JP2016223518A - 車両空調用動力伝達機構 - Google Patents

車両空調用動力伝達機構 Download PDF

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【課題】複数の出力ギヤのうち第1、第2のアーム機構のアーム出力ギヤが時分割で接続することが可能になる出力ギヤが2つになる車両空調用動力伝達機構を提供する。【解決手段】アーム機構90は、アーム出力ギヤ94を公転させるアーム95とを備える。アーム機構80は、アーム出力ギヤ87を公転させるアーム85とを備える。アーム出力ギヤ87、94は公転してギヤ142a、・・142eのうちいずれかのギヤに接続し、これら接続した出力ギヤを電動モータ20A、20Bからの回転駆動力により回転させる。ギヤ142a、・・142eのうちアーム出力ギヤ94、87が時分割で接続することが可能になるギヤが2つになるようにギヤ142a、・・142eおよびアーム機構80、90を配置する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両空調用動力伝達機構に関するものである。
従来、多軸駆動用アクチュエータでは、複数の出力軸と、複数の出力軸のうち所望の出力軸を選択して、この選択した所望の出力軸に電動モータから出力される駆動力を伝える機構(以下、アーム機構という)とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
アーム機構では、シャフトが上下方向に延びるように形成されている電動モータと、シャフトが貫通してシャフトに固定される基板と、この基板に対して上側においてシャフトに対して外周側に形成されて、かつシャフトを回転自在に支持する支持柱と、支持柱の軸方向下側に固定されて、かつ基板に対向する摩擦板とを備える。
アーム機構は、支持柱のうち上側に固定されるアームと、アームの上側に設けられてシャフトの上側端部に支持される第1プーリと、アームの先端側に配置されて回転自在に支持されている第2プーリと、第1、第2プーリの間に配置されているベルトとを備える。
ここで、基板と摩擦板とは、電動モータから支持柱への駆動力の伝達を断続する第1クラッチ機構とを構成する。第2プーリの摩擦部と複数の出力軸のうち任意の出力軸とは、第2プーリから任意の出力軸への駆動力の伝達を断続する第2クラッチ機構とを構成する。第1、第2クラッチ機構は、ソレノイドから生じる電磁力およびバネの弾性力によって作動する電磁クラッチを構成している。
例えば、ソレノイドのコイルに通電されていない状態では、バネの弾性力により第1、第2のクラッチ機構が作動して、第2プーリの摩擦部と複数の出力軸との間が解放され、かつ基板と摩擦板とが圧接して接続される。
この状態にて、電動モータのシャフトからの回転駆動力が基板および摩擦板を通して支持柱に伝わるため、アームが支持柱とともに自転する。このため、シャフトを中心として第2プーリが公転する。よって、第2プーリが複数の出力軸のうち任意の出力軸に対応する位置に移動させることができる。
次に、ソレノイドへ通電すると、ソレノイドからの電磁力により第1、第2のクラッチ機構を作動する。この場合、摩擦板、支持柱、アーム、および第1、第2のプーリがシャフトの軸方向上側に移動する。このため、基板と摩擦板との間が解放され、かつ第2プーリの摩擦部が任意の出力軸に接触して第2プーリの摩擦部が任意の出力軸に接続される。この状態にて、電動モータの回転駆動力がシャフトから、第1プーリ、ベルト、第2プーリを通して任意の出力軸に出力させることができる。
その後、ソレノイドのコイルへの通電が停止されると、バネの弾性力により第1、第2のクラッチ機構が作動する。この場合、摩擦板、支持柱、アーム、および第1、第2のプーリがシャフトの軸方向下側に移動する。このため、基板と摩擦板との間が接続されて、第2プーリと任意の出力軸との間が解放される。これにより、任意の出力軸から第2プーリを離脱させることができる。
このようにアーム機構では、電磁クラッチやバネの作動により摩擦板、支持柱、アーム、および第1、第2のプーリを軸方向に移動させたり、第2のプーリを公転させることにより、複数の出力軸のうち電動モータからの回転駆動力が伝達される出力軸を切り替えることができる。
特許第3175208号明細書
本発明者は、車載空調装置において、空調ドアを駆動する際に生じる遅延時間を短くするために、上述したアーム機構を2つ採用して、複数の空調ドアがそれぞれ複数の出力軸のうち対応する出力軸から伝達される回転駆動力により駆動されるように構成することを検討した。
本発明者の検討によれば、上記特許文献1において、複数の出力軸のうち第1、第2のアーム機構のそれぞれの出力プーリ(すなわち、アーム出力ギヤ)が時分割で接続することが可能になる出力軸を2つ設けた車載空調装置ついて一切記載されていない。
本発明は上記点に鑑みて、複数の出力ギヤのうち第1、第2のアーム機構のそれぞれのアーム出力ギヤが時分割で接続することが可能になる出力ギヤが2つになるようにした車両空調用動力伝達機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の空調ドア(ドア155a、159a、159b、160a、160b、155b、160c、160d、152A)を備える車載空調装置に適用される車両空調用動力伝達機構であって、
複数の空調ドアをそれぞれ駆動する複数の出力ギヤ(142a、142b、142c、142d、142e)と、
第1駆動源(20B)からの回転駆動力により自転する第1アーム出力ギヤ(94)と、第1アーム出力ギヤを自転自在に支持して、かつ第1軸(35)を中心として回転可能に支持されて、回転により第1アーム出力ギヤを公転させる第1アーム(95)とを備える第1アーム機構(90)と、
第2駆動源(20A)からの回転駆動力により自転する第2アーム出力ギヤ(87)と、第2アーム出力ギヤを自転自在に支持して、かつ第2軸(34)を中心として回転自在に構成されて、回転により第2アーム出力ギヤを公転させる第2アーム(85)とを備える第2アーム機構(80)と、を備え、
第1、第2のアーム出力ギヤは、それぞれ、公転することにより複数の出力ギヤのうちいずれかの出力ギヤに接続し、これら接続したいずれかの出力ギヤを第1、第2の駆動源からの回転駆動力によりそれぞれ回転させるものであり、
複数の出力ギヤのうち第1、第2のアーム出力ギヤが時分割で接続することが可能になる出力ギヤが2つになるように、複数の出力ギヤおよび第1、第2のアーム機構が配置されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、複数の出力ギヤのうち第1、第2のアーム出力ギヤが時分割で接続することが可能になる出力ギヤが2つになる車両空調用動力伝達機構を提供することができる。
本明細書では、2つのギヤにおいて、接続とは、2つのギヤのそれぞれの歯先円が互いに重なる状態をいう。離脱とは、2つのギヤのそれぞれの歯先円が離れている状態をいう。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態の車載空調装置の多軸駆動用アクチュエータのうち上側ケーシングを除いて内部構造を示す図である。 図1中II−II断面図であって、アーム出力ギヤ87がアーム入力ギヤ95fから離脱している状態を示す図である。 図1中II−II断面図であって、アーム出力ギヤ87がアーム入力ギヤ95fに接続されている状態を示す図である。 図1中IV−IV断面図であって、アーム出力ギヤ94がギヤ142cに接続されている状態を示す図である。 図1の多軸駆動用アクチュエータにおいて、アーム出力ギヤ87、94がギヤ142a、142cに接続されている状態を示す図である。 第1実施形態の保持機構の構造を示す図であって、保持機構がギヤを保持する状態を示す図である。 第1実施形態の保持機構の構造を示す図であって、保持機構からギヤが解放された状態を示す図である。 第1実施形態の車載空調装置の室内空調ユニットの内部構造を示す図である。 図1中の多軸駆動用アクチュエータの電気的構成を示す模式図である。 図1の多軸駆動用アクチュエータにおいて、アーム出力ギヤ87、94がギヤ95f、142bに接続されている状態を示す図である。 図1の多軸駆動用アクチュエータにおいて、アーム出力ギヤ87、94がギヤ95f、142dに接続されている状態を示す図である。 図1の多軸駆動用アクチュエータにおいて、アーム出力ギヤ87、94がギヤ142b、142cに接続されている状態を示す図である。 図1の多軸駆動用アクチュエータにおいてアーム出力ギヤ87、94がギヤ142a、142bに接続されている状態を示す図である。 図1の多軸駆動用アクチュエータにおいてアーム出力ギヤ87、94がギヤ142e、142cに接続されている状態を示す図である。 図1の多軸駆動用アクチュエータにおいてアーム出力ギヤ87、94がギヤ142b、142eに接続されている状態を示す図である。 図1の多軸駆動用アクチュエータにおいて、アーム出力ギヤ87、94がギヤ142a、142eに接続されている状態を示す図である。 図9の制御回路の切替制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態におけるアーム出力ギヤ(ギヤb)の移動範囲である、離脱圏、修正圏、および接続圏を示す図である。 図17中の自転ロジックを示すフローチャートである。 図19中の離脱ロジックを示すフローチャートである。 図19中の接続ロジックを示すフローチャートである。 図19中の自転ロジックで用いる領域判定ロジックを示すフローチャートである。 図17中の公転ロジックを示すフローチャートである。 第1実施形態におけるアーム出力ギヤ(ギヤb)が離脱元ギヤnから離脱する状態を示す図である。 第1実施形態におけるアーム出力ギヤ(ギヤb)が接続先ギヤ(n+1)に接続する状態を示す図である。 第1実施形態の比較例における多軸駆動用アクチュエータを示す図である。 第1実施形態の比較例における多軸駆動用アクチュエータを示す図である。 本発明の第2実施形態の車載空調装置の多軸駆動用アクチュエータのうち上側ケーシングを除いて内部構造を示す図である。 本発明の第3実施形態においてアーム機構の内部構造を示す図である。 第3実施形態においてアーム機構の上面図である。 第3実施形態においてアーム機構の断面図である。 第3実施形態において自転モード・公転モードの作動を示す断面図である。 第3実施形態においてギヤ保持機構の側面図である。 第3実施形態においてギヤ保持機構の作動を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
次に、本発明の車両空調用動力伝達機構が適用される自動車用の空調装置(以下、車載空調装置という)の本第1実施形態について図1〜図26を参照して説明する。
車載空調装置は、多軸駆動用アクチュエータ1を備える。多軸駆動用アクチュエータ1は、後述する室内空調ユニット150A(図8参照)のドア159a、159b、160a、160b、160c、160dを駆動する。
多軸駆動用アクチュエータ1は、図1、図2、および図3に示すように、ケーシング10、電動モータ20A、20B、および動力伝達機構30を備える。
ケーシング10は、上側ケーシング部10aおよび下側ケーシング部10bを組み合わせて構成されている。ケーシング10は、電動モータ20A、20B、および動力伝達機構30を収納している。
電動モータ20A、20Bは、ケーシング10に支持されている。電動モータ20A、20Bには、回転駆動力を出力する出力ギヤ21a、21bが設けられている。出力ギヤ21a、21bの軸方向は、後述する軸31、32、33、34の軸方向に直交している。
動力伝達機構30には、図1および図2に示すように、ギヤモジュール50、ギヤ60、70、アーム機構80、90、ギヤ100、ギヤモジュール110、および出力部120A、120B、120C、120D、120Eを備える。
ギヤモジュール50は、その軸方向が軸31の軸方向に一致するように配置されている。本明細書では、ギヤモジュールとは複数のギヤを備える部品である。ギヤモジュール50は、軸31に対して回転自在に支持されている。ギヤモジュール50は、ギヤ51、52を備える。ギヤ51、52は、それぞれの軸方向が軸31の軸方向に一致している。ギヤ52は、ギヤ51に対して軸31の軸方向一方側に配置されている。図2〜図4中の上側を軸方向一方側とし、下側を軸方向他方側としている。ギヤ51には、電動モータ20の出力ギヤ21が接続されている。
ギヤ60は、軸32に対して回転自在に支持されている。ギヤ60は、その軸方向が軸32の軸方向に一致するように配置されている。ギヤ60の軸方向は、軸32の軸方向に一致する。ギヤ60には、ギヤモジュール50のギヤ52が接続されている。
ギヤ70は、軸33に対して回転自在に支持されている。ギヤ70は、その軸方向が軸33の軸方向に一致するように配置されている。ギヤ70には、ギヤ60が接続されている。
アーム機構80は、出力部120A、120B、120E、アーム機構90のアーム95に接続可能になるように配置されている。アーム機構80は、電動モータ20Aからの回転駆動力を出力部120A、120B、120E、アーム95のうちいずれか1つに回転駆動力を与える機構である。
具体的には、アーム機構80は、同心軸81、アームステー82、回転軸83、ストッパ84、アーム85、アーム入力ギヤ86、アーム出力ギヤ87、磁性体保持部88、および解放ピン89を備える。
同心軸81は、軸34に対して同軸的に配置されている。すなわち、同心軸81は、その軸心方向が、軸34の軸心方向に一致し、かつ軸34に対してその軸心を中心とする外周側に配置されている。同心軸81は、軸34を中心として回転可能に構成されている。
アームステー82は、同心軸81に支持されて、同心軸81から軸34の径方向外側に延びるように形成されている。アームステー82は、アーム85に対して軸方向一方側に配置されている。
回転軸83は、アームステー82に支持されものであって、アームステー82から軸方向他方側に延びるように形成されている。回転軸83は、軸34の軸線に対して平行になる配置されている。
ストッパ84は、アームステー82の先端側に支持されものであって、アームステー82の先端側から軸方向他方側に延びるように形成されている。このことにより、ストッパ84は、回転軸83に対して軸34の軸線を中心とする径方向外側に配置されて、かつ回転軸83に支持されることになる。
アーム85は、同心軸81に対してその軸方向に移動可能に支持されて、かつ同心軸81によって軸34を中心として回転可能に支持されている。
具体的には、アーム85は、図2、図3に示すように、上側支持部85a、および下側支持部85bを備える。さらに、アーム85には、図1に示すように、連結部85cが設けられている。
上側支持部85aは、同心軸81から軸34の径方向外側に延びるように形成されている。下側支持部85bは、同心軸81から軸34の径方向外側に延びるように形成されている。上側支持部85aは、下側支持部85bに対して軸方向一方側に配置されている。
上側支持部85aおよび下側支持部85bは、それぞれ、同心軸81に対して軸方向に移動可能に支持されて、かつ同心軸81によって軸34を中心として回転可能に支持されている。
上側支持部85aは、アーム入力ギヤ86およびアーム出力ギヤ87を軸方向一方側(図2、3中上側)から支える。下側支持部85bは、アーム入力ギヤ86およびアーム出力ギヤ87を軸方向他方側(図2、3中下側)から支える。このことにより、アーム入力ギヤ86およびアーム出力ギヤ87は、上側支持部85a、および下側支持部85bによって、回転可能に支持されることになる。
連結部85cは、上側支持部85aおよび下側支持部85bを連結している。このため、上側支持部85aおよび下側支持部85bが一緒に回転したり、一緒に軸方向に移動したりすることができる。
アーム入力ギヤ86は、その軸方向が同心軸81の軸方向に一致するように配置されている。アーム入力ギヤ86は、同心軸81に対して軸34を中心として回転可能に構成され、かつ同心軸81に対してその軸方向に移動可能に構成されている。アーム入力ギヤ86は、ギヤ70に接続されている。
アーム出力ギヤ87は、アーム入力ギヤ86に対して軸34の径方向外側に配置されている。アーム出力ギヤ87は、その軸方向がアーム入力ギヤ86の軸方向に平行になるように配置されている。アーム出力ギヤ87は、回転軸83に対して自転可能に支持されている。回転軸83は、アーム85の上側支持部85aに対して軸方向に貫通している。アーム出力ギヤ87は、アーム入力ギヤ86に対して接続されている。
磁性体保持部88は、アーム85の下側支持部85bに支持されたもので、アーム85の下側支持部85bに対して軸方向他方側に配置されたものである。磁性体保持部88は、磁性体88aを保持している。解放ピン89は、アーム85の下側支持部85bにより支持されるものであって、下側支持部85bから軸方向他方側に突起している。
このように構成されるアーム機構80では、回転軸83、ストッパ84、アーム出力ギヤ87、および解放ピン89が軸34を中心として公転可能に構成されている。
本実施形態では、軸31、32、33、34は、それぞれの軸方向が平行になっている。軸31、32、33、34は、ケーシング10によって支持されている。
ソレノイド88bは、磁性体88aとともに、アーム85を軸方向他方側に引き付ける電磁力を発生するアクチュエータを構成する。ソレノイド88bは、ケーシング10のうちアーム85を軸方向他方側に配置されている。ソレノイド88bは、ケーシング10に支持されている。ソレノイド88bは、同心軸81を中心とする円筒状に形成されている。ソレノイド88bの径方向内側には、バネ140が配置されている。バネ140は、ケーシング10に支持されて、後述するように、アーム85を軸方向一方側に押す弾性力を出力する弾性部材である。
アーム機構90は、電動モータ20Aからの回転駆動力を出力部120B、120C、120D、120Eのうち任意の出力部に出力する機構である。具体的には、アーム機構90は、ギヤモジュール91、92、アーム出力ギヤ94、およびアーム95を備える。
ギヤモジュール91は、その軸線方向が軸35の軸線方向に一致するように配置されている。ギヤモジュール91には、ギヤ91a、91bが形成されている。ギヤ91aは、軸35を中心として回転自在に構成されて、ギヤ100に接続されている。ギヤ91bは、ギヤ91aに対して軸方向他方側に形成されている。ギヤ91bは、ギヤモジュール91のうち軸方向他方側に開口する凹部のうち内周面に形成されている。
ギヤモジュール92は、その軸線方向が軸35の軸線方向に一致するように配置されている。ギヤモジュール92は、ギヤ92a、92bを備える。ギヤ92aは、軸35を中心として回転自在に支持されている。ギヤ92aは、ギヤ91bに対して軸方向他方側に配置されている。ギヤ92bは、ギヤ92aから軸方向一方側に突起するように形成されている。ギヤ92bは、上側アーム部95aの貫通穴95eを貫通してギヤ91bに接続されている。
アーム出力ギヤ94は、軸95cを中心として自転自在に構成されている。アーム出力ギヤ94は、ギヤ92aに接続されている。アーム出力ギヤ94は、後述するように、出力部120B、120C、120D、120Eのうち任意の出力部に回転駆動力を出力する。
アーム95は、上側アーム部95a、下側アーム部95b、軸95c、および同心軸95dを備える。
上側アーム部95aおよび下側アーム部95bは、それぞれ、軸35から径方向一方側に延びるように形成されている。上側アーム部95aおよび下側アーム部95bは、ギヤ92aおよびアーム出力ギヤ94を軸方向一方側および他方側から挟むように形成されている。上側アーム部95aに対して径方向他方側には、アーム入力ギヤ95fが形成されている。アーム入力ギヤ95fには、ギヤ60が接続されている。軸95cは、その軸方向が軸35の軸方向に平行に配置されている。
軸95cのうち軸方向一方側が上側アーム部95aに支持されている。軸95cのうち軸方向他方側が下側アーム部95bに支持されている。
同心軸95dは、下側アーム部95bに対して軸方向他方側に配置されている。同心軸95dは、下側アーム部95bを軸方向他方側から支える。同心軸95dは、その軸方向が軸35の軸方向に一致するように形成されている。同心軸95dは、軸35を中心として回転自在に支持されている。
本実施形態では、アーム95が同心軸95dとともに軸35を中心として回転することにより、アーム出力ギヤ94が軸35を中心として公転する。
本実施形態では、軸31、32、33、34、35は、それぞれの軸線方向が平行になっている。軸31、32、33、34、35は、ケーシング10により支持されている。
ギヤ100は、軸36に対して回転自在に支持されている。ギヤ100は、その軸方向が軸36の軸方向に一致するように配置されている。ギヤ100には、ギヤモジュール91のギヤ91aとギヤモジュール110のギヤ111とが接続されている。
ギヤモジュール110は、軸37に対して回転自在に支持されている。ギヤモジュール110は、その軸方向が軸37の軸方向に一致するように配置されている。ギヤモジュール110は、ギヤ111、112を備える。ギヤ111、112は、それぞれの軸方向が軸37の軸方向に一致するように配置されている。ギヤ112は、ギヤ111に対して径方向他方側に配置されている。ギヤ112には、電動モータ20Bの出力ギヤ21bが接続されている。
出力部120A、120B、120C、120D、120Eは、アーム出力ギヤ87、94のうち一方から回転駆動力を出力する。出力部120A、120B、120C、120D、120Eは、それぞれ同様の構造を備えている。そこで、出力部120A、120B、120C、120D、120Eのうち代表例として出力部120Cについて図4を参照して説明する。
出力部120Cは、ギヤ130c、およびギヤモジュール140cを備える。
ギヤ130cは、その軸線が軸131cの軸線に一致するように配置されている。軸131cは、その軸線方向が軸31〜37の軸線方向に対して平行になっている。軸131cは、ケーシング10により支持されている。ギヤ130cは、軸131cに対して回転自在に構成されている。ギヤ130cの軸方向他方側132cは、ケーシング10の開口部から露出している。
ギヤモジュール140cは、その軸線が軸141cの軸線に一致するように配置されている。軸141cは、その軸線方向が軸31〜37の軸線方向に対して平行になっている。軸141cは、ケーシング10により支持されている。ギヤモジュール140cは、軸141cに対して回転自在に構成されている。ギヤモジュール140cは、ギヤ142c、143cを備える。
ギヤ142c、143cは、それぞれの軸方向が軸141cの軸線に一致するように配置されている。ギヤ142cは、ギヤ143cに対して軸方向一方側に配置されている。ギヤ142cは、アーム機構90のアーム出力ギヤ94から回転駆動力が伝えられる。ギヤ143cには、ギヤ130cが接続されている。
出力部120A、120B、120D、120Eは、それぞれ、出力部120Cと同様に、ギヤ130a、130b、130d、130e、およびギヤモジュール140a、140b、140c、140dを備える。
なお、ギヤ130a、130b、130d、130eは、ギヤ130cに対応し、ギヤモジュール140a、140b、140c、140dは、ギヤモジュール140cに対応している。軸131a、131b、131d、131eは、軸131cに対応し、軸141a、141b、141c、141dは軸141cに対応し、ギヤ142a、142b、142d、142eは、ギヤ142aに対応している。
このようにギヤ142a、142b、142eは、アーム機構80のアーム出力ギヤ87の公転軌道上に配置されている。ギヤ142b、142c、142d、142eは、アーム機構90のアーム出力ギヤ94の公転軌道上に配置されている。このため、アーム出力ギヤ87、94がギヤ142a、142b、142c、142d、142eのうち互いに相違する2つのギヤに同時に接続することが可能になるように、ギヤ142a、142b、・・・142eおよびアーム機構80、90が配置されている。
さらに、保持機構150は、ギヤモジュール140aのギヤ142aの回転角度を所望角度に保持する。
具体的には、保持機構150は、図6および図7に示すように、保持ケース151、保持部材152、およびバネ153を備える。保持ケース151は、ケーシング10に支持されている。保持ケース151は、保持部材152の基部154c側を収納している。保持ケース151のうち軸方向一方側には、貫通孔154d(図6参照)が設けられている。
保持部材152は、基部154からギヤモジュール140aのギヤ142a側に突起する突起部155を備える。保持部材152は、後述するように、ギヤ142aの回転位置を所望角度に保持する。バネ153は、保持ケース151内に配置されて、保持部材152の基部154cを軸方向一方側に押す弾性力を発生する弾性部材である。
さらに、保持機構160は、アーム機構90のアーム95の回転角度を所望角度に保持する。
図2〜図4に示すように、保持ケース161、保持部材162、およびバネ163を備える。保持ケース161は、ケーシング10に支持されている。保持ケース161は、保持部材162のうち基部164側を収納している。保持ケース161のうち軸方向一方側には、貫通孔166(図2参照)が設けられている。
保持部材162は、基部164からアーム95側に突起する突起部165を備える。保持部材162は、後述するように、アーム95の回転角度(すなわち、アームギヤ4の公転角度)を所望角度に保持する。バネ163は、保持ケース161内に配置されて、保持部材162の基部164を軸方向一方側に押す弾性力を発生する弾性部材である。
さらに、車載空調装置は、図8に示す室内空調ユニット150Aを備える。室内空調ユニット150Aは、計器盤内に収納された空調ケース151Aを備えており、内外気切換ドア152Aが、空調ケース151Aに回転可能に支持されている。内外気切換ドア152Aは、ギヤ130eから出力される回転駆動力により第1切換位置(図に二重線で示す位置)および、第2切換位置(図に鎖線で示す位置)のうち一方から他方に切り替えられる。つまり、内外気切換ドア152Aは、ギヤ130eにより駆動されることなる。
ここで、内外気切換ドア152Aが、第1切換位置に位置するとき、外気導入モードとして、空調ケース151A内にその外気導入口151aから外気が流入させる。一方、内外気切換ドア152Aが第2切換位置(図に鎖線で示す位置)に位置する場合には、内気導入モードとして、空調ケース151A内にその内気導入口151bから車室内の空気(内気)が流入させる。
送風機152cは、外気導入口151aからの外気または内気導入口151bからの内気を空気流として吸い込んでこの吸い込んだ空気流を冷却用熱交換器153Aに送風する。なお、図8中送風機152cとして軸流ファンを示しているが、実際には送風機152cとして遠心ファンが用いられる。
冷却用熱交換器153Aは、送風機152cから吹き出される空気流を、公知の冷凍サイクルの作動によって循環する冷媒により冷却して冷風を左側空気通路151dおよび右側空気通路151eに吹き出す。
左側空気通路151dおよび右側空気通路151eは、空調ケース151Aのうち冷却用熱交換器153Aに対して空気流れ下流側に形成される。左側空気通路151dおよび右側空気通路151eは、分離壁151cにより分離されている。
空調ケース151Aには、左側空気通路151dおよび右側空気通路151eを通過する冷風を加熱して温風を吹き出す加熱用熱交換器154Aが配置されている。
左側空気通路151dには、加熱用熱交換器154Aをバイパスして車室内に向けて流すバイパス流路154aが設けられている。右側空気通路151eには、加熱用熱交換器154Aをバイパスして車室内に向けて流すバイパス流路154bが設けられている。
エアミックスドア155aは、左側空気通路151d内に配置されて、その回転自在に支持されている。エアミックスドア155aは、その開度によって、冷却用熱交換器153Aから吹き出される冷却空気流のうちヒータコア3に流入される空気量とバイパス流路154aを流れる空気量との比率を調整する。エアミックスドア155aは、ギヤ130aから出力される回転駆動力により、回転されて開度が調整される。つまり、エアミックスドア155aは、ギヤ130aにより駆動されることになる。
左側空気通路151dのうちヒータコア3の空気下流側では、加熱用熱交換器154Aからの温風とバイパス流路154aからの冷風が混合されて空調風として車室内に向けて吹き出される。このため、エアミックスドア155aの回転角度によって空調風の温度が調整される。
エアミックスドア155bは、右側空気通路151e内に配置されて、その回転自在に支持されている。エアミックスドア155bは、その開度によって、冷却用熱交換器153Aから吹き出される冷却空気流のうちヒータコア3に流入される空気量とバイパス流路154bを流れる空気量との比率を調整する。エアミックスドア155bは、ギヤ130cから出力される回転駆動力により、回転されて開度が調整される。つまり、エアミックスドア155bは、ギヤ130cにより駆動されることになる。
右側空気通路151eのうちヒータコア3の空気下流側では、加熱用熱交換器154Aからの温風とバイパス流路154bからの冷風が混合されて空調風として車室内に向けて吹き出される。このため、エアミックスドア155bの回転角度によって空調風の温度が調整される。
空調ケース151Aのうち最も空気流れ下流側には、フット吹出開口部156a、156b、フェイス吹出開口部157a、157b、デフロスタ吹出開口部158、および後席側フェイス吹出開口部158a、158bが設けられている。
フット吹出開口部156aは、左側空気通路151dから吹き出される空調風を車室内左側席の乗員下半身に向けて吹き出す。フット吹出開口部156bは、右側空気通路151eから吹き出される空調風を車室内右側席の乗員下半身に向けて吹き出す。
フェイス吹出開口部157aは、左側空気通路151dから吹き出される空調風を車室内左側席の乗員上半身に向けて吹き出す。フェイス吹出開口部157bは、右側空気通路151eから吹き出される空調風を車室内右側席の乗員上半身に向けて吹き出す。デフロスタ吹出開口部158は、車室内の窓ガラスの内表面に向けて吹き出す。
フット吹出開口部156aは、フットドア159aの回転によって開閉される。フット吹出開口部156bは、フットドア159bの回転によって開閉される。フェイス吹出開口部157aは、フェイスドア160aの回転によって開閉される。フェイス吹出開口部157bは、フェイスドア160bの回転によって開閉される。デフロスタ吹出開口部158は、フェイスドア160a、160bの回転によって開閉される。
後席側フェイス吹出開口部160cは、左側空気通路151dから吹き出される空調風を車室内後部左側席の乗員上半身に向けて吹き出す。後席側フェイス吹出開口部158dは、右側空気通路151eから吹き出される空調風を車室内後部右側席の乗員上半身に向けて吹き出す。
後席側フェイス吹出開口部158aは、リアフェイスドア160cの回転によって開閉される。後席側フェイス吹出開口部158bは、リアフェイスドア160dの回転によって開閉される。
ここで、ドア159a、159b、160a、160b、160c、160dは、それぞれ、空調ケース151Aによって回転自在に支持されている。ドア159a、159b、160a、160bは、ギヤ130bからリンク機構を介して与えられる回転駆動力により回転する。つまり、ドア159a、159b、160a、160bは、ギヤ130bにより駆動されることになる。
さらに、ドア160c、160dは、ギヤ130dからリンク機構を介して与えられる回転駆動力により回転する。つまり、ドア160c、160dは、ギヤ130dにより駆動されることになる。
次に、本実施形態の制御回路170ついて図9を参照して説明する。
制御回路170は、マイクロコンピュータ、メモリ、アナログ−デジタルコンバータ等から構成されて、アーム出力ギヤ87、94をギヤ142a〜142dのうち任意の2つのギヤに切替接続するための切替制御処理を実行する。
制御回路170は、切替制御処理の実行に伴って、一定期間毎に、角度センサ171、172の検出角度、デフロスタスイッチ173の出力信号に基づいて電動モータ20A、20B、およびソレノイド88bを制御する。
角度センサ171は、アーム出力ギヤ94の自転角度を求めるために、ギヤ91aの回転角度を検出する。角度センサ172は、アーム出力ギヤ87の自転角度および公転角度を求めるために、ギヤ70の回転角度を検出する。角度センサ172の検出角度は、アーム出力ギヤ94の公転角度を求めるためにも用いられる。
本実施形態の角度センサ171は、ギヤ91aに対して軸方向一方側に配置されている。角度センサ172は、ギヤ70に対して軸方向一方側に配置されている。角度センサ171、172としては、例えば、光学式センサを用いることができる。
デフロスタスイッチ173は、乗員により操作されてデフロスタモードを指令するためのスイッチである。デフロスタモードは、自動車のフロントガラスの内表面に空調風を吹き出してフロントガラスの内表面の結露を防止するモードである。
次に、本実施形態の多軸駆動用アクチュエータ1の作動について説明する。
まず、アーム機構80において、ソレノイド88bに電流が流れていなく、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間で電磁力が作用してない状態では、バネ88cが弾性力によってアーム85を軸方向一方側に押している。このとき、ストッパ84がアーム出力ギヤ87の歯に噛み込んでいる。このため、ストッパ84がアーム出力ギヤ87の回転を止めている(図2参照)。
この状態で、電動モータ20Aに電力が供給されて電動モータ20Aが出力ギヤ21aを回転させると、出力ギヤ21aがギヤモジュール50のギヤ51を回転させることができる。このため、ギヤモジュール50のギヤ52がギヤ60を回転させることができる。これに伴い、ギヤ60がギヤ70を回転させることができる。このため、ギヤ70がアーム入力ギヤ86を回転させることができる。
このように電動モータ20Aからの回転駆動力をギヤモジュール50、60、70を介してアーム機構80に伝えることができる。
このとき、アーム入力ギヤ86、およびアーム出力ギヤ87は接続されているものの、上述の如く、ストッパ84がアーム出力ギヤ87の回転を止めている。このため、電動モータ20Aからの回転駆動力により、アーム入力ギヤ86およびアーム85が軸34を中心として回転する。これに伴い、アーム出力ギヤ87が軸34を中心として公転する。
アーム出力ギヤ87は、その公転によって、出力部120Aのギヤ142a、出力部120Bのギヤ142b、出力部120Eのギヤ142e、およびアーム入力ギヤ95fに対して軸方向一方側を移動することができる。
ここで、アーム出力ギヤ87がギヤ142a、142b、142e、およびアーム入力ギヤ95fのうちいずれか1つのギヤに対して軸方向一方側に位置するときに、ソレノイド88bに通電すると、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間に作用する電磁力によりアーム85を軸方向他方側に引き付ける。これに伴い、アーム出力ギヤ87と上記いずれか1つのギヤとを接続することができる。
以下、アーム出力ギヤ87がギヤ142a、142b、142eのうち任意のギヤに接続してから離脱する具体例1とアーム出力ギヤ87がアーム入力ギヤ95fに接続してから離脱するする具体例2とについて説明する。
(具体例1)
例えば、アーム出力ギヤ87がギヤ142aに対して軸方向一方側に位置するときに、ソレノイド88bに電流を流すと、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間に電磁力が作用する。この電磁力は、バネ88cの弾性力に対抗して、アーム85、アーム入力ギヤ86、アーム出力ギヤ87、磁性体保持部88、および解放ピン89を軸方向他方側に引き付けることになる。
このとき、ストッパ84がアーム出力ギヤ87から解放される(図7参照)。これに伴い、アーム出力ギヤ87が出力部120Aのギヤモジュール140aのギヤ142aに接続される。
さらに、解放ピン89が保持ケース151の貫通孔156を貫通して解放ピン89が保持部材152の基部154をバネ153の弾性力に対抗して軸方向他方側に押し付ける。このため、ギヤモジュール140aのギヤ142aは、保持部材152から解放される。したがって、ギヤ142aは、保持機構150による回転角度の保持が解除されて、回転が許容されることになる。
この状態では、電動モータ20からの回転駆動力がギヤモジュール50、ギヤ60、70を介してアーム機構80のアーム入力ギヤ86に伝えられると、アーム入力ギヤ86から回転駆動力がアーム出力ギヤ87に伝わる。このため、アーム出力ギヤ87が回転軸83を中心として自転する。このため、回転軸83がギヤモジュール140aのギヤ142aを回転させる。したがって、ギヤモジュール140aのギヤ142aがギヤ130aを回転させる。これにより、電動モータ20Aからの回転駆動力をギヤ130aから出力することができる。
また、アーム出力ギヤ87がギヤ142b、142eに対して軸方向他方側に位置するときに、アーム出力ギヤ87がギヤ142aに接続する場合と同様に、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間の電磁力により、アーム85、アーム入力ギヤ86、アーム出力ギヤ87、磁性体保持部88、および解放ピン89を軸方向他方側に引き付けると、アーム出力ギヤ87がストッパ84から解放されて、アーム出力ギヤ87をギヤ142b或いはギヤ142eに接続することができる。
但し、出力部120B、120Eには、保持機構150が設けられていないので、解放ピン89による保持機構150による回転角度の保持の解除が実施されない。
一方、アーム出力ギヤ87がギヤ142a、142b、142eのうち任意のギヤに接続した状態で、ソレノイド88bに対して電流を流すことを停止すると、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間に電磁力が作用しなくなる。このため、バネ88cの弾性力よって、アーム85、アーム入力ギヤ86、アーム出力ギヤ87、磁性体保持部88、および解放ピン89が軸方向一方側に移動する。
このとき、ストッパ84がアーム出力ギヤ87に噛む(図6参照)。これに伴い、上記任意のギヤは、アーム出力ギヤ87から離脱される。
さらに、解放ピン89が保持ケース151の貫通孔156から抜かれて保持部材152がバネ153の弾性力によって軸方向一他方側に押し付ける。したがって、上記任意のギヤは、保持機構150により回転角度が保持されて、回転が禁止されることになる。
(具体例2)
例えば、図2に示すように、アーム出力ギヤ87がアーム入力ギヤ95fに対して軸方向一方側に位置するときに、ソレノイド88bに電流を流すと、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間の電磁力が、バネ88cが弾性力に対抗して、アーム85、アーム入力ギヤ86、アーム出力ギヤ87、磁性体保持部88、および解放ピン89を軸方向他方側に引き付ける。
このとき、アーム出力ギヤ87がストッパ84から解放される(図3参照)。これに伴い、アーム出力ギヤ87がアーム入力ギヤ95fに接続される。
さらに、解放ピン89が保持ケース141の貫通孔146を貫通して、解放ピン89が保持部材162の基部164をバネ163の弾性力に対抗して軸方向他方側に押し付ける。このため、アーム機構90のアーム95の下側アーム部95bは、保持部材162から解放される(図3参照)。したがって、アーム入力ギヤ95fは、保持機構150による回転角度の保持が解除されて、回転が許容されることになる。
この状態では、電動モータ20Aからの回転駆動力がギヤモジュール50、ギヤ60、70を介してアーム機構80のアーム入力ギヤ86に伝えられると、アーム入力ギヤ86から回転駆動力がアーム出力ギヤ87を介してアーム入力ギヤ95fに与えられる。これに伴い、アーム機構90のアーム95が軸35を中心として回転する。したがって、アーム出力ギヤ94が軸35を中心として公転する。このように、アーム出力ギヤ94は、アーム機構80からの回転駆動力によって公転することになる。
一方、電動モータ20Bが出力ギヤ21bを回転させると、出力ギヤ21bからの回転駆動力は、ギヤモジュール110のギヤ112に伝わる。このため、回転駆動力がギヤモジュール110のギヤ111からギヤ100を通してギヤモジュール91のギヤ91aに伝えられる。このため、ギヤ91aが軸35を中心として回転する。これに伴い、ギヤ91bが軸35を中心として回転する。これに連動して、ギヤ92bがギヤ92aとともに軸35を中心として回転する。これに伴い、アーム出力ギヤ94が軸95cを中心として自転する。つまり、電動モータ20Bがアーム出力ギヤ94を自転させることになる。
ソレノイド88bに対して電流を流すことを停止すると、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間の電磁力が作用しなくなる。このため、バネ88cが弾性力によって、アーム85、アーム入力ギヤ86、アーム出力ギヤ87、磁性体保持部88、および解放ピン89が軸方向一方側に移動する。これに伴い、アーム出力ギヤ87がアーム入力ギヤ95fから離脱する。このとき、ストッパ84はアーム出力ギヤ87に噛む(図2参照)。さらに、解放ピン89が保持ケース141の貫通孔146から抜かれる。よって、保持部材162がバネ163の弾性力によって軸方向一方側に押し付けられる。このため、アーム機構90のアーム95の下側アーム部95bは、保持部材162によって保持される(図2参照)。したがって、アーム入力ギヤ95fは、回転が禁止される。このため、アーム出力ギヤ87の公転角度が保持されることになる。
ここで、本実施形態では、アーム出力ギヤ94を公転させつつ、アーム出力ギヤ94を自転させることにより、ギヤ142b、142c、142d、142eのうち、任意のギヤ(以下、第1ギヤという)からアーム出力ギヤ94を離脱させて、ギヤ142b、142c、142d、142eのうち第1ギヤ以外の任意のギヤ(以下、第2ギヤという)にアーム出力ギヤ94を接続させることができる。これにより、図5、図10〜図15に示すように、ギヤ142b、142c、142d、142eのうち任意のギヤにアーム出力ギヤ94を接続させることができる。
特に、ギヤ142a、・・142eのうちアーム出力ギヤ94、87が時分割で接続することが可能になるギヤが2つになるようにギヤ142a、・・142eおよびアーム機構80、90が配置されている。本実施形態では、アーム出力ギヤ94、87が時分割で接続することが可能になるギヤとして、ギヤ142b、142eが設定されている。
以上のように、ギヤ142a、142b、142c、142d、142eのうち互いに相違する2つのギヤにアーム出力ギヤ87、94を同時に接続することができる。このようにギヤ142a〜142eのうち互いに相違する2つのギヤにアーム出力ギヤ87、94を同時に接続するには、制御回路170によって電動モータ20A、20Bおよびソレノイド88bを制御する切替制御処理を実行することが必要になる。そこで、以下、制御回路170の切替制御処理について説明する。
制御回路170は、図17のフローチャートにしたがって、切替制御処理を実行する。
まず、ステップ100において、ギヤ142a、142b、142c、142d、142eのうちアーム出力ギヤ87、94に接続される2つのギヤ(以下、接続ギヤという)を変更する必要があるか否かを判定する。
接続ギヤを変更する必要がない場合にはステップ100においてNOと判定して、電動モータ20A、20Bおよびソレノイド88bに対して制御状態を変更せずに、現状の制御状態を維持する(ステップ101)。
一方、接続ギヤを変更する必要がある場合にはステップ100においてYESと判定して、次のステップ110に進む。
このステップ110では、接続ギヤを変更する際にアーム機構(図中アーム1)90を駆動する必要があるか否かを判定する。
このとき、接続ギヤを変更する際にアーム機構(図中アーム2)80を駆動するだけで、アーム機構(図中アーム1)90を駆動する必要がないと判定した場合には、ステップ110においてNOとして、ステップ113においてアーム機構(図中アーム2)80を駆動して接続ギヤを変更する。
一方、接続ギヤを変更する際にアーム機構(図中アーム1)90を駆動する必要があると判定した場合には、ステップ110においてYESとして、自転・公転ロジック(ステップ112)を実行して接続ギヤを変更する。
以下、自転・公転ロジック(ステップ112)に先だってアーム2の駆動処理(ステップ113)について説明する。
(1)まず、制御回路170は、角度センサ172の検出値に基づいて、軸34を中心とするアーム出力ギヤ87の公転角度θaを算出し、この算出される公転角度θaを目標公転角度θmに近づけるように電動モータ20Aを制御する。
目標公転角度θmは、ギヤ142a、142b、142eのうち任意のギヤにアーム出力ギヤ87を接続するためにギヤ毎に設定される目標角度である。目標公転角度θmは、ギヤ142a、142b、142eに対してアーム出力ギヤ87が接続する際に最適となる公転角度である。
このように、制御回路170が電動モータ20Aを制御してアーム出力ギヤ87を公転させることにより、ギヤ142a、142b、142eのうち任意のギヤに対して軸方向一方側にアーム出力ギヤ87を停止させることができる。
その後、制御回路170がソレノイド88bに電流を流すと、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間の電磁力が、バネ88cの弾性力に対抗して、アーム85、アーム入力ギヤ86、アーム出力ギヤ87、磁性体保持部88、および解放ピン89を軸方向他方側に引き付けることになる。このとき、アーム出力ギヤ87がストッパ84から解放される。これに伴い、アーム出力ギヤ87が任意のギヤに接続される。
ここで、ギヤ142a、142b、142eのうち任意のギヤにアーム出力ギヤ87が接続されている場合に、制御回路170が電動モータ20Aを回転させると、電動モータ20Aの出力ギヤ21aからの回転駆動力がギヤモジュール50→ギヤ60、70→アーム入力ギヤ86、87→任意のギヤモジュール→出力ギヤに伝達される。
例えば、任意のギヤとしてのギヤ142aにアーム出力ギヤ87が接続されている場合には、電動モータ20Aの出力ギヤ21aからの回転駆動力がギヤモジュール50→ギヤ60、70→アーム入力ギヤ86、87→ギヤモジュール140a→ギヤ130aに伝達される。
このように制御回路170が電動モータ20Aおよびソレノイド88bを制御することにより、電動モータ20Aからの回転駆動力をギヤ130a、130b、120eのうち任意のギヤから出力させることができる。
(2)次に、自転・公転ロジック(ステップ112)について説明する。
まず、制御回路170は、角度センサ172の検出値に基づいて、軸34を中心とするアーム出力ギヤ87の公転角度θaを算出し、この算出される公転角度θaを目標公転角度θnに近づけるように電動モータ20Aを制御する。目標公転角度θnは、アーム入力ギヤ95fにアーム出力ギヤ87を接続するためにギヤ毎に設定されるアーム出力ギヤ87の目標角度である。
このように、制御回路170が電動モータ20Aを制御してアーム出力ギヤ87を公転させることにより、アーム入力ギヤ95fに対して軸方向一方側にアーム出力ギヤ87を停止させることができる(図2参照)。
その後、制御回路170がソレノイド88bに電流を流すと、ソレノイド88bおよび磁性体88aの間の電磁力が、バネ88cの弾性力に対抗して、アーム85、アーム入力ギヤ86、アーム出力ギヤ87、磁性体保持部88、および解放ピン89を軸方向他方側に引き付けることになる。このとき、アーム出力ギヤ87がストッパ84から解放される。これに伴い、アーム出力ギヤ87がアーム入力ギヤ95fに接続される(図3参照)。
ここで、制御回路170が電動モータ20Aを回転させると、電動モータ20Aの出力ギヤ21aからの回転駆動力がギヤモジュール50→ギヤ60、70→アーム入力ギヤ86→アーム出力ギヤ87→アーム入力ギヤ95fの順に伝達される。
このため、電動モータ20Aからの回転駆動力によって、アーム95が軸35を中心として回転する。これに伴い、アーム出力ギヤ94および軸95cが軸35を中心として公転する。このため、アーム出力ギヤ94を公転させることにより、アーム出力ギヤ94をギヤ142b、142c、142d、142eのうち任意のギヤに接続させることができる。
このようにギヤ142a〜142eのうち任意のギヤにアーム出力ギヤ94を接続するには、ギヤ92aの自転角度を制御しつつ、アーム出力ギヤ94の公転角度をそれぞれ制御することが必要になる。
制御回路170は、自転・公転ロジックを実行する際に、一定期間毎に、角度センサ171、172の検出角度をサンプリングして、これらサンプリング値等に基づいてδan’、δa(n+1)’、θba’、δan、δa(n+1)を算出し、これら算出したδan’、δa(n+1)’、θba’、δan、δa(n+1)に基づいて電動モータ20A、20Bを制御する。
ここで、δan’およびδa(n+1)’は、ギヤ92aの自転角度の算出値であって、角度センサ171の検出値に基づいて求められる。なお、説明の便宜上、後述する離脱ロジックではδan’を用いて、接続ロジックでは、δa(n+1)’を用いる。θba’は、アーム出力ギヤ94の公転角度の検出値であって、角度センサ172の検出値に基づいて求められる。
δanは、後述するように、アーム出力ギヤ94が離脱元ギヤnから離脱する際に設定されるギヤ92aの自転角度の目標値となる目標自転角度である。δanは、離脱元ギヤnの停止角度、θba(公転角度理論値)および角度センサ171の検出値のサンプリング値によって算出される。本実施形態のθbaとしては、角度センサ172の検出値が用いられる。
δa(n+1)は、後述するように、アーム出力ギヤ94が離脱元ギヤnから離脱してからアーム出力ギヤ94が接続先ギヤ(n+1)に接続する際に設定されるギヤ92aの自転角度の目標値となる目標自転角度である。δa(n+1)は、接続先ギヤ(n+1)の停止角度、θba(公転角度理論値)および角度センサ171の検出値のサンプリング値によって算出される。
本実施形態では、離脱元ギヤnの停止角度としては予め決められた角度が用いられる。接続先ギヤ(n+1)の停止角度としても予め決められた値が用いられる。なお、離脱元ギヤn、および接続先ギヤ(n+1)に関しては、後述する。
ここで、以下、説明の便宜上、ギヤ142a、142b、142c、142dのうち、第1ギヤを離脱元ギヤn、第2ギヤを接続先ギヤ(n+1)とし、ギヤ92aをギヤaとし、アーム出力ギヤ94をギヤbとする。離脱元ギヤnは、ギヤ142a〜142eのうちギヤaが離脱されるギヤである。接続先ギヤ(n+1)は、ギヤ142a〜142eのうちギヤaが接続されるギヤである。
さらに、図18に示すように、離脱元ギヤnとギヤbの歯先円が重なり合う領域を「離脱圏」とし、接続先ギヤ(n+1)とギヤbの歯先円が重なり合う領域を「接続圏」とする。その中間領域を「修正圏」とする。以下、制御回路170の切替制御処理によりギヤa、ギヤbが制御されてギヤaが自転しつつ、ギヤbが公転することにより、ギヤbがギヤnから離脱してギヤ(n+1)にギヤbに接続するまでの過程について説明する。
図19〜図23は、公転・自転ロジック(ステップ112)の詳細を示すフローチャートである。制御回路170は、角度センサ171、172の検出角度をサンプリングしつつ、図10〜図15のフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。
以下、公転ロジックに先だって自転ロジックについて説明する。
(自転ロジック)
まず、図19のステップ120において、離脱ロジックを実行する。離脱ロジックは、離脱元ギヤnからギヤbを離脱させるための制御処理である。その後、ステップ121において、ギヤbが離脱圏の外側(すなわち、離脱圏外)に位置するか否かを判定する。ステップ121の判定は、後述する領域判定ロジックで判定される。
このとき、ギヤbが離脱圏内に位置するとしてステップ121においてNOと判定すると、ステップ120に戻り、離脱ロジックを実行する。このため、ギヤbが離脱圏内に位置する限り、離脱ロジック(ステップ120)を継続して実行することになる。
その後、ギヤbが離脱圏外に位置するとしてステップ121においてYESと判定すると、ステップ122に進んで、接続ロジックを実行する。接続ロジックは、接続先ギヤ(n+1)にギヤbを接続させるための制御処理である。
その後、ステップ123において、接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了したか否かを判定する。ステップ123の判定は、後述する公転ロジックで判定される。
このとき、公転ロジックにおいて接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了していないとしてステップ123においてNOと判定すると、ステップ122に戻り、接続ロジックを実行する。このため、接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了していない限り、接続ロジック(ステップ122)およびステップ123のNO判定を繰り返し実行することになる。
その後、公転ロジックにおいて接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了したと判定すると、ステップ123においてYESと判定して自転ロジックを停止する。
次に、離脱ロジック(ステップ120)について図20を参照して説明する。
まず、図20のステップ130において、δan’が(δan+α)よりも大きいか否かを判定する。
δan’は、ギヤa(すなわち、ギヤ92a)の自転角度である。ステップ130で用いられるδan’は、ステップ130の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされた角度センサ171の検出信号のサンプリング値を変数として算出される。ステップ130で用いられるδan(ギヤaの目標自転角度)は、ステップ130の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされた角度センサ171、172の検出角度のサンプリング値を変数として算出される。+αは、自転ヒステリシスであって、ギヤaおよびギヤbの間においてピッチ円の円周方向一方に形成される公差を示す所定角度である。
ここで、δan’>(δan+α)であるときには、ステップ130においてYESと判定する。すると、次のステップ131において、電動モータ20B(図中モータ1と記す)の回転速度を所定速度ΔSだけ低減させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が遅くなる。
その後、ステップ130に戻り、δan’が(δan+α)よりも大きいか否かを判定する。このため、δan’>(δan+α)であるとしてステップ130においてYES判定される毎に、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ低減させる。このため、ギヤaおよびギヤbの自転速度が遅くなる。
次に、δan’≦(δan+α)になると、ステップ130においてNOと判定する。
次に、ステップ132において、δan’が(δan−α)よりも小さいか否かを判定する。
ステップ132で用いられるδan’は、ステップ132の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされた角度センサ171の検出信号のサンプリング値によって算出される。ステップ132で用いられるδan(ギヤaの目標自転角度)は、ステップ132の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされた角度センサ171、172の検出角度のサンプリング値を変数として算出される。−αは、自転ヒステリシスであって、ギヤaとギヤbとの間にてピッチ円の円周方向他方に形成される公差を示す所定角度である。
ここで、δan’<(δan−α)であるときには、ステップ132においてYESと判定する。すると、次のステップ133において、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ増大させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が速くなる。
その後、ステップ130に戻り、δan’≧(δan+α)であるとしてステップ130においてYESと判定されると、ステップ132に戻る。このため、δan’≦(δan+α)、かつδan’<(δan−α)であるとしてステップ132においてYESと判定される毎に、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ増大させる。このため、ギヤaおよびギヤbの自転速度が速くなる。
このようにステップ130或いは、ステップ132を実行する毎に、δan’、δanが繰り返し算出されて、この算出毎にδan’とδanとの差分(=|δan’−δan|)が所定角度(=α)未満であるか否かを判定する。このとき、δan’とδanとの差分が所定角度未満であると判定すると、電動モータ20Bの回転速度を制御することにより、ギヤaの自転速度を制御する。このため、ギヤa(すなわち、ギヤ92a)の自転角度をδan(ギヤaの目標自転角度)に近づけることになる。
その後、δan’とδanとの差分が所定角度未満になり、δan’≧(δan−α)になると、ステップ132においてNOと判定する。これに伴い、ギヤaの自転角度が許容公差内に入っていると判定して、ステップ134において、許容公差内フラグf1をセットする(f1=1)。
このように離脱元ギヤnからギヤbを離脱するために、電動モータ20Bの回転速度の制御によってギヤaの自転角度を制御することにより、ギヤbの自転角度を制御することができる。
次に、接続ロジック(ステップ142)について図21を参照して説明する。
接続ロジック(ステップ142)は、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱した後に実行される。
まず、図21のステップ140において、δa(n+1)’が(δa(n+1)+α)よりも大きいか否かを判定する。
δa(n+1)’は、ギヤa(すなわち、ギヤ92a)の自転角度である。ステップ140で用いられるδa(n+1)’は、ステップ140の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ171の検出角度のサンプリング値によって算出される。ステップ140で用いられるδa(n+1)は、ステップ140の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ171、172の検出角度のサンプリング値を変数として算出される。
ここで、δa(n+1)’>(δa(n+1)+α)であるときには、ステップ140においてYESと判定する。すると、次のステップ141において、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ低減させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が遅くなる。
その後、ステップ140に戻り、δa(n+1)’が(δa(n+1)+α)よりも大きいか否かを判定する。このため、δa(n+1)’>(δa(n+1)+α)であるとしてステップ140においてYES判定される毎に、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ低減させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が遅くなる。その後、δa(n+1)’≦(δa(n+1)+α)になると、ステップ140においてNOと判定する。
次に、ステップ142において、δa(n+1)’が(δa(n+1)−α)よりも小さいか否かを判定する。
ステップ142で用いられるδa(n+1)’は、ステップ142の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ171の検出角度のサンプリング値により算出される。ステップ142で用いられるδa(n+1)は、ステップ142の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ171、172の検出角度のサンプリング値を変数として算出される。−αは、自転ヒステリシスであって、ギヤaとギヤbとの間にてピッチ円の円周方向他方に形成される公差を示す角度である。
ここで、δa(n+1)’<(δa(n+1)−α)であるときには、ステップ140においてYESと判定する。すると、次のステップ143において、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ増大させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が速くなる。
その後、ステップ140に戻り、δa(n+1)’≦(δa(n+1)+α)であるとしてステップ140においてYESと判定されると、ステップ142に戻る。このため、δa(n+1)’≦(δa(n+1)+α)かつδa(n+1)’<(δa(n+1)−α)であるとしてステップ142においてYES判定される毎に、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ増大させる。
このようにステップ140、或いはステップ142を実行する毎に、δa(n+1)’、δa(n+1)が繰り返し算出されて、この算出毎にδa(n+1)’とδa(n+1)との差分(=|δa(n+1)’−δa(n+1)|)が所定角度(=α)未満であるか否かを判定する。このとき、δa(n+1)’とδa(n+1)との差分が所定角度以上であると判定すると、電動モータ20Bの回転速度を制御することにより、ギヤaの自転速度を制御する。このため、ギヤa(すなわち、ギヤ92a)の自転角度をδa(n+1)(ギヤaの目標自転角度)に近づけることになる。
その後、δa(n+1)’とδa(n+1)との差分が所定角度未満になり、δa(n+1)’≧(δa(n+1)−α)になると、ステップ142においてNOと判定する。これに伴い、ギヤaの自転角度が許容公差内に入っていると判定して、ステップ144において、許容公差内フラグf2をセットする(f2=1)。
このように離脱元ギヤnからギヤbを離脱してからギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続するために、電動モータ20Bの回転速度の制御によってギヤaの自転角度を制御することにより、ギヤbの自転角度を制御することができる。
次に、領域判定ロジックについて図22を参照して説明する。
まず、ステップ150において、θba’がθbanよりも小さいか否かを判定する。
θba’は、ギヤaに対するギヤbの公転角度である。ステップ150で用いられるθba’は、ステップ150の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ172の検出角度により算出される値である。θbanは、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱する際のギヤaに対するギヤbの目標公転角度であって、離脱元ギヤnに対するギヤbの離脱が完了するときに設定されるべきであるギヤbの公転角度である。
このとき、θba’<θbanであるとき、ステップ150において、YESと判定する。これに伴い、ステップ151において、ギヤbが離脱領域に位置すると判定する。
一方、θba’≧θbanであるとき、ステップ150において、NOと判定して、次のステップ152において、θba’がθba(n+1)よりも大きいか否かを判定する。
ステップ152で用いられるθba’は、ステップ152の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ172の検出角度のサンプリング値により算出される値である。θba(n+1)は、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱して接続先ギヤ(n+1)に接続する際のギヤaに対するギヤbの目標公転角度であって、接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了するときに設定されるべきであるギヤbの公転角度である。
ここで、θba’>θba(n+1)であるときには、ステップ153において、ギヤbが接続領域に位置すると判定する。一方、θba’≦θba(n+1)であるときには、ステップ154において、ギヤbが修正領域に位置すると判定する。
このようにステップ160、或いはステップ162を実行する毎に、θba’θban(或いは、θba(n+1))を算出して、この算出毎に、ギヤbが離脱領域、接続領域、修正領域のうちいずれの領域に位置するかを判定することになる。
このとき、ギヤbが接続領域、或いは修正領域に位置すると判定したときには、図19の自転ロジックのステップ121で離脱圏外にギヤbが位置するとしてYESと判定する。
(公転ロジック)
まず、図23のステップ160において、θba’が(θba(n+1)−β)よりも小さいか否かを判定する。
ステップ160で用いられるθba’は、ステップ160の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ172の検出角度のサンプリング値により算出される。−βは、公転ヒステリシスであって、ギヤbとギヤ(n+1)との間にてピッチ円の円周方向一方に形成される公差を示す所定角度である
このとき、θba’<(θba(n+1)−β)であるときには、ステップ160においてYESと判定して、次のステップ161において、電動モータ20Aを正方向に回転させる。これに伴い、ギヤbがギヤ(n+1)に向かって公転する。正方向とは、ギヤbがギヤaに対して公転する方向であって、ギヤbが離脱元ギヤnからギヤ(n+1)に向う方向である。
その後、ステップ160に戻り、θba’が(θba(n+1)−β)よりも小さいか否かを判定する。このため、θba’<(θba(n+1)−β)である限り、ステップ160のYES判定およびステップ161の正回転処理を繰り返し実行する。このため、電動モータ(モータ2と記す)20Aが正方向に回転することが継続される。
その後、θba’≧(θba(n+1)−β)になると、ステップ160においてNOと判定して、次のステップ162において、θba’が(θba(n+1)+β)よりも大きいか否かを判定する。
ステップ162で用いられるθba’は、ステップ162の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ172の検出値のサンプリング値により算出される。βは、公転ヒステリシスであって、ギヤbとギヤ(n+1)との間にてピッチ円の円周方向他方に形成される公差を示す所定角度である。
このとき、θba’>(θba(n+1)+β)であるときには、ステップ162においてYESと判定する。これに伴い、次のステップ163において、電動モータ20Aを逆方向に回転させる。このため、ギヤbが離脱元ギヤnに向かって公転する。逆方向とは、ギヤbがギヤaに対して公転する方向であって、ギヤbがギヤ(n+1)から離脱元ギヤnに向う方向である。つまり、逆方向とは、正方向と逆の方向である。
その後、ステップ160に戻る。このため、(θba(n+1)−β)≦θba’>(θba(n+1)+β)である限り、ステップ160のNO判定、ステップ162のYES判定、およびステップ163の逆回転処理を繰り返す。このため、電動モータ20Aが逆方向に回転することが継続される。
このように、ステップ160、或いは、ステップ162を実行する毎に、θba’、θba(n+1)を算出し、この算出毎にθba’とθba(n+1)との間の差分(=|θba’、θba(n+1)|)が所定角度(=β)未満であるか否かを判定する。このとき、θba’とθba(n+1)との間の差分が所定角度以上であると判定すると、電動モータ20Aの回転方向を制御することにより、ギヤbの公転方向を制御する。このため、ギヤbの公転角度をθba(n+1)に近づけることになる。
その後、θba’≧(θba(n+1)−β)かつθba’≦(θba(n+1)+β)になると、ステップ162でNOと判定して、次のステップ164において、ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了したと判定して、公転ロジックが停止される。
なお、公転ロジックにおいて、ステップ162でNOと判定した場合には、図19の自転ロジックのステップ123でYESと判定する。一方、ステップ162でNOと判定していない場合には、図19の自転ロジックのステップ123でNOと判定する。
このように本実施形態の制御回路170が公転ロジックと離脱ロジックとを制御することにより、電動モータ20A、20Bを連携制御する。すると、ギヤbの公転角度がθba(n+1)に近づきつつ、ギヤaの自転角度がδanに近づくことになる。このため、ギヤbの自転角度を制御しつつ、ギヤbの公転角度を制御することにより、ギヤbを離脱元ギヤnから離脱させることができる。
その後、制御回路170が公転ロジックと接続ロジックとを制御することにより、電動モータ20A、20Bを連携制御する。すると、ギヤbの公転角度がθba(n+1)に近づきつつ、ギヤaの自転角度がδa(n+1)に近づくことになる。このため、ギヤbの自転角度を制御しつつ、ギヤbの公転角度を制御することにより、ギヤbを接続先ギヤ(n+1)に接続させることができる。
次に、本実施形態において離脱元ギヤnからギヤbが離脱する具体例について説明する。図24は、ギヤaが自転しつつ、ギヤbが自転しながら公転して、離脱元ギヤnからギヤbが離脱する例を示す。
まず、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱するためのギヤbの自転角度の目標値である目標自転角度をδbnbaとし、ギヤbの離脱元ギヤn周りの転がり自転角度をδbnとし、ギヤbのギヤa周りの転がり自転角度をδbaとする。
最初に、δanは、次の数式1に示すように、δbnbaを変数とする関数faで表すことができる。
δan=fa(δbnba)・・・(数式1)
fa(δbnba)は、次の数式2で表すことができる。
fa(δbnba)=−(GRba×δbnba)・・・(数式2)
GRbaは、ギヤaの歯数をGaとし、ギヤbの歯数をGbとした場合のギヤbとギヤaとの間のギヤ比であって、次の数式3で表すことができる。
GRba=Gb/Ga・・・(数式3)
δbnbaは、次の数式4に示すように、δbn、およびδbaで表すことができる。
δbnba=(δbn−δba)・・・(数式4)
δbnは、次の数式5で表すことができる。
δbn=(GRnb×θbn)+θbn・・・(数式5)
GRnbは、離脱元ギヤnの歯数をGnとし、ギヤbの歯数をGbとした場合の離脱元ギヤnとギヤbとの間のギヤ比であって、次の数式6で表すことができる。
GRnb=Gn/Gb・・・(数式6)
θbnは、次の数式7で表すことができる。
θbn=fn(θba)・・・(数式7)
fn(θba)は、θbaを変数として幾何学的厳密解を与える関数である。θbaは、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱してギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する際のギヤaに対するギヤbの公転角度の理論値である。本実施形態において、θba’(ギヤbの公転角度検出値)をθba(公転角度理論値)としている。
δbaは、次の数式8で表すことができる。
δba=(GRab×θba)+θba・・・(数式8)
以上により、数式4に数式7および数式8を代入すると、数式9が得られる。
δbnba=((GRnb×fn(θba))+fn(θba))−((GRab×θba)+θba)・・・(数式9)
ここで、数式9を数式1に代入すると、δan(ギヤaの目標自転角度)は、θba(=θba’)を変数とする関数によって求めることができる。
以上により、ギヤbを離脱元ギヤnから離脱させる際に、δanに基づいて電動モータ20Bを制御して、かつθbaに基づいて電動モータ20Aを制御することにより、電動モータ20A、20Bを連携して制御することになる。つまり、電動モータ20A、20Bを連携して制御することにより、ギヤbを離脱元ギヤnから離脱させることができる。
次に、ギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する具体例について説明する。図25は、ギヤaの自転に伴ってギヤbが自転しながら公転して、接続先ギヤ(n+1)にギヤbが接続する例を示す。
まず、ギヤbを接続先ギヤ(n+1)に接続させるためのギヤbの自転角度の目標値である目標自転角度をδb(n+1)baとし、ギヤbの接続先ギヤ(n+1)周りの転がり自転角度をδb(n+1)とし、ギヤbのギヤa周りの転がり自転角度をδbaとする。
最初に、δa(n+1)は、次の数式10に示すように、δbnbaを変数とする関数faで表すことができる。
δa(n+1)=fa(δb(n+1)ba)・・・(数式10)
fa(δbnba)は、次の数式11で表すことができる。
fa(δb(n+1)ba)=−(GRba×δb(n+1)ba)・・・(数式11)
δb(n+1)baは、次の数式12に示すように、δbn、およびδbaで表すことができる。
δb(n+1)ba=(δb(n+1)−δba)・・・(数式12)
δb(n+1)は、次の数式13で表すことができる。
δb(n+1)=(GR(n+1)b×θb(n+1))+θb(n+1)・・・(数式13)
GR(n+1)bは、接続先ギヤ(n+1)の歯数をG(n+1)とし、ギヤbの歯数をGbとした場合の接続先ギヤ(n+1)とギヤbとの間のギヤ比であって、次の数式13で表すことができる。
GR(n+1)b=G(n+1)/Gb・・・(数式13)
θb(n+1)は、次の数式14で表すことができる。
θb(n+1)=f(n+1)(θba)・・・(数式14)
f(n+1)(θba)は、θbaを変数として幾何学的厳密解を与える関数である。θbaは、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱してギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する際のギヤaに対するギヤbの公転角度の理論値である。
δbaは、次の数式15で表すことができる。
δba=(GRab×θba)+θba・・・(数式15)
以上により、数式12に数式14および数式15を代入すると、数式16が得られる。
δb(n+1)ba=((GRnb×fn(θba))+fn(θba))−((GRab×θba)+θba)・・・(数式16)
ここで、数式16を数式10に代入すると、δa(n+1)(ギヤaの目標自転角度)は、θba(ギヤbの公転角度理論値)(=θba’)を変数とする関数により求めることができる。
以上により、ギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する際に、δa(n+1)に基づいて電動モータ20Bを制御して、かつθbaに基づいて電動モータ20Aを制御することにより、電動モータ20A、20Bを連携して制御することになる。つまり、電動モータ20A、20Bを連携して制御することにより、ギヤbを接続先ギヤ(n+1)に接続させることができる。
次に、本実施形態の作動の具体例について説明する。
まず、乗員がデフロスタスイッチ173を操作すると、制御回路170は、電動モータ20Aおよびソレノイド88bを制御することにより、アーム出力ギヤ87をアーム入力ギヤ95fに接続する。
これに加えて、制御回路170は、電動モータ20A、20Bを連携制御することにより、アーム出力ギヤ94をギヤ142bに接続する。この状態で、制御回路170は、電動モータ20Bを制御する。このため、電動モータ20Bがギヤモジュール140b、ギヤ130c、およびリンク機構を通してドア159a、159b、160a、160bを駆動する。これにより、フットドア159a、159bがフット吹出開口部156a、156bによって若干開ける。フェイスドア160a、160bが、デフロスタ吹出開口部158を開けつつ、フェイス吹出開口部157a、157bを閉じる。
一方、制御回路170は、電動モータ20Aおよびソレノイド88bを制御して、アーム出力ギヤ87をアーム入力ギヤ95fから離脱させてから、アーム出力ギヤ87をギヤ142eに接続する。この状態で、制御回路170は、電動モータ20Aを制御する。このため、電動モータ20Aがギヤモジュール140e、ギヤ130eを通して内外気切換ドア152Aを駆動する。これにより、内外気切換ドア152Aが、外気導入口151aを開けて、内気導入口151bを閉じることができる。
このとき、送風機152cは、外気導入口151aからの外気を空気流として吸い込んでこの吸い込んだ空気流を冷却用熱交換器153Aに送風する。このため、空気流は、冷却用熱交換器153Aにより冷却されて冷風として冷却用熱交換器153Aから左側空気通路151dおよび右側空気通路151eに吹き出される。
左側空気通路151dに流入した冷風の一部が加熱用熱交換器154Aを通過し残りの冷風がバイパス流路154aを通過する。このため、加熱用熱交換器154Aから吹き出される温風とバイパス流路154aを通過した冷風とが混合されて空調風として、主にデフロスタ吹出開口部158からフロントガラスの内表面に吹き出される。
右側空気通路151eに流入した冷風の一部が加熱用熱交換器154Aを通過し残りの冷風がバイパス流路154bを通過する。このため、加熱用熱交換器154Aから吹き出される温風とバイパス流路154bを通過した冷風とが混合されて空調風として、主にデフロスタ吹出開口部158からフロントガラスの内表面に吹き出される。
以上説明した本実施形態によれば、車載空調装置は、ドア159a、159b、160a、160b、160c、160dと、ドア159a、・・・、160dをそれぞれ駆動するギヤ142a、142b、142c、142d、142eとを備える。アーム機構90は、電動モータ20Bからの回転駆動力により自転するアーム出力ギヤ94と、アーム出力ギヤ94を回転自在に支持して、かつ軸35を中心として回転可能に支持されて、回転によりアーム出力ギヤ94を公転させるアーム95とを備える。アーム機構80は、電動モータ20Aからの回転駆動力により自転するアーム出力ギヤ87と、アーム出力ギヤ87を回転自在に支持して、かつ軸34を中心として回転自在に構成されて、回転によりアーム出力ギヤ87を公転させるアーム85とを備える。アーム出力ギヤ87、94は、それぞれ、公転することによりギヤ142a、・・・、142eのうち互いに相違する2つのギヤに接続し、この接続した2つのギヤを電動モータ20A、20Bからの回転駆動力により回転させるものである。そして、ギヤ142a、・・142eのうちアーム出力ギヤ94、87が時分割で接続することが可能になるギヤが2つになるようにギヤ142a、・・142eおよびアーム機構80、90が配置されている。本実施形態では、アーム出力ギヤ94、87が時分割で接続することが可能になるギヤとして、ギヤ142b、142eが設定されている。したがって、ドア159a、・・・、160dを駆動するのに要する遅延時間を短くすることができる。
本実施形態では、アーム機構90のアーム95は、アーム機構80のアーム出力ギヤ87からの回転駆動力によって公転する。このため、アーム機構90は、アーム出力ギヤ94の公転モード・自転モードを変更するためのソレノイドを用いる必要がない。このため、アーム機構90の体格の小型化を図ることができる。
本実施形態では、アーム機構80のアーム出力ギヤ87がアーム機構90のアーム入力ギヤ95fから離脱しているとき、保持機構160は、アーム機構90のアーム95の回転角度を保持する。このため、振動等により、アーム95の回転角度、ひいてはアーム95の公転角度がずれることを防止することができる。
本実施形態では、ギヤ142aがアーム機構80のアーム出力ギヤ87から離脱されているときに、保持機構150は、ギヤ142aの回転角度を保持する。したがって、ギヤ142aの回転角度がずれることを防止することができる。このため、アーム出力ギヤ87がギヤ142aに確実に接続することができる。
(本発明者による検討)
以下、上記特許文献1のアーム機構を2つ用いたシステム1Aについての発明者の検討結果について説明する。
システム1Aは、2つの従来型のアーム機構をアーム機構1a、1bとし、アーム機構1a、1bにより複数の出力軸のうち互いに相違する2つの出力軸を同時に駆動できるシステムである。
まず、アーム機構1a、1bにおいてアーム入力ギヤ86に相当するプーリを入力プーリ2a、2bとする。アーム機構1a、1bにおいてアーム出力ギヤ87に相当するプーリを出力プーリ4a、4bとする。
接続摩擦円3a、3bは、アーム機構1a、1bの出力プーリ(アーム出力ギヤ)4a、4bのうち出力軸に接続される摩擦部の面積である。接続摩擦円3a、3bは互いに接している。
接続摩擦円3a、3bの面積は、入力プーリ2aの回転中心と入力プーリ2bの回転中心との間の距離Dに依存している。接続摩擦円3a、3bの面積が最大となるD値が存在する(図26(b)参照)。Dが大きすぎると接続摩擦円3a、3bの間の距離がボトルネックとなり接続摩擦円3a、3bが小さくなる(図26(a)参照)。Dが小さすぎると接続摩擦円3a、3bの間の距離は余力が出るが、入力プーリ(アーム入力ギヤ)と出力プーリ(アーム出力ギヤ)との間の距離がボトルネックとなり接続摩擦円3a、3bが小さくなる(図26(c)参照)。
接続摩擦円3a、3bはある一定面積が必要とされる為、D寸法がとり得る値は結果的にある範囲に限定され、場合によっては成立領域が無い場合もあることから、設計的に自由度が少ない。従って、図26(c)の制約を回避するべく、図27の如く、アームは外側を周回するように駆動させる。
入力プーリ2a、2b・出力プーリ4a、4b・アーム・ベルト5a、5bの成立領域は、上記の如くなるが、一方で、電動モータ・ソレノイド、及び電磁クラッチの直径も、図27の如く、入力プーリ2a、2b(アーム入力ギヤ)に収める必要が生じる為、前述の制約に加えて電磁石・クラッチの制約も加味して検討する必要があり、必要十分な摩擦力を生じさせる程度の電磁力を発生させる強力なソレノイドが設定可能なのか、また、入力プーリ2a、2b(アーム入力ギヤ)の径相当のモータサイズで十分なトルクが発生可能なのか等、設計上の困難が予想される。
なお、図27中B1は出力プーリ4aの公転駆動範囲を示し、B2は出力プーリ4bの公転駆動範囲を示している。
(第2実施形態)
本第2実施形態では、アーム機構80、90のアーム出力ギヤ87、94が複数の出力部のうち1つの出力部を跨いで公転させることなく、アーム出力ギヤ87、94を公転により任意の出力部にそれぞれ接続させるように配置した例について図28を参照して説明する。
図28に、本発明に係る本実施形態の多軸駆動用アクチュエータ1において、アーム機構80、90、および出力部120W、120X、120Y、120Zの配置を示す。
出力部120W、120X、120Y、120Zは、上述の第1、第2実施形態の出力部120A、120B、120C、120D、120Eに相当するものである。
本実施形態では、アーム機構90のアーム出力ギヤ94の外円軌跡A1とアーム機構80のアーム出力ギヤ87の外円軌跡A2とが出力部120Zに重なるようにアーム機構80、90、および出力部120Zが配置されている。
そこで、本実施形態では、アーム出力ギヤ94が外円軌跡A1のうち出力部120Xを除いた範囲内を矢印B1の如く公転することにより、アーム出力ギヤ94を出力部120W、120Xに接続させることができる。アーム出力ギヤ87が外円軌跡A2のうち出力部120Xを除いた範囲内を矢印B2の如く公転することにより、アーム出力ギヤ87を出力部120X、120Yに接続させることができる。
以上の本実施形態によれば、上記第1実施形態に比べて出力部120Zと出力部120W、120X、120Yとの間の距離Lを短くすることができる。上記第1実施形態の距離Lは、出力部120A、120B、120Cと出力部120Eとの間の距離である。このため、多軸駆動用アクチュエータ1の体格の小型化を図ることができる。
なお、出力部120Zの代わりに出力部120Xを対象としても可である。出力部120Zと出力部120Xとの双方を対象でも可である。
(第3実施形態)
本第3実施形態では、上記第1実施形態において、アーム機構80に代えて、2つの遊星ギヤ機構を用いたアーム機構200が用いられる多軸駆動用アクチュエータ1について説明する。以下、本実施形態のアーム機構200の詳細を説明する。
アーム機構200は、図29(a)、(b)に示すように、遊星ギヤ機構210、220、およびアーム230を備える。
遊星ギヤ機構210は、サンギヤモジュール211、プラネタリプレート212、およびプラネタリギヤ213a、213b、213c、213dを備える。
サンギヤモジュール211は、その軸方向が軸290の軸方向に一致するように配置されたもので、軸290を中心として回転自在に構成されている。軸290は、ケーシング10に支持されている。
サンギヤモジュール211は、図29(b)に示すように、入力ギヤ211aとサンギヤ211bを備えるモジュールである。入力ギヤ211aとサンギヤ211bは、それぞれの軸方向が軸290の軸方向に一致するように配置されている。入力ギヤ211aは、中間ギヤ250を介して電動モータ20Aの出力ギヤ21からの回転駆動力を受けて回転する。サンギヤ211bは、入力ギヤ211aに対して軸方向一方側に配置されている。
中間ギヤ250は、軸291を中心として回転自在に支持されている。軸291は、ケーシング10によって支持されている。
プラネタリプレート212は、その軸方向が軸290の軸方向に一致するように配置されている。プラネタリプレート212は、軸290の径方向外側に歯を形成する平歯車である。
プラネタリプレート212は、サンギヤ211bのうち入力ギヤ211aとサンギヤ211bとの間に固定されている。プラネタリプレート212には、プラネタリギヤ213a、213b、213c、213dをそれぞれ回転自在に支持する軸212a、212b、212c、212d(図30参照)が設けられている。
プラネタリギヤ213a、213b、213c、213dは、サンギヤ211bと後述するリングギヤ231との間に配置されている。プラネタリギヤ213a、213b、213c、213dは、サンギヤ211bの回転方向に並べられている。
遊星ギヤ機構220は、図30および図31に示すように、サンギヤモジュール221、プラネタリギヤ222a、222b、222c、222d、およびリングギヤ223を備える。
サンギヤモジュール221は、その軸方向が軸292の軸方向に一致するように配置されたもので、軸292を中心として回転自在に構成されている。軸292は、アーム230に支持されている。つまり、サンギヤモジュール221は、アーム230によって回転自在に支持されている。
サンギヤモジュール221は、サンギヤ221aおよびアーム出力ギヤ221bを備えるモジュールである。サンギヤ221aおよびアーム出力ギヤ221bは、それぞれの軸方向が軸292の軸方向に一致するように配置されている。サンギヤ221aは、アーム出力ギヤ221bに対して軸方向一方側に配置されている。アーム出力ギヤ221bは、サンギヤ221aとともに回転して、サンギヤ221aからの回転駆動力を出力部120Aのギヤ142a、出力部120Bのギヤ142b、および出力部120Eのギヤ142e、およびアーム機構90のアーム入力ギヤ95fのうち任意のギヤに出力する。
プラネタリギヤ222a、222b、222c、222dは、それぞれ、サンギヤ221aおよびリングギヤ223の間に配置されている。プラネタリギヤ222a、222b、222c、222dは、サンギヤ221aの回転方向に並べられている。プラネタリギヤ222a、222b、222c、222dは、それぞれ、リングギヤ223に接続されるともに、サンギヤ221aに接続されている。
プラネタリギヤ222a、222b、222c、222dは、後述する軸293、294、295、296を中心として回転自在に支持されているである。軸293、294、295、296は、アーム230によって支持されている。このことにより、プラネタリギヤ222a、222b、222c、222dは、アーム230によって回転自在に支持されていることになる。
リングギヤ223は、軸292の軸線を中心として環状に形成されて、歯が径方向内側に形成されている内歯車である。リングギヤ223は、その歯がプラネタリプレート212の歯に接続されている。
アーム230は、軸290の軸方向に直交するプレート状に形成されている。アーム230は、リングギヤ231を構成している。リングギヤ231は、軸290を中心とする環状に形成されて、軸290を中心とする径方向内側に歯が形成されている内歯車である。
本実施形態では、軸290、291、292、293、294、295、296、212a、212b、212c、212dは、それぞれの軸方向が平行になっている。
ストッパ260は、図32(a)(b)に示すように、鉤部261、262および収納部263を備えて、リングギヤ231およびプラネタリプレート212のうち一方のギヤの回転を停止し、他方のギヤの回転を許容する。
鉤部261は、収納部263からリングギヤ231側に延びるように形成されている。鉤部261は、穴部214a〜214fのうちいずれかの穴部に挿入されて、リングギヤ231の回転を停止する。穴部214a〜214fは、アーム230に形成されている。穴部214a〜214fは、軸290の軸線を中心とする円周方向に並べられている。穴部214a〜214fのうち4つの穴部は、出力部120A、120B、120E、アーム機構90のギヤ95fのそれぞれに対応している。
鉤部262は、収納部263からプラネタリプレート212側に延びるように形成されている。鉤部262は、プラネタリプレート212の複数の穴部215のうちいずれかの穴部215に挿入されて、プラネタリプレート212の回転を停止する。複数の穴部215は、軸290の軸線を中心とする円周方向に同一間隔に並べられている。
収納部263は、図32(a)、(b)に示すように、断面コ字状に形成されて、ソレノイド270およびバネ280を収納する。収納部263は、鉄等の磁性体からなるものである。ソレノイド270は、ケーシング10により支持されて、ストッパ260の収納部263の天井263a側を軸方向他方側に引き付ける電磁力を出力する。バネ280は、一端側がケーシング10により支持されて他端側が収納部263の天井263a側により支持されている。バネ280は、ストッパ260を軸方向一方側に押す弾性力を出力する。
本実施形態では、上記第1実施形態の保持機構150に代えて、ギヤ保持機構150Xが用いられる。図33はギヤ保持機構150Xおよびギヤ142aをその径方向外側から視た図である。図34(a)はギヤ保持機構150Xの断面図であり、図34(b)はアーム230が図34(a)の位置から移動してギヤ保持機構150Xがギヤ142aを保持している状態を示している。
ギヤ保持機構150Xは、ギヤ142aを保持するための保持機構であって、ロック部301、サポート部302、およびバネ303から構成されている。ロック部301は、ギヤ142aの歯に噛み込んでギヤ142aの回転を止める係合部301aと、アーム出力ギヤ221bの突起部221cにより軸方向他方側に押される被押圧部301bとからなる。係合部301aは、被押圧部301bに対して径方向内側に配置されている。ロック部301は、サポート部302により軸方向移動可能に支持されている。バネ303は、サポート部302内に配置されて、ロック部301を軸方向一方側に押す弾性力を発生する。
本実施形態では、上記第1実施形態の保持機構160に代えて、アーム保持機構が用いられる。アーム保持機構は、アーム機構90のアーム95の回転角度を所望角度に保持するために、アーム95の下側アーム部95b(図2参照)を保持する。
アーム保持機構とギヤ保持機構150Xとは、保持する対象が異なるだけで、アーム保持機構とギヤ保持機構150Xとは、互いに同様の構造を備えるので、アーム保持機構の構造の説明を省略する。
次に、本実施形態のアーム機構200の作動について説明する。
アーム機構200は、アーム出力ギヤ221bを公転させる公転モードと、アーム出力ギヤ221bの自転により電動モータ20Aからの回転駆動力をアーム出力ギヤ221bから所望の出力ギヤに伝達する自転モードとを備える。
以下、公転モードを自転モードに先だって説明する。
(公転モード)
次に、ソレノイド270への電流の供給を停止してソレノイド270をオフする。これに伴い、ソレノイド270から電磁力が出力されなくなる。このため、バネ280の弾性力によりストッパ260を軸方向一方側に移動させる。このため、図32(b)に示すように、鉤部261が軸方向一方側に移動する。このため、鉤部261が穴部214a〜214fのうち例えば穴部214aから出て、鉤部261が遊星ギヤ機構210のリングギヤ231を解放する。このため、リングギヤ231はその回転が許容される。これに伴い、鉤部262が軸方向一方側に移動して鉤部262が遊星ギヤ機構210のプラネタリプレート212の複数の穴部215のうちいずれかの穴部215に挿入される。これにより、プラネタリプレート212の回転が止められる。
次に、電動モータ20Aに電流が供給されて電動モータ20Aの出力ギヤ21から回転駆動力が出力されると、回転駆動力は、中間ギヤ250を介して入力ギヤ211aを介してサンギヤモジュール211に伝わる。このため、サンギヤ211bが軸290を中心として回転する。これに伴い、プラネタリプレート212が軸290を中心として回転する。
このとき、プラネタリギヤ213a、213b、213c、213dは、それぞれ、自転しながら、軸290を中心として公転する。これにより、リングギヤ231が軸290を中心として回転する。このため、アーム230が軸290を中心として回転する。これにより、サンギヤモジュール211のアーム出力ギヤ221bが軸290を中心として公転する。このとき、アーム出力ギヤ221bは、ギヤ142a、142b、142e、アーム入力ギヤ95fのうち任意のギヤに接続して、この任意のギヤからアーム出力ギヤ221bが離脱することができる。
なお、アーム出力ギヤ221bが任意の出力ギヤに接続された状態で、電動モータ20Aの出力ギヤ21から回転駆動力が出力されると、アーム出力ギヤ221bは軸292を中心として自転しながら公転して、アーム出力ギヤ221bが任意の出力ギヤから離脱する。このとき、アーム出力ギヤ221bの自転方向は、アーム出力ギヤ221bの公転方向と反対方向になる。
ここで、ギヤ142aがアーム出力ギヤ221bに接続されていない状態では、ギヤ保持機構150Xがギヤ142aの回転角度を保持する。具体的には、ロック部301はバネ303の弾性力によりサポート部302から軸方向一方側に押される。このため、ロック部301の係合部301aが、図33および図34(a)に示すように、ギヤ142aの歯に噛み込んでギヤ142aの回転角度を保持する。
例えば、アーム出力ギヤ221bがギヤ142aに接続する際には、アーム出力ギヤ221bの突起部221cがロック部301の被押圧部301bを軸方向他方側に押す。このため、ロック部301は、バネ303を圧縮しながら軸方向他方側に移動してサポート部302内に収納される。
これにより、ロック部301の係合部301aがギヤ142aから外れる。このため、ロック部301の係合部301aによるギヤ142aの回転角度の保持が解除されて、ギヤ142aは回転が許容される。このため、ギヤ142aは、その回転が許容された状態で、アーム出力ギヤ221bに接続されることになる。
(自転モード)
次に、ソレノイド270に電流を供給してソレノイド270がオンする。これに伴い、ソレノイド270および収納部263の天井263aの間に電磁力が作用する。この電磁力は、バネ280の弾性力に対抗して収納部263の天井263aをソレノイド270に引き寄せる。このため、ストッパ260が軸方向他方側に移動する。このため、図32(a)に示すように、鉤部261が軸方向他方側に移動して鉤部261が穴部214a〜214fのうちいずれかの穴部に挿入される。したがって、リングギヤ231はその回転が止められる。これに伴い、鉤部262が軸方向他方側に移動して穴部215から出る。このため、鉤部262は、遊星ギヤ機構210のプラネタリプレート212を解放する。これにより、プラネタリプレート212の回転が許容される。
ここで、ギヤ142a、142b、142e、アーム入力ギヤ95fのうち任意のギヤにアーム出力ギヤ221bが接続している場合には、電動モータ20Aの出力ギヤ21から回転駆動力が出力されると、回転駆動力は、中間ギヤ250を介して入力ギヤ211aを介してサンギヤモジュール211に伝わる。このため、サンギヤ211bが軸290を中心として回転する。これに伴い、プラネタリプレート212が軸290を中心として回転する。このため、プラネタリギヤ213a、213b、213c、213dは、それぞれ、自転しながら、軸290を中心として公転する。このとき、上述の如く、リングギヤ231はその回転が止められるので、アーム230は停止している。
一方、プラネタリプレート212の回転に伴ってリングギヤ223が軸293を中心として回転する。このため、プラネタリギヤ222a、142b、142c、142dは、それぞれ軸293、294、295、296を中心として自転する。このため、サンギヤ221aは、軸292を中心として回転する。これにより、サンギヤモジュール121、すなわち、アーム出力ギヤ221bが軸292を中心として自転する。
ここで、アーム出力ギヤ221bが任意のギヤとしてのギヤ142aに接続されている場合には、アーム出力ギヤ221bの回転に伴って、出力部120Aのギヤモジュール140aのギヤ142aが軸141aを中心として回転する。このため、ギヤ130cがギヤ143aにより駆動されて回転する。
以上により、電動モータ20Aの出力ギヤ21からの回転駆動力は、中間ギヤ250→サンギヤモジュール211→プラネタリプレート212→リングギヤ223→プラネタリギヤ222a〜222d→サンギヤモジュール221→アーム出力ギヤ221b→ギヤ142a(任意のギヤ)の順に伝達される。
(他の実施形態)
(1) 上記第1〜第3の実施形態では、アーム機構90のアーム入力ギヤ95fを平歯車にした例について説明したが、これに代えて、アーム入力ギヤ95fとして傘ギヤを用いてもよい。この場合、アーム機構80のアーム出力ギヤ87として傘ギヤを用いる。
(2) 上記第1〜第3の実施形態では、角度センサ171、172としては、光学式センサを用いた例について説明したが、これに代えて、角度センサ171、172として磁気センサを用いてもよい。
(3) 上記第1〜第3の実施形態では、アーム出力ギヤ87の公転角度を求めるために角度センサ172によってギヤ70の回転角度を検出する例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
すなわち、アーム出力ギヤ87の公転角度を求めるために、角度センサ172によってギヤ70以外のギヤ(例えば、アーム入力ギヤ86、ギヤ60、52、51など)の回転角度を検出してもよい。
(4) 上記第1〜第3の実施形態では、アーム出力ギヤ87の自転角度を求めるために角度センサ171によってギヤ91aの回転角度を検出する例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
すなわち、アーム出力ギヤ87の自転角度を求めるために角度センサ171によってギヤ91a以外のギヤ(例えば、ギヤ100、111、112など)の回転角度を検出してもよい。
(5) 上記第1〜第3の実施形態では、第1アーム機構としてアーム機構90を採用し、第2アーム機構としてアーム機構80を採用した例について説明したが、これに代えて、次の(a)(b)(c)(d)のようにしてもよい。
(a)第1アーム機構としてアーム機構80を採用し、かつ第2アーム機構としてアーム機構80を採用する。
(b)第1アーム機構として上記第3実施形態のアーム機構200を採用し、第2アーム機構としてアーム機構200を採用する。
(c)第1アーム機構としてアーム機構200を採用し、第2アーム機構としてアーム機構80を採用する。
(d)第1アーム機構としてアーム機構80を採用し、第2アーム機構としてアーム機構200を採用する。
(6) 上記第1〜第3の実施形態では、本発明の駆動源としては、電動モータ20A、20Bを用いた例について説明したが、これに代えて、人力や内燃機関などの各種の駆動源を本発明の駆動源としてもよい。
(7) 上記第3実施形態では、遊星ギヤ機構210を構成する第1プラネタリギヤ(213a、213b、213c、213d)の個数を、4つとした例について説明したが、これに限らず、第1プラネタリギヤの個数を、4つ以外の個数としてもよい。
(8) 上記第3実施形態では、複数の第1プラネタリギヤ(213a、213b、213c、213d)を軸290を中心とする回転方向に並べた例について説明したが、これに代えて、サンギヤ211bおよびリングギヤ231の間に複数の第1プラネタリギヤを径方向に直列に接続させるようにしてもよい。
(9) 上記第3実施形態では、遊星ギヤ機構210を構成する第2プラネタリギヤ(222a、222b、222c、222d)の個数を、4つとした例について説明したが、これに限らず、第2プラネタリギヤの個数を、4つ以外の個数としてもよい。
(10) 上記第3実施形態では、複数の第2プラネタリギヤ(222a、222b、222c、222d)を軸292を中心とする回転方向に並べた例について説明したが、これに代えて、サンギヤ221aおよびリングギヤ223の間に複数の第2プラネタリギヤを径方向に直列に接続させるようにしてもよい。
(11) 上記第3実施形態では、リングギヤ231の回転を止めるために、アーム230の穴部214a〜214fのいずれか穴部に鉤部261を挿入した例について説明したが、これに代えて、リングギヤ231に対して側面から鉤部261を噛み込ませるようにしてもよい。
(12) 上記第3実施形態では、プラネタリプレート212の回転を停止するために、プラネタリプレート212の複数の穴部215のうちいずれかの穴部215に鉤部262を挿入した例について説明したが、これに代えて、プラネタリプレート212に対してその側面から鉤部262を噛み込ませるようにしてもよい。
(13) 本発明を実施するにあたり、上記第1実施形態では、ギヤ142c、142d、142eのうち任意のギヤの停止角度をギヤ毎に角度センサにより検出し、制御回路130は、角度センサの検出停止角度に応じて電動モータ20A、20Bを連動制御して任意のギヤにアーム出力ギヤ94を接続させてもよい。これにより、制御回路130は、角度センサにより実際に検出される停止角度に合った公転ロジック、自転ロジックを実行することができる。
(14) なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
1 多軸駆動用アクチュエータ
20A 電動モータ(第2駆動源)
20B 電動モータ(第1駆動源)
35 軸(第1軸)
80 アーム機構(第2アーム機構)
85 アーム(第2アーム)
87 アーム出力ギヤ(第2アーム出力ギヤ)
90 アーム機構(第1アーム機構)
94 アーム出力ギヤ(第1アーム出力ギヤ)
95 アーム(第1アーム)
142a、142b、142c、142d、142e ギヤ(出力ギヤ)
150 保持機構(出力ギヤ保持部)
159a、159b フットドア
160 保持機構(アーム保持部)
160a、160b フェイスドア
160c、160d リアフェイスドア

Claims (4)

  1. 複数の空調ドア(ドア155a、159a、159b、160a、160b、155b、160c、160d、152A)を備える車載空調装置に適用される車両空調用動力伝達機構であって、
    前記複数の空調ドアをそれぞれ駆動する複数の出力ギヤ(142a、142b、142c、142d、142e)と、
    第1駆動源(20B)からの回転駆動力により自転する第1アーム出力ギヤ(94)と、前記第1アーム出力ギヤを自転自在に支持して、かつ第1軸(35)を中心として回転可能に支持されて、回転により前記第1アーム出力ギヤを公転させる第1アーム(95)とを備える第1アーム機構(90)と、
    第2駆動源(20A)からの回転駆動力により自転する第2アーム出力ギヤ(87)と、前記第2アーム出力ギヤを自転自在に支持して、かつ第2軸(34)を中心として回転自在に構成されて、前記回転により前記第2アーム出力ギヤを公転させる第2アーム(85)とを備える第2アーム機構(80)と、を備え、
    前記第1、第2のアーム出力ギヤは、それぞれ、公転することにより前記複数の出力ギヤのうちいずれかの出力ギヤに接続し、これら接続したいずれかの出力ギヤを前記第1、第2の駆動源からの回転駆動力によりそれぞれ回転させるものであり、
    前記複数の出力ギヤのうち前記第1、第2のアーム出力ギヤが時分割で接続することが可能になる出力ギヤが2つになるように、前記複数の出力ギヤおよび前記第1、第2のアーム機構が配置されていることを特徴とする車両空調用動力伝達機構。
  2. 前記第1アーム機構は、前記第1アームを前記第1軸を中心として回転させる回転駆動力が与えられるアーム入力ギヤ(95f)を備え、
    前記第2アーム機構は、前記第2駆動源からの回転駆動力により前記第2アームを回転させて前記第2アーム出力ギヤを公転させることにより、前記第2アーム出力ギヤを前記アーム入力ギヤに接続するものであり、
    さらに前記第2アーム機構は、前記第2アーム出力ギヤを前記アーム入力ギヤを接続した状態で、前記第2駆動源からの回転駆動力を前記第2アーム出力ギヤおよび前記アーム入力ギヤを通して前記第1アームに出力して前記第1アームを回転させることを特徴とする請求項1に記載の車両空調用動力伝達機構。
  3. 前記アーム入力ギヤが前記第2アーム出力ギヤから離脱されているときに第1アームの回転角度を保持するアーム保持部(160)を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両空調用動力伝達機構。
  4. 前記複数の出力ギヤのうち前記第2アーム出力ギヤ(87)が接続することが可能な位置に配置されている出力ギヤを第1出力ギヤ(142a)とし、前記第1出力ギヤが前記第2アーム出力ギヤから離脱されているときに前記第1出力ギヤの回転角度を保持する出力ギヤ保持部(150)を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両空調用動力伝達機構。
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