JP2016502568A

JP2016502568A - 液晶媒体および電気光学液晶ディスプレイ

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Publication number: JP2016502568A
Application number: JP2015538318A
Authority: JP
Inventors: ツァンタ，マルクス; ヒルシュマン，ハラルド; 斎藤いづみ; ライフェンラート，フォルカー; リーツァウ，ラース
Original assignee: Merck Patent GmbH
Current assignee: Merck Patent GmbH
Priority date: 2012-10-25
Filing date: 2013-10-04
Publication date: 2016-01-28
Anticipated expiration: 2033-10-04
Also published as: KR102162142B1; DE102012020939B4; CN104736671B; CN104736671A; DE102012020939A1; WO2014063780A1; JP6491098B2; US9611428B2; US20150284635A1; KR20150080543A

Abstract

本発明は、液晶の再配向のための再配向層を有し、その領域が再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する、電気光学液晶ディスプレイであって、液晶媒体を含有し、該媒体が式（Ｉ）で表される少なくとも１種の化合物、式（ＩＩ）で表される少なくとも１種の化合物および式（ＩＩＩ）で表される少なくとも１種の化合物、式中、パラメーターＲ１１〜Ｒ３１、Ｘ１１およびＸ２１は請求項１において特定される意味を有する、を含有することを特徴とする、前記ディスプレイに関する。

Description

本発明は、液晶の再配向のための再配向層を有し、その領域が再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する電気光学液晶ディスプレイであって、式Ｉ
で表される少なくとも１種の化合物、式ＩＩ
で表される少なくとも１種の化合物、および式ＩＩＩ
で表される少なくとも１種の化合物
式中、パラメーターＲ^１１〜Ｒ^１３、Ｘ^１１およびＸ^２１は請求項１に示される意味をそれぞれ有する、
を含有することを特徴とする、液晶媒体を含有する、前記電気光学液晶ディスプレイに関する。

慣用の液晶ディスプレイ（ＴＮ、ＳＴＮ、ＯＭＩ、ＡＭＤ−ＴＮ）において、再配向のための電界は、液晶層に本質的に垂直に作り出される。

国際特許出願WO 91/10936は、電気シグナルが、電界が液晶層に対し平行な重大な成分を有するように、作り出される（ＩＰＳ、平面内スイッチング（in-plane switching））、液晶ディスプレイを開示する。かかるディスプレイを作動する原理は、例えば、R.A. Soref in Journal of Applied Physics, Vol. 45, No. 12, pp. 5466-5468 (1974)により記載されている。

例えばEP 0 588 568は、電極の設計のための、およびかかるディスプレイのアドレスのための、さまざまな可能性を開示する。同様にDE 198 24 137は、かかるＩＰＳディスプレイのさまざまな態様を記載する。
このタイプのＩＰＳディスプレイのための液晶材料は、例えばDE 195 28 104に記載されている。

平面内スイッチング（ＩＰＳ）およびフリンジ電界スイッチング（ＦＦＳ）技術の典型的な用途は、モニター、ノートブック、テレビ、携帯電話、タブレットＰＣ、およびここでは明示的には列挙しない、当業者に公知の多くのさらなる用途である。

ＩＰＳおよびまたＦＦＳ技術の両方が、他のＬＣＤ技術、例えば垂直配向（ＶＡ）技術と比較して、広範な視野角を有する。しかし、現在までに公知のＩＰＳおよびＦＦＳ技術は、限定された黒色状態および限定された光透過の不利を有する。

この理由のため、さらなる液晶媒体、ならびに高度な透過、良好な黒色状態および高いコントラスト比を有するディスプレイにおけるその使用が、近代のＩＰＳおよびＦＦＳ用途に関する中心となる挑戦である。加えて、近代の用途はまた、良好な低温安定性および迅速なアドレス時間を必要とする。

現在、高度な透過、黒色状態および／または高いコントラスト比に対する異なる技術的概念が存在し、これらを詳細に記載する。

良好な黒色状態は、液晶媒体の低度な光散乱により達成することができる。それゆえ好適な媒体は、スイッチング時間の要件を考慮して、相対的に高い弾性定数および好ましくは好適なΔｎを有しなければならない。

液晶媒体のこれらの要件は今までは、回転粘度の増加および／または大幅に低減された低温安定性を伴ってきているため、低い回転粘度および良好な低温安定性と同時に、好適なΔｎおよび相対的に高い弾性定数を有するさらなる液晶媒体が必要である。

ＩＰＳディスプレイの透過は、より小さな電極幅と組み合わせての増大した電極間隔により、良い影響を与えられ得る。しかし、増大した電極間隔のため、同一レベルでの作動電圧を維持するためには、媒体の高い誘電異方性を要する。しかし、高い誘電異方性はまた現在までは、高い回転粘度および／または大幅に限定された低温安定性を意味している。加えて、より高い誘電異方性により、低い弾性定数がもたらされ得、これにより黒色状態および反応時間を低減させる。さらに、弾性定数の顕著な増加により、黒色状態における改善および低温安定性の低減がもたらされる。

それゆえ、高い誘電異方性を、高い弾性定数、低い回転粘度および良好な低温安定性を同時に組み合わせて有する液晶媒体が、必要である。

高いコントラスト比は、良好な黒色状態および／または高度な透過により達成することができる。それゆえ、上述のアプローチ、ならびに液晶媒体の以下の要件の随伴が、ＩＰＳディスプレイの最適化されたコントラストには望ましい：
・Δｎに関する好適な値、および／または
・高い弾性定数、および／または
・誘電異方性に関する比較的高い値、
・迅速な応答時間を達成する観点での、回転粘度に関する低い値、および
・良好な低温安定性

ＦＦＳディスプレイの場合において、以下の類似した要件が生じる：
・Δｎに関する好適な値、および／または
・高い弾性定数、および／または
・迅速な応答時間を達成する観点での、回転粘度に関する低い値、および
・良好な低温安定性

誘電異方性に関する比較的高い値は、ＦＦＳディスプレイの場合においては、電極間隔の増加が、ここでは限定された程度で透過の増大をもたらすにすぎないので、大抵は不要である。しかし、一般的に、液晶媒体の言及された類似の要件もまた、ＦＦＳディスプレイに適用する。

驚くべきことにこれらの要件は、式Ｉで表される少なくとも１種の化合物、式ＩＩで表される少なくとも１種の化合物および式ＩＩＩで表される少なくとも１種の化合物を含む液晶媒体を使用することにより、好ましくは同時に、達成される。

それゆえ本発明は、正の誘電異方性を有する液晶媒体であって、該媒体が式Ｉ
式中、
Ｒ^１１は、１〜１５個のＣ原子を有する非置換のアルキルラジカル、ここで加えて、この基における１つまたは２つ以上のＣＨ_２基はそれぞれ、互いに独立して、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＣＦ＝ＣＦ−、−ＣＦ＝ＣＨ−、−ＣＨ＝ＣＦ−、−（ＣＯ）Ｏ−、−Ｏ（ＣＯ）−、−（ＣＯ）−または−Ｏ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を、好ましくは２〜７個のＣ原子を有する直鎖のアルキルラジカルを示し、
Ｘ^１１は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮまたは、Ｆにより単置換または多置換されている１〜１５個のＣ原子を有するアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基はそれぞれ、互いに独立して−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＣＦ＝ＣＦ−、−ＣＦ＝ＣＨ−、−ＣＨ＝ＣＦ−、−（ＣＯ）Ｏ−、−Ｏ（ＣＯ）−、−（ＣＯ）−または−Ｏ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示す、

で表される少なくとも１種の化合物、式ＩＩ
式中、
Ｒ^２１は、非置換であるか、またはＣＮもしくはＣＦ_３により単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されている、１５個までのＣ原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は
または−Ｏ−ＣＯ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
Ｘ^２１は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮ、１〜６個のＣ原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または２〜６個のＣ原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示す、

で表される少なくとも１種の化合物、および式ＩＩＩ
式中、
Ｒ^３１は、非置換であるか、ＣＮもしくはＣＦ３により単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されている、１５個までのＣ原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は−Ｏ−、−Ｓ−、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＯＣ−Ｏ−または−Ｏ−ＣＯ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示す、
で表される少なくとも１種の化合物を含むことを特徴とする、前記媒体に関する。

好ましい態様において、式Ｉで表される化合物は、式Ｉａ〜Ｉｏ

式中、
Ｒ^１１は、式Ｉのもとで示される意味の１つを有し、
ｎは、１〜５を示し、および
ｍは、０〜５を示す、
で表される化合物から選択される。

化合物は、特に好ましくは、式Ｉａ〜Ｉｃで表される化合物から選択される。

好ましい態様において、式ＩＩで表される化合物は、式ＩＩａ〜ＩＩｅ
式中、Ｒ^２１は、式ＩＩのもとで示される意味の１つを有する
で表される化合物から選択される。

式ＩＩで表される化合物は、特に好ましくは、式ＩＩａ、ＩＩｃおよびＩＩｄで表される化合物から選択される。

さらなる態様において、本発明による媒体は式Ｉ^＊
式中、
Ｒ^１１＊は、１〜１５個のＣ原子を有するアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は、互いに独立して、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＣＦ＝ＣＦ−、−ＣＦ＝ＣＨ−、−ＣＨ＝ＣＦ−、−（ＣＯ）Ｏ−、−Ｏ（ＣＯ）−、−（ＣＯ）−または−Ｏ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、好ましくは２〜７個のＣ原子を有する直鎖のアルキルラジカルを示し、

Ａ^１１＊、Ａ^１２＊はそれぞれ、互いに独立して、
を示し、および
Ｘ^１１＊は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮ、または１〜３個のＣ原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシ、これはＦにより単置換または多置換されている、を示し、好ましくはＦ、Ｃｌ、ＣＮ、ＣＦ_３、ＣＨＦ_２、ＯＣＦ_３、、ＯＣＦＨＣＦ_３、ＯＣＦＨＣＨＦ_２、ＯＣＦ_２ＣＨ_３、ＯＣＦ_２ＣＨＦ_２、ＯＣＦ_２ＣＦ_２ＣＨＦ_２、ＯＣＦＨＣＦ_２ＣＦ_３、ＯＣＦＨＣＦ_２ＣＨＦ_２、ＯＣＦ_２ＣＦ_２ＣＦ_３、ＯＣＦ_２ＣＦ_２ＣＣｌＦ_２、ＯＣＣｌＦＣＦ_２ＣＦ_３またはＣＨ＝ＣＦ_２を、極めて特に好ましくはＦ、ＣＮ、ＣＦ_３、ＯＣＨＦ_２またはＯＣＦ_３を示す、
で表される少なくとも１種の化合物を含む。

式Ｉ^＊で表される化合物は、特に好ましくは、副次式Ｉ^＊ａ〜Ｉ^＊ｄ
式中、Ｒ^１１＊および^Ｘ１１はそれぞれ、式Ｉ^＊のもので示された意味の１つを有する、
から選択される。

ここで特に好ましいのは、副次式Ｉ^＊ａ〜Ｉ^＊ｄで表される化合物であって、式中Ｘ^１１＊がＦ、ＣＦ_３またはＯＣＦ_３に等しい該化合物である。

さらなる態様において、本発明による媒体は式ＩＶ
式中、
Ｒ^４１は、１〜１５個のＣ原子を有する非置換のアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基はそれぞれ、互いに独立して、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＣＦ＝ＣＦ−、−ＣＦ＝ＣＨ−、−ＣＨ＝ＣＦ−、−（ＣＯ）Ｏ−、−Ｏ（ＣＯ）−、−（ＣＯ）−または−Ｏ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を、好ましくは２〜７個のＣ原子を有する直鎖のアルキルラジカルを示し、
Ａ^４１、Ａ^４２はそれぞれ、互いに独立して、
を示し、および
Ｌ^４１およびＬ^４２はそれぞれ、互いに独立してＨまたはＦを、好ましくは両方ともにＦを示し、および
Ｘ^４１は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮまたは１〜３個のＣ原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシ、これはＦにより単置換または多置換されている、を示し、好ましくはＦ、ＣＦ_３またはＯＣＦ_３を示す、
で表される少なくとも１種の化合物を含む。

式ＩＶで表される化合物は特に好ましくは、副次式ＩＶａ〜ＩＶｊ

式中、Ｒ^４１およびＸ^４１はそれぞれ、式ＩＶのものに示された意味の１つを有する、
から選択される。

特に好ましいのは、副次式ＩＶａ〜ＩＶｊで表される化合物であって、式中Ｘ^４１がＦに等しい該化合物である。

さらに好ましい態様において、本発明による媒体は、式Ｖ
式中、
Ｒ^５１およびＲ^５２はそれぞれ、互いに独立して、１５個までのＣ原子を有する非置換の、アルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は、
−Ｃ≡Ｃ−、−ＯＣ−Ｏ−、または−Ｏ−ＣＯ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示す、
で表される少なくとも１種の化合物を含む。

式Ｖで表される化合物は、特に好ましくは、式ＶａおよびＶｂ
式中、Ｒ^５１およびＲ^５２はそれぞれ、互いに独立して、式Ｖのもとで示された意味の１つを有し、ならびにｋおよびｌはそれぞれ、互いに独立して、０〜５を示す、
で表される化合物から選択される。

さらに、好ましい態様において、本発明による媒体は、式ＶＩ
式中、
Ｒ^６１は、１〜１０個のＣ原子を有するアルキルもしくはアルコキシ、または２〜１０個のＣ原子を有するアルケニルを示し、
Ｒ^６２は、Ｒ^６１の意味の１つを有するか、またはＸ^６１を示し、
Ａ^６１およびＡ^６２は、
を示し、
Ｘ^６１は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮ、１〜６個のＣ原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカルまたは２〜６個のＣ原子を有するアルケニルラジカルを、好ましくはＦ、Ｃｌ、ＣＮ、ＣＦ_３、ＣＨＦ_２、ＯＣＦ_３、、ＯＣＦＨＣＦ_３、ＯＣＦＨＣＨＦ_２、ＯＣＦ_２ＣＨ_３、ＯＣＦ_２ＣＨＦ_２、ＯＣＦ_２ＣＦ_２ＣＨＦ_２、ＯＣＦＨＣＦ_２ＣＦ_３、ＯＣＦＨＣＦ_２ＣＨＦ_２、ＯＣＦ_２ＣＦ_２ＣＦ_３、ＯＣＦ_２ＣＦ_２ＣＣｌＦ_２、ＯＣＣｌＦＣＦ_２ＣＦ_３またはＣＨ＝ＣＦ_２を、極めて特に好ましくはＨ、ＣＮ、ＯＣＨＦ_２またはＯＣＦ_３を、特に好ましくはＦを示す、
で表される少なくとも１種の化合物を含む。

さらに好ましい態様において、式ＶＩで表される化合物は、式ＩＶａ〜Ｖｉｃ
式中、Ｒ^６１およびＲ^６２はそれぞれ、互いに独立して、式ＶＩのもとで示される意味の１つを有する、
で表される化合物から選択される。

ここで特に好ましいのは、式ＶＩａで表される化合物であって、式中、Ｒ^６１がアルキルに等しく、およびＲ^６２がアルケニルに等しい、該化合物である。

さらに好ましい態様において、本発明による媒体は、式ＶＩＩ
式中、
Ｒ^７１およびＲ^７２はそれぞれ、互いに独立して、１５個までのＣ原子を有する非置換の、アルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は
−Ｃ≡Ｃ−、−ＯＣ−Ｏ−、または−Ｏ−ＣＯ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、
を示す、
で表される少なくとも１種の化合物を含む。

さらなる態様において、本発明による媒体は、式ＶＩＩＩ
式中、
Ｒ^８１およびＲ^８２はそれぞれ、互いに独立して、１５個までのＣ原子を有する非置換のアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は
−Ｃ≡Ｃ−、−ＯＣ−Ｏ−、または−Ｏ−ＣＯ−により、Ｏ原子が直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
Ｌ^８１は、ＨまたはＦを示す、
で表される少なくとも１種の化合物を含む。

式ＶＩＩＩで表される特に好ましい化合物は、以下の副次式ＶＩＩＩ−１およびＶＩＩＩ−２
式中、ｎおよびｍは、互いに独立して、１〜７を示す、
で表される化合物である。

上の式においてＲ^{１１〜８２}がアルキルラジカルおよび／またはアルコキシラジカルを示す場合、これは直鎖であっても、または分枝であってもよい。好ましくは直鎖であり、１、２、３、４、５、６または７個のＣ原子を有し、および従って好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシまたはヘプトキシを、さらにはメチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクトキシ、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデドキシを示す。

Ｒ^{１１〜８２}がアルケニルラジカルを示す場合、表現「アルケニル」は、２〜７個の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝のアルケニル基を、特に直鎖の基を包含する。好ましいアルケニル基は、Ｃ_２〜Ｃ_７−１Ｅ−アルケニル、Ｃ_４〜Ｃ_７−３Ｅ−アルケニル、Ｃ_５〜Ｃ_７−４−アルケニル、Ｃ_６〜Ｃ_７−５−アルケニルおよびＣ_７−６−アルケニル、特にはＣ_２〜Ｃ_７−１Ｅ−アルケニル、Ｃ_４〜Ｃ_７−３Ｅ−アルケニルおよびＣ_５〜Ｃ_７−４−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、１Ｅ−プロペニル、１Ｅ−ブテニル、１Ｅ−ペンテニル、１Ｅ−ヘキセニル、１Ｅ−ヘプテニル、３−ブテニル、３Ｅ−ペンテニル、３Ｅ−ヘキセニル、３Ｅ−ヘプテニル、４−ペンテニル、４Ｚ−ヘキセニル、４Ｅ−ヘキセニル、４Ｚ−ヘプテニル、５−ヘキセニル、６−ヘプテニルなどである。５個までの炭素原子を有する基が、一般的には好ましい。

Ｒ^{１１〜８２}がハロゲンで少なくとも単置換されているアルキルまたはアルケニルラジカルを示す場合、このラジカルは好ましくは直鎖であり、およびハロゲンは好ましくはＦまたはＣｌである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはＦである。得られるラジカルはまた、パーフッ素化ラジカルを含む。単置換の場合において、フッ素または塩素置換基は任意の所望の位置であることができるが、好ましくはω位にある。

純粋な状態において、式Ｉ〜ＶＩＩＩで表される化合物は無色であり、および電気光学使用のために好ましく配置される温度範囲において液晶性メソ相を形成する。これらは化学的に、熱的におよび光に対して安定である。

本発明による媒体において用いることができる、上述の式およびそれらの副次式で表される個々の化合物は、公知であるか、または文献において（例えば標準的な著作物、例えばHouben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie［有機化学の方法］, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartにおいて）記載される、自体公知の方法により、正確にはかかる反応に関して公知かつ好適な反応条件下で、製造することができるかの、いずれかである。ここでは詳細には述べない、自体公知の変形の使用もまた可能である。

上述の式で表される化合物の最適な混合比は、実質的には、所望の特性に、上述の化学式で表される化合物の選択に、および任意に存在する他の構成成分の選択に、依存する。

上に示される範囲内の好適な混合比は、場合に応じて容易に決定することができる。

本発明による混合物における上述の化学式で表される化合物の総量は、重大ではない。それゆえ混合物は、さまざまな特性を最適化するために、１種または２種以上のさらなる成分を含んでもよい。しかし、混合物の特性の所望の改善に対する観察される効果は、上述の式で表される化合物の総濃度が高いほど、一般的にはより大きい。

さらに好ましい態様は、以下に示すとおりである：
・媒体が、式Ｉで表される１種または２種以上の化合物を、混合物全体において、１〜４０重量％の、好ましくは２〜３５重量％の、特に好ましくは３〜３０重量％の、式Ｉで表される、好ましくは式Ｉｂで表される化合物の割合で、および
・式ＩＩで表される、好ましくは式ＩＩｄで表される少なくとも１種の化合物を、混合物全体において、１〜８０重量％の、好ましくは２〜７０重量％の、特に好ましくは３〜６０重量％の割合で、および
・式ＩＩＩで表される少なくとも１種の化合物を、混合物全体において、１〜４０重量％の、好ましくは２〜３０重量％の、特に好ましくは３〜２０重量％の割合で含み、ならびに上述の混合物概念は好ましくは以下

− 任意に、好ましくは式Ｉ^＊ａ、Ｉ^＊ｂおよびＩ^＊ｄで表される化合物から選択される、式Ｉ^＊で表される１種、２種、３種または４種以上の化合物、ここで混合物全体における割合は７５重量％まで、好ましくは７０重量％まで、特に好ましくは６０重量％までである、および／または
− 任意に、好ましくは式ＩＶで表される化合物であって、特に好ましくは式中Ｘ^４１がフッ素を示す該化合物から選択される、式ＩＶで表される１種、２種、３種または４種以上の化合物、ここで混合物全体における式ＩＶで表される化合物の割合は５０重量％まで、好ましくは４０重量％までである、および／または
− 任意に、式Ｖで表される１種、２種、３種または４種以上の化合物、ここで混合物全体における式Ｖで表される化合物の割合は、４０重量％まで、好ましくは３５重量％まで、特に好ましくは３０重量％までである、および／または

− 任意に、混合物全体における式ＶＩで表される化合物の割合で８０重量％まで、７５重量％まで、特に好ましくは７０重量％までの式ＶＩで表される１種、２種、３種または４種以上の化合物、および／または
− 任意に、混合物全体における式ＶＩＩで表される化合物の割合で５０重量％までの、好ましくは４０重量％までの、特に好ましくは３０重量％までの式ＶＩＩで表される１種、２種、３種または４種以上の化合物、および／または
− 任意に、混合物全体における式ＶＩＩＩで表される化合物の割合で４０重量％までの、好ましくは３０重量％までの、特に好ましくは２０重量％までの式ＶＩＩＩで表される１種、２種、３種または４種以上の化合物、
を含む。

さらに好ましい態様において、媒体は、式Ｉで表される少なくとも１種の化合物、式ＩＩで表される少なくとも１種の化合物および式ＩＩＩで表される少なくとも１種の化合物に加えて、式ＶＩａで表される少なくとも１種の、好ましくは２種の化合物をさらに含む。

さらに好ましい態様において、媒体は、式Ｉで表される少なくとも１種の化合物、式ＩＩで表される少なくとも１種の化合物および式ＩＩＩで表される少なくとも１種の化合物に加えて、式Ｉ^＊で表される少なくとも１種の、好ましくは２種の化合物および式ＶＩａで表される少なくとも１種の、好ましくは２種の化合物を、さらに含む。

慣用の液晶材料との混合物における相対的に低い割合の式ＩおよびＩＩＩで表される化合物でさえ、弾性定数の顕著な増加、ここで同時に、迅速な応答時間を達成する観点での回転粘度に関する低い値、をもたらし、および誘電異方性に関する相対的に高い値が観察されることが見出された。同時に混合物は、非常に良好な低温安定性を呈する。

本発明はまた、２つの平行平面外板、これはフレームとともにセルを形成する、該外板上の個々のピクセルを切り替えるための集積非線形素子、およびセルに配置されてなる正の誘電異方性および高い比抵抗を有するネマチック液晶混合物、これはこのタイプの媒体を含む、を有する、電気光学ディスプレイ、例えばＳＴＮまたはＭＬＣディスプレイなどに、およびこれらの媒体の電気光学目的のための使用に関する。

本発明による液晶混合物は、利用可能なパラメーターの許容範囲の重要な拡大を促す。高い弾性定数、低い回転粘度および相対的に高い誘電異方性の達成可能な組み合わせは、従来技術からの先の材料をはるかに凌ぐ。

本発明による混合物は、モバイル用途および低ΔｎＴＦＴ用途、例えば携帯電話およびＰＤＡなどに、特に好適である。

本発明による液晶媒体は同時に、誘電異方性値Δε≧＋３、好ましくは≧＋７、特に好ましくは≧＋１０、および−２０℃までに低く、および好ましくは−３０℃までに低く、特に好ましくは−４０℃までに低くネマチック相を保持しながら達成されるべき比抵抗に関する高い値、および透明点≧８０℃、好ましくは≧９０℃、特に好ましくは≧１００℃を実現し、優れたＭＬＣディスプレイを達成させることができる。特に、混合物は、低い作動電圧を特徴とする。

本発明による液晶混合物の閾値電圧は、好ましくは≦２．０Ｖ、特に好ましくは≦１．５Ｖである。
本発明による液晶混合物の複屈折Δｎは、好ましくは≦０．１４、特に好ましくは≦０．１３、殊に好ましくは≦０．１２である。
本発明による液晶混合物の２０℃における回転粘度γ_１は好ましくは、≦１８０ｍＰａ・ｓ、好ましくは≦１５０ｍＰａ・ｓ、特に好ましくは≦１２５ｍＰａ・ｓである。

本発明による液晶混合物のネマチック相範囲は好ましくは、少なくとも９０°、特には少なくとも１００°の幅を有する。この範囲は好ましくは、少なくとも、−４０°〜＋１１０℃に及ぶ。
本発明による媒体の有利に高い弾性定数の観点において、対応する固有値がＫ_ａｖｅの値により決定される。

Ｋ_ａｖｅは、
Ｋ_ａｖｅ＝（Ｋ_１１＋Ｋ_２２＋Ｋ_３３）／３
式中、Ｋ_２２は、
Ｋ_２２≒Ｋ_１１／２
により近似することができる、
により計算される。

本発明による液晶媒体のＫ_ａｖｅの値は、好ましくは≧１０ｐＮ、特に好ましくは≧１２ｐＮ、特には≧１３ｐＮである。

言うまでもなく、本発明による混合物の成分の好適な選択により、より高い閾値電圧において達成されるべきより高い透明点（例えば１００℃より上）、またはより低い閾値電圧において達成されるべきより低い透明点もまた、他の有利な特性を保ちながら達成することができる。同様に、より大きいΔεおよびひいては低い閾値を有する混合物が、相応してより低度に増加した粘度において得ることができる。本発明によるＭＬＣディスプレイは好ましくは、グーチ・タリー第１透過極小において作動し［C.H. Gooch and H.A. Tarry, Electron. Lett. 10, 2-4, 1974; C.H. Gooch and H.A. Tarry, Appl. Phys., Vol. 8, 1575-1584, 1975］、ここで、第２極小における類似のディスプレイにおけるのと同じ閾値電圧を有しての、特に好ましい電気光学特性、例えば特性線の高い傾きおよびコントラストの低い角度依存性（ドイツ国特許30 22 818）に加えての、より低い誘電異方性が、ここで適切である。これにより、シアノ化合物を含む混合物の場合におけるよりも、第１極小における本発明による混合物を用いて達成される、顕著により高い比抵抗が実現される。当業者は、個々の成分およびそれらの重量割合の好適な選択により、単純な常法を用いて、ＭＬＣディスプレイの既定の層厚さに必要な複屈折を設定することができるであろう。

液晶の再配向のための再配向層を有し、その領域が、再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する、電気光学ディスプレイであって、誘電体として本発明による液晶媒体を含有する、前記ディスプレイもまた、本発明による。

偏光板、電極基板および表面処理を有する電極からの本発明によるＭＬＣディスプレイの構築は、このタイプのディスプレイに関する慣用の設計に対応する。用語、慣用の設計は、本明細書においては広範に描写され、ＭＬＣディスプレイ、特にまたポリＳｉＴＦＴまたはＭＩＭに基づくマトリクスディスプレイ素子の全ての派生物および改変もまた包含する。

しかし、本発明によるディスプレイの、ねじれネマチックセルに基づく現在までの慣用のものとの本質的な差異は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。

本発明により用いることのできる液晶混合物は、自体慣用の方法により、例えばそれぞれの場合において、式Ｉ〜ＩＩＩで表される１種または２種以上の化合物を、式ＩＶ〜ＶＩＩＩで表される１種または２種以上の化合物と、またはさらなる液晶化合物および／または添加剤と混合することにより、調製される。一般的に、少量で用いる所望量の成分を、主要な構成成分を構成する成分中に、有利には昇温で溶解させる。有機溶媒中、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール中の成分の溶液を混合すること、および完全に混合した後に、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することもまた、可能である。

本願において、および以下の実施例において、液晶化合物の構造は略号により示され、ここで化学式への変換は表Ａに従って行われる。全てのラジカルＣ_ｎＨ_２ｎ＋１およびＣ_ｍＨ_２ｍ＋１は、それぞれｎおよびｍ個のＣ原子を有する直鎖のアルキルラジカルであり；ｎ、ｍおよびｋは好ましくは整数であり、０、１、２、３、４、５、６、７、８、９、１０、１１または１２を示す。表Ｂにおけるコード化は、自体自明である。表Ａにおいて、基本構造に関する略号のみを示す。個々の場合において、基本構造に関する略号は、ダッシュにより分離されて、置換基Ｒ^１＊、Ｒ^２＊、Ｌ^１＊およびＬ^２＊に関するコードが後続する。

追加のおよび好ましい混合物成分を、表ＡおよびＢにおいて見出すことができる。
表Ａ

表Ｂ
特に好ましいのは、式Ｉ〜ＩＩＩで表される化合物に加えて、表Ｂからの少なくとも１種、２種、３種、４種または５種以上の化合物を含む、液晶混合物である。
（ｎ＝１〜１５；（Ｏ）Ｃ_ｎＨ_２ｎ＋１は、Ｃ_ｎＨ_２ｎ＋１またはＯＣ_ｎＨ_２ｎ＋１を示す。）

誘電体はまたさらに、当業者に公知である、および文献に記載される添加剤、例えば、ＵＶ安定剤、例えばＣｉｂａからのＴｉｎｕｖｉｎ（登録商標）など、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、ナノ粒子などを含んでもよい。例えば、０〜１５％の多色性色素、キラルドーパントおよび重合性ドーパントなどを添加してもよい。好適な安定化剤およびドーパントを、以下の表Ｃ、ＤおよびＥに示す。

表Ｃ
表Ｃ、ＤおよびＥは、本発明による混合物に一般的に添加される可能なドーパントを示す。混合物は好ましくは、０〜１０重量％、特には０．０１〜５重量％および特に好ましくは０．０１〜３重量％の表Ｃからのドーパントを含む。

表Ｄ
例えば本発明による混合物に１〜１０重量％の量で、添加することができる安定化剤を、以下に示す。

表Ｅ
例えば本発明による混合物に０〜１０重量％の量で、添加することができる重合性化合物を、以下に示す。

以下の実施例は、本発明を、それに限定することなく、説明することを意図する。

本明細書において、パーセンテージは重量％を示す。全ての温度は摂氏度で示す。ｍ．ｐ．は融点を示し、ｃｌ．ｐ．＝透明点である。さらには、Ｃ＝結晶相、Ｎ＝ネマチック相、Ｓ＝スメクチック相およびＩ＝等方相。これらの符号の間の数字は転移温度を示す。さらには、
− Δｎは、５８９ｎｍおよび２０℃における光学異方性を示し）、
− γ_１は、２０℃における回転粘度（ｍＰａ・ｓ）を示し、
− Ｖ_１０は、１０％透過（平板表面に垂直な視野角）に対する電圧（Ｖ）（閾値電圧）を示し、
− Ｖ_９０は、９０％透過（平板表面に垂直な視野角）に対する電圧（Ｖ）を示し、
− Δεは、２０℃および１ｋＨｚにおける誘電異方性（Δε＝ε_││−ε_⊥、ここでε_││は分子の長軸に平行な誘電定数を示し、およびε_⊥はそれに垂直な誘電定数を示す）。

電気光学データは、ＴＮセルにおいて、他に明示的に示されなければ、２０℃における第１極小において（つまり０．５μｍのｄ・Δｎ値において）測定される。光学データは、他に明示的に示されなければ、２０℃で測定される。全ての物性は"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals" Status Nov. 1997, Merck KGaA, Germanyにより決定され、他に明示的に示されなければ、２０℃の温度に対して適用する。

例１
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物Ｍ１を調製する。
混合物Ｍ１を含有するＩＰＳディスプレイは、適切なコントラストを有する。

例２
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物Ｍ２を調製する。
混合物Ｍ２を含有するＩＰＳディスプレイは、適切なコントラストを有する。

例３
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物Ｍ３を調製する。
混合物Ｍ３を含有するＩＰＳディスプレイは、適切なコントラストを有する。

例４
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物Ｍ４を調製する。
混合物Ｍ４を含有するＩＰＳディスプレイは、適切なコントラストを有する。

Claims

式Ｉ
式中、
Ｒ^１１は、１〜１５個のＣ原子を有する非置換のアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は、互いに独立して、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＣＦ＝ＣＦ−、−ＣＦ＝ＣＨ−、−ＣＨ＝ＣＦ−、−（ＣＯ）Ｏ−、−Ｏ（ＣＯ）−、−（ＣＯ）−または−Ｏ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように、置き換えられていてもよい、を示し、
Ｘ^１１は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮまたは１〜１５個のＣ原子を有し、Ｆにより単置換または多置換されているアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は、互いに独立して、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＣＦ＝ＣＦ−、−ＣＦ＝ＣＨ−、−ＣＨ＝ＣＦ−、−（ＣＯ）Ｏ−、−Ｏ（ＣＯ）−、−（ＣＯ）−または−Ｏ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように、置き換えられていてもよい、を示す、
で表される少なくとも１種の化合物、式ＩＩ
式中、
Ｒ^２１は、非置換であるか、ＣＮもしくはＣＦ_３により単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されている、１５個までのＣ原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は
または−Ｏ−ＣＯ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
Ｘ^２１は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮ、１〜６個のＣ原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または２〜６個のＣ原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示す、
で表される少なくとも１種の化合物、および式ＩＩＩ
式中、
Ｒ^３１は、非置換であるか、ＣＮもしくはＣＦ_３により単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されている１５個までのＣ原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ２基は−Ｏ−、−Ｓ−、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＯＣ−Ｏ−または−Ｏ−ＣＯ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示す、
で表される少なくとも１種の化合物を含む液晶媒体。
式ＩＩで表される化合物が式ＩＩａ〜ＩＩｅ
式中、Ｒ^２１は請求項１のもとで示される意味の１つを有する、
で表される化合物から選択されることを特徴とする、請求項１に記載の媒体。
式Ｉ^＊
式中、Ｒ^１１＊１〜１５個のＣ原子を有する非置換のアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基はそれぞれ、互いに独立して、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＣＦ＝ＣＦ−、−ＣＦ＝ＣＨ−、−ＣＨ＝ＣＦ−、−（ＣＯ）Ｏ−、−Ｏ（ＣＯ）−、−（ＣＯ）−または−Ｏ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、好ましくは２〜７個のＣ原子を有する直鎖のアルキルラジカル、
Ａ^１１＊、Ａ^１２＊それぞれ、互いに独立して、
Ｘ^１１＊Ｆ、Ｃｌ、ＣＮまたは１〜３個のＣ原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシ、これはＦにより単置換または多置換されている、
で表される１種または２種以上の化合物を含む、請求項１または２に記載の媒体。
式ＩＶ
式中、
Ｒ^４１は、１〜１５個のＣ原子を有する非置換のアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は、互いに独立して、−Ｃ≡Ｃ−、−ＣＨ＝ＣＨ−、−ＣＦ＝ＣＦ−、−ＣＦ＝ＣＨ−、−ＣＨ＝ＣＦ−、−（ＣＯ）Ｏ−、−Ｏ（ＣＯ）−、−（ＣＯ）−または−Ｏ−により、Ｏ原子が互いに直接結合しないように、置き換えられていてもよい、を、好ましくは２〜７個のＣ原子を有する直鎖のアルキルラジカルを示し、
Ａ^４１、Ａ^４２はそれぞれ、互いに独立して
Ｌ^４１およびＬ^４２はそれぞれ、互いに独立してＨまたはＦを示し、および
Ｘ^４１は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮ、または１〜３個のＣ原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシ、これはＦにより単置換または多置換されている、を示す、
で表される少なくとも１種または２種以上の化合物を含む、請求項１〜３のいずれか一項に記載の媒体。
式Ｖ
式中、
Ｒ^５１およびＲ^５２はそれぞれ、互いに独立して、１５個までのＣ原子を有する非置換のアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける１つまたは２つ以上のＣＨ_２基は、
−Ｃ≡Ｃ−、−ＯＣ−Ｏ−、または−Ｏ−ＣＯ−により、Ｏ原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示す、
で表される少なくとも１種または２種以上の化合物を含む、請求項１〜４のいずれか一項に記載の媒体。
式ＶＩ
式中、
Ｒ^６１は、１〜１０個のＣ原子を有するアルキルもしくはアルコキシラジカルまたは２〜１０個のＣ原子を有するアルケニルラジカルを示し、
Ｒ^６２は、Ｒ^６１の意味の１つを有するか、またはＸ^６１を示し、
Ａ^６１およびＡ^６２は、
を示し、
Ｘ^６１は、Ｆ、Ｃｌ、ＣＮ、１〜６個のＣ原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または２〜６個のＣ原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示す、
で表される少なくとも１種または２種以上の化合物を含む、請求項１〜５のいずれか一項に記載の媒体。
請求項１〜６のいずれか一項に記載の媒体の調製方法であって、請求項１において示される、式Ｉ、ＩＩおよびＩＩＩで表される１種または２種以上の化合物を、請求項３〜６のいずれか一項において述べられた１種または２種以上の化合物および／または１種または２種以上のさらなるメソゲン化合物および／または１種または２種以上の添加剤と混合することを特徴とする、前記方法。
電気光学ディスプレイにおける、請求項１〜６のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。
液晶の再配向のための再配向層を有し、その領域が、再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する、電気光学ディスプレイであって、誘電体として、本発明による液晶媒体を含有する、前記電気光学ディスプレイ。