JP2016516081A - 脊索腫のための酵母系免疫療法 - Google Patents

脊索腫のための酵母系免疫療法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016516081A
JP2016516081A JP2016504343A JP2016504343A JP2016516081A JP 2016516081 A JP2016516081 A JP 2016516081A JP 2016504343 A JP2016504343 A JP 2016504343A JP 2016504343 A JP2016504343 A JP 2016504343A JP 2016516081 A JP2016516081 A JP 2016516081A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yeast
seq
brachyury
chordoma
antigen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016504343A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016516081A5 (ja
JP6509808B2 (ja
Inventor
ロデル、ティモシー シー.
シー. ロデル、ティモシー
アペリアン、デイビッド
パレナ、クラウディア
シュロム、ジェフリー
Original Assignee
グローブイミューン,インコーポレイテッド
ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by グローブイミューン,インコーポレイテッド, ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ, ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ filed Critical グローブイミューン,インコーポレイテッド
Publication of JP2016516081A publication Critical patent/JP2016516081A/ja
Publication of JP2016516081A5 publication Critical patent/JP2016516081A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6509808B2 publication Critical patent/JP6509808B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K36/00Medicinal preparations of undetermined constitution containing material from algae, lichens, fungi or plants, or derivatives thereof, e.g. traditional herbal medicines
    • A61K36/06Fungi, e.g. yeasts
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/0005Vertebrate antigens
    • A61K39/0011Cancer antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/04Antineoplastic agents specific for metastasis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/51Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising whole cells, viruses or DNA/RNA
    • A61K2039/52Bacterial cells; Fungal cells; Protozoal cells
    • A61K2039/521Bacterial cells; Fungal cells; Protozoal cells inactivated (killed)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/545Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the dose, timing or administration schedule
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Natural Medicines & Medicinal Plants (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Alternative & Traditional Medicine (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

本発明の一実施形態は、脊索腫を有する個体において脊索腫を治療するための方法に関する。本方法は、脊索腫を有する個体に、(a)酵母媒体と、(b)少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む免疫治療用組成物を投与する工程を含む。本発明の別の実施形態は、脊索腫を有する個体における脊索腫に対する、酵母媒体と、少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む免疫治療用組成物の使用に関する。本発明のさらに別の実施形態は、酵母媒体を含む免疫治療用組成物の使用に関する。

Description

政府の権利
本発明は、米国保健社会福祉省の国立衛生研究所との共同研究開発契約の遂行において創出された。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
共同研究契約に関する記載
本発明は、2008年5月8日執行された共同研究開発契約の当事者または代理人によってなされたものである。共同研究開発契約の当事者は、グローブイミューン社および国立衛生研究所の一機関、一中核施設または一部局である国立癌研究所に代表される米国保健社会福祉省である。
配列表の参照
本出願は、EFS−Webによりテキストファイルとして電子的に提出された配列表を含む。「7797−2−PCT_ST25」の名称のテキストファイルは、バイト数が76KBであり、2014年3月14日に記録されたものである。このテキストファイルに含まれる情報は37CFR§1.52(e)(5)に従って、その全内容が本明細書の一部として援用される。
技術分野
本発明は一般に、酵母系免疫治療用組成物ならびに脊索腫の予防および/または治療のための方法に関する。
脊索腫は、悪性、局部浸潤性で予後の悪い、脊索の胚期遺残から生じる主として脊椎の稀な骨癌である(非特許文献1)。これは女性よりも男性で頻度が高く(60%対40%)、診断時の年齢中央値は59歳であり、一般に年齢とともに徐々に罹患率が上昇する(非特許文献2)。文献ではよく尾仙骨領域の傾向を持つと誤って記載されるが、SEERデータベースからの400症例の最も包括的な集団分析では、脊索腫は仙骨(29.2%)、頭蓋底(32%)、および可動性脊椎(32.8%)の間でほぼ等しい分布であることが示されている(非特許文献2;非特許文献3)。この研究では、総ての人種および性別で、全生存期間の中央値は6.29年であり、5年、10年および20年生存率はそれぞれ68%、40%および13%と急激に低下する(非特許文献2)。しかしながら、この筆者らが、22年生存率において後に診断および治療された患者ほど有意に改善された生存率を持っていたことを確認し、これは手術および放射線技術の改善の結果であるとの仮説を立てたことに注目することが重要である。4つの後の(より小規模な)研究はこの仮説を裏付け、合計230名の被験者の5年および10年全生存率は82%および57%であった(非特許文献4(表4);非特許文献5)。
脊索腫の米国での罹患率は100,000人に0.08人であり、年間およそ250件の新たな米国症例が見られるに至っている(非特許文献2;2013年1月1日の米国国勢調査局米国人口推計(315,091,138人))。Europe−27(EU)での罹患率も米国と同様であり、年間およそ400件の新たなEU症例(脊索腫財団ウェブサイト2013年;2012年1月1日のEuropean Commission EuroStatデータベースEU−27人口(503,700,000))。平均全生存期間をおよそ10年とすれば、脊索腫の有病率は100万人におよそ8人、または米国では約2500人、EUでは4000人である。他の地域の脊索腫の罹患率および有病率は知られていない。
脊索腫は、無痛性で、ゆっくり成長するので、疾患の後期まで臨床上サイレントである場合が多い。脊索腫は症状上、一般に転移性はなく、初期症状の時点で肺、骨、皮膚および脳への転移を示す場合は5%に過ぎない。患者の生存は、疾患の局部的進行よりも遠隔転移によって影響を受けることは少ないと思われる。局部的進行が死亡率の最も重要な予測因子として浮上しており、初期切除の程度が治癒機会の提供に最も重要な因子となっている(非特許文献3)。
神経学的保存に重点を置いた侵襲的外科切除と、その後の補助的放射線療法がこの疾患の標準治療である。切除断端が広い侵襲的一括外科切除では、疾患再発の局部的管理が実質的に改善される(非特許文献6;非特許文献5;非特許文献7)。しかしながら、腫瘍の複雑な除去はそれ自体、満足のいく治療目標ではなく、外科術の転帰を評価する際には、患者の神経機能の保存および生活の質も優先しなければならない。特に体積が小さい場合には、術後に残る腫瘍を放射線療法で管理する。現在、完全な切除は仙骨脊索腫の約50%で達成可能であり、脊椎および頭蓋底脊索腫ではもっと低い割合である(非特許文献3)。単独の放射線療法では効果がないことが分かったが、ハドロンに基づく(非光子)補助的放射線療法は手術単独に優る付加的利点を提供するという共通認識が存在すると思われ、5年局部管理率は50〜60%である(非特許文献3)。
脊索腫は一般に、それらの遅い増殖特性から予想されるように、従来の化学療法には非感受性である(非特許文献8)。しかしながら、限定されたケースながら、脱分化型脊索腫が侵襲的化学療法に感受性を持ち得ることを示唆した報告がある(非特許文献9)。脊索腫の分子プロファイリングは、これらの腫瘍がPDGF受容体AおよびB、ならびにKIT受容体を過剰発現することを明らかにした。結果として、イマチニブおよびスニチニブなどの数種のチロシンキナーゼ阻害剤が脊索腫患者に試みられた。これまでに得られた最良の結果はスニチニブを用いた場合であり、脊索腫患者の44%(4/9)が16週間安定疾患を有した(非特許文献10)。
脊椎および頭蓋底腫瘍の正確な診断は重要である。ブラキウリが脊索腫の識別バイオマーカーとされている。サイトケラチン染色と組み合わせると、脊索腫検出の感度および特異度はそれぞれ98%および100%である(非特許文献11)。ブラキウリは、「T」としても知られ、中胚葉転写因子であり、初期発生、ならびに脊椎動物の背側中の形成および分化と対軸発達に役割を果たすTボックス遺伝子複合体のメンバーである(例えば、非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16参照)。もっと最近では、Palenaおよび共同研究者らが、ブラキウリが様々なヒト腫瘍組織および癌細胞株で発現されることを実証した(非特許文献17)。Fernandoらによる研究は、ブラキウリがヒト腫瘍細胞において上皮−間葉移行(EMT:epithelial−mesenchymal transition)を促進して腫瘍細胞に間葉表現型、ならびに移動能および浸潤能を付与するとともに、腫瘍細胞周期の進行を減弱することを示した(非特許文献18)。よって、ブラキウリは癌の転移進行に関与する。しかしながら、脊索腫では、ブラキウリは、疾患のあらゆる段階により広く関与すると思われる。家族性散発性脊索腫を有する患者では、研究により、ブラキウリの一般的な遺伝子重複が同定された(非特許文献19)。
初期治療での最良の努力にもかかわらず、ほとんどの脊索腫は再発または進行する。多くの患者が複雑な再手術を受けることを選ぶが、あらゆる病巣部位に関して罹患率が高いにもかかわらず、治療プロトコールおよび再発性病巣に関する転帰の報告は極めて少ない。これまでの放射線治療は多くの場合、安全に再照射する能力に限界があるとともに、後の手術でも罹患率の増大が起こる。従って、当技術分野には、脊索腫の治療のための改善された治療アプローチの必要がある。さらに、家族性脊索腫の発生を考えれば、当技術分野には、脊索腫の予防のための選択肢、または家族性脊索腫の発症を遅延させる、またはその転帰を改善する選択肢の必要がある。
Chugh et al.,2007,The Oncologist 12:1344−1350 McMaster et al.,2001,Cancer Causes Control 12:1−11 Walcott et al.(2012)Lancet Oncol 13:e69−76 Ferraresi et al.(2010),BMC Cancer 10:22 Stacchiotti et al.(2010),Ann Surg Oncol 17(1):211−9 Hsieh et al.(2009),Spine 34:2233−39 Tzortzidis et al.(2006),Neurosurgery 59(2):230−7 Azzarelli et al.(1988),J Surg Oncol 37(3):185−91 Fleming et al.(1993),Cancer 72:714−18 Merriam et al.(2009),J Clin Oncol 27:3154−60 Oakley et al.(2008),Mod Path 21,1461−1469 Wilkinson et al.,1990,Nature 343(6259):657−659 Beddington et al.,1992,Development(Suppl.):157−165 Schulte−Merker et al.,1994,Development 120:1009−1015 Kispert and Herrmann,1994,Dev.Biol.161:179−193 Showell et al.,2004,Dev Dyn 229:201−218 Palena et al.,2007,Clin.Cancer Res.13(8):2471−2478 Fernando et al.,2010,J.Clin.Invest.120(2):533−544 Yang et al.,Nat Genet 2009;41:1176−78
本発明の一実施形態は、脊索腫を有する個体において脊索腫を治療するための方法に関する。本方法は、脊索腫を有する個体に、(a)酵母媒体と、(b)少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む免疫治療用組成物を投与する工程を含む。本発明の別の実施形態は、脊索腫を有する個体における脊索腫に対する、酵母媒体と、少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む免疫治療用組成物の使用に関する。本発明のさらに別の実施形態は、脊索腫を予防する、またはその発症を遅延させるための、酵母媒体と、少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む免疫治療用組成物の使用に関する。
本発明のこれらの実施形態の一態様において、前記個体は、切除不能な局所再発病巣を有する個体である。一態様では、病巣の局所再発は、免疫治療用組成物の投与の3か月前〜9か月前の間に起こる。一態様では、前記個体は、少数転移性疾患を有する個体である。さらに別の態様では、前記個体は、切除不能病巣または切除可能病巣の第1再発を有する個体である。さらに別の態様では、前記個体は、転移性疾患を有する個体である。
上記の態様のいずれにおいても、前記個体は、別の癌療法で処置されているか、または処置されたものである。上記の態様のいずれにおいても、前記療法は放射線療法である。前記放射線療法は、前記免疫治療用組成物の投与前に、前記免疫治療用組成物の投与と同時に、および/または前記免疫治療用組成物の投与に続いて投与され得る。さらに上記の態様のいずれにおいても、前記療法は腫瘍切除も含み得る。さらに上記の態様のいずれにおいても、前記療法は化学療法も含み得る。さらに上記の態様のいずれにおいても、前記療法は薬物標的療法を含み得る。一態様では、前記薬物標的療法は、チロシンキナーゼ阻害剤、EGFR阻害剤、およびSTAT3阻害剤から選択される。さらに上記の態様のいずれにおいても、前記療法は1種類以上の更なる免疫治療用組成物の投与を含み得る。一態様では、前記更なる免疫治療用組成物は酵母媒体およびブラキウリ抗原以外の抗原である。さらに別の態様では、前記更なる免疫治療用組成物は酵母媒体および上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体、kit受容体、CD24、II型およびX型コラーゲン、フィブロネクチン、マトリリン3(MATN3)、抗分子量黒色腫関連抗原(HMW−MAA)、マトリックスメタロプロテイナーゼMMP−9、およびMMP−19から選択される抗原である。
本発明の別の実施形態は、家族性脊索腫の病歴を有する個体において、脊索腫を予防する、脊索腫の発症を遅延させる、または脊索腫の転帰を改善するための方法に関する。前記方法は、家族性脊索腫の病歴を有する個体に、(a)酵母媒体と、(b)少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む免疫治療用組成物を投与する工程を含み、その投与の時点で、前記個体は脊索腫であると診断されていない。
上記または本明細書の他所に記載の本発明の実施形態または態様のいずれか一態様では、前記ブラキウリ抗原は、完全長ヒトブラキウリである。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、不完全長ブラキウリである。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号6、配列番号18、配列番号2で示されるアミノ酸配列、または配列番号6、配列番号18、もしくは配列番号2と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号6、配列番号18、または配列番号2の少なくとも1位または2位から、255位とC末端との間までを含む。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号6、配列番号18、または配列番号2の少なくとも1位または2位から、430位とC末端との間までを含む。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号6、配列番号18、または配列番号2の246位〜254位を含む。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号6、配列番号6の2〜435位、または配列番号6と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号18、配列番号18の2〜435位、または配列番号18と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号2、配列番号2の2〜435位、または配列番号2と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号6、配列番号6の2〜435位、または配列番号6と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号18、配列番号18の2〜435位、または配列番号18と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、前記ブラキウリ抗原は、配列番号2、配列番号2の2〜435位、または配列番号2と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。
上記または本明細書の他所に記載の本発明の実施形態または態様のいずれかの一態様では、前記癌抗原は融合タンパク質である。一態様では、前記融合タンパク質は、配列番号8で示されるアミノ酸配列、または配列番号8と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。一態様では、前記融合タンパク質は、配列番号20で示されるアミノ酸配列、または配列番号20と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。
上記または本明細書の他所に記載の本発明の実施形態または態様のいずれかの、上記の態様のいずれにおいても、前記酵母媒体は完全体の酵母である。上記の態様のいずれにおいても、前記無傷の酵母は殺処理されている。上記の態様のいずれか1つにおいて、前記無傷の酵母は熱により不活化されている。上記の態様のいずれか1つにおいて、前記酵母は前記抗原を発現する。上記の態様のいずれか1つにおいて、前記酵母は、サッカロミセス(Saccharomyces)、カンジダ(Candida)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、ロドトルラ(Rhodotorula)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)およびヤロウイア(Yarrowia)からなる群から選択される属に由来する。一態様では、前記酵母は、サッカロミセスに由来する。一態様では、前記酵母は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に由来する。
上記または本明細書の他所に記載の本発明の実施形態のいずれかの、上記の態様のいずれにおいても、前記組成物は、対象物の注射による投与に好適な薬学上許容される賦形剤中に調剤される。上記の態様のいずれにおいても、前記対象は、約0.1Y.U.〜約100Y.U.の用量の免疫治療用組成物を投与される。上記の態様のいずれにおいても、前記対象は、約10Y.U.〜約80Y.U.の用量の免疫治療用組成物を投与される。上記の態様のいずれにおいても、前記対象は、2Y.U.、40Y.U.、または80Y.U.の用量の免疫治療用組成物を投与される。
上記または本明細書の他所に記載の本発明の実施形態のいずれかの、上記の態様のいずれにおいても、前記免疫治療用組成物は毎週投与される。上記の態様のいずれにおいても、前記免疫治療用組成物は、隔週で投与される。上記の態様のいずれにおいても、前記免疫治療用組成物は、毎月投与される。さらに上記の態様のいずれにおいても、前記免疫治療用組成物は、5週間毎週、その後は毎月投与される。さらに上記の態様のいずれにおいても、前記免疫治療用組成物は、7ラウンドまでの処置の間は2週間隔で、その後は毎月投与される。上記の態様のいずれにおいても、前記免疫治療用組成物は、単回用量となるように前記個体の2か所以上の部位に投与される。
上記または本明細書の他所に記載の本発明の実施形態のいずれかの、上記の態様のいずれにおいても、前記免疫治療用組成物は、上記または他所に記載のように別の癌療法と同時に投与される。
7名の患者に40Y.U.の本明細書に開示される免疫治療用組成物、具体的には、GI−6301を投与する第I相拡大試験における、個々の対象の腫瘍測定値の変化を示す。第0日の左側のx軸スケールは、第0日の右側のスケールとは異なる。
発明の詳細な説明
本発明は一般に、酵母系免疫治療用組成物、および脊索腫の予防および/または治療のための酵母系免疫治療用組成物の使用に関する。本発明は、限定されるものではないが、酵母媒体と、ブラキウリ抗原またはその免疫原性ドメインとを含む酵母系免疫治療用組成物(本明細書では、「酵母ブラキウリ免疫療法」または「酵母ブラキウリ免疫治療用組成物」とも呼ばれる)を含む、酵母系免疫治療用組成物(酵母系免疫療法とも呼ばれる)の使用を含む。ブラキウリを標的とする酵母系免疫治療用組成物は、2012年9月30日に公開されたPCT国際公開第2012/125998号に詳細に記載されており、その全内容が本明細書の一部として援用される。本発明者らは、本明細書において、脊索腫(例えば、古典的(または通常型)、軟骨様または脱分化型脊索腫)の治療および/または脊索腫(例えば、家族性脊索腫)の予防、もしくは発症の遅延のための、酵母系免疫療法、本発明の態様では、酵母系ブラキウリ免疫療法の特定の使用を記載する。
通常型脊索腫は、最も一般的な形態の脊索腫である。通常型脊索腫は、軟骨成分または更なる間葉成分の不在を特徴とする。軟骨様脊索腫は、脊索腫様と軟骨腫様の両方の特徴を含み、頭蓋底の蝶後頭領域に形成する傾向がある。2007年、このバリアントは全脊索腫の5%〜15%、頭蓋脊索腫の最大35%を占めた。脱分化または肉腫様形質転換は、脊索腫の2%〜8%に起こる(Chugh et al.,2007,The Oncologist 12:1344−1350)。軟骨様脊索腫は、通常型脊索腫よりも悪性度が低い傾向にあるが、脱分化型脊索腫はより悪性度が高く、より早く増殖し、転移する可能性が高い(www.chordomafoundation.org)。
本発明の方法はまた、同じ酵母組成物内での更なる腫瘍抗原の使用に、または脊索腫腫瘍(本明細書では病巣とも呼ばれる)中に存在する他の抗原を標的とする他の酵母系免疫治療薬との併用(連続してまたは同時)に、または脊索腫に対する他の処置/療法との併用に容易に適合可能である。脊索腫の治療または予防に有用な更なる腫瘍抗原および更なる処置/療法を以下に詳細に記載する。
本発明の方法における使用に関して記載される酵母系免疫治療用組成物は、いずれも外因性アジュバント、サイトカイン、または他の免疫刺激分子(その多くは毒性問題を有する)を使用することなく、自然免疫応答、ならびに標的抗原(例えば、ブラキウリ)に対する、CD4依存性TH17およびTH1 T細胞応答および抗原特異的CD8T細胞応答(細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を含む)を始めとする適応免疫応答を誘導する。さらに、酵母系免疫治療用組成物は、制御性T細胞(Treg)の数および/または機能を阻害し、それにより、例えば腫瘍の存在によって通常は抑制され得るエフェクターT細胞応答を増強する。さらに、抗体応答を生成することにより免疫誘導する免疫治療用組成物に比べて、酵母系免疫療法により誘発される、抗原特異的な、広範かつ強力な細胞性免疫応答は、腫瘍細胞の標的化に特に有効であると考えられる。実際に、腫瘍細胞がMHCクラスI分子との関連で腫瘍ペプチドを認識するCD8CTLによって標的化される場合に免疫療法アプローチが増強されることを、多くの研究が示している。
酵母系免疫療法は、抗原提示細胞を活性化するのに極めて長けており、免疫応答を交差プライミングする特徴的な能力を有し、そうでなければ抑制的な環境であり得る状況に直面しても、腫瘍に対して典型的に有効なCD8CTL応答を生成する。このタイプの免疫療法は関連の免疫原を提示する抗原提示細胞の天然の能力を用いるので、本発明による効果的な免疫治療薬を生産するために、標的抗原(例えば、ブラキウリ)のCTLエピトープまたはMHCクラスIIエピトープの厳密な特性を知る必要はないが、以下に詳細に記載されるように、免疫応答をさらに増強するためには、酵母系免疫治療用組成物にアゴニストエピトープが含まれ得る。実際に、単一の酵母系免疫治療用組成物で複数のCD4およびCD8T細胞エピトープが標的化され得るので、本発明の酵母系免疫治療薬は短いペプチドの使用に限定されず、実際には、これらの組成物中ではより長いポリペプチドおよび融合タンパク質の使用が効果的である。よって、酵母系免疫療法を使用することにより、推定T細胞エピトープを同定するためのアルゴリズムおよび複雑な公式の使用が無くなる。
さらに、酵母系免疫療法は、外因性アジュバント、免疫刺激薬もしくは分子、共刺激分子、またはサイトカインを使用することなく免疫誘導プロトコール(予防的にまたは治療的に)効果的に使用できる、このような薬剤が所望により含まれてもよい。さらに、酵母系免疫療法は、他のタイプの免疫療法を用いる場合には問題となり得るが、有効性を失うことなく繰り返し投与することができる。
脊索腫の治療または予防方法
本発明の一実施形態は、本発明の酵母系免疫治療用組成物を、脊索腫を有する個体(対象)に投与することにより脊索腫を治療するための方法に関する。脊索腫のための酵母系免疫治療用組成物は、以下に詳細に記載される。本明細書で使用する場合、脊索腫を「治療する」、またはその任意の変形(例えば、「脊索腫に関して治療した」など)は一般に、脊索腫が見られた際(例えば、個体において脊索腫が診断または検出された際)、または、脊索腫が再発した際に、個体において腫瘍量を低減すること;個体において腫瘍増殖または腫瘍増殖の速度(腫瘍増殖動態)を阻害するか、低減するか、低下させるか、または縮小すること;個体の生存率(全生存および/または無増悪生存を含み得る)を高めるか、またはその生存期間を延長すること;腫瘍奏効率(すなわち、以下に定義されるRECISTおよび/またはChoiにより測定される)を改善すること;腫瘍の再発を遅延させるか、阻害するか、停止させるか、または予防すること;他の組織の腫瘍移動および/または腫瘍浸潤の進展(転移性癌)を予防するか、阻害するか、逆転させるか、または遅延させること;個体における癌の進行を停止させるか、予防するか、阻害するか、逆転させるか、または遅延させること;脊索腫によって発現される1つまたは複数の腫瘍抗原に対する長期記憶免疫応答を改善すること;放射線療法、化学療法および/または標的化薬物療法に対する病巣の感受性を増強すること;および/または個体の健康状態を改善することによるなどの、脊索腫の少なくとも1つの症状を改善することを含む、処置の少なくとも1つの治療目標(この処置の不在下に比べて)を持って、本発明の組成物を投与することを意味する。本明細書で使用する場合、脊索腫に関して「腫瘍」という用語は、「病巣」という用語と互換的に使用することができる。
本発明の別の実施形態は、脊索腫を予防するか、脊索腫の発症を阻害しもしくは遅延させるか、または脊索腫の転帰を改善する(例えば、生存を高めること、癌進行を阻害すること、経時的に腫瘍量を低減もしくは管理すること、および/または化学療法もしくは放射線療法に対する腫瘍の感受性を増強することによる)ための方法に関する。この方法は、酵母系免疫治療用組成物を、従前には脊索腫を有していないが脊索腫を発症する疾病素因を持つ、または持つ可能性のある個体に投与する工程を含む。例えば、脊索腫を発症する疾病素因を持つ個体としては、脊索腫の家族歴(本明細書では家族性脊索腫と呼ばれる)を有し、従って、全体としての集団に比べて脊索腫を発症するリスクが高い個体を含み得る。脊索腫を発症する疾病素因を持ち得る個体はまた、良性脊索腫瘍の遺伝的スクリーニングまたは存在によっても同定され得る。家族性脊索腫は一般に、2名以上の血縁者が脊索腫の病歴を有する家族に見られる脊索腫として特定される(Yang,X.,et al.Int.J.Cancer.116:487−491;2005)。家族性脊索腫のいくつかの症例では、ユニークなブラキウリ遺伝子重複が見られた(Yang,X.,et al.Nat Gen.2009,41(11):1176−1178)。
脊索腫を「予防する」もしくは脊索腫から「保護する」、またはその任意の変形(例えば、「脊索腫の予防」など)は一般に、脊索腫が見られるまたは進展する前に、脊索腫の発症もしくは進展を予防するかまたは遅延させること、あるいは、処置後にそれでもなお脊索腫が見られれば、限定されるものではないが、個体において腫瘍量を低減すること;個体において腫瘍増殖または腫瘍増殖の速度を阻害する(低減する、低下させる、縮小する)こと;個体の生存率(全生存および/または無増悪生存を含み得る)を高める(生存期間を延長する)こと;(すなわち、以下に定義されるRECISTおよび/またはChoiにより測定される)を改善すること);腫瘍の再発を遅延させるか、阻害するか、停止させるか、または予防すること;他の組織の腫瘍移動および/または腫瘍浸潤の進展(転移性癌)を予防するか、阻害するか、逆転させるか、または遅延させること;個体における癌の進行を停止させるか、予防するか、阻害するか、逆転させるか、または遅延させること;脊索腫によって発現される腫瘍抗原に対する長期記憶免疫応答を改善すること;放射線療法、化学療法および/または標的化薬物療法に対する病巣の感受性を増強すること;および/また個体の健康状態を改善することを含め、少なくとも処置の不在下に比べて個体の転帰を改善することを含む、処置の少なくとも1つの目標(この処置の不在下に比べて)を持って、本発明の組成物を投与することを意味する。
上述のように、本発明の一実施形態では、本発明の酵母系免疫治療用組成物による処置は、処置された対象において無増悪生存期間(PFS:progression free survival)および/または全生存期間(OS:overall survival)を改善する。癌における無増悪生存期間は一般に、治療を行う臨床医および癌の適当な評価基準によって決定される、癌を持ちながら癌が悪化せずに患者が生きた、癌の処置中および処置後の期間と定義される。癌の全生存期間は一般に、癌が進行(悪化)したかどうかにかかわらず、患者がなお生存している、診断日または処置の開始からの期間と定義される。
本発明の一実施形態では、本発明の酵母系免疫治療用組成物による処置は、腫瘍増殖速度(腫瘍増殖速度動態)を低減する。腫瘍増殖速度を算出するためには、対数増殖に基づくモデル(Yorke et al.,1993,Cancer Research 53,2987−2993)、ユニバーサルローモデル(West et al.,2001,Nature 413,628−631)、および/または「倍加時間」(細胞集団のそのサイズが2倍に達するのにかかる時間;Spratt et al.,1964,Annals of surgery 159,161−171;Steele et al.,1973,The Journal of thoracic and cardiovascular surgery 65,140−151;Collins et al.,1956,The American journal of roentgenology,radium therapy、およびnuclear medicine 76,988−1000)を含む様々なモデルが使用可能である。
本発明の一実施形態では、本発明の酵母系免疫治療用組成物による処置は、対象の奏効率、すなわちRECISTまたはChoi判定基準によって測定されるものを改善する。「RECIST」とは、固形腫瘍における奏効評価基準(esponse valuation riteria in olid umors)を意味し、癌患者の腫瘍がいつ改善、安定化または進行するかを定義する、公開されたガイドラインのセットである。RECISTで定義される奏効は、非侵襲的画像評価により決定される標的病巣のサイズの変化による。RECIST判定基準は、最初に、2000年2月に欧州癌研究治療学会(EORTC:European Organization for Research and Treatment of Cancer)、米国国立癌研究所(NCI:National Cancer Institute)およびカナダ癌研究所臨床試験グループを含む国際協力によって発表され(Therasse et al.,J.Natl.Cancer Inst.2000,92:205−216))、Eisenhauer et al.,Eur.J.Cancer,2009,45:228−247に記載のように2009年に改訂された。前掲のEisenhauerらに記載されるように、「完全奏功(Complete Response)」またはCRは、現行では、全ての標的病巣が消失し、病的リンパ節(標的または非標的)が無いこと(短軸が<10mmまで縮小)と定義される。「部分奏功(Partial Response)」または「PR」は、現行では、ベースライン合計直径を参照として、標的病巣の直径の合計における少なくとも30%の減少と定義される。「安定疾患(Stable Disease)」または「SD」は、試験中の最小合計直径を参照として、PRに分類するに十分な縮小もなく、PDに分類するに十分な増大もないことと定義される。「進行性疾患(Progressive Disease)」または「PD」は、試験中の最小合計を参照として、標的病巣の直径の合計における少なくとも20%の増大と定義される。加えて、この合計は、少なくとも5mmの絶対増加を示さなければならない。1つ以上の新出病巣の出現も進行と見なされる。前掲のEisenhauerらに記載されるように、追加の判定基準が非標的病巣に当てはまる。
「Choi」判定基準は、Choi et al.(J.Clin.Oncol.2007,25(13):1753−1759)によって最初に記載されたコンピュータ断層撮影法奏効判定基準セットを意味し、CTにより測定される標的病巣のサイズまたは密度の変化を評価する。Choi判定基準はまた、CR、PR、SDおよびPD分類を用いて患者を類別する。CRは、全ての病巣が消失し、新出病巣が無いことと定義される。PRは、サイズの>10%の減少、またはCTにおいて腫瘍吸収の>15%の低下、新出病巣が無く、測定不能な疾患にも明らかな進行がないことと定義される。SDは、CR、PRまたはPDの判定基準を満たさず、腫瘍進行によると思われる症状悪化が無いことと定義される。PDは、腫瘍サイズの>10%の増加、CTにおける腫瘍吸収によってはPRの判定基準を満たさないこと、および/または新出病巣を有することと定義される。
本発明の一実施形態では、本発明の酵母系免疫治療用組成物による処置は、脊索腫により発現される腫瘍抗原に対する長期記憶免疫応答を改善する。脊索腫および脊索腫腫瘍抗原に対する免疫応答は、処置に際して出現または拡大増殖するCD4および/またはCD8T細胞を検出し、末梢血における免疫細胞サブセット(CD8メモリー/エフェクターT細胞、CD4メモリー/エフェクターT細胞、Treg、NK細胞、DC)の頻度およびサイトカイン(例えば、IFN−γ、IL−10、IL−12、IL−2、IL−4、TGF−βなど)の血清レベルの変化を含む、一般免疫活性のパラメータを測定することによって評価することができる。免疫応答は、限定されるものではないが、ELISpot応答、フローサイトメトリー法、およびリンパ球増殖アッセイ(LPA:lymphocyte proliferation assays)を含む、当技術分野で公知の種々の免疫アッセイを用いて検出および評価することができる。
上述のように、脊索腫は、ブラキウリの発現を特徴とし、実際に、ブラキウリはこの癌の識別バイオマーカーであり、すなわち、ブラキウリ発現は全ての脊索腫に共通し、全ての脊索腫の特異的バイオマーカーである。従って、一実施形態では、上記または本明細書の他所に記載されるように本発明のいずれかの方法において投与される酵母免疫治療用組成物は、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(以下に詳細に記載)である。従って、本発明の方法は、脊索腫を有する個体、または脊索腫を発症するリスクがあるがその時点ではブラキウリ発現癌細胞が検出されない個体に、限定されるものではないが、(a)酵母媒体と、(b)少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物を投与する工程を含む。本発明は、限定されるものではないが、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物を含む本発明の酵母系免疫治療用組成物の、対象または個体への送達(投与、免疫)を含む。投与プロセスはex vivoまたはin vivoで行うことができるが、一般にin vivoで行われる。ex vivo投与は、本発明の組成物を、患者から取り出した細胞集団(樹状細胞)に、酵母媒体、1つまたは複数の抗原および任意の他の薬剤または組成物がその細胞に付加されるような条件下で投与し、前記細胞を患者に戻すなど、患者の外部で調節工程の一部を行うことを意味する。本発明の治療用組成物は、いずれの好適な投与様式によって、患者に戻す、または患者に投与してもよい。
組成物の投与は、全身、粘膜および/または標的部位の近位(例えば、腫瘍部位近傍)への投与であり得る。好適な投与経路は、当業者には自明である。種々の適用可能な投与方法としては、限定されるものではないが、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、リンパ節内投与、冠動脈内投与、動脈内投与(例えば、頚動脈へ)、皮下投与、経皮送達、気管内投与、関節内投与、脳室内投与、吸入(例えば、エアゾール)、頭蓋内、脊髄内、眼内、耳内、鼻腔内、経口、経肺投与、カテーテル注入、および組織への直接注射が挙げられる。一態様では、投与経路は、静脈内、腹腔内、皮下、くも膜下腔内、皮内、リンパ節内、筋肉内、経皮、吸入、鼻腔内、経口、眼内、関節内、頭蓋内、および脊髄内を含む。非経口送達としては、皮内、筋肉内、腹腔内、胸腔内、肺内、静脈内、皮下、心房カテーテルおよび静脈カテーテル経路を含み得る。耳内送達としては点耳剤を含んでよく、鼻腔内送達としては、点鼻剤または鼻腔内注射を含んでよく、眼内送達としては、点眼剤を含み得る。エアゾール(吸入)送達も、当技術分野で標準的な方法を用いて行うことができる(例えば、Stribling et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 189:11277−11281,1992参照)。一態様では、本発明の酵母系免疫治療用組成物は、皮下投与される。一態様では、本酵母系免疫治療用組成物は、腫瘍環境中に直接投与される。一態様では、本発明の酵母系免疫治療用組成物は、くも膜下腔内に投与される。
一般に、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物を含む酵母系免疫治療用組成物の好適な単回用量は、所与の細胞種、組織、または患者身体の領域に、好適な期間にわたって1回以上投与した場合に、1つ以上の腫瘍抗原またはエピトープ(例えば、ブラキウリ)に対して抗原特異的免疫応答を誘発するために有効な量で酵母媒体および抗原を効果的に提供することができる用量である。例えば、一実施形態では、本発明の酵母系組成物の単回用量は、組成物を投与される生物の体重1キログラム当たり約1×10〜約5×10酵母細胞当量である。一態様では、本発明の酵母媒体の単回用量は、一用量当たり(すなわち、生物一個体当たり)約0.1酵母単位(Y.U.、すなわち、1×10酵母細胞または酵母細胞当量)から約100Y.U.(1×10細胞)であり、間の任意の用量を、0.1×10細胞刻みで含む(すなわち、1.1×10、1.2×10、1.3×10…)。一実施形態では、用量は、1Y.U〜40Y.U.の間の用量、1Y.U.〜50Y.U.の間の用量、1Y.U.〜60Y.U.の間の用量、1Y.U.〜70Y.U.の間の用量、または1Y.U.〜80Y.U.の間の用量、また、一態様では、10Y.U.〜40Y.U.の間、50Y.U.、60Y.U.、70Y.U.、または80Y.U.を含む。一実施形態では、前記用量は個体の異なる部位に、同じ投与期間中に投与される。例えば、40Y.U.用量は、10Y.U.用量を個体の4か所の異なる部位に、一投与期間中に注射することによって投与してよく、または20Y.U.用量は、同じ投与期間に、5Y.U.用量を個体の4か所の異なる部位に注射するか、もしくは10Y.U.用量を個体の2か所の異なる部位に注射することによって投与してよい。本発明は、単回用量となるように、一定量の酵母系免疫治療用組成物(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20Y.U.もしくはそれを超える量)を個体の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれを超える箇所の異なる部位に投与することを含む。1酵母単位(Y.U.)は、1×10酵母細胞または酵母細胞当量である。
本発明の免疫治療用組成物の「ブースター」または「ブースト」は、治療を受ける個体の状態および投与時点でのその療法の目標(例えば、予防、積極的治療、維持)によって、例えば、抗原に対する免疫応答が衰弱した際に、または必要に応じて特定の1つまたは複数の抗原に対する免疫応答を提供する、もしくは記憶応答を誘導するために投与される。ブースターは、最初の投与の後、約1、2、3、4、5、6、7、または8週目おいて、または毎月、隔月、4か月毎、毎年、および/または2、3年もしくは数年刻みで投与することができる。一実施形態では、投与計画は、酵母系免疫治療用組成物の用量が、週単位から月単位、年単位の期間にわたって少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、もしくはそれを超える回数投与される。一実施形態では、前記用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれを超える用量については毎週または隔週で、その後、脊索腫の所望の予防的または治療的処置を達成するために必要に応じて毎週または隔週で用量が投与される。一実施形態では、用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれを超える用量については隔週で、その後、所望の予防的または治療的結果が達成されるまで、さらに毎月用量が投与される。一実施形態では、用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれを超える用量については毎月、その後、さらに毎月用量が、またはその後、脊索腫の所望の予防的もしくは治療的処置を達成するために必要に応じて種々の頻度で送達される用量が投与される。本明細書に記載の投与プロトコールの全てにおいて、次いで、所望により、維持療法または緩解療法として、同等またはより長い間隔(例えば、月単位または年単位)で追加のブースターを与えることができる。一態様では、ブースターは、長期維持療法のために(すなわち、療法のメインコースが完了した後に、疾患の再発を予防することもしくは遅延させることを意図して、または疾患の安定化を維持することを意図して)投与される。一態様では、ブースターは、家族性脊索腫を有する個体の予防的処置のために投与される。
脊索腫を治療するための方法の一態様では、個体は、脊索腫の処置に有用な少なくとも1つの他の治療化合物または治療プロトコールでさらに処置される。このような療法は、脊索腫の治療に有用である、または脊索腫の治療に有用であり得る任意の治療プロトコールまたは任意の治療化合物もしくは薬剤の使用を含んでよく、限定されるものではないが、外科的切除、放射線療法(限定されるものではないが、単独放射線療法および補助的放射線療法、特に、ハドロンに基づく放射線療法を含む)、化学療法または標的化癌または薬物療法(例えば、限定されるものではないが、イマチニブ、スニチニブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ラパチニブおよびエベロリムスを含むチロシンキナーゼ阻害剤;STAT3阻害剤、アントラサイクリン;シスプラチン;アルキル化剤;カンプトテシン類似体)、幹細胞移入、サイトカイン療法、養子T細胞移入、および/または第2の免疫治療用組成物の投与を含む。第2免疫治療用組成物の投与の場合、このような組成物としては、限定されるものではないが、更なる酵母系免疫療法、組換えウイルスに基づく免疫療法(ウイルスベクター)、免疫賦活薬療法(免疫賦活性を備えた化学療法を含む)、DNAワクチン、および他の免疫治療用組成物を含み得る。
一態様では、放射線療法は、本発明の免疫治療用組成物の投与前に、投与と同時に、および/または投与後に投与することができる。さらに、放射線療法は、外科的切除と組み合わせて投与することもできる。放射線技術および処置の発展は、より高線量の放射線で病巣のより戦略的な標的化をもたらした。さらに、ハドロン(すなわち、高線量陽子、または炭素イオン、ヘリウム、もしくはネオンを含む荷電粒子)の採用などの進展によって、より高用量(正常組織を永久に傷害すると思われる線量)の放射線が周囲組織への傷害を最小限にして標的に送達されるようになり、放射線生物学的効果が改善された(Walcott,B.The Lacent Oncology,Vol 13 Feb 2012,p.e69−e79)。例えば、仙骨脊索腫に関する炭素イオン放射線療法の使用の遡及的解析では、52.8〜73.6GyEの用量が報告されている(Imai et al.,2011,J.Radiol.,84:S048−S054)。陽子線療法と呼ばれる、陽子(水素原子から得られる荷電粒子)を利用する別のタイプの放射線は、数ミリメートル離れただけの組織に対する線量を最小限にしつつ、腫瘍に極めて高線量の放射線を送達することができるので、脊索腫患者に最もよく推奨される(例えば、Wilson,Radiology,1946,47:487−491;and Hug et al.,1999,J.Neurosurgery 91,432−439(1999)参照)。陽子線送達は、標的の範囲を超えて正常組織にほとんど照射することなく、組織において陽子の最大透過点で放射線が接するように、個々の腫瘍に対して調整される。一般に外部照射療法によって送達される光子放射線、例えば、電磁放射線も脊索腫の治療に使用される。従来の放射線療法による治療が一般に約40〜60Gyの線量であるのに対して、脊索腫治療に使用される高線量の光子放射線は約45〜80Gyであり得る(Walcott,B.The Lacent Onccology,Vol 13 Feb 2012,p.e69−e79)。放射線手術(ガンマナイフおよびサイバーナイフを含む)および強度変調放射線療法(IMRT:intensity modulated radiotherapy)などのある特定の他のタイプの原体照射も脊索腫の治療に使用され、それらの使用は一般に、腫瘍のサイズおよび場所によって決まる(Di Maio et al.,2011,J Neurosurg.Dec;115(6):1094−105)。最初の照射後に病巣が戻れば、再び放射線療法を行うことが可能である場合、または可能でない場合がある。これは、身体の全ての組織は放射線に対して一定の生涯最大耐量を持ち、それを超えると重篤な損傷が起こるためである。しかしながら、本発明の方法では、治療を行う臨床医およびその時点での最良の実践が,脊索腫患者に有益であり得、その可能性があると考えられるならば、病巣の追加照射がプロトコールに含まれ得る。
一態様では、放射線療法は、対象が本発明の免疫治療用組成物の投与を受ける前約18か月、約17か月、約16か月、約15か月、約14か月、約13か月、約12か月、約11か月、約10か月、約9か月、約8か月、約7か月、約6か月、約5か月、約4か月、約3か月、約2か月、または約1か月以内に1つ以上の病巣に投与される。放射線療法中、対象は少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回または少なくとも10回の放射線療法を受けることができる。加えて、免疫治療用組成物の初回投与の後に、対象は1回以上の放射線療法を受けることができる。
別の態様では、対象は標的薬物療法単独を受けることもできるし、または放射線療法の投与の前に、投与と同時に、もしくは投与に続いて投与されることができる。このような標的薬物療法は、1種以上のチロシンキナーゼ(TKI)阻害薬、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)阻害薬および/またはシグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)阻害薬の投与を含み得る(Walcott,B.The Lacent Onccology,Vol 13 Feb 2012,p.e69−e79)。例えば、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のキナーゼドメインに特異性を有する小分子TKI阻害薬であるメシル酸イマチニブ(グリベック(登録商標)(Gleevec))400mg/日〜800mg/日を、一般に経口用量として対象に投与することができる。対象がその療法に奏効しているかどうかを判定するためには、RECISTにより定義される全腫瘍奏効率を経過観察することができる。メシル酸イマチニブは、日単位〜年単位で対象に投与することができる(Stacchiotti,S.,et al.Curr Oncol Rep,May 2011 online;Casali,P.G.,J Clinical Oncology,2005 ASCO Annual Meeting Proceedings,Vol.23.No.16S)。標的薬物療法の別の例は、EGFR阻害薬であるエルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(登録商標))150mg/日用量を、一般に経口用量として対象に投与することを含む(Lauay et al.BMC Cancer,2011,11:423)。エルロチニブは、全腫瘍率を経過観察しながら、日単位〜年単位で投与することができる。標的薬物療法は単独でまたは別の標的薬物療法と組み合わせて投与することもできるし、または別の薬物療法の投与の前に、投与と同時に、または投与に続いて投与することもできる。
一態様では、第2の免疫治療用組成物は、ブラキウリ抗原を含まない第2の癌抗原を含む。例えば、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物との組合せに有用な第2の免疫治療用組成物は、別の癌抗原を含む酵母免疫治療用組成物である。脊索腫腫瘍と関連付けられている、または脊索腫腫瘍に見られる癌抗原は、本発明において抗原標的として特に注目される。このような癌抗原としては、限定されるものではないが、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)(例えば、Harris et al.,Breast Cancer Res.Treat,29:1−2(1994)参照);血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(例えば、GenBank(商標)受託番号GI:129890およびGronwald et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85(10),3435−3439;ならびにGenBank(商標)受託番号GI:129892およびClaesson−Welsh et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86(13),4917−4921参照);kit受容体(例えば、受託番号GI:125472およびYarden et al.,1987,EMBO J.6(11),3341−3351参照);CD24(例えば、GI:143811372およびKay et al.,1991,J.Immunol.147(4),1412−1416参照);アグレカン(例えば、受託番号GI:22209083およびStrausberg et al.,2002,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(26),16899−16903参照);II型およびX型コラーゲン(例えば、受託番号GI:124056489およびSu et al.,1989,Nucleic Acids Res.17(22),9473;ならびに受託番号GI:1405723およびBeier et al.,1996,Matrix Biol.15(6),415−422参照);フィブロネクチン(例えば、受託番号GI:384872704およびLabeit and Kolmerer,1995,Science 270(5234),293−296(1995)参照);マトリリン3(MATN3)(例えば、受託番号GI:14548113およびBelluoccio et al.,1998,Genomics 53(3),391−394参照);高分子量黒色腫関連抗原(HMW−MAA:high molecular weight−melanoma associated antigen)(例えば、受託番号GI:47419930およびCampoli et al.,2004,Crit Rev Immunol.24(4):267−96参照);マトリックスメタロプロテイナーゼMMP−9(例えば、受託番号GI:269849668およびHuhtala et al.,1991,J.Biol.Chem.266(25),16485−16490参照);およびMMP−19(例えば、受託番号GI:442535505およびSedlacek et al.,1998,Immunobiology 198(4):408−23参照);ならびにこのような抗原の改変体、このような抗原のスプライスバリアント、およびこのような抗原のエピトープアゴニスト、ならびにこのような抗原の組合せ、および/またはそれらの免疫原性ドメイン、それらの改変体、およびそれらのバリアントを含み得る。他の癌抗原も当技術分野で公知であり、それらもまた脊索腫に対する免疫療法に好適な標的抗原であり得る。本発明は、上記にまたは本明細書の他所に具体的に記載される抗原に限定されない。
本発明の一態様では、1種類以上の更なる治療薬または治療プロトコールが、酵母系免疫治療用組成物の投与に続けて、および/またはそれと同時に投与または実施される(例えば、腫瘍の外科的切除、放射線療法の投与、化学療法の投与または標的癌療法、免疫治療用組成物またはプロトコールの投与、サイトカイン療法、養子T細胞移入、酵母系免疫療法との組合せにおいて有用な薬剤、または幹細胞移植)。本発明による酵母系免疫治療用組成物との組合せにおいて有用な薬剤としては、限定されるものではないが、抗CD40、CD40L、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)タンパク質および/またはIMP321(可溶型LAG3に由来するT細胞免疫刺激因子)、抗CTLA−4抗体(例えば、アナジーT細胞を放出するため);T細胞共刺激因子(例えば、抗CD137、抗CD28、抗CD40);アレムツズマブ(例えば、カンパス(CamPath)(登録商標))、デニロイキンディフチトクス(例えば、ONTAK(商標));抗CD4;抗CD25;抗PD−1、抗PD−L1、抗PD−L2);FOXP3を遮断する薬剤(例えば、活性/傷害性CD4+/CD25+ T調節細胞を排除するため);Flt3リガンド、イミキモド(アルダラ(Aldara)(登録商標))、限定されるものではないが、TLR−2アゴニスト、TLR−4アゴニスト、TLR−7アゴニスト、およびTLR−9アゴニストを含むToll様受容体(TLR)アゴニスト;限定されるものではないが、TLR−2アンタゴニスト、TLR−4アンタゴニスト、TLR−7アンタゴニスト、およびTLR−9アンタゴニストを含むTLRアンタゴニスト;限定されるものではないが、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ(Celecoxibe)、NSAIDS)、グルココルチコイド、スタチン、およびサリドマイド、ならびにIMiDs(商標)(サリドマイドの構造的および機能的類似体(例えば、REVLIMID(登録商標)(レナリドマイド)、POMALYST(登録商標)(ポマリドマイド))ならびに抗原提示細胞のまたはTH17、TH1、および/もしくはTreg細胞の数を調節する、前記細胞の活性化状態を調節する、ならびに/または前記細胞の生存を調節する任意の薬剤を含むそれらの類似体を含む抗炎症薬および免疫調節薬が含まれる。このような薬剤のいずれの組合せも本発明により企図され、酵母系免疫治療薬と組み合わせた、または酵母系免疫治療薬を用いた(例えば、同時、連続的またはその他の形式の)プロトコールで投与され、このような薬剤はいずれも、本発明によって包含される組成物である。このような薬剤は当技術分野で周知である。これらの薬剤は、単独で使用しても、本明細書に記載の他の薬剤と併用してもよい。加えて、酵母系免疫治療用組成物の初回用量の前、または初回用量が投与された後に、1種以上の療法を投与または実施することもできる。一例として、切除可能な脊索腫を有する個体では、外科的切除、所望により、それに続く放射線療法、およびその後の酵母系免疫療法が、療法コースの典型となり得る。一実施形態では、化学療法または他の標的療法の1回以上の連続投与の間に規定の間隔で酵母系組成物が投与されるプロトコールなど、酵母系免疫治療用組成物の投与と交互に1種以上の療法を投与または実施することができる。別の例では、局所再発した脊索腫を有する、または転移性疾患を有する個体では、腫瘍進行が過去12か月以内、処置開始前3〜9か月以内に見られた場合、酵母系免疫療法が基本的療法コースの典型となり得る。酵母系免疫療法による処置の開始前に、個体は手術、放射線療法、または別の脊索腫療法を受けてもよい。酵母系免疫療法の開始のおよそ6か月後(または治療を行う医師により決定された適当な時点で)、所望により、対象が照射可能な病巣を持つと判断されれば放射線療法を施すことができ、その後、腫瘍の進行、または療法に対する部分的もしくは完全奏功の判定まで経過観察することができる。追加の放射線療法が施されなければ、対象を腫瘍の進行、または療法に対する部分的もしくは完全奏功の判定まで経過観察することができる。
一実施形態では、酵母系免疫治療用組成物を、更なる療法を開始する前に一定の期間、1回以上投与する。言い換えれば、酵母系免疫治療用組成物は単剤療法として一定の期間投与され、その後、酵母系免疫療法の新たな用量と同時に、または酵母系免疫療法と交互に更なる療法が加えられる(例えば、化学療法)。代替として、またはこれに加えて、酵母系免疫治療用組成物の投与を開始する前に一定の期間、別の療法を投与してもよく、これらのコンセプトは組合せ可能である(例えば、腫瘍の外科的切除、次いで数週間、酵母系免疫療法での単独療法、次いで週単位または月単位の化学療法または標的療法と酵母系免疫療法の交互投与、所望により、次いで酵母系免疫療法もしくは別の療法を用いた単独療法、または、連続的に、同時にもしくは交互に提供される療法の組合せの新規プロトコール)。酵母系免疫療法を用いた脊索腫の治療のための種々のプロトコールが本発明により企図され、これらの例は可能性のある種々のプロトコールの限定されない例であると考えられるべきである。
本発明の方法において、本発明の免疫治療用組成物で処置される対象は、切除不能病巣(すなわち、外科的に完全には除去できない)または切除可能病巣の最初の発生があった脊索腫対象;第1再発であるかどうかにかかわらず、切除不能な、局所再発病巣(すなわち、局所再発とは、元のまたは原発性の病巣と同じ場所の近傍(その場所または近位)に再出現する病巣である)を有する対象;下記のような少数転移性疾患を有する対象;または下記のような転移性疾患を有する対象であり得る。一態様では、対象は、事前に放射線療法、手術および/または標的薬物療法を受けていてもいなくてもよい。別の態様では、病巣は、事前に照射を受けていてもいなくてもよい。
本発明の方法において、本発明の免疫治療用組成物で処置される脊索腫対象の一例は、切除不能病巣(すなわち、外科的に完全には除去できない)、局所再発病巣(すなわち、局所再発とは、元のまたは原発性の病巣と同じ場所の近傍(その場所または近位)に再出現する病巣である)を有する対象である。一態様では、切除不能病巣は事前に照射を受けていないが、前記対象は、本発明の免疫治療用組成物による処置の前に他の病巣において放射線療法に曝されていてもいなくてもよい。さらに別の態様では、切除不能病巣は、本発明の免疫治療用組成物による処置の前に事前に照射を受けている。別の実施形態では、対象は、病巣の場所のために切除不能であるが、脊索腫に対する1種類以上の更なる療法処置を受けていてもよい病巣を有する。
本発明の方法では、本発明の免疫治療用組成物で処置される脊索腫対象の別の例は、少数転移性疾患および切除不能病巣を有する対象である。本明細書で使用する場合、「少数転移性疾患」は、限定された腫瘍転移能、またはより具体的には、転移(転移病巣または転移腫瘍)の数および場所が限定されている転移性癌(起点の原発部位から他の部位へ拡散した癌)として定義される(例えば、Hellman and Weichselbaum,1995,J.Clin.Oncol.13(1):8−10;Weichselbaum and Hellman,2011,S.Nat.Rev.Clin.Oncol.8,378−382参照)。脊索腫に関して、少数転移性疾患は一般に、原発病巣の部位の近位に発生する5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下、または1つの病巣からなると考えられる。一態様では、切除不能病巣は事前に照射を受けていないが、前記対象は、本発明の免疫治療用組成物による処置の前に他の病巣において放射線療法に曝されていてもいなくてもよい。さらに別の態様では、切除不能病巣は、本発明の免疫治療用組成物による処置の前に事前に照射を受けている。
本発明の方法において、本発明の免疫治療用組成物で処置される脊索腫対象の別の例は、少数転移性疾患および切除後病巣を有する(すなわち、病巣の外科的除去が経過観察される)対象である。一態様では、対象は、放射線療法を事前に受けていない。別の態様では、対象は、事前に放射線療法を受けている。
本発明の方法において、本発明の免疫治療用組成物で処置される脊索腫対象のさらに別の例は、切除不能病巣の最初の発生があった対象である。一態様では、切除不能病巣は事前に照射を受けていないが、前記対象は、本発明の免疫治療用組成物による処置の前に他の場所において放射線療法に曝されていてもいなくてもよい。さらに別の態様では、切除不能病巣は、本発明の免疫治療用組成物による処置の前に事前に照射を受けている。
本発明の方法では、本発明の免疫治療用組成物で処置される脊索腫対象の別の例は、転移性疾患(すなわち、癌が、それが最初に始まった場所すなわち原発部位から身体の別の場所に拡散しており、その癌が元のまたは原発性の腫瘍に由来する細胞を含有することを特徴とする)および事前に照射を受けていない病巣を有する対象である。別の態様では、病巣は事前に照射を受けている。
本発明の方法では、治療用組成物で処置される脊索腫対象の別の例は、本発明の免疫治療用組成物による処置の開始前3〜9か月の間に生じる腫瘍進行を有する局所再発性または転移性疾患を有する対象である。一態様では、対象は、限定されるものではないが、手術、放射線、化学療法または標的薬物療法による処置を含む、脊索腫のいずれの許容選択療法を受けていてもよい。対象は、本明細書に記載の酵母系免疫治療用組成物を受ける。免疫治療用組成物の開始の6か月後に、対象は、照射可能な病巣を有するかどうかを判定するために医療供給者によって評価される。病巣が照射可能であれば、その病巣は放射線療法で処置され、対象は、その対象が後述のように免疫治療用組成物に奏効したと考えられるまで経過観察され、評価される。病巣が照射可能でなければ、その対象は放射線療法を受けず、その対象が免疫治療用組成物に奏効したと考えられるまで経過観察され、評価される。対象は、RECISTにより定義される無増悪生存期間(PFS)、ならびに腫瘍奏効率(RECISTおよびChoiにより定義され、比較のために照射病巣と非照射病巣で評価される)および/または腫瘍増殖速度動態(免疫療法処置の6か月前と免疫療法処置の6か月後で評価)の決定によって、免疫治療用組成物に奏効したと見なされる。PFSでは、中央値は、非処置対照対象(5か月と予想)と比較して、9か月であると予想される。免疫治療用組成物に対する対象の奏効は、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えないこと以外は同様に処置される対象と比較することができる。
本発明の免疫治療用組成物で処置可能な対象は、以下のうち1つ以上を有する対象を含み得る:固形腫瘍、測定可能な疾患(疾病が評価可能でなければならない)または測定不能な疾患の存在、高感度法(例えば、循環腫瘍細胞に関するPCRに基づくアッセイまたは他の類似の方法)による疾患の陽性判定、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)ステータスグレード0〜1(ここで、グレード0は、制限無く疾病前の全ての振る舞いができる完全な活動状態を示し、グレード1は、肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能であり、軽いまたは座った状態での作業は行えることを示す)、クレアチニンレベルが1.5×ULN(基準値上限)以下、ALTレベル(アラニン−アミノトランスフェラーゼ)が2.5×ULN以下、ASTレベル(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)が2.5×ULN以下、ビリルビン(Bili)レベルが1.5×ULN以下、絶対好中球数(ANC:absolute neutrophil count)が1500超、血小板総数が100,000超、従前の化学療法処置、従前の免疫療法またはそれらの組合せから最低2週間。
本発明の方法では、組成物および治療用組成物は、任意の脊椎動物を含む任意の動物、特に、脊椎動物綱、限定されるものではないが、霊長類、齧歯類、家畜および家庭内動物を含む哺乳動物の任意のメンバーに投与することができる。家畜には、消費される、または有用製品を生産する哺乳動物(例えば、羊毛生産のためのヒツジ)が含まれる。本発明を用いて治療または保護する哺乳動物には、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマおよびブタが含まれる。
「個体」は、限定されるものではないがヒトを含む哺乳動物などの脊椎動物である。哺乳動物には、限定されるものではないが、農用動物、競技用動物、ペット、霊長類、マウスおよびラットが含まれる。「個体」という用語は、「動物」、「対象」または「患者」という用語と互換的に使用することができる。
本発明の方法において使用するための組成物
本発明の方法は、酵母系免疫治療用組成物を、一実施形態では、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物を用いる。本発明によれば、本発明において有用な酵母系免疫治療用組成物は、(a)酵母媒体(以下に詳細に記載)と、(b)少なくとも1つの癌抗原とを含む組成物である。前記癌抗原は、限定されるものではないが、ブラキウリ、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(AまたはB)、kit受容体、CD24、アグレカン、II型およびX型コラーゲン、フィブロネクチン、マトリリン3、高分子量黒色腫関連抗原(HMW−MAA)、マトリックスメタロプロテイナーゼMMP−9、およびMMP−19を含む、脊索腫により発現される抗原である。酵母ブラキウリ免疫治療用組成物の場合、本組成物は、(a)酵母媒体と、(b)1つ以上のブラキウリ抗原および/またはその免疫原性ドメインを含む癌抗原とを含む。ブラキウリ抗原および/または他の脊索腫により発現される抗原を含み得る癌抗原は、最も一般には、酵母媒体により(例えば、所望により酵母サイトプラスト、酵母ゴースト、または酵母膜抽出物またはその画分に処理可能な、無傷の酵母または酵母スフェロプラストにより)組換えタンパク質として発現されるが、1つ以上の癌抗原が1つの酵母媒体に取り込まれるか、またはそうでなければ、本明細書に記載される酵母媒体と複合体を形成するか、酵母媒体に結合されるか、酵母媒体と混合されるか、もしくは酵母媒体とともに投与されて本発明の組成物を形成することも本発明の一実施形態である。
「酵母ブラキウリ免疫治療用組成物」は、少なくとも1つのブラキウリ抗原またはその免疫原性ドメインを含有する特定のタイプの「酵母系免疫治療用組成物」である。「酵母系免疫治療用組成物」という句は、「酵母系免疫治療生成物」、「酵母系免疫治療組成物」、「酵母系組成物」、「酵母系免疫治療薬」、「酵母系ワクチン」、またはこれらの句の派生語と互換的に使用され得る。「免疫治療用組成物」は、対象において少なくとも1つの治療効果を達成するために十分な免疫応答を誘発する組成物である。本明細書で使用する場合、酵母系免疫治療用組成物は、酵母媒体成分を含み、かつ、対象において少なくとも1つの治療効果を達成するために十分な免疫応答を誘発する組成物を意味する。より詳しくは、酵母系免疫治療用組成物は、酵母媒体成分と一般に抗原成分を含み、かつ、限定されるものではないがT細胞媒介性細胞性免疫応答を含む細胞性免疫応答などの免疫応答を誘発または誘導することができる組成物である。一態様では、本発明において有用な酵母系免疫治療用組成物は、CD8および/またはCD4T細胞媒介性免疫応答を、また、一態様では、特に標的抗原(例えば、癌抗原)に対してCD8およびCD4T細胞媒介性免疫応答を誘導することができる。CD4免疫応答は、TH1免疫応答、TH2免疫応答、TH17免疫応答、または上記の任意の組合せを含み得る。酵母系免疫治療薬は、特にTH1およびTH17応答を生成することができる。CD8免疫応答は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を含み得、酵母系免疫治療薬はこのような応答を生成することができる。一態様では、酵母系免疫治療用組成物は、対象において、制御性T細胞(Treg)の数および/または機能を調節する。酵母系免疫療法はまた、例えば、サイトカイン、抗体の追加、および/または酵母の製造プロセスの変更により、ある種の応答を別の応答よりも促進するように改変することもできる。所望により、酵母系免疫治療用組成物は、体液性免疫応答を誘発することができる。酵母系免疫治療用組成物は、抗原が酵母の表面に結合されるかまたは混合状態かのいずれかで酵母の外面に提示された際に、体液性免疫応答を誘発し得る。
本発明の酵母系免疫治療用組成物は、「予防的」または「治療的」のいずれであってもよい。予防的に提供される場合、本発明の組成物は、脊索腫の発達、または発達の検出に先立って、脊索腫の発生もしくは発症を予防し、阻害しもしくは遅延させ;かつ/または腫瘍移動および/もしくは他の組織の腫瘍浸潤(転移)を予防し、阻害しもしくは遅延させ;かつ/または一般には、個体における脊索腫の進行を予防しもしくは阻害するという目的で提供される。本明細書で述べるように、ブラキウリは全ての脊索腫で発現され、脊索腫のホールマークであり、従って、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、脊索腫を発達させ得る個体において予防的療法として特に有用である。予防組成物は、癌ではないと思われる(健康または正常個体)が、脊索腫を発達させるリスクがあるか、またはリスクがある可能性のある個体、例えば、家族性脊索腫の病歴を有するか、またはそうでなければ脊索腫を有する少なくとも1人の直近の家族員がいる個体に投与することができる。治療的に提供される場合、本免疫治療用組成物は、脊索腫を有する個体に、個体において腫瘍量を減少させ;個体において腫瘍増殖を阻害し;個体の生存を高め;腫瘍移動および/または他の組織の腫瘍浸潤(転移性癌)の発生を予防し、阻害し、逆転させ、もしくは遅延させ、および/または個体において癌の進行を予防し、阻害し、逆転させ、もしくは遅延させることなどにより、癌を改善するという目的で提供される。
一般に、酵母系免疫治療用組成物は、酵母媒体と、脊索腫抗原(脊索腫と関連する、または脊索腫により発現される癌抗原)を含む少なくとも1つの癌抗原とを含み、ここで、前記脊索腫抗原は、酵母媒体により発現されるか、酵母媒体に結合されるか、酵母媒体に取り込まれるか、または酵母媒体と混合される。いくつかの実施形態では、脊索腫抗原は、融合タンパク質として提供される。本明細書で述べるように、脊索腫抗原としては、限定されるものではないが、ブラキウリ、EGFR、PDGF受容体、kit受容体、CD24、アグレカン、II型およびX型コラーゲン、フィブロネクチン、マトリリン3、高分子量黒色腫関連抗原(HMW−MAA)、マトリックスメタロプロテイナーゼMMP−9、およびMMP−19を含み得る。本発明の組成物および方法において使用するために好適ないくつかのブラキウリタンパク質および融合タンパク質を以下に記載する。本発明の一態様では、脊索腫の癌抗原として有用な融合タンパク質としては、2つ以上の抗原、例えば、ブラキウリ抗原とブラキウリ抗原でない別の癌抗原(一実施形態では、単一の融合タンパク質内で提供され得る)、または2つの異なるブラキウリ抗原を含み得る。
本発明によれば、脊索腫の治療または予防用の酵母系免疫治療用組成物において使用される酵母媒体は、本発明の組成物(例えば、治療用組成物または予防用組成物)において1つ以上の抗原、それらの免疫原性ドメインまたはそれらのエピトープと併用可能な任意の酵母細胞(例えば、細胞全体もしくは無傷の細胞)またはその誘導体(下記参照)である。従って、酵母媒体としては、限定されるものではないが、生きている無傷の(完全体の)酵母微生物(すなわち、細胞壁を含め、その全ての構成要素を有する酵母細胞)、殺処理された(死んだ)もしくは不活化された無傷酵母微生物、または無傷な酵母の誘導体であって、酵母スフェロプラスト(すなわち、細胞壁を欠く酵母細胞)、酵母サイトプラスト(すなわち、細胞壁と核を欠く酵母細胞)、酵母ゴースト(すなわち、細胞壁、核および細胞質を欠く酵母細胞)、細胞レベル以下酵母膜抽出物もしくはその画分(酵母膜粒子とも、以前には細胞レベル以下酵母粒子とも呼ばれる)、他の任意の酵母粒子、または酵母細胞壁調製物を含む誘導体を含み得る。
酵母スフェロプラストは一般に、酵母細胞壁の酵素的消化によって作製される。このような方法は、例えば、Franzusoff et al.,1991,Meth.Enzymol.194,662−674に記載され、その全内容が本明細書の一部として援用される。
酵母サイトプラストは一般に、酵母細胞の脱核によって作製される。このような方法は、例えば、Coon,1978,Natl.Cancer Inst.Monogr.48,45−55により記載され、その全内容が本明細書の一部として援用される。
酵母ゴーストは一般に、透過処理を施した、または溶解した細胞を再封止することによって作製され、必要ではないが、その細胞のオルガネラの少なくとも一部を含み得る。このような方法は、例えば、Franzusoff et al.,1983,J.Biol.Chem.258,3608−3614及びBussey et al.,1979,Biochim.Biophys.Acta 553,185−196に記載され、その全内容が本明細書の一部として援用される。
酵母膜粒子(細胞レベル以下酵母膜抽出物またはその画分)は、本来の核または細胞質を欠く酵母膜を意味する。この粒子は、超音波処理または当業者に公知の他の膜破壊法とその後の再封止によって作製される、本来の酵母膜のサイズから微粒子に及ぶサイズを含む、いずれのサイズであってもよい。細胞レベル以下酵母膜抽出物を作製するための方法は、例えば、Franzusoff et al.,1991,Meth.Enzymol.194,662−674に記載されている。酵母膜部分を含有する、および酵母膜粒子の調製に先立ってその酵母により抗原または他のタンパク質が組換え的に発現された場合には、抗原または他の目的タンパク質を含有する酵母膜粒子の画分を使用してもよい。抗原または他の目的タンパク質は、膜の内部か、膜のいずれかの表面上か、またはそれらの組合せで保持され得る(すなわち、タンパク質は、膜の内部および外部の両方にある場合があり、および/または酵母膜粒子の膜を貫通している場合もある)。一実施形態では、酵母膜粒子は組換え酵母膜粒子であり、これは膜の表面上のまたは少なくとも一部が膜内に包埋された少なくとも1つの所望の抗原または他の目的タンパク質を含む、無傷の酵母膜、破壊された酵母膜、または破壊および再封止された酵母膜であり得る。
酵母細胞壁調製物の一例は、その酵母細胞壁調製物が動物に投与された際に疾患標的に対して所望の免疫応答を刺激するように、その表面上に、または少なくとも一部が細胞壁内に包埋されて抗原を保持する、単離された酵母細胞壁の調製物である。
本発明において使用するための酵母媒体を作製するためには、いずれの酵母株も使用可能である。酵母は、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全菌類(Fungi Imperfecti)の3つのクラスの1つに属す単細胞微生物である。免疫調節剤として使用するための酵母種の選択に関する1つの考慮すべき事項は、酵母の病原性である。一実施形態では、酵母は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの非病原性株である。非病原性酵母株を選択すると、酵母媒体が投与される個体への悪影響が最小となる。しかしながら、病原性酵母も、その酵母の病原性が当業者に公知の任意の手段によって無効にできれば(例えば、突然変異株)、使用可能である。本発明の一態様によれば、非病原性酵母株が使用される。
本発明において使用可能な酵母株の属としては、限定されるものではないが、サッカロミセス、カンジダ(病原性であり得る)、クリプトコッカス、ハンセヌラ、クルイベロミセス、ピキア、ロドトルラ、シゾサッカロミセスおよびヤロウイアが含まれる。一態様では、酵母属は、サッカロミセス、カンジダ、ハンセヌラ、ピキアまたはシゾサッカロミセスから選択され、一態様では、サッカロミセスが使用される。本発明において使用可能な酵母株の種としては、限定されるものではないが、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・ケフィル(Candida kefyr)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、クリプトコッカス・ローレンティ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ハンセヌラ・アノマラ(Hansenula anomala)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・マルキシアヌス var.ラクティス(Kluyveromyces marxianus var.lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、およびヤルロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)が含まれる。これらの種のいくつかは様々な亜種、型、亜型などを含むと認識され、これらは上述の種内に含まれることが意図される。一態様では、本発明において使用される酵母種はとしては、S.セレビシエ、C.アルビカンス、H.ポリモルファ、P.パストリスおよびS.ポンベが含まれる。S.セレビシエは、比較的取り扱いが容易で、食品添加物としての使用に関して「一般に安全と認められる(Generally Recognized As Safe)」ものすなわち「GRAS」である(GRAS、FDA規則案62FR18938、1997年4月17日)ことから有用である。本発明の一実施形態は、S.セレビシエcir株などの、特に高コピー数までプラスミドを複製できる酵母株である。このS.セレビシエ株は、1つ以上の標的抗原および/または抗原融合タンパク質および/または他のタンパク質を高レベルで発現させる発現ベクターを支持することができる株の1つである。本発明において有用なもう1つの酵母株は、サッカロミセス・セレビシエW303αである。加えて、N−結合グリコシル化を延長する酵素における突然変異など、発現された標的抗原または他のタンパク質の翻訳後修飾の低下を示すものを含む、いずれの突然変異酵母株も本発明において使用可能である。
本発明の酵母系免疫治療用組成物は、脊索腫により発現される、または脊索腫に関連する少なくとも1つの抗原を含む。本発明によれば、用語「抗原」の本明細書での一般的使用は、タンパク質のいずれの部分も意味し(例えば、ペプチド、部分的タンパク質、完全長タンパク質)、ここで、タンパク質は、天然に存在するか、または細胞組成物(全細胞、細胞溶解液もしくは破砕細胞)、生物体(全生物体、溶解物もしくは破砕細胞)または炭水化物、もしくは他の分子、もしくはその一部へと合成的に誘導または設計される。抗原は、免疫系の要素(例えば、T細胞、抗体)が遭遇する、同じまたは類似の抗原に対して抗原特異的免疫応答(例えば、体液性および/または細胞性免疫応答)を誘発することができる。
抗原は単一のエピトープ、単一の免疫原性ドメインまたはそれ以上のものといった小さなものであり得、複数のエピトープまたは免疫原性ドメインを含むことができる。従って、抗原のサイズは、約8〜11アミノ酸(すなわち、ペプチド)といった小さなものでも、完全長タンパク質、多量体、融合タンパク質、キメラタンパク質、細胞全体、微生物全体、または任意のその一部(例えば、タンパク質断片(ポリペプチド)、細胞全体の溶解液または微生物の抽出物)といった大きなものでもよい。本発明の酵母系免疫治療薬に有用な抗原は、ペプチド、ポリペプチド、完全長タンパク質、多量体、融合タンパク質およびキメラタンパク質である。加えて、抗原は、本発明の酵母媒体または組成物に取り込ませることができる炭水化物を含み得る。いくつかの実施形態では(例えば、抗原が組換え核酸分子由来の酵母媒体により発現される場合)、抗原は、完全な細胞または微生物よりもむしろ、タンパク質、融合タンパク質、キメラタンパク質、またはその断片であることが認識される。酵母での発現のためには、抗原が酵母により発現される完全なタンパク質であれば、抗原は酵母において組換え的に発現され得る最小サイズのものであり、一般に、少なくとも25アミノ酸長もしくはそれを超え、または少なくとも26もしくはそれを超え、少なくとも27もしくはそれを超え、少なくとも28もしくはそれを超え、少なくとも29もしくはそれを超え、少なくとも30もしくはそれを超え、少なくとも31もしくはそれを超え、少なくとも32もしくはそれを超え、少なくとも33もしくはそれを超え、少なくとも34もしくはそれを超え、少なくとも35もしくはそれを超え、少なくとも36もしくはそれを超え、少なくとも37もしくはそれを超え、少なくとも38もしくはそれを超え、少なくとも39もしくはそれを超え、少なくとも40もしくはそれを超え、少なくとも41もしくはそれを超え、少なくとも42もしくはそれを超え、少なくとも43もしくはそれを超え、少なくとも44もしくはそれを超え、少なくとも45もしくはそれを超え、少なくとも46もしくはそれを超え、少なくとも47もしくはそれを超え、少なくとも48もしくはそれを超え、少なくとも49もしくはそれを超え、または少なくとも50アミノ酸長もしくはそれを超え、または少なくとも25〜50アミノ酸長もしくはそれを超え、または少なくとも30〜50アミノ酸長もしくはそれを超え、または少なくとも35〜50アミノ酸長もしくはそれを超え、または少なくとも40〜50アミノ酸長もしくはそれを超え、または少なくとも45〜50アミノ酸長もしくはそれを超えるが、それより小さいタンパク質も発現可能であり、それよりかなり大きいタンパク質(例えば、数百アミノ酸長またはさらには数千アミノ酸長)も発現可能である。一態様では、完全長タンパク質またはN末端および/もしくはC末端から1〜20個の間のアミノ酸を欠くタンパク質が発現可能である。融合タンパク質およびキメラタンパク質も、本発明で発現可能な抗原である。「標的抗原」は、本発明の免疫治療用組成物により特異的に標的とされる抗原(すなわち、免疫応答の誘発が望まれる抗原)である。「癌抗原」は、癌(例えば、脊索腫)に関連する、または癌により発現される少なくとも1つの抗原、例えば、腫瘍細胞により発現される抗原を含む抗原であり、従って、その抗原を標的とすることは、癌も標的とする。癌抗原は、1つ以上の腫瘍関連タンパク質を含む1つ以上のタンパク質に由来する1つ以上の抗原を含み得る。「ブラキウリ抗原」は、ブラキウリタンパク質から誘導、設計または産生される抗原である。
免疫応答の刺激に関する場合、「免疫原」という用語は「抗原」という用語の範囲に含まれ、従って、場合によっては、「抗原」という用語と互換的に使用することができる。免疫原は、本明細書で使用する場合、体液性および/または細胞性免疫応答を誘発する(すなわち、免疫原性のある)抗原を表し、従って、その免疫原を個体に投与すると、その個体の免疫系が遭遇する同じまたは類似の抗原に対する抗原特異的免疫応答が付与される。一実施形態では、免疫原は、CD4T細胞応答(例えば、TH1、TH2および/またはTH17)および/またはCD8T細胞応答(例えば、CTL応答)を含む細胞性免疫応答を誘発する。
所与の抗原の「免疫原性ドメイン」は、動物に投与された際に免疫原として働き得る少なくとも1つのエピトープを含有する抗原の任意の一部、断片またはエピトープ(例えば、ペプチド断片またはサブユニットまたは抗体エピトープまたは他のコンフォメーションエピトープ)であり得る。従って、免疫原性ドメインは単一のアミノ酸よりも大きく、少なくとも、免疫原として働き得る少なくとも1つのエピトープを含有するために十分なサイズである。例えば、単一のタンパク質は、複数の異なる免疫原性ドメインを含有し得る。免疫原性ドメインは、コンフォメーションドメインが企図される体液性免疫応答の場合のように、タンパク質内で線状配列である必要はない。
エピトープは、本明細書では、適当な共刺激シグナルおよび/または免疫系の活性化細胞と関連して免疫系に提供された際に免疫応答を誘発するために十分な、所与の抗原内の、単一の免疫原性部位と定義される。言い換えれば、エピトープは、免疫系の成分により認識され、抗原決定基とも呼ばれることがある抗原の部分である。当業者ならば、T細胞エピトープは、B細胞または抗体エピトープとはサイズおよび組成が異なること、ならびにクラスI MHC経路を介して提示されるエピトープは、クラスII MHC経路を介して提示されるエピトープとはサイズおよび構造特性が異なることを認識するであろう。例えば、クラスI MHC分子により提示されるT細胞エピトープは一般に8〜11の間のアミノ酸長であるが、クラスII MHC分子により提示されるエピトープは長さの制限が小さく、最大25アミノ酸以上である得る。加えて、T細胞エピトープは、エピトープが結合した特定のMHC分子に応じて、推定される構造的特徴を有する。エピトープは、線状配列エピトープまたはコンフォメーションエピトープ(結合領域が保存されている)であり得る。ほとんどの抗体は、コンフォメーションエピトープを認識する。
本発明の一実施形態では、本発明において使用される酵母系免疫治療用組成物は、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物である。ブラキウリ(「T」と呼ばれることもある)は、多くの異なる動物種間で高度に保存されているタンパク質であり、Tボックスファミリータンパク質と総称される数種の異なるタンパク質間で共有されるDNA結合ドメインモチーフとしての「Tボックス」ドメインまたは「Tドメイン」を含む転写因子である。ヒトブラキウリは、1996年に初めてクローニングされた(Edwardsら,前掲)。ヒトブラキウリをコードする1つのヌクレオチド配列は本明細書において配列番号1で示され、これはGENBANK(商標)受託番号NM_003181(GI:19743811)から得られたmRNA配列である。配列番号1は、アミノ酸435個のヒトブラキウリタンパク質をコードし、そのアミノ酸配列は、本明細書において配列番号2で示される(GENBANK(商標)受託番号NP_003172;GI:4507339にも見られる)。
本明細書に開示される別のヒトブラキウリタンパク質は、配列番号2で示されるヒトブラキウリタンパク質のバリアントであり、配列番号6のアミノ酸配列を有する。配列番号6、また、アミノ酸435個のタンパク質は、本明細書において配列番号5で示されるヌクレオチド配列によりコードされる。配列番号6は、タンパク質の全長にわたって配列番号2とおよそ99%同一である。配列番号6は、配列番号2とは、177位(それぞれAspとGly)、368位(それぞれThrとSer)および409位(それぞれAsnとAsp)で異なる。
本明細書に開示される別のヒトブラキウリタンパク質は、例えば配列番号2または配列番号6で示されるヒトブラキウリタンパク質のアゴニストである。本明細書で一般に使用されるように、「アゴニスト」は、限定されるものではないが、小分子、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸結合剤などを含め、受容体またはリガンドと結合して応答を生成または誘発する任意の化合物または薬剤であり、これは、受容体またはリガンドに結合する天然物質の作用を模倣または増強する薬剤を含み得る。本発明のブラキウリ抗原に関して使用する場合、「アゴニスト」抗原またはタンパク質は、「ミモトープ」とも呼ばれることがある、少なくとも1つのT細胞アゴニストエピトープを含む抗原またはタンパク質を意味する。ミモトープペプチドは、野生型エピトープの構造を模倣するペプチドであり、アゴニストとしてミモトープは、天然エピトープの作用(生物学的機能)を模倣または増強する。例えば、配列番号12のアミノ酸配列(WLLPGTSTL)は、野生型ブラキウリタンパク質のT細胞エピトープである。配列番号13のアミノ酸配列(WLLPGTSTV)は、配列番号12の9位のロイシンが配列番号13ではバリンで置換されている、配列番号12のT細胞エピトープのミモトープまたはアゴニストである。
1つのヒトブラキウリアゴニスト抗原は、本明細書において配列番号18で示される。配列番号18は、アミノ酸435個のタンパク質であり、本明細書において配列番号17で示されるヌクレオチド配列によりコードされる。配列番号18は、254位(配列番号6に関して)のロイシンが配列番号18ではバリンに置換されている以外は、配列番号6と同一である。この置換は、配列番号18の246位〜254位にT細胞アゴニストエピトープを作り出し、これは、理論に縛られるものではないが、ブラキウリに対して野生型エピトープ(配列番号6の246位〜254位)に比べて増強されたT細胞応答を誘導すると考えられる。
配列番号2、配列番号6または配列番号18のいずれの41位〜223位も、ヒトブラキウリのTボックスDNA結合ドメインを示し、他種由来のブラキウリ配列を含む他のブラキウリ配列のTボックスドメインは、これらの配列との比較によって容易に同定することができる。本明細書で使用する場合、本明細書に記載の、または当技術分野で公知の、および本発明で使用される任意のブラキウリタンパク質のTボックスドメインと言う場合には、定義されたTボックスドメインのN末端および/またはC末端に(例えば、配列番号2、6または18の41〜223位のいずれかの側に)ブラキウリ配列の付加的な1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40個の連続するアミノ酸を含み得る。ヒトブラキウリは、本明細書に記載の2つのヒトブラキウリタンパク質を含め、種々のCD4およびCD8T細胞エピトープも含む。このようなエピトープは、例えば、WO2008/106551に記載され、配列番号2または配列番号6の246位〜254位にCD8CTLエピトープWLLPGTSTL(本明細書ではTp2とも呼称する、配列番号12)を含む。上述のように、配列番号18は、本明細書において配列番号13で示される、配列番号12のアゴニストエピトープを含む。
ヒトブラキウリは、他の動物種に由来するブラキウリと極めて高い相同性を有し、従って、本発明の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物の調製において、他の生物に由来するブラキウリ配列も、特に、これらの配列が同一、実質的に相同であり、かつ、標的抗原(例えば、腫瘍細胞により発現される天然ブラキウリ)に対して有効な免疫応答を誘発する場合には、使用することができる。例えば、1990年にHermannおよび共同研究者らにより最初にクローニングされたネズミブラキウリ(Hermannら,前掲)は、ヒトブラキウリとヌクレオチドレベルでおよそ85%同一であり、アミノ酸レベルでおよそ91%同一である。他の動物に由来するブラキウリに関して、アミノ酸レベルで、ヒトブラキウリはチンパンジー(Pan troglodytes)由来ブラキウリと99.5%同一であり、イヌ(Canis lupus familiaris)由来ブラキウリと90.1%同一であり、ウシ(Bos Taurus)由来ブラキウリと88.5%同一であり、ドブネズミ(Rattus norvegicus)由来ブラキウリと92.2% 同一であり、また、ニワトリ(Gallus gallus)由来ブラキウリと80.9%同一である。Tボックスドメインを含むブラキウリのアミノ酸1〜223位内では、マウスおよびヒトブラキウリは、2個のアミノ酸だけが異なる(26位と96位)。ネズミブラキウリをコードするヌクレオチド配列は、本明細書において配列番号3で示され、これはGENBANK(商標)受託番号NM_009309(GI:118130357)から得られたmRNA配列である。配列番号3は、アミノ酸436個のネズミブラキウリタンパク質をコードし、そのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号4として示される。配列番号4の41位〜223位は、ネズミブラキウリのTボックスDNA結合ドメインを示す。
本発明の一実施形態では、ブラキウリ抗原は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号18で示されるアミノ酸配列、またはその少なくとも1つの免疫原性ドメインからなるか、またはそれを含む。一実施形態では、ブラキウリ抗原は、ブラキウリの2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える免疫原性ドメインからなるか、またはそれらを含む。本発明の一実施形態では、ブラキウリ抗原は、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号18の、1位または2位のアミノ酸からC末端の最後の25個のアミノ酸のうちの1つまで(すなわち、配列番号2もしくは配列番号6もしくは配列番号18の441位〜435位のいずれか1つまで、または配列番号4の442位〜436位のいずれか1つまで)で示されるアミノ酸配列からなるか、またはそれを含む。本発明において有用な別のブラキウリ抗原はまた、ブラキウリの少なくとも1〜223位のアミノ酸(例えば、配列番号2、配列番号4、配列番号6もしくは配列番号18の1〜223位)またはブラキウリの41〜223位(例えば、配列番号2、配列番号4、配列番号6もしくは配列番号18の41〜223位)も含む。本発明において有用な別のブラキウリ抗原は、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号18の、少なくとも1〜85位のアミノ酸から、255位〜C末端の間までを含む。本発明において有用な別のブラキウリ抗原は、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号18の、少なくとも1〜85位のアミノ酸から、430位〜C末端の間までを含む。本発明において有用な別のブラキウリ抗原は、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号18の、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10位のアミノ酸から、255位〜C末端の間までを含む。
本発明のいずれの実施形態でも、「完全長」タンパク質(または完全長機能的ドメインまたは完全長免疫ドメイン)という場合には、本明細書に記載される、またはそうでなければ既知の、または公開された配列に記載されているそのタンパク質または機能的ドメインまたは免疫ドメインの完全長アミノ酸配列を含む。タンパク質の一種のホモログでもある、「完全長に近い」タンパク質またはドメインは、完全長タンパク質またはドメインと、そのような完全長タンパク質または完全長ドメインのN末端および/またはC末端由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸の付加または欠失または脱落により異なる。例として、本明細書に記載の融合タンパク質のいくつかは、その抗原が1位のメチオニンを欠き、N末端ペプチドが置換されているので、「完全長に近い」ブラキウリ抗原を含む。一般にタンパク質またはドメインまたは抗原と言う場合には、完全長および完全長に近いタンパク質の両方、ならびにそれらの他のホモログを含み得る。
脊索腫を治療または予防するための方法において使用するための抗原に関する任意の実施形態の一態様では、癌抗原(脊索腫抗原)は、その抗原を酵母によって発現させるために十分な最小サイズである。酵母での発現のためには、タンパク質は一般に少なくとも約25アミノ酸長であるが、それより小さいタンパク質も発現可能であり、それよりかなり大きいタンパク質も酵母によって発現可能である。例えば、本発明において有用なブラキウリ抗原は、酵母によって組換え的に発現させることができ、かつ、ブラキウリの少なくとも1つの免疫原性ドメインを含むブラキウリタンパク質の断片であり、これは配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号18のいずれかの少なくとも1つの免疫原性ドメインを含み得る。一態様では、このような抗原は、少なくとも25アミノ酸長であり、ブラキウリなどの脊索腫抗原の少なくとも1つの免疫原性ドメインを含む。一態様では、このような抗原は30アミノ酸長より大きく、癌抗原の少なくとも1つの免疫原性ドメインを含む。一態様では、このような抗原は少なくとも25〜50アミノ酸長であり、癌抗原の少なくとも1つの免疫原性ドメインを含む。一態様では、このような抗原は少なくとも30〜50アミノ酸長であり、癌抗原の少なくとも1つの免疫原性ドメインを含む。一態様では、このような抗原は少なくとも35〜50アミノ酸長であり、癌抗原の少なくとも1つの免疫原性ドメインを含む。一態様では、このような抗原は少なくとも40〜50アミノ酸長であり、癌抗原の少なくとも1つの免疫原性ドメインを含む。一態様では、このような抗原は少なくとも45〜50アミノ酸長であり、癌抗原の少なくとも1つの免疫原性ドメインを含む。一実施形態では、本発明において有用な癌抗原は、少なくとも25アミノ酸長、または少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425もしくは430アミノ酸長であり、これは、ブラキウリ抗原に関して、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号18の、少なくともこれらのいずれかの長さの任意の断片も含み得る。
一態様では、本発明の方法において有用な抗原は、1つ以上のCTLエピトープを含み、これは、本明細書に記載のCTLエピトープのいずれか1つ、2つ、3つ、またはそれより多くを2コピー以上含み得る。一態様では、抗原は、1つ以上のCD4T細胞エピトープを含む。T細胞の一態様では、抗原は、1つ以上のCTLエピトープと1つ以上のCD4T細胞エピトープを含む。一態様では、T細胞エピトープは、アゴニストエピトープである。
一態様では、ブラキウリ抗原は、アミノ酸配列WLLPGTSTL(配列番号12、配列番号2または配列番号6の245位〜254位でも示される)を含む。一態様では、ブラキウリ抗原は、アミノ酸配列WLLPGTSTV(配列番号13、配列番号18の245位〜254位でも示される)を含む。一態様では、配列番号12または配列番号13のいずれかの4位のアミノ酸(これらの配列ではプロリンまたはP)は、セリン(S)、トレオニン(T)、イソロイシン(I)、またはバリン(V)で置換されている。
一態様では、ブラキウリ抗原は、アミノ酸配列SQYPSLWSV(配列番号14)を含む。一態様では、配列番号14の2位のアミノ酸(この配列ではグルタミンまたはQ)は、ロイシン(L)で置換されている。一態様では、配列番号14の4位のアミノ酸(この配列ではプロリンまたはP)は、セリン(S)、トレオニン(T)、ロイシン(L)、またはバリン(V)で置換されている。一態様では、配列番号14の7位のアミノ酸(この配列ではトリプトファンまたはW)は、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、セリン(S)、またはトレオニン(T)で置換されている。一態様では、配列番号14の9位のアミノ酸(この配列ではバリンまたはV)は、ロイシン(L)で置換されている。配列番号14においてこれらの置換の1つ以上の任意の組合せを有する配列を含む抗原も本発明により企図される。
一態様では、ブラキウリ抗原は、アミノ酸配列RLIASWTPV(配列番号15)を含む。一態様では、配列番号15の1位のアミノ酸(この配列ではアルギニンまたはR)は、チロシン(Y)またはトリプトファン(W)で置換されている。一態様では、配列番号15の6位のアミノ酸(この配列ではトリプトファンまたはW)は、バリン(V)、リシン(L)、イソロイシン(I)、セリン(S)、またはトレオニン(T)で置換されている。配列番号15においてこれらの置換の一方または両方の任意の組合せを有する配列を含む抗原も本発明により企図される。
一態様では、ブラキウリ抗原は、アミノ酸配列AMYSFLLDFV(配列番号16)を含む。一態様では、配列番号16の2位のアミノ酸(この配列ではメチオニンまたはM)は、ロイシン(L)で置換されている。
本発明の一実施形態では、ブラキウリ抗原は、配列番号8のアミノ酸配列を有する融合タンパク質からなるか、それから本質的になるか、またはそれを含む。配列番号8の融合タンパク質は、N末端からC末端まで、インフレームで融合された下記の配列要素:(1)プロテオソーム分解耐性を付与し、酵母での発現を安定化させるためのN末端ペプチド(配列番号8の1〜6位);(2)配列番号6の2〜435位からなるヒトブラキウリ抗原(配列番号8の7〜440位);および(3)ヘキサヒスチジンタグ(配列番号8の441〜446位)を有する単一のポリペプチドである。配列番号8のアミノ酸配列は、配列番号7のポリヌクレオチド配列によりコードされる。この融合タンパク質で使用されるアミノ酸配列は、所望により、ブラキウリ抗原のいずれかの末端に隣接する付加的または代わりのアミノ酸の使用によって改変することができ、また、ブラキウリのより短い部分を使用してもよい。
本発明の別の実施形態では、ブラキウリ抗原は、配列番号10のアミノ酸配列を有する融合タンパク質からなるか、それから本質的になるか、またはそれを含む。配列番号10の融合タンパク質は、N末端からC末端まで、インフレームで融合された下記の配列要素:(1)プロテオソーム分解耐性を付与し、酵母での発現を安定化させるためのN末端ペプチド(配列番号10の1〜6位);(2)配列番号4の2〜436位からなるネズミブラキウリ抗原(配列番号10の7〜441位);および(3)ヘキサヒスチジンタグ(配列番号10の442〜447位)を有する単一のポリペプチドである。配列番号10のアミノ酸配列は、配列番号9のポリヌクレオチド配列によりコードされる。
本発明の別の実施形態では、ブラキウリ抗原は、配列番号20のアミノ酸配列を有する融合タンパク質からなるか、それから本質的になるか、またはそれを含む。配列番号20の融合タンパク質は、N末端からC末端まで、インフレームで融合された下記の配列要素(1)プロテオソーム分解耐性を付与し、発現を安定化させるためのN末端ペプチド(配列番号20の1〜6位、このペプチド配列はまた本明細書において配列番号11でも示される);2)配列番号18の2〜435位のアミノ酸(配列番号20の7〜440位)、配列番号18は完全長ヒトブラキウリアゴニストタンパク質を表す;および(3)ヘキサヒスチジンタグ(配列番号20の441〜446位)を有する単一のポリペプチドである。アゴニストエピトープ(配列番号13)は、配列番号20の251〜259位(配列番号18の246〜254位)に位置する。配列番号20のアミノ酸配列は、配列番号19のポリヌクレオチド配列によりコードされる。
本発明による方法において使用するための組成物に有用な抗原はまた、本明細書に記載の癌タンパク質または癌抗原のいずれかのアミノ酸配列と、そのタンパク質の完全長にわたって、またはそのタンパク質の一部をなす画定されたその断片またはドメイン(例えば、免疫ドメインまたは機能的ドメイン(少なくとも1つの生物活性を有するドメイン))に関して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有するタンパク質も含む。例えば、本明細書に記載のブラキウリタンパク質のドメインは、Tボックスドメインを含む。免疫ドメインは、上記に詳細に記載されている。
本発明のいくつかの態様では、結果として生じるタンパク質が、本発明の酵母系免疫治療用組成物において抗原として使用される場合に、野生型または参照タンパク質としての天然タンパク質に対して免疫応答(増強された免疫応答、低減された免疫応答、または実質的に同等の免疫応答を含み得る)を誘発する限り、野生型または参照タンパク質の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超えるアミノ酸に対してアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を行うことができる。例えば、本発明は、MHC分子に対する、またはMHCの抗原提示に関してエピトープを認識するT細胞受容体に対する、エピトープのアビディティまたは親和性を改善することにより、アゴニストに対するT細胞応答を増強するように変異された1つ以上のT細胞エピトープを含み得る、ブラキウリアゴニスト抗原を含むアゴニスト抗原の使用を含む。従って、抗原アゴニストは、腫瘍細胞により発現される天然抗原に対するT細胞応答の効力または効率を改善し得る。配列番号18のアミノ酸配列を有するブラキウリ抗原は、ブラキウリアゴニスト(またはアゴニストエピトープを含むブラキウリ抗原)の限定されない例である。
加えて、N末端発現配列およびC末端タグ、例えば、配列番号8、配列番号10、または配列番号20の融合タンパク質に関して上記されたものなどは任意選択であるが、発現、安定性を改善もしくは補助する、ならびに/またはタンパク質の同定および/もしくは精製を可能とするためには、本明細書の他所に記載されるいくつかの異なる配列から選択することができる。また、酵母における使用に好適な多くの異なるプロモーターが当技術分野において公知である。さらに、クローニングを助けるため、宿主ファゴソームプロテアーゼの切断部位として、タンパク質または抗原プロセシングを加速化するため、および構築物の以降の操作のための制限酵素部位の導入を含む、様々な理由のために、癌抗原を含む融合タンパク質の部分間に、短い介在リンカー配列(例えば、アミノ酸1、2、3、4、または5個のペプチド)が導入されてもよい。
所望により、本発明の酵母系免疫治療用組成物の成分として使用される、融合タンパク質を含むタンパク質は、酵母において異種抗原の発現を改善または安定化するために特に有用な抗原構築物を用いて作製される。一実施形態では、所望の1つまたは複数の抗原タンパク質またはペプチドを、それらのアミノ末端で、(a)酵母媒体における融合タンパク質の発現を安定化するか、発現された融合タンパク質の翻訳後修飾を防ぐ、特定の合成ペプチド(このようなペプチドは、例えば、2004年8月12日公開の米国特許出願公開第2004−0156858A1号(その全内容が本明細書の一部として援用される)に詳細に記載されている);(b)限定されるものではないが酵母α因子リーダー配列を含む内因性酵母タンパク質の少なくとも一部(この場合、融合相手のいずれかが酵母におけるそのタンパク質の発現の安定性の改善をもたらし、かつ/または酵母細胞によるタンパク質の翻訳後修飾を防ぐ)(このようなタンパク質は、例えば、前掲の米国特許出願公開第2004−0156858A1号にも詳細に記載されている);および/または(c)融合タンパク質を酵母の表面で発現させる酵母タンパク質(例えば、本明細書でさらに詳細に記載されるAgaタンパク質)の少なくとも一部と融合させる。加えて、本発明は、所望により、抗原をコード構築物のC末端に融合させる、特にタンパク質の選択および同定において使用するためのペプチドの使用を含む。このようなペプチドとしては、限定されるものではないが、ペプチドタグ(例えば、6X Hisまたはヘキサペプチド)または他の任意の短いエピトープタグなどの任意の合成または天然ペプチドが含まれる。本発明に従って抗原のC末端に結合されたペプチドは、上述のN末端ペプチドの付加を伴ってまたは伴わずに使用することができ、またその逆も可能である。
一実施形態では、融合タンパク質は、アミノ酸配列M−X2−X3−X4−X5−X6を含み、ここで、Mはメチオニンであり;X2はグリシン、プロリン、リシンまたはアルギニン以外の任意のアミノ酸であり;X3はメチオニン、リシンまたはアルギニン以外の任意のアミノ酸であり;X4はメチオニン、リシンまたはアルギニン以外の任意のアミノ酸であり;X5はメチオニン、リシンまたはアルギニン以外の任意のアミノ酸であり;X6はメチオニン、リシンまたはアルギニン以外の任意のアミノ酸である。一実施形態では、X6残基はプロリンである。酵母細胞における抗原の発現の安定性を増強し、かつ/または酵母におけるタンパク質の翻訳後修飾を防ぐ例示的合成配列は、配列M−A−D−E−A−P(本明細書において配列番号11で示される)を含む。発現産物の安定性の増強に加え、この融合相手は、構築物中の免疫付与抗原に対する免疫応答に悪影響を及ぼすとは思われない。加えて、これらの合成融合ペプチドは、抗体などの選択薬剤により認識され得るエピトープを提供するように設計することができる。
酵母媒体を作製し、その酵母媒体を抗原および/または他のタンパク質および/または目的薬剤とともに発現させ、組み合わせ、および/または結合させて酵母系免疫治療用組成物を作製する方法が本明細書により企図される。
本発明によれば、「酵母媒体−抗原複合体」または「酵母−抗原複合体」という用語は、一般に、酵母媒体と抗原の結合を表すように使用され、このような組成物が上記のように免疫応答を誘発するために使用される場合には、「酵母系免疫治療用組成物」と互換的に使用することができる。このような結合には、酵母(組換え酵母)による抗原の発現、酵母への抗原の導入、抗原と酵母の物理的結合、およびバッファーまたは他の溶液または配合物などの中で、酵母と抗原を一緒に混合することを含む。これらの種の複合体を以下に詳細に記載する。
一実施形態では、酵母媒体を調製するために使用する酵母細胞を、タンパク質(例えば、抗原)をコードする異種核酸分子でトランスフェクトし、これにより、前記タンパク質が前記酵母細胞により発現される。このような酵母は、本明細書では、組換え酵母または組換え酵母媒体とも呼ばれる。その後、酵母細胞を薬学上許容される賦形剤とともに調剤し、そのまま患者に投与するか、後の投与のために保存するか、または無傷細胞として樹状細胞に取り込ませることができる。酵母細胞は殺処理されてもよいし、酵母スフェロプラスト、サイトプラスト、ゴースト、または細胞レベル以下粒子の形成などによって誘導体化されてもよく、これらはいずれも、その後に保存、投与、または樹状細胞への前記誘導体の取込みを行うことができる。酵母スフェロプラストはまた、抗原を発現する組換えスフェロプラストを作製するために、そのまま組換え核酸分子でトランスフェクトすることもできる(例えば、スフェロプラストは完全体の酵母から作製され、次いで、トランスフェクトされる)。1つまたは複数の抗原を組換え的に発現する酵母細胞または酵母スフェロプラストは、酵母サイトプラスト、酵母ゴースト、または酵母膜粒子または酵母細胞壁粒子、またはその画分を含む酵母媒体を作製するために使用可能である。
一般に、酵母媒体と1つもしくは複数の抗原および/または他の薬剤は、本明細書に記載のいずれの技術によって会合させてもよい。一態様では、酵母媒体の細胞内に1つもしくは複数の抗原および/または1つもしくは複数の薬剤を取り込ませた。別の態様では、1つもしくは複数の抗原および/または1つもしくは複数の薬剤を酵母媒体と共有結合により、または非共有結合により結合させた。さらに別の態様では、酵母媒体および1つもしくは複数の抗原および/または1つもしくは複数の薬剤を混合により結合させた。別の態様の一実施形態では、1つもしくは複数の抗原および/または1つもしくは複数の薬剤は、酵母媒体により、またはその酵母媒体が由来した酵母細胞もしくは酵母スフェロプラストにより組換え的に発現される。
本発明の酵母媒体により産生される抗原および/または他のタンパク質の数は、酵母媒体により合理的に産生され得るいずれの数の抗原および/または他のタンパク質であってもよく、一般に、少なくとも1つから少なくとも約6つまたはそれを超えるまでの範囲であり、例えば、約2つ〜約6つの抗原およびまたは他のタンパク質などである。
本発明の酵母媒体中の抗原または他のタンパク質の発現は、当業者に公知の技術を用いて達成される。簡単に述べれば、少なくとも1つの所望の抗原または他のタンパク質をコードする核酸分子を、宿主酵母細胞に形質転換された際にその核酸分子の構成的発現または調節型の発現のいずれかを果たすことができるよう、その核酸分子が転写制御配列に作動可能に連結されるように、発現ベクターに挿入する。1つ以上の抗原および/または他のタンパク質をコードする核酸分子は、1つ以上の発現ベクター上で、1つ以上の発現制御配列に作動可能に連結させることができる。特に重要な発現制御配列は、プロモーターおよび上流活性化配列などの転写の開始を制御するものである。いずれの好適な酵母プロモーターも本発明において使用可能であり、様々なこのようなプロモーターが当業者に知られている。サッカロミセス・セレビシエでの発現のためのプロモーターとしては、限定されるものではないが、以下の酵母タンパク質:アルコールデヒドロゲナーゼI(ADH1)またはII(ADH2)、CUP1、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、翻訳延長因子EF−1α(TEF2)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH;TDH3、すなわち、トリオースリン酸デヒドロゲナーゼとも呼ばれる)、ガラクトキナーゼ(GAL1)、ガラクトース−1−リン酸ウリジル−トランスフェラーゼ(GAL7)、UDP−ガラクトースエピメラーゼ(GAL10)、シトクロムc1(CYC1)、Sec7タンパク質(SEC7)および酸性ホスファターゼ(PHO5)をコードする遺伝子のプロモーターが含まれ、これにはADH2/GAPDHおよびCYC1/GAL10プロモーターなどのハイブリッドプロモーターが含まれ、これには、細胞中のグルコース濃度が低い(例えば、約0.1〜約0.2パーセント)場合に誘導されるADH2/GAPDHプロモーター、ならびにCUP1プロモーターおよびTEF2プロモーターが含まれる。同様に、エンハンサーとも呼ばれる上流活性化配列(UAS:upstream activation sequence)もいくつか知られている。サッカロミセス・セレビシエでの発現のための上流活性化配列としては、限定されるものではないが、以下のタンパク質:PCK1、TPI、TDH3、CYC1、ADH1、ADH2、SUC2、GAL1、GAL7およびGAL10をコードする遺伝子のUAS、ならびにGAL4遺伝子産物により活性化される他のUASが含まれ、一態様では、ADH2 UASが使用される。ADH2 UASはADR1遺伝子産物によって活性化されるので、異種遺伝子がADH2 UASに作動可能に連結される際にはADR1遺伝子が過剰発現することが好ましいと思われる。サッカロミセス・セレビシエでの発現のための転写終結配列としては、α因子、GAPDH、およびCYC1遺伝子の終結配列が含まれる。
メタノール資化性酵母において遺伝子を発現させるための転写制御配列は、アルコールオキシダーゼおよびギ酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の転写制御領域を含む。
本発明による酵母細胞への核酸分子のトランスフェクションは、核酸分子を細胞に導入可能ないずれの方法によっても達成することができ、限定されるものではないが、拡散、能動輸送、槽中での超音波処理、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、吸着、およびプロトプラスト融合が含まれる。トランスフェクトされた核酸分子は、当業者に公知の技術を用いて、酵母染色体に組み込むか、または染色体外ベクター上で維持することができる。このような核酸分子を運ぶ酵母媒体の例は、本明細書に詳細に開示されている。上述のように、酵母サイトプラスト、酵母ゴースト、および酵母膜粒子または細胞壁調製物はまた、無傷の酵母微生物または酵母スフェロプラストを所望の核酸分子でトランスフェクトし、その中で抗原を産生させ、その後、当業者に公知の技術を用いて上記微生物またはスフェロプラストをさらに操作して、所望の抗原または他のタンパク質を含有するサイトプラスト、ゴーストまたは細胞レベル以下酵母膜抽出物またはその画分を生成することにより、組換え的に生産することもできる。
組換え酵母媒体の生産ならびにその酵母媒体による抗原および/または他のタンパク質の発現のための効果的な条件は、酵母株が培養できる有効培地を含む。有効培地は一般に、同化可能な炭水化物、窒素およびリン酸源、ならびに適当な塩、無機質、金属、および他の栄養素、例えば、ビタミンおよび増殖因子を含む水性培地である。培地は複合栄養素を含んでよもよいし、または定義された最小培地であってもよい。本発明の酵母株は、限定されるものではないが、バイオリアクター、エルレンマイヤーフラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュ、およびペトリプレートを含む様々な容器で培養可能である。培養は酵母株に適当な温度、pHおよび酸素含量で行う。このような培養条件は、十分に当業者の技術の範囲内にある(例えば、Guthrie et al.(eds.),1991,Methods in Enzymology,vol.194,Academic Press,San Diego参照)。例えば、1つのプロトコール下では、好適な培地を含有する液体培養に、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物のスタータプレートおよび/またはスタータ培養物から得た培養物を播種することができ、250rpmで振盪しながら30℃でおよそ20時間増殖させる。次に、所望により、初代培養物を拡大培養して、より大きな培養系とすることができる。酵母を形質転換したベクターからのタンパク質発現(例えば、ブラキウリ発現)は、使用するプロモーターが構成型プロモーターであれば構成的となり得、または使用するプロモーターが誘導型プロモーターであれば、そのプロモーターに適当な誘導条件(例えば、CUP1プロモーターの場合には硫酸銅)を加えることによって誘導され得る。誘導型プロモーターの場合、タンパク質発現の誘導は、培養物を好適な細胞密度まで増殖させた後に開始することができ、好適な細胞密度は約0.2Y.U./ml以上の密度であり得る。
本発明の一態様では、本発明において有用な酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、CUP1プロモーターの制御下に配列番号8で示されるヒトブラキウリ融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを発現するサッカロミセス・セレビシエ酵母を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物であり、本明細書ではGI−6301とも呼称される。別の態様では、本発明において有用な酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、TEF2プロモーターの制御下において配列番号8で示されるヒトブラキウリ融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを発現するサッカロミセス・セレビシエ酵母を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(ベクターplu011)であり、本明細書ではGI−6302とも呼称される。別の態様では、本発明において有用な酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、TEF2プロモーターの制御下に配列番号8で示されるヒトブラキウリ融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを発現するサッカロミセス・セレビシエ酵母を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(ベクターpGI−172)であり、本明細書ではGI−6303とも呼称される。さらに別の態様では、本発明において有用な酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、CUP1プロモーターの制御下に配列番号20で示されるヒトブラキウリアゴニスト融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを発現するサッカロミセス・セレビシエ酵母を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物であり、本明細書ではGI−6305とも呼称される。
本発明の一実施形態では、酵母媒体における抗原または他のタンパク質の組換え的発現に代えて、酵母媒体の細胞内に、タンパク質もしくはペプチド、または抗原として働き、かつ/または本発明による免疫調節剤または生物反応改変剤として有用な炭水化物もしくは他の分子を取り込ませる。次に、抗原および/または他のタンパク質をすでに細胞内に含む酵母媒体を個体に投与し、樹状細胞などの担体に取り込ませることができる。ペプチドおよびタンパク質は、拡散、能動輸送、リポソーム融合、エレクトロポレーション、貪食作用、凍結−融解サイクルおよび槽中での超音波処理などの当業者に公知の技術によって、本発明の酵母媒体に直接挿入することができる。ペプチド、タンパク質、炭水化物、または他の分子を直接取り込むことができる酵母媒体としては、無傷の酵母、ならびにスフェロプラスト、ゴーストまたはサイトプラストが含まれ、これらには生産後に抗原および他の薬剤を取り込ませることができる。あるいは、無傷の酵母に抗原および/または薬剤を取り込ませた後に、それらからスフェロプラスト、ゴースト、サイトプラスト、または細胞レベル以下粒子を調製することもできる。この実施形態では、少なくとも1、2、3、4または数百もしくは数千までの任意の整数の抗原および/または他の薬剤、例えば、微生物またはその一部の取込みによりもたらされるものなど、いずれの数の抗原および/または他の薬剤も酵母媒体に取り込ませることができる。
本発明の別の実施形態では、抗原および/または他の薬剤は、酵母媒体に物理的に結合される。抗原および/または他の薬剤と酵母媒体の物理的結合は、当技術分野で好適ないずれの方法によっても達成することができ、限定されるものではないが、抗原および/または他の薬剤と酵母媒体の外面の化学的架橋、または抗体もしくは他の結合相手を用いることによるものなどの抗原および/または他の薬剤と酵母媒体の外面の生物学的架橋を含む、共有結合的および非共有結合的会合法が含まれる。化学的架橋は、例えば、グルタルアルデヒド結合、光親和性標識、カルボジイミド処理、ジスルフィド結合を架橋することができる化学薬剤での処理、および当技術分野で標準的な他の架橋化学薬剤での処理を含む方法によって達成できる。あるいは、酵母膜の脂質二重層の電荷または細胞壁の組成を変化させる化学薬剤を酵母媒体と接触させて、酵母の外面が抗原および/または特定の電荷特徴を有する他の薬剤とより融合または結合しやすくすることもできる。抗体、結合ペプチド、可溶性受容体、および他のリガンドなどの標的化薬剤もまた、融合タンパク質として抗原に組み込むか、またはそうでなければ抗原と酵母媒体を結合させるために、抗原と会合させることができる。
抗原または他のタンパク質が酵母の表面で発現されるか、または酵母の表面に物理的に結合される場合、一態様では、表面での抗原または他のタンパク質発現または含量を最適化するためにスペーサーアームを注意深く選択することができる。スペーサーアームのサイズは、抗原または他のタンパク質が、結合のために酵母の表面にどの程度露出するかに影響を及ぼし得る。従って、どの1つまたは複数の抗原または1つまたは複数の他のタンパク質が使用されるかによって、当業者は酵母表面上で抗原または他のタンパク質に適当なスペーシングを実現するスペーサーアームを選択する。一実施形態では、スペーサーアームは、少なくともアミノ酸450個の酵母タンパク質である。スペーサーアームは、上記で詳細に述べられている。
さらに別の実施形態では、酵母媒体および抗原または他のタンパク質は、バッファーまたは他の好適な配合物(例えば、混和物)中で酵母媒体および抗原または他のタンパク質を一緒に穏やかに混合することによるなど、より受動的、非特異的または非共有結合的機構によって互いに結合される。
一実施形態では、無傷の酵母(異種抗原または他のタンパク質の発現を伴う、または伴わない)は、すりつぶすか、または酵母細胞壁調製物、酵母膜粒子または酵母断片(すなわち、無傷でない)を作製する様式で処理することができ、酵母断片は、いくつかの実施形態では、免疫応答を増強するために、抗原を含む他の組成物(例えば、DNAワクチン、タンパク質サブユニットワクチン、殺処理または不活化された病原体、ウイルスベクターワクチン)とともに提供または投与することができる。例えば、酵素処理、化学処理または物理的力(例えば、機械的剪断または超音波処理)を用いて酵母を粉砕し、アジュバントとして使用される部分にすることができる。
本発明の一実施形態では、本発明において有用な酵母媒体は、殺処理または不活化された酵母媒体を含む。酵母の殺処理または不活化は、当技術分野で公知の様々な好適な方法のいずれによっても達成できる。例えば、酵母の熱不活化は酵母を不活化する標準的な方法であり、当業者ならば、所望により、当技術分野で公知の標準的な方法によって、標的抗原の構造変化をモニタリングすることができる。あるいは、酵母を不活化する他の方法としては、化学的方法、電気的方法、放射線法またはUV方法などが使用可能である。例えば、Methods of Enzymology,Vol.194,Cold Spring Harbor Publishing(1990)などの標準的な酵母培養テキストに開示されている方法論を参照。使用される不活化法はいずれも、標的抗原の二次構造、三次構造または四次構造を考慮しなければならず、その免疫原性を最適化するための構造を保存しなければならない。
酵母媒体は、当業者に公知のいくつかの技術を用いて、本発明の酵母系免疫治療用組成物または生成物中に調剤することができる。例えば、酵母媒体は、凍結乾燥によって乾燥させることができる。酵母媒体を含む製剤はまた、製パンまたは醸造作業に使用される酵母に対して行われるように、ケーキまたは錠剤中に酵母を詰め込むことによって調製することもできる。加えて、酵母媒体は、宿主または宿主細胞に忍容される等張バッファーなどの、薬学上許容される賦形剤と混合することもできる。このような賦形剤の例としては、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース液、ハンクス液、および他の水性の生理学的平衡塩溶液が含まれる。硬化油、ゴマ油、オレイン酸エチル、またはトリグリセリドなどの非水性ビヒクルも使用可能である。他の有用な製剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、グリセロールまたはデキストランなどの増粘剤を含有する懸濁液が含まれる。賦形剤はまた、等張性および化学的安定性を増強する物質などの微量添加剤を含有することもできる。バッファーの例としては、リン酸バッファー、重炭酸バッファーおよびTrisバッファーが含まれ、保存剤の例としては、チメロサール、m−またはo−クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールが含まれる。標準的製剤は、液体注射剤または注射用懸濁液もしくは溶液として好適な液体に取ることができる固体のいずれかであり得る。よって、非液体製剤では、賦形剤は、例えば、デキストロース、ヒト血清アルブミン、および/または保存剤を含むことができ、投与前にこれに無菌水または生理食塩水を添加することができる。
本発明の一実施形態では、組成物は、生物反応改変化合物とも呼ばれ得る追加の薬剤、またはそのような薬剤/改変剤を生成する能力を含み得る。例えば、酵母媒体は少なくとも1つの抗原および少なくとも1つの薬剤/生物反応改変化合物でトランスフェクトすることができるか、またはそれらを取り込むことができ、あるいは本発明の組成物は、少なくとも1つの薬剤/生物反応改変剤とともに投与することができる。生物反応改変剤としては、アジュバント、および免疫調節化合物とも呼ばれ得る、免疫応答を調節することができる他の化合物、ならびに酵母系治療薬などの別の化合物または薬剤の生物活性を改変する化合物(このような生物活性は免疫系効果に限定されない)が含まれる。ある種の免疫調節化合物は防御免疫応答を刺激することができるが、他のものは有害な免疫応答を抑制することができ、ある免疫調節剤が所与の酵母系免疫治療薬と組み合わせた場合に有用であるかどうかは、少なくとも1つには、治療もしくは予防される病的状態もしくは病態、および/または治療される個体によって決まり得る。ある種の生物反応改変剤は細胞性免疫応答を優先的に増強し、他のものは体液性免疫応答を優先的に増強する(すなわち、体液性免疫に比べて細胞性免疫のレベルが増強された免疫応答を刺激することができる、またはその逆)。ある種の生物反応改変剤は、酵母系免疫治療薬の生物学的特性と共通した1つ以上の特性を有するか、または酵母系免疫治療薬の生物学的特性を増強もしくは補足する。免疫応答の刺激または抑制を測定するため、ならびに細胞性免疫応答を体液性免疫応答から識別するため、および細胞媒介性応答のあるタイプを別のタイプから識別するため(例えば、TH17応答とTH1応答)には、当業者に公知のいくつかの技術がある。
本発明において有用な薬剤/生物反応改変剤としては、限定されるものではないが、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、脂質誘導体、ペプチド、タンパク質、多糖、小分子薬、抗体およびその抗原結合断片(限定されるものではないが、抗サイトカイン抗体、抗サイトカイン受容体抗体、抗ケモカイン抗体を含む)、ビタミン、ポリヌクレオチド、核酸結合部分、アプタマー、および増殖調節剤を含み得る。このような薬剤のいずれの組合せも本発明により企図され、酵母系免疫治療薬と組み合わせたまたはプロトコールにおいて酵母系免疫治療薬とともに(例えば、同時に、連続して、または他の形式で)投与されるこのような薬剤はいずれも、本発明により包含される組成物である。このような薬剤は当技術分野で周知である。これらの薬剤は単独で使用してもよいし、または本明細書に記載の他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。
薬剤は、所与のタンパク質またはペプチドまたはそのドメインのアゴニストおよびアンタゴニストを含み得る。本明細書で使用する場合、「アゴニスト」は、限定されるものではないが、小分子、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸結合剤などを含め、受容体またはリガンドと結合して応答を生成または誘発する任意の化合物または薬剤であり、これは、受容体またはリガンドに結合する天然物質の作用を模倣または増強する薬剤を含み得る。「アンタゴニスト」は、限定されるものではないが、小分子、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸結合剤などを含め、アゴニストの作用を遮断または阻害または低減する任意の化合物または薬剤である。
本発明に有用な一般技術
本発明の実施には、特に断りのない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、核酸化学、および免疫学の従来技術を使用し、これらは当業者に周知である。このような技術は、Methods of Enzymology,Vol.194,Guthrie et al.編,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1990);Biology and activities of yeasts,Skinner,et al.編,Academic Press(1980);Methods in yeast genetics :a laboratory course manual,Rose et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1990);The Yeast Saccharomyces:Cell Cycle and Cell Biology,Pringle et al.編,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1997);The Yeast Saccharomyces:Gene Expression,Jones et al.編,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1993);The Yeast Saccharomyces:Genome Dynamics,Protein Synthesis,and Energetics,Broach et al.編,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1992);Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(Sambrook et al.,1989)and Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版(Sambrook and Russel,2001),(本発明では合わせて“Sambrook”と呼ぶ);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.編,1987,2001年までの補遺を含む);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.編,1994);Harlow and Lane(1988),Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New York;Harlow and Lane(1999)Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(本発明では合わせて“Harlow and Lane”と呼ぶ),Beaucage et al.編,Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2000);Casarett and Doull’s Toxicology The Basic Science of Poisons,C.Klaassen,編,第6版(2001)、およびVaccines,S.Plotkin,W.Orenstein,and P.Offit編,第5版(2008)などの文献に詳しく説明されている。
一般的定義
「TARMOGEN(商標)」(グローブイミューン,インコーポレイテッド、コロラド州ルイスビル)は一般に、1つ以上の異種抗原を細胞外(その表面上)、細胞内(内部もしくはサイトゾルに)または細胞外と細胞内の両方に発現する酵母媒体を意味する。TARMOGEN(商標)は、一般に記載されている(例えば、米国特許第5,830,463号参照)。ある種の酵母系免疫治療用組成物、およびそれを作製し、一般に使用する方法もまた、例えば、米国特許第5,830,463号、米国特許第7,083,787号、米国特許第7,736,642号、Stubbs et al.,Nat.Med.7:625−629(2001),Lu et al.,Cancer Research 64:5084−5088(2004)、およびBernstein et al.,Vaccine 2008 Jan 24;26(4):509−21に詳細に記載されており、その全内容は本明細書の一部として援用される。
一般に、「生物学的に活性」という用語は、化合物(タンパク質またはペプチドを含む)が、in vivo(すなわち、天然の生理学的環境)またはin vitro(すなわち、実験室条件下)で測定または観察した場合に、細胞、組織、または生物体の代謝プロセス、生理学的プロセス、化学的プロセス、またはその他のプロセスに影響を持つ少なくとも1つの検出可能な活性を有することを示す。
本発明によれば、「変更する」という用語は、「調節する」と互換的に使用でき、一般に、特定の活性のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを意味する。本明細書で使用する場合、「アップレギュレートする」という用語は、一般に、特定の活性に関して、誘発、誘導、増加、増大、強化、改善、増強、増幅、促進、または提供のいずれかを表すように使用することができる。同様に、「ダウンレギュレートする」という用語は、一般に、特定の活性に関して、低下、低減、阻害、緩和、縮小、軽減、遮断、または抑制のいずれかを表すように使用することができる。
本発明の一実施形態では、本明細書に記載のアミノ酸配列はいずれも、明示されるアミノ酸配列のC末端および/またはN末端のそれぞれに隣接する、少なくとも1個から最大約20個の付加的異種アミノ酸を伴って生産することができる。その結果得られるタンパク質またはポリペプチドは、明示されたアミノ酸配列「から本質的になる」と言うことができる。本発明によれば、異種アミノ酸は、明示されたアミノ酸配列に隣接する、天然には見られない(すなわち、in vivoでは本来見られない)、または明示されたアミノ酸配列の機能には関連しない、またはもし天然配列中のこのようなヌクレオチドが、その所与のアミノ酸配列が由来する生物の標準的なコドン使用頻度を用いて翻訳されたとしたら、遺伝子においてそうであるように、明示されたアミノ酸配列をコードする天然核酸配列に隣接するヌクレオチドによってコードされないと思われる、アミノ酸の配列である。同様に、「から本質的になる」という句は、本明細書において核酸配列に関して使用される場合、明示されたアミノ酸配列をコードする核酸配列の5’末端および/または3’末端のそれぞれに少なくとも1個から最大約60個もの付加的異種ヌクレオチドが隣接し得る、明示されたアミノ酸配列をコードする核酸配列を指す。異種ヌクレオチドは、天然遺伝子においてそうであるように、明示されたアミノ酸配列をコードする核酸配列に隣接する、天然には見られない(すなわち、in vivoでは本来見られない)か、または明示されたアミノ酸配列を有するタンパク質に任意の付加的機能を付与する、もしくはそのタンパク質の機能を変化させるタンパク質をコードしない。
本発明によれば、「に選択的に結合する」という句は、本発明の抗体、抗原結合断片または結合相手の、明示されたタンパク質に優先的に結合する能力を意味する。より具体的には、「選択的に結合する」という句は、あるタンパク質と別のタンパク質(例えば、抗体、その断片、または結合相手と抗原)の特異的結合を意味し、この場合、標準的なアッセイ(例えば、イムノアッセイ)によって測定される結合レベルは、そのアッセイのバックグラウンド対照よりも統計学的に有意に高い。例えば、イムノアッセイを行う場合、対照は一般に、抗体または抗原結合断片のみを含有する(すなわち、抗原が不在)反応ウェル/チューブを含み、抗原の不在下での抗体またはその抗原結合断片による反応性の量(例えば、ウェルに対する非特異的結合)がバックグラウンドと考えられる。結合は、酵素イムノアッセイ(例えば、ELISA、イムノブロットアッセイなど)を含む、当技術分野で標準的な様々な方法を用いて測定することができる。
一般に、本発明において使用されるタンパク質またはポリペプチドと言う場合には、完全長タンパク質、完全長に近いタンパク質(上記で定義)、または任意の断片、ドメイン(構造的、機能的、または免疫原性)、コンフォメーションエピトープ、または所与のタンパク質のホモログまたはバリアントを含む。融合タンパク質もまた、一般にタンパク質またはポリペプチドと呼べる。本発明による単離されたタンパク質は、その天然環境から取り出された(すなわち、ヒトによる操作を受けた)タンパク質(ポリペプチドまたはペプチドを含む)、例えば、精製されたタンパク質、部分的に精製されたタンパク質、組換え的に生産されたタンパク質、および合成的に生産されたタンパク質を含み得る。従って、「単離された」とは、タンパク質が精製された程度を表すものではない。好ましくは、本発明の単離されたタンパク質は、組換え生産される。本発明によれば、「修飾」および「突然変異」という用語は、特に本明細書に記載のタンパク質またはその一部のアミノ酸配列(または核酸配列)に対する修飾/突然変異に関しては、互換的に使用することができる。
本明細書で使用する場合、「ホモログ」または「バリアント」という用語は、参照タンパク質またはペプチド(すなわち、「原型」または「野生型」タンパク質)とは、その参照タンパク質またはペプチドに対する軽微な修飾で異なるが、天然型の基本的なタンパク質および側鎖構造を維持するタンパク質またはペプチドを表すように使用される。このような変化としては、限定されるものではないが、1つまたは少数のアミノ酸側鎖の変化;欠失(例えば、タンパク質もしくはペプチドの末端切断型)、挿入および/もしくは置換を含む、1つまたは少数アミノ酸の変化;1つまたは少数の原子の立体化学の変化;および/または限定されるものではないが、メチル化、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化、プレニル化、パルミチン酸化(palmitation)、アミド化および/またはグリコシルホスファチジルイノシトールの付加を含む軽微な誘導体化が含まれる。ホモログまたはバリアントは、参照タンパク質またはペプチドに比べて増強された、低下した、または実質的に同等の特性を持ち得る。ホモログまたはバリアントは、タンパク質のアゴニストまたはタンパク質のアンタゴニストを含み得る。ホモログまたはバリアントは、限定されるものではないが、単離された参照タンパク質に対する直接修飾、直接的タンパク質合成、または例えば、タンパク質バリアントのコードが得られるランダムもしくは標的突然変異誘発を果たす古典的もしくは組換えDNA技術を用いた、タンパク質をコードする核酸配列に対する修飾を含む、タンパク質の生産に関して当技術分野で公知の技術を用いて作製することができる。加えて、参照タンパク質の天然バリアント(例えば、アイソフォーム、対立遺伝子バリアント、または個体ごとに起こり得る他の天然バリアント)も存在する場合があり、本発明において単離、生産および/または使用が可能である。
所望のタンパク質のホモログまたはバリアントは、参照タンパク質のアミノ酸配列(例えば、本明細書で明示されたアミノ酸配列、または明示されたタンパク質のアミノ酸配列)と少なくとも約45%、または少なくとも約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%同一、または少なくとも約87%同一、または少なくとも約88%同一、または少なくとも約89%同一、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%同一、または少なくとも約92%同一、または少なくとも約93%同一、または少なくとも約94%同一、または少なくとも約95%同一、または少なくとも約96%同一、または少なくとも約97%同一、または少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一(または45%〜99%の間で整数刻みの任意の同一性パーセント)のアミノ酸配列からなるか、それから本質的になるか、またはそれを含むことができる。一実施形態では、ホモログまたはバリアントは、参照タンパク質のアミノ酸配列と1%刻みで100%未満の同一性、約99%未満の同一性、約98%未満の同一性、約97%未満の同一性、約96%未満の同一性、約95%未満の同一性など、約70%未満の同一性であるアミノ酸配列からなるか、それから本質的になるか、またはそれを含む。
本明細書で使用する場合、特に断りのない限り、同一性パーセント(%)と言う場合には、(1)Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)塩基配列ホモロジー検索(アミノ酸検索にはblastpおよび核酸検索にはblastnを標準的なデフォルトパラメータとともに使用し、クエリ配列は、デフォルト(全内容が本明細書の一部として援用されるAltschul,S.F.,Madden,T.L.,Schaeaeffer,A.A.,Zhang,J.,Zhang,Z.,Miller,W.& Lipman,D.J.(1997)“Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs.”Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載されているものなど)により低複雑性領域に関してフィルタリングが行われる);(2)2配列のBLASTアラインメント(例えば、下記のパラメータを使用);(3)および/または標準的なデフォルトパラメータを用いるPSI−BLAST(Position−Specific Iterated BLAST)を用いて実行される相同性の評価を意味する。Basic BLASTおよび2配列間BLASTの間の標準的パラメータのいくつかの違いのために、2つの特定の配列が、BLASTプログラムを用いた場合には有意な相同性を有すると認識され、一方、クエリ配列としてそれらの配列の一方を用いてBasic BLASTで行った検索では、第2の配列をトップマッチと特定しないことがある。加えて、PSI−BLASTは、自動化された使用の容易な「プロファイル」検索バージョンを提供し、これは配列ホモログを見つける高感度の方法である。このプログラムはまずギャップBLASTデータベース検索を実行する。PSI−BLASTプログラムは、戻ってきた有意なアラインメントからの情報を用いて位置特異的スコア行列を構築し、これが次回のデータベース検索のために前記クエリ配列に取って代わる。従って、同一性パーセントはこれらのプログラムのいずれか1つによって決定され得ると理解されるべきである。
2つの特定の配列は、全内容が本明細書の一部として援用されるTatusova and Madden,(1999),“Blast 2 sequences − a new tool for comparing protein and nucleotide sequences”,FEMS Microbiol Lett.174:247−250に記載の通りにBLASTを用いて互いにアラインすることができる。このような配列アラインメントは、blastpまたはblastnにおいて、得られたアラインメントのおけるギャップ(欠失および挿入)の導入を可能とする2配列間のギャップBLAST検索(BLAST2.0)を実行するためのBLAST2.0アルゴリズムを用いて実行される。本明細書において明瞭とするために、2配列に関するBLAST配列アラインメントは、次のような標準的なデフォルトパラメータを用いて実行される。
blastnについては、BLOSUM62行列0を使用:
一致に対する得点(Reward for match)=1
不一致に対するペナルティ(Penalty for mismatch)=−2
ギャップ開始(5)およびギャップ伸長(2)ペナルティ
ギャップx_dropoff(50)期待値(10)ワードサイズ(11)フィルタ(on)
blastpについては、BLOSUM62行列0を使用:
ギャップ開始(11)およびギャップ伸長(1)ペナルティ
ギャップx_dropoff(50)期待値(10)ワードサイズ(3)フィルタ(on)。
単離された核酸分子は、その天然環境から取り出された(すなわち、ヒトによる操作を受けた)核酸分子であり、その天然環境は、その核酸分子が天然に見られるゲノムまたは染色体である。従って、「単離された」とは、核酸分子が精製された程度を表すものではなく、その分子が、自然界においてその核酸分子が見出されるゲノム総体または染色体総体または2種以上の遺伝子を含有するゲノムのセグメントを含まないことを示す。単離された核酸分子は、1つの完全な遺伝子を含むことができる。一遺伝子を含む単離された核酸分子は、このような遺伝子を含む染色体の断片ではなく、むしろその遺伝子に関連するコード領域および調節領域を含むが、自然界において同じ染色体上に見られる更なる遺伝子を含まない。単離された核酸分子はまた、一遺伝子の部分を含んでもよい。単離された核酸分子はまた、明示された核酸配列に自然状態で通常には隣接しない付加的核酸(すなわち、異種配列)が隣接する(すなわち、その配列の5’末端および/または3末端に)明示された核酸配列も含み得る。単離された核酸分子は、DNA、RNA(例えば、mRNA)、またはDNAまたはRNAのいずれかの誘導体(例えば、cDNA)を含み得る。「核酸分子」という句は基本的に物理的な核酸分子を意味し、「核酸配列」という句は基本的に核酸分子上のヌクレオチドの配列を意味するが、これらの2つの句は、特にタンパク質またはタンパク質ドメインをコードし得る核酸分子または核酸配列に関しては、互換的に使用することができる。
組換え核酸分子は、トランスフェクトされる細胞内で1つまたは複数の核酸分子の発現を効率的に調節することができる任意の転写制御配列のうち少なくとも1つに作動可能に連結された、本明細書に記載のいずれか1つ以上のタンパク質をコードする任意の核酸配列のうち少なくとも1つを含み得る分子である。「核酸分子」という句は基本的に物理的な核酸分子を意味し、「核酸配列」という句は基本的に核酸分子上のヌクレオチドの配列を意味するが、これらの2つの句は、特にタンパク質をコードし得る核酸分子または核酸配列に関しては、互換的に使用することができる。加えて、「組換え分子」という句は、基本的に、転写制御配列と作動可能に連結された核酸分子を意味するが、動物に投与される「核酸分子」という句と互換的に使用することができる。
組換え核酸分子は組換えベクターを含み、組換えベクターは、本発明の融合タンパク質をコードする単離された核酸分子に作動可能に連結され、融合タンパク質の組換え生産を可能とし、かつ、本発明に従って核酸分子を宿主細胞に送達することができる任意の核酸配列、一般に異種配列である。このようなベクターは、ベクターに挿入される単離された核酸分子に隣接する、天然には見られない核酸配列を含み得る。ベクターはRNAまたはDNAのいずれであってもよく、原核生物または真核生物のいずれであってもよく、本発明において好ましくは、酵母をトランスフェクトするために有用なプラスミドである。組換えベクターは、核酸分子のクローニング、シーケンシング、および/またはそれ以外の操作に使用することができ、このような分子の送達において使用することができる(例えば、DNA組成物またはウイルスベクター系組成物の場合)。組換えベクターは、好ましくは、核酸分子の発現において使用され、発現ベクターと呼ぶこともできる。好ましい組換えベクターは、酵母などのトランスフェクト宿主細胞において発現可能である。
本発明の組換え分子では、核酸分子は、宿主細胞に適合し、かつ、本発明の核酸分子の発現を制御する転写制御配列、翻訳制御配列、複製起点、および他の調節配列などの調節配列を含有する発現ベクターに作動可能に連結されている。特に、本発明の組換え分子は、1つ以上の発現制御配列に作動可能に連結された核酸分子を含む。「作動可能に連結される」という句は、核酸分子を発現制御配列に、宿主細胞にトランスフェクト(すなわち、形質転換、形質導入またはトランスフェクト)された際にその分子が発現されるような様式で連結することを意味する。
本発明によれば、「トランスフェクション」という用語は、外因性の核酸分子(すなわち、組換え核酸分子)が細胞に挿入され得るいずれの方法も意味するように使用される。「形質転換」という用語は、そのような用語が藻類、細菌および酵母などの微生物細胞への核酸分子の導入を意味するように使用される場合には、「トランスフェクション」という用語と互換的に使用することができる。微生物系では、「形質転換」という用語は、微生物による外因性の核酸の獲得による遺伝性の変化を表すように使用され、「トランスフェクション」という用語と本質的に同義である。従って、トランスフェクション技術としては、限定されるものではないが、形質転換、細胞の化学的処理、粒子衝撃、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、吸着、感染およびプロトプラスト融合が含まれる。
以下の実験結果は例示のために示されるものであって、本発明の範囲を限定することは意図されない。
実施例
実施例1
以下の実施例は、脊索腫を有する対象における第1相または第2相臨床試験を示す。
脊索腫を有する患者における無作為化第1相または第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8または配列番号20を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。少なくとも20名以上の脊索腫を有する対象者を組み入れる。
本試験は、二重盲検または非盲検、プラセボ対照、多施設試験として実施する。全患者が、腫瘍切除および放射線療法を含む標準治療を受けるとともに、処置群の患者は治療中に数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物注射を受ける。一次エンドポイントはブラキウリ陽性腫瘍細胞の減少、症候的奏効および放射線奏効の改善、腫瘍増殖の無進行、無再発生存期間または全生存期間である。追加のエンドポイントとしては、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置時のブラキウリ特異的CD8T細胞の出現または拡大増殖)を含み得る。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、安全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、少なくとも一部または大多数の患者において、治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答および/または既存のブラキウリ特異的ベースラインT細胞応答の改善をもたらすと予測される。一部または大多数の患者はまた、安定疾患および/または無再発生存期間(無増悪生存期間)および/または全生存期間の延長を示すと予測される。
実施例2
以下の実施例は、家族性脊索腫の病歴を有する健常対象者における第2相臨床試験を記載する。
家族性脊索腫の病歴を有する健常対象者(すなわち、脊索腫の病歴を有する2名以上の血縁者がある家系由来の対象者)における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8または配列番号20を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。少なくとも40名以上の対象者を組み入れる。
本試験は、二重盲検または非盲検、プラセボ対照、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物注射を受ける。対象者は脊索腫の発生に関して経過観察を受ける。エンドポイントは、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現または拡大増殖するブラキウリ特異的CD8T細胞)、脊索腫陰性の維持、および脊索腫進行の遅延を含み得る。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、少なくとも一部または大多数の患者において、治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらすと予測される。処置群の対象者は、プラセボを受けた対象者に比べて、または酵母系免疫療法を受けていない、脊索腫の病歴を有する対象者の集団(すなわち、家族性脊索腫)に比べて、より低い脊索腫罹患率または脊索腫発症の遅延を示すと予測される。処置の有効性を判定するための比較の目的で、対照としては、疾患発生のベースライン基準値を得るために家族性脊索腫由来の家族員を経時的に追跡することによって決定され得るものなど、家族性脊索腫の発生に関する有効/基準既存対照率を含み得る。
実施例3
以下の実施例は、ブラキウリを発現することが知られている癌を有する対象者において行った第1相臨床試験を記載する。
非盲検、連続用量漸増、第1相臨床試験を、GI−6301と呼称する酵母ブラキウリ免疫治療用組成物を用いて開始した。この臨床試験プロトコール下で、主要選択基準は以下のものを含んだ:固形腫瘍、測定可能な疾患(疾患が評価可能でなければならない)または測定不能な疾患、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)ステータスグレード0〜1(ここで、グレード0は、制限無く疾病前の全ての振る舞いができる完全な活動状態を示し、グレード1は、肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能であり、軽いまたは座った状態での作業は行えることを示す)、クレアチニンレベルが1.5×ULN(基準値上限)以下、ALTレベル(アラニン−アミノトランスフェラーゼ)が2.5×ULN以下、ASTレベル(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)が2.5×ULN以下、ビリルビン(Bili)レベルが1.5×ULN以下、絶対好中球数(ANC)が1500超、血小板総数が100,000超、従前の化学療法処置から最低2週間。加えて、従前に免疫療法を受けた患者を許容した。
主要除外基準としては、HIVまたは肝炎患者;妊婦、授乳中の女性、活動性自己免疫疾患患者、一部の全身性ステロイド使用、酵母系製剤に対するアレルギー、CNS疾患、心膜量>2cm、EBVウイルス血症(PCRにより定義、log10値>3.0)、甲状腺疾患(集団的または自己免疫性)および三環系抗鬱薬使用患者が含まれた。
進行性癌を有する27名の患者(用量コホート当たり3〜16名)を組み入れ、GI−6301として知られる酵母ブラキウリ免疫治療用組成物を連続用量コホート漸増プロトコールで投与した。このプロトコールでは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)および40Y.U.(10Y.U.×4部位)の用量範囲の皮下投与を用いた。GI−6301は、合計7回の来院の間に2週間隔で(約3か月)、その後、試験中、2か月ごとに再病期分類スキャンを行いながら毎月投与した。一次エンドポイントは安全性であった。二次エンドポイントとしては、腫瘍関連抗原免疫応答の分析、すなわち、ELISpotアッセイにおけるブラキウリ特異的T細胞の増加およびブラキウリタンパク質に応答した増殖(例えば、処置に際して出現または拡大増殖するブラキウリ特異的CD8またはCD4T細胞)により測定した場合に、T細胞前駆体の変化が検出可能であったかどうかを含んだ。追加の二次エンドポイントは、無増悪生存期間、腫瘍マーカーの変化または変化率、ならびに全身免疫の活性化のパラメータ、例えば、末梢血中の免疫細胞(CD8メモリー/エフェクターT細胞、CD4メモリー/エフェクターT細胞、Treg、NK細胞、DC)の頻度およびサイトカイン(例えば、IFN−γ、IL−10、IL−12、IL−2、IL−4、TGF−βなど)の血清レベルなどの臨床利益を含んだ。例えば、免疫応答は、サイトカインであるインターフェロンγ(IFN−γ)、腫瘍壊死因子(TNF)、およびインターロイキン2(IL−2)に関するCD4およびCD8 Tリンパ球のフローサイトメトリー細胞内染色(ICS:intracellular staining)によって測定した。
この処置は、27名の患者に与えた191回のワクチンサイクルで十分に忍容された。2名の患者がグレード3の注射部位反応(一過性)を生じた。他にはグレード3は無く、ワクチンに関連するグレード4の毒性は無かった。9回のサイクルのみにグレード2の毒性が伴っていた(一般に、インフルエンザ様症状)。
21サンプルが免疫応答分析に利用可能であり、7サンプルがICSによって測定した場合にブラキウリ特異的応答を示した。試験期間中央値は74日(範囲)であった。転移性結腸癌を有する患者は15か月間、安定疾患を示した。
全体的に見れば、免疫治療用組成物GI−6301は、重大な毒性無く、安全で十分な忍容性があることが判明した。GI−6301免疫治療用組成物を用いたこの第1相試験は、安全性と一部の患者における免疫応答の増強を示した。これらの結果は、転写因子がワクチン接種を介して免疫学的に標的化され得ることを、ヒトにおいて初めて実証する。
実施例4
以下の実施例は、実施例3に記載の第1相試験の拡大を記載し、本発明の酵母ブラキウリ組成物を用いた、脊索腫を有する対象者の免疫誘導からの結果を示す。
実施例3に記載の第1相試験の拡大相を開始した。拡大相の目標は、GI−6301を患者の付加的コホートに最大忍容用量で投与すること、および試験に進行性脊索腫患者を含むことであった。拡大相を組み入れるために、実施例3に記載される最初の試験に比べて以下の適格基準を除いた:CNS疾患(具体的には、脊索腫患者の組み入れを許容)、甲状腺疾患(および経過観察)およびエプスタイン−バーウイルス(EBV)PCR要件の除外。
再発性(進行性)脊索腫を有する7名の患者を40Y.U.用量レベルの拡大相に組み入れ、これらの患者の臨床転帰および免疫学的転帰は当初に評価されていた。7名全ての患者は従前に放射線を受けていた(放射線以降の中央値470日:範囲111〜1883)。年齢中央値は59(41〜66)歳であった。全て40Y.U.のワクチンを2週間ごとに7回受け、最初の再病期分類は8日目とした。安定していれば、患者は毎月の投与に進み、2か月ごとに再病期分類スキャンを行った。一次エンドポイントは安全性であったが、臨床転帰も同様に追跡した。ブラキウリ特異的T細胞応答もまた、サイトカインIFN−γ、TNF、およびIL−2に関するCD4およびCD8 Tリンパ球のフリーサイトメトリー細胞内染色(ICS)により分析した。
上述のように、7名全ての患者が広範囲の従前処置を受けていた。2名の患者はそれぞれ6か月間および12か月間、比較的安定な疾患を示していたので試験に加えたところ、両者とも、それぞれ141日目および197日目の再病期分類時に安定疾患を留めていた。残りの5名の患者は組み入れ時に進行性疾患を示していた。これら5名のうち1名は、141日目の病変指数に30%を超える低下を示し、4週間後の反復スキャン時に部分奏功(PR)が確定した。1名の患者は、141日目の再病期分類まで安定疾患を示した。他の3名は、141日目の再病期分類時に進行を示した。有害事象は最小であり、注射部位反応が最も多かった(63回の投与で13件(21%)、7名の患者のうち6名(86%))。7名の患者のうち2名は、ICSによるブラキウリ特異的T細胞応答を示した。
40Y.U.の拡大群において、図4に見られるように腫瘍測定値変化を記録した。第0日の左側のx軸スケールは、第0日の右側のスケールとは異なる。
これまでのところ、GI−6301ワクチンを用いた第I相試験における進行性脊索腫を有する患者のこのコホートは、安全性および免疫応答の増強を示し、部分奏功(PR)が確定された。
再発性脊索腫を有する4〜5名の患者を、80Y.U.用量レベルの拡大相に入れる計画が立てられていた。
実施例5
以下の実施例は、試験3か月前〜9か月前の間に腫瘍進行が見られた局部再発性または転移性疾患を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
この臨床試験は、局部再発性または転移性疾患を有する脊索腫対象者における酵母ブラキウリ免疫治療用組成物を評価する。いずれの従前治療選択を受けた対象者も本試験に受け入れた。加えて、試験に含めるには、対象者は、試験3か月前〜9か月前の間に見られた腫瘍進行を有していなければならない。これらの対象者は、酵母系免疫治療用組成物、本明細書に記載の例えばGI−6301を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。
免疫治療用組成物による免疫誘導の開始からおよそ6か月後に、対象者は、照射可能な病巣を有するかどうかを判定するために医療供給者によって評価される。病巣が照射可能であれば、その病巣は放射線療法で処置され、対象者は、本試験の一次エンドポイントおよび二次エンドポイントに達するまで経過観察され、評価される。病巣が照射可能でなければ、その対象者は放射線療法を受けず、本試験の一次エンドポイントおよび二次エンドポイントに達するまで経過観察され、評価される。酵母系免疫治療用組成物の投与は、本試験の一次エンドポイントおよび二次エンドポイントに達するまで、その期間中継続する。
一次エンドポイントは、RECISTにより定義される無増悪生存期間(PFS)の決定である。二次エンドポイントとしては、腫瘍奏効率(RECISTおよびChoiにより定義され、比較のために照射病巣と非照射病巣で評価される)および腫瘍増殖速度動態(免疫治療薬処置の6か月前と免疫治療薬処置の6か月後で評価)を含む。PFSについては、中央値は、非処置対照対象者(5か月と予想)に比べて、9か月であると予測される。免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母ブラキウリ組成物の投与は、重大な毒性なく、安全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ組成物の投与は、標準治療を受けたこのカテゴリーの対象者の標準的なPFS中央値に比べて、無増悪生存期間を改善すると思われ、この改善は、ワクチン後の更なる放射線処置によって増進すると予測される。加えて、酵母ブラキウリ組成物の投与は、奏効率を改善し、かつ有利には腫瘍増殖速度動態を変化させると予測される。最後に、酵母ブラキウリ組成物の投与は、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答を生成すると予測される。
実施例6
以下の実施例は、病巣が従前に照射されていない、切除不能な局所再発病巣を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例7
以下の実施例は、病巣が従前に照射された、切除不能な局所再発病巣を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例8
以下の実施例は、病巣が従前に照射されていない、少数転移性疾患および切除不能病巣を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例9
以下の実施例は、病巣が従前に照射された、少数転移性疾患および切除不能病巣を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例10
以下の実施例は、脊索腫に対して従前に放射線療法を受けていない、少数転移性疾患および切除後病巣を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例11
以下の実施例は、従前に放射線療法を受けていない、少数転移性疾患および切除後病巣を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例12
以下の実施例は、病巣が従前に照射されていない、切除不能病巣の第1再発を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例13
以下の実施例は、病巣が従前に照射された、切除不能病巣の第1再発を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例14
以下の実施例は、病巣が従前に照射されていない、転移性疾患および従前に照射されていない病巣を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
実施例15
以下の実施例は、病巣が従前に照射されていない、転移性疾患および従前に照射された病巣を有する脊索腫対象者における第2相臨床試験を記載する。
これらの脊索腫対象者における無作為化第2相臨床試験を、本明細書に記載の酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(例えば、配列番号8(GI−6301)または配列番号20(GI−6305)を発現した加熱殺処理サッカロミセス酵母完全体を含む酵母ブラキウリ免疫治療用組成物)を用いて実施する。本試験は適当な数の患者を組み入れて、下記の基準を用いて臨床有効性を評価するための統計的検出力を有する。
本試験は、二重盲検または非盲検、多施設試験として実施する。全患者が、慣例の経過観察および/または放射線療法、全身薬物療法もしくはそれらの組合せの標準治療を受けるとともに、処置群の患者は数シリーズの酵母ブラキウリ免疫治療用組成物(すなわち、GI−6301または他の酵母ブラキウリ免疫治療薬)注射を受ける。例えば、本プロトコールは、4Y.U.(1Y.U.×4部位、来院のたびに患者の身体の4か所の異なる部位に1Y.U.のGI−6301が投与されることを意味する)、16Y.U.(4Y.U×4部位)、40Y.U.(10Y.U.×4部位)、ならびに80Y.U.(皮下投与)の用量範囲を用いることができる。用量は、例えば実施例3に記載の通りに、または毎月投与することができる。選択基準としては、固形腫瘍および測定可能な疾患の存在を含み得る。一次および/または二次エンドポイントとしては、無増悪生存期間(RECISTにより定義することができるか、またはRECISTに関して修正された免疫関連応答基準により、もしくはChoi基準により定義することができる)、進行までの期間の遅延、腫瘍奏効率(すなわち、その期間中の未処置腫瘍の撮像、RECISTおよび/またはChoi基準により測定され、かつ/または対象者の非照射病巣と比較される安定性または進行による組み入れの6か月前〜12か月前までに定義されるX線写真奏効)、腫瘍増殖速度動態の変化(例えば、処置6か月前対処置6か月後)、抗原特異的T細胞応答(例えば、処置に際して出現および拡大増殖する特異的CD8および/またはCD4T細胞)、全生存期間またはそれらの組合せを含み得る。
酵母系免疫治療用組成物に対する対象者の奏効は、同じ様式で、ただし、免疫治療用組成物、または放射線療法、外科的切除、標的薬物療法もしくはそれらの組合せなどの第二選択療法と組み合わせた免疫治療用組成物を加えずに処置された対象者と比較することができる。
酵母系免疫治療用組成物は、重大な毒性なく、完全で十分な忍容性があると予測される。加えて、酵母ブラキウリ免疫治療用組成物は、無増悪生存期間を改善し、少なくとも一部または大多数の患者において治療創発的ブラキウリ特異的T細胞応答をもたらし、および/または腫瘍増殖速度を低減すると予測される。処置群の対象者は、酵母系免疫療法を受けていない対照対象者に比べて、進行までの期間の遅延を示すと予測される。本試験の目標は、本実施例に開示された脊索腫集団の期待PFS中央値からPFS中央値の傾向特定、好ましくは統計学的に有意な増加を達成することである。例として、PFS中央値が9か月という統計学的目標が達成でき、ここで、試験下の関連脊索腫集団について、期待PFS中央値は一般に約5か月であり得る。
本発明の種々の実施形態を詳細に記載したが、当業者ならばこれらの実施形態の改変および適合に想到することは明らかである。しかしながら、このような改変および適合は、以下の例示的クレームに示されるように、特許請求の範囲内にあることが明確に理解されるべきである。

Claims (52)

  1. 脊索腫を有する個体に、
    a)酵母媒体と
    b)少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原と
    を含む免疫治療用組成物を投与することを含む、脊索腫を治療するための方法。
  2. 前記個体が切除不能な局所再発病巣を有する個体である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記病巣の局所再発が前記免疫治療用組成物の投与の3か月前〜9か月前の間に起こる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記個体が少数転移性疾患を有する個体である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記個体が切除不能病巣または切除可能病巣の第1再発を有する個体である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記個体が転移性疾患を有する個体である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記個体が別の癌療法で処置されているか、または処置されたものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記個体が放射線療法で処置されているか、または処置されたものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記放射線療法が前記免疫治療用組成物の投与前に投与される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記放射線療法が前記免疫治療用組成物の投与と同時に投与される、請求項8または請求項9に記載の方法。
  11. 前記放射線療法が前記免疫治療用組成物の投与に続いて投与される、請求項8または請求項9に記載の方法。
  12. 前記個体が腫瘍切除で処置されているか、または処置されたものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記個体が化学療法で処置されているか、または処置されたものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記個体が、チロシンキナーゼ阻害剤、EGFR阻害剤、およびSTAT3阻害剤からなる群から選択される薬物標的療法で処置されているか、または処置されたものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記個体が、1種類以上の更なる免疫治療用組成物の投与で処置されているか、または処置されたものである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記更なる免疫治療用組成物が、酵母媒体およびブラキウリ抗原以外の抗原である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記更なる免疫治療用組成物が、酵母媒体および上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)抗原である、請求項15に記載の方法。
  18. 家族性脊索腫の病歴を有する個体において、脊索腫を予防する、脊索腫の発症を遅延させる、または脊索腫の転帰を改善するための方法であって、前記個体に、
    a)酵母媒体と
    b)少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原と
    を含む免疫治療用組成物を投与することを含み、
    その投与の時点で、前記個体は脊索腫であると診断されていない、方法。
  19. 前記ブラキウリ抗原が完全長ヒトブラキウリである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記ブラキウリ抗原が不完全長ブラキウリである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号6、配列番号18もしくは配列番号2で示されるアミノ酸配列、または配列番号6、配列番号18もしくは配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号6、配列番号18または配列番号2の少なくとも1位または2位から、255位とC末端との間までを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号6、配列番号18または配列番号2の少なくとも1位または2位から、430位とC末端との間までを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号6、配列番号18または配列番号2の246位〜254位を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号6、配列番号6の2〜435位、または配列番号6と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号18、配列番号18の2〜435位、または配列番号18と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号2、配列番号2の2〜435位、または配列番号2と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号6、配列番号6の2〜435位、または配列番号6と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号18、配列番号18の2〜435位、または配列番号18と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号2、配列番号2の2〜435位、または配列番号2と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号8で示されるアミノ酸配列、または配列番号8と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記ブラキウリ抗原が、配列番号20で示されるアミノ酸配列、または配列番号20と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記酵母媒体が完全体の酵母である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記無傷の酵母が殺処理されている、請求項33に記載の方法。
  35. 前記無傷の酵母が熱により不活化されている、請求項33に記載の方法。
  36. 前記酵母媒体が前記抗原を発現する、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記酵母がサッカロミセス(Saccharomyces)、カンジダ(Candida)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、ロドトルラ(Rhodotorula)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)およびヤロウイア(Yarrowia)からなる群から選択される属に由来する、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記酵母がサッカロミセス属に由来する、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記酵母がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に由来する、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記組成物が、対象の注射による投与に好適な薬学上許容される賦形剤中に調剤される、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記対象が約0.1Y.U.〜約100Y.U.の用量の前記免疫治療用組成物を投与される、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記対象が約10Y.U.〜約80Y.U.の用量の前記免疫治療用組成物を投与される、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記対象が2Y.U.、40Y.U.、または80Y.U.の用量の前記免疫治療用組成物を投与される、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記免疫治療用組成物が毎週投与される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記免疫治療用組成物が隔週で投与される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記免疫治療用組成物が毎月投与される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記免疫治療用組成物が5週間毎週、その後は毎月投与される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記免疫治療用組成物が、7ラウンドまでの処置の間は2週間隔で、その後は毎月投与される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記免疫治療用組成物が、単回用量となるように前記個体の2か所以上の部位に投与される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記免疫治療用組成物が別の癌療法と同時に投与される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
  51. 脊索腫を治療するための、酵母媒体と、少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む免疫治療用組成物の使用。
  52. 脊索腫を予防するか、またはその発症を遅延させるための、酵母媒体と、少なくとも1つのブラキウリ抗原を含む癌抗原とを含む免疫治療用組成物の使用。
JP2016504343A 2013-03-19 2014-03-19 脊索腫のための酵母系免疫療法 Active JP6509808B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201361803332P 2013-03-19 2013-03-19
US61/803,332 2013-03-19
PCT/US2014/031183 WO2014186047A1 (en) 2013-03-19 2014-03-19 Yeast-based immunotherapy for chordoma

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016516081A true JP2016516081A (ja) 2016-06-02
JP2016516081A5 JP2016516081A5 (ja) 2017-04-13
JP6509808B2 JP6509808B2 (ja) 2019-05-08

Family

ID=51898771

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016504343A Active JP6509808B2 (ja) 2013-03-19 2014-03-19 脊索腫のための酵母系免疫療法

Country Status (15)

Country Link
US (2) US10507235B2 (ja)
EP (1) EP2976100B1 (ja)
JP (1) JP6509808B2 (ja)
KR (1) KR20150132867A (ja)
CN (1) CN105228646B (ja)
AU (1) AU2014265873B2 (ja)
BR (1) BR112015023968A2 (ja)
CA (1) CA2907560C (ja)
HK (1) HK1216861A1 (ja)
IL (1) IL241384B (ja)
MX (1) MX2015013380A (ja)
RU (1) RU2679806C2 (ja)
SG (2) SG11201507328RA (ja)
TW (2) TW201936206A (ja)
WO (1) WO2014186047A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3051449A1 (de) * 2015-01-29 2016-08-03 Bayer Technology Services GmbH Computerimplementiertes Verfahren zur Erstellung eines Fermentationsmodels
TWI748957B (zh) * 2015-08-03 2021-12-11 美商環球免疫公司 經修飾之酵母-短尾畸型(Brachyury)免疫治療組合物
KR20180057610A (ko) 2015-08-03 2018-05-30 더 유나이티드 스테이츠 오브 어메리카, 애즈 리프리젠티드 바이 더 세크러테리, 디파트먼트 오브 헬쓰 앤드 휴먼 서비씨즈 브라큐리 결실 돌연변이체, 브라큐리 결실 돌연변이체를 인코딩하는 비-효모 벡터, 및 이들의 용도

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012125998A1 (en) * 2011-03-17 2012-09-20 Globeimmune, Inc. Yeast-brachyury immunotherapeutic compositions

Family Cites Families (36)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2486400B1 (fr) 1980-07-09 1986-05-30 Univablot Medicaments a base de levures ou de leurs extraits insolubles
NZ199722A (en) 1981-02-25 1985-12-13 Genentech Inc Dna transfer vector for expression of exogenous polypeptide in yeast;transformed yeast strain
US4775622A (en) 1982-03-08 1988-10-04 Genentech, Inc. Expression, processing and secretion of heterologous protein by yeast
US5310654A (en) 1985-07-31 1994-05-10 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Method for determining virulence of Yersinia
US5234830A (en) 1988-02-03 1993-08-10 Suntory Limited DNA encoding a KEX2 endoprotease without a C-terminal hydrophobic region
IL95019A0 (en) 1989-08-09 1991-06-10 Mycogen Corp Process for encapsulation of biologicals
US5830463A (en) 1993-07-07 1998-11-03 University Technology Corporation Yeast-based delivery vehicles
US5413914A (en) 1993-07-07 1995-05-09 The Regents Of The University Of Colorado Yeast assay to identify inhibitors of dibasic amino acid processing endoproteases
US5858378A (en) 1996-05-02 1999-01-12 Galagen, Inc. Pharmaceutical composition comprising cryptosporidium parvum oocysts antigen and whole cell candida species antigen
AU9589398A (en) 1997-10-10 1999-05-03 Applied Immunotherapeutics, Inc. Cancer immunotherapy using allostimulated cells in a multiple sequential implantation strategy
US5948646A (en) 1997-12-11 1999-09-07 Fordham University Methods for preparation of vaccines against cancer comprising heat shock protein-peptide complexes
US20020044948A1 (en) 2000-03-15 2002-04-18 Samir Khleif Methods and compositions for co-stimulation of immunological responses to peptide antigens
ATE319475T1 (de) 2000-04-06 2006-03-15 Seer Pharmaceuticals Llc Microbielles wirkstoffabgabesystem
AU2002225681A1 (en) 2000-11-15 2002-05-27 Globe Immune, Inc. Yeast-dentritic cell vaccines and uses thereof
US7439042B2 (en) 2002-12-16 2008-10-21 Globeimmune, Inc. Yeast-based therapeutic for chronic hepatitis C infection
US7465454B2 (en) 2002-12-16 2008-12-16 Globeimmune, Inc. Yeast-based vaccines as immunotherapy
US20060009404A1 (en) * 2004-07-09 2006-01-12 Williams Jason R Tumor ablation in combination with pharmaceutical compositions
KR20080043775A (ko) 2005-07-11 2008-05-19 글로브이뮨 표적 치료용 회피 돌연변이체에 대한 면역 반응의 유발방법 및 조성물
US20070172503A1 (en) 2005-12-13 2007-07-26 Mycologics,Inc. Compositions and Methods to Elicit Immune Responses Against Pathogenic Organisms Using Yeast Based Vaccines
US7736642B2 (en) 2006-02-02 2010-06-15 Globeimmune, Inc. Yeast-based vaccine for inducing an immune response
CN101448848B (zh) 2006-03-27 2013-12-04 全球免疫股份有限公司 Ras突变及其相关组合物和方法
SG171577A1 (en) 2007-02-02 2011-06-29 Globeimmune Inc Methods for producing yeast-based vaccines
EP2125868B1 (en) * 2007-02-28 2015-06-10 The Govt. Of U.S.A. As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services Brachyury polypeptides and methods for use
CN101730542A (zh) 2007-03-19 2010-06-09 环球免疫公司 用于靶向消除癌症靶向疗法的突变逃逸的组合物和方法
JP2012503011A (ja) 2008-09-19 2012-02-02 グローブイミューン,インコーポレイテッド 慢性c型肝炎ウイルス感染の免疫療法
WO2010065626A1 (en) 2008-12-02 2010-06-10 Globeimmune, Inc. Genotyping tools, methods and kits
JP5759980B2 (ja) 2009-04-17 2015-08-05 グローブイミューン,インコーポレイテッド 癌および感染症に対する免疫療法組成物の組み合わせ
CA2774326C (en) 2009-09-14 2023-11-07 Donald Bellgrau Modulation of yeast-based immunotherapy products and responses
EP2547792A4 (en) 2010-03-14 2013-11-27 Globeimmune Inc PHARMACOGENOMIC TREATMENT AND ADAPTATION TO THE RESPONSE OF AN INFECTIOUS DISEASE USING YEAST IMMUNOTHERAPY
GB201004575D0 (en) * 2010-03-19 2010-05-05 Immatics Biotechnologies Gmbh Composition of tumor associated peptides and related anti cancer vaccine for the treatment of gastric cancer and other cancers
WO2012019127A2 (en) 2010-08-05 2012-02-09 The Regents Of The University Of Colorado Combination yeast-based immunotherapy and arginine therapy for the treatment of myeloid-derived supressor cell-associated diseases
EP2651439B1 (en) 2010-12-17 2018-09-19 Globeimmune, Inc. Compositions and methods for the treatment or prevention of human adenovirus-36 infection
PE20140844A1 (es) 2011-02-12 2014-07-14 Globeimmune Inc Terapeuticos a base de levadura para infeccion de la hepatitis b cronica
CN103732250A (zh) 2011-06-14 2014-04-16 全球免疫股份有限公司 基于酵母的治疗或预防丁型肝炎病毒感染的组合物和方法
SG10201607663YA (en) 2011-08-17 2016-11-29 Globeimmune Inc Yeast-muc1 immunotherapeutic compositions and uses thereof
TWI748957B (zh) 2015-08-03 2021-12-11 美商環球免疫公司 經修飾之酵母-短尾畸型(Brachyury)免疫治療組合物

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012125998A1 (en) * 2011-03-17 2012-09-20 Globeimmune, Inc. Yeast-brachyury immunotherapeutic compositions

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
HSU,W. ET AL.: "Generation of chordoma cell line JHC7 and the identification of Brachyury as a novel molecular targe", J. NEUROSURG., vol. 115, no. 4, JPN6017046045, October 2011 (2011-10-01), pages 760 - 9, XP002761416, DOI: doi:10.3171/2011.5.JNS11185 *
JAMBHEKAR, N.A. ET AL., ARCH PATHOL LAB MED, vol. Vol.134, JPN6018020288, 2010, pages 1181 - 7 *

Also Published As

Publication number Publication date
TW201936206A (zh) 2019-09-16
US20160271238A1 (en) 2016-09-22
AU2014265873B2 (en) 2019-01-17
SG11201507328RA (en) 2015-10-29
SG10201707608QA (en) 2017-10-30
AU2014265873A1 (en) 2015-10-22
US10507235B2 (en) 2019-12-17
EP2976100A1 (en) 2016-01-27
KR20150132867A (ko) 2015-11-26
EP2976100A4 (en) 2016-10-19
WO2014186047A8 (en) 2015-01-15
CN105228646A (zh) 2016-01-06
JP6509808B2 (ja) 2019-05-08
EP2976100B1 (en) 2020-07-01
HK1216861A1 (zh) 2016-12-09
RU2015144511A (ru) 2017-05-03
RU2679806C2 (ru) 2019-02-13
BR112015023968A2 (pt) 2017-08-22
CN105228646B (zh) 2021-04-06
IL241384B (en) 2019-12-31
TWI674108B (zh) 2019-10-11
CA2907560C (en) 2021-12-07
IL241384A0 (en) 2015-11-30
WO2014186047A1 (en) 2014-11-20
MX2015013380A (es) 2016-01-08
CA2907560A1 (en) 2014-11-20
US20200046818A1 (en) 2020-02-13
TW201446261A (zh) 2014-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6580733B2 (ja) 酵母−ブラキュリ免疫治療組成物
TWI748957B (zh) 經修飾之酵母-短尾畸型(Brachyury)免疫治療組合物
US20200046818A1 (en) Yeast-based immunotherapy for chordoma
TW201707715A (zh) 用於治療her-2陽性癌症之組合免疫療法及放射線療法
NZ724797B2 (en) Yeast-brachyury immunotherapeutic compositions

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170308

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171205

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180301

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6509808

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250