JP2016223204A - 床構造 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、床下地材の下側に、建築物構造材に両端を固定した梁状の架台を架設し、床下地材と架台との間に上下から粘弾性体を挟み込んだ床構造が開示されている。この床構造は、防音性能の向上を低コストで実現できる。しかしながら、粘弾性体による振動減衰を充分にするには、床下地材と架台との間の距離を粘弾性体の厚みに応じて適正にする必要がある。このため、特許文献2に記載の床構造では、その施工において架台の高さを微調整する必要があり、この点に鑑みてより施工性に優れる技術の開発が望まれる。
本発明の床構造は、互いに離隔して位置する建築物構造材に支持された床下地材の下方において、前記建築物構造材に両端を固定して架設された梁状の架設体と、前記床下地材から下方に向けて延びる受け部材と、前記架設体と前記受け部材との間に上下方向に直交する両側から挟み込まれた粘弾性体と、を有する、ことを特徴とする。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の床構造を示す側面図である。
図1に示すように、床構造1は、建築物Bの二階以上の床10の床下地材11の下側に、架設体30と、受け部材50と、粘弾性体60と、を設けた構成となっている。
床10の床下地支持材12として用いられる梁は、建築物Bの柱あるいは壁パネル(構造用木質パネル)に支持された大梁、あるいは該大梁に支持された床梁である。
床下地材11を支持する複数の床下地支持材12は、水平方向(図1における左右方向)において互いに離隔させて互いに平行に設けられている。
床下地材11は、水平方向において隣り合う床下地支持材12間に位置する部分(以下、横架部11a)を有している。
なお、以下の説明では、水平方向において互いに離隔させて互いに平行に設けられた床下地支持材12の離隔方向を第1方向と定義して符号L1を付す。また、第1方向および上下方向に直交する方向を第2方向と定義して符号L2を付す。さらに、上下方向には符号L3を付す。第1方向L1、第2方向L2および上下方向L3は、図1から図7、図9から図11に矢印で示している。
天井部20は、例えば、床下地支持材12等の建築物構造材に支持(吊り木を介して建築物構造材に支持することを含む)された複数の野縁(図示略)と、複数の野縁によって複数配列状態に支持された天井パネルとを有する構造のもの等を採用できる。天井パネルとしては、例えば石膏ボード等の、天井パネルとして周知のものを採用できる。天井部20は、床10の床下地材11から下方に離隔した位置に組み立てられている。
図1および図2に示すように、床構造1は、互いに離隔して位置する床下地支持材12に支持された床下地材11の下方において、床下地支持材12に両端を固定して架設された梁状の架設体30と、床下地材11から下方に向けて延びる受け部材50と、架設体30と受け部材50との間に上下方向L3に直交する両側から挟み込まれた粘弾性体60と、を有する。
図1および図3に示すように、架設体30は、梁状に形成され、床10と天井部20との間において、第1方向L1に互いに離隔して位置する2つの床下地支持材12に両端を固定して架設されている。架設体30は、受け部材50の延出部53との間に粘弾性体60を挟み込む一対の挟持部材31と、一対の挟持部材31により挟み込まれた状態で一対の挟持部材31間の間隔を保つ一対のスペーサ部材36と、を有する。
スペーサ部材36のうち第1方向L1の一方側に配置されたスペーサ部材36Aのスペーサ主部39は、一対の挟持部材31の第1方向L1における一端部同士により挟み込まれる。スペーサ部材36Aと一対の挟持部材31とは、各挟持部材31の一端部に形成されたボルト孔33、およびスペーサ主部39に形成された固定具挿通孔39aに挿通された、例えばボルト・ナット締結具等の締結具41Aにより締め付け固定されている。
粘弾性体60は、第2方向L2から見て矩形状に形成されている。粘弾性体60の第1方向L1の長さ寸法は、延出部53の第1方向L1の長さ寸法と同等となっている。粘弾性体60の上下方向L3の高さ寸法は、延出部53の上下方向L3の高さ寸法よりも若干小さくなっている。粘弾性体60は、アスファルトの粘着力により、挟持部材31および延出部53に対して貼り付いている。
また、床構造1は、粘弾性体60が架設体30と受け部材50との間の間隔方向に延在する粘弾性体60の全体を、粘弾性体60の上下方向L3に沿うせん断歪み変形による床の上下方向L3の振動減衰に機能させるので、高い防音性能を容易に得ることができる。したがって、高い防音性能を有し施工性に優れる床構造1とすることができる。
図4は、第1実施形態の変形例の床構造の側面図である。図5は、図4のV−V線における断面矢視図である。
図1および図3に示す第1実施形態では、一対の挟持部材31の第1方向L1における長さ寸法は、互いに離隔して位置する床下地支持材12同士の離間距離よりも若干小さい程度となっていた。また、スペーサ部材36は、その第1方向L1の寸法が挟持部材31の第1方向L1の寸法よりも格段に短いものを用いていた。これに対して図4および図5に示す変形例では、一対の挟持部材131の第1方向L1における長さ寸法は、第1実施形態における一対の挟持部材31の長さ寸法よりも十分に小さくなっている。また、第1方向L1の寸法が挟持部材31に比べて長いスペーサ部材36を用いている。
図6は、第2実施形態の床構造の側面図である。図7は、第2実施形態の床構造の説明図であり、図6のQ部における斜視図である。
図1に示す第1実施形態では、制振部70は1箇所形成されていた。これに対して図6に示す第2実施形態では、制振部270は第1方向L1に2箇所形成されている。また、図1および図2に示す第1実施形態では、架設体30(挟持部材31)は受け部材50の両側に配置されていた。これに対して図6および図7に示す第2実施形態では、架設体230は受け部材250の延出部253の片側のみに配置されている。なお、図1から図3に示す第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示すように、上下に振動する床下地材11において、その振動モードにより振動の腹および節の位置は異なる。具体的に、床下地材11が1次モードの曲げ振動(図8における1点鎖線で示す振動)で振動している場合には、振動の腹が床下地材11の横架部11aの中央部に生じる。これに対して、床下地材11が2次モードの曲げ振動(図8における2点鎖線で示す振動)で振動している場合には、一対の振動の腹がそれぞれ床下地材11の横架部11aの中央部よりも外側において、横架部11aの中央部を挟んで対称な位置に生じる。
図9は、第2実施形態の第1変形例の床構造の説明図であり、図6のQ部に相当する部分における斜視図である。
図9に示す第1変形例では、受け部材350に落下規制部357が設けられている点で、図6に示す第2実施形態と異なっている。なお、図6および図7に示す第2実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する(以下の変形例についても同様)。
この構成によれば、受け部材350が落下規制部357を有するため、例えば地震や火災等により受け部材350が床下地材11(図6参照)から脱落した際に、落下規制部357が架設体230に係合して受け部材350が架設体230から下方へ落下することを防止できる。
図10は、第2実施形態の第2変形例の床構造の説明図であり、図6のQ部に相当する部分における斜視図である。
図6および図7に示す第2実施形態では、上側張出部247は、第1方向L1において粘弾性体260の長さ寸法と同等の長さ寸法を有する矩形板状に形成されていた。これに対して、図10に示す第2変形例では、上側張出部447は、第1方向L1において粘弾性体260の長さ寸法よりも大きい長さ寸法を有する矩形板状に形成されていてもよい。
図11は、第2実施形態の第3変形例の床構造の説明図であり、図6のQ部に相当する部分における斜視図である。
図6および図7に示す第2実施形態では、上側張出部247は、矩形板状に形成されていた。これに対して、図11に示す第3変形例では、上側張出部547は、第2方向L2から見て、下方から上方に向かうにしたがい第1方向L1の寸法が縮小する台形状に形成されていてもよい。
なお、図11に示す例では、上側張出部547の第1方向L1における両側の端縁が上下方向L3に対して傾斜しているが、これに限定されず、上側張出部の第1方向L1における一方側の端縁のみが上下方向L3に対して傾斜していてもよい。
例えば、上記実施形態においては、各制振部が1個の受け部材を有しているが、これに限定されず、例えば各制振部は一対の受け部材を有していてもよい。具体的に、各制振部は、架設体の両側に配置された一対の受け部材と、一対の受け部材と架設体との間にそれぞれ配置された一対の粘弾性体と、を有する構成であってもよい。
また、粘弾性体は、架設体および受け部材に形成された掘込部に嵌め込む構成であってもよい。
具体的に、図12に示すように、制振部270は、架設体230における受け部材250に対向する面に形成された掘込部230aと、受け部材250の延出部253における架設体230に対向する面に形成された掘込部253aと、両掘込部230a,253aに嵌め込まれた粘弾性体660と、を備えている。このように、粘弾性体660を架設体230および受け部材250に嵌め込ませることで、架設体230と受け部材250との間からの脱落を防止しつつ、架設体230と受け部材250との間に挟み込んだ状態で保持することができる。
Claims (8)
- 互いに離隔して位置する建築物構造材に支持された床下地材の下方において、前記建築物構造材に両端を固定して架設された梁状の架設体と、
前記床下地材から下方に向けて延びる受け部材と、
前記架設体と前記受け部材との間に上下方向に直交する両側から挟み込まれた粘弾性体と、
を有する、
ことを特徴とする床構造。 - 前記架設体は、前記受け部材との間に前記粘弾性体を挟み込む一対の挟持部材を備え、
前記一対の挟持部材は、前記受け部材の両側に配置され、
前記一対の挟持部材と前記受け部材との間にそれぞれ前記粘弾性体が配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の床構造。 - 前記架設体は、前記一対の挟持部材により挟み込まれた状態で前記一対の挟持部材間の間隔を保つスペーサ部材を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の床構造。 - 前記架設体と前記受け部材との間に前記粘弾性体を挟み込んだ制振部を、前記架設体の延在方向複数個所に有する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の床構造。 - 前記架設体は、
前記床下地材に沿って延在して前記建築物構造材に両端が固定される架設体主部と、
前記架設体主部の延在方向の一部からその上方へ突出され、前記受け部材との間に前記粘弾性体を前記架設体主部とともに挟み込む上側張出部と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の床構造。 - 前記上側張出部は、前記架設体主部の延在方向複数個所に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の床構造。 - 前記架設体主部は、長板状であり、
前記上側張出部は、前記架設体主部から連続する板状である、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の床構造。 - 前記受け部材は、前記架設体にその上方から係合することで前記架設体から下方へ落下することを規制する落下規制部を有する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の床構造。
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