JP2016221745A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明においては、耐摩耗性に優れたトップコート層を備えるとともに、意匠性および耐傷性に優れた透明樹脂層を備える化粧シートを提供することを目的とする。【解決手段】 複数の樹脂層からなり、最表面の前記樹脂層が、不飽和結合、水酸基またはアミノ基を有する分散剤がコーティングされた無機微粒子が添加されたトップコート層5とされた化粧シート1であって、前記トップコート層5の下面には、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層4を具備し、前記透明樹脂層4には、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化された造核剤が添加されていることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、建築物の外装および内装に用いられる建装材、建具の表面、家電品の表面材などに用いられる化粧シートに関するもので、特に、不飽和結合、水酸基またはアミノ基を有する分散剤がコーティングされた無機微粒子が添加されたトップコート層を備える化粧シートであって、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化された造核剤が添加された透明樹脂層を備えた化粧シートに関する。
近年、特許文献1乃至3に示すように、ポリ塩化ビニル製の化粧シートに替わる化粧シートとして、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが数多く提案されている。
しかし、これらの化粧シートは塩化ビニル樹脂を使用しないことで、焼却時における有毒ガス等の発生は抑制されるものの、一般的なポリプロピレンシートもしくは軟質ポリプロピレンシートを使用しているために表面の耐摩耗性および耐傷性が悪く、従来のポリ塩化ビニル化粧シートの耐摩耗性および耐傷性からは遙かに劣っているものであった。
このため、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートの耐摩耗性や耐傷性を向上させるために、当該化粧シートの最表面に位置するトップコート層に対して、ソジウムカルシウムアルミノシリケート微粒子を添加したり(特許文献1)、コロイダルシリカを添加する(特許文献2)など硬度の高い無機系微粒子を添加する方法が試みられてきた。
特開2013−099959号公報 特開2012−187922号公報 特表2002−032564号公報
しかしながら、トップコート層に対して硬度の高い無機系微粒子を添加する方法は、化粧シートの表面が摩耗することに対しては高い効果が得られるものの、耐傷性についてはやや劣る傾向があった。
耐傷性は、鋭い対象物が化粧シートに突き刺さり、その状態で対象物が引っ張られた際に、ひっかき傷などができやすいか否かの物理的な性質である。このひっかき傷ができやすいか否かは、対象物が始めに化粧シートに突き刺さった深さの10〜20倍の深さまでの化粧シートの硬さに依存している。このため、一般的に厚さが3〜20μm程度とされているトップコート層の硬度をいかに高くしても、対象物が始めに2μm以上突き刺さってしまうとトップコート層の硬度に関係なく大きなひっかき傷が形成されてしまうという問題点を有していた。また、耐傷性を向上させるべく、単にトップコート層を厚く形成すると、いたずらに化粧シートの厚みが増大するばかりで、意匠性を損なう恐れがある。
化粧シートの耐傷性を向上させるべく、トップコート層の下面に位置する透明樹脂層に対して、硬度の高い粒子を添加したり、造核剤を添加して結晶性を高めて硬度を向上させるなどの方法が試みられてきたが、透明樹脂層の透明性を保持したまま、硬度をも向上させることは困難であった。
そこで、本発明においては、耐摩耗性に優れたトップコート層を備えるとともに、意匠性および耐傷性に優れた透明樹脂層を備える化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意検討の結果、トップコート層の下面に設けられた透明樹脂層に対して、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化した造核剤を添加することにより、透明樹脂層において造核剤の分散性を著しく向上させることに成功し、高い透明性と優れた耐傷性を示すことを見出した。
なお、超臨界逆相蒸発法とは、本発明者等が提案している特表2002/032564号公報、特開2003−119120号公報、特開2005−298407号公報および特開2008−063274号公報(以下、「超臨界逆相蒸発法公報類」と称する)に開示されているものであり、当該超臨界逆相蒸発法公報類に記載の方法および装置を用いて行った。
上記課題を解決するべく、本発明の第1の形態の化粧シートは、複数の樹脂層からなり、最表面の前記樹脂層が、不飽和結合、水酸基またはアミノ基を有する分散剤がコーティングされた無機微粒子が添加されたトップコート層とされた化粧シートであって、前記トップコート層の下面には、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層を具備し、前記透明樹脂層には、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化された造核剤が添加されていることを特徴とする。
このような、本発明の第1の形態の化粧シートとすることにより、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化された造核剤を透明樹脂層の主成分である結晶性ポリプロピレン樹脂に対して添加することにより、当該ベシクル化された造核剤が凝集して結晶性ポリプロピレン樹脂が白濁することを防ぐことができるとともに、均一に分散したベシクル化された造核剤に伴って結晶核が生じ結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化度が向上することにより硬度をより高くすることができるので、耐摩耗性はもちろんのこと、意匠性および耐傷性に優れた化粧シートを提供することを可能とする。
本発明の第2の形態の化粧シートは、前記トップコート層は、硬化型樹脂を主成分とすることを特徴とする。また、本発明の第3の形態の家諸シートは、前記硬化型樹脂が、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との反応物であることを特徴とする。
このような、本発明の第2の形態および第3の形態の化粧シートとすることにより、トップコート層において、分散剤の不飽和結合、水素基またはアミノ基がトップコート層の主成分である硬化型樹脂と反応して硬化型樹脂中に無機微粒子を固定化するので、実使用においても無機微粒子が脱落しにくく、無機微粒子の脱落によるアブレシブ摩耗の発生を防止することができるのでトップコート層の耐摩耗性をさらに向上させることができ、耐摩耗性、耐傷性および意匠性に優れた化粧シートを提供することができる。
本発明の第4の形態の化粧シートは、前記ベシクルが、リン脂質からなる外膜を具備するリポソームであることを特徴とする。
このような、本発明の第4の形態の化粧シートとすることにより、透明樹脂層の主成分である結晶性ポリプロピレン樹脂とリポソームとの相溶性をより良好なものとすることができるので、その結果、当該結晶性ポリプロピレン樹脂中への造核剤の分散性を向上させて結晶化度を高めて極めて耐傷性に優れた化粧シートを提供することを可能とする。
本発明においては、耐摩耗性に優れたトップコート層を備えるとともに、意匠性および耐傷性に優れた透明樹脂層を備える化粧シートを提供することを可能とする。
本発明の化粧シートの実施形態を示す断面図
本発明の化粧シートは、複数の樹脂層からなり、最表面の樹脂層が、不飽和結合、水酸基またはアミノ基を有する分散剤がコーティングされた無機微粒子が添加されたトップコート層とされた化粧シートにおいて、当該トップコート層の下面には、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層を具備し、当該透明樹脂層に、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化された造核剤が添加されていることが重要である。
トップコート層の主成分である樹脂組成物としては、硬化型樹脂を用いることが重要であり、具体的には、熱硬化型樹脂および光硬化型樹脂を用いることができるが、特に、熱硬化型樹脂のみ、もしくは熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂との混合物を用いることが好ましい。このような硬化型樹脂を用いることによって、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および無機微粒子との密着性を向上させることができる。
熱硬化型樹脂としては、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系などから適宜選択して用いることができるが、特に、2液硬化型のウレタン系のものを用いることが好ましい。ウレタン系の熱硬化型樹脂は、作業性、価格、樹脂自体の凝集力などの観点から好適である。ウレタン系樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートとを反応させて得られるウレタン系のものを用いてもよい。イソシアネートには、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジシソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、メタジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアメート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などから適宜選択することができるが、耐候性を考慮すると、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を用いることが好ましい。
また、光硬化型樹脂としては、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、アクリルアクリレート系などから適宜選択して用いることができるが、特に、耐候・光性が良好なウレタンアクリレート系およびアクリルアクリレート系のものを用いることが好ましい。
熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂との混合物については、例えば、熱硬化型樹脂としてのイソシアネート化合物と、光硬化型樹脂としてのアクリルポリオールとを混合した反応物を用いることが好ましく、これによって、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および耐後加工性を付与することができる。なお、樹脂材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。
また、トップコート層に添加される無機微粒子としては、例えば、α−アルミナ、シリカ、ベーマイト、酸化鉄、ダイヤモンドなどの微粒子から少なくとも1つを適宜選択して用いることができる。粒子径状は、球体、楕円体、多面体、鱗片形状などの粒状の粒子を用いることができる。無機微粒子の粒子径は、1次粒子径が1〜1000nmとされていることが好ましく、特に、10〜50nmとさているものが好適である。なお、1次粒子径が1000nmよりも大きいと、無機微粒子に起因する光の散乱によってトップコート層の透明性が損なわれるため好ましくない。無機微粒子の添加量は、トップコート層の主成分である樹脂組成物100重量部に対して、0.005〜20重量部の割合で添加されていることが好ましい。
さらに、無機微粒子は、不飽和結合、水酸基またはアミノ基を有する分散剤によってコーティングされていることが重要である。不飽和結合を有する分散剤としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシリルオキシ)シランが挙げられる。水酸基を有する分散剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸やリシノール酸などとリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどが結合したもの、ソルビタン脂肪酸エステル、アルコール変性シリコーンオイル、アルコール変性ワックス、酸化ワックス、カルナバワックスが挙げられる。アミノ基を有する分散剤としては、ポリカルボン酸アルキルアミン、アルキルポリアミン、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、n−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、bis(4-aminobenzoato-O)(isooctadecanoato-O)(propan-2-olato)titanium、bis[2-[(2-aminoethyl)amino]ethanolato][2-[(2-aminoethyl)amino]ethanolato-O](propan-2-olato)titanate、アミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。無機微粒子へのコーティングは、公知の表面処理方法によって施すことが可能であり、上記の分散剤から少なくとも1つを選択して用いて施されている。
透明樹脂層は、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とし、後述する超臨界逆相蒸発法によりベシクル化処理を施した造核剤が添加されている。
結晶性ポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンの他に、プロピレンとαオレフィン(例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどを)を2種類以上共重合させたものが挙げられ、さらにこれらの結晶性ポリプロピレン樹脂にエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体、各種ゴム成分などをアロイ化したものも含まれる。
造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルーおよびタルク等が挙げられる。特に、本発明においては、ナノ化処理の効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、ナノ化処理によって材料自体の透明化が可能な場合には、有色のキトクリドン、シアニンブルー、タルクなども用いることができる。また、非溶融型の造核剤に対して、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いるようにしてもよい。
ここで、超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態または超臨界点以上の温度条件下の二酸化炭素もしくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を構成する物質を均一に溶解させた混合物中に、封入物質としての造核剤を含む水相を加えて、一層の膜で封入物質としての造核剤を包含したカプセル状のベシクルを形成する方法である。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件下の二酸化炭素もしくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味するものである。この方法により、直径50〜800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。ここで、ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞であり、内部に液相を含むものを指す。特に、外膜がリン脂質のような生体脂質を含む物質から構成されるベシクルをリポソームと称する。
本発明においては、造核剤に対して超臨界逆相蒸発法を用いてベシクル化することによって、造核剤がナノサイズのカプセル内に内包させた構造とされており、これによって造核剤の粒子同士が2次凝集することを防止して結晶性ポリプロピレン樹脂中への高い分散性を実現している。また、結晶性ポリプロピレン樹脂中においては、当該ベシクルは外膜の一部またはすべてが崩壊して内包物が露出した状態とされている。当該内包物が樹脂と相溶する物質の場合には、さらに当該樹脂中に内包物が溶けて分散し、内容物が樹脂と相溶しない物質の場合には、内容物が樹脂中に液滴もしくは固体の状態で存在することとされている。
リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられ、ベシクルの外膜にこれらの物質を含むものがリポソームである。
また、リポソームの外膜には、少なくとも上述のリン脂質のような生体脂質が含まれていればよいので、生体脂質と下記のようなその他の物質との混合物から外膜を形成するようにしてもよい。
ベシクルの膜を形成するその他の物質としては、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類もしくはトリアシルグリセロールとの混合物からなる分散剤を利用することが好ましい。
このうちノニオン系界面活性剤としては、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン−ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン−ポリ2−ビニルピリジン、ポリスチレン−ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン−ポリカプロラクタム共重合体等の1種または2種以上を使用することができる。また、コレステロール類としては、コレステロール、α−コレスタノール、β−コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5,24−コレスタジエン−3β−オール)、コール酸ナトリウムまたはコレカルシフェロール等を挙げることができる。例えば、水溶性ではない内包物を水溶性の分散剤で包んだベシクルとすることにより、水溶性の溶媒などに水溶性ではない内包物を均一に分散させることができる。
本発明においては、リン脂質からなる外膜を具備するベシクルとすることが重要であり、リン脂質からなる外膜を備えるベシクルとすることにより、透明樹脂層の主成分である結晶性ポリプロピレン樹脂との相溶性を向上させて造核剤の結晶性ポリプロピレン樹脂への分散性をさらに良好なものとすることができ、その結果、均一に分散した造核剤によって結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化度を向上させ、透明樹脂層の硬度をさらに高くすることができる。
以下に、本発明の化粧シートの具体例を図1を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の化粧シート1の具体的な実施形態を示し、自身が貼り合わせられる木質ボード類、無機質ボード類または金属板などの基材Bに面する側から、原反層2、絵柄模様層3、接着層7(接着性樹脂層、感熱接着層、アンカーコート層、ドライラミ接着材層)、透明樹脂層4、トップコート層5と積層された構成とされている。また、意匠性を向上させるためにトップコート層5側の透明樹脂層4の表面にエンボス模様4aを適宜設けてもよい。なお、原反層2と基材Bとの間の接着性に問題があれば、原反層2と基材Bとの間にプライマー層6を適宜設けてもよい。
原反層2としては、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙等の紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル等の合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等のゴム、有機もしくは無機系の不織布、合成紙、アルミニウム、鉄、金、銀等の金属箔等から任意に選定可能である。
絵柄模様層3としては、バインダーとしての硝化綿、セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定して用いることができる。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、また一液タイプでも硬化剤を使用した二液タイプでもよい。さらに紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させる方法を用いてもよい。中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキを用いるもので、イソシアネートによって硬化させる方法である。これらのバインダー以外には、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤などが添加されている。汎用性の高い顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。これらの顔料を用いて、原反層2の表面に、直接グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インキジェット印刷やインキの塗布とは別に各種金属の蒸着やスパッタリングによって意匠が施される。
透明樹脂層4としては、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分として形成し、さらに、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化された造核剤が添加されている。ベシクル化された造核剤は、結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の割合で添加されていることが好ましい。
なお、透明樹脂層4には、必要に応じて熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を添加することもできる。熱安定剤としては、フェノール系、硫黄系、リン系、ヒドラジン系等、難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、光安定剤としては、ヒンダードアミン系等を、任意の組み合わせで添加するのが一般的である。
また、透明樹脂層4には、エンボス模様4aを設けてもよく、当該エンボス模様4aは、製膜された透明樹脂層4としての透明樹脂シートに熱および圧力をかけて凹凸模様を有するエンボス板を用いてエンボス模様を付与する方法や、押出機を用いて製膜する際に凹凸模様を有する冷却ロールを用いて冷却と同時にエンボス模様を付与する方法などを用いて形成することができる。また、当該エンボス模様4a対して、インキなどを埋め込んでさらに意匠性を向上させることもできる。
トップコート層5としては、硬化型樹脂を主成分として形成し、不飽和結合、水酸基またはアミノ基を有する分散剤によって表面がコーティングされた1次粒子径1〜1000nmの無機微粒子が添加されている。無機微粒子としては、樹脂と近い屈折率であるという観点から、シリカを用いることが好ましい。硬化型樹脂は、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との反応物からなることが好ましい。
また、化粧シート1の表面の耐候性を向上させるためには、紫外線吸収材及び光安定材を適宜添加してもよい。そして、各種機能を付与するために抗菌材、防カビ材等の機能性添加材の添加も任意に行うことができる。さらに、表面の意匠性を向上させるために、艶の調整のためのアルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、ガラスビーズ等を添加することもできる。
プライマー層6としては、基本的には絵柄模様層3と同じ材料を用いることができるが、化粧シート1の裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮すると、ブロッキングを避けて且つ接着剤との密着を高めるために、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させてもよい。
接着層7としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系などが挙げられ、一般的には、イソシアネートを用いたポリオールとの反応の2液効果タイプのウレタン系を用いることが好ましい。熱ラミネート、押し出しラミネート、ドライラミネートなどによって積層することができる。
また、化粧シート1に隠蔽性を付与したい場合には、原反層2を着色シートとすることで隠蔽性を付与したり、原反層2は透明シートのままで、別途、不透明な隠蔽層8を設けることにより隠蔽性を付与することができる。
隠蔽層8としては、基本的には絵柄模様層3と同じ材料から構成することができるが、隠蔽性を持たせることを目的としているので、顔料としては不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また隠蔽性を向上させるために金、銀、銅、アルミ等の金属を添加することも可能である。一般的にはフレーク状のアルミを添加させることが多い。
本発明の化粧シート1を形成するに当たり、積層方法は特に限定するものではなく、熱圧を応用した方法、押し出しラミネート方法およびドライラミネート方法などの一般的に用いられる方法から適宜選択して形成することができる。エンボス模様4aを形成する場合には、一旦、前記積層方法によってラミネートした後に熱圧によってエンボス模様4aを入れる方法または冷却ロールに凹凸模様を設けて押し出しラミネートと同時にエンボス模様4aを形成することができる。
本実施形態の化粧シート1においては、原反層2は印刷作業性、コストなどを考慮して20μm〜150μm、接着層7は1μm〜20μm、透明樹脂層4は20μm〜200μm、トップコート層5は3μm〜20μmとすることが望ましく、化粧シート1の総厚は45μm〜450μmの範囲内とすることが好適である。
以上のように、本発明の化粧シート1においては、不飽和結合、水酸基またはアミノ基を有する分散剤によって表面がコーティングされた無機微粒子を添加したトップコート層5を備えることによって優れた耐摩耗性を実現しているとともに、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分として超隣家逆相蒸発法によりベシクル化された造核剤が添加された透明樹脂層4を備えることによって意匠性および耐傷性にも優れた化粧シート1を提供することを可能とする。
また、トップコート層5において、不飽和結合、水素基またはアミノ基を有する分散剤によって無機微粒子の表面をコーティングしていることにより、分散剤の不飽和結合、水素基またはアミノ基がトップコート層5の主成分である硬化型樹脂と反応して硬化型樹脂中に無機微粒子を固定化するので、実使用においても無機微粒子が脱落しにくく、トップコート層5が摩耗するのを防止して、より耐摩耗性に優れた化粧シート1を提供することができる。
<超臨界逆相蒸発法によりベシクル化した造核剤の調製>
以下に、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化された分散剤の詳しい調製方法を説明する。まず、メタノール100重量部、造核剤としてのリン酸エステル金属塩系造核剤(アデカスタブNA−11;ADEKA社製)82重量部、ベシクルの外膜を構成するリン脂質としてのホスファチジルコリン5重量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaになるように当該容器内に二酸化炭素を注入して超臨界状態とする。その後、当該容器内を激しく攪拌するとともに、イオン交換水100重量部を注入する。温度と圧力を超臨界状態に保ちながらさらに15分間攪拌混合後、二酸化炭素を容器から排出して大気圧に戻すことで造核剤を内包したリン脂質からなる外膜を具備する造核剤リポソームが得られる。なお、ベシクルの外膜を分散剤などの物質とする場合には、ホスファチジルコリンに替えて上述の分散剤を用いることにより得られる。
以下に、本発明の化粧シート1の具体的な実施例1,2および比較例1〜5を挙げて化粧シートとしての透明性、耐摩耗性および耐傷性について評価を行った。
<実施例1>
実施例1においては、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコートと光硬化型樹脂としてのウレタンアクリレートとの混合樹脂100重量部に対して、不飽和二重結合を有する分散剤によってコーティングされた粒径20〜25nmの無機微粒子としてのシリカ微粒子0.05重量部を添加したトップコート層5を形成した化粧シート1とした。
具体的には、ペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶化ホモポリプロピレン樹脂90重量部に対して上述の造核剤リポソーム1.0重量部を添加した樹脂組成物を、押し出し機を用いて溶融押し出して、厚さ80μmの透明な高結晶性ポリプロピレンシートとしての透明樹脂シート4を製膜し、得られた透明樹脂シート4の両面にコロナ処理を施し、透明樹脂シート4表面の濡れを40dyn/cm以上とした。他方、隠蔽性のある70μmのポリエチレンシート(原反層2)の一方の面に2液型ウレタンインキ(V180;東洋インキ製造(株)製)に、そのインキのバインダー樹脂分に対して、ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944;BASF社製)を0.5重量%添加したインキを用いてグラビア印刷方式にて絵柄印刷を施して絵柄模様層3を設け、また、前記原反層2の他方の面にプライマー層6を設けた。しかる後、前記原反層2の一方の面側に、接着剤層7としてのドライラミネート用接着剤(タケラックA540;三井化学工業(株)製;塗布量2g/m )を介して透明樹脂シート4をドライラミネート法にて貼り合わせた。そして、透明樹脂シート4の表面にエンボス模様4aを施した後、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス社製)を60重量部、光硬化型樹脂としての光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17−824−9;DICグラフィックス社製)を40重量部に対して、不飽和二重結合を有する分散剤によってコーティングされたシリカ微粒子(NANOBYK3605;ビックケミー製)0.05重量部を配合してなるインキを塗布厚15g/m にて塗布してトップコート層5を形成し、総厚167μmの図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<実施例2>
実施例2においては、熱硬化型樹脂としてのアクリルポリオール樹脂およびイソシアネート硬化剤と光硬化型樹脂としてのウレタンアクリレートとの混合樹脂100重量部に対して、不飽和二重結合を有する分散剤によってコーティングされた粒径20〜25nmの無機微粒子としてのシリカ微粒子0.05重量部を添加したトップコート層5を形成した化粧シート1とした。その他の構成は実施例1と同様のものを用いた。
具体的には、実施例1において、熱硬化型樹脂としてのアクリルポリオール樹脂(VM−ALメジウム;大日精化社製)を55重量部、当該熱硬化型樹脂を硬化させる硬化剤としてのイソシアネート硬化剤(L−8硬化剤;大日精化社製)を5重量部、光硬化型樹脂としての光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17−824−9;DICグラフィックス社製)を40重量部、不飽和二重結合を有する分散剤によってコーティングされた無機微粒子としてのシリカ(NANOBYK3605;ビックケミー製)0.05重量部を配合してなるインキを塗布厚15g/m にて塗布してトップコート層5を形成し、総厚167μmの図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<比較例1>
比較例1においては、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコート100重量部に対して、不飽和二重結合、水酸基およびアミノ基を有していない分散剤によってコーティングした粒径40nmの無機微粒子としてのコロイダルシリカ0.05重量部を添加したトップコート層5を形成した化粧シート1とした。その他の構成は実施例1と同様のものを用いた。
具体的には、実施例1において、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス社製)100重量部、無機微粒子としてのコロイダルシリカ(MEK−ST−L;日産化学工業製)0.05重量部を配合してなるインキを塗布厚15g/m にて塗布してトップコート層5を形成し、総厚167μmの図1に示す本発明の化粧シートを得た。
<比較例2>
比較例2においては、前記造核剤リポソームを添加しない透明樹脂層4(透明樹脂シート4)を形成した化粧シート1とした。その他の構成は実施例1と同様のものを用いた。
具体的には、実施例1において、ペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶化ホモポリプロピレン樹脂100重量部に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)を0.05重量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)を0.2重量部と、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソーブ944:BASF社製)を0.2重量部とを添加した樹脂を用いて透明樹脂層4を形成し、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<比較例3>
比較例3においては、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコートと光硬化型樹脂としてのウレタンアクリレートとの混合樹脂100重量部に対して、不飽和二重結合を有する分散剤としてのによってコーティングした粒径20〜25nmの無機微粒子としてのシリカ微粒子50重量部を添加したトップコート層5を形成した化粧シート1とした。その他の構成は実施例1と同様のものを用いた。
具体的には、実施例1において、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス社製)60重量部と光硬化型樹脂としての光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17−824−9;DICグラフィックス社製)40重量部との混合樹脂に対して、不飽和二重結合を有する分散剤によってコーティングされたシリカ微粒子(NANOBYK3605;ビックケミー製)50重量部添加してなるインキを用いてトップコート層5を形成し、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<比較例4>
比較例4においては、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコートと光硬化型樹脂としてのウレタンアクリレートとの混合樹脂100重量部に対して、不飽和二重結合を有する分散剤によってコーティングを施した粒径20〜25nmの無機微粒子としてのシリカ微粒子0.001重量部を添加したトップコート層5を形成した化粧シート1とした。その他の構成は実施例1と同様のものを用いた。
具体的には、実施例1において、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス社製)60重量部と光硬化型樹脂としての光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17−824−9;DICグラフィックス社製)40重量部との混合樹脂に対して、不飽和二重結合を有する分散剤によってコーティングされたシリカ微粒子(NANOBYK3605;ビックケミー製)0.001重量部添加してなるインキを用いてトップコート層5を形成し、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<比較例5>
比較例5においては、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコートと光硬化型樹脂としてのウレタンアクリレートとの混合樹脂100重量部に対して、粒径6.2μmの無機微粒子としてのシリカ微粒子1.0重量部、不飽和二重結合をもつ分散剤としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5重量部を添加したトップコート層5を形成した化粧シート1とした。その他の構成は実施例1と同様のものを用いた。
具体的には、実施例1において、熱硬化型樹脂としての2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス社製)60重量部、光硬化型樹脂としての光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17−824−9;DICグラフィックス社製)を40重量部に対して、無機微粒子としての粒径6.2μmのシリカ微粒子(ACEMATT HK400;エボニック製)0.05重量部、分散剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503;信越化学工業製)0.005重量部を添加してなるインキを用いてトップコート層5を形成し、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
上記実施例1,2および上記比較例1〜5で得られた各々化粧シート1について、目視によるトップコート層5および透明樹脂層4とからなる透明層の透明性を目視にて評価する。さらに、各化粧シート1について、ウレタン系の接着剤を用いて木質基材に貼り合わせた後、フェルトラビング゛試験にて表面の耐摩耗性評価試験、鉛筆硬度試験にて耐擦傷性評価試験、ホフマンスクラッチ試験およびスチールウールラビング試験にて表面の耐傷性評価試験、鉛筆硬度試験にて耐擦傷性評価試験を行った。得られた評価結果を表1に示す。
なお、表1の評価結果における記号の説明は下記の通りである。
◎:非常に良好な透明性、耐摩耗性、耐擦傷性および耐傷性を有する
○:良好な透明性、耐摩耗性、耐擦傷性および耐傷性を有する
×:透明性、耐摩耗性、耐擦傷性および耐傷性に劣る
実施例1,2の化粧シート1においては、表1に示すように、透明性が良好であるとともに、スチールウール試験およびホフマンスクラッチ試験においても良好な結果が得られた。これは、本発明の超臨界逆相蒸発法を用いてベシクル化処理を施した造核剤リポソームを、透明樹脂層4(透明樹脂シート4)に添加しているため、良好な透明性を備えるとともに、さらに、均一に分散したベシクル化された造核剤に伴って結晶核が生じ結晶性プロピレン樹脂の結晶化度が向上することにより、その結果として、硬度をより高くなり、耐摩耗性、耐擦傷性および耐傷性の向上に繋がったと考えられる。
一方で、比較例1および比較例4においては、実施例1〜2の化粧シート1と比較して、耐摩耗性、耐擦傷性および耐傷性が劣るという結果が得られた。この理由としては、比較例1においては、不飽和二重結合、アミノ基または水酸基を有さない分散剤を使用していたことで、トップコート層5の主成分である硬化型樹脂中にシリカ微粒子を固定化することができたかったためであり、比較例4においては、トップコート層5に添加されたシリカ微粒子の添加量が少なすぎるために表面硬度が十分に向上しなかったためであると考えられる。
比較例2においては、実施例1,2の化粧シート1と比較して、透明性、耐擦傷性および耐傷性が劣るという結果が得られた。この理由としては、超臨界逆相蒸発法でベシクル化されていない造核剤を使用していたことで、透明樹脂層4の中で造核剤が凝集して白濁するとともに、透明樹脂層4として用いている結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化度が向上しなかったことにより、硬度が十分に向上しなかったためであると考えられる。
比較例3においては、実施例1,2の化粧シート1と比較して、透明性が劣るという結果が得られた。この理由としては、トップコート層5に添加されたシリカ微粒子の添加量が多すぎるために2次凝集が生じ、分散性が低くなってしまったためであると考えられる。
比較例5においては、実施例1,2の化粧シート1と比較して、透明性および耐摩耗性が劣るという結果が得られた。この理由としては、トップコート層5に添加されたシリカ微粒子の大きさが大きすぎるためにトップコート層5の表面に凹凸を形成し、表面にマット感を付与すると共に、表面硬度を十分に向上させることができなかったためであると考えられる。
以上の評価結果から、実施例1,2の化粧シート1は、化粧シートに要求される透明性を備え、極めて耐摩耗性および耐傷性に優れた化粧シートであることが明らかとなった。
本発明の化粧シートは、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において、種々の変更が可能である。
1 化粧シート
2 原反層
3 絵柄模様層
4 透明樹脂層
4a エンボス模様
5 トップコート層
6 プライマー層
7 接着剤層
8 隠蔽層
B 基材

Claims (4)

  1. 複数の樹脂層からなり、
    最表面の前記樹脂層が、不飽和結合、水酸基またはアミノ基を有する分散剤がコーティングされた無機微粒子が添加されたトップコート層を有する化粧シートであって、
    前記トップコート層の下面には、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層を具備し、
    前記透明樹脂層には、超臨界逆相蒸発法によりベシクル化された造核剤が添加されていることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記トップコート層は、硬化型樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記硬化型樹脂が、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との反応物であることを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記ベシクルが、リン脂質からなる外膜を具備するリポソームであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
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