以下、本発明の実施形態に係る圧電デバイスについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、図面には、説明の便宜のために、互いに直交するD1軸、D2軸及びD3軸からなる直交座標系を付す。
圧電デバイスは、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、D3軸方向の正側を上方として、上面、下面などの用語を用いるものとする。
同様の部位乃至は部材には、「第1励振電極17A」及び「第2励振電極17B」のように、互いに異なる番号及び大文字のアルファベットを付すことがあり、また、この場合、単に「励振電極17」というなど、両者を区別しないことがある。
第2実施形態以降の説明において、既に説明した実施形態の構成と同一又は類似する構成については、既に説明した実施形態の構成に付した符号と同一の符号を付し、説明を省略することがある。また、既に説明した実施形態の構成に対応(類似)する構成に、既に説明した実施形態の構成と異なる符号が付された場合であっても、特に断りがない事項については、既に説明した実施形態の構成と同様であるものとする。
<第1実施形態>
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子1(以下、「水晶」を省略して「振動子1」ということがある。)を上面側から見た斜視図である。図1(b)は、振動子1を下面側から見た斜視図である。
振動子1は、所定の周波数で振動する発振信号を生成するために用いられる圧電デバイスである。振動子1の大きさは適宜なものとされてよい。例えば、比較的小さいものでは、平面視における長さ(D1軸方向又はD2軸方向)が1〜2mmであり、厚さ(D3軸方向)が0.2〜0.4mmである。
振動子1(そのパッケージ3)の外形は、例えば、概略、薄型の直方体状とされている。その下面には、複数の外部端子5が設けられている。振動子1は、その下面を不図示の回路基板等の実装面に対向させて配置され、前記の実装面に設けられた複数のパッドと、複数の外部端子5とが不図示の複数のバンプ(例えば半田)によって接合されることによって実装される。そして、振動子1は、複数の外部端子5のいずれか2つに対して交流電圧が印加される。
より具体的には、例えば、振動子1の外形は、下面に下面凹部7が形成された直方体状とされている。下面凹部7の形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、下面凹部7の平面形状は、振動子1の概略矩形の下面の4辺と平行な4辺を有する概略矩形とされている。振動子1の下面のうち下面凹部7を囲む矩形の枠状部分は、4辺のうち1対の辺(D2軸方向に延びる辺)が他の1対の辺よりも幅広に形成されている。
複数の外部端子5は、例えば、少なくとも水晶振動子1の下面の4隅に設けられている。図1の例では、上記の幅広に形成された2辺のそれぞれにおいて、各辺に沿って3つ配列されて、合計で6つ設けられている。外部端子5は、例えば、層状に形成された導電性材料(例えば金属)からなる。その平面形状は適宜に設定されてよく、例えば、矩形である。
複数の外部端子5のうち、発振信号を生成するための交流電圧が印加されるのは2つである。他の外部端子5は、例えば、振動子1をバンプによって不図示の回路基板等に実装するためのものであり、電気的には浮遊状態とされるか、基準電位が付与される。また、例えば、他の外部端子5は、後述する蓋部材13に基準電位を付与するためのものであってもよい。
なお、本実施形態の説明において、直方体乃至は矩形というとき、当該形状は、その角部が全体の形状を損なわない程度に面取りされたものを含むものとする。例えば、矩形は、1辺の長さの1/10以下の長さで当該1辺の一端がカットされるような面取りがなされたものを含むものとする。当該面取りは、エッチング等の精度によって意図せずに生じるものであってもよいし、意図的になされたものであってもよい。その他、矩形は、エッチング等の精度によって辺が微小に湾曲したものも含むものとする。
図2は、振動子1を上面側から見た分解斜視図である。図3は、振動子1を下面側から見た分解斜視図である。
振動子1は、例えば、交流電圧が印加されることにより機械的振動を生じる水晶振動素子9(以下、「水晶」を省略して、「振動素子9」ということがある。)と、振動素子9を収容する箱状の素子搭載部材11と、素子搭載部材11の開口を封止する蓋部材13と、水晶振動素子9と素子搭載部材11との間に介在する介在部10とを有している。なお、パッケージ3は、素子搭載部材11及び蓋部材13によって構成されている。パッケージ3の内部は、例えば、真空とされ、又は、窒素が封入されている。これらの具体的な構成は、例えば、以下のとおりである。
振動素子9は、例えば、水晶片15と、水晶片15に電圧を印加するための第1励振電極17A(図2)及び第2励振電極17B(図3)と、振動素子9を素子搭載部材11に実装するための第1引出電極19A及び第2引出電極19B(図3)とを有している。第1引出電極19Aは第1励振電極17Aと接続されており、第2引出電極19Bは第2励振電極17Bと接続されている。
水晶片15は、1対の励振電極17によって交流電圧が印加されることにより機械的振動を生じる部材である。水晶片15は、例えば、全体として一定の厚さの板状に形成されている。その平面形状は、適宜な形状とされてよく、本実施形態では、一部がカットされた円形である。別の観点では、水晶片15は、平面視において外側に膨らむ曲面状の外周面を有している。
励振電極17及び引出電極19は、水晶片15の表面に形成された導電層からなる。導電層(後述する他の導電層も同様)は、例えば、金属からなり、また、2種以上の導電層が積層されて構成されていてもよい。
1対の励振電極17は、例えば、水晶片15の両主面の中央側に位置しており、水晶片15を挟んで対向している。1対の励振電極17は、例えば、互いに同一の形状及び大きさであり、平面視において完全に重なっている。励振電極17の形状は適宜な形状とされてよい。本実施形態では、水晶片15の外縁と同心の円形である。
第1引出電極19Aは、例えば、水晶片15の、第1励振電極17A側の主面を、第1励振電極17Aから半径方向外側へ延び、水晶片15の外周面を経由して、水晶片15の、第2励振電極17B側(素子搭載部材11側)の主面に至る。また、第2引出電極19Bは、例えば、水晶片15の、第2励振電極17B側の主面を、第2励振電極17Bから半径方向外側へ、当該主面の外縁まで延びる。そして、1対の引出電極19の先端は、後述するように、介在部10を介して振動素子9を素子搭載部材11に実装するための素子端子25となっている。
1対の素子端子25の位置は、水晶片15の外周側の位置であれば、適宜な位置とされてよい。本実施形態では、1対の素子端子25の位置は、水晶片15の円の中心に対して互いに反対側とされている。別の観点では、1対の素子端子25は、1対の励振電極17(本実施形態ではその中心)に対してD2軸方向の両側に位置する。また、1対の素子端子25の形状及び大きさは適宜に設定されてよい。図3の例では、引出電極19は、その全体に亘って一定の幅で形成されており、ひいては、1対の素子端子25は、引出電極19の他の部分(配線部分)と同一の幅の矩形とされている。
なお、図示の例とは異なり、第2引出電極19Bは、水晶片15の外周面を経由して、水晶片15の、第1励振電極17A側の主面へ延び、先端がその主面の外周側に位置してもよい。すなわち、振動素子9は、上下が可逆とされていてもよい。
素子搭載部材11は、例えば、素子搭載部材11の主体となる基体27と、振動素子9を実装するための1対の素子用パッド29(図2)と、1対の素子用パッド29に類似した構成の1対の台座パッド30(図2)と、既述の複数の外部端子5とを有している。
基体27は、絶縁材料から構成されている。絶縁材料は、例えば、セラミック又は樹脂である。基体27は、複数部材から構成されていてもよいし、全体が一体的に形成されていてもよい。基体27は、振動素子9を搭載且つ封止可能であれば、適宜な形状とされてよい。例えば、基体27は、概略直方体の上面に上面凹部31(図2)が形成され、下面に既述の下面凹部7が形成された形状とされている。
上面凹部31は、振動素子9及び介在部10を収容するためのものである。その形状及び大きさは適宜に設定されてよい。本実施形態では、上面凹部31は、その平面形状が基体27の上面の4辺と平行な4辺を有する矩形とされ、その広さは、下面凹部7の広さよりも広くされている。
1対の素子用パッド29は、例えば、上面凹部31の底面に設けられている。より具体的には、例えば、1対の素子用パッド29は、上面凹部31の底面の4隅のうち、隣り合う2隅に位置している。別の観点では、1対の素子用パッド29は、上面凹部31の底面の1辺に沿って並んで設けられている。素子用パッド29は、例えば、導電層からなる。その平面形状は適宜に設定されてよく、図2の例では矩形である。
一の外部端子5と一の素子用パッド29とは不図示の接続導体により接続され、他の一の外部端子5と他の一の素子用パッド29とは不図示の接続導体により接続されている。接続導体は、例えば、基体27の内部に設けられたビア導体や内層導体によって構成されている。従って、後述するように、1対の引出電極19と1対の素子用パッド29とが介在部10を介して接続されると、1対の励振電極17と2つの外部端子5とが電気的に接続される。
1対の台座パッド30は、素子搭載部材11の強度補強及び/又は振動素子9の素子搭載部材11への実装の補助等に利用されるものである。1対の台座パッド30は、例えば、上面凹部31の底面に設けられている。従って、素子搭載部材11は、1対の素子用パッド29が設けられている実装面から盛り上がる台座部を有していることになる。1対の台座パッド30は、例えば、上面凹部31の底面の4隅のうち、1対の素子用パッド29が設けられていない2隅に位置している。別の観点では、1対の台座パッド30は、1対の素子用パッド29の並び方向に直交する方向において1対の素子用パッド29から離れた位置にて、1対の素子用パッド29に平行に並んで設けられている。
台座パッド30は、例えば、素子用パッド29と同様の構成とされている。すなわち、台座パッド30は、上面凹部31の底面に設けられた金属層(好ましくは素子用パッド29と同一材料)により構成され、その高さは、素子用パッド29と同一である。ただし、素子用パッド29よりも高くされたり、低くされたりしてもよい。台座パッド30の平面形状及び広さは適宜に設定されてよく、本実施形態では、素子用パッド29と概ね同様の形状及び広さとされている。
なお、台座パッド30は、例えば、電気的に浮遊状態とされている。ただし、台座パッド30は、1対の素子用パッド29と1対の台座パッド30との対向方向(D1軸方向)において、自己に対応する素子用パッド29と同じ電位が付与されてもよい。より具体的には、例えば、台座パッド30は、素子搭載部材11の表面又は内部の不図示の配線によって、D1軸方向において対向する素子用パッド29と電気的に接続されていてもよい。
蓋部材13は、例えば、概ね矩形の金属板によって構成されている。蓋部材13は、素子搭載部材11の、上面凹部31を囲む枠部の上面に重ねられて接合されている。接合は、例えば、両者に設けられた金属層同士が溶接されることによりなされる。なお、蓋部材13は、絶縁材料から構成されていてもよい。
介在部10は、例えば、1対の導電片21を有している。各導電片21は、例えば、概略長尺状に形成されており、素子搭載部材11と振動素子9との間に配置され、一端側部分が素子搭載部材11の素子用パッド29に接合され、その接合位置から他端側へ離れた部分が振動素子9の素子端子25に接合される。従って、振動素子9は、素子端子25が直接に素子用パッド29に接合される場合に比較して、素子搭載部材11に弾性的に支持されることになる。1対の導電片21の配置、材料及び形状等は適宜に設定されてよいが、例えば、以下のとおりである。
1対の導電片21は、例えば、その長手方向を1対の素子用パッド29の並び方向に直交する方向(D1軸方向)に一致させつつ、1対の素子用パッド29の並び方向(D2軸方向)において互いに離れて配置される。なお、以下では、1対の導電片21の説明に関して、D2軸方向の1対の導電片21の間側を内側、その反対側を外側ということがある。
各導電片21は、例えば、1枚の金属板からなり、プレス加工及び/又はエッチング等によって適宜な形状とされている。例えば、導電片21は、上面凹部31の底面に対向するように配置される板状の基部21aと、基部21aから上面凹部31の底面とは反対側(振動素子9側)へ突出する2つの突出部21bとを有している。
基部21aは、例えば、素子用パッド29に接合される支持部21aaと、支持部21aaから延び、素子端子25が接合される延在部21abとを有している。支持部21aaの平面形状は、例えば、矩形とされている。延在部21abは、支持部21aaの1辺から当該1辺の長さよりも短い幅で直線状に延び出ている。すなわち、基部21aは、素子用パッド29側が素子端子25側よりも幅広に形成されている。突出部21bは、例えば、基部21aの外側の縁部から立ち上がっており、その縁部に沿って一定の高さで延びる壁状に形成されている。
図4(a)は振動子1の内部を示す平面図(蓋部材13を取り外して示す平面図)である。図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線における断面図である。なお、図4(a)では、便宜上、一部の部材(29、30)の表面(すなわち断面でない面)に斜線のハッチングを付している。
図4(b)に示すように、素子搭載部材11は、例えば、3層の部材が積層されて構成されている。具体的には、素子搭載部材11は、平板状の基板部27aと、基板部27aの上面側に上面凹部31を構成する上面枠部27bと、基板部27aの下面側に下面凹部7を構成する下面枠部27cとを有している。なお、基板部27aの上面は、上面凹部31の底面を構成している。
図4(a)及び図4(b)に示すように、導電片21は、支持部21aaが素子用パッド29上に位置し、延在部21abの先端が台座パッド30上に位置するように配置される。そして、素子用パッド29と支持部21aaとは導電性のバンプ33(図4(b))によって接合される。これにより、導電片21は、素子搭載部材11に固定されるとともに電気的に接続される。バンプ33は、例えば、導電性接着剤からなる。導電性接着剤は、例えば、熱硬化性樹脂に導電性フィラーを混ぜて構成されている。延在部21abの先端は、概ねバンプ33の厚さに相当する高さで、台座パッド30から浮いている。
振動素子9は、上面凹部31の底面に対向して配置される。この際、振動素子9は、1対の素子端子25の並び方向が素子用パッド29の並び方向に一致するように配置される。1対の素子用パッド29は、上面凹部31の底面の1辺側に位置し、1対の素子端子25は、振動素子9の中心を通る同一直線上に位置しているから、1対の素子用パッド29の位置と、1対の素子端子25の位置とは、1対の素子用パッド29の並び方向に直交する方向(D1軸方向)において互いに離れている。
振動素子9が導電片21の上から上面凹部31の底面に対向して配置されると、振動素子9は、1対の励振電極17が平面視において1対の導電片21の間に収まり、また、その両側の1対の素子端子25が1対の導電片21の延在部21ab上に重なる。そして、1対の素子端子25と1対の延在部21abとは、1対の導電性のバンプ35(図4(b))によって接合される。これにより、振動素子9は、1対の導電片21に固定されるとともに1対の導電片21に電気的に接続される。ひいては、振動素子9は、1対の導電片21を介して、素子搭載部材11に支持(固定)されるとともに電気的に接続される。バンプ35の構成は、例えば、バンプ33と同様である。
振動素子9の1対の素子端子25が設けられている側の一部は、各導電片21の2つの突出部21bの間に収まる。これにより、振動素子9は、平面方向(D1軸方向及びD2軸方向)の位置決めがなされる。なお、振動素子9は、合計で4つの突出部21bに当接する(4つの突出部21b間の隙間に嵌合する)ことが好ましいが、実際には、微小隙間で離れていてもよい。
以上に説明した振動子1の製造方法は、導電片21を介して振動素子9を実装する点を除いては、概ね、従来の振動子の製造方法と同様でよい。実装の際には、例えば、まず、ディスペンサ等を用いて素子用パッド29上にバンプ33(導電性接着剤)を塗布する。次に、導電片21をバンプ33上に載置し、バンプ33を硬化させて、導電片21を素子用パッド29に接合する。次に、ディスペンサ等を用いて導電片21上にバンプ35(導電性接着剤)を塗布する。次に、振動素子9をバンプ35上に載置し、バンプ35を硬化させて、振動素子9を導電片21に接合する。
以上のとおり、本実施形態に係る振動子1は、素子搭載部材11と、振動素子9とを有している。素子搭載部材11は、底面が矩形の上面凹部31と、上面凹部31の底面の2つの隅部に位置する1対の素子用パッド29とを有している。振動素子9は、水晶片15、及び、水晶片15の両主面に設けられた1対の励振電極17を有し、上面凹部31内にて上面凹部31の底面に対向配置され、1対の素子用パッド29に支持されるとともに電気的に接続されている。さらに、素子搭載部材11は、上面凹部31の底面の他の2つの隅部に位置し、当該底面から盛り上がる1対の台座パッド30を有している。
従って、例えば、台座パッド30が設けられている分だけ、素子搭載部材11の基板部27aは厚くなる。これにより、基板部27aの強度が補強され、上部凹部31の底面の隅部における基板部27aの変形のおそれが低減される。その結果、意図しない応力が振動素子9に生じるおそれが低減され、ひいては、振動素子9の特性変化のおそれが低減される。また、例えば、台座パッド30は、上面凹部31の底面のうち、素子用パッド29が位置しない2隅に位置して基板部27aを補強するから、基板部27aを全体的に厚くするような場合に比較して、素子搭載部材11の大型化が抑制される。別の観点では、振動素子9の下方のデッドスペースが有効利用される。また、金属製の台座パッド30をセラミックス製の素子搭載部材110の隅部に重ねることで、その結果、当該四隅を複合材料となり、金属製の台座パッド30が設けられていない場合と比較して、当該四隅の靱性を高めることが可能となる。
また、本実施形態では、振動子1は、1対の素子用パッド29の上面に接合され、その接合位置から上面凹部31の底面に沿って延びる1対の導電片21を更に有している。振動素子9は、1対の導電片21の、1対の素子用パッド29との接合位置よりも先端側の上面に接合されることにより、1対の素子用パッド29に支持されるとともに電気的に接続されている。1対の台座パッド30は、1対の導電片21の先端側の下面と対向している。
従って、例えば、素子搭載部材11の変形に伴って1対の素子用パッド29間に相対変位が生じ、この相対変位が振動素子9に応力を生じさせるおそれがある場合において、その相対変位の少なくとも一部は1対の導電片21の変形によって吸収される。その結果、振動素子9に伝わる応力が緩和される。また、例えば、1対の導電片21を素子搭載部材11に実装するとき、延在部21abの先端(支持部21aaとは反対側)が低くなるような傾斜が生じても、延在部21abの先端が台座パッド30に支持されることによって、傾斜が抑制される。その結果、導電片21の実装のばらつきが抑制される。バンプ33が硬化して収縮すると、導電片21は、延在部21abの先端が浮き上がり、台座パッド30から離れる。従って、台座パッド30は、振動素子9の振動に悪影響を及ぼすことはない。仮に導電片21が台座パッド30から浮き上がらないとしても、振動素子9自体が台座パッド30に支持されるのではなく、導電片21が台座パッド30に支持されることから、台座パッド30が振動素子9の振動に及ぼす影響は低減される。
また、本実施形態では、1対の台座パッド30は、1対の素子用パッド29と同一高さ且つ同一材料の導電層からなる。
従って、例えば、素子用パッド29を形成する際のマスクの形状を変更するだけで台座部(台座パッド30)を形成することができ、製造方法が簡素である。また、例えば、素子用パッド29が素子搭載部材11の変形に及ぼす影響と、台座パッド30が素子搭載部材11の変形に及ぼす影響とを均衡させることが容易になる。その結果、例えば、偏りのある変形が素子搭載部材11に生じるおそれが低減され、ひいては、振動素子9の特性変化のおそれが低減される。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る水晶振動子201を上面側から見た分解斜視図である。図6は、振動子201を下面側から見た分解斜視図である。なお、図5及び図6から理解されるように、振動子201の外観は、第1実施形態の振動子1の外観(図1(a)及び図1(b))と同様である。
振動子201は、素子搭載部材11及び蓋部材13と、これらに収容される水晶振動素子209とを有している。素子搭載部材11及び蓋部材13の構成は、第1実施形態のものと概ね同様である。第1実施形態では、振動素子9と素子搭載部材11との間に1対の導電片21が介在し、これにより振動素子9が弾性的に支持された。これに対して、本実施形態では、振動素子9自体に弾性的な支持のための構造が設けられている。具体的には、以下のとおりである。
振動素子209は、例えば、水晶片215と、水晶片215に電圧を印加するための第1励振電極217A(図5)及び第2励振電極217B(図6)と、振動素子209を素子搭載部材11に実装するための第1配線219A(図5)及び第2配線219B(図6)とを有している。第1配線219Aは第1励振電極217Aと接続されており、第2配線219Bは第2励振電極217Bと接続されている。
水晶片215は、例えば、その平面形状を除いては、第1実施形態の水晶片15と同様である。水晶片215は、例えば、板状の本体部221と、本体部221から延び出る第1フレーム部223A及び第2フレーム部223Bとを有している。
本体部221は、1対の励振電極217によって交流電圧が印加されることにより機械的振動を生じる部分である。本体部221の平面形状は、適宜な形状とされてよく、本実施形態では、矩形である。すなわち、本体部221の外縁は、第1辺221aと、当該第1辺221aに直交する第2辺221b及び第3辺221cと、第1辺221aに平行な第4辺221dとを有している。
1対のフレーム部223は、素子搭載部材11に固定されて、本体部221を支持する。従って、本体部221が直接に素子搭載部材11に固定される場合に比較して、本体部221は、弾性的に支持されることになる。
1対のフレーム部223は、例えば、本体部221の外縁から延び出て曲がり、本体部221の外縁に沿って(別の観点では本体部221回りに)延びている。これにより、振動素子209の大型化を抑制しつつ、フレーム部223を長くして、弾性的な支持の効果を高くすることができる。
より具体的には、例えば、1対のフレーム部223は、まず、本体部221の第1辺221aから第1辺221aに直交する方向に延び出る。別の観点では、1対のフレーム部223は、本体部221の外縁から互いに同一の方向へ延び出る。次に、1対のフレーム部223は、互いに逆方向へ屈曲し、本体部221の第1辺221a、及び、第2辺221b又は第3辺221cに沿って延びる。この際、例えば、1対のフレーム部223は、各辺に対して平行に延びている。1対のフレーム部223の先端は、例えば、第4辺221dに平行になるように屈曲している。
このように、本実施形態では、各フレーム部223は、本体部221回りに1/4周以上1/2周未満に亘って延び、1対のフレーム部223全体として、本体部221を囲むように延びている。別の観点では、フレーム部223は、本体部221に対して、本体部221から延び出た側とは概ね反対側まで延びている。
なお、フレーム部223が本体部221回りに何周分延びているかは、例えば、平面視において、本体部221の中心(例えば図形重心)からフレーム部223の根元へ引いた直線と、前記の中心からフレーム部223の先端へ引いた直線との角度によって判定してよい。すなわち、本体部221の中心回りの、フレーム部223の根元から先端までの中心角によって判定してよい。この判定の際、フレーム部223の位置は、例えば、中心線(延びる方向に直交する断面の図形重心を連ねた線)を基準に判定してよい。例えば、1本のフレーム部223は、上記の中心角が90°以上であれば、1/4周以上に亘って延びているといえる。
フレーム部223の幅は、適宜に設定されてよい。フレーム部223の幅は、例えば、その長さ全体に亘って、概ね一定とされている。フレーム部223の幅は、例えば、フレーム部223が本体部221を支持可能な強度を有する幅以上とされる。この際、もちろん、本体部221の単純な重量だけでなく、本体部221の振動や振動子201に加えられる加速度(許容範囲のもの)が加味される。また、フレーム部223の幅は、例えば、本体部221の短辺(別の観点では最小の直径)の1/2未満とされる。これ以上の幅だと、フレーム部223の長さにもよるが、本体部221を直接的に素子搭載部材11に固定する場合に比較した弾性的な支持の効果があまり期待できなくなるからである。
フレーム部223の内縁と本体部221の外縁との距離も適宜に設定されてよい。本実施形態では、フレーム部223の内縁と本体部221の外縁とは平行であり、両者の距離は、各辺において一定である。この距離は、例えば、本体部221が励振されたときに、本体部221がフレーム部223に当接しない距離以上とされる。また、この距離は、振動子1に加速度(許容範囲のもの)が加えられたときに、本体部221がフレーム部223に当接しない距離以上とされてもよいし、逆に、当該距離未満とされてもよい。前者の場合は、当接による本体部221の破損が抑制され、後者の場合は、フレーム部223を本体部221のストッパとして機能させることにより、本体部221とフレーム部223との接続部に過大な応力が加えられることを抑制できる。
1対のフレーム部223の根元部分(第1辺221aから延び出る部分)は、互いに結合されている。これにより、例えば、根元部分における応力集中が抑制される。ただし、このような結合部分は形成されなくてもよい。この結合部分の幅は、例えば、フレーム部223の2本分の幅と同等とされている。ただし、結合部分の幅は、例えば、フレーム部223の1本分の幅以上、且つ、フレーム部223の2本分の幅未満とされていてもよい。
励振電極217は、その平面形状を除いては、第1実施形態の励振電極17と同様である。1対の励振電極217は、例えば、本体部221の両主面の中央側に位置しており、本体部221を挟んで対向している。1対の励振電極217は、例えば、互いに同一の形状及び大きさであり、平面視において完全に重なっている。励振電極217の形状は、適宜な形状とされてよく、本実施形態では、本体部221の4辺と平行な4辺を有する矩形とされている。
配線219は、例えば、導体層(金属層)からなり、その材料及び厚さは、例えば、励振電極217と同一である。第1配線219Aは、例えば、第1励振電極217Aから延びて第1フレーム部223Aの表面を第1フレーム部223Aに沿って延びている。同様に、第2配線219Bは、例えば、第2励振電極217Bから延びて第2フレーム部223Bの表面を第2フレーム部223Bに沿って延びている。そして、1対の配線219の先端は、素子搭載部材11の素子用パッド29(図5)に接合される。
より具体的には、例えば、配線219は、まず、本体部221の主面上において、励振電極217の外縁のうち本体部221の第1辺221a側(フレーム部223が延び出る側)の部分(辺)から直線状に延び出て、本体部221とフレーム部223との接続部に至る。すなわち、配線219は、励振電極217から最短距離で接続部に至る。次に、配線219は、フレーム部223の表面のうち、本体部221の、当該配線219が設けられた主面と連続する面(第1配線219Aは上面、第2配線219Bは下面)において、フレーム部223に沿って延びる。従って、1対の配線219は、基本的に、水晶片15の互いに逆側の面に設けられている。また、配線219は、例えば、フレーム部223の配線219が設けられた面の全幅に亘る幅で延びている。
第1配線219Aは、第1フレーム部223Aの先端に至ると、第1フレーム部223Aの外周面、内周面及び先端面の少なくとも一方(本実施形態では外周面)を経由して、反対側の面(下面、素子搭載部材11側の面)へ延びる。そして、第1配線219Aの先端(図6)は、第1フレーム部223Aの先端の下面に位置する。この先端は、素子搭載部材11と電気的に接続される第1素子端子225Aを構成している。また、第2配線219Bは、第2フレーム部223Bの先端に先端(図6)が位置する。この先端は、素子搭載部材11と電気的に接続される第2素子端子225Bを構成している。
なお、図示の例とは異なり、第2配線219Bは、第2フレーム部223Bの外周面、内周面及び先端面の少なくとも一方を経由して、反対側の面(上面)へ延び、その先端が第2フレーム部223Bの先端の上面に位置してもよい。すなわち、振動素子209は、上下が可逆とされていてもよい。
図7(a)は、振動子201の内部を示す平面図である。図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線における断面図である。なお、図7(a)では、便宜上、一部の部材(29、30)の表面(すなわち断面でない面)に斜線のハッチングを付している。
振動素子209が上面凹部31の底面に対向して配置されると、1対の素子端子225と1対の素子用パッド29とが対向する。そして、両者は、その間に介在する1対のバンプ33によって接合される。これにより、フレーム部223が素子搭載部材11に対して固定され、振動素子209が素子搭載部材11に支持される。また、素子端子225と素子用パッド29とが電気的に接続され、ひいては、外部端子5の2つと、1対の励振電極217とが電気的に接続される。
また、素子搭載部材11の台座パッド30は、1対のフレーム部223の、本体部221との接続位置と、1対の素子用パッド29に接合される位置(先端)との間の部分の下面に対向する。具体的には、例えば、台座パッド30は、本体部221の中心よりも第1辺221a側(フレーム部223が本体部221から延び出た側)にて、フレーム部223と対向する。より具体的には、例えば、台座パッド30は、フレーム部223のうちの、第1辺221a側から第4辺221d側へ延びる部分の、第1辺221a側の部分に重なる。換言すれば、台座パッド30は、フレーム部223のうちの、フレーム部223が本体部221から延び出た側とは反対側へ延びる部分の、前記の延び出た側の部分に重なる。
なお、第1実施形態と同様に、台座パッド30は、電気的に浮遊状態とされてもよいし、基準電位が付与されてもよい。また、台座パッド30は、自己と重なる配線219と同じ電位が付与されてもよい。配線219と対向する台座パッド30(図7の例では、第2配線219Bと対向する台座パッド30)は、その対向する配線219と同電位とされることが好ましい。
以上に説明した振動素子209及び振動子201の製造方法は、これらの部材の具体的な形状に対応する部分を除いては、従来の振動素子及び振動子の製造方法と同様でよい。例えば、振動素子209は、水晶からなるウェハに対してエッチングを行って水晶片215を形成し、蒸着又はスパッタリングによって励振電極217及び配線219となる金属を成膜すればよい。そして、エッチング及び金属の成膜のためのマスクのパターンを、上述した振動素子209の形状に応じたものとすればよい。
以上のとおり、本実施形態では、第1実施形態と同様に、素子搭載部材11は、上面凹部31の底面の、1対の素子用パッド29が位置する2つの隅部以外の2つの隅部に位置し、当該底面から盛り上がる1対の台座パッド30を有している。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、素子搭載部材11の基板部27aが補強され、意図しない応力が振動素子209に加えられるおそれが低減される。
また、本実施形態では、水晶片215は、両主面に1対の励振電極217が位置する板状の本体部221と、本体部221の主面の平面視において本体部221の外縁から延び出る1対のフレーム部223と、を有している。振動素子209は、1対の励振電極217から延び出て、1対のフレーム部223の表面を1対のフレーム部223に沿って延びる1対の配線219を有し、1対の配線219が1対の素子用パッド29の上面に接合されることにより、1対の素子用パッド29に支持されるとともに電気的に接続されている。そして、1対の台座パッド30は、1対のフレーム部223の、本体部221との接続位置と1対の素子用パッド29に接合される位置との間の部分の下面と対向している。
従って、例えば、素子搭載部材11の変形に伴って1対の素子用パッド29間に相対変位が生じ、この相対変位が本体部221に応力を生じさせるおそれがある場合において、その相対変位の少なくとも一部は1対のフレーム部223の変形によって吸収される。その結果、本体部221に伝わる応力が緩和される。また、例えば、振動素子209を素子搭載部材11に実装するとき、第1辺221a側が低くなるような傾斜が生じても、1対のフレーム部223が台座パッド30に支持されることによって、傾斜が抑制される。その結果、振動素子209の実装のばらつきが抑制される。バンプ33が硬化して収縮すると、振動素子209は、第1辺221a側が浮き上がり、1対のフレーム部223が台座パッド30から離れる。従って、台座パッド30は、振動素子209の振動に悪影響を及ぼすことはない。仮に1対のフレーム部223が台座パッド30から浮き上がらないとしても、本体部221が台座パッド30に支持されるのではなく、1対のフレーム部223が台座パッド30に支持されることから、台座パッド30が本体部221の振動に及ぼす影響は低減される。
<第3実施形態>
図8(a)は、本発明の第3実施形態に係る水晶振動子301の内部を示す平面図である。図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線における断面図である。図8(c)は、図8(a)のVIIIc−VIIIc線における断面図である。
第1及び第2実施形態では、振動素子9又は振動素子209の本体部221は、1対の導電片21又は1対のフレーム部223によって弾性的に支持された。これに対して、本実施形態の振動子301では、振動素子309の縁部が直接的に素子搭載部材311の素子用パッド29に接合されている。すなわち、振動素子309は、公知の一般的な方法によって素子用パッド29に実装されている。
例えば、振動素子309は、水晶片315と、水晶片315の主面に位置する第1励振電極317A及び第2励振電極317Bと、1対の励振電極317に接続された第1引出電極319A及び第2引出電極319Bとを有している。
水晶片315は、例えば、円形又は多角形(本実施形態では矩形)であり、フレーム部を有していない。1対の励振電極317は、例えば、水晶片315の主面の中央側に位置している。第1引出電極319Aは、例えば、第1励振電極317Aから延び出て、水晶片315の外周面を経由して、第2励振電極317B側の主面の縁部まで延びている。第2引出電極319Bは、第2励振電極317Bから延び出て、第2励振電極317B側の主面の縁部に位置している。なお、第2引出電極319Bは、第1励振電極317A側の主面の縁部まで延びていてもよい(振動素子309は上下が可逆であってもよい。)。
そして、振動素子309は、上面凹部31の底面に対向配置され、1対の引出電極319は、バンプ33(図8(b))によって1対の素子用パッド29に接合されている。これにより、振動素子309は、一端側が素子用パッド29に支持されているとともに、電気的に接続されている。また、振動素子309の他端側は、上面凹部31の底面から浮いている。
本実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、素子搭載部材311の上面凹部31の底面には、台座パッド330が設けられている。台座パッド330は、平面視において、振動素子309の、素子用パッド29に接合される側とは反対側の端部(2つの角部)に重なっている。ただし、台座パッド330は、励振電極317とは重なっていないことが好ましい。台座パッド330の平面形状は適宜な形状とされてよい。
1対の台座パッド330は、例えば、上面凹部31の底面の、互いに隣り合う2つの隅部に位置している。そして、図8(c)に示すように、1対の台座パッド330の上面は、互いに隣り合う側が低くなるように傾斜している。別の観点では、1対の台座パッド330は、外側ほど厚く形成されている。なお、このような台座パッド30は、例えば、マスクを介した成膜又はマスクを介したエッチングを、マスクを変えつつ複数回行ったり(この場合、正確には傾斜面は階段状になる)、厚さが変化するように研磨された金属板を配置したりすることによって実現されてよい。
以上のとおり、本実施形態では、他の実施形態と同様に、素子搭載部材311は、上面凹部31の底面の、1対の素子用パッド29が位置しない2つの隅部に位置し、当該底面から盛り上がる1対の台座パッド330を有している。従って、他の実施形態と同様の効果が奏される。例えば、素子搭載部材311の基板部27aが補強され、意図しない応力が振動素子309に加えられるおそれが低減される。
また、本実施形態では、振動素子309は、水晶片315の両主面の中央側に1対の励振電極317を有するとともに、1対の励振電極317から延び出て、水晶片315の、上面凹部31の底面に対向する主面の縁部に位置する1対の引出電極319を有し、1対の引出電極319が1対の素子用パッド29に接合されることにより、1対の素子用パッド29に支持されるとともに電気的に接続されている。1対の台座パッド330は、振動素子309と対向している。
従って、例えば、振動素子309を素子搭載部材311に実装するとき、台座パッド330側が低くなるような傾斜が振動素子309に生じても、振動素子309の縁部が台座パッド330に支持されることによって、傾斜が抑制される。その結果、振動素子309の実装のばらつきが抑制される。バンプ33が硬化して収縮すると、振動素子309は、台座パッド330側の端部が浮き上がり、台座パッド330から離れる。従って、台座パッド330は、振動素子309の振動に悪影響を及ぼすことはない。仮に振動素子309が台座パッド330から浮き上がらないとしても、振動素子309が台座パッド330に接触するのは、振動素子309の、下面と端面(台座パッド330側の側面)との稜線のみにおいてであるから、台座パッド330が振動素子309の振動に及ぼす影響は比較的小さい。
また、本実施形態では、1対の台座パッド330は、上面凹部31の底面の互いに隣り合う2つの隅部に位置し、1対の台座パッド330の上面は、互いに隣り合う側が低くなるように傾斜している。
従って、例えば、振動素子309の、台座パッド330側の端部が十分に浮き上がらなかったとしても、振動素子309は、その下面と端面との稜線の両端においてのみ、台座パッド330に接触することになる。その結果、台座パッド330が振動素子309の振動に悪影響を及ぼすおそれが低減される。
<振動子の利用例>
図9は、振動子1を有するOCXO101の構成を示す断面図である。すなわち、図9は、振動子1の利用例を示している。なお、図9では、第1実施形態の振動子1を例にとっているが、他の実施形態の振動子であっても構わない。
OCXO101は、例えば、振動子1と、振動子1が実装される実装基板103とを有している。また、OCXO101は、実装基板103に実装される振動子1以外の電子部品として、例えば、IC105及びヒータ107を有している。さらに、OCXO101は、上記の各部品を収容する槽109と、槽109から露出する外部端子111とを有している。
実装基板103は、例えば、リジッド式のプリント配線基板によって構成されている。振動子1は、その複数の外部端子5と、実装基板103の主面に設けられた複数の振動子用パッド113とが、半田等からなるバンプ115によって接合されることにより、実装基板103に固定されるとともに電気的に接続されている。
IC105は、例えば、振動子1に電圧を印加して発振信号を生成するためのものであり、発振回路を含んで構成されている。IC105は、例えば、その複数のIC端子117と、実装基板103の主面に設けられた複数のIC用パッド119とが、半田等からなるバンプ121によって接合されることにより、実装基板103に固定されるとともに電気的に接続されている。IC105の実装位置は、適宜な位置とされてよい。図9の例では、IC105は、その上面側の一部が振動子1の下面凹部7に収容される位置に実装されている。
ヒータ107及び槽109は、振動子1の周囲の雰囲気を一定の温度に保つためのものであり、恒温槽123を構成している。ヒータ107は、例えば、実装基板103の、振動子1が実装された主面とは反対側の主面において、振動子1と重なる位置に実装されている。槽109は、金属乃至はセラミック等の適宜な材料から構成され、振動子1等が実装された実装基板103を収容している。槽109の内部は、好ましくは密閉されており、また、空気乃至は他のガス(例えば窒素)が存在する。
特に図示しないが、槽109内には温度センサ(ICに内蔵されたものであってもよい)が設けられている。ヒータ107は、その温度センサの検出値が一定の値となるように、不図示のICによってフィードバック制御される。これにより、槽109内の温度は一定に保たれる。なお、振動子1の周囲の雰囲気は、恒温槽123によって一定に保たれるが、IC105は、温度補償回路を有するものであってもよい。
外部端子111は、例えば、金属からなるピンである。その一端は、実装基板103に挿通されて固定されているとともに、電気的に接続されている。これにより、外部端子111は、実装基板103を介してIC105等に電気的に接続されている。また、外部端子111の他端は、槽109から延び出ている。OCXO101は、この外部端子111の延び出た他端が不図示の回路基板に挿通されて半田付けされることなどにより、回路基板に実装される。
このように、実施形態の振動子1等は、OCXOに利用されてよい。恒温槽内に配置された振動子は、通常の振動子に比較して高温下で使用されることになる。しかし、実施形態の振動子1等は、熱によって素子搭載部材11が変形しても、その変形が振動素子9等に及ぼす影響が従来に比較して小さい。従って、意図した周波数特性が得られやすい。
なお、以上の実施形態において、水晶振動子1、201及び301は、それぞれ、圧電デバイスの一例である。水晶振動素子9、209及び309は、それぞれ、圧電振動素子の一例である。水晶片15、215及び315は、圧電素板の一例である。台座パッド30及び330は、台座部の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電デバイスは、水晶振動子等の圧電振動子に限定されず、例えば、発振回路を有する圧電発振器であってもよいし、図9に示したように恒温槽付の発振器であってもよい。また、圧電振動子は、サーミスタ等の振動素子以外の電子素子を有していてもよい。圧電体(圧電素板)は、水晶に限定されず、例えば、セラミックであってもよい。
圧電デバイスのパッケージ(素子搭載部材や蓋体)を含めた全体の構造も適宜に変更可能である。例えば、素子搭載部材の下面凹部の底面にサーミスタ又はICを実装してもよい。素子搭載部材の下面凹部を形成しないようにしてもよい。素子搭載部材は、ピン状の外部端子を有するものであってもよい。
圧電素板(又はその本体部)の形状は実施形態のものに限定されない。例えば、第1実施形態のように導電片によって支持される圧電素板の平面形状は矩形であってもよいし、第2実施形態のようにフレーム部が設けられる圧電素板の本体部の形状は円形であってもよいし、第3実施形態のように縁部が直接的に支持される圧電素板の形状は円形であってもよい。また、圧電素板が第1実施形態のように外側に膨らむ曲面状の外周面を有する形状である場合、その形状は、円形に限定されず、例えば、楕円形であってもよい。また、圧電素子の側面は、側面視(断面視)において、曲面又は階段状の面によって突出する、いわゆるメサ形状とされてもよい。
第1実施形態により説明した導電片は、金属片からなるものに限定されず、例えば、樹脂などからなる絶縁片の表面にめっきが施されたものであってもよい。また、導電片は、長尺状のものに限定されず、例えば、正方形に近い長方形であってもよい。また、導電片は、曲線状に延びたり、幅が変化したりしてもよい。導電片と、素子搭載部材のパッドとの接合は、導電性のバンプによってなされるものに限定されない。例えば、溶接によって接合がなされてもよい。
第2実施形態により説明したフレーム部は、直線状に延びて屈曲するもの(別の観点では矩形の枠状)に限定されず、湾曲するものであってもよい。例えば、本体部が円形である場合に、フレーム部は、円形の枠状とされてもよい。フレーム部は、本体部の外縁と異なる形状であってもよい。また、1対のフレーム部は、本体部から互いに独立に延び出たり、先端が互いに接続されたりしていてもよい。フレーム部は、一定の幅でなくてもよく、例えば、先端側ほど徐々に細くなったり、逆に、太くなったりしてもよい。また、フレーム部は、適宜に突起乃至は切り欠きが設けられてよい。フレーム部は、その厚みが本体部と同一の厚みでなくてもよい。例えば、フレーム部が本体部よりも薄くなるようにし、弾性的な支持の効果を増加させてもよい。逆に、フレーム部を本体部よりも厚くして、本体部が実装面等に接触するおそれを低減してもよい。
1対の素子用パッドは、凹部の底面の対角線上に位置する2つの隅部に位置してもよい。同様に、1対の台座部は、凹部の底面の対角線上に位置する2つの隅部に位置してもよい。なお、このような態様に合わせて、振動素子の実装態様も適宜に変更されてよい。例えば、第1実施形態の1対の導電片は、互いに反対方向に延びるように配置されてよい。第2実施形態の1対のフレーム部は、本体部に対して互いに逆側から延び出て、本体部回りの互いに同一方向に延びるように形成されてよい。第3実施形態の1対の引出電極は、励振電極に対して互いに反対側に配置されてよい。
素子用パッド及び台座部は、比較的広い面積で形成されて、凹部の底面の中央側に位置する部分を有していてもよい。換言すれば、素子用パッド及び台座部は、少なくとも一部が隅部に位置していればよい。例えば、平面視において素子用パッド及び台座部が励振電極と重なるほどに比較的広く形成されていてもよい。この場合であっても、例えば、第1実施形態のように、振動素子と凹部の底面との間に導電片が介在する態様においては、素子用パッドと励振電極とが当接するおそれは低い。
なお、素子用パッド及び台座部が凹部の底面の隅部に位置しているというとき、これらは、凹部の底面の、隅部を構成する2つの縁部(交差する2辺)に接していなくてもよい。例えば、凹部の底面を4×4のマスに分割したときに、その角に位置するマスに、素子用パッド及び台座部が位置していれば、素子用パッド及び台座部は、隅部に位置しているといえる。より好ましくは、5×5、6×6等、凹部の底面をより細かく分割したときに、その角に位置するマスに、素子用パッド及び台座部が位置していることが好ましい。
台座部は、素子用パッドと同様の構成に限定されない。例えば、絶縁基体の一部が盛り上がるように形成されて台座部が構成されてもよい。また、第1実施形態及び第2実施形態に示した厚みが一定(上面が凹部底面と平行)な台座部は、第3実施形態に示した、振動素子の縁部を素子用パッドに接合する構成と組み合わされ、平面視において振動素子と重なってもよい。逆に、第3実施形態に示した厚みが変化する(上面が凹部底面に傾斜する)台座部は、第1実施形態に示した導電片又は第2実施形態に示したフレーム部と組み合わされ、平面視においてこれらに重なってもよい。