JP2016221250A - 三次元桟構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 人体の特性に適合するヒステリシスロスと弾性特性を有し、高温消毒等によって収縮しない三次元桟構造体を提供する。
【解決手段】 連続線条が部分的にランダムに溶着することによりループを形成し、押出方向に対応する縦方向、前記押出方向と直交する横方向と厚み方向を有する、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、又はポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑エラストマーの混合物からなる三次元桟構造体であり、三次元桟構造体の反発弾性が13cm以上であり、ヒステリシスロスが34%を超えず、13%を下回らず、前記縦方向において乾燥熱風試験前後の熱伸長率が0〜8%である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マットレス、クッション等に使用する三次元桟構造を有する三次元桟構造体に関するものである。
従来の押出形成による線条が部分的に絡合しループを備えた立体網状構造体、あるいは、立体網状構造体の2面ないし4面成形方法は、種々のものが提案されている。一例を挙げると、特許文献1に示すものであり、立体網状構造体を成形することを目的とし、熱可塑性合成樹脂を原料又は主原料とする溶融した線条を複数の孔を有する口金を先端部に有するダイスから下方へ押し出し、一部水没した、引取機の間に自然降下させ、前記降下速度より前記線条を遅く引き込むことにより立体網状構造体を製造する際、前記引取機は互いに対向し、この引取機によって押し出し方向と垂直な方向に所定形状(例えば四辺形等)が形成され、押出された線条の集合体の幅より前記互いに対向する引取機の間隔が狭く設定され、前記引取機が水没する前後に前記線条の集合体の外周の2面ないし4面が前記引取機に接触することにより成形された立体網状構造体の成形方法である。
特開2001−328153号公報
従来の通気性の良い立体網状構造体では、ループがランダムに形成され、熱を加えると収縮する性質があった。そのため、例えばマットレスに用いられた場合、高温での消毒を繰り返すと立体網状構造体が収縮するためカバーがしわになりやすく、使用者が不快に感じ、長期使用によって褥瘡が起こってしまうおそれがあった。特に、長さのある縦方向においては、立体網状構造体が収縮するとその影響が大きく、しわになりやすく問題になっていた。
また、従来の立体網状構造体では、人体の特性に合わせた機能を発揮できないおそれがあった。例えば、マットレスに用いられた場合、人体は寝ながら姿勢制御を行い、身体をストレッチし体位変換をし、筋肉や身体をほぐすことにより、身体の負担を満遍なく均して、身体の歪みをリセットする自然調整機能があるが、それに対応する立体網状構造体の構造的な特性が不十分であった。立体網状構造体を用いる製品への要求は多様化し、製品への品質要求が高くなっているが、このような人体の特性に適合する多様な要求に対する製品品質を確保しづらくなるという問題が存在していた。
そこで、本発明は、縦方向で熱により伸長する性質の構造を実現し、高温での洗浄を可能にし、さらに人体の特性に適合するヒステリシスロスと弾性特性を有することより、多様な品質要求を確保することを課題とする。
本発明は、連続線条が部分的にランダムに溶着することによりループを形成し、押出方向に対応する縦方向、前記押出方向と直交する横方向と厚み方向を有する、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、又はポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑エラストマーの混合物からなる三次元桟構造体であり、三次元桟構造体の反発弾性が13cm以上であり、ヒステリシスロスが34%を超えず、13%を下回らず、ポリエチレン系熱可塑性樹脂の場合に温度90℃で30分間、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの場合に130℃で30分間、ポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物の場合90℃で30分間の乾燥熱風試験後、前記縦方向において乾燥熱風試験前後の熱伸長率が0〜8%である三次元桟構造体である。
ポリエチレン系熱可塑性樹脂の場合に温度90℃で30分間、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの場合に130℃で30分間、又はポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物の場合90℃で30分間の乾燥熱風試験後、前記横方向において、乾燥熱風試験前後の熱伸長率が0〜8%であることが好ましい。
前記三次元桟構造体は、前記縦方向と前記横方向の熱伸長率が異なる非等方性の熱伸長特性を有することが好ましい。
前記三次元桟構造体は、定荷重繰返し試験後の反発弾性変化率が20%以下であることが好ましい。
前記三次元桟構造体の見掛け密度が、0.025g/cm3〜0.2g/cm3であり、厚みが単層及び複層において5mm〜500mmで、線径が直径0.1mm〜1.5mmであることが好ましい。
前記ポリエチレン系熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、または、主としてエチレンと炭素数3以上のαオレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体樹脂であることが好ましい。
前記ポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物は、主としてエチレンと炭素数3以上のαオレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物であり、前記混合物中の前記ポリエチレン系熱可塑性エラストマーの含有量は重量比率で45%以下であることが好ましい。
前記三次元桟構造体は、クッション、クッションシート、座布団、枕、介護用品、ベッド用クッションまたはマットレス用であることが好ましい。
三次元桟構造体は複数の面を備え、そのうちの2面、3面、または、4面が成形されることが好ましく、必要に応じて異形形状に成形されることが好ましい。
本発明による三次元桟構造体は、ヒステリシスロスが小さく柔らかな高反発特性を有し、人体の特性に適合する弾性特性を提供できる優れた三次元桟構造体である。この優れた性質により、人体の特性に適合することで、製品への弾性特性の要求の多様化、製品への品質要求の高度化に対応でき、医療介護品、寝具、家具、若しくは、乗物の座席等に用いられるクッション材または表皮材に好適な三次元桟構造体を提供することが可能となった。例えば、医療・介護用マットレスの応用例では、適切な三次元桟構造体の弾性特性を実現し、睡眠中の人体の自然調整機能等に対応できるので、褥瘡等に適切に対応でき、患者は起き上がりがしやすい。また、介護者も患者の体位変換をする場合、マットレスの反発力を借りて少ない力で目的を遂げることが出来る。
さらに、縦方向、横方向に熱伸長する熱伸縮特性を有するので、例えばマットレスに用いられた場合、高温で消毒した場合等でも、マットレスが収縮してカバーがしわになることがなく、しわが原因となる褥瘡も起こりにくく好適である。そのため熱消毒が容易にでき乾燥も簡単なので院内感染にも対応し、医療用、又は、介護で要求されるクッション材に好適な三次元桟構造体を提供できる。また、縦方向、横方向に熱伸長率が異なる非等方性の熱伸長特性を有するので、三次元桟構造体の用途や、その用途における人体の特性に適合させることが可能である。使用方法により形態を2面、3面、4面、異形形状に成形できるので、医療用の補助器具としても様々な用途が考えられる。
本実施形態の三次元桟構造体について説明する。この三次元桟構造は、複数本の線条がループ状にランダムに絡まり合い、熱溶着されたことにより構成される。三次元桟構造体は製造中における押出方向において、嵩密度が粗部分と密部分とが交互に表われる桟状の疎密構造を備えた立体網状構造体である。
三次元桟構造体は、端部の硬いもの、表と裏で表面層の厚みが違うもの、表と裏で柔らかさの違うもの、内部に穴の開いているものなどが様々な形態が可能である。また、使用目的に応じて、部位によって硬さを変えることもできる。
本発明の三次元桟構造体はヒステリシスロスが34%以下であることが好ましい。ヒステリシスロスが小さいということは解放後の戻りの力が早く大きいということである。ヒステリシスロスが34%以下であれば回復力が大きく、本発明の目的とする柔らかく高反発性であるため好ましい。34%を越えると、弾性反発力が遅く弱くなるので好ましくない。より好ましくは15〜34%、さらには20%〜34%が一層好ましい。
本発明の三次元桟構造体の見掛け密度(嵩密度)は、柔らかな高反発性を決める重要な要素であり、必要に応じて設計されるものであるが、好ましくは0.025g/cm〜0.2g/cm、さらに好ましくは0.04g/cm〜0.09g/cmである。見掛け密度が0.025g/cmより小さいと形状が保てなくなり、0.20g/cmを越えるとマットレスとしては適さなくなる。
本発明の三次元桟構造体は、線条の線径(直径)が0.3mm〜1.5mmの熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーの混合物からなる連続線条なランダムなループを互いに溶融状態で溶着させた立体スプリング構造体である。線径は異形、中空形状でもよいがソフトな触感を得るためには重要な要素であり、線径が小さいとクッション性に必要な硬度が保てなくなり、逆に線径が大きすぎると硬くなり過ぎてしまうため、適正な範囲に設定する必要がある。
ループのループ長は5〜50mm、特に8〜15mmであることが好ましい。目的に合わせ、表面のループを寝かせ、密度の高い表面層を形成してもよいし、密度の高い表面層を形成しなくてもよい。
本発明の三次元桟構造体の厚みは柔らかさや高反発性に大きく関わってくるため、5mm〜500mm、より好ましくは、10〜150mm、さらには30〜110mmが一層好ましい。5mm未満では高反発性が低くなるため好ましくなく、500mmを超えると反発性が高くなりすぎるため好ましくない。
この三次元桟構造体の縦横寸法は、例えば、マットレス、クッション等の場合、幅600〜2000mm、長さ1300〜2500mm、高さ30〜120mm、枕の場合、幅250〜500mm、長さ300〜800mm、高さ40〜120mmが例示できる。また、それらの表皮材などに単体、複合、複層して利用することができる。寸法は、代表的な寸法を例示したが、その寸法に限られるわけでない。
この三次元桟構造体の材料は、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、またはポリエチレン系樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物が好ましい。
本発明の三次元桟構造体は、ポリエチレン系熱可塑性樹脂で構成される場合、90℃乾燥熱風試験前後の縦方向、横方向の熱伸長率は、0%以上で8%以下が好ましく、3%以下がさらに好ましい。90℃乾燥熱風試験前後の熱伸長率が8%を超えるとカバーに入りにくくなるため好ましくない。90℃乾燥熱風試験前後の熱伸長率が0%を下回ると、高温で消毒した場合等に製品の長さが短くなり、カバーがしわになるので、好ましくない。
本発明の三次元桟構造体は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーで構成される場合、130℃乾燥熱風試験前後の縦方向、横方向の熱伸長率は、0%以上で8%以下が好ましく、3%以下がさらに好ましい。130℃乾燥熱風試験前後の熱伸長率が8%を超えるとカバーに入りにくくなるため好ましくない。130℃乾燥熱風試験前後の熱伸長率が0%を下回ると高温で消毒した場合等に製品の長さが短くなり、カバーがしわになるので、好ましくない。
本発明の三次元桟構造体は、ポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物で構成される場合、90℃乾燥熱風試験前後の縦方向、横方向の熱伸長率は、0%以上で8%以下が好ましく、3%以下がさらに好ましい。90℃乾燥熱風試験前後の熱伸長率8%を超えるとカバーに入りにくくなるため好ましくない。90℃乾燥熱風試験前後の熱伸長率が0%を下回ると高温で消毒した場合等に製品の長さが短くなり、カバーがしわになるので、好ましくない。
本発明の三次元桟構造体をクッション材に用いる場合、その使用目的、使用部位により使用する樹脂、線径、ループ径、表面層、嵩密度、形状を適宜選択する必要がある。例えば、使用する国における硬さの好みに合わせて適時、素材の原料を選ぶ。レイヤーとして使用する場合、表面層か中間層かにより適切な嵩密度を選択する。また、立体構造を損なわない程度に成形型等を用いて使用目的にあった形状に成形し車両用座席、航空機用座席、船舶用座席、椅子、家具等に用いることが出来る。もちろん、要求性能にあわせるため、同構造同素材での複層、同構造異素材での複層、硬わたクッション材、ウレタン、ラテックス、不織布と組み合わせて用いることも可能である。素材を難燃化、不燃化、抗菌化、着色の機能をもたせるように処理加工することもできる。通気性、防水性能などそれぞれに適した素材で1層、2層の取り外し可能なカバーを適時設計してもよい。
本発明の三次元桟構造体に用いられるポリエチレン系熱可塑性樹脂は、嵩密度が0.94g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂であることが好ましく、特にはエチレンと炭素数3以上のαオレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂からなることが好ましい。0.94g/cm3を越える原料を用いると、クッション材が硬くなりやすく好ましくない。より好ましくは0.935g/cm3以下であり、さらには0.91g/cm3以下が一層好ましい。下限としては強度保持の観点から0.8g/cm3以上、より好ましくは0.85g/cm3以上が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、特開平6−293813号公報に記載されている共重合であることが好ましく、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンを共重合してなるものである。ここで、炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1などが挙げられ、好ましくはブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1である。また、これら2種類以上を用いることもでき、これらα−オレフィンは通常1〜40重量%共重合される。
この共重合体は、特定のメタロセン化合物と有機金属化合物を基本構成とする触媒系を用いてエチレンとα−オレフィンを共重合することによって得ることができる。
本発明の三次元桟構造体に用いられるポリエステル系熱可塑性エラストマーは、主として、結晶性芳香族熱可塑性ポリエステル・エラストマー単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族熱可塑性ポリエステル・エラストマー単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とする熱可塑性ポリエステル・エラストマーブロック共重合体(A)であることが好ましい。
熱可塑性エラストマーの中でも、結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位及び/又はポリラクトンのような脂肪族ポリエステル単位をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体(ポリエステルエラストマー)は、低温、高温特性に優れる特徴を有し、剛性の温度依存性が比較的小さいことが特徴である。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの嵩密度は1.01〜1.60g/cmであることが好ましく、1.05〜1.20g/cmであることがより好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、幅広い温度領域で温度依存性を小さくすることができる点で、好適に用いられる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a1)と、脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(a2)とを主たる構成成分とするポリエステル系熱可塑性エラストマーであり、高融点結晶性重合体セグメント(a1)は、主として芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成されるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4´;−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4´;−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、および3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。主として芳香族ジカルボン酸を用いるが、必要によっては、芳香族ジカルボン酸の一部を、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4´;−ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸や、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、およびダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸に置換してもよい。ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、たとえば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、および酸ハロゲン化物などももちろん同等に用い得る。ジオールの具体例としては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、およびキシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニルプロパン、2,2´;−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4´;−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、および4,4´;−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールは、エステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩などの形でも用い得る。これらのジカルボン酸、その誘導体、ジオール成分およびその誘導体は、2種以上併用してもよい。そして、好ましい高融点結晶性重合体セグメント(a1)の例は、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位である。また、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンイソフタレート単位からなるものも好ましく用いられる。
本発明に用いられるポリエステル系熱可塑性エラストマーの低融点重合体セグメント(a2)は、脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステル である。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールなどが挙げられる。また、脂肪族ポリエステル としては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステル のなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からは、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコール、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、及びポリエチレンアジペートなどの使用が好ましく、これらの中でも特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、及びエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールの使用が好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。本発明に用いられるポリエステル系熱可塑性エラストマーにおける低融点重合体セグメント(a2)の共重合量としては特に制限がないが、10〜90重量%程度が好ましく、30〜85重量%程度がより好ましく、50〜80重量%程度が特に好ましい。低融点重合体セグメント(a2)の共重合量が10重量%未満であると、柔軟性、屈曲疲労性が悪くなる。一方、低融点重合体セグメント(a2)の共重合量が90重量%を超えると、機械的物性、高温特性、耐油性、耐薬品性が十分に発現しない。
本発明に用いられるポリエステル系熱可塑性エラストマーは、公知の方法で製造することができる。その具体例としては、例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、およびジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法などのいずれの方法をとってもよい。
上記のブロック共重合体を単独または2種類以上混合して用いてもよい。
更には、非エラストマー成分をブレンドしたもの、共重合したもの等も本発明に使用できる。
本発明の三次元桟構造体に用いられるポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物は、主としてエチレンと炭素数3以上のαオレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物であることが好ましく、混合物中のポリエチレン系熱可塑性エラストマーの含有量は重量比率で45%以下であることが好ましい。混合物中のポリエチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が重量比率で45%を超えると、ヒステリスロスが大きくなり寝返りがしにくくなり、好ましくない。
本発明の三次元桟構造体に用いられるポリエチレン系熱可塑性エラストマーは、エチレン‐プロピレンゴム(EPDM,EPM)を微分散させた熱可塑性エラストマーや、2種類の触媒からなる2種類のポリオレフィンが一本の分子内に交互にブロック状に形成された物であることが好ましい。
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーの嵩密度は0.92〜0.85g/cmであることが好ましく、0.95〜0.81g/cmであることがより好ましい。
ポリエチレンの融点は60℃〜120℃が好ましい。また、熱可塑性エラストマーの融点は、ポリエステル系エラストマーの場合は140℃以上であれば耐熱耐久性が保持できるため好ましく、160℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向上するのでより好ましい。なお、必要に応じ、酸化防止剤や耐光剤等を添加して耐久性を向上させることができる。また、耐熱耐久性や耐へたり性を向上させるために、熱可塑性樹脂の分子量を上げることも効果的である。
本発明の三次元桟構造体に用いられるポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと略す)は3.0〜35g/10minであり、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのMFRは3.0〜45g/10minであり、ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物のMFRは6〜35g/10minである。
ポリエチレン系樹脂の線径減少率の測定方法、測定装置について説明する。線径減少率の測定装置は、キャピログラフ1D(東洋精機製)を使用した。温度190℃、管内径Dがφ1.0mm、長さ10mmのキャピラリーの上から圧力をかけ、押出量3g/10minで原料樹脂を押し出す。押し出された原料樹脂の線条をアルコールで冷却し、横断面で切断した線条の直径をDとする。線径減少率=D/Dで計算する。原料樹脂のせん断速度別に線径減少率を測定した。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの線径減少率の測定方法、測定装置については、温度が温度210℃となる点が相違するだけで、他は上記の同様である。
ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合樹脂の線形減少率の測定方法、測定装置については、温度190℃となる点が相違するだけで、他は上記と同様である。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂の線径減少率は、せん断速度24.3sec−1に対する線径減少率が0.93〜1.16であり、せん断速度60.8sec−1に対する線径減少率が1.00〜1.20であり、せん断速度121.6sec−1に対する線径減少率が1.06〜1.23であり、せん断速度が243.2sec−1に対する線径減少率が1.11〜1.30であり、せん断速度608.0sec−1に対する線径減少率が1.15〜1.34であり、せん断速度が1216sec−1に対する線径減少率が1.16〜1.38であることが好ましい。
本発明に用いられるポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂の線径減少率は、せん断速度60.8sec−1に対する線径減少率が1.10〜1.38であり、せん断速度121.6sec−1に対する線径減少率が1.12〜1.39であり、せん断速度243.2sec−1に対する線径減少率が1.15〜1.42であり、せん断速度608sec−1に対する線径減少率が1.17〜1.43であり、せん断速度1216sec−1に対する線径減少率が1.19〜1.47であることが好ましい。
本発明に用いられるポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑エラストマー樹脂の混合物の線径減少率は、せん断速度60.8sec−1に対する線径減少率が1.02〜1.25であり、せん断速度121.6sec−1に対する線径減少率が1.11〜1.30であり、せん断速度243.2sec−1に対する線径減少率が1.15〜1.35であり、せん断速度608sec−1に対する線径減少率が1.20〜1.40であり、せん断速度1216sec−1に対する線径減少率が1.23〜1.45であることが好ましい。
本発明の三次元桟構造体を形成する熱可塑性樹脂よりなる連続線条は、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂と組み合わせた複合形態としてもよい。複合形態としては、線条自身を複合化してもよい。
三次元桟構造体層を複合化したものとして、エラストマー層/非エラストマー層/エラストマー層のサンドウィッチ構造、エラストマー層/非エラストマー層の2層構造、マトリックスのエラストマー層の内部の中心部に部分的に非エラストマー層を配した複合化構造が挙げられる。
本発明の三次元桟構造体は、要求性能との関係で、ループの大きさの異なるもの、線径の異なるもの、組成の異なるもの、密度の異なるもの等の夫々の三次元桟構造体を適宜選択し、複層化できる。クッションを接着するか、非接着とするかは用途やカバーとの関係で設計する。複層化する場合は、エラストマー成分を含む樹脂から成る三次元桟構造体を表面層に配置すれば、表面層の耐熱性能が高くなり、また内層の三次元桟構造体には熱が伝わりにくくなり、その結果、複層体全体として耐熱性能が高くなるので好適である。複合、複層化三次元桟構造体は、数台の押し出し機を使用して製造することもできる。
本発明の三次元桟構造体は、複層化すると共に、熱や超音波によって、側地、綿、ウレタン、不織布からなるワディング層と接着一体化してもよい。接着一体化したものは、例えば座席用クッションとして用いられる。ここで、綿や不織布は、耐久性が高いので好ましく、不織布は繊維と繊維がバインダー繊維で融着されたものや支柱構造のストレート形状のものが好ましい。
本実施形態の三次元桟構造の製法の一例を述べるが、この製法に限定されるわけではない。特開2001−328153号公報等に記載された通り、ポリエチレン、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、またはポリエチレン樹脂とポリエチレン系熱可塑製エラストマーの混合物を主原料とした原料をそれらの融点より10℃〜20℃高い溶融温度で溶融し、溶融された原料は、ダイス内部へと送られ、圧力を加えられて、下部の口金の押出口から吐出されたそれぞれの線条は、押出孔の複数個の配列により、複数本の線条からなる線条集合体となり、自然降下する。
ダイス内部の温度範囲は100〜400℃、押出量は20〜200Kg/HR等に設定可能である。ダイス内部における圧力は、例えば75mmスクリューの吐出圧によるものが挙げられ、その圧力範囲は0.2〜25MPa程度である。
ダイス内部の口金の径は、三次元桟構造の線条の線径に対応し、0.2〜4.0mmが好ましく、0.4〜1.8mmがより好ましい。
つぎに、水または湯を供給した、少なくとも左右一対のシューター(国際公開番号WO2012/157289の公開公報参照)で受け止めて、線条を溶融状態で互いに接触させて融着させ、三次元構造を形成しつつ、水面に着水させる。このとき、シューターの角度、供給される水の量、押出口の口径、口金面とシューターと引取コンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、押出口の孔径と吐出量などにより、ループ径と線条の線径が決まる。線径(直径)は0.1〜1.8mm、ランダムループの平均直径(長さ)は5mm〜50mmである。
つぎに、線条集合体のうち、外周の長手側面に位置する線条は、一対の長手シューターの水が流れている傾斜面の上に接触し、これにより垂直降下軌道が乱され、隣り合う線条とループ状に絡まり合いつつ、供給パイプから供給される水または加温水で流されながら、傾斜面を滑り降りる。この際、線条は重力の影響を直接的に受け、傾斜面に沿って絡合し、ループが形成される。一対の短手シューターを設けてもよい。また、一体物のシューターを設けてもよい。
水供給口は、長手シューターのそれぞれの上方において、長手方向に供給パイプが設けられ、傾斜面のそれぞれに、水、又は、10〜90℃、好ましくは、40〜60℃の範囲内で加温された水を供給している。供給パイプには上流において水供給源に接続される。短手シューターへの加温水の供給は、供給パイプからの水流を調節して流用してもよいし、別途、短手シューターの上方に同様な供給パイプを設けてもよい。
線条集合体のうち、シューターの傾斜面のいずれにも接触せずに降下した線条は、成形開口部を通過する。このとき、成形開口部を通過する線条のうち、傾斜面の下辺近くを通過するものは、傾斜面を滑り降りてくる線条と接触し、ループ状に絡まり合い、その接触絡合による降下軌道の撹乱が隣り合う中心方向の線条に若干の範囲で伝播しつつ降下する。成形開口部を通過する線条のうち、成形開口部の中央付近を通過するものは、水面に着水し、引取機による引取速度は線条集合体の降下速度よりも遅いため、着水したそれぞれの線条は撓み、水面付近で略ループ状に絡まり合う。引取機の速度は5〜40m/時間が好ましい。なお、引取機はキャタピラー構造の無端ベルトを用いて線条集合体を引き取るが、これに限らず、ローラー等を用いることも可能であり、また、シューターを用いなくても引取機により線条のループを形成してもよい。
つぎに、三次元桟構造は、水槽にて冷却されつつ、一対の引取機により、集合体の降下より遅い速度で引き取られて降下し、成形開口部の短手方向の間隔よりも小さな間隔で挟持され補助的な圧縮作用を受ける。無端ベルトの位置まで降下した時点では、水没による線条集合体の冷却固化がまだ完全に終わっていないので、引取機での挟持により圧縮成形効果を得る。引取機により線条集合体を引き取り、送り出せば、溶融状態にある線条集合体が水により、冷却固化され、最終的に形状が固定され、ローラーで挟み込むことで、冷却槽から引き出される。
水槽の水位は、シューターの傾斜面の下端部の高さ以上とすることが望ましい。シューターの配置高さによらず、傾斜面の下端部を基準に設定され、引取機の一部が水上に露出することは支障とならない。水位は、傾斜面の下端部からの高さが、0〜45mmに設定することが好ましく、1〜30mmの高さに設定することがより好ましく、3mm〜22mmの高さに設定することがさらに好ましい。水位は傾斜面の下端部の高さと同一の高さを含み、これ以上の水位であれば本発明を実施できる。製造時の水位のばらつきや機械の水平度などを考慮して水位高さを設定することが好ましい。製造条件にも影響されるが、水位を3mm以上の高さに設定すれば、水圧などの影響により水位が傾斜面の下端部より低くなることを防止できる。一方、水位が傾斜面の下端部から30mmを越すと、条件によっては樹脂の固化が始まり繊維同士の融着が悪くなり、また表面の粗さが増して不適当となる。
つぎに、成形開口部と同様の形状を断面に有する三次元桟構造体は、水切り後、ローラーによって乾燥熱処理槽に送られ、熱風による乾燥熱処理によってアニーリング行う。この時、乾燥熱処理槽の前後のローラーの引取速度を異なるように設定することが好ましい。例えば、乾燥熱処理槽の入口付近のローラーの引取速度よりも、乾燥熱処理槽の出口付近のローラーの引取速度を低く設定する。乾燥熱処理後、所望の長さに切断して、三次元桟構造体を得る。乾燥熱処理前に所望の長さに切断してもよい。
この乾燥熱処理によるアニーリングは、水槽から取り出し、水切りを行った三次元桟構造体を乾燥温度で所定時間行う。乾燥温度は、低密度ポリエチレンの場合、その融点以下であることが好ましく、融点より10〜70℃低いことが好ましい。また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの場合、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの融点以下であることが好ましく、融点より10〜70℃低いことが好ましい。また、ポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物の場合、混合物の融点以下であることが好ましく、融点より10℃〜30℃低いことが好ましい。
アニーリングは、水槽から取り出し水切りを行った後、枠に三次元桟構造を圧縮状態で収容し、熱風で熱処理し、型を外したものでもよい。この場合の乾燥温度は低密度ポリエチレンの場合、その融点以下であることが好ましく、融点より10〜70℃低いことが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの場合、熱可塑性エラストマーの融点以下であることが好ましく、融点より10〜70℃低いことが好ましい。また、ポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物の場合、混合物の融点以下であることが好ましく、融点より10℃〜70℃低いことが好ましい。
上記のように水槽で三次元桟構造体を成形した後、後工程でアニーリング(以下、追加アニーリングという。)しても良いし、水槽に加温した水を供給することによって、生産時に追加的にアニーリング(以下、生産時アニーリングという。)しても良い。
生産時アニーリングは、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、または、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの融点より少なくとも10℃〜70℃以上低い温度で処理することが好ましい。ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系熱可塑エラストマーの混合物の場合は、融点より10〜70℃以上低いことが好ましい。
生産時アニーリングの場合、少なくとも一対のシューターに常温の水を供給する代わりに、シューターに供給する加温水を20〜90℃の範囲(20〜80℃以上が好ましく、25〜50℃がさらに好ましい。)で供給し、線条をランダムに熱溶着させランダムループを形成しながらアニーリングを行ってもよい。加温水の場合、低密度ポリエチレンの場合には、25〜50℃、熱可塑性エラストマーの場合には、25〜70℃、ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系熱可塑エラストマーの混合物の場合は、25〜60℃が好ましい。加温水としては、(A)シューターに流す水を加温する、(B)水槽自体を温める、(C)シューターをタンクのような形状として内部温度を上げる、などがある。またそれら複合としても良い。シューターへ供給する加温水の温度を上げすぎると、樹脂がシューターにくっつくおそれがあるので、温度は適宜の温度、例えば、10〜60℃が望ましい。追加アニーリングは三次元桟構造を水槽から引き揚げた後、湯、または熱風に浸漬、通過して行う。
アニーリングは、乾燥熱処理等による追加アニーリングと、水槽等の温水による生産アニーリングどちらかを1回だけ行ってもよいし、生産アニーリングの後に追加アニーリングを行い、二段階でアニーリングを行ってもよい。また、追加アニーリングを二段階で行ってもよい。この場合、一回目の追加アニーリング温度よりも二回目の追加アニーリング温度を高く設定する。
本発明の三次元桟構造体は、上記製法により、柔らかで高反発な特性、縦方向および横方向の熱伸長特性を実現する。また、縦方向と横方向で異なる熱伸長特性を実現する。本発明者の分析によれば、弾性特性や熱伸長特性、さらに非等方性の熱伸長率になるメカニズムは複雑であり、すべてが明らかになっているわけではないが、原料の適切な範囲の線径減少率と溶融粘度とMFR、口金の穴径からの押出成形処理、線条のループ形成処理、線条の冷却処理、及び、乾燥熱処理による追加アニーリングや生産時アニーリングを適切に行うことにより、線条が自然降下し、絡合し、冷却されるときに、基本的には、線条の太さの特徴的な変動現象・揺動現象により、縦方向と横方向で絡合の形態が相違するものと考えている。
横方向、縦方向に熱伸長するのは、原料の線径減少率、口金の径、コンベアの引取速度、アニーリング等が要素となるからである。
なお、本発明の三次元桟構造体は、性能を低下させない範囲で樹脂製造過程から成形体に加工し、製品化する任意の段階で防臭抗菌、消臭、防黴、着色、芳香、難燃、不燃、吸放湿等の機能付与を薬剤添加等の処理加工により付与することができる。
以下に、実施例を例示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中における特性値の測定及び評価は下記のように行った。
(1) 線径 (mm)
試料の中心部分から樹脂糸を切り出し、ノギスで樹脂糸の厚みを5回測定した。5回の測定値の平均値を線径とした。S1とS2に対して測定した。エラストマー試料の線径は、ポリエステルの測定結果から推測した。アニーリング有りの温度は60℃、アニーリングなしは23℃とした。
(2) 試料厚み及び嵩密度 (g/cm
試料を30cm×30cmの大きさに切断し、無荷重で24時間放置した後、4か所の高さを測定して平均値を試料厚みとした。試料厚みから体積を求め、試料の重さを体積で除した値を試料の嵩密度とした。
(3) ランダムループの平均直径 (mm)
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、押し出し方向表面に形成された不規則な形状のランダムループのループ円の直径が大きいほうを10か所測定を行い、平均値をミリ以下、切り捨て、ランダムループの平均直径とした。
(4) 硬さ (N)
試料を30cm(縦)×30cm(横)の大きさに切断し、この試験片をJIS K 6400−2:2012 A法を準用して計測した。試験温度20℃、湿度65%である。
(5) 反発弾性(cm)
試料を30cm(縦)×30cm(横)の大きさに切断し、この試験片をJIS K 6400−3:2011を準用して測定を行った。鋼球は直径が41.5mm、重さ290gのものを使用した。落下高さ500mmとした。試験温度23℃、湿度50%である。
(6) 定重繰返し試験後の反発弾性変化率(%)
試料を30cm(縦)×30cm(横)の大きさに切断し、(5)に記載の方法で定重繰返し試験前の反発弾性(a)を測定する。反発弾性を測定したサンプルに対して定重繰返し圧縮試験を実施する。定重繰り返し圧縮試験はJISK6400-4の繰返し圧縮残留ひずみ試験A法(定荷重法)に準拠して実施する。繰り返し圧縮試験は温度23±2℃、相対湿度50±5%で実施する。A法(定荷重法)は直径25cmの加圧板を用いてサンプルに750N±20Nの力で、毎分70±5回の早さで80000万回の繰返し圧縮を行う。最大の力750±20Nを加圧している時間は、繰り返し圧縮に要する時間の25%以下とする。試験終了後、サンプルに力のかからない状態で100±0.5分放置する。定重繰返し試験後の反発弾性(b)を(5)に記載の方法で測定する。定重繰返し試験後の反発弾性変化率(%)は、定重繰返し試験後の反発弾性を定重繰返し試験前の反発弾性で除す下記式にて算出される。
(定重繰返し試験後の反発弾性変化率(%))=(1-(b)/(a))×100
(7) 圧縮たわみ係数(%)
試料を30cm(縦)×30cm(横)の大きさに切断し、この試験片をJIS K 6400−2:2012 E法を準用して測定した。試験温度23℃、湿度50%である。
(8) ヒステリシスロス (%)
試料を30cm(縦)×30cm(横)の大きさに切断し、この試験片をJIS K 6400−2:2012 E法を準用して測定した。
(9) 乾燥熱風試験前後の熱伸長率 (%)
試料を30cm(縦)×30cm(横)の大きさに切断し、試験片の縦方向と横方向の各2箇所に25cmとなるようにマーキングを行った。乾燥熱風試験後でも容易に識別できるペンでマーキングした。マーキングを行った試験片を熱風乾燥炉に30分間入れた。その後、熱風循環乾燥炉から試料を取り出し、22℃の室温で30分間冷却した。冷却後に縦方向と横方向のマーキング距離を各2箇所計測し、各2箇所の平均値を、試験後の縦長さ、試験後の横長さとした。全ての長さの測定は、0.01cmまで読み取れる計測器を用いた。乾燥熱風試験前後の熱伸長率は、(25−得られた長さ)/25×100で計算した。ポリエチレン系樹脂の乾燥熱風試験温度は90℃、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの乾燥熱風試験温度は130℃、ポリエチレン樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの乾燥熱風試験温度は90℃とした。
(10)引張強度 (N)
試料を20cm(縦)×5cm(横)の大きさに切断し、この試験片を固定金具間が10cmになるように治具に固定した。引張速度は10cm/minとした。測定時の室温は20℃、湿度は65%である。熱可塑性エラストマーは厚みがあるため固定するための治具を用いた。同一試料に対して縦横それぞれ2回の測定を行い、最大点荷重を測定値とした。
[実施例1]
押出機のスクリュー径が65mm、ダイス温度が205℃、ダイスの幅方向890mm、厚み方向75mm、孔間ピッチ10mm、ノズル穴径が1.6mm、エヤーギャップ(ノズル下面から水面までの距離)67mm、主原料はメタロセン化合物を触媒としてヘキサン、ヘキセン、エチレンを公知の方法で重合し、得られたエチレン・α−オレフィン共重合体、せん断速度24.3sec−1に対する線径減少率が1.05、せん断速度60.8sec−1に対する線径減少率が1.12、せん断速度121.6sec−1に対する線径減少率が1.15、せん断速度243.2sec−1に対する線径減少率が1.18、せん断速度608sec−1に対する線径減少率が1.23、せん断速度1216sec−1に対する線径減少率が1.26、MFRが12g/10min、密度0.90g/cmを溶融温度180℃にて、ノズル下方に押出量が86Kg/hにて線条を吐出させ、ノズル面36mm下にシューター下端を配し下端を水没させ、幅105cmのステンレス製コンベアを平行に開口幅71mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、溶融状態の吐出線条をシューターの上で36℃の加温水をシューター上に供給することにより固化処理を行うとともに、線条を接触絡合させてループを形成して接触部分を融着させつつ三次元桟構造を形成し、溶融状態の三次元桟構造体の両面を引取コンベアで挟み込みつつ引取速度が6.7mm/secで36℃の温水へ引込み固化させ両面をフラット化した後、所定の大きさに切断して、60℃の熱風にて5分間乾燥熱処理によるアニーリングを行い、三次元桟構造体を得た。得られた三次元桟構造体は、断面形状が四角形、線経が0.6〜1.1mmの線条で形成されており、表面は平坦化されており、嵩比重が53kg/m3、厚みが75mm、幅890mm、90℃、30分間乾燥熱風試験前後の伸長率が縦方向で2.31%、横方向で1.52%、ヒステリスロスが28.7%、反発弾性31cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率0%であった。なお、気温19℃、湿度42%であった。
[実施例2]
押出機のスクリュー径が40mm、ダイス温度が190℃、ダイスの幅方向500mm、厚み方向25mm、孔間ピッチ10mm、ノズル穴径が1.6mm、エヤーギャップ(ノズル下面から水面までの距離)38mm、エチレン・α−オレフィン共重合体(原料は実施例1と同一)のポリエチレンを溶融温度160℃にて、ノズル下方に押出量が13Kg/hにて線条を吐出させ、ノズル面36mm下にシューター下端を配し下端を水没させ、幅55cmのステンレス製コンベアを平行に開口幅23mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、溶融状態の吐出線条をシューターの上で36℃の加温水をシューター上に供給することにより固化処理を行うとともに、線条を接触絡合させてループを形成して接触部分を融着させつつ三次元桟構造を形成し、溶融状態の三次元桟構造体の両面を引取コンベアで挟み込みつつ引取速度が4.1mm/secで36℃の温水へ引込み固化させ両面をフラット化した後、所定の大きさに切断して60℃の熱風にて5分間乾燥熱処理によるアニーリングを行い、三次元桟構造体を得た。得られた三次元桟構造体は、断面形状が四角形、線経が0.6〜1.1mmの線条で形成されており、表面は平坦化されており、嵩比重が70kg/m3、厚みが25mm、幅500mm、90℃、30分間の乾燥熱風試験前後の熱伸長率が縦方向で1.87%、横方向で1.39%、ヒステリスロスが28.6%、反発弾性33cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率6.1%であった。気温21℃、湿度48%であった。
[実施例3]
押出機のスクリュー径が65mm、ダイス温度が217℃、ダイスの幅方向900mm、厚み方向30mm、孔間ピッチ10mm、ノズル穴径が1mm、エヤーギャップ(ノズル下面から水面までの距離)69mm、主原料として熱可塑性エラストマー(登録商標「ハイトレル」)、せん断速度60.8sec−1に対する線径減少率が1.26、せん断速度121.6sec−1に対する線径減少率が1.28、せん断速度243.2sec−1に対する線径減 少率が1.30、せん断速度608sec−1に対する線径減少率が1.30、せん断速度1216sec−1に対する線径減少率が1.33、MFRが14g/10min、密度1.08g/cm、を溶融温度195℃にて、ノズル下方に押出量が27.5Kg/hにて線条を吐出させ、ノズル面69mm下にシューター下端を配し下端を水没させ、幅105cmのステンレス製コンベアを平行に開口幅70mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、溶融状態の吐出線条をシューターの上で63℃の温水をシューター上に供給することにより固化処理を行うとともに、線条を接触絡合させてループを形成して接触部分を融着させつつ三次元桟構造を形成し、溶融状態の三次元桟構造体の両面を引取コンベアで挟み込みつつ引取速度が3.9mm/secで引込み固化させ両面をフラット化した後、80℃の湯でアニーリングし、その後、所定の大きさに切断して130℃の熱風にて5分間乾燥熱処理によるアニーリングを行い、三次元桟構造体を得た。得られた三次元桟構造体は、断面形状が四角形、線経が0.5〜1.0mmの線条で形成されており、表面は平坦化されており、嵩比重が71kg/m3、厚みが30mm、幅900mm、130℃、30分間乾燥熱風試験前後の熱伸長率が縦方向で0.78%、横方向で1.70%、ヒステリスロスが17.1%、反発弾性33cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率0%であった。気温33℃、湿度48%であった。
[実施例4]
押出機のスクリュー径が65mm、ダイス温度が225℃、ダイスの幅方向900mm、厚み方向73mm、孔間ピッチ10mm、ノズル穴径が1.6mm、エヤーギャップ69mm(ノズル下面から水面までの距離)、熱可塑性エラストマー(登録商標「ハイトレル」)(実施例3と同一原料)を溶融温度202℃にて、ノズル下方に押出量が40Kg/hにて線条を吐出させ、ノズル面69mm下にシューター下端を配し下端を水没させ、幅105cmのステンレス製コンベアを平行に開口幅72mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、溶融状態の吐出線条をシューターの上で63℃の加温水をシューター上に供給することにより固化させ、線条を接触絡合させてループを形成して接触部分を融着させつつ三次元桟構造体を形成し、溶融状態の三次元桟構造体の両面を引取コンベアで挟み込みつつ引取速度が2.7mm/secで引込み固化させ両面をフラット化した後、80℃の湯でアニーリングし、所定の大きさに切断して130℃の熱風にて5分間乾燥熱処理によるアニーリングを行い、三次元桟構造体を得た。得られた三次元桟構造体は、断面形状が四角形、線経が0.5〜1.2mmの線条で形成され、表面は平坦化されており、嵩比重が63kg/m3、厚みが73mm、乾燥熱風試験前後の熱伸長率が縦方向で1.22%、横方向で3.08%、ヒステリスロスが16.7%、反発弾性34cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率5.9%であった。気温30℃、湿度44%であった。
[実施例5]
押出機のスクリュー径が40mm、ダイス温度が195℃、ダイスの幅方向500mm、厚み方向51mm、孔間ピッチ10mm、ノズル穴径が1mm、エヤーギャップ(ノズル下面から水面までの距離)38mm、エチレン・α−オレフィン共重合体(実施例1と同一材料)主成分と不燃材を混合したものを溶融温度160℃にて、ノズル下方に押出量が23Kg/hにて線条を吐出させ、ノズル面38mm下にシューター下端を配し下端を水没させ、幅55cmのステンレス製コンベアを平行に開口幅40mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、溶融状態の吐出線条をシューターの上で36℃の加温水をシューター上に供給することにより固化処理を行うとともに、線条を接触絡合させてループを形成して接触部分を融着させつつ三次元桟構造を形成し、溶融状態の三次元桟構造体の両面を引取コンベアで挟み込みつつ引取速度が6.8mm/secで36℃の温水へ引込み固化させ両面をフラット化した後、所定の大きさに切断して60℃の熱風にて5分間乾燥熱処理して、嵩密度45kg/mの三次元桟構造体を得た。得られた三次元桟構造体は、断面形状が四角形、線経が0.7〜1.3mmの線条で形成されており、表面は平坦化されており、嵩比重が50kg/m3、厚みが51mm、幅400mm、90℃、30分間乾燥熱風試験前後の伸長率が縦方向で2.68%、横方向で1.28%、ヒステリスロスが27.0%、反発弾性24cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率16.7%であった。気温15℃、湿度52%であった。
[実施例6]
押出機のスクリュー径が40mm、ダイス温度が195℃、ダイスの幅方向500mm、厚み方向25mm、孔間ピッチ10mm、ノズル穴径が1mm、エヤーギャップ(ノズル下面から水面までの距離)38mm、メタロセン化合物を触媒としてヘキサン、ヘキセン、エチレンを公知の方法で重合し、得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(実施例1と同一材料)主成分とし不燃材を混合した原料を溶融温度160℃にて、ノズル下方に押出量が17Kg/hにて線条を吐出させ、ノズル面36mm下にシューター下端を配し下端を水没させ、幅55cmのステンレス製コンベアを平行に開口幅40mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、溶融状態の吐出線条をシューターの上で36℃の加温水をシューター上に供給することにより固化処理を行うとともに、線条を接触絡合させてループを形成して接触部分を融着させつつ三次元桟構造を形成し、溶融状態の三次元桟構造体の両面を引取コンベアで挟み込みつつ引取速度が4.5mm/secで36℃の温水へ引込み固化させ両面をフラット化した後、所定の大きさに切断して60℃の熱風にて5分間乾燥熱処理して、嵩密度65kg/mの三次元桟構造体を得た。得られた三次元桟構造体は、断面形状が四角形、線経が0.7〜1.3mmの線条で形成されており、表面は平坦化されており、嵩比重が50kg/m3、厚みが43mm、幅400mm、90℃、30分間の乾燥熱風試験前後の熱伸長率が縦方向で2.06%、横方向で1.22%、ヒステリスロスが30.0%、反発弾性32cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率12.5%であった。気温21℃、湿度48%であった。
[実施例7]
押出機のスクリュー径が40mm、ダイス温度が205°C、ダイスの幅方向500mm、厚み方向60mm、孔間ピッチ10mm、ノズル穴径が1mm、エヤーギャップ(ノズル下面から水面までの距離)38mm、メタロセン化合物を触媒としてヘキサン、ヘキセン、エチレンを公知の方法で重合し、得られたエチレン・α-オレフィン共重合体(実施例1と同一材料)とオレフィン ブロック コポリマー(ポリエチレン系熱可塑性エラストマー)を重量比20%混ぜ溶融温度200°Cにて、ノズル下方に押出量が22Kg/hにて線条を吐出させ、ノズル面39mm下にシュート下端を配し、幅55cmのステンレス製コンベアを平行に開口幅40mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、溶融状態の吐出線条をシュートの上で29°Cの加温水をシュート上に供給することにより固化処理を行うとともに、線条を接触絡合させてループを形成して接触部分を融着させつつ三次元桟構造体を形成し、溶融状態の三次元桟構造体の両面を引取コンベアで挟み込みつつ引取速度が4.5mm/secで29°Cの温水へ引込み固化させ両面をフラット化した後、所定の大きさに切断して60°Cの熱風にて5分間乾燥熱処理して、嵩密度65kg/m3の三次元桟構造体を得た。得られた三次元桟構造体は、断面形状が四角形、線経が0.8〜1.5mmの線条で形成されており、表面は平坦化されており、嵩比重が65kg/m3、厚みが50mm、幅405mm、90°C、30分間の乾燥熱風試験前後の熱伸長率が縦方向で3.04%、横方向で2.72%、ヒステリスロスが29.1%、反発弾性16cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率5.5%であった。気温12°C、湿度45%であった。
[比較例1]
他社製マットレスのポリエステル系熱可塑性エラストマー製の網状構造体(厚みが45mm、幅400mm)について各試験を行った結果、嵩比重が40kg/m3、130℃、30分間の乾燥熱風試験前後の熱伸長率が縦方向で−0.32(収縮)、横方向で−0.12%(収縮)、ヒステリスロスが70.4%、反発弾性22cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率68.2%であった。
[比較例2]
比較例1とは別の他社製マットレスのポリエステル系熱可塑性エラストマー製の網状構造体(厚みが25mm、幅400mm)について各試験を行った結果、嵩比重が50kg/m3、130℃、30分間の乾燥熱風試験前後の熱伸長率が縦方向で−0.28(収縮)、横方向で−0.20%(収縮)、ヒステリスロスが81.0%、反発弾性21cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率4.8%であった。
以上、本発明によれば、縦方向、横方向に熱伸長する熱伸長特性を有するので、例えばマットレスに用いられた場合、高温で消毒した場合等でも、マットレスが収縮してカバーがしわになることがなく、しわが原因となる褥瘡も起こりにくく好適である。また、縦方向、横方向に熱伸長率が異なる非等方性の熱伸長特性を有するので、三次元桟構造体の用途や、その用途における人体の特性に適合させることが可能である。
さらに、ヒステリシスロスが小さく柔らかな高反発特性を有するので、人体の特性に適合する弾性特性を提供でき、製品への弾性特性の要求の多様化、製品への品質要求の高度化に対応できる。
用途としては、マットレスの中材やマットレスとしてだけでなく、クッション、座布団、身障者用クッションなどの用途がある。ポリエチレンと熱可塑性ポリエステル・エラストマーを積層させることもある。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、様々な改変、置換、欠失等を行うことが出来、改変、均等、置換、欠失等も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明はヒステリシスロスが小さく、柔らかな高反発特性を有し、縦方向と横方向の乾燥熱風試験によって熱伸長する熱伸長特性を有し、縦方向と横方向の熱伸長特性が異なるので、健康志向にフィットした弾性特性を備えた乗物座席、クッション、マットレス、カバー等を提供できる。特に、褥瘡、介護など、ソフトで、縦方向に伸びやすいクッションを提供できる。また、乗物の座席、ベッド、マット等に利用されるクッションやカバーに利用されるシート等に利用できる。

Claims (9)

  1. 連続線条が部分的にランダムに溶着することによりループを形成し、押出方向に対応する縦方向、前記押出方向と直交する横方向と厚み方向を有する、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、又はポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑エラストマーの混合物からなる、三次元桟構造体であり、
    前記三次元桟構造体の反発弾性が13cm以上であり、
    ヒステリシスロスが34%を超えず、13%を下回らず、
    ポリエチレン系熱可塑性樹脂の場合に温度90℃で30分間、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの場合に130℃で30分間、又はポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑エラストマーの混合物の場合に90℃で30分間の乾燥熱風試験後、前記縦方向において乾燥熱風試験前後の熱伸長率が0〜8%である三次元桟構造体。
  2. ポリエチレン系熱可塑性樹脂の場合に温度90℃で30分間、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの場合に130℃で30分間、又はポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑エラストマーの混合物の場合に90℃で30分間の乾燥熱風試験後、前記横方向において、乾燥熱風試験前後の熱伸長率が0〜8%である請求項1の三次元桟構造体。
  3. 前記縦方向と前記横方向の熱伸長率が異なる非等方性の熱伸長特性を有する請求項1または請求項2の三次元桟構造体。
  4. 定荷重繰返し試験後の反発弾性変化率が20%以下である請求項1から3までのいずれかに記載の三次元桟構造体。
  5. 前記三次元桟構造体の見掛け密度が、0.025g/cm3〜0.2g/cm3であり、厚みが単層及び複層において5mm〜500mmで、線径が直径0.1mm〜1.5mmである請求項1から4までのいずれかに記載の三次元桟構造体。
  6. 前記ポリエチレン系熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、または、主としてエチレンと炭素数3以上のαオレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体樹脂である請求項1から5までのいずれかに記載の三次元桟構造体。
  7. 前記ポリエチレン系熱可塑性樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物は、主としてエチレンと炭素数3以上のαオレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体樹脂とポリエチレン系熱可塑性エラストマーの混合物であり、前記混合物中の前記ポリエチレン系熱可塑性エラストマーの含有量は重量比率で45%以下である、請求項1から5までのいずれかに記載の三次元桟構造体。
  8. クッション、クッションシート、座布団、枕、介護用品、ベッド用クッションまたはマットレス用であることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の三次元桟構造体。
  9. 複数の面を備え、そのうちの2面、3面、または、4面が成形された請求項1から8までのいずれかに記載の三次元桟構造体。
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