JP2016224260A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】凸形状部の維持性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】支持体及び該支持体上に形成された感光層を有する円筒状の電子写真感光体であって、
該電子写真感光体の表面が、各々独立した凸形状部を有し、
該凸形状部の該電子写真感光体の軸方向の幅が、10μm以上100μm以下であり、
該凸形状部は、電子写真感光体の回転方向の先端側から最も高い点に向かって高さが徐々に高くなる形状であり、かつ、該徐々に高くなる形状部の最大勾配が70‰以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真感光体の表面には、帯電やクリーニングなどの電気的外力や機械的外力が加えられるため、これらの外力に対する耐久性(耐摩耗性など)が要求される。
この要求に対して、従来から、電子写真感光体の表面層に耐摩耗性の高い樹脂(硬化性樹脂など)を用いるなどの改良技術が用いられている。
一方で、電子写真感光体の表面の耐摩耗性を高めることによって生じる課題として、動摩擦係数および回転トルクが高いことによるクリーニング性能の低下が挙げられる。
このような課題に対する技術として、特許文献1には電子写真感光体の表面に表面粗さをRzJISで表したとき、1/2×RzJIS以上の高さを有する凸部の個数が測定長さ12mm当たり30個以上300個以下であるような電子写真感光体が開示されている。
特開2010−160184号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術ではトルクの低減効果は比較的大きく、クリーニング不良等を生じにくいが、繰り返し使用した時の凸部(凸形状部)の維持性という点で改善の余地が残っている。
本発明の目的は、凸形状部の維持性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明は、支持体及び該支持体上に形成された感光層を有する円筒状の電子写真感光体であって、
該電子写真感光体の表面が、各々独立した複数の凸形状部を有し、
該凸形状部の該電子写真感光体の軸方向の幅が、10μm以上100μm以下であり、
該凸形状部は、電子写真感光体の回転方向の先端側から最も高い点に向かって高さが徐々に高くなる形状であり、かつ、該徐々に高くなる形状部の最大勾配が70‰以下であることを特徴とする電子写真感光体である。
また、本発明は、上記電子写真感光体と該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
また、本発明は、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、および該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置である。
本発明によれば、凸形状部の維持性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
電子写真感光体の表面の凸形状部を上から見たときの形状及び凸形状部の周方向の断面の形状を模式的に示す図である。 フィッティングの例を示す図、及び、基準面及び凸形状部等の関係を模式的に示す図である。 電子写真感光体の表面の凸形状部を上方向からみたときの形状の例を示す図である。 電子写真感光体の表面の凸形状部の周方向の断面の形状の例を示す図である。 電子写真感光体の表面に凸形状部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の例を示す図である。 電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す図である。 電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す図である。 電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す図である。 電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す図である。 電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す図である。
本発明の電子写真感光体は、支持体と該支持体上に形成された感光層を有する円筒状の電子写真感光体であり、表面には、各々独立した複数の凸形状部を有している。そして、該凸形状部の該電子写真感光体の軸方向(以下単に「軸方向」ともいう)の幅が10μm以上100μm以下である。また、該凸形状部は、電子写真感光体の回転方向(以下単に「回転方向」ともいう)の先端側から最も高い点に向かって高さが徐々に高くなる形状であり、かつ、該徐々に高くなる形状部の最大勾配が70‰以下である。
本発明者らの検討の結果、電子写真感光体の表面に、上記特定の凸形状部を配置することにより、繰り返し使用したときの凸形状部の維持性が飛躍的に向上することが分かった。
軸方向の幅が10μm以上100μm以下の凸形状部を電子写真感光体の表面に設けることにより、クリーニングブレード等のクリーニング手段が凸形状部を通過する際の負荷に対する凸形状部の耐久性が高まる。これにより繰り返し使用した時にも凸形状部が摩耗により変化し難くなる。また、摩擦係数を低減することもできる。凸形状部の軸方向の幅は、30μm以上100μm以下であることがより好ましい。
さらに、電子写真感光体の回転方向の先端側から最も高い点に向かって高さが徐々に高くなる形状部の最大勾配を70‰以下にすると、クリーニングブレード等が凸形状部を通過する際に、クリーニングブレード等から凸形状部が受ける負荷が抑制される。そのため、繰り返し使用した時の凸形状部の維持効果が発現しているものと本発明者らは考えている。
具体的には、本発明の電子写真感光体の表面には、例えば図1に示すような凸形状部であって、該電子写真感光体の軸方向の幅が10μm以上100μm以下であり、該凸形状部は、電子写真感光体の回転方向の先端側から最も高い点に向かって高さが徐々に高くなる形状であり、かつ、徐々に高くなる形状部の最大勾配が70‰以下である独立した凸形状部(以下「特定凸形状部」ともいう)が複数設けられている。なお、図1(a)は、電子写真感光体の表面の凸形状部を上から見たときの形状を模式的に示す図(上面図)である。すなわち、図1(a)は凸形状部の底部の形状を示している。また、図1(b)は、電子写真感光体の表面の凸形状部の周方向の断面(軸方向に垂直な断面)の形状を模式的に示す図(軸方向に垂直な断面図)である。また、図1(a)及び図1(b)は、後述する補正後の断面プロファイルである。
電子写真感光体の表面の凸形状部は、例えば、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。
レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000、超深度形状測定顕微鏡VK−9500、VK−X200、(株)菱化システム製の表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機、オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000、レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130。
光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−500、デジタルマイクロスコープVHX−200、オムロン(株)製の3DデジタルマイクロスコープVC−7700。
電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製の3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM、(株)島津製作所製の走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550。
原子間力顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製のナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション、(株)島津製作所製の走査型プローブ顕微鏡SPM−9600。
以下に本発明の電子写真感光体が表面に有する独立した凸形状部について詳細に説明する。なお、独立した凸形状部とは、個々の凸形状部が他の凸形状部と明確に区別されている状態を示す。
具体的には、まず、電子写真感光体の表面を顕微鏡で拡大観察する。本発明の電子写真感光体の表面(周面)は周方向に曲がった曲面となっているので、その曲面の断面プロファイルを抽出し、得られた円弧を校正(フィッティング)する。図2(a)に、フィッティングの例を示す。図2(a)中、実線の21は電子写真感光体の表面(曲面)の断面プロファイルの例であり、破線の22は断面プロファイル21にフィッティングした曲線である。その曲線22が直線になるように断面プロファイル21の補正を行い、得られた直線を電子写真感光体の長手方向(周方向に直交する方向)に拡張した面を基準面とする。
得られた基準面の0.1μm上方に位置し、基準面に平行な面を第二基準面とし、第二基準面よりも上に位置する部分を独立した凸形状部とする。図2(b)に、基準面23、第二基準面24、凸形状部25の関係を模式的に示す。なお、図2(b)は、上記補正後の断面プロファイルである。
そして、上記した方法により独立した凸形状部であると判定した凸形状部に対して、凸形状部が形成された表面の断面プロファイルから、凸形状部の軸方向(電子写真感光体の母線方向)の幅、凸形状部の周方向の長さ、凸形状部の高さを算出する。図2(c)に、基準面23、第二基準面24、凸形状部の幅L1、凸形状部の高さH1の関係を模式的に示す。凸形状部の幅L1は、図2(c)に示すように断面プロファイル上の凸形状部と第二基準面との交点の距離である。そして、断面プロファイルとして、周方向の上記補正後の断面プロファイルであって上記交点の距離が最も長くなる場合の断面プロファイルを用いた時の凸形状部の幅L1が、凸形状部の周方向の長さである。また、断面プロファイルとして、軸方向の断面プロファイルであって上記交点の距離が最も長くなる場合の断面プロファイルを用いた時の凸形状部の幅L1が、凸形状部の軸方向の幅である。なお、電子写真感光体の表面は軸方向に曲がった曲面ではないため、軸方向に関しては、上記補正無しで、図2(c)に記載するような断面プロファイルが得られる。また、凸形状部の最も高い点(頂点)を通る周方向断面プロファイル上において、凸形状部の最も高い点と第二基準面との最短距離が、凸形状部の高さである。また、第二基準面による凸形状部の断面が凸形状部の底部であり、該凸形状部の底部の面積が凸形状部の面積である。
図1に示す特定凸形状部の例について説明する。図1(a)に示すように、特定凸形状部を上から見たときの形状は、電子写真感光体の回転方向の先端側に2つの直線11、12で形成される交点(先端)1を有し、後端側は半円形状を有している。また、特定凸形状部は、周方向で交点1を通る直線Aまでの距離が最も離れた2つの点13、14から交点1に向かって、直線Aまでの距離が徐々に小さくなっている。
図1(a)に示すように交点1を有する凸形状部の場合は、軸方向の幅は、交点を通る直線Aから最も離れた2つの点13、14から求めることができる。なお、図1(a)に示す交点1を通る直線Aから最も離れた2つの点13、14が、上述した凸形状部の軸方向の幅を求める時に使用する図2(c)に示す断面プロファイル上の凸形状部と第二基準面との交点である。
特定凸形状部の先端側の形状は、図1に示す交点1を有していなくてもよいが、図1に示すような2つの直線で形成される交点、2つの曲線で形成される交点、もしくは1つの直線と1つの曲線とから形成される交点を有し、該交点を形成する該直線または該曲線が、該電子写真感光体の周方向で該交点を通る直線Aまでの距離が最も離れた該直線または該曲線上の2つの点から該交点に向かって、該直線Aまでの該距離が徐々に小さくなっているほうが凸形状の維持性の点から好ましい。なお、2つの直線、2つの曲線、もしくは1つの直線と1つの曲線とから形成される交点が第二基準面に無い場合であって基準面にある場合は、基準面のこれら2つの直線、2つの曲線、1つの直線と1つの曲線、形成される交点を、上記2つの直線、2つの曲線、1つの直線と1つの曲線、形成される交点とみなす。
また、特定凸形状部を上方向から投影したとき、直線Aまでの距離が最も離れた直線または曲線上の2つの点13、14から交点1までの間における、2つの直線でなす角度θ、2つの曲線の接線でなす角度、または1つの直線と1つの曲線の接線とでなす角度が58°以下であることが凸形状部の維持性の点から好ましい。さらに、56°以下であることがより好ましい。なお、曲線の接線は、曲線上の上記交点における接線である。
特定凸形状部を上からみたときの形状としては、例えば、図3(A)〜(J)に示す形状が挙げられる。図3において、下側に向かう方向が電子写真感光体の回転方向である。図3(A)〜図3(D)が、回転方向先端に2つの直線で形成される交点を有し、該交点を形成する直線が、直線Aまでの距離が最も離れた直線上の2つの点から交点に向かって、直線Aまでの該距離が徐々に小さくなっている形状である。また、図3(E)〜図3(H)が、回転方向先端に2つの曲線で形成される交点を有し、該交点を形成する曲線が、直線Aまでの距離が最も離れた曲線上の2つの点から交点に向かって、直線Aまでの距離が徐々に小さくなっている形状である。図3(I)及び図3(H)は、交点を有さない形状である。
次に、特定凸形状部の周方向の断面(軸方向に垂直な断面)の形状例について説明する。図1(b)に示すように、特定凸形状部の周方向の断面は、凸形状部の回転方向の先端(交点1)から最も高い点(頂点)15に向かって一定の勾配を有しており、回転方向の後端側はドーム状の形状を有している。図1(b)において、徐々高くなる形状部16が一定の勾配を有するため、徐々に高くなる形状部16の最大勾配は、特定凸形状部の最も高い点15の高さと、特定凸形状部の先端(交点1)から最も高い点15までの電子写真感光体の移動距離Bから求めることができる。具体的には、一定の勾配を有する図1(b)においては、「特定形状部の最も高い点15の高さ/移動距離B」が最大勾配である。なお、特定凸形状部の最も高い点15の高さは、特定凸形状部の最も高い点15と第二基準面との最短距離である。先端から最も高い点に向かって徐々に高くなる形状が曲線で構成されている場合は、徐々に高くなる形状を軸方向に垂直な方向に5分割し、各区間ごとの勾配を求め、その中の最大値を最大勾配とする。本発明においては、特定凸形状部の最大勾配は70‰以下である必要があり、60‰以下であることが好ましい。また、最大勾配は10‰以上であることが摩擦係数の低減の点から好ましい。
また、周方向の断面において特定凸形状部の回転方向の先端から最も高い点に向かう形状は、徐々に高くなる形状であれば、図1(b)に示すような直線状でも、曲線状でも良いが、直線状であることが凸形状の維持性の点から好ましい。
また、周方向の断面において、凸形状部の最も高い点から後端側の形状は特に制限はないが、回転方向の先端から最も高い点に向かう徐々に高くなる形状の最大勾配より大きい勾配であることが摩擦係数の低減の点から好ましい。
また、特定凸形状部の周方向の断面形状としては、例えば、図4(a)〜(h)に示す形状が挙げられる。図4において、左側に向かう方向が電子写真感光体の回転方向である。図4(a)及び図4(d)が、特定凸形状部の回転方向の先端から最も高い点に向かう形状が直線状である例であり、図4(b)〜図4(c)及び図4(e)〜図4(h)が、特定凸形状部の回転方向の先端から最も高い点に向かう形状が曲線状である例である。
特定凸形状部の軸方向の断面は、直線で形成された形状、曲線で形成された形状、直線および曲線で形成された形状のいずれでもよい。その中でも支持体から離れる方向に膨らんだ曲線で形成されていることが凸形状部の維持性の点から好ましい。
電子写真感光体の表面に設けられる複数の特定凸形状部は、すべてが同一であってもよいし、異なる形状、最大勾配、高さのものが混在していてもよい。また、電子写真感光体の表面に、必要に応じて特定凸形状部以外の凸形状部を有してもよい。特定凸形状部と特定凸形状部以外の凸形状部とを有する場合は、電子写真感光体の表面に設けられた全ての凸形状部の軸方向の幅は、凸形状部の耐久性を高める観点および良好なクリーニング性を発現するために、平均値で10μm以上であることが好ましく、平均値で100μm以下であることが好ましい。さらにはすべての凸形状部の軸方向の幅が10μm以上であることが好ましい。なお、軸方向の幅等の凸形状部の寸法の平均値は、電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺500μmの正方形領域(面積が250000μm)を配置し、その一辺500μmの正方形領域内に完全に含まれる各凸形状部について測定した結果の算術平均値のことを指す。「電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺500μmの正方形領域を配置」するとは、その曲面を平面に補正した場合に、その平面において正方形になるような領域を電子写真感光体の表面の任意の位置に配置するということを意味する。
上記の特定凸形状部は、電子写真感光体の表面の全域に形成されていてもよいし、電子写真感光体の表面の一部分に形成されていてもよい。特定凸形状部が電子写真感光体の表面の一部分に形成されている場合は、少なくともクリーニングブレード等のクリーニング部材との接触領域には複数の特定凸形状部が形成されていることが好ましい。
また、電子写真感光体の表面層の表面における、特定凸形状部の面積率は、表面層の表面の面積に対して、30%〜70%であることが好ましい。
<電子写真感光体の表面に凸形状部を形成する方法>
形成するべき凸形状部に対応した凹形状部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の表面に凸形状部を形成することができる。
図5に、電子写真感光体の表面に凸形状部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す。
図5に示す圧接形状転写加工装置によれば、被加工物である電子写真感光体51を回転させながら、その表面(周面)に連続的にモールド52を接触させ、加圧することにより、電子写真感光体51の表面に凸形状部を形成することができる。
加圧部材53の材質としては、例えば、金属、金属酸化物、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、機械的強度、寸法精度、耐久性の観点から、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。加圧部材53は、その上面にモールド52が設置される。また、下面側に設置される支持部材(不図示)および加圧システム(不図示)により、支持部材54に支持された電子写真感光体51の表面に、モールド52を所定の圧力で接触させることができる。また、支持部材54を加圧部材53に対して所定の圧力で押し付けてもよいし、支持部材54および加圧部材53を互いに押し付けてもよい。
図5に示す例は、加圧部材53を電子写真感光体51の軸方向と垂直な方向に移動させることにより、電子写真感光体51が従動または駆動回転しながら、その表面を連続的に加工する例である。さらに、加圧部材53を固定し、支持部材54を電子写真感光体51の軸方向と垂直な方向に移動させることにより、または、支持部材54および加圧部材53の両者を移動させることにより、電子写真感光体51の表面を連続的に加工することもできる。
なお、形状転写を効率的に行う観点から、モールド52や電子写真感光体51を加熱することが好ましい。
モールド52としては、例えば、微細な表面加工された金属や樹脂フィルムや、シリコンウエハーなどの表面にレジストによりパターニングをしたものや、微粒子が分散された樹脂フィルムや、微細な表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングを施したものなどが挙げられる。
また、電子写真感光体51に押し付けられる圧力を均一にする観点から、モールド52と加圧部材53との間に弾性体を設置することが好ましい。
<電子写真感光体の構成>
本発明の電子写真感光体は、円筒状の支持体および支持体上に形成された感光層を有する円筒状の電子写真感光体である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であってもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であってもよいし、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構成としてもよいし、電荷輸送層を積層構成としてもよい。
支持体としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であることが好ましい。支持体の材質としては、例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属(合金)が挙げられる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを用いて真空蒸着によって形成した被膜を有する金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子をプラスチックや紙に含浸してなる支持体や、導電性結着樹脂製の支持体を用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制を目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
支持体と、後述の下引き層または感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制や、支持体の傷の被覆などを目的として、導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、導電性顔料、抵抗調節顔料などを結着樹脂とともに分散処理することによって得られる導電層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、導電層用塗布液には、加熱、紫外線照射、放射線照射などにより硬化重合する化合物を添加してもよい。導電性顔料や抵抗調節顔料などを分散させてなる導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体や、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
導電性顔料および抵抗調節顔料としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスなどの金属(合金)の粒子や、これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズがドープされている酸化インジウム、アンチモンやタンタルがドープされている酸化スズなどの金属酸化物の粒子を用いることもできる。これらは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。
支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などを目的として、バリア機能や接着機能を有する下引き層(中間層)を設けてもよい。
下引き層は、樹脂(結着樹脂)を溶剤に溶解させることによって得られる下引き層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
下引き層には、金属酸化物粒子を含有させてもよい。下引き層に用いられる金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムが挙げられる。
金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子の表面がシランカップリング剤などの表面処理剤で処理されている粒子であってもよい。
金属酸化物粒子の分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
下引き層には、例えば、下引き層の表面粗さの調整、または下引き層のひび割れ軽減を目的として、有機樹脂粒子や、レベリング剤をさらに含有させてもよい。有機樹脂粒子としては、シリコーン粒子等の疎水性有機樹脂粒子や、架橋型ポリメタクリレート樹脂(PMMA)粒子等の親水性有機樹脂粒子を用いることができる。
下引き層の膜厚は、0.05μm以上40μm以下であることが好ましく、0.2μm以上35μm以下であることがより好ましい。
感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、ピリリウム、チアピリリウム染料や、各種の中心金属および各種の結晶形(α、β、γ、ε、X型など)を有するフタロシアニン顔料や、アントアントロン顔料や、ジベンズピレンキノン顔料や、ピラントロン顔料や、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、インジゴ顔料や、キナクリドン顔料や、非対称キノシアニン顔料や、キノシアニン顔料などが挙げられる。これら電荷発生物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
感光層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物などが挙げられる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散処理することによって得られた電荷発生層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
電荷発生物質と結着樹脂の質量比は、1:0.3〜1:4の範囲であることが好ましい。
分散処理方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いる方法が挙げられる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、単独で成膜性を有する電荷輸送物質を用いる場合は、結着樹脂を用いずに電荷輸送層を形成することもできる。
電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体や、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、0.1〜2μmであることがより好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、5〜50μmであることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましい。
また、電子写真感光体の耐久性の向上の観点から、電子写真感光体の表面層を架橋有機高分子で構成することが好ましい。
本発明においては、例えば、電荷発生層上の電荷輸送層を電子写真感光体の表面層として架橋有機高分子で構成することができる。また、電荷発生層上の電荷輸送層上に第二電荷輸送層または保護層として架橋有機高分子で構成された表面層を形成することができる。また、架橋有機高分子で構成された表面層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力の両立であり、その観点から、電荷輸送物質または導電性粒子と、架橋重合性のモノマー/オリゴマーとを用いて表面層を形成することが好ましい。
電荷輸送物質としては、上述の電荷輸送物質を用いることができる。また、導電性粒子としては、公知の導電性粒子を用いることができる。架橋重合性のモノマー/オリゴマーとしては、例えば、アクリロイルオキシ基やスチリル基などの連鎖重合性官能基を有する化合物や、水酸基、アルコキシシリル基、イソシアネート基などの逐次重合性官能基を有する化合物などが挙げられる。
また、膜の強度と電荷輸送能力の両立の観点から、同一分子内に電荷輸送性構造(好ましくは正孔輸送性構造)およびアクリロイルオキシ基の両方を有する化合物を用いることがより好ましい。
架橋硬化させる方法としては、例えば、熱、紫外線、放射線を用いる方法が挙げられる。
架橋有機高分子で構成された表面層の膜厚は、0.1〜30μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
電子写真感光体の各層には、添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子、アクリル樹脂粒子などの有機樹脂粒子や、シリカ、酸化チタン、アルミナなどの無機粒子などが挙げられる。
<プロセスカートリッジおよび電子写真装置の構成>
図6に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の例を示す。
図6において、円筒状の本発明の電子写真感光体81は、軸82を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体81の表面は、回転過程において、帯電手段83(一次帯電手段:例えば、帯電ローラーなど)により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、均一に帯電された電子写真感光体81の表面は、露光手段(画像露光手段)(不図示)から照射される露光光(画像露光光)84を受ける。このようにして、電子写真感光体81の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
本発明は、放電を利用した帯電手段を用いた場合において、効果が特に大きい。
電子写真感光体81の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段85内のトナー(不定形トナーまたは球形トナー)で現像(正規現像または反転現像)されてトナー像が形成される。電子写真感光体81の表面に形成されたトナー像が、転写手段(例えば、転写ローラーなど)86からの転写バイアスによって、転写材P上に転写されていく。このとき、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体81と転写手段86との間(当接部)に電子写真感光体81の回転と同期して取り出されて給送される。また、転写手段には、トナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧がバイアス電源(不図示)から印加される。
トナー像が転写された転写材Pは、電子写真感光体の表面から分離されて定着手段88へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体81の表面は、電子写真感光体81の表面に接触配置(当接)されたクリーニングブレードを有するクリーニング手段87によって転写残トナーなどの付着物の除去を受けて清浄面化される。さらに、清浄面化された電子写真感光体81の表面は前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図6に示すように、帯電手段83が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。
本発明においては、電子写真感光体81、帯電手段83、現像手段85、転写手段86およびクリーニング手段87などから選択される構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に支持する。そして、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することができる。図6では、電子写真感光体81と、帯電手段83、現像手段85およびクリーニング手段87とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段90を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ89としている。
露光光84は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合、原稿からの反射光や透過光、または、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイや液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、電子写真感光体を、以下単に「感光体」ともいう。
また、実施例及び比較例で用いたモールド71〜75を、順に図7〜図11に示す。図7〜図11に示すように、モールド71〜75には、それぞれ同一の凹形状部が複数設けられている。図7(a)〜図11(a)は、それぞれモールド71〜75の概略を示す上面図である。図7(b)〜図11(b)は、それぞれモールド71〜75の凹形状部の軸方向の概略断面図(図7(a)〜図11(a)のS−S’断面の断面図)である。図7(c)〜図11(c)は、それぞれモールド71〜75の凹形状部の周方向の断面図(図7(a)〜図11(a)のT−T’断面の断面図)である。
(感光体−1の製造例)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N-2-(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)15部をメチルエチルケトン73.5部と1−ブタノール73.5部の混合溶液に溶解させた。この溶液に前記表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン0.8部(東京化成工業(株)社製)を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)社製、平均一次粒径3.0μm)を5.6部加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で乾燥させて、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記式(A)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2016224260
次に、下記式(B)で示される化合物30部(電荷輸送物質)、下記式(C)で示される化合物60部(電荷輸送物質)、下記式(D)で示される化合物10部、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部、下記式(E)を有するポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.02部を、混合キシレン600部およびジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚21μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2016224260
(式(E)中、0.95及び0.05は2つの構造単位のモル比(共重合比)である。)
次に、下記式(F)で示される化合物(連鎖重合性官能基であるアクリル基を有する電荷輸送物質)36部、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粉末(ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)4部、およびn−プロパノール60部を超高圧分散機で分散混合することによって、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、吸収線量8000Gyの条件で、1.6秒間シリンダーを回転させながら塗膜に電子線を照射し、塗膜を硬化させた。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜が120℃になる条件で3分間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から3分間の加熱処理までの酸素濃度は20ppmであった。次に、大気中において、塗膜が100℃になる条件で30分加熱処理を行い、膜厚が3.5μmである保護層(第2電荷輸送層)を形成した。
Figure 2016224260
このようにして、表面に凸形状部を形成する前の円筒状の電子写真感光体(凸形状部形成前の電子写真感光体)を作製した。
・モールド圧接形状転写による凸形状部の形成
概ね図5に示す構成の圧接形状転写加工装置に、図7に示すモールド71を、図7の下側が電子写真感光体の回転方向の先端側になるように設置し、作製した凸形状部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。図7に示されるモールドは、軸方向の幅(モールド上の凹形状部を上から見たときの軸方向の最大幅のこと。以下同じ。)X:40μm、周方向の長さ(モールド上の凹部を上から見たときの周方向の最大長さのこと。以下同じ。)Y:50μm、面積率50%、深さD:4μmの凹形状部)である。なお、面積率とは、モールドを上から見たときに表面全体に占める凹形状部の面積の比率である。加工時には、電子写真感光体の表面の温度が120℃になるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御し、7.0MPaの圧力で電子写真感光体と加圧部材をモールドに押し付けながら、電子写真感光体を周方向に回転させて、電子写真感光体の表面(周面)の全面に凸形状部を形成した。
このようにして、表面に凸形状部を有する電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を「感光体−1」とする。
・電子写真感光体の表面の観察
得られた電子写真感光体(感光体−1)の表面を、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X−100)で50倍レンズにより拡大観察し、上述のようにして電子写真感光体の表面に設けられた特定凸形状部の判定を行った。観察時には、電子写真感光体の長手方向に傾きが無いように、また、周方向については、電子写真感光体の円弧の頂点にピントが合うように、調整を行った。そして拡大観察を行った画像を画像連結アプリケーションによって連結して、電子写真感光体の表面全体の情報を得た。また、得られた結果については、付属の画像解析ソフトにより、画像処理高さデータを選択し、フィルタタイプメディアンでフィルタ処理を行った。
上記観察によって電子写真感光体表面に形成された凸形状部の高さ、回転方向の先端から最も高い点に向かう形状部の最大勾配、軸方向の幅及び周方向の長さ、面積、2つの直線で形成された交点の角度、軸方向の断面の形状を求めた。結果を表1に示す。なお、感光体−1表面に形成された凸形状部は、全て同一であった。
なお、電子写真感光体(感光体−1)の表面を、他のレーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X−9500)を用い、上記と同様の方法で観察を行ったところ、上記のレーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X−100)を用いた場合と同様の結果が得られた。以下の製造例では、電子写真感光体(感光体−2〜20、感光体−101〜103)の表面の観察に、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X−100)および50倍レンズを用いた。
(感光体−2〜感光体−20の製造例)
感光体−1の製造例において、モールド71を表1に示したモールド72〜74に変更した以外は、感光体−1の製造例と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、図8に示すモールド72、図9に示すモールド73及び図10に示すモールド74は、それぞれ、図8〜図10の下側が電子写真感光体の回転方向の先端側になるように圧接形状転写加工装置に設置した。これらの電子写真感光体を「感光体−2〜感光体20」とする。感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体(感光体−2〜感光体20)の表面観察を行った。結果を表1に示す。なお、感光体−2〜感光体−20表面に形成された凸形状部は、それぞれの感光体において、全て同一であった。
Figure 2016224260
Figure 2016224260
(電子写真感光体の実機評価)
(実施例1)
感光体−1を、評価装置であるキヤノン(株)製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C5255)の改造機のシアンステーションに装着し、以下のように試験および評価を行った。
まず、23℃/5%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200Vになるように帯電装置および画像露光装置の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、硬度77°のポリウレタンゴム製クリーニングブレードを、電子写真感光体の表面に対して当接角28°、当接圧30g/cmとなるように設定した。印字率3%のA4横の画像を5枚連続して出力したら一旦停止する条件で繰り返し画像出力を行った。100000枚出力した後、初期と同様の方法を用いて凸形状部の高さを測定した。なお、電子写真感光体の表面に一辺500μmの正方形領域(面積が250000μm)を配置し、その一辺500μmの正方形領域内に完全に含まれる各凸形状部について測定した結果の算術平均値を、凸形状部の高さとして、表2に示す。
(実施例2〜20)
電子写真感光体として表2に示すものを用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体の実機評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2016224260
(感光体−101〜103の製造例)
感光体−1の製造例において、モールドを表3−1に示したように変更した以外は、感光体−1の製造例と同様にして電子写真感光体「感光体−101〜103」を作製した。なお、図11に示すモールド75は、図11の下側が電子写真感光体の回転方向の先端側になるように圧接形状転写加工装置に設置した。また、図7に示すモールド71は、図7の上側が電子写真感光体の回転方向の先端側になるように圧接形状転写加工装置に設置した。感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体(感光体−101〜103)の表面観察を行った。結果を表3−1及び3−2に示す。なお、感光体−101〜感光体−103表面に形成された凸形状部は、それぞれの感光体において、全て同一であった。
Figure 2016224260
Figure 2016224260
(比較例1〜3)
電子写真感光体として表4に示すものを用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体の実機評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2016224260

Claims (6)

  1. 支持体及び該支持体上に形成された感光層を有する円筒状の電子写真感光体であって、
    該電子写真感光体の表面が、各々独立した複数の凸形状部を有し、
    該凸形状部の該電子写真感光体の軸方向の幅が、10μm以上100μm以下であり、
    該凸形状部は、電子写真感光体の回転方向の先端側から最も高い点に向かって高さが徐々に高くなる形状であり、かつ、該徐々に高くなる形状部の最大勾配が70‰以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記凸形状部は、電子写真感光体の回転方向の先端側に、2つの直線、2つの曲線、もしくは1つの直線と1つの曲線とから形成される交点を有し、
    該交点を形成する該直線または該曲線は、該電子写真感光体の周方向で該交点を通る直線Aまでの距離が最も離れた該直線または該曲線上の2つの点から該交点に向かって、該直線Aまでの該距離が徐々に小さくなっている請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記凸形状部の前記直線Aまでの距離が最も離れた前記直線または前記曲線上の2つの点から前記交点までの間における、前記2つの直線でなす角度、前記2つの曲線の接線でなす角度、または前記1つの直線と前記1つの曲線の接線とでなす角度が58°以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記凸形状部の軸方向の断面の形状が、前記支持体から離れる方向に膨らんだ曲線で形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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