以下、本発明の実施形態に係る圧電デバイスについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、図面には、説明の便宜のために、互いに直交するD1軸、D2軸及びD3軸からなる直交座標系を付す。
圧電デバイスは、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、D3軸方向の正側を上方として、上面、下面などの用語を用いるものとする。
同一又は類似する部位乃至は部材については、「第1励振電極17A」及び「第2励振電極17B」のように、同一の名称と、互いに異なる番号及び大文字のアルファベットとを用いて呼称することがあり、また、この場合、単に「励振電極17」というなど、両者を区別しないことがある。
第2実施形態以降の説明において、既に説明した実施形態の構成と同一又は類似する構成については、既に説明した実施形態の構成に付した符号と同一の符号を付し、説明を省略することがある。また、既に説明した実施形態の構成に対応(類似)する構成に、既に説明した実施形態の構成と異なる符号が付された場合であっても、特に断りがない事項については、既に説明した実施形態の構成と同様であるものとする。
<第1実施形態>
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子1(以下、「水晶」を省略して「振動子1」ということがある。)を上面側から見た斜視図である。図1(b)は、振動子1を下面側から見た斜視図である。
振動子1は、所定の周波数で振動する発振信号を生成するために用いられる圧電デバイスである。振動子1の大きさは適宜なものとされてよい。例えば、比較的小さいものでは、平面視における長さ(D1軸方向又はD2軸方向)が1〜2mmであり、厚さ(D3軸方向)が0.2〜0.4mmである。
振動子1(そのパッケージ3)の外形は、例えば、概略、薄型の直方体状とされている。その下面には、複数の外部端子5が設けられている。振動子1は、その下面を不図示の回路基板等の実装面に対向させて配置され、前記の実装面に設けられた複数のパッドと、複数の外部端子5とが不図示の複数のバンプ(例えば半田)によって接合されることによって実装される。そして、振動子1は、複数の外部端子5のいずれか2つに対して交流電圧が印加される。
より具体的には、例えば、振動子1の外形は、下面に下面凹部7が形成された直方体状とされている。下面凹部7の形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、下面凹部7の平面形状は、振動子1の概略矩形の下面の4辺と平行な4辺を有する概略矩形とされている。振動子1の下面のうち下面凹部7を囲む矩形の枠状部分は、4辺のうち1対の辺(D2軸方向に延びる辺)が他の1対の辺よりも幅広に形成されている。
複数の外部端子5は、例えば、少なくとも水晶振動子1の下面の4隅に設けられている。図1の例では、上記の幅広に形成された2辺のそれぞれにおいて、各辺に沿って3つ配列されて、合計で6つ設けられている。外部端子5は、例えば、層状に形成された導電性材料(例えば金属)からなる。その平面形状は適宜に設定されてよく、例えば、矩形である。
複数の外部端子5のうち、発振信号を生成するための交流電圧が印加されるのは2つである。他の外部端子5は、例えば、振動子1をバンプによって不図示の回路基板等に実装するためのものであり、電気的には浮遊状態とされるか、基準電位が付与される。また、例えば、他の外部端子5は、後述する蓋部材13に基準電位を付与するためのものであってもよい。
なお、本実施形態の説明において、直方体乃至は矩形というとき、当該形状は、その角部が全体の形状を損なわない程度に面取りされたものを含むものとする。例えば、矩形は、1辺の長さの1/10以下の長さで当該1辺の一端がカットされるような面取りがなされたものを含むものとする。当該面取りは、エッチング等の精度によって意図せずに生じるものであってもよいし、意図的になされたものであってもよい。その他、矩形は、エッチング等の精度によって辺が微小に湾曲したものも含むものとする。
図2は、振動子1を上面側から見た分解斜視図である。図3は、振動子1を下面側から見た分解斜視図である。
振動子1は、例えば、概略して3つの部材からなる。すなわち、振動子1は、交流電圧が印加されることにより機械的振動を生じる水晶振動素子9(以下、「水晶」を省略して、「振動素子9」ということがある。)と、振動素子9を収容する箱状の素子搭載部材11と、素子搭載部材11の開口を封止する蓋部材13とを有している。なお、パッケージ3は、素子搭載部材11及び蓋部材13によって構成されている。パッケージ3の内部は、例えば、真空とされ、又は、窒素が封入されている。これらの具体的な構成は、例えば、以下のとおりである。
振動素子9は、例えば、水晶片15と、水晶片15に電圧を印加するための第1励振電極17A(図2)及び第2励振電極17B(図3)と、振動素子9を素子搭載部材11に実装するための第1配線19A(図2)及び第2配線19B(図3)とを有している。第1配線19Aは第1励振電極17Aと接続されており、第2配線19Bは第2励振電極17Bと接続されている。
水晶片15は、例えば、全体として一定の厚さの板状に形成されている。より具体的には、水晶片15は、板状の本体部21と、本体部21から延び出る第1フレーム部23A及び第2フレーム部23Bとを有している。
本体部21は、1対の励振電極17によって交流電圧が印加されることにより機械的振動を生じる部分である。本体部21の平面形状は、適宜な形状とされてよく、本実施形態では、矩形である。すなわち、本体部21の外縁は、第1辺21aと、当該第1辺21aに直交する第2辺21b及び第3辺21cと、第1辺21aに平行な第4辺21dとを有している。
1対のフレーム部23は、素子搭載部材11に固定されて、本体部21を支持する。従って、本体部21が直接に素子搭載部材11に固定される場合に比較して、本体部21は、弾性的に支持されることになる。
1対のフレーム部23は、例えば、本体部21の外縁から延び出て曲がり、本体部21の外縁に沿って(別の観点では本体部21回りに)延びている。これにより、振動素子9の大型化を抑制しつつ、フレーム部23を長くして、弾性的な支持の効果を高くすることができる。
より具体的には、例えば、1対のフレーム部23は、まず、本体部21の第1辺21aから第1辺21aに直交する方向に延び出る。別の観点では、1対のフレーム部23は、本体部21の外縁から互いに同一の方向へ延び出る。次に、1対のフレーム部23は、互いに逆方向へ屈曲し、本体部21の第1辺21a、第2辺21b又は第3辺21c、及び、第4辺21dに沿って延びる。この際、例えば、1対のフレーム部23は、各辺に対して平行に延びている。そして、1対のフレーム部23の先端同士は、互いに接続されている。
このように、本実施形態では、各フレーム部23は、本体部21回りに1/2周近く(従って1/4周以上)に亘って延び、1対のフレーム部23全体として、本体部21を囲むように延びている。なお、1対のフレーム部23が合計で3/4周以上に亘って延びている場合、フレーム部23は、本体部21に対して、本体部21から延び出た側とは概ね反対側まで延びているから、1対のフレーム部23は、平面視において本体部を囲んでいるといってよい。また、1対のフレーム部23は、矩形の本体部21の各辺に平行に延びて、先端が接続されていることから、全体として矩形の枠状に形成されている。
なお、フレーム部23が本体部21回りに何周分延びているかは、例えば、平面視において、本体部21の中心(例えば図形重心)からフレーム部23の根元へ引いた直線と、前記の中心からフレーム部23の先端へ引いた直線との角度によって判定してよい。すなわち、本体部21の中心回りの、フレーム部23の根元から先端までの中心角によって判定してよい。この判定の際、フレーム部23の位置は、例えば、中心線(延びる方向に直交する断面の図形重心を連ねた線)を基準に判定してよい。
例えば、1本のフレーム部23は、上記の中心角が90°以上であれば、1/4周以上に亘って延びているといえる。また、例えば、各フレーム部23の中心角の、2本のフレーム部23での合計が270°以上であれば、1対のフレーム部23は、合計で3/4周以上に亘って延びているといえる。
フレーム部23の幅は、適宜に設定されてよい。フレーム部23の幅は、例えば、その長さ全体に亘って、概ね一定とされている。フレーム部23の幅は、例えば、フレーム部23が本体部21を支持可能な強度を有する幅以上とされる。この際、もちろん、本体部21の単純な重量だけでなく、本体部21の振動や振動子1に加えられる加速度(許容範囲のもの)が加味される。また、フレーム部23の幅は、例えば、本体部21の短辺(別の観点では最小の直径)の1/2未満とされる。これ以上の幅だと、フレーム部23の長さにもよるが、本体部21を直接的に素子搭載部材11に固定する場合に比較した弾性的な支持の効果があまり期待できなくなるからである。
フレーム部23の内縁と本体部21の外縁との距離も適宜に設定されてよい。本実施形態では、フレーム部23の内縁と本体部21の外縁とは平行であり、両者の距離は、各辺において一定である。この距離は、例えば、本体部21が励振されたときに、本体部21がフレーム部23に当接しない距離以上とされる。また、この距離は、振動子1に加速度(許容範囲のもの)が加えられたときに、本体部21がフレーム部23に当接しない距離以上とされてもよいし、逆に、当該距離未満とされてもよい。前者の場合は、当接による本体部21の破損が抑制され、後者の場合は、フレーム部23を本体部21のストッパとして機能させることにより、本体部21とフレーム部23との接続部に過大な応力が加えられることを抑制できる。なお、本実施形態では、第4辺21dにおける距離は、他の辺における距離よりも短くされている。
1対のフレーム部23の根元部分(第1辺21aから延び出る部分)は、互いに結合されている。これにより、例えば、根元部分における応力集中が抑制される。ただし、このような結合部分は形成されなくてもよい。この結合部分の幅は、例えば、フレーム部23の大部分の幅(一定の幅)を基準として、フレーム部23の1本分の幅よりも大きく、2本分の幅よりも小さい。また、結合部分からの分岐部分には、外周面に切り欠きが形成されている。この切り欠きにより、1対のフレーム部23の独立性が向上する。ただし、この切り欠きは形成されていなくてもよい。
フレーム部23の先端側(第4辺21d側)の外周面には、外側へ突出する突起が形成されている。この突起は、例えば、素子搭載部材11の内周面に突き当てられ、振動素子9の位置決めに寄与する。及び/又は、突起は、振動素子9の向きを画像認識によって特定するときの目印となる。ただし、このような突起は設けられなくてもよい。
励振電極17及び配線19は、水晶片15の表面に形成された導電層からなる。導電層(後述する他の導電層も同様)は、例えば、金属からなり、また、2種以上の導電層が積層されて構成されていてもよい。
1対の励振電極17は、例えば、本体部21の両主面の中央側に位置しており、本体部21を挟んで対向している。1対の励振電極17は、例えば、互いに同一の形状及び大きさであり、平面視において完全に重なっている。励振電極17の形状は、適宜な形状とされてよく、本実施形態では、本体部21の4辺と平行な4辺を有する矩形とされている。
第1配線19Aは、例えば、第1励振電極17Aから延びて第1フレーム部23Aの表面を第1フレーム部23Aに沿って延びている。同様に、第2配線19Bは、例えば、第2励振電極17Bから延びて第2フレーム部23Bの表面を第2フレーム部23Bに沿って延びている。そして、1対の配線19の先端は、素子搭載部材11の後述する素子用パッド29(図2)に電気的に接続される。これにより、1対の励振電極17は、素子搭載部材11の配線と電気的に接続される。
より具体的には、例えば、配線19は、まず、本体部21の主面上において、励振電極17の外縁のうち本体部21の第1辺21a側(フレーム部23が延び出る側)の部分(辺)から直線状に延び出て、本体部21とフレーム部23との接続部に至る。すなわち、配線19は、励振電極17から最短距離で接続部に至る。次に、配線19は、フレーム部23の表面のうち、本体部21の、当該配線19が設けられた主面と連続する面(第1配線19Aは上面、第2配線19Bは下面)において、フレーム部23に沿って延びる。従って、1対の配線19は、基本的に、水晶片15の互いに逆側の面に設けられている。また、配線19は、例えば、フレーム部23の配線19が設けられた面の全幅に亘る幅で延びている。
そして、第1配線19Aは、第1フレーム部23Aの先端に至ると、第1フレーム部23Aの外周面及び内周面の少なくとも一方(本実施形態では外周面)を経由して、反対側の面(下面、素子搭載部材11側の面)へ延びる。そして、第1配線19Aの先端(図3)は、第1フレーム部23Aの先端の下面に位置する。この先端は、素子搭載部材11と電気的に接続される第1素子端子25Aを構成している。また、第2配線19Bは、第2フレーム部23Bの先端に先端(図3)が位置する。この先端は、素子搭載部材11と電気的に接続される第2素子端子25Bを構成している。第1素子端子25A及び第2素子端子25Bは、1対のフレーム部23の先端同士とは異なり、互いに離間している。
なお、図示の例とは異なり、第2配線19Bは、第2フレーム部23Bの外周面及び内周面の少なくとも一方を経由して、反対側の面(上面)へ延び、その先端が第2フレーム部23Bの先端の上面に位置してもよい。すなわち、振動素子9は、上下が可逆とされていてもよい。
素子搭載部材11は、例えば、素子搭載部材11の主体となる基体27と、振動素子9を実装するための1対の素子用パッド29(図2)と、既述の複数の外部端子5とを有している。
基体27は、絶縁材料から構成されている。絶縁材料は、例えば、セラミック又は樹脂である。基体27は、複数部材から構成されていてもよいし、全体が一体的に形成されていてもよい。基体27は、振動素子9を搭載且つ封止可能であれば、適宜な形状とされてよい。例えば、基体27は、概略直方体の上面に上面凹部31(図2)が形成され、下面に既述の下面凹部7が形成された形状とされている。
上面凹部31は、振動素子9を収容するためのものである。その形状及び大きさは適宜に設定されてよい。本実施形態では、上面凹部31は、その平面形状が基体27の上面の4辺と平行な4辺を有する矩形とされ、その広さは、下面凹部7の広さよりも広くされている。
1対の素子用パッド29は、例えば、上面凹部31の底面(実装面)に設けられている。より具体的には、例えば、1対の素子用パッド29は、上面凹部31の矩形の底面の一辺に沿って並んで設けられている。素子用パッド29は、例えば、導電層からなる。その平面形状は適宜に設定されてよく、図2の例では矩形である。
一の外部端子5と一の素子用パッド29とは不図示の接続導体により接続され、他の一の外部端子5と他の一の素子用パッド29とは不図示の接続導体により接続されている。接続導体は、例えば、基体27の内部に設けられたビア導体や内層導体によって構成されている。
蓋部材13は、例えば、概ね矩形の金属板によって構成されている。蓋部材13は、素子搭載部材11の、上面凹部31を囲む枠部の上面に重ねられて接合されている。接合は、例えば、両者に設けられた金属層同士が溶接されることによりなされる。なお、蓋部材13は、絶縁材料から構成されていてもよい。
図4は、図1(a)のIV−IV線における断面図である。
素子搭載部材11は、例えば、3層の部材が積層されて構成されている。具体的には、素子搭載部材11は、平板状の基板部27aと、基板部27aの上面側に上面凹部31を構成する上面枠部27bと、基板部27aの下面側に下面凹部7を構成する下面枠部27cとを有している。なお、基板部27aの上面は、上面凹部31の底面を構成している。
振動素子9が上面凹部31の底面に対向して配置されると、1対の素子端子25と1対の素子用パッド29とが対向する。そして、両者は、その間に介在する1対のバンプ33によって接合される。これにより、フレーム部23が素子搭載部材11に対して固定され、振動素子9が素子搭載部材11に支持される。また、素子端子25と素子用パッド29とが電気的に接続され、ひいては、外部端子5の2つと、1対の励振電極17とが電気的に接続される。バンプ33は、例えば、導電性接着剤からなる。導電性接着剤は、例えば、熱硬化性樹脂に導電性フィラーを混ぜて構成されている。
以上に説明した振動素子9及び振動子1の製造方法は、これらの部材の具体的な形状に対応する部分を除いては、従来の振動素子及び振動子の製造方法と同様でよい。例えば、振動素子9は、水晶からなるウェハに対してエッチングを行って水晶片15を形成し、蒸着又はスパッタリングによって励振電極17及び配線19となる金属を成膜すればよい。そして、エッチング及び金属の成膜のためのマスクのパターンを、上述した振動素子9の形状に応じたものとすればよい。
以上のとおり、本実施形態に係る振動素子9において、水晶片15は、板状の本体部21と、平面視において本体部21の外縁から延び出て曲がる1対のフレーム部23とを有している。また、振動素子9は、本体部21の両主面に位置する1対の励振電極17と、1対の励振電極17に接続されており、1対のフレーム部23の表面にて1対のフレーム部23に沿って延びる1対の配線19と、を有している。
また、本実施形態に係る振動子1は、上記のような振動素子9と、素子搭載部材11とを有している。素子搭載部材11は、1対の配線19の、1対のフレーム部23の先端側に位置する部分(素子端子25)と接合された1対の素子用パッド29を有している。なお、フレーム部の先端側は、例えば、フレーム部23の先端から、フレーム部23の全長の1/3の範囲内、より好ましくは1/4の範囲内である。
従って、1対のフレーム部23によって弾性的に本体部21が支持されるように振動素子9が素子搭載部材11に固定され、且つ、1対の励振電極17が1対の素子用パッド29に電気的に接続される。その結果、例えば、熱によって素子搭載部材11が変形して、1対の素子用パッド29の相対位置が変化しても、その変化量の一部は変形しやすい1対のフレーム部23によって吸収される。これにより、本体部21に生じる変形(応力)が緩和され、ひいては、本体部21の特性変化が抑制される。素子搭載部材11の変形が本体部21の特性変化に及ぼす影響が緩和されることから、例えば、比較的高熱の環境下で振動子1を利用しても、実際の周波数特性が意図した周波数特性からずれることが抑制される。また、例えば、温度変化が比較的大きい環境下で振動子1を利用しても、周波数特性が不安定になることが抑制される。
さらに、フレーム部23は、本体部21から延び出て曲がっていることから、単に本体部21から直線的に延びている場合に比較して、フレーム部23の長さを確保しつつ、振動素子9の大型化を抑制できる。
当該効果は、特に、1対のフレーム部23が平面視において本体部21の外縁に沿って延びている場合に顕著となる。なお、フレーム部23が本体部21の外縁に沿って延びているか否かの判定については、後述の第4実施形態の説明において述べる。
また、本実施形態では、1対のフレーム部23は、平面視において本体部21回りに、それぞれ1/4周以上延びている。
従って、各フレーム部23は比較的長く、弾性的な支持の効果が大きくなる。具体的には、フレーム部23は、本体部21の1/4周以上に亘って延びている場合、少なくとも延び出た側とは反対側へ向かうまで延びていることになる。別の観点では、フレーム部23は、本体部21から延び出てから、その延び出た方向(D1軸方向の正側)に交差する方向(D2軸方向)へ延び、さらに、延び出た側とは反対側(D1軸方向の負側)へ延びている。従って、D2軸方向及びD1軸方向の双方に関して、フレーム部23の長さを確保することができる。その結果、フレーム部23は、素子搭載部材11の実装面(上面凹部31の底面)の種々の方向の変形を吸収しやすくなる。
また、本実施形態では、本体部21は、平面視において、第1辺21a、当該第1辺21aに直交する第2辺21b及び第3辺21c、及び、第1辺21aに平行な第4辺21dを有する矩形である。一方、第1フレーム部23Aは、第1辺21aから延び出て、第1辺21a、第2辺21b及び第4辺21dに沿って延びている。第2フレーム部23Bは、第1辺21aから延び出て、第1辺21a、第3辺21c及び第4辺21dに沿って延びている。別の観点では、1対のフレーム部23は、平面視において本体部21を合計で3/4周以上に亘って囲むように延びている。
従って、例えば、各フレーム部23は、本体部21の1/4周よりも更に長く、弾性的な支持の効果が大きくなる。より具体的には、各フレーム部23は、本体部21から延び出てから、D2軸方向に本体部21の半径程度で延び、その後、D1軸方向へ本体部21の直径程度で延びる。これだけだと、D2軸方向の長さがD1軸方向の長さに比較して短くなりがちである。しかし、ここで更に、D2軸方向に延びる部分(第4辺21dに沿う部分)が確保されることにより、D1軸方向及びD2軸方向の双方について、十分な長さが確保される。
また、本実施形態では、1対のフレーム部23は、平面視において、本体部21から互いに同一側へ延び出てから、互いに逆回りで本体部21回りに延び、先端同士が互いに接続されている。
従って、例えば、フレーム部23は、本体部21の周囲に目一杯に長さが確保されることになり、振動素子9の大型化を抑制しつつ、弾性的な支持の効果を最大限にすることができる。また、例えば、1対のフレーム部23は、先端同士が接続されていることにより先端同士の相対的な変位が抑制される。その結果、本体部21に生じる変形(応力)が緩和される。また、例えば、2本のフレーム部23は、先端同士が接続されていることにより互いに強度が補強される。その結果、例えば、振動素子9を搬送したり、実装したりするときに、フレーム部23が折れるおそれが低減される。
<第2実施形態>
図5(a)は、本発明の第2実施形態に係る水晶振動子201の内部を示す平面図である。図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における断面図である。なお、図5(a)では、便宜上、一部の部材(29、230)の表面(すなわち断面でない面)に斜線のハッチングを付している。
水晶振動子201は、第1実施形態と同様に、振動素子209と、振動素子209を収容する素子搭載部材211及び蓋部材13(図5(b))とを有している。ただし、振動素子の形状、及び、素子搭載部材の構成が第1実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
振動素子209は、フレーム部の長さが第1実施形態の振動素子9と相違する。具体的には、振動素子209(水晶片215)の第1フレーム部223A及び第2フレーム部223Bは、第1実施形態のフレーム部23よりも短い。1対のフレーム部223の先端は、本体部21の4隅側のうち、1対のフレーム部223が延び出た側とは反対側(第4辺21d側)の2つの隅側に位置している。
このような1対のフレーム部223の形状に対応して、1対の配線19の先端(素子端子25(図5(b))は、当該2つの隅側に位置している。また、素子搭載部材211は、1対の素子用パッド29を上面凹部31の底面の2つの隅側に有している。そして、本体部21の2つの隅側において、1対の素子端子25と1対の素子用パッド29とが1対のバンプ33によって接合されている。
なお、2つの隅側に位置するか否かは、例えば、本体部21が矩形であれば、その対角線上に位置するか否かによって判定されてよい。また、本体部21の互いに直交する2辺(例えば第2辺21b及び第4辺21d)を延長した2つの線(例えば点線L1及びL2)に囲まれる領域に、少なくとも一部が位置するか否かによって判定されてよい。
このように、1対のフレーム部223の先端(1対の素子端子25及び素子用パッド29)が本体部21の2つの隅側に位置している場合においては、振動素子209の、素子搭載部材211に対する1対の固定位置の距離が互いに離れる。従って、例えば、バンプ33の量の誤差等によって振動素子209が傾くおそれが低減される。すなわち、安定して振動素子209の実装がなされる。
1対のフレーム部223は、第1実施形態と同様に、根元において互いに結合されて1本となっている。ただし、第1実施形態とは異なり、外周面に切り欠きは形成されていない。ただし、切り欠きが形成されていてもよい。また、1対のフレーム部223は、第1実施形態と異なり、外周面に突起が形成されていない。ただし、突起が形成されていてもよい。
素子搭載部材211は、1対のフレーム部223と重なる位置に、1対の台座パッド230を有している。別の観点では、素子搭載部材211は、上面凹部31の底面から盛り上がる台座部を有している。台座パッド230は、例えば、素子用パッド29と同様の構成とされている。すなわち、台座パッド230は、上面凹部31の底面に設けられた金属層により構成され、その高さは、素子用パッド29と同一である。ただし、素子用パッド29よりも高くされたり、低くされたりしてもよい。台座パッド230の平面形状及び広さは適宜に設定されてよく、図5の例では、素子用パッド29と概ね同様の形状及び広さとされている。
台座パッド230は、例えば、本体部21の中心よりもフレーム部223が延び出た側であって、フレーム部223と重なる位置に設けられている。より具体的には、例えば、台座パッド230は、フレーム部223のうちの、第1辺21a側から第4辺21d側へ延びる部分の、第1辺21a側の部分に重なる。換言すれば、台座パッド230は、フレーム部223のうちの、フレーム部223が本体部21から延び出た側とは反対側へ延びる部分の、前記の延び出た側の部分に重なる。第4辺21d側へ延びる部分の第1辺21a側(延び出た側)は、例えば、平面視における本体部21の図形中心よりも第1辺21a側であればよいが、好ましくは、第1辺21a側の端部である。
なお、台座パッド230は、電気的に浮遊状態とされてもよいし、基準電位が付与されてもよい。また、台座パッド230は、自己と重なる配線19と同じ電位が付与されてもよい。配線19と対向する台座パッド230(図5の例では、第2配線19Bと対向する台座パッド230)は、その対向する配線19と同電位とされることが好ましい。
このように台座パッド230が設けられていると、上面凹部31の底面が台座パッド230で補強され、素子搭載部材211の変形が抑制される。また、振動素子209を実装するとき、振動素子209の素子端子25側とは反対側が低くなるような傾斜が生じても、フレーム部223が台座パッド230に支持されることによって、傾斜が抑制される。その結果、バンプ33の振動素子209に対する接合状態のばらつきが抑制される。
バンプ33が硬化して収縮すると、振動素子209は、バンプ33とは反対側(台座パッド230側)が浮き上がり、台座パッド230から離れる。従って、台座パッド230は、振動素子209の振動に悪影響を及ぼすことはない。仮に振動素子209が台座パッド230から浮き上がらないとしても、本体部21が台座パッド230に支持されるのではなく、フレーム部223が台座パッド230に支持されることから、台座パッド230が本体部21の振動に及ぼす影響は低減される。
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る振動素子309を示す平面図である。
この振動素子309(水晶片315)では、第1フレーム部323A及び第2フレーム部323Bは、本体部21から互いに反対側に延び出ている。また、その延び出た後、1対のフレーム部323は、本体部21を同一の周回方向へ延びている。各フレーム部323の長さは、例えば、1/2周近く(従って1/4周以上)であり、1対のフレーム部323全体で、本体部21の概ね全体を囲んでいる(合計で3/4周以上に亘って延びている。)。別の観点では、第1及び第2実施形態では、1対のフレーム部は線対称に設けられていたのに対して、本実施形態では、1対のフレーム部323は、回転対称に設けられている。
このような構成のフレーム部323であっても、第1及び第2実施形態と同様に、本体部21を弾性的に支持することができる。
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態に係る振動素子409を示す平面図である。
この振動素子409(水晶片415)では、平面視において本体部421が円形に形成されている。また、励振電極417(第1励振電極417Aのみ図示)は、本体部421と同様に、円形に形成されている。その他は、他の実施形態と同様である。例えば、第1フレーム部423A及び第2フレーム部423Bは、第1及び第2実施形態と同様に、本体部421から互いに同一方向へ延び出てから、本体部421を囲むように、また、本体部421に沿って延びている。
なお、1対のフレーム部423は、本体部421の外縁に平行ではない。しかし、1対のフレーム部423が全体として本体部421を囲んでいることなどから、全体としては、フレーム部423が本体部421の外縁に沿っていることを把握できる。このように、フレーム部が本体部回りに延びているような場合は、局部的にフレーム部が本体部の外縁に対して大きく傾斜していたとしても、フレーム部が本体部の外縁に沿って延びているといえる。すなわち、フレーム部が本体部の外縁に沿っているか否かは、その全体形状と技術常識に照らして判定してよい。
仮に、フレーム部が図7の点線L5で示す位置までの長さのものだったとしても、そのフレーム部は、本体部421の外縁と成す角度が比較的小さいことから、本体部421の外縁に沿って延びていると捉えることができる。このように、フレーム部が本体部回りに延びているといえないほどに短い等の場合は、フレーム部(延び出た部分を除く)が本体部の外縁に沿っているか否かは、フレーム部と本体部の外縁とが成す角度が所定の角度範囲内か否かで判定してよい。例えば、45°以内であれば、フレーム部は本体部の外縁に沿っていると判定してよい。なお、フレーム部及び本体部の外縁の一方又は双方が曲線状のときは、同一の中心角の範囲で平均の方向を比較すればよい。
なお、図5の点線L4でフレーム部223が途切れている場合は、本体部21の外縁とフレーム部223とは平行であるから、当然に、フレーム部は本体部21の外縁に沿っているといえる。
<振動子の利用例>
図8は、振動子1を有するOCXO101の構成を示す断面図である。すなわち、図8は、振動子1の利用例を示している。なお、図8では、第1実施形態の振動子1を例にとっているが、他の実施形態の振動子(振動素子)であっても構わない。
OCXO101は、例えば、振動子1と、振動子1が実装される実装基板103とを有している。また、OCXO101は、実装基板103に実装される振動子1以外の電子部品として、例えば、IC105及びヒータ107を有している。さらに、OCXO101は、上記の各部品を収容する槽109と、槽109から露出する外部端子111とを有している。
実装基板103は、例えば、リジッド式のプリント配線基板によって構成されている。振動子1は、その複数の外部端子5と、実装基板103の主面に設けられた複数の振動子用パッド113とが、半田等からなるバンプ115によって接合されることにより、実装基板103に固定されるとともに電気的に接続されている。
IC105は、例えば、振動子1に電圧を印加して発振信号を生成するためのものであり、発振回路を含んで構成されている。IC105は、例えば、その複数のIC端子117と、実装基板103の主面に設けられた複数のIC用パッド119とが、半田等からなるバンプ121によって接合されることにより、実装基板103に固定されるとともに電気的に接続されている。IC105の実装位置は、適宜な位置とされてよい。図8の例では、IC105は、その上面側の一部が振動子1の下面凹部7に収容される位置に実装されている。
ヒータ107及び槽109は、振動子1の周囲の雰囲気を一定の温度に保つためのものであり、恒温槽123を構成している。ヒータ107は、例えば、実装基板103の、振動子1が実装された主面とは反対側の主面において、振動子1と重なる位置に実装されている。槽109は、金属乃至はセラミック等の適宜な材料から構成され、振動子1等が実装された実装基板103を収容している。槽109の内部は、好ましくは密閉されており、また、空気乃至は他のガス(例えば窒素)が存在する。
特に図示しないが、槽109内には温度センサ(ICに内蔵されたものであってもよい)が設けられている。ヒータ107は、その温度センサの検出値が一定の値となるように、不図示のICによってフィードバック制御される。これにより、槽109内の温度は一定に保たれる。なお、振動子1の周囲の雰囲気は、恒温槽123によって一定に保たれるが、IC105は、温度補償回路を有するものであってもよい。
外部端子111は、例えば、金属からなるピンである。その一端は、実装基板103に挿通されて固定されているとともに、電気的に接続されている。これにより、外部端子111は、実装基板103を介してIC105等に電気的に接続されている。また、外部端子111の他端は、槽109から延び出ている。OCXO101は、この外部端子111の延び出た他端が不図示の回路基板に挿通されて半田付けされることなどにより、回路基板に実装される。
このように、実施形態の振動子1等は、OCXOに利用されてよい。恒温槽内に配置された振動子は、通常の振動子に比較して高温下で使用されることになる。しかし、実施形態の振動子1等は、熱によって素子搭載部材11が変形しても、その変形が振動素子9等に及ぼす影響が従来に比較して小さい。従って、意図した周波数特性が得られやすい。
なお、以上の実施形態において、水晶振動子1及び201は、それぞれ、圧電デバイスの一例である。水晶振動素子9、209、309及び409は、それぞれ、圧電振動素子の一例である。水晶片15、215、315及び415は、それぞれ、圧電素板の一例である。台座パッド230は、台座部の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電デバイスは、水晶振動子等の圧電振動子に限定されず、例えば、発振回路を有する圧電発振器であってもよいし、図8に示したように恒温槽付の発振器であってもよい。また、圧電振動子は、サーミスタ等の振動素子以外の電子素子を有していてもよい。圧電体(圧電素板)は、水晶に限定されず、例えば、セラミックであってもよい。
圧電デバイスのパッケージ(素子搭載部材や蓋体)を含めた全体の構造も適宜に変更可能である。例えば、単層基板に圧電振動素子を実装し、圧電振動素子に金属製のキャップを被せてもよい。素子搭載部材の下面凹部の底面にサーミスタ又はICを実装してもよい。素子搭載部材の下面凹部を形成しないようにしてもよい。
圧電素板の本体部の形状は、矩形及び円形に限定されず、例えば、楕円形であってもよい。また、その側面は、曲面又は階段状の面によって突出する、いわゆるメサ形状とされてもよい。
フレーム部は、本体部の外縁に沿って、及び/又は、本体部回りに延びなくてもよい。例えば、フレーム部が本体部の外縁から当該外縁に直交する方向に延び出る場合、フレーム部が多少なりとも曲がれば、本体部及びフレーム部の占有面積に対してフレーム部は長くなりやすい。また、実施形態では、フレーム部は、本体部から直線状に延び出た後に屈曲し、直線状に延びた。ただし、曲がる部分は湾曲であってもよい。また、フレーム部全体が湾曲するように延びてもよい。例えば、図7のように本体部が円形の場合は、フレーム部は、本体部に対して同心円状に延びてもよい。また、フレーム部は、本体部の縁部から当該縁部に直交する方向に延び出るのではなく、斜めに延び出てもよい。
フレーム部の長さは適宜に設定されてよい。例えば、実施形態の説明において既に述べたように、図5の点線L4及び図7の点線L5までの長さであってもよい。この点線L4及びL5は、本体部の、フレーム部が延び出た方向に直交する方向の幅の範囲を示しており、この範囲内にフレーム部が収まると、この幅方向における振動素子の大型化が抑制される。また、例えば、フレーム部は、図5の点線L2で示す位置までの長さであってもよい。この点線L2は、本体部の、フレーム部が延び出た側とは反対側の縁部に一致する。フレーム部が、この範囲までの長さであれば、フレーム部が本体部から延び出た側とは反対側(第4辺21d側)への振動素子の大型化が抑制される。
フレーム部は、一定の幅でなくてもよい。例えば、先端側ほど徐々に細くなったり、逆に、太くなったりしてもよい。また、例えば、フレーム部は、適宜に突起乃至は切り欠きが設けられてよい。なお、フレーム部が本体部の外縁に沿っているか否か、平行であるか否か等の判定においては、突起等の比較的微小な形状は無視してよく、また、全体的に幅が変化するような場合は、中心線で判断してよい。
フレーム部は、その厚みが本体部と同一の厚みでなくてもよい。例えば、フレーム部が本体部よりも薄くなるようにし、弾性的な支持の効果を増加させてもよい。逆に、フレーム部を本体部よりも厚くして、本体部が実装面等に接触するおそれを低減してもよい。
圧電振動素子の配線と、素子搭載部材のパッドとの接合は、導電性のバンプによってなされるものに限定されない。例えば、溶接によって接合がなされてもよい。
素子搭載部材の台座部は、パッドと同様の構成に限定されない。例えば、絶縁基体の一部が盛り上がるように形成されて台座部が構成されてもよい。また、台座部が重なる位置は、フレーム部の適宜な位置とされてよく、例えば、フレーム部の根元付近であってもよい。