以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
次に、本発明の動力伝達機構が適用される多軸駆動用アクチュエータ1について図1〜図7に基づいて説明する。
多軸駆動用アクチュエータ1は、図1、図2、および図3に示すように、ケーシング10、電動モータ20A、20B、および動力伝達機構30を備える。
ケーシング10は、上側ケーシング部10aおよび下側ケーシング部10bを組み合わせて構成されている。ケーシング10は、電動モータ20A、20B、および動力伝達機構30を収納している。
電動モータ20A、20Bは、ケーシング10に支持されている。電動モータ20A、20Bは、それぞれ、出力歯車21A、21Bから回転駆動力を出力する。出力歯車21A、21Bの軸方向は、後述する軸31、32、33、34、35の軸方向に直交している。電動モータ20A、20bは、それぞれ、制御回路130により制御される。なお、制御回路130について後述する。
動力伝達機構30は、歯車モジュール50、歯車60、歯車モジュール70、歯車80、アーム機構90、および出力部100A、100B、100C、100Dを備える。本明細書において、歯車モジュールとは、複数の歯車を備える部材のことである。
図2の歯車モジュール50は、その軸方向が軸31の軸方向に一致するように配置されている。歯車モジュール50は、軸31に対して回転自在に支持されている。歯車モジュール50は、歯車51、52を備える。歯車52は、歯車51に対して軸31の軸方向一方側に配置されている。図2、図3中の上側を軸方向一方側とし、下側を軸方向他方側としている。歯車51には、電動モータ20Aの出力歯車21Aが接続されている。
歯車60は、軸32に対して回転自在に支持されている。歯車60は、その軸方向が軸32の軸方向に一致するように配置されている。歯車60には、歯車モジュール50の歯車52や歯車95fが接続されている。
歯車モジュール70は、歯車71、72を備えるものであって、軸34に対して回転自在に支持されている。歯車モジュール70は、その軸方向が軸34の軸方向に一致するように配置されている。歯車72は、歯車71に対して軸方向一方側に配置されている。歯車72は、歯車80に接続されている。歯車71は、電動モータ20Bの出力歯車21Bに接続されている。
歯車80は、軸33に対して回転自在に支持されている。歯車80は、その軸方向が軸33の軸方向に一致するように配置されている。歯車80には、後述する歯車91aが接続されている。
アーム機構90は、歯車モジュール91、92、アーム出力歯車94、およびアーム95を備える。
歯車モジュール91は、その軸方向が軸35の軸方向に一致するように配置されている。歯車モジュール91には、歯車91a、91bが形成されている。歯車91aは、軸35を中心として回転自在に構成されている。歯車91bは、歯車91aに対して軸方向他方側に形成されている。歯車91bは、歯車モジュール91のうち軸方向他方側に開口する凹部のうち内周面に形成されている。
歯車モジュール92は、その軸方向が軸35の軸方向に一致するように配置されている。歯車モジュール92は、歯車92a、92bを備える。歯車92aは、軸35を中心として回転自在に支持されている。歯車92aは、歯車91bに対して軸方向他方側に配置されている。歯車92bは、歯車92aから軸方向一方側に突起するように形成されている。歯車92bは、上側アーム部95aの貫通穴95eを貫通して歯車91bに接続されている。
アーム出力歯車94は、回転軸95cを中心として回転自在に構成されている。アーム出力歯車94は、歯車92aに接続されている。アーム出力歯車94は、後述するように、出力部100A、100B、100C、100Dのうち任意の出力部の歯車に回転駆動力を出力する。
アーム95は、上側アーム部95a、下側アーム部95b、回転軸95c、および同心軸95dを備える。
上側アーム部95aおよび下側アーム部95bは、それぞれ、軸35から径方向一方側に延びるように形成されている。上側アーム部95aおよび下側アーム部95bは、歯車92aおよびアーム出力歯車94を軸方向一方側および他方側から挟むように形成されている。上側アーム部95aに対して径方向他方側には、歯車95fが形成されている。歯車95fには、歯車60が接続されている。回転軸95cは、その軸方向が軸35の軸方向に平行に配置されている。回転軸95cのうち軸方向一方側が上側アーム部95aに支持されている。回転軸95cのうち軸方向他方側が下側アーム部95bに支持されている。
同心軸95dは、下側アーム部95bに対して軸方向他方側に配置されている。同心軸95dは、下側アーム部95bを軸方向他方側から支える。同心軸95dは、その軸方向が軸35の軸方向に一致するように形成されている。同心軸95dは、軸35を中心として回転自在に支持されている。
本実施形態では、アーム95が軸35を中心として回転することにより、アーム出力歯車94が軸35を中心として公転する。
本実施形態では、軸31、32、33、34、35は、それぞれの軸方向が平行になっている。軸31、32、33、34、35は、ケーシング10により支持されている。
出力部100A、100B、100C、100Dは、アーム出力歯車94の公転軌道上に配置されている。出力部100Aは、図3に示すように、歯車110a、および歯車モジュール120aを備える。
歯車110aは、その軸線が軸111aの軸線に一致するように配置されている。軸111aは、その軸方向が軸31〜35の軸方向に対して平行になっている。軸111aは、ケーシング10により支持されている。歯車110aは、軸111aに対して回転自在に構成されている。歯車110aには、歯車モジュール120aの歯車123aが接続されている。歯車110aのうち軸方向他方側113aは、ケーシング10の開口部から露出している。
歯車モジュール120aは、その軸線が軸121aの軸線に一致するように配置されている。軸121aは、その軸方向が軸31〜35の軸方向に対して平行になっている。軸121aは、ケーシング10により支持されている。歯車モジュール120aは、軸121aを中心として回転自在に構成されている。歯車モジュール120aは、歯車122a、123aを備える。歯車122aは、歯車123aに対して軸方向一方側に配置されている。歯車122aには、後述するように、アーム出力歯車94から回転駆動力が伝えられる。歯車123aは、歯車110aに接続されている。
出力部100Bは、出力部100Aと同様に、歯車110b、および歯車モジュール120bを備える。出力部100C、100Dは、出力部100Aと同様に、歯車110c、110d、および歯車モジュール120c、120dを備える。このため、出力部100B、100C、100Dの構造の説明を簡素化する。
なお、歯車110b、110c、110dは、歯車110aに対応し、歯車モジュール120b、120c、120dは、歯車モジュール120aに対応している。歯車122b、122c、122dは、歯車122aに対応し、歯車123b、123c、123dは、歯車123aに対応している。軸111b、111c、111dは軸111aに対応し、軸121b、121c、121dは軸121aに対応している。
次に、本実施形態の制御回路130について図4を参照して説明する。
制御回路130は、マイクロコンピュータ、メモリ、アナログ−デジタルコンバータ等から構成されて、アーム出力歯車94を歯車122a〜122dのうち任意の歯車に切替接続するための切替制御処理を実行する。
制御回路130は、切替制御処理の実行に伴って、一定期間毎に、角度センサ131、132の検出角度をサンプリングして、これらサンプリング値等に基づいてδan’、δa(n+1)’、θba’、δan、δa(n+1)を算出し、これら算出したδan’、δa(n+1)’、θba’、δan、δa(n+1)に基づいて電動モータ20A、20Bを制御する。
ここで、角度センサ131は、アーム出力歯車94の自転角度(δan’、δa(n+1)’)を求めるために、歯車モジュール91の歯車91aの回転角度を検出する。角度センサ132は、アーム出力歯車94の公転角度(θba’)を求めるために、歯車60の回転角度を検出する。本実施形態の角度センサ131は、歯車91aに対して軸方向一方側に配置されている。角度センサ132は、歯車61に対して軸方向一方側に配置されている。
本実施形態の角度センサ131、132としては、例えば、光学式センサを用いることができる。
δan’およびδa(n+1)’は、歯車92aの自転角度の算出値であって、角度センサ131の検出値に基づいて求められる。なお、説明の便宜上、後述する離脱ロジックではδan’を用いて、接続ロジックでは、δa(n+1)’を用いる。θba’は、アーム出力歯車94の公転角度の検出値であって、角度センサ132の検出値に基づいて求められる。
δanは、後述するように、アーム出力歯車94が離脱元ギヤnから離脱する際に設定される歯車92aの自転角度の目標値となる目標自転角度である。δanは、角度センサ131の検出値のサンプリング値、離脱元ギヤnの停止角度、およびθba(公転角度理論値)によって算出される。本実施形態のθbaとしては、アーム出力歯車94の公転角度の検出値であるθba’が用いられる。
δa(n+1)は、後述するように、アーム出力歯車94が離脱元ギヤnから離脱してからアーム出力歯車94が接続先ギヤ(n+1)に接続する際に設定される歯車92aの自転角度の目標値となる目標自転角度である。δa(n+1)は、角度センサ131の検出値のサンプリング値、接続先ギヤ(n+1)の停止角度、およびθba(公転角度理論値)によって算出される。
本実施形態では、離脱元ギヤnの停止角度としては予め決められた角度が用いられる。接続先ギヤ(n+1)の停止角度としても予め決められた値が用いられる。なお、離脱元ギヤn、および接続先ギヤ(n+1)に関しては、後述する。
次に、本実施形態の多軸駆動用アクチュエータ1の作動の概略について図1、図5〜図8を参照して説明する。
まず、電動モータ20Aが出力歯車21Aを回転させると、出力歯車21Aからの回転駆動力は、歯車51を通して歯車モジュール50に伝わる。すると、歯車52が歯車51とともに軸32を中心として回転する。これに伴い、歯車52からの回転駆動力が歯車60を通して歯車95fに伝わる。このため、アーム95、アーム出力歯車94、および同心軸95dが軸35を中心として回転する。このとき、アーム出力歯車94が軸35を中心として公転することになる。つまり、電動モータ20Aがアーム出力歯車94を公転させることになる。
一方、電動モータ20Bが出力歯車21Bを回転させると、出力歯車21Bからの回転駆動力は、歯車71、72を通して歯車80に伝わる。このため、回転駆動力が歯車80から歯車モジュール91の歯車91aに伝えられる。このため、歯車91aが軸35を中心として回転する。これに伴い、歯車91bが歯車91aとともに軸35を中心として回転する。これに連動して、歯車92bが歯車92aとともに軸35を中心として回転する。これに伴い、歯車92aから回転駆動力がアーム出力歯車94に伝わる。よって、アーム出力歯車94が回転軸95cを中心として自転する。つまり、電動モータ20Bがアーム出力歯車94を自転させることになる。
そこで、本実施形態では、電動モータ20Aによりアーム出力歯車94を公転させつつ、電動モータ20Bによりアーム出力歯車94を自転させる。このことにより、出力部100Aの歯車122a、出力部100Bの歯車122b、出力部100Cの歯車122c、出力部100Dの歯車122dのうち、任意の出力歯車(以下、第1歯車という)からアーム出力歯車94を離脱させて、第1歯車以外の任意の歯車(以下、第2歯車という)にアーム出力歯車94を接続させることができる。
このため、歯車122a、122b、122c、122dのうち任意の歯車にアーム出力歯車94を接続することができる(図1、図5〜図7参照)。これにより、電動モータ20Bの出力歯車21Bからの回転駆動力が、歯車71→歯車80→歯車モジュール91、92→アーム出力歯車94→任意の歯車の順に伝達される。
このように歯車122a〜122dのうち任意の歯車にアーム出力歯車94を接続するには、歯車92aの自転角度を制御しつつ、アーム出力歯車94の公転角度をそれぞれ制御することが必要になる。
ここで、以下、説明の便宜上、歯車122a、122b、122c、122dのうち、第1歯車を離脱元ギヤn、第2歯車を接続先ギヤ(n+1)とし、歯車92aをギヤaとし、アーム出力歯車94をギヤbとする。離脱元ギヤnは、歯車122a〜122dのうちギヤaが離脱される歯車である。接続先ギヤ(n+1)は、歯車122a〜122dのうちギヤaが接続される歯車である。
さらに、図9に示すように、離脱元ギヤnとギヤbの歯先円が重なり合う領域を「離脱圏」とし、接続先ギヤ(n+1)とギヤbの歯先円が重なり合う領域を「接続圏」とする。その中間領域を「修正圏」とする。以下、制御回路130の切替制御処理によりギヤa、ギヤbが制御されてギヤaが自転しつつ、ギヤbが公転することにより、ギヤbがギヤnから離脱してギヤ(n+1)にギヤbに接続するまでの過程について説明する。
図10〜図15は、切替制御処理を示すフローチャートである。制御回路130は、角度センサ131、132の検出角度をサンプリングしつつ、図10〜図15のフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。
まず、図10のステップ100において、歯車122a〜122dのうち、ギヤbに接続されるギヤ(すなわち、出力歯車)を変更すべきか否かを判定する。
このとき、ギヤbに接続されるギヤを変更すべきではないとしてNOと判定すると、切替制御処理を終了する。一方、ギヤbに接続されるギヤを変更すべきであるとしてYESと判定すると、ステップ110に進んで、公転ロジック・自転ロジックを実行する。
以下、公転ロジックに先だって自転ロジックについて図11を参照して説明する。
(自転ロジック)
まず、図11のステップ120において、離脱ロジックを実行する。離脱ロジックは、離脱元ギヤnからギヤbを離脱させるための制御処理である。その後、ステップ121において、ギヤbが離脱圏の外側(すなわち、離脱圏外)に位置するか否かを判定する。ステップ121の判定は、後述する領域判定ロジックで判定される。
このとき、ギヤbが離脱圏内に位置するとしてステップ121においてNOと判定すると、ステップ120に戻り、離脱ロジックを実行する。このため、ギヤbが離脱圏内に位置する限り、離脱ロジック(ステップ120)を継続して実行することになる。
その後、ギヤbが離脱圏外に位置するとしてステップ121においてYESと判定すると、ステップ122に進んで、接続ロジックを実行する。接続ロジックは、接続先ギヤ(n+1)にギヤbを接続させるための制御処理である。
その後、ステップ123において、接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了したか否かを判定する。ステップ123の判定は、後述する公転ロジックで判定される。
このとき、公転ロジックにおいて接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了していないとしてステップ123においてNOと判定すると、ステップ122に戻り、接続ロジック(ステップ122)を実行する。このため、接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了していない限り、接続ロジック(ステップ122)およびステップ123のNO判定を繰り返し実行することになる。
その後、公転ロジックにおいて接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了したと判定すると、ステップ123においてYESと判定して自転ロジックを停止する。
次に、離脱ロジック(ステップ120)について図12を参照して説明する。
まず、図12のステップ130において、δan’が(δan+α)よりも大きいか否かを判定する。
δan’は、ギヤa(すなわち、歯車92a)の自転角度である。ステップ130で用いられるδan’は、ステップ130の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされた角度センサ131の検出信号のサンプリング値を変数として算出される。ステップ130で用いられるδan(ギヤaの目標自転角度)は、ステップ130の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされた角度センサ131、132の検出角度のサンプリング値を変数として算出される。+αは、自転ヒステリシスであって、ギヤaおよびギヤbの間においてピッチ円の円周方向一方に形成される公差を示す所定角度である。
ここで、δan’>(δan+α)であるときには、ステップ130においてYESと判定する。すると、次のステップ131において、電動モータ20B(図中モータ1と記す)の回転速度を所定速度ΔSだけ低減させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が遅くなる。
その後、ステップ130に戻り、δan’が(δan+α)よりも大きいか否かを判定する。このため、δan’>(δan+α)であるとしてステップ130においてYES判定される毎に、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ低減させる。このため、ギヤaおよびギヤbの自転速度が遅くなる。
次に、δan’≦(δan+α)になると、ステップ130においてNOと判定する。
次に、ステップ132において、δan’が(δan−α)よりも小さいか否かを判定する。
ステップ132で用いられるδan’は、ステップ132の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされた角度センサ131の検出信号のサンプリング値によって算出される。ステップ132で用いられるδan(ギヤaの目標自転角度)は、ステップ132の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされた角度センサ131、132の検出角度のサンプリング値を変数として算出される。−αは、自転ヒステリシスであって、ギヤaとギヤbとの間にてピッチ円の円周方向他方に形成される公差を示す所定角度である。
ここで、δan’<(δan−α)であるときには、ステップ132においてYESと判定する。すると、次のステップ133において、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ増大させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が速くなる。
その後、ステップ130に戻り、δan’≧(δan+α)であるとしてステップ130においてYESと判定されると、ステップ132に戻る。このため、δan’≦(δan+α)、かつδan’<(δan−α)であるとしてステップ132においてYESと判定される毎に、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ増大させる。このため、ギヤaおよびギヤbの自転速度が速くなる。
このようにステップ130或いは、ステップ132を実行する毎に、δan’、δanが繰り返し算出されて、この算出毎にδan’とδanとの差分(=|δan’−δan|)が所定角度(=α)未満であるか否かを判定する。このとき、δan’とδanとの差分が所定角度未満であると判定すると、電動モータ20Bの回転速度を制御することにより、ギヤaの自転速度を制御する。このため、ギヤa(すなわち、歯車92a)の自転角度をδan(ギヤaの目標自転角度)に近づけることになる。
その後、δan’とδanとの差分が所定角度未満になり、δan’≧(δan−α)になると、ステップ132においてNOと判定する。これに伴い、ギヤaの自転角度が許容公差内に入っていると判定して、ステップ134において、許容公差内フラグf1をセットする(f1=1)。
このように離脱元ギヤnからギヤbを離脱するために、電動モータ20Bの回転速度の制御によってギヤaの自転角度を制御することにより、ギヤbの自転角度を制御することができる。
次に、接続ロジック(ステップ122)について図13を参照して説明する。
接続ロジック(ステップ122)は、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱した後に実行される。
まず、図13のステップ140において、δa(n+1)’が(δa(n+1)+α)よりも大きいか否かを判定する。
δa(n+1)’は、ギヤa(すなわち、歯車92a)の自転角度である。ステップ140で用いられるδa(n+1)’は、ステップ140の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ131の検出角度のサンプリング値によって算出される。ステップ140で用いられるδa(n+1)は、ステップ140の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ131、132の検出角度のサンプリング値を変数として算出される。
ここで、δa(n+1)’>(δa(n+1)+α)であるときには、ステップ140においてYESと判定する。すると、次のステップ141において、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ低減させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が遅くなる。
その後、ステップ140に戻り、δa(n+1)’が(δa(n+1)+α)よりも大きいか否かを判定する。このため、δa(n+1)’>(δa(n+1)+α)であるとしてステップ140においてYES判定される毎に、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ低減させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が遅くなる。その後、δa(n+1)’≦(δa(n+1)+α)になると、ステップ140においてNOと判定する。
次に、ステップ142において、δa(n+1)’が(δa(n+1)−α)よりも小さいか否かを判定する。
ステップ142で用いられるδa(n+1)’は、ステップ142の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ131の検出角度のサンプリング値により算出される。ステップ142で用いられるδa(n+1)は、ステップ142の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ131、132の検出角度のサンプリング値を変数として算出される。−αは、自転ヒステリシスであって、ギヤaとギヤbとの間にてピッチ円の円周方向他方に形成される公差を示す角度である。
ここで、δa(n+1)’<(δa(n+1)−α)であるときには、ステップ140においてYESと判定する。すると、次のステップ143において、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ増大させる。このため、ギヤaの自転速度、ひいてはギヤbの自転速度が速くなる。
その後、ステップ140に戻り、δa(n+1)’≦(δa(n+1)+α)であるとしてステップ140においてYESと判定されると、ステップ142に戻る。このため、δa(n+1)’≦(δa(n+1)+α)かつδa(n+1)’<(δa(n+1)−α)であるとしてステップ142においてYES判定される毎に、電動モータ20Bの回転速度を所定速度ΔSだけ増大させる。
このようにステップ140、或いはステップ142を実行する毎に、δa(n+1)’、δa(n+1)が繰り返し算出されて、この算出毎にδa(n+1)’とδa(n+1)との差分(=|δa(n+1)’−δa(n+1)|)が所定角度(=α)未満であるか否かを判定する。このとき、δa(n+1)’とδa(n+1)との差分が所定角度以上であると判定すると、電動モータ20Bの回転速度を制御することにより、ギヤaの自転速度を制御する。このため、ギヤa(すなわち、歯車92a)の自転角度をδa(n+1)(ギヤaの目標自転角度)に近づけることになる。
その後、δa(n+1)’とδa(n+1)との差分が所定角度未満になり、δa(n+1)’≧(δa(n+1)−α)になると、ステップ142においてNOと判定する。これに伴い、ギヤaの自転角度が許容公差内に入っていると判定して、ステップ144において、許容公差内フラグf2をセットする(f2=1)。
このように離脱元ギヤnからギヤbを離脱してからギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続するために、電動モータ20Bの回転速度の制御によってギヤaの自転角度を制御することにより、ギヤbの自転角度を制御することができる。
次に、領域判定ロジックについて図14を参照して説明する。
まず、ステップ150において、θba’がθbanよりも小さいか否かを判定する。
θba’は、ギヤaに対するギヤbの公転角度である。ステップ150で用いられるθba’は、ステップ150の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ132の検出角度により算出される値である。θbanは、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱する際のギヤaに対するギヤbの目標公転角度であって、離脱元ギヤnに対するギヤbの離脱が完了するときに設定されるべきであるギヤbの公転角度である。
このとき、θba’<θbanであるとき、ステップ150において、YESと判定する。これに伴い、ステップ151において、ギヤbが離脱領域に位置すると判定する。
一方、θba’≧θbanであるとき、ステップ150において、NOと判定して、次のステップ152において、θba’がθba(n+1)よりも大きいか否かを判定する。
ステップ152で用いられるθba’は、ステップ152の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ132の検出角度のサンプリング値により算出される値である。θba(n+1)は、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱して接続先ギヤ(n+1)に接続する際のギヤaに対するギヤbの目標公転角度であって、接続先ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了するときに設定されるべきであるギヤbの公転角度である。
ここで、θba’>θba(n+1)であるときには、ステップ153において、ギヤbが接続領域に位置すると判定する。一方、θba’≦θba(n+1)であるときには、ステップ154において、ギヤbが修正領域に位置すると判定する。
このようにステップ160、或いはステップ162を実行する毎に、θba’θban(或いは、θba(n+1))を算出して、この算出毎に、ギヤbが離脱領域、接続領域、修正領域のうちいずれの領域に位置するかを判定することになる。
このとき、ギヤbが接続領域、或いは修正領域に位置すると判定したときには、図11の自転ロジックのステップ121で離脱圏外にギヤbが位置するとしてYESと判定する。
(公転ロジック)
まず、ステップ160において、θba’が(θba(n+1)−β)よりも小さいか否かを判定する。
ステップ160で用いられるθba’は、ステップ160の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ132の検出角度のサンプリング値により算出される。−βは、公転ヒステリシスであって、ギヤbとギヤ(n+1)との間にてピッチ円の円周方向一方に形成される公差を示す所定角度である
このとき、θba’<(θba(n+1)−β)であるときには、ステップ160においてYESと判定して、次のステップ161において、電動モータ20Aを正方向に回転させる。正方向とは、ギヤbがギヤaに対して公転する方向であって、ギヤbがギヤnからギヤ(n+1)に向う方向である。これに伴い、ギヤbがギヤ(n+1)に向かって公転する。
その後、ステップ160に戻り、θba’が(θba(n+1)−β)よりも小さいか否かを判定する。このため、θba’<(θba(n+1)−β)である限り、ステップ160のYES判定およびステップ161の正回転処理を繰り返し実行する。このため、電動モータ(モータ2と記す)20Aが正方向に回転することが継続される。
その後、θba’≧(θba(n+1)−β)になると、ステップ160においてNOと判定して、次のステップ162において、θba’が(θba(n+1)+β)よりも大きいか否かを判定する。
ステップ162で用いられるθba’は、ステップ162の実行タイミングに最も近いタイミングでサンプリングされる角度センサ132の検出値のサンプリング値により算出される。βは、公転ヒステリシスであって、ギヤbとギヤ(n+1)との間にてピッチ円の円周方向他方に形成される公差を示す所定角度である。
このとき、θba’>(θba(n+1)+β)であるときには、ステップ162においてYESと判定する。これに伴い、次のステップ163において、電動モータ20Aを逆方向に回転させる。逆方向とは、ギヤbがギヤaに対して公転する方向であって、ギヤbがギヤ(n+1)からギヤnに向う方向である。つまり、逆方向とは、正方向と逆の方向である。このため、ギヤbがギヤnに向かって公転する。
その後、ステップ160に戻る。このため、(θba(n+1)−β)≦θba’>(θba(n+1)+β)である限り、ステップ160のNO判定、ステップ162のYES判定、およびステップ163の逆回転処理を繰り返す。このため、電動モータ20Aが逆方向に回転することが継続される。
このように、ステップ160、或いは、ステップ162を実行する毎に、θba’、θba(n+1)を算出し、この算出毎にθba’とθba(n+1)との間の差分(=|θba’、θba(n+1)|)が所定角度(=β)未満であるか否かを判定する。このとき、θba’とθba(n+1)との間の差分が所定角度以上であると判定すると、電動モータ20Aの回転方向を制御することにより、ギヤbの公転方向を制御する。このため、ギヤbの公転角度をθba(n+1)に近づけることになる。
その後、θba’≧(θba(n+1)−β)かつθba’≦(θba(n+1)+β)になると、ステップ162でNOと判定して、次のステップ164において、ギヤ(n+1)に対するギヤbの接続が完了したと判定して、公転ロジックが停止される。
なお、公転ロジックにおいて、ステップ162でNOと判定した場合には、図11の自転ロジックのステップ123でYESと判定する。一方、ステップ162でNOと判定していない場合には、図11の自転ロジックのステップ123でNOと判定する。
このように本実施形態の制御回路130が公転ロジックと離脱ロジックとを制御することにより、電動モータ20A、20Bを連携制御する。すると、ギヤbの公転角度がθba(n+1)に近づきつつ、ギヤaの自転角度がδanに近づくことになる。このため、ギヤbの自転角度を制御しつつ、ギヤbの公転角度を制御することにより、ギヤbを離脱元ギヤnから離脱させることができる。
その後、制御回路130が公転ロジックと接続ロジックとを制御することにより、電動モータ20A、20Bを連携制御する。すると、ギヤbの公転角度がθba(n+1)に近づきつつ、ギヤaの自転角度がδa(n+1)に近づくことになる。このため、ギヤbの自転角度を制御しつつ、ギヤbの公転角度を制御することにより、ギヤbを接続先ギヤ(n+1)に接続させることができる。
次に、本実施形態においてギヤnからギヤbが離脱する具体例について説明する。図16は、ギヤaが自転しつつ、ギヤbが自転しながら公転して、離脱元ギヤnからギヤbが離脱する例を示す。
まず、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱するためのギヤbの自転角度の目標値である目標自転角度をδbnbaとし、ギヤbの離脱元ギヤn周りの転がり自転角度をδbnとし、ギヤbのギヤa周りの転がり自転角度をδbaとする。
最初に、δanは、次の数式1に示すように、δbnbaを変数とする関数faで表すことができる。
δan=fa(δbnba)・・・(数式1)
fa(δbnba)は、次の数式2で表すことができる。
fa(δbnba)=−(GRba×δbnba)・・・(数式2)
GRbaは、ギヤaの歯数をGaとし、ギヤbの歯数をGbとした場合のギヤbとギヤaとの間のギヤ比であって、次の数式3で表すことができる。
GRba=Gb/Ga・・・(数式3)
δbnbaは、次の数式4に示すように、δbn、およびδbaで表すことができる。
δbnba=(δbn−δba)・・・(数式4)
δbnは、次の数式5で表すことができる。
δbn=(GRnb×θbn)+θbn・・・(数式5)
GRnbは、離脱元ギヤnの歯数をGnとし、ギヤbの歯数をGbとした場合の離脱元ギヤnとギヤbとの間のギヤ比であって、次の数式6で表すことができる。
GRnb=Gn/Gb・・・(数式6)
θbnは、次の数式7で表すことができる。
θbn=fn(θba)・・・(数式7)
fn(θba)は、θbaを変数として幾何学的厳密解を与える関数である。θbaは、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱してギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する際のギヤaに対するギヤbの公転角度の理論値である。本実施形態において、θba’(ギヤbの公転角度検出値)をθba(公転角度理論値)としている。
δbaは、次の数式8で表すことができる。
δba=(GRab×θba)+θba・・・(数式8)
以上により、数式4に数式7および数式8を代入すると、数式9が得られる。
δbnba=((GRnb×fn(θba))+fn(θba))−((GRab×θba)+θba)・・・(数式9)
ここで、数式9を数式1に代入すると、δan(ギヤaの目標自転角度)は、θba(=θba’)を変数とする関数によって求めることができる。
以上により、ギヤbをギヤnから離脱させる際に、δanに基づいて電動モータ30Bを制御して、かつθbaに基づいて電動モータ30Aを制御することにより、電動モータ30A、30Bを連携して制御することになる。つまり、電動モータ30A、30Bを連携して制御することにより、ギヤbを離脱元ギヤnから離脱させることができる。
次に、ギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する具体例について説明する。図17は、ギヤaの自転に伴ってギヤbが自転しながら公転して、接続先ギヤ(n+1)にギヤbが接続する例を示す。
まず、ギヤbを接続先ギヤ(n+1)に接続させるためのギヤbの自転角度の目標値である目標自転角度をδb(n+1)baとし、ギヤbの接続先ギヤ(n+1)周りの転がり自転角度をδb(n+1)とし、ギヤbのギヤa周りの転がり自転角度をδbaとする。
最初に、δa(n+1)は、次の数式10に示すように、δbnbaを変数とする関数faで表すことができる。
δa(n+1)=fa(δb(n+1)ba)・・・(数式10)
fa(δbnba)は、次の数式11で表すことができる。
fa(δb(n+1)ba)=−(GRba×δb(n+1)ba)・・・(数式11)
δb(n+1)baは、次の数式12に示すように、δbn、およびδbaで表すことができる。
δb(n+1)ba=(δb(n+1)−δba)・・・(数式12)
δb(n+1)は、次の数式13で表すことができる。
δb(n+1)=(GR(n+1)b×θb(n+1))+θb(n+1)・・・(数式13)
GR(n+1)bは、接続先ギヤ(n+1)の歯数をG(n+1)とし、ギヤbの歯数をGbとした場合の接続先ギヤ(n+1)とギヤbとの間のギヤ比であって、次の数式13で表すことができる。
GR(n+1)b=G(n+1)/Gb・・・(数式13)
θb(n+1)は、次の数式14で表すことができる。
θb(n+1)=f(n+1)(θba)・・・(数式14)
f(n+1)(θba)は、θbaを変数として幾何学的厳密解を与える関数である。θbaは、ギヤbが離脱元ギヤnから離脱してギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する際のギヤaに対するギヤbの公転角度の理論値である。
δbaは、次の数式15で表すことができる。
δba=(GRab×θba)+θba・・・(数式15)
以上により、数式12に数式14および数式15を代入すると、数式16が得られる。
δb(n+1)ba=((GRnb×fn(θba))+fn(θba))−((GRab×θba)+θba)・・・(数式16)
ここで、数式16を数式10に代入すると、δa(n+1)(ギヤaの目標自転角度)は、θba(ギヤbの公転角度理論値)(=θba’)を変数とする関数により求めることができる。
以上により、ギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する際に、δa(n+1)に基づいて電動モータ30Bを制御して、かつθbaに基づいて電動モータ30Aを制御することにより、電動モータ30A、30Bを連携して制御することになる。つまり、電動モータ30A、30Bを連携して制御することにより、ギヤbを接続先ギヤ(n+1)に接続させることができる。
以上説明した本実施形態によれば、多軸駆動用アクチュエータ1は、歯車122a〜122dと、電動モータ20Bから出力される回転駆動力により軸35を中心として自転して回転駆動力をアーム出力歯車94に出力する歯車(アーム入力歯車)92aを備える。歯車92aには、アーム出力歯車94が接続されている。アーム95は、アーム出力歯車94を自転自在に支持して、電動モータ20Aから出力される回転駆動力により軸35を中心として回転してアーム出力歯車94を軸35を中心として公転させる。
制御回路130は、電動モータ20Bからの回転駆動力により歯車92aを自転させつつ、電動モータ20Aからの回転駆動力によりアーム出力歯車94を公転させる。このことにより、アーム出力歯車94が公転しつつ、アーム出力歯車94が自転することにより、歯車122a〜122dのうち第1歯車(ギヤn)からアーム出力歯車94を離脱させる。
その後、制御回路130は、電動モータ20Bからの回転駆動力により歯車92aを自転させつつ、電動モータ20Aからの回転駆動力によりアーム出力歯車94を公転させる。このことにより、アーム出力歯車94が公転しつつ、アーム出力歯車94が自転することにより、歯車122a〜122dのうち第2歯車(ギヤ(n+1))にアーム出力歯車94を接続させる。このようにアーム出力歯車94が第2歯車に接続した状態で電動モータ20Bからの回転駆動力をアーム出力歯車94を介して第2歯車に伝達させることを特徴とする。
したがって、アーム出力歯車94を軸方向に移動させることなく、第1歯車からアーム出力歯車94を離脱させてから、第2歯車にアーム出力歯車94を接続させることができる。したがって、歯車122a〜122dのうち電動モータ20Bからの回転駆動力が伝達される歯車を切り替えるために、アーム出力歯車94を軸方向に移動させる必要がない。このため、歯車122a〜122dのうち電動モータ20Bからの回転駆動力が伝達される出力歯車を切り替えるために必要な作動時間を短くすることができる。
本実施形態では、上述の如く、電動モータ20Bからの回転駆動力を伝える出力歯車を切り替えるために、歯車122a〜122dに対してアーム出力歯車94を軸方向に移動させて脱着させる必要がない。このため、動力伝達機構30をシンプルな構造にすることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、上記第1実施形態において、歯車122a〜122dのうち任意の歯車の停止角度を角度センサにより検出し、制御回路130は、角度センサの検出停止角度に応じて電動モータ20A、20Bを連動制御して任意の歯車にアーム出力歯車94を接続させる例について説明する。
図18に、本実施形態の多軸駆動用アクチュエータ1の電気的構成を示す。
本実施形態の多軸駆動用アクチュエータ1には、歯車122a〜122dのそれぞれの停止角度を検出する角度センサ140〜144が設けられている。
制御回路130は、角度センサ131、132、140〜144の検出値をサンプリングしてこれらサンプリング値に基づいて、公転ロジック、自転ロジックを実行する。
具体的には、制御回路130は、角度センサ140〜144のうちギヤbの接続先ギヤ(n+1)の停止角度を検出する角度センサの検出値のサンプリング値により接続先ギヤ(n+1)の停止角度を求めるとともに、この算出される接続先ギヤ(n+1)の停止角度に基づいてギヤbの目標公転角度であるθba(n+1)を算出する。この算出されるθba(n+1)に基づいて公転ロジック、接続ロジックを実行する。
このため、上記第1実施形態と同様に離脱ロジックを実行してから、ギヤbにギヤ(n+1)に接続する際に、θba(n+1)、θba’、δa(n+1)’、δa(n+1)に基づいて電動モータ20A、20Bを連携制御する。ここで、ギヤaの目標自転角度であるδa(n+1)は、次の数式17で表すことができる。
δa(n+1)=fa(δb(n+1)ba)
+(△b(n+1)/GRa(n+1))・・・(数式17)
△b(n+1)は、接続先ギヤ(n+1)の正規位置からのズレ角度である
。△b(n+1)は、角度センサ140〜144のうちギヤbの接続先ギヤ(
n+1)の停止角度を検出する角度センサの検出角度のサンプリング値により求めることができる。
このような数式17によれば、δa(n+1)は、θba(ギヤbの公転角度理論値)および△b(n+1)を変数する関数である。δa(n+1)は、
接続先ギヤ(n+1)の停止角度に合った目標自転角度になる。よって、ギヤbが接続先ギヤ(n+1)に接続する際に、δa(n+1)に基づいて電動モータ30Bを制御して、かつθba(n+1)に基づいて電動モータ30Aを制御することにより、電動モータ30A、30Bを連携して制御することになる。
これにより、接続先ギヤ(n+1)の停止角度に合った目標自転角度にギヤaの自転角度を近づけつつ、接続先ギヤ(n+1)の停止角度に合った目標公転角度にギヤbの公転角度を近づけることになる。このため、接続先ギヤ(n+1)の停止角度が振動等により本来の角度からずれていても、電動モータ30A、30Bを連携制御することにより、ギヤbを接続先ギヤ(n+1)に接続させることができる。
以上説明した本実施形態によれば、多軸駆動用アクチュエータ1は、歯車122a〜122dの停止角度を歯車毎に検出する角度センサ140〜144を備える。制御回路130は、ギヤbがギヤ(n+1)に接続する際に、δa(n+1)に基づいて電動モータ30Bを制御して、かつθba(n+1)に基づいて電動モータ30Aを制御する。よって、角度センサ140〜144の検出停止角度に合った電動モータ20A、20Bの連携制御を歯車毎に行うことができる。このため、ギヤ(n+1)の停止角度が振動等により正規位置からのずれても、ギヤbをギヤ(n+1)に確実に接続することができる。したがって、歯車122a〜122dの回転を止める微小ズレ防止用ストッパを設ける必要がない。
(第3実施形態)
本第3実施形態では、上記第1実施形態の多軸駆動用アクチュエータ1を車載空調装置の室内空調ユニット150の各ドアの駆動に用いる例について図19によって説明する。
図19は、本実施形態の室内空調ユニット150の概略構成を示す。
室内空調ユニット150は、計器盤内に収納された空調ケース151を備えており、内外気切換ドア152が、空調ケース151に回転可能に支持されている。内外気切換ドア152は、歯車110cから出力される回転駆動力により第1切換位置(図に二重線で示す位置)および、第2切換位置(図に鎖線で示す位置)のうち一方から他方に切り替えられる。
ここで、内外気切換ドア152が、第1切換位置に位置するとき、外気導入モードとして、空調ケース151内にその外気導入口151aから外気が流入させる。一方、内外気切換ドア152が第2切換位置(図に鎖線で示す位置)に位置する場合には、内気導入モードとして、空調ケース151内にその内気導入口151bから車室内の空気(内気)が流入させる。
送風機152cは、外気導入口151aからの外気または内気導入口151bからの内気を空気流として吸い込んでこの吸い込んだ空気流を冷却用熱交換器153に送風する。なお、図19中送風機152cとして軸流ファンを示しているが、実際には送風機152cとして遠心ファンが用いられる。
冷却用熱交換器153は、送風機152cから吹き出される空気流を、公知の冷凍サイクルの作動によって循環する冷媒により冷却して冷風を左側空気通路151dおよび右側空気通路151eに吹き出す。
左側空気通路151dおよび右側空気通路151eは、空調ケース151のうち冷却用熱交換器153に対して空気流れ下流側に形成される。左側空気通路151dおよび右側空気通路151eは、分離壁151cにより分離されている。
空調ケース151には、左側空気通路151dおよび右側空気通路151eを通過する冷風を加熱して温風を吹き出す加熱用熱交換器154が配置されている。
左側空気通路151dには、加熱用熱交換器154をバイパスして車室内に向けて流すバイパス流路154aが設けられている。右側空気通路151eには、加熱用熱交換器154をバイパスして車室内に向けて流すバイパス流路154bが設けられている。
エアミックスドア155aは、左側空気通路151d内に配置されて、その回転自在に支持されている。エアミックスドア155aは、その開度によって、冷却用熱交換器153から吹き出される冷却空気流のうちヒータコア3に流入される空気量とバイパス流路154aを流れる空気量との比率を調整する。エアミックスドア155aは、歯車110dから出力される回転駆動力により、回転されて開度が調整される。
左側空気通路151dのうちヒータコア3の空気下流側では、加熱用熱交換器154からの温風とバイパス流路154aからの冷風が混合されて空調風として車室内に向けて吹き出される。このため、エアミックスドア155aの回転角度によって空調風の温度が調整される。
エアミックスドア155bは、右側空気通路151e内に配置されて、その回転自在に支持されている。エアミックスドア155bは、その開度によって、冷却用熱交換器153から吹き出される冷却空気流のうちヒータコア3に流入される空気量とバイパス流路154bを流れる空気量との比率を調整する。エアミックスドア155bは、歯車110aから出力される回転駆動力により、回転されて開度が調整される。
右側空気通路151eのうちヒータコア3の空気下流側では、加熱用熱交換器154からの温風とバイパス流路154bからの冷風が混合されて空調風として車室内に向けて吹き出される。このため、エアミックスドア155bの回転角度によって空調風の温度が調整される。
空調ケース151のうち最も空気流れ下流側には、フット吹出開口部156a、156b、フェイス吹出開口部157a、157b、およびデフロスタ吹出開口部158が設けられている。
フット吹出開口部156aは、左側空気通路151dから吹き出される空調風を車室内左側席の乗員下半身に向けて吹き出す。フット吹出開口部156bは、右側空気通路151eから吹き出される空調風を車室内右側席の乗員下半身に向けて吹き出す。
フェイス吹出開口部157aは、左側空気通路151dから吹き出される空調風を車室内左側席の乗員上半身に向けて吹き出す。フェイス吹出開口部157bは、右側空気通路151eから吹き出される空調風を車室内右側席の乗員上半身に向けて吹き出す。デフロスタ吹出開口部158は、車室内の窓ガラスの内表面に向けて吹き出す。
フット吹出開口部156aは、フットドア159aの回転によって開閉される。フット吹出開口部156bは、フットドア159bの回転によって開閉される。フェイス吹出開口部157aは、フェイスドア160aの回転によって開閉される。フェイス吹出開口部157bは、フェイスドア160bの回転によって開閉される。デフロスタ吹出開口部158は、フェイスドア160a、160bの回転によって開閉される。
ここで、ドア159a、159b、160a、160bは、それぞれ、空調ケース151によって回転自在に支持されている。ドア159a、159b、160a、160bは、歯車110bからリンク機構を介して与えられる回転駆動力により回転する。
以上説明した本実施形態によれば、室内空調ユニット150において、歯車110cから出力される回転駆動力により内外気切換ドア152が開閉される。エアミックスドア155aは、歯車110dから出力される回転駆動力により、その開度が調整される。エアミックスドア155bは、歯車110aから出力される回転駆動力により、開度が調整される。ドア159a、159b、160a、160bは、歯車110bからリンク機構を介して与えられる回転駆動力により回転する。
(他の実施形態)
(1)上記第1〜第3の実施形態では、本発明の第1、第2の駆動源として電動モータ(20A、20B)を用いた例について説明したが、これに代えて、電動モータ以外の各種の駆動源を、本発明の第1、第2の駆動源として用いてもよい。
(2)上記第1〜第3の実施形態では、角度センサ131、132としては、光学式センサを用いた例について説明したが、角度センサ131、132としては、光学式センサ以外の各種の角度センサを用いてもよい。
(3)上記第1〜第3の実施形態では、角度センサ131により検出された歯車91aの回転角度によってアーム出力歯車94の自転角度を求めた例について説明したが、これに限らず、角度センサ131によって歯車91a以外の歯車の回転角度を検出し、この検出された回転角度によってアーム出力歯車94の自転角度を求めてもよい。
(4)上記第1〜第3の実施形態では、角度センサ132により検出される歯車60の回転角度によってアーム出力歯車94の公転角度を求めた例について説明したが、これに限らず、角度センサ132によって歯車60以外の歯車の回転角度を検出し、この検出される回転角度によってアーム出力歯車94の公転角度を求めてもよい。
(5)上記第1〜第3の実施形態では、電動モータ30Bの回転数制御によって歯車(アーム入力歯車)92aの自転角度を制御することにより、アーム出力歯車94の自転角度を制御した例について説明したが、これに限らず、歯車92aを排除して、電動モータ30Bの回転数制御によって、直接的にアーム出力歯車94の自転角度を制御してもよい。
(6)上記第3実施形態では、本発明の動力伝達機構を車載空調装置に適用した例について説明したが、これに代えて、上記第1、2の実施形態の本発明の動力伝達機構を車載空調装置以外の各種の機器に適用してもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
次に、上記各実施形態の構成要素と特許請求の範囲との対応関係について説明する。
ステップ110が切替制御手段に対応し、検出手段が角度センサ140〜144に対応し、歯車92aがアーム入力歯車に対応している。角度センサ131が第1センサに対応し、角度センサ132が第2センサに対応し、ステップ160〜ステップ160が第1制御手段に対応している。ステップ120が第1算出手段および第2制御手段を構成し、ステップ122が第2算出手段および第3制御手段を構成している。