と密接に関連している。
実施例2
実施例1で示されたREMD2.59C処置の有意な効果を考慮して、様々なマウスモデルにおけるグルコース生産の制御とNAFLD/NASHの発達との関係を評価する。本実施例では、REMD2.59Cのインビボ活性を、NASH派生HCCマウスモデル(STAM(登録商標)モデル、Fujii et al, Med Mol Morphol, 46:141-152, 2013)において評価する。STAM(登録商標)モデルでは、C57BL/6Jマウスに、生後2日目に200μgのSTZの単回皮下注射を注入し、4週齢の後にHFDまたは固形飼料を給餌する。雄マウスにおいて、この併用STZ−HFD処置は、HFD給餌の1週間後に脂肪症および糖尿病の発達をもたらし、HFDの継続により、雄マウスは高血糖症および中等度の高脂血症と一緒に線維症、肝硬変および肝細胞癌(HCC)を発達させ、故に、ヒトNASHとよく似ている。STZのみで処置された雄マウスおよびSTZ−HFDで処置された雌マウスは糖尿病を発症するが、HCCは発達させない。
本研究では、各々10匹の野生型C57BL/6Jマウス(雄、4〜6週齢、20〜22g)からなる4つの群に、生後2日目に200μg STZの単回皮下注射を注入し、4週齢の後にHFDを給餌し(「STZ−HFD群」)、10匹の野生型C57BL/6Jマウス(雄、4〜6週齢、20〜22g)からなる1つの群に、生後2日目に200μg STZの単回皮下注射を注入し、4週齢の後に通常食(固形飼料)を給餌した(「STZ−固形飼料群」)。STZ−固形飼料群は24週間の研究の間ずっと固形飼料を継続し、STZ−HFD群は24週間の研究の間ずっとHFDを継続する。
5週齢目に、STZ−固形飼料群には24週齢までビヒクル(PBS)を皮下注射で週1回投与し、1つのSTZ−HFD群には24週齢まで7.5mg/kgのREMD2.59抗体を週1回投与する。8週齢目に、1つのSTZ−HFD群に24週齢まで2.5mg/kgのREMD2.59抗体を週1回投与し、1つのSTZ−HFD群に24週齢まで5.0mg/kgのREMD2.59抗体を週1回投与し、1つのSTZ−HFD群に24週齢まで7.5mg/kgのREMD2.59抗体を週1回投与する。
24週間の研究の全体を通じて、例えば以下を含む、様々なパラメーターを測定する:i)体重(週1回);ii)空腹時血糖測定(マウスを試験前に6時間絶食させ、空腹時血糖値をAccu−Chek Aviva System(登録商標)を用いて週1回尾静脈から測定する ;iii)血清ヘモグロビン−A1c(HbA1c)測定;iv)血清GLP−1測定;v)ラジオイムノアッセイ(リンコ社(Linco)、ミズーリ州セントチャールズ)により、血清インスリンレベルおよび血清レプチンレベル;vi)血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)測定;vii)血清アディポネクチン(adioponectin)測定;viii)血清脂質(例えば、総コレステロール、LDL、HDLおよびトリグリセリド)測定;および、ix)γグルタミルトランスペプチダーゼ(CGT)測定。項目iii)〜ix)について、投与前および試験の最後に血液試料を、抗凝固剤を含まない管内に採取し、即座に遠心し、血清を評価用に別の試料管に移す。上記の様々な測定および/または分析は、下記の追加の材料および方法セクションに記載の通りに行う。
研究の最後に、肝臓を素早く摘出し、氷冷食塩水でリンスし、重量を計る。肝臓の一定分量を液体窒素中で急速凍結し、分析まで−80℃で維持する。各々の肝臓の一部を、肝臓の適切な組織学的分析のために10%ホルマリンで固定する。肝臓トリグリセリド(TG)含量、ジアシルグリセリド(DG)含量、およびセラミド含量の測定を、下記の追加の材料および方法セクションに記載の通りに行う。炎症、中心静脈線維症、および門脈路線維症を、下記の追加の材料および方法セクションに記載の通りに評価する。
実施例1に示された結果を考慮して、抗GCGR抗体を用いた野生型マウスの処置は、例えば、インスリン抵抗性の減少;高インスリン血症の減少または防止、肝臓における脂肪沈着の減少または防止;肝臓における炎症の減少または防止;脂質、例えば、肝臓トリアシルグリセロール、肝臓ジアシルグリセロール、およびセラミド、の蓄積の減少または防止;並びに肝臓における傷害の防止を含み得る有益な治療的効果を与え、そのようなマウスにおけるNAFLD/NASHの発達が防止または治療されることで、糖尿病対象がHCCを発達させるリスクが減少され得ると期待される。
実施例3
実施例1で示されたREMD2.59C処置の有意な効果を考慮して、REMD2.59Cのインビボ活性をdb/dbマウスを用いるNASHのマウスモデルにおいて評価する。本研究は24週間の研究となる。追加で48週間の研究を行う場合もある。C57BL/6バックグラウンドのdb/dbマウスをジャクソン研究所(バーハーバー、メーン州)から購入する。db/dbマウスは高レプチン血症、肥満および糖尿病のマウスである。メチオニンおよびコリン欠乏(MCD)食を給餌されたdb/dbマウスは脂肪肝を自然に発症し、脂肪肝はNASHへと進行する(Wortham et al., Dig Dis Sci., 53(10): 2761-2774、2008年10月)。各6匹の10〜12週齢db/dbマウスに、メチオニンおよびコリンを欠乏した食餌(MCD)(MPバイオメディカルズ社(MP Biomedicals)、オハイオ州ソロン、カタログ番号960439)もしくはメチオニンおよびコリンを添加した同一食餌(MCDS)(MPバイオメディカルズ社、カタログ番号960441)を4週間、または、HFD+フルクトース西洋食(WD)(#58Y1、テストダイエット社(TestDiet)、ミズーリ州セントルイス)、もしくは固形飼料(対照食)(#58Y2、テストダイエット社、ミズーリ州セントルイス)を24週間、自由給餌する。マウスは、22℃、12時間/12時間の明暗サイクルで、鋼鉄製マイクロアイソレーターケージ内に個々に収容する。全手順を、実験動物の管理と使用に関するアメリカ国立衛生研究所(NIH)ガイドラインに従って実施した。マウスに、毎週または隔週で、皮下注射により、ビヒクル(10mM 酢酸ナトリウム、5%ソルビトール、および0.004%ポリソルベート20)、2.5mg/kg REMD2.59C抗体(「低用量」)、または5mg/kg REMD2.59C抗体(「高用量」)を、必要に応じて4週間または24週間投与する。投与する用量は10mg/kg/月を超過しないものとする。
4週間または24週間の研究の全体を通じて、例えば以下を含む、様々なパラメーターを測定する:i)体重(週1回);ii)空腹時血糖測定(マウスを試験前に6時間絶食させ、空腹時血糖値をAccu−Chek Aviva System(登録商標)を用いて週1回尾静脈から測定する;iii)血清ヘモグロビン−A1c(HbA1c)測定;iv)血清GLP−1測定;v)ラジオイムノアッセイ(リンコ社(Linco)、ミズーリ州セントチャールズ)により、血清インスリンレベルおよび血清レプチンレベル;vi)血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)測定;vii)血清アディポネクチン(adioponectin)測定;viii)血清脂質(例えば、総コレステロール、LDL、HDLおよびトリグリセリド(TG))測定;および、ix)γグルタミルトランスペプチダーゼ(CGT)測定。項目iii)〜ix)について、投与前および試験の最後に血液試料を、抗凝固剤を含まない管内に採取し、即座に遠心し、血清を評価用に別の試料管に移す。上記の様々な測定および/または分析は、下記の追加の材料および方法セクションに記載の通りに行う。
研究の最後に、肝臓を素早く摘出し、氷冷食塩水でリンスし、重量を計る。肝臓の一定分量を液体窒素中で急速凍結し、分析まで−80℃で維持する。各々の肝臓の一部を、肝臓の適切な組織学的分析のために10%ホルマリンで固定する。肝臓トリグリセリド(TG)含量、ジアシルグリセリド(DG)含量、およびセラミド含量の測定を、下記の追加の材料および方法セクションに記載の通りに行う。炎症、中心静脈線維症、および門脈路線維症を、下記の追加の材料および方法セクションに記載の通りに評価する。
実施例1に示された結果を考慮して、抗GCGR抗体を用いたdb/dbマウスの処置は、例えば、インスリン抵抗性の減少;高インスリン血症の減少または防止、肝臓における脂肪沈着の減少または防止;肝臓における炎症の減少または防止;脂質、例えば、肝臓トリアシルグリセロール、肝臓ジアシルグリセロール、およびセラミド、の蓄積の減少または防止;並びに肝臓における傷害の防止を含み得る有益な治療的効果を与え、そのようなマウスにおけるNAFLD/NASHの発達が防止または治療され得ると期待される。
実施例4
本実施例は、NASHと診断された対象における完全ヒト抗GCGR抗体を用いた週1回処置の安全性、薬物動態および薬力学的効果を評価するための、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、多用量研究について記述する。処置は、処置の有効性および安全性を観察および定量化するのに十分な長さの、最長6または12ヵ月継続し得る。
処置群には、プラセボ群、並びに様々な投与量の、配列番号51に記載の重鎖配列および配列番号52に記載の軽鎖配列を含む完全ヒト抗GCGR抗体(「REMD−477」)で処置される処置群が含まれる。非プラセボ処置群の例としては、例えば、週あたり0.01mg/kg、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.075mg/kg、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、または10mg/kgのREMD−477注射を受ける対象、および、週あたり0.01mg/kg、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.075mg/kg、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、または10mg/kgのREMD−477注射を受ける対象が挙げられる。
主要評価項目としては、例えば、ベースライン時、試験終了まで4週間または8週間間隔での、MRIによる肝脂肪量の割合変化;ベースライン評価との比較で、試験終了時に、少なくとも1段階の肝線維症の改善を達成した、プラセボ処置患者に対するREMD−477処置患者の比率変化;並びに、ベースライン時、試験終了までの4週間間隔での、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、ビリルビンおよびアルカリホスファターゼ(ALP)を含む肝臓酵素および代謝マーカーにおける変化が挙げられる。副次評価項目としては、例えば、処置前ベースライン時、および試験終了まで1週間間隔での、毎日モニターする一晩絶食後のグルコースの平均である、空腹時血糖値の変化;処置前ベースライン時、および試験終了まで1週間間隔での、血漿インスリンレベルの変化;処置前ベースライン時、および試験終了まで4週間または8週間間隔での、ヘモグロビンA1cレベル(長期的グルコース制御の指標)の変化;処置前ベースライン時、および試験終了まで8週間間隔での、経口グルコース負荷から0、30、60、90および120分後に測定される、経口グルコース負荷試験(OGTT)におけるグルコースプロファイルの変化;ベースライン時および試験終了時の、肝硬変を含むあらゆる判定事象(adjudicated event)の発症を有する患者の数、総死亡率、および肝臓に関連した臨床成績によって評価される、複合的な長期転帰;並びに、生活の質(36-Item Short-Form Health Survey[SF−36])アンケートのスコア変化が挙げられる。
追加の材料および方法
体重:全動物の体重を種々の研究の期間全体を通じて毎週測定する。
摂食量:全動物の摂食量を種々の研究の期間全体を通じて毎日および/または毎週測定する。
血糖:マウスを血糖検査前に午前9時から午後3時まで6時間絶食させ、空腹時血糖値をAccu−Chek Performa Systemを用いて週1回の頻度で尾静脈から測定した。
経口グルコース負荷試験:REMD Ab2.59の反復投与効果を検査するために、研究の最後に全ての動物に対してOGTTを行った。ベースライン(0時点)のグルコースレベルを、16時間時間の絶食後に、グルコースチャレンジに先立って、測定した。2g/kgグルコースを経口投与した後、Accu−Chek Performa Systemを用いて種々の時点(30、60、120分)で血糖値を測定した。
血液化学分析:1週おきの脂質プロファイルおよび末期血液生化学パラメーター(ALT、AST、GGT、ALP)を検査した。血液試料は、8、12、16および20週目に採取し、即座に4℃、4000g、15分間の遠心分離により処理し、その後、新しい試験管に移した。脂質プロファイルおよび血液生化学パラメーターはTOSHIBA TBA−40FR自動生化学分析装置を用いて測定した。
肝臓における脂質プロファイルの測定:脂質プロファイル(TG、TCHO、HDL−CおよびLDL−C)をプロトコルに従って動物の肝臓から抽出した後、TOSHIBA TBA−40FR自動生化学分析装置を用いて脂質プロファイルを測定した。
ELISAキット分析:全試験動物のインスリンレベルを8、12、16および20週目に測定した。GLP−1およびレプチンを試験の最後にELISA法を用いて測定した。分析には血清を用いた。
肝臓重量:試験の最後に、肝臓を素早く摘出し、氷冷食塩水でリンスし、重量を計る。肝臓の一定分量を液体窒素中で急速凍結し、分析まで−80℃で維持する。各々の肝臓の一部を、組織学的検査のために10%ホルマリンで固定する。
肝臓TG/DG/セラミド含量:全ての動物の肝臓トリグリセリド(TG)、ジアシルグリセリド(DG)、およびセラミドの含量を、試験の最後に測定する。肝臓試料を、150mM NaCl、1mM EDTA、および1μM PMSFを含有する50mM Tris・HCl緩衝液(pH7.4)中でホモジナイズし、各プロトコルに含まれる適切な内部標準を用いるクロロホルムへの抽出により脂質を単離する。抽出した脂質をメタノール/クロロホルム(4:1、体積比)中に再懸濁および希釈し、その後、Thermo Electron TSQ Quantrum Ultra機器(サンノゼ、カリフォルニア州)を用いるエレクトロスプレーイオン化質量分析により分析した。DG分子種を、以前に報告された通りに選択反応モニタリングを用いてナトリウムイオン付加物(sodiated adduct)として定量化し、それぞれの分子種の強度を内部標準di−20:0 DGの強度に対して正規化した(Demarco VG et al., Endocrinology, 154:159-171, 2013)。TG脂肪族基を、TG種からの各脂肪酸のロスについてのニュートラルロススキャニング、および、それに対する内部標準Tri−17:1 TG由来のニュートラルロス268の比較による、TGフィンガープリント法によって、定量化した(Han et al., Anal Biochem, 295:88-100, 2001)。個々のセラミド分子種を、ニュートラルロス256を用いる陰イオンモードで、I型およびII型13C同位体効果に対する補正後に、個々の分子種のイオン強度を内部標準(17:0セラミド)のそれと比較することにより、定量化した。
組織学および免疫組織化学:ホルマリン固定した肝組織を加工し、5μm厚パラフィン切片に、組織学的分析用にヘマトキシリン‐エオシン(H&E)染色およびマッソントリクローム染色を行う。炎症をH&E染色切片上で評価し、以下の通りの0〜3のスコアを与える:0、炎症無し;1、軽度;2、中程度;3、重度。線維症の程度をデジタル形態計測で評価する。各マウスから得られたトリクローム染色切片の5つの別々の領域を無作為に選択し、各領域内で、デジタル撮影された門脈路(portal track)および中心静脈を特定する。20倍対物レンズを用い、目的の門脈路または中心静脈を視野の中心にして写真を撮って、各マウスの目的の5つの門脈/門脈周囲視野および5つの中心/中心周囲視野を得る。それぞれの目的視野において、線維症に対応するピクセルを、各標本における明瞭な線維症の染色に対応する青色スペクトルの狭帯域に基づいて測定し、それらの領域内の正常間質コラーゲンを慎重に除外する。Image Processing Tool Kit、バージョン5.0(レインディア・グラフィックス社(Reindeer Graphics)、ノースカロライナ州アシュビル)を用いて、線維症に対応するピクセルの数を各画像の総ピクセルの割合として測定する。各動物について、各標本から得られた5つの門脈/門脈周囲視野および5つの中心/中心周囲視野の結果を平均し、線維症を全断面積の割合として表す。
メチオニンおよびコリン欠乏(MCD)食:本明細書で考察された食事法の中で、MCD食は最も短い期間で最も重篤なNASH表現型をもたらす。MCD食はスクロースおよび脂肪を多く含有するが、肝臓におけるβ酸化および超低密度リポタンパク質(VLDL)の産生に不可欠なメチオニンおよびコリンを欠いている。これは、肝臓内の脂質の蓄積およびVLDL合成の減少をもたらす(Anstee et al., Int J Exp Pathol, 87(1):1-16, 2006)。MCD食はげっ歯類において2〜4週間で測定可能な脂肪肝(主に大滴性)を急速に誘導し、これはその後すぐに炎症および線維症に進行する。MCD食中の脂肪レベルにはばらつきがあるが、典型的には約20エネルギー%の脂肪を含有する。重要なことであるが、NAFLDのヒトまたは他の食餌誘発性げっ歯類モデルと異なり、MCD食を給餌されたげっ歯類は体重を減らし(はるかに低いカロリー摂取のため)、インスリン抵抗性にならない。NASHを有する大部分のヒトは肥満であり且つインスリン抵抗性であるため、これはMCD食がヒトNASHのモデルをつくる際の重要な違いとなる。
高脂肪食(HFD):HFDは、げっ歯類モデルにおいて、体重、体脂肪を増加させ、インスリン抵抗性を誘導することがよく知られている。HFDは、肝臓インスリン抵抗性だけでなく、肝脂肪レベルも極めて急速に(数日以内に)増加させ、その後、末梢性脂肪沈着の有意な増加を引き起こし得る。長期的には、HFD誘導性肝脂肪蓄積は、直線的に進行しない場合があり、肝脂肪レベルは実際には減少し、その後長期のHFD摂取の間に再度増加し得る。同期間給餌される場合、HFD摂取は、MCD食により蓄積されるものと比較して、10倍低い肝脂肪レベルをもたらす。通常HFD摂取は、MCD食と比較して、肝線維症を生じさせず、軽度の脂肪症を生じさせるのみであることから、これらの食餌制度(regime)間の重要な違いが強調される。用語「HFD」が種々様々な食餌方式を包含すること、および、異なる組成の食餌は肝臓の表現型を様々に変化させると期待され得ることには、留意されたい。例示的なHFD食は、36%の脂肪由来カロリー(9%のコーン油および27%のバター)および糖無しの43.2%の炭水化物由来カロリーから構成され得る。HFD(リサーチ・ダイエット社(Research Diets)、D12492、HFD)をこれらの研究に使用した。
HFD+フルクトース食(西洋食(「WD」)):例示的なWDは、HFDと同一の、36%の脂肪由来カロリー(9%のコーン油および27%のバター)、および、例えばフルクトースを含む(例えば、30%の糖由来カロリー)、43.2%の炭水化物由来カロリーで構成され得る。
NASHマウスモデル:本開示の抗GCGR抗体は他の様々な公表済みNASHマウスモデルのいずれにおいても評価することができる(例えば、Poekes et al., Archives of Public Health, 72(1): 07, 2014; Adorini et al., Drug Discovery Today, 17:988-997, 2012; Farrell et al., Liver Int., 34(7):1084-93, 2014; Aroor et al., Diabetes, http://dx.doi.10.1016/j.drudis.2012.05.012, Jan 20, 2015; Rooyen et al, Gastroenterology, 141(4):1393-1403, 2011; Ishimoto et al., Hepatology, 58(5):1632-1643, 2013; Farrell et al., Gut and Liver, 6(2):149-171, 2012; Sahai et al., Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol, 287:G1035-G1043, 2004; Wortham et al., Dig Dis Sci, 53(10):2761-2774, 2008; Lieber et al, Am J Clin Nutr, 79:502-509, 2004を参照)。
本願で開示および特許請求される物品および方法は全て、本開示に照らして、不要な実験を行うことなく、作製および実行することができる。本開示の物品および方法が好ましい実施形態の観点から記述されたが、本開示の精神および範囲から逸脱しない範囲で物品および方法に変形を適用してよいことは、当業者には明らかである。当業者に明らかな、そのような変形形態および均等物は全て、現存するものであれ後に開発されるものであれ、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲に包含されると見なされる。本明細書で言及された特許、特許出願、および刊行物は全て、本開示が属する技術分野における当業者の水準を示すものである。全ての特許、特許出願、および刊行物は、あたかも個々の刊行物が、その全体があらゆる目的で参照により援用されると明確且つ個々に示されるのとの同程度に、それらの全体があらゆる目的で参照により本明細書に援用される。本明細書に例示的に記載された開示は、本明細書に特には開示されていないいかなる要素が存在せずとも、好適に実施することができる。すなわち、例えば、本明細書におけるどの場合でも、用語「を含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれとも置き換えることができる。使用された用語および表現は、限定ではなく説明のための用語として使用されており、そのような用語および表現の使用に際して、示されそして説明された特徴またはその一部のいかなる均等物も排除する意図も無く、ただし、特許請求された本開示の範囲内で様々な変更形態が可能であると認識される。すなわち、本開示は好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されたが、本明細書で開示された概念の変更および変形が当業者により行われてもよいこと、並びに、そのような変更および変形が添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内であると見なされることを理解されたい。
配列表
添付されている配列表に挙げられているアミノ酸配列は米国特許法施行規則(37CFR)第1.822条において規定されるアミノ酸の標準的3文字コードを使用して示されている。
配列番号1はヒトグルカゴン受容体(GCGR)分子のアミノ酸配列である(受託番号AAI04855)。
配列番号2は完全ヒト抗GCGR抗体の重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。配列番号3は完全ヒト抗GCGR抗体の軽鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。
配列番号4は完全ヒト抗GCGR抗体の重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。配列番号5は完全ヒト抗GCGR抗体の軽鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。
配列番号6は完全ヒト抗GCGR抗体の重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。配列番号7は完全ヒト抗GCGR抗体の軽鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。
配列番号8はキメラ抗GCGR抗体の重鎖をコードするアミノ酸配列である。配列番号9はキメラ抗GCGR抗体の軽鎖をコードするアミノ酸配列である。
配列番号10〜28は様々な完全ヒト抗GCGR抗体の重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。
配列番号29〜47は様々な完全ヒト抗GCGR抗体の軽鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。
配列番号48はカッパ軽鎖定常領域をコードするアミノ配列である。配列番号49はラムダ軽鎖定常領域をコードするアミノ配列である。
配列番号50はIgG2重鎖定常領域をコードするアミノ配列である。
配列番号51はヒト抗GCGR抗体の重鎖をコードするアミノ酸配列である。配列番号52はヒト抗GCGR抗体の軽鎖をコードするアミノ酸配列である。
[配列表]
配列番号1 ‐ ヒトグルカゴン受容体(GCGR)分子のアミノ酸配列
MPPCQPQRPLLLLLLLLACQPQVPSAQVMDFLFEKWKLYGDQCHHNLSLLPPPTELVCNRTFDKYSCWPDTPANTTANISCPWYLPWHHKVQHRFVFKRCGPDGQWVRGPRGQPWRDASQCQMDGEEIEVQKEVAKMYSSFQVMYTVGYSLSLGALLLALAILGGLSKLHCTRNAIHANLFASFVLKASSVLVIDGLLRTRYSQKIGDDLSVSTWLSDGAVAGCRVAAVFMQYGIVANYCWLLVEGLYLHNLLGLATLPERSFFSLYLGIGWGAPMLFVVPWAVVKCLFENVQCWTSNDNMGFWWILRFPVFLAILINFFIFVRIVQLLVAKLRARQMHHTDYKFRLAKSTLTLIPLLGVHEVVFAFVTDEHAQGTLRSAKLFFDLFLSSFQGLLVAVLYCFLNKEVQSELRRRWHRWRLGKVLWEERNTSNHRASSSPGHGPPSKELQFGRGGGSQDSSAETPLAGGLPRLAESPF
配列番号2 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSS
配列番号3 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIK
配列番号4 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSS
配列番号5 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIK
配列番号6 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSS
配列番号7 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIK
配列番号8 ‐ GCGRに結合するキメラ抗体の重鎖のアミノ酸配列
MEFGLSWVFLVALLRGVQCQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSSAKTTPPSVYPLAPGSAAQTNSMVTLGCLVKGYFPEPVTVTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVPSSTWPSETVTCNVAHPASSTKVDKKIVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGK
配列番号9 ‐ GCGRに結合するキメラ抗体の軽鎖のアミノ酸配列
MDMRVPAQLLGLLLLWFPGARCDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC
配列番号10 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEWVAVILSDGRNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDDYEILTGYGYYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号11 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVILNDGRNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDDYEILTGYGYYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号12 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNGAAWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYYDYAGSVKSRININPDTSKNQFSLQVNSVTPEDTAVYYCTRDRSSGWNEGYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号13 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYDIHWVRQAPGKGLEWVAVLSSDGNNKYCADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRTEDTAVYYCAREEVYYDILTGYYDYYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号14 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISTYFWTWIRQFPGKGLEWIGYIFYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAREGYYDILTGEDYSYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号15 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLQQSGPGLVKPSQILSLTCAISGDRVSSNGAAWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYYDYAGSVKSRININPDTSKNQFSLQVNSVTPEDTAVYYCARDRSSGWNEGYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号16 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISTYFWTWIRQFPGEGLEWIGYIFYSGNTNYNPSLTSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAREGYYDILTGEDYSYGIDVWGQGTTVTVSS
配列番号17 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFIFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISNDGSNKYYADFVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREDYDILTGNGVYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号18 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYTMNWVRQAPGKGLEWVSYISGSSSLIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLHMNSLRDEDTAVYYCARARYNWNDYYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号19 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFAFSSYGIHWVRQAPGKGLEWVAGIWYDGSNKYYADSVKGRFTVSRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLFDAFDIWGQGTMVTVSS
配列番号20 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFIFSSYTMNWVRQAPGKGLEWVSYISSSSSLIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRDEDTAVYYCARSDYYGSGSYYKGNYYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号21 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVTIIWSDGINKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLNLQMNSLRAEDTAVYYCARERGLYDILTGYYDYYGIDVWGQGTTVTVSS
配列番号22 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVTIIWSDGINKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLNLQMNSLRAEDTAVYYCARERGLYDILTGYYDYYGIDVWGQGTTVTVSS
配列番号23 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGITFRSYSMNWVRQAPGKGLEWVSAISSSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSVYLQMNSLRAEDTAVYYCARGRYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号24 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGSTFRSYDMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYGDSVKGRLTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDQYDILTGYSSDAFDIWGQGTMVTVSS
配列番号25 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSRYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSHKYYEDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRADDTGVYYCARVGYGSGWYEYYYHYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号26 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSS
配列番号27 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSS
配列番号28 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCVRのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGITFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVASIWYDGSNKYYVDSVKGRFTIFRDNSKKTLYLQMNRLRAEDTAVYYCARLGGGFDYWGQGTLVTVSS
配列番号29 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLAWFQKKPGKAPKSLIYVVSSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTINNLQPEDFATYYCQQYNHYPLTFGGGTRVEIKR
配列番号30 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLAWFQQRPGKAPKSLIYVVSSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISNLQPEDFATYFCQQYNHYPLTFGGGTKVEIKR
配列番号31 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQFPSSLSASIGDRVTITCQASQDISNFLNWFQQKPGKAPKLLIYDASDLETGVPSRFSGSGAGTDFTFTISSLQPEDIATYFCQQYDDLPLTFGGGTRVDIKR
配列番号32 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIKR
配列番号33 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
QNVLTQSPGTLSLSPGERVTLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIFGVSSRATGIPDRFSGSGSGTDFSLTISRLEPEDFAVYYCQQYGNSPFTFGPGTKVDIKR
配列番号34 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQFPSSLSASIGDRVTITCQASQDISNFLNWFQQKPGKAPKLLIYDASDLETGVPSRFSGSGAGTDFTFTISSLQPEDVATYFCQQYDNLPLTFGGGTKVDIKR
配列番号35 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
ENVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVTSSYLAWYQQKPGQAPRLLIFGVSSRATGIPDRFSGSGSGTDFSLTISRLEPEDFAVYYCQQYGNSPFTFGPGTKVDIKR
配列番号36 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIDMYLAWFQQKPGKAPKSLIYAASSLQSGVPSKFSGSGFGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNIFPFTFGPGTKVDVKR
配列番号37 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIKR
配列番号38 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
KIVMTQTPLALPVIPGEPASISCRSSQSLVDSDDGDTYLDWYLQKPGQSPQVLIHRLSYRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGIYYCMHRIEFPFTFGGGTKVEIKR
配列番号39 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQRPGKAPKRLIYAASSLQTGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIKR
配列番号40 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
GIVLTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMEALQTMCSFGQGTKLEIKR
配列番号41 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
GIVLTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMEALQTMSSFGQGTKLEIKR
配列番号42 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIVMTQTPLFLPVTPGEPASISCRSSQTLLDSDDGNTYLDWYLQKPGQSPQRLIYTLSYRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGIYYCMQHIEFPSTFGQGTRLEIKR
配列番号43 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKYASWYQQKPGQSPVLVIYQSTKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDSSTVVFGGGTKLTVLG
配列番号44 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
NIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLLHSDGKNYLFWYLQKPGQSPQLLIYEVSYRFSGVPDRFSGSGSGTDFSLKISRVEAEDVGVYYCMQNIQPPLTFGQGTRLEIKR
配列番号45 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIKR
配列番号46 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIKR
配列番号47 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCVRのアミノ酸配列
DIVLTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLDRDDGDTYLDWYLQKPGQSPQLLIYTLSYRASGVPDRFSGSGSGTDFSLKISRVEAEDVGVYYCMQRIEFPFTFGPGTKVDIKR
配列番号48 ‐ カッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号49 ‐ ラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列
GQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
配列番号50 ‐ IgG2重鎖定常領域のアミノ配列
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号51 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のHCのアミノ酸配列
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVMWYDGSNKDYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREKDHYDILTGYNYYYGLDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号52 ‐ GCGRに結合するヒト抗体のLCのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSVQPEDFVTYYCLQHNSNPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC